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JP4888027B2 - ラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤、それを含む成形材料及びその硬化方法 - Google Patents

ラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤、それを含む成形材料及びその硬化方法 Download PDF

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JP4888027B2 JP2006275121A JP2006275121A JP4888027B2 JP 4888027 B2 JP4888027 B2 JP 4888027B2 JP 2006275121 A JP2006275121 A JP 2006275121A JP 2006275121 A JP2006275121 A JP 2006275121A JP 4888027 B2 JP4888027 B2 JP 4888027B2
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Description

本発明は、不飽和ポリエステル樹脂等のラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化に用いられるラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤、それを含む成形材料及びその硬化方法に関するものである。
従来から例えば浴槽、洗面ユニット等の住宅設備の分野や電気部品等の分野で用いられるシートモールディングコンパウンド(以下、SMCと略記する)やバルクモールディングコンパウンド(以下、BMCと略記する)等の成形材料が知られている。これらSMCやBMCは、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂等のラジカル重合型熱硬化性樹脂に、硬化剤、低収縮剤、充填剤、増粘剤、離型剤、重合禁止剤、着色剤等を混合したコンパウンドをガラス繊維等の強化材に含浸させた成形材料である。そのうち、シート状にした成形材料がSMC、そしてバルク状にした成形材料がBMCである。
これらの成形材料は、圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法、射出圧縮成形法等の各種成形法により繊維強化プラスチック(以下、FRPと略記する)に成形され、住宅設備機器、自動車部品、電気部品、電子部品等として工業的に広く用いられている。
前記した成形材料は通常100〜180℃で加熱、硬化されるため、そのような温度で効率的に分解してラジカルを発生する有機過酸化物が硬化剤として使用される。係る有機過酸化物としては、様々な要求性能に対するトータルバランスが比較的良好なt−ブチルパーオキシアセテート(例えば、特許文献1を参照)やt−ブチルパーオキシベンゾエートが広く利用されてきた。
特開平9−31314号公報(第2頁から第4頁)
近年、特にシックハウス、シックスクール、シックビル症候群等の点から、建築材料に含まれるVOC(揮発性有機化学物質)の人体への影響が問題となり、行政からも建築材料についてVOCに関する指針が出されるようになってきた。そのため、建築材料で用いられるラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化物に対しても、残存する不飽和単量体であるスチレン等のVOCは、住宅環境保全のために低減が望まれているという現状がある。
前記ラジカル重合型熱硬化性樹脂を特許文献1に記載されたt−ブチルパーオキシアセテートで硬化させた場合、熱分解温度が高いため硬化速度が遅く、しかも生成するラジカルの重合効率が低いため硬化物中に残存する不飽和単量体量が多くなるという問題があった。また、t−ブチルパーオキシベンゾエートの場合には、フェニル基を有する特異な構造に起因して分解が遅く、硬化速度が遅いと共に、硬化物中に残存する不飽和単量体量も多いといった問題があった。
そこで、本発明の目的とするところは、ラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化速度を向上させることができると共に、不飽和単量体の残留を抑制することができるラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤、それを含む成形材料及びその硬化方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明における第1の発明のラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤は、下記の一般式(1)で示されるt−アルキルパーオキシアルキレートを含有することを特徴とするものである。
Figure 0004888027
(但し、式中、Rは炭素数の直鎖のアルキル基、R’は炭素数1のアルキル基を表す)
第2の発明の成形材料は、ラジカル重合型熱硬化性樹脂100質量部に第1の発明のt−アルキルパーオキシアルキレート0.1〜5質量部を配合したことを特徴とするものである。
第3の発明の成形材料は、第2の発明において、さらに低収縮剤、充填剤、増粘剤、離型剤、重合禁止剤及び強化材を配合したことを特徴とするものである。
第4の発明の成形材料は、第2又は第3の発明において、前記ラジカル重合型熱硬化性樹脂が不飽和ポリエステル樹脂であることを特徴とするものである。
第5の発明の成形材料の硬化方法は、第2から第4のいずれかの発明の成形材料を100〜180℃で硬化させることを特徴とするものである。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
第1の発明のラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤では、前記の一般式(1)で示されるt−アルキルパーオキシアルキレートを含有する。この硬化剤をラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化剤として使用した場合、従来のt−ブチルパーオキシアセテートに比べて熱分解温度が低く、またt−ブチルパーオキシアセテートやt−ブチルパーオキシベンゾエートとは異なる化学構造により、低い温度で分解が始まってラジカルを生成し、ラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化速度を向上させることができる。また、生成するラジカルはラジカル重合反応の効率が高く、未反応の不飽和単量体の残留を抑制することができる。
第2の発明の成形材料は、ラジカル重合型熱硬化性樹脂100質量部に一般式(1)で示されるt−アルキルパーオキシアルキレート0.1〜5質量部を配合したものである。このため、ラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化に際して、第1の発明の効果を十分に発揮させることができる。
第3の発明の成形材料は、第2の発明の成形材料にさらに低収縮剤、充填剤、増粘剤、離型剤、重合禁止剤及び強化材を配合したものである。従って、第2の発明の効果に加えて、SMC用やBMC用の成形材料として好適である。
第4の発明の成形材料は、第2又は第3の成形材料におけるラジカル重合型熱硬化性樹脂が不飽和ポリエステル樹脂であるものである。この成形材料は常温での保存安定性が高く、硬化特性値の変化も少ない。また、加熱したときスチレン等の揮発性有機化合物(VOC)が少なく、建築材料にも好適に使用できる成形品を短時間の成形で得ることができる。
