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JP5564755B2 - 電解質膜およびこれを用いた膜電極接合体 - Google Patents

電解質膜およびこれを用いた膜電極接合体 Download PDF

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Description

本発明は、電解質膜、特に燃料電池用の電解質膜に関するものである。
燃料電池は、一般的にリン酸型燃料電池(PAFC)、アルカリ型燃料電池(AFC)、固体高分子型燃料電池(PEFC)などがあり、なかでも固体高分子型燃料電池(PEFC)は、他の燃料電池と比較しても常温で起動でき電解質の逸散・保持の問題が少なくメンテナンスが容易である。しかしながら、膜の水分管理を精密に行なう必要があるなどの問題もある。膜の水分管理は重要な課題であり、電解質膜が含水状態で良好な伝導性を有するために膜の水分管理は不可欠である。そのため、一般的には加湿器などで電解質膜を含水状態に保つようにしている。ここで、電解質膜の膜厚が薄いと電解質膜が含水状態を維持しやすく、かつ膜抵抗が低く抑えられる。反面、電解質膜の機械的強度が低下するという問題があった。
かかる問題点を解決するための技術として、例えば、特許文献1には炭化水素(HC)系電解質膜にフィラーが分散された電解質膜が開示されている。このような電解質膜はフィラーによって高強度となることや、全体的に膨潤が抑制されるためセル内での応力が低下することで、電解質膜の燃料電池内での機械的耐久性の向上を図っている。
ところで、燃料電池電解質膜は乾燥下では収縮し、湿潤下では膨潤する。燃料電池内では、電解質膜には電極触媒層が塗布される。そして、ガス拡散層、ガスを通す流路形状と電子を通すリブ形状とを有するセパレータとともにアセンブリされる。そして最終的に、0.1〜2MPaの面圧にてスタッキングされている。このため電解質膜はその全面を力学的に拘束されて運転される。このような使用条件下では、運転による乾燥、湿潤によって、自由に膨潤、収縮できないため、膨潤応力、収縮応力が発生する。また、電解質膜表面に塗布された触媒層の微小な段差、ピンホール、平面粗さ、ガス拡散層の厚み分布、セパレータの流路形状、リブ形状による圧縮応力分布によって電解質膜には膨潤応力、収縮応力とともに局所的な応力集中が発生する。このような応力環境下で繰り返し膨潤・収縮を繰り返すと、電解質膜にクラックが発生する。これが進展すると、最終的には電解質膜の破断に至る。
特開2005−222736号公報
確かに、上記特許文献1に記載の技術によれば、フィラーの分散によって電解質膜の機械的耐久性が向上しうる。しかしながら、当該技術では電解質膜の全方向の膨潤が抑制されてしまう。その結果、電解質膜の含水率自体が低下してしまい、プロトン伝導度が低下するという問題がある。また、全方向の膨潤を均一に抑制すると、膜の全方向の弾性率が向上してしまい、電解質膜の膨潤による膨潤応力、収縮応力が増大し、かえって耐久性が低下する可能性もある。
そこで本発明は、膜の含水率を維持し、プロトン伝導度および機械的強度の優れた電解質膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行なった。その結果、電解質膜の膜面方向の膨潤率および電解質膜の厚み方向の膨潤率のバランスが、膜の含水率や機械的強度にとって重要であることを見出した。具体的には、膜厚方向よりも膜面方向の膨潤率が比較的小さくなるような制御を行なうことで、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、膜厚が1〜500μmであり、含水率が10質量%以上であり、膜面方向と膜厚方向との膨潤率の比が以下の式(1):
を満たすことを特徴とする、フィラーおよび高分子電解質を含む電解質膜により、上記課題を解決する。
本発明によれば、従来よりも少ないフィラー含有量で効率よく電解質膜の膜面方向の膨潤を抑制することができる。このため、電解質の体積率をほとんど低下させることなく高いプロトン伝導度を確保し、電解質膜の高耐久化を達成できる。
本発明の第一は、膜厚が1〜500μmであり、含水率が10質量%以上であり、膜面方向と膜厚方向との膨潤率の比が以下の式(1):
を満たすことを特徴とする、フィラーおよび高分子電解質を含む電解質膜である。
本発明によれば、膜面方向の膨潤率および膜厚方向の膨潤率のバランスを制御することにより、従来例よりも少量のフィラーで膜面方向の膨潤を効率よく抑制し、燃料電池内での膨潤収縮によるストレスを低減し、電解質膜の高耐久化を可能とする。なお、膜面方向の膨潤応力、収縮応力は、含水時の膨潤率と引張り試験による弾性率から数MPa〜数百MPaに達すると推定されている。
上記電解質膜の膜面方向の膨潤率および電解質膜の厚み方向(膜厚方向)の膨潤率のバランスを制御する手段としては、電解質膜内においてフィラーが配向する方向を電解質膜の面方向に垂直な方向としなければよく、電解質膜内におけるフィラーの配向を所定の範囲内にすることにより行なわれることが好ましく、フィラーが電解質膜の面水平方向に対して好ましくは±45度以内、より好ましくは±30度以内、さらに好ましくは±15度以内の範囲で配向されていることが特に好ましい。フィラーが電解質膜の面水平方向に対して平行に配向していてもよい。この場合、フィラーは電解質膜の面水平方向に対してほぼ0度の方向に配向することとなる。ここで、膜の全方向に亘って膨潤を抑制しようとした場合、膜の耐久性を向上させうる程度の膨潤抑制効果を得るためには、フィラーを大量に膜に添加する必要がある。そうすると、膜中の電解質の体積比が減少し、電解質膜のプロトン伝導度が低下してしまう結果となる。また、フィラーと電解質高分子間の界面応力が大きくなり、界面剥離が起こる可能性もある。これに対し、フィラーを上述したように膜の面水平方向に配向させることで、効率的にフィラーの膨潤抑制効果を発揮させることができる。その結果、膜中の電解質の体積比の減少や界面剥離といった問題の発生を抑制しつつ、膜のプロトン伝導度を確保することが可能となる。
本発明の電解質膜は、膜厚方向の膨潤率(以下、「λz」とも表す)が膜面方向の膨潤率(以下、「λxy」とも表す)より大きい。そして、膜厚方向の膨潤率(λz)に対する膜面方向の膨潤率(λxy)の比(以下、「膨潤異方性」とも称する)の値が0.3未満である。例えば、フィラーが電解質膜の面水平方向に±45度以内の範囲で配向されている。かような形態によれば、電解質膜の厚み方向には膨潤することができるため、含水率の低下が抑制され、プロトン伝導度の低下が防止されうる。また、フィラー自体が膜厚方向に変位できるため、電解質膜の膨潤収縮時にかかるフィラー−電解質高分子間の界面応力が緩和され、界面剥離やフィラーの破断が防止されうる。
なお、本明細書における「膨潤率(%)」とは、((浸漬時の膜寸法−乾燥時の膜寸法)/乾燥時の膜寸法)×100をいう。膨潤率の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定された値を採用するものとする。
本発明に係る電解質膜の(膜面方向の膨潤率(λxy)/膜厚方向の膨潤率(λz))の値は、0.3未満であり、好ましくは0以上0.1未満であり、より好ましくは0以上0.05未満である。
本発明において用いられるフィラーの具体的な形態は特に制限されないが、長尺のものが好ましく、ラグビーボール状の立体的な長尺のものや、扁平な長尺のものであってもよい。なかでも、その径よりも長さが長い針状のもの(すなわち、針状フィラー)が特に好ましい。
