JP2004292665A - 塗料用ポリエステル樹脂、水分散体、樹脂組成物および塗装金属板 - Google Patents
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Abstract
【課題】加工性、耐レトルト性を備えつつ、フレーバー性などの内容物性に優れる水系ポリエステル樹脂、および水系ポリエステル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリアルコール成分の合計量を100モル%としたとき、1級水酸基を2個以上有し、かつ2級水酸基を1個以上有する3価以上のポリアルコール(B)を10モル%以上含み、酸価が150eq/106g以上であることを特徴とする塗料用ポリエステル樹脂、樹脂組成物、およびそれを塗布した塗装金属板に関する。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリアルコール成分の合計量を100モル%としたとき、1級水酸基を2個以上有し、かつ2級水酸基を1個以上有する3価以上のポリアルコール(B)を10モル%以上含み、酸価が150eq/106g以上であることを特徴とする塗料用ポリエステル樹脂、樹脂組成物、およびそれを塗布した塗装金属板に関する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、飲料缶、食品缶等の缶用、特にその内面用として好適で、フレーバー性、耐内容物性に優れる塗料用樹脂、および樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
飲料缶、食品缶などの金属缶の内面には食品による金属の腐食防止(耐食性)、内容物のフレーバー、風味を損なわない(フレーバー性)ために有機樹脂によるコーティングが施されている。現状では上記した耐食性、フレーバー性、缶の成形加工に耐えうる塗料として、特に飲料用としては水系のエポキシ−アクリル系塗料が主流となっている。この塗料から得られる塗膜は加工性、フレーバー性(内容物の保香性)に優れるという特徴がある。しかしながら近年、エポキシ系塗料は原料となるビスフェノール化合物が内分泌撹乱物質(いわゆる環境ホルモン)の疑いがあり他素材への代替が取り組まれている。
【0003】
代替素材としてポリエステル樹脂を用い、これを使用した塗料が検討されている。例えば缶内面塗料用ポリエステル樹脂としては前記した塗料が問題にしている加工性、耐レトルト性、フレーバー性が優れると記載されている(例えば特許文献1〜5参照)。しかしながらこの内、フレーバー性は昨今の淡い味の清涼飲料水や酎ハイが要求するフレーバー性のレベルには残念ながら到達できていない。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−315251号公報(特許請求の範囲、実施例)
【特許文献2】
特開2001−81160号公報(特許請求の範囲、実施例)
【特許文献3】
特開2002−179996号公報(特許請求の範囲、実施例)
【特許文献4】
特開2001−2905(実施例)
【特許文献5】
特開平5−112755号公報(特許請求の範囲、実施例)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は現行の水系エポキシ−アクリル系塗料に代わり得る、加工性、耐レトルト性を備えつつ、フレーバー性などの内容物性に優れる水系ポリエステル樹脂、および水系ポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、以下の塗料用ポリエステル樹脂、水分散体、樹脂組成物および塗装金属板に関する。
【0007】
(1) ポリアルコール成分の合計量を100モル%としたとき、1級水酸基を2個以上有し、かつ2級水酸基を1個以上有する3価以上のポリアルコール(B)を10モル%以上含み、酸価が150eq/106g以上であることを特徴とする塗料用ポリエステル樹脂(A)。
【0008】
(2) ポリアルコール(B)がグリセリンである(1)記載の塗料用ポリエステル樹脂(A)。
【0009】
(3) (1)または(2)に記載のポリエステル樹脂(A)を塩基性化合物で中和し、水、或いは水/有機溶剤中に分散した塗料用ポリエステル樹脂水分散体。
【0010】
(4) (3)記載のポリエステル樹脂水分散体に、さらに架橋剤(C)を含有することを特徴とする塗料用ポリエステル樹脂組成物。
【0011】
(5) (4)記載のポリエステル樹脂組成物を塗布した塗装金属板。
【0012】
【発明実施の形態】
以下、本発明の塗料組成物について、更に詳細に説明する。
ポリエステル樹脂(A)
本発明のポリエステル樹脂(A)は全ポリアルコール成分の内、1級水酸基を2個以上有し、かつ2級水酸基を1個以上有する3価以上のポリアルコール(B)を10モル%以上含み、酸価が150eq/106g以上有することを特徴とする。ポリアルコール(B)は本発明のポリエステル樹脂(A)を合成する際に、その反応性の差異からまずの1級水酸基が多価カルボン酸と縮合し、2級水酸基は未反応のまま分子中に残される。そのため本発明のポリエステル樹脂(A)の分子鎖は水酸基に修飾された構造となる。この水酸基はポリエステル樹脂間の水素結合性、樹脂の親水性化、硬化剤との架橋性等は顕著になるため、バリアー性を高め、飲料等に含まれる香味成分との親和性は低下し吸着は抑制されると考えられる。ポリアルコール(B)は好ましくは15モル%以上、より好ましくは20モル%以上、次に好ましくは30モル%以上、更に好ましくは50モル%使用する。ポリアルコール(B)が10モル%未満だとフレーバー性が得られない場合がある。ポリアルコール(B)としては、例えばグリセリン、ポリグリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、1,2,3,4−ブタンテトロール、アドニトール、アラビトール、ダルシトール、マンニトール、ソルビトール等があり、この中から1種、または2種以上任意に選択し使用できる。衛生性、生産性の点からグリセリンを使用することが好ましい。
【0013】
本発明のポリエステル樹脂(A)に使用できるその他のポリアルコール成分としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,6−ヘキサンジオール、4−メチル−1,7−ヘプタンジオール、4−メチル−1,8−オクタンジオール、4−プロピル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のエーテルグリコール類、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカングリコールなどの脂環族ポリアルコール類、ビスフェノール−Aのエチレンオキシド(あるいはアルキレンオキシド)付加物等、ビスフェノール−A、およびビスフェノール−Fのアルキレンオキサイド付加物類の水添加ビスフェノール類等の脂環族ポリアルコール、o,m,p−キシリレングリコール、1,2−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノール−Fのエチレンオキシド付加物、4,4’−ビス(ヒドロキシエトキシ)ビフェニルトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等の3価以上のポリアルコール等が挙げることができ、これらの中から1種、又はそれ以上を任意に組み合わせ使用できる。
【0014】
本発明のポリエステル樹脂(A)に使用されるカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、5−スルホン酸ナトリウムイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸(およびこれらのアルキルアルコールエステル類)、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、テルペン−マレイン酸付加体などの不飽和ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、1,2−シクロヘキセンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、(無水)トリメリト酸、(無水)ピロメリト酸、メチルシクロへキセントリカルボン酸等の3価以上のカルボン酸、ジフェノール酸(4,4−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−ペンタン酸)、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシエトキシ安息香酸、3−ヒドロキシエトキシ安息香酸、2−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸、m−ヒドロキシフェニル酢酸、o−ヒドロキシフェニル酢酸、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、m−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、o−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、4−ヒドロキシフェニルピルビン酸、4−ヒドロキシメチル安息香酸、ホモバニリン酸、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3−ヒドロキシイソフタル酸、安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、クロトン酸等の芳香族モノカルボン酸、およびこれらのアルキルエステル化合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’、4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物等のカルボン酸無水物、が挙げられ、これらの中から1種または2種以上を選択し使用できる。好ましくは芳香族ジカルボン酸を80モル%を下限として使用する。