第5の発明の成形材料の硬化方法では、第2から第4のいずれかの発明の成形材料を100〜180℃で硬化させることから、硬化反応を容易に行うことができ、第2から第4のいずれかの発明の効果を発揮させることができる。
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
本実施形態のラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤は、下記の一般式(1)で示されるt−アルキルパーオキシアルキレートを含有するものである。
Figure 0004888027
(但し、式中、Rは炭素数の直鎖のアルキル基、R’は炭素数1のアルキル基を表す)
一般式(1)中のRのうち、炭素数の直鎖のアルキル基としては、プロピル基が挙げられる。一般式(1)中のRが炭素数1のt−ブチルパーオキシアセテートの場合には、熱分解温度が高いためにラジカル重合型熱硬化性樹脂(以下、単に熱硬化性樹脂ともいう)の硬化速度が遅く、また生成するラジカルの重合効率が悪いために得られる硬化物に残存する不飽和単量体が多くなる。一方、Rが炭素数6を越える場合には、活性酸素量が低下するため、これを含有する熱硬化性樹脂の硬化が遅くなると共に、硬化物中の不飽和単量体が多くなる。
一般式(1)中のR’のうち、炭素数1又は2のアルキル基は、メチル基又はエチル基である。このR’が炭素数2を越える場合には、重合効率が悪いために硬化が完結するまでの時間が長く、得られる硬化物に残存する不飽和単量体が多くなる。
従って、Rが炭素数の直鎖のアルキル基で、R’が炭素数である特定のt−アルキルパーオキシアルキレートは、熱硬化性樹脂の硬化速度の向上と、不飽和単量体の残留の抑制という効果をバランス良く発揮することができる優れた硬化剤である。
前記一般式(1)で表されるt−アルキルパーオキシアルキレートの具体例としては、t−ヘキシルパーオキシアセテートが挙げられる。
これらの中では、t−ヘキシルパーオキシアセテートが特に好ましい。その理由は、t−ヘキシルパーオキシアセテート(10時間半減期温度98.3℃)がt−アミルパーオキシアセテート(10時間半減期温度99.6℃)に比べて熱分解温度が低いため硬化が速く(硬化特性のT90が短く)、脱型可能時間を短くできると共に、生成するラジカルの重合効率が高いため硬化物中の不飽和単量体をt−アミルパーオキシアセテートより低減できるからである。しかも、t−ヘキシルパーオキシアセテートは1,1−ジメチルペンチルパーオキシアセテートや1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシアセテート(10時間半減期温度90.0℃)より熱分解温度が高く、熱分解しにくいため、型内流動時間を調節するために添加される重合禁止剤の量が少なくて済み、重合禁止剤に由来する硬化物の着色を抑えることができ、淡色の成形品を得る場合での着色問題が起こらないからである。また、t−ヘキシルパーオキシアセテートはt−ヘキシルパーオキシプロピオネートに比べ、生成するラジカルの重合効率が高いため、硬化物中の不飽和単量体をt−ヘキシルパーオキシプロピオネートより低減できる。ここで、10時間半減期温度とは、有機過酸化物0.1モル/リットルのクメン溶液を熱分解させた際に、10時間で有機過酸化物の半減期を迎える分解温度のことである。
一般式(1)で表される特定構造のt−アルキルパーオキシアルキレートは、公知の製造方法に従って製造することができる。例えば、t−ヘキシルパーオキシアセテートは、t−ヘキシルハイドロパーオキサイドとアセチルクロライド又は無水酢酸とを反応させて製造することができる。
t−アルキルパーオキシアルキレートは、その取扱い性を高めるために、希釈剤で希釈したパーオキサイド組成物として使用することが好ましい。希釈剤の種類としては、例えば脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、酢酸エステル、ピバリン酸エステル、アジピン酸エステル、ネオデカン酸エステル、グルタル酸エステル、コハク酸エステル類、アジピン酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、安息香酸エステル、フタル酸エステル、リン酸エステル、ケトン、アルコール、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等、t−アルキルパーオキシアセテートの安定性や成形材料の硬化特性や硬化物の物性に悪影響を与えないものであればいずれも使用可能である。係る希釈剤の使用量は、熱硬化性樹脂用硬化剤100質量部に対して通常50質量部以下である。そしてこれらの希釈剤は、t−アルキルパーオキシアルキレートの製造時又は製造後のいずれかの時点で添加することができる。
硬化剤中には、前記一般式(1)で示されるt−アルキルパーオキシアルキレートと共に、例えば100℃付近での低温成形又は180℃付近での高温成形における硬化特性や硬化度を改良するために熱分解温度の異なる他の公知の有機過酸化物を併用することができる。その場合、一般式(1)で示されるt−アルキルパーオキシアルキレートがその機能を十分に発現するために、該t−アルキルパーオキシアルキレートは硬化剤中の有機過酸化物として50質量%以上を占めるように配合することが好ましい。他の公知の有機過酸化物として、例えば1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ジ(4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート等のパーオキシエステル、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−アミルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン等のパーオキシモノカーボネート等が挙げられる。
次に、前記一般式(1)で表されるt−アルキルパーオキシアルキレートとラジカル重合型熱硬化性樹脂(以下、単に熱硬化性樹脂ともいう)とを含有する成形材料について説明する。
熱硬化性樹脂は、通常不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂及び(メタ)アクリル系樹脂であり、単独のみならず併用することもできる。不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和二塩基酸、飽和二塩基酸及び多価アルコールを特定の割合で加熱脱水縮合させ、エステル化して得られる不飽和ポリエステルをラジカル重合性不飽和単量体(以下、不飽和単量体と略記する。)に溶解させて得られる液状樹脂であり、公知のものがいずれも使用できる。
前記不飽和二塩基酸としては、例えば無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられ、これらの群の一種又は二種以上が選択して使用される。飽和二塩基酸としては、例えば無水フタル酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族二塩基酸、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸等の脂肪族二塩基酸等が挙げられ、これらの群の一種又は二種以上が選択して使用される。前記多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物等が挙げられ、これらの群の一種又は二種以上が選択して使用される。
