以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1〜図8はスロットマシンに具現化した本発明の第1の実施形態を例示する。スロットマシン1は図1及び図2に示すように、筐体2と、この筐体2の前側に配置された矩形状の前面パネル3とを備えている。筐体2は前側が開放する箱形に形成されており、その前側を開閉自在に閉鎖するように前面パネル3が装着されている。
筐体2内には図3に示すように、複数個の図柄表示リール4a〜4cが左右方向に配列された表示リールユニット5の他、遊技媒体であるメダルを貯留するメダルホッパー6と、メダルホッパー6内のメダルを払い出す払い出し手段7と、メダルホッパー6から溢流したメダルを受ける補助ケース8と、電源基板が格納された電源基板ケース9と、主制御基板10が格納された主制御基板ケース11とが配置されている。
表示リールユニット5は、筐体2の中間棚12上に着脱自在に装着されている。主制御基板ケース11は中間棚12の下側で筐体2の後壁等に着脱自在に装着されている。メダルホッパー6は払い出し手段7の上に結合され、また払い出し手段7が補助ケース8、電源基板ケース9と共に筐体2の底板13上に着脱自在に装着されている。
前面パネル3は左右一端側に配置された上下一対のヒンジ手段14を介して筐体2に開閉自在に装着されており、この前面パネル3の上部側には第1表示窓15と第2表示窓16とが上下に配置されている。第1表示窓15は、筐体2側の図柄表示リール4a〜4cに対応して矩形状に形成されており、遊技者はこの第1表示窓15を介して図柄表示リール4a〜4cを前側から視認可能となっている。
第2表示窓16は、前面パネル3の裏側に装着された液晶表示ユニット(図示省略)の表示画面17に対応して矩形状に形成されており、遊技者はこの第2表示窓16を介して表示画面17を前側から視認可能となっている。第2表示窓16の下側には、上部側に上操作パネル部18と前操作パネル部19とを有する前カバー20が前側に張り出して設けられている。
上操作パネル部18にはメダルを投入可能な投入口22の他、1ベットボタン23とマックスベットボタン24とキャンセルボタン25とが設けられている。1ベットボタン23とマックスベットボタン24は、投入口22へのメダルの投入に代えてクレジットからメダルをベットするためのものである。
前操作パネル部19には、図柄表示リール4a〜4cの回転を開始させるためのスタートレバー26と、回転中の図柄表示リール4a〜4cを夫々個別に停止させるためのストップボタン27a〜27cと、投入口22内に詰まったメダルを返却させるための返却ボタン28とが設けられている。
前面パネル3の下部側は前カバー20に比して大きく後方に後退しており、この前面パネル3の下部側には、払い出し手段7から払い出されたメダルや返却されたメダルを前側に排出するための排出口30と、排出口30から排出されたメダルを受ける受け皿31と、この受け皿31の一側に配置された灰皿32とが設けられている。なお、排出口30の左右両側には、スピーカ33が配置されている。
払い出し手段7は図4に示すように、メダルホッパー6の下側の払い出しケース35内で傾斜軸廻りに回転する回転円板36と、この回転円板36を駆動する駆動モータ(図示省略)とを備え、その回転円板36の回転により、払い出しケース35の前側の払い出し口37からメダルを前方へと払い出すように構成されている。
前面パネル3は合成樹脂材料により一体に成形され且つその骨格体を構成するパネル体38を備え、このパネル体38の前面側に装飾用の前カバー20と、この前カバー20を裏側から照明する照明ランプ39等の所要部材が装着されている。
パネル体38の裏側には、図4、図5に示すように、投入口22から投入されたメダルの正、不正を選別する選別手段41と、選別手段41を通過した正規のメダルをメダルホッパー6へと案内する案内シュート42と、選別手段41により排除された不正メダル、返却メダルを排出口30を経て受け皿31へと排出する返却通路43と、選別手段41を通過したメダルを返却通路43へと不正に回収する不正回収を阻止するための阻止手段44とが設けられている。
