以下の実施の形態では、図1に示すIP電話システムに対して動作試験を行うために、本発明に係る電話試験システムを適用する場合について説明する。図1は、実際に使用されるIP電話システムの構成例を示す図である。
図1に示すIP電話システムでは、LAN(Local Area Network)通信網1に、複数のIP交換機2,3,4,5,6,7が接続されている。また、各IP交換機2〜7に対して、HUB8,9,10,11,12,13が、各々接続されている。
また、各HUB8〜13には、複数の異なる種類のVoIP(ボイス オーバー インターネット プロトコル)電話機(以下、単にIP電話機と称する)14〜26,27〜30が接続されている。つまり、各IP電話機14〜26,27〜30は、HUB8〜13を介して、IP交換機2〜7に接続されている。
具体的には、交換機2に対しては、HUB8を介して、タイプAのIP電話機14,15,16が接続されており、交換機3に対しては、HUB9を介して、タイプAのIP電話機17,18が接続されており、交換機4に対しては、HUB10を介して、タイプAのIP電話機19,20,21が接続されており、交換機5に対しては、HUB11を介して、タイプBのIP電話機27,28が接続されており、交換機6に対しては、HUB12を介して、タイプAのIP電話機22,23,24が接続されており、交換機7に対しては、HUB13を介して、タイプAのIP電話機25,26とタイプBのIP電話機29,30とが接続されている。
図1に示すIP電話システムにおいて、LAN通信網1は、たとえば建屋内(屋内)や企業などのある閉じた組織(範囲)内に設置される。また、LAN通信網1に直接接続されるIP交換機2〜7は、IP−PBX(Intenet Protocol Private Branch eXchange)であり、LANネットワーク内において、IP電話機14〜26,27〜30の回線交換を行う。したがって、たとえば当該IP交換機2〜7は、LAN通信網1内において、IP交換機2〜7による内線電話網を実現する目的で使用される。なお、IP交換機2〜7は、公衆電話網(外線網)と前記内線網の間の中継を行っても良い。
ここで、図1に示すIP電話システムの構成例では、複数のIP交換機2〜7が配設されている。しかし、IP電話システムが設置される環境に応じて、配設されるIP交換機の数は、任意に変更されることは言うまでもない。
また、図1に示すIP電話システムの構成例では、複数のHUB8〜13が設置されている。しかし、IP電話システムが設置される環境に応じて、配設されるHUBの数は、任意に変更でき、またHUBを省略することもできる。
図1に示すIP電話システムにおいて、IP電話機14〜26とIP電話機27〜30とは、異なる機種である。したがって、タイプAのIP電話機14〜26の動作・機能(性能)は、タイプのIP電話機27〜30の動作・機能(性能)が異なる。なお、図1の構成例では、2種類のIP電話機が配設されているが、1種類もしくは3種類以上IP電話機が配設されていても良い。
図1に例示するIP電話システムにおいて、IP電話機14〜30が実際に使用される前に、当該IP電話システムに対する動作確認試験を行う。その際、本発明に係る電話試験システムが適用される。以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
<実施の形態>
図2は、本発明に係る電話試験システムの構成例を示す構成図である。
図1と図2との比較から分かるように、図1に示したIP電話システムの動作試験を行うために、図1に示したIP電話機14〜30の代わりに、HUBを介してIP交換機2〜7には、PC試験用端末T1,T2,T3,T4が接続される。
当該PC試験用端末T1〜T4は、システムの動作試験において、IP電話機14〜30の機能(性能)および動作を模擬する。以下の詳細説明では、PC試験用端末T1〜T4がIP電話機14〜30の機能および動作を模擬する動作試験を、「模擬動作試験」と称する。
また、図1と図2との比較から分かるように、模擬動作試験に際して、HUB18,19が試験用として追加されている。
なお、図2の構成例では、比較的近くに存在するHUB8とHUB9とが、HUB18と接続され、比較的近くに存在するHUB10とHUB11とHUB12とが、HUB19と接続されている。
よって、図2の構成例では、PC試験用端末T1は、HUB18およびHUB8,9を介して、IP交換機2,3に接続され、PC試験用端末T2,T3は、HUB19およびHUB10〜12を介して、IP交換機4〜6に接続され、PC試験用端末T4は、HUB13を介して、IP交換機7に接続されている。
図2に例示する構成を採用する形態として、たとえば、HUB8,9が同じ区画(部屋)に配設され、HUB10〜12が同じ区画(部屋)に配設され、HUB8,9が配設される区画(部屋)と、HUB10〜12が配設される区画(部屋)と、HUB13が配設される区画(部屋)とが各々、異なる場合などである。
ここで、配設されるPC試験用端末の数は、1台であっても複数台であっても良い。コスト削減のためには、PC試験用端末は少ない方がよく、模擬動作試験の効率化(たとえば、複数台のIP電話機を少数のPC試験用端末で模擬すると負荷が高くなる)のためには、PC試験用端末の数が多い方が良い。また、システムが設定されるネットワーク環境に応じて、PC試験用端末の数も選択される(PC試験用端末同士が近くに配設されることとなるなら、一台のPC試験用端末でまとめても良い)。
たとえば、同じ区画(部屋)には一台のPC試験用端末を配設し、異なる区画(部屋)には別々のPC試験用端末を配設する。ただし、同じ区画(部屋)であっても、配設されるIP電話機が多数の場合、PC試験用端末の模擬動作の負荷を軽減するために、2台以上のPC試験用端末を当該同じ区画(部屋)に配設させることも考慮される。
上記のように、コスト、模擬動作試験の効率化および設置されるシステムの環境等を勘案して、配設されるPC試験用端末の数は決定される。なお、2台以上のPC試験用端末が配設される場合には、1台の「親機」と「親機」以外の1台以上の「子機」との設定が行われる。
ここで、親機として設定されたPC試験用端末は、電話試験システムにおける模擬動作試験を統括し、当該親機であるPC試験用端末の統括の下、親機として設定されたPC試験用端末および子機として設定された各PC試験用端末は、連携して、一連の模擬動作試験を実施する。たとえば、親機であるPC試験用端末は、模擬動作試験の開始、試験途中での試験終了などを指令する。
図2に示す電話試験システムでは、PC試験用端末T1が親機として設定されており、他のPC試験用端末T2,T3,T4が子機として設定されている。
PC試験用端末T1〜T4は、各IP電話機14〜30の機能・動作を模擬することにより、PC試験用端末T1〜T4間において、各種電話に関する試験を自動的に実施する。
