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JP7316661B2 - 水硬性組成物用添加剤の製造方法 - Google Patents

水硬性組成物用添加剤の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水硬性組成物用添加剤の製造方法に関する。更に詳細には、エステル化工程において、ゲル化等による配管の閉塞と中間原料であるポリエーテルエステル単量体の性能低下を防ぐと共に、ポリエーテルエステル単量体の保管時の安定性が高く、かつ、低コストで、高性能な水硬性組成物用添加剤を製造する水硬性組成物用添加剤の製造方法に関する。
従来、水硬性組成物にスランプロスの少ない優れた流動性を付与でき、また、水硬性組成物を硬化させた硬化物の圧縮強度を十分に確保できる水硬性組成物用添加剤として、水溶性ビニル共重合体が知られている。
水溶性ビニル共重合体に水硬性組成物用添加剤として優れた性能を発揮させるためには、中間原料であるポリエーテルエステル単量体の品質を向上させる必要がある。
ポリエーテルエステル単量体の品質を向上させる手段として、原料の片末端置換ポリアルキレングリコールとして、残留遊離酸の酢酸換算濃度を精製処理により一定値以下となるようにしたものを使用し、溶剤の非存在下であって、p-ベンゾキノン及び/又はフェノチアジンを存在させた条件下で、片末端置換ポリアルキレングリコールと、不飽和カルボン酸とをエステル化反応させて高品質のポリエーテルエステル単量体を得て、その後、このポリエーテルエステル単量体とビニル単量体とをラジカル重合させて水溶性ビニル共重合体を製造することが提案されている(特許文献1参照)。
特開2002-265594号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、エステル化工程において、ゲル化によりゲルが発生し、配管の閉塞が生じ、また、ゲル化等によりポリエーテルエステル単量体の性能が低下し、ポリエーテルエステル単量体の保管時の安定性が低く、得られる水硬性組成物用添加剤の性能も低いという問題がある。
従って、本発明が解決しようとする課題は、エステル化工程において、ゲル化による配管の閉塞を防止し、また、ゲル化等によるポリエーテルエステル単量体の性能低下がなく、ポリエーテルエステル単量体の保管時の安定性が高く、かつ、低コストで、高性能な水硬性組成物用添加剤の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく研究した結果、不飽和カルボン酸と片末端封鎖ポリアルキレングリコールとのエステル化工程において、酸触媒、特定の重合禁止剤の存在下、溶媒の非存在下でエステル化する工程1と、工程1で得られたポリエーテルエステル単量体とビニル単量体をラジカル重合させる工程2を経る製造方法が好適であることを見出した。本発明によれば、以下の水硬性組成物用添加剤の製造方法が提供される。
[1] 下記の工程1及び下記の工程2を経る水硬性組成物用添加剤の製造方法。
工程1:不飽和カルボン酸と、下記の一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールとを、溶媒の非存在下であって、酸触媒、重合禁止剤A、重合禁止剤B及び重合禁止剤Cを存在させた条件下において、加熱及び減圧条件下で、エステル化反応させポリエーテルエステル単量体を得る工程
但し、前記重合禁止剤Aの添加割合が、前記片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し0.005~0.5質量%であり、
前記重合禁止剤Bの添加割合が、前記片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し0.001~0.5質量%であり、
前記重合禁止剤Cの添加割合が、前記片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し0.005~0.5質量%である。
Figure 0007316661000001
(一般式(1)中、Rは炭素数1~22のアルキル基又は炭素数6~30の芳香族基を表し、AOは炭素数2又は3のオキシアルキレン基を表し、nは1~300の整数を表す。)
重合禁止剤A:25℃の蒸気圧が0.01Pa以上のリン原子未含有の重合禁止剤
重合禁止剤B:25℃の蒸気圧が0.01Pa未満のリン原子未含有の重合禁止剤
重合禁止剤C:リン原子含有重合禁止剤
工程2:前記工程1で得られたポリエーテルエステル単量体と、当該ポリエーテルエステル単量体と共重合可能なビニル単量体と、を水溶媒中でラジカル共重合させて水硬性組成物用添加剤を得る工程
[2] 前記不飽和カルボン酸が、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1つである前記[1]に記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
[3] 前記重合禁止剤Aが、パラベンゾキノン、ナフトキノン及びキンヒドリンからなる群から選ばれる少なくとも1つを含むものである前記[1]又は[2]に記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
[4] 前記重合禁止剤Aが、パラベンゾキノンを含むものである前記[1]~[3]のいずれかに記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
