JP7445127B2 - Lpg貯蔵タンク用鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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C:0.06~0.15%、
Si:0.01~0.10%、
Mn:0.50~1.40%、
P:0.020%以下、
S:0.010%以下、
Ni:0.10%以下、
Ti:0.005~0.040%、
Al:0.005~0.050%、
N:0.0005~0.0100%、
Nb:0.005~0.050%、
Cr:0.50~1.50%、
Mo:0.10~0.50%、
V:0.01~0.10%、
残部:Feおよび不純物であり、
下記(i)式で表されるVc90が、1.0~5.0であり、
板厚中心部における金属組織が、
面積率で、97%以上のベイナイトを含み、かつ島状マルテンサイトが、面積率で、0.1%以下であり、セメンタイトの平均粒径が0.5μm以下であり、
観察された全てのベイナイト粒の中で、粒径の大きさが大きい順に上位10個のベイナイト粒を選択したときに、当該10個のベイナイト粒の平均粒径が30μm以下であり、
引張強さが、770~940MPaであり、
板厚が、55~80mmである、LPG貯蔵タンク用鋼板。
log(Vc90)=2.94-0.75×(2.7C+0.4Si+Mn+0.45Ni+0.8Cr+5Mo) ・・・(i)
但し、上記式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
Cu:0.50%以下、および
B:0.0050%以下、
から選択される1種以上を含有する、上記(1)に記載のLPG貯蔵タンク用鋼板。
Ca:0.0050%以下、および
Mg:0.0050%以下、
から選択される1種以上を含有する、上記(1)または(2)に記載のLPG貯蔵タンク用鋼板。
(a)厚さが200mm以上であるスラブを、1000~1200℃で加熱し、熱間圧延を行った後、室温まで冷却し、鋼板とする工程と、
(b)前記鋼板をAc3点以上1000℃以下の温度に加熱し、均熱保持した後、前記鋼板の板厚中心部における冷却速度を5℃/s以上として、200℃以下まで冷却する工程と、
(c)前記鋼板を500℃以上700℃以下の温度に加熱し、15分以上均熱保持した後、冷却する工程と、
を有し、
前記(a)において、圧延中の最終3パスを、スラブ表面温度が750~900℃の温度域で、累積圧下率が30%以上で圧延する、LPG貯蔵タンク用鋼板の製造方法。
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
Cは、鋼材の強度上昇に極めて有効な元素である。C含有量が0.06%未満では、所望する強度が確保できない。また、金属組織が十分微細化せず、低温靭性が劣化する。このため、C含有量は、0.06%以上とする。C含有量は、0.08%以上とするのが好ましい。しかしながら、Cを、0.15%を超えて含有させると、溶接に起因し、熱影響部の表層が硬化し、耐SSC性が劣化する。このため、C含有量は0.15%以下とする。C含有量は、0.14%以下とするのが好ましい。
Siは、脱酸効果を有する元素である。このため、Si含有量は、0.01%以上とする。Si含有量は、0.02%以上とするのが好ましい。しかしながら、Siを、0.10%を超えて含有させると、HAZに、島状マルテンサイト(以下、「MA」とも記載する。)が生成して、破壊の起点となる。この結果、溶接後に靱性が低下する。このため、Si含有量は、0.10%以下とする。Si含有量は、0.09%以下とするのが好ましい。
Mnは、鋼の焼入れ性を高め、鋼の強度および靭性を高める元素である。このため、Mn含有量は、0.50%以上とする。Mn含有量は、0.65%以上とするのが好ましい。しかしながら、Mn含有量が1.40%を超えると、溶接に際し、HAZの靭性が低下する。このため、Mn含有量は、1.40%以下とする。Mn含有量は、1.30%以下とするのが好ましい。
Pは、不純物として鋼中に含有される元素である。Pを、0.020%を超えて含有させると、粒界に偏析して粒界強度を低下させ、低温靭性が低下する。このため、P含有量は、0.020%以下とする。Pは、可能なかぎり低減することが望ましい。