前記不飽和単量体としては、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ジクロロスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン誘導体が挙げられる。また、得られる硬化物の残存スチレン量を低減するために、モノメチルフマレート、ジメチルフマレート、モノエチルフマレート、ジエチルフマレート、モノプロピルフマレート、ジプロピルフマレート、モノブチルフマレート、ジブチルフマレート、モノオクチルフマレート、ジオクチルフマレート、モノメチルマレエート、ジメチルマレエート、モノエチルマレエート、ジエチルマレエート、モノプロピルマレエート、ジプロピルマレエート、モノブチルマレエート、ジブチルマレエート等のα,β−不飽和多塩基酸アルキル、ジアリルフタレート、N−ビニルピロリドンの他、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニル(メタ)アクリレート、ビニルクロトネート、アリル(メタ)アクリレート等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、テトラフロロプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5・2・1・02,6]デカニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヘベニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル(メタ)アクリレート、1−エチル−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等の水酸基末端(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ(ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等のアルキル基末端(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオール−ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1、9−ノナンジオール−ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド−テトラメチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキエチルフタレート、(メタ)アクリロイルオキシサクシネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレエート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、オレイン酸変性グリシジル(メタ)アクリレート、大豆油脂肪酸変性グリシジル(メタ)アクリレート、ジンクモノ(メタ)アクリレート、ジンクジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート、N,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アンモニウムクロライド等の(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル類等が挙げられる。なお、(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリレート(アクリル酸エステル)とメタクリレート(メタクリル酸エステル)との総称を意味する。これらの不飽和単量体の一種又は二種以上が単独で、又はスチレン誘導体と併用して使用することができる。
そして、不飽和ポリエステル樹脂の構成成分である不飽和ポリエステルと不飽和単量体の好ましい構成比率は、不飽和ポリエステルが30〜80質量%であり、不飽和単量体が70〜20質量%である。不飽和ポリエステルが30質量%未満で、不飽和単量体が70質量%を越える場合には、得られる不飽和ポリエステル樹脂の硬化物の機械的特性が低下する傾向にある。一方、不飽和ポリエステルが80質量%を越え、不飽和単量体が20質量%未満の場合には、得られる不飽和ポリエステル樹脂の粘度が高くなり、作業性が悪化する傾向にある。
一方、前記ビニルエステル樹脂は、不飽和エポキシ樹脂又はエポキシアクリレート樹脂とも言われるもので、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂のエポキシ基に、アクリル酸やメタクリル酸等の不飽和一塩基酸又はマレイン酸やフマル酸等の不飽和二塩基酸のモノエステルを開環付加させた反応生成物(以下、エポキシアクリレートと略記する。)を不飽和単量体に溶解させて得られる液状樹脂であり、公知のものがいずれも使用できる。
前記エポキシ樹脂としては、公知のエポキシ樹脂がいずれも使用できるが、具体的には、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールSとエピクロルヒドリンとから合成されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂又はビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールとホルムアルデヒドを酸性触媒存在下反応させて得られるいわゆるフェノールノボラック樹脂とエピクロルヒドリンとから合成されるフェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールとホルムアルデヒドとを酸性触媒存在下で反応させて得られるいわゆるクレゾールノボラック樹脂とエピクロルヒドリンとから合成されるクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。前記不飽和単量体としては、前述の不飽和ポリエステル樹脂における不飽和単量体と同様の不飽和単量体のいずれも使用でき、これらの群の一種又は二種以上が選択して使用される。
そして、ビニルエステル樹脂の構成成分であるエポキシアクリレートと不飽和単量体との好ましい構成比率は、エポキシアクリレートが30〜90質量%であり、不飽和単量体が70〜10質量%である。エポキシアクリレートが30質量%未満で、不飽和単量体が70質量%を越える場合には、得られるビニルエステル樹脂の硬化物の耐蝕性や耐熱性が悪化する傾向にある。一方、エポキシアクリレートが90質量%を越え、不飽和単量体が10質量%未満の場合には、得られるビニルエステル樹脂の粘度が高くなり、作業性が悪化する傾向にある。
また、前記(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル樹脂を、1分子中に2個以上のラジカル重合性不飽和基を有する架橋剤を必須成分とする不飽和単量体に溶解させた(メタ)アクリルシラップを指し、公知のものがいずれも使用できる。前記(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルを有機過酸化物又はアゾ化合物で重合することにより得られるものである。ここで、(メタ)アクリル酸エステルとしては、前述の不飽和ポリエステル樹脂におけるアルキル(メタ)アクリレート、水酸基末端(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アルキル基末端(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等と同様の(メタ)アクリル酸エステルを使用することができる。
