JP6969209B2 - インク、印刷物の製造方法、印刷方法、及びインク吐出装置 - Google Patents
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Description
また、中空樹脂粒子および金属化合物粒子から選ばれる少なくとも1種の色材と、ガラス転移温度が65℃以下のポリウレタン樹脂とを含有するインク組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明のインクは、中空粒子と、ポリエステル樹脂粒子とを含有するインクであって、前記ポリエステル樹脂粒子のガラス転移温度が、65℃以上80℃以下であり、前記ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径が、100nm以上150nm以下であり、前記インクを用いて形成したインク膜におけるIRスペクトルにおいて、波数が1,600cm−1±10cm−1におけるピークの最大値をXとし、波数が1,730cm−1±10cm−1におけるピークの最大値をYとしたときのピーク比(Y/X)が、3.0以上6.0以下であり、有機溶剤、及び滑剤を含有することが好ましく、更に必要に応じて、水、その他の色材、その他の樹脂、添加剤を含有する。
本発明のインクは、樹脂からなる外層、及び空気層である内層で構成される従来の中空粒子とウレタン樹脂とを用いたインクでは、記録媒体へのインク膜の定着性が低下するという問題があるという知見に基づくものである。
前記インク膜のIRスペクトルは、例えば、顕微FT−IR測定装置(装置名:iN10MX/iZ10、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)を用いて測定することができる。前記インクのIRスペクトルのピークX、及びYは、例えば、解析ソフト(商品名:OMNIC、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)を用いて測定することができる。
なお、前記インク膜の形成方法としては、例えば、インク吐出装置を用いて記録媒体にインクを付着させ、前記インクが乾燥した膜を用いることができる。
前記インクが、前記ブラック顔料、前記イエロー顔料、前記マゼンダ顔料、前記シアン顔料などの色材を含有しない場合、沈降性、保存安定性、記録媒体への定着性、及び白色性が良好となる。
前記中空粒子は、外殻と、前記外殻に囲まれた中空部とを有する粒子である。
前記
前記中空粒子が、前記構造式(1)で表される構造単位、及び前記構造式(2)で表される構造単位を有する共重合体を含む中空粒子の場合、前記中空粒子のIRスペクトルにおけるピーク比(Y/X)は、前記中空粒子における前記構造式(1)で表される構造単位、及び前記構造式(2)で表される構造単位の比率(前記構造式(2)で表される構造単位/前記構造式(1)で表される構造単位)に相当する。
これは、1,600cm−1±10cm−1における赤外吸収が、前記構造式(1)で表される構造単位に含まれる芳香環のC=C伸縮振動に由来して生じ、また、1,730cm−1±10cm−1における赤外吸収が、前記構造式(2)で表される構造単位に含まれるカルボニル基C=Oの伸縮振動に由来して生じるためである。
前記中空粒子における前記構造式(1)で表される構造単位及び前記構造式(2)で表される構造単位の比率(前記構造式(2)で表される構造単位/前記構造式(1)で表される構造単位)としては、3.0以上6.0以下が好ましい。
前記中空粒子の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ビニルモノマー、界面活性剤、重合開始剤、及び水系分散媒を窒素雰囲気下で加熱しながら撹拌することにより中空粒子エマルジョンを形成する、いわゆる乳化重合法が好ましい。
前記中空率の測定としては、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた方法などが挙げられる。なお、前記中空率は、前記中空粒子の外殻の外径と内径(中空部の直径)から球体と近似したときの容積の比であり、下記式(1)で表すことができる。
中空率(%)=(中空粒子の内部容積/中空粒子の容積)×100・・・式(1)
中空粒子の内部容積=4π/3×(中空粒子の内径)3
中空粒子の容積=4π/3×(中空粒子の外径)3
前記50%累積体積粒径は、例えば、粒度分析装置(装置名:ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記粒子外径及び前記粒子内径の測定としては、例えば、レーザー散乱/回折型の粒径測定装置を用いた方法などが挙げられる。
前記中空粒子の前記外殻の平均厚みとしては、経時での沈降を回避する点から、中空粒子全体の直径に対して、10%以上20%以下であることが好ましい。
前記ポリエステル樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)としては、65℃以上80℃以下であり、65℃以上70℃以下が好ましい。
前記ガラス転移温度が、65℃以上であると、印刷後に熱による乾燥工程が入る場合において、前記ポリエステル樹脂粒子の硬度が維持され、中空粒子がつぶれることが抑制される。また、前記ガラス転移温度が、65℃以上であると、印刷後にインクに擦れなどの衝撃が加えられる場合などにおいても、前記ポリエステル樹脂粒子の硬度が維持され、中空粒子がつぶれることが抑制される。したがって、記録媒体へのインク膜の定着性を向上させることができる。
前記ガラス転移温度が、80℃以下であると、前記中空粒子及び前記ポリエステル樹脂粒子間の結着力が向上するため、記録媒体へのインク膜の定着性を向上させることができる。
前記ガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)装置(装置名:DSC120U、セイコーインスツル株式会社製)を用い、測定温度30℃〜300℃、1分間に2.5℃の昇温速度により測定できる。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(装置名:ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記ロックウェル硬度は、例えば、硬度装置(装置名:HR−521、ミツトヨ株式会社製)を用いて測定することができる。
