本明細書において、酸化物半導体をOS(Oxide Semiconductor)と表記する場合がある。そのため、チャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタをOSトランジスタという場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置の構成例とその動作例について説明する。
<構成例1>
本発明の一態様である半導体装置の構成例を図1に示す。半導体装置100は、メモリセルアレイと、読み出し回路と、を積層した記憶装置であり、層LYR1、及び層LYR2を有している。層LYR1は、読み出し回路を有し、層LYR2は、メモリセルアレイを有している。
読み出し回路は、センスアンプ101と、センスアンプ102と、配線BLA−1と、配線BLA−2と、配線BLB−1と、配線BLB−2と、容量素子CA1と、容量素子CA2と、容量素子CB1と、容量素子CB2と、容量素子CX1と、容量素子CX2と、トランジスタTr1と、トランジスタTr2と、を有している。読み出し回路は、配線TGと電気的に接続されている。なお、容量素子CA1と、容量素子CA2と、は同じ容量であり、容量素子CB1と、容量素子CB2と、は同じ容量であり、容量素子CX1と、容量素子CX2と、は同じ容量である。さらに、容量素子CA1の容量は、容量素子CB1の容量の2倍有し、容量素子CA2の容量は、容量素子CB2の容量の2倍有している。
配線BLA−1は、センスアンプ101の第1入出力端子と、容量素子CA1の第1電極と、容量素子CX1の第1電極と、トランジスタTr1のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。配線BLA−2は、センスアンプ101の第2入出力端子と、容量素子CA2の第1電極と、容量素子CX2の第1電極と、トランジスタTr2のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。配線BLB−1は、センスアンプ102の第1入出力端子と、容量素子CB1の第1電極と、容量素子CX2の第2電極と、トランジスタTr1のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。配線BLB−2は、センスアンプ102の第2入出力端子と、容量素子CB2の第1電極と、容量素子CX1の第2電極と、トランジスタTr2のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。配線TGは、トランジスタTr1のゲートと、トランジスタTr2のゲートと電気的に接続されている。容量素子CA1の第2電極は、配線VCと電気的に接続され、容量素子CA2の第2電極は、配線VCと電気的に接続され、容量素子CB1の第2電極は、配線VCと電気的に接続され、容量素子CB2の第2電極は、配線VCと電気的に接続されている。
層LYR2は、メモリセルアレイMCALAを有している。メモリセルアレイMCALAは、メモリセルMCA[1]乃至メモリセルMCA[m](mは1以上の整数)を有している。メモリセルアレイMCALAは、配線WLA[1]乃至配線WLA[m]と電気的に接続されている。
メモリセルMCA[i](iは1以上m以下の整数)は、トランジスタTA[i]と、容量素子CSA[i]と、を有している。トランジスタTA[i]のソース又はドレインの一方は、容量素子CSA[i]の第1電極と電気的に接続され、トランジスタTA[i]のゲートは、配線WLA[i]と電気的に接続されている。容量素子CSA[i]の第2電極は、配線VCと電気的に接続されている。
なお、図1のメモリセルアレイMCALAは、メモリセルMCA[1]、メモリセルMCA[m]、トランジスタTA[1]、トランジスタTA[m]、容量素子CSA[1]、容量素子CSA[m]、配線WLA[1]、配線WLA[m]、配線VCのみ図示しており、それ以外の素子、回路、配線、符号などは省略している。
読み出し回路は、配線BLAを介してメモリセルアレイMCALAと接続されている。具体的には、配線BLA−1は、配線BLAを介してトランジスタTA[1]乃至トランジスタTA[m]のそれぞれのソース又はドレインの他方の電極と電気的に接続されている。
配線VCは、各容量素子の第2電極に電位を与えるための配線であり、GND電位が入力される。なお、本明細書では、GND電位を基準電位とする。
<動作例1>
次に、半導体装置100の動作例について、図6乃至図9を用いて、説明する。
図6乃至図9は、半導体装置100の動作を示すタイミングチャートであり、メモリセルアレイMCALAの中のいずれかのメモリセルMCA[i]に保持されたデータを読み出す動作を表している。
なお、読み出すデータの値は、読み出した電位とリファレンス電位とを比較して、決定される。例えば、2値の場合、読み出した電位がリファレンス電位よりも大きい場合、読み出した電位は”1”と判定され、読み出した電位がリファレンス電位よりも小さい場合、読み出した電位は”0”と判定される。また、本明細書に記載する動作例における、リファレンス電位をVCC/2とする。
<<動作例1−1>>
メモリセルMCA[i]に保持されたデータが”11”の時の、半導体装置100の動作例について説明する。図6に示すタイミングチャートTC1−1は、メモリセルMCA[i]に保持されたデータが”11”であった場合において、そのデータの読み出し動作期間における配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、配線BLB−2、及び配線TGの電位の変化を表している。
時刻T0において、配線TGには高レベル電位が印加されており、トランジスタTr1及びトランジスタTr2が導通状態となっている。この状態で、配線BLA−1と、配線BLA−2と、を電位VCC/2にプリチャージする。すなわち、配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、及び配線BLB−2の電位は、VCC/2となる。なお、プリチャージ後は、配線BLA−1と配線BLB−1、及び配線BLA−2と配線BLB−2は、フローティング状態にする。
時刻T1では、メモリセルMCA[i]のデータを読み出すため、配線WLA[i]に高レベル電位が印加される。このため、トランジスタTA[i]は導通状態となり、メモリセルMCA[i]に保持された電荷が配線BLA−1に移動する。この電荷の移動によって、配線BLA−1と配線BLB−1において昇圧される電圧をVSとする。メモリセルMCA[i]のデータ読み出しが完了したあと、配線WLA[i]に低レベル電位が印加されて、トランジスタTA[i]は非導通状態となる。
時刻T2において、配線TGに低レベル電位を印加する。これにより、トランジスタTr1及びトランジスタTr2が非導通状態となる。このとき、配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、及び配線BLB−2の電位は、時刻T2以前の状態と同じである。
時刻T3において、センスアンプ101を作動させる。センスアンプ101は、配線BLA−1と配線BLA−2の一方の電位をVCCにして、配線BLA−1と配線BLA−2の他方の電位をGND電位にする回路である。このとき、配線BLA−2よりも配線BLA−1の電位が高いため、配線BLA−1の電位は、VCCまで増幅される。一方、配線BLA−2の電位は、GND電位まで降圧される。ここで、配線BLA−1の電位から、上位ビットの読み出しを行う。配線BLA−1の電位はVCCで、リファレンス電位よりも高いため、”1”を読み出すことができる。このように、時刻T3から時刻T4までの間の配線BLA−1の電位から、上位ビットの読み出しを行うことができる。
さらに、上述のセンスアンプの動作によって、クロスカップルされた容量素子CX1及び容量素子CX2を通して、配線BLB−1及び配線BLB−2の電位を変化させる。具体的には、電位VCCに昇圧された配線BLA−1と、容量素子CX1を介して電気的に接続されている配線BLB−2の電位をVS/3昇圧させ、また、GND電位に降圧された配線BLA−2と、容量素子CX2を介して、電気的に接続されている配線BLB−1の電位をVS/3降圧させている。
時刻T4において、センスアンプ102を作動させる。センスアンプ102は、配線BLB−1と配線BLB−2の一方の電位をVCCにして、配線BLB−1と配線BLB−2の他方の電位をGND電位にする回路である。配線BLB−2よりも配線BLB−1の電位が高いため、配線BLB−1の電位は、VCCまで増幅される。一方、配線BLB−2の電位は、GND電位まで降圧される。ここで、配線BLB−1の電位から、下位ビットの読み出しを行う。配線BLB−1の電位はVCCで、リファレンス電位よりも高いため、”1”を読み出すことができる。このように、時刻T4から時刻T5までの間の配線BLB−1の電位から、下位ビットの読み出しを行うことができる。
時刻T5において、配線TGに高レベル電位を印加する。これにより、トランジスタTr1及びトランジスタTr2が導通状態となる。トランジスタTr1が導通状態となった後は、配線BLA−1側の容量素子CA1と、配線BLB−1側の容量素子CB1と、の間で電荷の再分配が行われる。時刻T5の直前では、配線BLA−1と配線BLB−1の電位は、両方ともVCCなので、時刻T5以降の配線BLA−1と配線BLB−1の電位は、VCCとなる。一方、トランジスタTr2が導通状態となった後は、こちらでも配線BLA−2と配線BLB−2との間で電荷の再分配が行われる。時刻T5の直前では、配線BLA−2と配線BLB−2の電位は、両方ともGNDなので、時刻T5以降の配線BLA−2と配線BLB−2の電位は、GNDとなる。
配線BLA−1と配線BLB−1の電荷の再分配が終了した時刻T6以降では、メモリセルMCA[i]のデータ保持部に配線BLA−1及び配線BLB−1の電位を書き込むため、配線WLA[i]に高レベル電位が印加される。これにより、トランジスタTA[i]が導通状態となり、配線BLA−1及び配線BLB−1の電位、すなわちVCCが書き込まれる。
上述の時刻T0乃至時刻T6の動作によって、メモリセルMCA[i]に保持されているデータ”11”の読み出しを行うことができる。
<<動作例1−2>>
メモリセルMCA[i]に保持されたデータが”10”の時の、半導体装置100の動作例について説明する。図7に示すタイミングチャートTC1−2は、メモリセルMCA[i]に保持されたデータが”10”であった場合において、そのデータの読み出し動作期間における配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、配線BLB−2、及び配線TGの電位の変化を表している。
時刻T0において、配線TGには高レベル電位が印加されており、トランジスタTr1及びトランジスタTr2が導通状態となっている。この状態で、配線BLA−1と、配線BLA−2と、を電位VCC/2にプリチャージする。すなわち、配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、及び配線BLB−2の電位は、VCC/2となる。なお、プリチャージ後は、配線BLA−1と配線BLB−1、及び配線BLA−2と配線BLB−2は、フローティング状態にする。
時刻T1では、メモリセルMCA[i]のデータを読み出すため、配線WLA[i]に高レベル電位が印加される。このため、トランジスタTA[i]は導通状態となり、メモリセルMCA[i]に保持された電荷が配線BLA−1に移動する。この電荷の移動によって、配線BLA−1と配線BLB−1において昇圧される電圧をVS/3とする。メモリセルMCA[i]のデータ読み出しが完了したあと、配線WLA[i]に低レベル電位が印加されて、トランジスタTA[i]は非導通状態となる。
時刻T2において、配線TGに低レベル電位を印加する。これにより、トランジスタTr1及びトランジスタTr2が非導通状態となる。このとき、配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、及び配線BLB−2の電位は、時刻T2以前の状態と同じである。
時刻T3において、センスアンプ101を作動させる。センスアンプ101は、配線BLA−1と配線BLA−2の一方の電位を、VCCにして、配線BLA−1と配線BLA−2の他方の電位をGND電位にする回路である。このとき、配線BLA−2よりも配線BLA−1の電位が高いため、配線BLA−1の電位は、VCCまで増幅される。一方、配線BLA−2の電位は、GND電位まで降圧される。ここで、配線BLA−1の電位から、上位ビットの読み出しを行う。配線BLA−1の電位はVCCで、リファレンス電位よりも高いため、”1”を読み出すことができる。このように、時刻T3から時刻T4までの間の配線BLA−1の電位から、上位ビットの読み出しを行うことができる。
さらに、上述のセンスアンプの動作によって、クロスカップルされた容量素子CX1及び容量素子CX2を通して、配線BLB−1及び配線BLB−2の電位を変化させる。具体的には、容量素子CX1を介して、電位VCCに昇圧された配線BLA−1と電気的に接続されている配線BLB−2の電位をVS/3昇圧させ、容量素子CX2を介して、GND電位に降圧された配線BLA−2と電気的に接続されている配線BLB−1の電位をVS/3降圧させている。
時刻T4において、センスアンプ102を作動させる。センスアンプ102は、配線BLB−1と配線BLB−2の一方の電位をVCCにして、配線BLB−1と配線BLB−2の他方の電位をGND電位にする回路である。配線BLB−1よりも配線BLB−2の電位が高いため、配線BLB−2の電位は、VCCまで増幅される。一方、配線BLB−1の電位は、GND電位まで降圧される。ここで、配線BLB−1の電位から、下位ビットの読み出しを行う。配線BLB−1の電位はGND電位で、リファレンス電位よりも低いため、”0”を読み出すことができる。このように、時刻T4から時刻T5までの間の配線BLB−1の電位から、下位ビットの読み出しを行うことができる。
時刻T5において、配線TGに高レベル電位を印加する。これにより、トランジスタTr1及びトランジスタTr2が導通状態となる。トランジスタTr1が導通状態となった後は、配線BLA−1と配線BLB−1との間で電荷の再分配が行われる。時刻T5の直前では、配線BLA−1の電位はVCC、配線BLB−1の電位はGNDなので、時刻T5以降の配線BLA−1と配線BLB−1の電位は、2VCC/3となる。一方、トランジスタTr2が導通状態となった後は、こちらでも配線BLA−2と配線BLB−2との間で電荷の再分配が行われる。時刻T5の直前では、配線BLA−2の電位はGND、配線BLB−2の電位はVCCなので、時刻T5以降の配線BLA−2と配線BLB−2の電位は、VCC/3となる。
配線BLA−1と配線BLB−1の電荷の再分配が終了した時刻T6以降では、メモリセルMCA[i]のデータ保持部に配線BLA−1及び配線BLB−1の電位を書き込むため、配線WLA[i]に高レベル電位が印加される。これにより、トランジスタTA[i]が導通状態となり、配線BLA−1及び配線BLB−1の電位、すなわち2VCC/3が書き込まれる。
上述の時刻T0乃至時刻T6の動作によって、メモリセルMCA[i]に保持されているデータ”10”の読み出しを行うことができる。
<<動作例1−3>>
メモリセルMCA[i]に保持されたデータが”01”の時の、半導体装置100の動作例について説明する。図8に示すタイミングチャートTC1−3は、メモリセルMCA[i]に保持されたデータが”01”であった場合において、そのデータの読み出し動作期間における配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、配線BLB−2、及び配線TGの電位の変化を表している。
時刻T0において、配線TGには高レベル電位が印加されており、トランジスタTr1及びトランジスタTr2が導通状態となっている。この状態で、配線BLA−1と、配線BLA−2と、を電位VCC/2にプリチャージする。すなわち、配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、及び配線BLB−2の電位は、VCC/2となる。なお、プリチャージ後は、配線BLA−1と配線BLB−1、及び配線BLA−2と配線BLB−2は、フローティング状態にする。
時刻T1では、メモリセルMCA[i]のデータを読み出すため、配線WLA[i]に高レベル電位が印加される。このため、トランジスタTA[i]は導通状態となり、メモリセルMCA[i]に保持された電荷が配線BLA−1に移動する。この電荷の移動によって、配線BLA−1と配線BLB−1において降圧される電圧をVS/3とする。メモリセルMCA[i]のデータ読み出しが完了したあと、配線WLA[i]に低レベル電位が印加されて、トランジスタTA[i]は非導通状態となる。
時刻T2において、配線TGに低レベル電位を印加する。これにより、トランジスタTr1及びトランジスタTr2が非導通状態となる。このとき、配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、及び配線BLB−2の電位は、時刻T2以前の状態と同じである。
時刻T3において、センスアンプ101を作動させる。センスアンプ101は、配線BLA−1と配線BLA−2の一方の電位をVCCにして、配線BLA−1と配線BLA−2の他方の電位をGND電位にする回路である。このとき、配線BLA−1よりも配線BLA−2の電位が高いため、配線BLA−2の電位は、VCCまで増幅される。一方、配線BLA−1の電位は、GND電位まで降圧される。ここで、配線BLA−1の電位から、上位ビットの読み出しを行う。配線BLA−1の電位はGND電位で、リファレンス電位よりも低いため、”0”を読み出すことができる。このように、時刻T3から時刻T4までの間の配線BLA−1の電位から、上位ビットの読み出しを行うことができる。
さらに、上述のセンスアンプの動作によって、クロスカップルされた容量素子CX1及び容量素子CX2を通して、配線BLB−1及び配線BLB−2の電位を変化させる。具体的には、容量素子CX2を介して、電位VCCに昇圧された配線BLA−2と電気的に接続されている配線BLB−1の電位をVS/3昇圧させ、容量素子CX2を介して、GND電位に降圧された配線BLA−1と電気的に接続されている配線BLB−2の電位をVS/3降圧させている。
時刻T4において、センスアンプ102を作動させる。センスアンプ102は、配線BLB−1と配線BLB−2の一方の電位をVCCにして、配線BLB−1と配線BLB−2の他方の電位をGND電位にする回路である。配線BLB−2よりも配線BLB−1の電位が高いため、配線BLB−1の電位は、VCCまで増幅される。一方、配線BLB−2の電位は、GND電位まで下降する。ここで、配線BLB−1の電位から、下位ビットの読み出しを行う。配線BLB−1の電位はVCCで、リファレンス電位よりも高いため、”1”を読み出すことができる。このように、時刻T4から時刻T5までの間の配線BLB−1の電位から、下位ビットの読み出しを行うことができる。
時刻T5において、配線TGに高レベル電位を印加する。これにより、トランジスタTr1及びトランジスタTr2が導通状態となる。トランジスタTr1が導通状態となった後は、配線BLA−1と配線BLB−1との間で電荷の再分配が行われる。時刻T5の直前では、配線BLA−1の電位はGND、配線BLB−1の電位はVCCなので、時刻T5以降の配線BLA−1と配線BLB−1の電位は、VCC/3となる。一方、トランジスタTr2が導通状態となった後は、こちらでも配線BLA−2と配線BLB−2との間で電荷の再分配が行われる。時刻T5の直前では、配線BLA−2の電位はVCC、配線BLB−2の電位はGNDなので、時刻T5以降の配線BLA−2と配線BLB−2の電位は、2VCC/3となる。
配線BLA−1と配線BLB−1の電荷の再分配が終了した時刻T6以降では、メモリセルMCA[i]のデータ保持部に配線BLA−1及び配線BLB−1の電位を書き込むため、配線WLA[i]に高レベル電位が印加される。これにより、トランジスタTA[i]が導通状態となり、配線BLA−1及び配線BLB−1の電位、すなわちVCC/3が書き込まれる。
上述の時刻T0乃至時刻T6の動作によって、メモリセルMCA[i]に保持されているデータ”01”の読み出しを行うことができる。
<<動作例1−4>>
メモリセルMCA[i]に保持されたデータが”00”の時の、半導体装置100の動作例について説明する。図9に示すタイミングチャートTC1−4は、メモリセルMCA[i]に保持されたデータが”00”であった場合において、そのデータの読み出し動作期間における配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、配線BLB−2、及び配線TGの電位の変化を表している。
時刻T0において、配線TGには高レベル電位が印加されており、トランジスタTr1及びトランジスタTr2が導通状態となっている。この状態で、配線BLA−1と、配線BLA−2と、を電位VCC/2にプリチャージする。すなわち、配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、及び配線BLB−2の電位は、VCC/2となる。なお、プリチャージ後は、配線BLA−1と配線BLB−1、及び配線BLA−2と配線BLB−2は、フローティング状態にする。
時刻T1では、メモリセルMCA[i]のデータを読み出すため、配線WLA[i]に高レベル電位が印加される。このため、トランジスタTA[i]は導通状態となり、メモリセルMCA[i]に保持された電荷が配線BLA−1に移動する。この電荷の移動によって、配線BLA−1と配線BLB−1において降圧される電圧をVSとする。メモリセルMCA[i]のデータ読み出しが完了したあと、配線WLA[i]に低レベル電位が印加されて、トランジスタTA[i]は非導通状態となる。
時刻T2において、配線TGに低レベル電位を印加する。これにより、トランジスタTr1及びトランジスタTr2が非導通状態となる。このとき、配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、及び配線BLB−2の電位は、時刻T2以前の状態と同じである。
時刻T3において、センスアンプ101を作動させる。センスアンプ101は、配線BLA−1と配線BLA−2の一方の電位をVCCにして、配線BLA−1と配線BLA−2の他方の電位をGND電位にする回路である。このとき、配線BLA−1よりも配線BLA−2の電位が高いため、配線BLA−2の電位は、VCCまで増幅される。一方、配線BLA−1の電位は、GND電位まで降圧される。ここで、配線BLA−1の電位から、上位ビットの読み出しを行う。配線BLA−1の電位はGND電位で、リファレンス電位よりも低いため、”0”を読み出すことができる。このように、時刻T3から時刻T4までの間の配線BLA−1の電位から、上位ビットの読み出しを行うことができる。
さらに、上述のセンスアンプの動作によって、クロスカップルされた容量素子CX1及び容量素子CX2を通して、配線BLB−1及び配線BLB−2の電位を変化させる。具体的には、容量素子CX2を介して、電位VCCに昇圧された配線BLA−2と電気的に接続されている配線BLB−1の電位をVS/3昇圧させ、容量素子CX1を介して、GND電位に降圧された配線BLA−1と電気的に接続されている配線BLB−2の電位をVS/3降圧させている。
時刻T4において、センスアンプ102を作動させる。センスアンプ102は、配線BLB−1と配線BLB−2の一方の電位をVCCにして、配線BLB−1と配線BLB−2の他方の電位をGND電位にする回路である。配線BLB−1よりも配線BLB−2の電位が高いため、配線BLB−2の電位は、VCCまで増幅される。一方、配線BLB−1の電位は、GND電位まで下降する。ここで、配線BLB−1の電位から、下位ビットの読み出しを行う。配線BLB−1の電位はGND電位で、リファレンス電位よりも低いため、”0”を読み出すことができる。このように、時刻T4から時刻T5までの間の配線BLB−1の電位から、下位ビットの読み出しを行うことができる。
時刻T5において、配線TGに高レベル電位を印加する。これにより、トランジスタTr1及びトランジスタTr2が導通状態となる。トランジスタTr1が導通状態となった後は、配線BLA−1と配線BLB−1との間で電荷の再分配が行われる。時刻T5の直前では、配線BLA−1と配線BLB−1の電位は、両方ともGNDなので、時刻T5以降の配線BLA−1と配線BLB−1の電位は、GNDとなる。一方、トランジスタTr2が導通状態となった後は、こちらでも配線BLA−2と配線BLB−2との間で電荷の再分配が行われる。時刻T5の直前では、配線BLA−2と配線BLB−2の電位は、両方ともVCCなので、時刻T5以降の配線BLA−2と配線BLB−2の電位は、VCCとなる。
配線BLA−1と配線BLB−1の電荷の再分配が終了した時刻T6以降では、メモリセルMCA[i]のデータ保持部に配線BLA−1及び配線BLB−1の電位を書き込むため、配線WLA[i]に高レベル電位が印加される。これにより、トランジスタTA[i]が導通状態となり、配線BLA−1及び配線BLB−1の電位、すなわちGNDが書き込まれる。
上述の時刻T0乃至時刻T6の動作によって、メモリセルMCA[i]に保持されているデータ”00”の読み出しを行うことができる。
<構成の変更例1>
上述では、半導体装置100の構成例と動作例について説明したが、本発明の一態様はこれに限定されない。例えば、配線BLB−1にメモリセルアレイMCALAとは別のメモリセルアレイを設けて、メモリセルの数を増やした構成で読み出し動作を行うこともできる。
上述のメモリセルの数を増やした構成について、図10を用いて説明する。半導体装置110は、半導体装置100の層LYR2に新たにメモリセルアレイMCALBを設けた構成となっている。メモリセルアレイMCALBは、メモリセルMCB[1]乃至メモリセルMCB[n](nは1以上の整数)を有している。メモリセルアレイMCALBは、配線WLB[1]乃至配線WLB[n]と電気的に接続されている。
