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JP5835615B2 - バリア性易開封ラミネートフィルム及びこれを用いる包装材 - Google Patents

バリア性易開封ラミネートフィルム及びこれを用いる包装材 Download PDF

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JP5835615B2 JP2011279697A JP2011279697A JP5835615B2 JP 5835615 B2 JP5835615 B2 JP 5835615B2 JP 2011279697 A JP2011279697 A JP 2011279697A JP 2011279697 A JP2011279697 A JP 2011279697A JP 5835615 B2 JP5835615 B2 JP 5835615B2
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Description

本発明は、食品、薬品、工業部品等を包装する包装材に関するものであって、酸素、香気成分等へのバリア性を有し、ヒートシール性、ヒートシール後の易開封性、包装機械適性、ラミネート適性等も良好なバリア性易開封性ラミネートフィルム、及び該フィルムを用いた包装材に関する。
食品や飲料等の包装に用いられる包装材料は、様々な流通、冷蔵等の保存や加熱殺菌などの処理等から内容物を保護するため、強度や割れにくさ、耐レトルト性、耐熱性といった機能ばかりでなく、内容物を確認できるよう透明性に優れるなど多岐に渡る機能が要求されている。その一方で、ヒートシールにより袋を密閉する場合には、熱加工性に優れる無延伸のポリオレフィン類フィルムが必須であるが、無延伸ポリオレフィンフィルムには包装材料として不足している機能も多い。
このようなことから、前記包装材料は、異種のポリマー材料を組み合わせた複合フレキシブルフィルムが広く用いられている。一般には、商品保護や各種機能を有する外層となる熱可塑性プラスチックフィルム層等と、シーラント層となる熱可塑性プラスチックフィルム層等からなり、これらの貼り合わせには、外層用熱可塑性プラスチックと、接着剤と、シーラント層用熱可塑性プラスチックとを3層溶融押し出しし、未延伸積層シートを成形後延伸する方法もあるが(例えば、特許文献1参照。)、ラミネートフィルム層に接着剤を塗布してシーラント層を接着させることで多層フィルムを製造するドライラミネート法(例えば、特許文献2参照。)が簡便であり、主流となっている。しかしながら、本用途に用いられる接着剤は一般に異種フィルム間を接着する機能のみしか持たないことが多い。
さらに近年では多層フィルムに対するさらなる高機能化が求められており、食品長期保存を目的として、酸化を抑えるため外部からの酸素の侵入を防ぐ酸素バリア性や、二酸化炭素バリア性、各種香気成分等に対するバリア性機能も要求されている。バリア機能を多層フィルムに付与する際、内層(シーラント側)に用いる無延伸ポリオレフィンフィルム類はガスバリア性に乏しい上、コーティングや蒸着によりバリア機能を付与することが困難である。そのため、外層側に用いている各種フィルム〔ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称す。)等のポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂、延伸ポリオレフィン樹脂等〕にバリア機能を付与することが多い。
これらの外層側フィルムにコーティングによりバリア機能を付与する場合、バリアコーティング材料としては、酸素バリア性、及び水蒸気バリア性の高い塩化ビニリデンが多用されてきたが、廃棄の焼却時にダイオキシンが発生する等の問題がある。また、ポリビニルアルコール樹脂やエチレン−ポリビニルアルコール共重合体をバリアコーティング材料として用いた場合、低湿度下の酸素バリア性は高いが、高湿度下の酸素バリア性、耐ボイル性、耐レトルト性に劣る問題点がある。一方、アルミニウム等の金属蒸着層をガスバリア層として設けたフィルムは不透明で内部が視認できない上、電子レンジの使用ができない問題がある。また、シリカやアルミナ等の金属酸化物の蒸着層をガスバリア層として設けたフィルムは高価な上、柔軟性に乏しく、クラックやピンホールによりバリア性能がばらつく問題点がある。
一方、ラミネート時に使用する接着剤に酸素バリア機能を付与する方法も知られている。この方法は、積層フィルムを作製するのに必須の工程及び構成により、特殊なガスバリア付与済みのフィルムを使用しなくともバリアフィルムを製造できる利点を持つ。一方、接着性能発現に必須である柔軟な分子構造では一般にガス透過性が高い。そのため、接着能とバリア能とはトレードオフの関係にある事が多く、この解消が技術的な難易度を高めている。
このような、積層フィルムの接着剤として使用可能なガスバリア材として、例えば、活性水素含有化合物および有機ポリイソシアネート化合物を反応させてなる樹脂硬化物を含む熱硬化型ガスバリア性ポリウレタン樹脂であって、該樹脂硬化物中にメタキシレンジイソシネート由来の骨格構造が20質量%以上含有され、かつ前記活性水素含有化合物および有機ポリイソシアネート化合物の内、3官能以上の化合物の占める割合が、活性水素含有化合物と有機ポリイソシアネート化合物の総量に対して7質量%以上であることを特徴とする熱硬化型ガスバリア性ポリウレタン樹脂が提供されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら前記特許文献3で提供された樹脂は、外層側に用いる各種フィルム、特に食品包装で広く使われているPET/CPP(キャストポリプロピレン、以下CPPと称す。)フィルムを使用した場合にラミネート強度が劣るといった問題があった。
また、例えば、メタキシリレンジアミンから誘導されたエポキシ樹脂硬化物および/またはポリウレタン樹脂硬化物を、酸素バリア性に優れる接着剤として使用していることも提供されている(例えば、特許文献4〜5参照)。しかし、本技術では高価なモノマー由来のメタキシリレン骨格を高含有率(少なくとも40質量%、実施例では50質量%以上含有した例が記載されている。)で含む必要があり包装材料を高価にしてしまう問題点があった。更にこれらの接着剤によるバリア機能は酸素バリア性のみであり、水蒸気バリア性、香気成分バリア性については言及されていないが、一般にはこれらのバリア性能はほとんど無い。
食品・医薬品等の包装材には酸素と香気成分の両方のバリア機能が必要である。そのため実用品としてはバリア性を有するアルミ箔を使用したラミネート構成品が使用されている。近年の環境問題重視の思想から、アルミ箔を使用せず、酸素バリア性と香気成分へのバリア性をも保持したラミネート構成フィルムは市場から強く要求されている。
またユニバーサルデザイン化傾向の中で、社会的弱者(高齢者、幼児、障害者等)に対しての配慮として、消費者が開封しやすい方式、例えば易開封性が重要視されつつある。しかしながら、易開封性を向上しようとすると、包装材本来の機能であるヒートシール性、耐ピンホール性、低温下での耐衝撃強度が低下することによる輸送時や店頭での陳列時における破袋、内容物のこぼれ等の問題があった。
易開封性を付与したフィルムとしては、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合樹脂を用い、これをシール層として用いることで、剥離時には、この層が凝集破壊されることで易開封性を発現できることはよく知られている(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、内容物からの香気成分のバリア性、酸素バリア性等と、易開封性とを両立させうる機能性フィルムはいまだ実用化されていない。
更にアルミ箔やアルミニウム蒸着層とその他の樹脂層等の間の密着性が悪いと、層間剥離(デラミ)が起こりやすくなり、開封時に表面のアルミ層のみが剥がれてしまい、内容物の取出しが困難になる場合もある。
この様なデラミを防止するために、アルミ層とその他の樹脂層との間には、アンカーコート層を設けることが通常行なわれているが(例えば、特許文献7参照。)、この様な多層フィルムはその生産工程数が多くなり、生産効率の面では劣ることになる。
近年の環境面と社会的要求の観点からは、アルミ箔使用なしの酸素・香気成分バリア性能を持ちかつ易開封が可能な包装材のユニバーサルデザイン対応・包装適性の優れた包材開発は喫緊の課題である点を鑑みると、バリア性を損なわずに易開封性をも有し、包装機械適正が良好で、シール性、ラミネート適性をバランスよく兼備し、且つ生産性をも良好なラミネート包装材が希求されている。
特開2006−341423号公報 特開2003−013032号公報 特開2004−010656号公報 特開2004−195971号公報 特開2008−188975号公報 特開2009−096198号公報 特開2009−166884号公報
本発明の課題は、上記のような問題に鑑みなされたものであり、食品、薬品、工業部品等を包装する包装材に関するものであって、酸素、香気成分バリア性能を有し、ヒートシール性、ヒートシール部の易開封性、包装機械適性、ラミネート強度の経時低下、ラミネート外観不良等がないバリア性易開封ラミネートフィルム、及び該フィルムを用いた包装材を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定構造を有する接着剤を用いて易開封機能を有するフィルムとその他の樹脂フィルムとを積層することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、易開封機能を有する樹脂層(i)と、ポリオレフィンを主成分とする樹脂層(ii)とを有する多層フィルム(I)と樹脂フィルムとを、2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(A)と2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(B)とを含有してなるバリア性接着剤を用いてラミネートしてなることを特徴とするバリア性易開封ラミネートフィルムと、これを用いてなる包装材を提供するものである。
本発明のバリア性易開封ラミネートフィルムは、十分な基材間の接着能を持ちつつ、酸素、香気成分バリア性を有し、ヒートシール性、ヒートシール部の易開封性、包装機械適性に優れ、ラミネート強度の経時低下やラミネート外観不良等がない多層フィルムである。このフィルムは、前述の性能により、食品のみならず、医薬品、精密工業用品等の包装材、特に、樹脂性の容器の蓋材として好適に用いることができる。更に、透明性のある基材フィルムを用いることにより、内容物の視認性をも付与することができる。
本発明のバリア性易開封ラミネートフィルムは、易開封機能を有する樹脂層(i)と、ポリオレフィンを主成分とする樹脂層(ii)とを有する多層フィルム(I)と、樹脂フィルムとを特定構造を有する接着剤を用いてラミネートしてなる多層フィルムである。
前記易開封機能を有する樹脂層(i)としては、その易開封機能が特定の単一樹脂層の凝集破壊によるものであっても、2層間の層間剥離によるものであっても、あるいは界面剥離であってもよい。
凝集破壊による易開封性機能を発現させるものとしては、例えば、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合樹脂を主成分とする層、又は変性ポリエチレンを主成分とする層が挙げられる。なお、本発明において、主成分とするとは、当該樹脂層を形成する成分の全量に対して、特定の樹脂又は樹脂混合物を65質量%以上で含有することをいうものであり、特に80質量%以上で含有することが好ましいことを言う。
前記ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、たとえばプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、メタロセン触媒系ポリプロピレンなどが挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用してもよいし、併用してもよい。望ましくはプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体であり、特にメタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・α−オレフィンランダム重合体が好ましい。これらのポリプロピレン系樹脂を用いた場合には、フィルムの耐熱性が向上し、軟化温度を高くすることができるため、100℃以下のボイル、あるいはホット充填、または100℃以上のレトルト殺菌等の蒸気・高圧加熱殺菌特性に優れた包装材として好適に用いることが出来る。
また、これらのポリプロピレン系樹脂は、MFR(230℃)が0.5〜30.0g/10分で、融点が110〜165℃であるものが好ましく、より好ましくは、MFR(230℃)が2.0〜15.0g/10分で、融点が115〜162℃のものである。MFR及び融点がこの範囲であれば、ヒートシール時のフィルムの収縮が少なく、更にフィルムの成膜性も向上する。
前記ポリエチレン系樹脂としては、密度が0.91〜0.93g/cmの低密度ポリエチレン、又は密度が0.94〜0.96g/cmの高密度ポリエチレンを用いることが好ましい。更に、メルトフローレート(190℃、21.18N)が1g/10分以上であることが成膜性の観点からは好ましいものである。
また、前記混合樹脂と併用することができるその他の樹脂としては、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。環状ポリオレフィン系樹脂を用いることで、得られる多層フィルムに易引き裂き性の付与や水蒸気バリア性の向上をもたらすことができる。
前記環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、環状共役ジエン重合体等が挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系重合体が好ましい。また、ノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体(以下、「COP」という。)、ノルボルネン系単量体とエチレン等のオレフィンを共重合したノルボルネン系共重合体(以下、「COC」という。)等が挙げられる。さらに、COP及びCOCの水素添加物は、特に好ましい。また、環状ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、5,000〜500,000が好ましく、より好ましくは7,000〜300,000である。
得られる多層フィルムにおいて、前述の混合樹脂を用いた樹脂層をシール層とする場合には、ポリプロピレン系樹脂として、シール強度の調整が容易である点等の観点から、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体又はシングルサイト触媒を用いて重合されたエチレン−プロピレン共重合体を用いることが好ましい。