前記市販品としては、例えば、商品名として、エマルションエリーテルKT−8803(ユニチカ株式会社製、ガラス転移温度(Tg):65℃、体積平均粒径:100nm)、エマルションエリーテルKA−5071S(ユニチカ株式会社製、ガラス転移温度(Tg):65℃、体積平均粒径:130nm)、エマルションエリーテルKZA−3556(ユニチカ株式会社製、ガラス転移温度(Tg):80℃、体積平均粒径:150nm)などが挙げられる。
前記有機溶剤において、前記インク中の水を除く有機溶剤単独の溶解度パラメーター(以下、SP値と記載)から算出される混合SP値としては、11.0(cal/cm3)0.5以上15.5(cal/cm3)0.5以下が好ましい。
前記混合SP値が、11.0(cal/cm3)0.5以上であると、前記中空粒子の外殻樹脂のSP値との差が大きくなることから、前記インク中に含有する有機溶剤によって中空粒子の外殻が溶解することを抑制することができる。前記混合SP値が15.5(cal/cm3)0.5以下であると、有機溶剤が揮発しやすく、良好な乾燥性を得られることから、乾燥不良による定着性悪化を抑制することができる。
前記インク中の有機溶剤の混合溶液における混合SP値(cal/cm3)0.5
=[有機溶剤AのSP値×有機溶剤Aの体積分率]+[有機溶剤BのSP値×有機溶剤Bの体積分率]+・・・ ・・・式(2)
SP値(溶解パラメータ)=(CED値)1/2=(E/V)1/2 ・・・式(3)
前記式(3)において、Eは分子凝集エネルギー(cal/mol)、Vは分子容(cm3/mol)であり、原子団の蒸発エネルギーをΔei、モル体積をΔviとした場合、下記式(4)、及び式(5)で示される。
E=ΣΔei ・・・式(4)
V=ΣΔvi ・・・式(5)
前記SP値の計算方法は諸説あるが、本発明においては一般的に用いられているFedors法を用いた。
また、−CF3基などが示されていないものに関しては、R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.14,147(1974)を参照することができる。
なお、参考までに、前記式(3)で示されるSP値を(J/cm3)1/2に換算する場合には2.046を、SI単位(J/m3)1/2に換算する場合には、2,046を乗ずればよい。
前記有機溶剤としては、湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下のものが好ましい。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
前記インクは、画像部に滑り性を付与するために、滑剤を含有することが好ましい。
前記滑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ワックス、シロキサン化合物が好ましい。
前記カルナバワックスとしては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、中京油脂株式会社製のセロゾール524、トラソルCNなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(装置名:ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記インクの固形分には、色材の粒子や樹脂粒子、滑剤などが含まれる。前記個数平均粒径は、例えば、粒度分析装置(装置名:ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35が挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
前記インクは、ポリエステル樹脂粒子以外の、その他の樹脂を含んでもよい。
前記その他の樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、スチレン樹脂、ブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリルスチレン樹脂、アクリルシリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の樹脂は、樹脂粒子としてもよい。
前記その他の樹脂としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S−1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
[一般式(S−1)]
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F−1)及び一般式(F−2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
[一般式(F−1)]
[一般式(F−2)]
CnF2n+1−CH2CH(OH)CH2−O−(CH2CH2O)a−Y
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCmF2m+1でmは1〜6の整数、又はCH2CH(OH)CH2−CmF2m+1でmは4〜6の整数、又はCpH2p+1でpは1〜19の整数である。nは1〜6の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN-403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN-403Nが特に好ましい。
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
前記インクの沈降性としては、−2%以上が好ましく、−1%以上がより好ましい。前記沈降性が、−2%以上であると、長時間静置された状態においても、インクの吐出特性に影響を及ぼすような着色剤の沈降を防止することができる。
前記インクの沈降性は、例えば、インク中の中空粒子の沈降度を、沈降度測定装置(装置名:タービスキャン クラシック MA2000、英弘精機株式会社製)により測定した後、25℃環境下で168時間静置し、その後、各インク中の中空粒子の沈降度を、前記沈降度測定装置により測定し、静置前の沈降度を基準とした偏差表示にて、求めることができる。
前記インクの保存安定性としては、粘度の変化率が初期粘度±5%以内が好ましく、±2.5%以内がより好ましい。前記保存安定性が、初期粘度±5%以内であると、製造後ある程度時間が経過したインクを使用した場合においても、吐出安定性に優れる。
前記保存安定性は、例えば、25℃環境におけるインクの粘度を粘度計(装置名:RE−85L、東機産業株式会社製)にて測定した後、前記インクを70℃に保持された恒温槽(装置名:PR−1J、ESPEC社製)に14日間静置し、静置後のインクの粘度を25℃環境において前記粘度計にて測定し、静置前に対する静置後の粘度の変化率(%)を算出することにより求めることができる。