本発明のフィラーのアスペクト比は特に制限されないが、好ましくは1〜1000であり、より好ましくは10〜500であり、特に好ましくは10〜150である。フィラーのアスペクト比が上述した下限値以上の値であれば、充分な膨潤異方性の効果を発現することができる。膨潤異方性の効果のみを考えればフィラーのアスペクト比は大きいほど好ましい。ただし、電解質膜におけるフィラーの分散性を考慮すると、フィラーのアスペクト比は上述した上限値以下の値であることが好ましい。なお、フィラーのアスペクト比の値は、フィラー太さ(短軸または径とも称する)とフィラー長さ(長軸とも称する)とを測定し、これらの値から算出されうる。かかるフィラー太さおよびフィラー長さの測定方法としては、透過型電子顕微鏡像から代表サンプルについて数〜数10視野中に観察されるフィラーの長軸または短軸を測定する方法が挙げられる。なお、この測定方法では観察するサンプルや視野によってフィラー太さおよびフィラー長さに有意差が生じる。
フィラーの平均径についても特に制限はないが、好ましくは0.001〜10μmであり、より好ましくは0.01〜5μmであり、さらに好ましくは0.1〜1μmであり、特に好ましくは0.1〜0.2μmである。フィラーの平均径が上記範囲の下限値以上であれば、分散時の凝集が抑制されて表面積の低下が防止され、本願発明の効果を十分に発揮することができる。また、フィラーの平均径が上記範囲の上限値以下であれば、複合化後の膜厚の増大や膜厚分布の広がりといった問題の発生が防止されうる。なお、本願発明の目的を損なわない限り、板状フィラーや中空フィラーを用いてもかまわない。
本発明の電解質膜におけるフィラーの含有量は、フィラーおよび高分子電解質の合計質量に対して、好ましくは1〜90wt%であり、より好ましくは2.5〜30wt%であり、さらに好ましくは5〜25wt%であり、特に好ましくは10〜20wt%である。フィラーの含有量がかような範囲内の値であれば、充分な膨潤異方性を発現し、膨潤収縮によるストレスが低減されうる。その結果、電解質膜の高耐久化が可能となり、引裂き強度も向上して、電解質膜の耐久性がさらに向上する。
本発明において用いられるフィラーの構成材料に特に制限はないが、無機化合物であることが好ましく、無機酸化物であることがより好ましい。具体的には、チタニア、チタン酸カリウム、シリカ、シリカアルミナ、ジルコニア、およびベーマイトからなる群から選択される少なくとも一つが特に好ましい。なかでも、アスペクト比や耐熱性、化学安定性などの観点からはチタニアやシリカアルミナが好ましく用いられ、チタニアが特に好ましく用いられる。無機化合物は燃料電池の運転環境下、たとえばラジカル、高湿度、高温などで安定である。このため、フィラーの構成材料を無機化合物とすると、長期間の運転においてもフィラー材質が劣化することなく膨潤異方性の効果を発現することができる。なお、フィラーとしては、1種単独の構成材料を用いてもよいし、2種以上の構成材料を混合して用いても、2種以上の材料をアロイとして用いてもよい。
本発明に係るフィラーは、酸により表面処理されていることが好ましい。フィラーの表面処理に用いる酸としては、特に制限されるものではなく公知の物質を使用することができる。例えば、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、フェニル硼酸ph−B(OH)、フェニル酢酸などが挙げられる。フィラーを表面処理する方法としては、前記フィラーを上述した酸の溶液に対して0.1〜30質量%となるように添加し、1〜10時間、50〜90℃の条件で反応させることが好ましい。このようにフィラーを酸と接触させると、フィラー表面の水酸基と酸の末端水酸基が水素結合的に相互作用する。水洗浄していると徐々に脱離していくことが確認されているため、実際には水素結合まで行かずに配位結合程度の弱い結合だろうと思われる。このようにフィラー表面を酸で修飾することによって、酸分子のベンゼンやCH側が溶媒分子と相溶しやすくなりNMPなどの有機溶媒中で分散しやすくなる。その結果、特に分散性が不十分であることに起因する機械的特性の低下(フィラー凝集による引裂き強度の低下)を防ぐことができる。
本発明の電解質膜を構成する高分子電解質は、特に制限されないが、高分子骨格の全部または一部にフッ素原子を含むフッ素系高分子電解質と、高分子骨格にフッ素原子を含まない炭化水素系高分子電解質とに大別されいずれを用いてもよい。
前記フッ素系高分子電解質として、具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)等のパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子、ポリトリフルオロスチレンスルフォン酸系高分子、パーフルオロカーボンホスホン酸系高分子、トリフルオロスチレンスルホン酸系高分子、エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系高分子、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオリド−パーフルオロカーボンスルホン酸系高分子などが好適な一例として挙げられる。
また、炭化水素系高分子電解質としても、特に制限されず、公知の炭化水素系電解質が使用される。具体的には、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂系、リン酸などの無機酸を炭化水素系高分子化合物にドープさせたもの、一部がプロトン導電体の官能基で置換された有機/無機ハイブリッドポリマー、高分子マトリックスにリン酸溶液や硫酸溶液を含浸させたプロトン導電体などが使用されるが、耐酸化性、低ガス透過性、製造の容易さ及び低コストなどを考慮すると、スルホン酸基を有する炭化水素系高分子電解質が好ましい。本発明で使用される炭化水素系高分子電解質としては、特に制限されず、公知の炭化水素系高分子電解質が使用されるが、例えば、スルホン化ポリアリールエーテルスルホン(S−PES)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンズオキサゾール(PBO)、スルホン化ポリフェノキシベンゾイルフェニレン(S−PPBP)、ポリエーテルエーテルケトン(S−PEEK)、スルホンアミド型ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホンアミド型ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化架橋ポリスチレン、スルホンアミド型架橋ポリスチレン、スルホン化ポリトリフルオロスチレン、スルホンアミド型ポリトリフルオロスチレン、スルホン化ポリアリールエーテルケトン、スルホンアミド型ポリアリールエーテルケトン、スルホン化ポリ(アリールエーテルスルホン)、スルホンアミド型ポリ(アリールエーテルスルホン)、ポリイミド、スルホン化ポリイミド、スルホンアミド型ポリイミド、スルホン化4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン、スルホンアミド型4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン、ホスホン酸型4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン、スルホン化ポリベンゾイミダゾール、スルホンアミド型ポリベンゾイミダゾール、ホスホン酸型ポリベンゾイミダゾール、スルホン化ポリフェニレンスルフィド、スルホンアミド型ポリフェニレンスルフィド、スルホン化ポリビフェニレンスルフィド、スルホンアミド型ポリビフェニレンスルフィド、スルホン化ポリフェニレンスルホン、スルホンアミド型ポリフェニレンスルホン、スルホン化ポリフェノキシベンゾイルフェニレン、スルホン化ポリスチレン−エチレン−プロピレン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリフェニレンイミド、ポリベンズイミダゾール−アルキルスルホン酸、スルホアリル化ポリベンズイミダゾールなどが好適な一例として挙げられる。原料が安価で製造工程が簡便であり、かつ材料の選択性が高いといった製造上の観点からは、これらの炭化水素系電解質が好ましく用いられる。
なお、上述した高分子電解質(イオン交換樹脂)は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。また、上述した材料のみに制限されず、その他の材料が用いられてもよいことは勿論である。