ここで、図2の構成例では、PC試験用端末T1は、図1に示したIP電話機14〜18の機能・動作を模擬し、PC試験用端末T2,T3は分担して、図1に示したIP電話機19〜24,27,28の機能・動作を模擬し、PC試験用端末T4は、図1に示したIP電話機25,26,29,30の機能・動作を模擬している。
図2の構成例では、上記から分かるように、1台のPC試験用端末において、複数台・複数種類のIP電話機の機能・動作を模擬している。
また、図2の構成例では、PC試験用端末T1には「192.168.100.001」のIPアドレスが付与されており、PC試験用端末T2には「192.168.100.002」のIPアドレスが付与されており、PC試験用端末T3には「192.168.100.003」のIPアドレスが付与されており、PC試験用端末T4には「192.168.100.004」のIPアドレスが付与されている。
なお、図1の構成例において、各IP電話機14〜30には、符号で表した電話番号が付与されているとする。たとえば、IP電話機14には「14」の電話番号(内線番号)が付与されており、IP電話機18には「18」の電話番号(内線番号)が付与されており、IP電話機27には「27」の電話番号(内線番号)が付与されており、IP電話機30には「30」の電話番号(内線番号)が付与されている等である。
図3は、親機であるPC試験用端末(以下、PC親試験用端末と称する)T1内の構成を示すブロック図であり、図4は、子機であるPC試験用端末(以下、PC子試験用端末と称する)T2〜T4内の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、PC親試験用端末T1には、試験用ソフトウェア51がインストールされている。また、PC親試験用端末T1には、試験定義ファイル52および電話機定義ファイル53が格納(設定)されている。
試験用ソフトウェア51は、IP電話機の機能・動作を模擬して行う模擬動作試験を実施するためのソフトウェアである。つまり、PC親試験用端末T1は、設定されている試験用ソフトウェア51に従って、一連の模擬動作試験が自動的に実行する。
また、試験定義ファイル52は、模擬動作試験の1以上の試験項目、試験項目の工程および各試験項目で必要となる各種事項が、定義付けされている。試験用ソフトウェア51が試験定義ファイル52を読み込むことにより、試験用ソフトウェア51上において、試験定義ファイル52に定義された各試験項目が、定義された試験項目の工程に従って、一連の模擬動作試験として実施される。
試験定義ファイル52は、希望される試験項目実現のために、ユーザによって作成(または、書き換え)される。よって、試験項目や一連の試験項目の順序が異なる等すれば、作成される試験定義ファイル52も異なる。当該作成された試験定義ファイル52は、PC親試験用端末T1の所定の記憶領域に格納される。
電話機定義ファイル53は、模擬するIP電話機14〜30の動作・機能が定義付けされている。試験用ソフトウェア51が電話機定義ファイル53を読み込むことにより、試験用ソフトウェア51上において、IP電話機14〜30の機能・動作が模擬される。
電話機定義ファイル53は、模擬動作試験において模擬する必要があるIP電話機14〜30の種類に応じて個別に、ユーザによって作成(または、書き換え)される。よって、IP電話機の種類が異なれば、作成される電話機定義ファイル53も異なる。当該作成された電話機定義ファイル53は、PC親試験用端末T1の所定の記憶領域に格納される。
なお、上述したように、図1に示すシステム構成例では、タイプAのIP電話機14〜26とタイプBのIP電話機27〜30が配設される。よって、図2に示す電話試験システムでは、PC試験用端末T1〜T4は、タイプAのIP電話機14〜26の機能・動作およびタイプBのIP電話機27〜30の機能・動作を模擬する必要がある。そこで、図3に示すように、PC親試験用端末T1には、電話機定義ファイル53として、タイプA電話機定義ファイル53aおよびタイプB電話機定義ファイル53bとが格納されている。
ここで、模擬するIP電話機の種類が増えた場合には、ユーザは新たに電話機定義ファイル53を作成し、当該新たに作成した電話機定義ファイル53を、PC親試験用端末T1に格納すれば良い。
たとえば、タイプAのIP電話機14〜26とタイプBのIP電話機27〜30とに加えて、タイプCのIP電話機を模擬する必要が生じた場合には、タイプC電話機定義ファイル53cをユーザは新たに作成し、当該作成したタイプC電話機定義ファイル53cを、図5に示すように、PC親試験用端末T1に追加的に格納すれば良い。
なお、各定義ファイル52,53の作成は、外部のPC端末で行い、当該作成した各定義ファイル52,53を、PC親試験用端末T1の所定の領域に格納しても良く、または、各定義ファイル52,53の作成は、PC親試験用端末T1においてユーザにより実行し、当該作成した各定義ファイル52,53を、作成したPC親試験用端末T1の所定の領域に格納しても良い。
図4に示すように、PC子試験用端末T2,T3,T4には、試験用ソフトウェア51がインストールされている。ここで、PC親試験用端末T1に設定される試験用ソフトウェア51と、PC子試験用端末T2〜T4に設定される試験用ソフトウェア51とは、同じものである。
PC子試験用端末T2〜T4では、設定されている試験用ソフトウェア51に従って、PC親試験用端末T2〜T4の統括の下、一連の模擬動作試験が自動的に実行する。なお、PC親試験用端末T1と異なり、PC子試験用端末T2〜T4には、試験前には、試験定義ファイル52および電話機定義ファイル53が格納されていない。
次に、本発明に係る電話試験システムの動作について説明する。
なお、以下では、図6に例示した試験定義ファイル52が作成され(さらには、PC親試験用端末T1に格納され)、当該試験定義ファイル52により定義された事項に従った模擬試験動作が実施される場合について説明する。
まず、動作の説明に先立って、図6に例示した試験定義ファイル52について説明する。
図6に示した試験定義ファイル52は、「試験用端末定義d1」、「電話機定義d2」および「試験項目・順序定義d3」から構成されている。ここで、図6の例では、「試験項目・順序定義d3」は、「試験1定義Td1」と「試験2定義Td2」の試験項目が定義されており、「試験1定義Td1」試験項目と「試験2定義Td2」試験項目とが、当該順序で実施されることも定義されている。
試験用端末定義d1では、試験定義ファイル52内で使用するPC試験用端末の番号(No)と、図2で配設されたPC試験用端末T1〜T4のIPアドレスとを関連付けている。
図6では、試験定義ファイル52内で使用する端末No1が、PC親試験用端末T1のIPアドレス(192.168.100.001)であることが定義されている。また、試験定義ファイル52内で使用する端末No2が、PC子試験用端末T2のIPアドレス(192.168.100.002)であることが定義されている。また、試験定義ファイル52内で使用する端末No3が、PC子試験用端末T3のIPアドレス(192.168.100.003)であることが定義されている。また、試験定義ファイル52内で使用する端末No4が、PC子試験用端末T4のIPアドレス(192.168.100.004)であることが定義されている。