パネル体38には、図4、図5に示すように、上操作パネル部18の下側で前操作パネル部19の裏側に対応して前側にコ字状に突出する突出壁45が設けられ、この突出壁45の裏側に形成された装着凹部46内に取り付けボス47、取り付け枠48を介して選別手段41、案内シュート42が左右に配置されている。
突出壁45の下後端から下側に延びる縦壁49と、この縦壁49の下側にジグザグ状に形成され且つ全体として裏側に傾斜する屈曲壁50と、この屈曲壁50の後端から下方に延びる縦壁51と、この縦壁51の下端から後ろ下がりに傾斜する傾斜壁52と、この傾斜壁52の後端から下方前側に若干傾斜する縦壁53と、縦壁53の下端から後側に屈曲する底壁54とを一体に備えている。縦壁53には排出口30が形成され、またその前側に受け皿31が装着されている。
返却通路43は、図4、図5に示すようにパネル体38と、このパネル体38の後側に装着された横断面コ字状の通路形成体56とにより構成され、選別手段41の下側からパネル体38の左右方向の中央側へと傾斜する傾斜通路部57と、この傾斜通路部57の下端から排出口30側へと下方に延びる縦通路部58とを有する。傾斜通路部57の上端はメダルホッパー6よりも上にあり、選別手段41の下側と対向して上向きに開口する受け入れ口59となっている。なお、受け入れ口59は平面視横長矩形状になっている。
通路形成体56の後壁60は前面パネル3を閉じたときにメダルホッパー6、払い出し手段7に近接するように、そのメダルホッパー6、払い出し手段7の前面形状に沿って屈曲している。そして、返却通路43の途中の後壁60には払い出し手段7の払い出し口37に対応する入口61が設けられ、払い出し口37から払い出されたメダルを入口61から返却通路43を介して排出口30から受け皿31へと案内するようになっている。
取り付け枠48は図4〜図6に示すように板金材を平面視コ字状に折り曲げたものであって、左右方向の連結部63と、この連結部63の左右両端から後方へと屈曲する左右一対の取り付け部64とを一体に備え、その連結部63が受け入れ口59の上側で取り付けボス47等を介してパネル体38の裏面に固定されている。左右の取り付け部64は返却通路43の受け入れ口59側の左右の側壁65と上下方向に近接して略平行に配置されている。
選別手段41は投入口22に投入されたメダルの正、不正を選別して、不正メダルを受け皿31側に返却し、正規のメダルのみを案内シュート42を経てメダルホッパー6へと通過させるもので、取り付け枠48に裏側から着脱自在に装着されている。
この選別手段41は投入口22に投入されたメダルが上向きに開口する入口68から入り、内部の傾斜通路66を経て取り付け枠48側の出口70へと移動する間に正、不正を判別して、不正メダルを傾斜通路66の途中の開口状の除去部67から受け入れ口59へと落下させて除去し、正規のメダルのみを出口70から案内シュート42へと通過させるようになっている。
なお、選別手段41は受け入れ拒否状態のときにも、傾斜通路66のメダルを除去部67から受け入れ口59へと落下させて返却するようになっている。また選別手段41には正規のメダルの通過数を計数するための検出手段(図示省略)が適当箇所に設けられている。
一対の取り付け部64のうち、案内シュート42側の取り付け部64には、図5〜図7に示すように、選別手段41の流下通路69に連通する出口70が返却通路43の受け入れ口59よりも高い位置に形成され、また選別手段41の反対側に出口70に接続する案内シュート42が取り付け座75を介して取り付けられている。
案内シュート42は図4〜図7に示すように、出口70に対応して横向きに配置された上流部76と、メダルホッパー6に対応して後ろ向きに配置された下流部77との間で徐々に傾斜しながら平面視円弧状に湾曲し、その上流端側に一体に設けられた取り付け座75を介して取り付け部64の側面にネジ等で着脱自在に固定されている。また案内シュート42は湾曲部分でもメダルが転動しながら円滑に通過できるように、内周壁78が低く外周壁79が高くなる断面略J字状に形成されている。
返却通路43の受け入れ口59側の後壁60は、図5〜図7に示す如く選別手段41で除去された不正メダルが確実に受け入れ口59内に入るように、選別手段41の下部側との間に前後方向に十分な間隔がある。また取り付け枠48の左右一対の取り付け部64は、後端が選別手段41の上部側の後端側と略一致する側面視縦長矩形状であって、その後端は返却通路43の後壁60よりも前側に位置している。
