[go: up one dir, main page]

JP5181619B2 - 被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材 - Google Patents

被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材 Download PDF

Info

Publication number
JP5181619B2
JP5181619B2 JP2007278460A JP2007278460A JP5181619B2 JP 5181619 B2 JP5181619 B2 JP 5181619B2 JP 2007278460 A JP2007278460 A JP 2007278460A JP 2007278460 A JP2007278460 A JP 2007278460A JP 5181619 B2 JP5181619 B2 JP 5181619B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
machinability
steel
hardenability
content
amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007278460A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009108340A (ja
Inventor
慶 宮西
雅之 橋村
利治 間曽
水野  淳
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2007278460A priority Critical patent/JP5181619B2/ja
Publication of JP2009108340A publication Critical patent/JP2009108340A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5181619B2 publication Critical patent/JP5181619B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

本発明は、切削加工と熱処理が施される合金鋼に関し、特に、切削工具の寿命が短くなることを抑制でき、高価な添加元素の使用量を低減でき、かつ切削時の発熱量が少ない場合でも優れた被削性と焼入れ性を有する焼入れ鋼材に関する。
近年、鋼の高強度化が進んでいるが、その反面、加工性が低下するという問題が生じている。このため、強度を保持しつつ切削能率を低下させない鋼に対するニーズが高まっている。従来、鋼の被削性を向上させるためには、S,Pb及びBi等の被削性向上元素を添加するのが有効であることが知られている。しかしながら、Pb及びBiは被削性を向上し、鍛造への影響も比較的少ないとされているが、衝撃特性等の強度特性を低減させることが知られている。また、Sは、MnSのような切削環境下で軟質となる介在物を形成して被削性を向上させるが、MnSの寸法はPb等の粒子に比べて大きく、応力集中源となりやすい。特に、鍛造及び圧延により伸延すると、MnSにより異方性が生じ、例えば、衝撃特性など鋼の特定の方向が極端に弱くなる。また、鋼を用いて物を設計する上でもそのような異方性を考慮する必要が生じる。従って、Sを添加する場合は、その異方性を低減化する技術が必要になる。
このように、被削性向上に有効な元素を添加しても、衝撃特性が低下するため、強度特性と被削性との両立は困難である。更に、近時、Pbを環境負荷としてその使用を避ける傾向があり、Pbの使用量は低減する方向にある。このため、鋼の被削性と強度特性とを両立するには、更なる技術革新が必要である。
そこで、従来は、例えば、固溶V、固溶Nb及び固溶Alから選択される1種以上を合計で0.005質量%以上含有させると共に、固溶Nを0.001%以上含有させることで、切削中に切削熱により生成した窒化物を工具に付着させて工具保護膜として機能させ、切削工具寿命を延長することができる機械構造用鋼が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、C、Si、Mn、S及びMgの含有量を規定すると共に、Mg含有量とS含有量との比を規定し、更に、鋼中の硫化物系介在物のアスペクト比及び個数を最適化することにより、切屑処理性および機械的特性の向上を図った機械構造用鋼も提案されている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載の機械構造用鋼では、Mgを0.02%以下(0%を含まない)とすると共に、Alを含有する場合はその含有量を0.1%以下に規制している。
特開2004−107787号公報 特許第3706560号公報
しかしながら、前述した従来の技術には、以下に示す問題点がある。即ち、特許文献1に記載の鋼は、切削による発熱量がある程度以上ないと、上述した現象が起こらないと推定される。このため、効果を発揮させるためには切削速度をある程度高速にする必要があり、通常の速度域では効果が期待できない。また、特許文献2に記載の鋼では切削工具寿命については、何ら配慮されていないため、切削工具寿命が短くなることを抑制するという点では十分な特性が得られない。
また、肌焼鋼や強靭鋼などに代表される合金鋼の強度を確保するために、浸炭など表面硬化処理や焼入焼戻しのための熱処理を施すことがある。この場合には部品の大きさ等に応じて鋼材の焼入性を充分に確保する必要があるが、Mo、Niに代表されるように焼入れ向上元素は価格が急騰し、合金コストが大きいため、比較的安い元素で代替できるようにする必要がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みて創案されたものであり、切削工具の寿命が短くなることを抑制でき、高価な添加元素の使用量を低減でき、かつ切削時の発熱量が少ない場合でも良好な被削性と優れた焼入れ性を有する焼入れ鋼材を提供することを目的とする。
本発明者らは、Alを適量添加した鋼において、粗大AlNの存在率を制限すれば、切削工具の寿命が短くなることを抑制でき、かつ良好な被削性を有する鋼材が得られることを知見した。さらに本発明者らは、固溶Al量を十分確保することにより鋼材の焼入れ性をできるため、AlをMo、Niなどのいわゆる焼入性向上元素の代替元素として用いることができることを見出し、本発明を完成した。本発明に係る鋼は、例えば鋼の化学成分としてAlを適量添加し、N量を制限し、かつ適切な熱処理を行うことにより製造できる。
