JP6018488B2 - 薬剤揮散体、及びこれを用いた飛翔害虫の防虫方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、撚った糸で作製したネット状物に防虫剤成分を含浸させたものを複数枚用いた薬剤揮散体が開示されている。
また、特許文献2には、2種の防虫剤成分を同一の樹脂に混錬することによって作製した担体を用いた薬剤揮散体が開示されている。
しかし、特許文献2に記載の薬剤揮散体は、2種類の防虫剤成分(メトフルトリン及びプロフルトリン)を同一の樹脂に混錬していることから、それぞれの防虫剤成分の特徴を十分に発現させることができないという問題を生じることがあった。すなわち、蒸気圧(揮散性能)が異なる防虫剤成分を同一の樹脂に混錬してしまうと、例えば、蒸気圧の高い方の防虫剤成分は揮散するが、低い方の防虫剤成分はあまり揮散しない場合や、逆に低い方の防虫剤成分は安定して揮散するが、高い方の防虫剤成分が揮散しすぎる場合などが起こりうる。また、2種類の防虫剤成分の配合割合によっては、蒸気圧の低い方の防虫剤成分によって、蒸気圧の高い方の防虫剤成分の揮散が阻害されてしまう場合があり、初期段階から終期段階に至るまで安定した防虫効果を発現させることが難かしいケースもあった。
一方、2種類の防虫剤成分ではなく、防虫成分と香料成分を組合わせた場合、両者の性状が異なるためそれらの揮散挙動については個別のケースごとに実際に試験を行ってはじめて知り得るのが実情であった。
(1)常温揮散性ピレスロイド系防虫成分と沸点が250℃以上400℃以下の持続性香料成分を含有する樹脂組成物を押出成形又は射出成形することによって、前記防虫成分と前記持続性香料成分を樹脂担体に共に担持させた薬剤揮散体。
(2)常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を含有する防虫成分含有樹脂ペレットと、沸点が250℃以上400℃以下の持続性香料成分を含有する香料成分含有樹脂ペレットを混練して樹脂組成物となし、これを押出成形又は射出成形することによって、前記常温揮散性ピレスロイド系防虫成分と前記持続性香料成分を樹脂担体に共に担持させた(1)に記載の薬剤揮散体。
(3)前記防虫成分含有樹脂ペレットが、
10質量%以上40質量%以下の常温揮散性ピレスロイド系防虫成分と、
10質量%以上90質量%以下のエチレン−ビニルアセテート共重合体とを含有する(2)に記載の薬剤揮散体。
(4)前記防虫成分含有樹脂ペレットが、
10質量%以上60質量%以下の常温揮散性ピレスロイド系防虫成分と、
10質量%以上30質量%以下の微粉末担体と、
10質量%以上60質量%以下のエチレン−ビニルアセテート共重合体とを含有する(2)に記載の薬剤揮散体。
(5)前記常温揮散性ピレスロイド系防虫成分が、メトフルトリン、プロフルトリン、トランスフルトリン、及びエムペントリンの少なくとも1種である(1)乃至(4)のいずれか1に記載の薬剤揮散体。
(6)前記香料成分含有樹脂ペレットが、
10質量%以上40質量%以下の沸点が250℃以上400℃以下の持続性香料成分と、
12質量%以上40質量%以下の微粉末担体と、
10質量%以上60質量%以下のエチレン−ビニルアセテート共重合体とを含有する(2)に記載の薬剤揮散体。
(7)前記沸点が250℃以上の持続性香料成分が、ガラクソリド、ムスクケトン、ヘキシルシンナミックアルデヒド、エチレンブラシレート、メチルアトラレート、ヘキシルサリシレート、トリシクロデセニルアセテート、オレンジャークリスタル、アンブロキサン、キャシュメラン、カロン、ヘリオトロピン、インドールアロマ、インドール、メチルセドリルケトン、メチルβ−ナフチルケトン、メチルジヒドロジャスモネート、ローズフェノン、及び7−アセチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−1,1,6,7−テトラメチルナフタレンの少なくとも1種である(6)に記載の薬剤揮散体。
(8)前記樹脂担体が、メッシュ状で、かつ、フィラメントの直径が0.1〜3mmである(1)乃至(7)のいずれか1に記載の薬剤揮散体。
