以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1および図2は本発明の第1の実施の形態による二次電池の負極を示す断面図である。
図1を参照すると、集電体6aは、充放電の際、電流を電池の外部に取り出したり外部から電池内に電流を取り込んだりするための電極である。この集電体6aは、導電性の金属箔であればよく、たとえば、アルミニウム、銅、ステンレス、金、タングステン、モリブデン等を用いることができ、その膜厚は5〜25μmである。
Li吸蔵粒子1aは、充放電の際リチウムを吸蔵あるいは放出する負極部材である。このLi吸蔵粒子1aの例としては、シリコン、スズ、ゲルマニウム、アルミニウム、鉛、インジウム、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの複合粒子、シリコンと炭素、シリコンと鉄、シリコンとチタン、シリコンとニッケルの複合粒子、酸化シリコン、酸化スズ、酸化ホウ素、酸化リン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウムおよびこれらの複合酸化物、アモルファス構造を有するシリコン、スズ、ゲルマニウム、アルミニウム、鉛、インジウム、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの複合粒子等が挙げられ、これらの中から1種類あるいは2種類以上から形成される。また、その粒子の平均粒径は50μm以下とするのが望ましい。
黒鉛粒子2aは、充放電の際リチウムを吸蔵あるいは放出すると共に、Li吸蔵粒子1aの膨張収縮によって発生する応力を緩衝する負極部材である。黒鉛粒子2aとしては、加圧に対してつぶれやすい、すなわち結晶性の高い黒鉛粒子が挙げられる。具体的には、結晶の層間距離が0.3354nm以上0.338nm以下、かつラマン分光分析によるGピークとDピークの面積比はG/D≧9の黒鉛粒子である。その平均粒径は50μm以下とするのが望ましい。
これらの活物質にポリフッ化ビニリデンと導電付与材を混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリー液としたものを、ドクターブレード法により集電体6a上に塗布する。
また、図2に示すように集電体6aの両面にLi吸蔵粒子1aと黒鉛粒子2aを混合した混合層4aを塗布してもよい。
本発明によるリチウム二次電池において用いることのできる正極としては、LixMyOz(ただしMは、少なくとも1つの遷移金属を表す。0<x≦2、0<y≦2、0<z≦4)である複合酸化物、例えば、層状構造を有するLiCoO2、LiNiO2やLiMnO2、スピネル構造を有するLiMn2O4、またこれら遷移金属や酸素を他元素で置換したものなどを、カーボンブラック等の導電性物質、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の結着剤をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の溶剤と分散混練したものをアルミニウム箔等の基体上に塗布したものを用いることができる。
また、本発明におけるリチウム二次電池において用いることのできるセパレータとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、フッ素樹脂等の多孔性フィルムを用いることができる。
また、本発明によるリチウム二次電池において用いることができる電解液としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類、1、2−エトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル類、ジメチルスルホキシド、1、3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1、3−プロパンサルトン、アニソール、N−メチル−2−ピロリドン、などの非プロトン性有機溶媒を一種又は二種以上を混合して使用し、これらの有機溶媒に溶解するリチウム塩を溶解させる。リチウム塩としては、例えばLiPF6、LiAsF6、LiAlCl4、LiClO4、LiBF4、LiSbF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、Li(CF3SO2)2、LiN(CF3SO2)2、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸カルボン酸リチウム、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウム、LiBr、LiI、LiSCN、LiCl、イミド類などがあげられる。また、電解液に代えてポリマー電解質を用いてもよい。
本発明における電池の形状としては、特に制限はないが例えば、円筒型、角型、コイン型などがあげられる。また、金属あるいは金属ラミネートフィルムをその容器として使用することができる。
