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JP7194854B1 - 仮撚加工糸からなる編地 - Google Patents

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Abstract

【課題】単糸の繊維断面が扁平形状で、捲縮が高い仮撚加工糸を用いることで、柔らかい風合いを有しながら、防透性、吸水速乾性、破裂強度に優れる編地の提供。【解決手段】単糸の繊維軸方向に垂直な断面形状が扁平形である合成繊維マルチフィラメント仮撚加工糸を40重量%以上含む編地であって、該仮撚加工糸の単糸の、平均扁平度が2.0~3.0であり、扁平度の標準偏差値が1.0未満であり、JIS L 1013 8.12法に従い測定した捲縮復元率が30~50%であり、そして、該編地の、JIS L 1923 B法に従い測定した防透指数が90%以上であり、JIS L 1096 8.18 A法に従い測定した破裂強度が600kPa以上であることを特徴とする編地。【選択図】なし

Description

本発明は、仮撚加工糸からなる編地に関する。より詳しくは、本発明は、単糸の繊維軸方向に垂直な断面形状が扁平形であり、かつ、高捲縮である合成繊維マルチフィラメント仮撚加工糸を含む編地であって、防透性、吸水速乾性、破裂強度に優れる編地に関する。
ストレッチ性や通気性に優れる編地は、カジュアル、スポーツ、インナー、ユニフォーム等用途を問わずあらゆる衣料に好適に利用されている。編地に用いられる繊維は多岐にわたるが、特にイージーケア性、耐薬品性や色の耐光性に優れる観点から、ポリエステル繊維は、広く利用されており、衣料として用いるためには必須ともいえる防透性を付与し、更に吸水速乾性や好ましい風合いをもたせるため、原糸及び仮撚加工の両面からポリエステル繊維の開発が行われてきた。
ポリエステル繊維に防透性を付与する方法としては、例えば、以下の特許文献1に記載されるように、ポリマーに酸化チタンを1.7~2.5重量%と比較的高濃度で含有させ、紡糸の段階で紡口を特定の形状にすることによって、風合い良好で、吸水速乾性に優れ、透防止性も兼ね備えた扁平型のポリエステル繊維が製造されている。しかし、この方法では、紡糸の段階で繊維が異形であるため、紡糸や仮撚の延伸でフィラメントの外周と中心部に力が均一にかかり難く、単糸の異形度やポリマーの配向性にムラがでるため、繊維の強度が低下しやすく、編地の破裂強度が低下する原因となってしまう。
また、以下の特許文献2には、ポリアルキレンテレフタレートを解重合して得られたテレフタル酸とジエチレングリコールを1.70~2.40重量%含有する原料を利用して、仮撚加工糸断面を不定形の多角形状にして、強度、捲縮復元率が所定の範囲となるように、防透性、吸水性、濃色性が良好で、かつ高い原糸強度を有する、リサイクル原料を用いたポリエステル仮撚糸を製造する方法が開示されている。しかし、この方法では、扁平形状がばらついており、単糸切れや原糸強度の低下を押さえるために捲縮復元率(CR)を15~25%と低い範囲に押さえなければならず、編地の破裂強度、吸水速乾性と柔らかい風合いとを両立することができない。
また、以下の特許文献3には、捲縮糸を構成するマルチフィラメントの50~100質量%の単繊維が中空部を有している、断面形状が扁平形状である捲縮糸によって防透性、冷感性に優れる織編物を製造する方法が開示されている。しかし、この方法では、捲縮復元率(CR)が高すぎるため、捲縮が水をためこんで拡散を妨害してしまい、吸汗速乾性に欠け、また中空部を有することで編地の破裂強度が低下してしまう。
以下の特許文献4には、繊維の単糸断面が扁平形状であり、芯部に酸化チタン微粒子を多量に含有させ、鞘部の酸化チタン微粒子は微量にした鞘芯型ポリエステル扁平断面繊維の製造方法が開示されている。しかし、この方法では、扁平度が高いため強度低下を避けるために糸を高捲縮にすることができず、編地の破裂強度、吸水速乾性、嵩高く柔らかい風合いを両立することができない。
また、以下の特許文献5には、少なくとも2本の仮撚加工糸を混繊し、染色加工後にインターレース個数が100~170個/m残存する複合加工糸により、編地表面の凹凸を所定の範囲に抑えることによって、ソフトな風合い、ストレッチ性、防透け性を持ちながら抗スナッグ性にも優れた編地の製造方法が開示されている。しかし、この方法では、捲縮性の高いSZの加工糸を多数のインターレースによって収束させる必要があるため、汗の拡散性に劣るという問題点がある。
以下の特許文献6には、所定のトルクを有する仮撚加工糸が、糸混率30重量% 以上で存在している編地であって、ループ密度が50コース/インチ以上1 5コース/インチ以下、35ウェル/インチ以上90ウェル/インチ以下であり、かつ、3D形状測定機を用いて倍率25倍でループ編成方向に10mm間の線粗さを測定して求められるクルトシス(Rku)の平均値が、1.0以上3.0未満であることを特徴とする編地が提案されている。当該特許は、熱セットのあり・なしや温度、染色浴中の温度がピークに達するまでの昇温スピードをある一定の範囲でコントロールするといった編地の染色加工工程における方法によって仮撚加工糸の捲縮を発現させ、編地構造を緻密にして抗スナッグ性、ストレッチ性、防透性を発揮させるものであって仮撚加工糸自体の改善によって課題を解決する方法でない。
特許第4128398号公報 特開2019-99988号公報 特許第6409977号公報 特許第5735377号公報 特開2017-218698号公報 特許第6529622号公報