Sは、一般に不純物として鋼中に含有される元素である。Sは、鋼中のMnと結合してMnSを形成し、鋼材の低温靭性および延性を低下させる。このため、S含有量は、0.010%以下とする。Sは、可能なかぎり低減することが望ましい。
Niは、鋼材の靭性向上に寄与する一方、耐SSC特性を低下させる元素である。LPG貯蔵タンクに用いられる極厚の鋼材では、より厳しい耐SSC特性が求められることから、原則として添加しない。不純物として含有される場合でも、Ni含有量が、0.10%を超えると、腐食を受けた表面に微細なクラックが発生し、低応力下でも耐SSC性が劣化する。このため、Ni含有量は、0.10%以下とする。Ni含有量は、0.05%未満とするのが好ましい。なお、鋼材の靭性を確保するために、Nb、Cr、Mo、V等を含有させる。
Tiは、鋼中のNと結合してTiNを形成し、スラブ表面および鋼材表面の清浄性を高める元素である。さらに、オーステナイト結晶粒の粗大化を抑制する作用を有する。このため、Ti含有量は、0.005%以上とする。Ti含有量は、0.010%以上とするのが好ましい。しかしながら、Tiを、0.040%を超えて含有させると、析出物が粗大化し、母材靱性を劣化させることがある。このため、Ti含有量は、0.040%以下とする。Ti含有量は、0.035%以下とするのが好ましい。
Alは、脱酸剤として作用し、鋼板の溶鋼脱酸プロセスにおいて、もっとも汎用的に使われる。また、鋼中の固溶Nを固定して、AlNを形成することにより、結晶粒の粗大化を抑制する効果を有する。このため、Al含有量は、0.005%以上とする。Al含有量は、0.010%以上とするのが好ましい。しかしながら、Al含有量が0.050%を超えると、溶接時に溶接金属部に混入して、溶接金属の靭性を低下させる。このため、Al含有量は、0.050%以下とする。Al含有量は、0.040%以下とするのが好ましい。
Nは、TiおよびAlと結合して、TiN、AlNを形成し、結晶粒の粗大化を抑制する効果を有する。このため、N含有量は、0.0005%以上とする。N含有量は、0.0010%以上とするのが好ましい。しかしながら、Nを、0.0100%を超えて含有させると、窒化物が粗大化し、靭性が低下する。このため、N含有量は、0.0100%以下とする。N含有量は、0.0090%以下とするのが好ましい。
Nbは、オーステナイト未再結晶領域を拡大させるために有効な元素であり、さらに結晶粒の微細化に寄与し、強度および靭性を改善する。このため、Nb含有量は、0.005%以上とする。Nb含有量は、0.010%以上とするのが好ましい。しかしながら、Nb含有量が0.050%を超えると、粗大な炭化物を生成し、靭性が低下する。このため、Nb含有量は、0.050%以下とする。Nb含有量は、0.045%以下とするのが好ましい。
Crは、フェライト変態を抑制して焼入性を上げるため、強度向上に有効な元素である。このため、Cr含有量は、0.50%以上とする。Cr含有量は、0.70%以上とするのが好ましい。しかしながら、Crを、1.50%を超えて含有させると、鋼材の強度が高くなりすぎる。このため、Cr含有量は、1.50%以下とする。Cr含有量は、1.40%以下とするのが好ましい。
Moは、鋼材の焼入れ性を高め、母材強度を向上する元素である。このため、Mo含有量は、0.10%以上とする。Mo含有量は、0.15%以上とするのが好ましい。しかしながら、Mo含有量が0.50%を超えると、強度が過剰に高くなる。また溶接性の著しい低下をもたらす。このため、Mo含有量は、0.50%以下とする。Mo含有量は、0.30%未満とするのが好ましい。
Vは、炭窒化物を形成し、鋼材を析出強化する作用を有する。このため、V含有量は、0.01%以上とする。V含有量は、0.02%以上とするのが好ましい。しかしながら、V含有量が0.10%を超えると、その効果が飽和して製造コストが増加する。このため、V含有量は、0.10%以下とする。V含有量は、0.08%以下とするのが好ましい。
Cuは、焼入性向上および焼戻し処理の析出硬化により強度を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Cuを、過剰に含有させると、Cuチェッキングによる高温割れが生じる場合がある。このため、Cu含有量は、0.50%以下とする。一方、上記効果を得るためには、Cu含有量は、0.10%以上とするのが好ましく、0.20%以上とするのがより好ましい。