(9)(1)乃至(8)のいずれか1に記載の薬剤揮散体を用い、この薬剤揮散体から前記常温揮散性ピレスロイド系防虫成分と前記沸点が250℃以上400℃以下の持続性香料成分を揮散させて芳香を伴った防虫効果を発現せしめるとともに、この芳香の消失を前記薬剤揮散体の使用終期と連動させたことを特徴とする飛翔害虫の防虫方法。
前者の常温揮散性ピレスロイド系防虫成分としては、常温において空気中に揮散する性質を有し、25℃における蒸気圧が0.001Pa以上0.1Pa以下程度であるものが好ましい。具体的には、揮散性能と安全性等の点から、メトフルトリン、プロフルトリン、トランスフルトリン、及びエムペントリンの少なくとも1種があげられる。
なお、これらの防虫成分については、各種の光学異性体または幾何異性体が存在するが、単独、混合物であれ、いずれの異性体類も使用することができる。
沸点が250℃以上400℃以下の持続性香料成分としては、ガラクソリド、ムスクケトン、ヘキシルシンナミックアルデヒド、エチレンブラシレート、メチルアトラレート、ヘキシルサリシレート、トリシクロデセニルアセテート、オレンジャークリスタル、アンブロキサン、キャシュメラン、カロン、ヘリオトロピン、インドールアロマ、インドール、メチルセドリルケトン、メチルβ−ナフチルケトン、メチルジヒドロジャスモネート、ローズフェノン、及び7−アセチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−1,1,6,7−テトラメチルナフタレン、アセト酢酸−m−キシリダイド、アセト酢酸−o−トルイダイド、アセトシリンゴン、アセチルトリエチルシトレート、ベンゾフェノン、ベンジルベンゾエート、ベンジルカプリレート、ベンジルシンナメート、ベンジルオイゲノール、ベンジルラウレート、ベンジルメチルチグレート、ベンジルフェニルエーテル、ベンジルフェニルアセテート、ベンジルサリチレート、ゲラニルアントラニレ−ト、ゲラニルヘキサノエート、ゲラニルシクロペンタノン、ゲラニルフェニルアセテート、ヘキシルフェニルアセテート、イコサン、インダン、シンナミルブチレート、シンナミルフェニルアセテート、ヘキセニルベンゾエート、シトラールジエチルアセタール、イオノン、イソアミルベンゾエート、リナリルオクタノエート、1−メンチルサリチレート、シトロネリルアントラニレート、ジメチルフェネチルカルビニルイソブチレート、ジフェニルオキシド、ドデシルブチレート、エチルバニレート、エチルバニリン、メンチルイソバレレート、メトキシエチルフェニルグリシデート、メチル2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルベンゾエート、ネロリジルアセテート、ネリルイソバレレート、オクテニルシクロペンタノン、オクチルカプリレート、フェネチルイソアミルエーテル、フェネチルオクタノエート、フェネチルフェニルアセテート、エチルバニリンアセテート、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、エチルヘキシルパルミテート、オイゲニルベンゾエート、ファルネソール、ファルネシルアセテート、ファルネシルメチルエーテル、ホルムアルデヒドシクロドデシルメチルアセタール、ホルミルエチルテトラメチルテトラリン、フルフリルベンゾエート、γ−ドデカラクトン、フェネチルサリチレート、フェノキシエチルプロピオネート、フェニルベンゾエート、フェニルジスルフィド、サンタリルブチレート、テトラヒドロ−プソイド−イオノン、テオブロミン、バレンセン等があげられるが、これらに限定されない。
しかも前記持続性香料成分が揮散して醸し出す芳香は、香りの付与と共に防虫効果の表示機能ともなり、芳香の消失を前記薬剤揮散体の使用終期と連動させ得るので本発明のメリットは大きい。
CH3−COO−R1 (I)
(式中、R1は炭素数が6〜12のアルコール残基を示す。)で表される酢酸エステル化合物及び/又は一般式(II)
R2−CH2−COO−CH2−CH=CH2 (II)