[5] 前記重合禁止剤Bが、フェノチアジンを含むものである前記[1]~[4]のいずれかに記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
[6] 前記重合禁止剤Cが、亜リン酸および亜リン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つを含むものである前記[1]~[5]のいずれかに記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
[7] 前記重合禁止剤Aの添加割合が、前記片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し0.01~0.5質量%であり、
前記重合禁止剤Bの添加割合が、前記片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し0.005~0.5質量%であり、
前記重合禁止剤Cの添加割合が、前記片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し0.05~0.5質量%である前記[1]~[6]のいずれかに記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
[8] 前記片末端封鎖ポリアルキレングリコールが、前記一般式(1)中のAOが全オキシアルキレン基中の95モル%以上が炭素数2のオキシエチレン基である前記[1]~[7]のいずれかに記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
本発明の水硬性組成物用添加剤の製造方法によれば、エステル化工程において、ゲル化による配管の閉塞を防止し、また、ゲル化等によるポリエーテルエステル単量体の性能低下がなく、得られる水硬性組成物用添加剤の保管時の安定性が高く、かつ、低コストで、高性能な水硬性組成物用添加剤を製造することができるという効果がある。
以下、本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し適宜変更、改良等が加えられ得ることが理解されるべきである。なお、以下の実施例等において、別に記載しない限り、%は質量%を、また部は質量部を意味する。
本実施形態の水硬性組成物用添加剤の製造方法は、工程1及び工程2を経るものである。先ず、工程1について説明する。不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等が挙げられるが、特に、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも一つが好ましい。
工程1において、重合禁止剤Aの添加割合が、片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し0.005~0.5質量%であり、重合禁止剤Bの添加割合が、片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し0.001~0.5質量%であり、重合禁止剤Cの添加割合が、片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し0.005~0.5質量%である。
片末端封鎖ポリアルキレングリコールは、下記一般式(1)で示される。
Figure 0007316661000002
一般式(1)において、Rは炭素数1~22のアルキル基又は炭素数6~30の芳香族基である。このような炭素数1~22のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基、ドコサニル基等が挙げられる。また、このような炭素数6~30の芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、アントラセニル基、ピレニル基、ナフトピレニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、プロピルナフチル基、ブチルナフチル基、ペンチルナフチル基、ヘキシルナフチル基、ヘプチルナフチル基、オクチルナフチル基、ノニルナフチル基、デシルナフチル基、ウンデシルナフチル基、ドデシルナフチル基、トリデシルナフチル基、テトラデシルナフチル基、ペンタデシルナフチル基、ヘキサデシルナフチル基、ヘプタデシルナフチル基、オクタデシルナフチル基、(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニル基、クミル基、(モノ、ジまたはトリ)ベンジルフェニル基、ジフェニル基等が挙げられる。
AOは、炭素数2又は3のオキシアルキレン基である。このようなオキシアルキレン基として、オキシエチレン基、オキシプロピレン基等が挙げられる。2種以上のオキシアルキレン基の場合、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの付加形態であってもよい。nは1~300の整数である。なお、全オキシアルキレン基中の95モル%以上が炭素数2のオキシエチレン基であることが好ましい。
このような一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールとしては、例えば、メトキシポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、プロポキシポリエチレングリコール、プロポキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、ブトキシポリエチレングリコール、ブトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、ラウリルオキシポリエチレングリコール、ラウリルオキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、ベンジルオキシポリエチレングリコール、ベンジルオキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、フェノキシポリエチレングリコール、フェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、アルキルフェノキシポリエチレングリコール、アルキルフェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェノキシポリエチレングリコール、(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール等が挙げられる。
本実施形態では、一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールと、不飽和カルボン酸とを、溶媒の非存在下であって、酸触媒、重合禁止剤A、重合禁止剤B及び重合禁止剤Cを存在させた加熱及び減圧条件下で、酸触媒を使用して、生成水を留去させつつ、エステル化反応させ、ポリエーテルエステル単量体を得る。
重合禁止剤Aは、25℃の蒸気圧が0.01Pa以上である、リン原子未含有の(即ち、リン原子を含有しない)重合禁止剤である。このような重合禁止剤Aとしては、例えば、パラベンゾキノン(25℃の蒸気圧:13Pa)、ナフトキノン(25℃の蒸気圧:0.0225Pa)、キンヒドリン(25℃の蒸気圧が13Paであるパラベンゾキノンと25℃の蒸気圧が0.0893Paであるハイドロキノンとの1:1混合物)等が挙げられる。特に、パラベンゾキノンが好ましい。
重合禁止剤Bは、25℃の蒸気圧が0.01Pa未満である、リン原子未含有の(即ち、リン原子を含有しない)重合禁止剤である。このような重合禁止剤Bとしては、例えば、フェノチアジン(25℃の蒸気圧:0.000119Pa)等が挙げられる。
重合禁止剤Cは、リン原子含有重合禁止剤、即ち、リン原子を含有する重合禁止剤である。このような重合禁止剤Cとしては、例えば、亜リン酸、亜リン酸エステル等が挙げられる。亜リン酸エステルとしては、例えば、亜リン酸トリブチル、亜リン酸トリフェニル等が挙げられる。
反応系における重合禁止剤Aの存在量は、一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し、0.01~0.5質量%に相当する量であるのが好ましく、0.06~0.45質量%に相当する量であるのがより好ましい。反応系における重合禁止剤Aの存在量が一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し、0.01質量%に相当する量より少ないと、配管や気化した空隙内でのゲル化の防止効果が充分に発揮されない可能性がある。また、0.5質量%に相当する量より多いと、工程2において、得られるポリエーテルエステル単量体を中間原料として使用し、水硬性組成物用添加剤としてのビニル共重合体を製造する際、ラジカル共重合反応が円滑に進行しない可能性がある。
反応系における重合禁止剤Bの存在量は、一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し、0.005~0.5質量%に相当する量であるのが好ましく、0.005~0.10質量%に相当する量であるのがより好ましく、0.005~0.05質量%に相当する量であるのが最も好ましい。反応系における重合禁止剤Bの存在量が一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し、0.005質量%に相当する量より少ないと、液体部分のゲル化の防止効果が充分に発揮されない可能性がある。また、0.5質量%に相当する量より多いと、工程2において、得られるポリエーテルエステル単量体を中間原料として使用し、ビニル共重合体を製造する際、ラジカル共重合反応が円滑に進行しない可能性がある。
反応系における重合禁止剤Cの存在量は、一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し、0.005~0.5質量%に相当する量であるのが好ましく、0.05~0.3質量%に相当する量であるのがより好ましい。反応系における重合禁止剤Cの存在量が一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し、0.005質量%に相当する量より少ないと、液体部分のゲル化の防止効果が充分に発揮されない可能性がある。また、0.5質量%に相当する量より多いと、工程2において、得られるポリエーテルエステル単量体を中間原料として使用し、ビニル共重合体を製造する際、ラジカル共重合反応が円滑に進行しない可能性がある。
エステル化反応時における加熱条件としては、105~140℃とするのが好ましく、圧力条件としては、15~0.5kPaとするのが好ましい。このような加熱の条件は、上記温度範囲へ徐々に又は段階的に昇温させることが好ましい。また、圧力は、上記の圧力範囲内へ徐々に又は段階的に減らす(即ち減圧する)のがより好ましい。
エステル化反応では、触媒として酸触媒を使用する。このような酸触媒としては、例えば、硫酸、パラトルエンスルホン酸、燐酸、メタンスルホン酸等を単独又は混合して使用することができる。酸触媒の使用量は、一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対して、1~50モル%とすることが好ましい。
エステル化反応に際して、一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールと不飽和カルボン酸との原料比率(モル比率)は、一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコール/不飽和カルボン酸=1/1.5~1/8(モル比)とするのが好ましい。エステル化反応後に、過剰分の不飽和カルボン酸を留去してもよいし、不飽和カルボン酸を残したまま工程2に用いても良い。不飽和カルボン酸を残したまま工程2に用いる場合、過剰分の不飽和カルボン酸の量は、種々分析により定量し、工程2で所望の配合比で重合を行うことができる。その分析方法としては、各種クロマトグラフィーや、酸価を用いることができる。エステル化反応終了後のエステル化率について、公知の方法で分析することができる。例えば、各種クロマトグラフィーを用いた方法や水酸基価(JIS K 0070)を測定する方法により分析が可能である。
次に、工程2について説明する。工程1で得られたポリエーテルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル単量体とを、水溶媒中でラジカル共重合反応させる。ポリエーテルエステル単量体と共重合可能なビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、コハク酸モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、スチレン、アクリルアミド、(メタ)アリルスルホン酸及びこれらの塩等、共重合可能なビニル単量体であれば特に制限されるものではない。各ビニル単量体の塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩やマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、ジエタノールアミン塩やトリエタノールアミン塩等のアミン塩等が挙げられる。
ポリエーテルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル単量体と、のラジカル共重合の割合は、特に限定されないが、ポリエーテルエステル単量体と、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩とをラジカル共重合反応させる場合には、ポリエーテルエステル単量体を5~95質量%、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩を5~95質量%、その他の共重合可能な単量体を0~10質量%(但し、これらの合計は100質量%)とするのが好ましい。
ラジカル共重合反応は、例えば、特開平8-290948号公報に記載されているような反応を採用できる。例えば、工程1で得たポリエーテルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル単量体と、連鎖移動剤とを含む水溶液を調製し、窒素ガス雰囲気下で、ラジカル開始剤を加えて、反応温度50~90℃で4~8時間ラジカル共重合反応させることにより、ビニル共重合体を得ることができる。この場合、連鎖移動剤としては、2-メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸等の水溶性の連鎖移動剤の他、α-メチルスチレンダイマー、ドデカンチオール等の非水溶性の連鎖移動剤が挙げられる。また、ラジカル開始剤としては、過酸化水素、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩や2,2’-アゾビス(2-アミノジノプロパン)二塩酸塩等の水溶性ラジカル開始剤が挙げられる。ラジカル開始剤を効率的に作用させるため、還元剤を用いてもよい。還元剤としては、硫酸鉄(II)・七水和物やL-アスコルビン酸、亜硫酸塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸(塩)、ホスフィン酸塩などが挙げられる。
ラジカル共重合反応により得られるビニル共重合体は、その質量平均分子量(GPC法によるポリエチレングリコール換算の質量平均分子量、以下、同じ)を、3500~100000のものとするのが好ましく、5000~40000のものとするのがより好ましい。
上記のようにして得られるビニル共重合体は、セメント又はセメントの他に微粉末混和材料を結合材とする各種の水硬性セメント組成物、代表的には、モルタルやコンクリートに使用できる水硬性組成物用添加剤である。セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等の各種混合セメント等が挙げられる。また、微粉末混和材料としては、石灰石粉、炭酸カルシウム、シリカフューム、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ等が挙げられる。
本実施形態において、水硬性組成物用添加剤の使用量は、セメント又はセメントと微粉末混和材料とからなる結合材100質量部に対し固形分換算で、通常、0.01~2.5質量部、好ましくは0.05~1.5質量部とする。本実施形態において、水硬性組成物用添加剤は、通常、水硬性組成物用添加剤を調製する際に練混ぜ水と一緒に添加して使用する。
試験区分1(片末端封鎖ポリアルキレングリコール(PAG)の調製)
・片末端封鎖ポリアルキレングリコール(P-1)の調製
ジエチレングリコールモノメチルエーテル240.3g(2モル)をオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を十分に窒素で置換した。触媒として28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液3.6gを加えた後、撹拌しながら、反応温度を110~120℃に維持し、圧力0.4MPaにて、エチレンオキサイド1760g(40モル)を圧入して、開環付加反応を行った。開環付加反応後、同温度(上記反応温度)で1時間熟成した。さらに、85%リン酸0.72gを加え、110℃の加温下で1時間減圧脱水し、80℃に冷却した後、窒素雰囲気で加圧濾過し、濾液として片末端封鎖ポリアルキレングリコール(P-1)を得た。
・片末端ポリアルキレングリコール(P-4)の調製
市販のジスチレン化フェノール302.5gをオートクレーブに仕込み、触媒として水酸化カリウム1.3gを加え、その後、オートクレーブ中を十分に窒素で置換した。撹拌しながら、100℃で減圧下脱水1時間行った後、反応温度110~120℃に維持し、圧力0.4MPaでエチレンオキサイド968gを圧入して、開環付加反応を行った。開環付加反応終了後、同温度(上記反応温度)で1時間熟成し、さらに珪酸・酸化アルミニウム系吸着剤(協和化学工業社のキョーワード700SL)を1.0g加え、110℃で1時間減圧脱水し、80℃に冷却後、窒素雰囲気で加圧濾過した。濾液として片末端封鎖ポリアルキレングリコール(P-4-2)を得た。そして、片末端封鎖ポリアルキレングリコール(P-1)と片末端封鎖ポリアルキレングリコール(P-4-2)を質量比90/10で混合することにより、片末端ポリアルキレングリコール(P-4)を得た。
・片末端封鎖ポリアルキレングリコール(P-2)、(P-3)、(P-5)、(P-6)の調製
片末端封鎖ポリアルキレングリコール(P-1)と同様にして、片末端封鎖ポリアルキレングリコール(P-2)、(P-3)、(P-5)、(P-6)を調製した。調製した片末端封鎖ポリアルキレングリコール(PAG)について、表1にまとめて示した。
Figure 0007316661000003
表1におけるP-1~P-6について以下に説明する。
P-1:ポリオキシエチレン(n=22)モノメチルエーテル
P-2:ポリオキシエチレン(n=9)モノメチルエーテル
P-3:ポリオキシエチレン(n=45)モノメチルエーテル
P-4:ポリオキシエチレン(n=22)モノメチルエーテルとポリオキシエチレン(n=22)モノ(ジスチレン化フェニル)エーテルの混合物 質量比90/10
P-5:ポリオキシエチレン(n=68)モノメチルエーテル
P-6:ポリオキシエチレン(n=21)オキシプロピレン(n=1)モノメチルエーテル
試験区分2(ポリエーテルエステル単量体の調製)
・実施例1(ポリエーテルエステル単量体(MM-1)の調製)
1Lのガラス製の反応容器に、試験区分1で調製した片末端封鎖ポリアルキレングリコール(P-1)600.0g(0.6モル)、メタクリル酸155.0g(1.8モル)、パラベンゾキノン(25℃における蒸気圧13Pa)1.2g、フェノチアジン(25℃における蒸気圧0.000119Pa)0.06g、亜リン酸トリフェニル0.72g、メタンスルホン酸5.8g(0.06モル)を仕込み、撹拌しながら徐々に昇温すると共に減圧し、エステル化反応により生成する水を水/メタクリル酸共沸混合物として反応系外に留去しつつ、温度120℃、圧力1.5kPaの条件下で6時間エステル化反応を行った。反応終了後、メタクリル酸を留去し、この生成物を分析したところ、エステル化反応率98%のポリエーテルエステル単量体(MM-1)を得た。
・実施例2~11(ポリエーテルエステル単量体(MM-2)~(MM-11)の調製)
表2に示すように変更したこと以外は、実施例1(ポリエーテルエステル単量体(MM-1))と同様にして、実施例2~11(ポリエーテルエステル単量体(MM-2)~(MM-11))の調製を行った。
・比較例1(ポリエーテルエステル単量体(RM-1)の調製)
反応容器に、試験区分1で調製した片末端封鎖ポリアルキレングリコール(P-1)600.0g(0.6モル)、メタクリル酸155.0g(1.8モル)、パラベンゾキノン(25℃における蒸気圧13Pa)1.0g、濃硫酸5.7gを仕込み、撹拌しながら徐々に昇温すると共に減圧し、エステル化反応により生成する水を水/メタクリル酸共沸混合物として反応系外に留去しつつ、温度130℃、圧力1.0kPaの条件下で5時間エステル化反応を行った。反応終了後、メタクリル酸を留去し、この生成物を分析したところ、エステル化反応率97%のポリエーテルエステル単量体(RM-1)であった。
・比較例2(ポリエーテルエステル単量体(RM-2)の調製)
反応容器に、試験区分1で調製した片末端封鎖ポリアルキレングリコール(P-1)600.0g(0.6モル)、メタクリル酸155.0g(1.8モル)、亜リン酸トリフェニル0.72g、濃硫酸5.7gを仕込み、撹拌しながら昇温してエステル化反応を行おうとしたが、途中で多量の不溶ゲルが析出したので、エステル化反応を中断した。
・比較例3(ポリエーテルエステル単量体(RM-3)の調製)
反応容器に、試験区分1で調製した片末端封鎖ポリアルキレングリコール(P-1)600.0g(0.6モル)、メタクリル酸155.0g(1.8モル)、フェノチアジン(25℃における蒸気圧0.000119Pa)0.06g、濃硫酸5.7gを仕込み、撹拌しながら徐々に昇温すると共に減圧し、エステル化反応により生成する水を水/メタクリル酸共沸混合物として反応系外に留去しつつ、温度130℃、圧力2.0kPaの条件下で7時間エステル化反応を行った。反応終了後、メタクリル酸を留去し、この生成物を分析したところ、エステル化反応率98%のポリエーテルエステル単量体(RM-3)であった。
・比較例4~8(ポリエーテルエステル単量体(RM-4)~(RM-8)の調製)
片末端ポリアルキレングリコール種と不飽和カルボン酸の量、重合禁止剤の種類と量を表2に示すように変化させた以外は、比較例1(ポリエーテルエステル単量体(RM-1))と同様にして、比較例4~8のポリエーテルエステル単量体(RM-4)~(RM-8)の調製を行った。
調製した各ポリエーテルエステル単量体(MM-1)~(MM-11)及び(RM-1)~(RM-8)の内容を表2及び表3にまとめて示した。
Figure 0007316661000004
表2におけるQ-1等について以下に説明する。
Pに対する質量%:片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対する重合禁止剤の使用量(質量%)
酸触媒の割合(モル%):片末端封鎖ポリアルキレングリコールと不飽和カルボン酸との合計量に対する酸触媒の使用量(モル%)
Q-1:メタクリル酸
Q-2:アクリル酸
S-1:メタンスルホン酸
S-2:パラトルエンスルホン酸
S-3:パラトルエンスルホン酸と硫酸の混合物(モル比率で1:1)
S-4:硫酸
A-1:パラベンゾキノン(25℃における蒸気圧13Pa)
A-2:ナフトキノン(25℃における蒸気圧0.0225Pa)
A-3:キンヒドリン(25℃における蒸気圧13Paであるパラベンゾキノンと25℃における蒸気圧0.0893Paであるハイドロキノンの)1:1の混合物)
B-1:フェノチアジン(25℃における蒸気圧0.000119Pa)
C-1:亜リン酸トリフェニル
C-2:亜リン酸
C-3:亜リン酸トリブチル
Figure 0007316661000005
表3において、「ふるい残渣」は、エステル化反応直後のポリエーテルエステル単量体と、1Lポリプロピレン製容器にポリエーテルエステル単量体600gを入れ密封し60℃のインキュベーターで2週間保管したサンプルについて測定して評価した。測定は、JIS試験用ふるい(ステンレス製)公称目開き300μmを用いて行った。このふるいにポリプロピレン製の容器内のサンプルをすべて通して、上記ふるいに残った残存量を計測し、残渣率を算出した。
ふるい残渣の判定は、算出された残渣率に基づき、以下の基準で行った。
A:1%未満
B:1~3%未満
C:3%以上
試験区分3(水硬性組成物用添加剤としてのビニル共重合体の調製)
以下に示す共重合体の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて以下の測定条件で測定した。
<測定条件>
装置:Shodex GPC-101(昭和電工社製)
カラム:OHpak SB-G+SB-806M HQ+SB-806M HQ(昭和電工社製)
検出器:示差屈折計(RI)
溶離液:50mM硝酸ナトリウム水溶液
流量:0.7mL/分
カラム温度:40℃
試料濃度:試料濃度0.5重量%の溶離液溶液
標準物質:ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール
・実施例12(ビニル共重合体(PC-1)の調製)
1Lのガラス製反応容器にイオン交換水153.8gを加え、撹拌しながら雰囲気を窒素置換した。窒素雰囲気下に、反応系の温度を温水浴にて65℃に保ち、試験区分2で得たポリエーテルエステル単量体(MM-1)345.2g、メタクリル酸39.5g、3-メルカプトプロピオン酸3.4g及び水272.3gの溶液を2時間かけて滴下した。同時に、過硫酸ナトリウムの10%水溶液55.8gを3時間かけて滴下して重合を行った。その後、65℃のまま1時間重合反応を継続して重合を完結し、冷却後、pH6になるよう30%水酸化ナトリウム水溶液を加え、イオン交換水で希釈し、ビニル共重合体の濃度40%水溶液を得た。このビニル共重合体を上述の測定条件にて分析したところ、質量平均分子量23100のビニル共重合体(PC-1)であった。
・実施例13(ビニル共重合体(PC-2)の調製)
1Lのガラス製反応容器にイオン交換水153.8gを仕込み、撹拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換した。窒素雰囲気下に、反応系の温度を温水浴にて70℃に保ち、試験区分2で得たポリエーテルエステル単量体(MM-2)329.5g、アクリル酸36.6g、アクリル酸ヒドロキシエチル19.2g、3-メルカプトプロピオン酸3.8g及びイオン交換水273.1gの溶液を4時間かけて反応容器に滴下した。同時に過硫酸ナトリウムの10%水溶液55.8gを5時間かけて滴下して重合行い、同温度(70℃)で1時間熟成し、重合反応を完結させた。冷却後、pH5となるよう30%水酸化ナトリウム水溶液を加え、更にイオン交換水で希釈し、ビニル共重合体の濃度40%水溶液を得た。このビニル共重合体を分析したところ、質量平均分子量20500のビニル共重合体(PC-2)であった。
・実施例14(ビニル共重合体(PC-3)の調製)
反応容器に試験区分2で得たポリエーテルエステル単量体(MM-3)148.1g、メタクリル酸30.0g、アクリル酸メチル9.4g、3-メルカプトプロピオン酸4.1g及びイオン交換水181.0gを仕込み、撹拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換した。窒素雰囲気下に、反応系の温度を温水浴にて60℃に保ち、過硫酸ナトリウムの6.2%水溶液31.4gを滴下して重合を開始し、8時間重合反応を継続して重合を完結し、冷却後pH7となるよう30%水酸化ナトリウム水溶液を加え、更にイオン交換水で希釈し、ビニル共重合体の40%水溶液を得た。このビニル共重合体を分析したところ、質量平均分子量18600のビニル共重合体(PC-3)であった。
・実施例15(ビニル共重合体(PC-4)の調製)
反応容器に試験区分2で得たポリエーテルエステル単量体(MM-4)170.4g、メタクリル酸19.1g、アリルスルホン酸ナトリウム1.9g、チオグリセロール1.7g及びイオン交換水172.4gを仕込み、撹拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換した。窒素雰囲気下で反応系の温度を温水浴にて70℃に保ち、5%過酸化水素水31.4gを滴下して重合を開始し、5時間重合反応を継続して重合を完結し、冷却後、pH7となるよう30%水酸化ナトリウム水溶液を加え、さらにイオン交換水で希釈し、ビニル共重合体の40%水溶液を得た。このビニル共重合体を分析したところ、質量平均分子量26700のビニル共重合体(PC-4)であった。
・実施例16~22(ビニル共重合体(PC-5)~(PC-11)の調製)
表4に示すように変更したこと以外は実施例12(ビニル共重合体(PC-1)の調製)と同様にして、実施例16~22のビニル共重合体(PC-5)~(PC-11)の調製を行った。
・比較例9(ビニル共重合体(RPC-1)の調製)
ポリエーテルエステル単量体(MM-1)を試験区分2で得たポリエーテルエステル単量体(RM-1)に代えたこと以外は、実施例12(ビニル共重合体(PC-1)の調製)と同様にして、比較例9のビニル共重合体(RPC-1)の調製を行った。
・比較例10~15(ビニル共重合体(RPC-2)~(RPC-7)の調製)
表4に示すように変更したこと以外は比較例9(ビニル共重合体(RPC-1)の調製)と同様にして、比較例11~15のビニル共重合体(RPC-3)~(RPC-7)の調製を行った。得られた各ビニル共重合体(PC-1)~(PC-11)及びビニル共重合体(RPC-1)~(RPC-7)の内容を表4にまとめて示した。
Figure 0007316661000006
表4中のHEA、MA、SAS、BAについて以下に説明する。
HEA:アクリル酸ヒドロキシエチル
MA:アクリル酸メチル
SAS:アリルスルホン酸ナトリウム
BA:アクリル酸ブチル
試験区分4(水硬性組成物としてのコンクリート組成物の調製)
・コンクリート組成物の調製
表5に記載の調合条件で、各試験例のコンクリート組成物を次のように調製した。50Lのパン型強制練りミキサーに普通ポルトランドセメント(比重=3.16)、細骨材(大井川水系砂、比重=2.58)及び粗骨材(岡崎産砕石、比重=2.66)を順次投入して15秒間空練りした。次いで、試験区分3で調製した水硬性組成物用添加剤としてのビニル共重合体を練り混ぜ水とともに添加し、120秒間練り混ぜた。この際、消泡剤(竹本油脂製:商品名AFK-2)をセメントに対し0.0005%と、配合1においては、目標空気量が4.0~5.0%となるよう空気連行剤(竹本油脂製:商品名AE-300)をセメントに対し0.0005~0.002%添加し、配合2においては、空気連行剤を添加することなく練り混ぜた。
Figure 0007316661000007
・コンクリート組成物の評価
調製した各試験例のコンクリートについて、次の評価を行った。結果を表6にまとめて示した。
スランプ:
練り混ぜ直後(即ち、練り混ぜ後0分)、練り混ぜ後30分静置させた後に、それぞれ、JIS-A 1101に準拠して測定した。
スランプフロー:
練り混ぜ直後(即ち、練り混ぜ後0分)、練り混ぜ後30分静置させた後に、それぞれ、JIS-A 1150に準拠して測定した。
空気量:
練り混ぜ直後(即ち、練り混ぜ後0分)、練り混ぜ後30分静置させた後に、それぞれ、JIS-A 1128に準拠して測定した。
圧縮強度:
JIS-A 1108に準拠し、温度20℃、湿度80%の恒温室で、直径100mm×高さ200mmの鋼製の型枠にコンクリート組成物を充填し、硬化させ、材齢1日で脱型した。その後、水温20℃の養生槽にて材齢28日となるまで水中養生した。養生後、材齢28日の試験体について圧縮強度を測定した。
Figure 0007316661000008
なお、試験例1~5、7~11及び比較試験例1~6では、「スランプ」を評価し、試験例6及び比較試験例7では、「スランプフロー」を評価した。
(結果)
表3に示すように、重合禁止剤A、重合禁止剤B及び重合禁止剤Cの存在下でエステル化反応を行う実施例1~11は、重合禁止剤A、重合禁止剤B及び重合禁止剤Cの全てを使用しない比較例1~6及び比較例8に比べて残渣率が小さく、ゲル化を防止できた。また、表6に示すように、工程1及び工程2を経る試験例1~11は、工程1において重合禁止剤A、重合禁止剤B及び重合禁止剤Cの全てを使用しない比較試験例1~7に比べて、スランプ(またはスランプフロー)、及び空気量を所定範囲内にすると共に、優れた圧縮強度を得ることができた。なお、比較例7については、「ふるい残渣」の評価について良いものであったが、重合禁止剤の量が過剰であるので、工程2での重合反応が不十分となる。そのため、水硬性組成物用添加剤(水硬性組成物用分散剤)用の単量体として用い、水硬性組成物用添加剤(水硬性組成物用分散剤)を製造すると、所望の重合体が得られず、スランプが小さくなった(比較試験例6参照)。ここで、比較例14と実施例12を比較すると、これらは同様の重合を行っているが、比較例14では、実施例12に比べて、得られる重合体の重量平均分子量が小さくなる。このように水硬性組成物用添加剤(水硬性組成物用分散剤)としての機能が低下する(高性能な水硬性組成物用添加剤が得られない)不具合があった。また、実施例10では、重合禁止剤Cの添加割合が片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し0.05質量%未満であり、実施例11では、重合禁止剤Aの添加割合が片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し0.01質量%未満で重合禁止剤Bの添加割合が片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し0.005質量%であるので、これらの実施例10、11では、他の実施例と比べると、ゲル化の防止効果が充分に発揮されずに劣っている。
本発明の水硬性組成物用添加剤の製造方法は、高性能な水硬性組成物用添加剤を製造することができる。


Claims (8)

  1. 下記の工程1及び下記の工程2を経る水硬性組成物用添加剤の製造方法。
    工程1:不飽和カルボン酸と、下記の一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールとを、溶媒の非存在下であって、酸触媒、重合禁止剤A、重合禁止剤B及び重合禁止剤Cを存在させた条件下において、加熱及び減圧条件下で、エステル化反応させポリエーテルエステル単量体を得る工程
    但し、前記重合禁止剤Aの添加割合が、前記片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し0.005~0.5質量%であり、
    前記重合禁止剤Bの添加割合が、前記片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し0.001~0.5質量%であり、
    前記重合禁止剤Cの添加割合が、前記片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し0.005~0.5質量%である。
    Figure 0007316661000009
    (一般式(1)中、Rは炭素数1~22のアルキル基又は炭素数6~30の芳香族基を表し、AOは炭素数2又は3のオキシアルキレン基を表し、nは1~300の整数を表す。)
    重合禁止剤A:25℃の蒸気圧が0.01Pa以上のリン原子未含有の重合禁止剤
    重合禁止剤B:25℃の蒸気圧が0.01Pa未満のリン原子未含有の重合禁止剤
    重合禁止剤C:リン原子含有重合禁止剤
    工程2:前記工程1で得られたポリエーテルエステル単量体と、当該ポリエーテルエステル単量体と共重合可能なビニル単量体と、を水溶媒中でラジカル共重合させて水硬性組成物用添加剤を得る工程
  2. 前記不飽和カルボン酸が、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1に記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
  3. 前記重合禁止剤Aが、パラベンゾキノン、ナフトキノン及びキンヒドリンからなる群から選ばれる少なくとも1つを含むものである請求項1又は2に記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
  4. 前記重合禁止剤Aが、パラベンゾキノンを含むものである請求項1~3のいずれか一項に記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
  5. 前記重合禁止剤Bが、フェノチアジンを含むものである請求項1~4のいずれか一項に記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
  6. 前記重合禁止剤Cが、亜リン酸および亜リン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つを含むものである請求項1~5のいずれか一項に記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
  7. 前記重合禁止剤Aの添加割合が、前記片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し0.01~0.5質量%であり、
    前記重合禁止剤Bの添加割合が、前記片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し0.005~0.5質量%であり、
    前記重合禁止剤Cの添加割合が、前記片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対し0.05~0.5質量%である請求項1~6のいずれか一項に記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
  8. 前記片末端封鎖ポリアルキレングリコールが、前記一般式(1)中のAOが全オキシアルキレン基中の95モル%以上が炭素数2のオキシエチレン基である請求項1~7のいずれか一項に記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
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