本明細書において、酸化物半導体をOS(Oxide Semiconductor)と表記する場合がある。そのため、チャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタをOSトランジスタと表記する場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態では、開示する本発明の一態様の半導体装置について説明する。
<構成例>
本発明の一態様である半導体装置の構成例を図5、及び図6に示す。図5において、半導体装置100は、メモリモジュール(図6においては、MEMORY MODULEと表記)であり、行デコーダ101(図5では、Row Decoderと表記)、列デコーダ102(図5では、Column Decoderと表記)、メモリセルアレイ103、バッファ回路104、トランジスタBLTR[1]乃至トランジスタBLTR[n]を有する。
メモリセルアレイ103は、メモリセル200[1、1]乃至メモリセル200[m、n]を有する(図5では、メモリセル200[1、1]、メモリセル200[1、n]、メモリセル200[m、1]、メモリセル200[m、n]のみ表記し、それ以外のメモリセルは省略している)。具体的には、行方向にn個、列方向にm個、合計n×m個のメモリセル200[i、j]が行列状に設けられている(iは1以上m以下の整数であり、jは1以上n以下の整数である)。
また、半導体装置100は、配線WL[1]乃至配線WL[m]と、配線BL[1]乃至配線BL[n]と、を有する。行デコーダ101は、配線WL[1]乃至配線WL[m]と電気的に接続され、列デコーダ102は、配線BL[1]乃至配線BL[n]と電気的に接続されている。配線WL[i]は、メモリセル200[i、1]乃至メモリセル200[i,n]と電気的に接続され、配線BL[j]は、メモリセル200[1、j]乃至メモリセル200[m、j]と電気的に接続されている。
バッファ回路104の入力端子は、トランジスタBLTR[j]のソース又はドレインの一方と電気的に接続され、バッファ回路104の出力端子は、端子SOUTと電気的に接続されている。バッファ回路は、増幅度1倍のボルテージフォロワ回路、又は信号振幅に応じた増幅度に設定したオペアンプを使用するのが好ましい。
トランジスタBLTR[j]のソース又はドレインの他方は、配線BL[j]と電気的に接続されている。トランジスタBLTR[1]乃至トランジスタBLTR[n]のゲートは、列デコーダ102と電気的に接続されている。なお、トランジスタBLTR[1]乃至トランジスタBLTR[n]は、トランジスタに限定せず、導通状態及び非導通状態を制御できる素子であれば、該素子に代替することができる。例えば、トランジスタ以外の電気的スイッチ、機械的スイッチ、MEMS(Micro Electro Mechanical System)などを使用してもよい。
図6(A)は、半導体装置100と、検査回路500と、が電気的に接続された構成を示している。半導体装置100は、図5に示したメモリモジュールであり、検査回路500は、しきい値電圧の変動量を計算する回路である。
半導体装置100は、端子SOUTを有している。検査回路500は、アナログデジタル変換回路501(図6(A)では、ADCと表記)と、デジタルシグナルプロセッサ502(図6(A)では、DSPと表記)と、記憶装置503(図6(A)では、Data Memoryと表記)と、を有している。
アナログデジタル変換回路501は、半導体装置100の端子SOUTと電気的に接続されている。アナログデジタル変換回路501とデジタルシグナルプロセッサ502は、電気的に接続され、デジタルシグナルプロセッサ502と記憶装置503は、電気的に接続されている。
なお、デジタルシグナルプロセッサの代わりに、マイクロプロセッサを用いてもよい。その場合のブロック図を図6(B)に示す。マイクロプロセッサ504(図6(B)では、MPと表記)は、アナログデジタル変換回路501と、記憶装置503と電気的に接続されている。
<動作例>
次に、上述の構成の動作例について、図1のフローチャートを用いて説明する。
本動作例は、大きく分けて3つのステップから成り、図1にその動作について示す。具体的には、ステップS1では、図2のステップS1−1乃至ステップS1−8の動作が行われ、ステップS2では、図3のステップS2−1乃至ステップS2−8の動作が行われ、ステップS3では、図4のステップS3−1及びS3−2の動作が行われる。
ステップS1−1乃至ステップS1−3は、メモリセルへの書き込み動作W1を示し、ステップS1−4乃至ステップS1−6は、メモリセルからの読み出し動作R1を示し、ステップS1−7及びステップS1−8は、書き込み動作W1及び読み出し動作R1を行って得られた電位VWBL1の取得動作E1を示している。
ステップS2−1乃至ステップS2−3は、メモリセルへの書き込み動作W2を示し、ステップS2−4乃至ステップS2−6は、メモリセルからの読み出し動作R2を示し、ステップS2−7及びステップS2−8は、書き込み動作W2及び読み出し動作R2を行って得られた電位VWBL2の取得動作E2を示している。
なお、本動作例の説明において、メモリセルアレイ103のメモリセル200[i、j]を、図7に示すメモリセル210として考える。
図7は、1つのトランジスタ、及び1つの容量素子を有するメモリセルを示している。メモリセル210は、トランジスタOSTR1と、保持ノードFN1と、容量素子MC1を有している。
トランジスタOSTR1のソース又はドレインの一方は、配線BLと電気的に接続され、トランジスタOSTR1のソース又はドレインの他方は、保持ノードFN1と電気的に接続され、トランジスタOSTR1のゲートは、配線WLと電気的に接続されている。容量素子MC1の一方の電極は、保持ノードFN1と電気的に接続され、容量素子MC1の他方の電極は、配線CNODEと電気的に接続されている。
保持ノードFN1は、メモリセル210におけるデータ保持部となっている。トランジスタOSTR1は、保持ノードFN1と配線BLとを導通するスイッチとして機能する。配線BLには、書き込み用信号と読み出し用信号が入出力される。配線WLには、メモリセル選択用信号が入力される。配線CNODEは、容量素子MC1用の配線であり、GND電位が入力される。なお、GND電位とは、接地電位のことを示している。
データの書き込み及び読み出しは、トランジスタOSTR1を導通状態にし、保持ノードFN1と配線BLとを導通することで行われる。なお、本動作例における、配線BLに印加する書き込み電圧をVWBとする。
トランジスタOSTR1は、酸化物半導体(好ましくは、In、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含んでいることが望ましい。チャネル形成領域に酸化物半導体を有することで、ソース−ドレイン間を流れるオフ電流(リーク電流)を極めて小さくすることができる。そのため、保持ノードFN1の電圧の変動を抑えることができる。つまり、メモリセル210を不揮発性の記憶回路、あるいは電源供給無しで長期間データを保持することができる記憶回路として動作させることができる。
<<ステップS1>>
ステップS1では、配線BLの電位VWBL1を出力して、記憶装置503に保持する動作が行われる。なお、電位VWBL1については、ステップS1−6で説明する。
ステップS1−1では、トランジスタOSTR1のゲートに電位VGM1を印加する動作が行われる。このとき、電位VGM1は、トランジスタOSTR1のしきい値電圧Vthと電位VWBとの和よりも大きい電位とする。
ステップS1−2では、配線BLに電位VWBを印加する動作が行われる。このとき、トランジスタOSTR1のソース−ドレイン間は導通状態になり、保持ノードFN1に、配線BLの電位が書き込まれる。すなわち、保持ノードFN1の電位は、ほぼVWBとなる。
ステップS1−3では、トランジスタOSTR1のゲートにGND電位を印加する動作が行われる。このとき、トランジスタOSTR1のソース−ドレイン間は非導通状態となり、保持ノードFN1はフローティング状態となり、保持ノードFN1に電位VWBが保持される。
ステップS1−4では、配線BLをGND電位にプリチャージする動作が行われる。
ステップS1−5では、配線BLをフローティング状態(図2では、電気的に浮遊状態と表記)にする動作が行われる。具体的には、列デコーダ102の内部において、信号若しくは電圧が供給される配線と配線BLとの接続を非導通状態とし、かつ配線BLと接続されているトランジスタBLTRのソース−ドレイン間を非導通状態としている。
ステップS1−6では、トランジスタOSTR1のゲートに電位を印加して、トランジスタOSTR1のソース−ドレイン間を導通状態にする動作が行われる。トランジスタOSTR1のソース−ドレイン間が導通状態となることで、保持ノードFN1に保存された電荷が、配線BLへ移動する。このときの配線BLの電位をVWBL1とする。配線BLの電位VWBL1は、容量素子MC1の容量をCsとし、配線BLの寄生容量をCBとして、下式で表される。
VWBL1=VWB×Cs/(CB+Cs)
ステップS1−7では、配線BLの電位VWBL1を端子SOUTに出力する動作が行われる。具体的には、列デコーダ102によりトランジスタBLTRのソース−ドレイン間を導通状態にすることで、配線BLの電位VWBL1がバッファ回路104の入力端子に入力され、バッファ回路104の出力端子から端子SOUTへVWBL1が出力される。
ステップS1−8では、検査回路500において端子SOUTから入力された電位VWBL1をデジタル変換して、記憶装置503に保存する動作が行われる。バッファ回路104の出力端子はアナログデジタル変換回路501の入力端子と接続されているので、アナログデジタル変換回路501の入力端子には、電位VWBL1が入力され、デジタル変換される。デジタル変換された電位VWBL1は、デジタルシグナルプロセッサ502を介して、記憶装置503に保存される。
<<ステップS2>>
ステップS2では、配線BLの電位VWBL2を出力して、記憶装置503に保持する動作が行われる。なお、電位VWBL2については、ステップS2−6で説明する。
ステップS2−1では、トランジスタOSTR1のゲートに電位VGM2を印加する動作が行われる。このとき、電位VGM2は、トランジスタOSTR1のしきい値電圧Vthと電位VWBとの和よりも小さい電位とする。
ステップS2−2では、配線BLに電位VWBを印加する動作が行われる。このとき、トランジスタOSTR1のソース−ドレイン間は導通状態になり、保持ノードFN1に、電位が書き込まれる。トランジスタOSTR1のゲートの電位は、トランジスタOSTR1のしきい値電圧Vthと電位VWBとの和よりも小さい電位となっているので、保持ノードFN1に書き込まれる電位は、VWB−Vthとなる。
ステップS2−3では、トランジスタOSTR1のゲートにGND電位を印加する動作が行われる。このとき、トランジスタOSTR1のソース−ドレイン間は非導通状態となり、保持ノードFN1はフローティング状態となり、保持ノードFN1に電位VWB−Vthが保持される。
ステップS2−4では、配線BLをGND電位にプリチャージする動作が行われる。
ステップS2−5では、配線BLをフローティング状態(図2では、電気的に浮遊状態と表記)にする動作が行われる。具体的には、列デコーダ102の内部において、信号若しくは電圧が供給される配線と配線BLとの接続を非導通状態とし、かつ配線BLと接続されているトランジスタBLTRのソース−ドレイン間を非導通状態としている。
ステップS2−6では、トランジスタOSTR1のゲートに電位を印加して、トランジスタOSTR1のソース−ドレイン間を導通状態にする動作が行われる。トランジスタOSTR1のソース−ドレイン間が導通状態となることで、保持ノードFN1に保存された電荷が、配線BLへ移動する。このときの配線BLの電位をVWBL2とする。配線BLの電位VWBL2は、容量素子MC1の容量をCsとし、配線BLの寄生容量をCBとして、下式で表される。
VWBL2=(VWB−Vth)×Cs/(CB+Cs)
ステップS2−7では、配線BLの電位VWBL2を端子SOUTに出力する動作が行われる。具体的には、列デコーダ102によりトランジスタBLTRのソース−ドレイン間を導通状態にすることで、配線BLの電位VWBL2がバッファ回路104の入力端子に入力され、バッファ回路104の出力端子から端子SOUTへVWBL2が出力される。
ステップS2−8では、検査回路500において端子SOUTからの入力された電位VWBL2をデジタル変換して、記憶装置503に保存する動作が行われる。バッファ回路104の出力端子はアナログデジタル変換回路501の入力端子と接続されているので、アナログデジタル変換回路501の入力端子には、電位VWBL2が入力され、デジタル変換される。デジタル変換された電位VWBL2は、デジタルシグナルプロセッサ502を介して、記憶装置503に保存される。
<<ステップS3>>
ステップS3−1では、ステップS1で得られたVWBL1、及びステップS2で得られたVWBL2を記憶装置503から読み出して、デジタルシグナルプロセッサ502に送信する動作が行われる。
その後、ステップS3−2において、デジタルシグナルプロセッサ502によって、VWBL2/VWBL1が計算される。
また、ステップS1のVWBL1を示す式、及びステップS2のVWBL2を示す式から下式が得られる。
VWBL2/VWBL1=(VWB−Vth)/VWB
VWBL2/VWBL1はデジタルシグナルプロセッサ502で得られた計算値、VWBは書き込み電位であり、どちらも既知である。すなわち、VWBL2/VWBL1及びVWBを代入することで、Vthを算出することができる。これにより、容量素子MC1の保持容量及び配線BLの寄生容量CBのばらつきに依らないトランジスタOSTR1のしきい値電圧Vthを算出することができる。
ステップS1乃至ステップS3を、メモリセル200[1、1]乃至メモリセル200[m、n]に対して行うことで、メモリセルアレイ103の全てのトランジスタOSTR1のしきい値電圧Vthを取得することができる。
上述した方法を行うことで、記憶装置内の書き込みトランジスタのしきい値電圧Vthのばらつきを把握することができる。これにより、半導体装置、又は記憶装置の評価を行うことができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態1で説明した書き込みトランジスタのしきい値電圧の算出を行うことができる、メモリセル210とは別のメモリセルについて説明する。
図8(A)乃至図8(C)にしきい値電圧の算出を行うことができるメモリセルの一例を示す。
<<メモリセルの構成例1>>
図8(A)は、2つのトランジスタ、及び1つの容量素子を有するメモリセルを示している。メモリセル220は、トランジスタOSTR2と、トランジスタSiTR1と、保持ノードFN2と、容量素子MC2を有している。
トランジスタOSTR2のソース又はドレインの一方は、配線WBLと電気的に接続され、トランジスタOSTR2のソース又はドレインの他方は、保持ノードFN2と電気的に接続され、トランジスタOSTR2のゲートは、配線WWLと電気的に接続されている。トランジスタSiTR1のソース又はドレインの一方は、配線RBLと電気的に接続され、トランジスタSiTR1のソース又はドレインの他方は、配線SLと電気的に接続され、トランジスタSiTR1のゲートは、保持ノードFN2と電気的に接続されている。容量素子MC2の一方の電極は、保持ノードFN2と電気的に接続され、容量素子MC2の他方の電極は、配線RWLと電気的に接続されている。
保持ノードFN2は、メモリセル220におけるデータ保持部となっている。トランジスタOSTR2は、保持ノードFN2と配線WBLを接続するスイッチとして機能する。
配線WBLには、書き込み用信号が入力される。配線RBLには、読み出し用信号が、配線WWLには、メモリセル選択用信号が入力される。配線RWLは、容量素子MC2用の配線であり、GND電位が入力される。
データの書き込みは、配線SLに一定電圧を与えた状態で、トランジスタOSTR2を導通状態にし、保持ノードFN2と配線WBLとを導通することで行われる。データの読み出しは、初めに配線RBL、配線SLに一定電圧を与える。保持ノードFN2の電圧に応じて、トランジスタSiTR1のソース−ドレイン間を流れる電流値が変動する。トランジスタSiTR1のソース−ドレイン電流により、配線RBLが充電あるいは放電されるので、配線RBLの電圧を検出することで、メモリセル220に保持されているデータ値を読み出すことができる。
メモリセル220を、実施の形態1のメモリセル200[i、j]として使用する場合、配線WBLを、トランジスタBLTR[j]のソース−ドレインを介して、バッファ回路104の入力端子に接続する構成とすればよい。
<<メモリセルの構成例2>>
図8(B)は、3つのトランジスタ、及び1つの容量素子を有するメモリセルを示している。メモリセル230は、トランジスタOSTR3と、トランジスタSiTR2と、トランジスタSiTR3と、保持ノードFN3と、容量素子MC3と、を有している。
トランジスタOSTR3のソース又はドレインの一方は、配線WBLと電気的に接続され、トランジスタOSTR3のソース又はドレインの他方は、保持ノードFN3と電気的に接続され、トランジスタOSTR3のゲートは、配線WWLと電気的に接続されている。トランジスタSiTR2のソース又はドレインの一方は、配線RBLと電気的に接続され、トランジスタSiTR2のソース又はドレインの他方は、トランジスタSiTR3のソース又はドレインの一方と電気的に接続され、トランジスタSiTR2のゲートは、配線RWLと電気的に接続されている。トランジスタSiTR3のソース又はドレインの他方は、配線SLと電気的に接続され、トランジスタSiTR3のゲートは、保持ノードFN3と電気的に接続されている。容量素子MC3の一方の電極は、保持ノードFN3と電気的に接続され、容量素子MC3の他方の電極は、配線CNODEと電気的に接続されている。
保持ノードFN3は、メモリセル230におけるデータ保持部となっている。トランジスタOSTR3は、保持ノードFN3と配線WBLとを導通するスイッチとして機能する。配線CNODEは、容量素子MC3用の配線であり、書き込み動作、及び読み出し動作時に、容量素子MC3の端子に一定の電圧を供給するための配線である。
データの書き込みは、トランジスタOSTR3を導通状態にして、保持ノードFN3と配線WBLとを導通することで行われる。データの読み出しは、初めに配線RBL、配線SLに一定電圧を与えた状態で、トランジスタSiTR2を導通状態にすることで行われる。保持ノードFN3の電圧に応じて、トランジスタSiTR3のソース−ドレイン間を流れる電流値が変動する。トランジスタSiTR3のソース−ドレイン電流により、配線RBLが充電あるいは放電されるので、配線RBLの電圧を検出することで、メモリセル230に保持されているデータ値を読み出すことができる。
メモリセル230を、実施の形態1のメモリセル200[i、j]として使用する場合、配線WBLを、トランジスタBLTR[j]のソース−ドレインを介して、バッファ回路104の入力端子に接続する構成とすればよい。
<<メモリセルの構成例3>>