前記インクの記録媒体に印刷したときの白色性としては、明度(L*)が50以上95以下が好ましく、70以上90以下がより好ましい。前記明度(L*)が50以上95以下であると、白色性が良好となる。
前記白色性は、例えば、画像サンプルのベタ画像について、分光測色濃度計(装置名:X−Rite939、X−Rite社製)を用いて明度(L*)を測定することにより、求めることができる。
インク膜の膜厚としては、3.0μm以上22.0μm以下が好ましく、4.0μm以上20.0μm以下がより好ましく、8.0μm以上15.0μm以下が特に好ましい。前記インク膜の膜厚が、3.0μm以上であると、記録媒体の下地色に影響されない白色性を発現することができる。前記インク膜の膜厚が、22.0μm以下であると、定着性、及び生産性を維持することができる。
前記インク膜の膜厚は、例えば、各画像サンプルのベタ画像を剃刀(商品名:フェザー ミクロトーム用替刃、株式会社三商製)で切断した後、断面を走査型電子顕微鏡(装置名:JSL−6510A、日本電子株式会社製)にて観察し、任意の3点以上の厚みの平均を測定することにより、求めることができる。
前記インクの記録媒体に印刷したときの定着性としては、擦る前後のインク膜の膜厚の差が、2.3μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましく、1.0μm以下が特に好ましい。擦る前後のインク膜の膜厚の差が2.3μm以下であると、前記インクに含まれる前記ポリエステル樹脂粒子の硬度が維持されるため、定着性を向上させることができる。
前記定着性は、例えば、画像サンプルのベタ画像について、綿布(商品名:TexTile Innovators、SDL ATLAS株式会社製)を取り付け、荷重9Nであるクロックメーター(株式会社大栄科学精機製作所製)で5往復擦り、擦る前後の前記ベタ画像を剃刀(商品名:フェザー ミクロトーム用替刃、株式会社三商製)で切断した後、断面を走査型電子顕微鏡(装置名:JSL−6510A、日本電子株式会社製)にて観察し、インク膜の膜厚を測定することにより、求めることができる。
前処理液は、凝集剤、有機溶剤、水を含有し、必要に応じて界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等を含有しても良い。
有機溶剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤は、インクに用いる材料と同様の材料を使用でき、その他、公知の処理液に用いられる材料を使用できる。
凝集剤の種類は特に限定されず、水溶性カチオンポリマー、酸、多価金属塩等が挙げられる。
後処理液は、透明な層を形成することが可能であれば、特に限定されない。後処理液は、有機溶剤、水、樹脂、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等、必要に応じて選択し、混合して得られる。また、後処理液は、記録媒体に形成された記録領域の全域に塗布しても良いし、インク像が形成された領域のみに塗布しても良い。
記録媒体としては特に制限はなく、普通紙、光沢紙、特殊紙、布などを用いることもできるが、非浸透性基材を用いても良好な画像形成が可能である。
前記非浸透性基材とは、水透過性、吸収性が低い表面を有する基材であり、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である基材をいう。
前記非浸透性基材としては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムを、好適に使用することができる。
記録媒体としては、一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙、床材、タイル等の建材、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。また、記録媒体を搬送する経路の構成を調整することにより、セラミックスやガラス、金属などを使用することもできる。
本発明の印刷物は、記録媒体と、インク膜とを有し、前記インク膜が、ガラス転移温度が65℃以上80℃以下であるポリエステル樹脂を含有し、前記インク膜が、空孔を有し、前記インク膜におけるIRスペクトルにおいて、波数が1,600cm−1±10cm−1におけるピークの最大値をXとし、波数が1,730cm−1±10cm−1におけるピークの最大値をYとしたときのピーク比(Y/X)が、3.0以上6.0以下である。
前記インク膜の空孔は、例えば、中空粒子を含有するインクを膜状にすることにより、形成することができる。
前記インク膜の空孔の直径の平均値が0.04μm以上0.8μm以下の印刷物は、例えば、内径の平均値が0.04μm以上0.8μm以下である中空粒子を含有するインクを膜状にすることにより、形成することができる。
前記印刷物における前記インク膜の空孔の直径の平均値は、例えば、前記印刷物の断面を顕微鏡で観察し、無作為に選択した10個の空孔の直径を測定し、その平均値を用いることができる。前記空孔が真円ではない場合は、直径の最大値を用いて、平均の直径を算出する。
なお、インク膜の膜厚とは、印刷した後の記録媒体が乾燥した後のインク膜の膜厚を意味する。
本発明の印刷方法は、印刷工程、及び乾燥工程を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
本発明のインク吐出装置は、ヘッドと、前記インクと、を有し、更に必要に応じて、負圧発生手段、乾燥手段、その他の手段を有する。
前記印刷方法は、前記インク吐出装置により、好適に実施することができる。
また、前記インク吐出装置は、前記液室から前記流出流路へ前記インクを流出させるための負圧を発生させる負圧発生手段をさらに有することが好ましい。
図3のヘッドは、共通液室部材20と、前記インクを共通液室部材20に流入させる流入流路としての供給ポート71と、前記インクを共通液室部材20から流出させる流出流路部材40と、流出流路部材40に連通して前記インクを吐出するノズルが形成されたノズル板1と、共通液室部材20内の前記インクを循環させる循環手段としての2つの循環ポート81と、を有している。
前記ヘッドは、ヘッドカバー29を備えることができる。
循環手段としての循環ポートは、前記インクが循環する方向に制限はなく、いずれの方向に循環してもよい。
図4は、本実施形態に係る液体循環システムを示すブロック図である。
