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JP6536317B2 - α+β型チタン合金板およびその製造方法 - Google Patents

α+β型チタン合金板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、α+β型チタン合金板およびその製造方法に関する。
Ti−6Al−4Vに代表される高強度α+β型チタン合金は軽量、高強度、高耐食性に加え、溶接性、超塑性、拡散接合性などの利用加工諸特性を有することから、宇宙・航空機産業を中心に広く使用されてきた。しかし、α+β型チタン合金の著しく高い製造コストが、その適用拡大を妨げており、これらの用途や民生品分野への適用拡大のためには、安価な高強度チタン合金の開発が求められている。
これら高強度α+β型チタン合金の製造コストが高い理由としては、以下の2点を挙げることができる。
(1)Vなどの高価なβ相安定化元素を使用していること。
(2)α相安定化元素および固溶強化元素として使用しているAlが、熱間での変形抵抗を著しく高めるため、加工しにくくなるとともに熱間加工性を損ねる。そのために、加工には、高温での熱間加工、高い加工力が必要であり、加工設備の高耐熱化、高耐応力化が必要となる。また、加工しにくくなる結果、加工時に割れなどの欠陥を生じ易くなるために、製品歩留りが落ちる点もコストが高くなる問題点として挙げられる。
近年では、低コスト化を実現するとともに、更に高い延性を有する高強度チタン合金が求められている。Al、V等の合金元素を添加しない先行技術としては、特許文献1〜4のような技術が開示されている。
特許文献1には、鉄、酸素、窒素の量で決まる酸素等量値を所定の範囲とし、板の長さ方向および幅方向の引張強さが、いずれも700MPa以上、長さ方向および幅方向の引張伸びが、いずれも15%以上であるTi−Fe−O−N系高強度チタン合金板が記載されている。
特許文献2には、特許文献1と同じく酸素等量値を所定の範囲とし、体積比で5〜30%の等軸α相と残部が微細な針状のα相とβ相の混合組織からなり、長さ方向の引張強さが700MPa以上、板幅方向の引張伸びが10%以上であるTi−Fe−O−N系チタン合金からなる熱延ストリップ、熱延板または熱延条が記載されている。
特許文献3には、酸素、炭素、窒素、鉄の含有量を所定の範囲とした、引張強さが750MPa以上である高強度低合金チタン合金が記載されている。
特許文献4には、鉄、酸素、窒素の量で決まる酸素等量値を所定の範囲とし、粒径が20μm以下の等軸α+β組織からなることを特徴とする超塑性成形に適した高強度チタン合金が記載されている。
特開平11−61297号公報 特開平10−265876号公報 特開2004−269982号公報 特開平8−295969号公報
しかし、特許文献1および2では、高強度・高延性の面内異方性を低減するために種々の製造条件が検討されているものの、強度・延性の各特性値自体は、更なる改善の余地がある。このため、強度と延性とを高いレベルで両立できるような組織は得られていなかった。これらの文献に記載された発明を検討した結果、近年の厳しい要求に対応するためには延性が不十分であり、更なる改善が必要である。
特許文献3に記載の発明では、O、N、C、Feが調整されているが、実施例では高強度が得られているものの、強度を十分に高めると、延性が低く、伸びが20%に達していない。
特許文献4に記載の発明は、超塑性の温度域での延性は検討されているものの、常温での延性については、実質的に検討されていない。
このように、従来の技術では、高強度を維持したまま、近年の要求を満足するような高い延性を有する高強度チタン板は得られず、更なる検討が必要である。
そこで、本発明は、高強度を維持したまま、優れた延性を有する高強度チタン板を提供することを課題とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)質量で、Feが0.8%以上1.5%以下、酸素(O)が0.28%以上0.4%以下を含有し、残部がチタンおよび不可避不純物からなり、再結晶した等軸α相の円相当平均結晶粒径が2〜10μmであり、再結晶した等軸α相が面積率で15%以上、再結晶したβ相率が0.5%以上10%以下で、さらに加工組織が10%以上存在するα+β型チタン合金板。
(2)さらに、質量で、窒素(N)を0.05%以下含有することを特徴とする(1)に記載のα+β型チタン合金板。