前記した従来技術の現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、単糸の繊維断面が扁平形状で、捲縮が高い仮撚加工糸を用いることで、柔らかい風合いを有しながら、防透性、吸水速乾性、破裂強度に優れる編地を提供することである。
発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討し実験を繰り返した結果、丸断面のポリエステルマルチフィラメント原糸を所定の仮撚係数で仮撚加工して、高捲縮で、均一な扁平形状の単糸断面をもつ仮撚加工糸を得た後、例えば、編地組織のループ、例えば、ニット:ウェルト比を調整して編成することで、防透性、吸水速乾性、破裂強度を満足する編地が得られることを予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]単糸の繊維軸方向に垂直な断面形状が扁平形である合成繊維マルチフィラメント仮撚加工糸を40重量%以上含む編地であって、該仮撚加工糸の単糸の、平均扁平度が2.0~3.0であり、扁平度の標準偏差値が1.0未満であり、JIS L 1013 8.12法に従い測定した捲縮復元率が30~50%であり、そして、該編地の、JIS L 1923 B法に従い測定した防透指数が90%以上であり、JIS L 1096 8.18 A法に従い測定した破裂強度が600kPa以上であることを特徴とする編地。
[2]前記合成繊維マルチフィラメント仮撚加工糸の仮撚係数が35000~45000である、前記[1]に記載の編地。
[3]前記合成繊維マルチフィラメント仮撚加工糸の総繊度が56~176dtexであり、かつ、単糸繊度が0.3~5.0dtexである、前記[1]又は[2]に記載の編地。
[4]前記編地の目付が120~220g/m2である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の編地。
[5]前記編地の、0.6ml拡散性残留水分率の測定において該水分率が10%を切る乾燥時間が60分以内である、前記[1]~[4]のいずれかに記載の編地。
[6]前記編地が丸編地であり、該丸編地を構成する編組織の(ニット):(ウェルト+タック)の比率が1:1~10:1である、前記[1]~[5]のいずれかに記載の編地。
[7]前記編地が経編地であり、該経編地を構成する編組織が、デンビ組織とコード組織の組み合わせた2バー組織、又は、該2バーの組織に挿入組織を加えた3バー組織である、前記[1]~[5]のいずれかに記載の編地。
[8]以下の工程:
単糸の繊維軸方向に垂直な断面形状が略丸形である合成繊維マルチフィラメントを、ピン仮撚機を用いて、仮撚速度100~300m/分、該合成繊維の融点温度-100℃~-60℃の仮撚温度、延伸倍率1.50~1.65倍で仮撚して、単糸の平均扁平度が2.0~3.0であり、扁平度の標準偏差値が1.0未満であり、かつ、JIS L 1013 8.12法に従い測定した捲縮復元率が30~50%である、仮撚係数35000~45000の合成繊維マルチフィラメント仮撚加工糸を得る工程;及び得られた合成繊維マルチフィラメント仮撚加工糸を40重量%以上用いて編成して、編地を得る工程;を含む、前記[2]~[7]のいずれかに記載の編地の製造方法。
本発明に係る編地は、柔らかな風合いを有しながら、防透性、吸水速乾性、破裂強度に優れた編地であるため、学生向けの体操服や制服シャツ、介護、病院、工場白衣などのユニフォーム衣料、サッカー、バスケットなどのアスレチックシャツや登山などのアウトドアスポーツシャツ、日常着としてのシャツやパンツなどのアウター衣料、キャミソールやショーツといったインナーなどの衣料品に適している。
実施例1のモックロディ丸編地の編組織図である。 実施例2のシングルカノコ丸編地の編組織図である。 実施例3のフラット組織の編組織図である。 比較例1のスムース組織の編組織図である。 比較例3に示すカノコ調丸編地の編組織図である。 実施例6、比較例5のバックハーフ経編地の編組織図である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の1の実施形態は、単糸の繊維軸方向に垂直な断面形状が扁平形である合成繊維マルチフィラメント仮撚加工糸を40重量%以上含む編地であって、該仮撚加工糸の単糸の、平均扁平度が2.0~3.0であり、扁平度の標準偏差値が1.0未満であり、JIS L 1013 8.12法に従い測定した捲縮復元率が30~50%であり、そして、該編地の、JIS L 1923 B法に従い測定した防透指数が90%以上であり、JIS L 1096 8.18 A法に従い測定した破裂強度が600kPa以上であることを特徴とする編地である。
本実施形態の編地に用いる糸は合成繊維マルチフィラメント仮撚加工糸であって、単糸の繊維軸方向に垂直な断面形状が扁平形である。合成繊維は特に制限されないが、吸水速乾性や編地の破裂強度の観点から、ポリエステル繊維が好ましい。
本実施形態の編地に含まれる仮撚加工糸は、単糸の繊維軸方向に垂直な断面の断面形状が扁平形であり、該仮撚加工糸の平均扁平度は、2.0~3.0、かつ、扁平度の標準偏差値(ばらつき)は、1.0未満である。単糸の断面形状の平均扁平度が2.0~3.0の範囲であれば、単糸の扁平断面表面により光の乱反射が生じて、光の拡散・吸収が起こり、編地の透け感を軽減することができ、また、単糸間に適度な空隙を有することによって、吸水拡散効果を発揮することができる。扁平度の標準偏差値(ばらつき)が1.0未満、0.5~0.8がより好ましい。扁平度の標準偏差値(ばらつき)が小さければ、単糸異形ムラから生じる破裂強度低下を抑えることができる。