次に、図1に示す非水電解液二次電池の負極の動作について詳細に説明する。充電の際、負極は正極側から電解液を介しリチウムを受け取る。まずリチウムイオンは負極電極内に存在するLi吸蔵粒子1aと黒鉛粒子2aに吸蔵される。放電の際には、充電時に吸蔵したリチウムイオンを、Li吸蔵粒子1aと黒鉛粒子2aから放出する。充電時Li吸蔵粒子1aと黒鉛粒子2aは、リチウムイオンを吸蔵するため体積膨張する。逆に放電時には、リチウムイオンを放出するため元に戻ろうとして収縮する。特にLi吸蔵粒子1aは黒鉛粒子2aに比べて体積膨張・収縮が激しいため、その際に発生する応力によって徐々に微粉化し、粒子間、あるいは集電体−電極層間での電気的接触が失われてしまう恐れがある。しかしながら本発明における形態では、Li吸蔵粒子1aの周りに、加圧によってつぶれやすい黒鉛粒子2aが配置されているため、クッションのような働きをし、充放電時のLi吸蔵粒子1aの膨張収縮によって発生する応力を緩和することができる。そのため、充放電を繰り返しても集電性が保たれ、サイクル劣化を防止することができる。
以下、本発明の第1の実施の形態による二次電池の製造の具体例を例1として説明する。
本発明の例1においては、図1に示すような集電体6a上にLi吸蔵粒子1aと黒鉛粒子2aを混合した混合層4aをもつ構造をとり、次のような方法によりコイン型電池を作製して評価を行った。
集電体6aには厚さ10μmの圧延銅箔を用い、Li吸蔵粒子1aには平均粒径2μmの結晶性のSn粒子を、黒鉛粒子2aには平均粒径5μmの黒鉛粒子2aを用い、これらをLi吸蔵粒子1a:黒鉛粒子2a=10wt%:90wt%の割合で混合して活物質とした。なお、黒鉛粒子2aとして、X線回折法による(002)面間隔d(002)と、ラマン分光分析によるGピークとDピークの面積比G/Dの異なる9種類の黒鉛粒子2aを用いた。
Li吸蔵粒子1aと黒鉛粒子2aにポリフッ化ビニリデンと導電付与材を混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリー液とした。このスラリー液を、ドクターブレード法により集電体6a上に塗布し、混合層4aを作製した。乾燥後プレス機を用いて圧縮し、膜厚50μm、電極密度1.6×103kg/m3の作用極とした。対極には円形に打ち抜いた金属リチウムを用い、コイン型電池を作製した。
セパレータにはポリプロピレン不織布を用いた。電解液には1モル/Lの濃度のLiPF6を溶解させたエチレンカーボネイト(EC)とジエチルカーボネイト(DEC)の混合溶媒(混合容積比:EC/DEC=30/70)を用いた。
作製した電池について、20℃において充放電サイクル試験を行った。充放電試験の電圧範囲は0〜2.5Vとした。
下記表1は、各黒鉛粒子2aのd(002)、G/Dと、それを用いて作製したコイン型電池の初回充放電効率を示し、下記表2は100サイクル後の放電容量比率(C100/C1)を示している。
下記表1及び表2より、d(002)が0.3354nm以上0.338nm以下、かつラマン分光分析によるGピークとDピークの面積比がG/D≧9の黒鉛粒子2aを使用した場合において初回充放電効率、放電容量比率共に90%以上の高い値を示していることがわかる。
本発明の例1における評価結果から、本発明に係る負極、すなわちd(002)が0.3354nm以上0.338nm以下、かつラマン分光分析によるGピークとDピークの面積比がG/D≧9である黒鉛粒子を備える二次電池は、初回充放電効率が高く、かつ優れたサイクル特性を有することが証明された。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態による二次電池の具体例を例2として詳細に説明する。
本発明の例2においては、図1に示すような集電体6a上にLi吸蔵粒子1aと黒鉛粒子2aを混合した混合層4aをもつ構造をとる。集電体6aには厚さ10μmの圧延銅箔を用い、Li吸蔵粒子1aには平均粒径5μmの結晶性Si粒子、黒鉛粒子2aには平均粒径10μmかつ結晶の層間距離が0.336nmかつG/D=10の黒鉛粒子2aを用いた。これらのLi吸蔵粒子1aと黒鉛粒子2aを活物質とし、例1と同様の方法でコイン型電池を作製し、Li吸蔵粒子1aと黒鉛粒子2aの混合比率を変化させた電池の特性を比較した。電極膜厚は50μmとした。
図3は活物質中の黒鉛粒子2aの重量比率(黒鉛粒子2a重量/(黒鉛粒子2a+Li吸蔵粒子1a)%)を変化させた時の、初回充放電効率と100サイクル後の放電容量比率(C100/C1)を示す図である。
図3より、黒鉛粒子2aの比率が増えるほど、初回充放電効率は高く、100サイクル後の放電容量比率も高くなることがわかる。特に黒鉛粒子2aの比率が40重量%以上において、初回充放電効が85%以上、放電容量比率(C100/C1)が80%以上の、良好な特性を示すことがわかった。これは、40重量%(即ち、質量パーセント,以下,wt%で示す)未満では、黒鉛粒子2aの混合量が少なすぎるため、緩衝材としての効果が、不十分であったためと考えられる。
以上の結果から、黒鉛粒子2aの重量比率を負極材活物質の40重量%以上にすることが、初回充放電効率、サイクル特性を向上させるのに有効であることが明らかとなった。