また、本発明に係る高分子電解質は、スルホン化ポリアリールエーテルスルホン(S−PES)、ポリエーテルエーテルケトン(S−PEEK)、スルホン化ポリフェノキシベンゾイルフェニレン(S−PPBP)、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成株式会社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子株式会社製)などのフッ素系電解質がより好ましく用いられる。各電解質のイオン交換容量は、好ましくは0.1〜3meq/gであり、より好ましくは0.9〜2.5である。
本発明に係る電解質膜の総量に対する高分子電解質の含有量は、フィラーおよび高分子電解質の合計質量に対して、好ましくは10〜99wt%であり、より好ましくは70〜97.5wt%であり、さらに好ましくは75〜95wt%であり、特に好ましくは80〜90wt%である。高分子電解質の含有量が上述した範囲内の値であれば、フィラーの凝集が抑制されて引裂き強度などの力学的物性の低下が防止されつつ、望ましい膨潤異方性が十分に確保されうる。
本発明の電解質膜の膜厚は、1〜500μmであり、好ましくは5〜100μmであり、より好ましくは10〜30μmである。電解質膜の膜厚が1〜500μmの範囲外だと機械的強度の低下により燃料電池の耐久性が低下する場合がある。また、プロトン伝導抵抗上昇による燃料電池の性能低下が起こる場合もあるため、好ましくない。
本発明の電解質膜の含水率は特に制限されないが、好ましくは1〜30質量%であり、より好ましくは5〜20質量%であり、特に好ましくは10〜20質量%である。電解質膜の含水率が上述した下限値以上の値であれば、プロトン伝導抵抗の増大やこれに伴う燃料電池の性能低下が防止されうる。また、電解質膜の含水率が上述した上限値以下の値であれば、膨潤率の増大やこれに伴う流路閉塞・ガス拡散阻害による燃料電池の性能低下が防止されうる。
本発明に係る電解質膜の製造方法は、膜厚方向の膨潤率(λxy)に対する膜面方向の膨潤率(λz)の比(膨潤異方性)の値が0.3未満にできる公知の方法であれば特に制限されない。一例としては、フィラーが電解質膜の面水平方向に所定の角度の範囲(例えばフィラーが電解質膜の面水平方向に±45度以内の範囲)で配向させる方法が挙げられる。具体的には、高分子電解質およびフィラーを溶液状態から製膜する方法や、高分子電解質およびフィラーを溶融状態より製膜する方法等が挙げられる。また、フィラーを含有する高分子電解質の少なくとも1つまたはその前駆体(モノマー、オリゴマーなど)を溶液状態または溶融状態として用い、これを例えばカレンダー法、インフレーション法、Tダイ法、キャスト法等を用いて製膜する方法が挙げられる。また、本願発明の技術的範囲は、本明細書に記載の具体的な方法によって制限されるものではない。
本発明に係る電解質膜を製膜する速度は、好ましくは1〜1000cm/minであり、より好ましくは3〜500cm/minであり、特に好ましくは5〜100cm/minである。かような範囲内の製膜速度で製膜すれば、塗布液中に分散させたフィラーを電解質膜面方向に配向させ、よりよく膨潤異方性を発現させることが可能となる。その結果、電解質膜の耐久性を向上させることが可能となる。
すなわち、フィラーが電解質膜の面水平方向に所定の角度(±45度)以内の範囲で配向させる場合には、例えば、まず、高分子電解質およびフィラー、必要により溶媒を混合して電解質溶液を調製する。その後、前記電解質溶液を基板上に所定量滴下し、膜厚が均一になるように所定範囲の製膜速度で平滑な面にする。そうすると、前記電解質溶液中のフィラーは、平滑化された面(すなわち電解質膜の面)に対して所定の傾斜状態に配向されるのである。
より詳細に説明すると、電解質溶液を基板上に滴下した後、膜厚が均一になるように当該電解質溶液を平滑な面に製膜する際に、当該電解質溶液を延ばす力は当然電解質溶液中のフィラーにも影響する。したがって、その力の方向にフィラーは傾斜する。また、電解質溶液の粘度、調製する膜厚、製膜速度などによって電解質膜の面水平方向に対するフィラーの角度を制御することができる。かような製膜を可能とする具体的な製膜方法としては、例えば、RK Print Coat Instruments社製 K101 CONTROL COATERやステンレス製アプリケータが挙げられる。ただし、これらの装置を用いた場合のみに本発明の技術的範囲が限定されることはない。
上記電解質溶液を製膜する目的で滴下する基板は特に制限されず、平坦なものであればよく、例えばガラス基板テフロンシートなどが挙げられる。また、電解質溶液に用いられる溶媒は、使用する電解質、フィラー、濃度などにより適宜選択され、特に制限されない。例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン(NMP)、低級アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
電解質溶液における高分子電解質の濃度は、電解質溶液全体の質量に対して、好ましくは1〜90質量%であり、より好ましくは5〜50質量%であり、さらに好ましくは10〜30質量%である。また、電解質溶液におけるフィラーの濃度は、電解質溶液全体の質量に対して、好ましくは0.01〜30質量%であり、より好ましくは0.1〜10質量%であり、さらに好ましくは1〜10質量%である。さらに、電解質溶液における溶媒の濃度は、電解質溶液全体の質量に対して、好ましくは1〜98質量%であり、より好ましくは30〜94質量%であり、さらに好ましくは60〜89質量%である。
本発明によれば、例えば上述した製膜方法により、好ましくはアスペクト比が調節されたフィラー(特に針状のフィラー)を電解質膜面方向に配向させる。このため、従来よりも少ないフィラー含有量で効率よく電解質面方向の膨潤を抑制することができる。その結果、電解質の体積率をほとんど低下させることなく性能低下を抑えつつ、電解質膜の高耐久化を達成できる。また電解質膜面方向に配向したフィラーにより電解質膜面方向の弾性率と電解質膜厚方向の弾性率にも異方性が発現する。具体的にはフィラー含有量にもよるが、フィラーなしの電解質膜(比較膜)に比べて膜面方向の弾性率は大きく増加し、膜厚方向の弾性率はそれほど増加しない。このため、膜面方向の膨潤率は大きく低下するが、膜厚方向の膨潤率は比較膜に比べてより大きく膨潤し、合計の含水量はほとんど比較膜と同等になる。すなわち、膜厚方向を膜面方向より低弾性とすることで含水時の膨潤が膜厚方向に逃げるのである。これにより、水分が必要なプロトン伝導が阻害されることなく、電解質面方向のみの膨潤異方性を得ることができる。さらに、電解質高分子の膜厚方向の膨潤に対して針状のフィラーは容易に膜厚方向に移動できる。このため電解質高分子と針状のフィラーとの間の界面応力が小さく、電解質膜高分子と針状のフィラーとの界面剥離が起こりにくい。ランダムに配向するとこの逃げがなく、膨潤できなくなる。そうすると、電解質高分子と針状のフィラーとの間に大きな内部応力(界面応力)が働き、電解質高分子と針状のフィラーとの界面剥離が生じるのである。
なお、膜面方向、膜厚方向それぞれの弾性率は、以下の式(2)により算出されうる。
式中、ρはフィラー含有体積率、Eは電解質膜弾性率、Eはフィラー弾性率である。ここで、膜面方向の膨潤率をa(面内方向は等方的)、膜厚方向の膨潤率をcとすると、電解質膜の体積膨潤率λは(膨潤後の体積)−(膨潤前の体積)より、
となる。なお、膨潤時の膜面方向および膜圧方向にかかる膨潤圧力σは、風船内の内圧と同様に、同一である。よって、以下の式(4)が導かれる。
そして、式(3)、式(4)右辺2項から、以下の式(5)が導かれる。