また、シール層として用いる凝集破壊可能な層におけるポリプロピレン系樹脂は、MFR(230℃)が0.5〜30.0g/10分で、融点が120〜165℃であるものが好ましく、より好ましくは、MFR(230℃)が2.0〜15.0g/10分で、融点が125〜162℃のものである。MFR及び融点がこの範囲であれば、シール時のフィルムの収縮が少なく、更にフィルムの成膜性も向上する。
シール層としての凝集破壊可能な、前述の混合樹脂を主成分とする層には、更に易開封性を容易にしたり、シール強度を調整したりする観点から、ポリブテン系樹脂等のその他のオレフィン系樹脂や、前述の環状ポリオレフィン系樹脂を併用しても良い。このとき、易開封性を損なわない観点から、前記ポリプロピレン系樹脂と前記ポリエチレン系樹脂との合計質量として、当該樹脂層中の成分中に85質量%以上で含まれていることが好ましい。
前述の、凝集破壊可能な層としてのポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合樹脂を主成分とする樹脂層を、他の樹脂製容器とのヒートシール層として用いる場合には、当該他の樹脂とのシール性の観点より、その混合比率を変えることが好ましい。
例えば、ポリプロピレン系樹脂(PP)からなる容器等の蓋材として用いる場合には、シール層(凝集破壊可能な層)として、ポリプロピレン系樹脂/ポリエチレン系樹脂の質量比率は、60〜90/10〜40の範囲であることが好ましく、特に80〜90/10〜20の範囲であることが好ましい。
また、ポリエチレン系樹脂(PE)からなる容器等の蓋材として用いる場合には、シール層(凝集破壊可能な層)として、ポリプロピレン系樹脂/ポリエチレン系樹脂の質量比率は、10〜40/60〜90の範囲であることが好ましく、特に20〜30/70〜80の範囲であることが好ましい。
前述のように、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合樹脂を主成分とする樹脂層は、当該層の凝集破壊により、容易に易開封性を発現することができるものであり、多層フィルム(I)における一つの層が当該混合樹脂を主成分とするものであればよいが、多層フィルム(I)における二層以上が、このような混合樹脂を主成分とする層であっても構わない。
界面剥離による易開封性の発現には、変性ポリエチレンを主成分とする樹脂層を設けることによって可能である。
前記変性ポリエチレンとしては、エチレン−酢酸ビニル系共重合体(EVA)の単独、このEVAをベースレジンとして、ロジン、水添ロジン、ロジンエステル誘導体、重合ロジン、テルペン、変性テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、スチレン系樹脂等の1種以上を混合変性してなる変性EVA等が挙げられ、特に変性EVAを用いることが、易開封性の発現が容易である点から好ましい。この変性EVAの具体例としては、例えば、三菱化学株式会社製の変性ポリエチレンVMX等が挙げられる。
前記変性ポリエチレンは、単独で用いても界面剥離しやすいものであるが、本願の効果を損なわない範囲でその他の樹脂を併用してもよい。併用できる樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等のポリオレフィンや、前述の環状ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
特にポリエステル系樹脂(PET)やポリスチレン系樹脂(PS)を主体とする容器の蓋材として本発明の多層フィルムを使用する際には、界面剥離あるいは凝集破壊層または層間剥離としての変性ポリエチレンを主成分とする層をシール層として用いることが好ましい。
このような凝集破壊あるいは界面剥離による易開封性の発現を容易にするために、当該樹脂層(i)の厚さとしては、得られるバリア性易開封ラミネートフィルムの全厚にもよるが、2〜50μmの範囲であることが好ましく、5〜20μmの範囲であることが好ましい。また、多層フィルム(I)の全厚の5〜50%の範囲であることが好ましい。
易開封機能を有する樹脂層(i)として、2層間の層間剥離によるものである場合は、例えば、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体を主成分とする層(i−1)とポリプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂層(i−2)とを隣接して積層された多層構成の樹脂層(i)が挙げられる。
このような2層間の層間剥離による易開封性発現は、開封後の表面に毛羽立ち等が起こらないため、外観を損ねることがなく、食品や医薬品等の包装材として使用する際には、衛生上の観点からは好ましいものである。
前記エチレン・α―オレフィンランダム共重合体としては、エチレンと炭素数3〜20、好ましくは3〜10までのα―オレフィンとを共重合することによって得られるランダム共重合体である。その分子構造は、直鎖状であってもよいし、長鎖または短鎖の側鎖を有する分岐状であってもよい。α−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンが挙げられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。共重合体中のα−オレフィン含量としては、5〜50モル%であることが好ましい。
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体のMFR(190℃、2.16kg荷重)は0.5〜50、好ましくは2〜45(g/10分)であり、密度が0.900(g/cm)未満、好ましくは0.850〜0.890(g/cm)であり、かつ示差走査熱量分析(DSC)で求められる融点が80℃未満または融点が観測されない非晶性である。上記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体の製造法については特に制限はないが、チーグラー・ナッタ触媒、あるいはメタロセン触媒の存在下、エチレンとα−オレフィンとを共重合することによって製造することができる。
前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体を主成分とする層(i−1)には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の樹脂、例えば、前述のポリオレフィン系樹脂や環状ポリオレフィン系樹脂を併用してもよい。この場合、その他の樹脂として、当該層(i−1)の成分全量に対し10質量%以下で配合することが好ましい。
前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体を主成分とする層(i−1)と隣接して積層する樹脂層(i−2)には、層間剥離を効果的に発現させるために、ポリプロピレン系樹脂を主成分とすることが必須である。前記ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、たとえばプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、メタロセン触媒系ポリプロピレンなどが挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用してもよいし、併用してもよい。望ましくはプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体であり、特にメタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・α−オレフィンランダム重合体が好ましい。これらのポリプロピレン系樹脂を用いた場合には、フィルムの耐熱性が向上し、軟化温度を高くすることができるため、100℃以下のボイル、あるいはホット充填、または100℃以上のレトルト殺菌等の蒸気・高圧加熱殺菌特性に優れた包装材として好適に用いることが出来る。
また、これらのポリプロピレン系樹脂は、MFR(230℃)が0.5〜30.0g/10分で、融点が110〜165℃であるものが好ましく、より好ましくは、MFR(230℃)が2.0〜15.0g/10分で、融点が115〜162℃のものである。MFR及び融点がこの範囲であれば、ヒートシール時のフィルムの収縮が少なく、更にフィルムの成膜性も向上する。
前述の層間剥離による易開封機能を有する樹脂層(i)の厚さとしては、得られるバリア性易開封ラミネートフィルムの全厚にもよるが、剥離時にヒートシールされた部分とされていない部分の境目で一部の樹脂層を切断できることが必要であることにより、比較的薄い方が好ましく、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体を主成分とする層(i−1)、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂層(i−2)ともに、2〜40μmの範囲であることが好ましい。
本発明で用いる多層フィルム(I)には、前述の易開封機能を有する樹脂層(i)に加え、ポリオレフィンを主成分とする樹脂層(ii)を有する。
当該ポリオレフィンを主成分とする樹脂層(ii)は、多層フィルム(I)の剛性を維持し、後述するバリア性接着剤の塗布工程、並びに樹脂フィルムとの張り合わせ時の連続製造を容易にするための層であり、また、その他の素材からなる容器の蓋材と使用する際のヒートシール容易性の観点からも必要な層である。
前記ポリオレフィンを主成分とする樹脂層(ii)は、前述の易開封機能を有する樹脂層(i)の片面にのみ配置しても、両面に配置してもよい。易開封機能を有する樹脂層(i)をシール層として用いる場合には、このポリオレフィンを主成分とする樹脂層(ii)の表面にバリア性接着剤を塗布することになる。
前記樹脂層(ii)に用いるポリオレフィンとしては、特に限定されるものではなく、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等を単独で、あるいは複数混合して用いることができる。
前記ポリエチレン系樹脂としては、高ヒートシール強度、耐ピンホール性や、前述の樹脂層(i)との層間強度の維持のために、密度が0.900〜0.950g/cmであるものが好ましく、より好ましくは密度が0.905〜0.945g/cmのものである。
前記ポリエチレン系樹脂としては、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状中密度ポリエチレン(LMDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリエチレン樹脂が挙げられる。
LDPEとしては高圧ラジカル重合法で得られる分岐状低密度ポリエチレンであれば良く、好ましくは高圧ラジカル重合法によりエチレンを単独重合した分岐状低密度ポリエチレンである。
LLDPE、MLDPEとしては、シングルサイト触媒を用いた低圧ラジカル重合法により、エチレン単量体を主成分として、これにコモノマーとしてブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン等のα−オレフィンを共重合したものである。LLDPE中のコモノマー含有率としては、0.5〜20モル%の範囲であることが好ましく、1〜18モル%の範囲であることがより好ましい。
前記シングルサイト触媒としては、周期律表第IV又はV族遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウム化合物及び/又はイオン性化合物の組合せ等のメタロセン触媒系などの種々のシングルサイト触媒が挙げられる。また、シングルサイト触媒は活性点が均一であるため、活性点が不均一なマルチサイト触媒と比較して、得られる樹脂の分子量分布がシャープになるため、フィルムに成膜した際に低分子量成分の析出が少なく、シール強度の安定性や耐ブロッキング適性に優れた物性の樹脂が得られるので好ましい。
前述のようにポリエチレン系樹脂の密度は0.900〜0.950g/cmであることが好ましい。密度がこの範囲であれば、適度な剛性を有し、ヒートシール強度や耐ピンホール性等の機械強度も優れ、フィルム成膜性、押出適性が向上する。また、融点は、一般的には60〜130℃の範囲であることが好ましく、70〜125℃がより好ましい。融点がこの範囲であれば、加工安定性や押出加工性が向上する。また、前記ポリエチレン系樹脂のMFR(190℃、21.18N)は2〜20g/10分であることが好ましく、3〜10g/10分であることがより好ましい。MFRがこの範囲であれば、フィルムの押出成形性が向上する。
このようなポリエチレン系樹脂を用いることで、得られるバリア性易開封ラミネートフィルムとしての透明性も維持することができる。また接着性樹脂等を使用することなく、樹脂層(i)と樹脂層(ii)との層間接着強度も保持でき、柔軟性も有しているため、耐ピンホール性も良好となる。さらに、耐ピンホール性を向上させる場合はLLDPE、MLDPEを用いることが好ましい。
又、前記ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、たとえばプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、メタロセン触媒系ポリプロピレンなどが挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用してもよいし、併用してもよい。望ましくはプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体であり、特にメタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・α−オレフィンランダム重合体が好ましい。これらのポリプロピレン系樹脂を用いた場合には、フィルムの耐熱性が向上し、軟化温度を高くすることができるため、100℃以下のボイル、あるいはホット充填、または100℃以上のレトルト殺菌等の蒸気・高圧加熱殺菌特性に優れた包装材として好適に用いることが出来る。
また、これらのポリプロピレン系樹脂は、MFR(230℃)が0.5〜30.0g/10分で、融点が110〜165℃であるものが好ましく、より好ましくは、MFR(230℃)が2.0〜15.0g/10分で、融点が115〜162℃のものである。MFR及び融点がこの範囲であれば、ヒートシール時のフィルムの収縮が少なく、更にフィルムの成膜性も向上する。
又、本発明のバリア性易開封ラミネートフィルムのバリア性、特には水蒸気バリア性を向上させたり、易引き裂き性を付与させたりするために、環状ポリオレフィン系樹脂を併用することもできる。環状ポリオレフィン系樹脂は、前述の樹脂層(ii)中に混合して使用しても、あるいは、環状ポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂層を前記樹脂層(ii)にさらに積層させてもよい。