メモリセルMCB[j](jは1以上n以下の整数)は、トランジスタTB[j]と、容量素子CSB[j]と、を有している。トランジスタTB[j]のソース又はドレインの一方は、容量素子CSB[j]の第1電極と電気的に接続され、トランジスタTB[j]のゲートは、配線WLB[j]と電気的に接続されている。容量素子CSB[j]の第2電極は、配線VCと電気的に接続されている。配線BLB−1は、トランジスタTB[1]乃至トランジスタTB[n]のそれぞれのソース又はドレインの他方の電極と電気的に接続されている。
上述の構成によって、構成例1の図1に示したメモリセルアレイMCALAと同様に、メモリセルアレイMCALB側のメモリセルMCB[j]の読み出しについても行うことができる。メモリセルアレイMCALBのメモリセルMCB[j]の読み出しは、動作例1で説明したメモリセルアレイMCALA側のメモリセルMCA[i]と同様に行うことができる。
また、本実施の形態は、上述の構成に限定されない。例えば、半導体装置100及び半導体装置110において、配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、配線BLB−2、に備わる寄生容量の大きさが、それぞれ容量素子CA1、容量素子CA2、容量素子CB1、容量素子CB2の容量の大きさと等しい場合、容量素子CA1、容量素子CA2、容量素子CB1、容量素子CB2を設ける必要はない。つまり、配線の寄生容量を考慮し、容量素子の代わりに配線の寄生容量を用いた回路の構成を採用することにより、半導体装置の回路面積を低減することができる。
また、本実施の形態において、半導体装置100、及び半導体装置110に用いた容量素子について、容量素子CA1と、容量素子CA2と、は同じ容量であり、容量素子CB1と、容量素子CB2と、は同じ容量であり、容量素子CX1と、容量素子CX2と、は同じ容量であり、容量素子CA1の容量は、容量素子CB1の容量の2倍有し、容量素子CA2の容量は、容量素子CB2の容量の2倍有している、と説明したが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、容量素子CA1と、容量素子CA2と、は同じ容量であり、容量素子CB1と、容量素子CB2と、は同じ容量であり、容量素子CB1の容量は、容量素子CA1の容量の2倍有し、容量素子CB2の容量は、容量素子CA2の容量の2倍有してもよい。また、例えば、読み出したメモリセルの保持容量、配線の寄生容量、トランジスタの寄生容量などの影響も考慮して、容量素子CA1、容量素子CA2、容量素子CB1、容量素子CB2、容量素子CX1、容量素子CX2の容量をそれぞれ適した値に変更して、回路を作製してもよい。
半導体装置100、及び半導体装置110に用いたトランジスタTA[1]乃至トランジスタTA[m]、トランジスタTB[1]乃至トランジスタTB[n]は、OSトランジスタであることが好ましい。特に、チャネル形成領域に有する酸化物半導体は、インジウム、ガリウム、亜鉛で構成されていることがより好ましい。この酸化物半導体を有するトランジスタは、オフ電流が極めて低い特性を有するため、電流のリークによるデータの劣化を抑制することができる。
また、半導体装置100及び半導体装置110のトランジスタTr1及びトランジスタTr2も上述と同様にOSトランジスタを用いることで、非導通状態のときの、配線BLA−1と配線BLB−1との間との電荷の移動、及び配線BLA−2と配線BLB−2との間との電荷の移動を抑制することができる。
なお、本実施の形態の構成は、図1、又は図10に限定されない。例えば、層LYR1内の容量素子CA1、容量素子CA2、容量素子CB1、容量素子CB2、容量素子CX1、容量素子CX2、層LYR2内の容量素子CSA[1]乃至容量素子CSA[m]、容量素子CSB[1]乃至容量素子CSB[n]を、層LYR2よりも上方に位置する層にまとめて設けてもよい。このような構成にすることで、半導体装置100、又は半導体装置110を作製する工程をより簡略でき、かつ回路面積を低減することができる。
また、例えば、容量素子CA1、容量素子CA2、容量素子CB1、容量素子CB2、容量素子CX1、容量素子CX2を層LYR1と層LYR2の間に設け、容量素子CSA[1]乃至容量素子CSA[m]、容量素子CSB[1]乃至容量素子CSB[n]を層LYR2よりも上方に位置する層に設けてもよい。このような構成にすることで、半導体装置100、又は半導体装置110の回路面積をより低減することができる。
また、例えば、トランジスタTA[1]乃至トランジスタTA[m]、トランジスタTB[1]乃至トランジスタTB[n]、トランジスタTr1、及びトランジスタTr2のチャネル形成領域が同じ材料で形成されている場合、トランジスタTr1、及びトランジスタTr2を層LYR2に設けてもよい。このような構成にすることで、半導体装置110を作製する工程をより簡略化することができる。
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。又は、他の実施の形態において、本発明の一態様について述べる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。つまり、本実施の形態及び他の実施の形態では、様々な発明の態様が記載されているため、本発明の一態様は、特定の態様に限定されない。例えば、本発明の一態様として、トランジスタのチャネル形成領域、ソースドレイン領域などが、酸化物半導体を有する場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、又は、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチャネル形成領域、又は、トランジスタのソースドレイン領域などは、様々な半導体を有していてもよい。場合によっては、又は、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチャネル形成領域、又は、トランジスタのソースドレイン領域などは、例えば、シリコン、ゲルマニウム、ゲルマニウムシリコン、炭化シリコン、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、又は、有機半導体などのすくなくとも一つを有していてもよい。又は、例えば、場合によっては、又は、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチャネル形成領域、又は、トランジスタのソースドレイン領域などは、酸化物半導体を有していなくてもよい。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1とは別の構成例と動作例について、説明する。
<構成例2>
本発明の一態様である半導体装置の構成例を図11に示す。半導体装置200は、メモリセルアレイと、読み出し回路と、を積層した記憶装置であり、層LYR1、及び層LYR2を有している。層LYR1は、読み出し回路を有し、層LYR2は、メモリセルアレイを有している。
半導体装置200は、実施の形態1で説明した半導体装置100の層LYR2に新たにダミーセルMCDBを設けた構成となっている。ダミーセルMCDBは、配線WLDBと電気的に接続されている。
ダミーセルMCDBは、トランジスタTDBと、容量素子CSDBと、を有している。
ダミーセルMCDBは、メモリセルアレイMCALA側のメモリセルMCA[i]からデータを読み出すときに現れる容量素子CSA[i]の残存電荷の影響を低減するために設けられているメモリセルである。ダミーセルMCDBを用いたメモリセルアレイMCALAのメモリセルMCA[i]の読み出し動作については、後述する動作例2で説明する。
トランジスタTDBのソース又はドレインの一方は、容量素子CSDBの第1電極と電気的に接続され、トランジスタTDBのゲートは配線WLDBと電気的に接続されている。容量素子CSDBの第2電極は、配線VCと電気的に接続されている。トランジスタTDBのソース又はドレインの他方は、配線BLBを介して配線BLB−1と電気的に接続されている。
配線VCは、各容量素子の第2電極に電位を与えるための配線であり、GND電位が入力される。
<動作例2>
次に、半導体装置200の動作例について、図12を用いて、説明する。
図12は、半導体装置200の動作を示すタイミングチャートであり、メモリセルアレイMCALAの中のいずれかのメモリセルMCA[i]に保持されたデータ”11”を読み出す動作を表している。
図12に示すタイミングチャートTC2は、メモリセルMCA[i]に保持されたデータが”11”であった場合、そのデータの読み出し動作期間における配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、配線BLB−2、配線TG、配線WLDBの電位の変化を表している。
時刻T0において、配線TGには高レベル電位が印加されており、トランジスタTr1及びトランジスタTr2が導通状態となっている。また、配線WLDBには高レベル電位が印加されており、トランジスタTDBが導通状態となっている。この状態で、配線BLA−1と、配線BLA−2と、を電位VCC/2にプリチャージする。すなわち、配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、配線BLB−2、及びダミーセルMCDBの電位保持部の電位は、VCC/2となる。なお、プリチャージ後は、配線BLA−1と配線BLB−1、及び配線BLA−2と配線BLB−2は、フローティング状態にする。
時刻T1では、メモリセルMCA[i]のデータを読み出すため、配線WLA[i]に高レベル電位が印加される。このため、トランジスタTA[i]は導通状態となり、メモリセルMCA[i]に保持された電荷が配線BLA−1に移動する。この電荷の移動によって、配線BLA−1と配線BLB−2において昇圧される電圧をVSとする。
このとき、メモリセルMCA[i]のデータを読み出す際に、あらかじめダミーセルMCDBのトランジスタTDBを導通状態とすることで、メモリセルMCA[i]に保持された電荷は、ダミーセルMCDBの電位保持部にまで移動することになる。すなわち、ダミーセルMCDBの容量素子CSDBにも電位VSが保持されることで、メモリセルMCA[i]の読み出し時の容量素子CSA[i]の残存電荷の影響を低減することができる。
メモリセルMCA[i]のデータ読み出しが完了した後、配線WLA[i]に低レベル電位が印加されて、トランジスタTA[i]は非導通状態となる。更に、配線WLDBに低レベル電位が印加されて、トランジスタTDBは非導通状態となる。
時刻T2において、配線TGに低レベル電位を印加する。これにより、トランジスタTr1及びトランジスタTr2が非導通状態となる。このとき、配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、及び配線BLB−2の電位は、時刻T2以前の状態と同じである。
時刻T3において、センスアンプ101を作動させる。センスアンプ101は、配線BLA−1と配線BLA−2の一方の電位をVCCにして、配線BLA−1と配線BLA−2の他方の電位をGND電位にする回路である。このとき、配線BLA−2よりも配線BLA−1の電位が高いため、配線BLA−1の電位は、VCCまで増幅される。一方、配線BLA−2の電位は、GND電位まで降圧される。ここで、配線BLA−1の電位から、上位ビットの読み出しを行う。配線BLA−1の電位はVCCで、リファレンス電位よりも高いため、”1”を読み出すことができる。このように、時刻T3から時刻T4までの間の配線BLA−1の電位から、上位ビットの読み出しを行うことができる。
さらに、上述のセンスアンプの動作によって、クロスカップルされた容量素子CX1及び容量素子CX2を通して、配線BLB−1及び配線BLB−2の電位を変化させる。具体的には、容量素子CX1を介して、電位VCCに昇圧された配線BLA−1と電気的に接続されている配線BLB−2の電位をVS/3昇圧させ、容量素子CX2を介して、GND電位に降圧された配線BLA−2と電気的に接続されている配線BLB−1の電位をVS/3降圧させている。
時刻T4において、センスアンプ102を作動させる。センスアンプ102は、配線BLB−1と配線BLB−2の一方の電位をVCCにして、配線BLB−1と配線BLB−2の他方の電位をGND電位にする回路である。配線BLB−2よりも配線BLB−1の電位が高いため、配線BLB−1の電位は、VCCまで増幅される。一方、配線BLB−2の電位は、GND電位まで下降する。ここで、配線BLB−1の電位から、下位ビットの読み出しを行う。配線BLB−1の電位はVCCで、リファレンス電位よりも高いため、”1”を読み出すことができる。このように、時刻T4から時刻T5までの間の配線BLB−1の電位から、下位ビットの読み出しを行うことができる。
時刻T5において、配線TGに高レベル電位を印加する。これにより、トランジスタTr1及びトランジスタTr2が導通状態となる。トランジスタTr1が導通状態となった後は、配線BLA−1と配線BLB−1との間で電荷の再分配が行われる。時刻T5の直前では、配線BLA−1と配線BLB−1の電位は、両方ともVCCなので、時刻T5以降の配線BLA−1と配線BLB−1の電位は、VCCとなる。一方、トランジスタTr2が導通状態となった後は、こちらでも配線BLA−2と配線BLB−2との間で電荷の再分配が行われる。時刻T5の直前では、配線BLA−2と配線BLB−2の電位は、両方ともGNDなので、時刻T5以降の配線BLA−2と配線BLB−2の電位は、GNDとなる。
配線BLA−1と配線BLB−1の電荷の再分配が終了した時刻T6以降では、メモリセルMCA[i]のデータ保持部に配線BLA−1及び配線BLB−1の電位を書き込むため、配線WLA[i]に高レベル電位が印加される。これにより、トランジスタTA[i]が導通状態となり、配線BLA−1及び配線BLB−1の電位、すなわちVCCが書き込まれる。
上述の時刻T0乃至時刻T6の動作によって、実施の形態1よりも正確にメモリセルMCA[i]に保持されているデータ”11”の読み出しを行うことができる。
また、メモリセルMCA[i]に保持されているデータが”10”、”01”、”00”の場合でも、上述の動作と同じタイミングでトランジスタTDBを導通状態にすることで、容量素子CSA[i]の影響を低減して、電荷分配を行うことができる。つまり、実施の形態1よりも正確にメモリセルMCA[i]に保持されているデータ”10”、”01”、”00”の読み出しを行うことができる。
<構成の変更例2>
上述では、半導体装置200の構成例と動作例について説明したが、本発明の一態様はこれに限定されない。例えば、配線BLB−1にメモリセルアレイMCALAとは別のメモリセルアレイを設けて、メモリセルの数を増やした構成で読み出し動作を行うことができる。
上述のメモリセルの数を増やした構成について、図13を用いて説明する。半導体装置210は、半導体装置110の層LYR2に新たにダミーセルMCDAと、ダミーセルMCDBと、を設けた構成となっている。ダミーセルMCDAとダミーセルMCDBは、それぞれ配線WLDAと配線WLDBと電気的に接続されている。
ダミーセルMCDAは、トランジスタTDAと、容量素子CSDAと、を有し、ダミーセルMCDBは、トランジスタTDBと、容量素子CSDBと、を有している。
ダミーセルMCDBは、メモリセルアレイMCALA側のメモリセルMCA[i]からデータを読み出すときに現れる容量素子CSA[i]の残存電荷の影響を低減するために設けられているメモリセルである。また、ダミーセルMCDAは、メモリセルアレイMCALB側のメモリセルMCB[j]からデータを読み出すときに現れる容量素子CSB[j]の残存電荷の影響を低減するために設けられているメモリセルである。
トランジスタTDAのソース又はドレインの一方は、容量素子CSDAの第1電極と電気的に接続され、トランジスタTDAのゲートは配線WLDAと電気的に接続されている。容量素子CSDAの第2電極は、配線VCと電気的に接続されている。トランジスタTDBのソース又はドレインの一方は、容量素子CSDBの第1電極と電気的に接続され、トランジスタTDBのゲートは配線WLDBと電気的に接続されている。容量素子CSDBの第2電極は、配線VCと電気的に接続されている。
トランジスタTDAのソース又はドレインの他方は、配線BLAを介して配線BLA−1と電気的に接続されている。トランジスタTDBのソース又はドレインの他方は、配線BLBを介して配線BLB−1と電気的に接続されている。
メモリセルアレイMCALB側のメモリセルMCB[j]の読み出しを行うとき、ダミーセルMCDAは、動作例2のダミーセルMCDBと同様の動作方法を行えばよい。
また、本実施の形態は、上述の構成に限定されない。例えば、半導体装置200及び半導体装置210において、配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、配線BLB−2、に備わる寄生容量の大きさが、それぞれ容量素子CA1、容量素子CA2、容量素子CB1、容量素子CB2の容量の大きさと等しい場合、容量素子CA1、容量素子CA2、容量素子CB1、容量素子CB2を設ける必要はない。つまり、配線の寄生容量を考慮し、容量素子の代わりに配線の寄生容量を用いた回路の構成を採用することにより、半導体装置の回路面積を低減することができる。
また、本実施の形態において、半導体装置200、及び半導体装置210に用いた容量素子について、容量素子CA1と、容量素子CA2と、は同じ容量であり、容量素子CB1と、容量素子CB2と、は同じ容量であり、容量素子CX1と、容量素子CX2と、は同じ容量であり、容量素子CA1の容量は、容量素子CB1の容量の2倍有し、容量素子CA2の容量は、容量素子CB2の容量の2倍有している、と説明したが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、容量素子CA1と、容量素子CA2と、は同じ容量であり、容量素子CB1と、容量素子CB2と、は同じ容量であり、容量素子CB1の容量は、容量素子CA1の容量の2倍有し、容量素子CB2の容量は、容量素子CA2の容量の2倍有してもよい。また、例えば、読み出したメモリセルの保持容量、配線の寄生容量、トランジスタの寄生容量などの影響も考慮して、容量素子CA1、容量素子CA2、容量素子CB1、容量素子CB2、容量素子CX1、容量素子CX2の容量をそれぞれ適した値に変更して、回路を作製してもよい。
半導体装置200、及び半導体装置210に用いたトランジスタTA[1]乃至トランジスタTA[m]、トランジスタTB[1]乃至トランジスタTB[n]、トランジスタTDA、トランジスタTDBは、OSトランジスタであることが好ましい。特に、チャネル形成領域に有する酸化物半導体は、インジウム、ガリウム、亜鉛で構成されていることがより好ましい。この酸化物半導体を有するトランジスタは、オフ電流が極めて低い特性を有するため、電流のリークによるデータの劣化を抑制することができる。
また、半導体装置200、及び半導体装置210に用いたトランジスタTr1と、トランジスタTr2と、も上述と同様にOSトランジスタを用いることで、非導通状態のときの、配線BLA−1と配線BLB−1との間との電荷の移動、及び配線BLA−2と配線BLB−2との間との電荷の移動を抑制することができる。
なお、本実施の形態の構成は、図11、又は図13に限定されない。例えば、層LYR1内の容量素子CA1、容量素子CA2、容量素子CB1、容量素子CB2、容量素子CX1、容量素子CX2、層LYR2内の容量素子CSA[1]乃至容量素子CSA[m]、容量素子CSDA、容量素子CSB[1]乃至容量素子CSB[n]、容量素子CSDBを、層LYR2よりも上方に位置する層にまとめて設けてもよい。このような構成にすることで、半導体装置200、又は半導体装置210を作製する工程をより簡略でき、かつ回路面積を低減することができる。
また、例えば、容量素子CA1、容量素子CA2、容量素子CB1、容量素子CB2、容量素子CX1、容量素子CX2を層LYR1と層LYR2の間に設け、容量素子CSA[1]乃至容量素子CSA[m]、容量素子CSDA、容量素子CSB[1]乃至容量素子CSB[n]、容量素子CSDBを層LYR2よりも上方に位置する層に設けてもよい。このような構成にすることで、半導体装置200、又は半導体装置210の回路面積をより低減することができる。
また、例えば、トランジスタTA[1]乃至トランジスタTA[m]、トランジスタTB[1]乃至トランジスタTB[n]、トランジスタTr1、トランジスタTr2、トランジスタTDA、及びトランジスタTDBのチャネル形成領域が同じ材料で形成されている場合、トランジスタTr1、及びトランジスタTr2を層LYR2に設けてもよい。このような構成にすることで、半導体装置200を作製する工程をより簡略化することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1及び実施の形態2とは別の構成例と動作例について、説明する。
<構成例3>
本発明の一態様である半導体装置の構成例を図14に示す。半導体装置300は、メモリセルアレイと、読み出し回路と、を積層した記憶装置であり、層LYR1、及び層LYR2を有している。層LYR1は、読み出し回路を有し、層LYR2は、複数のメモリセルを有している。
読み出し回路は、センスアンプ101と、センスアンプ102と、配線BLA−1と、配線BLA−2と、配線BLB−1と、配線BLB−2と、配線BLC−1と、配線BLC−2と、容量素子CA1と、容量素子CA2と、容量素子CB1と、容量素子CB2と、容量素子CC1と、容量素子CC2と、容量素子CX1と、容量素子CX2と、トランジスタTrL1と、トランジスタTrR1と、トランジスタTrL2と、トランジスタTrR2と、を有している。読み出し回路は、配線TGLと、配線TGRと電気的に接続されている。なお、容量素子CA1と、容量素子CA2と、容量素子CB1と、容量素子CB2と、容量素子CC1と、容量素子CC2と、は同じ容量であり、容量素子CX1と、容量素子CX2と、は同じ容量である。
配線BLA−1は、センスアンプ101の第1入出力端子と、容量素子CA1の第1電極と、容量素子CX1の第1電極と、トランジスタTrL1のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。配線BLA−2は、センスアンプ101の第2入出力端子と、容量素子CA2の第1電極と、容量素子CX2の第1電極と、トランジスタTrL2のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。配線BLB−1は、容量素子CB1の第1電極と、トランジスタTrL1のソース又はドレインの他方と、トランジスタTrR1のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。配線BLB−2は、容量素子CB2の第1電極と、トランジスタTrL2のソース又はドレインの他方と、トランジスタTrR2のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。配線BLC−1は、センスアンプ102の第1入出力端子と、容量素子CC1の第1電極と、容量素子CX2の第2電極と、トランジスタTrR1のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。配線BLC−2は、センスアンプ102の第2入出力端子と、容量素子CC2の第1電極と、容量素子CX1の第2電極と、トランジスタTrR2のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。配線TGLは、トランジスタTrL1のゲートと、トランジスタTrL2のゲートと電気的に接続されている。配線TGRは、トランジスタTrR1のゲートと、トランジスタTrR2のゲートと電気的に接続されている。容量素子CA1の第2電極と、容量素子CA2の第2電極と、容量素子CB1の第2電極と、容量素子CB2の第2電極と、容量素子CC1の第2電極と、容量素子CC2の第2電極と、は配線VCと電気的に接続されている。
層LYR2は、メモリセルアレイMCALAと、メモリセルアレイMCALBと、メモリセルMCALCと、を有している。メモリセルアレイMCALAは、メモリセルMCA[1]乃至メモリセルMCA[m](mは1以上の整数)を有し、メモリセルアレイMCALBは、メモリセルMCB[1]乃至メモリセルMCB[n](nは1以上の整数)、を有し、メモリセルアレイMCALCは、メモリセルMCC[1]乃至メモリセルMCC[p](pは1以上の整数)、を有している。メモリセルアレイMCALAは、配線WLA[1]乃至配線WLA[m]と電気的に接続され、メモリセルアレイMCALBは、配線WLB[1]乃至配線WLB[n]と電気的に接続され、メモリセルアレイMCALCは、配線WLC[1]乃至配線WLC[p]と電気的に接続されている。
メモリセルMCA[i](iは1以上m以下の整数)の素子、及び接続構成は、メモリセルMCB[j](jは1以上n以下の整数)の素子、及び接続構成と、メモリセルMCC[k](kは1以上p以下の整数)の素子、及び接続構成と同じである。メモリセルMCA[i]は、トランジスタTA[i]と、容量素子CSA[i]と、を有し、メモリセルMCB[j]は、トランジスタTB[j]と、容量素子CSB[j]と、を有し、メモリセルMCC[k]は、トランジスタTC[k]と、容量素子CSC[k]と、を有している。トランジスタTA[i]のソース又はドレインの一方は、容量素子CSA[i]の第1電極と電気的に接続され、トランジスタTA[i]のゲートは、配線WLA[i]と電気的に接続されている。トランジスタTB[j]のソース又はドレインの一方は、容量素子CSB[j]の第1電極と電気的に接続され、トランジスタTB[j]のゲートは、配線WLB[j]と電気的に接続されている。トランジスタTC[k]のソース又はドレインの一方は、容量素子CSC[k]の第1電極と電気的に接続され、トランジスタTC[k]のゲートは、配線WLC[k]と電気的に接続されている。容量素子CSA[i]の第2電極は、配線VCと電気的に接続され、容量素子CSB[j]の第2電極は、配線VCと電気的に接続され、容量素子CSC[k]の第2電極は、配線VCと電気的に接続されている。