本発明に係る被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材は、下記のとおりである。
(1)化学成分として、質量%で、
C:0.14〜0.85%、
Si:0.01〜1.5%、
Mn:0.05〜2.5%、
S:0.005〜0.35%、
Cr:0.2〜6.0%、
N:0.020%以下、
Al:0.055〜1.0%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
最大径が200nmを超えるAlNの合計体積が全AlNの総体積の20%以下であり、固溶Alが0.062質量%以上であり、熱間圧延により成形加工した丸棒鋼から製造され、焼入れ処理が施された鋼材であることを特徴とする被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材。
(2)化学成分として、更に、質量%で、P:0.020%以下を含有することを特徴とする上記(1)記載の被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材。
(3)化学成分として、更に、質量%で、Ca:0.0003〜0.0015%を含有することを特徴とする上記(1)又は(2)記載の被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材。
(4)化学成分として、更に、質量%で、Ti:0.001〜0.1%、Nb:0.005〜0.2%、W:0.01〜1.0%、V:0.01%〜1.0%からなる群から選択された1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材。
(5)化学成分として、更に、質量%で、Mg:0.0001〜0.0040%、Zr:0.0003〜0.01%、Rem:0.0001〜0.015%からなる群から選択された1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材。
(6)化学成分として、更に、質量%で、Sb:0.0005%以上0.0150%未満、Sn:0.005〜2.0%、Zn:0.0005〜0.5%、B:0.0005〜0.015%、Te:0.0003〜0.2%、Bi:0.005〜0.5%、Pb:0.005〜0.5%からなる群から選択された1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材。
(7)化学成分として、更に、Mo:0.01〜1.0%を含有することを特徴とする上記(1)乃至(6)のいずれかに記載の被削性と焼入性に優れた焼入れ鋼材。
(8)化学成分として、更に、質量%で、Ni:0.05〜2.0%、Cu:0.01〜2.0%からなる群から選択された1種または2種を含有することを特徴とする上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材。
本発明によれば、切削工具の寿命が短くなることを抑制でき、高価な添加元素の使用量を低減でき、かつ切削時の発熱量が少ない場合でも良好な被削性と優れた焼入れ性を有する焼入れ鋼材を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、詳細に説明する。本発明に係る被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材は、鋼の化学成分組成においてAl:0.055〜1.0%、N:0.020%以下とし、最大径が200nmを超えるAlNの合計体積を全AlNの総体積の20%以下に調整し、かつ固溶Al量を0.062%以上にするものであり、熱間圧延により成形加工した丸棒鋼から製造され、焼入れ処理が施されたものである。最大径が200nmを超えるAlNの合計体積を全AlNの総体積の20%以下にすることにより、従来の快削性元素であるS、Pbとは異なり衝撃特性を低下させずに被削性改善効果を得ることができる。さらに、固溶Al量を0.062%以上にすることにより、被削性を向上させると共に、焼入性を向上することが可能となり、焼入性向上のために添加すべき他の合金元素量を低減することができる。
先ず、本発明の焼入れ鋼材における各化学成分の含有量について説明する。以下、質量%を単に%と記載する。
(C:0.05〜0.85%)
Cは、鋼材の基本強度に大きな影響を及ぼす元素である。しかしながら、C含有量が0.05%未満の場合、十分な強度を得られず、他の合金元素をさらに多量に投入せざるを得なくなる。一方、C含有量が0.85%を超えると、過共析に近くなり、硬質の炭化物を多く析出するため、被削性が著しく低下する。よって、本発明においては、十分な強度及び被削性を得るため、C含有量を0.06〜0.85%とする。
本発明では、実施例のC含有量が全て0.14%以上であるので、C含有量を0.14〜0.85%とする。
(Si:0.01〜1.5%)
Siは、一般に脱酸元素として添加されているが、フェライトの強化及び焼戻し軟化抵抗を付与する効果もある。しかしながら、Si含有量が0.01%未満の場合、十分な脱酸効果が得られない。一方、Si含有量が1.5%を超えると、脆化等の材料特性が低下し、更には被削性も劣化する。よって、本発明においてはSi含有量を0.01〜1.5%とする。
(Mn:0.05〜2.5%)
Mnは、鋼中SをMnSとして固定・分散させると共に、マトリックスに固溶させて焼入れ性の向上や焼入れ後の強度を確保するために必要な元素である。しかしながら、Mn含有量が0.05%未満であると、鋼中のSがFeと結合してFeSとなり、鋼が脆くなる。一方、Mn含有量が増えると、具体的には、Mn含有量が2.5%を超えると、素地の硬さが大きくなり冷間加工性が低下すると共に、強度や焼入れ性に及ぼす影響も飽和する。よって、本発明においてはMn含有量を0.05〜2.5%とする。
(S:0.001〜0.35%)
SはMnと結合してMnS介在物として存在する。MnSは、被削性を向上させる効果があるが、その効果を顕著に得るためには、Sを0.001%以上添加する必要がある。一方、S含有量が0.35%を超えると、被削性を向上させるという効果は飽和する一方、強度低下を著しく促進する。よって、本発明においてはS含有量を0.001〜0.35%とする。
(Cr:0.2〜2.0%)
Crは、焼入れ性を向上すると共に、焼戻し軟化抵抗を付与する元素であり、高強度化が必要な鋼には添加される。しかしながら、Cr含有量が0.2%未満の場合には、これらの効果が得られず、また、Crを多量(具体的には2.0%超)に添加すると、Cr炭化物が生成して鋼が脆化する。よって、本発明においてはその含有量を0.01〜2.0%とする。