図8(C)は、3つのトランジスタ、及び1つの容量素子を有するメモリセルを示している。メモリセル240は、トランジスタOSTR4と、トランジスタSiTR4と、トランジスタSiTR5と、保持ノードFN4と、容量素子MC4と、を有している。また、メモリセル240は、メモリセル230の配線RBLと配線WBLを一体化して、一本の配線BLにまとめた構成でもある。
トランジスタOSTR4のソース又はドレインの一方は、配線BLと電気的に接続され、トランジスタOSTR4のソース又はドレインの他方は、保持ノードFN4と電気的に接続され、トランジスタOSTR4のゲートは、配線WWLと電気的に接続されている。トランジスタSiTR4のソース又はドレインの一方は、配線BLと電気的に接続され、トランジスタSiTR4のソース又はドレインの他方は、トランジスタSiTR5のソース又はドレインの一方と電気的に接続され、トランジスタSiTR4のゲートは、配線RWLと電気的に接続されている。トランジスタSiTR5のソース又はドレインの他方は、配線SLと電気的に接続され、トランジスタSiTR5のゲートは、保持ノードFN4と電気的に接続されている。容量素子MC4の一方の電極は、保持ノードFN4と電気的に接続され、容量素子MC4の他方の電極は、配線CNODEと電気的に接続されている。
保持ノードFN4は、メモリセル240におけるデータ保持部となっている。トランジスタOSTR4は、保持ノードFN4と配線BLとを導通するスイッチとして機能する。配線CNODEは、容量素子MC4用の配線であり、書き込み動作、及び読み出し動作時に、容量素子MC4の端子に一定の電圧を供給するための配線である。
データの書き込みは、トランジスタOSTR4を導通状態にして、保持ノードFN4と配線BLとを導通することで行われる。データの読み出しは、初めに配線BL、配線SLに一定電圧を与えた状態で、トランジスタSiTR4を導通状態にすることで行われる。保持ノードFN4の電圧に応じて、トランジスタSiTR5のソース−ドレイン間を流れる電流値が変動する。トランジスタSiTR5のソース−ドレイン電流により、配線BLが充電あるいは放電されるので、配線BLの電圧を検出することで、メモリセル240に保持されているデータ値を読み出すことができる。
メモリセル240を、実施の形態1のメモリセル200[i、j]として使用する場合、配線BLを、トランジスタBLTR[j]のソース−ドレインを介して、バッファ回路104の入力端子に接続する構成とすればよい。
また、メモリセル240と同様に、前述したメモリセル220についても、配線RBLと配線WBLを一体化して、一本の配線にまとめた構成のメモリセルにしても、実施の形態1に適用することができる。
トランジスタOSTR2乃至トランジスタOSTR4は、酸化物半導体(好ましくは、In、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含んでいることが望ましい。チャネル形成領域に酸化物半導体を有することで、ソース−ドレイン間を流れるオフ電流(リーク電流)を極めて小さくすることができる。そのため、保持ノードFN2乃至保持ノードFN4の電圧の変動を抑えることができる。つまり、メモリセル220、メモリセル230、及びメモリセル240を不揮発性の記憶回路、あるいは電源供給無しで長期間データを保持することができる記憶回路として動作させることができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態に示すトランジスタOSTR1乃至トランジスタOSTR4に適用可能なOSトランジスタの構造について説明する。
<トランジスタの構成例1>
図9(A)乃至図9(C)は、トランジスタ400aの上面図及び断面図である。図9(A)は上面図である。図9(B)は、図9(A)に示す一点鎖線A1−A2に対応する断面図であり、図9(C)は、図9(A)に示す一点鎖線A3−A4に対応する断面図である。なお、図9(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。なお、一点鎖線A1−A2をトランジスタ400aのチャネル長方向、一点鎖線A3−A4をトランジスタ400aのチャネル幅方向と呼ぶ場合がある。
トランジスタ400aは、基板450と、基板450上の絶縁膜401と、絶縁膜401上の導電膜414と、導電膜414を覆うように形成された絶縁膜402と、絶縁膜402上の絶縁膜403と、絶縁膜403上の絶縁膜404と、絶縁膜404上に、金属酸化物431、金属酸化物432の順で形成された積層と、金属酸化物432の上面及び側面と接する導電膜421と、同じく金属酸化物432の上面及び側面と接する導電膜423と、導電膜421上の導電膜422と、導電膜423上の導電膜424と、導電膜422及び導電膜424上の絶縁膜405と、金属酸化物431、金属酸化物432、導電膜421乃至424、及び絶縁膜405と接する金属酸化物433と、金属酸化物433上の絶縁膜406と、絶縁膜406上の導電膜411と、導電膜411上の導電膜412と、導電膜412上の導電膜413と、導電膜413を覆うように形成された絶縁膜407と、絶縁膜407上の絶縁膜408を有する。なお、金属酸化物431、金属酸化物432及び金属酸化物433をまとめて、金属酸化物430と呼称する。
金属酸化物432は半導体であり、トランジスタ400aのチャネルとしての機能を有する。
また、金属酸化物431及び金属酸化物432は、領域441及び領域442を有する。領域441は、導電膜421と、金属酸化物431、金属酸化物432が接する領域の近傍に形成され、領域442は、導電膜423と、金属酸化物431、金属酸化物432が接する領域の近傍に形成される。
領域441、領域442は低抵抗領域としての機能を有する。金属酸化物431、金属酸化物432は、領域441を有することで、導電膜421との間のコンタクト抵抗を低減させることが可能になる。同様に、金属酸化物431、金属酸化物432は、領域442を有することで、導電膜423との間のコンタクト抵抗を低減させることが可能になる。
導電膜421、導電膜422は、トランジスタ400aのソース電極又はドレイン電極の一方としての機能を有する。導電膜423、導電膜424は、トランジスタ400aのソース電極又はドレイン電極の他方としての機能を有する。
導電膜422は導電膜421よりも酸素を透過しにくい機能を有する。これにより、酸化による導電膜421の導電率の低下を防ぐことが可能になる。
同様に、導電膜424は導電膜423よりも酸素を透過しにくい機能を有する。これにより、酸化による導電膜423の導電率の低下を防ぐことが可能になる。
導電膜411乃至導電膜413は、トランジスタ400aの第1のゲート電極としての機能を有する。
導電膜411、導電膜413は、導電膜412よりも酸素を透過しにくい機能を有する。これにより、酸化による導電膜412の導電率の低下を防ぐことが可能になる。
絶縁膜406は、トランジスタ400aの第1のゲート絶縁膜としての機能を有する。
導電膜414は、トランジスタ400aの第2のゲート電極としての機能を有する。
導電膜411乃至413と導電膜414は同じ電位が与えられてもよいし、異なる電位が与えられてもよい。また導電膜414は、場合によっては省略してもよい。
絶縁膜401乃至絶縁膜404は、トランジスタ400aの下地絶縁膜としての機能を有する。また、絶縁膜402乃至絶縁膜404は、トランジスタ400aの第2のゲート絶縁膜としての機能も有する。
絶縁膜405乃至408は、トランジスタ400aの保護絶縁膜又は層間絶縁膜としての機能を有する。
図9(C)に示すように、金属酸化物432の側面は、導電膜411に囲まれている。上記構成をとることで、導電膜411の電界によって、金属酸化物432を電気的に取り囲むことができる。ゲート電極の電界によって、半導体を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(s−channel)構造とよぶ。金属酸化物432の全体(バルク)にチャネルが形成されるため、s−channel構造は、トランジスタのソース−ドレイン間に大電流を流すことができ、トランジスタのオン電流を高くすることができる。
s−channel構造は、高いオン電流が得られるため、LSI(Large Scale Integration)など微細化されたトランジスタが要求される半導体装置に適した構造といえる。トランジスタを微細化できるため、該トランジスタを有する半導体装置は、集積度の高い、高密度化された半導体装置とすることが可能となる。
トランジスタ400aにおいて、ゲート電極として機能する領域は、絶縁膜405などに形成された開口部を埋めるように自己整合(self align)的に形成される。
図9(B)に示すように、導電膜411と導電膜422は、絶縁膜を間に介して、互いに重なる領域を有する。同様に、導電膜411と導電膜424は、絶縁膜を間に介して、互いに重なる領域を有する。これらの領域は、ゲート電極と、ソース電極又はドレイン電極との間に生じた寄生容量として機能し、トランジスタ400aの動作速度を低下させる原因になり得る。トランジスタ400aは、絶縁膜405を設けることで、上述の寄生容量を低下させることが可能になる。絶縁膜405は、比誘電率の低い材料からなることが好ましい。
図10(A)は、トランジスタ400aの中央部を拡大したものである。図10(A)において、導電膜411の底面が、絶縁膜406及び金属酸化物433を介して、金属酸化物432の上面と平行に面する領域の長さを、幅LGとして示す。幅LGは、ゲート電極の線幅を表す。また、図10(A)において、導電膜421と導電膜423の間の長さを、幅LSDとして示す。幅LSDは、ソース電極とドレイン電極との間の長さを表す。
幅LSDは最小加工寸法で決定されることが多い。図10(A)に示すように、幅LGは、幅LSDよりも小さい。すなわち、トランジスタ400aは、ゲート電極の線幅を、最小加工寸法より小さくすることが可能になる。具体的には、幅LGは、5nm以上60nm以下、好ましくは5nm以上30nm以下とすることが可能になる。
図10(A)において、導電膜421及び導電膜422の厚さの合計、又は、導電膜423及び導電膜424の厚さの合計を高さHSDと表す。
絶縁膜406の厚さを、高さHSD以下とすることで、ゲート電極からの電界をチャネル形成領域全体に印加することが可能になり好ましい。絶縁膜406の厚さは、30nm以下、好ましくは10nm以下とする。
また、導電膜422と導電膜411の間に形成される寄生容量、及び、導電膜424と導電膜411の間に形成される寄生容量の値は、絶縁膜405の厚さに反比例する。例えば、絶縁膜405の厚さを、絶縁膜406の厚さの3倍以上、好ましくは5倍以上とすることで、寄生容量は無視できるほど小さくなり、好ましい。その結果、トランジスタ400aを高周波数で動作させることが可能になる。
以下、トランジスタ400aの各構成要素について説明を行う。
<<金属酸化物層>>
まず、金属酸化物431乃至金属酸化物433に適用可能な金属酸化物について説明を行う。
トランジスタ400aは、非導通状態においてソースとドレインとの間を流れる電流(オフ電流)が低いことが好適である。オフ電流が低いトランジスタとしては、チャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタが挙げられる。
金属酸化物432は、例えば、インジウム(In)を含む酸化物半導体である。金属酸化物432は、例えば、インジウムを含むと、キャリア移動度(電子移動度)が高くなる。また、金属酸化物432は、元素Mを含むと好ましい。元素Mは、好ましくは、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、イットリウム(Y)又はスズ(Sn)などとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素(B)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、マグネシウム(Mg)などがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。元素Mは、例えば、酸素との結合エネルギーが高い元素である。例えば、酸素との結合エネルギーがインジウムよりも高い元素である。又は、元素Mは、例えば、金属酸化物のエネルギーギャップを大きくする機能を有する元素である。また、金属酸化物432は、亜鉛(Zn)を含むと好ましい。金属酸化物は、亜鉛を含むと結晶化しやすくなる場合がある。
ただし、金属酸化物432は、インジウムを含む酸化物半導体に限定されない。金属酸化物432は、例えば、亜鉛スズ酸化物、ガリウムスズ酸化物などの、インジウムを含まず、亜鉛を含む酸化物半導体、ガリウムを含む酸化物半導体、スズを含む酸化物半導体などであっても構わない。
金属酸化物432は、例えば、エネルギーギャップが大きい酸化物半導体を用いる。金属酸化物432のエネルギーギャップは、例えば、2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.8eV以上3.8eV以下、さらに好ましくは3eV以上かつ3.5eV以下とする。
金属酸化物432は、後述するCAAC−OS膜であることが好ましい。
例えば、金属酸化物431及び金属酸化物433は、金属酸化物432を構成する酸素以外の元素一種、又は二種以上から構成される金属酸化物である。金属酸化物432を構成する酸素以外の元素一種、又は二種以上から金属酸化物431及び金属酸化物433が構成されるため、金属酸化物431と金属酸化物432との界面、及び金属酸化物432と金属酸化物433との界面において、界面準位が形成されにくい。
なお、金属酸化物431がIn−M−Zn酸化物のとき、In及びMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%より高く、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%より高いとする。金属酸化物431をスパッタリング法で成膜する場合、上記の組成を満たすスパッタリングターゲットを用いることが好ましい。例えば、In:M:Zn=1:3:2、In:M:Zn=1:3:4などが好ましい。
また、金属酸化物432がIn−M−Zn酸化物のとき、In及びMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが25atomic%より高く、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%より高く、Mが66atomic%未満とする。金属酸化物432をスパッタリング法で成膜する場合、上記の組成を満たすスパッタリングターゲットを用いることが好ましい。例えば、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:4.1が好ましい。特に、スパッタリングターゲットとして、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:4.1を用いる場合、成膜される金属酸化物432の原子数比は、In:Ga:Zn=4:2:3近傍となる場合がある。
また、金属酸化物433がIn−M−Zn酸化物のとき、In及びMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%より高く、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%より高くする。例えば、In:M:Zn=1:3:2、In:M:Zn=1:3:4などが好ましい。また、金属酸化物433は、金属酸化物431と同種の金属酸化物を用いても構わない。
また、金属酸化物431又は金属酸化物433がインジウムを含まなくても構わない場合がある。例えば、金属酸化物431又は金属酸化物433が酸化ガリウムであっても構わない。
次に、金属酸化物431乃至金属酸化物433の積層により構成される金属酸化物430の機能及びその効果について、図10(B)に示すエネルギーバンド構造図を用いて説明する。図10(B)は、図10(A)にY1−Y2の鎖線で示した部位のエネルギーバンド構造を示している。また、図10(B)は、トランジスタ400aのチャネル形成領域とその近傍のエネルギーバンド構造を示している。
図10(B)中、Ec404、Ec431、Ec432、Ec433、Ec406は、それぞれ、絶縁膜404、金属酸化物431、金属酸化物432、金属酸化物433、絶縁膜406の伝導帯下端のエネルギーを示している。
ここで、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差(「電子親和力」ともいう。)は、真空準位と価電子帯上端のエネルギーとの差(イオン化ポテンシャルともいう。)からエネルギーギャップを引いた値となる。なお、エネルギーギャップは、分光エリプソメータを用いて測定できる。また、真空準位と価電子帯上端のエネルギー差は、紫外線光電子分光分析(UPS:Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy)装置を用いて測定できる。
絶縁膜404と絶縁膜406は絶縁体であるため、Ec406とEc404は、Ec431、Ec432、及びEc433よりも真空準位に近い(電子親和力が小さい)。
金属酸化物432は、金属酸化物431及び金属酸化物433よりも電子親和力の大きい金属酸化物を用いる。例えば、金属酸化物432として、金属酸化物431及び金属酸化物433よりも電子親和力の0.07eV以上かつ1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上かつ0.7eV以下、さらに好ましくは0.15eV以上かつ0.4eV以下大きい金属酸化物を用いる。なお、電子親和力は、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差である。
なお、インジウムガリウム酸化物は、小さい電子親和力と、高い酸素ブロック性を有する。そのため、金属酸化物433がインジウムガリウム酸化物を含むと好ましい。ガリウム原子割合[Ga/(In+Ga)]は、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上とする。
このとき、ゲート電圧を印加すると、金属酸化物431、金属酸化物432、金属酸化物433のうち、電子親和力の大きい金属酸化物432にチャネルが形成される。
このとき、電子は、金属酸化物431、及び金属酸化物433の中ではなく、金属酸化物432の中を主として移動する。そのため、金属酸化物431と絶縁膜404との界面、あるいは、金属酸化物433と絶縁膜406との界面に、電子の流れを阻害する界面準位が多く存在したとしても、トランジスタのオン電流にはほとんど影響を与えない。金属酸化物431、及び金属酸化物433は、絶縁膜のように機能する。
金属酸化物431と金属酸化物432との間には、金属酸化物431と金属酸化物432との混合領域を有する場合がある。また、金属酸化物432と金属酸化物433との間には、金属酸化物432と金属酸化物433との混合領域を有する場合がある。混合領域は、界面準位密度が低くなる。そのため、金属酸化物431、金属酸化物432及び金属酸化物433の積層体は、それぞれの界面近傍において、エネルギーが連続的に変化する(連続接合ともいう。)バンド構造となる。