配線BLA−1は、配線BLAを介してトランジスタTA[1]乃至トランジスタTA[m]のそれぞれのソース又はドレインの他方の電極と電気的に接続され、配線BLB−1は、配線BLBを介してトランジスタTB[1]乃至トランジスタTB[n]のそれぞれのソース又はドレインの他方の電極と電気的に接続され、配線BLC−1は、配線BLCを介してトランジスタTC[1]乃至トランジスタTC[p]のそれぞれのソース又はドレインの他方の電極と電気的に接続されている。
配線VCは、各容量素子の第2電極に電位を与えるための配線であり、GND電位が入力される。
<動作例3>
次に、半導体装置300の動作例について、図15、及び図16を用いて、説明する。図15、及び図16は、半導体装置300の動作を示すタイミングチャートである。
<<動作例3−1>>
図15に示すタイミングチャートTC3−1は、メモリセルアレイMCALAの中のいずれかのメモリセルMCA[i]に保持されたデータを読み出す動作期間において、配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、配線BLB−2、配線BLC−1、配線BLC−2、配線TGL及び配線TGRの電位の変化を表している。なお、本動作例で読み出すデータは”10”としている。
時刻T0において、配線TGLには高レベルの電位が印加されており、トランジスタTrL1及びトランジスタTrL2が導通状態となっている。さらに、配線TGRには高レベルの電位が印加されており、トランジスタTrR1及びトランジスタTrR2も導通状態となっている。この状態で、配線BLA−1と、配線BLA−2と、を電位VCC/2にプリチャージする。すなわち、配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、配線BLB−2、配線BLC−1、及び配線BLC−2の電位は、VCC/2となる。なお、プリチャージ後は、配線BLA−1と配線BLB−1と配線BLC−1、及び配線BLA−2と配線BLB−2と配線BLC−2を、フローティング状態にする。
時刻T1では、メモリセルMCA[i]のデータを読み出すため、配線WLA[i]に高レベル電位が印加される。このため、トランジスタTA[i]は導通状態となり、メモリセルMCA[i]に保持された電荷が配線BLA−1に移動する。この電荷の移動によって、配線BLA−1と配線BLB−1と配線BLC−1において昇圧される電圧をVS/3とする。メモリセルMCA[i]のデータ読み出しが完了したあと、配線WLA[i]に低レベル電位が印加されて、トランジスタTA[i]は非導通状態となる。
時刻T2において、配線TGRに低レベル電位を印加する。これにより、トランジスタTrR1及びトランジスタTrR2が非導通状態となる。このとき、配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、配線BLB−2、配線BLC−1、及び配線BLC−2の電位は、時刻T2以前の状態と同じである。
時刻T3において、センスアンプ101を作動させる。このとき、センスアンプ101は、配線BLA−1と配線BLA−2の一方の電位をVCCにして、配線BLA−1と配線BLA−2の他方の電位をGND電位にするように動作する。このとき、配線BLA−2よりも配線BLA−1の電位が高いため、配線BLA−1の電位は、VCCまで増幅される。一方、配線BLA−2の電位は、GND電位まで降圧される。ここで、配線BLA−1の電位から、上位ビットの読み出しを行う。配線BLA−1の電位はVCCで、リファレンス電位よりも高いため、”1”を読み出すことができる。このように、時刻T3から時刻T4までの間の配線BLA−1の電位から、上位ビットの読み出しを行うことができる。
更に、トランジスタTrL1及びトランジスタTrL2が導通状態であるため、配線BLA−1と配線BLA−2の電位が変化したとき、同時に配線BLB−1と配線BLB−2の電位も変化する。すなわち、配線BLA−1と配線BLB−1の電位はVCCとなり、配線BLA−2と配線BLB−2の電位は、GND電位となる。
更に、上述のセンスアンプの動作によって、クロスカップルされた容量素子CX1及び容量素子CX2を通して、配線BLC−1及び配線BLC−2の電位を変化させる。具体的には、容量素子CX1を介して、電位VCCに昇圧された配線BLA−1と電気的に接続されている配線BLC−2の電位をVS/3昇圧させ、容量素子CX2を介して、GND電位に降圧された配線BLA−2と電気的に接続されている配線BLC−1の電位をVS/3降圧させている。
時刻T4において、センスアンプ102を作動させる。このとき、センスアンプ102は、配線BLC−1と配線BLC−2の一方の電位をVCCにして、配線BLC−1と配線BLC−2の他方の電位をGND電位にするように動作する。配線BLC−1よりも配線BLC−2の電位が高いため、配線BLC−2の電位は、VCCまで増幅される。一方、配線BLC−1の電位は、GND電位まで降圧される。ここで、配線BLC−1の電位から、下位ビットの読み出しを行う。配線BLC−1の電位はGND電位で、リファレンス電位よりも低いため、”0”を読み出すことができる。このように、時刻T4から時刻T5までの間の配線BLC−1の電位から、下位ビットの読み出しを行うことができる。
時刻T5において、配線TGRに高レベル電位を印加する。これにより、トランジスタTrR1及びトランジスタTrR2が導通状態となる。トランジスタTrR1が導通状態となることによって、電位VCCとなっている配線BLA−1及び配線BLB−1と、GND電位となっている配線BLC−1との間で、電荷の再分配が行われる。容量素子CA1と、容量素子CB1と、容量素子CC1の容量の大きさは全て等しいので、容量素子CA1と容量素子CB1の容量の和と、容量素子CC1の容量との比は2:1となる。つまり、トランジスタTrR1が導通状態となった後の電荷の再分配によって、配線BLA−1、配線BLB−1及び配線BLC−1の電位は、2VCC/3となる。一方、トランジスタTrR2が導通状態となることによって、電位VCCとなっている配線BLC−2と、GND電位となっている配線BLA−2及び配線BLB−2との間でも、電荷の再分配が行われる。容量素子CA2と、容量素子CB2と、容量素子CC2の容量の大きさは全て等しいので、容量素子CA2と容量素子CB2の容量の和と、容量素子CC2の容量との比は2:1となる。つまり、トランジスタTrR2が導通状態となった後の電荷の再分配によって、配線BLA−2、配線BLB−2及び配線BLC−2の電位は、VCC/3となる。
配線BLA−1、配線BLB−1、及び配線BLC−1の電荷の再分配が終了した時刻T6以降では、メモリセルMCA[i]のデータ保持部に配線BLA−1、配線BLB−1、及び配線BLC−1の電位を書き込むため、配線WLA[i]に高レベル電位が印加される。これにより、トランジスタTA[i]が導通状態となり、配線BLA−1、配線BLB−1、及び配線BLC−1の電位、すなわち2VCC/3が書き込まれる。
上述の時刻T0乃至時刻T6の動作によって、メモリセルMCA[i]に保持されているデータ”10”の読み出しを行うことができる。
なお、本動作例では、”10”のデータを読み出す例について説明したが、”11”、”01”、”00”についても、上述と同様の動作によって、読み出すことができる。
なお、本動作例は、データを読み出すメモリセルは、メモリセルMCA[i]に限定されない。例えば、メモリセルMCA[i]の代わりにメモリセルMCB[j]に保持されているデータを読み出してもよい。メモリセルMCB[j]を選択する場合でも、トランジスタTrL1、トランジスタTrL2、トランジスタTrR1、及びトランジスタTrR2の導通、非導通状態の制御を、上述と同様に行うことで、メモリセルMCB[j]のデータを読み出すことができる。
<<動作例3−2>>
図16に示すタイミングチャートTC3−2は、メモリセルアレイMCALCの中のいずれかのメモリセルMCC[p]に保持されたデータを読み出す動作期間において、配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、配線BLB−2、配線BLC−1、配線BLC−2、配線TGL及び配線TGRの電位の変化を表している。なお、本動作例で読み出すデータは”10”としている。
時刻T0において、配線TGLには高レベルの電位が印加されており、トランジスタTrL1及びトランジスタTrL2が導通状態となっている。さらに、配線TGRには高レベルの電位が印加されており、トランジスタTrR1及びトランジスタTrR2も導通状態となっている。この状態で、配線BLA−1と、配線BLA−2と、を電位VCC/2にプリチャージする。すなわち、配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、配線BLB−2、配線BLC−1、及び配線BLC−2の電位は、VCC/2となる。なお、プリチャージ後は、配線BLA−1と配線BLB−1と配線BLC−1、及び配線BLA−2と配線BLB−2と配線BLC−2は、フローティング状態にする。
時刻T1では、メモリセルMCC[p]のデータを読み出すため、配線WLC[p]に高レベル電位が印加される。このため、トランジスタTC[p]は導通状態となり、メモリセルMCC[p]に保持された電荷が配線BLC−1に移動する。この電荷の移動によって、配線BLA−1と配線BLB−1と配線BLC−1において昇圧される電圧をVS/3とする。メモリセルMCC[p]のデータ読み出しが完了したあと、配線WLC[p]に低レベル電位が印加されて、トランジスタTC[p]は非導通状態となる。
時刻T2において、配線TGLに低レベル電位を印加する。これにより、トランジスタTrL1及びトランジスタTrL2が非導通状態となる。このとき、配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、配線BLB−2、配線BLC−1、及び配線BLC−2の電位は、時刻T2以前の状態と同じである。
時刻T3において、センスアンプ102を作動させる。このとき、センスアンプ102は、配線BLC−1と配線BLC−2の一方の電位をVCCにして、配線BLC−1と配線BLC−2の他方の電位をGND電位にするように動作する。このとき、配線BLC−2よりも配線BLC−1の電位が高いため、配線BLC−1の電位は、VCCまで増幅される。一方、配線BLC−2の電位は、GND電位まで降圧される。ここで、配線BLC−1の電位から、上位ビットの読み出しを行う。配線BLC−1の電位はVCCで、リファレンス電位よりも高いため、”1”を読み出すことができる。このように、時刻T3から時刻T4までの間の配線BLC−1の電位から、上位ビットの読み出しを行うことができる。
更に、トランジスタTrR1及びトランジスタTrR2が導通状態であるため、配線BLC−1と配線BLC−2の電位が変化したとき、同時に配線BLB−1と配線BLB−2の電位も変化する。すなわち、配線BLC−1と配線BLB−1の電位はVCCとなり、配線BLC−2と配線BLB−2の電位は、GND電位となる。
さらに、上述のセンスアンプの動作によって、クロスカップルされた容量素子CX1及び容量素子CX2を通して、配線BLA−1及び配線BLA−2の電位を変化させる。具体的には、容量素子CX1を介して、電位VCCに昇圧された配線BLC−1と電気的に接続されている配線BLA−2の電位をVS/3昇圧させ、容量素子CX2を介して、GND電位に降圧された配線BLC−2と電気的に接続されている配線BLA−1の電位をVS/3降圧させている。
時刻T4において、センスアンプ101を作動させる。このとき、センスアンプ101は、配線BLA−1と配線BLA−2の一方の電位をVCCにして、配線BLA−1と配線BLA−2の他方の電位をGND電位にするように動作する。配線BLA−1よりも配線BLA−2の電位が高いため、配線BLA−2の電位は、VCCまで増幅される。一方、配線BLA−1の電位は、GND電位まで降圧される。ここで、配線BLA−1の電位から、下位ビットの読み出しを行う。配線BLA−1の電位はGND電位で、リファレンス電位よりも低いため、”0”を読み出すことができる。このように、時刻T4から時刻T5までの間の配線BLA−1の電位から、下位ビットの読み出しを行うことができる。
時刻T5において、配線TGLに高レベル電位を印加する。これにより、トランジスタTrL1及びトランジスタTrL2が導通状態となる。トランジスタTrL1が導通状態となることによって、電位VCCとなっている配線BLB−1及び配線BLC−1と、GND電位となっている配線BLA−1との間で、電荷の再分配が行われる。容量素子CA1と、容量素子CB1と、容量素子CC1の容量の大きさは全て等しいので、容量素子CB1と容量素子CC1の容量の和と、容量素子CA1の容量との比は2:1となる。つまり、トランジスタTrL1が導通状態となった後の電荷の再分配によって、配線BLA−1、配線BLB−1及び配線BLC−1の電位は、2VCC/3となる。一方、トランジスタTrL2が導通状態となることによって、電位VCCとなっている配線BLA−2と、GND電位となっている配線BLB−2及び配線BLC−2との間でも、電荷の再分配が行われる。容量素子CA2と、容量素子CB2と、容量素子CC2の容量の大きさは全て等しいので、容量素子CB2と容量素子CC2の容量の和と、容量素子CA2の容量との比は2:1となる。つまり、トランジスタTrL2が導通状態となった後の電荷の再分配によって、配線BLA−2、配線BLB−2及び配線BLC−2の電位は、VCC/3となる。
配線BLA−1、配線BLB−1、及び配線BLC−1の電荷の再分配が終了した時刻T6以降では、メモリセルMCC[p]のデータ保持部に配線BLA−1、配線BLB−1、及び配線BLC−1の電位を書き込むため、配線WLC[p]に高レベル電位が印加される。これにより、トランジスタTC[p]が導通状態となり、配線BLA−1、配線BLB−1、及び配線BLC−1の電位、すなわち2VCC/3が書き込まれる。
上述の時刻T0乃至時刻T6の動作によって、メモリセルMCC[p]に保持されているデータ”10”の読み出しを行うことができる。
なお、本動作例では、”10”のデータを読み出す例について説明したが、”11”、”01”、”00”についても、上述と同様の動作によって、読み出すことができる。
なお、本動作例は、データを読み出すメモリセルは、メモリセルMCC[p]に限定されない。例えば、メモリセルMCC[p]の代わりにメモリセルMCB[j]に保持されているデータを読み出してもよい。メモリセルMCB[j]を選択する場合でも、トランジスタTrL1、トランジスタTrL2、トランジスタTrR1、及びトランジスタTrR2の導通、非導通状態の制御を、上述と同様に行うことで、メモリセルMCB[j]のデータを読み出すことができる。
<構成の変更例3>
上述では、半導体装置300の構成例と動作例について説明したが、本発明の一態様はこれに限定されない。例えば、配線BLA−1、配線BLA−2、配線BLB−1、配線BLB−2、配線BLC−1、配線BLC−2、に備わる寄生容量の大きさがそれぞれ容量素子CA1、容量素子CA2、容量素子CB1、容量素子CB2、容量素子CC1、容量素子CC2の容量の大きさと等しい場合、容量素子CA1、容量素子CA2、容量素子CB1、容量素子CB2を設ける必要はない。つまり、配線の寄生容量を考慮し、容量素子の代わりに配線の寄生容量を用いた回路の構成を採用することにより、半導体装置の回路面積を低減することができる。また、 例えば、読み出したメモリセルの保持容量、配線の寄生容量、トランジスタの寄生容量などの影響も考慮して、容量素子CA1、容量素子CA2、容量素子CB1、容量素子CB2、容量素子CC1、容量素子CC2、容量素子CX1、容量素子CX2の容量をそれぞれ適した値に変更して、回路を作製してもよい。
半導体装置300に用いた、トランジスタTA[1]乃至トランジスタTA[m]、トランジスタTB[1]乃至トランジスタTB[n]、トランジスタTC[1]乃至トランジスタTC[p]は、OSトランジスタであることが好ましい。特に、チャネル形成領域に有する酸化物半導体は、インジウム、ガリウム、亜鉛で構成されていることがより好ましい。この酸化物半導体を有するトランジスタは、オフ電流が極めて低い特性を有するため、電流のリークによるデータの劣化を抑制することができる。
また、トランジスタTrL1、トランジスタTrL2、トランジスタTrR1、及びトランジスタTrR2も上述と同様にOSトランジスタを用いることで、非導通状態のときの、配線BLA−1と配線BLB−1との間、配線BLB−1と配線BLC−1との間、配線BLA−2と配線BLB−2との間、及び配線BLB−2と配線BLC−2との間での電荷の移動を抑制することができる。
なお、本実施の形態の構成は、図14に限定されない。例えば、層LYR1内の容量素子CA1、容量素子CA2、容量素子CB1、容量素子CB2、容量素子CC1、容量素子CC2、容量素子CX1、容量素子CX2、層LYR2内の容量素子CSA[1]乃至容量素子CSA[m]、容量素子CSB[1]乃至容量素子CSB[n]、容量素子CSC[1]乃至容量素子CSC[p]を、層LYR2よりも上方に位置する層にまとめて設けてもよい。このような構成にすることで、半導体装置300を作製する工程をより簡略でき、かつ回路面積を低減することができる。
また、例えば、容量素子CA1、容量素子CA2、容量素子CB1、容量素子CB2、容量素子CC1、容量素子CC2、容量素子CX1、容量素子CX2を層LYR1と層LYR2の間に設け、容量素子CSA[1]乃至容量素子CSA[m]、容量素子CSB[1]乃至容量素子CSB[n]、容量素子CSC[1]乃至容量素子CSC[p]を層LYR2よりも上方に位置する層に設けてもよい。このような構成にすることで、半導体装置100、又は半導体装置300の回路面積をより低減することができる。
また、例えば、トランジスタTA[1]乃至トランジスタTA[m]、トランジスタTB[1]乃至トランジスタTB[n]、トランジスタTC[1]乃至トランジスタTC[p]、トランジスタTrL1、トランジスタTrL2、トランジスタTrR1、及びトランジスタTrR2のチャネル形成領域が同じ材料で形成されている場合、トランジスタTrL1、トランジスタTrL2、トランジスタTrR1、及びトランジスタTrR2を層LYR2に設けてもよい。このような構成にすることで、半導体装置300を作製する工程をより簡略化することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本発明の一態様に係る記憶装置の構成の一例について、図17を用いながら説明する。
図17に記憶装置の構成の一例を示す。記憶装置2600は、周辺回路2601、及びメモリセルアレイ2610を有する。周辺回路2601は、ローデコーダ2621、ワード線ドライバ回路2622、ビット線ドライバ回路2630、出力回路2640、コントロールロジック回路2660を有する。
ビット線ドライバ回路2630は、カラムデコーダ2631、プリチャージ回路2632、センスアンプ2633、及び書き込み回路2634を有する。プリチャージ回路2632は、上述の実施の形態で説明した配線BLA、配線BLB、又は配線BLC(図17に図示していない)をプリチャージする機能を有する。センスアンプ2633は、配線BLA、配線BLB、又は配線BLCから読み出されたデータ信号を増幅する機能を有する。増幅されたデータ信号は、出力回路2640を介して、デジタルのデータ信号RDATAとして記憶装置2600の外部に出力される。
また、記憶装置2600には、外部から電源電圧として低電源電圧(VSS)、周辺回路2601用の高電源電圧(VDD)、メモリセルアレイ2610用の高電源電圧(VIL)が供給される。
また、記憶装置2600には、制御信号(CE、WE、RE)、アドレス信号ADDR、データ信号WDATAが外部から入力される。アドレス信号ADDRは、ローデコーダ2621及びカラムデコーダ2631に入力され、データ信号WDATAは書き込み回路2634に入力される。
コントロールロジック回路2660は、外部からの入力信号(CE、WE、RE)を処理して、ローデコーダ2621、カラムデコーダ2631の制御信号を生成する。CEは、チップイネーブル信号であり、WEは、書き込みイネーブル信号であり、REは、読み出しイネーブル信号である。コントロールロジック回路2660が処理する信号は、これに限定されるものではなく、必要に応じて、他の制御信号を入力すればよい。
なお、上述の各回路あるいは各信号は、必要に応じて、適宜、取捨することができる。
また、pチャネル型Siトランジスタと、後述する実施の形態の酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むトランジスタを用い、記憶装置2600に適用することで、小型の記憶装置2600を提供できる。また、消費電力低減することが可能な記憶装置2600を提供できる。また、動作速度を向上することが可能な記憶装置2600を提供できる。特に、Siトランジスタはpチャネル型のみとすることで、製造コストを低く抑えることができる。
なお、本実施の形態の構成例は、図17の構成に限定されない。例えば、実施の形態1乃至実施の形態3に適用する場合、センスアンプ2633をメモリセルアレイ2610の下層に設ける、などのように適宜構成を変更してもよい。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態に示した半導体装置を適用したCPU(Central Processor Unit)について説明する。
図18は、CPUの一例の構成を示すブロック図である。
図18に示すCPU2100は、基板2101上に、プロセッサコア2102と、記憶装置2103と、PMU2104と、データバス2105と、を有している。基板2101は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板などを用いる。
プロセッサコア2102は、四則演算、論理演算などの各種演算処理を行う機能を有する。
記憶装置2103は、CPU2100の動作中において、使用頻度の高いデータや演算処理に用いるデータ、演算処理結果のデータなどを一時的に記憶する機能を有する。そのため、記憶装置2103は、CPU2100のメインメモリ、又はキャッシュなどとして機能する。
PMU2104は、外部電圧VSSを得て、プロセッサコア2102、記憶装置2103、PMU2104などの各回路の電源管理を行う装置である。なお、図18において、PMU2104が各回路に対して電力を供給するための配線は省略している。また、PMU2104を介せず、外部電圧VSSを各回路に直接供給する構成としてもよい。
プロセッサコア2102と、記憶装置2103やPMU2104などとのデータのやり取りは、データバス2105を介して行われる。ただし、CPU2100が起動開始を行う際、プロセッサコア2102への電力供給は、PMU2104がプロセッサコア2102に対して直接行われる場合がある。
データバス2105は、CPU2100の端子2106と電気的に接続されている。CPU2100で計算を行うとき、端子2106にプログラムコードが入力され、データバス2105を介してプロセッサコア2102に送られ、演算処理が進められる。
また、データバス2105を介さずに、直接CPU2100の内部の回路と外部とを電気的に接続して、データのやり取りを行ってもよい。例えば、PMU2104に直接データを送って、プロセッサコア2102を制御する構成としてもよい。
CPU2100は、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。例えば、演算回路を含む構成を一つのプロセッサコアとし、当該プロセッサコアを複数含み、それぞれのプロセッサコアが並列で動作するような構成としてもよい。また、CPUが内部演算回路やデータバスで扱えるビット数は、例えば8ビット、16ビット、32ビット、64ビットなどとすることができる。
記憶装置2103として、実施の形態1で述べた半導体装置100、半導体装置110、半導体装置200、半導体装置210、半導体装置300を用いることができる。多値メモリである半導体装置100、半導体装置110、半導体装置200、半導体装置210、半導体装置300をCPU2100に適用することによって、より小さいCPUを実現することができる。
さらに、半導体装置100、半導体装置110、半導体装置200、半導体装置210、半導体装置300に有するトランジスタとして、OSトランジスタを適用することによって、読み出し、書き込み動作の速度を向上することができる。これにより、処理速度の速いCPUを実現することができる。また、OSトランジスタは、オフ電流が極めて小さい特性を有しているため、オフ電流による電力の消費が小さくなる。すなわち、CPUの消費電力を低減することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、開示する発明の一態様に係るトランジスタについて説明する。
なお、本発明の一態様に係るトランジスタは、実施の形態7で説明するnc−OS又はCAAS−OSを有することが好ましい。
<トランジスタの構成例1>
図19(A)乃至図19(C)は、トランジスタ1400aの上面図及び断面図である。図19(A)は上面図である。図19(B)は、図19(A)に示す一点鎖線A1−A2に対応する断面図であり、図19(C)は、図19(A)に示す一点鎖線A3−A4に対応する断面図である。なお、図19(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。なお、一点鎖線A1−A2をトランジスタ1400aのチャネル長方向、一点鎖線A3−A4をトランジスタ1400aのチャネル幅方向と呼ぶ場合がある。