前記仮撚加工糸の製造に用いる原糸の単糸断面形状としては、扁平度が1.0~1.5である丸断面が好ましい。単糸が丸断面のマルチフィラメント糸を原糸として使用することで仮撚加工によって平均扁平度を2.0~3.0の範囲に調整しやすく、仮撚加工のねじれによって扁平度のばらつきに大きく差がでることを防ぐことができる。扁平度を3.0以上にしようとすると、例えば、仮撚加工では、丸断面から単糸断面を大幅に変形させる必要があることから、仮撚温度や延伸倍率を高く設定することとなり、繊維の単糸切れや編地の強度低下を引き起こしてしまうため、好ましくない。原糸の単糸断面が異形や中空状であると、仮撚時に延展力を受けやすい糸条外周と、延展力を受けにくい糸条中心部でつぶれ方に差がついて、扁平度の標準偏差値が1.0以上になりやすく、単糸の強度ムラが起り、編地の破裂強度が低下するため好ましくない。
本実施形態の編地に用いられる仮撚加工糸の、JIS L 1013 8.12法に従い測定する捲縮復元率(CR値)は30~50%である。捲縮復元率を30%以上とすることで、糸に緻密な捲縮が付いて光の乱反射を促進し、編地の防透性を高めることができ、また、編地に柔らかく滑らかな風合いを付与することができる。CR値が30%未満となると、糸の捲縮に乏しく、光の乱反射は促進されず編地の防透性が低下する原因となり、柔らかい風合いに欠ける。また、CR値を50%超にするためには、仮撚温度や延伸比率を高める必要があるため、単糸切れを誘発し、糸の強度低下や品位劣化を起こしてしま
い、また、CR値が50%超では、捲縮が高すぎるため、編地にしたときに捲縮が汗をため込んでしまい拡散性が低下するため、好ましくない。捲縮復元率が35~45%であれば、特に好ましい。
ポリエステル繊維としては、テレフタル酸を主体とする酸成分とし炭素数2~6のアルキレングリコール、つまりエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、及びヘキサメチレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種を主たるグリコール成分とするポリエステルが好ましい。なかでも、エチレングリコールを主たる成分とするポリエチレンテレフタレートの他にトリメチレングリコールを主たる成分とするポリトリメチレンテレフタレートが好ましい。また、必要に応じて少量(通常30モル%以下)の共重合成分を有していてもよく、例として
、イソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β-ヒドロキシエトキシ安息香酸、p-オキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの芳香族、脂肪族、脂環族の二官能性カルボン酸を挙げることができる。また、上記グリコール以外のジオール化合物として、例えば、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジオール化合物、ポリオキシアルキレングリコール等を挙げることができる。
前記ポリエステルは任意の方法によって合成したもので構わない。例えば、ポリエチレンテレフタレートの場合、テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化学反応させるか、テレフタル酸ジメチルなどのテレフタル酸とエチレングリコールとをエステル交換反応させるか、又はテレフタル酸ジメチルなどのテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるか、又はテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応させるかして、テレフタル酸のグリコールエステル及び/又はその低重合体を生成させる第1段階の反応と、第1段階の反応生成物を減圧下加熱して所望の重合
度になるまで重縮合反応させる第2段階の反応によって製造されたものであることができる。
前記ポリエステルには、艶消し剤(酸化チタン化合物)が1.0~2.5重量%含有されていることが好ましい。酸化チタンが1.0%未満であると、十分な隠蔽性は得られず、他方、2.5重量%を超えると、仮撚工程、撚糸工程、製織、製編工程におけるガイド、ローラー、筬、編み針などを摩耗させ、毛羽や糸切れなど強度低下の原因となる。
前記ポリエステルには、酸化チタン以外の無機化合物粒子や有機化合物を必要に応じて併用してもよい。例えば、紫外線吸収剤、微細孔形成剤(有機スルホン酸金属塩)、着色防止剤、熱安定剤、難燃剤(三酸化アンチモン)、蛍光増白剤、着色顔料、帯電防止剤(スルホン酸金属塩)、吸湿剤(ポリオキシアルキレングリコール)、酸化亜鉛抗菌剤の内の1種類以上が0.1重量%以上含まれていてもよい。
本実施形態の編地は、前記仮撚加工糸が40重量%以上編地に含まれている必要がある。50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。前記仮撚加工糸の混率が40重量%以下であると、後述する異形度を有する繊維が少なく、防透性、吸水拡散性と破裂強度の両立が不十分となる。
本実施形態の編地は丸編地であることができ、この場合、丸編地は、(ニット):(ウェルト+タック)組織の比率(以下、ニット比)が1:1~10:1が好ましく、1:1~5:1がより好ましい。ニットループが多いと編地が緻密になって防透性は優れるものの、ループが凝集することとなるため、繊維の捲縮やループとループの間に汗がたまりやすくなり、速乾性が低下してしまう原因となる。逆に、ウェルトやタック組織の比率が多くなると、組織の嵩高性や繊維の密度が低くなりすぎるため、防透性が低下する原因となる。ウェルトやタックを使用する編組織を用いて適度にニットループの間隔を空けること
で、捲縮が高い加工糸を使用しても汗だまりを防ぎ、拡散性を発揮させることができる。