電話機定義d2では、試験定義ファイル52内で使用する電話機の番号(No)と、図2で配設されたPC試験用端末T1〜T4で模擬されるIP電話機14〜30の電話番号(内線番号)と、当該模擬されるIP電話機14〜30の種類に応じて、当該IP電話機14〜30機能・動作などを定義した電話機定義ファイル53の別と、模擬するPC試験端末T1〜T4の別とを関連付けている。
図6では、試験定義ファイル52内で使用する電話機No1が、電話番号(内線番号)が「14」であるIP電話機14であることが定義されている。また、上記の通り、IP電話機14は、タイプAで特定される機種であり、模擬動作試験の際にはPC親試験用端末T1により機能・動作が模擬される。そこで、当該事項を定義するために、当該電話機No1が、タイプA電話機定義ファイル53aと関連すること、および試験用端末定義d1で定義した端末No1と関連することが、図6では定義付けされている。
同様に、図6では、試験定義ファイル52内で使用する電話機No2は、電話番号(内線番号)が「27」であるIP電話機27であること、当該IP電話機27がタイプB電話機定義ファイル53bで定義された機能・動作を有する電話機であること(つまり、タイプBのIP電話機であること)、模擬動作試験の際にはPC子試験用端末T2(試験用端末定義d1で定義した端末No2)により機能・動作が模擬されることが、定義されている。
同様に、図6では、試験定義ファイル52内で使用する電話機No3は、電話番号(内線番号)が「25」であるIP電話機25であること、当該IP電話機25がタイプA電話機定義ファイル53aで定義された機能・動作を有する電話機であること(つまり、タイプAのIP電話機であること)、模擬動作試験の際にはPC子試験用端末T4(試験用端末定義d1で定義した端末No3)により機能・動作が模擬されることが、定義されている。
同様に、図6では、試験定義ファイル52内で使用する電話機No4は、電話番号(内線番号)が「29」であるIP電話機29であること、当該IP電話機29がタイプB電話機定義ファイル53bで定義された機能・動作を有する電話機であること(つまり、タイプBのIP電話機であること)、模擬動作試験の際にはPC子試験用端末T4(試験用端末定義d1で定義した端末No4)により機能・動作が模擬されることが、定義されている。
なお、図1の構成例では、17台のIP電話機14〜30が配設されているので、図2の電話試験システムでは、各PC試験用端末T1〜T4により、これらの全てのIP電話機14〜30を模擬する必要がある。よって、電話機定義d2では、当該17台全てについて上記定義付けがされるが、図6では図面簡略化のために、他のIP電話機については定義付けの記載を省略している。
試験項目・順序定義d3では、各試験項目毎に、試験動作を特定するための通し番号(動作No)と、当該通し番号で特定される試験動作の詳細(開始時刻、動作を行う対象を示す電話機番号、動作内容(動作の種類)、実施時間、動作が及ぼされる対象など)とが関連付けられている。さらには、試験項目・順序定義d3では、各試験項目の試験の順序も定義づけされる。
たとえば、図6では、試験1定義Td1の後に試験2定義Td2が規定されているので、試験1定義Td1で特定される試験項目が終了した後に、試験2定義Td2で特定される試験項目が実施されることが、当該図6で例示する試験定義ファイル52で定義されている。
次に、図6で例示する試験定義ファイル52で定義されている、試験1定義Td1の試験項目および試験2定義Td2の試験項目の詳細を、図7および図8を参照しつつ説明する。ここで、図7は、試験1定義Td1で定義される試験項目の一連の試験動作を、時系列で示した図である。また、図8は、試験2定義Td2で定義される試験項目の一連の試験動作を、時系列で示した図である。
まず、試験1定義Td1の試験項目について説明する。
図6,7を参照して、試験1定義Td1の試験項目では、当該試験項目が開始されてから15秒後に、電話機No1が電話機No2に対して発信を、10秒間実施する(図6の「試験1定義Td1」の「動作No1」)。つまり、試験1定義Td1の動作No1の定義により、模擬試験動作では、試験1定義Td1の試験項目が開始して15秒後に、電話機No1で定義されているIP電話機14を模擬して、PC親試験用端末T1が、電話機No2で定義されているIP電話機27を模擬しているPC子試験用端末T2に対して、10秒間の発信動作を開始する。
次に、当該試験項目が開始されてから20秒後に、電話機No2が上記発信に対して受話する(図6の「試験1定義Td1」の「動作No2」)。つまり、試験1定義Td1の動作No2の定義により、模擬試験動作では、試験1定義Td1の試験項目が開始して20秒後に、電話機No2で定義されているIP電話機27を模擬しているPC子試験用端末T2が受話動作を行う。
したがって、当該動作No2により、模擬試験動作では、電話機No1で定義されているIP電話機14を模擬しているPC親試験用端末T1と、電話機No2で定義されているIP電話機27を模擬しているPC子試験用端末T2とが、強制割込み通話による通信中となる。
次に、当該試験項目が開始されてから30秒後に、電話機No1が電話機No2に対して送話を、30秒間実施する(図6の「試験1定義Td1」の「動作No3」)。つまり、試験1定義Td1の動作No3の定義により、模擬試験動作では、試験1定義Td1の試験項目が開始して30秒後に、電話機No1で定義されているIP電話機14を模擬して、PC親試験用端末T1が、電話機No2で定義されているIP電話機27を模擬しているPC子試験用端末T2に対して、30秒間の送話動作を開始する。
次に、当該試験項目が開始されてから45秒後に、電話機No2が電話機No1に対して送話を、15秒間実施する(図6の「試験1定義Td1」の「動作No4」)。つまり、試験1定義Td1の動作No4の定義により、模擬試験動作では、試験1定義Td1の試験項目が開始して45秒後に、電話機No2で定義されているIP電話機27を模擬して、PC子試験用端末T2が、電話機No1で定義されているIP電話機14を模擬しているPC親試験用端末T1に対して、15秒間の送話動作を開始する。
次に、当該試験項目が開始されてから50秒後に、電話機No3が電話機No2に対して強制割込み発信を、10秒間実施する(図6の「試験1定義Td1」の「動作No5」)。つまり、試験1定義Td1の動作No5の定義により、模擬試験動作では、試験1定義Td1の試験項目が開始して50秒後に、電話機No3で定義されているIP電話機25を模擬して、PC子試験用端末T4が、電話機No2で定義されているIP電話機27を模擬しているPC子試験用端末T2に対して、10秒間の強制割込み発信動作を開始する。
