JP4817089B2 - 吸水性樹脂架橋剤とこれを用いて得られる吸水剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸水性樹脂を架橋して吸水剤を得るための架橋剤と、そのようにして得られる吸水剤及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
吸水性樹脂は、非常に高い吸水能力を有し、これによって、従来、紙おむつや、生理用品等の衛生材料のほか、食品、農林業、土木等の分野においても、広く用いられている。
【0003】
従来、衛生材料用の吸水性樹脂には、多くの場合、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸の部分中和塩が用いられているが、紙おむつ用の吸水性樹脂には、常圧下(無荷重下)のみならず、加圧下(荷重下)においても、吸水能力(吸水倍率)と吸水速度が共に大きく、しかも、常圧下と加圧下でのそれら性能がバランスにすぐれていることが求められる。
【0004】
ここに、吸水速度の高い吸水性樹脂を得る一つの手段は、架橋密度を高めた樹脂を得ることである。しかしながら、従来、知られているように、例えば、アクリル酸及び/又はその塩(中和塩)の重合の際に、多量の多官能性共重合性単量体を内部架橋剤として用いて得られる均一に高密度に架橋した樹脂は、加圧下での吸水能力は高いが、常圧下での吸水能力に劣る。
【0005】
このような問題を解決する一つの方法として、従来より、吸水性樹脂粒子を表面架橋する方法が知られている。この表面架橋法は、カルボン酸基及び/又はカルボン酸塩基を有する吸水性樹脂粒子を出発物質とし、その内部の架橋度を小さく保持して、吸水能力を低下させることなく、他方、分子内に上記カルボン酸基及び/又はカルボン酸塩基と反応し得る反応性基(官能基)を少なくとも2つ有する架橋剤を用いて、主として、上記吸水性樹脂粒子の表面層を架橋し、主として、吸水性樹脂粒子の表面層の架橋度を大きくすることによって、吸水速度の高い吸水剤を得るというものである。
【0006】
このような表面架橋法において用いる表面架橋剤としては、従来、例えば、特開昭57−44627号公報には、エチレングリコールジグリシジルエーテルに代表されるエポキシ化合物が提案されており、特開昭58−180223号公報には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等に代表される多価アルコールが提案されている。このほかにも、特開昭63−195205号公報には、多価アミン化合物、多価アジリジン化合物やアミノ基を有するエポキシ化合物が、また、特開平2−248404号公報には、エピハロヒドリンとアンモニアやエチレンジアミン等の低分子第1級アミンとの反応物が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記表面架橋法において、架橋剤として、グリセリン等のアルコールやアミンを用いるときは、通常、架橋剤による吸水性樹脂粒子の表面架橋反応を180℃以上の高温で行うことが必要であるが、このような高温で架橋反応を行えば、吸水性樹脂自体の熱架橋や熱劣化が起こるので、架橋度の制御が困難であるのみならず、得られる吸水剤が却って、その吸水能力と吸水速度において劣ることともなる。
【0008】
他方、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物、分子内にアミノ基を有するエポキシ化合物、アミン化合物、アジリジン化合物、イソシアネート化合物等の架橋剤は、架橋剤自体の皮膚刺激性が比較的強いので、乳幼児等の皮膚に直接接触する可能性のある衛生材料用の吸水性樹脂の架橋剤として用いる場合には、未反応の架橋剤が得られる吸水剤に残存した場合の安全性に問題がある。
【0009】
また、エピハロヒドリンとアンモニア、エチレンジアミン等の低分子量第1級アミンとの反応物は、この反応物が単にエピハロヒドリンのエポキシ基とアミンが付加した形のものであり、かくして、分子内に活性な官能基をもたないので、加熱下においても、有効な架橋を行うことができず、吸水速度を十分に向上させることができない。
【0010】
本発明は、従来の吸水性樹脂粒子の表面架橋による吸水剤の製造における上述したような問題を解決するためになされたものであって、吸水性樹脂粒子を表面架橋し、又は吸水性樹脂を内部架橋して、吸水剤を得るための架橋剤を提供することを目的とし、更に、本発明は、そのような架橋剤を用いて得られる吸水剤とその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