トランジスタ1400aは、基板1450と、基板1450上の絶縁膜1401と、絶縁膜1401上の導電膜1414と、導電膜1414を覆うように形成された絶縁膜1402と、絶縁膜1402上の絶縁膜1403と、絶縁膜1403上の絶縁膜1404と、絶縁膜1404上に、金属酸化物1431、金属酸化物1432の順で形成された積層と、金属酸化物1432の上面及び側面と接する導電膜1421と、同じく金属酸化物1432の上面及び側面と接する導電膜1423と、導電膜1421上の導電膜1422と、導電膜1423上の導電膜1424と、導電膜1422、導電膜1424上の絶縁膜1405と、金属酸化物1431、金属酸化物1432、導電膜1421乃至導電膜1424及び絶縁膜1405と接する金属酸化物1433と、金属酸化物1433上の絶縁膜1406と、絶縁膜1406上の導電膜1411と、導電膜1411上の導電膜1412と、導電膜1412上の導電膜1413と、導電膜1413を覆うように形成された絶縁膜1407と、絶縁膜1407上の絶縁膜1408を有する。なお、金属酸化物1431、金属酸化物1432及び金属酸化物1433をまとめて、金属酸化物1430と呼称する。
金属酸化物1432は半導体であり、トランジスタ1400aのチャネルとしての機能を有する。
また、金属酸化物1431及び金属酸化物1432は、領域1441及び領域1442を有する。領域1441は、導電膜1421と、金属酸化物1431、金属酸化物1432が接する領域の近傍に形成され、領域1442は、導電膜1423と、金属酸化物1431、金属酸化物1432が接する領域の近傍に形成される。
領域1441、領域1442は低抵抗領域としての機能を有する。金属酸化物1431、金属酸化物1432は、領域1441を有することで、導電膜1421との間のコンタクト抵抗を低減させることが可能になる。同様に、金属酸化物1431、金属酸化物1432は、領域1442を有することで、導電膜1423との間のコンタクト抵抗を低減させることが可能になる。
導電膜1421、導電膜1422は、トランジスタ1400aのソース電極又はドレイン電極の一方としての機能を有する。導電膜1423、導電膜1424は、トランジスタ1400aのソース電極又はドレイン電極の他方としての機能を有する。
導電膜1422は導電膜1421よりも酸素を透過しにくい機能を有する。これにより、酸化による導電膜1421の導電率の低下を防ぐことが可能になる。
同様に、導電膜1424は導電膜1423よりも酸素を透過しにくい機能を有する。これにより、酸化による導電膜1423の導電率の低下を防ぐことが可能になる。
導電膜1411乃至導電膜1413は、トランジスタ1400aの第1のゲート電極としての機能を有する。
導電膜1411、導電膜1413は、導電膜1412よりも酸素を透過しにくい機能を有する。これにより、酸化による導電膜1412の導電率の低下を防ぐことが可能になる。
絶縁膜1406は、トランジスタ1400aの第1のゲート絶縁膜としての機能を有する。
導電膜1414は、トランジスタ1400aの第2のゲート電極としての機能を有する。
導電膜1411乃至導電膜1413と導電膜1414は同じ電位が与えられてもよいし、異なる電位が与えられてもよい。また導電膜1414は、場合によっては省略してもよい。
絶縁膜1401乃至絶縁膜1404は、トランジスタ1400aの下地絶縁膜としての機能を有する。また、絶縁膜1402乃至絶縁膜1404は、トランジスタ1400aの第2のゲート絶縁膜としての機能も有する。
絶縁膜1405乃至1408は、トランジスタ1400aの保護絶縁膜又は層間絶縁膜としての機能を有する。
図19(C)に示すように、金属酸化物1432の側面は、導電膜1411に囲まれている。上記構成をとることで、導電膜1411の電界によって、金属酸化物1432を電気的に取り囲むことができる。ゲート電極の電界によって、半導体を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(s−channel)構造とよぶ。そのため、金属酸化物1432の全体(バルク)にチャネルが形成される。s−channel構造は、トランジスタのソース−ドレイン間に大電流を流すことができ、トランジスタのオン電流を高くすることができる。
s−channel構造は、高いオン電流が得られるため、LSI(Large Scale Integration)など微細化されたトランジスタが要求される半導体装置に適した構造といえる。トランジスタを微細化できるため、該トランジスタを有する半導体装置は、集積度の高い、高密度化された半導体装置とすることが可能となる。
トランジスタ1400aにおいて、ゲート電極として機能する領域は、絶縁膜1405などに形成された開口部1415を埋めるように自己整合(self align)的に形成される。
図19(B)に示すように、導電膜1411と導電膜1422は、絶縁膜を間に介して、互いに重なる領域を有する。同様に、導電膜1411と導電膜1423は、絶縁膜を間に介して、互いに重なる領域を有する。これらの領域は、ゲート電極と、ソース電極又はドレイン電極との間に生じた寄生容量として機能し、トランジスタ1400aの動作速度を低下させる原因になり得る。トランジスタ1400aは、絶縁膜1405を設けることで、上述の寄生容量を低下させることが可能になる。絶縁膜1405は、比誘電率の低い材料からなることが好ましい。
図20(A)は、トランジスタ1400aの中央部を拡大したものである。図20(A)において、導電膜1411の底面が、絶縁膜1406及び金属酸化物1433を介して、金属酸化物1432の上面と平行に面する領域の長さを、幅LGとして示す。幅LGは、ゲート電極の線幅を表す。また、図20(A)において、導電膜1421と導電膜1423の間の長さを、幅LSDとして示す。幅LSDは、ソース電極とドレイン電極との間の長さを表す。
幅LSDは最小加工寸法で決定されることが多い。図20(A)に示すように、幅LGは、幅LSDよりも小さい。すなわち、トランジスタ1400aは、ゲート電極の線幅を、最小加工寸法より小さくすることが可能になる。具体的には、幅LGは、5nm以上60nm以下、好ましくは5nm以上30nm以下とすることが可能になる。
図20(A)において、導電膜1421及び導電膜1422の厚さの合計、又は、導電膜1423及び導電膜1424の厚さの合計を高さHSDと表す。
絶縁膜1406の厚さを、高さHSD以下とすることで、ゲート電極からの電界がチャネル形成領域全体に印加することが可能になり好ましい。絶縁膜1406の厚さは、30nm以下、好ましくは10nm以下とする。
また、導電膜1422と導電膜1411の間に形成される寄生容量、及び、導電膜1424と導電膜1411の間に形成される寄生容量の値は、絶縁膜1405の厚さに反比例する。例えば、絶縁膜1405の厚さを、絶縁膜1406の厚さの3倍以上、好ましくは5倍以上とすることで、寄生容量は無視できるほど小さくなり、好ましい。その結果、トランジスタ1400aを高周波数で動作させることが可能になる。
以下、トランジスタ1400aの各構成要素について説明を行う。
<<金属酸化物層>>
まず、金属酸化物1431乃至金属酸化物1433に適用可能な金属酸化物について説明を行う。
トランジスタ1400aは、非導通状態においてソースとドレインとの間を流れる電流(オフ電流)が低いことが好適である。オフ電流が低いトランジスタとしては、チャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタが挙げられる。
金属酸化物1432は、例えば、インジウム(In)を含む酸化物半導体である。金属酸化物1432は、例えば、インジウムを含むと、キャリア移動度(電子移動度)が高くなる。また、金属酸化物1432は、元素Mを含むと好ましい。元素Mは、好ましくは、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、イットリウム(Y)又はスズ(Sn)などとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素(B)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、マグネシウム(Mg)などがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。元素Mは、例えば、酸素との結合エネルギーが高い元素である。例えば、酸素との結合エネルギーがインジウムよりも高い元素である。又は、元素Mは、例えば、金属酸化物のエネルギーギャップを大きくする機能を有する元素である。また、金属酸化物1432は、亜鉛(Zn)を含むと好ましい。金属酸化物は、亜鉛を含むと結晶化しやすくなる場合がある。
ただし、金属酸化物1432は、インジウムを含む酸化物半導体に限定されない。金属酸化物1432は、例えば、亜鉛スズ酸化物、ガリウムスズ酸化物などの、インジウムを含まず、亜鉛を含む酸化物半導体、ガリウムを含む酸化物半導体、スズを含む酸化物半導体などであっても構わない。
金属酸化物1432は、例えば、エネルギーギャップが大きい酸化物半導体を用いる。金属酸化物1432のエネルギーギャップは、例えば、2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.8eV以上3.8eV以下、さらに好ましくは3eV以上3.5eV以下とする。
金属酸化物1432は、後述するCAAC−OS膜であることが好ましい。
例えば、金属酸化物1431及び金属酸化物1433は、金属酸化物1432を構成する酸素以外の元素一種以上、又は二種以上から構成される金属酸化物である。金属酸化物1432を構成する酸素以外の元素一種以上、又は二種以上から金属酸化物1431及び金属酸化物1433が構成されるため、金属酸化物1431と金属酸化物1432との界面、及び金属酸化物1432と金属酸化物1433との界面において、界面準位が形成されにくい。
なお、金属酸化物1431がIn−M−Zn酸化物のとき、In及びMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%より高く、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%より高いとする。金属酸化物1431をスパッタリング法で成膜する場合、上記の組成を満たすスパッタリングターゲットを用いることが好ましい。例えば、In:M:Zn=1:3:2、In:M:Zn=1:3:4などが好ましい。
また、金属酸化物1432がIn−M−Zn酸化物のとき、In及びMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが25atomic%より高く、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%より高く、Mが66atomic%未満とする。金属酸化物1432をスパッタリング法で成膜する場合、上記の組成を満たすスパッタリングターゲットを用いることが好ましい。例えば、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:4.1が好ましい。特に、スパッタリングターゲットとして、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:4.1を用いる場合、成膜される金属酸化物1432の原子数比は、In:Ga:Zn=4:2:3近傍となる場合がある。
また、金属酸化物1433がIn−M−Zn酸化物のとき、In及びMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%より高く、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%より高くする。例えば、In:M:Zn=1:3:2、In:M:Zn=1:3:4などが好ましい。また、金属酸化物1433は、金属酸化物1431と同種の金属酸化物を用いても構わない。
また、金属酸化物1431又は金属酸化物1433がインジウムを含まなくても構わない場合がある。例えば、金属酸化物1431又は金属酸化物1433が酸化ガリウムであっても構わない。
次に、金属酸化物1431乃至金属酸化物1433の積層により構成される金属酸化物1430の機能及びその効果について、図20(B)に示すエネルギーバンド構造図を用いて説明する。図20(B)は、図20(A)にY1−Y2の鎖線で示した部位のエネルギーバンド構造を示している。また、図20(B)は、トランジスタ1400aのチャネル形成領域とその近傍のエネルギーバンド構造を示している。
図20(B)中、Ec1404、Ec1431、Ec1432、Ec1433、Ec1406は、それぞれ、絶縁膜1404、金属酸化物1431、金属酸化物1432、金属酸化物1433、絶縁膜1406の伝導帯下端のエネルギーを示している。
ここで、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差(「電子親和力」ともいう。)は、真空準位と価電子帯上端のエネルギーとの差(イオン化ポテンシャルともいう。)からエネルギーギャップを引いた値となる。なお、エネルギーギャップは、分光エリプソメータを用いて測定できる。また、真空準位と価電子帯上端のエネルギー差は、紫外線光電子分光分析(UPS:Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy)装置を用いて測定できる。
絶縁膜1404と絶縁膜1406は絶縁体であるため、Ec1406とEc1404は、Ec1431、Ec1432、及びEc1433よりも真空準位に近い(電子親和力が小さい)。
金属酸化物1432は、金属酸化物1431及び金属酸化物1433よりも電子親和力の大きい金属酸化物を用いる。例えば、金属酸化物1432として、金属酸化物1431及び金属酸化物1433よりも電子親和力の0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0.7eV以下、さらに好ましくは0.15eV以上0.4eV以下大きい金属酸化物を用いる。なお、電子親和力は、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差である。
なお、インジウムガリウム酸化物は、小さい電子親和力と、高い酸素ブロック性を有する。そのため、金属酸化物1433がインジウムガリウム酸化物を含むと好ましい。ガリウム原子割合[Ga/(In+Ga)]は、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上とする。
このとき、ゲート電圧を印加すると、金属酸化物1431、金属酸化物1432、金属酸化物1433のうち、電子親和力の大きい金属酸化物1432にチャネルが形成される。
そのため、電子は、金属酸化物1431、金属酸化物1433の中ではなく、金属酸化物1432の中を主として移動する。そのため、金属酸化物1431と絶縁膜1404との界面、あるいは、金属酸化物1433と絶縁膜1406との界面に、電子の流れを阻害する界面準位が多く存在したとしても、トランジスタのオン電流にはほとんど影響を与えない。金属酸化物1431、金属酸化物1433は、絶縁膜のように機能する。
金属酸化物1431と金属酸化物1432との間には、金属酸化物1431と金属酸化物1432との混合領域を有する場合がある。また、金属酸化物1432と金属酸化物1433との間には、金属酸化物1432と金属酸化物1433との混合領域を有する場合がある。混合領域は、界面準位密度が低くなる。そのため、金属酸化物1431、金属酸化物1432及び金属酸化物1433の積層体は、それぞれの界面近傍において、エネルギーが連続的に変化する(連続接合ともいう。)バンド構造となる。
金属酸化物1431と金属酸化物1432の界面、あるいは、金属酸化物1432と金属酸化物1433との界面は、上述したように界面準位密度が小さいため、金属酸化物1432中で電子の移動が阻害されることが少なく、トランジスタのオン電流を高くすることが可能になる。
例えば、トランジスタ中の電子の移動は、チャネル形成領域の物理的な凹凸が大きい場合に阻害される。トランジスタのオン電流を高くするためには、例えば、金属酸化物1432の上面又は下面(被形成面、ここでは金属酸化物1431の上面)の、1μm×1μmの範囲における二乗平均平方根(RMS:Root Mean Square)粗さが1nm未満、好ましくは0.6nm未満、さらに好ましくは0.5nm未満、より好ましくは0.4nm未満とすればよい。また、1μm×1μmの範囲における平均面粗さ(Raともいう。)が1nm未満、好ましくは0.6nm未満、さらに好ましくは0.5nm未満、より好ましくは0.4nm未満とすればよい。また、1μm×1μmの範囲における最大高低差(P−Vともいう。)が10nm未満、好ましくは9nm未満、さらに好ましくは8nm未満、より好ましくは7nm未満とすればよい。RMS粗さ、Ra及びP−Vは、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製走査型プローブ顕微鏡システムSPA−500などを用いて測定することができる。
チャネルの形成される領域中の欠陥準位密度が高い場合にも、電子の移動は阻害される。例えば、金属酸化物1432が酸素欠損(VOとも表記。)を有する場合、酸素欠損のサイトに水素が入り込むことでドナー準位を形成することがある。以下では酸素欠損のサイトに水素が入り込んだ状態をVOHと表記する場合がある。VOHは電子を散乱するため、トランジスタのオン電流を低下させる要因となる。なお、酸素欠損のサイトは、水素が入るよりも酸素が入る方が安定する。したがって、金属酸化物1432中の酸素欠損を低減することで、トランジスタのオン電流を高くすることができる場合がある。
例えば、金属酸化物1432のある深さにおいて、又は、金属酸化物1432のある領域において、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)で測定される水素濃度は、1×1016atoms/cm3以上、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは1×1016atoms/cm3以上、5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1016atoms/cm3以上、1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm3以上、5×1018atoms/cm3以下とする。
金属酸化物1432の酸素欠損を低減するために、例えば、絶縁膜1404に含まれる過剰酸素を、金属酸化物1431を介して金属酸化物1432まで移動させる方法などがある。この場合、金属酸化物1431は、酸素透過性を有する層(酸素を通過又は透過させる層)であることが好ましい。
なお、トランジスタがs−channel構造を有する場合、金属酸化物1432の全体にチャネルが形成される。したがって、金属酸化物1432が厚いほどチャネル領域は大きくなる。即ち、金属酸化物1432が厚いほど、トランジスタのオン電流を高くすることができる。
また、トランジスタのオン電流を高くするためには、金属酸化物1433は薄いほど好ましい。金属酸化物1433は、例えば、10nm未満、好ましくは5nm以下、さらに好ましくは3nm以下の領域を有していればよい。一方、金属酸化物1433は、チャネルの形成される金属酸化物1432へ、隣接する絶縁体を構成する酸素以外の元素(水素、シリコンなど)が入り込まないようブロックする機能を有する。そのため、金属酸化物1433は、ある程度の厚さを有することが好ましい。金属酸化物1433は、例えば、0.3nm以上、好ましくは1nm以上、さらに好ましくは2nm以上の厚さの領域を有していればよい。また、金属酸化物1433は、絶縁膜1404などから放出される酸素の外方拡散を抑制するために、酸素をブロックする性質を有すると好ましい。
また、信頼性を高くするためには、金属酸化物1431は厚く、金属酸化物1433は薄いことが好ましい。金属酸化物1431は、例えば、10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは40nm以上、より好ましくは60nm以上の厚さの領域を有していればよい。金属酸化物1431の厚さを、厚くすることで、隣接する絶縁体と金属酸化物1431との界面からチャネルの形成される金属酸化物1432までの距離を離すことができる。ただし、半導体装置の生産性が低下する場合があるため、金属酸化物1431は、例えば、200nm以下、好ましくは120nm以下、さらに好ましくは80nm以下の厚さの領域を有していればよい。
例えば、金属酸化物1432と金属酸化物1431との間に、例えば、SIMS分析において、1×1016atoms/cm3以上、1×1019atoms/cm3未満、好ましくは1×1016atoms/cm3以上、5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1016atoms/cm3以上、2×1018atoms/cm3未満のシリコン濃度となる領域を有する。また、金属酸化物1432と金属酸化物1433との間に、SIMSにおいて、1×1016atoms/cm3以上、1×1019atoms/cm3未満、好ましくは1×1016atoms/cm3以上、5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1016atoms/cm3以上、2×1018atoms/cm3未満のシリコン濃度となる領域を有する。
また、金属酸化物1432の水素濃度を低減するために、金属酸化物1431及び金属酸化物1433の水素濃度を低減すると好ましい。金属酸化物1431及び金属酸化物1433は、SIMSにおいて、1×1016atoms/cm3以上、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは1×1016atoms/cm3以上、5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1016atoms/cm3以上、1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm3以上、5×1018atoms/cm3以下の水素濃度となる領域を有する。また、金属酸化物1432の窒素濃度を低減するために、金属酸化物1431及び金属酸化物1433の窒素濃度を低減すると好ましい。金属酸化物1431及び金属酸化物1433は、SIMSにおいて、1×1016atoms/cm3以上、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは1×1016atoms/cm3以上、5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1016atoms/cm3以上、1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm3以上、5×1017atoms/cm3以下の窒素濃度となる領域を有する。
金属酸化物1431乃至金属酸化物1433の成膜は、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法又はPLD(Pulsed Laser Deposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法などを用いて行えばよい。
金属酸化物1431、金属酸化物1432を形成した後に、第1の加熱処理を行うと好ましい。第1の加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは450℃以上600℃以下、さらに好ましくは520℃以上570℃以下で行えばよい。第1の加熱処理は、不活性ガス雰囲気、又は酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で行う。第1の加熱処理は減圧状態で行ってもよい。又は、第1の加熱処理は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上又は10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。第1の加熱処理によって、金属酸化物1431、金属酸化物1432の結晶性を高めることや、水素や水などの不純物を除去することが可能になる。
上述の3層構造は一例である。例えば、金属酸化物1431又は金属酸化物1433のない2層構造としても構わない。又は、金属酸化物1431の上もしくは下、又は金属酸化物1433上もしくは下に、金属酸化物1431、金属酸化物1432及び金属酸化物1433として例示した半導体のいずれか一を有する4層構造としても構わない。又は、金属酸化物1431の上、金属酸化物1431の下、金属酸化物1433の上、金属酸化物1433の下のいずれか二箇所以上に、金属酸化物1431、金属酸化物1432及び金属酸化物1433として例示した半導体のいずれか一を有するn層構造(nは5以上の整数)としても構わない。
<<基板>>
基板1450としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板又は導電体基板を用いればよい。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体基板、又は炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムからなる化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板などがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板などがある。又は、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などがある。さらには、絶縁体基板に導電体又は半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体又は絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体又は絶縁体が設けられた基板などがある。又は、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