これらの(メタ)アクリル酸エステルは、一種又は二種以上が選択して使用されるが、耐候性や透明性、表面光沢に優れる硬化物を得るためにはメチルメタクリレートを50質量%以上含有することが好ましい。メチルメタクリレートの沸点以上で加熱成形する場合には、硬化物の光沢ムラが少なく耐熱水性を向上させるためにメチルメタクリレートとシクロヘキサン環、ビシクロ環、トリシクロ環等の基を有する高沸点の(メタ)アクリル酸エステルを併用することが好ましい。
また、(メタ)アクリル樹脂の構成成分として(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの不飽和一塩基酸、前述の不飽和ポリエステル樹脂における不飽和二塩基酸、不飽和二塩基酸のモノエステル、スチレン誘導体、ビニルエステル類を30質量%以下の割合で含有させることもできる。
(メタ)アクリル系樹脂の構成成分である前記不飽和単量体としては、前記(メタ)アクリル樹脂の構成成分である(メタ)アクリル酸エステルに加え、前記した不飽和一塩基酸、不飽和二塩基酸、不飽和二塩基酸のモノエステル、スチレン誘導体、ビニルエステル類などが挙げられる。これらの不飽和単量体は、一種又は二種以上が選択して用いられるが、メチルメタクリレートを50質量%以上含有することが好ましい。メチルメタクリレートを50質量%以上含有することにより、耐候性や透明性、表面光沢に優れる硬化物が得られる。
この不飽和単量体には、1分子中に2個以上のラジカル重合性不飽和基を有する単量体、いわゆる架橋剤を必須成分として含有する。この架橋剤としては、前述の不飽和ポリエステル樹脂における(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート、ビニルエステル類や、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレートなどが挙げられる。これらの架橋剤は、一種又は二種以上が選択して用いられる。不飽和単量体中に占める架橋剤の含有量は、好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは3〜15質量%である。架橋剤の含有量が1質量%未満の場合には、得られる硬化物の耐熱性が悪化する傾向にある。一方、架橋剤の含有量が20質量%を越える場合には、得られる硬化物が脆くなる傾向にある。
(メタ)アクリル系樹脂組成物の構成成分である(メタ)アクリル樹脂と不飽和単量体の好ましい構成比率は、(メタ)アクリル樹脂が10〜50質量%であり、不飽和単量体が90〜50質量%である。(メタ)アクリル樹脂が10質量%未満で、不飽和単量体が90質量%を越える場合には、得られる硬化物にクラックが入り易くなる。一方、(メタ)アクリル樹脂が50質量%を越え、不飽和単量体が50質量%未満の場合には、粘度が高くなり、作業性が悪化する傾向にある。
成形材料中における一般式(1)で表されるt−アルキルパーオキシアルキレートの含有量は、成形温度や所望する成形時間等によって異なるが、熱硬化性樹脂100質量部に対して好ましくは純分で0.1〜5質量部であり、より好ましくは純分で0.5〜4質量部である。この含有量が熱硬化性樹脂100質量部に対して純分で0.1質量部未満の場合には、硬化時間が長く、かつ硬化が不十分となる傾向にある。一方、含有量が熱硬化性樹脂100質量部に対して純分で5質量部を越える場合には、増量したことによる効果が見られず、硬化剤が無駄になって実用的ではなく、場合によっては硬化剤の分解残渣が成形品を着色させるといった外観上の問題が発生するために好ましくない。
成形材料中には、熱硬化性樹脂及び一般式(1)で示される硬化剤に加えて、低収縮剤、充填剤、増粘剤、離型剤、重合禁止剤及び強化材を含むのが一般的であるが、目的に応じて少なくとも1種の成分を含まないようにすることもできる。例えば、熱硬化性樹脂として低収縮型の熱硬化性樹脂を使用する場合には、低収縮剤を含まないようにすることができる。また、成形材料には、必要に応じて着色剤、柄材、加飾基材、排水性向上剤を含有させることもできる。さらに、紫外線吸収剤、分離防止剤、増粘調節剤、消泡剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、撥水剤等、成形材料分野で用いられている公知の添加剤を用途に応じて含有させることができる。
前記低収縮剤は、熱硬化性樹脂の硬化収縮を抑制し、硬化物(成形品)の寸法精度を高めると共に表面の光沢性や平滑性といった表面特性を高めるための成分である。係る低収縮剤としては、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、架橋ポリスチレン、飽和ポリエステル、ポリカプロラクトン、スチレン−酢酸ビニルブロック共重合体等の熱可塑性樹脂類、ブタジエンゴム等のゴム類、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック或いはグラフト共重合体等の熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの低収縮剤は単独で配合しても良いし、二種以上を併用して配合することもできる。二種以上を併用する場合には、低収縮性と表面特性、さらには機械特性、着色性、透明性、耐熱水性を両立させたり、或いはポリスチレン等の熱可塑性樹脂とスチレン−酢酸ビニルブロック共重合体を併用することで熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の分離安定性を高めたりすることができる。この低収縮剤の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して好ましくは3〜30質量部である。低収縮剤は、スチレン等の単量体に溶解した溶液として配合することもできる。
前記充填剤(フィラー)は、成形材料の流動性改善、硬化物の剛性の向上、収縮の低減、透明性の向上、表面光沢性及び平滑性の向上、軽量化等のための成分である。係る充填剤としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、クレー、シリカ、タルク、ガラスフリット、ガラスバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン等の無機充填剤や、合成繊維、天然繊維等の有機充填剤が挙げられる。充填剤としては、シランカップリング剤等により表面処理したものも使用することができる。この充填剤の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して好ましくは50〜300質量部である。
前記増粘剤は、成形材料の粘性を高め、強化材に含浸されやすくするための成分である。係る増粘剤としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物、重合体粉末等が挙げられる。この増粘剤の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して好ましくは0.5〜5質量部である。前記離型剤は、成形品を金型から離型しやすくするための成分である。係る離型剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、アルキル燐酸エステル等の内部離型剤が挙げられる。離型剤の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して好ましくは1〜8質量部である。