図7に示すように、当該動作No5により、模擬試験動作では、電話機No1で定義されているIP電話機14を模擬しているPC親試験用端末T1と、電話機No2で定義されているIP電話機27を模擬しているPC子試験用端末T2との通信が、強制的に切断され、さらに、電話機No3で定義されているIP電話機25を模擬しているPC子試験用端末T4と、電話機No2で定義されているIP電話機27を模擬しているPC子試験用端末T2との通信が、強制的に接続される。
よって、当該動作No5により、模擬試験動作では、電話機No3で定義されているIP電話機25を模擬しているPC子試験用端末T4と、電話機No2で定義されているIP電話機27を模擬しているPC子試験用端末T2とが、通信中となる。
次に、当該試験項目が開始されてから55秒後に、電話機No3が電話機No2に対して送話を、10秒間実施する(図6の「試験1定義Td1」の「動作No6」)。つまり、試験1定義Td1の動作No6の定義により、模擬試験動作では、試験1定義Td1の試験項目が開始して55秒後に、電話機No3で定義されているIP電話機25を模擬して、PC子試験用端末T4が、電話機No2で定義されているIP電話機27を模擬しているPC子試験用端末T2に対して、10秒間の送話動作を開始する。
次に、当該試験項目が開始されてから1分5秒後に、電話機No2が電話機No3との通信を終話する(図6の「試験1定義Td1」の「動作No7」)。つまり、試験1定義Td1の動作No7の定義により、模擬試験動作では、試験1定義Td1の試験項目が開始して1分5秒後に、電話機No2で定義されているIP電話機27を模擬しているPC子試験用端末T2が、電話機No3で定義されているIP電話機25を模擬しているPC子試験用端末T4との通話を終了する。
以上の一連の動作により、試験1定義Td1の試験項目は終了する。上記から分かるように、試験1定義Td1の試験項目は、所定の電話機間の「二者通話(発信、受話、送話)」および所定の電話機間の「強制割込み通話(強制切断、強制接続、送話、終話)」に関するものである。
次に、試験2定義Td2の試験項目について説明する。
図6,8を参照して、試験2定義Td2の試験項目では、当該試験項目が開始されてから5秒後に、電話機No1が、グループ間通話を目的として、多者通話M1に対して多者通話加入動作を、5秒間実施する(図6の「試験2定義Td2」の「動作No1」)。つまり、試験2定義Td2の動作No1の定義により、模擬試験動作では、試験1定義Td1の試験項目が開始して5秒後に、電話機No1で定義されているIP電話機14を模擬して、PC親試験用端末T1が、予め定められているグループ間通話を目的とした所定の回線である多者通話M1に対して、5秒間の多者通話加入動作を開始する。
当該動作No1により、模擬試験動作では、電話機No1で定義されているIP電話機14を模擬しているPC親試験用端末T1は、多者通話M1において通話中となる(つまり、当該多者通話M1に接続した他の複数の端末とのグループ通話可能状態となる)。
次に、当該試験項目が開始されてから10秒後に、電話機No2が、グループ間通話を目的として、多者通話M1に対して多者通話加入動作を、5秒間実施する(図6の「試験2定義Td2」の「動作No2」)。つまり、試験2定義Td2の動作No2の定義により、模擬試験動作では、試験2定義Td2の試験項目が開始して10秒後に、電話機No2で定義されているIP電話機27を模擬して、PC子試験用端末T2が、上記多者通話M1に対して、5秒間の多者通話加入動作を開始する。
当該動作No2により、模擬試験動作では、電話機No2で定義されているIP電話機27を模擬しているPC子試験用端末T2は、多者通話M1において通話中となる(今の段階では、当該多者通話M1に接続した、IP電話機14を模擬しているPC親試験用端末T1とIP電話機27を模擬しているPC子試験用端末T2とが、グループ通話可能状態となる)。
次に、当該試験項目が開始されてから15秒後に、電話機No3が、グループ間通話を目的として、多者通話M1に対して多者通話加入動作を、5秒間実施する(図6の「試験2定義Td2」の「動作No3」)。つまり、試験2定義Td2の動作No3の定義により、模擬試験動作では、試験2定義Td2の試験項目が開始して15秒後に、電話機No3で定義されているIP電話機25を模擬して、PC子試験用端末T4が、上記多者通話M1に対して、5秒間の多者通話加入動作を開始する。
当該動作No3により、模擬試験動作では、電話機No3で定義されているIP電話機25を模擬しているPC子試験用端末T4は、多者通話M1において通話中となる(今の段階では、当該多者通話M1に接続した、IP電話機14を模擬しているPC親試験用端末T1とIP電話機27を模擬しているPC子試験用端末T2とIP電話機25を模擬しているPC子試験用端末T4とが、グループ通話可能状態となる)。
次に、当該試験項目が開始されてから20秒後に、電話機No4が、グループ間通話を目的として、多者通話M1に対して多者通話加入動作を、5秒間実施する(図6の「試験2定義Td2」の「動作No4」)。つまり、試験2定義Td2の動作No4の定義により、模擬試験動作では、試験2定義Td2の試験項目が開始して20秒後に、電話機No4で定義されているIP電話機29を模擬して、PC子試験用端末T4が、上記多者通話M1に対して、5秒間の多者通話加入動作を開始する。
当該動作No4により、模擬試験動作では、電話機No4で定義されているIP電話機29を模擬しているPC子試験用端末T4は、多者通話M1において通話中となる(今の段階では、当該多者通話M1に接続した、IP電話機14を模擬しているPC親試験用端末T1とIP電話機27を模擬しているPC子試験用端末T2とIP電話機25を模擬しているPC子試験用端末T4とIP電話機29を模擬しているPC子試験用端末T4とが、グループ通話可能状態となる)。
次に、当該試験項目が開始されてから30秒後に、電話機No1が多者通話M1に対して送話を、5秒間実施する(図6の「試験2定義Td2」の「動作No5」)。つまり、試験2定義Td2の動作No5の定義により、模擬試験動作では、試験2定義Td2の試験項目が開始して30秒後に、電話機No1で定義されているIP電話機14を模擬して、PC親試験用端末T1が、多者通話M1の回線に対して、5秒間の送話動作を開始する。
次に、当該試験項目が開始されてから40秒後に、電話機No2が多者通話M1に対して送話を、5秒間実施する(図6の「試験2定義Td2」の「動作No6」)。つまり、試験2定義Td2の動作No6の定義により、模擬試験動作では、試験2定義Td2の試験項目が開始して40秒後に、電話機No2で定義されているIP電話機27を模擬して、PC子試験用端末T2が、多者通話M1の回線に対して、5秒間の送話動作を開始する。
次に、当該試験項目が開始されてから50秒後に、電話機No3が多者通話M1に対して送話を、5秒間実施する(図6の「試験2定義Td2」の「動作No7」)。つまり、試験2定義Td2の動作No7の定義により、模擬試験動作では、試験2定義Td2の試験項目が開始して50秒後に、電話機No3で定義されているIP電話機25を模擬して、PC子試験用端末T4が、多者通話M1の回線に対して、5秒間の送話動作を開始する。