本実施形態の編地は経編地であることができ、この場合、経編地は、デンビ組織、コード組織の組み合わせからなる2バー(筬)組織、又は、該2バー組織に挿入組織を加えた3バー組織からなることが好ましい。デンビ組織とは、経編組織のガイドの振りが10/12か12/10で表される閉じ目、又は01/21か21/01で表される開き目の組織である。コード組織とは、10/23か23/10で表される閉じ目、又は01/32か32/01で表される開き目の組織である。これらの組み合わせとなる組織としては、例えば、フロント筬が12/10//、バック筬が10/23//であるバックハーフ組織や、フロント筬が10/12//、バック筬が12//10であるダブルデンビ組織などがある。コード組織以上に筬の振りを大きくすると、棒状の組織であるシンカーループが長くなり、繊維の重なりが多くなってしまうため、捲縮やループとループの間に汗がたまりやすくなり、速乾性が低下してしまう原因となる。上記2バー組織に加えて、ループを形成しない挿入組織を加えて3バー組織を編成してもよい。例えば、導電性カーボンを含んだ繊維をミドル筬で挿入して加えれば、静電気を抑制する編地を編成することができる。
本実施形態の編地は、JIS L 1923 B法に従う防透け試験において下記式:
防透指数(%)=(黒色バッキング使用時の明度/白バッキング使用時の明度)×100
により求められる防透指数が90%以上であり、93%以上であれば好ましく、95%以上であればより好ましい。防透指数が90%未満であると、編地を用いた衣服を着用した際、下に着ている衣服の色や下着が透けることで着用者に不快感をもたらすため好ましくない。
本実施形態の編地は、JIS L 1096 A法、ミューレン形破裂強度試験に従い測定される破裂強度が600kPa以上であり、700kPa以上であれば好ましく、1000kPa以上であればより好ましい。破裂強度が600kPa以上であれば、衣料用編地として好適な強度を保持することができる。破裂強度が600kPa未満であると、編地の強度が十分でなく衣類に好ましくない。
本実施形態の編地に含まれる仮撚加工糸の総繊度は、好ましくは56~176dtex(デシテックス)、より好ましくは56~110デシテックスであることができる。仮撚加工糸のフィラメント数は36~144本が好ましい。本実施形態の仮撚加工糸の単糸繊度は、0.3~5.0デシテックスが好ましく、より好ましくは0.5~2.5デシテックスであることができる。仮撚加工糸の単糸繊度が0.3デシテックス未満であると、繊維強度が低下して単糸切れを起こし、抗ピリング、抗スナッグ物性が悪化する。他方、該仮撚加工糸の単糸繊度が5.0デシテックスを超えると、繊維の曲げ剛性が高くなりソフ
トな風合いが得られなくなる。
本実施形態の編地に含まれる仮撚加工糸は、仮撚係数が35000~45000である仮撚加工糸であることが好ましい。仮撚係数は、撚数(単位:T/m)に、仮撚後総繊度(単位:dtex)の平方根を乗じた数値で表される。
本発明の他の実施形態は、以下の工程:
単糸の繊維軸方向に垂直な断面形状が略丸形である合成繊維マルチフィラメントを、ピ
ン仮撚機を用いて、仮撚速度100~300m/分、該合成繊維の融点温度-100℃~-60℃の仮撚温度、延伸倍率1.50~1.65倍で仮撚して、単糸の平均扁平度が2.0~3.0であり、扁平度の標準偏差値が1.0未満であり、かつ、JIS L 1013 8.12法に従い測定した捲縮復元率が30~50%である、仮撚係数35000~45000の合成繊維マルチフィラメント仮撚加工糸を得る工程;及び 得られた合成繊維マルチフィラメント仮撚加工糸を40重量%以上用いて編成して、編地を得る工程;を含む、前記編地の製造方法である。
得られる仮撚加工糸の仮撚係数が35000以上となるように、仮撚する際、延伸倍率は1.50~1.65倍とすることが好ましい。通常、高い仮撚係数で加工すると、糸条には高い仮撚トルクが発生して、糸条中心部付近に存在する単糸には中心に向かう圧縮の力が働くため扁平度は低くなる傾向にあり、他方、糸条外周部に存在する単糸には周方向の延展力が発生するため、扁平度は中心部より比較的大きくなる傾向にある。このとき延伸倍率を、1.50~1.65倍と低く設定して仮撚することで、中央部分に向かう圧縮の力を抑えて、繊維中央部と外周部の扁平度の標準偏差値(ばらつき)を抑えることができる。すなわち、仮撚加工糸は、糸を縦に引っ張りながら回転体(ピン、ディスク、ベルトなど)に接触させてねじっているので、マルチフィラメントであると外周にある単糸(フィラメント)がねじられやすく潰れてしまい、他方、中心部にあるフィラメントはねじられ難いため異形になりにくい。本実施形態では、糸を縦に引っ張る延伸力を弱めに(延伸倍率を低めに)して、低速で仮撚することで、異形度のばらつきを抑えている。
仮撚機としては、施撚体のタイプによってピン、ベルト、フリクションディスク等いずれも機種も使用可能であるが、平均扁平度を2.0~3.0の範囲で、標準偏差値を1.0未満に抑えながら、高捲縮の仮撚加工糸を得るためには、ピン仮撚機が好ましい。仮撚速度は100~300m/min、好ましくは100~250m/min、より好ましくは100~200m/minである。
仮撚温度は、加工する原糸を構成する合成樹脂の融点温度-100℃~-60℃が好ましく、より好ましくは融点温度-80℃~-50℃の範囲であることができる。仮撚温度が融点温度-100℃未満であると、糸が軟化せずに十分な捲縮を付けることが難しく、ソフトな風合いを得ることができなくなるため好ましくない。他方、融点温度-60℃を超えると、糸が部分的に融着硬化して、生地のかさつきやストレッチ性の低下を引き起こすため好ましくない。