(式中、R2は炭素数が4〜7のアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、又はフェノキシ基を示す。)で表されるアリルエステル化合物から選ばれる1種又は2種以上の香料成分と、(b)モノテルペン系アルコールもしくは炭素数が10の芳香族アルコールから選ばれる1種又は2種以上の香料成分を含有し、
更に、飛翔害虫忌避成分の揮散後の忌避効果持続成分として、20℃における蒸気圧が0.2〜20Paのグリコール及び/又はグリコールエーテルの1種又は2種以上を配合するのが好ましい。
CH3−COO−R1 (I)
(式中、R1は炭素数が6〜12のアルコール残基を示す。)で表される酢酸エステル化合物としては、具体的には、p−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート、o−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート、p−tert−ペンチルシクロヘキシルアセテート、ベンジルアセテート、フェニルエチルアセテート、スチラリルアセテート、アニシルアセテート、シンナミルアセテート、テルピニルアセテート、ジヒドロテルピニルアセテート、リナリルアセテート、エチルリナリルアセテート、シトロネリルアセテート、ゲラニルアセテート、ネリルアセテート、ボルニルアセテート、及びイソボルニルアセテート等があげられる。
R2−CH2−COO−CH2−CH=CH2 (II)
(式中、R2は炭素数が4〜7のアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、又はフェノキシ基を示す。)で表されるアリルエステル化合物の具体例としては、アリルヘキサノエート、アリルヘプタノエート、アリルオクタノエート、アリルイソブチルオキシアセテート、アリルn−アミルオキシアセテート、アリルシクロヘキシルアセテート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、アリルシクロヘキシルオキシアセテート、アリルフェノキシアセテート等を例示できる。
なお、かかる忌避効果持続成分は、飛翔害虫忌避香料に対してのみならず、本発明における持続性香料成分に対しても少なからず持続作用の向上に寄与し得るものである。
なお、グリコール及び/又はグリコールエーテルの飛翔害虫忌避香料に対する配合比率は、0.2〜10倍程度が適当である。
本発明の薬剤揮散体は、常温揮散性ピレスロイド系防虫成分と沸点が250℃以上400℃以下の持続性香料成分を含有する樹脂組成物を押出成形又は射出成形することによって調製される。好ましくは、常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を樹脂担体に含有させた防虫成分含有樹脂ペレットと、沸点が250℃以上400℃以下の持続性香料成分を樹脂担体に含有させた香料成分含有樹脂ペレットを、必要ならば別途加えるポリオレフィン系樹脂とともに混練して樹脂組成物となし、これを押出成形又は射出成形して製するのが良い。
用いる樹脂担体は、担体の内部に混入された常温揮散性ピレスロイド系防虫成分や持続性香料成分が徐々に表面にブリードして揮散することができるものであれば特に限定されない。そして、防虫成分含有樹脂ペレット用の樹脂担体と持続性香料成分含有樹脂ペレット用の樹脂担体とは、樹脂担体の組成や仕様が同一でも異なっても構わない。
なお、ポリオレフィン系樹脂に対するこれらのカルボン酸エステル単量体の配合比率は、一般に、カルボン酸エステル単量体配合比率が高くなるほど防虫成分のブリードの速度を遅らせる傾向があることから、使用する防虫成分の種類や含有量、あるいは使用目的等に応じて、ポリオレフィン系樹脂に対して1〜30質量%の範囲で適宜調整すればよい。
また、樹脂担体は、あらかじめカルボン酸エステル単量体を多く含有するポリオレフィン系共重合体とオレフィンの単独重合体を、その含有比率を調整して混合したポリマーブレンドを用いることもできるし、さらには必要に応じて、スチレン系熱可塑性エラストマー等の他の高分子化合物を含有させることもできる。
