幾つかの実施形態では、電気自動車は、平滑コンデンサのプリチャージを行う際に、サブバッテリの電圧が下限電圧を下回らないように、第1DC−DCコンバータのデューティ比および第2DC−DCコンバータのデューティ比の少なくとも一方を調整するように構成されている。このような構成とすることによって、サブバッテリの充電電力量が平滑コンデンサのプリチャージによって過度に低減してしまうことを抑制することができる。
幾つかの実施形態では、電気自動車は、平滑コンデンサのプリチャージを行う際に、サブバッテリの電圧が実質的に低下しないように、第1DC−DCコンバータのデューティ比および第2DC−DCコンバータのデューティ比の少なくとも一方を調整するように構成されている。このような構成とすることによって、サブバッテリの充電電力量が平滑コンデンサのプリチャージによって低減してしまうことを抑制することができる。
図1に、実施例の電気自動車2の電気系統のブロック図を示す。本実施例の電気自動車2は、エンジン(図示せず)の動力を利用して走行することもできるし、メインバッテリ4の電力を利用して走行することもできる、ハイブリッド車である。エンジンの動力を利用して走行する場合には、エンジンが発生させた動力の一部を駆動輪(図示せず)に伝達する一方、エンジンの動力の残りを用いて第1モータ6で発電し、第1モータ6で発電した電力で第2モータ8を駆動することで、駆動輪を回転させる。なお、エンジンを始動させる際には、メインバッテリ4からの電力を第1モータ6に供給し、第1モータ6をセルモータとして機能させる。メインバッテリ4の電力を利用して走行する場合には、メインバッテリ4からの電力で第2モータ8を駆動することで、駆動輪を回転させる。
メインバッテリ4は、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池である。本実施例では、メインバッテリ4の電圧は300V程度である。電気自動車2は、エンジンの動力を用いて第1モータ6で発電し、第1モータ6で発電した電力をメインバッテリ4に充電することができる。また、走行中の電気自動車2が減速する際に、第2モータ8で回生発電し、第2モータ8で発電した電力をメインバッテリ4に充電することもできる。メインバッテリ4には、メインバッテリ4の電圧を測定する電圧センサ4aが取り付けられている。
メインバッテリ4は、メイン電源配線10を介して、電力制御ユニット(PCU)12に接続されている。メイン電源配線10は、メインバッテリ4の正極端子に接続された正極線10aと、メインバッテリ4の負極端子に接続された負極線10bを備えている。
PCU12は、メインバッテリ4と第1モータ6および第2モータ8の間に設けられている。PCU12は、平滑コンデンサ14と、電圧センサ14aと、コンバータ16と、インバータ18を備えている。平滑コンデンサ14は、メイン電源配線10の電圧を平滑化する。電圧センサ14aは、平滑コンデンサ14の電圧を測定する。コンバータ16は、メインバッテリ4から供給される電力の電圧を、必要に応じて第1モータ6や第2モータ8の駆動に適した電圧まで昇圧する。また、コンバータ16は、第1モータ6や第2モータ8が発電した電力の電圧を、メインバッテリ4への充電に適した電圧まで降圧することもできる。本実施例では、第1モータ6や第2モータ8の駆動に用いる電圧は600V程度である。インバータ18は、メインバッテリ4から供給される直流電力を、第1モータ6や第2モータ8の駆動のための三相交流電力に変換する。また、インバータ18は、第1モータ6や第2モータ8が発電した三相交流電力を、メインバッテリ4へ充電するための直流電力に変換することもできる。
メインバッテリ4とPCU12の間には、システムメインリレー(SMR)20が設けられている。SMR20は、メイン電源配線10の正極線10aの導通と非導通を切り換えるスイッチ20aと、メイン電源配線10の負極線10bの導通と非導通を切り換えるスイッチ20bを備えている。すなわち、SMR20は、メイン電源配線10の導通と非導通を切り換える。
電気自動車2は、メインバッテリ4よりも低電圧のサブバッテリ22を備えている。サブバッテリ22は、鉛電池等の二次電池である。本実施例では、サブバッテリ22の電圧は13V〜14.5V程度である。サブバッテリ22は、サブ電源配線24を介して、パワーステアリングやエアコン等の補機26に接続されている。サブ電源配線24は、サブバッテリ22の正極端子に接続された正極線24aと、サブバッテリ22の負極端子に接続された負極線24bを備えている。サブ電源配線24の負極線24bは、接地電位を提供する。サブバッテリ22には、サブバッテリ22の電圧を測定する電圧センサ22aが取り付けられている。
