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JP5114658B2 - 機械的特性及び被削性に優れた機械構造用鋼 - Google Patents

機械的特性及び被削性に優れた機械構造用鋼 Download PDF

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Description

本発明は自動車や一般的機械などに用いられる機械構造用鋼に関するものであり、特に
機械的特性に優れ、かつ被削性にも優れた機械構造用鋼に関するものである。
近年、鋼の高強度化が進んでいるが、一般的に鋼の高強度化が進むと加工性が低下する
。このため、高強度であり、かつ切削加工の能率を低下させない快削鋼に対するニーズが高まっている。
これまで被削性を改善するためには、S、Pb、Biなどの被削性改善元素が添加されてきた。しかしSを多量に添加すると、鋼材中に生成したMnSが熱間加工で延伸し、その延伸方向に直交する方向の機械的特性が著しく低下するといった異方性が生じる。これに対して特許文献1、特許文献2及び特許文献3には、Ca、Mg、Rem等により硫化物の形態やサイズを制御して被削性や機械的特性を改善する方法が記載されている。しかし、これら特許文献に記載されている方法だけでは被削性改善やSの多量添加で被削性を改善する際の機械的特性の劣化を防止する効果には限界がある。
また、Pb、Biの添加は被削性改善に頼著な効果を有する反面、熱間加工性を大きく低下させるため、その使用量にも限界がある。
上記以外の方法として、化学成分を特定すると共にオーステナイト粒度を7番以下であ
ることを特徴とする被削性に優れた鋼やその製造方法が特許文献4に記載されている。し
かし、この方法を用いても被削性改善やS添加時の機械的特性の劣化を防止する効果は十
分とは言えない。
また特許文献5には、Nb酸化物や炭化物、窒化物及び炭窒化物の1種以上をMnSの析出核とする硫黄含有快削性機械構造用鋼が開示されている。しかし、MnSの析出核となりうる大きなNb酸化物や炭化物や窒化物及び炭窒化物は、鋼材の脆化促進による被削性改善には寄与しない。また、MnSの析出を促進するだけでは被削性の改善効果も小さい。このため、本方法を用いても十分な被削性の改善効果を得ることはできない。
また特許文献6には、BNやAlNの固溶温度以上に鋼を加熱することにより、被削性や冷間鍛造性、疲労強度特性に優れた機械構造用鋼を製造する方法が開示されている。本特許文献には、Nbを含有する鋼も開示されている。しかし本特許文献に記載の方法は鋼材中のCの黒鉛化を促進することで被削性を改善しようとするものであり、黒鉛化での被削性改善効果も十分とは言えず、黒鉛を生成させた場合は靭性の劣化も懸念される。
特開2002−69570号公報 特開2000−8719号公報 特許第3740042号公報 特開2000−26785号 特開2004−83924号公報 特開平07−41851号公報
上記したように、従来の技術では機械的異方性を十分に抑制し、かつ被削性改善効果を十分に得ることはできない。本発明は、このような状況のもとでなされたものであり、
機械的異方性を抑制し、被削性に優れた機械構造用鋼を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋼材の脆化を促進することで被削性を改善しつつ、熱間圧延等で延伸し
たMnS等の非金属介在物による機械的特性の劣化や異方性の増大を抑える方法について検討を重ねた。その結果、鋼成分として、特にAl:0.005〜0.5%、Nb:0.005〜0.1%を含有させ、鋼中の円相当径が30nm〜100nmのAl及びNbの両方を含有する炭化物、窒化物、及び炭窒化物を鋼中に分散すると共に、その個数密度をあるしきい値以上とすることにより、上記課題を解決できることを見出した。
本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)質量%で、
C:0.1〜0.8%、