本例2における評価結果から、本発明に係る負極、すなわち黒鉛粒子2aの重量比率が負極材活物質の40重量%以上である二次電池は、初回充放電効率が高く、かつ優れたサイクル特性を有することが証明された。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態による二次電池の具体例としての例3について説明する。
本発明の例3においては、図1に示すような集電体6a上にLi吸蔵粒子1aと黒鉛粒子2aを混合した混合層4aをもつ構造をとる。集電体6aには厚さ10μmの圧延銅箔を用いた。黒鉛粒子2aには、例1において優れた特性を示した、平均粒径5μmかつ結晶の層間距離が0.336nmかつラマン分光分析によるGピークとDピークの面積比はG/D=10の黒鉛粒子2aを使用し、下記表3に示すように、混合するLi吸蔵粒子1aを変えて、例1と同様の方法でコイン型電池を作製し、初回充放電効率と100サイクル後の放電容量比率(C100/C1)の評価を行った。なお、混合比率はLi吸蔵粒子1a:黒鉛粒子2a=20wt%:80wt%とした。
下記表3は、本例3で用いたLi吸蔵粒子1aと、それを用いて作製したコイン型電池の、初回充放電効率および100サイクル後の放電容量比率(C100/C1)を示している。
下記表3より、いずれの材料を用いた場合も、初回充放電効率、放電容量比率(C100/C1)が90%以上の高い値を示していることがわかる。これは、黒鉛粒子2aが、Li吸蔵粒子1aの膨張による応力を緩和し、Li吸蔵粒子1aの破砕や、電極の集電体6aからの剥離を抑制したためであると考えられる。
本例3における評価結果から、本発明に係る負極を備える二次電池は、初回充放電効率が高く、かつ優れたサイクル特性を有することが証明された。
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図4は本発明の第4の実施の形態による負極の断面図である。
図4に示すように、集電体6b上に、Li吸蔵粒子3bと黒鉛粒子2bを複合した高Li吸蔵粒子1bからなる層を配置した構成である。集電体6bは、充放電の際、電流を電池の外部に取り出したり外部から電池内に電流を取り込んだりするための電極である。この集電体6bは導電性の金属箔であればよく、たとえば、アルミニウム、銅、ステンレス、金、タングステン、モリブデン等を用いることができ、その膜厚は5〜25μmである。
Li吸蔵粒子3bと黒鉛粒子2bを複合した高Li吸蔵粒子1bは、充放電の際リチウムを吸蔵あるいは放出する負極部材である。Li吸蔵粒子3bの例としては、シリコン、スズ、ゲルマニウム、アルミニウム、鉛、インジウム、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの複合粒子、シリコンと炭素、シリコンと鉄、シリコンとチタン、シリコンとニッケルの複合粒子、酸化シリコン、酸化スズ、酸化ホウ素、酸化リン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウムおよびこれらの複合酸化物、アモルファス構造を有するシリコン、スズ、ゲルマニウム、アルミニウム、鉛、インジウム、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの複合粒子等が挙げられ、これらの中から1種類あるいは2種類以上から形成される。
黒鉛粒子2bは、充放電の際リチウムを吸蔵あるいは放出すると共に、Li吸蔵粒子3bの膨張収縮によって発生する応力を緩衝する負極部材である。黒鉛粒子2bとしては、加圧に対してつぶれやすい、すなわち結晶性の高い粒子が挙げられる。具体的には、結晶の層間距離が0.3354nm以上0.338nm以下、かつラマン分光分析によるGピークとDピークの面積比はG/D≧9の黒鉛粒子2bである。
図5(a)乃至(c)は図4の高Li吸蔵粒子1bを示す断面図である。図5(a)乃至(c)に示すように、Li吸蔵粒子3bと黒鉛粒子2bを複合した高Li吸蔵粒子1bは、上記Li吸蔵粒子3bと黒鉛粒子2bを粉砕して混合し、造粒したものである。
高Li吸蔵粒子1bはLi吸蔵粒子3bと黒鉛粒子2bが一体となり粒子を形成し、Li吸蔵粒子3bが黒鉛粒子2b内に均一に存在する。あるいは黒鉛粒子2b表面にLi吸蔵粒子3bが存在する形態や、Li吸蔵粒子3b表面に黒鉛粒子2bが存在する、という形態を例としてあげることができる。この高Li吸蔵粒子1bの平均粒径は50μm以下にすることが望ましい。
高Li吸蔵粒子1bを活物質とし、ポリフッ化ビニリデンと導電付与材を混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリー液としたものを、ドクターブレード法により集電体6b上に塗布する。また、この電極を使い電池を作製する際には、本発明の第1の実施の形態に示すようなセパレータ・正極・電解液・電池形状・容器を同様に使用することができる。
次に、第4の実施の形態による非水電解液二次電池の負極の動作について詳細に説明する。充電の際、負極は正極側から電解液を介しリチウムを受け取る。