前記重合禁止剤は、成形材料を重合させる前の段階で重合を抑制するための成分である。係る重合禁止剤としては、p−ベンゾキノン、ハイドロキノン、トルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、1,4−ナフトキノン、トリメチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジン類、4−ヒドロキシー2,2,6,6−テトラピペリジン−1−オキシル等のN−オキシル化合物類、イオン性無機金属、亜燐酸エステル等が挙げられる。その配合量は、成形温度や所望する型内流動時間(成形材料を加熱硬化させる際、金型内に配置した未硬化の成形材料がゲル化せずに金型内を流動できる時間)と成形時間、重合禁止剤の種類や成形品の着色度等によって異なるが、熱硬化性樹脂に対して通常100〜2000ppmである。
前記強化材は、成形材料より得られる成形品について引張強度、曲げ強度、衝撃強度、耐圧強度等の機械的強度を向上させ、クラック等の発生を抑制するための成分である。係る強化材としては、例えばガラス繊維、ホウ素繊維等の無機繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維等の有機繊維が挙げられる。その強化材の形態としては、長さ1〜30mmのチョップドストランド、チョップドストランドマット、ロービングクロス、グラスクロス、フィラメントマット、コンティニュアスマット及び不織布等が挙げられ、これらの群の一種又は二種以上が選択して使用される。強化材の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して通常10〜70質量部である。前記着色剤としては、チタンホワイト、カーボンブラック等の無機顔料や有機染料が挙げられる。その配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して好ましくは1〜10質量部である。
前記柄材及び加飾基材は、成形材料に配合して成形することにより、得られる成形品に模様、絵柄、及び大理石の質感を付加させて意匠性を向上させるための成分である。柄材としては、天然石、人造石、その他の無機物、金属、着色した熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の完全硬化物或いは半ゲル状の硬化物等の粉砕物、柄を印刷或いは着色したプラスチックフィルム等の砕片等が挙げられる。その配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して好ましくは1〜100質量部である。また加飾基材としては、印刷や着色等により加飾された、紙、織布、不織布、ガラスマット、ガラスクロス等の繊維集合体や、多孔質合成樹脂シート、熱可塑性樹脂シート等が挙げられる。加飾基材はSMCの内部に配置しても良いし、SMCのフィルムの替わりに配置しても良い。また、成形品の表面に位置するように金型へ載置し、その上に別途調製したSMCを載置して同時に加圧成形しても良い。
前記排水性向上剤は、成形材料より得られる成形品を浴槽の床パネルや洗面台の化粧板として使用する場合に排水や乾燥に要する時間を短縮するための排水性を高める成分である。係る排水性向上剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン等のピロリドン類、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤等の界面活性剤類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸エステル等の親水性高分子化合物類、フッ素又は非フッ素系シリケート化合物類、カルボン酸基及びフロロアルキル基の少なくとも一種を含む重合物等が挙げられる。その配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して好ましくは0.5〜50質量部である。
そして、熱硬化性樹脂に硬化剤として前記t−アルキルパーオキシアルキレートを混合して成形材料が得られる。この成形材料に、さらに前述の低収縮剤、充填剤、増粘剤、離型剤及び重合禁止剤、必要に応じて着色剤等を混合することによりコンパウンドが得られる。それを手作業又はSMC製造装置等により強化材に含浸させた後、フィルムに挟みシート状に成形することによりSMCを製造することができる。このSMCは通常、室温から40℃程度の温度範囲で数時間から2日間程度かけて熟成することによって所望の粘度まで増粘される。また、熱硬化性樹脂に硬化剤として前記t−アルキルパーオキシアルキレートを混合し、さらにニーダー等の混練機を用いて、前述の低収縮剤、充填剤、増粘剤、離型剤、重合禁止剤、着色剤及び強化材を混合することによりBMCを製造することができる。
次に、前記SMC、BMC等の成形材料の硬化方法は、成形材料を100〜180℃の硬化温度で加熱硬化させることによって製造することができる。硬化温度が100℃未満の場合には、成形材料の硬化速度が遅く、硬化時間が長くなる傾向にある。一方、180℃を越える場合には、成形材料の型内流動性が悪化する傾向にある。具体的な硬化方法としては、100〜180℃に予熱した金型や電鋳型を用いる圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法、射出圧縮成形法等、公知の成形法が採用される。硬化時間は硬化温度や目的とする成形品の厚さ等によって異なるが、通常は1〜15分である。
さて、本実施形態の作用について説明すると、前記の一般式(1)で示されるt−アルキルパーオキシアルキレートを含有する硬化剤を熱硬化性樹脂の硬化剤として使用する場合、加熱によってt−アルキルパーオキシアルキレートが分解し、ラジカルを生成する。このとき、t−アルキルパーオキシアルキレートは従来のt−ブチルパーオキシアセテートに比べて熱分解温度が低く、またt−ブチルパーオキシアセテートやt−ブチルパーオキシベンゾエートとは異なるラジカルの化学構造に基づいてラジカル活性が高い。そのため、硬化剤に由来するラジカルに基づく不飽和単量体ラジカルの生成が容易で、その不飽和単量体ラジカルが生長し、不飽和単量体の重合が十分に進行すると共に、ラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化が促進される。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態の熱硬化性樹脂用硬化剤では、前記の一般式(1)で示されるt−アルキルパーオキシアルキレートを含有する。この硬化剤を熱硬化性樹脂の硬化剤として使用した場合、低い温度で分解が始まってラジカルを生成し、熱硬化性樹脂の硬化速度を速くすることができる。また、生成するラジカルはラジカル重合反応の効率が高く、未反応の不飽和単量体の残留を抑制することができる。従って、成形時において、加熱時間を短縮することができると共に、金型から硬化物を取り出す脱型可能時間を短くすることができ、生産性を向上させることができる。
・ 成形材料として、熱硬化性樹脂100質量部に一般式(1)で示されるt−アルキルパーオキシアルキレート0.1〜5質量部を配合することにより、熱硬化性樹脂の硬化に際して、上記の効果を十分に発揮させることができる。
・ また、成形材料として、さらに低収縮剤、充填剤、増粘剤、離型剤、重合禁止剤及び強化材を配合することにより、その成形材料は、SMC用やBMC用の成形材料として好適である。
・ ラジカル重合型熱硬化性樹脂が不飽和ポリエステル樹脂である成形材料は常温での保存安定性が高く、硬化特性値の変化も少なく、また加熱することによりスチレン等のVOCが少なく建築材料にも好適に使用できる成形品を短時間の成形で得ることができる。
・ 成形材料の硬化方法として、上記の成形材料を100〜180℃で硬化させることにより、硬化反応を容易に行うことができる。
・ よって、成形材料(SMC,BMC等)の硬化によって得られる硬化物を、浴槽、洗面台等の住宅設備用部材、自動車のリアスポイラー、水タンクパネル、電気部品、電子部品等として好適に使用することができる。