SMR20よりもPCU12側のメイン電源配線10と、サブ電源配線24は、第1DC−DCコンバータ28を介して接続されている。第1DC−DCコンバータ28は、メイン電源配線10からサブ電源配線24へ降圧して電力を供給する降圧動作を行うこともできるし、サブ電源配線24からメイン電源配線10へ昇圧して電力を供給する昇圧動作を行うこともできる。第1DC−DCコンバータ28は、いわゆる双方向DC−DCコンバータであり、昇降圧DC−DCコンバータである。電気自動車2では、第1DC−DCコンバータ28が降圧動作を行うことで、SMR20の導通/非導通に関わらず、第1モータ6や第2モータ8が発電した電力をサブバッテリ22に充電することができる。また、電気自動車2では、第1DC−DCコンバータ28が昇圧動作を行うことで、SMR20の導通/非導通に関わらず、サブバッテリ22の電力を利用して第1モータ6や第2モータ8を駆動することができる。
SMR20よりもメインバッテリ4側のメイン電源配線10と、サブ電源配線24は、第2DC−DCコンバータ30を介して接続されている。第2DC−DCコンバータ30は、メイン電源配線10からサブ電源配線24へ降圧して電力を供給する降圧動作を行うことができる。第2DC−DCコンバータ30は、いわゆる単方向DC−DCコンバータであり、降圧DC−DCコンバータである。電気自動車2では、SMR20が導通している際に、第1DC−DCコンバータ28が降圧動作を行い、かつ第2DC−DCコンバータ30が降圧動作を行うことで、メインバッテリ4からの電力や、第1モータ6や第2モータ8が発電した電力を、第1DC−DCコンバータ28と第2DC−DCコンバータ30の両方を介して、サブバッテリ22に充電することができる。この場合、第1DC−DCコンバータ28および第2DC−DCコンバータ30の何れか一方のみを介してサブバッテリ22に充電する場合に比べて、サブバッテリ22に供給される電流を大きくすることができ、サブバッテリ22の充電に要する時間を短縮することができる。
電気自動車2は、電子制御ユニット(ECU)60を備えている。ECU60には、電圧センサ4a、14a、22a等の、電気自動車2に搭載された各種のセンサの検出信号が入力される。ECU60は、PCU12、SMR20、第1DC−DCコンバータ28、第2DC−DCコンバータ30等の、電気自動車2の電気系統を構成する各種の構成要素の動作を制御する。
図2に、第1DC−DCコンバータ28と、第2DC−DCコンバータ30の概略の構成を示す。以下の説明では、第1DC−DCコンバータ28に関して、メイン電源配線10側(すなわち、PCU12側)を一次側といい、サブ電源配線24側(すなわち、サブバッテリ22側)を二次側という。同様に、第2DC−DCコンバータ30に関して、メイン電源配線10側(すなわち、メインバッテリ4側)を一次側といい、サブ電源配線24側(すなわち、サブバッテリ22側)を二次側という。
第1DC−DCコンバータ28は、一次側フィルタ32と、一次側回路34と、トランス36と、二次側回路38と、二次側フィルタ40と、制御回路42を備えている。第1DC−DCコンバータ28は、絶縁型DC−DCコンバータである。一次側フィルタ32と、一次側回路34と、トランス36と、二次側回路38と、二次側フィルタ40と、制御回路42は、筐体56内に収容されている。
一次側フィルタ32は、第1DC−DCコンバータ28のメイン電源配線10側でのノイズの発生を抑制する。本実施例では、一次側フィルタ32は、コンデンサ32aを備えている。
一次側回路34は、スイッチング素子34a、34b、34c、34dと、それぞれのスイッチング素子34a、34b、34c、34dに並列に接続された還流ダイオード34e、34f、34g、34hを備えている。スイッチング素子34aとスイッチング素子34bは直列に接続されており、スイッチング素子34cとスイッチング素子34dは直列に接続されている。一次側回路34は、スイッチング回路ということもできる。