次に、当該試験項目が開始されてから1分後に、電話機No4が多者通話M1に対して送話を、5秒間実施する(図6の「試験2定義Td2」の「動作No8」)。つまり、試験2定義Td2の動作No8の定義により、模擬試験動作では、試験2定義Td2の試験項目が開始して1分後に、電話機No4で定義されているIP電話機29を模擬して、PC子試験用端末T4が、多者通話M1の回線に対して、5秒間の送話動作を開始する。
次に、当該試験項目が開始されてから1分5秒後に、電話機No1が多者通話M1に対する通信を終話する(図6の「試験2定義Td2」の「動作No9」)。つまり、試験2定義Td2の動作No9の定義により、模擬試験動作では、試験2定義Td2の試験項目が開始して1分5秒後に、電話機No1で定義されているIP電話機14を模擬しているPC親試験用端末T1が、多者通話M1の回線を利用したグループ通話を終了する。
当該動作No9により、今の段階では、当該多者通話M1に接続している、IP電話機27を模擬しているPC子試験用端末T2とIP電話機25を模擬しているPC子試験用端末T4とIP電話機29を模擬しているPC子試験用端末T4とが、グループ通話可能状態となる。
次に、当該試験項目が開始されてから1分10秒後に、電話機No2が多者通話M1に対する通信を終話する(図6の「試験2定義Td2」の「動作No10」)。つまり、試験2定義Td2の動作No10の定義により、模擬試験動作では、試験2定義Td2の試験項目が開始して1分10秒後に、電話機No2で定義されているIP電話機27を模擬しているPC子試験用端末T2が、多者通話M1の回線を利用したグループ通話を終了する。
当該動作No10により、今の段階では、当該多者通話M1に接続している、IP電話機25を模擬しているPC子試験用端末T4とIP電話機29を模擬しているPC子試験用端末T4とが、グループ通話可能状態となる。
次に、当該試験項目が開始されてから1分15秒後に、電話機No3が多者通話M1に対する通信を終話する(図6の「試験2定義Td2」の「動作No11」)。つまり、試験2定義Td2の動作No11の定義により、模擬試験動作では、試験2定義Td2の試験項目が開始して1分15秒後に、電話機No3で定義されているIP電話機25を模擬しているPC子試験用端末T4が、多者通話M1の回線を利用したグループ通話を終了する。
当該動作No11により、今の段階では、当該多者通話M1に接続している、IP電話機29を模擬しているPC子試験用端末T4のみが、グループ通話可能状態となる。
次に、当該試験項目が開始されてから1分20秒後に、電話機No4が多者通話M1に対する通信を終話する(図6の「試験2定義Td2」の「動作No12」)。つまり、試験2定義Td2の動作No12の定義により、模擬試験動作では、試験2定義Td2の試験項目が開始して1分20秒後に、電話機No4で定義されているIP電話機29を模擬しているPC子試験用端末T4が、多者通話M1の回線を利用したグループ通話を終了する。
以上の一連の動作により、試験2定義Td2の試験項目は終了する。上記から分かるように、試験2定義Td2の試験項目は、所定の電話機間の「多者通話(多者通話加入、送話、終話)」に関するものである。
次に、図6に例示した試験定義ファイル52を利用した、本発明に係る電話試験システムの動作について説明する。
まず、図9のフローチャートを用いて、各PC試験用端末T1〜T4における模擬動作試験前の動作(各設定動作)について説明する。
まず、PC試験用端末T1〜T4を起動させる(ステップS1)。次に、起動後のPC試験用端末T1〜T4において、ユーザの操作または自動により、試験用ソフトウェア51の起動を開始する(ステップS2)。次に、各PC試験用端末T1〜T4では、起動された試験用ソフトウェア51は、PC試験用端末T1〜T4を「親機(PC親試験用端末)」とするか「子機(PC子試験用端末)」とするかの選択指示を、表示画面等に表示する(ステップS3)。
PC試験用端末T1において、ユーザは、当PC該試験用端末T1の試験用ソフトウェア51に対して「親機」の設定を施す(ステップS3で「YES」→ステップS4)。他方、PC試験用端末T2〜T4において、ユーザは、当該PC試験用端末T2〜T4の試験用ソフトウェア51に対して「子機」の設定を施す(ステップS3で「NO」→ステップS11)。
ステップS4により、PC試験用端末T1はPC親試験用端末T1として機能し、ステップS11により、PC試験用端末T2〜T4はPC子試験用端末T2〜T4として機能する。
ステップS11の後、手動もしくは自動により、PC子試験用端末T2〜T4における試験用ソフトウェア51は、当該PC子試験用端末T2〜T4を模擬動作試験開始のスタンバイ状態とする(ステップS12)。
さて、ステップS4の後、PC親試験用端末T1の試験用ソフトウェア51は、当該PC親試験用端末T1の所定のディレクトリーに格納されている電話機定義ファイル53を、読み込む(ステップS5)。
ここで、ステップS5で読み込む電話機定義ファイル53は、ユーザの操作により設定しても良く、または、所定のディレクトリーに格納されている各電話機定義ファイル53を自動的に読み込んでも良い。
図3に示した構成例では、PC親試験用端末T1の試験用ソフトウェア51は、当該PC親試験用端末T1の所定のディレクトリーに格納されている、タイプA電話機定義ファイル53aおよびタイプB電話機定義ファイル53bを読み込む(ステップS5)。
次に、PC親試験用端末T1の試験用ソフトウェア51は、当該PC親試験用端末T1の所定のディレクトリーに格納されている試験定義ファイル52を、読み込む(ステップS6)。
ここで、ステップS6で読み込む試験定義ファイル52は、ユーザの操作により設定しても良く、または、所定のディレクトリーに格納されている試験定義ファイル52を自動的に読み込んでも良い。
今の場合、PC親試験用端末T1の試験用ソフトウェア51は、当該PC親試験用端末T1の所定のディレクトリーに格納されている、図6に例示した試験定義ファイル52を読み込む(ステップS6)。
次に、PC親試験用端末T1の試験用ソフトウェア51は、通話品質を判断するための各値(試験結果基準値と把握できる)を設定する画面を、PC親試験用端末T1の表示部に表示する。そして、PC試験用端末T1において、ユーザは、表示部を通して、PC親試験用端末T1の試験用ソフトウェア51に対して、模擬動作試験においてユーザが要求する、通話品質を判断するための各値を設定する(ステップS7)。
たとえば、当該ステップS7における通話品質を判断するための値として、音声受信側における当該音声の音量を確認するための値などが、一例として考えられる。ステップS7において、通話品質を判断するための値として、当該音量値VThが設定したとする。当該場合には、模擬動作試験では、送話受信側において音量値VTh以上の音声データを受信した場合には、「良」と判断され、送話受信側において音量値VTh未満の音声データを受信した場合には、「不良」と判断される。