金属酸化物431と金属酸化物432の界面、あるいは、金属酸化物432と金属酸化物433との界面は、上述したように界面準位密度が小さいため、金属酸化物432中で電子の移動が阻害されることが少なく、トランジスタのオン電流を高くすることが可能になる。
例えば、トランジスタ中の電子の移動は、チャネル形成領域の物理的な凹凸が大きい場合に阻害される。トランジスタのオン電流を高くするためには、例えば、金属酸化物432の上面又は下面(被形成面、ここでは金属酸化物431の上面)の、1μm×1μmの範囲における二乗平均平方根(RMS:Root Mean Square)粗さが1nm未満、好ましくは0.6nm未満、さらに好ましくは0.5nm未満、より好ましくは0.4nm未満とすればよい。また、1μm×1μmの範囲における平均面粗さ(Raともいう。)が1nm未満、好ましくは0.6nm未満、さらに好ましくは0.5nm未満、より好ましくは0.4nm未満とすればよい。また、1μm×1μmの範囲における最大高低差(P−Vともいう。)が10nm未満、好ましくは9nm未満、さらに好ましくは8nm未満、より好ましくは7nm未満とすればよい。RMS粗さ、Ra及びP−Vは、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製走査型プローブ顕微鏡システムSPA−500などを用いて測定することができる。
チャネルの形成される領域中の欠陥準位密度が高い場合にも、電子の移動は阻害される。例えば、金属酸化物432が酸素欠損(VOとも表記する場合がある。)を有する場合、酸素欠損のサイトに水素が入り込むことでドナー準位を形成することがある。以下では酸素欠損のサイトに水素が入り込んだ状態をVOHと表記する場合がある。VOHは電子を散乱するため、トランジスタのオン電流を低下させる要因となる。なお、酸素欠損のサイトは、水素が入るよりも酸素が入る方が安定する。したがって、金属酸化物432中の酸素欠損を低減することで、トランジスタのオン電流を高くすることができる場合がある。
例えば、金属酸化物432のある深さにおいて、又は、金属酸化物432のある領域において、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)で測定される水素濃度は、1×1016atoms/cm3以上2×1020atoms/cm3以下、好ましくは1×1016atoms/cm3以上5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1016atoms/cm3以上1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm3以上5×1018atoms/cm3以下とする。
金属酸化物432の酸素欠損を低減するために、例えば、絶縁膜404に含まれる過剰酸素を、金属酸化物431を介して金属酸化物432まで移動させる方法などがある。この場合、金属酸化物431は、酸素透過性を有する層(酸素を通過又は透過させる層)であることが好ましい。
なお、トランジスタがs−channel構造を有する場合、金属酸化物432の全体にチャネルが形成される。したがって、金属酸化物432が厚いほどチャネル領域は大きくなる。即ち、金属酸化物432が厚いほど、トランジスタのオン電流を高くすることができる。
また、トランジスタのオン電流を高くするためには、金属酸化物433は薄いほど好ましい。金属酸化物433は、例えば、10nm未満、好ましくは5nm以下、さらに好ましくは3nm以下の領域を有していればよい。一方、金属酸化物433は、チャネルの形成される金属酸化物432へ、隣接する絶縁体を構成する酸素以外の元素(水素、シリコンなど)が入り込まないようブロックする機能を有する。そのため、金属酸化物433は、ある程度の厚さを有することが好ましい。金属酸化物433は、例えば、0.3nm以上、好ましくは1nm以上、さらに好ましくは2nm以上の厚さの領域を有していればよい。また、金属酸化物433は、絶縁膜404などから放出される酸素の外方拡散を抑制するために、酸素をブロックする性質を有すると好ましい。
また、信頼性を高くするためには、金属酸化物431は厚く、金属酸化物433は薄いことが好ましい。金属酸化物431は、例えば、10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは40nm以上、より好ましくは60nm以上の厚さの領域を有していればよい。金属酸化物431の厚さを、厚くすることで、隣接する絶縁体と金属酸化物431との界面からチャネルの形成される金属酸化物432までの距離を離すことができる。ただし、半導体装置の生産性が低下する場合があるため、金属酸化物431は、例えば、200nm以下、好ましくは120nm以下、さらに好ましくは80nm以下の厚さの領域を有していればよい。
例えば、金属酸化物432と金属酸化物431との間に、例えば、SIMS分析において、1×1016atoms/cm3以上1×1019atoms/cm3未満、好ましくは1×1016atoms/cm3以上5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1016atoms/cm3以上2×1018atoms/cm3未満のシリコン濃度となる領域を有する。また、金属酸化物432と金属酸化物433との間に、SIMSにおいて、1×1016atoms/cm3以上1×1019atoms/cm3未満、好ましくは1×1016atoms/cm3以上5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1016atoms/cm3以上2×1018atoms/cm3未満のシリコン濃度となる領域を有する。
また、金属酸化物432の水素濃度を低減するために、金属酸化物431及び金属酸化物433の水素濃度を低減すると好ましい。金属酸化物431及び金属酸化物433は、SIMSにおいて、1×1016atoms/cm3以上2×1020atoms/cm3以下、好ましくは1×1016atoms/cm3以上5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1016atoms/cm3以上1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm3以上5×1018atoms/cm3以下の水素濃度となる領域を有する。また、金属酸化物432の窒素濃度を低減するために、金属酸化物431及び金属酸化物433の窒素濃度を低減すると好ましい。金属酸化物431及び金属酸化物433は、SIMSにおいて、1×1016atoms/cm3以上5×1019atoms/cm3未満、好ましくは1×1016atoms/cm3以上5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1016atoms/cm3以上1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm3以上5×1017atoms/cm3以下の窒素濃度となる領域を有する。
金属酸化物431乃至金属酸化物433の成膜は、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法又はPLD(Pulsed Laser Deposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法などを用いて行えばよい。
金属酸化物431、金属酸化物432を形成した後に、第1の加熱処理を行うと好ましい。第1の加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは450℃以上600℃以下、さらに好ましくは520℃以上570℃以下で行えばよい。第1の加熱処理は、不活性ガス雰囲気、又は酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で行う。第1の加熱処理は減圧状態で行ってもよい。又は、第1の加熱処理は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上又は10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。第1の加熱処理によって、金属酸化物431、金属酸化物432の結晶性を高めることや、水素や水などの不純物を除去することが可能になる。
上述の3層構造は一例である。例えば、金属酸化物431又は金属酸化物433のどちらか一方の無い2層構造としても構わない。又は、金属酸化物431の上もしくは下、又は金属酸化物433上もしくは下に、金属酸化物431、金属酸化物432及び金属酸化物433として例示した半導体のいずれか一を有する4層構造としても構わない。又は、金属酸化物431の上、金属酸化物431の下、金属酸化物433の上、金属酸化物433の下のいずれか二箇所以上に、金属酸化物431、金属酸化物432及び金属酸化物433として例示した半導体のいずれか一を有するn層構造(nは5以上の整数)としても構わない。
<<基板>>
基板450としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板又は導電体基板を用いればよい。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体基板、又は炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムからなる化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板などがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板などがある。又は、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などがある。さらには、絶縁体基板に導電体又は半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体又は絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体又は絶縁体が設けられた基板などがある。又は、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
また、基板450として、可とう性基板を用いてもよい。なお、可とう性基板上にトランジスタを設ける方法としては、非可とう性の基板上にトランジスタを作製した後、トランジスタを剥離し、可とう性基板である基板450に転置する方法もある。その場合には、非可とう性基板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。なお、基板450として、繊維を編みこんだシート、フィルム又は箔などを用いてもよい。また、基板450が伸縮性を有してもよい。また、基板450は、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有してもよい。又は、元の形状に戻らない性質を有してもよい。基板450の厚さは、例えば、5μm以上700μm以下、好ましくは10μm以上500μm以下、さらに好ましくは15μm以上300μm以下とする。基板450を薄くすると、半導体装置を軽量化することができる。また、基板450を薄くすることで、ガラスなどを用いた場合にも伸縮性を有する場合や、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有する場合がある。そのため、落下などによって基板450上の半導体装置に加わる衝撃などを緩和することができる。即ち、丈夫な半導体装置を提供することができる。
可とう性基板である基板450としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、又はそれらの繊維などを用いることができる。可とう性基板である基板450は、線膨張率が低いほど環境による変形が抑制されて好ましい。可とう性基板である基板450としては、例えば、線膨張率が1×10−3/K以下、5×10−5/K以下、又は1×10−5/K以下である材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などがある。特に、アラミドは、線膨張率が低いため、可とう性基板である基板450として好適である。
<<下地絶縁膜>>
絶縁膜401は、基板450と導電膜414を電気的に分離させる機能を有する。
絶縁膜401又は絶縁膜402は、単層構造又は積層構造の絶縁膜で形成される。絶縁膜を構成する材料には、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどがある。
また、絶縁膜402として、TEOS(Tetra−Ethyl−Ortho−Silicate)若しくはシラン等と、酸素若しくは亜酸化窒素等とを反応させて形成した段差被覆性の良い酸化シリコンを用いてもよい。
また、絶縁膜402を成膜した後、その上面の平坦性を高めるためにCMP法等を用いた平坦化処理を行ってもよい。
絶縁膜404は、酸化物を含むことが好ましい。特に加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を含むことが好ましい。好適には、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物を用いることが好ましい。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物膜は、加熱により一部の酸素が脱離する。絶縁膜404から脱離した酸素は金属酸化物430に供給され、金属酸化物430の酸素欠損を低減することが可能となる。その結果、トランジスタの電気特性の変動を抑制し、信頼性を高めることができる。
化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物膜は、例えば、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、又は100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。
絶縁膜404は、金属酸化物430に酸素を供給することができる酸化物を含むことが好ましい。例えば、酸化シリコン又は酸化窒化シリコンを含む材料を用いることが好ましい。
又は、絶縁膜404として、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等の金属酸化物を用いてもよい。
絶縁膜404に酸素を過剰に含有させるためには、例えば酸素雰囲気下にて絶縁膜404の成膜を行えばよい。又は、成膜後の絶縁膜404に酸素を導入して酸素を過剰に含有する領域を形成してもよく、双方の手段を組み合わせてもよい。
例えば、成膜後の絶縁膜404に、酸素(少なくとも酸素ラジカル、酸素原子、酸素イオンのいずれかを含む)を導入して酸素を過剰に含有する領域を形成する。酸素の導入方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、プラズマ処理などを用いることができる。
酸素導入処理には、酸素を含むガスを用いることができる。酸素を含むガスとしては、例えば酸素、亜酸化窒素、二酸化窒素、二酸化炭素、一酸化炭素などを用いることができる。また、酸素導入処理において、酸素を含むガスに希ガスを含ませてもよい。又は、水素等を含ませてもよい。例えば、二酸化炭素、水素及びアルゴンの混合ガスを用いるとよい。
また、絶縁膜404を成膜した後、その上面の平坦性を高めるためにCMP法等を用いた平坦化処理を行ってもよい。
絶縁膜403は、絶縁膜404に含まれる酸素が、導電膜414に含まれる金属と結びつき、絶縁膜404に含まれる酸素が減少することを防ぐパッシベーション機能を有する。
絶縁膜403は、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキングできる機能を有する。絶縁膜403を設けることで、金属酸化物430からの酸素の外部への拡散と、外部から金属酸化物430への水素、水等の入り込みを防ぐことができる。
絶縁膜403としては、例えば、窒化物絶縁膜を用いることができる。該窒化物絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等がある。なお、窒化物絶縁膜の代わりに、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜を設けてもよい。酸化物絶縁膜としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。
トランジスタ400aは、電荷捕獲層に電子を注入することで、しきい値電圧を制御することが可能になる。電荷捕獲層は、絶縁膜402又は絶縁膜403に設けることが好ましい。例えば、絶縁膜403を酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル、アルミニウムシリケート等で形成することで、電荷捕獲層として機能させることができる。
<<ゲート電極>>
導電膜411乃至導電膜414として、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、金(Au)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、鉛(Pb)、錫(Sn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ストロンチウム(Sr)の低抵抗材料からなる単体、合金、又はこれらを主成分とする化合物を含む導電膜の単層又は積層とすることが好ましい。特に、耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましい。また、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。さらに、Cu−Mn合金を用いると、酸素を含む絶縁体との界面に酸化マンガンを形成し、酸化マンガンがCuの拡散を抑制する機能を持つので好ましい。
また、導電膜411乃至導電膜414として、上述した金属酸化物431乃至金属酸化物433のいずれか一の材料を用いてもよい。ただし、上述した条件で形成した金属酸化物431乃至金属酸化物433のままでは半導体としての機能を有するため、金属酸化物431乃至金属酸化物433を導電体として機能するように、別途工程を行う必要がある。具体的には、導電膜411乃至導電膜414として、金属酸化物431乃至金属酸化物433のいずれか一を形成し、絶縁膜407として窒化シリコンを、CVD法など水素を含むプラズマを用いて成膜することによって、金属酸化物431乃至金属酸化物433の抵抗を下げることができる。これにより、金属酸化物431乃至金属酸化物433を導電体として、導電膜411乃至導電膜414に用いることができる。