トランス36は、一次側コイル36aと、二次側コイル36bを備えている。トランス36では、一次側コイル36aから二次側コイル36bへ降圧して電力を供給することもできるし、二次側コイル36bから一次側コイル36aへ昇圧して電力を供給することもできる。一次側コイル36aの一端は、スイッチング素子34aとスイッチング素子34bの間に接続されており、一次側コイル36aの他端は、スイッチング素子34cとスイッチング素子34dの間に接続されている。
二次側回路38は、スイッチング素子38a、38b、38c、38dと、それぞれのスイッチング素子38a、38b、38c、38dに並列に接続された還流ダイオード38e、38f、38g、38hと、インダクタ38iと、コンデンサ38jを備えている。スイッチング素子38aとスイッチング素子38bは直列に接続されており、スイッチング素子38cとスイッチング素子38dは直列に接続されている。二次側コイル36bの一端は、スイッチング素子38aとスイッチング素子38bの間に接続されており、二次側コイル36bの他端は、スイッチング素子38cとスイッチング素子38dの間に接続されている。二次側回路38は、スイッチング回路ということもできる。
二次側フィルタ40は、第1DC−DCコンバータ28のサブ電源配線24側でのノイズの発生を抑制する。本実施例では、二次側フィルタ40は、インダクタ40aとコンデンサ40bを備えている。
制御回路42は、ECU60(図1参照)と通信可能である。制御回路42は、ECU60からの指示に従って、一次側回路34のスイッチング素子34a、34b、34c、34dと、二次側回路38のスイッチング素子38a、38b、38c、38dの動作を制御する。
第1DC−DCコンバータ28の動作について説明する。第1DC−DCコンバータ28が降圧動作をする際には、一次側回路34において直流電力から交流電力へと変換し、トランス36において降圧して、二次側回路38において交流電力から直流電力へと変換する。なお、この場合には、二次側回路38ではスイッチング素子38a、38b、38c、38dは動作せず、還流ダイオード38e、38f、38g、38hによる整流と、インダクタ38iおよびコンデンサ38jによる平滑化がなされる。これによって、メイン電源配線10からサブ電源配線24へ降圧して電力を供給することができる。この際に、制御回路42が一次側回路34のスイッチング素子34a、34b、34c、34dのオン/オフのタイミングを調整することで、第1DC−DCコンバータ28が降圧動作をする際のデューティ比を調整することができる。第1DC−DCコンバータ28の降圧動作においては、デューティ比が高くなるほど、メイン電源配線10から(すなわちPCU12から)サブ電源配線24へ供給される電力が増加する。
逆に、第1DC−DCコンバータ28が昇圧動作をする際には、二次側回路38において直流電力から交流電力へと変換し、トランス36において昇圧して、一次側回路34において交流電力から直流電力へと変換する。なお、この場合には、一次側回路34ではスイッチング素子34a、34b、34c、34dは動作せず、還流ダイオード34e、34f、34g、34hによる整流がなされ、一次側フィルタ32において平滑化がなされる。これによって、サブ電源配線24からメイン電源配線10へ昇圧して電力を供給することができる。この際に、制御回路42が二次側回路38のスイッチング素子38a、38b、38c、38dのオン/オフのタイミングを調整することで、第1DC−DCコンバータ28が昇圧動作をする際のデューティ比を調整することができる。第1DC−DCコンバータ28の昇圧動作においては、デューティ比が高くなるほど、サブ電源配線24からメイン電源配線10へ(すなわちPCU12へ)供給される電力が増加する。
なお、図2に示した第1DC−DCコンバータ28の一次側フィルタ32、一次側回路34、二次側回路38、二次側フィルタ40の具体的な回路構成はあくまでも一例であって、第1DC−DCコンバータ28としては、メイン電源配線10からサブ電源配線24へ降圧して電力を供給する降圧動作と、サブ電源配線24からメイン電源配線10へ昇圧して電力を供給する昇圧動作が可能であれば、どのような構成のものを用いてもよい。
第2DC−DCコンバータ30は、一次側フィルタ44と、一次側回路46と、トランス48と、二次側回路50と、二次側フィルタ52と、制御回路54を備えている。第2DC−DCコンバータ30は、絶縁型DC−DCコンバータである。一次側フィルタ44と、一次側回路46と、トランス48と、二次側回路50と、二次側フィルタ52と、制御回路54は、筐体58内に収容されている。