また、上記のエチレン−ビニルアセテート共重合体のメルトマスフローレイト(MFR)は、5g/10min以上、50g/10min以下であると好ましい。MFRが小さすぎるとブリード調整剤としての効果が期待できなくなり、MFRが大きすぎると樹脂ペレットの物性に与える影響が無視できなくなってしまう恐れがある。
また、樹脂担体として、スチレン系ジブロックポリマーやスチレン系トリブロックポリマー等を主体としたものがしばしば好適とされる。
これに対し、持続性香料成分の場合、微粉末担体の含有量は成形上の問題から常温揮散性ピレスロイド系防虫成分の場合よりも幾分多く設定し、12質量%以上40質量%以下であるのが好ましい。
ホワイトカーボンのような微結晶シリカなどの微粉末担体は、防虫成分や持続性香料成分と反応せず、表面積の広い微粉末を用いることができる。これらの微粉末担体は防虫成分や持続性香料成分を担持してべとつきを抑え、その結果、樹脂成分と共に混練して得られる樹脂ペレットも、全体がべとつきにくくなりマスターバッチとして好適に利用できるものとなる。
[防虫成分含有樹脂ペレット]
10質量%以上60質量%以下の常温揮散性ピレスロイド系防虫成分と、
10質量%以上30質量%以下の微粉末担体と、
10質量%以上60質量%以下のエチレン−ビニルアセテート共重合体とを含有。
[持続性香料成分含有樹脂ペレット]
10質量%以上40質量%以下の沸点が250℃以上400℃以下の持続性香料成分と、
12質量%以上40質量%以下の微粉末担体と、
10質量%以上60質量%以下のエチレン−ビニルアセテート共重合体とを含有。
また、その樹脂担体の形状としては、防虫成分や持続性香料成分が樹脂担体の表面から自然に揮散する状態になっていればよく、揮散効率の点からメッシュ状にすることが好ましい。樹脂メッシュは平面状のネットでもよいし、あるいは、図1に示すように、棒状体を波状に形成して波状体とし、複数本の波状体をその頂部同士で交差させて接合させることにより構成した立体構造体であってもよい。後者の立体構造体によれば、一定範囲内における表面積が増大し、防虫成分や持続性香料成分の揮散量を高めることができる。
すなわち、防虫成分の含有量が0.5質量%未満の場合には、防虫に必要な防虫成分量を確保することが困難となり、一方、防虫成分の含有量が20質量%を超える場合には、防虫成分を練り込んだ後の成型が困難となり、さらに樹脂担体の表面に防虫成分が過剰にブリードしてべたつきを起こしやすくなる。
即ち、含有量を設定するに当たっては、使用する防虫成分の種類により異なるものの、例えば、メトフルトリン単独を使用した場合では、防虫効果が発現するのに必要な最低の揮散量は0.03mg/hr以上であり、プロフルトリン単独では0.03mg/hr以上であり、トランスフルトリン単独では0.06mg/hr以上であることから、30日〜200日における含有量についてはメトフルトリンでは30〜700mg、プロフロトリンでは30〜700mg、トランスフルトリンでは60〜1400mgの範囲で設定すればよいことになる。
すなわち、持続性香料成分量が2.0質量%未満の場合には、必要な持続性香料成分量を確保することが困難となり、一方、持続性香料成分の含有量が30質量%を超える場合には、持続性香料成分を練り込んだ後の成形が困難となり、さらに樹脂担体の表面に持続性香料成分が過剰にブリードしてべたつきを起こしやすくなる。
例えば、共力剤としては、イソボルニルチオシアノアセテート(商品名IBTA)、N−オクチルビシクロヘプテンカルボキシイミド(商品名サイネピリン222)、N−(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ〔2,2,2〕オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(商品名サイネピリン500)が挙げられる。
忌避剤としては、N,N−ジエチル−m−トルアミド(商品名ディート)、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、2−エチル−1,3−へキサンジオール、1,4,4a,5a,6,9,9a,9b−オクタヒドロジベンゾフラン−4a−カルバルデヒド、p−メンタン−3,8−ジオール等が挙げられる。