好ましくは、本発明は、分子中にエポキシ基をもたず、安全性にすぐれ、しかも、従来のアルコールやアミンからなる表面架橋剤を用いる場合に比べて、より低温において吸水性樹脂粒子の表面層を効率的に架橋して、特に、加圧下において、好ましくは、常圧下と加圧下のいずれにおいても、吸水能力にすぐれる吸水剤を与える吸水性樹脂粒子の表面架橋剤を提供することを目的とする。更に、本発明は、このような表面架橋剤を用いて得られる吸水剤とその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、吸水性樹脂の内部架橋によって吸水剤を得るための吸水性樹脂内部架橋剤を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、
(A1)一般式(I)
【0014】
【化10】
【0015】
(式中、R1 は水素原子又はアルキル基を示し、Xは塩素原子又は臭素原子を示す。)
で表されるハロヒドリン基Dを分子中に少なくとも2つ有する第1のハロヒドリン化合物(A1)と
(A2)上記ハロヒドリン基Dを分子中に少なくとも2つ有すると共に、一般式(II)
【0016】
【化11】
【0017】
(式中、R2 はそれぞれ独立に炭素数1〜4の炭化水素基又はベンジル基を示す。)
で表されるアンモニウム基Mを分子中に少なくとも1つ有する第2のハロヒドリン化合物(A2)
とから選ばれる少なくとも1種のハロヒドリン化合物(A)からなる吸水性樹脂架橋剤が提供される。
【0018】
特に、本発明によれば、ハロヒドリン化合物(A)は、上記ハロヒドリン基Dとして、一般式(Ia)
【0019】
【化12】
【0020】
(式中、R1 は水素原子又はアルキル基を示し、Xは塩素原子又は臭素原子を示す。)
で表されるハロヒドリン基Daを有するものであることが好ましい。
【0021】
また、本発明によれば、カルボン酸基及び/又はカルボン酸塩基を有する吸水性樹脂100重量部に、上記吸水性樹脂架橋剤0.01〜20重量部を加え、加熱し、架橋してなる吸水剤が提供される。
【0022】
更に、本発明によれば、カルボン酸基及び/又はカルボン酸塩基を有する吸水性樹脂100重量部に、上記吸水性樹脂架橋剤0.01〜20重量部を加え、加熱し、架橋することを特徴とする吸水剤の製造方法が提供される。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明による吸水性樹脂架橋剤(以下、単に、架橋剤という。)は、吸水性樹脂粒子を表面架橋して吸水剤を得るための表面架橋剤として好適に用いることができるが、また、内部架橋剤としても用いることができる。
【0024】
本発明によれば、吸水性樹脂粒子を出発物質として用いて、これを本発明による架橋剤にて表面架橋して吸水剤を得る場合には、上記吸水性樹脂粒子は、カルボン酸基及び/又はカルボン酸塩基を有し、吸水し、膨潤して、ヒドロゲルを形成する吸水性樹脂粒子であれば、従来より知られているいずれのものでも用いることができる。従って、具体例としては、例えば、ポリアクリル酸部分中和物架橋物、自己架橋型ポリアクリル酸部分中和物、デンプン−アクリル酸塩グラフト共重合体架橋物、デンプン−アクリロニトリルグラフト共重合体架橋物の加水分解物、ビニルアルコール−アクリル酸塩共重合体架橋物、アクリル酸塩−アクリルアミド共重合体架橋物、アクリル酸塩−アクリロニトリル共重合体架橋物の加水分解物、アクリル酸塩と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩の共重合架橋物等を挙げることができる。これらは、単独で、又は2種以上の混合物として用いられる。
【0025】
本発明においては、なかでも、得られる吸水剤の吸水性能の観点から、出発物質としての吸水性樹脂粒子は、カルボン酸基及び/又はカルボン酸塩基を高密度にて有する吸水性樹脂粒子、即ち、アクリル酸部分中和物架橋体や自己架橋型ポリアクリル酸部分中和物からなる粒子が好ましい。ここで、カルボン酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等を挙げることができるが、特に、ナトリウム塩が好ましい。
【0026】