まず、リチウムイオンは負極電極内に存在するLi吸蔵粒子3bと黒鉛粒子2bを複合した高Li吸蔵粒子1bに吸蔵される。
放電の際には、充電時に吸蔵したリチウムイオンを、Li吸蔵粒子3bと黒鉛粒子2bを複合した高Li吸蔵粒子1bから放出する。充電時Li吸蔵粒子3bと黒鉛粒子2bは、リチウムイオンを吸蔵するため体積膨張する。逆に放電時には、リチウムイオンを放出するため元に戻ろうとして収縮する。特にLi吸蔵粒子3bは黒鉛粒子2bに比べて体積膨張・収縮が激しいため、その際に発生する応力によって徐々に微粉化し、粒子間、あるいは集電体−電極層間での電気的接触が失われてしまう恐れがある。
しかしながら、本発明の第4の実施の形態においては、Li吸蔵粒子3bと、加圧によってつぶれやすい黒鉛粒子2bが複合化されているため、黒鉛粒子2bがクッションのような働きをし、充放電時のLi吸蔵粒子3bの膨張収縮によって発生する応力を緩和することができる。そのため、充放電を繰り返しても集電性が保たれ、サイクル劣化を防止することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態による二次電池の具体例を例4としてさらに詳しく説明する。
本例4では、図4に示すような集電体6b上にLi吸蔵粒子3bと黒鉛粒子2bを複合した高Li吸蔵粒子1bからなる層4bをもつ構造をとる。集電体6bには、厚さ10μmの圧延銅箔を、Li吸蔵粒子3bには、粒径2μmのアモルファスSi粒子を用い、黒鉛粒子2bには、平均粒径5μmかつ結晶の層間距離が0.336nmかつラマン分光分析によるGピークとDピークの面積比はG/D=10の粒子を使用した。これらのLi吸蔵粒子3bと黒鉛粒子2bを粉砕し、Li吸蔵粒子3b:黒鉛粒子2b=50wt%:50wt%の比率で混合して造粒し、平均粒径10μmの高Li吸蔵粒子1bを得た。このLi吸蔵粒子3bと黒鉛粒子2bを複合した高Li吸蔵粒子1bにポリフッ化ビニリデンと導電付与材を混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリー液とした。このスラリー液を、ドクターブレード法により集電体6b上に塗布した。乾燥後プレス機を用いて圧縮して作用極とし、円形に打ち抜いた金属リチウムを対極として、コイン型電池を作製した。Li吸蔵粒子3bと黒鉛粒子2bを複合した高Li吸蔵粒子1bからなる電極膜厚は50μm、電極密度は1.6×103kg/m3とした。
セパレータには、ポリプロピレン不織布を用いた。電解液には1モル/Lの濃度のLiPF6を溶解させたエチレンカーボネイト(EC)とジエチルカーボネイト(DEC)の混合溶媒(混合容積比:EC/DEC=30/70)を用いた。
作製した電池について、20℃において充放電サイクル試験を行った。充放電試験の電圧範囲は0〜2.5Vとした。
下記表4には初回充放電効率と100サイクル後の放電容量比率(C100/C1)を示す。下記表4より、初回充放電効率と100サイクル後の放電容量比率(C100/C1)ともに90%という高い値が得られた。これは、本例4ではLi吸蔵粒子3bと加圧によってつぶれやすい黒鉛粒子2bが複合化されているため、充放電時におけるLi吸蔵粒子3bの膨張収縮による応力が、周りの黒鉛粒子2bによって緩和され、Li吸蔵粒子3bの破砕や電極の集電体6bからの剥離が抑制され、集電性が保たれたためと考えられる。
本例4における評価結果から、本発明に係る負極、すなわち集電体6b上にLi吸蔵粒子3bと黒鉛粒子2bを複合した高Li吸蔵粒子1bからなる層4bをもつ形態をとる二次電池は、初回充放電効率が高く、かつ優れたサイクル特性を有することが証明された。
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図6は、本発明の第5の実施の形態による負極の断面図である。図6に示すように、本発明の第5の実施の形態による負極では、集電体6c上に、Li吸蔵粒子3cと黒鉛粒子2c′を複合した高Li吸蔵粒子1cと黒鉛粒子2cを混合した混合層4cを配置している。集電体6cは、充放電の際、電流を電池の外部に取り出したり外部から電池内に電流を取り込んだりするための電極である。この集電体6cは導電性の金属箔であればよく、たとえば、アルミニウム、銅、ステンレス、金、タングステン、モリブデン等を用いることができ、その膜厚は5〜25μmである。
Li吸蔵粒子3cと黒鉛粒子2c′を複合した高Li吸蔵粒子1cおよび黒鉛粒子2cは、充放電の際リチウムを吸蔵あるいは放出する負極部材である。このLi吸蔵粒子3cの例としては、シリコン、スズ、ゲルマニウム、アルミニウム、鉛、インジウム、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの複合粒子、シリコンと炭素、シリコンと鉄、シリコンとチタン、シリコンとニッケルの複合粒子、酸化シリコン、酸化スズ、酸化ホウ素、酸化リン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウムおよびこれらの複合酸化物、アモルファス構造を有するシリコン、スズ、ゲルマニウム、アルミニウム、鉛、インジウム、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの複合粒子等が挙げられ、これらの中から1種類あるいは2種類以上から形成される。