図4に示すように、液体循環システムは、メインタンク、液体吐出ヘッド、供給タンク、循環タンク、コンプレッサ、真空ポンプ、送液ポンプ、レギュレータ(R)、供給側圧力センサ、循環側圧力センサなどで構成されている。供給側圧力センサは、供給タンクと液体吐出ヘッドとの間であって、液体吐出ヘッドの供給ポート71に繋がった供給流路側に接続されている。循環側圧力センサは、液体吐出ヘッドと循環タンクとの間であって、液体吐出ヘッドの循環ポート81に繋がった循環流路側に接続されている。
なお、液体の循環は、ヘッドの動作時のみならず、動作休止時においても実施することができる。動作休止時に循環することによって、個別液室内の液体は常にリフレッシュされると共に、液体に含まれる成分の凝集や沈降を抑制できるので好ましい。
前記印刷工程は、前記記録媒体に対して、前記インクを吐出して印刷を行う工程である。なお、インクの付与前、及び付与後の少なくともいずれかにおいて、前記記録媒体に対して各種処理液等を付着する工程を含んでもよい。
前記印刷手段は、前記記録媒体に対して、前記インクや各種処理液等を吐出して印刷を行う手段である。
前記印刷工程は、前記印刷手段により、好適に実施することができる。
前記記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
また、このインク吐出装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅のインク吐出装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
前記乾燥工程は、前記記録媒体を乾燥させる工程である。
前記乾燥手段は、前記記録媒体を乾燥させる手段である。
前記乾燥工程は、前記乾燥手段により、好適に実施することができる。
前記乾燥手段には、例えば、前記記録媒体の記録面や裏面を乾燥、加熱する手段が含まれる。前記乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。前記乾燥は、記録前、記録中、記録後などに行うことができる。
前記加熱温度としては、100℃以上200℃以下が好ましく、120℃以上150℃以下がより好ましい。前記加熱温度が、100℃以上であると、定着性を向上できる。前記加熱温度が、200℃以下であると、白色性を向上できる。
インク吐出装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えば、アルミニウムラミネートフィルムなどの包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチック製の収容容器414内に収容される。メインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側には、カートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、インクの収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。立体造形物には、インクを重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上にインクを付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
記録媒体、メディア、被印刷物は、いずれも同義語とする。
下記において作製した中空粒子、及び前記インク膜のIRスペクトルより、1,600cm−1±10cm−1におけるピークの最大値X、及び1,730cm−1±10cm−1におけるピークの最大値Yを、顕微FT−IR測定装置(装置名:iN10MX/iZ10、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)、及び解析ソフト(商品名:OMNIC、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)を用いて測定した。
前記インクのIRスペクトルにおけるX及びYは、前記中空粒子のIRスペクトルにおけるX及びYと、ほぼ一致した。
また、得られたX、及びYから、ピーク比(Y/X)を算出した。
下記において作製したインク中に含有する有機溶剤の混合溶液における混合SP値は、下記式(2)より算出した。ただし、使用する有機溶剤が1種のみである場合は、前記1種の有機溶剤のSP値を混合SP値とした。
作製したインク中の有機溶剤の混合溶液における混合SP値(cal/cm3)0.5
=[有機溶剤AのSP値×有機溶剤Aの体積分率]+[有機溶剤BのSP値×有機溶剤Bの体積分率]+・・・ ・・・式(2)
<中空粒子Bの作製>
<<種粒子エマルジョンの合成>>
撹拌機、温度計、冷却器、及び滴下ロートを備えた四つ口セパラブルフラスコに、イオン交換水(726.0g)、メチルメタクリレート(5.0g)、及びメタクリル酸(0.1g)を仕込み撹拌しながら加温した。そして、セパラブルフラスコ内の内温が70℃になったところで、10質量%過硫酸アンモニウム溶液(1.0g)を添加し、20分間80℃で加温した。一方、メチルメタクリレート(141.0g)、メタクリル酸(94.9g)、アニオン性乳化剤として、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(5.0g、商品名:ネオゲンSF−20、第一工業製薬株式会社製)、及びイオン交換水(120.0g)をホモディスパーで乳化させ、プレエマルジョンとした後、滴下ロートに投入した。
次に、セパラブルフラスコ内の内温を80℃に維持しながら、上記で得たプレエマルジョンを3時間かけて均一に滴下し、これと同時に10質量%過硫酸アンモニウム溶液(10.0g)を3時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、80℃で3時間熟成し、冷却後、120メッシュのろ布で濾過し、種粒子エマルジョンを得た。
撹拌機、温度計、冷却器、及び滴下ロートを備えた四つ口セパラブルフラスコに、イオン交換水(188.2g)を仕込み、前記種粒子エマルジョン(66.0g)を添加し、撹拌しながら80℃に加温した。一方、プチルアクリレート(2.4g)、ブチルメタクリレート(1.1g)、メチルメタクリレート(19.5g)、メタクリル酸(0.7g)、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(5.0g、商品名:ネオゲンSF−20、第一工業製薬株式会社製)、及びイオン交換水(55.3g)をホモディスパーで乳化させ、プレエマルジョン1とした後、滴下ロートに投入した。そして、セパラブルフラスコ内の内温を80℃に維持しながら、上記で得たプレエマルジョン1を30分間かけて均一に滴下し、これと同時に10質量%過硫酸ナトリウム溶液(1.2g)を30分間かけて均一に滴下した。
