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JP6677140B2 - 希土類磁石の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、希土類磁石の製造方法に関する。
希土類磁石は、モータ又はアクチュエーター等の部品であり、例えば、ハードディスクドライブ、ハイブリッド自動車、電気自動車、磁気共鳴画像装置(MRI)、スマートフォン、デジタルカメラ、薄型TV、スキャナー、エアコン、ヒートポンプ、冷蔵庫、掃除機、洗濯乾燥機、エレベーター及び風力発電機等の様々な分野で利用されている。これらの多様な用途に応じて、希土類磁石に要求される寸法及び形状は異なる。したがって、多品種の希土類磁石を効率的に製造するためには、希土類磁石の寸法及び形状を容易に変更することが可能な成形方法が望まれる。
従来の希土類磁石の製造では、希土類元素を含む金属粉末(例えば合金粉末)を高圧(例えば、50MPa以上200MPa以下)で加圧しながら、磁場を金属粉末へ印加する。その結果、磁場に沿って配向した金属粉末から成形体が形成される。このような成形方法を、以下では「高圧磁場プレス法」と記す。高圧磁場プレス法によれば、金属粉末が配向し易く、高い残留磁束密度Brと優れた保形性とを有する成形体を得ることが可能である。この成形体の焼結によって焼結体を得て、焼結体を所望の形状に加工することにより、磁石製品が完成する。
しかし、高圧磁場プレス法では、磁場中で高い圧力を金属粉末へ及ぼす必要があるため、大規模で複雑な成形装置が必要であり、成形用の金型の寸法及び形状が制限される。この制限のために、高圧磁場プレス法によって得られる一般的な成形体の形状は、粗大なブロックに限られる。したがって、従来の方法によって多品種の磁石製品を製造する場合、ブロック状の成形体を焼結させて焼結体を得た後、磁石製品に要求される寸法及び形状に応じて焼結体を加工する必要がある。焼結体の加工では、焼結体を切削したり、研磨したりするため、高価な希土類元素を含む屑が生じてしまう。その結果、磁石製品の歩留まり率(yield rate)が低下する。また、高圧磁場プレス法では、金型同士のカジリ(galling)、又は金型と成形体との間におけるカジリによって、金型又は成形体が破損し易い。例えば、高圧磁場プレス法で得られた成形体には亀裂(crack)が発生することがある。
上記のような理由のため、従来の高圧磁場プレス法を用いた製造方法は、多品種又は少量の磁石製品の製造に適していない。高圧磁場プレス法に代わる成形方法として、下記特許文献1には、低圧(0.98MPa以上2.0MPa以下)で合金粉末を成形する方法が開示されている。この希土類磁石の製造方法は、合金粉末をモールド内に充填して、合金粉末を低圧で加圧することにより、成形体を作製する工程(充填工程)と、モールド中の成形体に磁場を印加して、成形体中の合金粉末を配向させる工程(配向工程)と、モールドから取り出した成形体を焼結する工程(焼結工程)と、を備える。そして、下記特許文献1に記載の製造方法では、充填工程と、配向工程とが、別の場所で行われる。
WO2016/047593号公報
上記特許文献1に記載の成形方法のように、低圧で合金粉末を成形する場合、高圧に対する耐久性が金型に要求されず、大規模で複雑な成形装置も不要である。したがって、低圧で合金粉末を成形する場合、金型の材質、寸法及び形状が制限されず、多様な寸法及び形状を有する型を用いて、多品種の希土類磁石を比較的容易に製造することができる。また、高圧磁場プレス法では、金属粉末の成形及び配向に長時間を要するが、低圧で合金粉末を成形することにより、成形及び配向に要する時間が大幅に短縮され、希土類磁石の生産性が向上する。
ところで、低圧で合金粉末を成形しても成形体にバリが発生することが多い。そして、焼結後のバリは固くて除去しにくいので焼結前に成形体からバリを除去することが望まれる。しかしながら、低圧成形により得られた成形体の場合、焼結前の成形体のバリを除去するとバリでない部分も一緒に除去されてしまい、成形体の形状が損なわれる場合がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので有り、低圧成形により得られた成形体であっても焼結前に精度良くバリを除去できる希土類磁石の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る第一の焼結磁石の製造方法は、ダイ内に充填した希土類合金粉末をパンチでプレスして成形体を得る工程と、