また、基板1450として、可とう性基板を用いてもよい。なお、可とう性基板上にトランジスタを設ける方法としては、非可とう性の基板上にトランジスタを作製した後、トランジスタを剥離し、可とう性基板である基板1450に転置する方法もある。その場合には、非可とう性基板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。なお、基板1450として、繊維を編みこんだシート、フィルム又は箔などを用いてもよい。また、基板1450が伸縮性を有してもよい。また、基板1450は、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有してもよい。又は、元の形状に戻らない性質を有してもよい。基板1450の厚さは、例えば、5μm以上700μm以下、好ましくは10μm以上500μm以下、さらに好ましくは15μm以上300μm以下とする。基板1450を薄くすると、半導体装置を軽量化することができる。また、基板1450を薄くすることで、ガラスなどを用いた場合にも伸縮性を有する場合や、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有する場合がある。そのため、落下などによって基板1450上の半導体装置に加わる衝撃などを緩和することができる。即ち、丈夫な半導体装置を提供することができる。
可とう性基板である基板1450としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、又はそれらの繊維などを用いることができる。可とう性基板である基板1450は、線膨張率が低いほど環境による変形が抑制されて好ましい。可とう性基板である基板1450としては、例えば、線膨張率が1×10−3/K以下、5×10−5/K以下、又は1×10−5/K以下である材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などがある。特に、アラミドは、線膨張率が低いため、可とう性基板である基板1450として好適である。
<<下地絶縁膜>>
絶縁膜1401は、基板1450と導電膜1414を電気的に分離させる機能を有する。
絶縁膜1401又は絶縁膜1402は、単層構造又は積層構造の絶縁膜で形成される。絶縁膜を構成する材料には、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどがある。
また、絶縁膜1402として、TEOS(Tetra−Ethyl−Ortho−Silicate)若しくはシラン等と、酸素若しくは亜酸化窒素等とを反応させて形成した段差被覆性の良い酸化シリコンを用いてもよい。
また、絶縁膜1402を成膜した後、その上面の平坦性を高めるためにCMP法等を用いた平坦化処理を行ってもよい。
絶縁膜1404は、酸化物を含むことが好ましい。特に加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を含むことが好ましい。好適には、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物を用いることが好ましい。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物膜は、加熱により一部の酸素が脱離する。絶縁膜1404から脱離した酸素は金属酸化物1430に供給され、金属酸化物1430の酸素欠損を低減することが可能となる。その結果、トランジスタの電気特性の変動を抑制し、信頼性を高めることができる。
化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物膜は、例えば、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、又は100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。
絶縁膜1404は、金属酸化物1430に酸素を供給することができる酸化物を含むことが好ましい。例えば、酸化シリコン又は酸化窒化シリコンを含む材料を用いることが好ましい。
又は、絶縁膜1404として、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等の金属酸化物を用いてもよい。
絶縁膜1404に酸素を過剰に含有させるためには、例えば酸素雰囲気下にて絶縁膜1404の成膜を行えばよい。又は、成膜後の絶縁膜1404に酸素を導入して酸素を過剰に含有する領域を形成してもよく、双方の手段を組み合わせてもよい。
例えば、成膜後の絶縁膜1404に、酸素(少なくとも酸素ラジカル、酸素原子、酸素イオンのいずれかを含む)を導入して酸素を過剰に含有する領域を形成する。酸素の導入方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、プラズマ処理などを用いることができる。
酸素導入方法には、酸素を含むガスを用いることができる。酸素を含むガスとしては、例えば酸素、亜酸化窒素、二酸化窒素、二酸化炭素、一酸化炭素などを用いることができる。また、酸素導入処理において、酸素を含むガスに希ガスを含ませてもよい。又は、水素等を含ませてもよい。例えば、二酸化炭素、水素及びアルゴンの混合ガスを用いるとよい。
また、絶縁膜1404を成膜した後、その上面の平坦性を高めるためにCMP法等を用いた平坦化処理を行ってもよい。
絶縁膜1403は、絶縁膜1404に含まれる酸素が、導電膜1414に含まれる金属と結びつき、絶縁膜1404に含まれる酸素が減少することを防ぐパッシベーション機能を有する。
絶縁膜1403は、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキングできる機能を有する。絶縁膜1403を設けることで、金属酸化物1430からの酸素の外部への拡散と、外部から金属酸化物1430への水素、水等の入り込みを防ぐことができる。
絶縁膜1403としては、例えば、窒化物絶縁膜を用いることができる。該窒化物絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等がある。なお、窒化物絶縁膜の代わりに、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜を設けてもよい。酸化物絶縁膜としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。
トランジスタ1400aは、電荷捕獲層に電子を注入することで、しきい値電圧を制御することが可能になる。電荷捕獲層は、絶縁膜1402又は絶縁膜1403に設けることが好ましい。例えば、絶縁膜1403を酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル、アルミニウムシリケート等で形成することで、電荷捕獲層として機能させることができる。
<<ゲート電極>>
導電膜1411乃至導電膜1414して、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、金(Au)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、鉛(Pb)、錫(Sn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ストロンチウム(Sr)の低抵抗材料からなる単体、合金、又はこれらを主成分とする化合物を含む導電膜の単層又は積層とすることが好ましい。特に、耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましい。また、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。さらに、Cu−Mn合金を用いると、酸素を含む絶縁体との界面に酸化マンガンを形成し、酸化マンガンがCuの拡散を抑制する機能を持つので好ましい。
<<ソース電極、ドレイン電極>>
導電膜1421乃至導電膜1424として、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、金(Au)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、鉛(Pb)、錫(Sn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ストロンチウム(Sr)の低抵抗材料からなる単体、合金、又はこれらを主成分とする化合物を含む導電膜の単層又は積層とすることが好ましい。特に、耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましい。また、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。さらに、Cu−Mn合金を用いると、酸素を含む絶縁体との界面に酸化マンガンを形成し、酸化マンガンがCuの拡散を抑制する機能を持つので好ましい。
また、導電膜1421乃至導電膜1424には、酸化イリジウム、酸化ルテニウム、ストロンチウムルテナイトなど、貴金属を含む導電性酸化物を用いることが好ましい。これらの導電性酸化物は、酸化物半導体と接しても酸化物半導体から酸素を奪うことが少なく、酸化物半導体の酸素欠損を作りにくい。
<<低抵抗領域>>
領域1441、領域1442は、例えば、導電膜1421、導電膜1423が、金属酸化物1431、金属酸化物1432の酸素を引き抜くことで形成される。酸素の引き抜きは、高い温度で加熱するほど起こりやすい。トランジスタの作製工程には、いくつかの加熱工程があることから、領域1441、領域1442には酸素欠損が形成される。また、加熱により該酸素欠損のサイトに水素が入りこみ、領域1441、領域1442に含まれるキャリア濃度が増加する。その結果、領域1441、領域1442が低抵抗化する。
<<ゲート絶縁膜>>
絶縁膜1406は、比誘電率の高い絶縁体を有することが好ましい。例えば、絶縁膜1406は、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、アルミニウム及びハフニウムを有する酸化物、アルミニウム及びハフニウムを有する酸化窒化物、シリコン及びハフニウムを有する酸化物、又はシリコン及びハフニウムを有する酸化窒化物などを有することが好ましい。
また、絶縁膜1406は、酸化シリコン又は酸化窒化シリコンと、比誘電率の高い絶縁体と、の積層構造を有することが好ましい。酸化シリコン及び酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、比誘電率の高い絶縁体と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。例えば、酸化アルミニウム、酸化ガリウム又は酸化ハフニウムを金属酸化物1433側に有することで、酸化シリコン又は酸化窒化シリコンに含まれるシリコンが、金属酸化物1432に混入することを抑制することができる。
また、例えば、酸化シリコン又は酸化窒化シリコンを金属酸化物1433側に有することで、酸化アルミニウム、酸化ガリウム又は酸化ハフニウムと、酸化シリコン又は酸化窒化シリコンと、の界面にトラップセンターが形成される場合がある。該トラップセンターは、電子を捕獲することでトランジスタのしきい値電圧をプラス方向に変動させることができる場合がある。
<<層間絶縁膜、保護絶縁膜>>
絶縁膜1405は、比誘電率の低い絶縁体を有することが好ましい。例えば、絶縁膜1405は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン又は樹脂などを有することが好ましい。又は、絶縁膜1405は、酸化シリコン又は酸化窒化シリコンと、樹脂と、の積層構造を有することが好ましい。酸化シリコン及び酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、樹脂と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の低い積層構造とすることができる。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート又はアクリルなどがある。
絶縁膜1407は、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキングできる機能を有する。絶縁膜1407を設けることで、金属酸化物1430からの酸素の外部への拡散と、外部から金属酸化物1430への水素、水等の入り込みを防ぐことができる。
絶縁膜1407としては、例えば、窒化物絶縁膜を用いることができる。該窒化物絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等がある。なお、窒化物絶縁膜の代わりに、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜を設けてもよい。酸化物絶縁膜としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。
酸化アルミニウム膜は、水素、水分などの不純物、及び酸素の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高いので絶縁膜1407に適用するのに好ましい。
絶縁膜1407は、スパッタリング法または、CVD法などにより酸素を含むプラズマを用いて成膜することで、絶縁膜1405、絶縁膜1406の側面及び表面に、酸素を添加することが可能になる。また、絶縁膜1407を成膜した後、何れかのタイミングにおいて、第2の加熱処理を行うことが好ましい。第2の加熱処理によって、絶縁膜1405、絶縁膜1406に添加された酸素が、絶縁膜中を拡散し、金属酸化物1430に到達し、金属酸化物1430の酸素欠損を低減することが可能になる。
図21(A)(B)は、絶縁膜1407を成膜する際に絶縁膜1405、絶縁膜1406に添加された酸素が、第2の加熱処理によって絶縁膜中を拡散し、金属酸化物1430に到達する様子を描いた模式図である。図21(A)は、図19(B)の断面図において、酸素が拡散する様子を矢印で示している。同様に、図21(B)は、図19(C)の断面図において、酸素が拡散する様子を矢印で示している。
図21(A)、図21(B)に示すように、絶縁膜1406の側面に添加された酸素が、絶縁膜1406の内部を拡散し、金属酸化物1430に到達する。また、絶縁膜1407と絶縁膜1405の界面近傍に、酸素を過剰に含む領域1461、領域1462及び領域1463が形成される場合がある。領域1461乃至1463に含まれる酸素は、絶縁膜1405、絶縁膜1404を経由し、金属酸化物1430に到達する。絶縁膜1405が酸化シリコンを含み、絶縁膜1407が酸化アルミニウムを含む場合、領域1461乃至1463は、シリコンとアルミニウムと酸素の混合層が形成される場合がある。
絶縁膜1407は、酸素をブロックする機能を有し、酸素が絶縁膜1407より上方に拡散することを防ぐ。同様に、絶縁膜1403は、酸素をブロックする機能を有し、酸素が絶縁膜1403より下方に拡散することを防ぐ。
なお、第2の加熱処理は、絶縁膜1405、絶縁膜1406に添加された酸素が金属酸化物1430まで拡散する温度で行えばよい。例えば、第1の加熱処理についての記載を参照しても構わない。又は、第2の加熱処理は、第1の加熱処理よりも低い温度が好ましい。第1の加熱処理と第2の加熱処理の温度差は、20℃以上150℃以下、好ましくは40℃以上100℃以下とする。これにより、絶縁膜1404から余分に酸素が放出することを抑えることができる。なお、第2の加熱処理は、同等の加熱処理を各層の成膜時の加熱によって兼ねることができる場合、行わなくてもよい場合がある。
このように、金属酸化物1430は、絶縁膜1407の成膜及び第2の加熱処理によって、上下方向から酸素が供給されることが可能になる。
また、In−M−Zn酸化物など、酸化インジウムを含む膜を絶縁膜1407として成膜することで、絶縁膜1405、絶縁膜1406に酸素を添加してもよい。
絶縁膜1408には、酸化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどから選ばれた一種以上含む絶縁体を用いることができる。また、絶縁膜1408には、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の樹脂を用いることもできる。また、絶縁膜1408は上記材料の積層であってもよい。
<トランジスタの構成例2>
図19に示すトランジスタ1400aは、導電膜1414及び絶縁膜1402、絶縁膜1403を省略してもよい。その場合の例を図22に示す。
図22(A)乃至図22(C)は、トランジスタ1400bの上面図及び断面図である。図22(A)は上面図である。図22(B)は、図22(A)に示す一点鎖線A1−A2に対応する断面図であり、図22(C)は、図22(A)に示す一点鎖線A3−A4に対応する断面図である。なお、図22(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。なお、一点鎖線A1−A2をトランジスタ1400bのチャネル長方向、一点鎖線A3−A4をトランジスタ1400bのチャネル幅方向と呼ぶ場合がある。
図19に示すトランジスタ1400aにおいて、導電膜1421、導電膜1423は、ゲート電極(導電膜1411乃至導電膜1413)と重なる部分の膜厚を薄くしてもよい。その場合の例を図23に示す。
図23(A)乃至図23(C)は、トランジスタ1400cの上面図及び断面図である。図23(A)は上面図である。図23(B)は、図23(A)に示す一点鎖線A1−A2に対応する断面図であり、図23(C)は、図23(A)に示す一点鎖線A3−A4に対応する断面図である。なお、図23(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。なお、一点鎖線A1−A2をトランジスタ1400cのチャネル長方向、一点鎖線A3−A4をトランジスタ1400cのチャネル幅方向と呼ぶ場合がある。
図23(B)のトランジスタ1400cにおいて、ゲート電極と重なる部分の導電膜1421が薄膜化され、その上を導電膜1422が覆っている。同様に、ゲート電極と重なる部分の導電膜1423が薄膜化され、その上を導電膜1424が覆っている。
トランジスタ1400cは、図23(B)に示すような構成にすることで、ゲート電極とソース電極との間の距離、又は、ゲート電極とドレイン電極との間の距離を長くすることが可能になり、ゲート電極とソース電極及びドレイン電極との間に形成される寄生容量を低減することが可能になる。その結果、高速動作が可能なトランジスタを得ることが可能になる。
<トランジスタの構成例3>
図23に示すトランジスタ1400cにおいて、A3−A4方向に、金属酸化物1431、1432の幅を広げてもよい。その場合の例を図24に示す。
図24(A)乃至図24(C)は、トランジスタ1400dの上面図及び断面図である。図24(A)は上面図である。図24(B)は、図24(A)に示す一点鎖線A1−A2に対応する断面図であり、図24(C)は、図24(A)に示す一点鎖線A3−A4に対応する断面図である。なお、図24(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。なお、一点鎖線A1−A2をトランジスタ1400dのチャネル長方向、一点鎖線A3−A4をトランジスタ1400dのチャネル幅方向と呼ぶ場合がある。
トランジスタ1400dは、図24に示す構成にすることで、オン電流を増大させることが可能になる。
<トランジスタの構成例4>
図23に示すトランジスタ1400cにおいて、A3−A4方向に、金属酸化物1431、金属酸化物1432から成る領域(以下、フィンと呼ぶ)を複数設けてもよい。その場合の例を図25に示す。
図25(A)乃至図25(C)は、トランジスタ1400eの上面図及び断面図である。図25(A)は上面図である。図25(B)は、図25(A)に示す一点鎖線A1−A2に対応する断面図であり、図25(C)は、図25(A)に示す一点鎖線A3−A4に対応する断面図である。なお、図25(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。なお、一点鎖線A1−A2をトランジスタ1400eのチャネル長方向、一点鎖線A3−A4をトランジスタ1400eのチャネル幅方向と呼ぶ場合がある。
トランジスタ1400eは、金属酸化物1431a、金属酸化物1432aから成る第1のフィンと、金属酸化物1431b、金属酸化物1432bから成る第2のフィンと、金属酸化物1431c、金属酸化物1432cから成る第3のフィンと、を有している。
トランジスタ1400eは、チャネルが形成される金属酸化物1432a乃至金属酸化物1432cを、ゲート電極が取り囲むことで、チャネル全体にゲート電界を印加することが可能になり、オン電流が高いトランジスタを得ることが可能になる。
<トランジスタの構成例5>
図26(A)乃至図26(D)は、トランジスタ1400fの上面図及び断面図である。図26(A)は、トランジスタ1400fの上面図であり、図26(B)は図26(A)に示す一点鎖線A1−A2に対応する断面図であり、図26(C)は一点鎖線A3−A4に対応する断面図である。なお、一点鎖線A1−A2をチャネル長方向、一点鎖線A3−A4をチャネル幅方向という場合がある。トランジスタ1400fもトランジスタ1400a等と同様に、s−channel構造のトランジスタである。トランジスタ1400fでは、ゲート電極を構成する導電膜1412の側面に接して、絶縁膜1409が設けられている。絶縁膜1409及び導電膜1412は、絶縁膜1407及び絶縁膜1408に覆われている。絶縁膜1409はトランジスタ1400fのサイドウォール絶縁膜として機能する。トランジスタ1400aと同様に、ゲート電極を導電膜1411乃至導電膜1413の積層としてもよい。
絶縁膜1406及び導電膜1412は、少なくとも一部が導電膜1414及び金属酸化物1432と重なる。導電膜1412のチャネル長方向の側面端部と絶縁膜1406のチャネル長方向の側面端部は概略一致していることが好ましい。ここで、絶縁膜1406はトランジスタ1400fのゲート絶縁膜として機能し、導電膜1412はトランジスタ1400fのゲート電極として機能する。
金属酸化物1432は、金属酸化物1433及び絶縁膜1406を介して導電膜1412と重なる領域を有する。金属酸化物1431の外周が金属酸化物1432の外周と概略一致し、金属酸化物1433の外周が金属酸化物1431及び金属酸化物1432の外周よりも外側に位置することが好ましい。ここでは、金属酸化物1433の外周が金属酸化物1431の外周よりも外側に位置する形状となっているが、本実施の形態に示すトランジスタはこれに限られるものではない。例えば、金属酸化物1431の外周が金属酸化物1433の外周より外側に位置してもよいし、金属酸化物1431の側面端部と、金属酸化物1433の側面端部とが概略一致する形状としてもよい。
図26(D)に図26(B)の部分拡大図を示す。図26(D)に示すように、金属酸化物1430には、領域1461a、1461b、1461c、1461d及び1461eが形成されている。領域1461b乃至領域1461eは、領域1461aと比較してドーパントの濃度が高く、低抵抗化されている。さらに、領域1461b及び領域1461cは、領域1461d及び領域1461eと比較して水素の濃度が高く、より低抵抗化されている。例えば、領域1461aは、領域1461b又は領域1461cのドーパントの最大濃度に対して、5%以下の濃度の領域、2%以下の濃度の領域、又は1%以下の濃度の領域とすればよい。なお、ドーパントを、ドナー、アクセプター、不純物又は元素と言い換えてもよい。
図26(D)に示すように、金属酸化物1430において、領域1461aは導電膜1412と概ね重なる領域であり、領域1461b、領域1461c、領域1461d及び領域1461eは、領域1461aを除いた領域である。領域1461b及び領域1461cにおいては、金属酸化物1433の上面が絶縁膜1407と接する。領域1461d及び領域1461eにおいては、金属酸化物1433の上面が絶縁膜1409又は絶縁膜1406と接する。つまり、図26(D)に示すように、領域1461bと領域1461dの境界は、絶縁膜1407と絶縁膜1409の側面端部の境界と重なる部分である。領域1461cと領域1461eの境界についても同様である。ここで、領域1461d及び領域1461eの一部が、金属酸化物1432の導電膜1412と重なる領域(チャネル形成領域)の一部と重なることが好ましい。例えば、領域1461d及び領域1461eのチャネル長方向の側面端部は、導電膜1412の側面端部より距離dだけ導電膜1412の内側に位置することが好ましい。このとき、絶縁膜1406の膜厚t406及び距離dは、0.25t406<d<t406を満たすことが好ましい。
このように、金属酸化物1430の導電膜1412と重なる領域の一部に領域1461d及び領域1461eが形成される。これにより、トランジスタ1400fのチャネル形成領域と抵抗化された領域1461d及び領域1461eが接し、領域1461d及び領域1461eと、領域1461aとの間に、高抵抗のオフセット領域が形成されないため、トランジスタ1400fのオン電流を増大させることができる。さらに、領域1461d及び領域1461eのチャネル長方向の側面端部が上記の範囲を満たして形成されることで、領域1461d及び領域1461eがチャネル形成領域に対して深く形成されすぎて常に導通状態になってしまうことも防ぐことができる。