<<ソース電極、ドレイン電極>>
導電膜421乃至導電膜424として、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、金(Au)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、鉛(Pb)、錫(Sn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ストロンチウム(Sr)の低抵抗材料からなる単体、合金、又はこれらを主成分とする化合物を含む導電膜の単層又は積層とすることが好ましい。特に、耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましい。また、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。さらに、Cu−Mn合金を用いると、酸素を含む絶縁体との界面に酸化マンガンを形成し、酸化マンガンがCuの拡散を抑制する機能を持つので好ましい。
また、導電膜421乃至導電膜424には、酸化イリジウム、酸化ルテニウム、ストロンチウムルテナイトなど、貴金属を含む導電性酸化物を用いることが好ましい。これらの導電性酸化物は、酸化物半導体と接しても酸化物半導体から酸素を奪うことが少なく、酸化物半導体の酸素欠損を作りにくい。
<<低抵抗領域>>
領域441、領域442は、例えば、導電膜421、導電膜423が、金属酸化物431、金属酸化物432の酸素を引き抜くことで形成される。酸素の引き抜きは、高い温度で加熱するほど起こりやすい。トランジスタの作製工程には、いくつかの加熱工程があることから、領域441、領域442には酸素欠損が形成される。また、加熱により該酸素欠損のサイトに水素が入りこみ、領域441、領域442に含まれるキャリア濃度が増加する。その結果、領域441、領域442が低抵抗化する。
<<ゲート絶縁膜>>
絶縁膜406は、比誘電率の高い絶縁体を有することが好ましい。例えば、絶縁膜406は、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、アルミニウム及びハフニウムを有する酸化物、アルミニウム及びハフニウムを有する酸化窒化物、シリコン及びハフニウムを有する酸化物、又はシリコン及びハフニウムを有する酸化窒化物などを有することが好ましい。
また、絶縁膜406は、酸化シリコン又は酸化窒化シリコンと、比誘電率の高い絶縁体と、の積層構造を有することが好ましい。酸化シリコン及び酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、比誘電率の高い絶縁体と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。例えば、酸化アルミニウム、酸化ガリウム又は酸化ハフニウムを金属酸化物433側に有することで、酸化シリコン又は酸化窒化シリコンに含まれるシリコンが、金属酸化物432に混入することを抑制することができる。
また、例えば、酸化シリコン又は酸化窒化シリコンを金属酸化物433側に有することで、酸化アルミニウム、酸化ガリウム又は酸化ハフニウムと、酸化シリコン又は酸化窒化シリコンと、の界面にトラップセンターが形成される場合がある。該トラップセンターは、電子を捕獲することでトランジスタのしきい値電圧をプラス方向に変動させることができる場合がある。
<<層間絶縁膜、保護絶縁膜>>
絶縁膜405は、比誘電率の低い絶縁体を有することが好ましい。例えば、絶縁膜405は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン又は樹脂などを有することが好ましい。又は、絶縁膜405は、酸化シリコン又は酸化窒化シリコンと、樹脂と、の積層構造を有することが好ましい。酸化シリコン及び酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、樹脂と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の低い積層構造とすることができる。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート又はアクリルなどがある。
絶縁膜407は、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキングできる機能を有する。絶縁膜407を設けることで、金属酸化物430からの酸素の外部への拡散と、外部から金属酸化物430への水素、水等の入り込みを防ぐことができる。
絶縁膜407としては、例えば、窒化物絶縁膜を用いることができる。該窒化物絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等がある。なお、窒化物絶縁膜の代わりに、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜を設けてもよい。酸化物絶縁膜としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。
酸化アルミニウム膜は、水素、水分などの不純物、及び酸素の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高いので絶縁膜407に適用するのに好ましい。
絶縁膜407は、スパッタリング法、CVD法など酸素を含むプラズマを用いて成膜することで、絶縁膜405、絶縁膜406の側面及び表面に、酸素を添加することが可能になる。また、絶縁膜407を成膜した後、いずれかのタイミングにおいて、第2の加熱処理を行うことが好ましい。第2の加熱処理によって、絶縁膜405、絶縁膜406に添加された酸素が、絶縁膜中を拡散し、金属酸化物430に到達し、金属酸化物430の酸素欠損を低減することが可能になる。
図11(A)、及び図11(B)は、絶縁膜407を成膜する際に絶縁膜405、絶縁膜406に添加された酸素が、第2の加熱処理によって絶縁膜中を拡散し、金属酸化物430に到達する様子を描いた模式図である。図11(A)は、図9(B)の断面図において、酸素が拡散する様子を矢印で示している。同様に、図11(B)は、図9(C)の断面図において、酸素が拡散する様子を矢印で示している。
図11(A)、及び図11(B)に示すように、絶縁膜406の側面に添加された酸素が、絶縁膜406の内部を拡散し、金属酸化物430に到達する。また、絶縁膜407と絶縁膜405の界面近傍に、酸素を過剰に含む領域461、領域462及び領域463が形成される場合がある。領域461乃至領域463に含まれる酸素は、絶縁膜405、絶縁膜404を経由し、金属酸化物430に到達する。絶縁膜405が酸化シリコンを含み、絶縁膜407が酸化アルミニウムを含む場合、領域461乃至領域463は、シリコンとアルミニウムと酸素の混合層が形成される場合がある。
絶縁膜407は、酸素をブロックする機能を有し、酸素が絶縁膜407より上方に拡散することを防ぐ。同様に、絶縁膜403は、酸素をブロックする機能を有し、酸素が絶縁膜403より下方に拡散することを防ぐ。
なお、第2の加熱処理は、絶縁膜405、絶縁膜406に添加された酸素が金属酸化物430まで拡散する温度で行えばよい。例えば、第1の加熱処理についての記載を参照しても構わない。又は、第2の加熱処理は、第1の加熱処理よりも低い温度が好ましい。第1の加熱処理と第2の加熱処理の温度差は、20℃以上かつ150℃以下、好ましくは40℃以上かつ100℃以下とする。これにより、絶縁膜404から余分に酸素が放出することを抑えることができる。なお、第2の加熱処理は、同等の加熱処理を各層の成膜時の加熱によって兼ねることができる場合、行わなくてもよい場合がある。
このように、金属酸化物430は、絶縁膜407の成膜及び第2の加熱処理によって、上下方向から酸素が供給されることが可能になる。
また、In−M−Zn酸化物など、酸化インジウムを含む膜を絶縁膜407として成膜することで、絶縁膜405、絶縁膜406に酸素を添加してもよい。
絶縁膜408には、酸化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどから選ばれた一種以上含む絶縁体を用いることができる。また、絶縁膜408には、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の樹脂を用いることもできる。また、絶縁膜408は上記材料の積層であってもよい。
<トランジスタの構成例2>
図9に示すトランジスタ400aは、導電膜414及び絶縁膜402、絶縁膜403を省略してもよい。その場合の例を図12に示す。
図12(A)乃至図12(C)は、トランジスタ400bの上面図及び断面図である。図12(A)は上面図である。図12(B)は、図12(A)に示す一点鎖線A1−A2に対応する断面図であり、図12(C)は、図12(A)に示す一点鎖線A3−A4に対応する断面図である。なお、図12(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。なお、一点鎖線A1−A2をトランジスタ400bのチャネル長方向、一点鎖線A3−A4をトランジスタ400bのチャネル幅方向と呼ぶ場合がある。
<トランジスタの構成例3>
図9に示すトランジスタ400aにおいて、導電膜421、423は、ゲート電極(導電膜411乃至導電膜413)と重なる部分の膜厚を薄くしてもよい。その場合の例を図13に示す。
図13(A)乃至図13(C)は、トランジスタ400cの上面図及び断面図である。図13(A)は上面図である。図13(B)は、図13(A)に示す一点鎖線A1−A2に対応する断面図であり、図13(C)は、図13(A)に示す一点鎖線A3−A4に対応する断面図である。なお、図13(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。なお、一点鎖線A1−A2をトランジスタ400cのチャネル長方向、一点鎖線A3−A4をトランジスタ400cのチャネル幅方向と呼ぶ場合がある。
図13(B)のトランジスタ400cにおいて、ゲート電極と重なる部分の導電膜421が薄膜化され、その上を導電膜422が覆っている。同様に、ゲート電極と重なる部分の導電膜423が薄膜化され、その上を導電膜424が覆っている。
トランジスタ400cは、図13(B)に示すような構成にすることで、ゲート電極とソース電極との間の距離、又は、ゲート電極とドレイン電極との間の距離を長くすることが可能になり、ゲート電極とソース電極及びドレイン電極との間に形成される寄生容量を低減することが可能になる。その結果、高速動作が可能なトランジスタを得ることが可能になる。
<トランジスタの構成例4>
図13に示すトランジスタ400cにおいて、A3−A4方向に、金属酸化物431、432の幅を広げてもよい。その場合の例を図14に示す。
図14(A)乃至図14(C)は、トランジスタ400dの上面図及び断面図である。図14(A)は上面図である。図14(B)は、図14(A)に示す一点鎖線A1−A2に対応する断面図であり、図14(C)は、図14(A)に示す一点鎖線A3−A4に対応する断面図である。なお、図14(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。なお、一点鎖線A1−A2をトランジスタ400dのチャネル長方向、一点鎖線A3−A4をトランジスタ400dのチャネル幅方向と呼ぶ場合がある。
トランジスタ400dは、図14に示す構成にすることで、オン電流を増大させることが可能になる。
<トランジスタの構成例5>
図13に示すトランジスタ400cにおいて、A3−A4方向に、金属酸化物431、432から成る領域(以下、フィンと呼ぶ)を複数設けてもよい。その場合の例を図15に示す。
図15(A)乃至図15(C)は、トランジスタ400eの上面図及び断面図である。図15(A)は上面図である。図15(B)は、図15(A)に示す一点鎖線A1−A2に対応する断面図であり、図15(C)は、図15(A)に示す一点鎖線A3−A4に対応する断面図である。なお、図15(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。なお、一点鎖線A1−A2をトランジスタ400eのチャネル長方向、一点鎖線A3−A4をトランジスタ400eのチャネル幅方向と呼ぶ場合がある。
トランジスタ400eは、金属酸化物431a、及び金属酸化物432aから成る第1のフィンと、金属酸化物431b、及び金属酸化物432bから成る第2のフィンと、金属酸化物431c、及び金属酸化物432cから成る第3のフィンと、を有している。
トランジスタ400eは、チャネルが形成される金属酸化物432a、金属酸化物432b、金属酸化物432cを、ゲート電極が取り囲むことで、チャネル全体にゲート電界を印加することが可能になり、オン電流が高いトランジスタを得ることが可能になる。
<トランジスタの構成例6>
図16(A)乃至図16(D)は、トランジスタ400fの上面図および断面図である。図16(A)は、トランジスタ400fの上面図であり、図16(B)は図16(A)に示す一点鎖線A1−A2に対応する断面図であり、図16(C)は一点鎖線A3−A4に対応する断面図である。なお、一点鎖線A1−A2をチャネル長方向、一点鎖線A3−A4をチャネル幅方向という場合がある。トランジスタ400fもトランジスタ400a等と同様に、s−channel構造のトランジスタである。トランジスタ400fでは、ゲート電極を構成する導電膜412の側面に接して、絶縁膜409が設けられている。絶縁膜409及び導電膜412は、絶縁膜407に覆われている。絶縁膜407は、絶縁膜408に覆われている。絶縁膜409はトランジスタ400fのサイドウォール絶縁体として機能する。トランジスタ400aと同様に、ゲート電極を導電膜411乃至導電膜413の積層としてもよい。また、トランジスタの構成例1で述べたように、ゲート電極の導電膜411乃至導電膜413として、金属酸化物431乃至金属酸化物433のいずれか一を用いてもよい。この場合、金属酸化物431乃至金属酸化物433を導電体として機能させるため、トランジスタの構成例1のゲート電極で詳述した処理方法を行う必要がある。
絶縁膜406及び導電膜412は、少なくとも一部が導電膜414及び金属酸化物432と重なる。導電膜412のチャネル長方向の側面端部と絶縁膜406のチャネル長方向の側面端部は概略一致していることが好ましい。ここで、絶縁膜406はトランジスタ400fのゲート絶縁体として機能し、導電膜412はトランジスタ400fのゲート電極として機能し、絶縁膜409はトランジスタ400fのサイドウォール絶縁体として機能する。
金属酸化物432は、金属酸化物433および絶縁膜406を介して導電膜412と重なる領域を有する。金属酸化物431の外周が金属酸化物432の外周と概略一致し、金属酸化物433の外周が金属酸化物431及び金属酸化物432の外周よりも外側に位置することが好ましい。ここでは、金属酸化物433の外周が金属酸化物431の外周よりも外側に位置する形状となっているが、本実施の形態に示すトランジスタはこれに限られるものではない。例えば、金属酸化物431の外周が金属酸化物433の外周より外側に位置してもよいし、金属酸化物431の側面端部と、金属酸化物433の側面端部とが概略一致する形状としてもよい。
図16(D)に図16(B)の部分拡大図を示す。図16(D)に示すように、金属酸化物430には、領域461a、461b、461c、461d及び461eが形成されている。領域461b乃至領域461eは、領域461aと比較してドーパントの濃度が高く、低抵抗化されている。さらに、領域461b及び領域461cは、領域461d及び領域461eと比較して水素の濃度が高く、より低抵抗化されている。例えば、領域461aは、領域461bまたは領域461cのドーパントの最大濃度に対して、5%以下の濃度の領域、2%以下の濃度の領域、または1%以下の濃度の領域とすればよい。なお、ドーパントを、ドナー、アクセプター、不純物または元素と言い換えてもよい。
図16(D)に示すように、金属酸化物430において、領域461aは導電膜412と概ね重なる領域であり、領域461b、領域461c、領域461d及び領域461eは、領域461aを除いた領域である。領域461b及び領域461cにおいては、金属酸化物433の上面が絶縁膜407と接する。領域461d及び領域461eにおいては、金属酸化物433の上面が絶縁膜409又は絶縁膜406と接する。つまり、図16(D)に示すように、領域461bと領域461dの境界は、絶縁膜407と絶縁膜409の側面端部の境界と重なる部分である。領域461cと領域461eの境界についても同様である。ここで、領域461d及び領域461eの一部が、金属酸化物432の導電膜412と重なる領域(チャネル形成領域)の一部と重なることが好ましい。例えば、領域461d及び領域461eのチャネル長方向の側面端部は、導電膜412の側面端部より距離dだけ導電膜412の内側に位置することが好ましい。このとき、絶縁膜406の膜厚t406および距離dは、0.25t406<d<t406を満たすことが好ましい。
このように、金属酸化物430の導電膜412と重なる領域の一部に領域461d及び領域461eが形成される。これにより、トランジスタ400fのチャネル形成領域と低抵抗化された領域461d及び領域461eが接し、領域461dおよび領域461eと、領域461aとの間に、高抵抗のオフセット領域が形成されないため、トランジスタ400fのオン電流を増大させることができる。さらに、領域461d及び領域461eのチャネル長方向の側面端部が上記の範囲を満たして形成されることで、領域461d及び領域461eがチャネル形成領域に対して深く形成されすぎて常に導通状態になってしまうことも防ぐことができる。
領域461b、領域461c、領域461d及び領域461eは、イオン注入法などのイオンドーピング処理により形成される。このため、図16(D)に示すように、領域461dと領域461aの境界は、金属酸化物433の上面から金属酸化物431の下面方向に深くなるにしたがって、領域461dと領域461bの境界に近づく場合がある。このときの距離dは、一点鎖線A1−A2方向において導電膜412の最も内側に近い、領域461dと領域461aの境界と、導電膜412の一点鎖線A1−A2方向におけるA1側の側面端部との距離とする。同様に、領域461eと領域461aの境界が、金属酸化物433上面から金属酸化物431の下面方向に深くなるにしたがって、領域461eと領域461cの境界に近づく場合がある。このときの距離dは、一点鎖線A1−A2方向において導電膜412の最も内側に近い、領域461eと領域461aの境界と、導電膜412の一点鎖線A1−A2方向におけるA2側の側面端部との距離とする。
この場合、例えば、金属酸化物431中に形成される領域461d及び領域461eが導電膜412と重なる領域に形成されない場合がある。この場合、金属酸化物431又は金属酸化物432に形成される領域461d及び領域461eの少なくとも一部が導電膜412と重なる領域に形成されることが好ましい。