本発明において、吸水性樹脂粒子は、その製造方法及び形状については、特に限定はなく、逆相懸濁重合法により得られるパール状の吸水性樹脂粒子、水溶液重合後の乾燥物を粉砕して得られるリン片状、塊状、岩状、顆粒状、無定形状の吸水性樹脂等が用いられる。また、吸水性樹脂粒子は、これらの吸水性樹脂粒子を造粒したものであってもよい。
【0027】
また、吸水性樹脂粒子の粒径も、特に限定されるものではないが、通常、40〜140メッシュの範囲である。しかし、紙おむつ等の衛生用品に用いるとき、表面積の大きい微細粒子は、吸水速度が速くなりすぎて、尿の横への拡散を阻害し、更に、微細粒子は衛生用品の基材を形成するパルプ層からの抜けを生じやすいので、好ましくは、粒径20〜60メッシュの粒子が全体の70重量%以上を有するもの、特に、好ましくは、粒径20〜42メッシュの粒子が全体の70重量%以上を有するものである。
【0028】
本発明による架橋剤は、
(A1)一般式(I)
【0029】
【化13】
【0030】
(式中、R1 は水素原子又はアルキル基を示し、Xは塩素原子又は臭素原子を示す。)
で表されるハロヒドリン基Dを分子中に少なくとも2つ有する第1のハロヒドリン化合物(A1)と
(A2)上記ハロヒドリン基Dを分子中に少なくとも2つ有すると共に、一般式(II)
【0031】
【化14】
【0032】
(式中、R2 はそれぞれ独立に炭素数1〜4の炭化水素基又はベンジル基を示す。)
で表されるアンモニウム基を分子中に少なくとも1つ有する第2のハロヒドリン化合物(A2)
とから選ばれる少なくとも1種のハロヒドリン化合物(A)からなる。
【0033】
上記一般式(I)で表されるハロヒドリン基Dにおいて、R1 がアルキル基であるとき、好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基であり、好ましくは、メチル基である。しかし、R1 は、特に好ましくは、水素原子である。
【0034】
特に、本発明によれば、ハロヒドリン化合物(A)は、上記ハロヒドリン基Dとして、一般式(Ia)
【0035】
【化15】
【0036】
(式中、R1 は水素原子又はアルキル基を示し、Xは塩素原子又は臭素原子を示す。)
で表されるハロヒドリン基Daを有するものであることが好ましい。
【0037】
ここに、本発明によれば、ハロヒドリン基Dは広義のハロヒドリン基であり、ハロヒドリン基Daは狭義のハロヒドリン基である。かくして、本発明によれば、上記第1のハロヒドリン化合物(A1)又は上記第2のハロヒドリン化合物(A2)又はこれら第1及び第2のハロヒドリン化合物がいずれも、上記ハロヒドリン基Dとして、上記一般式(Ia)で表される狭義のハロヒドリン基を有することが好ましい。
【0038】
また、上記一般式(II)で表されるアンモニウム基Mにおいて、R2 が炭素数1〜4の炭化水素基であるとき、R2 は、好ましくは、(a) 炭素数1〜4のアルキル基、(b) 水酸基若しくはシアノ基を有する炭素数1〜4のアルキル基、又は(c) 炭素数1〜4の不飽和アルキル基を示し、特に、好ましくは、メチル基である。
【0039】
本発明によれば、ハロヒドリン化合物(A)のうち、第1のハロヒドリン化合物(A1)は、好ましくは、
(A1a)一般式(III)
【0040】
【化16】
【0041】
(式中、R3 は炭素数2〜10の(k+m)価の脂肪族炭化水素基を示し、Xは塩素原子又は臭素原子を示し、k及びmは、2≦k≦6、0≦m≦4、2≦k+m≦6を満たす整数である。)
で表される化合物(A1a)、
(A1b)一般式(IV)
【0042】
【化17】
【0043】
(式中、R4 は水素原子又はアルキル基を示し、Xは塩素原子又は臭素原子を示し、nは1〜50の整数である。)
で表される化合物(A1b)、
(A1c)一般式(V)
【0044】
【化18】
【0045】
(式中、R5 はそれぞれ独立に水素原子又はハロヒドリン基Daを示し、R5 のうち、少なくとも2つはハロヒドリン基Daであり、pは1〜10の整数である。)
で表される化合物(A1c)及び
(A1d)少糖類からの糖アルコールにエピハロヒドリンを反応させることによって得られる、ハロヒドリン基Daを分子中に少なくとも2つ有する化合物(A1d)
から選ばれる少なくとも1種である。
【0046】
上記一般式(V)で表されるハロヒドリン化合物(A1c)において、ハロゲン原子は、塩素原子又は臭素原子である。
【0047】