一次側フィルタ44は、第2DC−DCコンバータ30のメイン電源配線10側でのノイズの発生を抑制する。本実施例では、一次側フィルタ44は、コンデンサ44aを備えている。
一次側回路46は、スイッチング素子46a、46b、46c、46dと、それぞれのスイッチング素子46a、46b、46c、46dに並列に接続された還流ダイオード46e、46f、46g、46hを備えている。スイッチング素子46aとスイッチング素子46bは直列に接続されており、スイッチング素子46cとスイッチング素子46dは直列に接続されている。一次側回路46は、スイッチング回路ということもできる。
トランス48は、一次側コイル48aと、二次側コイル48bを備えている。トランス48では、一次側コイル48aから二次側コイル48bへ降圧して電力を供給することができる。一次側コイル48aの一端は、スイッチング素子46aとスイッチング素子46bの間に接続されており、一次側コイル48aの他端は、スイッチング素子46cとスイッチング素子46dの間に接続されている。
二次側回路50は、ダイオード50a、50b、50c、50dと、インダクタ50eと、コンデンサ50fを備えている。ダイオード50a、50b、50c、50dは、ブリッジ回路を構成している。
二次側フィルタ52は、第2DC−DCコンバータ30のサブ電源配線24側でのノイズの発生を抑制する。本実施例では、二次側フィルタ52は、インダクタ52aとコンデンサ52bを備えている。
制御回路54は、ECU60(図1参照)と通信可能である。制御回路54は、ECU60からの指示に従って、一次側回路46のスイッチング素子46a、46b、46c、46dの動作を制御する。
第2DC−DCコンバータ30の動作について説明する。第2DC−DCコンバータ30が降圧動作をする際には、一次側回路46において直流電力から交流電力へと変換し、トランス48において降圧して、二次側回路50において交流電力から直流電力へと変換する。この場合、二次側回路50ではダイオード50a、50b、50c、50dによる整流と、インダクタ50eおよびコンデンサ50fによる平滑化がなされる。これによって、メイン電源配線10からサブ電源配線24へ降圧して電力を供給することができる。この際に、制御回路54が一次側回路46のスイッチング素子46a、46b、46c、46dのオン/オフのタイミングを調整することで、第2DC−DCコンバータ30が降圧動作をする際のデューティ比を調整することができる。第2DC−DCコンバータ30の降圧動作においては、デューティ比が高くなるほど、メイン電源配線10から(すなわちメインバッテリ4から)サブ電源配線24へ供給される電力が増加する。
なお、第2DC−DCコンバータ30としては、図2に示すような、一次側回路46がスイッチング素子46a、46b、46c、46dを備えており、制御回路54が一次側回路46の動作を制御する構成に限らず、二次側回路50がスイッチング素子を備えており、制御回路54が二次側回路50の動作を制御する構成としてもよいし、一次側回路46と二次側回路50のそれぞれがスイッチング素子を備えており、制御回路54が一次側回路46と二次側回路50のそれぞれの動作を制御する構成としてもよい。図2に示した第2DC−DCコンバータ30の一次側フィルタ44、一次側回路46、二次側回路50、二次側フィルタ52の具体的な回路構成はあくまでも一例であって、第2DC−DCコンバータ30としては、メイン電源配線10からサブ電源配線24へ降圧して電力を供給する降圧動作が可能であれば、どのような構成のものを用いてもよい。
図1に示す電気自動車2において、SMR20を非導通から導通へ切り換える際に、メインバッテリ4の電圧と、PCU12の平滑コンデンサ14の電圧が相違していると、SMR20が導通に切り換わった直後にメイン電源配線10に大きな突入電流が流れる。そこで、電気自動車2においては、SMR20を非導通から導通へ切り換える前に、メインバッテリ4の電圧と平滑コンデンサ14の電圧を一致させるために、平滑コンデンサ14のプリチャージを行う。