(N:0.020%以下)
N(鋼中の全N)は、Al等の窒化物生成元素と結合して窒化物として、あるいは固溶Nとして存在する。ただし0.020%を超えると窒化物を粗大化させたり、固溶Nを高めて被削性を劣化させるのに加え、圧延時に疵等の問題を生ずる。このため、本発明においてはその含有量の上限を0.020%、さらに好ましくは0.01%とする。
(Al:0.055〜1.0%)
Al(鋼中の全Al)は、一部がNと結びついてAlNとして析出し、残りが固溶Alとして存在する。固溶Alを充分に確保するためにはAlを0.055%以上にする必要があるが、1.0%を超えると変態特性に大きく影響を与える。このため、本発明においてはその含有量を0.55〜1.0%とした。
また、本発明の焼入れ鋼材において、Pは焼入れ、焼戻し後の結晶粒界を脆化させ、疲労強度を低下させる元素であるため、0.020%以下とするのが好ましい。
また、本発明の焼入れ鋼材は、上記各成分に加えてCaを含有していても良い。
(Ca:0.0003〜0.0015%)
Caは、脱酸元素であり、酸化物を生成する。本発明鋼のように全Al(T−Al)として0.05%以上を含有する鋼では、カルシウムアルミネート(CaOAI)が形成されるが、このCaOAIは、AIに比べて低融点酸化物であるため、高速切削時に工具保護膜となり、被削性を向上させる。しかしながら、Ca含有量が0.0003%未満の場合、この被削性向上効果が得られず、また、Ca含有量が0.0015%を超えると、鋼中にCaSが生成し、却って被削性を低下する。よって、本発明においてCaを添加する場合は、その含有量を0.0003〜0.0015%とする。
更に、本発明の焼入れ鋼材は、炭窒化物を形成させ、高強度化が必要な場合には、上記各成分に加えて、Ti:0.001〜0.1%、Nb:0.005〜0.2%、W:0.01〜1.0%、V:0.01〜1.0%からなる群から選択された1種又は2種以上の元素を含有してもよい。
(Ti:0.001〜0.1%)
Tiは炭窒化物を形成し、オーステナイト粒の成長の抑制や強化に寄与する元素であり、高強度化が必要な鋼、及び低歪を要求される鋼には、粗大粒防止のための整粒化元素として使用される。また、Tiは脱酸元素でもあり、軟質酸化物を形成させることにより、被削性を向上させる効果もある。しかしながら、Ti含有量が0.001%未満の場合、その効果が認められず、また、Ti含有量が0.1%を超えると、熱間割れの原因となる未固溶の粗大な炭窒化物が析出し、却って機械的性質が損なわれる。よって、本発明においてTiを添加する場合は、その含有量を0.001〜0.1%とする。
(Nb:0.005〜0.2%)
Nbも炭窒化物を形成し、二次析出硬化による鋼の強化、オーステナイト粒の成長を抑制及び強化に寄与する元素であり、高強度化が必要な鋼及び低歪を要求される鋼には、粗大粒防止のための整粒化元素として使用される。しかしながら、Nb含有量が0.005%未満の場合、高強度化の効果は得られず、また、0.2%を超えてNbを添加すると、熱間割れの原因となる未固溶の粗大な炭窒化物が析出し、却って機械的性質が損なわれる。よって、本発明においてNbを添加する場合は、その含有量を0.005〜0.2%とする。
(W:0.01〜1.0%)
Wも炭窒化物を形成し、二次析出硬化により鋼を強化することができる元素である。しかしながら、W含有量が0.01%未満の場合、高強度化の効果は得られず、また、1.0%を超えてWを添加すると、熱間割れの原因となる未固溶の粗大な炭窒化物が析出し、却って機械的性質が損なわれる。よって、本発明においてWを添加する場合は、その含有量を0.01〜1.0%とする。
(V:0.01〜1.0%)
Vも炭窒化物を形成し、二次析出硬化により鋼を強化することができる元素であり、高強度化が必要な鋼には適宜添加される。しかしながら、V含有量が0.01%未満の場合、高強度化の効果は得られず、また、1.0%を超えてVを添加すると、熱間割れの原因となる未固溶の粗大な炭窒化物が析出し、却って機械的性質が損なわれる。よって、本発明においてVを添加する場合は、その含有量を0.01%〜1.0%とする。
更に、本発明の焼入れ鋼材において、脱酸調整により硫化物形態制御を行なう場合には、上記各成分に加えて、Mg:0.0001〜0.0040%、Zr:0.0003〜0.01%及びRem:0.0001〜0.015%からなる群から選択された1種又は2種以上の元素を添加することもできる。
(Mg:0.0001〜0.0040%)
Mgは脱酸元素であり、鋼中で酸化物を生成する。そして、Al脱酸前提の場合には、被削性に有害なAlを、比較的軟質で微細に分散するMgO又はAl・MgOに改質する。また、その酸化物はMnSの核となりやすく、MnSを微細分散させる効果もある。しかしながら、Mg含有量が0.0001%未満では、これらの効果が認められない。また、Mgは、MnSとの複合硫化物を生成して、MnSを球状化するが、Mgを過剰(具体的には0.0040%超)に添加すると、単独のMgS生成を促進して被削性を劣化させる。よって、本発明においてMgを添加する場合は、その含有量を0.0001〜0.0040%とする。
(Zr:0.0003〜0.01%)
Zrは脱酸元素であり、鋼中で酸化物を生成する。その酸化物はZrOと考えられているが、このZrOがMnSの析出核となるため、MnSの析出サイトを増やし、MnSを均一分散させる効果がある。また、Zrは、MnSに固溶して複合硫化物を生成し、その変形能を低下させ、圧延及び熱間鍛造時にMnS形状の伸延を抑制する働きもある。このように、Zrは異方性の低減に有効な元素である。しかしながら、Zr含有量が0.0003%未満の場合、これらについて顕著な効果は得られない。一方、0.01%を超えてZrを添加しても、歩留まりが極端に悪くなるばかりでなく、ZrOおよびZrS等の硬質な化合物が大量に生成し、却って被削性、衝撃値及び疲労特性等の機械的性質が低下する。よって、本発明においてZrを添加する場合は、その含有量を0.0003〜0.01%とする。
(Rem:0.0001〜0.015%)
Rem(希土類元素)は脱酸元素であり、低融点酸化物を生成し、鋳造時ノズル詰りを抑制するだけでなく、MnSに固溶又は結合し、その変形能を低下させて、圧延及び熱間鍛造時にMnS形状の伸延を抑制する働きもある。このように、Remは異方性の低減に有効な元素である。しかしながら、Rem含有量が総量で0.0001%未満の場合、その効果は顕著ではなく、また、0.015%を超えた場合、Remの硫化物を大量に生成し、被削性が悪化する。よって、本発明においてRemを添加する場合は、その含有量を0.0001〜0.015%とする。