Si:0.001〜2.5%、
Mn:0.1〜3.0%、
S:0.01〜0.40%、
P:0.1%以下、
Al:0.005〜0.5%、
N:0.0020〜0.02%、
Nb:0.005〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼であって、鋼中の円相当径が30nm〜100nmφであり、Nb及びAlの両方を含有する、炭化物、窒化物、及び炭窒化物のうちの1種又は2種以上の合計の存在密度が、断面において0.1個/μm2以上であることを特徴とする機械的特性及び被削性に優れた機械構造用鋼。
(2)さらに、質量%でCr:0.005〜2.0%、Ni:0.005〜2.0%、Mo:0.005〜1.0%、及びB:0.0002〜0.01%の少なくとも一つを含有することを特徴とする上記(1)に記載の機械的特性及び被削性に優れた機械構造用鋼。
(3)さらに、質量%でV:0.002〜1.0%、及びTi:0.002〜2.0%の少なくとも一つを含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の機械的特性及び被削性に優れた機械構造用鋼。
(4)さらに、質量%でCa:0.0002〜0.01%、Z r:0.0002〜0.01%、Mg:0.0002〜0.01%、Ce:0.0002〜0.02%、La:0.0002〜0.02%、及びNd:0.0002〜0.02%、の少なくとも一つを含有することを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の機械的特性及び被削性に優れた機械構造用鋼。
(5)さらに、質量%でPb:0.005〜0.3%、Bi:0.005〜0.3%、Te:0.0002〜0.1%、及びSb:0.0002〜0.1%の少なくとも一つを含有することを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の機械的特性及び被削性に優れた機械構造用鋼。
本発明によれば、機械的異方性を抑制し、被削性に優れた機械構造用鋼を提供すること
ができる。
以下、本発明について詳細に説明する。切削は1種の破壊現象であり、鋼材を脆化させ
ることで、破壊現象の一つである切削を促進することができる。Pb、Bi等融点が低く、鋼に対する溶解度がない低融点金属が鋼材を脆化させることは良く知られており、それらの元素の添加は切削抵抗を低減し、仕上げ面の粗さを低下させるなど、被削性の改善に大きな効果を発揮する。また、S等の不純物元素の増加も鋼材を脆化させることが知られており、さらに鋼材中に非金属介在物として分布するMnSは、切削加工時に応力集中源として作用し、亀裂の発生や伝播を促進することで被削性改善に寄与する。
本発明者らは鋼材の脆化を促進することで被削性を改善しつつ、非金属介在物による機
械的特性の劣化や異方性の増大を抑える方法について検討を重ねた。
非金属介在物による機械的特性の劣化や異方性の増大を避けるには、その非金属介在物
を極力微細に分布させることが有効である。本発明者等は、非金属介在物として、脱酸生
成物や凝固中に晶出するMnS等の硫化物や液相中に生成する様なTiN等ではなく、固相中で温度降下に伴い溶解度が低下して生成する微細な析出物を利用して鋼材を脆化させる方法について探索した。
種々の析出物を検討した結果、後述する理由により、鋼中の円相当径が30nm〜100nmφ
であり、Nb及びAlの両方を含有する、炭化物、窒化物、及び炭窒化物のうちの1種又は2
種以上の合計の存在密度が、断面において0.1個/μm2以上であるようにすることにより、機械的特性の劣化や異方性の増大を抑えつつ、被削性性を大幅に改善できることを見出した。
上記のNbおよびAlの両方を含有する、炭化物、窒化物、及び炭窒化物とは、NbC又はNb(C,N)とAlNが結合した析出物、(Nb,Al)(C,N)、及び(Nb,Al,X)(C,N)(XはAl、Nb以外の1種もしくは2種類以上の炭化物、窒化物、又は炭窒化物を形成する元素であり、また各元素の組成比は限定しない)等の少なくともNb及びAlを含む炭窒化物である。