以下、参考例、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。なお、これらの例において%及び部はそれぞれ質量%及び質量部を表す。また、参考例、実施例及び比較例で使用した硬化剤の略記号を以下に示す。
TBPA(t−ブチルパーオキシアセテート、純度:50.1%、活性酸素量:6.14%)
TBPL(t−ブチルパーオキシラウレート、純度:99.1%、活性酸素量:5.83%)
TAPA(t−アミルパーオキシアセテート、純度:93.3%、活性酸素量:10.23%)
THPA(t−ヘキシルパーオキシアセテート、純度:90.3%、活性酸素量:9.03%)
THPP(t−ヘキシルパーオキシプロピオネート、純度:95.5%、活性酸素量:8.81%)
THPH(t−ヘキシルパーオキシヘキサノエート、純度:95.7%、活性酸素量:7.09%)
TMBPA(1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシアセテート、純度91.9%、活性酸素量:7.82%)
CPA(クミルパーオキシアセテート、純度:80.5%、活性酸素量:6.65%)
TBPB(t−ブチルパーオキシベンゾエート、純度:99.3%、活性酸素量:8.20%)
THPB(t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、純度:93.1%、活性酸素量:6.71%)
TBP355(t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、純度:98.8%、活性酸素量:6.87%)
THP355(t−ヘキシルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、純度:91.5%、活性酸素量:5.67%)
THPC(1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、純度:91.1%、活性酸素量:9.22%)
TBIC(t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、純度:98.9%、活性酸素量:8.99%)
また、成形材料の硬化特性、硬化物中の残存スチレン量及び硬化物の色彩の測定は次の方法により行った。
1)硬化特性
キュラストメーター(日合商事(株)製JSRキュラストメーターV型、振幅角度±1/4°)を用いて硬化試験を行い、硬化過程におけるトルク(N・m)の変化を測定した。そして、測定開始からトルクが発現するまでの時間(以下、Tと略記する)、最大トルク(以下、MHと略記する)の10%が得られるまでの時間(以下、T10と略記する)、及びMHの90%が得られるまでの時間(以下、T90と略記する)を測定した。なお、Tは型内流動可能時間の指標、T90−T10は硬化の立ち上がり時間の指標、T90は脱型可能時間の指標となる。
2)硬化特性の変化率
25℃の恒温槽に2及び4週間放置したシート状の成形材料の硬化特性を求め、下記式により特性値の変化率を求めた。
特性値の変化率=〔(初期値−測定値)/初期値〕×100(%)
そしてTの変化率をΔT、T90の変化率をΔT90として表した。なお、特性値の変化率がプラス値では硬化が速くなることを、マイナス値では硬化が遅くなることを意味する。
3)プレス成形
成形材料を下型145℃、上型130℃に予熱した縦150mm、横100mm及び高さ3mmの金型に配置後、5分間、10MPaの圧力でプレス成形することにより硬化物を製造した。
4)残存スチレン量
キュラストメーターで得られた硬化物又はプレス成形して得られた硬化物を粉砕機により粉砕し、約3gの試料を50ml(ミリリットル)の共栓付ガラス製三角フラスコに採取した。次いで、塩化メチレン20mlを抽出溶媒として25℃で24時間放置し、粉砕試料中に残存するスチレンを抽出した。その後、n−デカンを内部標準としてガスクロマトグラフィーにより硬化物中の残存スチレン量(%)を測定した。
5)硬化物の色彩
色彩計〔コニカミノルタホールディングス(株)製の色彩計CR−241〕により、プレス成形して得られた硬化物のb値を求めた。次いで、硬化物を耐煮沸試験装置を用いて95℃の温水に500時間浸漬した後のb値を同様に評価した。なお、b値は数値が高いほど黄の度合いが高く、数値が低いほど青の度合いが高いことを意味する。
参考例1、実施例2、参考例3及び参考例4)
500mlのポリエチレン容器に不飽和ポリエステル樹脂(ジャパンコンポジット(株)製、商品名:ポリホープ6370、スチレン含有量43.1%)100部、充填剤として炭酸カルシウム(日東粉化工業(株)製、商品名:NS#100)150部を入れた。次いで、硬化剤として本発明のt−アルキルパーオキシアルキレート(TAPA、THPA、TMBPA、THPP)をそれぞれ有機過酸化物純分で1部となる量を添加した。なお、キュラストメータによる特性評価においては、硬化収縮による金型からの型離れに起因する測定のばらつきを防止するために、炭酸カルシウムを150部配合した。次いで、攪拌機で混合することによりコンパウンドを得た。そのコンパウンドをキュラストメーターを用いて上型145℃、下型130℃で硬化させ、型締めから2.5分後に取り出した硬化物の残存スチレン量を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例5〜7)
硬化剤として本発明のt−ヘキシルパーオキシアセテート(THPA)を純分で0.5部と、公知の硬化剤としてパーオキシケタール(THPC)、パーオキシモノカーボネート(TBIC)又はパーオキシエステル(TBPB)を純分で0.5部となる量を添加した以外は実施例1〜4と同様に成形材料を調製し、硬化特性と得られた硬化物の残存スチレン量を測定した。それらの結果を表1に示す。
(比較例1〜8)
硬化剤として本発明以外の、Rが炭素数1のアルキル基又は炭素数9のフェニル基が結合したアルキル基であるt−アルキルパーオキシアセテート(TBPA、CPA)、R’が炭素数5の一級アルキル基であるt−ヘキシルパーオキシアルキレート(TBPH)、Rが炭素数1でかつR’が炭素数11の一級アルキル基であるt−アルキルパーオキシアルキレート、又はt−アルキルパーオキシエステル(TBPB、THPB、TBP355、THP355)を用いた以外は参考1と同様に成形材料を調製し、硬化特性と得られた硬化物の残存スチレン量を測定した。それらの結果を表1に示す。
Figure 0004888027
表1に示した結果から、参考例1、実施例2、参考例3及び参考例4のt−アルキルパーオキシアルキレート(TAPA、THPA、TMBPA及びTHPP)を硬化剤として使用した場合、比較例1及び2のt−アルキルパーオキシアセテート(TBPA、CPA)、比較例3のt−ヘキシルパーオキシアルキレート(THPH)及び比較例4のt−アルキルパーオキシアルキレートよりも硬化物の残存スチレン量が少なくなることが明らかになった。また、比較例5及び6のTBPBやTHPBで示されたt−アルキルパーオキシベンゾエートや、比較例7及び8のTBP355及びTHP355で示されたR’が分岐アルキル基であるt−アルキルパーオキシアルキレートでは、残存スチレン量の少ない硬化物を得ることができなかった。
また、実施例5〜7のt−アルキルパーオキシアセテート(THPA)に、パーオキシケタール(THPC)、パーオキシモノカーボネート(TBIC)又はパーオキシエステル(TBPB)を併用した場合でも、硬化物の残存スチレン量が少なくなることが明らかであった。