ここで、一般的な電解質材料であるNafion(Dupont社製 登録商標)の弾性率は0.01GPa、フィラーとして針状のTiO(石原産業TLFシリーズ)の弾性率は280GMPaである。よって、フィラーの含有体積率を10%とし、体積膨潤率=含水率増加分と仮定すると、Nafionの含水率は30%であるため、Exy=28.1GPa、Ez=0.11GPa、膜面方向の膨潤率a=0.12%、膜厚方向の膨潤率c=29.7%となり膨潤異方性が発現する。
またスルホン化ポリエーテルスルホン(S−PES)の弾性率は一般的に1GPaであり、同様にフィラーとして針状のTiO(石原産業TLFシリーズ)を用いて、フィラーの含有体積率を10%、Nafionの含水率を30%とすると、Exy=28.9GPa、Ez=1.11GPa、膜面方向の膨潤率a=1.05%、膜厚方向の膨潤率c=27.3%となり膨潤異方性が発現する。
また、式(4)の右辺2項を変形すると、
であり、膨潤異方性を図る指標とすると、上記の場合、前述の計算結果からNafionの場合c/a=0.0004、スルホン化ポリエーテルスルホンの場合でもc/a=0.04となり、大きな膨潤異方性が得られる。ここで、
であれば、電解質膜の耐久性向上にかなりの効果がある。
さらに、式(2)および式(7)から、
となり、式(7)の条件を満たす電解質およびフィラーの弾性率、フィラーの体積充填率を求めることができる。このような方法で各材料と充填率を選択し、膨潤異方性を発現させることが可能となる。
フィラーのアスペクト比は大きい方が良好な膨潤異方性が得られる。フィラーが電解質高分子の膨潤による応力を受け止め、それが水平に配向された場合において膨潤異方性が発現するが、フィラー一本あたりで電解質高分子から受ける力を計算すると、以下の式(9)から、必要なフィラー太さdおよび長さLのアスペクト比(L/d)が求められる。
式中、σおよびσはそれぞれ、フィラーの破壊強度および電解質高分子の降伏強度である。電解質材料であるNafion(Dupont社製 登録商標)の降伏強度は10MPaである。また、フィラーの破壊強度は一般的に測定されていないが、針状TiO(石原産業TLFシリーズ)の破壊強度を100〜300MPaと仮定する。フィラーの径は、TiOの場合には約0.2μmであるため、TiOのアスペクト比は14.5〜43.5程度が良好と考えられる。ただし、フィラーの構成材料やフィラーの径によっても変動しうるため、この範囲に制限されることはない。
次に膜の耐久性を決めるもうひとつの指標である引裂き強度について述べる。フィラーを充填することで弾性率とともに破断強度、引裂き強度が向上することは知られている。外部から与えられたエネルギが電解質高分子間の界面摩擦による熱エネルギに使用されるため、クラックの形成に与えるエネルギが減少するためと考えられる。実際に、本発明においても引裂き強度が向上することが確認された。
本発明の第二は、上記の電解質膜を含む膜電極接合体(MEA)である。本発明の第一の電解質膜を用いてMEAを構成することで、耐久性に優れたMEAが提供されうる。
本明細書における「膜電極接合体(MEA)」は、本発明の第一の電解質膜と、前記電解質膜の一方の面に配置された、アノード側電極触媒層およびアノード側ガス拡散層と、前記電解質膜の他方の面に配置された、カソード側電極触媒層およびカソード側ガス拡散層とを有する。
本発明に係るアノード側電極触媒層およびカソード側電極触媒層は、触媒成分、プロトン伝導性高分子、必要により撥水材料を含む。そして、電極触媒層を構成する電極触媒は、触媒成分が導電性材料に担持されてなるものである。
本発明に係る電極触媒層に用いられる触媒成分として、カソード触媒層では、酸素の還元反応に触媒作用を有するものであれば特に制限はなく公知の触媒が同様にして使用できる。また、アノード触媒層に用いられる触媒成分もまた、水素の酸化反応に触媒作用を有するものであれば特に制限はなく公知の触媒が同様にして使用できる。具体的には、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、及びそれらの合金等などから選択される。これらのうち、触媒活性、一酸化炭素等に対する耐被毒性、耐熱性などを向上させるために、少なくとも白金を含むものが好ましく用いられる。
前記合金の組成は、合金化する金属の種類にもよるが、白金が30〜90原子%、合金化する金属が10〜70原子%とするのがよい。カソード触媒をして合金を使用する場合の合金の組成は、合金化する金属の種類などによって異なり、当業者が適宜選択できるが、白金が30〜90原子%、合金化する他の金属が10〜70原子%とすることが好ましい。なお、合金とは、一般に金属元素に1種以上の金属元素または非金属元素を加えたものであって、金属的性質をもっているものの総称である。
合金の組織には、成分元素が別個の結晶となるいわば混合物である共晶合金、成分元素が完全に溶け合い固溶体となっているもの、成分元素が金属間化合物または金属と非金属との化合物を形成しているものなどがあり、本願ではいずれであってもよい。この際、カソード触媒層に用いられる触媒成分及びアノード触媒層に用いられる触媒成分は、上記の中から適宜選択できる。以下の説明では、特記しない限り、カソード触媒層及びアノード触媒層用の触媒成分についての説明は、両者について同様の定義であり、一括して、「触媒成分」と称する。しかしながら、カソード触媒層及びアノード触媒層用の触媒成分は同一である必要はなく、上記したような所望の作用を奏するように、適宜選択される。
触媒成分の形状や大きさは、特に制限されず公知の触媒成分と同様の形状及び大きさが使用できるが、触媒成分は、粒状であることが好ましい。この際、触媒スラリーに用いられる触媒成分の平均粒子径は、小さいほど電気化学反応が進行する有効電極面積が増加するため酸素還元活性も高くなり好ましいが、実際には平均粒子径が小さすぎると却って酸素還元活性が低下する現象が見られる。従って、触媒スラリーに含まれる触媒成分の平均粒子径は、1〜30nm、より好ましくは1.5〜20nm、さらにより好ましくは2〜10nm、特に好ましくは2〜5nmの粒状であることが好ましい。担持の容易さという観点から1nm以上であることが好ましく、触媒利用率の観点から30nm以下であることが好ましい。なお、本発明における「触媒成分の平均粒径」は、X線回折における触媒成分の回折ピークの半値幅より求められる結晶子径あるいは透過型電子顕微鏡像より調べられる触媒成分の粒子径の平均値により測定することができる。
本発明に係る触媒活性を有する部材の平均粒子径の測定方法としては、透過型電子顕微鏡像から代表サンプルについて数〜数10視野中に観察される粒子の粒径を測定する方法が挙げられる。なお、この測定方法では観察するサンプルや視野によって平均粒子径に有意差が生じる。より簡易的にはX線回折プロファイルからある特定の反射ピークの半値幅から求められる結晶子径を触媒成分の平均粒子径として用いることも出来る。
本発明の触媒活性を有する部材の平均粒子径は透過型電子顕微鏡像の任意の8視野中に観察される導電性材料の1次粒子の粒径をすべて測定し(総計N>100)、その粒径の中央値を、触媒活性を有する部材の平均粒子径とする条件で行なっている。
前記導電性材料としては、触媒成分を所望の分散状態で担持させるための比表面積を有し、集電体として十分な電子導電性を有しているものであればよく、主成分がカーボンであるのが好ましい。具体的には、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などからなるカーボン粒子が挙げられる。また、かようなカーボン材料として、より具体的には、アセチレンブラック、バルカン、ケッチェンブラック、ブラックパール、黒鉛化アセチレンブラック、黒鉛化バルカン、黒鉛化ケッチェンブラック、黒鉛化カーボン、黒鉛化ブラックパール、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、及びカーボンフィブリルから選ばれる少なくとも一種を主成分として含むものなどが挙げられる。なお、本発明において「主成分がカーボンである」とは、主成分として炭素原子を含むことをいい、炭素原子のみからなる、実質的に炭素原子からなる、の双方を含む概念である。場合によっては、燃料電池の特性を向上させるために、炭素原子以外の元素が含まれていてもよい。なお、実質的に炭素原子からなるとは、2〜3質量%程度以下の不純物の混入が許容されることを意味する。