Bは、オーステナイト粒界に偏析し、フェライトの生成を抑制することで、焼入れ性を著しく向上させ、強度を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Bを過剰に含有させると、靱性が低下する。このため、B含有量は、0.0050%以下とする。B含有量は、0.0030%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、B含有量は、0.0003%以上とするのが好ましく、0.0005%以上とするのがより好ましい。
Caは、非金属介在物が球状化し、低温靱性を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Caを過剰に含有させると、CaO、CaS等の介在物が多量に生成して鋼の靱性を損なう。加えて、湿潤硫化水素環境下で、鋼中の水素が介在物周辺に集積し易くなり、耐SSC性が低下する。このため、Ca含有量は、0.0050%以下とする。Ca含有量は、0.0040%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Ca含有量は、0.0002%以上とするのが好ましく、0.0005%以上とするのがより好ましい。
Mgは、非金属介在物が球状化し、低温靱性を向上させる効果を有する。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Mg含有量が0.0050%を超えると、MgO、MgS等の介在物が多量に生成して鋼の靱性を損なう。また、湿潤硫化水素環境下で鋼中の水素が介在物周辺に集積し易くなり、耐SSC性が低下する。このため、Mg含有量は、0.0050%以下とする。Mg含有量は、0.0040%以下とするのが好ましい。一方、上記効果を得るためには、Mg含有量は、0.0002%以上とするのが好ましく、0.0005%以上とするのがより好ましい。
本発明に係る鋼板では、以下(i)式で表されるVc90を1.0~5.0℃/sとする。Vc90は、マルテンサイトを面積率で90%以上得るために必要な冷却速度を示すものであり、各元素の含有量に基づき算出される。
但し、上記式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
本発明に係る鋼板では、板厚中心部における金属組織を規定する。板厚が55mmの極厚鋼板では、その中央値である板厚中心部の組織の制御が重要だからである。具体的には、板厚中心部における金属組織が、面積率で、97%以上のベイナイトを含み、かつ島状マルテンサイトが、面積率で、0.1%以下とする。
板厚中心部における金属組織において、ベイナイトの面積率が97%未満であると、強度および靭性を十分に確保することができない。このため、板厚中心部における金属組織において、ベイナイトの面積率を97%以上とする。板厚中心部の金属組織は、基本的にベイナイトからなる組織とするのが望ましく、ベイナイトの面積率を100%とするのが最も好ましい。
鋼板中にはセメンタイトが形成する場合もあり、特に上述した板厚中心部におけるベイナイト中のセメンタイトは比較的大きくなりやすい。粗大なセメンタイトが形成すると、セメンタイトを起点として、脆性破壊が発生するため低温靭性が低下する。このため、粗大なセメンタイトの形成を抑制する必要がある。そこで、セメンタイトの平均粒径は、0.5μm以下とする。より詳細には、板厚中心部のベイナイト中のセメンタイトの平均粒径は、0.5μm以下とする。ベイナイト中のセメンタイトの平均粒径は、0.4μm以下とするのが好ましい。なお、セメンタイトの平均粒径の測定については後述する。
板厚中心部における金属組織は、上述したように、基本的にベイナイトを主体とした組織とするが、ベイナイト以外に、他の組織が形成する場合がある。このようなベイナイト以外の組織(以下、「その他の組織」と記載する。)は、面積率で、3.0%以下とする。その他の組織が、面積率で、3.0%を超えると、顕著に低温靭性が低下する。その他の組織は、極力形成させないのが好ましい。なお、その他の組織の一例として、例えば、マルテンサイト、島状マルテンサイト(MA)が挙げられる。