(3)(1)または(2)に記載したα+β型チタン合金板の製造方法であって、最終焼鈍において、バッチ焼鈍の場合は500〜600℃で10800〜54000秒保持し、連続焼鈍の場合は700〜850℃で30〜150秒保持することを特徴とするα+β型チタン合金板の製造方法。
従来のチタン合金のように、α相安定化元素であるAlを含有させて固溶強化させると、強度を高めるには効果的である。しかしながら、強化能が高いためにすべり変形や双晶変形が起こりにくいために、延性が低下し靭性が損なわれてしまう。さらに、熱間変形抵抗が高いため、鍛造や圧延などで割れが生じやすい。そのため、本発明においては、Alを添加しないこととした。
一方、Alと同じくα相安定化元素である酸素は、固溶強化には効果的である上に、含有量を最適化すれば、延性を阻害せずに高強度が実現できる。本発明者らは、このような知見に基づいて、低コスト化と高強度化が可能な酸素(O)をある程度含有させた上でFe含有量、さらにはN含有量にも着目し、これらの元素と組織との関係を考慮しつつ鋭意検討を行った。その結果、以下の知見が得られた。
(1)酸素はAlと同様にすべり変形や双晶変形を抑制する効果があるが、含有量が0.28〜0.4質量%であれば、大きく延性を損なわず熱間変形抵抗も大きくならないため、鍛造などで割れが生じにくい。さらにFe含有量が0.8〜1.5質量%とすることで結晶粒を細粒化・整粒化でき良好な延性が得られる。
(2)酸素よりさらに固溶強化能が高い窒素は、0.05質量%以下で添加すれば、延性を損なわずに強度を高めることができる。また、窒素は酸素同様に熱間変形抵抗が大きくならないため、鍛造での割れは生じにくい。
(3)再結晶した等軸α相とβ相とこれ以外の加工組織の存在割合を調整することにより、高強度高延性が得られる。結晶粒径は再結晶が完了すると結晶粒が成長し大きくなるため、2〜10μm以下の微細な等軸結晶粒を得るには、再結晶した等軸α相とβ相以外の加工組織の存在割合を10〜85%に調整する。そして、再結晶した等軸α相とβ相とこれ以外の加工組織の存在割合を調整することで、良好な強度延性バランスが得られる。α相を再結晶した等軸組織にする理由は以下の通りである。等軸組織であれば結晶粒の変形が均一で加工硬化しやすく、良好な延性および強度が得られる。針状組織では結晶粒の形状が影響して、不均一変形が生じ加工硬化しにくいため、良好な延性および強度が得られない。
本発明によれば、α+β型チタン合金において、高価な合金成分添加元素を添加することなく、O、Fe、Nという安価な添加元素のみで、高強度、高延性を兼備させることができる。
合金組織の測定場所を示す概念図
以下に、各本発明の成分組成について、さらに詳細に説明する。以下の含有%はすべて質量%表記である。
酸素含有量:質量で0.28〜0.4%
酸素は、チタン材料中に、0.28〜0.4%含有される。酸素はチタン材料全般に強度を増加させるために有効な元素である。酸素含有量が0.28%未満であると、チタン板を用いて製造する製品に十分な強度を付与させることができない。より好ましくは0.3%以上、より好ましくは0.32%以上である。一方、酸素含有量が0.4%を超えると、強度が大きくなりすぎてしまい延性が低いチタン板となるため、上限をこのように規定した。好ましくは0.39%以下、より好ましくは0.38%以下である。
Fe含有量:質量で0.8〜1.5%
Feは、チタン材料中に、0.8〜1.5%含有される。チタン材料において、Feはβ相安定化元素であり、一部はα相に固溶するものの、多くはβ相に固溶することが知られている。つまり、Feの量が多くなるとβ相の量が増加し、これに伴ってα相の粒成長が抑制でき細粒の組織が得られる。Fe含有量が0.8%未満であると十分な強度が得られない。好ましくは0.9%以上である。Fe含有量が1.5%を超えるとβ相の安定度が高くなり、室温に冷却してもα相に変態せずほとんどがβ相として残留し、熱延、焼鈍などの加熱工程を経ていくごとに残留β相が粗大化する恐れがある。また、耐食性が低下する恐れがある。好ましくは1.4%以下である。さらに、Feは溶解・凝固時に偏析しやすい。コイルでの均質性の観点から、より好ましくは1.2%以下がよい。
窒素含有量:質量で0.05%以下
窒素は、0.002%程度不可避に含まれる。さらに、チタン材料中に、窒素を0.05%以下含有させることにより、より強度を向上させることができる。窒素は酸素と同様にチタン材料全般に強度を増加させるために有効な元素で、その固溶強化能は酸素より高い。しかしながら、窒素含有量が0.05%を超えると、強度が大きくなりすぎてしまい延性が低いチタン板となってしまうため上限を0.05%と規定した。好ましくは0.048%以下、より好ましくは0.046%以下である。なお、窒素含有量が0.002%未満であると、脱窒素のコストがかかるので好ましくない。窒素の含有量の下限は、好ましくは0.004%以上である。