図3に示すように、本実施例の電気自動車2では、平滑コンデンサ14へのプリチャージの際には、第1DC−DCコンバータ28が昇圧動作を行うとともに、第2DC−DCコンバータ30が降圧動作を行う。この場合、第1DC−DCコンバータ28のサブ電源配線24側には、サブバッテリ22から供給される電流I2に加えて、メインバッテリ4から第2DC−DCコンバータ30を介して供給される電流I1も入力される。従って、平滑コンデンサ14には、サブバッテリ22から第1DC−DCコンバータ28を介して電力が供給されるだけでなく、メインバッテリ4からも第2DC−DCコンバータ30、第1DC−DCコンバータ28を介して電力が供給される。このような構成とすることによって、サブバッテリ22のみから電力を供給して平滑コンデンサ14のプリチャージを行う場合に比べて、プリチャージに要する時間を短縮することができる。また、このような構成とすることによって、サブバッテリ22のみから電力を供給して平滑コンデンサ14のプリチャージを行う場合に比べて、サブバッテリ22の充電電力量が低減することを抑制することができる。
なお、上記のように平滑コンデンサ14のプリチャージを行うためには、第1DC−DCコンバータ28で昇圧動作が可能であり、第2DC−DCコンバータ30で降圧動作が可能であればよい。従って、例えば、図4に示すように、第1DC−DCコンバータ28を、サブ電源配線24からメイン電源配線10へ昇圧して電力を供給する昇圧動作のみが可能な、単方向の昇圧DC−DCコンバータとしてもよい。図4に示す例では、第1DC−DCコンバータ28の一次側回路34が、ダイオード34i、34j、34k、34lを備えている。ダイオード34i、34j、34k、34lは、ブリッジ回路を構成している。この場合、第1DC−DCコンバータ28を双方向の昇降圧DC−DCコンバータとする場合に比べて、製造コストを低減することができる。
あるいは、図5に示すように、第2DC−DCコンバータ30を、メイン電源配線10からサブ電源配線24へ降圧して電力を供給する降圧動作と、サブ電源配線24からメイン電源配線10へ昇圧して電力を供給する昇圧動作が可能な、双方向の昇降圧DC−DCコンバータとしてもよい。図5に示す例では、第2DC−DCコンバータ30の二次側回路50が、スイッチング素子50g、50h、50i、50jと、それぞれのスイッチング素子50g、50h、50i、50jに並列に接続された還流ダイオード50k、50l、50m、50nと、インダクタ50eと、コンデンサ50fを備えている。スイッチング素子50gとスイッチング素子50hは直列に接続されており、スイッチング素子50iとスイッチング素子50jは直列に接続されている。トランス48の二次側コイル48bの一端は、スイッチング素子50gとスイッチング素子50hの間に接続されており、二次側コイル48bの他端は、スイッチング素子50iとスイッチング素子50jの間に接続されている。二次側回路50は、スイッチング回路ということもできる。この場合、第2DC−DCコンバータ30が昇圧動作を行うことで、SMR20の導通/非導通に関わらず、サブバッテリ22の電力を利用してメインバッテリ4を充電することができる。また、第1DC−DCコンバータ28が降圧動作を行い、かつ第2DC−DCコンバータ30が昇圧動作を行うことで、SMR20の導通/非導通に関わらず、第1モータ6や第2モータ8が発電した電力をメインバッテリ4に充電することができる。
以下では図6を参照しながら、ECU60がSMR20を非導通から導通に切り換える際に、平滑コンデンサ14のプリチャージを行うために行う処理の詳細について説明する。平滑コンデンサ14へのプリチャージを行う際には、サブ電源配線24からPCU12へ供給される電力と、メインバッテリ4からサブ電源配線24へ供給される電力のバランスに応じて、サブバッテリ22の充電電力量が変化する。サブ電源配線24からPCU12に供給される電力が、メインバッテリ4からサブ電源配線24に供給される電力より大きい場合、その不足分はサブバッテリ22から放電されるため、サブバッテリ22の充電電力量が低減する。逆に、メインバッテリ4からサブ電源配線24へ供給される電力が、サブ電源配線24からPCU12へ供給される電力よりも大きい場合、その超過分はサブバッテリ22に充電されるため、サブバッテリ22の充電電力量は増加する。通常、サブバッテリ22の充電電力量が増えるとサブバッテリ22の電圧Vhは上昇し、サブバッテリ22の充電電力量が減るとサブバッテリ22の電圧Vhは下降する。そこで、図6に示す処理では、サブバッテリ22の電圧Vhが下限電圧Vminを下回らないようにしながら平滑コンデンサ14のプリチャージを行うことで、サブバッテリ22の充電電力量が平滑コンデンサ14のプリチャージによって過度に低減してしまうことを抑制する。