本実施形態の編地は、十分な防透性を発揮するために単糸の繊維軸方向に垂直な断面形状が扁平形である合成繊維マルチフィラメント仮撚加工糸を40重量%以上含む必要がある。半延伸ポリエステル(POY)は高延伸倍率で仮撚を行えば編地編成に十分な強度を得ることができるが、糸に撚りを掛けづらくなり、結果仮撚加工糸の捲縮は少なく防透性が低下する原因となる。本実施形態の仮撚加工は延伸倍率が1.50~1.65倍の低い範囲でおこなわれるため繊維の結晶化と配向が進みにくくポリエステル加工糸として高い破断強度を発現させることが難しい。しかしながら、扁平度の標準偏差値(ばらつき)を1.0未満に収め単糸繊度ムラを抑えることで、強度低下を抑え且つ40重量%以上と高混率にすることで防透性と破裂強度を衣料用として十分な強度をもつ600kPaを保持することができる。仮撚加工糸の強度としては、3.0cN/dtex以上が好ましく、3.5cN/dtexがより好ましい。3.0cN/dtex以下を下回ると強度が不安定であり、編地の編成時に糸切れを起こす可能性が高くなる。
本実施形態の編地の目付は、120~220g/m2であることが好ましく、150~200g/m2であればより好ましい。目付が120g/m2より低くなると扁平仮撚加工糸の絶対重量が少なくなるため、防透性、吸水速乾性、破裂強度が低くなるため好ましくない。逆に220g/m2より目付が高くなると、衣服が重くなり、生地の厚みも出やすいため吸水速乾性が低下するため好ましくない。
本実施形態の編地は、0.6ml拡散性残留水分率測定において、水分率が10%を下回る時間が60分以内となる。水分率が10%を下回る時間が60分以内であれば、吸水拡散性が良好であることを示しており、編地を衣服にした際に着用者が汗をかいても、衣服の乾燥は進み、快適に過ごすことができる。水分率が10%になる時間が60分より長くかかると、汗で濡れたときに衣服の乾燥は遅く、着用者に不快感を与えてしまう。
本実施形態の編地は、通常の編機を使用して作製することができる。また、編地の染色加工としては、通常の染色仕上げ工程を用いることができる。例えば、液流染色機、ウインス染色機等を任意に選択することができる。ピンテンターによる熱セットも編地にシワよらないように適度に引き伸ばせばよい。また、付帯加工として吸水性を阻害しないように、減量加工、抗菌防臭加工、防汚加工等、最終的な要求特性に応じて適宜付与することができる。吸水加工としては、編地にポリエチレングリコールジアクリレートやその誘導体、ポリエチレンテレフタレート-ポリエチレングリコール共重合体などの親水化剤を
染色時に同浴加工するか、ファイナルセット工程で編地に付与することが好ましい。また、かかる親水化剤の付着量は、編地の重量に対して0.25~0.5重量%であることができる。
以下、実施例により本発明の複合加工糸を用いて編成した編物の製造方法と、その物性等について具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。まず、実施例で用いた各種物性の測定方法等について説明する。
(1)扁平度
編地から糸を解舒して適当な長さの糸を1本採取する。採取したフィラメントをパラフィンで包埋し、ミクロトームでフィラメントの断面切片を切り出し、当該切片を光学顕微鏡にてフィラメント断面写真を撮影した。このとき全単糸フィラメントが一枚の画像に入りきるように画像を撮影した。単糸断面の中心部を通るように測定した端から端の長辺をA、短辺をBとして長さを測定し。下記式(1):
扁平度=A/B (1)
により、扁平度を算出した。
尚、全ての単糸フィラメントの扁平度を算出し、1本目の糸の扁平度とした。同編地の解舒を更に進め、別の部分から採取した2本目の糸(1本目の採取部分から10本以上解して採取したものが好ましい)の扁平度を同様の操作で算出し、1本目の扁平度と平均して、対象の糸の扁平度とした。また、扁平度は、編地から取り出したマルチフィラメント仮撚加工糸と、仮撚に供する原糸との両者について測定した。
(2)扁平度の標準偏差値
全単糸フィラメントの扁平度から算出した平均扁平度を標準偏差式により求めた。すなわち、各単糸フィラメントの扁平度と平均扁平度の差の2乗の合計値をフィラメントの総数で割った値の正の平方根値を求めた。
(3)捲縮復元率(CR)
JIS L 1013 8.12法に基づき、以下の方法で測定・算出される伸縮弾性率を捲縮復元率とした。0.176mN×表示テックス数の荷重をかけてかせ長40cm,巻き数10回のかせを作った。このかせを前処理として沸騰水にて20分ボイル処理を行った。前処理したかせを0.176 mN×20×表示テックス数の荷重と、更に8.82 mN×20×表示テックス数の荷重を加えて温度20±2 ℃の水中に2分間浸せきした後、かせ長を測り、直ちに8.82 mN×20×表示テックス数の荷重を除いて2分間放置後,再びかせ長を測り、下記式(2)によって伸縮復元率(%)を算出した。
試験回数は5回行い、その平均値を捲縮復元率CRとした。
伸縮復元率(%)=a-b/a×100 (2)
a:0.176mN×20×表示テックス数の荷重に,更に8.82mN×20×表示テックス数の荷重をかけたときのかせ長(mm)
b:0.176 mN×20×表示テックス数の荷重をかけたときのかせ長(mm)
(4)仮撚加工糸の総繊度(dtex)
仮撚加工糸を標準状態(20℃×65%RH)の環境で1日静置して調湿を行った。その後、検尺機で100m巻き、かせを作製して重量を測定した。その値に100を乗じて総繊度を求めた。2回測定を行い、平均値を対象の糸の総繊度とした。
(5)仮撚係数
仮撚係数は、以下の式:
仮撚係数=撚数(T/m)×D1/2
{式中、D:仮撚加工糸の総繊度}から算出した。撚数はJIS L 1013 8.13法に基づき測定した。