更にまた、本発明の焼入れ鋼材において、被削性を更に向上させる場合には、上記各成分に加えて、Sb:0.0005%以上0.0150%未満、Sn:0.005〜2.0%、Zn:0.0005〜0.5%、B:0.0005〜0.015%、Te:0.0003〜0.2%、Bi:0.005〜0.5%及びPb:0.005〜0.5%からなる群から選択された1種又は2種以上の元素を添加することができる。
(Sb:0.0005%以上0.0150%未満)
Sbはフェライトを適度に脆化し被削性を向上させる。その効果は特に固溶Al量が多い場合に顕著であり、Sb含有量が0.0005%未満では認められない。またSb含有量が増える(具体的には0.0150%以上)と、Sbのマクロ偏析が過多となり衝撃値が大きく低下する。よって、本発明においてSbを添加する場合は、その含有量を0.0005%以上0.0150%未満とする。
(Sn:0.005〜2.0%)
Snはフェライトを脆化させて工具寿命を延ばすと共に、表面粗さを向上させる効果がある。しかしながら、Sn含有量が0.005%未満の場合、その効果は認められず、また、2.0%を超えてSnを添加しても、その効果は飽和する。よって、本発明においてSnを添加する場合は、その含有量を0.005〜2.0%とする。
(Zn:0.0005〜0.5%)
Znはフェライトを脆化させて工具寿命を延ばすと共に、表面粗さを向上させる効果がある。しかしながら、Zn含有量が0.0005%未満の場合、その効果は認められず、また、0.5%を超えてZnを添加しても、その効果は飽和する。よって、本発明においてZnを添加する場合は、その含有量を0.0005〜0.5%とする。
(B:0.0005〜0.015%)
Bは、固溶している場合は粒界強化及び焼入れ性に効果があり、析出する場合にはBNとして析出するため被削性の向上に効果がある。これらの効果は、B含有量が0.0005%未満では顕著ではない。一方、0.015%を超えてBを添加してもその効果が飽和すると共に、BNが多く析出しすぎるため、却って鋼の機械的性質が損なわれる。よって、本発明においてBを添加する場合は、その含有量を0.0005〜0.015%とする。
(Te:0.0003〜0.2%)
Teは被削性向上元素である。また、MnTeを生成したり、MnSと共存することでMnSの変形能を低下させ、MnS形状の伸延を抑制する働きがある。このように、Teは異方性の低減に有効な元素である。しかしながら、Te含有量が0.0003%未満の場合、これらの効果は認められず、また、Te含有量が0.2%を超えると、その効果が飽和するだけでなく、熱間延性が低下して疵の原因になりやすい。よって、本発明においてTeを添加する場合は、その含有量を0.0003〜0.2%とする。
(Bi:0.005〜0.5%)
Biは、被削性向上元素である。しかしながら、Bi含有量が0.005%未満の場合、その効果が得られず、また、0.5%を超えてBiを添加しても、被削性向上効果が飽和するだけでなく、熱間延性が低下して疵の原因となりやすい。よって、本発明においてBiを添加する場合は、その含有量を0.005%〜0.5%とする。
(Pb:0.005〜0.5%)
Pbは、被削性向上元素である。しかしながら、Pb含有量が0.005%未満の場合、その効果が認められず、また、0.5%を超えてPbを添加しても、被削性向上効果が飽和するだけでなく、熱間延性が低下して疵の原因となりやすい。よって、本発明においてPbを添加する場合は、その含有量を0.005〜0.5%とする。
更にまた、本発明の焼入れ鋼材においては、焼入れ性の向上や焼戻し軟化抵抗を向上させ、鋼材に強度付与を行なう場合には、上記成分に加えて、Mo:0.05〜1.0%を添加してもよい。
(Mo:0.01〜1.0%)
Moは、焼戻し軟化抵抗を付与すると共に、焼入れ性を向上させる元素であり、高強度化が必要な鋼には添加される。しかしながら、Mo含有量が0.01%未満の場合、これらの効果が得られず、また、1.0%を超えてMoを添加しても、その効果は飽和する。よって、本発明においてMoを添加する場合は、その含有量を0.01〜1.0%とする。
更にまた、本発明の焼入れ鋼材において、フェライトを強化させる場合には、上記各成分に加えて、Ni:0.05〜2.0%及び/又はCu:0.01〜2.0%を添加することができる。
(Ni:0.05〜2.0%)
Niはフェライトを強化し、延性を向上させると共に、焼入れ性向上及び耐食性向上にも有効な元素である。しかしながら、Ni含有量が0.05%未満の場合、その効果は認められず、また、2.0%を超えてNiを添加しても、機械的性質の点では効果が飽和し、被削性が低下する。よって、本発明においてNiを添加する場合は、その含有量を0.05〜2.0%とする。
(Cu:0.01〜2.0%)
Cuは、フェライトを強化すると共に、焼入れ性向上及び耐食性向上にも有効な元素である。しかしながら、Cu含有量が0.01%未満の場合、その効果は認められず、また、2.0%を超えてCuを添加しても、機械的性質の点では効果が飽和する。よって、本発明においてCuを添加する場合は、その含有量を0.01〜2.0%とする。なお、Cuは、特に熱間延性を低下させ、圧延時の疵の原因となりやすいため、Cuを添加する場合はNiも添加することが好ましい。
次に、最大径が200nmを超えるAlNの合計体積を、全AlNの総体積の20%以下とする理由について説明する。
最大径が200nmを超えるAlNの合計体積が全AlN総体積の20%を超えて存在する場合には、粗大なAlNによる切削工具の機械摩耗が顕著となり、また固溶Al確保による被削性改善効果が低下するため、最大径が200nmを超えるAlNの合計体積を、全AlNの総体積の20%以下とする。尚、最大径とは、AlN個々における最長の径である。
このAlNの体積比率は、例えば以下の方法により算出できる。まず抽出レプリカ法により、鋼材断面に露出したAlNを膜に付着させる。次いで、この膜を透過型電子顕微鏡で観察する。このとき、1000μmの視野をランダムに20視野以上観察し、最大径が200nmを超えるAlNの合計体積(面積)と全AlNの総体積(総面積)とを求め、[(最大径が200nmを超えるAlNの合計体積/全AlNの総体積)×100]を算出する。
最大径が200nmを超えるAlNの合計体積を、全AlNの総体積の20%以下にするには、AlNを溶体化或いは溶け残りを十分に少なくなるように、熱間圧延前または熱間鍛造前の加熱温度を調整する必要がある。
本発明者らは、AlNの溶解度積と実験結果から、200nmを超える粗大なAlNの全AlNに対する体積率を20%以下とするために必要な圧延前または鍛造前の加熱温度の下限値T1(℃)を導出する(1)式を見出した。