次に、PC親試験用端末T1の試験用ソフトウェア51は、模擬動作試験の試験結果不良時の動作を設定する画面を、PC親試験用端末T1の表示部に表示する。そして、PC試験用端末T1において、ユーザは、表示部を通して、PC親試験用端末T1の試験用ソフトウェア51に対して、試験結果不良時の動作を設定する(ステップS8)。
たとえば、当該ステップS8における試験結果不良時の動作として、「緊急停止」が設定されたとする。当該場合には、模擬動作試験において試験結果が不良と判断されたとき、模擬動作試験は途中であっても全ての模擬動作試験を強制的に終了する。また、当該ステップS8における試験結果不良時の動作として、「警報」が設定されたとする。当該場合には、模擬動作試験において試験結果が不良と判断されたとき、警報を表示および/または鳴らし、模擬動作試験は継続する。
次に、PC親試験用端末T1の試験用ソフトウェア51は、模擬動作試験の試験結果の出力ファイル形式を設定する画面を、PC親試験用端末T1の表示部に表示する。そして、PC試験用端末T1において、ユーザは、表示部を通して、PC親試験用端末T1の試験用ソフトウェア51に対して、試験結果を示すための所望の出力ファイル形式(テキスト、または表形式など)を設定する(ステップS9)。
以上の一連の動作により、各PC試験用端末T1〜T4における模擬動作試験前の動作は終了する。
次に、図10のフローチャートを用いて、各PC試験用端末T1〜T4における模擬動作試験の動作について説明する。
PC親試験用端末T1において、ユーザは、試験用ソフトウェア51に対して模擬動作試験を開始する操作を施す(ステップS21)。
すると、PC親試験用端末T1は、図9のステップS5で読み込んだ電話機定義ファイル53および図9のステップS6で読み込んだ試験定義ファイル52を、LAN通信網1を介して、各PC子試験用端末T2〜T4に対して送信する(ステップS22)。PC子試験用端末T2〜T4では、各試験用ソフトウェア51が、受信した電話機定義ファイル53および受信した試験定義ファイル52を読み込む。
なお、ステップS22において、図9において設定した各事項を、PC親試験用端末T1は、LAN通信網1を介して各PC子試験用端末T2〜T4に対して送信する。たとえば、ステップS7で設定した事項やステップS8で設定した事項などである。
当該ステップS22により、各PC試験用端末T1〜T4において、これから実施される模擬動作試験で使用する、電話機定義ファイル53および試験定義ファイル52および各種設定事項を共有することができる。
具体的に、試験定義ファイル52を読み込むことにより各試験用ソフトウェア51は、当該試験定義ファイル52に定義されている内容に従った模擬動作試験を実施し、電話機定義ファイル53を読み込むことにより各試験用ソフトウェア51は、試験定義ファイル52の定義内容に従って、模擬すべきIP電話機の機能・動作を模擬する。
次に、図6で例示した試験定義ファイル52に従って、PC親試験用端末T1および各PC子試験用端末T2〜T4(具体的には、各PC試験用端末T1〜T4に設定されている各試験用ソフトウェア51)は共同して、一連の模擬動作試験を自動的に実施する(ステップS23)。
上述したように、本実施の形態の説明では、図6に示した試験定義ファイル52が利用されている。そこで、模擬動作試験ではまず、試験1定義Td1の試験項目(図7参照)が開始される。
次に、各PC試験用端末T1〜T4において、各試験用ソフトウェア51は、動作および通話品質の評価を行う(ステップS24)。
たとえば、試験1定義Td1の試験項目において、動作No1により、10秒間の送信が実施される。当該10秒間に、動作N02の受話の動作が実施されなかったとする。当該場合には、ステップS24において、電話機No1を模擬しているPC親試験用端末T1および電話機No2を模擬しているPC子試験用端末T2において、「動作」不良の評価が出される。
つまり、ステップS24で述べている「動作」の評価とは、試験項目で定義されている一連の動作が、定義されている通り正常に終了したか否かの評価を示している。
他方、たとえば、試験1定義Td1の試験項目において、動作No3により、30秒間の送話が、電話機No1を模擬しているPC親試験用端末T1から電話機No2を模擬しているPC子試験用端末T2に対して実施される(たとえば、各PC試験用端末T1には音声データが設定されており、送話動作時には当該音声データが送信される)。当該送話において、電話機No2を模擬しているPC子試験用端末T2において、受信した音声データが、図9のステップS7で設定した音量値VThに満たなかったとする。当該場合には、ステップS24において、電話機No2を模擬しているPC子試験用端末T2において、「通話品質」不良の評価が出される。
つまり、ステップS24で述べている「通話品質」の評価とは、試験項目で定義されている各動作において、通話品質に関する各事項が、図9のステップS7で予め設定した各値(試験結果基準値と把握できる)に満たないか否か、または通話品質に関する各事項が、図9のステップS7で予め設定した各値(試験結果基準値と把握できる)の条件を満たすか否か等の評価を示している(換言すると、模擬動作試験の結果が、図9のステップS7で予め設定した試験結果基準値を満たすか否を判断する)。
「動作」および「通話品質」の少なくとも何れかが、「不良」であると判断されたとする(ステップS25で「不良」)。ここで、PC子試験用端末T2〜T4において、「動作」の不良および/または「通話品質」の不良が判断されたときには、当該不良の旨が、LAN通信網1を介してPC親試験用端末T1に送信される。
上記ステップS25で「不良」の場合には、PC親試験用端末T1の試験用ソフトウェア51は、試験結果が不良と判断されたときの動作を検索する(ステップS26)。つまり、図9のステップS8で設定された動作が検索される。
図9のステップS8において、「警報(模擬動作試験は継続)」が設定されたとする。当該場合には、図10においてステップS26で「P1」のフローとなる。つまり、PC親試験用端末T1の試験用ソフトウェア51は、表示部に「警報」を表示する(ステップS27)。なお、模擬動作試験は、試験定義ファイル52に従って実施され続ける(ステップS29以降)。
たとえば、試験1定義Td1の試験項目実施中に「不良」の判断がなされたときには、PC親試験用端末T1は警報を表示等し(ステップS27)、PC親試験用端末T1は、現在実施中の試験1定義Td1の試験項目を中断し、またPC子試験用端末T2〜T4に対して、現在実施中の試験1定義Td1の試験項目の中断を指示する。そして、各PC試験用端末T1〜T4の各試験用ソフトウェア51は、ステップS29において、試験定義ファイル52に定義されている未実施である試験定義の試験項目を検索する。図6に示した試験定義ファイル52には、未実施である試験項目として試験2定義Td2がある。
ここで、PC親試験用端末T1の各試験用ソフトウェア51が、ステップS29において、試験定義ファイル52に定義されている未実施である試験定義の試験項目を検索し、未実施である試験項目を検出したときには、当該検出した試験項目に対してステップS23以降の動作を再開する旨を、PC親試験用端末T1から各PC子試験用端末T2〜T4に通知しても良い(ステップS29で「YES」)。