阻止手段44はメダルホッパー6に着脱自在に設けられており、前面パネル3を筐体2側に閉じたときに、返却通路43と案内シュート42との間に位置してメダルの不正回収を阻止する。即ち、阻止手段44は図6〜図8に示すように、メダルホッパー6の前壁82から前方に突出する縦板状の阻止部材83を有し、この阻止部材83は前面パネル3を閉じたときに返却通路43の側壁65及び取り付け部64の外側近傍に位置し、返却通路43と案内シュート42との間を閉鎖するようになっている。
阻止部材83は着脱手段84を介してメダルホッパー6の前壁82に着脱自在に設けられている。着脱手段84は例えばメダルホッパー6の前壁82に設けられた挿入受け部86と、阻止部材83の後端に屈曲形成され且つ挿入受け部86に挿脱自在に挿入される板状の挿入部87とを備え、その挿入部87に挿入受け部86の阻止部材83と反対側に係合する抜け止め部88が設けられている。
このようなスロットマシン1では、ゲームに際しては投入口22から所定数のメダルを投入するかベットボタン23,24を押した後、スタートレバー26を操作して表示リールユニット5の各図柄表示リール4a〜4cを回転させる。
投入口22にメダルを投入すると、そのメダルは選別手段41の流下通路69に入り、この流下通路69を通過する間に正、不正の判別が行われる。そして、小径の不正メダルは除去部67の開口から受け入れ口59へと落下した後、返却通路43を経て受け皿31へと返却される。
正規のメダルは選別手段41から出口70、案内シュート42を経てメダルホッパー6へと案内され、メダルホッパー6に順次貯留されて行く。そして、正規のメダルが選別手段41を通過する毎に検出手段がその通過を検出して、カウンタによりメダルの投入数がカウントされゲームに供されることになる。
返却通路43の受け入れ口59が選別手段41の下側で大きく開口しており、しかもその受け入れ口59が出口70よりも低い位置にある。そのため選別手段41を通過した後の正規のメダルを返却通路43を経て不正に回収する不正回収に当たっては、返却通路43の排出口30から不正部材を入れて受け入れ口59から前面パネル3の裏側に挿入した後、その不正部材の先端を出口70又は案内シュート42の上流部76に接続することが考えられる。
しかし、この実施形態では、前面パネル3を閉じたときに案内シュート42と返却通路43との間を遮断する阻止手段44を設けているので、返却通路43の受け入れ口59から前面パネル3の裏側に不正部材を挿入しても、この阻止手段44が障害となって不正部材の先端を出口70又は案内シュート42の上流部76側に接続することは非常に困難である。このため選別手段41を通過したメダルを受け入れ口59から返却通路43を経て不正に回収するような不正行為を未然に防止することができる。
また阻止手段44はメダルホッパー6に設けており、前面パネル3を閉じたときに案内シュート42と返却通路43との間を遮断する構造であるため、前面パネル3側に何等の変更を加える必要もない。しかも阻止手段44はメダルホッパー6側から突出する縦板状の阻止部材83を備えたものであって、阻止部材83自体の構造が非常に簡単で容易に製作できるため、安価に実施できる利点がある。
更に阻止手段44を構成する阻止部材83はメダルホッパー6から前面パネル3側に突出しているが、着脱手段84によりメダルホッパー6に着脱自在に取り付けているため、必要に応じて適宜着脱すればよく、払い出し手段7等のメンテナンスの際に阻止部材83が邪魔になることはない。
阻止部材83をメダルホッパー6から取り外す場合には、抜け止め部88を押圧して挿入受け部86との係合を解除した後、挿入部87を挿入受け部86から抜き取ればよい。また阻止部材83をメダルホッパー6に取り付ける場合には、その挿入部87を挿入受け部86に挿入すればよい。従って、阻止部材83を容易に着脱できる。
阻止部材83は返却通路43と案内シュート42との間を遮断できれば、返却通路43の側壁65、取り付け部64等との間に所定の間隙があってもよい。しかし、図2に示すように、前面パネル3を筐体2に枢支するヒンジ手段14が左右一端側にあり、このヒンジ手段14から大きく離れた位置にメダルホッパー6、選別手段41等がある上に、阻止部材83に対して返却通路43の側壁65がヒンジ手段14から遠い側にあるため、阻止部材83を返却通路43の側壁65、取り付け部64等に接近させても、前面パネル3の開閉時の両者の干渉を容易に防止できる。