(6)ニット:ウェルト+タック比率(ニット比)]
編組織の完全組織図を基に、ニットループ、ウェルト、タックの個数をそれぞれ数えた。その後ニットループ数を、ウェルト+タックの数で除して、ウェルト+タックの比数を1としたときのニットループ数との比を求めた。
(7)防透指数
JIS L 1923 B法に基づき、生地の下に白色バッキングがある時と黒色バッキングがある時のそれぞれの明度を測定し、下式:
防透指数(%)=(黒色バッキング使用時の明度/白色バッキング使用時の明度)×100
により防透け指数を算出した。
(8)破裂強度
JIS L 1096 8.18 A法 ミューレン形法に基づき、破裂強度を測定した。
(9)目付
20℃×65%RHで1日調湿した編地から10cm×10cmのサンプルを切り出し、精密天秤で重量をgで測定し100を乗じてg/m2に換算して、編地の目付を求めた。
(10)0.6ml拡散性残留水分率(速乾性)
20℃×65%RHで1日調湿した編地から15cm×15cmのサンプルを切り出し、初期の重量(W0)を求めた。0.6mlの水滴を精密天秤で測り取って、サンプルに吸水させた後、5分後ごとに重量(Wt)を測定し、下式:
0.6ml拡散性残留水分率(%)={(Wt-W0)/0.6}×100により求められる水分率が10%を切った時間を乾燥時間(分)とした。
[実施例1]
酸化チタン含有率が1.0重量%、扁平度1.0である、半延伸ポリエステル144dtex/36fをピン仮撚機にて仮撚速度100m/分、延伸倍率1.50、撚数4200になるように仮撚加工を行い、87dtex/36f、単糸繊度2.41dtexの仮撚加工糸を得た。得られた仮撚加工糸の扁平度は2.0、扁平度の標準偏差値は0.75、捲縮復元率は39.7%、破断強度3.3cN/dtex、仮撚係数は39174であった。この糸を、福原精機社製28ゲージダブル丸編機を用いて図1に示す組織図の給糸口F1~F6に給糸し87dtex/36fの混用率が100%、ニット比が5:1のモックロディ組織の生機を作製した。次いで、拡布状にして80℃で精錬したあと、190℃でプレセットを行い、吸水加工剤を添加して130℃×60分の染色処理をした。その後シワを取り除くために適度に生地を伸長させ170℃のファイナルセットを行って白色の生地を得た。得られた生地の目付は156g/m、防透指数は93.9、破裂強度1150kPa、拡散性残留水分率測定による乾燥時間は55分であった。
[実施例2]
酸化チタン含有率が2.5重量%、扁平度1.0である、半延伸ポリエステル144dtex/36fをピン仮撚機にて仮撚速度100m/分、延伸倍率1.50、撚数4200になるように仮撚加工を行い、87dtex/36f、単糸繊度2.41dtexの仮撚加工糸を得た。得られた仮撚加工糸の扁平度は2.0、扁平度の標準偏差値は0.75、捲縮復元率は39.7%、破断強度3.1cN/dtex、仮撚係数は39174であった。この糸を、福原精機社製28ゲージダブル丸編機を用いて図1に示す組織図の給糸口F1~F6に給糸し87dtex/36fの混用率が100%、ニット比が5:1のモックロディ組織の生機を作製した。次いで、拡布状にして80℃で精錬したあと、190℃でプレセットを行い、吸水加工剤を添加して130℃×60分の染色処理をした。その後シワを取り除くために適度に生地を伸長させ170℃のファイナルセットを行って白色の生地を得た。得られた生地の目付は160g/m2、防透指数は95.1、破裂強度1115kPa、拡散性残留水分率測定による乾燥時間は55分であった。
[実施例3]
酸化チタン含有率が2.5重量%、扁平度1.0である、半延伸ポリエステル140dtex/72fをピン仮撚機にて仮撚速度150m/分、延伸倍率1.50、撚数4100になるように仮撚加工を行い、91dtex/72f、単糸繊度1.26dtexの仮撚加工糸を得た。得られた仮撚加工糸の扁平度は2.1、扁平度の標準偏差値は0.60、破断強度3.4cN/dtex、捲縮復元率は35.6%、仮撚係数は39111であった。この糸を、福原精機社製36ゲージシングル丸編機で図2に示す組織図の給糸口F1、F3に、通常のポリエステル加工糸84dtex/48fをF2、F4に給糸し、91dtex/72fの混用率が51.9%、ニット比が1:1のシングルカノコ組織の生機を作製した。次いで、実施例1と同様の方法で染色加工処理を行なった。得られた生地の目付は120g/m2、防透指数は93.4、破裂強度755kPa、拡散性残留水分率測定による乾燥時間は50分であった。
[実施例4]
実施例3と同様の91dtex/72f加工糸を用いて、福原精機社製32ゲージダブル丸編機を用いて図3に示す組織図の給糸口F1~F4に給糸し91dtex/72fの混用率が100%、ニット比3:1のフラット組織の生機を作製した。次いで、実施例1と同様の方法で染色加工処理を行なった。得られた生地の目付は195g/m2、防透指数は97.1、破裂強度1142kPa、拡散性残留水分率測定による乾燥時間は60分であった。
[実施例5]
酸化チタン含有率が2.5重量%、扁平度1.0である、半延伸ポリエステル128dtex/72fをピン仮撚機にて仮撚速度150m/分、延伸倍率1.60、撚数4500になるように仮撚加工を行い、80dtex/72f、単糸繊度1.1dtexの仮撚加工糸を得た。得られた仮撚加工糸の扁平度は2.5、扁平度の標準偏差値は0.92、破断強度は3.1cN/dtex、捲縮復元率は41.3%、仮撚係数は40249であった。この糸を、福原精機社製28ゲージダブル丸編機で図1に示す組織図の給糸口F1~F6に給糸し87dtex/36fの混用率が100%、ニット比が5:1のモックロディ組織の生機を作製した。次いで、実施例1と同様の方法で染色加工処理を行なった。得られた生地の目付は155g/m2、防透指数は93.8、破裂強度612kPa、拡散性残留水分率測定による乾燥時間は60分であった。