抗菌剤としては、ヒノキチオール、テトラヒドロリナロール、オイゲノール、シトロネラール、アリルイソチオシアネート等が挙げられる。
防黴剤としては、イソプロピルメチルフェノール、オルトフェニルフェノール等が挙げられる。
他の機能性成分としては、「緑の香り」と呼ばれる青葉アルコールや青葉アルデヒド配合のストレス軽減成分などが挙げられる。
更に、着色剤、帯電防止剤などを適宜配合してもよく、色彩を付加したり、タイムインジケーターを装着して使用終了時点を視認できるようにすれば、商品価値をより高めることができる。
なお、開口部の面積が上記の範囲であれば、開口部が容器の正面、背面にあるものだけでなく側面や上面、下面に開口するものでもよく、また、開口部の形状についても特に限定されるものではない。
この場合、容器は上記折り曲げた部材の2つを一組として用い、それぞれの部材の折り曲げ面が重なり合うように組み立てられる。
さらに、上記折り曲げた部材の折り曲げ面の端部には切り目を入れた舌片部を設けて、折り返し立上げが可能なようにフック部を延設することもできる。なお、この場合には、背面上方には前記フック部が折り込まれるための収納窓を設けていてもよい。これによって、各種の使用方法に応じた使い方が可能となる。
すなわち、ここで示したフック部の先端部分を上記の容器の、例えば上面部分に係止すると、屋外で使用の場合には容器が風などで飛ばされたり、屋内で吊るした場合には使用時に誤って落下するなどの問題がなくなり、使用したい場所で確実な効果を期待することができるのである。
ここでいうプラスチックの一体成形品とは、通常の射出成形または真空成形で成形したもの等であれば成形方法は問わないが、上面と下面、正面と背面をヒンジを用いて一体としたり、嵌合したりすることによって一体とすれば、製造工程をより簡略化することができる。また、この場合、容器の上面部分には立上げ可能にフック部が設けられているとより効果的に使用することができる。
すなわち、前述と同様に、ここで示したフック部の先端部分を使用時に上記の容器の一部、例えば上面に設けた開口部や凹部に係止できる構成にすると、屋外で使用の場合には容器が風などで飛ばされたり、屋内で吊るした場合には使用時に誤って落下するなどの問題がなくなり、使用したい場所で確実な効果を期待することができる。
また、容器のどの部分に係止するかは、製造する際に適宜選択する事項ではあるが、フック部が設けられている面と同一面上に係止すれば、使用時に容器が設置位置から移動してしまうことを防止することができるので好ましい。
さらに、薬剤揮散体を円筒状に形成してペット犬のリード装着用としたり、適宜容器を簡略化して空気清浄機等の取付け用として用いることもできる。
まず、使用した薬剤、及び性能の評価方法について説明する。
・メトフルトリン(住友化学(株)製:エミネンス)
・トランスフルトリン(住友化学(株)製:バイオスリン)
・プロフルトリン(住友化学(株)製:フェアリテール)
・微結晶シリカ(EVONIK社製:カープレックス#80、ホワイトカーボン、平均粒子径:15μm、以降「シリカ」と記す。)
・エチレン−ビニルアセテート共重合体(東ソー(株)製:ウルトラセン710、エチレン:酢酸ビニル単位比=72:28、以降「EVA−A」と記す。)
・エチレン−ビニルアセテート共重合体(東ソー(株)製:ウルトラセン541、エチレン:酢酸ビニル単位比=90:10、以降「EVA−B」と記す。)
・エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(住友化学(株)製:アクリフトWK307、以降「EMMA」と記す。)
・低密度ポリエチレン(旭化成(株)製:サンテックLDM6520、以降「LDPE−A」と記す。)
・低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製:ノバテックLDLJ802、以降「LDPE−B」と記す。)
樹脂ペレット約10gを直径7cmのガラスシャーレに入れ、まんべんなく拡げた後蓋をして密封した。40℃で7日間保存後、樹脂ペレットの表面に染み出した油浮きの状況を目視で観察し、下記の基準で評価した。