また、金属酸化物431、金属酸化物432及び金属酸化物433の絶縁膜407との界面近傍に低抵抗領域451及び低抵抗領域452が形成されることが好ましい。低抵抗領域451及び低抵抗領域452は、絶縁膜407に含まれる元素の少なくとも一が含まれる。低抵抗領域451及び低抵抗領域452の一部が、金属酸化物432の導電膜412と重なる領域(チャネル形成領域)と概略接するか、当該領域の一部と重なることが好ましい。
また、金属酸化物433は絶縁膜407と接する領域が大きいため、低抵抗領域451及び低抵抗領域452は金属酸化物433に形成されやすい。金属酸化物433における低抵抗領域451と低抵抗領域452は、金属酸化物433の低抵抗領域451及び低抵抗領域452ではない領域(例えば、金属酸化物433の導電膜412と重なる領域)より、絶縁膜407に含まれる元素の濃度が高い。
領域461b中に低抵抗領域451が形成され、領域461c中に低抵抗領域452が形成される。金属酸化物430の理想的な構造は、例えば、添加元素の濃度が最も高い領域が低抵抗領域451、452であり、次に濃度が高い領域が、領域461b、領域461cの低抵抗領域451、452を含まない領域であり、濃度が最も低い領域が領域461aであることである。添加元素とは、領域461b、461cを形成するためのドーパント、および低抵抗領域451、452に絶縁膜407から添加される元素が該当する。
なおトランジスタ400fでは低抵抗領域451、452が形成される構成としているが、本実施の形態に示す半導体装置は、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、領域461b及び領域461cの抵抗が十分低い場合、低抵抗領域451及び低抵抗領域452を形成する必要はない。
<トランジスタの構成例7>
図17(A)及び図17(B)は、トランジスタ680の上面図及び断面図である。図17(A)は上面図であり、図17(A)に示す一点鎖線A−B方向の断面が図17(B)に相当する。なお、図17(A)及び図17(B)では、図の明瞭化のために一部の要素を拡大、縮小、又は省略して図示している。また、一点鎖線A−B方向をチャネル長方向と呼称する場合がある。
図17(B)に示すトランジスタ680は、第1のゲートとして機能する導電膜689と、第2のゲートとして機能する導電膜688と、半導体682と、ソース及びドレインとして機能する導電膜683及び導電膜684と、絶縁膜681と、絶縁膜685と、絶縁膜686と、絶縁膜687と、を有する。
導電膜689は、絶縁表面上に設けられる。導電膜689と、半導体682とは、絶縁膜681を間に挟んで、互いに重なる。また、導電膜688と、半導体682とは、絶縁膜685、絶縁膜686及び絶縁膜687を間に挟んで、互いに重なる。また、導電膜683及び導電膜684は、半導体682に、接続されている。
導電膜689及び導電膜688の詳細は、図9に示す導電膜411乃至導電膜414の記載を参照すればよい。
導電膜689と導電膜688は、異なる電位が与えられてもよいし、同時に同じ電位が与えられてもよい。トランジスタ680は、第2のゲート電極として機能する導電膜688を設けることで、しきい値電圧を安定化させることが可能になる。なお、導電膜688は、場合によっては省略してもよい。
半導体682の詳細は、図9に示す金属酸化物432の記載を参照すればよい。また、半導体682は、一層でも良いし、複数の半導体層の積層でも良い。
導電膜683及び導電膜684の詳細は、図9に示す導電膜421乃至424の記載を参照すればよい。
絶縁膜681の詳細は、図9に示す絶縁膜406の記載を参照すればよい。
なお、図17(B)では、半導体682、導電膜683及び導電膜684上に、順に積層された絶縁膜685乃至絶縁膜687が設けられている場合を例示しているが、半導体682、導電膜683及び導電膜684上に設けられる絶縁膜は、一層でも良いし、複数の絶縁膜の積層でも良い。
半導体682に酸化物半導体を用いた場合、絶縁膜686は、化学量論的組成以上の酸素が含まれており、加熱により上記酸素の一部を半導体682に供給する機能を有する絶縁膜であることが望ましい。ただし、絶縁膜686を半導体682上に直接設けると、絶縁膜686の形成時に半導体682にダメージが与えられる場合、図17(B)に示すように、絶縁膜685を半導体682と絶縁膜686の間に設けると良い。絶縁膜685は、その形成時に半導体682に与えるダメージが絶縁膜686の場合よりも小さく、なおかつ、酸素を透過する機能を有する絶縁膜であることが望ましい。ただし、半導体682に与えられるダメージを小さく抑えつつ、半導体682上に絶縁膜686を直接形成することができるのであれば、絶縁膜685は必ずしも設けなくとも良い。
例えば、絶縁膜685及び絶縁膜686として、酸化シリコン又は酸化窒化シリコンを含む材料を用いることが好ましい。又は、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等の金属酸化物を用いることもできる。
絶縁膜687は、酸素、水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を有することが、望ましい。或いは、絶縁膜687は、水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を有することが、望ましい。
絶縁膜は、密度が高くて緻密である程、また未結合手が少なく化学的に安定である程、より高いブロッキング効果を示す。酸素、水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を示す絶縁膜は、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等を用いて、形成することができる。水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を示す絶縁膜は、例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン等を用いることができる。
絶縁膜687が水、水素などの拡散を防ぐブロッキング効果を有する場合、パネル内の樹脂や、パネルの外部に存在する水、水素などの不純物が、半導体682に侵入するのを防ぐことができる。半導体682に酸化物半導体を用いる場合、酸化物半導体に侵入した水又は水素の一部は電子供与体(ドナー)となるため、上記ブロッキング効果を有する絶縁膜687を用いることで、トランジスタ680のしきい値電圧がドナーの生成によりシフトするのを防ぐことができる。
また、半導体682に酸化物半導体を用いる場合、絶縁膜687が酸素の拡散を防ぐブロッキング効果を有することで、酸化物半導体からの酸素が外部に拡散するのを防ぐことができる。よって、酸化物半導体中において、ドナーとなる酸素欠損が低減されるので、トランジスタ680のしきい値電圧がドナーの生成によりシフトするのを防ぐことができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態に示すメモリセル210、メモリセル220、メモリセル230、メモリセル240(以下、まとめてメモリセル200[i,j]と呼称する)に適用可能なデバイスの構成例について、図18乃至図21を用いて説明を行う。
<<チップ構成例1>>
図18(A)、及び図18(B)に示す断面図はメモリセル200[i,j]が1つのチップに形成された例を示している。図18(A)は、メモリセル200[i,j]を構成するトランジスタのチャネル長方向の断面図を表している。また、図18(B)は、メモリセル200[i,j]を構成するトランジスタのチャネル幅方向の断面図を表している。
図18(A)、及び図18(B)に示すメモリセル200[i,j]は、下から順に、層L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11、L12を有している。
層L1は、基板700と、基板700に形成されたトランジスタTr0と、素子分離層701と、導電体710、導電体711などの複数の導電体を有する。
層L2は、配線730、配線731などの複数の配線を有する。
層L3は、導電体712、導電体713などの複数の導電体と、複数の配線(図示せず)を有する。
層L4は、絶縁体706と、トランジスタTr1と、絶縁体702と、絶縁体703と、導電体714、715などの複数の導電体を有する。
層L5は、配線732、配線733などの複数の配線を有する。
層L6は、導電体716などの複数の導電体を有する。
層L7は、トランジスタTr2と、絶縁体704、絶縁体705と、導電体717などの複数の導電体を有する。
層L8は、配線734、配線735などの複数の配線を有する。
層L9は、導電体718などの複数の導電体と、複数の配線(図示せず)を有する。
層L10は、配線736などの複数の配線を有する。
層L11は、容量素子C1と、導電体719などの複数の導電体とを有している。また、容量素子C1は、第1の電極751と、第2の電極752と、絶縁膜753と、を有している。
層L12は、配線737などの複数の配線を有している。
トランジスタTr1、Tr2は、実施の形態3に示したOSトランジスタを適用することが好ましい。図18(A)、及び図18(B)は、トランジスタTr1、Tr2に、図13(A)乃至図13(C)に示すトランジスタ400cを適用した例を示している。
トランジスタTr0は、トランジスタTr1、Tr2とは異なる半導体材料で形成されることが好ましい。図18(A)、及び図18(B)では、トランジスタTr0にSiトランジスタを適用した例を示している。
基板700としては、シリコンや炭化シリコンからなる単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムからなる化合物半導体基板や、SOI基板などを用いることができる。
また、基板700として、例えば、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、金属基板、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、又は基材フィルム、などを用いてもよい。また、ある基板を用いて半導体素子を形成し、その後、別の基板に半導体素子を転置してもよい。図18(A)、及び図18(B)では、一例として、基板700に単結晶シリコンウェハを用いた例を示している。
図20(A)、及び図20(B)を用いて、トランジスタTr0の詳細について説明を行う。図20(A)はトランジスタTr0のチャネル長方向の断面図を示し、図20(B)はトランジスタTr0のチャネル幅方向の断面図を示している。トランジスタTr0は、ウェル792に設けられたチャネル形成領域793と、低濃度不純物領域794及び高濃度不純物領域795(これらを合わせて単に不純物領域とも呼ぶ)と、該不純物領域に接して設けられた導電性領域796と、チャネル形成領域793上に設けられたゲート絶縁膜797と、ゲート絶縁膜797上に設けられたゲート電極790と、ゲート電極790の側面に設けられた側壁絶縁層798、799とを有する。なお、導電性領域796には、金属シリサイド等を用いてもよい。
図20(B)において、トランジスタTr0はチャネル形成領域793が凸形状を有し、その側面及び上面に沿ってゲート絶縁膜797及びゲート電極790が設けられている。このような形状を有するトランジスタをFIN型トランジスタと呼ぶ。本実施の形態では、半導体基板の一部を加工して凸部を形成する場合を示したが、SOI基板を加工して凸形状を有する半導体層を形成してもよい。
なお、トランジスタTr0は、FIN型トランジスタに限定されず、図21(A)、及び図21(B)に示すプレーナー型トランジスタを用いてもよい。図21(A)は、トランジスタTr0のチャネル長方向の断面図を示し、図21(B)はトランジスタTr0のチャネル幅方向の断面図を示している。図21に示す符号は、図20に示す符号と同一である。
図18(A)、及び図18(B)において、絶縁体702乃至絶縁体706は、水素、水等に対するブロッキング効果を有することが好ましい。水、水素等は酸化物半導体中にキャリアを生成する要因の一つであるので、水素、水等に対するブロッキング層を設けることにより、トランジスタTr1及びトランジスタTr2の信頼性を向上させることが可能になる。水素、水等に対するブロッキング効果を有する絶縁物には、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等がある。
配線730乃至配線737、及び、導電体710乃至導電体719には、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、金(Au)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、鉛(Pb)、錫(Sn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)の低抵抗材料からなる単体、もしくは合金、又はこれらを主成分とする化合物を含む導電膜の単層又は積層とすることが好ましい。特に、耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましい。また、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。さらに、Cu−Mn合金を用いると、酸素を含む絶縁体との界面に酸化マンガンを形成し、酸化マンガンがCuの拡散を抑制する機能を持つので好ましい。
図18において、符号及びハッチングパターンが与えられていない領域は、絶縁体で構成されている。上記絶縁体には、酸化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどから選ばれた一種以上の材料を含む絶縁体を用いることができる。また、当該領域には、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の有機樹脂を用いることもできる。なお、本明細書において、酸化窒化物とは、窒素よりも酸素の含有量が多い化合物をいい、窒化酸化物とは、酸素よりも窒素の含有量が多い化合物をいう。
実施の形態2に示すトランジスタOSTR2乃至トランジスタOSTR4にOSトランジスタを適用した場合、トランジスタOSTR2乃至トランジスタOSTR4は、層L4又は層L7に形成されることが好ましい。
実施の形態2に示すトランジスタSiTR1乃至トランジスタSiTR5にSiトランジスタを適用した場合、トランジスタSiTR1乃至トランジスタSiTR5は層L1に形成されることが好ましい。
実施の形態2に示すトランジスタSiTR1乃至トランジスタSiTR5にOSトランジスタを適用した場合、トランジスタSiTR1乃至トランジスタSiTR5は層L4又は層L7に形成されることが好ましい。
実施の形態1又は実施の形態2に示す容量素子MC1乃至容量素子MC4は、層L11に形成されることが好ましい。
メモリセル200[i,j]の周辺に形成される駆動回路をOSトランジスタで形成する場合、該OSトランジスタは層L4又は層L7に形成してもよい。
メモリセル200[i,j]の周辺に形成される駆動回路をSiトランジスタで形成する場合、該Siトランジスタは層L1に形成してもよい。
メモリセル200[i,j]は、図18に示す構成にすることで、占有面積を小さくし、メモリセルを高集積化することが可能になる。
<<チップ構成例2>>
メモリセル200[i,j]は、メモリセル200[i,j]が有する全てのOSトランジスタを、同一の層に形成してもよい。その場合の例を、図19(A)、及び図19(B)に示す。図18と同様に、図19(A)はメモリセル200[i,j]を構成するトランジスタのチャネル長方向の断面図を表し、図19(B)はメモリセル200[i,j]を構成するトランジスタのチャネル幅方向の断面図を表している。
図19(A)、及び図19(B)は、層L6乃至L8が省かれ、層L5の上に層L9が形成されている点で、図18(A)、及び図18(B)に示す断面図と相違する。図19(A)、及び図19(B)のその他の詳細は、図18(A)、及び図18(B)の記載を参酌する。
実施の形態1又は実施の形態2に示すトランジスタOSTR1乃至トランジスタOSTR4にOSトランジスタを適用した場合、トランジスタOSTR1乃至トランジスタOSTR4は、層L4に形成されることが好ましい。
実施の形態1又は実施の形態2に示すトランジスタSiTR1乃至トランジスタSiTR5にSiトランジスタを適用した場合、トランジスタSiTR1乃至トランジスタSiTR5は層L1に形成されることが好ましい。
実施の形態1又は実施の形態2に示すトランジスタSiTR1乃至トランジスタSiTR5にOSトランジスタを適用した場合、トランジスタSiTR1乃至トランジスタSiTR5は層L4に形成されることが好ましい。
実施の形態1又は実施の形態2に示す容量素子MC1乃至容量素子MC4は、層L11に形成されることが好ましい。
メモリセル200[i,j]の周辺に形成される駆動回路をOSトランジスタで形成する場合、該OSトランジスタは層L4に形成してもよい。
メモリセル200[i,j]の周辺に形成される駆動回路をSiトランジスタで形成する場合、該Siトランジスタは層L1に形成してもよい。
メモリセル200[i,j]は、図19(A)、及び図19(B)に示す構成にすることで、製造工程を単純化することが可能になる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態に示したメモリセル及び記憶装置を用いることが可能なCPUについて説明する。
図22は、CPUの一例の構成を示すブロック図である。
図22に示すCPUは、基板1190上に、ALU1191(ALU:Arithmetic logic unit、演算回路)、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース1198(Bus I/F)、書き換え可能なROM1199、及びROMインターフェース1189(ROM I/F)を有している。また、基板1190上の周辺部に外部接続用の複数のパッド1188を有している。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板などを用いる。ROM1199及びROMインターフェース1189は、別チップに設けてもよい。もちろん、図22に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。例えば、図22に示すCPU又は演算回路を含む構成を一つのコアとし、当該コアを複数含み、それぞれのコアが並列で動作するような構成としてもよい。また、CPUが内部演算回路やデータバスで扱えるビット数は、例えば8ビット、16ビット、32ビット、64ビットなどとすることができる。
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクションデコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195に入力される。
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種制御を行なう。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御するための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のアドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行なう。