又、本発明のバリア性易開封ラミネートフィルムに使用する多層フィルム(I)において、樹脂層(ii)は単層であっても、2層以上の多層構成を有していても良い。特に得られるラミネートフィルムの剛性の維持の観点からは、2層以上を積層させることが好ましく、樹脂層(i)と最外層の間の中間層として、特にメタロセン触媒を用いて合成されたポリプロピレン系樹脂や直鎖状低密度ポリエチレンを用いることがフィルムの機械的強度を維持する観点から好ましいものである。
前記の各樹脂層(i)、(ii)には、必要に応じて、防曇剤、帯電防止剤、熱安定剤、造核剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、離型剤、紫外線吸収剤、着色剤等の成分を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。特に、フィルム成形時の加工適性、充填機の包装適性を付与するため、多層フィルム(I)の表面における摩擦係数は1.5以下、中でも1.0以下であることが好ましいので、表面に樹脂層には、滑剤やアンチブロッキング剤を適宜添加することが好ましい。
前記フィルム(I)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、樹脂層(i)、樹脂層(ii)に用いる各樹脂又は樹脂混合物を、それぞれ別々の押出機で加熱溶融させ、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で積層した後、インフレーションやTダイ・チルロール法等により多層フィルム(I)を共押出法で製膜する方法が挙げられる。共押出法は、各層の厚さの比率を比較的自由に調整することが可能で、衛生性に優れ、コストパフォーマンスにも優れた多層フィルムが得られるので好ましい。ガラス転移温度/融点の差が大きい樹脂を併用する場合においては、共押出加工時にフィルム外観が劣化したり、均一な層構成形成が困難になったりする場合がある。このような劣化を抑制するためには、比較的高温で溶融押出を行うことができるTダイ・チルロール法が好ましい。
本発明のバリア性易開封ラミネートフィルムは、前述のフィルム(I)とその他の樹脂フィルムとを2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(A)と2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(B)とを含有してなるバリア性接着剤を用いてラミネートしてなることを特徴とする。
[2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(A)]
前記ポリエステルポリオール(A)は、2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールであって、多価カルボン酸と多価アルコールとを重縮合反応することにより得られる。
(多価カルボン酸)
前記多価カルボン酸として具体的には、脂肪族多価カルボン酸として、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、脂環式多価カルボン酸として、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸として、オルトフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。また、これらの酸無水物も使用することができる。中でも、接着剤としてのバリア性を好適に発現できる点からは、コハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、オルトフタル酸、オルトフタル酸の酸無水物、イソフタル酸を用いることが好ましく、特にオルトフタル酸及びその酸無水物を用いることが好ましい。
(多価アルコール成分)
前記多価アルコールとして具体的には、脂肪族ジオールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等、芳香族多価フェノールとして、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらのエチレンオキサイド伸長物、水添化物等を例示することができる。中でも酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟にならずに酸素透過しにくいと推定されることから、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールを用いることが好ましく、特にエチレングリコールを用いることがより好ましい。多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合反応は、種々の方法で行うことができる。
前記2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(A)として、より具体的には、
・3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールにカルボン酸無水物又はポリカルボン酸を反応させることにより得られるポリエステルポリオール(A1)、
・重合性炭素−炭素二重結合を有するポリエステルポリオール(A2)、
・グリセロール骨格を有するポリエステルポリオール(A3)、
・オルト配向多価カルボン酸と、多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステルポリオール(A4)、
・イソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)、
等を挙げることができる。
以下、各ポリエステルポリオールについて説明する。
[3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールにカルボン酸無水物又はポリカルボン酸を反応させることにより得られるポリエステルポリオール(A1)]
前記ポリエステルポリオール(A1)は、3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールにカルボン酸無水物又は多価カルボン酸を反応させることにより得られる少なくとも1個のカルボキシ基と2個以上の水酸基を有するものである。3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールは多価カルボン酸または多価アルコールの一部を三価以上とすることで得られる。
ポリエステルポリオール(A1)として好ましくは、オルトフタル酸及びその無水物を少なくとも1種以上含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分からなる3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールに、カルボン酸無水物又は多価カルボン酸を反応させることにより得られるものである。
(オルトフタル酸及びその無水物)
オルトフタル酸及びその無水物は、骨格が非対称構造である。従って、得られるポリエステルの分子鎖の回転抑制が生じると推定され、これによりバリア性に優れると推定している。また、この非対称構造に起因して非結晶性を示し、十分な基材密着性が付与され、接着力とバリア性に優れると推定される。さらにドライラミネート接着剤として用いる場合には必須である溶媒溶解性も高いことで取扱い性にも優れる特徴を持つ。
(多価カルボン酸 その他の成分)
3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールを合成する際に、多価カルボン酸成分により分岐構造を導入する場合には、三価以上のカルボン酸を少なくとも一部に有する必要がある。これらの化合物としては、トリメリット酸およびその酸無水物、ピロメリット酸及びその酸無水物等があげられるが、合成時のゲル化を防ぐ為には三価以上の多価カルボン酸としては三価のカルボン酸が好ましい。
これ以外の成分としてポリエステルポリオールは、本発明の効果を損なわない範囲において、他の多価カルボン酸成分を共重合させてもよい。具体的には、脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、不飽和結合含有多価カルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等を、脂環式多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。中でも、コハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、イソフタル酸を用いることが好ましい。
(多価アルコール成分)
前記多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。中でも、酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟にならずに、酸素透過しにくいと推定されることから、エチレングリコールを使用することが最も好ましい。
(多価アルコール その他の成分)
3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールを合成する際に、多価アルコール成分により分岐構造を導入する場合には、三価以上の多価アルコールを少なくとも一部に有する必要がある。これらの化合物としてはグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスルトール等があげられるが、合成時のゲル化を防ぐ為には三価以上の多価アルコールとしては三価アルコールが好ましい。
これ以外の成分として前述の多価アルコール成分は、本発明の効果を損なわない範囲において、他の多価アルコール成分を共重合させてもよい。具体的には、脂肪族ジオールとしては1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、芳香族多価フェノールとして、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらの、エチレンオキサイド伸長物、水添化物を例示することができる。
ポリエステルポリオールとカルボン酸無水物又は多価カルボン酸との反応は、以下の様にして行うことができる。
前記ポリエステルポリオールに、多価カルボン酸又はその酸無水物をポリエステルポリオールの水酸基と反応させる。ポリエステルポリオールと多価カルボン酸との比率は反応後のポリエステルポリオール(A1)の水酸基が2個以上必要であることより、多価カルボン酸はポリエステルポリオールの水酸基の1/3以下と反応させることが好ましい。ここで用いられるカルボン酸無水物又は多価カルボン酸に制限はないが、多価カルボン酸とポリエステルポリオールとの反応時のゲル化を考慮すると、二価或いは三価のカルボン酸無水物を使用することが好ましい。二価のカルボン酸無水物としては無水コハク酸、無水マレイン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、無水フタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物等が使用でき、三価のカルボン酸無水物としてはトリメリット酸無水物等が使用できる。
得られるポリエステルポリオール(A1)としては、水酸基価が20〜250であり、酸価が20〜200であることが好ましい。水酸基価はJIS−K0070に記載の水酸基価測定方法にて、酸価はJIS−K0070に記載の酸価測定法にて、測定することができる。水酸基価が20mgKOH/gより小さい場合、分子量が大きすぎる為に粘度が高くなり、良好な塗工適性が得られにくくなることがある。逆に水酸基価が250mgKOH/gを超える場合、分子量が小さくなりすぎる為、硬化塗膜の架橋密度が高くなりすぎ、良好な接着強度が得られにくくなることがある。酸価が20mgKOH/gより小さい場合は、分子間の相互作用が小さくなり、良好なバリア性、良好な初期凝集力が得られにくくなることがある。逆に酸価が200mgKOH/gを超える場合、ポリエステルポリオール(A1)と後述するポリイソシアネート(B)との反応が早くなり過ぎ、良好な塗工適性が得られないことがある。
[重合性炭素−炭素二重結合を有するポリエステルポリオール(A2)]
また、本発明で用いることができるポリエステルポリオール(A)としては、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を有するポリエステルポリオール(A2)を挙げることができる。
前記ポリエステルポリオール(A2)は、多価カルボン酸と多価アルコールとを反応することにより得られるものであって、当該多価カルボン酸、多価アルコールとして重合性炭素−炭素二重結合をもつものを使用することにより、分子内に重合成炭素−炭素二重結合を導入したもの等が挙げられる。
(多価カルボン酸)
ポリエステルポリオール(A2)の原料として用いる多価カルボン酸として具体的には、脂肪族多価カルボン酸として、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、脂環式多価カルボン酸として1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸として、オルトフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を挙げることができ、単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。また、これらの酸無水物も使用することができる。中でも、得られるフィルムにおけるバリア性を容易に発現させることができる点からコハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、オルトフタル酸、オルトフタル酸の酸無水物、イソフタル酸を用いることが好ましく、特にオルトフタル酸及びその酸無水物を用いることがより好ましい。
(重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価カルボン酸)
前記ポリエステルポリオール(A2)を得るために、多価カルボン酸として重合性炭素−炭素二重結合をもつものを用いる場合、当該多価カルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びその酸無水物、3−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びその無水物等が挙げられる。中でも、炭素原子数が少ないほど分子鎖が過剰に柔軟にならず、酸素透過しにくいと推定されることから、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸を用いることが好ましい。
(多価アルコール成分)