ステップS2では、ECU60は、電圧センサ22aにより検出されるサブバッテリ22の電圧Vhを、基準電圧Vhoとして設定する。ステップS2で設定される基準電圧Vhoは、平滑コンデンサ14のプリチャージを行う前の時点でのサブバッテリ22の電圧である。
ステップS4では、ECU60は、第2DC−DCコンバータ30に降圧動作を開始させる。これによって、メインバッテリ4からサブ電源配線24への電力供給が開始される。
ステップS6では、ECU60は、第1DC−DCコンバータ28に昇圧動作を開始させる。これによって、サブ電源配線24からPCU12への電力供給が開始される。
ステップS8では、ECU60は、第2DC−DCコンバータ30のデューティ比が上限に達しているか否かを判断する。第2DC−DCコンバータ30のデューティ比が上限に達していない場合(ステップS8でNOの場合)、処理はステップS10へ進む。
ステップS10では、ECU60は、電圧センサ22aで検出されるサブバッテリ22の電圧Vhが、ステップS2で設定した基準電圧Vhoを下回るか否かを判断する。サブバッテリ22の電圧Vhが基準電圧Vhoを下回る場合(ステップS10でYESの場合)、処理はステップS12へ進む。ステップS12では、ECU60は、第2DC−DCコンバータ30のデューティ比を増加させる。第2DC−DCコンバータ30のデューティ比を増加させることで、メインバッテリ4からサブ電源配線24へ供給される電力が増加する。ステップS12の後、処理はステップS16へ進む。ステップS10でサブバッテリ22の電圧Vhが基準電圧Vho以上の場合(NOの場合)、第2DC−DCコンバータ30のデューティ比を変更することなく、処理はステップS16へ進む。
ステップS8で第2DC−DCコンバータ30のデューティ比が上限に達している場合(YESの場合)には、処理はステップS14へ進む。ステップS14では、ECU60は、第2DC−DCコンバータ30のデューティ比を固定する。ステップS14の後、処理はステップS16へ進む。
ステップS16では、ECU60は、電圧センサ22aで検出されるサブバッテリ22の電圧Vhが、下限電圧Vminを上回るか否かを判断する。サブバッテリ22の電圧Vhが下限電圧Vminを上回る場合(ステップS16でYESの場合)、処理はステップS18へ進む。ステップS18では、ECU60は、第1DC−DCコンバータ28のデューティ比を増加させる。第1DC−DCコンバータ28のデューティ比を増加させることで、サブ電源配線24からPCU12へ供給される電力が増加する。ステップS18の後、処理はステップS22へ進む。サブバッテリ22の電圧Vhが下限電圧Vmin以下の場合(ステップS16でNOの場合)、処理はステップS20へ進む。ステップS20では、ECU60は、第1DC−DCコンバータ28のデューティ比を固定する。ステップS20の後、処理はステップS22へ進む。
ステップS22では、ECU60は、電圧センサ4aで検出されるメインバッテリ4の電圧Vbと電圧センサ14aで検出される平滑コンデンサ14の電圧Vlの差Vb−Vlが、所定電圧差ΔV以下であるか否かを判断する。所定電圧差ΔVは、SMR20を非導通から導通に切り換えたときに、メインバッテリ4から平滑コンデンサ14へ流れる電流によってSMR20に溶着等の不具合を生じない程度の電圧差である。電圧差Vb−Vlが所定電圧差ΔVを上回る場合(ステップS22でNOの場合)、処理はステップS8へ戻る。電圧差Vb−Vlが所定電圧差ΔV以下である場合(ステップS22でYESの場合)、処理はステップS24へ進む。
ステップS24では、ECU60は、第1DC−DCコンバータ28に昇圧動作を停止させる。これによって、サブ電源配線24からPCU12への電力供給が停止される。
ステップS26では、ECU60は、第2DC−DCコンバータ30に降圧動作を停止させる。これによって、メインバッテリ4からサブ電源配線24への電力供給が停止される。
ステップS28では、ECU60は、SMR20を非導通から導通に切り換える。平滑コンデンサ14へのプリチャージがすでになされているため、SMR20を非導通から導通に切り換えたときに、メインバッテリ4から平滑コンデンサ14に大きな突入電流が流れることはない。