前記中空粒子Bエマルジョンは、スチレン−メチルメタクリレート共重合体であり、ピーク比(Y/X)=3.0、体積平均粒径:600nm、外径:700nm、内径:600nm、固形分濃度:30質量%であった。
<中空粒子Cの作製>
前記中空粒子の作製例1において、スチレンを39.0gとした以外は、前記中空粒子の作製例1と同様にして、中空粒子Cを得た。
前記中空粒子Cエマルジョンは、スチレン−メチルメタクリレート共重合体であり、ピーク比(Y/X)=4.5、体積平均粒径:600nm、外径:800nm、内径:700nm、固形分濃度:30質量%であった。
<中空粒子Dの作製>
前記中空粒子の作製例1において、スチレンを22.3gとした以外は、前記中空粒子の作製例1と同様にして、中空粒子Dを得た。
前記中空粒子Dエマルジョンは、スチレン−メチルメタクリレート共重合体であり、ピーク比(Y/X)=6.0、体積平均粒径:400nm、外径:500nm、内径:400nm、固形分濃度:30質量%であった。
グリセリン(阪本薬品工業株式会社製、SP値:17.4(cal/cm3)0.5、沸点:290℃)5.0質量%、1,2−プロパンジオール(東京化成工業株式会社製、SP値:14.3(cal/cm3)0.5、沸点:178℃)18.0質量%、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東京化成工業株式会社製、SP値:11.0(cal/cm3)0.5、沸点:110℃)16.0質量%、シリコーン界面活性剤(商品名:KF−640、信越化学工業株式会社製)1.0質量%、消泡剤として、商品名:KM−72F(信越化学工業株式会社製)0.5質量%、抗菌剤として、商品名:プロキセルLV(S)(日東電工アビシア社製)0.1質量%、pH調整剤として、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール(東京化成工業株式会社製)0.5質量%、及びイオン交換水48.4質量%を1時間撹拌して均一に混合した。次に、ポリエステル樹脂エマルジョンC(商品名:エマルションエリーテルKA−5071S、ユニチカ株式会社製、ガラス転移温度(Tg):65℃、体積平均粒径:130nm、固形分濃度:30質量%)0.5質量%を加えて、更に1時間撹拌して均一に混合した。その後、前記中空粒子Dエマルジョン(ピーク比(Y/X)=6.0、体積平均粒径:400nm、外径:500nm、内径:400nm、固形分濃度:26質量%)10.0質量%を加えて、更に1時間撹拌して均一に混合した。この混合物を平均孔径5μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにより加圧濾過し、粗大粒子やゴミを除去して、実施例1のインクを作製した。なお、下記表1中の各中空粒子の含有量は、エマルジョンとしての量である。
実施例1において、組成を下記表1〜表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜17、及び比較例1〜6のインクを作製した。なお、下記表1〜表4中の各樹脂エマルジョンの含有量は、エマルジョンとしての量である。
グリセリン(阪本薬品工業株式会社製、SP値:17.4(cal/cm3)0.5、沸点:290℃)5.0質量%、1,2−プロパンジオール(東京化成工業株式会社製、SP値:14.3(cal/cm3)0.5、沸点:178℃)17.0質量%、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東京化成工業株式会社製、SP値:11.0(cal/cm3)0.5、沸点:110℃)16.0質量%、シリコーン界面活性剤(商品名:KF−640、信越化学工業株式会社製)1.0質量%、消泡剤として、商品名:KM−72F(信越化学工業株式会社製)0.5質量%、抗菌剤として、商品名:プロキセルLV(S)(日東電工アビシア社製)0.1質量%、pH調整剤として、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール(東京化成工業株式会社製)0.5質量%、及びイオン交換水46.4質量%を1時間撹拌して均一に混合した。次に、ポリエステル樹脂エマルジョンC(商品名:エマルションエリーテルKA−5071S、ユニチカ株式会社製、ガラス転移温度(Tg):65℃、体積平均粒径:130nm、固形分濃度:30質量%)2.5質量%、滑剤として、ポリエチレンワックスエマルジョン(商品名:AQUACER−539、ビックケミー・ジャパン株式会社製、融点:90℃、固形分濃度:35質量%)1.0質量%を加えて、更に1時間撹拌して均一に混合した。その後、前記中空粒子Dエマルジョン(ピーク比(Y/X)=6.0、体積平均粒径:400nm、外径:500nm、内径:400nm、固形分濃度:26質量%)10.0質量%を加えて、更に1時間撹拌して均一に混合した。この混合物を平均孔径5μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにより加圧濾過し、粗大粒子やゴミを除去して、実施例18のインクを作製した。なお、下記表3中の各中空粒子の含有量は、エマルジョンとしての量である。
実施例18において、組成を下記表3に示すように変更した以外は、実施例18と同様にして、実施例19、及び20のインクを作製した。なお、下記表3中の各樹脂エマルジョンの含有量は、エマルジョンとしての量である。
実施例1において、後述する印刷は、液体循環システムを搭載したインク吐出装置にて行ったこと以外は、実施例1と同様にして、実施例21のインクを作製した。なお、下記表3中の各樹脂エマルジョンの含有量は、エマルジョンとしての量である。
<シアン顔料分散体の作製例>
<<モノマーの合成>>
1,6−ヘキサンジオール(62.0g、東京化成工業株式会社製)を700mLの塩化メチレン中に溶解させた後、ピリジン(20.7g)を加えた。次に、2−ナフタレンカルボニルクロリド(50.0g、東京化成工業株式会社製)を100mLの塩化メチレンに溶解させた溶液を、撹拌しながら2時間かけて滴下した後、室温で6時間撹拌した。さらに、水洗した後、有機相を単離した。次に、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を留去した。さらに、溶離液として、塩化メチレン/メタノール混合溶媒(体積比:98/2)を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシヘキシルエステル(52.5g)を得た。