前記多価アルコールとして具体的には、脂肪族ジオールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、芳香族多価フェノールとして、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらの、エチレンオキサイド伸長物、水添化物を例示することができる。中でも酸素原子間の炭素原子数が少ないほど分子鎖が過剰に柔軟にならずに、酸素透過しにくいと推定されることから、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールを用いることが好ましく、特にエチレングクリコールを用いることがより好ましい。
(重合性炭素−炭素二重結合をもつ多価アルコール)
前記ポリエステルポリオール(A2)を得るために、多価アルコールとして重合性炭素−炭素二重結合をもつものを用いる場合、当該多価アルコールとして2−ブテン−1,4−ジオール等が挙げられる。
また、上記の製法に加え、水酸基を有するポリエステルポリオールと重合性二重結合を有するカルボン酸、又はカルボン酸無水物との反応によってもポリエステルポリオール(A2)を得ることができる。この場合のカルボン酸としてはマレイン酸、無水マレイン酸、又はフマル酸等の重合性二重結合を有するカルボン酸、オレイン酸、ソルビン酸等の不飽和脂肪酸等を用いることができる。この場合のポリエステルポリオールとしては2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールであればよいが、後述するポリイソシアネート(B)との架橋により分子伸長を考慮すると、水酸基は3個以上有することがより好ましい。ポリエステルポリオールの水酸基が1又は2個の場合、重合性二重結合を有するカルボン酸を反応することにより得たポリエステルポリオール(A2)の水酸基が0又は1個となり、ポリイソシアネート(B)との反応による分子伸長が起こり難くなり、接着剤としてのラミネート強度やシール強度、耐熱性等の特性が得られ難くなる。
前記ポリエステルポリオール(A2)の水酸基価としては、前記ポリエステルポリオール(A1)と同様の理由により、20〜250mgKOH/g、酸価としては0〜100mgKOH/gであることが好ましい。
また、ポリエステルポリオール(A2)を構成する全モノマー成分100質量部に対して、重合性炭素−炭素二重結合を有するモノマー成分が、5〜60質量部であることが好ましい。
この範囲にあることにより、重合性二重結合間の架橋点が適当で、得られるフィルムにおけるバリア性が容易に発現されるとともに、硬化後の接着層の柔軟性も良好であり、ラミネート性に優れたものとなる。
なお、ポリエステルポリオール(A2)中の重合性炭素−炭素二重結合を有するモノマー成分量(二重結合成分比率)は、式(a)を用いて計算する。
Figure 0005835615
ここでモノマーとは前記の原料として用いた多価カルボン酸、多価アルコールを指す。
また、ポリエステルポリオール(A2)としては、炭素−炭素二重結合を有する種々の乾性油、又は半乾性油であってもよい。
[グリセロール骨格を有するポリエステルポリオール(A3)]
本発明で用いることができるポリエステルポリオール(A)としては、更に、下記一般式(1)で表されるグリセロール骨格を有するポリエステルポリオール(A3)を挙げることができる。
Figure 0005835615
[式(1)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は下記一般式(2)
Figure 0005835615
〔式(2)中、nは1〜5の整数であり、Xは置換基を有してもよい1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、又は2,3−アントラセンジイル基であって繰り返し単位ごとに同一であっても異なっていてもよく、Yは繰り返し単位ごとに同一であっても異なっていてもよい炭素原子数2〜6のアルキレン基である。〕
で表される基であって、R〜Rのうち少なくとも一つは、一般式(2)で表される基である。]
前記一般式(1)において、R、R及びRの少なくとも1つは前記一般式(2)で表される基である必要がある。中でも、R、R及びR全てが前記一般式(2)で表される基であることが好ましい。
また、前記一般式(1)中のR、R及びRのいずれか1つが前記一般式(2)で表される基である化合物と、R、R及びRのいずれか2つが前記一般式(2)で表される基である化合物と、R、R及びRの全てが前記一般式(2)で表される基である化合物の、いずれか2つ以上の化合物が混合物となっていてもよい。
前記一般式(2)中のXは、1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、及び2,3−アントラセンジイル基から成る群から選ばれ、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Xが置換基によって置換されている場合、1又は複数の置換基で置換されていてもよく、該置換基は、X上の、遊離基とは異なる任意の炭素原子に結合している。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基又はナフチル基等が挙げられる。
前記一般式(2)において、Yは、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、1,5−ペンチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、メチルペンチレン基、ジメチルブチレン基等の、炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す。Yは、中でも、プロピレン基、エチレン基であることが好ましく、エチレン基であることが最も好ましい。
前記一般式(1)で表されるグリセロール骨格を有するポリエステルポリオール(A3)は、グリセロールと、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸又はその無水物(以下、オルト配向芳香族多価カルボン酸ということがある。)と、多価アルコール成分とを必須成分として反応させて得ることができる。このような芳香族多価カルボン酸又はその無水物は、骨格が非対称構造である。従って、得られるポリエステルポリオールの分子鎖の回転抑制が生じると推定され、これによりバリア性に優れると推定している。また、この非対称構造に起因して基材密着性を阻害する結晶性が低いために酢酸エチルやメチルエチルケトン等の溶剤にも高い溶解性を示し且つバリア性に優れると推定される。
カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸又はその無水物としては、オルトフタル酸又はその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸又はその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、及び2,3−アントラセンカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。これらの化合物は、芳香環のその他の任意の炭素原子に置換基を有していても良い。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基又はナフチル基等が挙げられる。
また、多価アルコール成分としては炭素原子数2〜6のアルキレンジオールが挙げられる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール等のジオールを例示することができる。
なお、本願においてグリセロール骨格の含有量は、バリア性接着剤に含まれる全固形分の質量に対して、前記一般式(1)におけるR〜Rを除いた残基(C=89.07)がどのくらい含まれるかを、下記式(b)を用いて計算する。
Figure 0005835615
式中Pはグリセロール骨格を有するポリエステルポリオール(A3)を表し、酸素バリア性接着剤用有機樹脂組成物固形分全重量は、バリア性接着剤の全質量から、希釈溶剤質量、硬化剤に含まれる揮発成分質量、無機成分を除いた質量を示す。
この式で求められるグリセロール骨格の含有量としては、バリア性接着剤としての効果、特に酸素バリア性を好適に発現させることができる点より、5質量%以上であることが好ましい。
(その他の多価アルコール)
前記ポリエステルポリオール(A3)には、多価アルコールとして、炭素原子数2〜6のアルキレンジオール以外の多価アルコール成分を、本発明の効果を損なわない範囲において共重合させてもよい。具体的には、エリスリトール、ペンタエリトール、ジペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の脂肪族多価アルコール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール等の脂環式多価アルコール、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノール等の芳香族多価フェノール、或いはこれらのエチレンオキサイド伸長物、水添化物を例示することができる。
(その他の多価カルボン酸)
前記ポリエステルポリオール(A3)には、多価カルボン酸成分としてカルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸又はその無水物を必須とするが、本発明の効果を損なわない範囲において、他の多価カルボン酸を共重合させてもよい。具体的には、脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、不飽和結合含有多価カルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等を、脂環式多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェン酸及びその無水物、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。
中でも、コハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタル酸、ジフェン酸が好ましい。
[オルト配向多価カルボン酸と、多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステルポリオール(A4)]
本発明で用いるポリエステルポリオール(A)としては、オルト配向多価カルボン酸及びその無水物を少なくとも1種以上含む多価カルボン酸と、多価アルコールとを重縮合して得られるポリエステルポリオール(A4)であってもよい。オルト配向多価カルボン酸及びその無水物としては、オルトフタル酸またはその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸またはその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、及び2,3−アントラセンジカルボン酸またはその無水物から成る群から選ばれる少なくとも1つの多価カルボン酸またはその無水物であることが好ましく、特にオルトフタル酸またはその無水物であることが好ましい。特に、前記オルトフタル酸及びその無水物の、多価カルボン酸全成分に対する含有率が70〜100質量%であることが好ましい。
また、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコールであることが好ましい。特に、前記オルトフタル酸及びその無水物の、多価カルボン酸全成分に対する含有率が70〜100質量%であるポリエステルポリオールが好ましい。
(多価カルボン酸 その他の成分)
前記ポリエステルポリオール(A4)は、多価カルボン酸としてオルト配向多価カルボン酸及びその無水物を用いることが必須であるが、本発明の効果を損なわない範囲において、他の多価カルボン酸を共重合させてもよい。具体的には、脂肪族多価カルボン酸として、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、不飽和結合含有多価カルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等を、脂環式多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。中でも、コハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、イソフタル酸が好ましい。
[イソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)]
本発明で用いるポリエステルポリオール(A)としては、下記一般式(3)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)であってもよい。
Figure 0005835615
[式(3)中、R〜Rは各々独立して、−(CHn1−OH(但しn1は2〜4の整数である)、又は下記一般式(4)
Figure 0005835615
〔式(4)中、n2は2〜4の整数であり、n3は1〜5の整数であり、Xは置換基を有してもよい1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、又は2,3−アントラセンジイル基であって繰り返し単位ごとに同一であっても異なっていてもよく、Yは繰り返し単位ごとに同一であっても異なっていてもよい炭素原子数2〜6のアルキレン基である。〕
で表される基であって、R、R及びRの少なくとも1つは前記一般式(4)で表される基である。]
前記一般式(3)において、−(CHn1−で表されるアルキレン基は、直鎖状であっても分岐状でもよい。n1は、中でも2又は3が好ましく、2が最も好ましい。
前記一般式(4)においてXが置換基によって置換されている場合、1または複数の置換基で置換されていてもよく、該置換基は、X上の、遊離基とは異なる任意の炭素原子に結合している。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基またはナフチル基等が挙げられる。
Xの置換基としては、中でもヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基、が好ましくヒドロキシル基、フェノキシ基、シアノ基、ニトロ基、フタルイミド基、フェニル基が最も好ましい。
前記一般式(4)において、Yは炭素原子数2〜6のアルキレン基であり、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、1,5−ペンチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、メチルペンチレン基、ジメチルブチレン基等である。これらの中でも、プロピレン基、エチレン基が好ましく、エチレン基が最も好ましい。