T1=−6770/[log{(wt%Al)(wt%N)}−1.03]−423
・・・(1)

ここで、wt%Alは鋼材の全Alの含有量(質量%)であり、wt%Nは鋼材の全Nの含有量(質量%)である。以下、同様である。
すなわち、圧延前または鍛造前に、(1)式により求まる温度T1以上の温度に加熱することにより、最大径が200nmを超えるAlNの合計体積を、全AlNの総体積の20%以下にすることができる。
次に、固溶Al量を0.05質量%以上とする理由について説明する。ここでいう固溶Al量とは下記(2)式で定義するものである。

固溶Al量(質量%)=鋼中全Al量(質量%)−AlNとして存在するAl量(質量%)
・・・ (2)

なお、AlNとして存在するAl量は、例えば非水溶媒電解液による定電位電解腐食法のSPEED法と0.1μmのフィルターにより電解抽出した残渣をICP発光分析装置で分析することにより、求めることができる。
固溶Alは、被削性向上効果、焼入性向上効化を有するが、0.05%未満ではそれらの効果はみられないため固溶Al量を0.05%以上とする。
本発明では、実施例表2−3の発明例No.26の固溶Al実験値が0.062%であるので、固溶Al量を0.062%以上とする。
固溶Al量は、浸炭や焼入れ時の加熱温度に応じて、鋼中の全Al量または/および全N量により、調整することができる。本発明者らは、浸炭や焼入れ時の加熱温度(T2)と、鋼中の全Al量および全N量とにより、浸炭や焼入れ後の固溶Al量を見積もる下記(3)式を見出した。