領域1461b、領域1461c、領域1461d及び領域1461eは、イオン注入法などのイオンドーピング処理により形成される。このため、図26(D)に示すように、領域1461dと領域1461aの境界は、金属酸化物1433の上面から金属酸化物1431の下面方向に深くなるにしたがって、領域1461dと領域1461bの境界に近づく場合がある。このときの距離dは、一点鎖線A1−A2方向において導電膜1412の最も内側に近い、領域1461dと領域1461aの境界と、導電膜1412の一点鎖線A1−A2方向におけるA1側の側面端部との距離とする。同様に、領域1461eと領域1461aの境界が、金属酸化物1433上面から金属酸化物1431の下面方向に深くなるにしたがって、領域1461eと領域1461cの境界に近づく場合がある。このときの距離dは、一点鎖線A1−A2方向において導電膜1412の最も内側に近い、領域1461eと領域1461aの境界と、導電膜1412の一点鎖線A1−A2方向におけるA2側の側面端部との距離とする。
この場合、例えば、金属酸化物1431中に形成される領域1461d及び領域1461eが導電膜1412と重なる領域に形成されない場合がある。この場合、金属酸化物1431又は金属酸化物1432に形成される領域1461d及び領域1461eの少なくとも一部が導電膜1412と重なる領域に形成されることが好ましい。
また、金属酸化物1431、金属酸化物1432及び金属酸化物1433の絶縁膜1407との界面近傍に低抵抗領域1451及び低抵抗領域1452が形成されることが好ましい。低抵抗領域1451及び低抵抗領域1452は、絶縁膜1407に含まれる元素の少なくとも一が含まれる。低抵抗領域1451及び低抵抗領域1452の一部が、金属酸化物1432の導電膜1412と重なる領域(チャネル形成領域)と概略接するか、当該領域の一部と重なることが好ましい。
また、金属酸化物1433は絶縁膜1407と接する領域が大きいため、低抵抗領域1451及び低抵抗領域1452は金属酸化物1433に形成されやすい。金属酸化物1433における低抵抗領域1451と低抵抗領域1452は、金属酸化物1433の低抵抗領域1451及び低抵抗領域1452ではない領域(例えば、金属酸化物1433の導電膜1412と重なる領域)より、絶縁膜1407に含まれる元素の濃度が高い。
領域1461b中に低抵抗領域1451が形成され、領域1461c中に低抵抗領域1452が形成される。金属酸化物1430の理想的な構造は、例えば、添加元素の濃度が最も高い領域が低抵抗領域1451、1452であり、次に濃度が高い領域が、領域1461b、領域1461c―1461eの低抵抗領域1451、1452を含まない領域であり、濃度が最も低い領域が領域1461aであることである。添加元素とは、領域1461b、1461cを形成するためのドーパント、及び低抵抗領域1451、1452に絶縁膜1407から添加される元素が該当する。
なおトランジスタ1400fでは低抵抗領域1451、1452が形成される構成としているが、本実施の形態に示す半導体装置は、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、領域1461b及び領域1461cの抵抗が十分低い場合、低抵抗領域1451及び低抵抗領域1452を形成する必要はない。
<トランジスタの構成例6>
図27(A)及び図27(B)は、トランジスタ1680の上面図及び断面図である。図27(A)は上面図であり、図27(A)に示す一点鎖線A−B方向の断面が図27(B)に相当する。なお、図27(A)及び図27(B)では、図の明瞭化のために一部の要素を拡大、縮小、又は省略して図示している。また、一点鎖線A−B方向をチャネル長方向と呼称する場合がある。
図27(B)に示すトランジスタ1680は、第1のゲートとして機能する導電膜1689と、第2のゲートとして機能する導電膜1688と、半導体1682と、ソース及びドレインとして機能する導電膜1683及び導電膜1684と、絶縁膜1681と、絶縁膜1685と、絶縁膜1686と、絶縁膜1687と、を有する。
導電膜1689は、絶縁表面上に設けられる。導電膜1689と、半導体1682とは、絶縁膜1681を間に挟んで、互いに重なる。また、導電膜1688と、半導体1682とは、絶縁膜1685、絶縁膜1686及び絶縁膜1687を間に挟んで、互いに重なる。また、導電膜1683及び導電膜1684は、半導体1682に、接続されている。
導電膜1689及び導電膜1688の詳細は、図19に示す導電膜1411乃至導電膜1414の記載を参照すればよい。
導電膜1689と導電膜1688は、異なる電位が与えられてもよいし、同時に同じ電位が与えられてもよい。トランジスタ1680は、第2のゲート電極として機能する導電膜1688を設けることで、しきい値電圧を安定化させることが可能になる。なお、導電膜1688は、場合によっては省略してもよい。
半導体1682の詳細は、図19に示す金属酸化物1432の記載を参照すればよい。また、半導体1682は、一層でも良いし、複数の半導体層の積層でも良い。
導電膜1683及び導電膜1684の詳細は、図19に示す導電膜1421乃至1424の記載を参照すればよい。
絶縁膜1681の詳細は、図19に示す絶縁膜1406の記載を参照すればよい。
なお、図27(B)では、半導体1682、導電膜1683及び導電膜1684上に、順に積層された絶縁膜1685乃至絶縁膜1687が設けられている場合を例示しているが、半導体1682、導電膜1683及び導電膜1684上に設けられる絶縁膜は、一層でも良いし、複数の絶縁膜の積層でも良い。
半導体1682に酸化物半導体を用いた場合、絶縁膜1686は、化学量論的組成以上の酸素が含まれており、加熱により上記酸素の一部を半導体1682に供給する機能を有する絶縁膜であることが望ましい。ただし、絶縁膜1686を半導体1682上に直接設けると、絶縁膜1686の形成時に半導体1682にダメージが与えられる場合、図27(B)に示すように、絶縁膜1685を半導体1682と絶縁膜1686の間に設けると良い。絶縁膜1685は、その形成時に半導体1682に与えるダメージが絶縁膜1686の場合よりも小さく、なおかつ、酸素を透過する機能を有する絶縁膜であることが望ましい。ただし、半導体1682に与えられるダメージを小さく抑えつつ、半導体1682上に絶縁膜1686を直接形成することができるのであれば、絶縁膜1685は必ずしも設けなくとも良い。
例えば、絶縁膜1685及び絶縁膜1686として、酸化シリコン又は酸化窒化シリコンを含む材料を用いることが好ましい。又は、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等の金属酸化物を用いることもできる。
絶縁膜1687は、酸素、水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を有することが、望ましい。或いは、絶縁膜1687は、水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を有することが、望ましい。
絶縁膜は、密度が高くて緻密である程、また未結合手が少なく化学的に安定である程、より高いブロッキング効果を示す。酸素、水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を示す絶縁膜は、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等を用いて、形成することができる。水素、水の拡散を防ぐブロッキング効果を示す絶縁膜は、例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン等を用いることができる。
絶縁膜1687が水、水素などの拡散を防ぐブロッキング効果を有する場合、パネル内の樹脂や、パネルの外部に存在する水、水素などの不純物が、半導体1682に侵入するのを防ぐことができる。半導体1682に酸化物半導体を用いる場合、酸化物半導体に侵入した水又は水素の一部は電子供与体(ドナー)となるため、上記ブロッキング効果を有する絶縁膜1687を用いることで、トランジスタ1680の閾値電圧がドナーの生成によりシフトするのを防ぐことができる。
また、半導体1682に酸化物半導体を用いる場合、絶縁膜1687が酸素の拡散を防ぐブロッキング効果を有することで、酸化物半導体からの酸素が外部に拡散するのを防ぐことができる。よって、酸化物半導体中において、ドナーとなる酸素欠損が低減されるので、トランジスタ1680の閾値電圧がドナーの生成によりシフトするのを防ぐことができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、上記実施の形態に示す半導体装置100、半導体装置110、半導体装置200、半導体装置300(以下、まとめて半導体装置CDと呼称する)に適用可能なデバイスの構成例について、図28乃至図31を用いて説明を行う。
<断面図1>
図28(A)、図28(B)は半導体装置CDの断面図の一部を示している。図28(A)は、半導体装置CDのメモリセルMCA[1]乃至メモリセルMCA[m]、メモリセルMCB[1]乃至メモリセルMCA[n]、メモリセルMCC[1]乃至メモリセルMCC[p]、ダミーセルMCDA、ダミーセルMCDB(以下、まとめてメモリセルMCと呼称する)を構成するトランジスタのチャネル長方向の断面図を表している。また、図28(B)は、半導体装置CDのメモリセルMCを構成するトランジスタのチャネル幅方向の断面図を表している。
図28(A)、図28(B)に示す半導体装置CDは、下から順に、層L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11、L12を有している。
層L1は、基板1700と、基板1700に形成されたトランジスタTrAと、素子分離層1701と、導電体1710、導電体1711などの複数の導電体を有する。
層L2は、配線1730、配線1731などの複数の配線を有する。
層L3は、導電体1712、導電体1713などの複数の導電体と、複数の配線(図示せず)を有する。
層L4は、絶縁体1706と、トランジスタTrBと、絶縁体1702と、絶縁体1703と、導電体1714、導電体1715などの複数の導電体を有する。
層L5は、配線1732、配線1733などの複数の配線を有する。
層L6は、導電体1716などの複数の導電体を有する。
層L7は、トランジスタTrCと、絶縁体1704、絶縁体1705と、導電体1717などの複数の導電体を有する。
層L8は、配線1734、配線1735などの複数の配線を有する。
層L9は、導電体1718などの複数の導電体と、複数の配線(図示せず)を有する。
層L10は、配線1736などの複数の配線を有する。
層L11は、容量素子C1と、導電体1719などの複数の導電体とを有している。また、容量素子C1は、第1の電極1751と、第2の電極1752と、絶縁体1753と、を有している。
層L12は、配線1737などの複数の配線を有している。
トランジスタTrB、トランジスタTrCは、実施の形態6に示したOSトランジスタを適用することが好ましい。図28(A)、図28(B)は、トランジスタTrB、トランジスタTrCに、図23(A)及び図23(B)に示すトランジスタ1400cを適用した例を示している。
トランジスタTrAは、トランジスタTrB、トランジスタTrCとは異なる半導体材料で形成されることが好ましい。図28(A)、図28(B)では、トランジスタTrAにSiトランジスタを適用した例を示している。
つまり、層LYR1は、層L1及び層L2であることが好ましい。また、層LYR2は、層L4乃至層L11であることが好ましい。また、層LYR1の容量素子CA1、容量素子CA2、容量素子CB1、容量素子CB2は、層L1及び層L2に設けず、層L11に設ける構成としてもよい。また、層LYR1のトランジスタTr1、トランジスタTr2にOSトランジスタを適用する場合、層L4乃至層L7に設ける構成としてもよい。
基板1700としては、シリコンや炭化シリコンからなる単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムからなる化合物半導体基板や、SOI基板などを用いることができる。
また、基板1700として、例えば、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、金属基板、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、又は基材フィルム、などを用いてもよい。また、ある基板を用いて半導体素子を形成し、その後、別の基板に半導体素子を転置してもよい。図28(A)、図28(B)では、一例として、基板1700に単結晶シリコンウェハを用いた例を示している。
図30(A)、図30(B)を用いて、トランジスタTrAの詳細について説明を行う。図30(A)はトランジスタTrAのチャネル長方向の断面図を示し、図30(B)はトランジスタTrAのチャネル幅方向の断面図を示している。トランジスタTrAは、ウェル1792に設けられたチャネル形成領域1793と、低濃度不純物領域1794及び高濃度不純物領域1795(これらを合わせて単に不純物領域とも呼ぶ)と、該不純物領域に接して設けられた導電性領域1796と、チャネル形成領域1793上に設けられたゲート絶縁膜1797と、ゲート絶縁膜1797上に設けられたゲート電極1790と、ゲート電極1790の側面に設けられた側壁絶縁層1798、側壁絶縁層1799とを有する。なお、導電性領域1796には、金属シリサイド等を用いてもよい。
図30(B)において、トランジスタTrAはチャネル形成領域1793が凸形状を有し、その側面及び上面に沿ってゲート絶縁膜1797及びゲート電極1790が設けられている。このような形状を有するトランジスタをFIN型トランジスタと呼ぶ。本実施の形態では、半導体基板の一部を加工して凸部を形成する場合を示したが、SOI基板を加工して凸形状を有する半導体層を形成してもよい。
なお、トランジスタTrAは、FIN型トランジスタに限定されず、図31(A)、図31(B)に示すプレーナー型トランジスタを用いてもよい。図31(A)は、トランジスタTrAのチャネル長方向の断面図を示し、図31(B)はトランジスタTrAのチャネル幅方向の断面図を示している。図31に示す符号は、図30に示す符号と同一である。
図28(A)、図28(B)において、絶縁体1702乃至絶縁体1706は、水素、水等に対するブロッキング効果を有することが好ましい。水、水素等は酸化物半導体中にキャリアを生成する要因の一つであるので、水素、水等に対するブロッキング層を設けることにより、トランジスタTrB及びトランジスタTrCの信頼性を向上させることが可能になる。水素、水等に対するブロッキング効果を有する絶縁物には、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等がある。
配線1730乃至配線1737、及び、導電体1710乃至導電体1719には、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、金(Au)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、鉛(Pb)、錫(Sn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)の低抵抗材料からなる単体、もしくは合金、又はこれらを主成分とする化合物を含む導電膜の単層又は積層とすることが好ましい。特に、耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましい。また、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。さらに、Cu−Mn合金を用いると、酸素を含む絶縁体との界面に酸化マンガンを形成し、酸化マンガンがCuの拡散を抑制する機能を持つので好ましい。
図28において、符号及びハッチングパターンが与えられていない領域は、絶縁体で構成されている。上記絶縁体には、酸化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどから選ばれた一種以上の材料を含む絶縁体を用いることができる。また、当該領域には、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の有機樹脂を用いることもできる。なお、本明細書において、酸化窒化物とは、窒素よりも酸素の含有量が多い化合物をいい、窒化酸化物とは、酸素よりも窒素の含有量が多い化合物をいう。
実施の形態1乃至実施の形態3に示すトランジスタTA[1]乃至トランジスタTA[m]、トランジスタTB[1]乃至トランジスタTB[n]、トランジスタTC[1]乃至トランジスタTC[p]、トランジスタTDA、トランジスタTDBにOSトランジスタを適用した場合、トランジスタTA[1]乃至トランジスタTA[m]、トランジスタTB[1]乃至トランジスタTB[n]、トランジスタTC[1]乃至トランジスタTC[p]、トランジスタTDA、トランジスタTDBは、層L4又は層L7に形成されることが好ましい。
実施の形態1乃至実施の形態3に示すトランジスタTr1、トランジスタTr2、トランジスタTrL1、トランジスタTrL2、トランジスタTrR1、トランジスタTrR2にSiトランジスタを適用した場合、トランジスタTr1、トランジスタTr2、トランジスタTrL1、トランジスタTrL2、トランジスタTrR1、トランジスタTrR2は層L1に形成されることが好ましい。
実施の形態1乃至実施の形態3に示すトランジスタTr1、トランジスタTr2、トランジスタTrL1、トランジスタTrL2、トランジスタTrR1、トランジスタTrR2にOSトランジスタを適用した場合、トランジスタTr1、トランジスタTr2、トランジスタTrL1、トランジスタTrL2、トランジスタTrR1、トランジスタTrR2は層L4又は層L7に形成されることが好ましい。
実施の形態1乃至実施の形態3に示す容量素子CSA[1]乃至容量素子CSA[m]、容量素子CSB[1]乃至容量素子CSB[n]、容量素子CSC[1]乃至容量素子CSC[p]、容量素子CSDA、容量素子CSDBは、層L11に形成されることが好ましい。
実施の形態1乃至実施の形態3に示す容量素子CA1、容量素子CA2、容量素子CB1、容量素子CB2、容量素子CC1、容量素子CC2は、層L11に形成されることが好ましい。
半導体装置CDの周辺に形成される駆動回路をOSトランジスタで形成する場合、該OSトランジスタは層L4又は層L7に形成してもよい。
半導体装置CDの周辺に形成される駆動回路をSiトランジスタで形成する場合、該Siトランジスタは層L1に形成してもよい。
半導体装置CDは、図28に示す構成にすることで、占有面積を小さくし、メモリセルを高集積化することが可能になる。
なお、実施の形態1乃至実施の形態3に示す半導体装置CDを図28(A)、図28(B)の構造として適用する場合、図28(A)、図28(B)に図示しているトランジスタ(TrA、TrB、TrC)の数、また容量素子(C1)の数に過不足が生じる場合がある。この場合、層L4、層L7、層L11の数を増減する、また同じ層内で素子を追加する、などといったように図28(A)、図28(B)の構造を適宜変更すればよい。
<断面図2>
半導体装置CDは、半導体装置CDが有する全てのOSトランジスタを、同一の層に形成してもよい。その場合の例を、図29(A)、図29(B)に示す。図28と同様に、図29(A)は半導体装置CDのメモリセルMCを構成するトランジスタのチャネル長方向の断面図を表し、図29(B)は半導体装置CDのメモリセルMCを構成するトランジスタのチャネル幅方向の断面図を表している。
図29(A)、図29(B)は、層L6乃至L8が省かれ、層L5の上に層L9が形成されている点で、図28(A)、図28(B)に示す断面図と相違する。図29(A)、図29(B)のその他の詳細は、図28(A)、図28(B)の記載を参酌する。
実施の形態1乃至実施の形態3に示すトランジスタTA[1]乃至トランジスタTA[m]、トランジスタTB[1]乃至トランジスタTB[n]、トランジスタTC[1]乃至トランジスタTC[p]、トランジスタTDA、トランジスタTDBにOSトランジスタを適用した場合、トランジスタTA[1]乃至トランジスタTA[m]、トランジスタTB[1]乃至トランジスタTB[n]、トランジスタTC[1]乃至トランジスタTC[p]、トランジスタTDA、トランジスタTDBは、層L4に形成されることが好ましい。
実施の形態1乃至実施の形態3に示すトランジスタTr1、トランジスタTr2、トランジスタTrL1、トランジスタTrL2、トランジスタTrR1、トランジスタTrR2にSiトランジスタを適用した場合、トランジスタTr1、トランジスタTr2、トランジスタTrL1、トランジスタTrL2、トランジスタTrR1、トランジスタTrR2は層L1に形成されることが好ましい。
実施の形態1乃至実施の形態3に示すトランジスタTr1、トランジスタTr2、トランジスタTrL1、トランジスタTrL2、トランジスタTrR1、トランジスタTrR2にOSトランジスタを適用した場合、トランジスタTr1、トランジスタTr2、トランジスタTrL1、トランジスタTrL2、トランジスタTrR1、トランジスタTrR2は層L4に形成されることが好ましい。
実施の形態1乃至実施の形態3に示す容量素子CSA[1]乃至容量素子CSA[m]、容量素子CSB[1]乃至容量素子CSB[n]、容量素子CSC[1]乃至容量素子CSC[p]、容量素子CSDA、容量素子CSDBは、層L11に形成されることが好ましい。
実施の形態1乃至実施の形態3に示す容量素子CA1、容量素子CA2、容量素子CB1、容量素子CB2、容量素子CC1、容量素子CC2は、層L11に形成されることが好ましい。
半導体装置CDの周辺に形成される駆動回路をOSトランジスタで形成する場合、該OSトランジスタは層L4に形成してもよい。
半導体装置CDの周辺に形成される駆動回路をSiトランジスタで形成する場合、該Siトランジスタは層L1に形成してもよい。
半導体装置CDは、図29(A)、図29(B)に示す構成にすることで、製造工程を単純化することが可能になる。
なお、実施の形態1乃至実施の形態3に示す半導体装置CDを図29(A)、図29(B)の構造として適用する場合、図29(A)、図29(B)に図示しているトランジスタ(TrA、TrB、TrC)の数、また容量素子(C1)の数に過不足が生じる場合がある。この場合、層L4、層L11の数を増減する、また同じ層内で素子を追加する、などといったように図29(A)、図29(B)の構造を適宜変更すればよい。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明したOSトランジスタに適用可能な酸化物半導体膜の構造について説明する。
<酸化物半導体の構造>
以下では、酸化物半導体の構造について説明する。
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC−OS(c−axis−aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc−OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a−like OS:amorphous−like oxide semiconductor)及び非晶質酸化物半導体などがある。
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半導体と、に分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体及びnc−OSなどがある。
非晶質構造は、一般に、等方的であって不均質構造を持たない、準安定状態で原子の配置が固定化していない、結合角度が柔軟である、短距離秩序は有するが長距離秩序を有さない、などといわれている。
即ち、安定な酸化物半導体を完全な非晶質(completely amorphous)酸化物半導体とは呼べない。また、等方的でない(例えば、微小な領域において周期構造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物半導体とは呼べない。一方、a−like OSは、等方的でないが、鬆(ボイドともいう。)を有する不安定な構造である。不安定であるという点では、a−like OSは、物性的に非晶質酸化物半導体に近い。
<CAAC−OS>
まずは、CAAC−OSについて説明する。
CAAC−OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半導体の一種である。
CAAC−OSをX線回折(XRD:X−Ray Diffraction)によって解析した場合について説明する。例えば、空間群R−3mに分類されるInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、図32(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OSでは、結晶がc軸配向性を有し、c軸がCAAC−OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)、又は上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。なお、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、空間群Fd−3mに分類される結晶構造に起因する。そのため、CAAC−OSは、該ピークを示さないことが好ましい。