黒鉛粒子2cおよび黒鉛粒子2c′は、充放電の際リチウムを吸蔵あるいは放出すると共に、Li吸蔵粒子3cの膨張収縮によって発生する応力を緩衝する負極部材である。黒鉛粒子2cとしては、加圧に対してつぶれやすい、すなわち結晶性の高い粒子が挙げられる。具体的には、結晶の層間距離が0.3354nm以上0.338nm以下、かつラマン分光分析によるGピークとDピークの面積比はG/D≧9の黒鉛粒子である。黒鉛粒子2cの平均粒径は50μm以下にすることが望ましい。黒鉛粒子2c′としては、結晶の層間距離が0.3354nm以上0.338nm以下、かつラマン分光分析によるGピークとDピークの面積比はG/D≧9の、加圧に対してつぶれやすい結晶性の高い黒鉛粒子を選択することもできるが、この範囲に限定されるものではない。
Li吸蔵粒子3cと黒鉛粒子2c′を複合した高Li吸蔵粒子1cは、上記Li吸蔵粒子3cと黒鉛粒子2c′を粉砕して混合し、造粒したものであり、図6示すように黒鉛粒子2c′表面にLi吸蔵粒子3cが存在する。あるいは、Li吸蔵粒子3c表面に黒鉛粒子2c′が存在する形態や、Li吸蔵粒子3cと黒鉛粒子2c′が一体となり粒子を形成し、Li吸蔵粒子3cが黒鉛粒子2c′内に均一に存在する、という形態をとる。高Li吸蔵粒子1cの平均粒径は50μm以下にすることが望ましい。
これらのLi吸蔵粒子3cと黒鉛粒子2c′を複合した高Li吸蔵粒子1cおよび黒鉛粒子2cを活物質とし、ポリフッ化ビニリデンと導電付与材を混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリー液としたものを、ドクターブレード法により集電体6c上に塗布する。また、これらの負極を使い電池を作製する際には、発明の第1の実施の形態に示すようなセパレータ・正極・電解液・電池形状・容器を同様に使用することができる。
図6に示す非水電解液二次電池の負極の動作について詳細に説明する。充電の際、負極は正極側から電解液を介しリチウムを受け取る。まず、リチウムイオンは負極電極内に存在するLi吸蔵粒子3cと黒鉛粒子2c′を複合した高Li吸蔵粒子1cおよび黒鉛粒子2cに吸蔵される。放電の際には、充電時に吸蔵したリチウムイオンを、Li吸蔵粒子3cと黒鉛粒子2c′を複合した高Li吸蔵粒子1cおよび黒鉛粒子2cから放出する。充電時Li吸蔵粒子3cと黒鉛粒子2cおよび黒鉛粒子2c′は、リチウムイオンを吸蔵するため体積膨張する。逆に放電時には、リチウムイオンを放出するため元に戻ろうとして収縮する。特にLi吸蔵粒子3cは黒鉛粒子2cや黒鉛粒子2c′に比べて体積膨張・収縮が激しいため、その際に発生する応力によって徐々に微粉化し、粒子間、あるいは集電体−電極層間での電気的接触が失われてしまう恐れがある。
しかしながら、本発明の第5の実施の形態では、Li吸蔵粒子3cと、黒鉛粒子2c′が複合化され、さらにその周りに加圧によってつぶれやすい黒鉛粒子2cが配置されているため、黒鉛粒子2cと黒鉛粒子2c′がクッションのような働きをし、充放電時のLi吸蔵粒子3cの膨張収縮によって発生する応力を緩和することができる。そのため、充放電を繰り返しても集電性が保たれ、サイクル劣化を防止することができる。
次に本発明の第5の実施の形態による二次電池の製造の具体例としての例5について説明する。
本例5では、図6に示すような集電体6c上にLi吸蔵粒子3cと黒鉛粒子2c′を複合した高Li吸蔵粒子1cと黒鉛粒子2cを混合した混合層4cをもつ構造をとる。集電体6cには厚さ10μmの圧延銅箔を、Li吸蔵粒子3cには、粒径2μmのアモルファスSi粒子を用い、黒鉛粒子2cおよび黒鉛粒子2c′には、平均粒径5μmかつ結晶の層間距離が0.336nmかつラマン分光分析によるGピークとDピークの面積比はG/D=10の粒子を使用した。これらのLi吸蔵粒子3cと黒鉛粒子2c′を粉砕し、Li吸蔵粒子3c:黒鉛粒子2c′=50wt%:50wt%の比率で混合して造粒し、平均粒径10μmの高Li吸蔵粒子1cを得た。このLi吸蔵粒子3cと黒鉛粒子2c′を複合した高Li吸蔵粒子1cと黒鉛粒子2cを、高Li吸蔵粒子1c:黒鉛粒子2c=50wt%:50wt%の割合で混合したものにポリフッ化ビニリデンと導電付与材を混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリー液とした。このスラリー液を、ドクターブレード法により集電体6c上に塗布し、乾燥後プレス機を用いて圧縮して、膜厚を50μm、電極密度を1.6×103kg/m3とし、作用極とした。対極には円形に打ち抜いた金属リチウムを用い、コイン型電池を作製した。
セパレータにはポリプロピレン不織布を用いた。電解液には1モル/Lの濃度のLiPF6を溶解させたエチレンカーボネイト(EC)とジエチルカーボネイト(DEC)の混合溶媒(混合容積比:EC/DEC=30/70)を用いた。