このような第1のハロヒドリン化合物(A1)は、一般に、上記ハロヒドリン化合物(A1a)、(A1b)、(A1c)及び(A1d)に対応して、それぞれ分子内に少なくとも2つのヒドロキシル基を有する化合物(以下、多価アルコールという。)にエピハロヒドリンを反応させることによって得ることができる。
【0048】
即ち、ハロヒドリン化合物(A1a)は、上記多価アルコールとして、一般式(IX)
【0049】
【化19】
【0050】
(式中、R3 、k及びmは前記と同じである。)
で表されるものを用い、これをエピハロヒドリンと反応させることによって得ることができる。上記脂肪族炭化水素基R3 は、後述する上記多価アルコールの具体例から明らかなように、脂肪族多価アルコール残基である。
【0051】
ハロヒドリン化合物(A1b)は、上記多価アルコールとして、一般式(X)
【0052】
【化20】
【0053】
(式中、R4 及びnは前記と同じである。)
で表されるものを用い、これをエピハロヒドリンと反応させることによって得ることができる。上記一般式(X) で表される多価アルコールにおいて、R4 は好ましくは水素原子又はメチル基であり、nは、好ましくは、1又は2であり、特に好ましくは、2である。
【0054】
ハロヒドリン化合物(A1c)は、上記多価アルコールとして、一般式(XI)
【0055】
【化21】
【0056】
(式中、pは前記と同じである。)
で表されるものを用い、これをエピハロヒドリンと反応させることによって得ることができる。上記一般式(XI) で表される多価アルコールにおいて、pは、好ましくは、1である。
【0057】
また、ハロヒドリン化合物(A1d)は、上記多価アルコールとして、少糖類から得られる糖アルコールにエピハロヒドリンを反応させることによって得ることができる。
【0058】
上記一般式(IX) で表される多価アルコールは、単糖類の還元によって得られる糖アルコールを含むものとし、そのような多価アルコールの具体例としては、特に、限定されるものではないが、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール等を挙げることができる。これらのなかでは、特に、トリメチロールエタンや、ソルビトール、マンニトール等が好ましい。
【0059】
上記一般式(X)で表される多価アルコールとしては、特に、限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等を挙げることができる。これらのなかでは、特に、ジエチレングリコール又はジプロピレングリコールが好ましい。
【0060】
また、上記一般式(XI) で表される多価アルコールとしては、特に、限定されるものではないが、例えば、ジグリセリンやポリグリセリン等を挙げることができる。これらのなかでは、特に、ジグリセリンが好ましい。
【0061】
上述した少糖類からの糖アルコールは、特に、限定されるものではないが、例えば、麦芽糖(マルトース)、セロビオース、ショ糖(シュクロース)、乳糖(ラクトース)等の二糖類やラフィノース、メレチトース等の三糖類等を還元して得られる糖アルコールや、澱粉糖を還元して得られる還元澱粉糖等を挙げることができる。このような少糖類からの糖アルコールは、単独で、又は(必要に応じて、単糖類からの糖アルコールと共に、)2種以上の混合物として用いられる。
【0062】
他方、このような多価アルコールと反応させるエピハロヒドリンとしては、特に、エピクロルヒドリン又はエピブロムヒドリンが好ましく用いられる。
【0063】
本発明においては、これらの少糖類からの糖アルコールのなかでは、例えば、市販品として容易に入手することができるマルチトール(麦芽糖からの糖アルコール)が好ましく用いられる。
【0064】
上述したような種々の多価アルコールとエピハロヒドリンとの反応は、必要に応じて、反応溶剤中において、ルイス酸触媒の存在下、好ましくは、加熱下に(例えば、30〜95℃の範囲の温度)、多価アルコールにエピハロヒドリンを滴下し、混合することによって行うことができる。上記ルイス酸触媒としては、例えば、三フッ化ホウ素エーテル錯体、四塩化スズ、ホウフッ化亜鉛、四塩化チタン、塩化亜鉛、シリカアルミナ、五塩化アンチモン等を挙げることができるが、しかし、これらに限定されるものではない。
【0065】
また、上記反応溶剤は、反応の制御や粘度の調節等のために、必要に応じて、用いられるものであり、上記多価アルコールとエピハロヒドリンとの反応において不活性であれば、どのようなものでもよい。従って、そのような反応溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等を挙げることができる。