本発明に係る鋼板では、鋼板の強度および靭性を向上させるため、微細なベイナイトを形成させる必要がある。しかしながら、微細なベイナイトが形成したとしても、局所的に極端に粒径の大きいベイナイトが形成していた場合には、破壊の起点となる。この結果、鋼の靭性が低下する。
3.引張強さ
本発明に係る鋼板では、鋼板の引張強さを770~940MPaとする。引張強さを上記範囲とすることで、LPGの輸送効率を向上させ、タンクを大型化することができるからである。
本発明に係る鋼板では、板厚を55~80mmとする。板厚を上記範囲とすることで、タンクの肉厚化することができるからである。板厚が55mm未満であると、十分タンクを厚肉にできない。このため、板厚は55mm以上とし、60mm以上とするのが好ましい。一方、板厚が80mmを超えると、製造性が低下する。このため、板厚は80mm以下とし、75mm以下とするのが好ましい。
本発明に係る鋼板の好ましい製造方法について説明する。本発明に係る鋼板は、製造方法によらず、上述の構成を有していれば、その効果を得られるが、例えば、以下のような製造方法により、安定して製造することができる。
(a)厚さが200mm以上であるスラブを、1000~1200℃で加熱し、熱間圧延を行った後、室温まで冷却し、鋼板とする工程と、
(b)鋼板をAc3点以上1000℃以下の温度に加熱し、均熱保持した後、鋼板の板厚中心部における冷却速度を5℃/s以上として、200℃以下まで冷却する工程と、
(c)鋼板を500℃以上700℃以下の温度に加熱し、15分以上均熱保持した後、冷却する工程と、
を有し、
(a)において、圧延中の最終3パスをスラブ表面温度が750~900℃の温度域で、累積圧下率が30%以上で圧延する、のが好ましい。
最初に、上述の化学組成を有する厚さ200mm以上のスラブを連続鋳造法等により製造することが好ましい。スラブ厚を200mm以上とすることにより、熱間圧延工程において、十分な圧下率を確保することが可能となり、ベイナイトの微細化をより確実に行うことができる。スラブ厚は300mm以下とすることが好ましい。
Pt=(Tb-Ta)/Tb×100 ・・・(a)
但し、上記式中の各記号は、以下により定義される。
Pt(%):累積圧下率
Ta(mm):圧延後の厚み
Tb(mm):圧延前の厚み
熱間圧延工程の後、焼入工程を行うのが好ましい。焼入工程では、鋼板をAc3点(℃)以上1000℃以下の温度に加熱した後、当該温度で均熱保持するのが好ましい。その後、鋼板の板厚中心部における冷却速度を5℃/s以上とし、200℃以下まで冷却するのが好ましい。
続いて、焼戻し工程を行うのが好ましい。焼戻し工程においては、500℃以上700℃以下の温度に加熱し、均熱保持した後、放冷するのが好ましい。焼入後、鋼板の強度が過剰となる一方、靭性の低下が生じるが、焼戻し工程を行うことにより、焼入時に導入された転位が回復し、所望の強度まで、強度を低下させることができる。この結果、鋼板の低温靭性が向上する。このような焼戻しの効果を得るためには、加熱温度を500℃以上とするのが好ましい。
ベイナイトおよびフェライトの面積率は、各測定値について、以下の方法で測定した。ベイナイトおよびフェライトは、板厚中心部の位置から、L断面が観察面となるよう、試験片を採取し鏡面研磨してからコロイダルシリカで30分の仕上研磨をした後、EBSD(電子線後方散乱回折)法を用いて測定した。
最初に、鋼板の板厚中心から試験片として一部を切り出し、L断面を鏡面研磨してからコロイダルシリカで30分以上研磨をした。その後、研磨面を観察面とし、EBSD(電子線後方散乱回折)法を用いて、ベイナイト結晶粒の面積率、粒径を算出した。なお、ベイナイト以外に、例えば、その他の組織が形成している場合は、同様にEBSDを用いて面積率を測定した。得られたデータはOIMソフトにより解析した。なお、撮影倍率は90倍、撮影視野を5視野とし、方位差が15度以上の粒界に囲まれた円相当径の上位10個平均を規定粗大ベイナイト粒の平均粒径とした。
セメンタイトの平均粒径は、以下の方法で測定した。最初に、鋼板の板厚中心から試験片として一部を切り出し、L断面を鏡面研磨してから3%ナイタール溶液で腐食した。その後、腐食した面を観察面とし、日本電子製の電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いてミクロ組織を撮影した。撮影に際し、作動距離を10mm、加速電圧を15kV、倍率を3000倍とし、5視野撮影した。倍率画像処理により二値化してから平均円相当粒径を算出し、平均粒径とした。