作製した電池について、20℃において充放電サイクル試験を行った。充放電試験の電圧範囲は0〜2.5Vとした。
下記表5には初回充放電効率と100サイクル後の放電容量比率(C100/C1)を示す。下記表5より、初回充放電効率91%、100サイクル後の放電容量比率(C100/C1)92%という高い値が得られた。これは、本例5ではLi吸蔵粒子3cと黒鉛粒子2c′が複合化され、さらにその周りに加圧によってつぶれやすい黒鉛粒子2cが配置されているため、充放電時におけるLi吸蔵粒子3cの膨張収縮による応力が、黒鉛粒子2cおよび黒鉛粒子2c′によって緩和され、Li吸蔵粒子3cの破砕や電極の集電体6cからの剥離が抑制され、集電性が保たれたためと考えられる。
本例5における評価結果から、本発明に係る負極、すなわち集電体6c上にLi吸蔵粒子3cと黒鉛粒子2c′を複合した高Li吸蔵粒子1cと黒鉛粒子2cを混合した混合層4cをもつ形態をとる二次電池は、初回充放電効率が高く、かつ優れたサイクル特性を有することが証明された。
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図7は、本発明の第6の実施の形態を示す負極の断面図である。図7に示すように、本発明の第6の実施の形態を示す負極では、集電体6d上に、黒鉛粒子層5d、さらにその上にLi吸蔵粒子1dと黒鉛粒子2dを混合した混合層4dを配置している。集電体6dは、充放電の際、電流を電池の外部に取り出したり外部から電池内に電流を取り込んだりするための電極である。この集電体6dは導電性の金属箔であればよく、たとえば、アルミニウム、銅、ステンレス、金、タングステン、モリブデン等を用いることができ、その膜厚は5〜25μmである。
Li吸蔵粒子1dおよび黒鉛粒子2d、黒鉛粒子5dは、充放電の際リチウムを吸蔵あるいは放出する負極部材である。
このLi吸蔵粒子1dの例としては、シリコン、スズ、ゲルマニウム、アルミニウム、鉛、インジウム、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの複合粒子、シリコンと炭素、シリコンと鉄、シリコンとチタン、シリコンとニッケルの複合粒子、酸化シリコン、酸化スズ、酸化ホウ素、酸化リン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウムおよびこれらの複合酸化物、アモルファス構造を有するシリコン、スズ、ゲルマニウム、アルミニウム、鉛、インジウム、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの複合粒子等が挙げられ、これらの中から1種類あるいは2種類以上から形成される。その平均粒径は50μm以下とするのが望ましい。
黒鉛粒子2dおよび黒鉛粒子5dは、充放電の際リチウムを吸蔵あるいは放出すると共に、Li吸蔵粒子1dの膨張収縮によって発生する応力を緩衝する負極部材である。黒鉛粒子2dおよび黒鉛粒子5dとしては、加圧に対してつぶれやすい、すなわち結晶性の高い粒子が挙げられる。具体的には、結晶の層間距離が0.3354nm以上0.338nm以下、かつラマン分光分析によるGピークとDピークの面積比はG/D≧9の黒鉛粒子である。その平均粒径は50μm以下とするのが望ましい。
黒鉛粒子5dにポリフッ化ビニリデンと導電付与材を混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリー液としたものを、ドクターブレード法により集電体6d上に塗布する。さらに、この層上に、Li吸蔵粒子1dと黒鉛粒子2dを混合して活物質とし、ポリフッ化ビニリデンと導電付与材を混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリー液としたものを、ドクターブレード法により塗布する。また本発明において、黒鉛粒子層5dと混合層4dは、いずれも単数でも複数でもよく、多層化した構造も採用することができる。
これらの負極を使い電池を作製する際には、発明の第1の実施の形態に示すようなセパレータ・正極・電解液・電池形状・容器を同様に使用することができる。
次に、図7に示す非水電解液二次電池の負極の動作について詳細に説明する。
充電の際、負極は正極側から電解液を介しリチウムを受け取る。
まず、リチウムイオンは負極電極内に存在するLi吸蔵粒子1dおよび黒鉛粒子2d、黒鉛粒子5dに吸蔵される。放電の際には、充電時に吸蔵したリチウムイオンをLi吸蔵粒子1dおよび黒鉛粒子2d、5dから放出する。充電時Li吸蔵粒子1dおよび黒鉛粒子2d、黒鉛粒子5dは、リチウムイオンを吸蔵するため体積膨張する。
逆に、放電時には、リチウムイオンを放出するため元に戻ろうとして収縮する。特に、Li吸蔵粒子1dは黒鉛粒子2dや5dに比べて体積膨張・収縮が激しいため、その際に発生する応力によって徐々に微粉化し、粒子間、あるいは集電体−電極層間での電気的接触が失われてしまう恐れがある。