【0066】
このような多価アルコールとエピハロヒドリンとの反応において、エピハロヒドリンは、多価アルコールの有するヒドロキシル基量に対して、通常、30〜200モル%、好ましくは、50〜150モル%の範囲で用いられる。多価アルコールの有するヒドロキシル基量に対して、エピハロヒドリンの使用量が30モル%よりも少ないときは、得られるポリハロヒドリン化合物中のハロヒドリン基量が低すぎて、これを架橋剤として用いて、吸水性樹脂粒子の表面架橋を行っても、架橋効率が低く、吸水性樹脂粒子の吸水性能を十分に高めることができない。しかし、エピハロヒドリンの使用量が200モル%を越える場合には、得られるハロヒドリン化合物中に未反応のエピハロヒドリンが残存することとなり、非経済的であるばかりか、吸水性樹脂粒子の表面架橋剤として用いるに当たって、安全性の観点からも好ましくない。
【0067】
本発明において、第2のハロヒドリン化合物(A2)は、好ましくは、
一般式(VI)
【0068】
【化22】
【0069】
(式中、Aは、炭素数2〜8 のアルキレン基又は一般式(VII)
【0070】
【化23】
【0071】
(式中、R6 は炭素数1〜4の炭化水素基又はベンジル基を示し、rは1〜3の整数である。)
で表される2価基N又は次式(VIII)
【0072】
【化24】
【0073】
で表される2価基Oを示し、R2 はそれぞれ独立に炭素数1〜4の炭化水素基又はベンジル基を示し、Xは塩素原子又は臭素原子を示し、qは0〜5の整数である。)
で表される分子内に第4級アンモニウム基とハロヒドリン基Daを2つ以上有するものである。
【0074】
上記一般式(VI)で表される化合物中、R2 が炭素数1〜4の炭化水素基であるとき、R2 は、好ましくは、(a) 炭素数1〜4のアルキル基、(b) 水酸基若しくはシアノ基を有する炭素数1〜4のアルキル基、又は(c) 炭素数1〜4の不飽和アルキル基を示し、特に、好ましくは、メチル基である。上記一般式(VII)で表される2価基Nにおいて、R6 はR2 と同じであり、特に、好ましくは、メチル基である。
【0075】
このような第2のハロヒドリン化合物(A2)のうち、前記一般式(VI)において、Aが炭素数2〜8のアルキレン基であるか、又は前記一般式(VII)で表される2価基Nであるものは、一般式(XII)
【0076】
【化25】
【0077】
(式中、Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は一般式(VII)
【0078】
【化26】
【0079】
(式中、R6 は炭素数1〜4の炭化水素基又はベンジル基を示し、rは1〜3の整数である。)
で表される前記2価基Nを示し、R2 はそれぞれ独立に炭素数1〜4の炭化水素基又はベンジル基を示す。)
で表されるポリ第3級アミン化合物にエピハロヒドリン又は1,3−ジハロ−2−プロパノールを反応させることによって得ることができる。
【0080】
例えば、後述するように、ポリ第3級アミン化合物として、N,N,N',N'−テトラメチル−1,2−ジアミノエタンを用いるときは、このポリ第3級アミン化合物1モル部にエピハロヒドリン又は1,3−ジハロ−2−プロパノール2モル部以上を反応させればよい。また、ポリ第3級アミン化合物として、N,N,N',N',N"−ペンタメチルジエチレントリアミンを用いるときは、このポリ第3級アミン化合物1モル部にエピハロヒドリン又は1,3−ジハロ−2−プロパノール3モル部以上を反応させればよい。
【0081】
上記一般式(XII)で表されるポリ第3級アミン化合物において、上記R2 は前記と同じである。従って、このようなポリ第3級アミン化合物の具体例として、例えば、N,N,N',N'−テトラメチル−1,2−ジアミノエタン、N,N,N',N'−テトラメチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N,N',N'−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N',N'−テトラメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N,N',N'−テトラアリル−1,4−ジアミノブタン、N,N,N',N'−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン、N,N,N',N'−テトラ(ヒドロキシエチル)−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N',N',N"−ペンタメチルジエチレントリアミン等を挙げることができる。これらのなかでは、例えば、N,N,N',N'−テトラメチル−1,2−ジアミノエタンやN,N,N',N'−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン等が好ましく用いられる。