前記導電性材料のBET比表面積は、触媒成分を高分散担持させるのに十分な比表面積であればよいが、好ましくは20〜1600m/g、より好ましくは80〜1200m/gとするのがよい。前記比表面積が、20m/g未満であると前記導電性材料への触媒成分およびプロトン伝導性高分子の分散性が低下して十分な発電性能が得られない恐れがあり、1600m/gを超えると触媒成分およびプロトン伝導性高分子の有効利用率が却って低下する恐れがある。
また、前記導電性材料の大きさは、特に限定されないが、担持の容易さ、触媒利用率、電極触媒層の厚みを適切な範囲で制御するなどの観点からは、平均粒子径が5〜200nm、好ましくは10〜100nm程度とするのがよい。
前記導電性材料に触媒成分が担持された電極触媒において、触媒成分の担持量は、電極触媒の全量に対して、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%とするのがよい。前記担持量が、80質量%を超えると、触媒成分の導電性材料上での分散度が下がり、担持量が増加するわりに発電性能の向上が小さく経済上での利点が低下する恐れがある。また、前記担持量が、10質量%未満であると、単位質量あたりの触媒活性が低下して所望の発電性能を得るために多量の電極触媒が必要となり好ましくない。なお、触媒成分の担持量は、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)によって調べることができる。
本発明に係る電極触媒層におけるプロトン伝導性高分子は、特に限定されず公知のものを用いることができるが、本発明に係る電解質膜に用いられた高分子電解質と同様の材料が挙げられ、少なくとも高いプロトン伝導性を有する材料であればよい。本発明のカソード触媒層/アノード触媒層(以下、単に「触媒層」とも称する)には、電極触媒の他に、高分子電解質が含まれる。この際使用できる高分子電解質は、高分子骨格の全部又は一部にフッ素原子を含むフッ素系高分子電解質と、高分子骨格にフッ素原子を含まない炭化水素系高分子電解質とに大別される。具体例については上記高分子電解質と同様であるため、ここでは省略する。
また、導電性材料への触媒成分の担持は公知の方法で行うことができる。例えば、含浸法、液相還元担持法、蒸発乾固法、コロイド吸着法、噴霧熱分解法、逆ミセル(マイクロエマルジョン法)などの公知の方法が使用できる。または、電極触媒は、市販品を用いてもよい。
尚、本発明に係る電解質膜と電極層とで用いる高分子電解質は、異なってもよいが、膜と電極の接触抵抗などを考慮すると同じものを用いるのが好ましい。
前記高分子電解質は、接着の役割をする高分子として電極触媒を被覆しているのが好ましい。これにより、電極の構造を安定に維持できるとともに、電極反応が進行する三相界面を十分に確保して、高い触媒活性を得ることができる。電極中に含まれる前記固体高分子電解質の含有量は、特に限定されないが、触媒成分の全量に対して25〜35質量%とするのがよい。
前記電極触媒層の空孔率は、30〜70%が好ましく、より好ましくは40〜60%である。空孔率が30%未満では、ガスの拡散が十分ではなく、高電流域でのセル電圧が低下する。また、空孔率が70%超では、電極触媒層の強度が十分ではなく、転写プロセスにおいて空孔率が低下する。
また、本発明に係る電極触媒を膜−電極接合体(MEA)として用いる場合の電極触媒層の厚さは、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは1〜10μm程度とするのがよい。
本発明に係るガス拡散層(以下GDLと称する)に用いられる材料としては、カーボンペーパー、不織布、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルトなどからなるシート状材料が提案されている。GDLが優れた電子伝導性を有していると、発電反応により生じた電子の効率的な運搬が達成され、燃料電池の性能が向上する。またGDLが優れた撥水性を有していると、生成した水が効率的に排出される。
高い撥水性を確保するために、GDLを構成する材料を撥水処理する技術も提案されている。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂を含む溶液中にカーボンペーパーなどのGDLを構成する材料を含浸させ、大気中または窒素などの不活性ガス中に乾燥させる。場合によっては、親水化処理がGDLを構成する材料に施されてもよい。
その他に、カーボンペーパー、不織布、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルトなどからなるシート状GDL上に、カーボン粒子およびバインダーを配置して、両者をガス拡散層として使用してもよく、カーボン粒子およびバインダーからなるフィルム自体をガス拡散層として使用してもよい。この結果、フィルム自体に均一に撥水材料、カーボン粒子が形成されているため、上記の塗布に比較して撥水効率の上昇がみられる。
前記撥水材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。なかでも、撥水性、電極反応時の耐食性などに優れることから、フッ素系樹脂が好ましい。尚、「バインダー」とは接着の役割を有する物質をいう。
前記電極触媒層中に含まれる撥水材料の含有量は、全電極触媒層を構成する材料の合計質量に対して5〜50質量%が好ましく、より好ましくは10〜20質量%である。撥水材料の含有量が5%未満であると電極触媒層の撥水性が十分でなく、50%超えると電極触媒層の強度が十分でないため、触媒被膜電解質膜(CCM:Catalyst coated membrane)の作製ができない。
本発明では、従来公知の方法と同様の方法によって膜電極接合体が製造できる。例えば、調製された触媒スラリーを所望の厚さで転写用台紙上に塗布・乾燥することによって、カソード側及びアノード側の電極触媒層を形成し、さらにこの電極触媒層が内側にくるように上記の製膜の方法により作製した電解質膜を上記電極触媒層で挟持してホットプレス等により接合した後、転写用台紙を剥がすことによって、膜電極接合体が得られる。また、触媒スラリーを電解質膜に直接塗布することにより膜電極接合体を作製してもよい。
本発明の触媒スラリーにおいて、電極触媒は、所望の作用、即ち、水素の酸化反応(アノード側)及び酸素の還元反応(カソード側)を触媒する作用を十分発揮できる量であればいずれの量で、使用されてもよい。電極触媒が、触媒スラリー中、0.1〜10質量%、より好ましくは1〜3質量%となるような量で存在することが好ましい。
本発明の触媒スラリーには、電極触媒、高分子電解質及び溶剤に加えて、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体といった撥水性高分子などが含まれてもよい。これにより、得られる電極触媒層の撥水性を高めることができ、発電時に生成した水などを速やかに排出することができる。撥水性高分子を使用する際の、撥水性高分子の添加量は、本発明の上記効果を妨げない程度の量であれば特に制限されないが、触媒スラリーの全質量に対して、好ましくは1〜10質量%である。
上記撥水性高分子に代えてまたは上記撥水性高分子に加えて、本発明の触媒スラリーは、増粘剤を含んでもよい。増粘剤の使用は、触媒スラリーなどが転写用台紙上にうまく塗布できない場合などに有効である。この際使用できる増粘剤は、特に制限されず、公知の増粘剤が使用できるが、例えば、グリセリン、(EG(エチレングリコール)、PVA(ポリビニルアルコール))などが挙げられる。増粘剤を使用する際の、増粘剤の添加量は、本発明の上記効果を妨げない程度の量であれば特に制限されないが、触媒スラリーの全質量に対して、好ましくは1〜10質量%である。