合金組織に関する各数値範囲を決定した意義について詳細に説明する。
本発明によって形成されるチタン板は、塑性変形の担い手である再結晶した等軸α相の結晶粒径が2〜10μmとなるようにチタン板を形成することで、高強度と高延性が得られる。等軸α相の平均結晶粒径が2μmを下回ると、転位の稼動が困難な結晶粒が多く存在するため、塑性変形が起こりにくくなり、延性が低下する。好ましくは等軸α相の平均結晶粒径が3μm以上、より好ましくは4μm以上である。一方、等軸α相の平均結晶粒径が10μmを超えると転位の稼動をピン止めする結晶粒界の表面積が減少するため、不均一な塑性変形が起こりやすくなり、加工硬化能が低下し、高強度が得られない。好ましくは等軸α相の平均結晶粒径が9μm以下、より好ましくは8μm以下である。
本発明によって形成されるチタン板は、再結晶した等軸α相が面積率で15%以上90%以下となるようにチタン板を形成することで、高強度と高延性が得られる。再結晶した等軸α相の面積率が15%に満たない場合は、塑性変形の担い手であるα相が不足し十分な延性が得られない。また、再結晶した等軸α相が、15%未満であると、再結晶した等軸α相の平均結晶粒径が小さくなりやすく、その結果、上述のように延性が低下する。好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上である。一方、再結晶した等軸α相の面積率が90%を超える場合は、塑性変形が進行しやすくなり、高強度が得られない。また、90%を超えると、再結晶した等軸α相の平均結晶粒径が粗大化しやすくなり、相対的に加工組織が減少するから、高強度が得られない。好ましくは85%以下、より好ましくは80%以下である。
本発明において、再結晶したβ相は、再結晶した等軸α相の粒径の粗大化を防止するために0.5%以上10%以下の面積率で存在させる。それにより、高強度と高延性が得られる。β相が、0.5%未満であると、β相による再結晶した等軸α相の粒成長が抑制できず、α相の組織が粗大となる。再結晶した等軸α相組織が粗大となると、上述のように、強度が低下する。一方、10%を超えると、再結晶した等軸α相の結晶粒径が小さくなりすぎ、上述のように、高延性が低下する。
また、再結晶したβ相が多くなると、再結晶した等軸α相と再結晶したβ相の界面面積が大きくなってしまう。塑性変形時は変形能が異なる上記α相とβ相の界面に応力集中してボイドが発生しやすくなる。このため、再結晶したβ相が増加すると延性が低下する。
加工組織の比率(A値):10〜85%
本発明によって形成されるチタン板は、上記再結晶した等軸α相とβ相以外の比率、すなわち、再結晶していない加工組織の比率(未再結晶部の比率)が10〜85%で存在する。ここでいう加工組織とは、ステップサイズ0.2μmで後方散乱電子回折像EBSD(Electron Backscatter Diffraction Pattern)を用いた結晶方位解析方法によって測定して付属の解析ソフト(TSL OIM Analysis)にて求め、得られた情報において、CI値(Coincidence index)が0.1に満たない部分を加工組織と見なした。ここでは、加工組織の比率をA値と記載する。再結晶が完了すると、結晶粒が成長をはじめ粗大化する。このため、強度と延性のバランスに優れるチタン材料を得るためには、再結晶が完全に完了する前の加工組織が適度に残存した状態が好ましい。ただし、加工組織が多いと延性が低くなる恐れがあるが、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、A値が10〜85%であれば、高強度高延性が得られることを見出した。
A値が10%未満では、部分的に結晶粒が粗大化し始めるため、チタン板を用いて製造する製品に十分な強度を付与させることが困難となるおそれがある。すなわち、A値が低いと強度が不足する。好ましくはA値が15%以上、より好ましくは20%以上である。一方、A値が85%を超えると、塑性変形を担う再結晶した等軸α相の結晶粒数が少なくなり、十分な延性が得られない。好ましくはA値が80%以下、より好ましくは70%以下である。本発明のチタン板は、加工組織が存在するため、高強度となる。そして、その上限を制限しているため、加工組織が存在しても、本発明で規定する範囲内であれば、強度と延性のバランスに優れたチタン合金を得ることが可能となる。