【0082】
上記エピハロヒドリンとしては、前述したと同様に、エピクロルヒドリン又はエピブロムヒドリンが好ましく用いられる。また、1,3−ジハロ−2−プロパノールとしては、例えば、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,3−ジブロモ−2−プロパノール等を挙げることができる。
【0083】
上記ポリ第3級アミン化合物とエピハロヒドリン又は1,3−ジハロ−2−プロパノールとの反応は、必要に応じて、水、親水性有機溶剤又はこれらの混合物からなる反応溶剤中において、好ましくは、加熱下に(例えば、30〜95℃の範囲の温度)、上記ポリ第3級アミン化合物にエピハロヒドリン又は1,3−ジハロ−2−プロパノールを滴下し、混合することによって行うことができる。エピハロヒドリンを用いる場合には、エピハロヒドリンと等モル以上の濃塩化水素酸(濃塩酸)又は濃臭化水素酸水溶液の存在下にポリ第3級アミン化合物にエピハロヒドリンを反応させる。
【0084】
上記親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級脂肪族アルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、エチルセロソルブ等のグリコールエステル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類等を挙げることができる。
【0085】
ポリ第3級アミン化合物とエピハロヒドリン又は1,3−ジハロ−2−プロパノールとの反応において、エピハロヒドリン又は1,3−ジハロ−2−プロパノールの使用量は、ポリ第3級アミン化合物の有する第3級アミノ基量に対して、通常、30〜200モル%、好ましくは、50〜150モル%の範囲である。ポリ第3級アミン化合物の有する第3級アミノ基量に対して、エピハロヒドリン又は1,3−ジハロ−2−プロパノールの使用量が30モル%よりも少ないときは、得られるエピハロ第4級アンモニウム化合物中のハロヒドリン基量が低すぎて、吸水性樹脂粒子の表面架橋剤として用いて、吸水性樹脂粒子の表面架橋を行っても、架橋効率が低く、吸水性樹脂粒子の吸水性能を十分に高めることができない。他方、エピハロヒドリンの使用量が200モル%を越える場合には、得られる第4級アンモニウム化合物中に未反応のエピハロヒドリンが残存することとなり、非経済的であるばかりか、吸水性樹脂粒子の表面架橋剤として用いるに当たって、安全性の観点からも好ましくない。
【0086】
他方、第2のハロヒドリン化合物(A2)のうち、前記一般式(VI)において、Aが前記式(VIII) で表される2価基Oである化合物は、一般式(VI)で表される構造から容易に導くことができるように、一般式(XIII)
【0087】
【化27】
【0088】
(式中、R2 はそれぞれ独立に炭素数1〜4の炭化水素基又はベンジル基を示し、Xは塩素原子又は臭素原子を示し、sは0〜10の整数である。)
で表される化合物である。ここに、sは、好ましくは、0〜5の整数である。
【0089】
このように、一般式(XIII)で表される化合物は、一般式(XIV)
【0090】
【化28】
【0091】
(式中、R2 はそれぞれ独立に炭素数1〜4の炭化水素基又はベンジル基を示す。)
で表される第2級アミン化合物にエピハロヒドリン又は1,3−ジハロ−2−プロパノールを反応させることによって得ることができる。
【0092】
例えば、後述するように、第2級アミン化合物として、ジアルキルアミンを用いるときは、このジアルキルアミンにエピハロヒドリン又は1,3−ジハロ−2−プロパノールを反応させればよい。上記(XIII) で表される化合物において、上記R2 は前記と同じであり、メチル基であることが好ましく、従って、上記第2級アミン化合物としては、ジメチルアミンが好ましく用いられる。上記エピハロヒドリンとしては、前述したと同様に、エピクロルヒドリン又はエピブロムヒドリンが好ましく用いられる。また、1,3−ジハロ−2−プロパノールとしては、例えば、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,3−ジブロモ−2−プロパノール等を挙げることができる。