[実施例6]
酸化チタン含有率が2.5重量%、扁平度が1.5である半延伸ポリエステル135dtex/36fをピン仮撚機にて仮撚速度150m/分、延伸倍率1.53、撚数4200になるように仮撚加工を行い、88dtex/36f、単糸繊度2.44dtexの仮撚加工糸を得た。得られた仮撚加工糸の扁平度は3.0、扁平度の標準偏差値は0.8、破断強度は3.6cN/dtex、捲縮復元率は36.8%、仮撚係数は38493であった。この糸を、福原精機社製28ゲージダブル丸編機を用いて図1に示す組織図の給糸口F1~F6に給糸し84dtex/36fの混用率が100%、ニット比が5:1のモックロディ組織の生機を作製した。次いで、実施例1と同様の方法で染色加工処理を行った。得られた生地の目付は170g/m2、防透指数は96.6、破裂強度675kPa、拡散性残留水分率測定による乾燥時間は50分であった。
[実施例7]
カールマイヤー社製28ゲージトリコット経編機を用いてフロント筬に通常のポリエステル加工糸56デシテックス24フィラメントを使用し、バック筬に実施例3と同様の91dtex/72f加工糸を用いて、図6に示すフロント筬が12/10//、バック筬が10/23//であるバックハーフ組織の生機を作製した。次いで、実施例2と同様の方法で染色加工処理を行った。得られた生地の目付は164g/m2、防透指数は95.2、破裂強度962kPa、拡散性残留水分率測定による乾燥時間は45分であった。
[比較例1]
芯部に酸化チタンを7.0重量%含有し、鞘部に酸化チタンを0.5重量%含有した、扁平度1.0である芯鞘型半延伸ポリエステル135dtex/36fをベルトフリクション仮撚機にて仮撚速度350m/分、延伸倍率1.50、撚数3000T/mで仮撚加工を行い、88dtex/36f、単糸繊度2.44の仮撚加工糸を得た。得られた仮撚加工糸の扁平度は1.4、扁平ばらつきは0.28、破断強度3.3cN/dtex、捲縮復元率は26.8%、仮撚係数は28142であった。この糸を、福原精機社製28ゲージダブル丸編機で図4に示す組織図の給糸口F1、F2に給糸し、88dtex/36fの混用率が100%、ニットループのみからなるスムース組織の生機を作製した。次いで、実施例1と同様の方法で染色加工処理を行なった。得られた生地の目付は151g/m2、防透指数は95.3、破裂強度1150kPa、拡散性残留水分率測定による乾燥時間は75分であった。
本比較例は、鞘芯型防透け糸に、単純に捲縮を強くつけた比較例である。防透性や破裂強度は満足しているが、編組織のループ比が悪く、扁平度も足りないため、吸水速乾性に劣っていた。
[比較例2]
酸化チタン含有率が0.5重量%、扁平度1.0である半延伸ポリエステル56dtex/36fを、(株)石川製作所製IVF-910ディスクフリクションタイプ仮撚機にて仮撚速度400m/分、延伸倍率1.60、仮撚方向Zと、仮撚方向Sの仮撚糸をそれぞれ作製しインターレースノズルで、2つの糸に110個/mの交絡を与えて、72dtex/72f複合加工糸を得た。得られた加工糸の扁平度は1.9、扁平ばらつきは0.75、破断強度4.1cN/dtex、捲縮復元率は35.6%、仮撚係数は33516であった。この複合糸を、福原精機社製32ゲージダブル丸編機にて、図1に示す編組織で、第1、第3、第4、第6給糸口(F1、F3、F4、F6)に供給すると
ともに、通常のポリエステル84dtex/72f加工糸を、第2、第5給糸口(F2、F5)に供給し、72dtex/72f複合加工糸の混用率が70%のモックロディ丸編地を得た。
次いで、実施例1と同様の方法で染色加工処理を行なった。得られた生地の目付は175g/m2、防透指数は96.7、破裂強度1200kPa、拡散性残留水分率測定による乾燥時間は65分であった。
本比較例は、SZの加工糸を複合して製造したトルク0の高捲縮糸を使った編地で、防透け性を有する比較例である。捲縮復元率や、ニット比も満たしたが、扁平度が低いため、速乾性が低かった。
[比較例3]
酸化チタン含有率が2.5重量%で、扁平度が2.0である半延伸ポリエステル135dtex/72fをピン仮撚機にて仮撚速度300m/分、延伸倍率1.61、撚数4200になるように仮撚加工を行い、84dtex/72f、単糸繊度1.16dtexの仮撚加工糸を得た。得られた仮撚加工糸の扁平度は2.4、扁平度の標準偏差値は1.2、破断強度2.5cN/dtex、捲縮復元率は42.0%、仮撚係数は38493であった。この糸を、福原精機社製28ゲージダブル丸編機を用いて図1に示す組織図の給糸口F1~F6に給糸し84dtex/72fの混用率が100%、ニット比が5:1のモックロディ組織の生機を作製した。次いで、拡布状にして80℃で精錬した
あと、190℃でプレセットを行い、吸水加工剤を添加して130℃×60分の染色処理をした。その後シワを取り除くために適度に生地を伸長させ170℃のファイナルセットを行って白色の生地を得た。得られた生地の目付は160g/m2、防透指数は95.2、破裂強度482kPa、拡散性残留水分率測定による乾燥時間は60分であった。
本比較例は、扁平度が範囲内で、扁平度ばらつきが高く範囲外の比較例である。破裂強度が未達であった。
[比較例4]