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、及びレジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミングコントローラ1195は、基準クロック信号を元に、内部クロック信号を生成する内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号を上記各種回路に供給する。
図22に示すCPUでは、レジスタ1196に、上記実施の形態に示すメモリセルを用いることが可能である。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態6)
本発明の一態様に係る記憶装置は、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る記憶装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図23に示す。
図23(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体901、筐体902、表示部903、表示部904、マイクロフォン905、スピーカ906、操作キー907、スタイラス908等を有する。なお、図23(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部903と表示部904とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
図23(B)は、携帯電話機であり、筐体911、表示部916、操作ボタン914、外部接続ポート913、スピーカ917、マイク912などを備えている。図23(B)に示す携帯電話機は、指などで表示部916に触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いは文字を入力するなどのあらゆる操作は、指などで表示部916に触れることにより行うことができる。また、操作ボタン914の操作により、電源のON、OFF動作や、表示部916に表示される画像の種類を切り替えることができる。例えば、メール作成画面から、メインメニュー画面に切り替えることができる。
図23(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体921、表示部922、キーボード923、ポインティングデバイス924等を有する。
図23(D)は電気冷凍冷蔵庫であり、筐体931、冷蔵室用扉932、冷凍室用扉933等を有する。
図23(E)はビデオカメラであり、第1筐体941、第2筐体942、表示部943、操作キー944、レンズ945、接続部946等を有する。操作キー944及びレンズ945は第1筐体941に設けられており、表示部943は第2筐体942に設けられている。そして、第1筐体941と第2筐体942とは、接続部946により接続されており、第1筐体941と第2筐体942の間の角度は、接続部946により変更が可能である。表示部943における映像を、接続部946における第1筐体941と第2筐体942との間の角度に従って切り替える構成としても良い。
図23(F)は自動車であり、車体951、車輪952、ダッシュボード953、ライト954等を有する。
次に、本発明の一態様の半導体装置又は記憶装置を備えることができる表示装置の使用例について説明する。一例としては、表示装置は、画素を有する。画素は、例えば、トランジスタや表示素子を有する。又は、表示装置は、画素を駆動する駆動回路を有する。駆動回路は、例えば、トランジスタを有する。例えば、これらのトランジスタとして、他の実施の形態で述べたトランジスタを採用することができる。
例えば、本明細書等において、表示素子、表示素子を有する装置である表示装置、発光素子、及び発光素子を有する装置である発光装置は、様々な形態を用いること、又は様々な素子を有することが出来る。表示素子、表示装置、発光素子又は発光装置は、例えば、EL(エレクトロルミネッセンス)素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機EL素子、無機EL素子)、LEDチップ(白色LEDチップ、赤色LEDチップ、緑色LEDチップ、青色LEDチップなど)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、プラズマディスプレイ(PDP)、電子放出素子、カーボンナノチューブを用いた表示素子、液晶素子、電子インク、エレクトロウェッティング素子、電気泳動素子、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示素子(例えば、グレーティングライトバルブ(GLV)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、MIRASOL(登録商標)、IMOD(インターフェアレンス・モジュレーション)素子、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、圧電セラミックディスプレイなど)、又は、量子ドットなどの少なくとも一つを有している。これらの他にも、表示素子、表示装置、発光素子又は発光装置は、電気的又は磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有していてもよい。EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface−conduction Electron−emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク、電子粉流体(登録商標)、又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。量子ドットを各画素に用いた表示装置の一例としては、量子ドットディスプレイなどがある。なお、量子ドットは、表示素子としてではなく、バックライトの一部に設けてもよい。量子ドットを用いることにより、色純度の高い表示を行うことができる。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、又は、全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、又は、全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。なお、LEDチップを用いる場合、LEDチップの電極や窒化物半導体の下に、グラフェンやグラファイトを配置してもよい。グラフェンやグラファイトは、複数の層を重ねて、多層膜としてもよい。このように、グラフェンやグラファイトを設けることにより、その上に、窒化物半導体、例えば、結晶を有するn型GaN半導体層などを容易に成膜することができる。さらに、その上に、結晶を有するp型GaN半導体層などを設けて、LEDチップを構成することができる。なお、グラフェンやグラファイトと、結晶を有するn型GaN半導体層との間に、AlN層を設けてもよい。なお、LEDチップが有するGaN半導体層は、MOCVDで成膜してもよい。ただし、グラフェンを設けることにより、LEDチップが有するGaN半導体層は、スパッタ法で成膜することも可能である。また、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示素子においては、表示素子が封止されている空間(例えば、表示素子が配置されている素子基板と、素子基板に対向して配置されている対向基板との間)に、乾燥剤を配置してもよい。乾燥剤を配置することにより、MEMSなどが水分によって動きにくくなることや、劣化しやすくなることを防止することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の記憶装置を備えることができるRFタグの使用例について図24を用いながら説明する。RFタグの用途は広範にわたるが、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類(運転免許証や住民票等、図24(A)参照)、記録媒体(DVDやビデオテープ等、図24(B)参照)、包装用容器類(包装紙やボトル等、図24(C)参照)、乗り物類(自転車等、図24(D)参照)、身の回り品(鞄や眼鏡等)、食品類、植物類、動物類、人体、衣類、生活用品類、薬品や薬剤を含む医療品、又は電子機器(液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置、又は携帯電話)等の物品、若しくは各物品に取り付ける荷札(図24(E)、図24(F)参照)等に設けて使用することができる。
本発明の一態様に係るRFタグ4000は、表面に貼る、又は埋め込むことにより、物品に固定される。例えば、本であれば紙に埋め込み、有機樹脂からなるパッケージであれば当該有機樹脂の内部に埋め込み、各物品に固定される。本発明の一態様に係るRFタグ4000は、小型、薄型、軽量を実現するため、物品に固定した後もその物品自体のデザイン性を損なうことがない。また、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、又は証書類等に本発明の一態様に係るRFタグ4000を設けることにより、認証機能を設けることができ、この認証機能を活用すれば、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、又は電子機器等に本発明の一態様に係るRFタグを取り付けることにより、検品システム等のシステムの効率化を図ることができる。また、乗り物類であっても、本発明の一態様に係るRFタグを取り付けることにより、盗難などに対するセキュリティ性を高めることができる。
以上のように、本発明の一態様に係わるRFタグを本実施の形態に挙げた各用途に用いることにより、情報の書込みや読み出しを含む動作電力を低減できるため、最大通信距離を長くとることが可能となる。また、電力が遮断された状態であっても情報を極めて長い期間保持可能であるため、書き込みや読み出しの頻度が低い用途にも好適に用いることができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明したOSトランジスタに適用可能な酸化物半導体膜の構造について説明する。
<<酸化物半導体の構造>>
以下では、酸化物半導体の構造について説明する。
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体とに分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC−OS(c−axis−aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc−OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a−like OS:amorphous like oxide semiconductor)、非晶質酸化物半導体などがある。
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半導体とに分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体、nc−OSなどがある。
非晶質構造は、一般に、等方的であって不均質構造を持たない、準安定状態で原子の配置が固定化していない、結合角度が柔軟である、短距離秩序性は有するが長距離秩序性を有さないなどと言われている。
即ち、安定な酸化物半導体を完全な非晶質(completely amorphous)酸化物半導体とは呼べない。また、等方的でない(例えば、微小な領域において周期構造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物半導体と呼べない。一方、a−like OSは、等方的でないが、鬆(ボイドともいう。)を有する不安定な構造である。不安定であるという点では、a−like OSは、物性的には非晶質酸化物半導体に近い。
<CAAC−OS>
まずは、CAAC−OSについて説明する。
CAAC−OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半導体の一種である。
CAAC−OSをX線回折(XRD:X−Ray Diffraction)によって解析した場合について説明する。例えば、空間群R−3mに分類されるInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、図25(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OSでは、結晶がc軸配向性を有し、c軸がCAAC−OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)、または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。なお、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、空間群Fd−3mに分類される結晶構造に起因する。そのため、CAAC−OSは、該ピークを示さないことが好ましい。
一方、CAAC−OSに対し、被形成面に平行な方向からX線を入射させるin−plane法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。そして、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行っても、図25(B)に示すように明瞭なピークは現れない。一方、単結晶InGaZnO4に対し、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合、図25(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC−OSは、a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
次に、電子回折によって解析したCAAC−OSについて説明する。例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、CAAC−OSの被形成面に平行にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、図25(D)に示すような回折パターン(制限視野電子回折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO4の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図25(E)に示す。図25(E)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、プローブ径が300nmの電子線を用いた電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。なお、図25(E)における第1リングは、InGaZnO4の結晶の(010)面および(100)面などに起因すると考えられる。また、図25(E)における第2リングは(110)面などに起因すると考えられる。
また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一方、高分解能TEM像であってもペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を明確に確認することができない場合がある。そのため、CAAC−OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
図26(A)に、試料面と略平行な方向から観察したCAAC−OSの断面の高分解能TEM像を示す。高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberration Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像は、例えば、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM−ARM200Fなどによって観察することができる。
図26(A)より、金属原子が層状に配列している領域であるペレットを確認することができる。ペレット一つの大きさは1nm以上のものや、3nm以上のものがあることがわかる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる。また、CAAC−OSを、CANC(C−Axis Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。ペレットは、CAAC−OSの被形成面または上面の凹凸を反映しており、CAAC−OSの被形成面または上面と平行となる。
また、図26(B)および図26(C)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC−OSの平面のCs補正高分解能TEM像を示す。図26(D)および図26(E)は、それぞれ図26(B)および図26(C)を画像処理した像である。以下では、画像処理の方法について説明する。まず、図26(B)を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理することでFFT像を取得する。次に、取得したFFT像において原点を基準に、2.8nm−1から5.0nm−1の間の範囲を残すマスク処理する。次に、マスク処理したFFT像を、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理することで画像処理した像を取得する。こうして取得した像をFFTフィルタリング像と呼ぶ。FFTフィルタリング像は、Cs補正高分解能TEM像から周期成分を抜き出した像であり、格子配列を示している。
図26(D)では、格子配列の乱れた箇所を破線で示している。破線で囲まれた領域が、一つのペレットである。そして、破線で示した箇所がペレットとペレットとの連結部である。破線は、六角形状であるため、ペレットが六角形状であることがわかる。なお、ペレットの形状は、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合が多い。
図26(E)では、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間を点線で示し、格子配列の向きを破線で示している。点線近傍においても、明確な結晶粒界を確認することはできない。点線近傍の格子点を中心に周囲の格子点を繋ぐと、歪んだ六角形や、五角形または/および七角形などが形成できる。即ち、格子配列を歪ませることによって結晶粒界の形成を抑制していることがわかる。これは、CAAC−OSが、a−b面方向において原子配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