さらに、硬化の立ち上がり時間(T90−T10)と脱型可能時間(T90)に関して考察する。すなわち、硬化の立ち上がり時間については、従来のt−ブチルパーオキシアセテート(TBPA、比較例1)の場合には0.88分、t−ブチルパーオキシベンゾエート(TBPB、比較例5)の場合には1.55分であるのに対し、t−アルキルパーオキシアセテート(THPA、実施例2)の場合には0.45分であって、優れた硬化速度が示された。また、脱型可能時間については、TBPA(比較例1)の場合には1.40分、TBPB(比較例5)の場合には2.27分であるのに対し、THPA(実施例2)の場合には0.84分であって、十分に短縮される結果が得られた。
参考例8、実施例9、参考例10及び参考例11)
500mlのポリエチレン容器に、参考1と同じ不飽和ポリエステル樹脂100部、低収縮剤としてスチレン/酢酸ビニルブロック共重合体のスチレン溶液(日本油脂(株)製モディパーSV10B−30、スチレン含有量70%)20部、充填剤として炭酸カルシウム(日東粉化工業(株)製、商品名:NS#100)150部、離型剤としてステアリン酸亜鉛(日本油脂(株)製、商品名:ジンクステアレート)4部及び増粘剤として酸化マグネシウム(協和化学工業(株)製、商品名:キョウワマグ#100)1部を入れた。次いで、硬化剤として本発明のt−アルキルパーオキシアルキレート(TAPA、THPA、TMBPA及びTHPP)をそれぞれ有機過酸化物純分で1部となる量、及び重合禁止剤としてp−ベンゾキノン(PBQと略記する)をそれぞれ表2に示す量だけ添加し、攪拌機で混合することにより成形材料を得た。なお、SMC等の成形材料を金型内で圧縮成形する場合には、前記したように未硬化の成形材料がゲル化せずに金型内を流動できる型内流動時間を確保する必要がある。そこで、有機過酸化物を純分で1部となるよう添加した場合に型内流動時間の指標となるTが一定となるようにPBQの添加量を調整した。
得られた成形材料をPETフィルムで包み、シート状にして40℃の恒温槽内で24時間熟成することにより増粘させた後、成形材料の上型145℃、下型130℃における硬化特性をキュラストメーターにより評価した。その結果を表2に示す。
さらに、熟成後の成形材料の14日、28日及び56日後における硬化特性をキュラストメーターにより同様に測定し、硬化特性値の変化率を求めた。その結果を表3に示す。
また、増粘させる前の成形材料70部と強化材としてガラス繊維(日本板硝子(株)製マイクログラス、長さ6mmのチョップドストランド)30部を混合してPETフィルムで包み、シート状にして40℃の恒温槽内で24時間熟成することにより増粘させた後、下型145℃、上型130℃でプレス成形して得られた硬化物の残存スチレン量と、煮沸試験前後の色彩を測定した。その結果を表2及び4に示す。
(比較例9〜15)
硬化剤として本発明以外の、Rが炭素数1のアルキル基又は炭素数9のフェニル基が結合したアルキル基であるt−アルキルパーオキシアセテート(TBPA、CPA)、R’が炭素数5の一級アルキル基であるt−ヘキシルパーオキシアルキレート(THPH)、Rが炭素数1でかつR’が炭素数11の一級アルキル基であるt−アルキルパーオキシアルキレート(TBPL)、又はt−アルキルパーオキシエステル(TBPB、THPB、TBP355、THP355)を用いた以外は参考8と同様に成形材料を調製し、硬化特性、硬化特性の変化率及び得られた硬化物の残存スチレン量と煮沸試験前後の色彩を測定した。それらの結果を表2、3及び4に示す。
Figure 0004888027
Figure 0004888027
Figure 0004888027
表2に示した結果から、重合禁止剤としてPBQを配合して型内流動時間(指標:Tの値)をTBPBと同等の時間に確保した場合、次のことがいえる。すなわち、参考例8、実施例9、参考例10及び参考例11のt−アルキルパーオキシアルキレート(TAPA、THPA、TMBPA及びTHPP)を硬化剤として使用すると、比較例9及び10のt−アルキルパーオキシアセテート(TBPA、CPA)、比較例11のt−ヘキシルパーオキシアルキレート(THPH)や比較例12のt−アルキルパーオキシアルキレート(TBPL)よりも硬化物の残存スチレン量が少なくなることが分かった。さらに、硬化の立ち上がり時間(T90−T10)が短くなって成形サイクルを短縮できること、及び脱型可能時間(T90)が短いことが、参考例8、実施例9、参考例10及び参考例11と比較例9〜12の比較から明らかである。
特に、R’が炭素数2のt−アルキルパーオキシプロピオネートである参考例11のTHPPより、R’が炭素数1のt−アルキルパーオキシアセテートである参考例8、実施例9及び参考例10のTAPA、THPA、TMBPAは、硬化物中の残存スチレン量が少ない点で優れている。さらに、参考例8のTAPAは比較例14で示したTHPBと同等の脱型可能時間(T90)であるのに対し、実施例9のTHPA及び参考例10のTMBPAは硬化が速く、脱型可能時間を短くできるために生産性が向上する点で参考例8のTAPAより優れている。
一方、比較例9及び10のTBPBやTHPBで示されるt−アルキルパーオキシベンゾエートや、比較例11及び12のTBP355及びTHP355で示されるR’が分岐アルキル基であるt−アルキルパーオキシアルキレートでは硬化物中の残存スチレン量が多く、硬化の立ち上がり時間(T90−T10)が長く、さらに脱型可能時間(T90)も長い結果であった。
さらに、表3に示した結果から、参考例8、実施例9、参考例10及び参考例11のt−アルキルパーオキシアルキレート(TAPA、THPA、TMBPA及びTHPP)を硬化剤として使用した成形材料は、ΔT、ΔT90で示される硬化特性値の変化率が小さいことから、経時的な成形材料の硬化特性の変化が少なく、成形材料の保存安定性が高いことが明らかである。これに対し、比較例9のTBPA、比較例14のTHPBや比較例15のTBP355を硬化剤として使用した成形材料では、特にΔTが大きくなっていることから、成形材料の硬化が経時的に速くなり、成形材料の型内流動時間が確保できずに成形材料が型内で流動する間に硬化反応が進み、得られる成形品表面の平滑性等の品質が低下した。なお、比較例10のCPAを使用した成形材料は、25℃で2週間放置した後では硬化しなかったことから、成形材料の安定性が低い。
また、表4に示した結果から、参考例8、実施例9、参考例10及び参考例11のt−アルキルパーオキシアルキレート(TAPA、THPA、TMBPA及びTHPP)を使用して得られた硬化物は、500時間の煮沸試験後のb値が高くならないため、硬化物の黄変が少ない。これに対し、比較例9のTBPAや比較例13のTBPBでは煮沸試験後のb値が高くなっていることから硬化物が黄変する結果を招いて好ましくない。
なお、参考例10のTMBPAでは硬化が速く、型内流動時間(T)を確保するために重合禁止剤として配合するPBQの添加量が多くなり、これが原因となり硬化後の硬化物のb値が高い。これに対し、実施例9のTHPAでは型内流動時間を確保するために重合禁止剤として配合するPBQの添加量が少なく、硬化後の硬化物の重合禁止剤に由来する着色が少ない点で、参考例10のTMBPAより優れている。
参考例12、実施例13及び参考例14)
スチレンを含有する不飽和ポリエステル樹脂(ジャパンコンポジット(株)製、商品名:ポリホープ6370、スチレン含有量43.1%)87部、アルキル(メタ)アクリレートとしてメチルメタクリレート(MMA)10部、(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしてネオペンチルグリコールジメタクリレート(NPG)3部からなる、不飽和単量体としてスチレンとスチレン以外のアルキル(メタ)アクリレート(スチレン/MMA/NPG=37.5/10/3部)を含む不飽和ポリエステル樹脂100部を用いた以外は参考1と同様に成形材料を調製し、キュラストメーターを用いて上型145℃、下型130℃における硬化特性と、型締めから2.5分後に取り出した硬化物の残存不飽和単量体量を測定した。それらの結果を表5に示す。