2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシヘキシルエステル(42.1g)を80mLの乾燥メチルエチルケトン中に溶解させた後、60℃まで昇温した。次に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(24.0g、商品名:カレンズMOI、昭和電工株式会社製)を20mLの乾燥メチルエチルケトン中に溶解させた溶液を、撹拌しながら1時間かけて滴下した後、70℃で12時間撹拌した。さらに、室温まで冷却した後、溶媒を留去した。次に、溶離液として、塩化メチレン/メタノール混合溶媒(体積比:99/1)を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、下記構造式(3)で表されるモノマー(57.0g)を得た。
アクリル酸(3.80g、シグマアルドリッチ社製)、及び得られた構造式(3)のモノマー(11.26g)を75mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解してモノマー溶液を調製した。得られたモノマー溶液の10%をアルゴン気流下で75℃まで加熱した後、残りのモノマー溶液に2,2’−アゾイソ(ブチロニトリル)(0.59g、東京化成工業株式会社製)を溶解した溶液を1.5時間かけて滴下し、75℃で4時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液をヘキサンに投下した。析出した共重合体をろ別し、減圧乾燥して、共重合体1(14.55g、重量平均分子量:30,000)を得た。
得られた共重合体1(5.00g)を秤取して、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(7.36g、東京化成工業株式会社製、35質量%濃度)、及びイオン交換水(37.64g)を加えて、撹拌し、共重合体1の10質量%水溶液を調製した。
得られた共重合体1の10質量%水溶液(40.0g)に、ピグメントブルー15:3(16.0g、商品名:クロモファインブルー、大日精化工業株式会社製)及びイオン交換水(44.0g)を加えて12時間撹拌した。次に、ビーズミル(装置名:KDL型、ディスクタイプ、株式会社シンマルエンタープライゼス製)を用いて、周速10m/sで1時間循環分散させた。このとき、メディアとして、ジルコニアボール(直径:0.3mm)を使用した。さらに、メンブレンフィルター(平均孔径:1.2μm)でろ過した後、顔料の濃度が16質量%になるようにイオン交換水を加えて、シアン顔料分散体を得た。
グリセリン(阪本薬品工業株式会社製、SP値:17.4(cal/cm3)0.5、沸点:290℃)5.0質量%、1,2−プロパンジオール(東京化成工業株式会社製、SP値:14.3(cal/cm3)0.5、沸点:178℃)18.0質量%、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東京化成工業株式会社製、SP値:11.0(cal/cm3)0.5、沸点:110℃)16.0質量%、シリコーン界面活性剤(商品名:KF−640、信越化学工業株式会社製)1.0質量%、消泡剤として、商品名:KM−72F(信越化学工業株式会社製)0.5質量%、抗菌剤として、商品名:プロキセルLV(S)(日東電工アビシア社製)0.1質量%、pH調整剤として、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール(東京化成工業株式会社製)0.5質量%、及びイオン交換水45.4質量%を1時間撹拌して均一に混合した。次に、ポリエステル樹脂エマルジョンC(商品名:エマルションエリーテルKA−5071S、ユニチカ株式会社製、ガラス転移温度(Tg):65℃、体積平均粒径:130nm、固形分濃度:30質量%)2.5質量%を加えて、更に1時間撹拌して均一に混合した。その後、前記中空粒子Dエマルジョン(ピーク比(Y/X)=6.0、体積平均粒径:400nm、外径:500nm、内径:400nm、固形分濃度:26質量%)10.0質量%、得られたシアン顔料分散体1.0質量%を加えて、更に1時間撹拌して均一に混合した。この混合物を平均孔径5μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにより加圧濾過し、粗大粒子やゴミを除去して、実施例22のインクを作製した。なお、表3中の各中空粒子の含有量は、エマルジョンとしての量である。
なお、後述する印刷は、実施例21と同様の循環手段を搭載したインク吐出装置にて行った。
得られた各インクを、超音波洗浄器(装置名:US−3、アズワン株式会社製)により100Wで40分間超音波処理を行い、均一状態にした後、ピペットで各インクを専用のガラス管(商品名:ねじ口試験管、アズワン株式会社製)に5.5mLずつ入れた。30分間後に、前記ガラス管内の各インクの液面が安定したことを確認し、各インク中の中空粒子の沈降度を、沈降度測定装置(装置名:タービスキャン クラシック MA2000、英弘精機株式会社製)により測定した。その後、25℃環境下で168時間静置した後、各インクの沈降度を、前記沈降度測定装置により測定し、静置前の沈降度を基準とした偏差表示にて、インクの沈降性を求めた。
前記沈降性は、インクの沈降に伴う後方散乱光強度ピークの積算(サンプル管下方20mmから液面)で、25℃環境下で168時間静置した後の上澄み相対変化量百分率の平均値(%)で求めた。なお、前記沈降性は、−2%以上が実施可能レベルである。
25℃環境における各インクの粘度を粘度計(装置名:RE−85L、東機産業株式会社製)にて測定した後、各インクを70℃に保持された恒温槽(装置名:PR−1J、ESPEC社製)に14日間静置した。静置後のインクの粘度を25℃環境において前記粘度計にて測定し、静置前に対する静置後の粘度の変化率(%)を算出した。なお、保存安定性は、粘度の変化率が初期粘度±5%以内が、実施可能レベルである。
作製した各インクを、インク吐出装置(装置名:IPSiO GXe5500、株式会社リコー製)により、記録媒体(商品名:ルミナカラーブラック 128gsm、王子エフテックス株式会社製)へ、1,200dpi×1,200dpiの記録解像度、及び2mg/cm2の付着量で印刷し、100℃で60秒間加熱することにより乾燥させ、画像サンプルを作製した。
なお、記録チャートは、ドットパターンで形成された3cm四方のベタ画像を使用した。
・中空粒子A 内径:400nm
・中空粒子B 内径:600nm