本発明の触媒スラリーは、電極触媒、電解質及び溶剤、ならびに必要であれば撥水性高分子および/または増粘剤、が適宜混合されたものであればその調製方法は特に制限されなく、さらに、本発明で使用される触媒スラリーを構成する溶剤としては、特に制限されず、触媒層を形成するのに使用される通常の溶剤が同様にして使用できる。具体的には、水、シクロヘキサノールやエタノールや2−プロパノール等の低級アルコールが使用できる。
本発明で使用される溶剤の量は、電解質を完全に溶解できる量であれば特に制限されないが、電解質が、溶剤中、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%の濃度になるような量である。この際、電解質の濃度が20質量%を超えると、電解質を完全には溶解せずに一部コロイドが形成される可能性があり、逆に0.1質量%未満であると、含まれる電界質量が少なすぎて、電解質高分子の分子鎖がよく絡まりあいきれずに、形成される電極触媒層の機械的強度が劣る可能性がある。また、触媒スラリーにおいて、電極触媒および固体高分子電解質などを合わせた固形分の濃度は、触媒スラリー中、0.1〜20質量%、より好ましくは5〜10質量%程度とするのがよい。
本発明の触媒スラリーは、カソード側電極触媒層またはアノード側電極触媒層のいずれか一方のみに使用されてもあるいは双方に使用されてもよいが、カソード側は特に出力変動による生成水量の変化により乾湿の変化を受けて、初期状態における電極触媒層の多孔構造が崩れ、空隙率が低下して、電極触媒層への反応ガス供給量が低下する危険性が高いため、少なくともカソード側電極触媒層に使用されることが好ましく、特にカソード及びアノード双方の側の電極触媒層に使用されることが好ましい。
一方、本発明に係る膜電極接合体に用いられる電極触媒層の含水率は、1〜30%が好ましく、5〜20%がより好ましく、10〜20%がさらに好ましい。含水率が1%未満だと燃料電池の運転に必要な充分な水を保持することが出来ず、含水率が30%以上だと膨潤率が大きくなり含水した水が反応ガスの進路を塞いでしまい、発電に十分な量のガスが触媒表面まで到達できない可能性がある。
本発明に係る膜電極接合体の厚さは、好ましくは100〜1000μm、より好ましくは200〜700μm程度とするのがよい。
本発明に係る上記膜電極接合体は、燃料電池に使用することができる。かような形態によれば、耐久性に優れた燃料電池が提供されうる。
前記燃料電池の種類としては、特に限定されず、上記した説明中では高分子電解質型燃料電池を例に挙げて説明したが、この他にも、アルカリ型燃料電池、リン酸型燃料電池に代表される酸型電解質の燃料電池、ダイレクトメタノール型燃料電池、マイクロ燃料電池などが挙げられる。なかでも小型かつ高密度・高出力化が可能であるから、固体高分子電解質型燃料電池が好ましく挙げられる。また、前記燃料電池は、搭載スペースが限定される車両などの移動体用電源の他、定置用電源などとして有用であるが、特にシステムの起動/停止や出力変動が頻繁に発生する自動車用途で特に好適に使用できる。
前記高分子電解質型燃料電池は、定置用電源の他、搭載スペースが限定される自動車などの移動体用電源などとして有用である。なかでも、比較的長時間の運転停止後に高い出力電圧が要求されることによるカーボン担体の腐食、および、運転時に高い出力電圧が取り出されることにより高分子電解質の劣化が生じやすい自動車などの移動体用電源として用いられるのが特に好ましい。
前記燃料電池の構成としては、特に限定されず、従来公知の技術を適宜利用すればよいが、一般的には膜電極接合体をセパレータで挟持した構造を有する。
前記セパレータとしては、緻密カーボングラファイト、炭素板等のカーボン製や、ステンレス等の金属製のものなど、従来公知のものであれば制限なく用いることができる。セパレータは、空気と燃料ガスとを分離する機能を有するものであり、それらの流路を確保するための流路溝が形成されてもよい。セパレータの厚さや大きさ、流路溝の形状などについては、特に限定されず、得られる燃料電池の出力特性などを考慮して適宜決定すればよい。
また、各触媒層に供給されるガスが外部にリークするのを防止するために、ガスケット層上の触媒層が形成されていない部位にさらにガスシール部が設けられてもよい。前記ガスシール部を構成する材料としては、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリイソブチレンゴム等のゴム材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系の高分子材料、ポリオレフィンやポリエステル等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。また、ガスシール部の厚さとしては、2mm〜50μm、望ましくは1mm〜100μm程度とすればよい。
さらに、燃料電池が所望する電圧等を得られるように、セパレータを介して膜電極接合体を複数積層して直列に繋いだスタックを形成してもよい。燃料電池の形状などは、特に限定されず、所望する電圧などの電池特性が得られるように適宜決定すればよい。
以下、実施例および比較例により本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1(TiOフィラーの含有量が異なる例)
アスペクト比12.9のTiO粉末(石原産業株式会社製、TLF−100)およびN−メチルピロリドン(NMP)を、下記の表1に示す仕込み量で混合し、超音波洗浄機を用いて攪拌した。次いで、この混合物にスルホン化ポリエーテルスルホン(S−PES)(イオン交換容量1.8meq/g)粉末を表1に示す仕込み量で投入して混合し、4時間攪拌し、室温まで徐冷して、TiO針状フィラー分散溶液を得た。得られたTiO針状フィラー分散溶液をステンレス製アプリケータを用いて製膜した。アプリケータのGapを0.32mmとし、ガラス板上において約7.2cm/minの掃引速度(「製膜速度」とも称する)で塗布した。その後、80℃で10時間、塗膜を熱処理した。熱処理後の膜をガラス板ごと純水中に3分間浸漬し、膜をガラス板から剥離させた。その後、剥離した膜を室温の1N HClに10時間含浸し、次いで再度純水に10時間浸漬し、HClを除去した。得られた膜を室温で10時間乾燥させて、電解質膜を得た。
比較例1
電解質がS−PESである場合の比較例として、フィラーなしのS−PES膜を作成した。15.3gのNMPおよびスルホン化ポリエーテルスルホン(S−PES)粉末2.7gを混合し、80℃にて4時間攪拌し、室温まで徐冷した。その後の製膜、熱処理、洗浄については実施例1と同様の方法で実施した(表1に仕込み量記載)。
実施例2(シリカアルミナフィラーの酸表面処理の有無)
酸による表面処理をした場合のシリカアルミナフィラーと、酸による表面処理をしない場合のシリカアルミナフィラーとをそれぞれ用いて、電解質膜を作成した。具体的には、酸による表面処理をする場合には、N−メチルピロリドン(NMP)およびスルホン化ポリエーテルスルホン(S−PES)(イオン交換容量1.8meq/g)粉末を表3に示す仕込み量で混合し、80℃で4時間攪拌し、室温まで徐冷した。次いで、p−トルエンスルホン酸一水和物(p−Toluenesulfonic Acid Monohydrate)(ナカライテスク株式会社 99%、GR)およびシリカアルミナフィラー(株式会社ニチビ製、型番S−6400 約0.9mmの長さに切断 アスペクト比143)を表3に示す仕込み量で投入して混合し、4時間攪拌し、超音波洗浄機で15分間攪拌し、室温まで徐冷した。その後上記の実施例1と同様の手法を用いて、電解質膜を得た。
一方、酸による表面処理をしない場合には、N−メチルピロリドン(NMP)とおよびスルホン化ポリエーテルスルホン(S−PES)(イオン交換容量1.8meq/g)粉末を表2に示す仕込み量で混合し、80℃で4時間攪拌し、室温まで徐冷した。次いで、シリカアルミナフィラー(株式会社ニチビ製、型番S−6400 直径7μm、約0.9mmの長さに切断 アスペクト比143)を表3に示す仕込み量で投入して混合し、4時間攪拌し、室温まで徐冷した。その後上記の実施例1と同様の手法を用いて、電解質膜を得た。