次に本発明の製造方法について述べる。
最終焼鈍条件:バッチ焼鈍の場合、500〜600℃で10800〜54000秒保持。連続焼鈍の場合、700〜850℃で30〜150秒保持。
本発明において、特徴となる製造条件は、最終焼鈍条件である。熱延、冷延条件は、本発明の合金組織を有するチタン板を製造する際に特に影響せず、最終焼鈍条件を制御することが重要である。
ここでは、再結晶した等軸α相、β相、および加工組織(未再結晶部)を得るための最終焼鈍条件を述べる。
バッチ焼鈍の場合、焼鈍温度は500〜600℃で、保持時間は10800〜54000秒である。500℃より低い温度では未再結晶部が多く残存してしまい、延性が低下する恐れがある。600℃より高い温度では結晶粒が粗大化するため、2〜10μmの再結晶した等軸α相結晶粒を得るのが困難である。一方、保持時間については、10800秒未満では未再結晶部が多く残存してしまい、延性が低下する恐れがある。54000秒を超える場合は結晶粒が粗大化するため、2〜10μmの再結晶した等軸α相結晶粒を得るのが困難である。
一方、連続焼鈍の場合、焼鈍温度は700〜850℃で、保持時間は30〜150秒である。700℃より低い温度では未再結晶部が多く残存してしまい、延性が低下する恐れがある。最終焼鈍温度が、850℃を超える高温であった場合、焼鈍時にβ相に固溶しているFe濃度が低いためβ相が不安定となり、高温での焼鈍後の冷却時はβ相が残留せずα相に変態する。この高温での焼鈍後に冷却によって発生するα相は針状に析出するため、最終焼鈍温度が850℃を超える高温であると、好ましくない針状組織が生成する。一方、保持時間については、30秒未満では未再結晶部が多く残存してしまい、延性が低下する恐れがある。150秒を超える場合は結晶粒が粗大化するため、2〜10μmの再結晶した等軸α相結晶粒を得るのが困難である。
Feが0.8%以上1.5%以下、酸素(O)が0.28%以上0.4%以下を含有し、残部がチタンおよび不可避不純物からなる組成のチタン合金を用い、上記の最終焼鈍条件を施すことにより、再結晶した等軸α相の円相当平均結晶粒径が2〜10μmであり、再結晶した等軸α相が面積率で15%以上90%以下、再結晶したβ相率が0.5%以上10%以下で、さらに加工組織が10%以上85%以下存在する、α+β型チタン合金板を製造することができる。
本発明では、熱間加工までの工程は一般的なチタン板の製造方法により製造することができる。例えば、スポンジチタン等からチタンインゴットを製造し、このインゴットを鍛造でスラブ形状にし、これを熱間圧延により熱延板に加工した。その後、熱延板にショットブラスト、酸洗による脱スケールを行い、冷間圧延に供するチタン材を製造する。これらの条件は特に限定されず、一般的な条件であればよい。具体的には、熱延の加熱温度範囲として、900〜1000℃、加熱時間として1〜4時間、圧下率として70%以上、冷延の圧下率として50%以上との製造条件が挙げられる。ここで、最終焼鈍直前の冷間圧延での圧下率は50%以上とすることが好ましい。50%未満ではひずみが不十分で再結晶の駆動力が小さく、等軸になりにくくなる。一方、50%以上の圧下率であれば、再結晶の駆動力が十分で、等軸再結晶粒になりやすくなる。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(試験片作製)
アーク溶解によりFe、酸素、窒素含有量を調整したチタン鋳塊を作製し、該鋳塊を1000℃に加熱した後、鍛造してスラブを作製した。続いて、該スラブを厚さ4mmまで熱延した後、焼鈍を行い、ショットブラスト、硝ふっ酸酸洗にて表面のスケールを除去した。冷間圧延、焼鈍、冷間圧延して厚さ0.9mmのチタン薄板を作製した。
このチタン薄板に対して、真空中で450〜650℃にて14400〜72000h保持してバッチ焼鈍を行なった。また、大気中で650〜900℃にて15〜120秒保持して連続焼鈍を行なった。大気中での焼鈍後は、ソルト(アルカリ溶融塩)へ浸漬してスケールを改質し、硝ふっ酸で酸洗して脱スケールを行なった。
(組成分析)
熱延後の表面のスケールを除去した試料のFe含有量をJIS H 1614に準じて測定し、酸素含有量をJIS H 1620に準じて測定し、窒素含有量をJIS H 1612に準じて測定した。
(引張試験)