以上に示すように、CAAC−OSは、c軸配向性を有し、かつa−b面方向において複数のペレット(ナノ結晶)が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。よって、CAAC−OSを、CAA crystal(c−axis−aligned a−b−plane−anchored crystal)を有する酸化物半導体と称することもできる。
CAAC−OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC−OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(又は分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
<nc−OS>
次に、nc−OSについて説明する。
nc−OSをXRDによって解析した場合について説明する。例えば、nc−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、配向性を示すピークが現れない。即ち、nc−OSの結晶は配向性を有さない。
また、例えば、InGaZnO4の結晶を有するnc−OSを薄片化し、厚さが34nmの領域に対し、被形成面に平行にプローブ径が50nmの電子線を入射させると、図27(A)に示すようなリング状の回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)が観測される。また、同じ試料にプローブ径が1nmの電子線を入射させたときの回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)を図27(B)に示す。図27(B)より、リング状の領域内に複数のスポットが観測される。したがって、nc−OSは、プローブ径が50nmの電子線を入射させることでは秩序性が確認されないが、プローブ径が1nmの電子線を入射させることでは秩序性が確認される。
また、厚さが10nm未満の領域に対し、プローブ径が1nmの電子線を入射させると、図27(C)に示すように、スポットが略正六角状に配置された電子回折パターンを観測される場合がある。したがって、厚さが10nm未満の範囲において、nc−OSが秩序性の高い領域、即ち結晶を有することがわかる。なお、結晶が様々な方向を向いているため、規則的な電子回折パターンが観測されない領域もある。
図27(D)に、被形成面と略平行な方向から観察したnc−OSの断面のCs補正高分解能TEM像を示す。nc−OSは、高分解能TEM像において、補助線で示す箇所などのように結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。nc−OSに含まれる結晶部は、1nm以上10nm以下の大きさであり、特に1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。なお、結晶部の大きさが10nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸化物半導体(micro crystalline oxide semiconductor)と呼ぶことがある。nc−OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAAC−OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc−OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
このように、nc−OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OSは、分析方法によっては、a−like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
なお、ペレット(ナノ結晶)間では結晶方位が規則性を有さないことから、nc−OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体、又はNANC(Non−Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、nc−OSは、a−like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OSは、CAAC−OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
<a−like OS>
a−like OSは、nc−OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。
図28に、a−like OSの高分解能断面TEM像を示す。ここで、図28(A)は電子照射開始時におけるa−like OSの高分解能断面TEM像である。図28(B)は4.3×108e−/nm2の電子(e−)照射後におけるa−like OSの高分解能断面TEM像である。図28(A)および図28(B)より、a−like OSは電子照射開始時から、縦方向に延伸する縞状の明領域が観察されることがわかる。また、明領域は、電子照射後に形状が変化することがわかる。なお、明領域は、鬆または低密度領域と推測される。
鬆を有するため、a−like OSは、不安定な構造である。以下では、a−like OSが、CAAC−OS及びnc−OSと比べて不安定な構造であることを示すため、電子照射による構造の変化を示す。
試料として、a−like OS、nc−OS及びCAAC−OSを準備する。いずれの試料もIn−Ga−Zn酸化物である。
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料は、いずれも結晶部を有する。
なお、InGaZnO4の結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnO4の結晶部と見なした。なお、格子縞は、InGaZnO4の結晶のa−b面に対応する。
図29は、各試料の結晶部(22箇所から30箇所)の平均の大きさを調査した例である。ただし、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図29より、a−like OSは、電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。図29より、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、電子(e−)の累積照射量が4.2×108e−/nm2においては1.9nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc−OS及びCAAC−OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×108e−/nm2までの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。図29より、電子の累積照射量によらず、nc−OS及びCAAC−OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.3nm程度及び1.8nm程度であることがわかる。なお、電子線照射およびTEMの観察は、日立透過電子顕微鏡H−9000NARを用いた。電子線照射条件は、加速電圧を300kV、電流密度を6.7×105e−/(nm2・s)、照射領域の直径を230nmとした。
このように、a−like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合がある。一方、nc−OS及びCAAC−OSは、電子照射による結晶部の成長がほとんど見られない。即ち、a−like OSは、nc−OS及びCAAC−OSと比べて、不安定な構造であることがわかる。
また、鬆を有するため、a−like OSは、nc−OS及びCAAC−OSと比べて密度の低い構造である。具体的には、a−like OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の78.6%以上92.3%未満となる。また、nc−OSの密度及びCAAC−OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上かつ100%未満となる。単結晶の密度の78%未満となる酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の密度は6.357g/cm3である。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、a−like OSの密度は5.0g/cm3以上5.9g/cm3未満である。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、nc−OSの密度及びCAAC−OSの密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm3未満である。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a−like OS、nc−OS、CAAC−OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
<酸化物半導体のキャリア密度>
次に、酸化物半導体のキャリア密度について、以下に説明を行う。
酸化物半導体のキャリア密度に影響を与える因子としては、酸化物半導体中の酸素欠損(Vo)、または酸化物半導体中の不純物などが挙げられる。
酸化物半導体中の酸素欠損が多くなると、該酸素欠損に水素が結合(この状態をVoHともいう)した際に、欠陥準位密度が高くなる。または、酸化物半導体中の不純物が多くなると、該不純物に起因し欠陥準位密度が高くなる。したがって、酸化物半導体中の欠陥準位密度を制御することで、酸化物半導体のキャリア密度を制御することができる。
ここで、酸化物半導体をチャネル領域に用いるトランジスタを考える。
トランジスタのしきい値電圧のマイナスシフトの抑制、またはトランジスタのオフ電流の低減を目的とする場合においては、酸化物半導体のキャリア密度を低くする方が好ましい。酸化物半導体のキャリア密度を低くする場合においては、酸化物半導体中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性と言う。高純度真性の酸化物半導体のキャリア密度としては、8×1015cm−3未満、好ましくは1×1011cm−3未満、さらに好ましくは1×1010cm−3未満であり、1×10−9cm−3以上とすればよい。
一方で、トランジスタのオン電流の向上、またはトランジスタの電界効果移動度の向上を目的とする場合においては、酸化物半導体のキャリア密度を高くする方が好ましい。酸化物半導体のキャリア密度を高くする場合においては、酸化物半導体の不純物濃度をわずかに高める、または酸化物半導体の欠陥準位密度をわずかに高めればよい。あるいは、酸化物半導体のバンドギャップをより小さくするとよい。例えば、トランジスタのId−Vg特性のオン/オフ比が取れる範囲において、不純物濃度がわずかに高い、または欠陥準位密度がわずかに高い酸化物半導体は、実質的に真性とみなせる。また、電子親和力が大きく、それにともなってバンドギャップが小さくなり、その結果、熱励起された電子(キャリア)の密度が増加した酸化物半導体は、実質的に真性とみなせる。なお、より電子親和力が大きな酸化物半導体を用いた場合には、トランジスタのしきい値電圧がより低くなる。
上述のキャリア密度が高められた酸化物半導体は、わずかにn型化している。したがって、キャリア密度が高められた酸化物半導体を、「Slightly−n」と呼称してもよい。
実質的に真性の酸化物半導体のキャリア密度は、1×105cm−3以上1×1018cm−3未満が好ましく、1×107cm−3以上1×1017cm−3以下がより好ましく、1×109cm−3以上5×1016cm−3以下がさらに好ましく、1×1010cm−3以上1×1016cm−3以下がさらに好ましく、1×1011cm−3以上1×1015cm−3以下がさらに好ましい。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
本実施例では、容量素子と書き込みトランジスタを有するメモリセルにおいて、該容量素子の保持容量が変動したときの該トランジスタのしきい値電圧の計算結果を示す。
メモリセルの構成は、図7のメモリセル210である。容量素子MC1の保持容量を20fFとし、配線BL(ビット線ともいう)の寄生容量CBを140fFとし、配線BLのプリチャージ電圧を0Vとし、バッファ回路104の増幅度を1倍とし、トランジスタOSTR1(書き込みトランジスタともいう)への書き込み電圧VWBを2Vとしている。
容量素子MC1のばらつきとして、上述の保持容量に対して80%以上かつ120%以下の変動範囲を与えて計算を行う。具体的には、保持容量が16fF(80%)の容量素子をCND1とし、保持容量が18fF(90%)の容量素子をCND2とし、保持容量が20fF(100%)の容量素子をCND3とし、保持容量が22fF(110%)の容量素子をCND4とし、保持容量が24fF(120%)の容量素子をCND5とする。CND1乃至CND5の全てに対して、書き込みトランジスタのしきい値電圧Vthが0.3V、0.4V、0.5V、0.6V、0.7V、0.8V、0.9V、1.0Vの場合について、後述する計算1乃至計算3の計算を行う。
<<計算1>>
上述の条件に加え、書き込みトランジスタのゲートに印加する電位VGM1を3.3Vとして、実施の形態1の動作例で示したステップS1の書き込み、及び読み出しを行ったときの、バッファ回路の出力SOUT1の電位を図30(A)に示す。図30(A)の結果より、容量素子MC1の保持容量のばらつきが、バッファ回路の出力SOUT1の差として出力されている。また、書き込みトランジスタのしきい値電圧Vthの影響を受けていない。
<<計算2>>
また、上述の条件に加え、書き込みトランジスタのゲートに印加する電位VGM1を2.0Vとして、実施の形態1の動作例で示したステップS2の書き込み、及び読み出しを行ったときの、バッファ回路の出力SOUT2の電位を図30(B)に示す。図30(B)の結果より、容量素子MC1の保持容量のばらつきと、書き込みトランジスタのしきい値電圧Vthの差が、バッファ回路の出力SOUT2の差として出力されている。
<<計算3>>
計算1、及び計算2により算出したSOUT1、SOUT2、及び書き込み電圧VWBを用いて、実施の形態1の動作例で示したステップS3による書き込みトランジスタのしきい値電圧Vthの計算を行った結果を図31に示す(本計算結果をVth_OUTとする)。図31の結果より、容量素子MC1の保持容量のばらつきや、寄生容量CBに依らず、条件で設定したしきい値電圧Vthと計算したしきい値電圧Vth_OUTがほぼ一致する結果となった。
計算1乃至計算3により、容量素子MC1の保持容量のばらつき、及びビット線の寄生容量CBの影響を取り除いて、書き込みトランジスタの正しいしきい値電圧Vthを抽出することができる。つまり、すべてのメモリセルに対してステップS1乃至ステップS3の方法によって、書き込みトランジスタの正しいしきい値電圧Vthを抽出し、半導体装置、又は記憶装置の評価を行うことができる。
本実施例で用いたメモリセルは、メモリセル210に限定せず、書き込みトランジスタが保持ノードの充電、及び放電を制御する構成であれば、同様の計算を行うことができる。例えば、図8(A)乃至図8(C)に示す、メモリセル220、メモリセル230、メモリセル240に対しても同様の計算を行うことができる。
なお、本実施例は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(本明細書等の記載に関する付記)
以上の実施の形態、実施の形態における各構成、及び実施例の説明について、以下に付記する。
<実施の形態及び実施例で述べた本発明の一態様に関する付記>
各実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成及び実施例と適宜組み合わせて、本発明の一態様とすることができる。また、1つの実施の形態や実施例の中に、複数の構成例が示される場合は、互いに構成例を適宜組み合わせることが可能である。
なお、ある一つの実施の形態の中で述べる内容(一部の内容でもよい)は、その実施の形態で述べる別の内容(一部の内容でもよい)と、一つ若しくは複数の別の実施の形態で述べる内容(一部の内容でもよい)との少なくとも一つの内容に対して、適用、組み合わせ、又は置き換えなどを行うことができる。
なお、実施の形態の中で述べる内容とは、各々の実施の形態において、様々な図を用いて述べる内容、又は明細書に記載される文章を用いて述べる内容のことである。
なお、ある一つの実施の形態において述べる図(一部でもよい)は、その図の別の部分、その実施の形態において述べる別の図(一部でもよい)と、一つ若しくは複数の別の実施の形態において述べる図(一部でもよい)との少なくとも一つの図に対して、組み合わせることにより、さらに多くの図を構成させることができる。
<序数詞に関する付記>
本明細書等において、「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものである。従って、構成要素の数を限定するものではない。また、構成要素の順序を限定するものではない。また例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素が、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において「第2」に言及された構成要素とすることもありうる。また例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素を、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において省略することもありうる。
<図面を説明する記載に関する付記>
実施の形態について図面を参照しながら説明している。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなく、その形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以上に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
また、本明細書等において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化する。そのため、配置を示す語句は、明細書で説明した記載に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上又は直下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