なお、この実施形態では、板状の阻止部材83を設けているが、阻止部材83は板状である必要はなく、案内シュート42と返却通路43との間を遮断できるものであれば、棒状、その他の形状、構造のものを使用してもよい。
図9、図10は本発明の第2の実施形態を例示する。この実施形態でも、阻止手段44を構成する阻止部材83は、着脱手段84を介してメダルホッパー6の前壁82上に装着されている。
着脱手段84はメダルホッパー6の前壁82の上端から下方に凹入状に形成されて係合凹部89と、阻止部材83の下端から上向きに凹入状に形成され且つメダルホッパー6の係合凹部89に上側から咬み合い状に係合する係合凹部90と、阻止部材83の両側に設けられ且つ両係合凹部89,90が咬み合い状態のときにメダルホッパー6の前壁82の上縁部91に当接して阻止部材83を起立状に保持する安定脚92とを備えている。
この実施形態にも示すように阻止部材83をメダルホッパー6に着脱自在に装着する着脱手段84には、種々の構成のものを採用可能である。ただし着脱手段84は不正部材の挿入等によって阻止部材83がメダルホッパー6から簡単に脱落したり、阻止部材83が左右方向に移動したりしないような構造であることが望ましい。
図11〜図13は本発明の第3の実施形態を例示する。この実施形態の阻止部材83は、メダルホッパー6から前方に突出して返却通路43の受け入れ口59を上側から覆う覆い部93と、左右の取り付け部64間で覆い部93の前端から上方に起立し且つ選別手段41で除去された不正メダル等を受け入れ口59へと案内する案内部94とを一体に備えた側面視L字状であって、覆い部93の後端の取り付け板95がメダルホッパー6の前壁82に着脱手段84を介して着脱自在に固定されている。
なお、着脱手段84は例えば取り付け板95をネジ等の固定具96でメダルホッパー6の前壁82に固定するようになっているが、他の構造でもよい。取り付け板95と覆い部93との両側には、返却通路43の両側に位置する補強板97が設けられている。
この場合にも、前面パネル3を閉じたときに、図11、図12に示すように、阻止部材83の覆い部93が返却通路43の受け入れ口59を上側から覆い、案内部94が選別手段41の下部を裏側から覆うので、前述と同様に不正部材の挿入によるメダルの不正回収を未然に防止できる。
また選別手段41の後下方に覆い部93の前端があるが、覆い部93の前端から案内部94が起立しているため、この案内部94によって選別手段41から除去されたメダルを受け入れ口59に確実に案内できる。なお、案内部94は図11に二点鎖線で示すように裏側に傾斜状に設けてもよい。また案内部94は左右の取り付け部64間に設ける必要はなく、取り付け部64の後端近傍に設けてもよい。
図14、図15は本発明の第4の実施形態を例示する。この実施形態の阻止部材83は選別手段41の下部裏側から返却通路43の上部裏側に跨がる側面視円弧状の覆い部93と、この覆い部93の左右両側から下側に屈曲する側壁98とを有し、着脱手段84を介してメダルホッパー6に着脱自在に設けられている。
側壁98は返却通路43の側壁65の上端と上下方向に、取り付け枠48の取り付け部64の後端と前後方向に夫々近接して配置されており、その後下の突出部99が着脱手段84を介してメダルホッパー6の前壁82に固定されている。
着脱手段84はメダルホッパー6の上縁部91に前側から凹入状に形成された係合凹部89と、突出部99に後側から凹入状に形成され且つ係合凹部89に係脱自在に咬み合う係合凹部90とを備え、前後方向に着脱自在である。
この場合にも、前面パネル3を閉じたときに、図14に示すように阻止部材83が返却通路43の受け入れ口59を上側から覆い、選別手段41の下部を裏側から覆うので、前述と同様に不正部材の挿入によるメダルの不正回収を未然に防止できる。
図16〜図19は本発明の第5の実施形態を例示する。この実施形態の阻止手段44は、図16、図17に示すように前壁82から前方に突出してメダルホッパー6に装着され、且つ前面パネル3を閉じたときに案内シュート42の内周壁78上に位置する阻止部材83を備え、この阻止部材83により、案内シュート42の開放部分を返却通路43の受け入れ口59側から覆うようになっている。