・中空粒子C 内径:700nm
・中空粒子D 内径:400nm
・中空粒子E 内径:500nm
各画像サンプルのベタ画像について、分光測色濃度計(装置名:X−Rite939、X−Rite社製)を用いて明度(L*)を測定することにより、白色性を求めた。なお、白色性は、明度(L*)が50以上95以下が、実施可能レベルである。
各画像サンプルのベタ画像を剃刀(商品名:フェザー ミクロトーム用替刃、株式会社三商製)で切断した後、断面を走査型電子顕微鏡(装置名:JSL−6510A、日本電子株式会社製)にて観察し、インク膜の膜厚を測定した。なお、インク膜の膜厚が3.0μm以上22.0μm以下であると、良好な白色性が得られ、実施可能レベルとなる。
各画像サンプルのベタ画像について、綿布(商品名:TexTile Innovators、SDL ATLAS株式会社製)を取り付け、荷重9Nであるクロックメーター(株式会社大栄科学精機製作所製)で5往復擦った。擦る前後の前記ベタ画像を剃刀(商品名:フェザー ミクロトーム用替刃、株式会社三商製)で切断した後、断面を走査型電子顕微鏡(装置名:JSL−6510A、日本電子株式会社製)にて観察し、インク膜の膜厚を測定することにより、擦る前後のインク膜の膜厚の差を求めた。なお、定着性は、擦る前後のインク膜の膜厚の差が2.3μm以下であると、実施可能レベルである。
・中空粒子Aエマルジョン(スチレン−メチルメタクリレート共重合体、商品名:ROPAQUE ULTRA E、ダウケミカル社製、ピーク比(Y/X)=1.5、体積平均粒径:400nm、外径:500nm、内径:400nm、固形分濃度:30質量%)
・中空粒子Eエマルジョン(スチレン−メチルメタクリレート共重合体、商品名:SX868、JSR株式会社製、ピーク比(Y/X)=9.3、体積平均粒径:600nm、外径:700nm、内径:500nm、固形分濃度:20.3質量%)
・ポリエステル樹脂エマルジョンA(商品名:ペスレジンA−684G、高松油脂株式会社製、ガラス転移温度(Tg):47℃、体積平均粒径:24nm、固形分濃度:25質量%)
・ポリエステル樹脂エマルジョンB(商品名:エマルションエリーテルKT−8803、ユニチカ株式会社製、ガラス転移温度(Tg):65℃、体積平均粒径:100nm、固形分濃度:30質量%)
・ポリエステル樹脂エマルジョンC(商品名:エマルションエリーテルKA−5071S、ユニチカ株式会社製、ガラス転移温度(Tg):65℃、体積平均粒径:130nm、固形分濃度:30質量%)
・ポリエステル樹脂エマルジョンD(商品名:エマルションエリーテルKZA−3556、ユニチカ株式会社製、ガラス転移温度(Tg):80℃、体積平均粒径:150nm、固形分濃度:30質量%)
・ポリアクリルシリコーン樹脂エマルジョン(商品名:RKP−02、トーヨーケム株式会社製、ガラス転移温度(Tg):−7℃、体積平均粒径:135nm、固形分濃度:40質量%)
・ポリウレタン樹脂エマルジョン(商品名:スーパーフレックス420、第一工業製薬株式会社製、ガラス転移温度(Tg):31℃、体積平均粒径:75nm、固形分濃度:32質量%)
・グリセリン(阪本薬品工業株式会社製、SP値:17.4(cal/cm3)0.5、沸点:290℃)
・1,2−プロパンジオール(東京化成工業株式会社製、SP値:14.3(cal/cm3)0.5、沸点:178℃)
・1,2−ブタンジオール(東京化成工業株式会社製、SP値:13.1(cal/cm3)0.5、沸点:194℃)
・3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東京化成工業株式会社製、SP値:11.0(cal/cm3)0.5、沸点:110℃)
・3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド(出光興産株式会社製、SP値:9.2(cal/cm3)0.5、沸点:216℃)
・ポリエチレンワックスエマルジョン(商品名:AQUACER−539、ビックケミー・ジャパン株式会社製、融点:90℃、固形分濃度:35質量%)
・カルナバワックス(商品名:セロゾール524、中京油脂株式会社製、融点:83℃、固形分濃度:30質量%)
・ポリジメチルシロキサン化合物(商品名:BYK333、ビックケミー・ジャパン株式会社製)
・シリコーン界面活性剤(商品名:KF−640、信越化学工業株式会社製)
・商品名:KM−72F(信越化学工業株式会社製)
・商品名:プロキセルLV(S)(日東電工アビシア社製)
・2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール(東京化成工業株式会社製)
<試験例1〜3>
前記画像の形成において、実施例3のインクを用いて、下記表5に示すように記録後の加熱温度に変更した以外は、前記画像の形成と同様にして、印刷物を作製した。作製した印刷物を用いて、実施例1と同様にして、「白色性」、「インク膜の膜厚」、及び「定着性」を評価した。結果を、下記表5に示す。
<1> 中空粒子と、ポリエステル樹脂粒子とを含有するインクであって、
前記ポリエステル樹脂粒子のガラス転移温度が、65℃以上80℃以下であり、
前記ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径が、100nm以上150nm以下であり、
前記インクを用いて形成したインク膜におけるIRスペクトルにおいて、波数が1,600cm−1±10cm−1におけるピークの最大値をXとし、波数が1,730cm−1±10cm−1におけるピークの最大値をYとしたときのピーク比(Y/X)が、3.0以上6.0以下であることを特徴とするインクである。
<2> 前記ポリエステル樹脂粒子のガラス転移温度が、65℃以上70℃以下である前記<1>に記載のインクである。
<3> 前記ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径が、100nm以上125nm以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載のインクである。
<4> 前記ポリエステル樹脂粒子の含有量が、1質量%以上5質量%以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクである。
<5> 前記中空粒子の含有量が、5.0質量%以上20.0質量%以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載のインクである。
<6> 前記中空粒子の中空率が、20%以上80%以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載のインクである。