円相当径が30nm〜100nmφのNbおよびAlの両方を含有する微細な炭化物、窒化物、及び炭窒化物は、サイズが極めて小さい為に切削加工で導入される転位移動を妨げ、転位の集積を促進する。このため、上記した炭化物、窒化物、及び炭窒化物を鋼中に導入することにより、刃先近傍の鋼材における亀裂の発生や亀裂伝播が促進されるといった脆化が促され、その結果、鋼の被削性が向上する。
上記の析出物の円相当径が30nmφ未満では脆化効果に寄与しないため、30nmφを下限と
した。一方、100nmφを超えて粗大になると却って脆化効果が低下し、被削性改善効果は期待できないので、上限を100nmφとした。
また、30nm〜100nmφの上記析出物は、数μm〜数100μmφの酸化物や晶出MnS等に比べ、圧倒的にサイズが小さいため、靭性等機械的な特性を劣化させたり、異方性を増大させるといった弊害も生じない。
上記した析出物の合計個数は、例えば、以下のようにして測定する。まず鋼材の任意の
断面より抽出レプリカ法で有機樹脂(例えばアセチルセルロースファイルム)に析出物を採取し、この有機樹脂を透過型電子顕微鏡により5万倍の倍率で、無作為に20視野以上を観察する。1視野当たりの観察面積は、例えば3.5μm2であり、その全視野内の30nm〜100nmφの炭化物、窒化物、炭窒化物を調査する。通常、透過型電子顕微鏡にはエネルギー分散法と電子線回析パターン解析法の機能を有しているが、炭化物は電子線回析パターン解析法により同定し、窒化物はエネルギー分散法により同定する。この同定した析出物の内、AlとNbの両方を含有する析出物は、エネルギー分散法によりAl、Nbの存在を検出でき、その個数を計数して単位面積(例えば1μm2)当たりの個数を求める。上記析出物の分布状況について調査する鋼材断面はどの断面かは特に問わない。
Nb及びAlの両方を含有する、微細な炭化物、窒化物、及び炭窒化物を対象とするのは、他の析出物でも鋼材の脆化に寄与するものがあるが、Nb及びAlの両方を含有する前記微細析出物は、加工で導入される転位の消滅を抑制し、粒界等への界面へ転位が集積し易くなるため、粒界脆化を強く促すからである。上記の析出物の存在密度を0.1個/μm2以上とするのは、この条件を満足する場合に、上記微細析出物によって亀裂の発生や伝播を促進し、切削抵抗を大幅に減少させることで、仕上げ面の精度や切削の生産性を向上したり、工具摩頼を大幅に抑制できるためである。上記の析出物の存在密度を0.1個/μm2未満では、この効果が得られないため、0.1個/μm2以上とした。
上記の析出物を上記の存在密度にするには、後述する成分を有する鋼を作製し、この鋼
を一旦1250℃以上の温度に加熱してNbC又はNb(C,N)、及びAlN等の炭化物、窒化物、及び炭窒化物を極力固溶させ、その後900〜1200℃の温度で減面率20%以上の熱間加工を行って鋼材マトリクスに歪を加えることにより、達成することができる。
NbC、Nb(C,N)、及びAlN等の炭化物、窒化物、及び炭窒化物は温度低下に伴う溶解度の減少で、鉄のマトリクスに析出してくるが、その際、既に析出したNbC、Nb(C,N)、及びAlN等が鋼材マトリクスに存在するとそれらを核として析出するため粗大な炭化物や窒化物、炭窒化物になり易く、その結果、サイズが30nm〜100nmφを超えて成長した炭化物や窒化物、炭窒化物は被削性向上に寄与しなくなる。このようなNbC、Nb(C,N)、及びAlN等の粗大化を抑制するには、鋳造段階やその後の昇温過程で析出したNbC、Nb(C,N)、及びAlN等を、一旦1250℃以上の温度、好ましくは1280℃以上の加熱処理で固溶させ、その後900℃〜1200℃での熱間加工で鋼材マトリクスに歪みを加えて、NbC、Nb(C,N)、及びAlN等の炭化物や窒化物、炭窒化物の析出サイトを与えることで、30nm〜100nmφといった微細炭化物、窒化物、炭窒化物として析出させ、NbおよびAlの両方を含有する炭化物、窒化物、炭窒化物の合計の存在密度を0.1個/μm2以上析出させることが可能となる。その結果、引張強度や靭性などの機械的特性の劣化や異方性の増大を抑えて、被削性の大幅な改善が実現でき、その結果、切削により製造される機械構造物の品質や生産性の向上が図れる。また、工具寿命を延ばすこともでき、切削加工の生産性増大にも寄与する。