平行部6.25×32mm、標点間25mm、チャック部15mm幅、全長100mmの引張試験片を作製し、0.2%耐力測定までは標点間0.5%/minで、耐力測定後は20%/minの引張速度で引張試験を行った。ここでは、圧延幅方向(T方向)の引張強度と伸びを評価した。伸びの測定は室温において、破断した後の突合せを行い、伸びの数値を割り出し、破断伸びとして表記した。引張強度は800MPa以上となる場合を、伸びは23%以上となる場合を合格とした。
(再結晶した等軸α相および再結晶したβ相の面積率、再結晶した等軸α相の平均結晶粒径とA値)
再結晶したα相の平均結晶粒径、α相率、β相率とA値は、試験片の圧延幅方向に平行な方向から見た断面(L断面)の任意の(板厚)×1mmの範囲をステップサイズ0.2μmで後方散乱電子回折像EBSD(Electron Backscatter Diffraction Pattern)を用いた結晶方位解析方法によって測定して付属の解析ソフト(TSL OIM Analysis)にて求めた。測定したL断面の方向を模式的に図1に示す。得られた情報において、CI値(Coincidence index)が0.1に満たない部分は冷間圧延時の加工ひずみが残っているため、明瞭な回折パターンが得られない。IPFマップ上でCI値が0.1以上と0.1未満に区別し、CI値が0.1に満たない部分は加工組織と見なした。CI値が0.1以上の部分を再結晶した組織とみなした。再結晶した組織とみなしたα相が、等軸か否かの判定は、付属の解析ソフトにて、アスペクト比が5以下で等軸、5を超える場合を等軸ではないとした。この再結晶した等軸α相において、方位差15°以上の境界を結晶粒界と設定して、円相当直径を求め、平均結晶粒径を算出した。また、α相とβ相は「Phase」モードでα相とβ相を識別し、再結晶した等軸α相とβ相のそれぞれの面積率を算出した。
結果について、表1に示した。実施例、比較例において、窒素が、0.002%の組成のものは、不可避的に含まれる窒素含有量を測定したものである。No.10を除き、再結晶α組織はいずれも等軸晶であった。
No.1〜11は比較例である。No.1は、Fe、酸素含有量ともに規定の下限値に満たないため、引張強度が低かった。No.2は、Fe含有量が規定の下限値に満たないため、引張強度が低かった。No.3は、酸素含有量が規定の下限値に満たないため、引張強度が低かった。
No.4は、酸素含有量が規定の上限値を超えているため、伸びが低かった。No.5は、窒素含有量が規定の上限値を超えているため、伸びが低かった。No.6は、Fe含有量が規定の上限値を超えているため、伸びが低かった。
No.7は、焼鈍時間が長く、再結晶した等軸α相の粒径および面積率が規定の上限値を超えているため、引張強度が低かった。
No.8は、焼鈍温度が低く、未再結晶部(加工組織)の比率が規定の上限値を超えているため、伸びが低かった。No.9は、焼鈍時間が短く、再結晶した等軸α相の粒径が下限を下回り、未再結晶部の比率が規定の上限値を超えているため、伸びが低かった。
No.10は、焼鈍温度が高いため、針状組織が混在しているため、伸びが低かった。
No.11は、焼鈍温度が低いため、再結晶した等軸α相の粒径および面積率が規定より低く、未再結晶部(加工組織)の比率が規定の上限値を超えているため、伸びが低かった。
一方、実施例である、No.12〜23については、最終焼鈍の焼鈍温度と時間を適正化した結果、再結晶した等軸α相の粒径および面積率、再結晶したβ相の面積率、未再結晶部(加工組織)の比率が規定の範囲となり、引張強度800MPa以上、かつ、伸び23%以上を実現できた。
本発明によれば、高価な合金成分添加元素を添加することなく、O、Fe、Nという安価な添加元素のみで、高強度、高延性を兼備させたα+β型チタン合金を提供することができる。

Claims (3)

  1. 質量で、Feが0.8%以上1.5%以下、酸素(O)が0.28%以上0.4%以下を含有し、残部がチタンおよび不可避不純物からなり、再結晶した等軸α相の円相当平均結晶粒径が2〜10μmであり、再結晶した等軸α相が面積率で15%以上、再結晶したβ相率が0.5%以上10%以下で、さらに加工組織が10%以上存在するα+β型チタン合金板。
  2. さらに、質量で、窒素(N)を0.05%以下含有することを特徴とする請求項1に記載のα+β型チタン合金板。
  3. 請求項1または請求項2に記載したα+β型チタン合金板の製造方法であって、最終焼鈍において、バッチ焼鈍の場合は500〜600℃で10800〜54000秒保持し、連続焼鈍の場合は700〜850℃で30〜150秒保持することを特徴とするα+β型チタン合金板の製造方法。
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