製造した電解質膜の評価
観察評価
実施例1で調製した10wt%TiO含有電解質膜(図1)、実施例2で調製した酸表面処理をしていないシリカアルミナフィラーを用いた電解質膜(図7)および酸表面処理シリカアルミナフィラーを用いた電解質膜(図8)の表面を観察した。観察は、加速電圧:10kV、Working Distance:約3mm、SEM試料ホルダにカーボンテープを用いて膜を固定後、表面にPt蒸着(膜厚10nm程度、20mA×60s)により導通処理を施した後、FE−SEM(電解放射型走査電子顕微鏡、JSM−6700F、日本電子データム株式会社製)を用いて行なった。
また、実施例5で調製した30wt%TiO含有電解質膜について、膜面に水平な方向の断面および膜面に垂直な方向の断面を観察した。それぞれの観察写真を図10(膜面に水平な方向の断面)および図11(膜面に垂直な方向の断面)に示す。観察は、まず、加速電圧:3kV、Working Distance:約5mmで、ミクロトーム切削により電解質膜の観察断面を作製し、適当なサイズに切断した。次いで、SEM試料ホルダにカーボンテープを用いて膜を固定後、Arイオンで軽くエッチングした後、表面にPt蒸着(膜厚10nm程度、20mA×60s)により導通処理を施し、FE−SEM(電解放射型走査電子顕微鏡S−4700、株式会社日立製作所製)を用いて観察した。
膨潤率の測定(図2)
以下の手法により、実施例1および比較例1で調製した電解質膜の膨潤率を測定した。
具体的には、電解質膜を、縦40mm幅10mmに切り出し、24時間、23℃、50%RH雰囲気中に放置した後、膜厚および長手方向の寸法を、膜厚は膜厚計(テスター産業TH−104)で、長手方向はものさしで測定した。その後、23℃にて純水中に24時間浸漬した後、電解質膜表面の水をろ紙で拭き取り、膜厚および長手方向の寸法を、膜厚は膜厚計(テスター産業TH−104)で、長手方向はものさしで測定した。得られた値から、膜厚方向の膨潤率および膜面方向の膨潤率をそれぞれ以下の式により算出した。算出結果を示すグラフを図2に示す。
また、図2に示される膨潤率の値から、以下の式により、電解質膜の含水率を算出した。算出結果を以下の表3および表4に示す。なお、含水率の算出に当たっては、体積増加率を含水率と同等とみなした。
膨潤異方性の算出(図3)
さらに、図2に示される膨潤率の値から、以下の式により、電解質膜の膨潤異方性を算出した。算出結果を図3および以下の表3に示す。
式中、λzは、膜厚方向の膨潤率であり、λxyは膜面方向の膨潤率である。
プロトン伝導度(図4)
以下の手法により、実施例1および比較例1で調製した電解質膜のプロトン伝導度を測定した。具体的には、まず、80℃、95%RHに設定された恒温恒質槽内に実施例1および比較例1で調製した電解質膜(30mm×15mm)をセットし、電極間距離が10mmになるように白金線を設置した。次いで、交流インピーダンス法(周波数:10Hz〜1MHz、印可電圧:0.2V、ソーラトロンSI1260)により膜抵抗を測定し、プロトン伝導度を算出した。算出結果を図4に示す。
引裂き強度(図6、図9)
ASTM D 1938に基づき、実施例1、実施例2および比較例1で調製した電解質膜の引裂き強度試験(温度23℃、50%RH)を行った。結果を図6(実施例1および比較例1)並びに図9(実施例2)に示す。
燃料電池用MEAの作製およびその評価
実施例1および比較例1で調製したそれぞれの電解質膜を用いて、以下の方法で燃料電池用MEAを作製した。
電極触媒層の作製
Pt担持カーボン粉末(田中貴金属製:TEC10E50E)の重量に対して5倍量の精製水を加えた後、0.5倍量のイソプロピルアルコールを加え、さらにはNafionの重量が0.8倍量になるようにNafion溶液(Aldrich社製5wt.%Nafion含有)を加えた。混合スラリーを超音波ホモジナイザでよく分散させ、それに続いて減圧脱泡操作を加えることによって触媒インクを作製した。これをカーボンペーパー(東レ製TGP−H−060)の片面にスクリーン印刷法によって所定量の触媒インクを印刷し、60℃で24時間乾燥させることにより電極触媒層を作製した。
カーボンペーパー上に形成された電極触媒層の面を電解質膜に合わせて挟持し、120℃、1.2MPaで10分間ホットプレスを行うことにより、燃料電池用MEAを作製した。
湿潤−乾燥耐久性(図5)
以下の手法により、上記で作製した燃料電池用MEAの湿潤−乾燥サイクル耐久性を評価した。具体的には、まず、1A/cmでの発電(70℃、アノード:100%RH、カソード:100%RH)を3分間行った。その後、アノード、カソードともに乾燥窒素ガスでパージ運転(1L/min 70℃ ドライ)を1分間行った。そして、電解質膜にクラックが生成してガスが漏れるまでのサイクル数を記録した。結果を図5に示す。
図1に示す結果から、本発明によれば、フィラーが電解質膜水平方向に配向した電解質膜が得られることがわかる。また、図2、図3から、実施例1で得られた電解質膜は膨潤異方性が0.3を下回ることがわかる。さらに、図2、3から、フィラーを含有させてもTiO含有率が20wt%程度までであれば、含水率の減少がほとんどなく、30%程度の含有率であっても、含水率が2割程度しか低下しない。このため燃料電池としての性能もTiO含有率が20wt%程度までであれば損なわれることがないと考えられる。
図4から、本発明により提供される電解質膜のプロトン伝導度は比較例1と比較してほとんど低下が見られないことがわかる。よって、フィラーを混ぜて、単位体積あたりの電解質の割合が減少しても、プロトン伝導度にはほとんど影響がなく、フィラーによる性能低減は考えなくてもよいことがわかる。
図6から、TiOを充填すると引裂き強度が向上することが分かる。TiO充填率2.5wt%から25wt%で極大をもつ。この場合の体積割合はTiOの密度が4g/cm、スルホン化ポリエーテルスルホンの密度が1.2g/cmであるため、0.76vol%から9.1vol%で引裂き強度の極大をもつことになる。これは、充填率が多すぎると、フィラーの凝集、フィラー間の微小隙間のボイドの生成等によって、引裂き抵抗力が低下するためと考えられる。この引裂き強度は膨潤異方性とともに燃料電池の湿潤乾燥サイクルに影響があると考えられる。燃料電池内での電解質膜のクラックは微小領域で発生しており、引裂き試験(ASTM D 1938)のような微小領域での電解質膜の破壊挙動と類似すると考えられる。
図9は、PTSを用いてフィラーの表面を処理するとフィラーの分散性が向上するということを、図7および図8に示すSEM画像だけでなく、引裂き強度の向上という観点からも確認できるものである。
図5から、本発明により提供される電解質膜の燃料電池内での乾燥−湿潤サイクル耐久性は、比較例1と比較して約2倍程度向上することがわかる。燃料電池内の耐久性は、燃料電池の運転条件、スタッキング方法、ガス流路、ガス拡散層のばらつき、触媒層のばらつき等で純粋な電解質膜の比較は難しいが、膨潤異方性が0.3を下回ると耐久性が大きく向上することがわかった。
実施例3(フィラーのアスペクト比が異なる例)
電解質に添加するフィラーのアスペクト比を変化させて、実施例1のフィラー添加量10wt%の場合と同様の手法により、電解質膜を作製した。本実施例において用いたフィラーのアスペクト比の値、および各材料の仕込み量を以下の表5に示す。
実施例3で得られたそれぞれの電解質膜について、上述したのと同様に、膜厚、膨潤率、膨潤異方性、プロトン伝導度、引裂き強度を測定した。結果を以下の表6に示す。同様に、膨潤率の測定結果を図12に示し、膨潤異方性の算出結果を図13に示し、プロトン伝導度の測定結果を図14に示し、引裂き強度の結果を図15に示す。
これらの結果から、フィラーのアスペクト比が少なくとも12.9〜22.2の範囲で変化した場合であっても、膨潤異方性が0.3未満と低い値に制御された電解質膜が得られることがわかる。
実施例4(フィラーの材質が異なる場合)