阻止部材83は略帯状であって、内周壁78に沿って円弧状に湾曲する阻止壁101と、この阻止壁101の上下両側から内周側に屈曲する補強縁102とを備え、その下側の補強縁102が支持部103、着脱手段84を介してメダルホッパー6に着脱自在に固定されている。
阻止壁101は前面パネル3を閉じたときに内周壁78の内面よりも湾曲中心側に位置しており、図18に二点鎖線で示すようにメダルが溝底部と内周壁78とに跨がって倒れた状態で転動しながら案内シュート42を通過する際にも、そのメダルが阻止部材83と接触しないようになっている。なお、着脱手段84は例えば支持部103側の取り付け部104をネジ等の固定具96によりメダルホッパー6の上縁部91に固定するが、他の構造でもよい。
この場合にも、前面パネル3を閉じれば、阻止部材83が案内シュート42の内周壁78の上側の開放部分を受け入れ口59側から塞ぐので、前述と同様に不正部材の挿入によるメダルの不正回収を未然に防止できる。
また前面パネル3を閉じたときに阻止部材83が内周壁78の上側に位置するが、阻止部材83は内周壁78の内側から湾曲中心側に偏位しており、通過中のメダルと干渉しないようにしているので、案内シュート42の湾曲半径を小さくしながらも、案内シュート42によりメダルを円滑に案内することができる。
このように案内シュート42に沿って湾曲する略帯状の阻止部材83を使用する場合でも、その阻止部材83は前面パネル3を閉じたときに案内シュート42の開放部側を受け入れ口59側から覆う構造であればよい。従って、阻止部材83は案内シュート42の内周壁78の上側に配置する他、図19(A)(B)に示すように案内シュート42の内周壁78に対して受け入れ口59側(湾曲中心側)に配置してもよい。
図19(A)では阻止部材83の上下の補強縁102が受け入れ口59側(湾曲中心側)に設けられている。また図19(B)では下側の補強縁102が内周壁78側に向いており、内周壁78の上縁と上下に重なっている。阻止部材83は上下の補強縁102等のない棒材等でもよい。
図20、図21は本発明の第6の実施形態を例示する。この実施形態の阻止手段44は、メダルホッパー6から前面パネル3側に突出する断面略逆L字状の阻止カバー105を備え、前面パネル3を閉じたときに案内シュート42が阻止カバー105の下側に嵌合して、阻止カバー105により案内シュート42の開放部分を塞ぐようになっている。
阻止カバー105は前面パネル3を閉じたときに、案内シュート42の内周壁78に対して湾曲中心側から近接する阻止壁101と、阻止壁101の上端から外周壁79の上側へと屈曲する上壁106とを備え、全体として案内シュート42に沿って湾曲状に構成されている。阻止カバー105の阻止壁101は、図21(A)に示すように案内シュート42の上下の略全体に対応する幅でもよいし、図21(B)に示すように案内シュート42の内周壁78の上部側から上側に対応する幅でもよい。
阻止カバー105の後端側は着脱手段84を介してメダルホッパー6に着脱自在に固定されている。着脱手段84はメダルホッパー6の前壁82に設けられた挿入受け部86と、阻止部材83の後端に屈曲形成され且つ挿入受け部86に挿脱自在に挿入される板状の挿入部87とを備え、その挿入部87に挿入受け部86の阻止部材83と反対側に係合する抜け止め部88が設けられているが、他の構造のものでもよい。
この場合にも、前面パネル3を閉じれば、案内シュート42が阻止カバー105内に嵌合するので、前述と同様に不正部材の挿入によるメダルの不正回収を未然に防止できる。また阻止カバー105が略逆L字状であるため、その強度を容易に確保できる。なお、阻止カバー105の断面形状はコ字状、横向きU字状でもよい。
図22〜図24は本発明の第7の実施形態を例示する。この実施形態の阻止手段44は、図22、図23に示すようにメダルホッパー6から前面パネル3側に突出する筒状の阻止カバー105を備え、前面パネル3を閉じたときに案内シュート42が阻止カバー105内に嵌合するようになっている。
メダルホッパー6の前壁82には開口部108と阻止カバー105とが設けられており、前面パネル3を閉じたときに案内シュート42が阻止カバー105に嵌合して、その後端側が開口部108からメダルホッパー6内に突出するようになっている。