油浮きなし;○、 表面がテカる程度;△、 はっきりした油浮き;×。
常温揮散性ピレスロイド系防虫成分の揮散量は、所定期間経過後に薬剤揮散体に含まれる防虫成分量をガスクロマトグラフィにより分析して測定した。一方、持続性香料成分については、芳香の有無を経時的に官能試験により調べた。
芳香がはっきり認められる;○、 僅かに認められる;△、 殆ど認められない;×。
8畳(33m3)の部屋に供試薬剤揮散体を置き、25℃で風を循環させながら、アカエイカ雌成虫100匹を放ち、その後の経時的なノックダウン数を2時間後まで観察し、プロビット法によりKT50値を求めた。
下記に記載の混合比で、常温揮散性ピレスロイド系防虫成分又は持続性香料成分、微粒末担体、エチレン−ビニルアセテート共重合体及び/又はエチレン−メタクリル酸メチル共重合体、及びその他の樹脂を混合した。即ち、50℃に加温したメトフルトリン28重量部をホワイトカーボン12重量部に担持させた後、これにエチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA−A)44重量部、及びLDPE(LDPE−A)16重量部を、(株)テクノベル製:二軸押出し成形機を用いて、120〜140℃で混練・押出成形し、直径3mm、長さ5mmのメトフルトリン含有樹脂ペレットを製造した。
一方、持続性香料成分(ガラクソリド、ヘキシルシンナミックアルデヒド、エチレンブラシレート、7−アセチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−1,1,6,7−テトラメチルナフタレンを含む)30重量部をホワイトカーボン16重量部に担持させた後、これにエチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA−A)30重量部、及びLDPE(LDPE−A)24重量部を加え、(株)テクノベル製:二軸押出し成形機を用いて、120〜140℃で混練・押出成形し、直径3mm、長さ5mmのメトフルトリン含有樹脂ペレットを製造した。
これらの樹脂ペレットについて、ブリード状態を測定したところ、油浮きがなく良好であった。
上記メトフルトリン含有樹脂ペレット100重量部、持続性香料成分含有樹脂ペレット100重量部とLDPE(LDPE−B)200重量部(着色剤ペレット10重量部を含む)を120〜140℃で混練後、インジェクション成形機に投入し、図1に示す立体構造体からなる薬剤揮散体(10g)を得た。
この立体構造体を構成する矩形波状体1(1a,1b)及び補強材2の断面は、約1.3mm×1.3mmの正方形であり、この立体構造体を構成する矩形波状体1の第1頂部1aと第2頂部1bとの間の距離は10mm、第1頂部1a及び第2頂部1bの長さは、いずれも8mmとした。また、揮散性薬剤含有構造体全体の大きさを、95mm×160mm×12mmとした。
得られた薬剤揮散体を開口部を有するプラスチック容器に入れて室内に吊るし、25℃、風速0.5mの条件下で、揮散性薬剤の揮散量ならびに揮散時間を測定した。 その結果、メトフルトリンの揮散時間はおよそ200日で、全期間を通じた平均の揮散量は2.4mg/日であった。一方、持続性香料成分の芳香も150〜200日間にわたり持続し、メトフルトリンと持続性香料成分の揮散性は連動した。更に、150日経過後の防虫効力試験の結果も、KT50値が34分で優れたものであった。
これに対し、防虫成分を含有しない比較4や揮散性の乏しい防虫成分を使用した比較5は、十分な防虫効力が得られず、また、持続性香料成分を含有しない比較6は芳香が所定期間持続しなかった。従って、本発明が極めて高い有用性を有することは明らかである。
1a 第1頂部
1b 第2頂部
2 補強材
Claims (10)
- 常温揮散性ピレスロイド系防虫成分と沸点が250℃以上400℃以下の持続性香料成分とが担持された樹脂の押出成形体又は射出成形体として構成され、