強度は、引張試験を行うことで評価した。試験片は、鋼板の板厚1/4位置から、圧延方向とは垂直の断面(C断面)より、引張試験片(JIS Z 2241:2011、1A号試験片)を採取し、引張試験を行った。
耐SSC性は、SSC試験を行うことで評価した。SSC試験では、入熱量を3.0kJ/mmで鋼板の幅方向にサブマージアーク溶接し、溶接継手を作製した。溶接継手の溶接ビードをそのまま残した状態で、表面から、1.5×30mm×115mmの寸法で、試験片を採取した。この試験片を4点曲げにより、溶接線直上に貼付したひずみゲージでひずみ量を測定しながら、降伏応力の100%応力となるようなひずみを付与し、720時間溶液中に浸漬した。
靭性は、シャルピー試験を行うことで評価した。シャルピー試験では、鋼板および鋼板から作製した溶接継手を用いた試験片により試験を行った。鋼板の試験片は、鋼板のC断面を切り出し、ノッチが鋼板の板厚1/2位置となるような、2mmのVノッチの試験片である。溶接継手は、鋼板のC断面から二つの母材を切り出し、それを入熱量が3.0kJ/mmでサブマージアーク溶接することで作製した。作製した溶接継手の試験片は板厚1/4位置から採取し、溶接金属と母材がちょうど50%ずつ含む位置となるようにノッチを入れた2mmのVノッチ試験片である。そして、試験により得られた破面遷移温度(母材および溶接熱影響部)が、-40℃以下の場合を良好な特性であると評価した。
Claims (4)
- 化学組成が、質量%で、
C:0.06~0.15%、
Si:0.01~0.10%、
Mn:0.50~1.40%、
P:0.020%以下、
S:0.010%以下、
Ni:0.10%以下、
Ti:0.005~0.040%、
Al:0.005~0.050%、
N:0.0005~0.0100%、
Nb:0.005~0.050%、
Cr:0.50~1.50%、
Mo:0.10~0.50%、
V:0.01~0.10%、
残部:Feおよび不純物であり、
下記(i)式で表されるVc90が、1.0~5.0であり、
板厚中心部における金属組織が、
面積率で、97%以上のベイナイトを含み、かつ島状マルテンサイトが、面積率で、0.1%以下であり、セメンタイトの平均粒径が0.5μm以下であり、
観察された全てのベイナイト粒の中で、粒径の大きさが大きい順に上位10個のベイナイト粒を選択したときに、当該10個のベイナイト粒の平均粒径が30μm以下であり、
引張強さが、770~940MPaであり、
板厚が、55~80mmである、LPG貯蔵タンク用鋼板。
log(Vc90)=2.94-0.75×(2.7C+0.4Si+Mn+0.45Ni+0.8Cr+5Mo) ・・・(i)
但し、上記式中の各元素記号は、鋼中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。 - 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
Cu:0.50%以下、および
B:0.0050%以下、
から選択される1種以上を含有する、請求項1に記載のLPG貯蔵タンク用鋼板。 - 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
Ca:0.0050%以下、および
Mg:0.0050%以下、
から選択される1種以上を含有する、請求項1または2に記載のLPG貯蔵タンク用鋼板。 - 請求項1~3のいずれかに記載の鋼板を製造する方法であって、
(a)厚さが200mm以上であるスラブを、1000~1200℃で加熱し、熱間圧延を行った後、室温まで冷却し、鋼板とする工程と、
(b)前記鋼板をAc3点以上1000℃以下の温度に加熱し、均熱保持した後、前記鋼板の板厚中心部における冷却速度を5℃/s以上として、200℃以下まで冷却する工程と、
(c)前記鋼板を500℃以上700℃以下の温度に加熱し、15分以上均熱保持した後、冷却する工程と、
を有し、
前記(a)において、圧延中の最終3パスを、スラブ表面温度が750~900℃の温度域で、累積圧下率が30%以上で圧延する、LPG貯蔵タンク用鋼板の製造方法。
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