前記一般式(3)において、R、R及びRの少なくとも1つは前記一般式(4)で表される基である。中でも、R、R及びR全てが前記一般式(4)で表される基であることが好ましい。
また、R、R及びRのいずれか1つが前記一般式(4)で表される基である化合物と、R、R及びRのいずれか2つが前記一般式(4)で表される基である化合物と、R、R及びRの全てが前記一般式(4)で表される基である化合物の、いずれか2つ以上の化合物の混合物であってもよい。
前記一般式(3)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)は、イソシアヌル環を有するトリオールと、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物と、多価アルコール成分とを必須成分として反応させて得る。
イソシアヌル環を有するトリオールとしては、例えば、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸等のイソシアヌル酸のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
また、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物としては、オルトフタル酸またはその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸またはその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、及び2,3−アントラセンカルボン酸またはその無水物等が挙げられる。これらの化合物は、芳香環のその他の任意の炭素原子に置換基を有していても良い。
該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、フェニル基またはナフチル基等が挙げられる。
また、多価アルコール成分としては炭素原子数2〜6のアルキレンジオールが挙げられる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール等のジオールを例示することができる。
中でも、イソシアヌル環を有するトリオール化合物として1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、または1,3,5−トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌル酸を使用し、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物としてオルトフタル酸無水物を使用し、多価アルコールとしてエチレングリコールを使用したイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)は、バリア性や接着性に特に優れ好ましい。
イソシアヌル環は高極性であり且つ3官能である。従って系全体を高極性化させることができ、且つ、架橋密度を高めることが可能である。このような観点からイソシアヌル環をバリア性接着剤の固形分に対し5質量%以上含有することが好ましい。
イソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)を用いたバリア性接着剤が、バリア性とドライラミネート接着性とを担保できる理由としては次のように推定している。
イソシアヌル環は高極性であり、且つ水素結合を形成しない。一般に接着性を高める手法として、水酸基、ウレタン結合、ウレイド結合、アミド結合などの高極性の官能基を配合させる方法が知られているが、これらの結合を有する樹脂は分子間水素結合を形成しやすく、ドライラミネート接着剤に良く使用される酢酸エチル、2−ブタノン溶剤への溶解性を損ねてしまうことがあるが、イソシアヌル環を有するポリエステルポリオールは該溶解性を損なわないので、容易に希釈可能である。
また、イソシアヌル環は3官能であるため、イソシアヌル環を樹脂骨格の中心とし、且つその分岐鎖に特定の構造のポリエステル骨格を有するポリエステルポリオール化合物は高い架橋密度を得ることができる。架橋密度を高めることで、酸素等のガスが通過する隙間を減らすことができると推定される。このように、イソシアヌル環は分子間水素結合を形成せずに高極性であり且つ高い架橋密度が得られるので、バリア性とドライラミネート接着性とを担保できると推定している。
なお本願においてイソシアヌル環の含有量は、バリア性接着剤の全固形分の質量に対して、前記一般式(3)におけるR〜Rを除いた残基(C=126.05)がどのくらい含まれるかを、式(c)を用いて計算する。
Figure 0005835615
式中Pはイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)を表し、酸素バリア性接着剤用有機樹脂組成物固形分全重量は、バリア性接着剤の全質量から、希釈溶剤質量、硬化剤に含まれる揮発成分質量、無機成分を除いた質量を示す。
イソシアヌル環を有するポリエステルポリオールは、種々のポリエステルの製造方法により得ることができる。具体的には、触媒共存下、反応温度200〜220℃で、生成する水を系外へ取り除きながら反応させる製造方法にて合成できる。
具体的な一例を示すと、原材料として用いるイソシアヌル環を有するトリオールと、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物と、多価アルコール成分を一括して仕込んだ後、攪拌混合しながら昇温し、脱水縮合反応させる。JIS−K0070に記載の酸価測定法にて1mgKOH/g以下、同じくJIS−K0070に記載の水酸基価測定方法にて得られる水酸基価ZmgKOH/gが下記式(d)の右辺の数値(mgKOH/g)の±5%以内に入るまで反応を継続することで目的とするポリエステルポリオールを得ることができる。
Figure 0005835615
(式(d)中、Mnは所定の3官能ポリエステル樹脂の設定数平均分子量を表す。)
或いは、各々の原料を多段階に分けて反応させてもよい。また、反応温度にて揮発してしまったジオール成分を追加しながら、水酸基価を±5%以内に入るように調製してもよい。
反応に用いられる触媒としては、モノブチル酸化錫、ジブチル酸化錫等錫系触媒、テトラ−イソプロピル−チタネート、テトラ−ブチル−チタネート等のチタン系触媒、テトラ−ブチル−ジルコネート等のジルコニア系触媒等の酸触媒が挙げられる。エステル反応に対する活性が高い、テトラ−イソプロピル−チタネート、テトラ−ブチル−チタネート等の上記チタン系触媒と上記ジルコニア触媒を組み合わせて用いることが好ましい。前記触媒量は、使用する反応原料全質量に対して1〜1000ppm用いられ、より好ましくは10〜100ppmである。1ppmを下回ると触媒としての効果が得られにくく、1000ppmを上回ると後のウレタン化の反応を阻害する傾向がある。
これらのポリエステルポリオール(A)の数平均分子量は450〜5000であると接着性とバリア性とのバランスに優れる程度の架橋密度が得られるため特に好ましい。より好ましくは数平均分子量が500〜3000である。また硬化剤としては、後述のポリイソシアネート(B)が最も好ましく、適度な反応時間を付与でき、接着性とバリア性に特に優れる。分子量が450より小さい場合、塗工時の接着剤の凝集力が小さくなりすぎ、ラミネート時にフィルムがズレたり、貼り合せたフィルムが浮き上がるといった不具合が起こりやすくなり、逆に分子量が5000よりも高い場合、塗工時の粘度が高くなり過ぎて塗工が出来にくくなることや、粘着性が低い事よりラミネートが不十分になることが。ここで、数平均分子量は得られた水酸基価と設計上の水酸基の官能基数から計算により求めた値である。
本発明で使用するポリエステルポリオール(A)は、ガラス転移温度が−30℃〜80℃の範囲であることが好ましい。より好ましくは0℃〜60℃である。更に好ましくは25℃〜60℃である。ガラス転移温度が80℃よりも高すぎる場合、室温付近でのポリエステルポリオールの柔軟性が低くなることにより、フィルム(I)あるいは樹脂フィルムへの密着性が不足することで接着力が低下するおそれがある。一方、−30℃よりも低すぎる場合、常温付近でのポリエステルポリオールの分子運動が激しいことにより十分なバリア性が出ないおそれがある。
更にポリエステルポリオール(A)をジイソシアネート化合物との反応によるウレタン伸長により数平均分子量1000〜15000としたポリオールを接着剤として用いても良い。該ポリオールには一定以上の分子量成分とウレタン結合とが存在するために、優れたバリア性を持つ上、初期凝集力に優れ、ラミネート時に使用する接着剤としてさらに優れる。
[ポリイソシアネート(B)]
本発明のバリア性接着剤には、前記ポリエステルポリオール(A)の水酸基と反応しうる硬化剤として、2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(B)を用いる。
前記ポリイソシアネート(B)としては、芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートがあり、低分子化合物、高分子化合物のいずれでもよい。たとえば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート或いはこれらのイソシアネート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、メタキシリレンアルコール、1,3−ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4−ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メタキシリレンジアミンなどの低分子活性水素化合物およびそのアルキレンオキシド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などと反応させて得られるアダクト体が挙げられる。
前記ポリイソシアネート(B)としてはブロック化イソシアネートであってもよい。イソシアネートブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなそのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−ペンタノール、などの第3級アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピロラクタムなどのラクタム類が挙げられ、その他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられる。ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とイソシアネートブロック化剤とを種々の適宜の方法より付加反応させて得られる。
中でも、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネートが好ましく、メタキシリレンジイソシアネート、メタ水素化キシリレンジイソシアネートが最も好ましい。
本発明におけるポリエステルポリオール(A)とポリイソシアネート(B)との硬化物のガラス転移温度は−30℃〜80℃の範囲であることが好ましい。より好ましくは0℃〜70℃である。更に好ましくは25℃〜70℃である。ガラス転移温度が80℃よりも高い場合、室温付近での硬化塗膜の柔軟性が低くなることにより、基材への密着性が劣ることで接着力が低下するおそれがある。一方−30℃よりも低い場合、常温付近での硬化塗膜の分子運動が激しいことにより十分なバリア性が出ないおそれがある。
中でも、ポリイソシアネート(B)が芳香族環を有するポリイソシアネートであることが好ましく、前記メタキシレン骨格を含むポリイソシアネートであると、ウレタン基の水素結合だけでなく芳香環同士のπ−πスタッキングによってバリア性を向上させることができるという理由から好ましい。
前記メタキシレン骨格を含むポリイソシアネートとしては、キシリレンジイソシアネートの3量体、アミンとの反応により合成されるビューレット体、アルコールと反応してなるアダクト体があるが、3量体、ビューレット体と比べ、ポリイソシアネートのドライラミネート接着剤に用いられる有機溶剤への溶解性が得られやすいという理由からアダクト体がより好ましい。アダクト体としては、上記の低分子活性水素化合物の中から適宜選択されるアルコールと反応してなるアダクト体が使用できるが、中でも、トリメチロールプロパン、グリセロール、トリエタノールアミン、メタキシレンジアミンのエチレンオキシド付加物とのアダクト体が特に好ましい。
前記ポリエステルポリオール(A)と前記ポリイソシアネート(B)とは、ポリエステルポリオール(A)とポリイソシアネート(B)との割合がポリエステルポリオール(A)の水酸基とポリイソシアネート(B)の反応成分とが1/0.5〜1/10(当量比)となるように配合することが好ましく、より好ましくは1/1〜1/5である。該範囲を超えてポリイソシアネート(B)が過剰な場合、余剰なポリイソシアネート(B)が残留することで接着後に接着層からブリードアウトするおそれがあり、一方、ポリイソシアネート(B)が不足の場合には接着強度不足のおそれがある。
また、本発明で用いるポリエステルポリオール(A)の末端にカルボン酸が残存した場合には、エポキシ化合物も硬化剤としてポリイソシアネート(B)と併用しても差し支えない。エポキシ化合物としてはビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
エポキシ化合物を硬化剤として併用する場合には、硬化を促進する目的で種々のエポキシ硬化促進剤を本発明の目的であるバリア性が損なわれない範囲で適宜添加してもよい。
また、重合性炭素−二重結合の重合を促進する為の触媒としての重合触媒を使用することができる。重合触媒としては遷移金属錯体が挙げられる。遷移金属錯体は、重合性二重結合を酸化重合させる能力を備える化合物であれば特に限定しないが、種々の金属或いはその錯体を用いることができる。例えば、コバルト、マンガン、鉛、カルシウム、セリウム、ジルコニウム、亜鉛、鉄、銅等の金属と、オクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、ステアリン酸、樹脂酸、トール油脂肪酸、桐油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、大豆油脂肪酸等との塩を用いることができる。遷移金属錯体はポリエステルポリオール(A)に対して0〜10質量部が好ましく、より好ましくは0〜3質量部である。
またそのほかの硬化剤或いは促進剤を併用することもできる。例えば接着促進剤としては、加水分解性アルコキシシラン化合物等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系等のカップリング剤、エポキシ樹脂等が挙げられる。シランカップリング剤やチタネート系カップリング剤は、フィルムに対する接着剤を向上させる意味でも好ましい。