Figure 0004888027
参考例15、実施例16及び参考例17)
スチレンを含有する不飽和ポリエステル樹脂(ジャパンコンポジット(株)製、商品名:ポリホープ6370、スチレン含有量43.1%)90部、水酸基末端(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとして2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)10部からなる、不飽和単量体としてスチレンとスチレン以外のアルキル(メタ)アクリレート(スチレン/HEMA=38.8/10部)を含む不飽和ポリエステル樹脂100部を用いた以外は参考1と同様に成形材料を調製した。得られた成形材料について、キュラストメーターを用いて上型145℃、下型130℃における硬化特性と、型締めから2.5分後に取り出した硬化物の残存不飽和単量体量を測定した。それらの結果を表6に示す。
Figure 0004888027
表5及び6に示した結果から、参考例12、実施例13、参考例14、参考例15、実施例16及び参考例17のt−アルキルパーオキシアルキレート(TAPA、THPA及びTMBPA)を硬化剤として使用すると、不飽和単量体としてスチレンと、スチレン以外のアルキル(メタ)アクリレートであるメチルメタクリレート、(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートであるネオペンチルグリコールジメタクリレート、又は水酸基末端(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートである2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含む不飽和ポリエステル樹脂を硬化させることができ、残存不飽和単量体の少ない硬化物を得ることができた。
参考例18、実施例19及び参考例20)
ビニルエステル樹脂(昭和高分子(株)製、商品名:リポキシR−802、スチレン含有量50.0%)100部を用いた以外は参考1と同様に成形材料を調製し、キュラストメーターを用いて上型130℃、下型120℃における硬化特性と、型締めから10分後に取り出した硬化物の残存不飽和単量体量を測定した。それらの結果を表7に示す。
Figure 0004888027
表7に示した結果から、参考例18、実施例19及び参考例20のt−アルキルパーオキシアルキレート(TAPA、THPA及びTMBPA)を硬化剤として使用すると、ビニルエステル樹脂を硬化させることができ、残存不飽和単量体の少ない硬化物を得ることができた。
参考例21、実施例22及び参考例23)
500mlのポリエチレン容器に、アクリルシラップ(ポリメタクリル酸メチル(三菱レーヨン(株)製、商品名:BR−52)20部及びメチルメタクリレート80部を含む)39.5部、架橋剤としてネオペンチルグリコールジメタクリレート0.5部、充填剤としてシリカ(トクヤマ(株)製、商品名:SE−15)59部、シランカップリング剤としてγ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン1部を入れ、(メタ)アクリル系樹脂の原料組成物100部を調製した。次いで、硬化剤として本発明のt−アルキルパーオキシアセテート(TAPA、THPA、TMBPA)をそれぞれ有機過酸化物純分で0.4部となる量を添加し、攪拌機で混合することによりコンパウンドを得た。そのコンパウンドをキュラストメーターを用いて上型120℃、下型120℃で硬化させ、型締めから10分後に取り出した硬化物の残存スチレン量を測定した。その結果を表8に示す。
Figure 0004888027
表8に示した結果から、参考例21、実施例22及び参考例23のt−アルキルパーオキシアルキレート(TAPA、THPA及びTMBPA)を硬化剤として使用すると、(メタ)アクリル樹脂を硬化させることができ、残存不飽和単量体の少ない硬化物を得ることができた。
なお、本実施形態は、次のように変更して実施することも可能である。
・ 硬化剤として、一般式(1)で表されるt−アルキルパーオキシアルキレートを複数組合せて使用することができる。
・ 一般式(1)で表されるt−アルキルパーオキシアルキレートを含有する硬化剤に加えて、その硬化を促進する硬化促進剤を用いることも可能である。
・ スチレン等の不飽和単量体の逸散量を減少させるために、不飽和単量体として高沸点の単量体を用いることができる。また、空気中の酸素による硬化阻害を防止するためにワックス類を配合することも可能である。
・ 硬化剤として、10時間半減期温度の低い有機過酸化物、例えばt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等のパーオキシエステル等を配合することも可能である。
さらに、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
・ 前記一般式(1)で示されるt−アルキルパーオキシアルキレートは、t−ヘキシルパーオキシアセテートであることを特徴とする請求項1に記載のラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤。このように構成した場合、ラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化が速く、脱型可能時間を短くできると共に、硬化物中の不飽和単量体を低減することができる。
・ 前記一般式(1)で示されるt−アルキルパーオキシアルキレートの含有量は、50質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤。このように構成した場合、t−アルキルパーオキシアルキレートの機能を十分に発揮させることができる。
・ さらに充填剤を配合したことを特徴とする請求項2に記載の成形材料。このように構成した場合、成形材料の粘度を高めることによる加圧成形時の巣やボイド等の外観不良の発生の抑制、硬化物の剛性の向上、収縮の低減などの効果を発揮することができる。
・ さらに前記一般式(1)で示されるt−アルキルパーオキシアルキレート以外の有機過酸化物を含有することを特徴とする請求項2に記載の成形材料。このように構成した場合、成形材料の硬化特性や硬化度を改良することができる。
・ 請求項5に記載の成形材料の硬化方法により硬化して得られることを特徴とする硬化物。この場合、硬化物中の不飽和単量体の残留物を少なくすることができる。

Claims (5)

  1. 下記の一般式(1)で示されるt−アルキルパーオキシアルキレートを含有することを特徴とするラジカル重合型熱硬化性樹脂用硬化剤。
    Figure 0004888027
    (但し、式中、Rは炭素数の直鎖のアルキル基、R’は炭素数1のアルキル基を表す)
  2. ラジカル重合型熱硬化性樹脂100質量部に請求項1に記載のt−アルキルパーオキシアルキレート0.1〜5質量部を配合したことを特徴とする成形材料。
  3. さらに低収縮剤、充填剤、増粘剤、離型剤、重合禁止剤及び強化材を配合したことを特徴とする請求項2に記載の成形材料。
  4. 前記ラジカル重合型熱硬化性樹脂が不飽和ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の成形材料。
  5. 請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の成形材料を100〜180℃で硬化させることを特徴とする成形材料の硬化方法。
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