一方、CAAC−OSに対し、被形成面に平行な方向からX線を入射させるin−plane法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。そして、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行っても、図32(B)に示すように明瞭なピークは現れない。一方、単結晶InGaZnO4に対し、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合、図32(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC−OSは、a軸及びb軸の配向が不規則であることが確認できる。
次に、電子回折によって解析したCAAC−OSについて説明する。例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、CAAC−OSの被形成面に平行にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、図32(D)に示すような回折パターン(制限視野電子回折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO4の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面又は上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図32(E)に示す。図32(E)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、プローブ径が300nmの電子線を用いた電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットのa軸及びb軸は配向性を有さないことがわかる。なお、図32(E)における第1リングは、InGaZnO4の結晶の(010)面及び(100)面などに起因すると考えられる。また、図32(E)における第2リングは(110)面などに起因すると考えられる。
また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一方、高分解能TEM像であってもペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を明確に確認することができない場合がある。そのため、CAAC−OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
図33(A)に、試料面と略平行な方向から観察したCAAC−OSの断面の高分解能TEM像を示す。高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberration Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像は、例えば、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM−ARM200Fなどによって観察することができる。
図33(A)より、金属原子が層状に配列している領域であるペレットを確認することができる。ペレット一つの大きさは1nm以上のものや、3nm以上のものがあることがわかる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる。また、CAAC−OSを、CANC(C−Axis Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。ペレットは、CAAC−OSの被形成面又は上面の凹凸を反映しており、CAAC−OSの被形成面又は上面と平行となる。
また、図33(B)及び図33(C)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC−OSの平面のCs補正高分解能TEM像を示す。図33(D)及び図33(E)は、それぞれ図33(B)及び図33(C)を画像処理した像である。以下では、画像処理の方法について説明する。まず、図33(B)を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理することでFFT像を取得する。次に、取得したFFT像において原点を基準に、2.8nm−1から5.0nm−1の間の範囲を残すマスク処理する。次に、マスク処理したFFT像を、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理することで画像処理した像を取得する。こうして取得した像をFFTフィルタリング像と呼ぶ。FFTフィルタリング像は、Cs補正高分解能TEM像から周期成分を抜き出した像であり、格子配列を示している。
図33(D)では、格子配列の乱れた箇所を破線で示している。破線で囲まれた領域が、一つのペレットである。そして、破線で示した箇所がペレットとペレットとの連結部である。破線は、六角形状であるため、ペレットが六角形状であることがわかる。なお、ペレットの形状は、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合が多い。
図33(E)では、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間を点線で示し、格子配列の向きを破線で示している。点線近傍においても、明確な結晶粒界を確認することはできない。点線近傍の格子点を中心に周囲の格子点を繋ぐと、歪んだ六角形や、五角形又は/及び七角形などが形成できる。即ち、格子配列を歪ませることによって結晶粒界の形成を抑制していることがわかる。これは、CAAC−OSが、a−b面方向において原子間の結合距離が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
以上に示すように、CAAC−OSは、c軸配向性を有し、かつa−b面方向において複数のペレット(ナノ結晶)が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。よって、CAAC−OSを、CAA crystal(c−axis−aligned a−b−plane−anchored crystal)を有する酸化物半導体と称することもできる。
CAAC−OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、逆の見方をするとCAAC−OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(又は分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
<nc−OS>
次に、nc−OSについて説明する。
nc−OSをXRDによって解析した場合について説明する。例えば、nc−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、配向性を示すピークが現れない。即ち、nc−OSの結晶は配向性を有さない。
また、例えば、InGaZnO4の結晶を有するnc−OSを薄片化し、厚さが34nmの領域に対し、被形成面に平行にプローブ径が50nmの電子線を入射させると、図34(A)に示すようなリング状の回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)が観測される。また、同じ試料にプローブ径が1nmの電子線を入射させたときの回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)を図34(B)に示す。図34(B)より、リング状の領域内に複数のスポットが観測される。したがって、nc−OSは、プローブ径が50nmの電子線を入射させることでは秩序性が確認されないが、プローブ径が1nmの電子線を入射させることでは秩序性が確認される。
また、厚さが10nm未満の領域に対し、プローブ径が1nmの電子線を入射させると、図34(C)に示すように、スポットが略正六角状に配置された電子回折パターンが観測される場合がある。したがって、厚さが10nm未満の範囲において、nc−OSが秩序性の高い領域、即ち結晶を有することがわかる。なお、結晶が様々な方向を向いているため、規則的な電子回折パターンが観測されない領域もある。
図34(D)に、被形成面と略平行な方向から観察したnc−OSの断面のCs補正高分解能TEM像を示す。nc−OSは、高分解能TEM像において、補助線で示す箇所などのように結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。nc−OSに含まれる結晶部は、1nm以上10nm以下の大きさであり、特に1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。なお、結晶部の大きさが10nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸化物半導体(micro crystalline oxide semiconductor)と呼ぶことがある。nc−OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAAC−OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc−OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
このように、nc−OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OSは、分析方法によっては、a−like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
なお、ペレット(ナノ結晶)間で結晶方位が規則性を有さないことから、nc−OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体、又はNANC(Non−Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、nc−OSは、a−like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OSは、CAAC−OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
<a−like OS>
a−like OSは、nc−OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。
図35に、a−like OSの高分解能断面TEM像を示す。ここで、図35(A)は電子照射開始時におけるa−like OSの高分解能断面TEM像である。図35(B)は4.3×108e−/nm2の電子(e−)照射後におけるa−like OSの高分解能断面TEM像である。図35(A)及び図35(B)より、a−like OSは電子照射開始時から、縦方向に延伸する縞状の明領域が観察されることがわかる。また、明領域は、電子照射後に形状が変化することがわかる。なお、明領域は、鬆又は低密度領域と推測される。
鬆を有するため、a−like OSは、不安定な構造である。以下では、a−like OSが、CAAC−OS及びnc−OSと比べて不安定な構造であることを示すため、電子照射による構造の変化を示す。
試料として、a−like OS、nc−OS及びCAAC−OSを準備する。いずれの試料もIn−Ga−Zn酸化物である。
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料は、いずれも結晶部を有する。
なお、InGaZnO4の結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、以下では、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnO4の結晶部と見なした。なお、格子縞は、InGaZnO4の結晶のa−b面に対応する。
図36は、各試料の結晶部(22箇所から30箇所)の平均の大きさを調査した例である。なお、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図36より、a−like OSは、TEM像の取得などに係る電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。図36より、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、電子(e−)の累積照射量が4.2×108e−/nm2においては1.9nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc−OS及びCAAC−OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×108e−/nm2までの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。図36より、電子の累積照射量によらず、nc−OS及びCAAC−OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.3nm程度及び1.8nm程度であることがわかる。なお、電子線照射及びTEMの観察は、日立透過電子顕微鏡H−9000NARを用いた。電子線照射条件は、加速電圧を300kV、電流密度を6.7×105e−/(nm2・s)、照射領域の直径を230nmとした。
このように、a−like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合がある。一方、nc−OS及びCAAC−OSは、電子照射による結晶部の成長がほとんど見られない。即ち、a−like OSは、nc−OS及びCAAC−OSと比べて、不安定な構造であることがわかる。
また、鬆を有するため、a−like OSは、nc−OS及びCAAC−OSと比べて密度の低い構造である。具体的には、a−like OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の78.6%以上92.3%未満となる。また、nc−OSの密度及びCAAC−OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満となる。単結晶の密度の78%未満となる酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の密度は6.357g/cm3となる。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、a−like OSの密度は5.0g/cm3以上5.9g/cm3未満となる。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、nc−OSの密度及びCAAC−OSの密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm3未満となる。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a−like OS、nc−OS、CAAC−OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
<酸化物半導体のキャリア密度>
次に、酸化物半導体のキャリア密度について、以下に説明を行う。
酸化物半導体のキャリア密度に影響を与える因子としては、酸化物半導体中の酸素欠損(VO)、または酸化物半導体中の不純物などが挙げられる。
酸化物半導体中の酸素欠損が多くなると、該酸素欠損に水素が結合(この状態をVOHともいう)した際に、欠陥準位密度が高くなる。または、酸化物半導体中の不純物が多くなると、該不純物に起因し欠陥準位密度が高くなる。したがって、酸化物半導体中の欠陥準位密度を制御することで、酸化物半導体のキャリア密度を制御することができる。
ここで、酸化物半導体をチャネル領域に用いるトランジスタを考える。
トランジスタのしきい値電圧のマイナスシフトの抑制、またはトランジスタのオフ電流の低減を目的とする場合においては、酸化物半導体のキャリア密度を低くする方が好ましい。酸化物半導体のキャリア密度を低くする場合においては、酸化物半導体中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性と言う。高純度真性の酸化物半導体のキャリア密度としては、8×1015cm−3未満、好ましくは1×1011cm−3未満、さらに好ましくは1×1010cm−3未満であり、1×10−9cm−3以上とすればよい。
一方で、トランジスタのオン電流の向上、またはトランジスタの電界効果移動度の向上を目的とする場合においては、酸化物半導体のキャリア密度を高くする方が好ましい。酸化物半導体のキャリア密度を高くする場合においては、酸化物半導体の不純物濃度をわずかに高める、または酸化物半導体の欠陥準位密度をわずかに高めればよい。あるいは、酸化物半導体のバンドギャップをより小さくするとよい。例えば、トランジスタのId−Vg特性のオン/オフ比が取れる範囲において、不純物濃度がわずかに高い、または欠陥準位密度がわずかに高い酸化物半導体は、実質的に真性とみなせる。また、電子親和力が大きく、それにともなってバンドギャップが小さくなり、その結果、熱励起された電子(キャリア)の密度が増加した酸化物半導体は、実質的に真性とみなせる。なお、より電子親和力が大きな酸化物半導体を用いた場合には、トランジスタのしきい値電圧がより低くなる。
上述のキャリア密度が高められた酸化物半導体は、わずかにn型化している。したがって、キャリア密度が高められた酸化物半導体を、「Slightly−n」と呼称してもよい。
実質的に真性の酸化物半導体のキャリア密度は、1×105cm−3以上1×1018cm−3未満が好ましく、1×107cm−3以上1×1017cm−3以下がより好ましく、1×109cm−3以上5×1016cm−3以下がさらに好ましく、1×1010cm−3以上1×1016cm−3以下がさらに好ましく、1×1011cm−3以上1×1015cm−3以下がさらに好ましい。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、上述の実施の形態で説明した半導体装置を電子部品に適用する例、及び該電子部品を具備する電子機器に適用する例について、図37、図38を用いて説明する。
<電子部品>
図37(A)では上述の実施の形態で説明し半導体装置を電子部品に適用する例について説明する。なお電子部品は、半導体パッケージ、又はIC用パッケージともいう。この電子部品は、端子取り出し方向や、端子の形状に応じて、複数の規格や名称が存在する。そこで、本実施の形態では、その一例について説明することにする。
上記実施の形態1に示すようなトランジスタで構成される半導体装置は、組み立て工程(後工程)を経て、プリント基板に脱着可能な部品が複数合わさることで完成する。
後工程については、図37(A)に示す各工程を経ることで完成させることができる。具体的には、前工程で得られる素子基板が完成(ステップS1)した後、基板の裏面を研削する(ステップS2)。この段階で基板を薄膜化することで、前工程での基板の反り等を低減し、部品としての小型化を図るためである。
基板の裏面を研削して、基板を複数のチップに分離するダイシング工程を行う。そして、分離したチップを個々にピックアップしてリードフレーム上に搭載し接合する、ダイボンディング工程を行う(ステップS3)。このダイボンディング工程におけるチップとリードフレームとの接着は、樹脂による接着や、テープによる接着等、適宜製品に応じて適した方法を選択する。なお、ダイボンディング工程は、インターポーザ上に搭載し接合してもよい。
なお、本実施の形態において、基板の一方の面に素子が形成されていたとき、基板の一方の面を表面とし、該基板の他方の面(該基板の素子が形成されていない側の面)を裏面とする。
次いでリードフレームのリードとチップ上の電極とを、金属の細線(ワイヤー)で電気的に接続する、ワイヤーボンディングを行う(ステップS4)。金属の細線には、銀線や金線を用いることができる。また、ワイヤーボンディングは、ボールボンディングや、ウェッジボンディングを用いることができる。
ワイヤーボンディングされたチップは、エポキシ樹脂等で封止される、モールド工程が施される(ステップS5)。モールド工程を行うことで電子部品の内部が樹脂で充填され、機械的な外力による内蔵される回路部やワイヤーに対するダメージを低減することができ、また水分や埃による特性の劣化を低減することができる。
次いでリードフレームのリードをメッキ処理する。そしてリードを切断及び成形加工する(ステップS6)。このめっき処理によりリードの錆を防止し、後にプリント基板に実装する際のはんだ付けをより確実に行うことができる。
次いでパッケージの表面に印字処理(マーキング)を施す(ステップS7)。そして最終的な検査工程(ステップS8)を経て電子部品が完成する(ステップS9)。
以上説明した電子部品は、上述の実施の形態で説明した半導体装置を含む構成とすることができる。そのため、信頼性に優れた電子部品を実現することができる。
また、完成した電子部品の斜視模式図を図37(B)に示す。図37(B)では、電子部品の一例として、QFP(Quad Flat Package)の斜視模式図を示している。図37(B)に示す電子部品4700は、リード4701及び回路部4703を示している。図37(B)に示す電子部品4700は、例えばプリント基板4702に実装される。このような電子部品4700が複数組み合わされて、それぞれがプリント基板4702上で電気的に接続されることで電子機器の内部に搭載することができる。完成した回路基板4704は、電子機器等の内部に設けられる。
<電子機器>
次に上述した電子部品を適用した電子機器について説明する。
本発明の一態様に係る半導体装置は、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯情報端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機、医療機器などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図38に示す。
図38(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体5201、筐体5202、表示部5203、表示部5204、マイクロホン5205、スピーカー5206、操作キー5207、スタイラス5208等を有する。本発明の一態様にかかる半導体装置は、携帯型ゲーム機の各種集積回路に用いることができる。なお、図38(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部5203と表示部5204とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
図38(B)は携帯情報端末であり、第1筐体5601、第2筐体5602、第1表示部5603、第2表示部5604、接続部5605、操作キー5606等を有する。本発明の一態様にかかる半導体装置は、携帯情報端末の各種集積回路に用いることができる。第1表示部5603は第1筐体5601に設けられており、第2表示部5604は第2筐体5602に設けられている。そして、第1筐体5601と第2筐体5602とは、接続部5605により接続されており、第1筐体5601と第2筐体5602の間の角度は、接続部5605により変更が可能である。第1表示部5603における映像を、接続部5605における第1筐体5601と第2筐体5602との間の角度に従って、切り替える構成としても良い。また、第1表示部5603及び第2表示部5604の少なくとも一方に、位置入力装置としての機能が付加された表示装置を用いるようにしても良い。なお、位置入力装置としての機能は、表示装置にタッチパネルを設けることで付加することができる。或いは、位置入力装置としての機能は、フォトセンサとも呼ばれる光電変換素子を表示装置の画素部に設けることでも、付加することができる。
図38(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体5401、表示部5402、キーボード5403、ポインティングデバイス5404等を有する。本発明の一態様にかかる半導体装置は、ノート型パーソナルコンピュータの各種集積回路に用いることができる。
図38(D)は電気冷凍冷蔵庫であり、筐体5301、冷蔵室用扉5302、冷凍室用扉5303等を有する。本発明の一態様にかかる半導体装置は、電気冷凍冷蔵庫の各種集積回路に用いることができる。
図38(E)はビデオカメラであり、第1筐体5801、第2筐体5802、表示部5803、操作キー5804、レンズ5805、接続部5806等を有する。本発明の一態様にかかる半導体装置は、ビデオカメラの各種集積回路に用いることができる。操作キー5804及びレンズ5805は第1筐体5801に設けられており、表示部5803は第2筐体5802に設けられている。そして、第1筐体5801と第2筐体5802とは、接続部5806により接続されており、第1筐体5801と第2筐体5802の間の角度は、接続部5806により変更が可能である。表示部5803における映像を、接続部5806における第1筐体5801と第2筐体5802との間の角度に従って切り替える構成としてもよい。
図38(F)は乗用車であり、車体5701、車輪5702、ダッシュボード5703、ライト5704等を有する。本発明の一態様にかかる半導体装置は、乗用車の各種集積回路に用いることができる。
次に、本発明の一態様の半導体装置又は記憶装置を備えることができる表示装置の使用例について説明する。一例としては、表示装置は、画素を有する。画素は、例えば、トランジスタや表示素子を有する。又は、表示装置は、画素を駆動する駆動回路を有する。駆動回路は、例えば、トランジスタを有する。例えば、これらのトランジスタとして、他の実施の形態で述べたトランジスタを採用することができる。