阻止カバー105は全体として筒状であるが、図22に示すように案内シュート42の内周壁78に沿って円弧状に湾曲する阻止壁101を有し、この阻止壁101が案内シュート42の開放部分を受け入れ口59側から覆うようになっている。なお、阻止カバー105はネジ式、その他の適宜構造の着脱手段84によりメダルホッパー6の前壁82に着脱自在に固定されている。
この場合にも、前面パネル3を閉じたときに案内シュート42が阻止カバー105内に嵌合して、その阻止カバー105により案内シュート42を受け入れ口59側から覆うので、前述と同様に不正部材の挿入によるメダルの不正回収を未然に防止できる。
なお、阻止カバー105は、図22に示すように案内シュート42の内周壁78に対応する阻止壁101を円弧状に構成する他、図24に示すように案内シュート42の傾斜方向に沿って長い長円状の断面形状を有する長円筒体105aにより構成してもよい。
図25〜図27は本発明の第8の実施形態を例示する。この実施形態では、メダルホッパー6から前方に突出する案内シュート42が着脱手段84を介して前壁82に着脱自在に設けられており、前面パネル3を閉じたときに、案内シュート42が取り付け部64の出口70に接続するようになっている。そして、その案内シュート42の一部を利用して阻止手段44が構成されている。
メダルホッパー6の前壁82には切り欠き部109が設けられている。案内シュート42は左右両側の側壁110,111と、この両側壁110,111の下端間を連結する底壁112とを有する樋状であって、前端42a側が閉塞され、後端42b側が切り欠き部109からメダルホッパー6内に突出している。
この案内シュート42の返却通路43に近い側壁110は、前面パネル3を閉じたときに取り付け部64の側面に近接するように配置され、その前端部に出口70からのメダルを受ける受け口113が設けられている。取り付け部64の側面には出口70と連通する接続部114が設けられ、前面パネル3を閉じたときに、この接続部114が案内シュート42の受け口113と接続するようになっている。案内シュート42の受け口113側と接続部114との対向面は、前面パネル3の開閉時に干渉しないように傾斜状になっている。なお、案内シュート42の側壁111、底壁112は、受け口113から案内シュート42の前端部側に入ったメダルを速やかにメダルホッパー6へと案内できる形状、構造になっている。
着脱手段84は案内シュート42の後端42bよりも前側で外周に形成された係合縁115と、メダルホッパー6の前壁82の前面に切り欠き部109に沿って形成され且つ係合縁115が上側から着脱自在に係合する係合受け部116とを備えている。
メダルホッパー6の上端、案内シュート42の側壁110,111の上端は、返却通路43の受け入れ口59よりも高くなっており、その返却通路43側の側壁110により不正回収の阻止手段44が構成されている。従って、案内シュート42と阻止手段44は一体であり、メダルホッパー6に対して一体に着脱自在である。
この場合には、案内シュート42がメダルホッパー6側にあるが、前面パネル3を閉じると、その案内シュート42の受け口113が取り付け枠48側の出口70に連通するので、選別手段41を通過したメダルを案内シュート42によりメダルホッパー6へと案内することができる。
また案内シュート42がメダルホッパー6側にあり、ヒンジ手段14廻りに開閉する前面パネル3側に選別手段41等があるが、取り付け枠48に接続部114を設け、案内シュート42と接続部114の対向面を傾斜状にしているので、前面パネル3の開閉時の干渉を防止しながら、前面パネル3を閉じたときには、案内シュート42の受け口113を接続部114を介して取り付け部64側の出口70に確実に接続できる。
しかも、案内シュート42にはその側壁110を返却通路43の受け入れ口59よりも十分に高くする等によって阻止手段44を一体に設けているため、前述と同様に不正部材の挿入によるメダルの不正回収を未然に防止できる。
案内シュート42は着脱手段84を介してメダルホッパー6に着脱自在に装着しており、必要に応じて着脱できる。従って、メダルホッパー6側に阻止手段44を含む案内シュート42があっても、メンテナンス、その他の作業が煩わしくなるようなこともない。