しかしながら、本発明の第6の実施の形態によるものでは、Li吸蔵粒子1dの周りに加圧によってつぶれやすい黒鉛粒子2dが配置され、さらにその下には、加圧によってつぶれやすい黒鉛粒子層5dが形成されているため、黒鉛粒子2dと5dがクッションのような働きをし、充放電時のLi吸蔵粒子1dの膨張収縮によって発生する応力を緩和することができる。そのため、充放電を繰り返しても集電性が保たれ、サイクル劣化を防止することができる。
以下、本発明の第6の実施の形態による二次電池の具体例を例6として説明する。
本例6では、図7に示すような、集電体6d上に黒鉛粒子5d層、その上にLi吸蔵粒子1dと黒鉛粒子2dを混合した混合層4dをもつ構造をとる。
集電体6dには厚さ10μmの圧延銅箔を、Li吸蔵粒子1dには、粒径2μmのアモルファスSi粒子を用い、黒鉛粒子2dおよび黒鉛粒子5dには、平均粒径5μmかつ結晶の層間距離が0.336nmかつラマン分光分析によるGピークとDピークの面積比はG/D=10の粒子を使用した。
黒鉛粒子5dにポリフッ化ビニリデンと導電付与材を混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリー液としたものを、ドクターブレード法により集電体6d上に塗布した。さらに、この層上に、Li吸蔵粒子1dと黒鉛粒子2dをLi吸蔵粒子1d:黒鉛粒子2d=50wt%:50wt%の比率で混合して活物質とし、ポリフッ化ビニリデンと導電付与材を混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリー液としたものを、ドクターブレード法により塗布した。乾燥後プレス機を用いて圧縮して作用極とし、円形に打ち抜いた金属リチウムを対極として、コイン型電池を作製した。
黒鉛粒子層5dの膜厚は20μm、Li吸蔵粒子1dと黒鉛粒子2dの混合層4dの膜厚は30μm、電極密度は1.6×103kg/m3とした。
セパレータには、ポリプロピレン不織布を用いた。電解液には1モル/Lの濃度のLiPF6を溶解させたエチレンカーボネイト(EC)とジエチルカーボネイト(DEC)の混合溶媒(混合容積比:EC/DEC=30/70)を用いた。
作製した電池について、20℃において充放電サイクル試験を行った。充放電試験の電圧範囲は0〜2.5Vとした。
下記表6には初回充放電効率と100サイクル後の放電容量比率(C100/C1)を示している。
下記表6より、初回充放電効率90%、100サイクル後の放電容量比率(C100/C1)92%という高い値が得られた。これは、本例6ではLi吸蔵粒子1dの周りに加圧によってつぶれやすい黒鉛粒子2dが配置され、さらにその下には加圧によってつぶれやすい黒鉛粒子層5dが形成されているため、充放電時におけるLi吸蔵粒子1dの膨張収縮による応力が、黒鉛粒子2dおよび黒鉛粒子5dによって緩和され、Li吸蔵粒子1dの破砕や電極の集電体6dからの剥離が抑制され、集電性が保たれたためと考えられる。
本例6における評価結果から、本発明に係る負極、すなわち集電体6d上に黒鉛粒子5d層、その上にLi吸蔵粒子1dと黒鉛粒子2dを混合した混合層4dをもつ形態をとる二次電池は、初回充放電効率が高く、かつ優れたサイクル特性を有することが証明された。
(第7の実施の形態)
本発明の第7の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図8は本発明の第7の実施の形態による負極の断面図である。図8に示すように、本発明の第7の実施の形態による負極では、集電体6e上に、Li吸蔵粒子1eと黒鉛粒子2eを混合した混合層4e、さらにその上に黒鉛粒子層5eを配置した構成である。集電体6eは、充放電の際、電流を電池の外部に取り出したり外部から電池内に電流を取り込んだりするための電極である。この集電体6eは導電性の金属箔であればよく、たとえば、アルミニウム、銅、ステンレス、金、タングステン、モリブデン等を用いることができ、その膜厚は5〜25μmである。
Li吸蔵粒子1eおよび黒鉛粒子2e、黒鉛粒子5eは、充放電の際リチウムを吸蔵あるいは放出する負極部材である。
このLi吸蔵粒子1eの例としては、シリコン、スズ、ゲルマニウム、アルミニウム、鉛、インジウム、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの複合粒子、シリコンと炭素、シリコンと鉄、シリコンとチタン、シリコンとニッケルの複合粒子、酸化シリコン、酸化スズ、酸化ホウ素、酸化リン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウムおよびこれらの複合酸化物、アモルファス構造を有するシリコン、スズ、ゲルマニウム、アルミニウム、鉛、インジウム、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの複合粒子等が挙げられ、これらの中から1種類あるいは2種類以上から形成される。その平均粒径は50μm以下とするのが望ましい。
黒鉛粒子2eおよび黒鉛粒子5eは、充放電の際リチウムを吸蔵あるいは放出すると共に、Li吸蔵粒子1eの膨張収縮によって発生する応力を緩衝する負極部材である。黒鉛粒子2eおよび黒鉛粒子5eとしては、加圧に対してつぶれやすい、すなわち結晶性の高い粒子が挙げられる。具体的には、結晶の層間距離が0.3354nm以上0.338nm以下、かつラマン分光分析によるGピークとDピークの面積比はG/D≧9の黒鉛粒子である。その平均粒径は50μm以下とするのが望ましい。