また本明細書等において、ブロック図では、構成要素を機能毎に分類し、互いに独立したブロックとして示している。しかしながら実際の回路等においては、構成要素を機能毎に切り分けることが難しく、一つの回路に複数の機能が係わる場合や、複数の回路にわたって一つの機能が関わる場合があり得る。そのため、ブロック図のブロックは、明細書で説明した構成要素に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、説明の便宜上、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は明確性を期すために模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。例えば、ノイズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、又は、タイミングのずれによる信号、電圧、若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
また、図面において、上面図(平面図、レイアウト図ともいう)や斜視図などにおいて、図面の明確性を期すために、一部の構成要素の記載を省略している場合がある。
また、図面において、同一の要素又は同様な機能を有する要素、同一の材質の要素、あるいは同時に形成される要素等には同一の符号を付す場合があり、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
<言い換え可能な記載に関する付記>
本明細書等において、トランジスタの接続関係を説明する際、ソースとドレインとの一方を、「ソース又はドレインの一方」(又は第1電極、又は第1端子)と表記し、ソースとドレインとの他方を「ソース又はドレインの他方」(又は第2電極、又は第2端子)と表記している。これは、トランジスタのソースとドレインは、トランジスタの構造又は動作条件等によって変わるためである。なおトランジスタのソースとドレインの呼称については、ソース(ドレイン)端子や、ソース(ドレイン)電極等、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
また、本明細書等において、電圧と電位は、適宜言い換えることができる。電圧は、基準となる電位からの電位差のことであり、例えば基準となる電位をグラウンド電位(接地電位)とすると、電圧を電位に言い換えることができる。グラウンド電位は必ずしも0Vを意味するとは限らない。なお電位は相対的なものであり、基準となる電位によっては、配線等に与える電位を変化させる場合がある。
なお本明細書等において、「膜」、「層」などの語句は、場合によっては、又は、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、場合によっては、又は、状況に応じて、「膜」、「層」などの語句を使わずに、別の用語に入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」又は「導電膜」という用語を、「導電体」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、例えば、「絶縁層」「絶縁膜」という用語を、「絶縁体」という用語に変更することが可能な場合がある。
なお本明細書等において、「配線」、「信号線」、「電源線」などの用語は、場合によっては、又は、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「配線」という用語を、「信号線」という用語に変更することが可能な場合がある。また、例えば、「配線」という用語を、「電源線」などの用語に変更することが可能な場合がある。また、その逆も同様で、「信号線」「電源線」などの用語を、「配線」という用語に変更することが可能な場合がある。「電源線」などの用語は、「信号線」などの用語に変更することが可能な場合がある。また、その逆も同様で「信号線」などの用語は、「電源線」などの用語に変更することが可能な場合がある。
<語句の定義に関する付記>
以下では、上記実施の形態中で言及した語句の定義について説明する。
<<半導体について>>
本明細書において、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分低い場合は「絶縁体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「絶縁体」は境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「絶縁体」と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「絶縁体」は、「半導体」と言い換えることができる場合がある。
また、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分高い場合は「導電体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「導電体」は境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「導電体」と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「導電体」は、「半導体」と言い換えることができる場合がある。
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体層を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物である。不純物が含まれることにより、例えば、半導体にDOS(Density of State)が形成されることや、キャリア移動度が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり、特に、例えば、水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、例えば水素などの不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコン層である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
<<トランジスタについて>>
本明細書において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域又はドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域又はソース電極)の間にチャネル形成領域を有しており、ドレインとチャネル形成領域とソースとを介して電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル形成領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
また、特に断りがない場合、オン電流とは、トランジスタがオン状態にあるときのドレイン電流をいう。オン状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧差(Vgs)がしきい値電圧(Vth)以上の状態、pチャネル型トランジスタでは、VgsがVth以下の状態をいう。例えば、nチャネル型のトランジスタのオン電流とは、VgsがVth以上のときのドレイン電流を言う場合がある。また、トランジスタのオン電流は、ドレインとソースの間の電圧(Vds)に依存する場合がある。
特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、VgsがVthよりも低い状態、pチャネル型トランジスタでは、VgsがVthよりも高い状態をいう。例えば、nチャネル型のトランジスタのオフ電流とは、VgsがVthよりも低いときのドレイン電流を言う場合がある。トランジスタのオフ電流は、Vgsに依存する場合がある。従って、トランジスタのオフ電流が10−21A未満である、とは、トランジスタのオフ電流が10−21A未満となるVgsの値が存在することを言う場合がある。
また、トランジスタのオフ電流は、Vdsに依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、Vdsの絶対値が0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V,2.5V,3V、3.3V、10V、12V、16V、又は20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。又は、トランジスタのオフ電流は、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証されるVdsにおけるオフ電流、又は、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVdsにおけるオフ電流、を表す場合がある。
なお、本明細書中において、高電源電圧をHレベル(又はVDD)、低電源電圧をLレベル(又はGND電位)と呼ぶ場合がある。
<<スイッチについて>>
本明細書等において、スイッチとは、導通状態(オン状態)、又は、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有するものをいう。又は、スイッチとは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有するものをいう。
一例としては、電気的スイッチ又は機械的なスイッチなどを用いることができる。つまり、スイッチは、電流を制御できるものであればよく、特定のものに限定されない。
電気的なスイッチの一例としては、トランジスタ(例えば、バイポーラトランジスタ、MOSトランジスタなど)、ダイオード(例えば、PNダイオード、PINダイオード、ショットキーダイオード、MIM(Metal Insulator Metal)ダイオード、MIS(Metal Insulator Semiconductor)ダイオード、ダイオード接続のトランジスタなど)、又はこれらを組み合わせた論理回路などがある。
なお、スイッチとしてトランジスタを用いる場合、トランジスタの「導通状態」とは、トランジスタのソース電極とドレイン電極が電気的に短絡されているとみなせる状態をいう。また、トランジスタの「非導通状態」とは、トランジスタのソース電極とドレイン電極が電気的に遮断されているとみなせる状態をいう。なおトランジスタを単なるスイッチとして動作させる場合には、トランジスタの極性(導電型)は特に限定されない。
機械的なスイッチの一例としては、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)のように、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)技術を用いたスイッチがある。そのスイッチは、機械的に動かすことが可能な電極を有し、その電極が動くことによって、導通と非導通とを制御して動作する。
<<チャネル長について>>
本明細書等において、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(又はトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、又はチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域又はソース電極)とドレイン(ドレイン領域又はドレイン電極)との間の距離をいう。
なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値又は平均値とする。
<<チャネル幅について>>
本明細書等において、チャネル幅とは、例えば、上面図において半導体(又はトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、又はチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。
なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値又は平均値とする。
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば、立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネル領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが重なる領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さである見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅又は見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。又は、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を解析することなどによって、値を決定することができる。
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求める場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
<<接続について>>
なお、本明細書等において、XとYとが接続されている、と記載する場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とを含むものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図又は文章に示された接続関係に限定されず、図又は文章に示された接続関係以外のものも含むものとする。
ここで使用するX、Yなどは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイッチは、導通状態(オン状態)、又は、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有している。又は、スイッチは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有している。
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅又は電流量などを大きく出来る回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載する場合は、XとYとが電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟んで接続されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟まずに接続されている場合)とを含むものとする。つまり、電気的に接続されている、と明示的に記載する場合は、単に、接続されている、とのみ明示的に記載されている場合と同じであるとする。
なお、例えば、トランジスタのソース(又は第1の端子など)が、Z1を介して(又は介さず)、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z2を介して(又は介さず)、Yと電気的に接続されている場合や、トランジスタのソース(又は第1の端子など)が、Z1の一部と直接的に接続され、Z1の別の一部がXと直接的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z2の一部と直接的に接続され、Z2の別の一部がYと直接的に接続されている場合では、以下のように表現することが出来る。
例えば、「XとYとトランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第2の端子など)とは、互いに電気的に接続されており、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yの順序で電気的に接続されている。」と表現することができる。又は、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)はYと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この順序で電気的に接続されている」と表現することができる。又は、「Xは、トランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第2の端子など)とを介して、Yと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この接続順序で設けられている」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続の順序について規定することにより、トランジスタのソース(又は第1の端子など)と、ドレイン(又は第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。なお、これらの表現方法は、一例であり、これらの表現方法に限定されない。ここで、X、Y、Z1、Z2は、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
なお、回路図上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されている場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。例えば配線の一部が電極としても機能する場合は、一の導電膜が、配線の機能、及び電極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書における電気的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
<<平行、垂直について>>
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上かつ10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上かつ5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が−30°以上かつ30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上かつ100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上かつ95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上かつ120°以下の角度で配置されている状態をいう。
<<三方晶、菱面体晶について>>
本明細書において、結晶が三方晶又は菱面体晶である場合、六方晶系として表す。