【0015】
本発明のポリエステル樹脂(A)は前記したカルボン酸、あるいはそのアルキルエステル化合物(例えばメチルエステルなど)と前記したポリアルコール化合物を用い、エステル化、エステル交換反応を行い、窒素気流下で重縮合、又は減圧下で重縮合を行い得ることができる。その後、水系化に必要なカルボキシル基を重合後に窒素雰囲気下、220℃以下、好ましくは180℃以下で酸無水物を添加する方法、或いは重縮合前に高酸価とし、これを残しつつ重縮合する方法などの方法がある。酸価をコントロールする上では前者の方法が望ましい。ポリエステル樹脂(A)を水系化するには酸価150eq/106g以上であることが望ましく、好ましくは180eq/106g以上、更に好ましくは200eq/106g以上とするのが良い。上限は特に限定されないが、耐水性等の観点から800eq/106g以下、好ましくは600eq/106g以下が望ましい。
【0016】
また、本発明のポリエステル樹脂(A)を製造する際、ポリオール(B)は3価以上の水酸基を有するため、重縮合中にゲル状物を生じ易い。これを抑制するためには減圧重合時の温度を240℃以下、好ましくは230℃以下に保つ方法、チタン、錫、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウムなどの酸化物、アルキルエステル、酢酸塩などの重合触媒を500ppmを上限、好ましくは300ppmを上限、更に好ましくは200ppmを上限として重合する方法、窒素気流下で徐々に分子量を上げていく方法等がある。或いは生じたゲル状物を熱溶融時、あるいは溶解後や水分散後にフィルターなどで除いた樹脂を使用しても良い。
【0017】
本発明に使用されるポリエステル樹脂(A)の数平均分子量は1,000〜100,000であり、好ましくは1,500〜50,000である。なお、ここで言う数平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものである。
【0018】
架橋剤(C)
本発明に使用できる架橋剤(C)としてはフェノール樹脂、アミノ樹脂、イソシアネート化合物、エポキシ樹脂などが挙げられ、これらの中から1種、または2種以上を任意に選択し、使用できる。この内、ポリエステル樹脂と硬化性に富み、芳香環を有するフェノール樹脂(レゾール型フェノール樹脂)が好ましい。
【0019】
フェノール樹脂
フェノール樹脂としては、例えばフェノール、o−クレゾール、p−クレゾール、m−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−エチルフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、m−エチルフェノール、3,5−キシレノール、m−メトキシフェノール、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F等のフェノール化合物にホルマリン、パラホルムアルデヒドまたはトリオキサン等によりメチロール化されたレゾール型フェノール樹脂や、これをメタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノールでアルキルエーテル化したレゾール型フェノール樹脂が挙げられ、これらの中から1種、又は2種以上を併用するなどして使用して良い。
【0020】
アミノ樹脂
本発明に使用できる架橋剤(C)に使用できるアミノ樹脂としては、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド、などのアミノ成分と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンツアルデヒドなどのアルデヒド成分との反応によって得られるメチロール化アミノ樹脂が挙げられる。このメチロール化アミノ樹脂のメチロール基を炭素原子数1〜6のアルコールによってエーテル化したものも上記アミノ樹脂に含まれる。
【0021】
これらの内、単独或いは併用して使用できる。衛生上、メラミン、ベンゾグアナミンを使用したアミノ樹脂が好ましく、更に好ましくは耐レトルト性に優れるベンゾグアナミンを使用したアミノ樹脂である。
【0022】
ベンゾグアナミンを使用したアミノ樹脂としては、メチロール化ベンゾグアナミン樹脂のメチロール基を一部又は全部を、メチルアルコールによってエーテル化したメチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、ブチルアルコールによってブチルエーテル化したブチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、或いはメチルアルコールとブチルアルコールとの両者によってエーテル化したメチルエーテル、ブチルエーテルとの混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂が好ましい。上記、ブチルアルコールとしてはイソブチルアルコール、n−ブチルアルコールが好ましい。メラミンを使用したアミノ樹脂としては、メチロール化メラミン樹脂のメチロール基を一部又は全部を、メチルアルコールによってエーテル化したメチルエーテル化メラミン樹脂、ブチルアルコールによってブチルエーテル化したブチルエーテル化メラミン樹脂、或いはメチルアルコールとブチルアルコールとの両者によってエーテル化したメチルエーテル、ブチルエーテルとの混合エーテル化メラミン樹脂が好ましい。これらの中から1種、又は2種以上を併用して使用して良い。
【0023】
イソシアネート化合物
本発明の架橋剤(C)に使用できるイソシアネート化合物としては芳香族、脂環族、脂肪族のジイソシアネート化合物、3価以上のポリイソシアネート化合物があり、低分子化合物、高分子化合物のいずれでも良い。例えばテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、或いはこれらイソシアネート化合物の3量体、およびこれらイソシアネート化合物の過剰量と例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性化合物または各種ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物等と反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物が挙げられる。これらの中から1種、又は2種以上使用して良い。
【0024】
また、塗料としてポットライフが必要な場合、イソシアネート化合物としてはブロック化イソシアネート化合物の使用が好ましい。イソシアネートブロック剤としては例えば、フェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等のフェノール類、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール等のハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−ペンタノール等の第3級アルコール類、ε−カプロラクタム等のラクタム類が挙げられ、そのほかにも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられる。ブロック化イソシアネート化合物は前記イソシアネート化合物とブロック化剤とを従来公知の方法により、反応させて得られ、同じくそれぞれ単独、または併用して使用できる。
【0025】
エポキシ樹脂