前記成形体を熱処理する工程と、
前記熱処理後に前記成形体からバリを除去する工程と、
前記バリの除去後に前記成形体を焼結する工程と、を備える。
本発明によれば、熱処理後にバリを除去するので、バリ除去の時点で成形体の強度が高くなっている。したがって、バリの除去の際に、成形体におけるバリ以外の部分がバリと共に除去されることが抑制される。また、バリの除去の際に、成形体の保持/固定などのハンドリングもし易くなる。さらに、焼結前にバリを除去するので、バリが硬すぎて除去しにくくなることも無い。
この場合、前記バリにレーザ光を照射して前記成形体から前記バリを除去することができる。レーザによるアブレーション又は溶融の作用により容易にバリを除去できる。
前記レーザ光は近赤外光又は緑色光であることがでる。
このようなレーザ光は、鉄などの金属材料によく吸収されるので好適である。
また、前記バリにブラシを接触させて前記成形体から前記バリを除去することもできる。
また、前記バリに磁石を近づけて前記成形体から前記バリを除去することもできる。
さらに、ガスを吸引するノズル又はガスを吹き出すノズルを前記バリに近づけて前記成形体から前記バリを除去することもできる。
さらに、上記方法は、前記成形体から前記バリを除去する工程の後、前記成形体を焼結する工程の前に、前記成形体に付着した粉を除去する工程をさらに備えることができる。これにより、より形状精度の高い焼結体が得られる。
また、プレスの圧力は0.049〜20MPaであることができる。
また、熱処理では、前記成形体を200〜450℃に加熱することができる。
本発明によれば、低圧成形による成形体であっても精度良くバリを除去できる希土類磁石の製造方法が提供される。
図1の(a)〜(c)は、本発明の実施形態に係る成形工程を順に示す概略断面図である。 図2の(a)〜(d)は、本発明の実施形態に係るレーザ光でのバリを除去及び粉末除去工程を示す概略断面図である。 図3の(a)〜(d)は、バリを有する成形体を示す斜視図である。 図4の(a)〜(c)は、本発明の他の実施形態に係るバリを除去する工程を示す概略断面図である。
図面を参照して、希土類磁石の製造方法の好適な実施形態について説明する。
(希土類合金粉末の調製工程)
まず、希土類合金粉末を用意する。希土類合金とは希土類元素を含む合金である。
希土類元素の例は、長周期型周期表の3族に属するスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及びランタノイドからなる群より選ばれる1種以上の元素を含む。ここで、ランタノイドは、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)及びルテチウム(Lu)を含む。
希土類合金の具体例は、Sm−Co系合金、Nd−Fe−B系合金、Sm−Fe−N系合金である。これらのなかでも、SmCoやSmCo17で表されるSm−Co系合金、又は、NdFe14Bで表されるNd−Fe−B系合金が好ましい。
希土類合金がNd−Fe−B系合金である場合、合金中の希土類元素の含有割合は、好ましくは8〜40質量%であり、より好ましくは15〜35質量%である。また、Nd−Fe−B系合金中のFeの含有割合は、好ましくは42〜90質量%であり、より好ましくは60〜80質量%である。Nd−Fe−B系合金中のBの含有割合は、好ましくは0.5〜5質量%である。また、Feの一部をコバルト(Co)で置換してもよい。また、Bの一部を炭素(C)、リン(P)、硫黄(S)及び銅(Cu)からなる群より選ばれる1種以上の元素で置換してもよい。
希土類合金は、保磁力の向上、生産性の向上及び低コスト化の観点から、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ビスマス(Bi)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、ケイ素(Si)、ガリウム(Ga)、銅(Cu)及び/又はハフニウム(Hf)等のうちの1種以上の元素を含んでいてもよい。
希土類合金は、不可避的不純物として、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)及び/又はカルシウム(Ca)等を含んでいてもよい。