次に、本発明の鋼成分について説明する。以下、%は質量%を意味する。まず、特に重
要な成分であるAl、N、Nbの規定理由について述べる。
(Al:0.005〜0.5%)
Alは脱酸元素であり、鋼材中でA1203やAlNとして存在する。本発明においては被削性
改善のため、AlNを生成させNbCやNb(C,N)と複合化させる必要があるため、Al濃度の下限を0.005%とした。また、本発明ではAlが0.5%を超えるとAlNが粗大化し、被削性に改善に有効に作用しない粗大化したAlNが増大するため、Alの上限を0.5%とした。AlNの粗大化を効果的に抑制する点から、Alは0.1%以下が好ましい。
(N:0.0020〜0.02%)
N濃度の増加に伴い固溶Nが増加すると動的歪み時効によって、刃先近傍の鋼材を硬化し、工具の寿命を低下させるため、その上限を0.02%とした。また、AlNやNb(C,N)を生成させることで被削性を改善するには0.002%以上のNが必要となる。
(Nb:0.005〜0.1%)
NbはNbCやNb(C,N)など、Alと共に炭化物、窒化物、炭窒化物を生成させて被削性を向上させる上で必須の元素であり、0.005%未満ではNbC、Nb(C,N)の生成量が不足
するため、Nb添加量は0.005%以上とした。また、Nbが0.1%を超えるとNbCやNb(C,N)が粗大化して被削性改善に有効な30nm〜100nmφのNb,Al両方を含有する炭化物、窒化物、炭窒化物が得られないのに加え、鋼材の熱間延性を大きく低下させるため、Nbの上限を0.1%とした。
本発明は、さらに、機械的な特性や鋼材の健全性に影響を及ぼす成分を適正な組成範囲
に制御することで、機械的特性及び被削性に優れた機械構造用鋼を提供できる。また、S
やPb,Bi、Te、Sb等の被削性改善元素を添加すると、本発明では、これら被削性改善元素の添加のみで被削性を改善する場合に比べ、熱間延性や靭性といった機械的な特性の劣化や異方性の増大といった負の影響を抑えつつ、相対的に被削性改善効果を増大できる。
以下に、Al、N、Nb以外の成分範囲や各種添加元素の量を特定する理由を以下に説明する。まず、C、Si、Mn、S、及びPについて説明する。
(C:0.1〜0.8%)
Cは鋼材の基本強度に大きく影響を及ぼす元素であり、十分な強度を得るために0.1〜0・8%とした。Cが0.1%未満では十分な強度が得られない。またCが0.8%を超えると硬質な炭化物Fe3Cが増加し、被削性の低下が著しい。
(Si:0.001〜2.5%)
Siは脱酸元素として添加されるが、フェライトの固溶強化や焼き戻し軟化抵抗を付与するために添加する。Siが0.001%以下ではその効果は認めらない。また、Siが2.5%を超えると脆化し、高温での変形抵抗も増大するため、2.5%以下とした。
(Mn:0.1〜3.0%)
MnはSをMnSと固定して赤熱脆化を抑制すると共に、固溶Mnは焼き入れ性の向上や焼
き入れ後の強度を確保するために必要である。その下限値は0.1%であり、Mn量が多くなるとマトリックスの硬さが高くなり冷間加工性も低下する一方、強度や焼き入れ性に及ぼす影響も飽和するため、3.0%を上限とした。
(S:0.01〜0.40%)
Sは被削性改善に極めて有効な元素であり、鋼材中にMnS、FeSの硫化物を生成せしめる。一方、S濃度の増加に伴いMnSの量やサイズが増大し、熱間圧延でそれらが延伸するため、機械的特性を劣化させたり、異方性を増大させる原因となる。また、S濃度の増加でFeSが多量に生成すると熱間延性が大きく低下する等、鋼材の製造性も大きく低下する。そこでS濃度については被削性改善効果が得られ、機械的特性や異方性の増大、熱間延性の低下が許容出来る0.01〜0.40%の範囲とした。
(P:0.1%以下)