なお、表示部に「警報」を表示すると共に、警報音を鳴らせても良く、「警報」の表示を省略して、警報音のみを鳴らしても良い。
上記と異なり、図9のステップS8において、「試験中断」が設定されたとする。当該場合には、図10においてステップS26で「P2」のフローとなる。つまり、PC親試験用端末T1の試験用ソフトウェア51は、全ての模擬動作試験を強制的に終了する(ステップS28)。さらに、PC親試験用端末T1からの指示に従い、各PC子試験用端末T2〜T4の試験用ソフトウェア51は、全ての模擬動作試験を強制的に終了する(ステップS28)。
さて、ステップS24の評価により、「動作」および「通話品質」の両方が、「良」であると判断されたとする(ステップS25で「良」)。つまり、試験1定義Td1の試験項目で定義される一連の動作が正常に終了し、また試験1定義Td1の試験項目で定義される各動作においても通話品質が良好であったとする。
当該場合には、PC試験用端末T1〜T4の各試験用ソフトウェア51において、試験定義ファイル52において、他に定義されている未実施の試験項目が有るか否かを検索する(ステップS29)。
なお、上記したように、PC親試験用端末T1の各試験用ソフトウェア51が、ステップS29において、試験定義ファイル52に定義されている未実施である試験定義の試験項目を検索し、未実施である試験項目を検出したときには、当該検出した試験項目に対してステップS23以降の動作を再開する旨を、PC親試験用端末T1から各PC子試験用端末T2〜T4に通知しても良い(ステップS29で「YES」)。
ここで、図10に示すように、当該ステップS29の動作は、ステップS25で「良」と判断された場合、ステップS27の処理の後において実施される。
たとえば、図6に示した試験1定義Td1の試験項目の試験結果が、ステップS25で正常であると判断されたとする。ここで、図6で示した試験定義ファイル52には、未実施の試験項目として試験2定義Td2の試験項目があるので、ステップS29で「YES」となり、試験2定義Td2の試験項目についてステップS23以降のフローを実施する。
また、図6に示した試験1定義Td1の試験項目の動作途中において、ステップS25で不良の判断がされたとする。当該場合には、ステップS27の動作を行い、試験1定義Td1の試験項目は強制的に終了する。そして、ステップS29において、図6で示した試験定義ファイル52には、未実施の試験項目として試験2定義Td2の試験項目があるので、ステップS29で「YES」となり、試験2定義Td2の試験項目についてステップS23以降のフローを実施する。
なお、試験定義ファイル52に定義されている全ての試験項目が終了した場合には、ステップS29において「NO」のフローとなり、ステップS30に移行する。
ステップS30では、PC親試験用端末T1の試験用ソフトウェア51は、試験定義ファイル52に従って実施した模擬動作試験の試験結果を収集し、当該試験結果を示すデータを出力する。具体的に、模擬動作試験の試験結果を示すデータを作成し、PC親試験用端末T1の所定のディレクトリーに格納する。ここで、当該ステップS30では、図9のステップS9で設定した出力ファイル形式(テキスト形式、表形式など)にて、試験結果を示すデータを作成(出力)する。
以上により、試験用ソフトウェア51に従った模擬動作試験は終了する。
ここで、図10に示した模擬動作試験が実施されているとき、各PC試験用端末T1〜T4は、試験用ソフトウェア51に従って、各PC試験用端末T1〜T4が備える表示部に、以下の模擬動作試験に関する情報を視認可能に表示する。
つまり、当該表示部には、現在実施中の試験項目(試験項目における動作)の表示、既に終了した試験項目(試験項目における各動作)の表示、既に終了した試験項目(試験項目における各動作)の試験結果の表示、試験履歴の表示、および各試験項目(試験項目における各動作)の評価(「良」、「不良」など)が、模擬動作試験に関する情報として表示される。
なお、上記では、複数台のPC試験用端末T1〜T4が電話試験システムに配設されている場合について言及した。ここで、上記のように、電話試験システムに配設するPC試験用端末は1台であっても良い。当該場合には、図9のフローのステップS11,S12は省略される。なお、図9のステップS4を省略しても良く、当該ステップS4の代わりには、PC試験用端末が1台である旨を特定するステップを設けても良い。また、図10に示した一連の動作は、当該1台のPC試験用端末において完結する。
以上のように、本実施の形態に係る電話試験システムでは、PC試験用端末T1〜T4を備えている。ここで、PC試験用端末T1〜T4は、IP電話機14〜30を模擬して行う模擬動作試験を実施するための試験用ソフトウェア51が設定されている。
したがって、試験用ソフトウェア51に従ってPC試験用端末T1〜T4では、IP電話機14〜30を模擬した、一連の模擬動作試験が自動的に実施される。よって、試験員の省人化や試験時間の短縮化を図ることができる。また、模擬動作試験は、PC試験用端末T1〜T4で自動的に実施されるので、ユーザ(試験員)の主観的判断は除外され(つまり、試験員が異なれば試験結果(試験結果の評価)が異なるという事態を防止でき)、定常的な試験結果の評価の確保が可能となる。
また、PC試験用端末T1〜T4として、汎用的な計算機(パーソナルコンピュータ)が採用できる。よって、特別な試験用電話機端末を用意する必要が無い。また、1台のPC試験用端末T1〜T4において、複数台のIP電話機を模擬することも可能であるので、試験用に使用するPC試験用端末の数も少なく設定することができる。
また、本実施の形態に係る電話試験システムでは、PC試験用端末T1〜T4を、1台のPC親試験用端末T1と、少なくとも1台以上のPC子試験用端末T2〜T4とから構成しても良い。当該構成を採用する場合には、PC親試験用端末T1からの試験開始の指示により、試験用ソフトウェア51に従い、PC親試験用端末T1およびPC子試験用端末T2〜T4において、模擬動作試験を実施する。
このように、電話試験システムに複数のPC試験用端末T1〜T4を配設することにより、1台当たりのPC試験用端末T1〜T4の動作負荷を軽減させることができる。また、1台のPC親試験用端末T1において模擬動作試験が統括されるので、模擬動作試験が秩序をもって実行することもできる。
また、本実施の形態に係る電話試験システムでは、PC親試験用端末T1には、模擬動作試験の内容を定義する試験定義ファイル52が設定されている。
したがって、PC親試験用端末T1において、試験定義ファイル52を試験用ソフトウェア51が読み込むことにより、模擬動作試験の実行が可能となる。なお、模擬動作試験がファイル形式で設定されるので、当該試験定義ファイル52の書き換え等を行うことにより、容易に模擬動作試験の内容を変更することができる。つまり、簡単な処理のみで、模擬動作試験の自由度を向上させることができる。