希土類合金粉末は、以下の手順で調製することができる。まず、希土類金属の構成元素を所望の比率で含む合金をスリップキャスト法などで鋳造し、希土類合金フレークを得る。次に、得られたフレークを、スタンプミル等の粉砕機を用いて粗粉砕して粒径10〜100μm程度の粗粉を得る。この際、粗粉砕前にフレークに水素を吸蔵させ、粗粉砕後に熱処理により粗粉から水素放出させてもよい。続いて、必要に応じて潤滑剤を添加して、ジェットミル等を用いてさらに粒径0.5〜10μm程度に微粉砕して希土類合金粉を得る。
潤滑剤の例は、パラフィンワックスなどの炭化水素;ステアリン酸及びステアリルアルコールなどの脂肪酸;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ペンタデシル酸アミド、ミリスチン酸アミド、ラウリン酸アミド、カプリン酸アミド、ペラルゴン酸アミド、カプリル酸アミド、エナント酸アミド、カプロン酸アミド、バレリアン酸アミド及びブチル酸アミドなどの脂肪族アミド;ステアリン酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム)などの金属セッケン等の有機物である。潤滑剤は、粉末又は液体であることができる。希土類合金粉末中における潤滑剤となる有機物の濃度は0.01〜1.0質量%とすることができる。
(希土類合金粉末の成形工程)
続いて、図1の(a)〜(c)を参照して、成形工程について説明する。まず、図1の(a)に示すように、筒状部10a及び底板部10bを有するダイ10、及び、パンチ15を用意する。底板部10bの上面上に筒状部10aが載置され、ダイ10内にキャビティVが形成されている。続いて、ダイ10のキャビティV内に希土類合金粉末5’を充填する。なお、粉末の充填後かつ成形前にダイ10内の希土類合金粉末5’に対して磁場を印加してもよい。
続いて、図1の(b)に示すように、パンチ15をキャビティV内に挿入し、パンチ15で希土類合金粉末5’を所定の圧力でプレスして成形体5を得る。
プレス圧力は、低圧、すなわち、0.049〜20MPa(0.5〜200kgf/cm)とすることができる。プレス圧力とは、例えば、パンチの先端面が合金粉末に及ぼす圧力である。低圧成形であると、ダイやパンチの消耗が少なくて好ましい。したがって、樹脂製等のダイやパンチを使用することも可能となり、低コスト化が可能となる。
パンチによる成形後、ダイ10から取り出す前に、ダイ10内の成形体5に対して磁場の印加及び脱磁を行ってもよい。磁場の印加は、成形中に行ってもよい。磁場の強度は、例えば、796〜5173kA/m(10〜65kOe)とすることができる。
その後、図1の(c)に示すように、ダイ10のキャビティから、成形体5を取り出す。たとえば、図1の(c)に示すように、第10の下から成形体5を取り出すことができるが、取り出し方法に制限は無い。
熱処理工程前の成形体の密度は、例えば、3.0〜4.4g/cm、好ましくは3.2〜4.2g/cm、より好ましくは3.4〜4.0g/cmに調整されていてよい。
(成形体の熱処理工程)
続いて、低圧で成形された成形体5は強度が低くハンドリング性が困難であるので、成形体を熱処理して成形体5の強度を高くする。
熱処理工程における成形体の温度を200〜450℃に調整することができる。熱処理工程では、成形体の温度を200〜400℃、又は200〜350℃に調整してもよい。
熱処理工程では、成形体5の温度が200℃以上になると、成形体5が固まり始めて、成形体5の保形性、換言すると成形体5の機械的強度が向上する。成形体5の保形性が向上するため、成形体5の搬送、又は後工程における成形体%のハンドリングの際に、成形体5が破損し難い。例えば、成形体5を搬送用チャック(chuck)等により掴んで焼成用トレイ上に並べる際に、成形体5が崩れ難い。その結果、最終的に得られる希土類磁石の欠陥が抑制される。
仮に熱処理工程において成形体5の温度が450℃を超えた場合、熱処理工程後に実施される焼成工程において、成形体5に亀裂が形成され易い。亀裂が形成される原因は定かでない。例えば、熱処理工程における成形体5の急激な温度上昇により、成形体5中に残存する水素が、ガスとして成形体5外へ吹き出すことで、成形体5に亀裂が形成される可能性がある。しかし、熱処理工程において成形体5の温度を450℃以下に調整することにより、焼成工程における成形体5の亀裂が抑制される。その結果、最終的に得られる希土類磁石における亀裂も抑制され易い。また、熱処理工程において成形体5の温度を450℃以下に調整するため、成形体5の昇温又は冷却に要する時間が抑制され、希土類磁石の生産性が向上する。また、熱処理工程における成形体5の温度が450℃以下であり、一般的な焼成温度よりも低いため、ダイ10の一部(例えば底板部10b)とともに成形体5を加熱したとしても、ダイ10の劣化又は成形体5とダイ10との化学反応が起き難い。したがって、必ずしも耐熱性が高くない組成物(例えば、樹脂)から構成されるダイであっても利用することができる。