Pは素地を硬くする元素であり、鋼材の融点を下げ、熱間加工性や鋳造性を低下させるため、0.1%以下とした。
次に、鋼に、質量%でC r:0.005〜2.0%、Ni:0.005〜2.0%、Mo:0.005〜1.0%、及び、B:O.0002〜0.01%の内の1種または2種以上を添加することが好ましい理由を以下に述べる。
(Cr:0.005〜2.0%)
Crは焼き入れ性向上、焼き戻し軟化抵抗付与元素であり、そのため、高強度化が必要な場合に添加される元素であり、その効果を得るには0.005%以上添加する必要がある。また、Cr 濃度が2%を超えると、Cr炭化物が生成し、脆化を引き起こすため、その上限を2.0%とした。
(Ni:0.005〜2.0%)
Niはフェライトを強化し、延性を向上させると共に焼き入れ性を向上させ、さらに耐食性向上にも有効な元素であり、その濃度が0.005%以下ではその効果が得られないため、その下限を0.005%とした。また、Ni濃度が2.0%を超えてもその効果は飽和するため、上限を2.0%とした。
(Mo:0.005〜1.0%)
Moは焼き入れ性向上、焼き戻し軟化抵抗付与に有効な元素であり、高強度化が必要な場合に添加される元素である。その効果を得るには0.005%以上添加する必要がある。また、Mo濃度が1%を超えると、炭化物の生成に起因して脆化を引き起こすため、その上限を1.0%とした。
(B:0.0002〜0.01%)
Bは固溶している場合は焼き入れ性向上や粒界強化に有効な元素であり、BNとして析出した場合は被削性向上に寄与する。これらの効果はB濃度が0.0002%以上で発揮される。また、B濃度が0.01%を超えると熱間延性が低下したり、粗大なBNにより機械的特性が劣化するため、その上限を0.01%とした。
さらに、鋼に、質量%でV:0.001〜1.0%、及びTi:0.001〜2.0%の内の1種または2種を添加することが好ましい理由について説明する。
(V:0.002〜1.0%)
Vは炭、窒化物を形成し、析出強化作用が強い元素である。V濃度が0.002%未満では効果は出現しない。またV濃度が1.0%超では鋼材を著しく脆化するため、V濃度を1.0%以下に制限した。
(Ti:0.002〜2.0%)
Tiは炭、窒化物を形成し、鋼の強化やγ粒の粗大化を抑えて機械的特性の向上に有効に作用する。その効果を得るにはTi濃度が0.002%以上必要であり、Ti濃度が2.0%を超えて添加すると強度上昇が大き過ぎ被削性の劣化を引き起こす。
さらに、鋼に、質量%でCa:0.0002〜0.01%、Z r:0.0002〜0.01%、Mg:0.0002〜0.01%、Ce:0.0002〜0.02%、La:0.0002〜0.02%、およびNd:0.0002〜0.02%の内の1種または2種以上添加することが好ましい理由について説明する。
(Ca:0.0002〜0.01%)
Caは脱酸元素であり、脱酸生成物であるCaOはA1203を軟質化し被削性の向上に寄与するばかりでなく、CaSを生成してMnSに固溶することで熱間加工時の硫化物の延伸を抑制する。Ca濃度が0.0002%以上で上記効果が発揮され、Ca濃度が0.01%を超えるとCaSのクラスターが生成し、機械的特性やノズル詰まりの原因となるためその上限を0.01%とした。
(Z r:0.0002〜0.01%、Mg:0.0002〜0.01%、Ce:0.0002〜0.02%、La:0.0002〜0.02%、Nd:0.0002〜0.02%,)
Z r、Mg、Ce、La、Ndは何れもオキシサルフアイドを形成し、MnSと複合化することで形態制御効果を発揮し、延伸した硫化物による靭性の低下や異方性の増大を緩和する。上記効果を得るには何れの元素共に0.0002%以上必要である。またZrとMgは0.01%を超えて添加すると、Ce、La、Ndは0.02%を超えて添加すると、それぞれクラスター状硫化物により機械的特性が劣化するばかりが被削性にも悪影響を及ぼす。よって、Zr、Mgの濃度は0.01%以下、Ce、La、Ndの濃度は0.02%以下に制限した。