前記沸点が250℃以上400℃以下の持続性香料成分が、ガラクソリド、ムスクケトン、ヘキシルシンナミックアルデヒド、エチレンブラシレート、メチルアトラレート、ヘキシルサリシレート、トリシクロデセニルアセテート、オレンジャークリスタル、アンブロキサン、キャシュメラン、カロン、ヘリオトロピン、インドールアロマ、インドール、メチルセドリルケトン、メチルβ−ナフチルケトン、メチルジヒドロジャスモネート、ローズフェノン、及び7−アセチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−1,1,6,7−テトラメチルナフタレンの少なくとも1種であることを特徴とする薬剤揮散体。 - 前記常温揮散性ピレスロイド系防虫成分が、メトフルトリン、プロフルトリン、トランスフルトリン、及びエムペントリンの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の薬剤揮散体。
- 前記押出成形体又は前記射出成形体が、メッシュ状で、かつ、フィラメントの直径が0.1〜3mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤揮散体。
- 常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を含有する防虫成分含有樹脂ペレットと、沸点が250℃以上400℃以下の持続性香料成分を含有する香料成分含有樹脂ペレットを混練して樹脂組成物となし、これを押出成形又は射出成形することによって、前記常温揮散性ピレスロイド系防虫成分と前記沸点が250℃以上400℃以下の持続性香料成分を樹脂担体に共に担持させ、
前記沸点が250℃以上400℃以下の持続性香料成分が、ガラクソリド、ムスクケトン、ヘキシルシンナミックアルデヒド、エチレンブラシレート、メチルアトラレート、ヘキシルサリシレート、トリシクロデセニルアセテート、オレンジャークリスタル、アンブロキサン、キャシュメラン、カロン、ヘリオトロピン、インドールアロマ、インドール、メチルセドリルケトン、メチルβ−ナフチルケトン、メチルジヒドロジャスモネート、ローズフェノン、及び7−アセチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−1,1,6,7−テトラメチルナフタレンの少なくとも1種であることを特徴とする薬剤揮散体の製造方法。 - 前記防虫成分含有樹脂ペレットが、
10質量%以上40質量%以下の常温揮散性ピレスロイド系防虫成分と、
10質量%以上90質量%以下のエチレン−ビニルアセテート共重合体とを含有することを特徴とする請求項4に記載の薬剤揮散体の製造方法。 - 前記防虫成分含有樹脂ペレットが、
10質量%以上60質量%以下の常温揮散性ピレスロイド系防虫成分と、
10質量%以上30質量%以下の微粉末担体と、
10質量%以上60質量%以下のエチレン−ビニルアセテート共重合体とを含有することを特徴とする請求項4に記載の薬剤揮散体の製造方法。 - 前記常温揮散性ピレスロイド系防虫成分が、メトフルトリン、プロフルトリン、トランスフルトリン、及びエムペントリンの少なくとも1種であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の薬剤揮散体の製造方法。
- 前記香料成分含有樹脂ペレットが、
10質量%以上40質量%以下の沸点が250℃以上400℃以下の持続性香料成分と、
12質量%以上40質量%以下の微粉末担体と、
10質量%以上60質量%以下のエチレン−ビニルアセテート共重合体とを含有することを特徴とする請求項4に記載の薬剤揮散体の製造方法。 - 前記樹脂担体が、メッシュ状で、かつ、フィラメントの直径が0.1〜3mmであることを特徴とする請求項4乃至8のいずれか1項に記載の薬剤揮散体の製造方法。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の薬剤揮散体を用い、この薬剤揮散体から前記常温揮散性ピレスロイド系防虫成分と前記沸点が250℃以上400℃以下の持続性香料成分を揮散させて芳香を伴った防虫効果を発現せしめるとともに、この芳香の消失を前記薬剤揮散体の使用終期と連動させたことを特徴とする飛翔害虫の防虫方法。
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