成形体5の温度を200℃以上450℃以下に調整することにより、成形体5の保形性が向上するメカニズムは明らかではない。例えば、合金粉末に添加されている有機物(例えば、潤滑剤)が、熱処理工程において炭素になり、合金粉末同士が炭素を介して結着される可能性がある。その結果、成形体5の保形性が向上するのかもしれない。仮に熱処理工程において成形体5の温度が450℃を超えた場合、合金粉末を構成する金属の炭化物が生成したり、合金粉末同士が直接焼結したりする可能性がある。一方、成形体5の温度が200℃以上450℃以下に調整される場合、金属の炭化物は必ずしも生成せず、合金粒子同士は必ずしも直接焼結しない。
熱処理工程において成形体5の温度を200℃以上450℃以下に維持する時間は、特に限定されず、成形体5の寸法及び形状に応じて適宜調整すればよい。
熱処理工程では、赤外線を成形体5へ照射することにより、成形体5を加熱してよい。赤外線の照射(つまり輻射熱)によって成形体5を直接加熱することにより、伝導又は対流による加熱の場合に比べて、成形体5の昇温に要する時間が短縮され、生産効率及びエネルギー効率が高まる。ただし、熱処理工程では、加熱炉内の熱伝導又は対流により、成形体5を加熱してもよい。赤外線の波長は、例えば、0.75μm以上1000μm以下、好ましくは0.75μm以上30μm以下であってよい。赤外線は、近赤外線、短波長赤外線、中波長赤外線、長波長赤外線(熱赤外線)、及び遠赤外線からなる群より選ばれる少なくとも一つであってよい。上記の赤外線のうち近赤外線は比較的金属に吸収され易くい。したがって、近赤外線を成形体へ照射する場合、短時間で金属(合金粉末)を昇温し易い。一方、上記の赤外線のうち遠赤外線は比較的有機物に吸収され易く、金属(合金粉末)によって反射され易い。したがって、遠赤外線を成形体へ照射する場合、上述した有機物(例えば、潤滑剤)が選択的に加熱され易く、有機物に起因する上記のメカニズムによって成形体が硬化し易い。赤外線を成形体へ照射する場合、例えば、赤外線ヒーター(セラミックヒーター等)又は赤外線ランプを用いてよい。
ダイ10のキャビティから取り出された成形体5を熱処理工程において加熱する場合、加熱によるダイ10の劣化(例えば、変形、硬化又は摩耗)が抑制され易く、成形体5とダイ10との焼き付きも抑制され易い。またダイ10のキャビティから取り出された成形体5を加熱する場合、ダイによる断熱が無いため成形体5が加熱され易い。その結果、成形体5の保形性が向上する。キャビティVから取り出された成形体5を加熱する場合、ダイ10が成形体5と化学的に反応する可能性が低い。そのため、必ずしもダイ10に耐熱性が要求されるわけではなく、ダイ10の材質が制限され難い。したがって、ダイ10の材料として、所望の寸法及び形状に加工し易く、且つ安価な材料を選定し易い。仮に、熱処理工程においてキャビティ内に保持されたままの成形体5をダイ10と共に加熱した場合、成形体5とダイ10との間の熱膨張率の差に起因して、成形体5に応力が作用し易く、成形体5が変形したり、破損したりする。また、加熱対象全体の体積・熱容量が大きいため、成形体5の数量が制限され、熱処理工程に要する時間が長くなり、エネルギーが浪費され、希土類磁石の生産性が低下する。
熱処理工程では、例えば、底板部10bの上に載置された成形体5を加熱してよい。熱処理工程では、熱処理工程用トレイに載置された成形体5を加熱してもよい。熱処理工程では、成形体5の酸化を抑制するために、不活性ガス又は真空中で成形体5を加熱してよい。不活性ガスは、アルゴン等の希ガスであってよい。
熱処理工程において、成形体5の温度を200℃以上450℃以下に調整した後、成形体5を100℃以下に冷却してよい。熱処理工程後の成形体5の搬送に用いるチャックの表面が樹脂から構成されている場合、成形体5の冷却により、チャックの表面と成形体5との化学反応が抑制され、チャックの劣化、及び成形体5の表面の汚染が抑制される。冷却方法は、例えば、自然冷却であってよい。
熱処理工程を経て成形体5の強度が高くなると、低圧で成形した成形体5でも、ロボットハンドなどで容易に掴むことができるようになり、後工程でのハンドリング性が向上する。
焼結前の成形体の密度も3.0〜4.4g/cm、好ましくは3.2〜4.2g/cm、より好ましくは3.4〜4.0g/cmに調整されていてよい。