さらに、鋼に、質量%でPb:0.005〜0.3%、Bi:0.005〜0.3%、Te:0.0001〜0.1%、及びSb:0.0001〜0.1%の内の1種または2種以上添加することが好ましい理由について述べる。
Pb、Bi、Te、Sbは何れも被削性改善元素であり、S等に比べ機械的特性を低下することなく被削性を改善するのに有効な元素である。その効果を得るにはPb、Biは0.005%以上必要で、Te、Sbは0.001%以上必要である。一方、これらの元素を過剰に添加すると鋼材は脆化し、熱間加工性が損なわれる。具体的にはPb、Biは0.3%を超えると、Te、Sbは0.1%を超えると、それぞれ脆化が激しくなる。このため、Pb、Biの濃度の上限を0.3%とし、Te、Sbの濃度の上限を0.1%とした。
以下、本発明の効果を実施例によりさらに詳述する。
真空溶解炉を用いて150kgの鋼魂を溶製し、その鋼魂を2分割し、2分割した片方の材料のみ、室温から一旦1250℃以上の温度に加熱し、その後1000℃で熱間鍛造を実施し、もう片方の材料は1200℃以下の温度に加熱した後、1000℃で熱間鍛造を実施し、どちらも60φの被削性評価用の丸棒に加工することにより、複数の試料を作製した。前者の条件で製造された試料は本発明鋼であり、後者の条件で製造された試料は比較鋼である。表1−1及び表1−2に、製造した試料の化学成分と熱間鍛造前の加熱温度を示す。なお、添加元素の種類によって試料を第1群〜第5群に分類した。
Figure 0005114658
Figure 0005114658
表1−1及び表1−2に成分及び加熱条件を示した試料を用い、表2に示す切削条件で
ドリル穿孔試験を行い、累積穴深さ1000mmまで切削可能な最高の切削速度(VL,1000)で
被削性を評価した。VL,1000の評価結果も表1に示した。炭化物、窒化物、炭窒化物の生成状況は、以下の方法により求めた。まず鋼材断面の任意の位置より抽出レプリカ法でアセチルセルロースフィルムに析出物を採取し、このアセチルセルロースフィルムを透過型電子顕微鏡により5万倍の倍率で観察した。1視野当たりの観察面積を3.5μm2とし、無作為に抽出した20視野について観察した。その全視野内の30nm〜100nmφの炭化物、窒化物、炭窒化物の存在を調査した。先ず炭化物を透過型電子顕微鏡での電子線回析パターン解析法により同定し、その後、窒化物と炭、窒化物を透過型電子顛微鏡でのエネルギー分散法により同定した。次いで、この同定した析出物の内、AlとNbの両方を含有する析出物について、エネルギー分散法によりAl、Nbの存在を検出し、その個数を計数して単位面積(1μm2)当たりの個数を求めた。
表1−1、表1−2、および後述する表3の各表中の「存在密度」は、円相当径が30nm〜100nmφであり、Nb及びAlの両方を含有する、炭化物、窒化物、及び炭窒化物の1種または2種以上の合計の存在密度である。
Figure 0005114658
表1−1のWl〜W45は本発明鋼であり、1260℃に加熱後1000℃で熱間鍛造した水準である。これら本発明鋼は、微細析出物における上記存在硬度が0.1個/μm2以上であった。一方、表1−2のSl〜S45は、Wl〜W45と同一組成を有する比較鋼であり、1150℃に加熱後1000℃で熱間鍛造した水準である。熱間鍛造前に1250℃以上の温度で加熱処理を実施していないため、微細析出物における上記存在密度が0.1個/μm2未満であった。
Wl〜W45の本発明鋼と、Sl〜S45の比較鋼のドリル寿命VL,1000を、同一組成範囲に属するもの同士(第1群同士など)で比較すると、上記存在密度が0.1個/μm2以上であるWl〜W45の本発明鋼の方が、上記存在密度が0.1個/μm2未満であるSl〜S45の比較鋼に比べてVL,1000の値は少なくとも16m/min以上、平均で21m/min高く、被削性が優れていることが示された。
また、表1−2のT1〜3は比較鋼であり、熱間鍛造前に1250℃以上の温度で加熱されているもの、Al、N、Nb濃度が適正な範囲から外れていたため、微細析出物における上記存在密度が0.1個/μm2未満となり、VL,1000の値は本発明鋼の平均値(95m/min)と比較して13m/min以上低くなった。