ここで、上記図6の例では、試験定義ファイル52には、「二者通話」、「強制割込み通話」、および「多者通話」に関する試験項目が定義されていた。しかし、試験定義ファイル52には、他の試験項目(音声通話に関する試験項目や音声通話に付帯するIP電話機の諸機能に関する試験項目)が定義されていても良い。
たとえば、試験定義ファイル52には上記の他に、音声通話に付帯するIP電話機の諸機能に関する試験項目として、「通話の転送」、「一斉呼出」、「通話の保留」などが定義されても良い。このように、試験定義ファイル52には、種々の試験項目が模擬動作試験として定義できるので、配設されるIP電話機14〜30の機能や実際に使用される環境に従った試験を、幅広く実施できる。
なお、試験定義ファイル52にて定義される一連の試験項目を複数回繰り返し実施したい場合には、試験定義ファイル52に「試験回数」を規定する項目を設け、当該「試験回数」の項目に、希望する模擬動作試験の繰り返し回数を定義しても良い。
また、図6に例示した試験定義ファイル52では、試験項目・順序定義d3において、各試験項目、つまり試験1定義Td1と試験2定義Td2とが当該順に(直列的に)定義されていた。したがって、当該図6に示した試験定義ファイル52を利用して模擬動作試験を実施した場合には、試験1定義Td1が終了した後に、試験2定義Td2が実行される。
ここで、試験定義ファイル52の試験項目・順序定義d3における、試験項目の定義付けは、上記直列的なものに限らず、並列的に定義しても良い。たとえば、試験定義ファイル52の試験項目・順序定義d3において、IP電話機14とIP電話機の25の通話機能(および当該通話機能に付帯する機能)を試験項目Te1と定義し、当該試験項目Te1と並列的に、IP電話機18とIP電話機の27の通話機能(および当該通話機能に付帯する機能)を試験項目Te2として定義しも良い。当該場合には、試験項目Te1および試験項目Te2の各模擬動作試験が、同時に実行される。
このように、試験定義ファイル52の試験項目・順序定義d3には、試験項目を直列的におよび/または並列的に定義付けできる。よって、当該定義が可能な試験定義ファイル52を利用することにより、IP電話機14〜30の実際に使用される状況を加味した内容の模擬動作試験を実行できる。
ここで、試験定義ファイル52の試験項目・順序定義d3において、実際の使用で不可能な動作を定義することは好ましくない。たとえば、IP電話機16とIP電話機29との二者通話を模擬した試験項目と、IP電話機16とIP電話機23との二者通話を模擬した試験項目とを、並列的に、試験定義ファイル52の試験項目・順序定義d3に定義することは好ましくない(IP電話機16が同時に他のIP電話機29,23と二者通話することは、実際の使用とはならない)。
また、本実施の形態に係る電話試験システムでは、PC親試験用端末T1は、模擬動作試験が実施される前に、LAN通信網1を介して、PC子試験用端末T2〜T4に対して、上記試験定義ファイル52を送信している。
したがって、PC親試験用端末T1に設定されている試験定義ファイル52を、模擬動作試験が実施される前に、各PC子試験用端末T2〜T4に対して設定させることが可能となる。つまり、模擬動作試験前に、試験定義ファイル52が、各PC試験用端末T1〜T4において共有化される。よって、ユーザは特別な操作を行うこと無く(つまり、特に意識することなく)、各PC試験用端末T1〜T4において、PC親試験用端末T1の統括の下、同じ模擬動作試験を実施させることができる。
また、本実施の形態に係る電話試験システムでは、PC親試験用端末T1には、模擬するPC電話機14〜30の機能(性能)・動作を定義する電話機定義ファイル53が設定されている。
したがって、PC親試験用端末T1において、電話機定義ファイル53を試験用ソフトウェア51が読みことにより、IP電話機14〜30を模擬した模擬動作試験の実行が可能となる。なお、模擬すべきIP電話機14〜30の機能等がファイル形式で設定されるので、当該電話機定義ファイル53の書き換え等を行うことにより、容易に模擬すべき電話機の種類を変更することができる。つまり、簡単な処理のみで、模擬動作試験の自由度を向上させることができる。
また、本実施の形態に係る電話試験システムでは、PC親試験用端末T1は、既に設定されている以外の電話機定義ファイル53を、追加設定可能である(図5参照)。したがって、模擬するIP電話機の種類を、容易に追加することができる。
また、本実施の形態に係る電話試験システムでは、PC親試験用端末T1は、模擬動作試験が実施される前に、LAN通信網1を介して、PC子試験用端末T2〜T4に対して、電話機定義ファイル53を送信している。
したがって、PC親試験用端末T1に設定されている電話機定義ファイル53を、模擬動作試験が実施される前に、各PC子試験用端末T2〜T4に対して設定させることが可能となる。つまり、模擬動作試験前に、当該模擬動作試験の際に利用される電話機定義ファイル53が、各PC試験用端末T1〜T4において共有化される。よって、ユーザは特別な操作を行うこと無く(つまり、特に意識することなく)、各PC試験用端末T1〜T4において、模擬すべきIP電話機の機能等を認識させることができる。
また、本実施の形態に係る電話試験システムでは、PC親試験用端末T1は、模擬動作試験の結果を、予め設定した出力ファイル形式に従って出力することができる。したがって、ユーザは、取扱い可能な出力ファイル形式を事前に選択することにより、模擬動作試験の試験結果を、自由に参照・利用等を行うことが可能となる。
また、本実施の形態に係る電話試験システムでは、各PC試験用端末T1〜T4は、模擬動作試験に関する情報(模擬しているIP電話機の種別、試験の進捗状況(試験の状態)、試験の履歴、試験の結果、試験結果の評価など)を、試験実施中に視認可能に表示する表示部を有する。
したがって、ユーザは、上記表示部に表示されている模擬動作試験に関する情報を参照することにより、容易に、模擬動作試験に関する各種事項を認識することができる。
また、本実施の形態に係る電話試験システムでは、各PC試験用端末T1〜T4において、動作および通話品質の評価を行う(図10のステップS24)。たとえば、試験定義ファイル52の定義した一連の各動作が当該定義した通りに正常に終了したか否かを評価する。または、通話品質に関する各事項が図9のステップS7で予め設定した各値(試験結果基準値と把握できる)に満たないか否か、通話品質に関する各事項が図9のステップS7で予め設定した各値(試験結果基準値と把握できる)の条件を満たすか否か等を評価する。
そして、上記評価の結果、「不良」の判断が出されたときには、PC試験用端末T1〜T4は、全ての模擬動作試験を強制的に停止する、もしくは当該「不良」の旨をユーザに通知する通知手段(警報の表示する手段、警報を鳴らす手段等)を有する。
したがって、ユーザは、試験定義ファイル52で定義されている動作のどの段階で異常が発生したのかを、容易に認識することができる。よって、当該異常発生時の解析を迅速に実施できる。