固溶Al量(質量%)=(27/28)(((wt%N-(14/27)(wt%Al))2+(56/27)×10(1.03−6770/(T2+273)))1/2-((wt%N)-(14/27)(wt%Al)))・・・ (3)
通常、焼入れ時の加熱温度(T2)は、焼入れ時の加熱温度は化学成分によって決まるA変態点温度に40〜60℃足した温度以上に設定される場合が多く、また浸炭時の加熱温度(T2)は900〜1000℃に設定される場合が多い。すなわち浸炭や焼入れ時の加熱温度(T2)は、通常800℃〜1000℃の温度範囲であるが、この加熱温度(T2)に応じて、上記(3)式により算出される固溶Al量が0.05質量%以上となるように、鋼中全Al量(質量%)または/および鋼中全N量(質量%)を前記規定範囲内で調整すればよい。
以上、本発明の合金鋼においては、粗大なAlNの生成を抑制しているため、切削時の発熱量が少なくても被削性及び焼入性を向上させることができ、かつ、切削工具の寿命が短くなることを抑制できる。また、焼入性の向上と被削性に有効な固溶Al量を増加させているため、高価な添加元素(例えばMo及びNi)を使用せずにこれら元素の濃度が不可避的不純物レベルである場合においても、焼入性を向上させることができる。さらに、上記した添加元素を使用する必要がある場合でも、その使用量を低減することができる。
さらにはMoなどの代表的な焼入性向上元素と異なり、Alの場合には焼きの入らない遅い冷速(例えば空冷など)では硬さの向上効果が小さいために、例えば、切削などの機械加工はもちろんその他の冷間加工(冷間鍛造や冷間引抜きなど)でも、硬さの向上を抑制できる為に、Cr,Moで焼入性を高めた場合と比較して加工性の低下を抑制できる。
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。本発明合金鋼は、熱間圧延後に熱処理後の熱処理の如何に問わず被削性が向上し、かつ浸炭焼入れや焼入れ焼戻し等の熱処理を実施する場合に重要な焼入性が向上している。そこで、基本成分系或いは熱処理が異なる3つの鋼種において、本発明を適用した場合の効果について具体的に説明する。ただし、被削性は基本強度又は熱処理組織が異なる場合にはその影響を大きく受け、焼入性は熱処理温度又は基本成分が異なる場合にはその影響を大きく受けるため、実施例も3つに分けて説明する。
(実施例1)
実施例1では本発明を0.15%C程度(例えばCが0.12〜0.18%の範囲内)の合金鋼について適用した場合の試験例を示す。また他の化学成分は、Si:0.1〜0.3%、Mn:0.5〜1.0%、P:0.020%以下、S:0.01%以上0.1%以下、Cr:0.5%〜1.5%以下、Al:0.055〜0.3%の範囲に収めた。実施例1では、焼準後に切削試験、浸炭を想定した加熱温度でのジョミニ試験を実施した。詳細には、表1−1に示す組成の鋼150Kgを真空溶解炉で溶製後、表1−3に示す加熱温度で熱間鍛造し、直径が65mmと35mmの2種類の円柱状に鍛伸した。そして、この実施例の鋼材について、下記に示す方法で、65mm鍛伸材から切り出した試験片で被削性試験、AlNの観察、及び固溶Al量の測定を行った。また35mm鍛伸材から切り出したジョミニ試験片でジョミニ試験を実施し、その特性を評価した。
Figure 0005181619
〔被削性試験〕
まず、鍛伸後の鋼材を930℃の温度条件下で1時間保持した後に空冷し、焼準のための熱処理を施し、各鋼材の硬さをHv10で135から145の範囲に調整した。その後、熱処理後の各鋼材から被削性評価用試験片を切出し、下記表1−2に示す切削条件でドリル穿孔試験を行い、実施例及び比較例の各鋼材の被削性を評価した。その際、評価指標としては、ドリル穿孔試験では累積穴深さ1000mmまで切削可能な最大切削速度VL1000を採用した。
Figure 0005181619
なお、NACHI通常ドリルとは株式会社不二越製の型番SD3.0のドリルを示す。以後、本文中でNACHI通常ドリルと表示した場合にも株式会社不二越製の型番SD3.0のドリルを示す。
〔ジョミニ試験〕
ジョミニ試験は、鍛伸後の各鋼材に対して、JIS G0561に基づく方法で一端焼入方法により浸炭加熱温度を想定した930℃の加熱温度で実施した。その後、得られたジョミニ-カーブ及びC量より、50%Mの硬さに相当するジョミニ距離を推定し、このジョミニ距離を焼入性DIに換算した。
〔AlNの観察〕
AlNの観察は、被削性試験評価用試験片と同様の方法で作製した鋼材のQ部から切出した試料を用いてレプリカ法により観察用試料を作成し、この観察用試料を透過型電子顕微鏡により観察した。観察は1000μmの視野をランダムに20視野実施した。そして、最大径が200nmを超えるAlNの合計体積が全AlNの総体積の20%以下である場合を○、20%以上である場合を×として判定した。
〔固溶Al量の測定〕
まず、非水溶媒電解液による定電位電解腐食法のSPEED法と0.1μmのフィルターにより電解抽出した残渣をICP発光分析装置で分析することにより、AlNとして存在するAl量(質量%)を測定し、上記(2)式に代入することにより固溶Al量(質量%)を求めた。
以上の試験の結果を表1−3にまとめて示す。
Figure 0005181619
上記表1−1及び表1−3に示すNo.1〜7は発明例、No.8〜13は比較例である。上記表1−3に示すように、本発明の実施例であるNo.1〜7の鋼材では、評価指標であるVL1000、焼入性DIの向上効果が認められるが、比較例であるNo.8〜13の鋼材では、これらのうちの少なくとも1つ以上の特性が、実施例の鋼材に比べて劣っていた(図1、図2参照)。
具体的には、No.8、10、12は、全Al量が本発明で規定する範囲から外れており、その結果、固溶Al量が本発明規定を下回ったため、被削性の指標であるVL1000が同程度のS含有量を有する発明鋼に比べ劣っていた。また固溶Alによる焼入性の向上効果も小さかった。
No.9、11は全Al量、全N量、及び上記(1)式から計算される必要加熱温度T1(℃)に比べ、実際の鍛造時の加熱温度が低かったために粗大なAlNが生成し、被削性の指標であるVL1000が同程度のS含有量を有する発明鋼に比べ劣っていた。
No.13は全N量及び全Al量が規定範囲内であり、鍛造時の加熱温度も上記(1)から計算される必要加熱温度を満足するものであるが、全N量(質量%)に対して全Al量(質量%)が相対的に少ない為、実施した浸炭加熱温度では固溶Al値が本発明で規定する範囲外となり、被削性の指標であるVL1000が同程度のS含有量を有する発明鋼に比べ劣っていた。また、固溶Alによる焼入性の向上効果も小さかった。
(実施例2)
実施例2では、本発明を0.2%C程度(例えばCが0.18〜0.23%の範囲内)の合金鋼に適用した場合の試験例を示す。また他の化学成分は、Si:0.1〜0.3%、Mn:0.5〜1.0%、P:0.020%以下、S:0.01%以上0.1%以下、Cr:0.5%〜1.5%以下、Al:0.055〜0.3%の範囲に収めた。実施例2では、焼準後に切削試験、浸炭を想定した加熱温度でのジョミニ試験を実施した。詳細には、表2−1に示す組成の鋼150Kgを真空溶解炉で溶製後、表2−3に示す加熱温度で熱間鍛造し、直径が65mmと35mmの2種類の円柱状に鍛伸した。そして、この実施例の鋼材について、下記に示す方法で、65mm鍛伸材から切り出した試験片で被削性試験、AlNの観察、及び固溶Al量の測定を行った。また35mm鍛伸材から切り出したジョミニ試験片でジョミニ試験を実施し、その特性を評価した。
Figure 0005181619
〔被削性試験〕