実施例2では、実施例1と同様な方法で、S以外はほぼ同一成分系でS濃度が0.02
〜0.4%の範囲の鋼魂を作製し、この鋼魂を2分割し、それぞれを実施例1と同様な方
法で加工することにより、本発明鋼W46〜W52及び比較鋼S46〜S52を作製した。これら本発明鋼及び比較鋼で被削性を調査すると共に、靭性評価サンプルとして、丸棒の長手方向(L方向)及びそれに直交する方向(C方向)それぞれでシャルピー試験片を採取し、これら試験片のシャルピー衝撃値を調べ、L方向のシャルピー衝撃値に対するC方向のシャルピー衝撃値の比で機械的異方性を評価した。
表3には製造した試料の化学成分、熱間鍛造前の加熱温度、VL,1000の値、及びL方向の衝撃値に対するC方向のシャルピー衝撃値の比を示す。
Figure 0005114658
表3の結果に基づき、VL,1000の値とL方向とC方向のシャルピー衝撃値の比の関係を整理した結果を図1に示す。表3及び図1より、本発明鋼及び比較鋼共にS濃度を増加させることにより、VL,1000を向上できるが、同一の、VL,1000を満足するには本発明鋼の方が比較鋼より少ないS濃度で達成出来る分、L方向とC方向の衝撃値の比を高く維持できていることが示された。
以上の2つの実施例から、本発明鋼は被削性レベルが比較鋼と同一レベルであれば機械
的異方性が少なく、また、機械的異方性が同一レベルであれば、比較鋼に比べ本発明鋼の
方が格段に被削性が優れていることが示された。
本発明例と比較例の、VL,1000の値とL方向とC方向衝撃値の比の関係を示す図である。

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C:0.1〜0.8%、
    Si:0.001〜2.5%、
    Mn:0.1〜3.0%、
    S:0.01〜0.40%、
    P:0.1%以下、
    Al:0.005〜0.5%、
    N:0.0020〜0.02%、
    Nb:0.005〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼であって、
    鋼中の円相当径が30nm〜100nmφであり、Nb及びAlの両方を含有する、炭化物、窒化物
    、及び炭窒化物のうちの1種又は2種以上の合計の存在密度が、断面において0.1個/μm2以上であることを特徴とする機械的特性及び被削性に優れた機械構造用鋼。
  2. さらに、質量%でCr:0.005〜2.0%、Ni:0.005〜2.0%、Mo:0.005〜1.0%、及びB:0.0002〜0.01%の少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項1に記載の機械的特性及び被削性に優れた機械構造用鋼。
  3. さらに、質量%でV:0.002〜1.0%、及びTi:0.002〜2.0%の少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の機械的特性及び被削性に優れた機械構造用鋼。
  4. さらに、質量%でCa:0.0002〜0.01%、Zr:0.0002〜0.01%、Mg:0.0002〜0.01%、Ce:0.0002〜0.02%、La:0.0002〜0.02%、及びNd:0.0002〜0.02%、の少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の機械的特性及び被削性に優れた機械構造用鋼。
  5. さらに、質量%でPb:0.005〜0.3%、Bi:0.005〜0.3%、Te:0.0002〜0.1%、及びSb:0.0002〜0.1%の少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の機械的特性及び被削性に優れた機械構造用鋼。
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