図28、図29は本発明の第9の実施形態を例示する。この実施形態では、阻止手段44を構成する阻止部材83は、メダルホッパー6の前端から取り付け部64側へと延びると共に、メダルホッパー6の前端からメダルホッパー6の前部上方側へと後方に延びている。そして、阻止部材83の前端は取り付け部64の後端近傍に、後端は案内シュート42の後端と同程度、又は案内シュート42の後端よりも後方に達しており、図28に示すような円弧状経路117に沿って不正部材を配置して行うメダルの不正回収を阻止できるようになっている。
即ち、不正回収の態様としては、円弧状経路117に沿って湾曲状に復元する形状記憶性を有する樋状の不正部材を使用して、この不正部材を案内シュート42の上流部76と返却通路43の受け入れ口59側とに跨がって掛け渡してメダルを転動させながら不正に回収することが考えられる。
このような場合でも、図28、図29に示すように阻止部材83の後部83aをメダルホッパー6の前部側の上方に突出して配置することにより、円弧状経路117に沿っての不正部材の配置が困難となる。このため不正回収を更に確実に防止することができる。
なお、阻止部材83は第1の実施形態と同様に着脱手段84によりメダルホッパー6に着脱自在に装着されている。第2の実施形態の場合の阻止部材83についても、その後端部がメダルホッパー6上に位置するようにしてもよい。
以上、本発明の各実施形態について詳述したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、実施形態では、阻止手段44をメダルホッパー6に対して着脱手段84により着脱自在に設けているが、阻止手段44をメダルホッパー6と一体に設ける等、メダルホッパー6側に阻止手段44を取り外し不能に固定してもよい。第8の実施形態の案内シュート42をメダルホッパー6側に設ける場合も同様である。
また各実施形態では阻止手段44、案内シュート42をメダルホッパー6に対して着脱自在に設ける着脱手段84を具体的に例示しているが、各着脱手段84は単なる例示に過ぎず、他の構造の着脱手段84を採用することも可能である。要するに着脱手段84は、阻止手段44と案内シュート42等をメダルホッパー6に対して着脱自在に装着できるものであれば十分である。
更に阻止手段44は他の構造でもよい。例えば、阻止手段44はメダルホッパー6側から前側に突出するものであって、前面パネル3を閉じたときに返却通路43の受け入れ口59と案内シュート42との間に位置して、受け入れ口59から案内シュート42側への不正部材の挿入を阻止できるものであれば、どのような位置、構造でもよい。
例えば遊技媒体がメダルの場合には、不正回収に際してはメダルを不正部材に沿って転動させながら返却通路43へと誘導することになる。従って、阻止手段44は不正部材上でのメダルの転動を阻止できる高さ関係にあればよく、例えば阻止手段44と取り付け部64との間、阻止手段44と返却通路43の側壁65との間に若干の隙間があってもよい。
阻止手段44、案内シュート42を筐体2側に設ける場合、選別手段41、返却通路43等との位置関係からメダルホッパー6の前壁82に設けるのが最も簡単であるが、メダルホッパー6以外の適宜支持部材に設けてもよい。実施形態では遊技媒体としてメダルを、貯留手段としてメダルホッパー6を夫々例示しているが、遊技媒体はメダル以外の球等でもよいし、貯留手段はホッパー以外のタンク等でもよい。
阻止手段44を筐体2側に設けるに当たっては、貯留手段以外の他の部分に取り付けてもよい。また遊技媒体がメダルの場合には、不正回収に際してはメダルを不正部材に沿って転動させながら返却通路43へと誘導することになるので、阻止手段44は不正部材上でのメダルの転動を阻止できる構造であればよく、その阻止手段44と取り付け部64との間、阻止手段44と返却通路43の側壁65との間等に若干の隙間があってもよい。
阻止手段44は、投入口22から投入されたメダルが選別手段41を通過した後、その慣性力によって阻止手段44上を乗り越え得ない程度の高さであればよく、流下通路69の勾配が小さい等により慣性力が比較的小さい場合には、阻止手段44の上端は出口70の下端よりも若干低くしてもよい。しかし、メダル投入時に加速してメダルが投入される場合等を考慮すると、安全上、出口70の下部と同程度の高さであることが望ましい。勿論、それ以上の高さでもよい。