(接着剤 その他の成分)
本発明で用いるバリア性接着剤には、バリア性、接着性を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機充填剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、フィラー、結晶核剤等が例示できる。
(板状無機化合物)
本発明で用いるバリア性接着剤には、板状無機化合物を含有させても良い。板状無機化合物を用いる場合には、形状が板状であることにより接着剤を硬化させてなる接着剤のラミネート強度とバリア性を向上させる効果を有する。
板状無機化合物の層間の電荷はバリア性に直接大きく影響しないが、接着剤に対する分散性が、イオン性無機化合物、或いは水に対して膨潤性無機化合物では大幅に劣り、添加量を増加させると接着剤の増粘やチキソ性付与となることより塗工適性が課題となる。これに対して、無電荷(非イオン性)、或いは水に対して非膨潤性の場合は、添加量を増加させても、増粘やチキソ性付与が軽減され塗工適性が確保できる。本発明で使用される板状無機化合物としては、例えば、含水ケイ酸塩(フィロケイ酸塩鉱物等)、カオリナイト−蛇紋族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等、アンチゴライト、クリソタイル等)、パイロフィライト−タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライ等)、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等)、バーミキュライト族粘土鉱物(バーミキュライト等)、雲母又はマイカ族粘土鉱物(白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等)、緑泥石族(クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト等)、ハイドロタルサイト、板状硫酸バリウム、ベーマイト、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。これらの鉱物は天然粘土鉱物であっても合成粘土鉱物であってもよい。板状無機化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよく、また、層間電化を持たない非イオン性であることが好ましい。
非イオン性の板状無機化合物としては、例えば、カオリナイト−蛇紋族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等、アンチゴライト、クリソタイル等)、パイロフィライト−タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライ等)等を挙げることができる。
また、前記板状無機化合物としては、水に対して非膨潤性であることが好ましい。このような板状無機化合物としては、例えば、カオリナイト−蛇紋族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等、アンチゴライト、クリソタイル等)、パイロフィライト−タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライ等)、雲母又はマイカ族粘土鉱物(白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等)、緑泥石族(クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト等)、ハイドロタルサイト、板状硫酸バリウム等を挙げることができる。
本発明での平均粒径とは、ある板状無機化合物の粒度分布を光散乱式測定装置で測定した場合の出現頻度が最も高い粒径を意味する。前記板状無機化合物の平均粒径は特に限定はないが、好ましくは0.1μm以上であり、更に好ましくは1μm以上である。平均粒径が0.1μm以下であると、長辺の長さが短いことにより、酸素分子の迂回経路が長くならず、バリア性を向上させにくい。平均粒径の大きい側は特に限定されない。ラミネートの方法により大きな板状無機化合物を含有することで塗工面にスジ等の欠陥が生じる場合は、好ましくは平均粒径100μm以下、更に好ましくは20μm以下の材料を用いると良い。
前記板状無機化合物のアスペクト比は酸素、水蒸気、香気成分等の迷路効果によるバリア性の向上のためには高い方が好ましい。具体的には3以上が好ましく、更に好ましくは10以上、最も好ましくは40以上である。また板状無機化合物の含有率は任意であるが50質量部以下であることが好ましい。50質量部を超えるとラミネート操作がしにくくなったり、接着力が不十分になったりする可能性がある。
無機化合物の含有率(配合粒のPWC)は下記式(e)により求めることができる。
Figure 0005835615
前記板状無機化合物をポリエステルポリオール(A)或いはバリア性接着剤に分散させる方法としては種々の分散方法が利用できる。例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントコンディショナー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、ナノミル、SCミル、ナノマイザー等を挙げることができ、更により好ましくは、高い剪断力を発生させることのできる機器として、ヘンシェルミキサー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサー、二本ロール、三本ロール等が上げられる。これらのうちの1つを単独で用いてもよく、2種類以上装置を組み合わせて用いてもよい。
また、接着剤層の耐酸性を向上させる方法として酸無水物を添加剤として併用することもできる。酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、コハク酸無水物、ヘット酸無水物、ハイミック酸無水物、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドラフタル酸無水物、テトラプロムフタル酸無水物、テトラクロルフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタリンテトラカルボン酸2無水物、5−(2,5−オキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、スチレン無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
また、必要に応じて、更に酸素捕捉機能を有する化合物等を添加してもよい。酸素捕捉機能を有する化合物としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。
また、塗布直後のフィルムに対する粘着性を向上させるために、必要に応じてキシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂などの粘着付与剤を添加しても良い。これらを添加する場合には、ポリエステルポリオール(A)とポリイソシアネート(B)との総量100質量部に対して0.01〜5質量部の範囲が好ましい。
また、重合性二重結合を反応させる方法として活性エネルギー線を使用することもできる。活性エネルギー線としては特に限定されず、電子線、紫外線、或いはγ線等の電離放射線等を照射して硬化させることができる。紫外線で硬化させる場合、高圧水銀灯、エキシマランプ、メタルハライドランプ等を備えた紫外線照射装置を使用することができる。
紫外線を照射して硬化させる場合には、必要に応じて、紫外線の照射によりラジカル等を発生する光(重合)開始剤をポリエステルポリオール(A)100質量部に対して0.1〜20質量部程度添加することが好ましい。
ラジカル発生型の光(重合)開始剤としては、ベンジル、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等の水素引き抜きタイプや、ベンゾインエチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチルフェニルケトン等の光開裂タイプが挙げられる。これらの中から単独或いは複数のものを組み合わせて使用することができる。
(接着剤の形態)
本発明で用いるバリア性接着剤は、溶剤型又は無溶剤型のいずれの形態であってもよい。溶剤型の場合、溶剤はポリエステルポリオール(A)及びポリイソシアネート(B)の製造時に反応媒体として使用してもよい。更に塗装時に希釈剤として使用される。使用できる溶剤としては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロリド、エチレンクロリド等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミド等が挙げられる。これらのうち通常は酢酸エチルやメチルエチルケトンを使用するのが好ましい。また、無溶剤で使用する場合は必ずしも有機溶剤に可溶である必要は無いと考えられるが、合成時の反応釜の洗浄やラミネート時の塗工機等の洗浄を考慮すると、有機溶剤に対する溶解性がある方が好ましい。
本発明において、前述のバリア性接着剤は、前記フィルム(I)及び/又は後述する樹脂フィルムに塗工して使用することができる。塗工方法としては特に限定はなく、例えば粘度が調整できる溶剤型の場合は、グラビアロール塗工方式等で塗布することが多い。また無溶剤型で、室温での粘度が高くグラビアロール塗工が適さない場合は、加温しながらロールコーターで塗工することもできる。ロールコーターを使用する場合は、バリア性接着剤の粘度が500〜2500mPa・s程度となるように室温〜120℃程度まで加熱した状態で、塗工することが好ましい。
本発明のバリア性易開封ラミネートフィルムは、前述の特定の多層フィルム(I)上に、前記接着剤を介して、樹脂フィルムが積層されてなる。ここで樹脂フィルムとして用いることができるフィルムの樹脂成分は、包装機械特性(製袋及び物品充填時に表面にシワや収縮が起こらない、ヒートシールバーにフィルムが融着しない等)の観点から、フィルム(I)の融点またはガラス転移点より30℃以上高いことが好ましい。樹脂フィルムとしては単層からなるものであっても、又は2層以上積層しているものであっても良い。好ましくは、高耐熱性、高剛性、高光沢を有する二軸延伸樹脂フィルムを単独あるいは組み合わせて使用する。
二軸延伸樹脂フィルムとしては、易引裂き性、ラミネート性等の観点から、例えば、二軸延伸ポリエステル(PET)、易引裂き性二軸延伸ポリエステル(PET)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリアミド(PA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)を中心層とした共押出二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)をコートした共押出二軸延伸ポリプロピレン等が挙げられる。これらは、単独あるいは複合化して使用しても良い。PET、PA、OPPがコストや入手性の点から好ましく、PET、OPPがより好ましく、PETが最も好ましい。
これらの樹脂フィルムをフィルム(I)表面に積層させる方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ドライラミネーション、ウェットラミネーション、ノンソルベントラミネーション、押出ラミネーション等の方法が挙げられる。ドライラミネーション方法は、具体的には、フィルムの一方にバリア性接着剤をグラビアロール方式で塗工後、もう一方のフィルムを重ねてドライラミネーション(乾式積層法)により貼り合わせる方法である。ラミネートロールの温度は室温〜60℃程度が好ましい。
またノンソルベントラミネーションはフィルムに予め室温〜120℃程度に加熱しておいたバリア性接着剤を室温〜120℃程度に加熱したロールコーターなどのロールにより塗布後、直ちにその表面に新たなフィルム材料を貼り合わせる方法である。ラミネート圧力は、10〜300kg/cm程度が好ましい。
押出しラミネート法の場合には、フィルムにバリア性接着剤(有機溶剤溶液)をグラビアロールなどのロールにより塗布し、室温〜140℃で溶剤の乾燥、硬化反応を行なった後に、押出し機により溶融させたポリマー材料をラミネートすることによりラミネートフィルムを得ることができる。溶融させるポリマー材料としては低密度ポリエチレン樹脂や直線状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂などのポリオレフィン系樹脂が好ましい。
また、本発明のバリア性易開封ラミネートフィルムは、作成後エージングを行うことが好ましい。エージング条件は、硬化剤としてのポリイソシアネートを使用することから、室温〜80℃で、12〜240時間の間であり、この間に、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとが反応し、接着性が向上する。
本発明では、さらに高いバリア機能を付与するために、必要に応じてアルミニウム等の金属、あるいはシリカやアルミナ等の金属酸化物の蒸着層を積層したフィルムや、ポリビニルアルコールや、エチレン・ビニールアルコール共重合体、塩化ビニリデン等のガスバリア層を含有するバリア性フィルムをさらに積層してもよい。
又、アルミニウムを蒸着させてアルミニウム層を形成させても良い。このアルミニウム蒸着の蒸着手段としては、前述のフィルム(I)に収縮、黄変等の劣化を招来することなくアルミニウムが蒸着できれば特に限定されるものではなく、(a)真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法;PVD法)、(b)プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法;CVD法)等が挙げられる。これらの蒸着法の中でも、生産性が高く良質なアルミニウム蒸着層が形成できる真空蒸着法やイオンプレーティング法が好ましい。
特に、樹脂フィルムをラミネートする際、又はアルミニウム蒸着における層間密着性を高めたい場合や、ラミネート工程、蒸着工程と、フィルム(I)の製造工程とを連続して行なわずに、フィルム(I)のまま保存する場合には、フィルム(I)の表面を化学的、物理的な処理を行なっておくことが好ましい。このような表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理等の表面酸化処理、あるいはサンドブラスト等の表面凹凸処理を挙げることができるが、好ましくはコロナ処理である。
コロナ処理の方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、特公昭39−12838号、特開昭47−19824号、特開昭48−28067号、特開昭52−42114号の各公報に記載等の処理方法によって行うことができる。コロナ放電処理装置は、Pillar社製ソリッドステートコロナ処理機、LEPEL型表面処理機、VETAPHON型処理機等を用いることができる。処理は空気中での常圧にて行うことができる。処理時の放電周波数は、5kV〜40kV、より好ましくは10kV〜30kVであり、波形は交流正弦波が好ましい。電極と誘電体ロールのギャップ透明ランスは0.1mm〜10mm、より好ましくは1.0mm〜2.0mmである。放電は、放電帯域に設けられた誘電サポートローラーの上方で処理し、処理量は、0.34kV・A・分/m〜0.4kV・A・分/m、より好ましくは0.344kV・A・分/m〜0.38kV・A・分/mである。
本発明のバリア性易開封ラミネートフィルムは、前述のように、フィルム(I)/接着層/樹脂フィルムの構成を有する。フィルム(I)の全厚としては15〜150μmの範囲であると、ラミネート時の作業性が向上すると共に、安定したシール強度、包装機械適性、優れた耐ピンホール性能、易開封性能等が得られる。より好ましくは30〜130μmである。
本発明のバリア性易開封ラミネートフィルムは包装材として好適に用いることができ、食品、薬品、工業部品、雑貨、雑誌等の用途に用いる包装袋、容器、容器の蓋材等が挙げられる。特に、内容物に含まれる香気成分のフィルムへの収着・吸着が少なく、酸素バリア性にも優れる点から、シール強度の経時低下も少ないため、揮発性成分を含む食品、医薬品や工業薬品用等に好適に用いることができる。
前記包装袋は、本発明のバリア性ラミネートフィルムのフィルム(I)同士を内側にして重ねてヒートシール、あるいはフィルム(I)側と樹脂フィルム側とを重ね合わせてヒートシールすることにより、フィルム(I)を内側として形成した包装袋であることが好ましい。例えば当該バリア性易開封ラミネートフィルム2枚を所望とする包装袋の大きさに切り出して、それらを重ねて3辺をヒートシールして袋状にした後、ヒートシールをしていない1辺から内容物を充填しヒートシールして密封することで包装袋として用いることができる。さらには自動包装機によりロール状のフィルムを円筒(ピロー)形に端部をシールした後、上下をシールすることにより包装袋を形成することも可能である。
また、フィルム(I)とヒートシール可能な別のフィルム、シート、容器とヒートシールすることにより包装袋・容器・容器の蓋を形成することも可能である。
本発明のバリア性易開封ラミネートフィルムを用いた包装材は、特に開封のための工夫は必要としないが、初期の引裂き強度を弱め、開封性を向上させたり、開封部を特定の箇所に限定したりするために、シール部にVノッチ、Iノッチ、ミシン目、微多孔などの任意の引き裂き開始部を形成してもよい。
また、本発明のバリア性易開封ラミネートフィルムは高い酸素バリア性を有する事を特徴としていることから、PVDCコート層やポリビニルアルコール(PVA)コート層、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム層、メタキシリレンアジパミドフィルム層、アルミナやシリカなどを蒸着した無機蒸着フィルム層などの一般に使用されているバリア性材料を使用することなく非常に高いレベルのバリア性が発現する。
次に、本発明を、実施例及び比較例により具体的に説明する。例中断りのない限り、「部」「%」は質量規準である。
(製造例1)ポリエステルポリオール(A):Gly(OPAEG)2MAの製造例
本ポリエステルポリオールは、ポリエステルポリオール(A1)、(A2)、(A3)の構造を併せ持つ接着剤の主剤である。攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸1316.8部、エチレングリコール573.9部、グリセリン409.3部及びチタニウムテトライソプロポキシドを多価カルボン酸と多価アルコールとの合計量に対して100ppmに相当する量を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、水酸基価339.9mgKOH/gのポリエステルポリオールを得た。次いで温度を120℃まで下げ、これに無水マレイン酸421.8部を仕込み120℃を保持した。酸価が無水マレイン酸の仕込み量から計算した酸価の概ね半分になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量約520、水酸基価216.6mgKOH/g、酸価96.2mgKOH/gのポリエステルポリオールを得た。ポリエステルポリオール(A)1分子当たりの設計上の官能基の数 水酸基:2個、カルボキシ基:1個である。
(製造例2)ポリエステルポリオール(A):OPAEGの製造例
本ポリエステルポリオールは、ポリエステルポリオール(A4)の構造を持つ接着剤の主剤である。攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸148.1部、エチレングリコール84.2部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.03部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を205℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量600の非晶性ポリエステルポリオールを得た。このポリエステルポリオールは水酸基価190mgKOH/g、酸価1.0mgKOH/gであった。またこのポリエステルポリオール1分子当たりの設計上の官能基の数 水酸基:2個、カルボキシ基:0個であり、更にオルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の、多価カルボン酸全成分に対する含有率は100質量%である。
(製造例3)無水フタル酸、コハク酸、とエチレングリコールとからなる非晶性ポリエステルポリオール OPASuAEGの製造例
本ポリエステルポリオールは、ポリエステルポリオール(A4)の構造を持つ接着剤の主剤である。攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸647.0部、コハク酸277.8部、エチレングリコール575.2部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.12部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を205℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量600の非晶性ポリエステルポリオールを得た。このポリエステルポリオールは水酸基価190mgKOH/g、酸価1.0mgKOH/gであった。またこのポリエステルポリオール1分子当たりの設計上の官能基の数 水酸基:2個、カルボキシ基:0個であり、更にオルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の、多価カルボン酸全成分に対する含有率は70質量%である。
(製造例4)ポリエステルポリオール(A):THEI(OPAEG)3の製造例
本ポリエステルポリオールは、ポリエステルポリオール(A5)の構造を持つ接着剤の主剤である。攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸1136.5部、エチレングリコール495.3部、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート668.1部及びチタニウムテトライソプロポキシドを多価カルボン酸と多価アルコールとの合計量に対して100ppmに相当する量を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量約860、水酸基価195.4mgKOH/g、酸価0.9mgKOH/gのポリエステルポリオールを得た。ポリエステルポリオール(A)1分子当たりの設計上の官能基の数 水酸基:3個、カルボキシ基:0個である。
(ポリイソシアネートB−1)
三井化学製「タケネートD−110N」(メタキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体)と三井化学製「タケネート500」(メタキシリレンジイソシアネート不揮発分)を50/50(質量比)の割合で混合しポリイソシアネートB−1とした。不揮発分は87.5%、NCO%28.1%である。
(ポリイソシアネートB−2)
住化バイエルウレタン製「デスモジュールN3200」(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体)と三井化学製「タケネート500」を33/67(質量比)の割合で混合しポリイソシアネートB−2とした。不揮発分は99%以上、NCO%は37.4%である。
前述で得られたポリエステルポリオールとポリイソシアネートとを表1記載の質量比で配合し、バリア性接着剤(A〜E)を得た。
Figure 0005835615
(比較例用接着剤)
溶剤型ラミネート用接着剤の主剤であるディックドライLX−703VL(DICグラフィックス社製:ポリエステルポリオール、不揮発分/約62%)100部と、前述のポリイソシアネートB−1を9部とを混合して、比較用接着剤を得た。
(塗工、エージング方法1)
接着剤A〜D及び比較用接着剤は溶剤型接着剤である。フィルム(I)にバーコーターを用いて、塗布量5.0g/m(固形分)となるように塗布し、温度70℃に設定したドライヤーで希釈溶剤を揮発させ乾燥し、接着剤が塗布されたフィルム(I)の接着層面と、樹脂フィルムとラミネートした。次いで、このラミネートフィルムを40℃/3日間のエージングを行い、接着剤の硬化を行って、バリア性ラミネートフィルムを得た。
(塗工、エージング方法2)
接着剤Eは無溶剤型である。これを約80℃に加熱し、無溶剤用テストコーターポリタイプ社製ロールコーターを用いて、フィルム(I)に塗布量5.0g/mになるよう塗布後、塗布面を樹脂フィルムとラミネートし、ラミネートフィルムを作成した。次いで、このラミネートフィルムを40℃×3日間のエージンングを行い、接着剤の硬化を行って、バリア性ラミネートフィルムを得た。
<評価方法>
(1)接着強度
エージングが終了したラミネートフィルムを、塗工方向と平行に15mm幅に切断し、樹脂フィルムとフィルム(I)との間を、(株)オリエンテック製テンシロン万能試験機を用いて、雰囲気温度25℃、剥離速度を300mm/分に設定し、180°剥離方法で剥離した際の引っ張り強度を接着強度とした。接着強度の単位はN/15mmとした。
接着強度が2N/15mm以上のものを〇、2N/15mm未満のものを×とした。
(2)酸素透過度
エージングが終了したラミネートフィルムを、モコン社製酸素透過率測定装置OX−TRAN2/21MHを用いてJIS−K7126(等圧法)に準じ、23℃90%RHの雰囲気下で測定した。なおRHとは、湿度を表す。
(3)保香特性
エージングが終了したラミネートフィルムを10cm×15cm角に切断した。フィルムの長辺側を半分に折りまげ、10cm×7.5cm角の内の2辺を160℃、1秒でヒートシールした後、醤油を1cc入れ、残り1辺をヒートシールして3方シール型で密閉した。この袋をただちに柏洋硝子(株)製のマヨネーズ瓶(M−70)に入れ密閉し、温度27℃、相対湿度60%下で2ヶ月間以上保存した。各経時毎に官能試験により臭気漏れの有無を確認した。3日以内に臭気漏れしたものを×、7日以内に臭気漏れしたものを△、14日以内に臭気漏れしたものを○、2ヶ月以上臭気漏れがしなかったものを◎とした。
(4)ラミネート強度、外観
エージングが終了したラミネートフィルムを、フィルム(I)面同士に、10cm×10cmの正方形状大きさのサンプルを重ね合わせ、シール温度200℃、シール圧力 0.2MPa、シール時間 1秒、シール幅幅8mm、の条件で3方向をシールし、袋を作成した。袋に20mlの100%エタノール溶液を注入し、上記シール条件で封入した。エタノール注入袋を24℃、50%湿度の恒温室で、1ヶ月放置した後、溶液を取り出し、フィルム外観やシール強度(ラミネート強度)を測定した。強度が2N/15mm以上のものを〇、2N/15mm未満のものを×とした。フィルム外観の評価としては、フィルム外観変化なしのものを〇、フィルム(I)と樹脂フィルムとの間に水脹れ状浮きが発生したものを×とした。
(5)包装機械特性
エージングが終了したフィルムを自動包装機にて、シール面同士の面々シールして、製袋した。
剥離強度の評価:
ヒートシールされた部分と垂直方向に15mm幅の短冊状のサンプルを切り出し、引張試験機を用いて、300mm/minの速度で剥離したときの最大強度を剥離強度とした。
剥離性の評価:
ヒートシールされたサンプルを剥離したときの挙動について、以下の基準で評価した。
○:フィルムの伸びがなく、スムーズに剥離できた。
△:僅かにフィルムの伸びがあったものの、比較的容易に剥離できた。
×:フィルムが伸びてしまい、容易に剥離できなかった。
(6)PP/PS/PE/A−PET容器への蓋材としての剥離強度
内径90mm、フランジ幅7mmの円形カップ状の各種容器に、エージングが終了したラミネートフィルムを蓋材として使用し、各種シール温度、シール圧力2kg/cm、シール時間2秒間で熱融着させた。容器と蓋材との開封感(易開封性)、シール強度値、及び、剥離面の状態を評価した。
開封感(易開封性):容器から蓋材を剥離させて開封した時の開封感を以下の基準で評価した。
〇:蓋材の剥離に要する力が一定で、容易に円滑に剥離できる。
×:蓋材の剥離に要する力が一定せず、円滑に剥離できない。
剥離状態:容器から蓋材を剥離させて開封した時の剥離部の状態を以下の基準で評価した。
〇:剥離面がきれいに剥離している状態。
×:剥離面に糸引きや毛羽立ち等が発生した、剥離外観が悪い状況で剥離している状態。
実施例1
易開封機能を有する樹脂層(i)として、プロピレン−エチレンコポリマー〔MFR:8g/10分(230℃、21.18N)、融点:138℃;以下、「COPP」と記載〕80部と、低密度ポリエチレン〔密度:0.910g/cm、MFR:7.0g/10分(190℃、21.18N)、融点100℃;以下、「LDPE」と記載〕20部の混合樹脂を用いた。この層(i)をヒートシール層とした。樹脂層(ii)として、メタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体〔密度:0.900g/cm、融点135℃、MFR:4g/10分(230℃、21.18N)、;以下、「MRCP」と記載)を用いた。これらを、樹脂層(i)用押出機、樹脂層(ii)用押出機に供給して200〜250℃で溶融し、その溶融した樹脂をフィードブロックを有するTダイ・チルロール法の共押出多層フィルム製造装置(フィードブロック及びTダイ温度:250℃)にそれぞれ供給して共溶融押出を行って、フィルムの層構成が(i)/(ii)の2層構成で、各層の厚さが10μm/20μm(合計30μm)である共押出多層フィルムを得た。樹脂層(ii)表面にコロナ処理を施した。濡れ試薬による表面張力は40mN/mであった。処理面側に接着剤Aを塗工後、二軸延伸ポリアミド(厚さ15μm)(融点260℃、東洋紡製、以下ONY)をドライラミネートした後、エージングを行い、バリア性易開封ラミネートフィルムを得た。