酸化チタン含有率が2.5重量%、扁平度3.0である、W型断面の半延伸ポリエステル117dtex/30fをディスクフリクション仮撚機にて仮撚速度600m/分、延伸倍率1.40、撚数3011で仮撚加工を行い、84dtex/30f、単糸繊度2.80の加工糸を得た。得られた加工糸の扁平度は3.3扁平ばらつきは1.18、破断強度2.9cN/dtex、捲縮復元率は34.1%、仮撚係数は27660であった。この加工糸を、福原精機社製32ゲージダブル丸編機にて、図5に示す編組織で、給糸口F1に供給するとともに、通常のポリエステル89dtex/36f加工糸をF2、F4給糸口へ高収縮ポリエステル33dtex/12fをF3に供給し、W型断面84dtex/30f加工糸の混用率が25.5%、ニット比4:1のカノコ調丸編地を得た。次いで、実施例1と同様の方法で染色加工処理を行なった。得られた生地の目付は167g/m2、防透指数は92.4、破裂強度476kPa、拡散性残留水分率測定による乾燥時間は45分であった。
本比較例は、原糸から異形断面糸である防透け加工糸を使用した比較例である。異形度が高く、ニット比も満足するため吸水速乾性に優れたが、異形度のばらつきが高いため、破裂強度が低くなった。
[比較例5]
カールマイヤー社製28ゲージトリコット経編機を用いてフロント筬に通常のポリエステル加工糸56デシテックス24フィラメントを、バック筬に比較例4と同様の84dtex/30f加工糸を用いて、図6に示すフロント筬が12/10//、バック筬が10/23//であるバックハーフ組織の生機を作製した。次いで実施例1と同様の方法で染色加工処理を行った。得られた生地の目付は165g/m2、防透指数は94.4、破裂強度571kPa、拡散性残留水分率測定による乾燥時間は60分であった。 本比較例は、比較例4(扁平度が高く、ばらつきが高い例)の糸を使用したトリコット生地の比較例である。破裂強度が悪化した。
[比較例6]
酸化チタン含有率が2.5重量%、扁平度1.0である半延伸ポリエステル140dtex/72fを、ディスクフリクション仮撚機にて仮撚速度500m/分、延伸倍率1.70倍、撚数2900で仮撚加工を行い、86dtex/72f加工糸を得た。得られた加工糸の扁平度は1.5、扁平ばらつきは0.45、破断強度3.6cN/dtex、捲縮復元率は28.0%、仮撚係数は26893であった。この複合糸を、福原精機社製28ゲージダブル丸編機にて、ニットループのみからなるスムース組織の生機を作製した。
次いで、実施例1と同様の方法で染色加工処理を行なった。得られた生地の目付は145g/m2、防透指数は89.0、破裂強度970kPa、拡散性残留水分率測定による乾燥時間は70分であった。
本比較例は、高スピード、高延伸倍率で試作した加工糸を使った編地で、防透け性を有する比較例である。破裂強度が高いが、捲縮が低く、扁平度が低いため、防透性、速乾性が低かった。
以上の実施例1~7、比較例1~6の結果を以下の表1と2に示す。
Figure 0007194854000001
Figure 0007194854000002
本発明に係る編地は、防透性、吸水速乾性、破裂強度を満足させながら風合いに優れる編地であるため、学生向けの体操服や制服シャツ、介護、病院、工場白衣などのユニフォーム衣料、サッカー、バスケットなどのアスレチックシャツや登山などのアウトドアスポーツシャツ、日常着としてのシャツやパンツなどのアウター衣料、キャミソールやショーツといったインナーなど、用途を問わず好適に利用可能である。

Claims (8)

  1. 単糸の繊維軸方向に垂直な断面形状が扁平形であり、かつ、酸化チタン含有率が1.0~2.5重量%であるポリエステル繊維マルチフィラメント仮撚加工糸を40重量%以上含む編地であって、該仮撚加工糸の単糸の、平均扁平度が2.0~3.0であり、扁平度の標準偏差値が1.0未満であり、JIS L 1013 8.12法に従い測定した該仮撚加工糸の捲縮復元率が30~50%であり、そして、該編地の、JIS L 1923 B法に従い測定した防透指数が90%以上であり、JIS L 1096 8.18 A法に従い測定した破裂強度が600kPa以上であることを特徴とする編地。
  2. 前記ポリエステル繊維マルチフィラメント仮撚加工糸の仮撚係数が35000~45000である、請求項1に記載の編地。
  3. 前記ポリエステル繊維マルチフィラメント仮撚加工糸の総繊度が56~176dtexであり、かつ、単糸繊度が0.3~5.0dtexである、請求項1又は2に記載の編地。
  4. 前記編地の目付が120~220g/m2である、請求項1又は2に記載の編地。
  5. 前記編地の、0.6ml拡散性残留水分率の測定において該水分率が10%を切る乾燥時間が60分以内である、請求項1又は2に記載の編地。
  6. 前記編地が丸編地であり、該丸編地を構成する編組織の(ニット):(ウェルト+タック)の比率が1:1~10:1である、請求項1又は2に記載の編地。
  7. 前記編地が経編地であり、該経編地を構成する編組織が、デンビ組織とコード組織の組み合わせた2バー組織、又は、該2バーの組織に挿入組織を加えた3バー組織である、請求項1又は2に記載の編地。
  8. 以下の工程:
    単糸の繊維軸方向に垂直な断面形状が略丸形であり、かつ、酸化チタン含有率が1.0~2.5重量%であるポリエステル繊維マルチフィラメントを、ピン仮撚機を用いて、仮撚速度100~300m/分、該ポリエステル繊維の融点温度-100℃~-60℃の仮撚温度、延伸倍率1.50~1.65倍で仮撚して、単糸の平均扁平度が2.0~3.0であり、扁平度の標準偏差値が1.0未満であり、かつ、JIS L 1013 8.12法に従い測定した仮撚加工糸の捲縮復元率が30~50%である、仮撚係数35000~45000のポリエステル繊維マルチフィラメント仮撚加工糸を得る工程;及び得られたポリエステル繊維マルチフィラメント仮撚加工糸を40重量%以上用いて編成して、編地を得る工程;を含む、請求項1又は2に記載の編地の製造方法。
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