本発明の架橋剤(C)としてはエポキシ樹脂も使用できる。例えば、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル、およびそのオリゴマー、オルトフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−ヒドロキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、およびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリト酸トリジグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−グリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタングリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。これらはそれぞれ単独、または併用して使用することができる。
【0026】
本発明の缶内面塗料組成物には使用する架橋剤(C)は、フェノール樹脂、アミノ樹脂、イソシアネート化合物、エポキシ樹脂などの併用が可能である。またこれらの種類に応じて硬化触媒を使用することができる。例えば、フェノール樹脂、アミノ樹脂を使用する場合は有機スルホン酸、有機カルボン酸、リン酸類、およびこれらのアミン中和物を使用しても良い。イソシアネート化合物を使用する場合は有機スズ化合物、三級アミン化合物、およびその塩類を使用しても良い。エポキシ樹脂を使用する場合はアミン化合物、有機リン化合物を使用しても良い。これらの触媒は1種、または2種以上を任意に選択し、使用できる。
【0027】
本発明のポリエステル樹脂(A)は、それ以外のポリエステル樹脂と併用しても同様のフレーバー性が得られる場合がある。この場合、全樹脂中(ポリエステル樹脂(A)+硬化剤を含めたその他の樹脂)にポリエステル樹脂(A)が含まれる割合は20重量%を以上とし、好ましくは30重量%以上、更に好ましくは40重量%以上である。
【0028】
本発明の缶内面塗料用樹脂組成物とするためは、ポリエステル樹脂(A)を水、又は水/有機溶剤中へ分散し使用する。製膜性や塗膜の乾燥性、再溶解性、分散安定性を保つためには、好ましくは有機溶剤を併用した方が良い。この有機溶剤はポリエステル樹脂(A)の可塑効果があり、かつ両親媒性を有するものが好ましく、例えばエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、等の環状エーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、二塩基酸エステル等のエステル類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル等を例示することが出来る。
【0029】
本発明のポリエステル樹脂(A)を水系化する際に使用する塩基性化合物としては塩基性化合物としては塗膜形成時の焼付で揮散する化合物が好ましく、アンモニアおよび/または沸点が250℃以下の有機アミン化合物等を使用する。好ましくは、例えばトリエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げることが出来る。これら塩基性化合物は(A)ポリエステル樹脂の酸価に対して、少なくとも部分中和し得る量を必要とし、具体的には酸価に対して0.5〜1.5当量を添加することが望ましい。0.5当量未満だと水への分散化の効果が低く、1.5当量を超えるとポリエステル樹脂水分散体が著しく増粘したり、ポリエステルが加水分解を起こす可能性がある。
【0030】
本発明のポリエステル樹脂(A)を水系化する方法としては、ポリエステル樹脂(A)と水、前記した塩基性化合物を加え、加熱し分散する方法、ポリエステル樹脂(A)と水、前記した有機溶剤、前記した塩基性化合物を加え、加熱し分散する方法、ポリエステル樹脂(A)を前記した有機溶剤に溶解し、前記した塩基性化合物、水を逐次加え分散する方法等がある。また、有機溶剤を減量、あるいは完全に水系化したい場合は加熱、もしくは減圧下で溶剤を抜き取ることも可能である。
【0031】
また、本発明の缶内面塗料用樹脂組成物には潤滑剤を含有することができ、樹脂分(ポリエステル樹脂+架橋剤)100重量部に対し0.1〜10重量部が好ましい。これは製缶時の塗膜の傷付きを抑制したり、成形加工時の塗膜の滑りを向上させる効果がある。特にDI加工、DRD加工時に効果がある。使用する潤滑剤は、例えばポリオール化合物と脂肪酸とのエステル化物である脂肪酸エステルワックス、シリコン系ワックス、フッ素系ワックス、ポリエチレンなどのポリオレフィンワックス、ラノリン系ワックス、モンタンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバろう、及びシリコン系化合物等を挙げることができる。潤滑剤は1種、または2種以上を混合し使用できる。
【0032】
前記した架橋剤、潤滑剤はポリエステル樹脂(A)を水系化したものに添加する方法、ポリエステル樹脂(A)を水結果する過程で添加し、同時に水に分散する方法などがある。分散安定化を望む場合は後者の方法がよい。
【0033】
本発明の塗料用樹脂組成物は飲料缶、食品用缶、その蓋、キャップ等に用いることができる金属板であればいずれへも、その内外面に塗装し使用でき、例えばブリキ板、ティンフリースティール、アルミ等を挙げることができる。これらの金属板にはあらかじめリン酸処理、クロム酸クロメート処理、リン酸クロメート処理、その他の防錆処理剤などの防食、塗膜の密着性向上を目的とした表面処理を施したものを使用しても良い。
【0034】
また、本発明以外のフレーバー性に劣る塗料を下塗りし、上塗に本発明のフレーバー性が優れる塗料を塗装しても良い。
【0035】
本発明の塗料組成物はロールコーター塗装、スプレー塗装などの公知の塗装方法によって塗装し、本発明の塗装金属板を得ることができる。塗装膜厚は特に限定されるものではないが、乾燥膜厚で3〜18μm、更には3〜10μmの範囲であることが好ましい。塗膜の焼付条件は通常、約100〜300℃の範囲で約5秒〜約30分の程度であり、更には約150〜270℃の範囲で、約30〜約15分の程度である事が好ましい。
【0036】
本発明のポリエステル樹脂(A)はポリエステル分子鎖中に水酸基を有することが特徴となっており、缶塗料だけでなく家電や建材用途に用いられるプレコートメタル用塗料としても使用できる。また、分子鎖中の水酸基を利用してバリアー性の要求される用途でのコーティング剤や、あるいは接着剤としての利用も可能である。
【0037】
【実施例】
以下実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。実施例において単に部とあるものは重量部を示す。
各測定項目は以下の方法に従った。
【0038】
(1)ポリエステル樹脂の組成
200MHzの核磁気共鳴スペクトル装置を用い、ポリエステル樹脂の酸成分、アルコール成分の定量を行った。
【0039】
(2)ポリエステル樹脂の還元粘度測定
ポリエステル樹脂0.10gをフェノール/テトラクロロエタン(重量比6/4)の混合溶媒25ccに溶かし、30℃で測定した。
【0040】
(3)ガラス転移温度の測定
示差走査熱量計(DSC)を用いて20℃/分の昇温速度で測定した。
【0041】
(4)酸価の測定
ポリエステル0.2gを20mlのクロロホルムに溶解し、0.1NのKOHエタノール溶液で滴定し、樹脂106g当りの当量(eq/106g)を求めた。
【0042】
(5)水酸基価の測定
無水酢酸/ピリジン溶液(0.5モル/L)のアセチル化剤で0.5gのポリエステル樹脂の水酸基をアセチル化し、過剰の酢酸を0.2Nの水酸化ナトリウム−メタノール溶液で滴定(指示薬はフェノールフタレインを使用)し、樹脂106g当りの当量(eq/106g)を求めた。
【0043】
評価項目
(6)テストピースの作成
加工性、耐レトルト性、フレーバー性試験用アルミ塗装金属板
アルミ材(#5052、70mm×150mm×0.5mm)にバーコーターで膜厚が10μmになるように塗装し、硬化焼き付けを行い、これを試験片とした。焼付条件は230℃(雰囲気温度)×3分とした。
【0044】
(7)加工性
アルミ試験片と同じ厚さの金属板を1枚挟み180度方向に折り返し、万力を使用折り曲げる。この曲げ加工部を1%NaCl水溶液に浸漬したスポンジに接触させ5.5Vの電圧をかけたときの通電値により評価した。通電値が小さい方(≦1.5mA)が良好である。
【0045】
(8)耐レトルト性
アルミ試験片を立ててステンレスカップに入れ、これにイオン交換水を試験片の半分の高さまで注ぐ。これを圧力釜の中に設置し、125℃×30分のレトルト処理を行う。処理後の評価は水中部分と蒸気部分とで行い、それぞれ白化の度合いを目視で以下のように判定する。
◎:良好
○:わずかに白化はあるがブリスターは無し
△:若干白化、または若干のブリスターあり
×:著しい白化、または著しいブリスターあり
【0046】
(9)フレーバー性
アルミ試験片を立ててガラスカップに入れ、これにD−リモネンを注ぎ試験片を浸す。これを密閉し、30℃の雰囲気下で1週間保存する。試験片を取り出し、塗膜の重量増加分からD−リモネン吸着量を算出し、塗膜単位重量あたりのD−リモネン吸着量[mg(リモネン吸着量)/g(塗膜重量)]を算出した。吸着量が少ないほどフレーバー性が良好と判断した。
【0047】
本発明のポリエステル樹脂(A)の合成
ポリエステル樹脂(a)の合成例
テレフタル酸114部、イソフタル酸266部、エチレングリコール43部、2−メチル−1,3−プロパンジオール125部、グリセリン128部、チタンテトラブトキシド0.12部を2Lフラスコに仕込み、4時間かけて220℃まで徐々に昇温し、水を留出させながらエステル化反応を行なった。所定量の水が留出した後、30分かけて10mmHgまで減圧初期重合を行なうとともに温度を230℃まで昇温し、更にこのまま1mmHg以下で30分間後期重合を行なった後、減圧重合を止め、窒素気流下で180℃まで冷却する。冷却後、無水トリメリト酸を14部添加し、そのまま30分攪拌し、カルボン酸修飾を行ったのち、樹脂を取り出し本発明のポリエステル樹脂(a)を得た。組成と特性値は表1に示す。
【0048】
ポリエステル樹脂(b)の合成例
テレフタル酸186部、イソフタル酸186部、エチレングリコール42部、ネオペンチルグリコール105部、グリセリン155部、チタンテトラブトキシド0.12部を2Lの四つ口フラスコに仕込み、4時間かけて220℃まで徐々に昇温し、水を留出させエステル化を行った。所定量の水を留出させた後、30分かけて10mmHgまで減圧初期重合を行なうとともに温度を230℃まで昇温し、更にこのまま1mmHg以下で40分間後期重合を行なった後、減圧重合を止め、窒素気流下で180℃まで冷却する。冷却後、無水トリメリト酸を4部、エチレングリコールビストリメリテート二無水物19部添加し、そのまま30分攪拌し、カルボン酸修飾を行ったのち、樹脂を取り出し本発明のポリエステル樹脂(b)を得た。組成と特性値は表1に示す。
【0049】
ポリエステル樹脂(c)の合成例
テレフタル酸109部、イソフタル酸253部、エチレングリコール41部、1,4−シクロヘキサンジメタノール94部、グリセリン165部、ジブチルスズオキシド0.14部を2Lの四つ口フラスコに仕込み、3時間かけて220℃まで徐々に昇温し、水を留出させエステル化を行った。所定の水を留出させた後、30分かけて10mmHgまで減圧初期重合を行なうとともに温度を230℃まで昇温し、更にこのまま1mmHg以下で40分間後期重合を行なった後、減圧重合を止め、窒素気流下で180℃まで冷却する。冷却後、無水トリメリト酸を9部、無水フタル酸7部添加し、そのまま30分攪拌し、カルボン酸修飾を行ったのち、樹脂を取り出し本発明のポリエステル樹脂(c)を得た。
【0050】
ポリエステル樹脂(d)の合成例
テレフタル酸114部、イソフタル酸266部、エチレングリコール43部、2−メチル−1,3−プロパンジオール125部、グリセリン128部、チタンテトラブトキシド0.12部を2Lフラスコに仕込み、4時間かけて220℃まで徐々に昇温し、水を留出させながらエステル化反応を行なった。所定量の水が留出した後、30分かけて10mmHgまで減圧初期重合を行なうとともに温度を230℃まで昇温し、更にこのまま1mmHg以下で30分間後期重合を行ない減圧重合を止め、窒素気流下で180℃まで冷却する。冷却後、無水フタル酸を24部添加し、そのまま30分攪拌し、カルボン酸修飾を行ったのち、樹脂を取り出し本発明のポリエステル樹脂(d)を得た。組成と特性値は表1に示す。
【0051】
ポリエステル樹脂(e)の合成例
テレフタル酸142部、イソフタル酸212部、1,4−ブタンジオール72部、1,4−シクロヘキサンジメタノール115部、グリセリン147部、チタンテトラブトキシド0.15部を2Lの四つ口フラスコに仕込み、4時間かけて220℃まで徐々に昇温し、水を留出させエステル化を行った。所定量の水を留出させた後、30分かけて10mmHgまで減圧初期重合を行なうとともに温度を230℃まで昇温し、更にこのまま1mmHg以下で50分間後期重合を行ない、減圧重合を止め、窒素気流下で160℃まで冷却する。冷却後、無水トリメリト酸を8部、エチレングリコールビストリメリテート二無水物9部を添加し、そのまま30分攪拌し、カルボン酸修飾を行ったのち、樹脂を取り出し本発明のポリエステル樹脂(e)を得た。組成と特性値は表1に示す。
【0052】
ポリエステル樹脂(f)の合成例
ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル157部、ジメチルイソフタレート292部、エチレングリコール40部、2−メチル−1,3−プロパンジオール250部、グリセリン79部、ジブチルスズオキシド0.15部を2Lの四つ口フラスコに仕込み、4時間かけて220℃まで徐々に昇温し、メタノールを留出させエステル交換反応を行った。所定量のメタノールを留出させた後、30分かけて10mmHgまで減圧初期重合を行なうとともに温度を230℃まで昇温し、更にこのまま1mmHg以下で30分間後期重合を行ない、減圧重合を止め、窒素気流下で180℃まで冷却する。冷却後、無水トリメリト酸を17部添加し、そのまま30分攪拌し、カルボン酸修飾を行ったのち、樹脂を取り出し本発明のポリエステル樹脂(f)を得た。組成と特性値は表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
比較合成例 (g)〜(l)
前記した合成例と同様にして、樹脂組成が表2に示されるような比較合成例ポリエステル樹脂(g)〜(l)を得た。
【0055】
【表2】
【0056】
実施例(1)
ポリエステル樹脂(a)30部、メチルエチルケトン30部、n−ブチルセロソルブ10部を四つ口フラスコに入れ、60〜70℃で溶解する。完全に溶解した後、イソプロパノール20部、レゾール型フェノール樹脂PCS−965(昭和高分子(株)製、固形分50%のn−ブタノール溶液)6.6部、N,N−ジメチルエタノールアミン0.9部を加え、次いで水57部添加の後、溶液を60℃にし、真空ポンプの減圧下でメチルエチルケトン、イソプロパノールを留去し、125メッシュのフィルターで濾過し、実施例(1)の水系塗料を得た。固形分配合量と前記した評価結果を表3に示す。
【0057】
実施例(2)〜(9)
実施例(1)と同様にして本発明の塗料樹脂組成物(2)〜(9)を得た。固形分配合量は表3に示す。
【0058】
比較例(1)(溶剤系塗料の調製)
ポリエステル樹脂(g)30部、シクロヘキサノン35部、ソルベッソ−150を35部を四つ口フラスコに入れ、これを80〜90℃で溶解する。溶解終了後、125メッシュのフィルターで濾過し、ポリエステル樹脂(g)のワニスを得た。得られたワニス30部にレゾール型フェノール樹脂PCS−965(昭和高分子(株)製、固形分50%のn−ブタノール溶液)2部、ネイキュア5225を5%に希釈したものを0.6部加え、比較例(1)の溶剤系塗料を得た。固形分配合量を表4に示す。尚、比較例(1)は前述した参考特許である特開2001−81160号公報を再現したものである。
【0059】
比較例(2)〜(9)
比較例塗料組成物(2)〜(7)は比較例(1)と、また水系比較例(8)(9)は実施例(1)と同様に得た。固形分配合量と前記した評価結果を表4に示す。比較例(2)は特開11−315251号公報、比較例(3)は特開平5−112755号公報、比較例(4)は特開2002−179996号公報を再現したものである。
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
フェノール樹脂(m)の合成(特開平11−315251号公報の再現用)
ビスフェノール−A100部、37%ホルムアルデヒド水溶液178部および苛性ソーダ1部を加え、60℃で3時間反応させた後、減圧下、50℃で1時間脱水した。ついでn−ブタノール100部とリン酸3部を加え、110〜120℃で2時間反応を行った。反応終了後、得られた溶液を濾過して生成したリン酸ナトリウムを濾別し、固形分約50%のレゾール型フェノール樹脂架橋剤(m)を得た。得られた樹脂は、数平均分子量900、ベンゼン核1核当たり、平均メチロール基数が0.4個で平均ブトキシメチル基数が1.0個あった。
【0063】
表3〜4で明らかなように、本発明の塗料樹脂組成物を塗布した金属板はその加工性、耐レトルト性に優れ、特にフレーバー性は本発明のポリエステル樹脂を使用することでこれまでにない性能を示している。
【0064】
【発明の効果】
本発明のポリエステル樹脂は缶内面塗料に使用すると優れた加工性、耐レトルト性を示し、更には二級水酸基を有するポリオール、特にグリセリンを使用し高い水酸基を有する骨格にすることで、これまで使用、検討されてきたエポキシ−アクリル系塗料に匹敵する性能とビニル、ポリエステル系塗料の欠点とされてきたフレーバー性(保香性)を解決し、缶塗料、特には内面塗料に好適な樹脂である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、飲料缶、食品缶等の缶用、特にその内面用として好適で、フレーバー性、耐内容物性に優れる塗料用樹脂、および樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
飲料缶、食品缶などの金属缶の内面には食品による金属の腐食防止(耐食性)、内容物のフレーバー、風味を損なわない(フレーバー性)ために有機樹脂によるコーティングが施されている。現状では上記した耐食性、フレーバー性、缶の成形加工に耐えうる塗料として、特に飲料用としては水系のエポキシ−アクリル系塗料が主流となっている。この塗料から得られる塗膜は加工性、フレーバー性(内容物の保香性)に優れるという特徴がある。しかしながら近年、エポキシ系塗料は原料となるビスフェノール化合物が内分泌撹乱物質(いわゆる環境ホルモン)の疑いがあり他素材への代替が取り組まれている。
【0003】
代替素材としてポリエステル樹脂を用い、これを使用した塗料が検討されている。例えば缶内面塗料用ポリエステル樹脂としては前記した塗料が問題にしている加工性、耐レトルト性、フレーバー性が優れると記載されている(例えば特許文献1〜5参照)。しかしながらこの内、フレーバー性は昨今の淡い味の清涼飲料水や酎ハイが要求するフレーバー性のレベルには残念ながら到達できていない。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−315251号公報(特許請求の範囲、実施例)
【特許文献2】
特開2001−81160号公報(特許請求の範囲、実施例)
【特許文献3】
特開2002−179996号公報(特許請求の範囲、実施例)
【特許文献4】
特開2001−2905(実施例)
【特許文献5】
特開平5−112755号公報(特許請求の範囲、実施例)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は現行の水系エポキシ−アクリル系塗料に代わり得る、加工性、耐レトルト性を備えつつ、フレーバー性などの内容物性に優れる水系ポリエステル樹脂、および水系ポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、以下の塗料用ポリエステル樹脂、水分散体、樹脂組成物および塗装金属板に関する。
【0007】
(1) ポリアルコール成分の合計量を100モル%としたとき、1級水酸基を2個以上有し、かつ2級水酸基を1個以上有する3価以上のポリアルコール(B)を10モル%以上含み、酸価が150eq/106g以上であることを特徴とする塗料用ポリエステル樹脂(A)。
【0008】
(2) ポリアルコール(B)がグリセリンである(1)記載の塗料用ポリエステル樹脂(A)。
【0009】
(3) (1)または(2)に記載のポリエステル樹脂(A)を塩基性化合物で中和し、水、或いは水/有機溶剤中に分散した塗料用ポリエステル樹脂水分散体。
【0010】
(4) (3)記載のポリエステル樹脂水分散体に、さらに架橋剤(C)を含有することを特徴とする塗料用ポリエステル樹脂組成物。
【0011】
(5) (4)記載のポリエステル樹脂組成物を塗布した塗装金属板。
【0012】
【発明実施の形態】
以下、本発明の塗料組成物について、更に詳細に説明する。
ポリエステル樹脂(A)
本発明のポリエステル樹脂(A)は全ポリアルコール成分の内、1級水酸基を2個以上有し、かつ2級水酸基を1個以上有する3価以上のポリアルコール(B)を10モル%以上含み、酸価が150eq/106g以上有することを特徴とする。ポリアルコール(B)は本発明のポリエステル樹脂(A)を合成する際に、その反応性の差異からまずの1級水酸基が多価カルボン酸と縮合し、2級水酸基は未反応のまま分子中に残される。そのため本発明のポリエステル樹脂(A)の分子鎖は水酸基に修飾された構造となる。この水酸基はポリエステル樹脂間の水素結合性、樹脂の親水性化、硬化剤との架橋性等は顕著になるため、バリアー性を高め、飲料等に含まれる香味成分との親和性は低下し吸着は抑制されると考えられる。ポリアルコール(B)は好ましくは15モル%以上、より好ましくは20モル%以上、次に好ましくは30モル%以上、更に好ましくは50モル%使用する。ポリアルコール(B)が10モル%未満だとフレーバー性が得られない場合がある。ポリアルコール(B)としては、例えばグリセリン、ポリグリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、1,2,3,4−ブタンテトロール、アドニトール、アラビトール、ダルシトール、マンニトール、ソルビトール等があり、この中から1種、または2種以上任意に選択し使用できる。衛生性、生産性の点からグリセリンを使用することが好ましい。
【0013】
本発明のポリエステル樹脂(A)に使用できるその他のポリアルコール成分としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,6−ヘキサンジオール、4−メチル−1,7−ヘプタンジオール、4−メチル−1,8−オクタンジオール、4−プロピル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のエーテルグリコール類、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカングリコールなどの脂環族ポリアルコール類、ビスフェノール−Aのエチレンオキシド(あるいはアルキレンオキシド)付加物等、ビスフェノール−A、およびビスフェノール−Fのアルキレンオキサイド付加物類の水添加ビスフェノール類等の脂環族ポリアルコール、o,m,p−キシリレングリコール、1,2−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノール−Fのエチレンオキシド付加物、4,4’−ビス(ヒドロキシエトキシ)ビフェニルトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等の3価以上のポリアルコール等が挙げることができ、これらの中から1種、又はそれ以上を任意に組み合わせ使用できる。
【0014】
本発明のポリエステル樹脂(A)に使用されるカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、5−スルホン酸ナトリウムイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸(およびこれらのアルキルアルコールエステル類)、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、テルペン−マレイン酸付加体などの不飽和ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、1,2−シクロヘキセンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、(無水)トリメリト酸、(無水)ピロメリト酸、メチルシクロへキセントリカルボン酸等の3価以上のカルボン酸、ジフェノール酸(4,4−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−ペンタン酸)、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシエトキシ安息香酸、3−ヒドロキシエトキシ安息香酸、2−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸、m−ヒドロキシフェニル酢酸、o−ヒドロキシフェニル酢酸、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、m−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、o−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、4−ヒドロキシフェニルピルビン酸、4−ヒドロキシメチル安息香酸、ホモバニリン酸、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3−ヒドロキシイソフタル酸、安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、クロトン酸等の芳香族モノカルボン酸、およびこれらのアルキルエステル化合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’、4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物等のカルボン酸無水物、が挙げられ、これらの中から1種または2種以上を選択し使用できる。好ましくは芳香族ジカルボン酸を80モル%を下限として使用する。
【0015】
本発明のポリエステル樹脂(A)は前記したカルボン酸、あるいはそのアルキルエステル化合物(例えばメチルエステルなど)と前記したポリアルコール化合物を用い、エステル化、エステル交換反応を行い、窒素気流下で重縮合、又は減圧下で重縮合を行い得ることができる。その後、水系化に必要なカルボキシル基を重合後に窒素雰囲気下、220℃以下、好ましくは180℃以下で酸無水物を添加する方法、或いは重縮合前に高酸価とし、これを残しつつ重縮合する方法などの方法がある。酸価をコントロールする上では前者の方法が望ましい。ポリエステル樹脂(A)を水系化するには酸価150eq/106g以上であることが望ましく、好ましくは180eq/106g以上、更に好ましくは200eq/106g以上とするのが良い。上限は特に限定されないが、耐水性等の観点から800eq/106g以下、好ましくは600eq/106g以下が望ましい。
【0016】
また、本発明のポリエステル樹脂(A)を製造する際、ポリオール(B)は3価以上の水酸基を有するため、重縮合中にゲル状物を生じ易い。これを抑制するためには減圧重合時の温度を240℃以下、好ましくは230℃以下に保つ方法、チタン、錫、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウムなどの酸化物、アルキルエステル、酢酸塩などの重合触媒を500ppmを上限、好ましくは300ppmを上限、更に好ましくは200ppmを上限として重合する方法、窒素気流下で徐々に分子量を上げていく方法等がある。或いは生じたゲル状物を熱溶融時、あるいは溶解後や水分散後にフィルターなどで除いた樹脂を使用しても良い。
【0017】
本発明に使用されるポリエステル樹脂(A)の数平均分子量は1,000〜100,000であり、好ましくは1,500〜50,000である。なお、ここで言う数平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものである。
【0018】
架橋剤(C)
本発明に使用できる架橋剤(C)としてはフェノール樹脂、アミノ樹脂、イソシアネート化合物、エポキシ樹脂などが挙げられ、これらの中から1種、または2種以上を任意に選択し、使用できる。この内、ポリエステル樹脂と硬化性に富み、芳香環を有するフェノール樹脂(レゾール型フェノール樹脂)が好ましい。
【0019】
フェノール樹脂
フェノール樹脂としては、例えばフェノール、o−クレゾール、p−クレゾール、m−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−エチルフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、m−エチルフェノール、3,5−キシレノール、m−メトキシフェノール、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F等のフェノール化合物にホルマリン、パラホルムアルデヒドまたはトリオキサン等によりメチロール化されたレゾール型フェノール樹脂や、これをメタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノールでアルキルエーテル化したレゾール型フェノール樹脂が挙げられ、これらの中から1種、又は2種以上を併用するなどして使用して良い。
【0020】
アミノ樹脂
本発明に使用できる架橋剤(C)に使用できるアミノ樹脂としては、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド、などのアミノ成分と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンツアルデヒドなどのアルデヒド成分との反応によって得られるメチロール化アミノ樹脂が挙げられる。このメチロール化アミノ樹脂のメチロール基を炭素原子数1〜6のアルコールによってエーテル化したものも上記アミノ樹脂に含まれる。
【0021】
これらの内、単独或いは併用して使用できる。衛生上、メラミン、ベンゾグアナミンを使用したアミノ樹脂が好ましく、更に好ましくは耐レトルト性に優れるベンゾグアナミンを使用したアミノ樹脂である。
【0022】
ベンゾグアナミンを使用したアミノ樹脂としては、メチロール化ベンゾグアナミン樹脂のメチロール基を一部又は全部を、メチルアルコールによってエーテル化したメチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、ブチルアルコールによってブチルエーテル化したブチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、或いはメチルアルコールとブチルアルコールとの両者によってエーテル化したメチルエーテル、ブチルエーテルとの混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂が好ましい。上記、ブチルアルコールとしてはイソブチルアルコール、n−ブチルアルコールが好ましい。メラミンを使用したアミノ樹脂としては、メチロール化メラミン樹脂のメチロール基を一部又は全部を、メチルアルコールによってエーテル化したメチルエーテル化メラミン樹脂、ブチルアルコールによってブチルエーテル化したブチルエーテル化メラミン樹脂、或いはメチルアルコールとブチルアルコールとの両者によってエーテル化したメチルエーテル、ブチルエーテルとの混合エーテル化メラミン樹脂が好ましい。これらの中から1種、又は2種以上を併用して使用して良い。
【0023】
イソシアネート化合物
本発明の架橋剤(C)に使用できるイソシアネート化合物としては芳香族、脂環族、脂肪族のジイソシアネート化合物、3価以上のポリイソシアネート化合物があり、低分子化合物、高分子化合物のいずれでも良い。例えばテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、或いはこれらイソシアネート化合物の3量体、およびこれらイソシアネート化合物の過剰量と例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性化合物または各種ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物等と反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物が挙げられる。これらの中から1種、又は2種以上使用して良い。
【0024】
また、塗料としてポットライフが必要な場合、イソシアネート化合物としてはブロック化イソシアネート化合物の使用が好ましい。イソシアネートブロック剤としては例えば、フェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等のフェノール類、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール等のハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−ペンタノール等の第3級アルコール類、ε−カプロラクタム等のラクタム類が挙げられ、そのほかにも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられる。ブロック化イソシアネート化合物は前記イソシアネート化合物とブロック化剤とを従来公知の方法により、反応させて得られ、同じくそれぞれ単独、または併用して使用できる。
【0025】
エポキシ樹脂
本発明の架橋剤(C)としてはエポキシ樹脂も使用できる。例えば、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル、およびそのオリゴマー、オルトフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−ヒドロキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、およびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリト酸トリジグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−グリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタングリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。これらはそれぞれ単独、または併用して使用することができる。
【0026】
本発明の缶内面塗料組成物には使用する架橋剤(C)は、フェノール樹脂、アミノ樹脂、イソシアネート化合物、エポキシ樹脂などの併用が可能である。またこれらの種類に応じて硬化触媒を使用することができる。例えば、フェノール樹脂、アミノ樹脂を使用する場合は有機スルホン酸、有機カルボン酸、リン酸類、およびこれらのアミン中和物を使用しても良い。イソシアネート化合物を使用する場合は有機スズ化合物、三級アミン化合物、およびその塩類を使用しても良い。エポキシ樹脂を使用する場合はアミン化合物、有機リン化合物を使用しても良い。これらの触媒は1種、または2種以上を任意に選択し、使用できる。
【0027】
本発明のポリエステル樹脂(A)は、それ以外のポリエステル樹脂と併用しても同様のフレーバー性が得られる場合がある。この場合、全樹脂中(ポリエステル樹脂(A)+硬化剤を含めたその他の樹脂)にポリエステル樹脂(A)が含まれる割合は20重量%を以上とし、好ましくは30重量%以上、更に好ましくは40重量%以上である。
【0028】
本発明の缶内面塗料用樹脂組成物とするためは、ポリエステル樹脂(A)を水、又は水/有機溶剤中へ分散し使用する。製膜性や塗膜の乾燥性、再溶解性、分散安定性を保つためには、好ましくは有機溶剤を併用した方が良い。この有機溶剤はポリエステル樹脂(A)の可塑効果があり、かつ両親媒性を有するものが好ましく、例えばエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、等の環状エーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、二塩基酸エステル等のエステル類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル等を例示することが出来る。
【0029】
本発明のポリエステル樹脂(A)を水系化する際に使用する塩基性化合物としては塩基性化合物としては塗膜形成時の焼付で揮散する化合物が好ましく、アンモニアおよび/または沸点が250℃以下の有機アミン化合物等を使用する。好ましくは、例えばトリエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げることが出来る。これら塩基性化合物は(A)ポリエステル樹脂の酸価に対して、少なくとも部分中和し得る量を必要とし、具体的には酸価に対して0.5〜1.5当量を添加することが望ましい。0.5当量未満だと水への分散化の効果が低く、1.5当量を超えるとポリエステル樹脂水分散体が著しく増粘したり、ポリエステルが加水分解を起こす可能性がある。
【0030】
本発明のポリエステル樹脂(A)を水系化する方法としては、ポリエステル樹脂(A)と水、前記した塩基性化合物を加え、加熱し分散する方法、ポリエステル樹脂(A)と水、前記した有機溶剤、前記した塩基性化合物を加え、加熱し分散する方法、ポリエステル樹脂(A)を前記した有機溶剤に溶解し、前記した塩基性化合物、水を逐次加え分散する方法等がある。また、有機溶剤を減量、あるいは完全に水系化したい場合は加熱、もしくは減圧下で溶剤を抜き取ることも可能である。
【0031】
また、本発明の缶内面塗料用樹脂組成物には潤滑剤を含有することができ、樹脂分(ポリエステル樹脂+架橋剤)100重量部に対し0.1〜10重量部が好ましい。これは製缶時の塗膜の傷付きを抑制したり、成形加工時の塗膜の滑りを向上させる効果がある。特にDI加工、DRD加工時に効果がある。使用する潤滑剤は、例えばポリオール化合物と脂肪酸とのエステル化物である脂肪酸エステルワックス、シリコン系ワックス、フッ素系ワックス、ポリエチレンなどのポリオレフィンワックス、ラノリン系ワックス、モンタンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバろう、及びシリコン系化合物等を挙げることができる。潤滑剤は1種、または2種以上を混合し使用できる。
【0032】
前記した架橋剤、潤滑剤はポリエステル樹脂(A)を水系化したものに添加する方法、ポリエステル樹脂(A)を水結果する過程で添加し、同時に水に分散する方法などがある。分散安定化を望む場合は後者の方法がよい。
【0033】
本発明の塗料用樹脂組成物は飲料缶、食品用缶、その蓋、キャップ等に用いることができる金属板であればいずれへも、その内外面に塗装し使用でき、例えばブリキ板、ティンフリースティール、アルミ等を挙げることができる。これらの金属板にはあらかじめリン酸処理、クロム酸クロメート処理、リン酸クロメート処理、その他の防錆処理剤などの防食、塗膜の密着性向上を目的とした表面処理を施したものを使用しても良い。
【0034】
また、本発明以外のフレーバー性に劣る塗料を下塗りし、上塗に本発明のフレーバー性が優れる塗料を塗装しても良い。
【0035】
本発明の塗料組成物はロールコーター塗装、スプレー塗装などの公知の塗装方法によって塗装し、本発明の塗装金属板を得ることができる。塗装膜厚は特に限定されるものではないが、乾燥膜厚で3〜18μm、更には3〜10μmの範囲であることが好ましい。塗膜の焼付条件は通常、約100〜300℃の範囲で約5秒〜約30分の程度であり、更には約150〜270℃の範囲で、約30〜約15分の程度である事が好ましい。
【0036】
本発明のポリエステル樹脂(A)はポリエステル分子鎖中に水酸基を有することが特徴となっており、缶塗料だけでなく家電や建材用途に用いられるプレコートメタル用塗料としても使用できる。また、分子鎖中の水酸基を利用してバリアー性の要求される用途でのコーティング剤や、あるいは接着剤としての利用も可能である。
【0037】
【実施例】
以下実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。実施例において単に部とあるものは重量部を示す。
各測定項目は以下の方法に従った。
【0038】
(1)ポリエステル樹脂の組成
200MHzの核磁気共鳴スペクトル装置を用い、ポリエステル樹脂の酸成分、アルコール成分の定量を行った。
【0039】
(2)ポリエステル樹脂の還元粘度測定
ポリエステル樹脂0.10gをフェノール/テトラクロロエタン(重量比6/4)の混合溶媒25ccに溶かし、30℃で測定した。
【0040】
(3)ガラス転移温度の測定
示差走査熱量計(DSC)を用いて20℃/分の昇温速度で測定した。
【0041】
(4)酸価の測定
ポリエステル0.2gを20mlのクロロホルムに溶解し、0.1NのKOHエタノール溶液で滴定し、樹脂106g当りの当量(eq/106g)を求めた。
【0042】
(5)水酸基価の測定
無水酢酸/ピリジン溶液(0.5モル/L)のアセチル化剤で0.5gのポリエステル樹脂の水酸基をアセチル化し、過剰の酢酸を0.2Nの水酸化ナトリウム−メタノール溶液で滴定(指示薬はフェノールフタレインを使用)し、樹脂106g当りの当量(eq/106g)を求めた。
【0043】
評価項目
(6)テストピースの作成
加工性、耐レトルト性、フレーバー性試験用アルミ塗装金属板
アルミ材(#5052、70mm×150mm×0.5mm)にバーコーターで膜厚が10μmになるように塗装し、硬化焼き付けを行い、これを試験片とした。焼付条件は230℃(雰囲気温度)×3分とした。
【0044】
(7)加工性
アルミ試験片と同じ厚さの金属板を1枚挟み180度方向に折り返し、万力を使用折り曲げる。この曲げ加工部を1%NaCl水溶液に浸漬したスポンジに接触させ5.5Vの電圧をかけたときの通電値により評価した。通電値が小さい方(≦1.5mA)が良好である。
【0045】
(8)耐レトルト性
アルミ試験片を立ててステンレスカップに入れ、これにイオン交換水を試験片の半分の高さまで注ぐ。これを圧力釜の中に設置し、125℃×30分のレトルト処理を行う。処理後の評価は水中部分と蒸気部分とで行い、それぞれ白化の度合いを目視で以下のように判定する。
◎:良好
○:わずかに白化はあるがブリスターは無し
△:若干白化、または若干のブリスターあり
×:著しい白化、または著しいブリスターあり
【0046】
(9)フレーバー性
アルミ試験片を立ててガラスカップに入れ、これにD−リモネンを注ぎ試験片を浸す。これを密閉し、30℃の雰囲気下で1週間保存する。試験片を取り出し、塗膜の重量増加分からD−リモネン吸着量を算出し、塗膜単位重量あたりのD−リモネン吸着量[mg(リモネン吸着量)/g(塗膜重量)]を算出した。吸着量が少ないほどフレーバー性が良好と判断した。
【0047】
本発明のポリエステル樹脂(A)の合成
ポリエステル樹脂(a)の合成例
テレフタル酸114部、イソフタル酸266部、エチレングリコール43部、2−メチル−1,3−プロパンジオール125部、グリセリン128部、チタンテトラブトキシド0.12部を2Lフラスコに仕込み、4時間かけて220℃まで徐々に昇温し、水を留出させながらエステル化反応を行なった。所定量の水が留出した後、30分かけて10mmHgまで減圧初期重合を行なうとともに温度を230℃まで昇温し、更にこのまま1mmHg以下で30分間後期重合を行なった後、減圧重合を止め、窒素気流下で180℃まで冷却する。冷却後、無水トリメリト酸を14部添加し、そのまま30分攪拌し、カルボン酸修飾を行ったのち、樹脂を取り出し本発明のポリエステル樹脂(a)を得た。組成と特性値は表1に示す。
【0048】
ポリエステル樹脂(b)の合成例
テレフタル酸186部、イソフタル酸186部、エチレングリコール42部、ネオペンチルグリコール105部、グリセリン155部、チタンテトラブトキシド0.12部を2Lの四つ口フラスコに仕込み、4時間かけて220℃まで徐々に昇温し、水を留出させエステル化を行った。所定量の水を留出させた後、30分かけて10mmHgまで減圧初期重合を行なうとともに温度を230℃まで昇温し、更にこのまま1mmHg以下で40分間後期重合を行なった後、減圧重合を止め、窒素気流下で180℃まで冷却する。冷却後、無水トリメリト酸を4部、エチレングリコールビストリメリテート二無水物19部添加し、そのまま30分攪拌し、カルボン酸修飾を行ったのち、樹脂を取り出し本発明のポリエステル樹脂(b)を得た。組成と特性値は表1に示す。
【0049】
ポリエステル樹脂(c)の合成例
テレフタル酸109部、イソフタル酸253部、エチレングリコール41部、1,4−シクロヘキサンジメタノール94部、グリセリン165部、ジブチルスズオキシド0.14部を2Lの四つ口フラスコに仕込み、3時間かけて220℃まで徐々に昇温し、水を留出させエステル化を行った。所定の水を留出させた後、30分かけて10mmHgまで減圧初期重合を行なうとともに温度を230℃まで昇温し、更にこのまま1mmHg以下で40分間後期重合を行なった後、減圧重合を止め、窒素気流下で180℃まで冷却する。冷却後、無水トリメリト酸を9部、無水フタル酸7部添加し、そのまま30分攪拌し、カルボン酸修飾を行ったのち、樹脂を取り出し本発明のポリエステル樹脂(c)を得た。
【0050】
ポリエステル樹脂(d)の合成例
テレフタル酸114部、イソフタル酸266部、エチレングリコール43部、2−メチル−1,3−プロパンジオール125部、グリセリン128部、チタンテトラブトキシド0.12部を2Lフラスコに仕込み、4時間かけて220℃まで徐々に昇温し、水を留出させながらエステル化反応を行なった。所定量の水が留出した後、30分かけて10mmHgまで減圧初期重合を行なうとともに温度を230℃まで昇温し、更にこのまま1mmHg以下で30分間後期重合を行ない減圧重合を止め、窒素気流下で180℃まで冷却する。冷却後、無水フタル酸を24部添加し、そのまま30分攪拌し、カルボン酸修飾を行ったのち、樹脂を取り出し本発明のポリエステル樹脂(d)を得た。組成と特性値は表1に示す。
【0051】
ポリエステル樹脂(e)の合成例
テレフタル酸142部、イソフタル酸212部、1,4−ブタンジオール72部、1,4−シクロヘキサンジメタノール115部、グリセリン147部、チタンテトラブトキシド0.15部を2Lの四つ口フラスコに仕込み、4時間かけて220℃まで徐々に昇温し、水を留出させエステル化を行った。所定量の水を留出させた後、30分かけて10mmHgまで減圧初期重合を行なうとともに温度を230℃まで昇温し、更にこのまま1mmHg以下で50分間後期重合を行ない、減圧重合を止め、窒素気流下で160℃まで冷却する。冷却後、無水トリメリト酸を8部、エチレングリコールビストリメリテート二無水物9部を添加し、そのまま30分攪拌し、カルボン酸修飾を行ったのち、樹脂を取り出し本発明のポリエステル樹脂(e)を得た。組成と特性値は表1に示す。
【0052】
ポリエステル樹脂(f)の合成例
ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル157部、ジメチルイソフタレート292部、エチレングリコール40部、2−メチル−1,3−プロパンジオール250部、グリセリン79部、ジブチルスズオキシド0.15部を2Lの四つ口フラスコに仕込み、4時間かけて220℃まで徐々に昇温し、メタノールを留出させエステル交換反応を行った。所定量のメタノールを留出させた後、30分かけて10mmHgまで減圧初期重合を行なうとともに温度を230℃まで昇温し、更にこのまま1mmHg以下で30分間後期重合を行ない、減圧重合を止め、窒素気流下で180℃まで冷却する。冷却後、無水トリメリト酸を17部添加し、そのまま30分攪拌し、カルボン酸修飾を行ったのち、樹脂を取り出し本発明のポリエステル樹脂(f)を得た。組成と特性値は表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
比較合成例 (g)〜(l)
前記した合成例と同様にして、樹脂組成が表2に示されるような比較合成例ポリエステル樹脂(g)〜(l)を得た。
【0055】
【表2】
【0056】
実施例(1)
ポリエステル樹脂(a)30部、メチルエチルケトン30部、n−ブチルセロソルブ10部を四つ口フラスコに入れ、60〜70℃で溶解する。完全に溶解した後、イソプロパノール20部、レゾール型フェノール樹脂PCS−965(昭和高分子(株)製、固形分50%のn−ブタノール溶液)6.6部、N,N−ジメチルエタノールアミン0.9部を加え、次いで水57部添加の後、溶液を60℃にし、真空ポンプの減圧下でメチルエチルケトン、イソプロパノールを留去し、125メッシュのフィルターで濾過し、実施例(1)の水系塗料を得た。固形分配合量と前記した評価結果を表3に示す。
【0057】
実施例(2)〜(9)
実施例(1)と同様にして本発明の塗料樹脂組成物(2)〜(9)を得た。固形分配合量は表3に示す。
【0058】
比較例(1)(溶剤系塗料の調製)
ポリエステル樹脂(g)30部、シクロヘキサノン35部、ソルベッソ−150を35部を四つ口フラスコに入れ、これを80〜90℃で溶解する。溶解終了後、125メッシュのフィルターで濾過し、ポリエステル樹脂(g)のワニスを得た。得られたワニス30部にレゾール型フェノール樹脂PCS−965(昭和高分子(株)製、固形分50%のn−ブタノール溶液)2部、ネイキュア5225を5%に希釈したものを0.6部加え、比較例(1)の溶剤系塗料を得た。固形分配合量を表4に示す。尚、比較例(1)は前述した参考特許である特開2001−81160号公報を再現したものである。
【0059】
比較例(2)〜(9)
比較例塗料組成物(2)〜(7)は比較例(1)と、また水系比較例(8)(9)は実施例(1)と同様に得た。固形分配合量と前記した評価結果を表4に示す。比較例(2)は特開11−315251号公報、比較例(3)は特開平5−112755号公報、比較例(4)は特開2002−179996号公報を再現したものである。
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
フェノール樹脂(m)の合成(特開平11−315251号公報の再現用)
ビスフェノール−A100部、37%ホルムアルデヒド水溶液178部および苛性ソーダ1部を加え、60℃で3時間反応させた後、減圧下、50℃で1時間脱水した。ついでn−ブタノール100部とリン酸3部を加え、110〜120℃で2時間反応を行った。反応終了後、得られた溶液を濾過して生成したリン酸ナトリウムを濾別し、固形分約50%のレゾール型フェノール樹脂架橋剤(m)を得た。得られた樹脂は、数平均分子量900、ベンゼン核1核当たり、平均メチロール基数が0.4個で平均ブトキシメチル基数が1.0個あった。
【0063】
表3〜4で明らかなように、本発明の塗料樹脂組成物を塗布した金属板はその加工性、耐レトルト性に優れ、特にフレーバー性は本発明のポリエステル樹脂を使用することでこれまでにない性能を示している。
【0064】
【発明の効果】
本発明のポリエステル樹脂は缶内面塗料に使用すると優れた加工性、耐レトルト性を示し、更には二級水酸基を有するポリオール、特にグリセリンを使用し高い水酸基を有する骨格にすることで、これまで使用、検討されてきたエポキシ−アクリル系塗料に匹敵する性能とビニル、ポリエステル系塗料の欠点とされてきたフレーバー性(保香性)を解決し、缶塗料、特には内面塗料に好適な樹脂である。
Claims (5)
- ポリアルコール成分の合計量を100モル%としたとき、1級水酸基を2個以上有し、かつ2級水酸基を1個以上有する3価以上のポリアルコール(B)を10モル%以上含み、酸価が150eq/106g以上であることを特徴とする塗料用ポリエステル樹脂(A)。
- ポリアルコール(B)がグリセリンである請求項1記載の塗料用ポリエステル樹脂(A)。
- 請求項1または2に記載のポリエステル樹脂(A)を塩基性化合物で中和し、水、或いは水/有機溶剤中に分散した塗料用ポリエステル樹脂水分散体。
- 請求項3記載のポリエステル樹脂水分散体に、さらに架橋剤(C)を含有することを特徴とする塗料用ポリエステル樹脂組成物。
- 請求項4記載のポリエステル樹脂組成物を塗布した塗装金属板。
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2003
- 2003-03-27 JP JP2003088078A patent/JP2004292665A/ja active Pending
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