<7> 前記中空粒子の外径が、0.1μm以上1μm以下であり、かつ、前記中空粒子内径が、0.04μm以上0.8μm以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載のインクである。
<8> 前記中空粒子が、下記構造式(1)で表される構造単位、及び下記構造式(2)で表される構造単位を有する共重合体を含む前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクである。
<10> 有機溶剤を更に含有し、
前記有機溶剤の混合SP値が、11.0(cal/cm3)0.5以上15.5(cal/cm3)0.5以下である前記<1>から<9>のいずれかに記載のインクである。
<11> 滑剤をさらに含有し、
前記滑剤が、ワックス、及びシロキサン化合物から選択される少なくともいずれかである前記<1>から<10>のいずれかに記載のインクである。
<12> 前記ワックスが、ポリエチレンワックス、及びカルナバワックスから選択される少なくともいずれかである前記<11>に記載のインクである。
<13> 前記シロキサン化合物が、ポリジメチルシロキサン化合物である前記<11>から<12>のいずれかに記載のインクである。
<14> 前記滑剤の含有量が、インク全量に対して、1質量%以上5質量%以下である前記<11>から<13>のいずれかに記載のインクである。
<15> 前記ピーク比(Y/X)が、3.0以上5.5以下である前記<1>から<14>のいずれかに記載のインクである。
<16> 記録媒体と、インク膜とを有し、
前記インク膜が、ガラス転移温度が65℃以上80℃以下であるポリエステル樹脂を含有し、
前記インク膜が、空孔を有し、
前記インク膜におけるIRスペクトルにおいて、波数が1,600cm−1±10cm−1におけるピークの最大値をXとし、波数が1,730cm−1±10cm−1におけるピークの最大値をYとしたときのピーク比(Y/X)が、3.0以上6.0以下であることを特徴とする印刷物である。
<17> 前記インク膜の膜厚が、4μm以上20μm以下である前記<16>に記載の印刷物である。
<18> 前記インク膜を荷重9Nのクロックメーターで5往復擦った場合において、擦る前後における前記インク膜の膜厚の差が、2μm以下である前記<16>から<17>のいずれかに記載の印刷物である。
<19> 前記<1>から<15>のいずれかに記載のインクを記録媒体に印刷する印刷工程と、
前記印刷した記録媒体を乾燥させる乾燥工程と、を含み、
前記乾燥工程における加熱温度が100℃以上200℃以下であることを特徴とする印刷方法である。
<20> ヘッドと、インクと、を有し、
前記ヘッドが、前記インクを吐出するノズルを有し、
前記インクが、中空粒子と、ポリエステル樹脂粒子とを含有し、
前記ポリエステル樹脂粒子のガラス転移温度が、65℃以上80℃以下であり、
前記ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径が、100nm以上150nm以下であり、
前記インクを用いて形成したインク膜におけるIRスペクトルにおいて、波数が1,600cm−1±10cm−1におけるピークの最大値をXとし、波数が1,730cm−1±10cm−1におけるピークの最大値をYとしたときのピーク比(Y/X)が、3.0以上6.0以下であることを特徴とするインク吐出装置である。
<21> 前記ヘッドが、液室と、前記インクを前記液室に流入させる流入流路と、前記インクを前記液室から流出させる流出流路と、前記液室内の前記インクを循環させる循環手段と、を有し、
前記流出流路が、前記ノズルに連通され、
前記液室から前記流出流路へ前記インクを流出させるための負圧を発生させる負圧発生手段をさらに有する前記<20>に記載のインク吐出装置である。
Claims (11)
- 前記ポリエステル樹脂粒子の含有量が、1質量%以上5質量%以下である請求項1に記載のインク。
- 前記中空粒子の含有量が、5.0質量%以上20.0質量%以下である請求項1から2のいずれかに記載のインク。
- 有機溶剤を更に含有し、
前記有機溶剤の混合SP値が、11.0(cal/cm3)0.5以上15.5(cal/cm3)0.5以下である請求項1から3のいずれかに記載のインク。 - 滑剤を更に含有し、
前記滑剤が、ワックス、及びシロキサン化合物から選択される少なくともいずれかである請求項1から4のいずれかに記載のインク。 - 請求項1から5のいずれかに記載のインクを用いてインク膜を形成する印刷工程を含むことを特徴とする印刷物の製造方法。
- 前記インク膜の膜厚が、4μm以上20μm以下である請求項6に記載の印刷物の製造方法。
- 前記インク膜を荷重9Nのクロックメーターで5往復擦った場合において、擦る前後における前記インク膜の膜厚の差が、2μm以下である請求項6から7のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
- 請求項1から5のいずれかに記載のインクを用いて記録媒体に画像を印刷する印刷工程と、
前記印刷した画像を乾燥させる乾燥工程と、を含み、
前記乾燥工程における加熱温度が、100℃以上200℃以下であることを特徴とする印刷方法。 - ヘッドと、インクと、を有し、
前記ヘッドが、前記インクを吐出するノズルを有し、
前記インクが、中空粒子と、ポリエステル樹脂粒子とを含有し、
前記ポリエステル樹脂粒子のガラス転移温度が、65℃以上80℃以下であり、
前記ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径が、100nm以上150nm以下であり、
前記中空粒子が、下記構造式(1)で表される構造単位、及び下記構造式(2)で表される構造単位を有する共重合体を含み、
前記中空粒子のIRスペクトルにおいて、波数が1,600cm−1±10cm−1におけるピークの最大値をXとし、波数が1,730cm−1±10cm−1におけるピークの最大値をYとしたときのピーク比(Y/X)が、3.0以上6.0以下であることを特徴とするインク吐出装置。
- 前記ヘッドが、液室と、前記インクを前記液室に流入させる流入流路と、前記インクを前記液室から流出させる流出流路と、前記液室内の前記インクを循環させる循環手段と、を更に有し、
前記流出流路が、前記ノズルに連通され、
前記液室から前記流出流路へ前記インクを流出させるための負圧を発生させる負圧発生手段を更に有する請求項10に記載のインク吐出装置。
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