これらのLi吸蔵粒子1eと黒鉛粒子2e混合して活物質とし、ポリフッ化ビニリデンと導電付与材を混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリー液としたものを、ドクターブレード法により集電体6e上に塗布する。さらにこの層上に、黒鉛粒子5eにポリフッ化ビニリデンと導電付与材を混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリー液としたものを、ドクターブレード法により塗布する。
また本発明において、混合層4eと黒鉛粒子層5eは、いずれも単数でも複数でもよく、多層化した構造も採用することができる。これらの負極を使い電池を作製する際には、発明の第1の実施の形態に示すようなセパレータ・正極・電解液・電池形状・容器を同様に使用することができる。
次に、図7に示す非水電解液二次電池の負極の動作について詳細に説明する。充電の際、負極は正極側から電解液を介しリチウムを受け取る。まずリチウムイオンは負極電極内に存在するLi吸蔵粒子1eおよび黒鉛粒子2e、黒鉛粒子5eに吸蔵される。放電の際には、充電時に吸蔵したリチウムイオンをLi吸蔵粒子1eおよび黒鉛粒子2e、黒鉛粒子5eから放出する。充電時Li吸蔵粒子1eおよび黒鉛粒子2e、黒鉛粒子5eは、リチウムイオンを吸蔵するため体積膨張する。逆に放電時には、リチウムイオンを放出するため元に戻ろうとして収縮する。特にLi吸蔵粒子1eは黒鉛粒子2eや黒鉛粒子5eに比べて体積膨張・収縮が激しいため、その際に発生する応力によって徐々に微粉化し、粒子間、あるいは集電体−電極層間での電気的接触が失われてしまう恐れがある。
しかしながら、本発明においては、Li吸蔵粒子1eの周りに加圧によってつぶれやすい黒鉛粒子2eが配置され、さらにその層上には、加圧によってつぶれやすい黒鉛粒子層5eが形成されているため、黒鉛粒子2eと5eがクッションのような働きをし、充放電時のLi吸蔵粒子1eの膨張収縮によって発生する応力を緩和することができる。そのため、充放電を繰り返しても集電性が保たれ、サイクル劣化を防止することができる。
以下、本発明の第7の実施の形態による具体例としての例7について説明する。
本例7では、図8に示すような集電体6e上にLi吸蔵粒子1eと黒鉛粒子2eを混合した混合層4e、その上に黒鉛粒子5e層をもつ構造をとる。
集電体6eには厚さ10μmの圧延銅箔を、Li吸蔵粒子1eには粒径2μmのアモルファスSi粒子を用い、黒鉛粒子2eおよび黒鉛粒子5eには、平均粒径5μmかつ結晶の層間距離が0.336nmかつラマン分光分析によるGピークとDピークの面積比はG/D=10の粒子を使用した。
これらのLi吸蔵粒子1eと黒鉛粒子2eをLi吸蔵粒子1e:黒鉛粒子2e=50wt%:50wt%の比率で混合して活物質とし、ポリフッ化ビニリデンと導電付与材を混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリー液としたものを、ドクターブレード法により集電体6e上に塗布した。さらに、この層上に、黒鉛粒子5eにポリフッ化ビニリデンと導電付与材を混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリー液としたものを、ドクターブレード法により塗布した。乾燥後プレス機を用いて圧縮して作用極とし、円形に打ち抜いた金属リチウムを対極として、コイン型電池を作製した。Li吸蔵粒子1eと黒鉛粒子2eの混合層4eの膜厚は30μm、黒鉛粒子5e層の膜厚は20μm、電極密度は1.6×103kg/m3とした。
セパレータにはポリプロピレン不織布を用いた。電解液には1モル/Lの濃度のLiPF6を溶解させたエチレンカーボネイト(EC)とジエチルカーボネイト(DEC)の混合溶媒(混合容積比:EC/DEC=30/70)を用いた。
作製した電池について、20℃において充放電サイクル試験を行った。充放電試験の電圧範囲は0〜2.5Vとした。
下記表7は初回充放電効率と100サイクル後の放電容量比率(C100/C1)を示している。
下記表7より、初回充放電効率、100サイクル後の放電容量比率(C100/C1)ともに90%という高い値が得られた。これは、本例7では、Li吸蔵粒子1eの周りに加圧によってつぶれやすい黒鉛粒子2eが配置され、さらにその上には加圧によってつぶれやすい黒鉛粒子5e層が形成されているため、充放電時におけるLi吸蔵粒子1eの膨張収縮による応力が、黒鉛粒子2eおよび黒鉛粒子5eによって緩和され、Li吸蔵粒子1eの破砕や電極の集電体6eからの剥離が抑制され、集電性が保たれたためと考えられる。
本例7における評価結果から、本発明に係る負極、すなわち集電体6e上にLi吸蔵粒子1eと黒鉛粒子2eを混合した混合層4e、その上に黒鉛粒子5e層をもつ形態をとる二次電池は、初回充放電効率が高く、かつ優れたサイクル特性を有することが証明された。