まず、鍛伸後の各鋼材を930℃の温度条件下で1時間保持した後に空冷し、焼準のための熱処理を施し、各鋼材の硬さをHv10で140から150の範囲に調整した。その後、熱処理後の各鋼材から被削性評価用試験片を切出し、下記表2−2に示す切削条件でドリル穿孔試験を行い、実施例及び比較例の各鋼材の被削性を評価した。その際、評価指標としては、ドリル穿孔試験では累積穴深さ1000mmまで切削可能な最大切削速度VL1000を採用した。
Figure 0005181619
〔ジョミニ試験〕
ジョミニ試験は、鍛伸後の各鋼材に対して、JIS G0561に基づく方法で一端焼入方法により浸炭加熱温度を想定した930℃の加熱温度で実施した。その後、得られたジョミニ-カーブ及びC量より、50%Mの硬さに相当するジョミニ距離を推定し、このジョミニ距離から焼入性(DI:理想臨界直径)に換算した。
〔AlNの観察〕
AlNの観察は、被削性試験評価用試験片と同様の方法で作製した鋼材のQ部から切出した試料を用いてレプリカ法により観察用試料を作成し、この観察用試料を透過型電子顕微鏡により観察した。観察は、1000μmの視野をランダムに20視野実施した。そして、最大径が200nmを超えるAlNの合計体積が全AlNの総体積の20%以下である場合を○、20%以上である場合を×として判定した。
〔固溶Al量の測定〕
まず、非水溶媒電解液による定電位電解腐食法のSPEED法と0.1μmのフィルターにより電解抽出した残渣をICP発光分析装置で分析することにより、AlNとして存在するAl量(質量%)を測定し、上記(2)式に代入することにより固溶Al量(質量%)を求めた。
以上の試験の結果を表2−3にまとめて示す。
Figure 0005181619
上記表2−1及び表2−3に示すNo.14〜32は発明例、No.33〜41は比較例である。上記表2−3に示すように、本発明の実施例であるNo.14〜32の鋼材では、評価指標であるVL1000、焼入性DIの向上効果が認められるが、比較例であるNo.33〜41の鋼材では、これらのうちの少なくとも1つ以上の特性が、実施例の鋼材に比べて劣っていた。(図3、図4参照)
具体的には、No.33、36、39は、全Al量が本発明で規定する範囲から外れており、その結果、固溶Al量が本発明規定を下回ったため、被削性の指標であるVL1000が同程度のS含有量を有する発明鋼に比べ劣っており、固溶Alによる焼入性の向上効果も小さかった。
No.34、35、37、40、41はAl量、N量、及び上記式(1)から計算される必要加熱温度T1(℃)に比べ、実際の鍛造時の加熱温度が低かったために粗大なAlNが生成し、被削性の指標であるVL1000が同程度のS含有量を有する発明鋼に比べ劣っていた。
No.38は全N量及び全Al量が規定範囲内であり、鍛造時の加熱温度も上記(1)から計算される必要加熱温度を満足するものであるが、全N量に対して全Al量が相対的に少ない為、実施した浸炭加熱温度では固溶Al値が本発明で規定する範囲外となり、被削性の指標であるVL1000が同程度のS含有量を有する発明鋼に比べ劣っていた。また、固溶Alによる焼入性の向上効果も小さかった。
(実施例3)
実施例3では本発明を0.4%C程度(例えばCが0.35〜0.45%の範囲内)の合金鋼に適用した場合の試験例を示す。また他の化学成分は、Si:0.1〜0.3%、Mn:0.5〜1.0%、P:0.020%以下、S:0.01%以上0.1%以下、Cr:0.5%〜1.5%以下、Al:0.055〜0.3%の範囲に収めた。実施例3では、焼準後に切削試験、焼入れを想定した加熱温度でのジョミニ試験を実施した。詳細には、表3−1に示す組成の鋼150Kgを真空溶解炉で溶製後、表3−3に示す加熱温度で熱間鍛造し、直径が65mmと35mmの2種類の円柱状に鍛伸した。そして、この実施例の鋼材について、下記に示す方法で、65mm鍛伸材から切り出した試験片で被削性試験、AlNの観察、及び固溶Al量の測定を行った。また35mm鍛伸材から切り出したジョミニ試験片でジョミニ試験を実施し、その特性を評価した。
Figure 0005181619
〔被削性試験〕
まず、鍛伸後の鋼材を850℃の温度条件下で1時間保持後、空冷し、焼準のための熱処理を施し、各鋼材の硬さをHv10で225から235の範囲に調整した。その後、熱処理後の各鋼材から被削性評価用試験片を切出し、下記表3−2に示す切削条件でドリル穿孔試験を行い、実施例及び比較例の各鋼材の被削性を評価した。その際、評価指標としては、ドリル穿孔試験では累積穴深さ1000mmまで切削可能な最大切削速度VL1000を採用した。
Figure 0005181619
〔ジョミニ試験〕
ジョミニ試験は、鍛伸後の各鋼材に対して、JIS G0561に基づく方法で一端焼入方法により焼入れ加熱温度を想定した850℃の加熱温度で実施した。その後、得られたジョミニ-カーブ及びC量より、50%Mの硬さに相当するジョミニ距離を推定し、このジョミニ距離を焼入性DIに換算した。
〔AlNの観察〕
AlNの観察は、被削性試験評価用試験片と同様の方法で作製した鋼材のQ部から切出した試料を用いてレプリカ法により観察用試料を作成し、この観察用試料を透過型電子顕微鏡により観察した。観察は、1000μmの視野をランダムに20視野実施した。そして、最大径が200nmを超えるAlNの合計体積が全AlNの総体積の20%以下である場合を○、20%以上である場合を×として判定した。
〔固溶Al量の測定〕
まず、非水溶媒電解液による定電位電解腐食法のSPEED法と0.1μmのフィルターにより電解抽出した残渣をICP発光分析装置で分析することにより、AlNとして存在するAl量(質量%)を測定し、上記(2)式に代入することにより固溶Al量(質量%)を求めた。
以上の試験の結果を表3−3にまとめて示す。
Figure 0005181619
上記表3−1及び表3−3に示すNo.42〜48は発明例、No.49〜54は比較例である。上記表3−3に示すように、本発明の実施例であるNo.42〜48の鋼材では、評価指標であるVL1000、焼入性DIの向上効果が認められるが、比較例であるNo.49〜54の鋼材では、これらのうちの少なくとも1つ以上の特性が、実施例の鋼材に比べて劣っていた。(図5、図6参照)
具体的には、No.49、51、53は、全Al量が本発明で規定する範囲から外れており、その結果、固溶Al量が本発明規定を下回ったため、被削性の指標であるVL1000が同程度のS含有量を有する発明鋼に比べ劣っていた。また固溶Alによる焼入性の向上効果も小さかった。
No.50、52はAl量、N量から上記(1)式から計算される必要加熱温度T1(℃)に比べ、実際の鍛造時の加熱温度が低かったために粗大なAlNが生成し、被削性の指標であるVL1000が同程度のS含有量を有する発明鋼に比べ劣っていた。
No.54は全N量及び全Al量が規定範囲内であり、鍛造時の加熱温度も上記(1)から計算される必要加熱温度を満足するものであるが、全N量に対して全Al量が相対的に少ない為、実施した焼入れ加熱温度では固溶Al値が本発明で規定する範囲外となり、被削性の指標であるVL1000が同程度のS含有量を有する発明鋼に比べ劣っており、固溶Alによる焼入性の向上効果も小さかった。
実施例1におけるS量と被削性との関係を示す図である。 実施例1における固溶Al量と焼入性(DI値)との関係を示す図である。 実施例2におけるS量と被削性との関係を示す図である。 実施例2における固溶Al量と焼入性(DI値)との関係を示す図である。 実施例3におけるS量と被削性との関係を示す図である。 実施例3における固溶Al量と焼入性(DI値)との関係を示す図である。