図6の処理がもたらす効果について説明する。平滑コンデンサ14のプリチャージを行う際には、サブ電源配線24からPCU12へ供給される電力が大きいほど、平滑コンデンサ14のプリチャージに要する時間は短くなる。第1DC−DCコンバータ28のデューティ比を高くするほど、サブ電源配線24からPCU12へ供給される電力は大きくなる。このため、平滑コンデンサ14のプリチャージに要する時間を短くするためには、第1DC−DCコンバータ28のデューティ比を可能な限り高くして、サブ電源配線24からPCU12へ供給される電力を大きくすることが望ましい。しかしながら、サブ電源配線24からPCU12へ供給される電力を大きくすると、サブバッテリ22からPCU12へ供給される電力が増加し、サブバッテリ22の充電電力量が低下していくことになる。
そこで、図6に示す処理では、ステップS18において、第1DC−DCコンバータ28のデューティ比を増加させつつ、ステップS10、S12において、サブバッテリ22の電圧Vhが基準電圧Vhoを下回ると、第2DC−DCコンバータ30のデューティ比を増加させる。これによって、サブ電源配線24からPCU12へ供給される電力を大きくするとともに、サブバッテリ22の電圧Vhの低下を補うように、メインバッテリ4からサブ電源配線24に供給される電力を大きくすることができる。図6に示す処理によれば、サブバッテリ22の電圧Vhが基準電圧Vhoを下回ることを抑制しつつ、平滑コンデンサ14のプリチャージに要する時間を短くすることができる。
なお、第2DC−DCコンバータ30のデューティ比が上限に達すると、それ以上はメインバッテリ4からサブ電源配線24に供給される電力を大きくできなくなる。このため、第2DC−DCコンバータ30のデューティ比が上限に達した後、さらに第1DC−DCコンバータ28のデューティ比を増加していくと、サブバッテリ22の電圧Vhは基準電圧Vhoを下回って低下していくことになる。そこで、図6に示す処理では、ステップS16、S20において、サブバッテリ22の電圧Vhが下限電圧Vminまで低下したときに、第1DC−DCコンバータ28のデューティ比を固定する。これによって、サブ電源配線24からPCU12に供給される電力がさらに大きくなることを防ぎ、サブバッテリ22の電圧Vhがさらに低下することを防ぐことができる。本実施例の電気自動車2によれば、サブバッテリ22の電圧Vhが下限電圧Vminを下回ることを抑制しつつ、可能な限り平滑コンデンサ14のプリチャージの時間を短くすることができる。
なお、図6に示す処理とは異なり、実質的にサブバッテリ22から電力の供給を行うことなく、メインバッテリ4からのみ電力を供給して、平滑コンデンサ14のプリチャージを行うことも可能である。以下では、図7を参照しながら、このように平滑コンデンサ14のプリチャージを行う場合にECU60が行う処理について説明する。
ステップS32、S34、S36については、図6のステップS2、S4、S6と同様である。
ステップS38では、ECU60は、第2DC−DCコンバータ30のデューティ比が上限に達しているか否かを判断する。第2DC−DCコンバータ30のデューティ比が上限に達していない場合(ステップS38でNOの場合)、処理はステップS40へ進む。
ステップS40では、ECU60は、電圧センサ22aで検出されるサブバッテリ22の電圧Vhが、ステップS32で設定した基準電圧Vhoを下回るか否かを判断する。サブバッテリ22の電圧Vhが基準電圧Vhoを下回る場合(ステップS40でYESの場合)、処理はステップS42へ進む。ステップS42では、ECU60は、第2DC−DCコンバータ30のデューティ比を増加させる。ステップS42の後、処理はステップS44へ進む。ステップS40でサブバッテリ22の電圧Vhが基準電圧Vho以上の場合(NOの場合)、第2DC−DCコンバータ30のデューティ比を変更することなく、処理はステップS44へ進む。ステップS44では、ECU60は、第1DC−DCコンバータ28のデューティ比を増加させる。ステップS44の後、処理はステップS50へ進む。
ステップS38で第2DC−DCコンバータ30のデューティ比が上限に達している場合(YESの場合)には、処理はステップS46へ進む。ステップS46では、ECU60は、第2DC−DCコンバータ30のデューティ比を固定する。ステップS46の後、処理はステップS48へ進む。ステップS48では、ECU60は、第1DC−DCコンバータ28のデューティ比を固定する。ステップS48の後、処理はステップS50へ進む。
ステップS50では、ECU60は、電圧センサ4aで検出されるメインバッテリ4の電圧Vbと電圧センサ14aで検出される平滑コンデンサ14の電圧Vlの差Vb−Vlが、所定電圧差ΔV以下であるか否かを判断する。電圧差Vb−Vlが所定電圧差ΔVを上回る場合(ステップS50でNOの場合)、処理はステップS38へ戻る。電圧差Vb−Vlが所定電圧差ΔV以下である場合(ステップS50でYESの場合)、処理はステップS52へ進む。
ステップS52、S54、S56については、図6のステップS24、S26、S28と同様である。
図7の処理がもたらす効果について説明する。図7に示す処理では、ステップS44において、第1DC−DCコンバータ28のデューティ比を増加させつつ、ステップS40、S42において、サブバッテリ22の電圧Vhが基準電圧Vhoを下回ると、第2DC−DCコンバータ30のデューティ比を増加させる。これによって、サブバッテリ22の電圧Vhが基準電圧Vhoより低下することを抑制しつつ、平滑コンデンサ14のプリチャージに要する時間を短くすることができる。
また、図7に示す処理では、ステップS38、S46、S48において、第2DC−DCコンバータ30のデューティ比が上限に達すると、第2DC−DCコンバータ30のデューティ比を固定するとともに、第1DC−DCコンバータ28のデューティ比も固定する。これによって、サブバッテリ22の電圧Vhを基準電圧Vhoに維持したまま、平滑コンデンサ14のプリチャージを行うことができる。図7に示す処理によれば、実質的にサブバッテリ22から電力の供給を行うことなく、メインバッテリ4からのみ電力を供給して、平滑コンデンサ14のプリチャージを行うことができる。
図6および図7に示す処理によれば、サブバッテリ22の電流を検出するための電流センサを設けることなく、サブバッテリ22の充電電力量が平滑コンデンサ14へのプリチャージによって低下することを防ぐことができる。
以上のように、本実施例の電気自動車2は、メインバッテリ4と、メインバッテリ4に接続されたメイン電源配線10と、メイン電源配線10の電圧を平滑化する平滑コンデンサ14を備えるPCU12と、メインバッテリ4とPCU12の間で、メイン電源配線10の導通と非導通を切り換えるSMR20(スイッチに相当する)と、メインバッテリ4より低電圧のサブバッテリ22と、サブバッテリ22の電圧を検出する電圧センサ22aと、サブバッテリ22に接続されたサブ電源配線24と、SMR20よりもPCU12側のメイン電源配線10とサブ電源配線24の間を接続しており、サブ電源配線24からメイン電源配線10へ昇圧して電力を供給する昇圧動作が可能な第1DC−DCコンバータ28と、SMR20よりもメインバッテリ4側のメイン電源配線10とサブ電源配線24の間を接続しており、メイン電源配線10からサブ電源配線24へ降圧して電力を供給する降圧動作が可能な第2DC−DCコンバータ30を備えている。電気自動車2は、SMR20が非導通の状態で、第1DC−DCコンバータ28が昇圧動作を行い、かつ第2DC−DCコンバータ30が降圧動作を行うことで、平滑コンデンサ14のプリチャージを行うことが可能である。電気自動車2は、平滑コンデンサ14のプリチャージを行う際に、サブバッテリ22の電圧Vhに基づいて、第1DC−DCコンバータ28のデューティ比および第2DC−DCコンバータ30のデューティ比の少なくとも一方を調整するように構成されている。
図1および図6に示す例では、電気自動車2は、平滑コンデンサ14のプリチャージを行う際に、サブバッテリ22の電圧Vhが下限電圧Vminを下回らないように、第1DC−DCコンバータ28のデューティ比および第2DC−DCコンバータ30のデューティ比の少なくとも一方を調整するように構成されている。
図1および図7に示す例では、電気自動車2は、平滑コンデンサ14のプリチャージを行う際に、サブバッテリ22の電圧Vhが実質的に低下しないように、第1DC−DCコンバータ28のデューティ比および第2DC−DCコンバータ30のデューティ比の少なくとも一方を調整するように構成されている。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。