電解質に添加するフィラーの材質を変えて、実施例1のフィラー添加量10wt%の場合と同様の手法により、電解質膜を作製した。具体的には、フィラーとして、TiOに代えてベーマイトフィラー(アスペクト比36.7)を用いた。本実施例において用いたフィラーの仕様および各材料の仕込み量を以下の表7に示す。
実施例4で得られた電解質膜について、上述したのと同様に、膜厚、膨潤率、膨潤異方性、プロトン伝導度、引裂き強度を測定した。結果を以下の表8に示す。同様に、膨潤率の測定結果を図12に示し、膨潤異方性の算出結果を図13に示し、プロトン伝導度の測定結果を図14に示し、引裂き強度の結果を図15に示す。
これらの結果から、フィラーの材質が変化した場合やフィラーのアスペクト比が36.7まで変化した場合であっても、膨潤異方性が0.15と低い値に制御された電解質膜が得られることがわかる。
実施例5(電解質の種類が異なる場合)
電解質膜を構成する電解質の種類を、実施例1のS−PESに代えてパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子とし、実施例1に類似の手法により、電解質膜を作製した。
具体的には、アスペクト比12.9のTiO粉末(石原産業株式会社製、TLF−100)を、以下の表9に示す仕込み量でナフィオン溶液(DE2020 20wt%n−プロパノール/水溶液 Dupont社製)に投入し、ホモジナイザで20分間、約10000回転で攪拌した。得られたTiOフィラー分散ナフィオン溶液をステンレス製アプリケータを用いて製膜した。アプリケータのGapを0.32mmとし、ガラス板上で約7.2cm/minの掃引速度(製膜速度とも称する)で塗布した。その後80℃で2時間、120℃で10分間、塗膜を熱処理した。熱処理後の塗膜をガラス板ごと純水中に3分間浸漬し、膜をガラス板から剥離させた。その後、室温の1N HClに膜を10時間含浸し、次いで再度純水に10時間浸漬し、HClを除去した。得られた膜を室温で10時間乾燥させて、電解質膜を得た。
比較例2
電解質がパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子(ナフィオン)である場合の比較例として、フィラーなしのナフィオン膜を作成した。具体的には、ナフィオン溶液(DE2020 20wt%n−プロパノール/水溶液 Dupont社製)をステンレス製アプリケータを用いて製膜した。アプリケータのGapを0.32mmとし約7.2cm/minの掃引速度(製膜速度とも称する)で塗布した。その後80℃で2時間、120℃で10分間、塗膜を熱処理した。熱処理後の塗膜をガラス板ごと純水中に3分間浸漬し、膜をガラス板から剥離させた。その後、室温の1N HClに膜を10時間含浸し、次いで再度純水に10時間浸漬し、HClを除去した。得られた膜を室温で10時間乾燥させて、電解質膜を得た。(表9に仕込み量記載)。
実施例5および比較例2で得られた電解質膜について、上述したのと同様に、膜厚、膨潤率、膨潤異方性、プロトン伝導度を測定した。結果を以下の表10に示す。同様に、膨潤率の測定結果を図16に示し、膨潤異方性の算出結果を図17に示し、プロトン伝導度の測定結果を図18に示す。
これらの結果から、本発明によれば、電解質膜を構成する主成分の電解質の種類が変化した場合であっても、膨潤異方性が0.3未満と低い値に制御された電解質膜が得られることがわかる。
以上、具体例を挙げながら本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
実施例1で調製した10wt%TiO含有電解質膜の表面を観察した結果を示すSEM写真である。 実施例1および比較例1で調製した電解質膜の膨潤率を測定した結果を示すグラフである。 実施例1および比較例1で調製した電解質膜の膨潤異方性を算出した結果を示すグラフである。 実施例1および比較例1で調製した電解質膜のプロトン伝導度を測定した結果を示すグラフである。 実施例1および比較例1で調製した電解質膜を用いて作製した燃料電池用MEAの湿潤−乾燥サイクル耐久性を評価した結果を示すグラフである。 実施例1および比較例1で調製した電解質膜の引裂き強度試験を行った結果を示すグラフである。 実施例2で調製した酸表面処理をしていないシリカアルミナフィラーを用いた電解質膜の表面を観察した結果を示すSEM写真である。 実施例2で調製した酸表面処理シリカアルミナフィラーを用いた電解質膜の表面を観察した結果を示すSEM写真である。 実施例2で調製した電解質膜の引裂き強度試験を行った結果を示すグラフである。 実施例1で調製した30wt%TiO含有電解質膜の膜面に水平な方向の断面を観察した結果を示すSEM写真である。 実施例1で調製した30wt%TiO含有電解質膜の膜面に垂直な方向の断面を観察した結果を示すSEM写真である。 実施例3および4で調製した電解質膜の膨潤率を測定した結果を示すグラフである。 実施例3および4で調製した電解質膜の膨潤異方性を測定した結果を示すグラフである。 実施例3および4で調製した電解質膜のプロトン伝導度を測定した結果を示すグラフである。 実施例3および4で調製した電解質膜の引裂き強度試験を行った結果を示すグラフである。 実施例5および比較例2で調製した電解質膜の膨潤率を測定した結果を示すグラフである。 実施例5および比較例2で調製した電解質膜の膨潤異方性を測定した結果を示すグラフである。 実施例5および比較例2で調製した電解質膜のプロトン伝導度を測定した結果を示すグラフである。

Claims (8)

  1. フィラーおよび高分子電解質を含む電解質膜であって、
    膜厚が1〜500μmであり、含水率が10質量%以上であり、膜面方向と膜厚方向との膨潤率の比が以下の式(1):
    を満たし、
    前記フィラーは、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、フェニル硼酸、およびフェニル酢酸からなる群から選択される1種または2種以上の酸により表面処理されていることを特徴とする、電解質膜
    ここで、前記膜厚方向膨潤率λzおよび前記膜面方向膨潤率λxyは、電解質膜を、縦40mm幅10mmに切り出し、24時間、23℃、50%RH雰囲気中に放置した後、膜厚および長手方向の寸法を、膜厚は膜厚計(テスター産業TH−104)で、長手方向はものさしで測定しておき、23℃にて純水中に24時間浸漬した後、電解質膜表面の水をろ紙で拭き取り、膜厚および長手方向の寸法を、膜厚は膜厚計(テスター産業TH−104)で、長手方向はものさしで測定して、得られた値から、それぞれ以下の式により算出される値である:
  2. 前記酸が、フェニル硼酸およびフェニル酢酸からなる群から選択される1種または2種である、請求項1に記載の電解質膜。
  3. 前記フィラーのアスペクト比は、10〜1000であることを特徴とする、請求項1または2に記載の電解質膜。
  4. 前記フィラーの含有量は、前記フィラーおよび前記高分子電解質の合計質量に対して1〜90質量%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解質膜。
  5. 前記フィラーは、前記高分子電解質膜の面水平方向に配向していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解質膜。
  6. 前記フィラーの構成材料は、チタニア、チタン酸カリウム、シリカ、シリカ−アルミナ、ジルコニア、ベーマイトからなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解質膜。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解質膜と、
    前記電解質膜の一方の面に配置された、アノード側電極触媒層およびアノード側ガス拡散層と、
    前記電解質膜の他方の面に配置された、カソード側電極触媒層およびカソード側ガス拡散層と、
    を有する、膜電極接合体。
  8. 請求項7に記載の膜電極接合体を用いた燃料電池。
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