Claims (8)

  1. 化学成分として、質量%で、
    C:0.14〜0.85%
    Si:0.01〜1.5%、
    Mn:0.05〜2.5%、
    S:0.005〜0.35%、
    Cr:0.2〜6.0%、
    N:0.020%以下、
    Al:0.055〜1.0%
    を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
    最大径が200nmを超えるAlNの合計体積が全AlNの総体積の20%以下であり、固溶Alが0.062質量%以上であり、熱間圧延により成形加工した丸棒鋼から製造され、焼入れ処理が施された鋼材であることを特徴とする被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材。
  2. 化学成分として、更に、質量%で、P:0.020%以下を含有することを特徴とする請求項1記載の被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材。
  3. 化学成分として、更に、質量%で、Ca:0.0003〜0.0015%を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材。
  4. 化学成分として、更に、質量%で、Ti:0.001〜0.1%、Nb:0.005〜0.2%、W:0.01〜1.0%、V:0.01%〜1.0%からなる群から選択された1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材。
  5. 化学成分として、更に、質量%で、Mg: 0.0001〜0.0040%、Zr:0.0003〜0.01%、Rem:0.0001〜0.015%からなる群から選択された1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材。
  6. 化学成分として、更に、質量%で、Sb:0.0005%以上0.0150%未満、Sn:0.005〜2.0%、Zn:0.0005〜0.5%、:0.0005〜0.015% 、Te:0.0003〜0.2%、Bi:0.005〜0.5%、Pb:0.005〜0.5%からなる群から選択された1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材。
  7. 化学成分として、更に、質量%で、Mo: 0.01〜1.0%を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材。
  8. 化学成分として、更に、質量%で、Ni:0.05〜2.0%、Cu:0.01〜2.0%からなる群から選択された1種または2種を含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材。
JP2007278460A 2007-10-26 2007-10-26 被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材 Expired - Fee Related JP5181619B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007278460A JP5181619B2 (ja) 2007-10-26 2007-10-26 被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007278460A JP5181619B2 (ja) 2007-10-26 2007-10-26 被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009108340A JP2009108340A (ja) 2009-05-21
JP5181619B2 true JP5181619B2 (ja) 2013-04-10

Family

ID=40777148

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007278460A Expired - Fee Related JP5181619B2 (ja) 2007-10-26 2007-10-26 被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5181619B2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5423571B2 (ja) * 2010-05-07 2014-02-19 新日鐵住金株式会社 高周波焼入れ部品用熱間加工高炭素鋼材
EP3266899B1 (en) 2010-05-31 2019-07-03 Nippon Steel Corporation Steel material for hardening and method for producing the same
JP5943569B2 (ja) * 2011-08-09 2016-07-05 山陽特殊製鋼株式会社 靭性に優れた機械構造用鋼
CN103352178B (zh) * 2013-06-21 2015-12-23 浙江浦宁不锈钢有限公司 一种含钛合金
CN103352179B (zh) * 2013-06-24 2015-12-02 浙江浦宁不锈钢有限公司 一种含碳合金
CN103725968B (zh) * 2013-12-19 2016-01-27 马鞍山市方圆材料工程有限公司 一种耐腐蚀线材机轧辊用合金钢材料及其制备方法
JP6109730B2 (ja) * 2013-12-27 2017-04-05 株式会社神戸製鋼所 浸炭後の曲げ疲労特性に優れた鋼材およびその製造方法並びに浸炭部品
US11702716B2 (en) 2015-01-27 2023-07-18 Jfe Steel Corporation Case hardening steel
KR101902329B1 (ko) 2016-12-26 2018-10-01 주식회사 세아베스틸 소입성 및 저온 충격인성이 우수한 저원가 오일시추용 합금강 및 그 제조방법
CN110273051A (zh) * 2019-07-16 2019-09-24 南京钢铁股份有限公司 合金钢淬透性窄带控制的方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0892690A (ja) * 1994-09-27 1996-04-09 Sumitomo Metal Ind Ltd 耐疲労特性に優れた浸炭部品およびその製造方法
JPH08283836A (ja) * 1995-04-13 1996-10-29 Nkk Corp 溶接性と音響異方性に優れた鋼の製造方法
JP4265583B2 (ja) * 2001-02-07 2009-05-20 Jfeスチール株式会社 焼入れ後の靭性に優れる冷延鋼板およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009108340A (ja) 2009-05-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4473928B2 (ja) 被削性と衝撃値に優れた熱間加工鋼材
JP5181619B2 (ja) 被削性と焼入れ性に優れた焼入れ鋼材
JP4568362B2 (ja) 被削性と強度特性に優れた機械構造用鋼
JP5031931B2 (ja) 焼入れ用鋼材及び動力伝達部品
JP2008013788A (ja) 被削性と強度特性に優れた機械構造用鋼
JP2003027181A (ja) 高靭性耐摩耗用鋼
JP4264329B2 (ja) 被削性に優れる鋼
KR20020079945A (ko) 단조성과 피삭성이 우수한 강
JP5114658B2 (ja) 機械的特性及び被削性に優れた機械構造用鋼
JP6620490B2 (ja) 時効硬化性鋼
JP3954751B2 (ja) 鍛造性と被削性に優れる鋼
JP4986203B2 (ja) 工具寿命に優れたbn快削鋼
JP2017057475A (ja) 快削鋼
JP2024048190A (ja) 被削性と窒化特性に優れた窒化用鋼
JP2000256785A (ja) 被削性に優れる鋼とその製造方法
JP4348164B2 (ja) 被削性に優れる鋼
JP2002194483A (ja) 機械構造用鋼材
JP2000328182A (ja) 熱間加工性に優れる機械構造用快削鋼
JP4282459B2 (ja) 被削性に優れる焼入焼もどしして使用される機械構造用鋼
JP2010059484A (ja) 静的強度に優れた浸炭部品
JP2000319751A (ja) 鍛造性と被削性に優れる鋼

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091104

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120207

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120404

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121218

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121231

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5181619

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160125

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees