JP4864345B2 - 表面サイズ剤、及び当該サイズ剤を塗工した紙 - Google Patents
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Description
サイズ効果を向上する目的で、(a)スチレン類90〜60モル%と、(b)3級アミノ基又は4級アミノ基含有モノマー0〜30モル%と、(c)その他のビニルモノマー((メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸など)0〜10モル%とを有機溶剤中で重合反応させたカチオン性疎水性ポリマーと、カチオン化澱粉とを混合した表面サイズ剤が開示されている(請求項1〜6、段落6〜7参照)。
良好なサイズ性と離解性を成紙に付与することを目的として、(1)スチレン類50〜98.5モル%、(2)ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリル酸エステル又はその塩0.1〜9.9モル%、(3)上記(2)の4級化物0.1〜10モル%、(4)(メタ)アクリル酸アルキルエステル0〜48.5モル%であり、且つ、(2)と(3)の合計量が1.5〜10モル%である構成モノマーからなり、溶液重合又は塊状重合により得られた共重合体を水に添加したカチオン性高分子エマルションであって、内添サイズ剤又は表面サイズ剤に使用できるものが開示されている(特許請求の範囲、第2頁〜第3頁参照)。
重合時に粕の発生を少なくし、サイズ性能及びインクジェット適性を向上し、発泡性を低下することなどを目的として、疎水性モノマーと3級アミノ基を有するモノマーの共重合体をオキシド類で4級化したカチオン性共重合体(A)を含有するカチオン性表面サイズ剤、或は、カチオン性共重合体(A)の存在下で、スチレン類や(メタ)アクリル酸エステルなどの疎水性モノマー(B)を重合(特に乳化重合:段落25)して得られる共重合体を含有するカチオン性表面サイズ剤が開示されている(請求項1〜6参照)。
重合時に粕の発生を少なくし、サイズ性能及びインクジェット適性を向上し、発泡性を低下することなどを目的として、疎水性モノマーと3級アミノ基を有するモノマーとの共重合体を4級化したカチオン性共重合体(A−1)とノニオン系界面活性剤(A−2)との混合物の存在下で、スチレン類や(メタ)アクリル酸エステルなどの疎水性モノマー(B)を重合(特に乳化重合:段落29)して得られる共重合体を含有するカチオン性表面サイズ剤が開示されている(請求項1〜3参照)。
サイズ効果の向上を目的として、スチレン類(a)とジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド(b)との共重合体(A)を4級化したカチオン性共重合体(B)を乳化分散剤として、スチレン類や(メタ)アクリル酸エステルなどの疎水性モノマー(C)を乳化重合して得られる表面サイズ剤が開示されている。
上記特許文献5において、前段のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド(b)に替えて、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル(b)を使用し、後段の疎水性モノマー(C)としてスチレン類と(メタ)アクリル酸エステルのモノマー混合物を使用したものである。
炭酸カルシウムを填料とする電子写真用転写紙に、スチレン類と、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及び/又はジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドを構成モノマーとする水溶性又は水分散性共重合体からなるサイズ剤を使用することが開示されている(特許請求の範囲参照)。この場合、スチレン類の使用割合は40〜95モル%である(第3頁右上欄参照)。
防錆性及びサイズ性を改善する目的で、スチレン類95〜50モル%と、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド5〜50モル%とを含有する共重合体を4級化した表面サイズ剤が開示されている(特許請求の範囲参照)。
(a)ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート8〜20重量%、(b)スチレン45〜80重量%、(c)アクリロニトリル8〜35重量%を構成成分とし(好ましくは、成分(a)8〜20重量%、成分(b)55〜75重量%、成分(c)10〜30重量%)、ジメチルアミノ基の少なくとも10%が4級化されたターポリマーを水溶液形態にしたカチオン性表面サイズ剤が開示されている(特許請求の範囲第1項〜第2項参照)。
また、従来の表面サイズ剤を構成する共重合体は、スチレン系モノマーとカチオン性モノマーを主体とした溶液重合で製造されるが、円滑な共重合性と良好なサイズ性を実現するには、多量の有機溶剤中で溶液重合する必要があるため、水溶化後に多量の有機溶剤を留去しなければならず、その手間が煩雑で、生産性が低かった。
さらには、有機溶剤を用いずにスチレン系モノマーとカチオン性モノマーを水性媒体中で乳化重合し、又は前記溶液重合のカチオン性ポリマー水溶液中で疎水性モノマーを乳化重合したカチオン性表面サイズ剤においては、サイズ剤無内添紙、新聞用紙は勿論のこと、内添サイズ剤を用いた中性紙に塗工しても、溶液重合で得た従来型のカチオン性サイズ剤に対してサイズ効果が劣るという実情があった。
また、特許文献2はエマルション型であり、特許文献4〜6は乳化重合で製造しているため、溶液重合で得られたサイズ剤に比べて紙表面への塗工の分布量が不均一になり、この面からもサイズ効果は不足ぎみとなる。
さらに、特許文献1及び3では、共重合性を円滑に確保しようとすると多量の有機溶剤を必要とし、水溶化後に多量の有機溶剤を留去しなければならない。特許文献4〜6のようなカチオン性共重合体の存在下で疎水性モノマーを乳化重合する2段重合方式の表面サイズ剤では、製造工程が煩雑になる。特許文献7は内添サイズ剤であり(第2頁右上欄参照)、特許文献9はアクリロニトリルを必須成分とするため、充分なサイズ性、或は操作の容易性を担保できない。
その結果、3級アミノ基含有モノマーとスチレン類と(メタ)アクリル酸エステルとその他のモノマーとの成分及び含有率を特定化して、所定含有量の連鎖移動剤の存在下にて所定の溶解度を有する特定種の有機溶剤を用いて溶液重合するとともに、エステル炭素数を6〜18に限定した当該(メタ)アクリル酸エステルを特定化することにより、得られる共重合体の疎水性のレベルを低下させずに共重合性を良好にできる(特に、溶剤量を低減しても反応性を良好に保持できる)こと、また、少ない溶剤量での反応が可能になることから、溶液重合後の溶剤の蒸留工程において、蒸留工程自体を省略化し、又は蒸留時間を短縮化できること、さらには、上記共重合体を4級化した方がサイズ効果の面では好ましいが、4級化処理なしでも効果に遜色がないことを見い出して、本発明を完成した。
(b)エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリルレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートよりなる群から選ばれた(メタ)アクリル酸のC6〜C18エステルと、
(c)スチレン類と、
(d)メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリルよりなる群から選ばれたその他の共重合性ビニルモノマーとを
重合して得られる共重合体を4級化し、或は、4級化しないカチオン性表面サイズ剤であって、
成分(a)が22〜33重量%、成分(b)が8〜68重量%、成分(c)が10〜59重量%、成分(d)が0〜30重量%であり、
これらの成分(a)〜(d)を、当該(a)〜(d)の全モノマーに対して1〜5重量%の使用量の連鎖移動剤の存在下に、沸点150℃以上で、且つ、水への溶解度が3g/水100g(25℃)以上である多価アルコール、多価アルコールのエーテル又はエステル誘導体、ベンジルアルコールよりなる群から選ばれた有機溶剤中で溶液重合することを特徴とするカチオン性表面サイズ剤である。
このため、従来の表面サイズ剤を紙に塗工すると、紙表面に共重合成分が完全に溶解することなく凝集分子となって局所的に点在し、不均一な分布にしかならないことから、内添サイズ剤を含まないか、ステキヒトサイズ度がごく低い水吸収性の高い紙では、表面サイズ剤の疎水性を紙表面で充分発揮することができず、実用的なサイズ性を付与するには多量の塗工が必要であった。
また、当該サイズ効果の面では、本発明の共重合体のアミノ基を4級化した方が好ましいが、共重合体を4級化せずに3級化状態のままでも、あまり遜色はない(後述の試験例参照)。
さらに、従来、中性紙に対して提案されているアルキルケテンダイマー系表面サイズ剤では、塗工機の汚れの問題があったが、本発明の表面サイズ剤ではこのような汚れの問題も解消できる。
このため、換気設備が不充分な場所で表面サイズ剤を使用した場合、低沸点の有機溶剤ではその少量が残留しても、溶剤の揮発により臭気が発生して作業環境が悪化するが、本発明では、高沸点の有機溶剤を使用するため、換気が不充分な場所で表面サイズ剤を使用しても、溶剤の揮発の抑制により臭気を低減して、作業環境を良好に保全できる。
また、有機溶剤の水への溶解度(25℃)が特定以上であるため、共重合体を水溶化した場合の有機溶剤の相溶性を適度に保持して、溶剤が水から分離して濁りを生じることを防止できる。
上記ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートは、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどが代表例であり、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドは、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが代表例であり、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドが好ましい。
一方、新規化学物質の安全性試験を義務付けた法律として、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号:以下、化審法と略す)があるが、上記3級アミノ基含有モノマーのうち、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートは安価なうえ、この化審法に登録された化合物であって新たな試験も不要であるが、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドはこの化審法の登録の範囲外であり、当該(メタ)アクリルアミドを用いた表面サイズ剤の製品化には、安全性の確認試験が必要になるため、多額の試験費用によってコストの増大を招く恐れがある。このため、当該3級アミノ基含有モノマーには、コスト面からジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドよりジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
成分(b)の好ましい例としては、エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレートが挙げられる。
上記その他のモノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレートのC1〜C5の短鎖アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの水酸基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリルから選ばれる。
従って、例えば、成分(a)、或はさらに成分(c)を含み、(メタ)アクリル酸エステルとして、C6〜C18の長鎖アルキルエステルとC5以下の短鎖アルキルエステルを併用した共重合体は、前者が成分(b)であり、後者が成分(d)であるため、本発明の共重合体に含まれるが、(メタ)アクリル酸エステルとしてC5以下の短鎖アルキル(メタ)アクリレートのみを使用し、C6〜C18の長鎖アルキルエステルを使用しない共重合体は、本発明の共重合体からは外れる。尚、(メタ)アクリル酸エステルにおいては、エステルの炭素数が増すほどサイズ剤の基本物性である撥水性への寄与が高まる。
(メタ)アクリル酸のC6〜C18エステル(b)の含有量は8〜68重量%である。適正比率より少ないと、疎水性が低下するとともに、溶液重合に際して溶解性が低下し、共重合性が悪くなる。適正比率を越えると、3級アミノ基含有モノマーの比率が低くなり過ぎる。
また、スチレン類(c)の含有量は10〜59重量%である。適正比率を越えると、溶液重合に際して共重合性が悪くなる。共重合性が低下すると、溶液重合後に水溶化し、4級化して塗工液を調製する際に、表面サイズ剤の有効成分が凝集したミクロ粒子状となって紙表面に点在し、不均一な被覆しかできないため、サイズ効果が低減してしまう。
但し、スチレン類(c)は、(メタ)アクリル酸エステルより疎水性に優れる。
さらに、その他のモノマー(d)の含有量は0〜30重量%である。
上記有機溶剤には、表面サイズ剤を塗工する際の臭気を抑制する見地から、150℃以上の沸点で水への適度な溶解度(適度の親水性)を有するものであって、多価アルコール、多価アルコールのエーテル又はエステル誘導体、或はベンジルアルコールから選択される。
この多価アルコール及びそのエーテル又はエステル誘導体の具体例を挙げると、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、グリセリンアセテート類、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールアセテート類、プロピレングリコールアセテート類、ジエチレングリコールアセテート類、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテートなどがあり、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、ベンジルアルコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコールがより好ましい。
即ち、本発明では、上記沸点と溶解度を特定化した有機溶剤を使用し、それ以外の溶剤、例えば、イソプロピルアルコール(IPAと略す)、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、3−メチル−2−ブタノール、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBKと略す)、ジイソプロピルケトン、エチルベンゼン、トルエンなどは本発明の有機溶剤から排除される。
本発明では、モノマー成分の種類とその含有量を特定化することで共重合性を良くして、必要とする溶剤量を低減するが、この溶剤量の減量化は環境面の改善にも寄与する。有機溶剤の全モノマーに対する使用量は30重量%以下が適量であり、好ましくは20重量%以下である。
上記油溶性連鎖移動剤としては、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、メルカプトプロピオン酸ドデシルエステルなどのメルカプタン類の他、クメン、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレンなどが挙げられる。
上記水溶性連鎖移動剤としては、メルカプトエタノール、チオグリコール酸及びその塩などが挙げられる。
モノマーに対する連鎖移動剤の使用量は1〜5重量%程度である。
また、溶液重合で使用する開始剤としては、過硫酸ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クメンヒドロペルオキシドなどが挙げられる。
このように、本発明では、有機溶剤中にて連鎖移動剤並びに開始剤の存在下で溶液重合を行うのであるが、当該溶液重合は公知の方式により行えば良く、特に制限されるものではない。
上記4級化剤はジメチル硫酸、メチルクロライド、アリルクロライド、ベンジルクロライド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、エチレンクロルヒドリンなどを単用又は併用できる。
本発明2に示すように、4級化剤の使用量は、共重合体を円滑にカチオン化する見地から3級アミノ基含有モノマー(a)に対して3〜95モル%が適量であり、好ましくは30〜90モル%である。
共重合体を4級化することにより、中性、アルカリ側を含めた広いpH領域で良好なサイズ効果を発揮することができる。
この4級化処理は、一般には、カチオン性共重合体を水溶化した後、溶剤を除去し、共重合体を4級化することにより行われるが、4級化した後に溶剤を除去しても差し支えない。
また、4級化処理は、溶液重合の円滑化の見地から、3級アミノ基含有モノマー(a)を含む構成モノマーを共重合した後に、4級化剤でカチオン処理することが基本であるが、3級アミノ基含有モノマー(a)を予め4級化し、得られた4級アンモニウム塩基含有モノマーを共重合することもできる。
この場合(4級モノマー)の重合条件は、3級モノマーを重合する場合の処理条件と同様である。
本発明の表面サイズは硫酸アルミニウムを定着剤とする酸性紙、炭酸カルシウムを填料とする中性紙を問わず広く適用できる。
原紙の具体例としては、新聞用紙、インクジェット用紙、感熱記録原紙、感圧記録原紙、上質紙、板紙、その他の紙類が挙げられるが、本発明の表面サイズ剤は内添サイズ剤との組み合わせを基本的に必要としない点に特徴があるため、原紙は特に、内添サイズ剤を含まない紙(酸性紙、中性紙を問わない)、ステキヒトサイズ度が2秒以下の中性紙が好ましい(本発明4参照)。但し、本発明の表面サイズ剤は内添サイズ剤を含有する紙に対する適用を排除するものではない。
本発明の表面サイズ剤を塗工する場合、サイズ剤の付着量は紙の種類によっても異なり、また、濃い塗工液を薄く塗ったり、低濃度の塗工液を厚く塗って、付着態様を変化させることもできる。さらに、片面塗工、両面塗工を問わない。従って、表面サイズ剤の付着量は一概に限定できないが、0.01〜0.2g/m2程度が一般的であり、好ましくは0.02〜0.1g/m2程度である。
また、塗工する際には、本発明の表面サイズ剤と共に、デンプン類、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの表面紙力剤を初め、防滑剤、離型剤、防錆剤、防腐剤、その他の添加剤を併用できることはいうまでもない。
尚、本発明は下記の実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
実施例1〜4は本発明で特定した有機溶剤を使用した例であり、参考例1〜3はモノマー組成や種類などは本発明の要件を満たすが、本発明で特定した以外の有機溶剤を使用した例である。
実施例1〜4及び参考例1〜3のうち、参考例1は3級アミノ基含有モノマー(a)が本発明の適正量の下限付近で、スチレン類(c)が適正量の上限付近の例、参考例2は3級アミノ基含有モノマー(a)が本発明の適正量の上限付近で、(メタ)アクリル酸エステル(b)が適正量の下限付近の例、参考例3は共重合後の4級化剤の使用量がごく少ない例である。実施例4は(メタ)アクリル酸エステル(b)が比較的多い例である。実施例1〜4は、沸点が150℃以上で水への溶解度も大きい有機溶剤を使用した例、実施例を除く参考例1〜3は低沸点又は水への溶解度が低い有機溶剤を使用した例である。特に、参考例2と実施例3はモノマー組成は共通で、有機溶剤の種類を変えた例である。実施例1〜4は溶剤量を少量化して蒸留工程を省略した例、その他の実施例は溶剤を留去した例である。実施例1〜4及び参考例1〜3は4級化した例である。
尚、図1に実施例1〜9及び比較例1〜8の各共重合体を得る際のモノマー組成、有機溶剤の種類などをまとめた。図中のDMは3級アミノ基含有モノマー(a)、C6〜C18は(メタ)アクリル酸エステル(b)、Stはスチレン類(c)、その他はその他のモノマー(d)、EHMAは2−エチルヘキシルメタクリレート、IBMAはイソブチルメタクリレート、nBAはn−ブチルアクリレート、MMAはメチルメタクリレート、CHMAはシクロヘキシルメタクリレート、DMAPAAはジメチルアミノプロピルアクリルアミドを意味する。
2−エチルヘキシルメタクリレート14部と、スチレン68部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート18部とに加え、さらに連鎖移動剤のt−ドデシルメルカプタン2部と、n−ブタノール42.7部とを4つ口フラスコに入れ、100℃まで加熱し、開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート2部を加えて、100℃で3時間重合した。
次いで、水336部と90%酢酸6.6部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してn−ブタノールを1時間で留去した。その後、85℃でエピクロルヒドリン9.5部を加えて4時間反応し、冷却し、水で希釈して、固形分20%、淡黄色透明液の表面サイズ剤を得た。
ベンジルメタクリレート8部と、スチレン59部と、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド33部とに加え、さらに連鎖移動剤のn−ドデシルメルカプタン2部と、メチルイソブチルケトン42.7部とを4つ口フラスコに入れ、120℃まで加熱し、開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート2部を加えて、120℃で3時間重合した。
次いで、水336部と90%酢酸6.6部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してメチルイソブチルケトンを1時間蒸留した。その後、85℃でエピクロルヒドリン7.8部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、固形分20%、淡黄色透明液の表面サイズ剤を得た。
2−エチルヘキシルメタクリレート20部と、メチルメタクリレート5部と、スチレン50部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート25部とに加え、さらに連鎖移動剤のt−ドデシルメルカプタン2部と、イソプロピルアルコール32.7部とを4つ口フラスコに入れ、90℃まで加熱し、開始剤としてアゾイソブチロニトリル4部を加えて、90℃で3時間重合した。
次いで、水335部と酢酸9.6部を加えて水溶化した後、加熱蒸留して、イソプロピルアルコールを0.5時間で留去した。その後、85℃でエピクロルヒドリン0.7部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、固形分20%、淡黄色透明液の表面サイズ剤を得た。
ラウリルメタクリレート20部と、n−ブチルアクリレート10部と、スチレン45部と、ジエチルアミノエチルアクリレート25部とに加え、さらに連鎖移動剤のn−ドデシルメルカプタン2部と、ベンジルアルコール14.0部と、90%酢酸9.6部とを4つ口フラスコに入れ、100℃まで加熱し、開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート2部を加えて、100℃で3時間重合した。
次いで、溶剤蒸留せずに、水289部を加えて水溶化した後、85℃でエビクロルヒドリン8.8部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、固形分20%、淡黄色透明液(残留溶剤量2.6%)の表面サイズ剤を得た。
ステアリルメタクリレート20部と、メチルメタクリレート15部と、スチレン40部と、ジエチルアミノエチルメタクリレート25部とに加え、さらに連鎖移動剤のn−ドデシルメルカプタン2部と、プロピレングリコールジアセテート13.9部と、90%酢酸8.1部とを4つ口フラスコに入れ、100℃まで加熱し、開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート2部を加えて、100℃で3時間重合した。
次いで、溶剤蒸留せずに、水289部を加えて水溶化した後、85℃でメチル硫酸10.2部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、固形分20%、淡黄色透明液(残留溶剤量2.6%)の表面サイズ剤を得た。
ベンジルメタクリレート8部と、スチレン59部と、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド33部とに加え、さらに連鎖移動剤のn−ドデシルメルカプタン2部と、1,3−ブチレングリコール20.0部とを4つ口フラスコに入れ、120℃まで加熱し、開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート2部を加え、120℃で3時間重合した。
次いで、溶剤蒸留せずに、水336部と90%酢酸13.3部を加えて水溶化した後、85℃でエピクロルヒドリン7.8部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、固形分20%、淡黄色透明液(溶剤残留量3.2%)の表面サイズ剤を得た。
2−エチルヘキシルメタクリレート68部と、スチレン10部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート22部とに加え、さらに連鎖移動剤のt−ドデシルメルカプタン2部とヘキシレングリコール20.0部とを4つ口フラスコに入れ、120℃まで加熱し、開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート2部を加え、120℃で3時間重合した。
次いで、溶剤蒸留せずに、水330部と90%酢酸6.6部を加えて水溶化した後、85℃でエピクロルヒドリン7.8部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、固形分20%、淡黄色微濁液(溶剤残留量3.1%)の表面サイズ剤を得た。
2−エチルヘキシルメタクリレート10部と、スチレン75部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート15部とに加え、さらに連鎖移動剤t−ドデシルメルカプタン2部と、トルエン70部とを4つ口フラスコに入れ、110℃まで加熱し、開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート2部を加え、還流下で3時間重合した。
次いで、水336部と酢酸6.0部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してトルエンを留去したところ、蒸留時間は2.5時間を要した。その後、85℃でエピクロルヒドリン8.0部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、固形分20%、微黄色透明液の表面サイズ剤を得た。
イソブチルメタクリレート20部と、スチレン40部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート40部とに加え、さらに連鎖移動剤のn−ドデシルメルカプタン2部と、イソプロピルアルコール60部とを4つ口フラスコに入れ、90℃まで加熱し、開始剤としてアゾイソブチロニトリル4部を加えて、90℃で3時間重合した。
次いで、水336部と酢酸15.0部を加えて水溶化した後、加熱蒸留しイソプロピルアルコールを留去したところ、蒸留時間は1.0時間を要した。その後、85℃でエピクロルヒドリン9.4部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、微黄色微濁液の表面サイズ剤を得た。
シクロヘキシルメタクリレート20部と、スチレン50部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート10部とに加え、さらに連鎖移動剤のt−ドデシルメルカプタン2部と、n−ブタノール60部とを4つ口フラスコに入れ、100℃まで加熱して、開始剤としてt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート2部を加え、100℃で3時間重合した。
次いで、水330部と酢酸3.6部を加えて水溶化した後、加熱蒸留しn−ブタノールを留去したところ、蒸留時間は3時間を要した。その後、85℃でエピクロルヒドリン5.3部を加えて3時間反応し、冷却し、水で希釈して、微黄色微濁液の表面サイズ剤を得た。
ベヘニルメタクリレート10部と、メチルメタクリレート20部と、スチレン45部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート25部とに加え、さらに連鎖移動剤のt−ドデシルメルカプタン2部と、イソプロピルアルコール60部とを4つ口フラスコに入れ、90℃まで加熱し、開始剤としてアゾイソブチロニトリル4部を加えて、90℃で3時間重合した。
次いで、水336部と酢酸9.6部を加えて水溶化した後、加熱蒸留し、イソプロピルアルコールを留去したところ、蒸留時間は1.0時間を要した。その後、85℃でエピクロルヒドリン8.9部を加え、3時間反応して、冷却し、水で希釈して、微黄色透明液の表面サイズ剤を得た。
n−ブチルアクリレート20部と、スチレン55部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート25部とに加え、さらに連鎖移動剤のt−ドデシルメルカプタン2部と、イソプロピルアルコール60部とを4つ口フラスコに入れ、90℃まで加熱し、開始剤としてアゾイソブチロニトリル4部を加え、90℃で3時間重合した。
次いで、水336部と酢酸9.6部を加えて水溶化した後、加熱蒸留し、イソプロピルアルコールを留去したところ、蒸留時間は1.0時間を要した。その後、85℃でエピクロルヒドリン8.9部を加え、3時間反応し、冷却し、水で希釈して、微黄色透明液の表面サイズ剤を得た。
シクロヘキシルメタクリレート20部と、n−ブチルアクリレート10部と、スチレン45部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート25部とに加え、さらに連鎖移動剤のt−ドデシルメルカプタン2部と、イオン交換水220部と、酢酸8.9部と、乳化剤としてオクタデシルアミン酢酸塩4部とを4つ口フラスコに入れ、55℃まで加熱し、開始剤として2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライドを加えた後、85℃まで加熱し、85℃で3時間乳化重合した。
次いで、水40部を加え、3時間反応し、冷却して、固形分20%、乳白色液の表面サイズ剤を得た。
前記実施例1を基本として、連鎖移動剤のt−ドデシルメルカプタンを使用しないで溶液重合したが、操作途中で増粘ゲル化して反応を継続できず、表面サイズ剤を得ることができなかった。
イソブチルメタクリレート20部と、スチレン40部と、ジメチルアミノエチルメタクリレート40部とに加え、さらに連鎖移動剤のn−ドデシルメルカプタン2部と、イソプロピルアルコール60部とを4つ口フラスコに入れ、90℃まで加熱し、開始剤としてアゾイソブチロニトリル4部を加え、90℃で3時間重合した。
次いで、水336部と酢酸15.0部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してイソプロピルアルコールを留去したところ、蒸留時間は1.0時間を要した。その後、冷却し、水で希釈して、微黄色微濁液の表面サイズ剤を得た。
《表面サイズ剤の臭気評価試験例》
即ち、表面サイズ剤の臭気(有機溶剤臭)を6段階臭気強度表示法に基づいて、下記の基準により評価した。
○:臭気がやっと感知できた。
△:臭気を容易に感知できた。
×:臭気が強かった。
イソプロパノール、n−ブタノールの低沸点溶剤を使用し、或は、親油性のトルエンを使用した比較例の評価は△〜×であった。同様に、イソプロパノール、n−ブタノールの低沸点溶剤、又は親油性のメチルイソブチルケトンを使用した参考例1〜3でも、評価は△であった。
これに対して、沸点が150℃以上で、適度の親水性を有する(水への溶解度が特定値以上の)有機溶剤を使用した実施例1〜4では、有機溶剤臭をほとんど感知せず、表面サイズ剤を塗工する際の作業環境に優れることが確認できた。尚、臭気評価が△であれば、作業環境に特段の支障はないものと思われる。
尚、上記比較例7では、溶液重合に際して共重合体の増粘・ゲル化によりサイズ剤が得られなかったため、下記の評価試験に供することができなかった。
実施例1〜4、比較例1〜8(比較例7を除く)並びに参考例1〜3の各表面サイズ剤を酸化澱粉(MS−3800:日本食品化工社製)糊化溶液に溶解して、下記の2種類の組成の塗工液A〜Bを各々調製した。
酸化澱粉 表面サイズ剤
塗工液A: 3.0重量% 0.2重量%
塗工液B: 3.0重量% 0.3重量%
一方、450mL(c.s.f)まで叩解したLBKPパルプスラリーに対パルプ5%の軽質炭酸カルシウム、同0.5%の硫酸バンド、同0.5%のカチオン化澱粉を添加して、内添サイズ剤を用いないで湿式抄造して、中性紙(坪量75g/m2)を得た。
上記無内添サイズ中性紙にバーコーターにて両面で吸液量40g/m2になるよう片面づつ塗工し、90℃の回転式ドラムドライヤーに90秒間通して乾燥塗工し、中性上質塗工紙を得た。
そして、各中性上質塗工紙について、JIS P8122の「紙のステキヒトサイズ度試験方法」に基づいて、サイズ度を測定した。
塗工液濃度0.2%の場合を検討する。
本発明の表面サイズ剤を塗工しないブランク例である比較例9では、内添サイズ剤なしの中性紙のサイズ度は0秒であり、スチレン類を疎水性モノマーの主体とする従来型の表面サイズ剤を塗工した比較例1では3秒であった。
これに対して、本発明の表面サイズ剤を塗工した実施例1〜4はすべて9〜12秒の範囲内にあり、サイズ効果が有効に改善されていることが認められる。
従って、共重合体のモノマー組成では、スチレン類を疎水性モノマーの主体にするとサイズ効果が低下し、スチレン類(c)と(メタ)アクリル酸エステル(b)を本発明の適正範囲内で組み合わせることにより、サイズ効果が向上することが確認できた。
これらの比較例と上記実施例の対比に鑑みると、共重合体を構成する成分(a)〜(d)の組成が適正範囲にないとサイズ効果の向上は望めず、サイズ度の改善には成分(a)〜(d)の組成の適正化が重要である点が裏付けられる。
また、連鎖移動剤を用いない比較例7では、増粘によりサイズ剤自体が得られないことから、溶液重合に際しては連鎖移動剤が欠かせないことも確認できた。
成分(a)〜(d)の比率を適正にしても、(メタ)アクリル酸エステルのエステル炭素数が6〜18の適正範囲にはなく、炭素数が18を越える長鎖エステル(ベヘニルメタクリレート)である比較例4、或は、炭素数が5以下の短鎖エステル(n−ブチルアクリレート)である比較例5では、共にサイズ度が劣った(3秒であった)ことから、(メタ)アクリル酸エステルでは炭素数6〜18のエステルが必要条件であることが確認できた。
また、溶剤の蒸留工程を省略した実施例1〜4にあっても、実用的なサイズ度を達成でき、特に、実施例1はサイズ性に優れるだけでなく、溶剤の除去工程を省略して生産性を高められる利点もある。
また、当然ながら、塗工液濃度が0.3%に増すと、各実施例1〜4のサイズ度は飛躍的に改善され、0.2%の場合に比して2倍越えの数値を示す例が多かった。
尚、比較例7が共重合体の増粘・ゲル化により評価試験に供せないことは、当該試験でも同様である。
実施例1〜4、比較例1〜8(比較例7を除く)並びに参考例1〜3の各表面サイズ剤を酸化澱粉(MS−3800:日本食品化工社製)糊化溶液に溶解して、下記の2種類の組成の塗工液C〜Dを各々調製した。
酸化澱粉 表面サイズ剤
塗工液C: 3.0重量% 0.2重量%
塗工液D: 3.0重量% 0.3重量%
一方、全パルプ成分の80重量%以上が古紙と機械パルプからなる紙料を用いて、内添サイズ剤を用いないで湿式抄造し、炭酸カルシウム含有の新聞用紙(原紙)を得た。
次いで、上記原紙にプレーンのバーコータにて両面吸液量14g/m2になるように片面づつ塗工し、80℃の回転式ドラムドライヤーに60秒間通して乾燥し、両面塗工の新聞紙を得た。
そして、各新聞塗工紙について、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.32−2(紙−吸水性試験方法−第2部:滴下法)に準じて、5μLの水にて吸水試験を行い、吸水に要した時間を測定した。
本新聞紙での試験においても、前記中性上質紙での試験と同様に、実施例1〜4は比較例1〜8、10に対して優れたサイズ性を示した。
即ち、表面サイズ剤を使用しないブランク例である比較例10に対して、実施例1〜4はサイズ性に優れるだけではなく、スチレンを疎水性モノマーの主体とした従来型の比較例、成分(a)〜(d)の含有量が適正範囲から外れる比較例、成分(b)に代えて長鎖エステル又は短鎖エステルを使用した比較例、或は、乳化重合した比較例などに対してもサイズ度の点で同様な優位性を示した。
また、塗工液の濃度を見ると、0.2%から0.3%に少し増すだけで、サイズ度は3倍越えの数値に増大することから、飛躍的なサイズ効果の向上が確認できた。
以上のように、本発明の表面サイズ剤は中性上質紙や新聞用紙に対して、内添サイズ剤と組み合わせることなく(即ち、内添サイズ剤なしの原紙に対しても)、単独で紙表面に塗工するだけで、優れたサイズ効果を発揮できることが明らかになった。
Claims (4)
- (a)ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及びジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドから選ばれた3級アミノ基含有モノマーと、
(b)エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリルレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートよりなる群から選ばれた(メタ)アクリル酸のC6〜C18エステルと、
(c)スチレン類と、
(d)メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリルよりなる群から選ばれたその他の共重合性ビニルモノマーとを
重合して得られる共重合体を4級化し、或は、4級化しないカチオン性表面サイズ剤であって、
成分(a)が22〜33重量%、成分(b)が8〜68重量%、成分(c)が10〜59重量%、成分(d)が0〜30重量%であり、
これらの成分(a)〜(d)を、当該(a)〜(d)の全モノマーに対して1〜5重量%の使用量の連鎖移動剤の存在下に、沸点150℃以上で、且つ、水への溶解度が3g/水100g(25℃)以上である多価アルコール、多価アルコールのエーテル又はエステル誘導体、ベンジルアルコールよりなる群から選ばれた有機溶剤中で溶液重合することを特徴とするカチオン性表面サイズ剤。 - 成分(a)に対して3〜95モル%の4級化剤で共重合体を4級アンモニウム塩化することを特徴とする請求項1に記載のカチオン性表面サイズ剤。
- 請求項1又は2に記載のカチオン性表面サイズ剤を原紙に塗工した紙。
- 原紙が、内添サイズ剤を含まない紙、或は、ステキヒトサイズ度が2秒以下の中性紙であることを特徴とする請求項3の塗工紙。
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