(成形体のバリ取り工程)
続いて、熱処理後の成形体5からバリをとる。上述の成形において、ダイとパンチとの隙間に希土類合金粉末が入り込むことによって、成形体5にはバリが生じる場合が多い。
具体的には、パンチが押し込まれる際に、ダイの中にある気体がダイとパンチの隙間から抜け、このときに希土類合金粉末を巻き込むことでバリが形成される場合が多い。
たとえば、図2の(a)に示すように、柱状の成形体5の場合には、パンチ15があたる端面(たとえば、上面)の縁部に、プレスの軸方向に延びるバリ5BRが形成されることがある。
バリ5BRは、成形体5の端部から伸びる突起である。たとえば、図3の(a)のように成形体5の上面5Uの輪郭が3つの直線と、一つの曲線とを有する場合、各直線及び曲線から上方にバリ5BRが延びる場合がある。また、図3の(b)のように成形体5の上面の輪郭が4つの直線を有する場合、各直線から上方にバリ5BRが延びる場合がある。これらの各バリ5BRの高さは一定とは限らず、図3の(a)及び(b)のように不均一となる場合が多い。また、バリ5BRは、図3の(c)及び(d)に示すように、成形体5の上面5Uに沿って折れ曲がっていることもある。バリ5BRは、側面に沿って折れ曲がっていることもある。
本工程では、成形体5からこのようなバリ5BRを除去する。具体的には、図2の(b)に示すように、レーザ光源LSからのレーザ光LBを成形体5のバリ5BR(たとえば根元)に照射して、アブレーション又は溶融の作用により成形体5からバリ5BRを切断し、これにより成形体5からバリ5BRを除去することができる。
レーザ光LBは、金属に対する高い吸収率の観点から、近赤外線(750〜2500nm)または緑色光(495〜570nm)であることが好ましい。具体的には、Nd:YAGレーザ(基本波長1064nm、第二高調波532nm(グリーンレーザ))、又は、Nd:YVOレーザ(1064nm)を使用することが好適である。また、Yb:ファイバーレーザ(1090nm)、半導体レーザ(375〜2000nm)などでもよい。一方、10.6μmのCOレーザーは金属に対する吸収率が低く余り好適では無い。
レーザ光LBは、図2の(b)のように、上面5Uに平行に(上面に沿うように)照射してもよいが、上面5Uに対してたとえば30〜60°の角度をなすように照射して、成形体5の角部のみに照射してもよい。
これにより、図2の(c)のように、バリの除去された成形体5が得られる。
(成形体の微粉除去工程)
上述のバリ取りによって、成形体5の表面に微粉が付着していることがある。そこで、必要に応じて、成形体5からバリ取りにより生じた微粉Pを除去する。たとえば、図2の(d)に示すように、吸引器VAにより微粉を除去することができる。吸引器VAは、吸引ポンプ56、ノズル52、及び、吸引ポンプ56とノズル52とを接続するライン54を備える。ガスを吸引するノズル52を成形体5の表面に近づけることにより、成形体5の表面に付着した微粉Pを、その周りのガスと共に吸引して除去することができる。なお、吸引器VAの吸引ポンプ56を、ブロアに代えてノズル52からガスを吹き出してもよい。この場合、ガスを噴出するノズル52を成形体5の表面に近づけることにより、成形体5に付着した微粉Pを吹き飛ばして除去することができる。
(成形体の焼結工程)
次に、バリの除去された成形体5を焼結して焼結体を得る。焼結には従来公知の方法を適用することができる。焼結温度及び焼結時間は、希土類合金に応じて適宜設定できる。焼結温度は、例えば900℃以上1200℃以下であることができる。焼結時間は、例えば0.1時間以上100時間以下であることができる。焼結工程を繰り返してもよい。焼結工程では、不活性ガス又は真空中で成形体を加熱してよい。不活性ガスは、アルゴン等の希ガスであってよい。焼結後の焼結体に対して、必要に応じて、切断加工や研削加工、表面処理工程、着磁工程などの後処理工程を施すことができる。
(作用)
本実施形態にかかる希土類磁石の製造方法によれば、熱処理後にバリを除去するので、バリ除去の時点で成形体の強度が高くなっている。したがって、低圧成形した場合であっても、バリ除去の際に成形体におけるバリ以外の部分がバリと共に除去されることが抑制される。また、バリ取り時において成形体の保持/固定などのハンドリングもし易くなる。さらに、焼結前にバリを除去するので、バリが硬すぎて除去しにくくなることも無い。その結果、形状精度の高い焼結体を容易に得ることができる。