例えば、本明細書等において、表示素子、表示素子を有する装置である表示装置、発光素子、及び発光素子を有する装置である発光装置は、様々な形態を用いること、又は様々な素子を有することが出来る。表示素子、表示装置、発光素子又は発光装置は、例えば、EL(エレクトロルミネッセンス)素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機EL素子、無機EL素子)、LEDチップ(白色LEDチップ、赤色LEDチップ、緑色LEDチップ、青色LEDチップなど)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、プラズマディスプレイ(PDP)、電子放出素子、カーボンナノチューブを用いた表示素子、液晶素子、電子インク、エレクトロウェッティング素子、電気泳動素子、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示素子(例えば、グレーティングライトバルブ(GLV)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、MIRASOL(登録商標)、IMOD(インターフェアレンス・モジュレーション)素子、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、圧電セラミックディスプレイなど)、又は、量子ドットなどの少なくとも一つを有している。これらの他にも、表示素子、表示装置、発光素子又は発光装置は、電気的又は磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有していてもよい。EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface−conduction Electron−emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク、電子粉流体(登録商標)、又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。量子ドットを各画素に用いた表示装置の一例としては、量子ドットディスプレイなどがある。なお、量子ドットは、表示素子としてではなく、バックライトの一部に設けてもよい。量子ドットを用いることにより、色純度の高い表示を行うことができる。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、又は、全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、又は、全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。なお、LEDチップを用いる場合、LEDチップの電極や窒化物半導体の下に、グラフェンやグラファイトを配置してもよい。グラフェンやグラファイトは、複数の層を重ねて、多層膜としてもよい。このように、グラフェンやグラファイトを設けることにより、その上に、窒化物半導体、例えば、結晶を有するn型GaN半導体層などを容易に成膜することができる。さらに、その上に、結晶を有するp型GaN半導体層などを設けて、LEDチップを構成することができる。なお、グラフェンやグラファイトと、結晶を有するn型GaN半導体層との間に、AlN層を設けてもよい。なお、LEDチップが有するGaN半導体層は、MOCVDで成膜してもよい。ただし、グラフェンを設けることにより、LEDチップが有するGaN半導体層は、スパッタ法で成膜することも可能である。また、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示素子においては、表示素子が封止されている空間(例えば、表示素子が配置されている素子基板と、素子基板に対向して配置されている対向基板との間)に、乾燥剤を配置してもよい。乾燥剤を配置することにより、MEMSなどが水分によって動きにくくなることや、劣化しやすくなることを防止することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態10)
本実施の形態では、本発明の一態様の記憶装置を備えることができるRFタグの使用例について図39を用いながら説明する。RFタグの用途は広範にわたるが、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類(運転免許証や住民票等、図39(A)参照)、記録媒体(DVDやビデオテープ等、図39(B)参照)、包装用容器類(包装紙やボトル等、図39(C)参照)、乗り物類(自転車等、図39(D)参照)、身の回り品(鞄や眼鏡等)、食品類、植物類、動物類、人体、衣類、生活用品類、薬品や薬剤を含む医療品、又は電子機器(液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置、又は携帯電話)等の物品、若しくは各物品に取り付ける荷札(図39(E)、図39(F)参照)等に設けて使用することができる。
本発明の一態様に係るRFタグ4000は、表面に貼る、又は埋め込むことにより、物品に固定される。例えば、本であれば紙に埋め込み、有機樹脂からなるパッケージであれば当該有機樹脂の内部に埋め込み、各物品に固定される。本発明の一態様に係るRFタグ4000は、小型、薄型、軽量を実現するため、物品に固定した後もその物品自体のデザイン性を損なうことがない。また、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、又は証書類等に本発明の一態様に係るRFタグ4000を設けることにより、認証機能を設けることができ、この認証機能を活用すれば、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、又は電子機器等に本発明の一態様に係るRFタグを取り付けることにより、検品システム等のシステムの効率化を図ることができる。また、乗り物類であっても、本発明の一態様に係るRFタグを取り付けることにより、盗難などに対するセキュリティ性を高めることができる。
以上のように、本発明の一態様に係わるRFタグを本実施の形態に挙げた各用途に用いることにより、情報の書込みや読み出しを含む動作電力を低減できるため、最大通信距離を長くとることが可能となる。また、電力が遮断された状態であっても情報を極めて長い期間保持可能であるため、書き込みや読み出しの頻度が低い用途にも好適に用いることができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(本明細書等の記載に関する付記)
以上の実施の形態、及び実施の形態における各構成の説明について、以下に付記する。
<実施の形態で述べた本発明の一態様に関する付記>
各実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて、本発明の一態様とすることができる。また、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、互いに構成例を適宜組み合わせることが可能である。
なお、ある一つの実施の形態の中で述べる内容(一部の内容でもよい)は、その実施の形態で述べる別の内容(一部の内容でもよい)と、一つ若しくは複数の別の実施の形態で述べる内容(一部の内容でもよい)との少なくとも一つの内容に対して、適用、組み合わせ、又は置き換えなどを行うことができる。
なお、実施の形態の中で述べる内容とは、各々の実施の形態において、様々な図を用いて述べる内容、又は明細書に記載される文章を用いて述べる内容のことである。
なお、ある一つの実施の形態において述べる図(一部でもよい)は、その図の別の部分、その実施の形態において述べる別の図(一部でもよい)と、一つ若しくは複数の別の実施の形態において述べる図(一部でもよい)との少なくとも一つの図に対して、組み合わせることにより、さらに多くの図を構成させることができる。
<序数詞に関する付記>
本明細書等において、「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものである。従って、構成要素の数を限定するものではない。また、構成要素の順序を限定するものではない。また例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素が、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において「第2」に言及された構成要素とすることもありうる。また例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素を、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において省略することもありうる。
<図面を説明する記載に関する付記>
実施の形態について図面を参照しながら説明している。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなく、その形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本明細書で説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
また、本明細書等において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化する。そのため、配置を示す語句は、明細書で説明した記載に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上又は直下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
また本明細書等において、ブロック図では、構成要素を機能毎に分類し、互いに独立したブロックとして示している。しかしながら実際の回路等においては、構成要素を機能毎に切り分けることが難しく、一つの回路に複数の機能が係わる場合や、複数の回路にわたって一つの機能が関わる場合があり得る。そのため、ブロック図のブロックは、明細書で説明した構成要素に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、説明の便宜上任意の大きさに示したものである。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は明確性を期すために模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。例えば、ノイズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、又は、タイミングのずれによる信号、電圧、若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
また、図面において、上面図(平面図、レイアウト図ともいう)や斜視図などにおいて、図面の明確性を期すために、一部の構成要素の記載を省略している場合がある。
また、図面において、同一の要素又は同様な機能を有する要素、同一の材質の要素、あるいは同時に形成される要素等には同一の符号を付す場合があり、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
<言い換え可能な記載に関する付記>
本明細書等において、トランジスタの接続関係を説明する際、ソースとドレインとの一方を、「ソース又はドレインの一方」(又は第1電極、又は第1端子)と表記し、ソースとドレインとの他方を「ソース又はドレインの他方」(又は第2電極、又は第2端子)と表記している。これは、トランジスタのソースとドレインは、トランジスタの構造又は動作条件等によって変わるためである。なおトランジスタのソースとドレインの呼称については、ソース(ドレイン)端子や、ソース(ドレイン)電極等、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
また、本明細書等において、電圧と電位は、適宜言い換えることができる。電圧は、基準となる電位からの電位差のことであり、例えば基準となる電位をグラウンド電位(接地電位)とすると、電圧を電位に言い換えることができる。グラウンド電位は必ずしも0Vを意味するとは限らない。なお電位は相対的なものであり、基準となる電位によっては、配線等に与える電位を変化させる場合がある。
なお本明細書等において、「膜」、「層」などの語句は、場合によっては、又は、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、場合によっては、又は、状況に応じて、「膜」、「層」などの語句を使わずに、別の用語に入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」又は「導電膜」という用語を、「導電体」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、例えば、「絶縁層」「絶縁膜」という用語を、「絶縁体」という用語に変更することが可能な場合がある。
なお本明細書等において、「配線」、「信号線」、「電源線」などの用語は、場合によっては、又は、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「配線」という用語を、「信号線」という用語に変更することが可能な場合がある。また、例えば、「配線」という用語を、「電源線」などの用語に変更することが可能な場合がある。また、その逆も同様で、「信号線」「電源線」などの用語を、「配線」という用語に変更することが可能な場合がある。「電源線」などの用語は、「信号線」などの用語に変更することが可能な場合がある。また、その逆も同様で「信号線」などの用語は、「電源線」などの用語に変更することが可能な場合がある。
<語句の定義に関する付記>
以下では、上記実施の形態中で言及した語句の定義について説明する。
<<半導体について>>
本明細書において、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分低い場合は「絶縁体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「絶縁体」は境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「絶縁体」と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「絶縁体」は、「半導体」と言い換えることができる場合がある。
また、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分高い場合は「導電体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「導電体」は境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「導電体」と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「導電体」は、「半導体」と言い換えることができる場合がある。
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体層を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物である。不純物が含まれることにより、例えば、半導体にDOS(Density of State)が形成されることや、キャリア移動度が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり、特に、例えば、水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、例えば水素などの不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコン層である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
<<トランジスタについて>>
本明細書において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域又はドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域又はソース電極)の間にチャネル形成領域を有しており、ドレインとチャネル形成領域とソースとを介して電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル形成領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
<<スイッチについて>>
本明細書等において、スイッチとは、導通状態(オン状態)、又は、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有するものをいう。又は、スイッチとは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有するものをいう。
一例としては、電気的スイッチ又は機械的なスイッチなどを用いることができる。つまり、スイッチは、電流を制御できるものであればよく、特定のものに限定されない。
電気的なスイッチの一例としては、トランジスタ(例えば、バイポーラトランジスタ、MOSトランジスタなど)、ダイオード(例えば、PNダイオード、PINダイオード、ショットキーダイオード、MIM(Metal Insulator Metal)ダイオード、MIS(Metal Insulator Semiconductor)ダイオード、ダイオード接続のトランジスタなど)、又はこれらを組み合わせた論理回路などがある。
なお、スイッチとしてトランジスタを用いる場合、トランジスタの「導通状態」とは、トランジスタのソース電極とドレイン電極が電気的に短絡されているとみなせる状態をいう。また、トランジスタの「非導通状態」とは、トランジスタのソース電極とドレイン電極が電気的に遮断されているとみなせる状態をいう。なおトランジスタを単なるスイッチとして動作させる場合には、トランジスタの極性(導電型)は特に限定されない。
機械的なスイッチの一例としては、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)のように、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)技術を用いたスイッチがある。そのスイッチは、機械的に動かすことが可能な電極を有し、その電極が動くことによって、導通と非導通とを制御して動作する。
<<チャネル長について>>
本明細書等において、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(又はトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、又はチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域又はソース電極)とドレイン(ドレイン領域又はドレイン電極)との間の距離をいう。
なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値又は平均値とする。
<<チャネル幅について>>
本明細書等において、チャネル幅とは、例えば、上面図において半導体(又はトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、又はチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。
なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値又は平均値とする。
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば、立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネル領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが重なる領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さである見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅又は見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。又は、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を解析することなどによって、値を決定することができる。
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求める場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
<<接続について>>
なお、本明細書等において、XとYとが接続されている、と記載する場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とを含むものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図又は文章に示された接続関係に限定されず、図又は文章に示された接続関係以外のものも含むものとする。
ここで使用するX、Yなどは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイッチは、導通状態(オン状態)、又は、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有している。又は、スイッチは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有している。
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅又は電流量などを大きく出来る回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載する場合は、XとYとが電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟んで接続されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟まずに接続されている場合)とを含むものとする。つまり、電気的に接続されている、と明示的に記載する場合は、単に、接続されている、とのみ明示的に記載されている場合と同じであるとする。
なお、例えば、トランジスタのソース(又は第1の端子など)が、Z1を介して(又は介さず)、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z2を介して(又は介さず)、Yと電気的に接続されている場合や、トランジスタのソース(又は第1の端子など)が、Z1の一部と直接的に接続され、Z1の別の一部がXと直接的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z2の一部と直接的に接続され、Z2の別の一部がYと直接的に接続されている場合では、以下のように表現することが出来る。
例えば、「XとYとトランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第2の端子など)とは、互いに電気的に接続されており、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yの順序で電気的に接続されている。」と表現することができる。又は、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)はYと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この順序で電気的に接続されている」と表現することができる。又は、「Xは、トランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第2の端子など)とを介して、Yと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この接続順序で設けられている」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続の順序について規定することにより、トランジスタのソース(又は第1の端子など)と、ドレイン(又は第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。なお、これらの表現方法は、一例であり、これらの表現方法に限定されない。ここで、X、Y、Z1、Z2は、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
なお、回路図上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されている場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。例えば配線の一部が電極としても機能する場合は、一の導電膜が、配線の機能、及び電極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書における電気的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
<<平行、垂直について>>
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が−30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
<<三方晶、菱面体晶について>>
本明細書において、結晶が三方晶又は菱面体晶である場合、六方晶系として表す。