実施例2
実施例1において、各層の厚さが6μm/24μm(合計30μm)にした以外は実施例1と同様にして共押出多層フィルムを得た。樹脂層(ii)表面にコロナ処理を施し(40mN/m)、処理面側に接着剤Bを塗工後、実施例1と同様にしてバリア性易開封ラミネートフィルムを得た。
実施例3
実施例1において、樹脂層(i)のLDPE20部の代わりに、LDPE10部と、高密度ポリエチレン〔密度:0.960g/cm、融点128℃、MFR:10g/10分(190℃、21.18N);以下、「HDPE」と記載〕10部を用いる以外は、実施例1と同様にして30μmの共押出多層フィルムを得た。樹脂層(ii)表面にコロナ処理を施し(40mN/m)、処理面側に接着剤Cを塗工後、二軸延伸ポリエステル(厚さ12μm)(融点260℃、東洋紡製、以下PET)をドライラミネートした後、エージングを行い、バリア性易開封ラミネートフィルムを得た。
実施例4
実施例1において、樹脂層(i)用の混合樹脂として、エチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体〔密度:0.89g/cm、MFR:6g/10分(230℃、21.18N);以下、「EPB」と記載〕70部と、LDPE30部との混合樹脂を用いる以外は実施例1と同様にして共押出多層フィルムを得たのち、コロナ処理、接着剤Dの塗工、ONYのラミネート、エージングにより、バリア性易開封ラミネートフィルムを得た。
実施例5
実施例1において、樹脂層(i)用の混合樹脂として、MRCP70部とLDPE30部との混合樹脂を用い、樹脂層(ii)用の樹脂として直鎖状中密度ポリエチレン〔密度:0.930g/cm、融点125℃、MFR:5g/10分(190℃、21.18N);以下、「LMDPE」と記載〕を用いる以外は、実施例1と同様にして共押出多層フィルムを得たのち、コロナ処理、接着剤Eの塗工、ONYのラミネート、エージングにより、バリア性易開封ラミネートフィルムを得た。
実施例6
実施例1において、樹脂層(ii)用の樹脂として、LMDPE20部とMRCP80部の混合樹脂を用いる以外は、実施例1と同様にして共押出多層フィルムを得たのち、コロナ処理、接着剤Aの塗工、PETのラミネート、エージングによりバリア性易開封ラミネートフィルムを得た。
実施例7
易開封機能を有する樹脂層(i)として、エチレン・α―オレフィンランダム共重合体〔密度:0.885g/cm、MFR:3.0g/10分(190℃、21.18N);以下、「EBR」と記載〕と、COPPとを隣接させる層構成とした。COPP側にさらにLMDPEが隣接して積層するように、樹脂層(i−1)用押出機、樹脂層(i−2)用押出機、樹脂層(ii)用押出機に供給して200〜250℃で溶融し、その溶融した樹脂をフィードブロックを有するTダイ・チルロール法の共押出多層フィルム製造装置(フィードブロック及びTダイ温度:250℃)にそれぞれ供給して共溶融押出を行って、フィルムの層構成が(i−1)/(i−2)/(ii)の3層構成で、各層の厚さが5μm/5μm/20μm(合計30μm)である共押出多層フィルムを得た。樹脂層(ii)表面のコロナ処理、接着剤Aの塗工、PETのラミネート、エージングによりバリア性易開封ラミネートフィルムを得た。
実施例8
実施例1において、樹脂層(i)用の混合樹脂として、COPP20部とLDPE80部との混合樹脂を用いる以外は実施例1と同様にして、バリア性易開封ラミネートフィルムを得た。
実施例9
実施例2において、樹脂層(i)用の混合樹脂として、COPP20部とLDPE80部との混合樹脂を用いる以外は実施例2と同様にして、バリア性易開封ラミネートフィルムを得た。
実施例10
実施例3において、樹脂層(i)用の混合樹脂として、COPP20部、LDPE40部、HDPE40部の混合樹脂を用いる以外は実施例3と同様にして、バリア性易開封ラミネートフィルムを得た。
実施例11
実施例4において、樹脂層(i)用の混合樹脂として、EPB30部とLDPE70部との混合樹脂を用いる以外は実施例4と同様にして、バリア性易開封ラミネートフィルムを得た。
実施例12
実施例5において、樹脂層(i)用の混合樹脂として、MRCP30部とLDPE70部との混合樹脂を用いる以外は実施例5と同様にして、バリア性易開封ラミネートフィルムを得た。
実施例13
実施例6において、樹脂層(i)用の混合樹脂として、COPP20部とLDPE80部との混合樹脂を用い、樹脂層(ii)用の樹脂として、LMDPE20部と、中密度ポリエチレン〔密度:0.937g/cm、融点126℃、MFR:8.0g/10分(190℃、21.18N);以下、「MDPE」と記載〕80部との混合樹脂を用いる以外は実施例6と同様にして、バリア性易開封ラミネートフィルムを得た。
実施例14
実施例1において、樹脂層(i)用の混合樹脂として、1−ブテン共重合体〔密度:0.900g/cm、融点126℃、MFR:10g/10分(230℃、21.18N);以下、「PB」と記載〕20部と、LDPE80部との混合樹脂を用い、樹脂層(ii)用樹脂として、LMDPEを用いる以外は実施例1と同様にして、各層の厚み(i)/(ii)=15μm/15μm(全厚30μm)の共押出多層フィルムを得た。樹脂層(ii)表面のコロナ処理、接着剤Aの塗工、PETのラミネート、エージングによりバリア性易開封ラミネートフィルムを得た。
実施例15
樹脂層(i)として、EBR90部とMDPE10部との混合樹脂層と、MRCPとを隣接して積層させる層構成とした。EBR側にさらにLDPEが隣接して積層するようにして、LDPE/(EBR+MDPE)/MRCPの3層構成で、各層の厚みが5μm/5μm/20μm(全厚30μm)の共押出多層フィルムを得た。MRCPの樹脂層表面のコロナ処理、接着剤Aの塗工、PETのラミネート、エージングにより、バリア性易開封ラミネートフィルムを得た。
実施例16
樹脂層(i)用の樹脂として、変性ポリエチレン〔東ソー社製、メルセンMX07;以下、「変性PE−1」と記載〕を90部とLDPE10部との混合樹脂を用い、(ii)用の樹脂としてLMDPEを用いる以外は実施例1と同様にして共押出多層フィルムを得た。樹脂層(ii)表面のコロナ処理、接着剤Aの塗工、PETのラミネート、エージングにより、バリア性易開封ラミネートフィルムを得た。
実施例17
実施例16において、樹脂層(i)用の樹脂として、変性ポリエチレン〔三菱化学社製、VMX Z180F;以下、「変性PE−2」と記載〕を用いる以外は実施例16と同様にして、バリア性易開封ラミネートフィルムを得た。
比較例1
LDPEの単層フィルム(厚さ30μm)を用いる以外は実施例1と同様にして、コロナ処理、接着剤Fの塗工、PETのラミネート、エージングにより、ラミネートフィルムを得た。
比較例2
COPPの単層フィルム(厚さ40μm)を用いる以外は比較例1と同様にして、コロナ処理、接着剤Fの塗工、ONYのラミネート、エージングにより、ラミネートフィルムを得た。
比較例3
比較例2において、接着剤Aを用いる以外は、比較例2と同様にしてラミネートフィルムを得た。
実施例、比較例で得られたフィルムについて、前述の評価方法に従い、評価した。結果を表2〜4に示す。
Figure 0005835615
Figure 0005835615
Figure 0005835615

Claims (21)

  1. 易開封機能を有する樹脂層(i)と、ポリオレフィンを主成分とする樹脂層(ii)とを有する多層フィルム(I)と樹脂フィルムとが接着剤によりラミネートされたラミネートフィルムであり、
    前記易開封機能を有する樹脂層(i)が、変性ポリエチレンを主成分とする樹脂層、または、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体を主成分とする層とポリプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂層とが隣接して積層されてなる多層構成の樹脂層であり、
    前記接着剤が、2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(A)と2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(B)とを含有するバリア性接着剤であることを特徴とするバリア性易開封ラミネートフィルム。
  2. 前記ポリエステルポリオール(A)が、芳香族環を有するものである請求項1記載のバリア性易開封ラミネートフィルム。
  3. 前記ポリエステルポリオール(A)が、3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールカルボン酸無水物又はポリカルボン酸とからなる少なくとも1個のカルボキシ基と2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(A1)である請求項1又は2記載のバリア性易開封ラミネートフィルム。
  4. 前記ポリエステルポリオール(A1)の水酸基価が20〜250であり、酸価が20〜200である請求項3記載のバリア性易開封ラミネートフィルム。
  5. 前記ポリエステルポリオール(A)が、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を有するポリエステルポリオール(A2)である請求項1又は2記載のバリア性易開封ラミネートフィルム。
  6. 前記ポリエステルポリオール(A2)を構成する重合性炭素−炭素二重結合を有するモノマー成分が、マレイン酸、無水マレイン酸、又はフマル酸である請求項5記載のバリア性易開封ラミネートフィルム。
  7. 前記ポリエステルポリオール(A2)を構成する全モノマー成分100質量部に対して、重合性炭素−炭素二重結合を有するモノマー成分が、5〜60質量部である請求項5又は6記載のバリア性易開封ラミネートフィルム。
  8. 前記ポリエステルポリオール(A)が、下記一般式(1)で表されるポリエステルポリオール(A3)である請求項1又は2記載のバリア性易開封ラミネートフィルム。
    Figure 0005835615
    [式(1)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は下記一般式(2)
    Figure 0005835615
    〔式(2)中、nは1〜5の整数であり、Xは置換基を有してもよい1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、又は2,3−アントラセンジイル基であって繰り返し単位ごとに同一であっても異なっていてもよく、Yは繰り返し単位ごとに同一であっても異なっていてもよい炭素原子数2〜6のアルキレン基である。〕
    で表される基であって、R〜Rのうち少なくとも一つは、一般式(2)で表される基である。]
  9. 前記ポリエステルポリオール(A)が、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種を含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分を重縮合したポリエステルポリオール(A4)である請求項1又は2記載のバリア性易開封ラミネートフィルム。
  10. オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物が、オルトフタル酸またはその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸またはその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸またはその無水物、及び2,3−アントラセンジカルボン酸またはその無水物から成る群から選ばれる少なくとも1つの多価カルボン酸またはその無水物である請求項9記載のバリア性易開封ラミネートフィルム。
  11. オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の、多価カルボン酸全成分に対する含有率が70〜100質量%である請求項9又は10記載のバリア性易開封ラミネートフィルム。
  12. ポリエステルポリオール(A)が、下記一般式(3)で表されるイソシアヌル環を有するポリエステルポリオール(A5)である請求項1又は2記載のバリア性易開封ラミネートフィルム。
    Figure 0005835615
    [式(3)中、R〜Rは各々独立して、−(CHn1−OH(但しn1は2〜4の整数である)、又は下記一般式(4)
    Figure 0005835615
    〔式(4)中、n2は2〜4の整数であり、n3は1〜5の整数であり、Xは置換基を有してもよい1,2−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、2,3−ナフチレン基、2,3−アントラキノンジイル基、又は2,3−アントラセンジイル基であって繰り返し単位ごとに同一であっても異なっていてもよく、Yは繰り返し単位ごとに同一であっても異なっていてもよい炭素原子数2〜6のアルキレン基である。〕
    で表される基であって、R1、R2及びR3の少なくとも1つは前記一般式(4)で表される基である。]
  13. 前記ポリイソシアネート(B)が芳香族環を有するポリイソシアネートを含有するものである請求項1〜12の何れか1項記載のバリア性易開封ラミネートフィルム。
  14. 芳香族環を有するポリイソシアネートが、メタキシレンジイソシアネート、又はメタキシレンジイソシアネートと2個以上の水酸基を有するアルコールとの反応生成物である請求項13記載のバリア性易開封ラミネートフィルム。
  15. 前記易開封機能を有する樹脂層(i)が、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合樹脂を主成分とする層である請求項1〜14の何れか1項記載のバリア性易開封ラミネートフィルム。
  16. 前記多層フィルム(I)の厚みが15〜100μmの範囲である請求項1〜15の何れか1項記載のバリア性易開封ラミネートフィルム。
  17. 前記多層フィルム(I)が、共押出積層体である請求項1〜16の何れか1項記載のバリア性易開封ラミネートフィルム。
  18. 前記樹脂フィルムが二軸延伸ポリプロピレン又は二軸延伸ポリエステルである請求項1〜17の何れか1項記載のバリア性易開封ラミネートフィルム。
  19. 請求項1〜18の何れか1項記載のバリア性易開封ラミネートフィルムからなることを特徴とする包装材。
  20. 容器の蓋材である請求項19記載の包装材。
  21. 食品用、医薬品用又は工業薬品用である請求項19又は20記載の包装材。
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