さらに、レーザ光を使用しているので、迅速にバリ取りが可能である。特に、近赤外レーザ及び緑色レーザ光は、鉄などの金属に対する吸収性が高くて好適である。
さらに、ガス吸引又はガス吹き出しによって、微粉の除去を行っているので、より一層、焼結体の形状精度を高めることができる。
本発明は上記実施形態に限定されず、様々な変形実施態様が可能である。
例えば、図4の(a)に示すように、ブラシBRSで成形体5の表面をなでるなど、ブラシBRSの毛42をバリ5BRに接触させて、バリ5BRを折って成形体5からバリ5BRを除去することもできる。具体的には、バリ5BRを有する面(例えば上面)の中央から縁部に向かってブラシBRSで掃くか、または、縁部から中央に向かって掃く、或いは、バリ5BRを有する面の縁部に沿って周状にブラシBRSで掃くことができる。ブラシBRSは、毛42と毛42を保持する保持部40を有する。ブラシBRSの具体例は、保持部40に毛42が直線状に設けられた直線ブラシ、円柱形状の保持部の外周面に放射状に毛が設けられたロールブラシである。毛42の例は、馬毛、ナイロン毛であり、毛の径はたとえば0.01〜0.05mmである。
また、図4の(b)に示すように、強力な磁石Mgをバリ5BRに近づけて、バリ5BRを磁石Mgに吸い付けて成形体5からバリ5BRを除去することもできる。好適な磁石は、永久磁石、電磁石(コイル)である。電磁石には、直流電流又は交流電流を与えて、直流磁界又は交流磁界を形成させることができる。磁界(磁束密度)の強さは500〜1000Gとすることができる。
さらに、図4の(c)に示すように、前述の吸引器VAを用い、吸引ポンプ56に接続されたノズル52の先端をバリ5BRに近づけることにより、バリ5BRをノズル52内に吸引して成形体5からバリ5BRを除去することができる。ノズル52でバリを吸引する場合、バリ5BRの除去の際に生じる粉など、成形体の表面に付着した不要な原料粉の吸引も可能である。また、吸引ポンプ56をブロアに替えて、ノズル52から出るガスで、バリを吹き飛ばすこともできる。
また、上記実施形態では、プレス圧力が上記の低圧の範囲とされているが、より高いプレス圧力で成形しても実施は可能である。
また、ダイ10及びパンチ15の形状及び構造、ならびに、キャビティVの形状は上記実施形態に限定されず、目的とする磁石の形状に応じて種々の形状を取りうる。たとえば、上記実施形態ではダイが上下2つに分割できる態様であるが、3つ以上に分割できる態様でも良く、分割できない態様でもよい。
希土類磁石の寸法及び形状は、希土類磁石の用途に応じて様々であり、特に限定されない。希土類磁石の形状は、例えば、直方体状、立方体状、多角柱状、セグメント状、扇状、矩形状、板状、球状、円板状、円柱状、リング状、又はカプセル状であってよい。希土類磁石の断面の形状は、例えば、多角形状、円弦状、弓状、又は円状であってよい。
10…ダイ、15…パンチ、5’…希土類合金粉末、5…成形体、5BR…バリ、LB…レーザ光、BRS…ブラシ、Mg…磁石、52…ノズル、P…微粉。

Claims (9)

  1. ダイ内に充填した希土類合金粉末をパンチでプレスして成形体を得る工程と、
    前記成形体を熱処理する工程と、
    前記熱処理後に前記成形体からバリを除去する工程と、
    前記バリの除去後に前記成形体を焼結する工程と、を備える、希土類磁石の製造方法。
  2. 前記バリにレーザ光を照射して前記成形体から前記バリを除去する、請求項1記載の方法。
  3. 前記レーザ光は近赤外光又は緑色光である、請求項2記載の方法。
  4. 前記バリにブラシを接触させて前記成形体から前記バリを除去する、請求項1に記載の方法。
  5. 前記バリに磁石を近づけて前記成形体から前記バリを除去する、請求項1に記載の方法。
  6. ガスを吸引するノズル又はガスを吹き出すノズルを前記バリに近づけて前記成形体から前記バリを除去する、請求項1に記載の方法。
  7. 前記成形体から前記バリを除去する工程の後、前記成形体を焼結する工程の前に、前記成形体に付着した粉を除去する工程をさらに備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記プレスの圧力は0.049〜20MPaである、請求項1〜7のいずれか1項1に記載の方法。
  9. 前記熱処理では、前記成形体を200〜450℃に加熱する、請求項1〜8のいずれか1項1に記載の方法。
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