【0093】
上記第2級アミン化合物とエピハロヒドリン又は1,3−ジハロ−2−プロパノールとの反応は、必要に応じて、水や、前述したような親水性有機溶剤やこれらの混合物からなる反応溶剤中において、好ましくは、加熱下に(例えば、30〜95℃の範囲の温度)、上記第2級アミン化合物にエピハロヒドリン又は1,3−ジハロ−2−プロパノールを滴下し、混合することによって行うことができる。
【0094】
第2級アミン化合物とエピハロヒドリン又は1,3−ジハロ−2−プロパノールとの反応において、エピハロヒドリン又は1,3−ジハロ−2−プロパノールの使用量は、第2級アミン化合物の有するアミノ基量に対して、通常、30〜200モル%、好ましくは、50〜150モル%の範囲である。第2級アミン化合物の有するアミノ基量に対して、エピハロヒドリン又は1,3−ジハロ−2−プロパノールの使用量が30モル%よりも少ないときは、得られるハロヒドリン化合物中のハロヒドリン基量が低すぎて、吸水性樹脂粒子の表面架橋剤として用いて、吸水性樹脂粒子の表面架橋を行っても、架橋効率が低く、吸水性樹脂粒子の吸水性能を十分に高めることができない。他方、エピハロヒドリンの使用量が200モル%を越える場合には、得られるハロヒドリン化合物中に未反応のエピハロヒドリンが残存することとなり、非経済的であるばかりか、吸水性樹脂粒子の表面架橋剤として用いるに当たって、安全性の観点からも好ましくない。
【0095】
以上のように、本発明による架橋剤は、第1のハロヒドリン化合物(A1)と第2のハロヒドリン化合物(A2)とから選ばれる少なくとも1種のハロヒドリン化合物(A)からなる。本発明によれば、このようなハロヒドリン化合物は、吸水性樹脂粒子の種類やそれが有する架橋度のほか、目的とする表面架橋の程度にもよるが、吸水性樹脂粒子100重量部に対して、通常、0.01〜20重量部、好ましくは、0.05〜10重量部、最も好ましくは、0.1〜5重量部の範囲で用いて、吸水性樹脂を架橋することによって、吸水剤を得ることができる。吸水性樹脂粒子100重量部に対して、ハロヒドリン化合物の使用量が0.01重量部よりも少ないときは、吸水性樹脂粒子の架橋を有効に行うことができず、他方、20重量部を越えるときは、架橋密度が高くなりすぎて、得られる吸水剤が吸水能力、吸水速度のいずれにおいても低下する。
【0096】
本発明による架橋剤は、好ましくは、上述した第1のハロヒドリン化合物(A1)と第2のハロヒドリン(A2)との組合わせからなる。このように、第1のハロヒドリン化合物(A1)と第2のハロヒドリン(A2)とを組合わせて、吸水性樹脂の架橋剤として用いる場合も、その使用量は、吸水性樹脂粒子の種類やそれが有する架橋度のほか、目的とする表面架橋の程度にもよるが、吸水性樹脂粒子100重量部に対して、第1のハロヒドリン化合物(A1)と第2のハロヒドリン(A2)との合計量において、通常、0.01〜20重量部、好ましくは、0.05〜10重量部、最も好ましくは、0.1〜5重量部の範囲である。
【0097】
吸水性樹脂粒子100重量部に対して、第1のハロヒドリン化合物(A1)と第2のハロヒドリン(A2)との合計量が0.01重量部よりも少ないときは、吸水性樹脂粒子の架橋を有効に行うことができず、他方、20重量部を越えるときは、架橋密度が高くなりすぎて、処理した吸水性樹脂粒子が吸水能力、吸水速度のいずれにおいても低下する。
【0098】
特に、本発明によれば、第1のハロヒドリン化合物(A1)と第2のハロヒドリン(A2)とを組合わせて、架橋剤として用いる場合、それらの割合は、特に、制約を受けるものではないが、得られる吸水性樹脂が吸水速度と吸水能力とのバランスにすぐれるように、通常、第1のハロヒドリン化合物(A1)10〜90重量%と第2のハロヒドリン(A2)90〜10重量%からなるのが好ましく、特に、第1のハロヒドリン化合物(A1)40〜60重量%と第2のハロヒドリン(A2)60〜40重量%からなるのが好ましい。
【0099】
本発明による架橋剤を用いて、吸水性樹脂粒子を表面架橋して吸水剤を得るに際しては、水、親水性有機溶剤又はこれらの混合物からなる溶剤の存在下に行うことが望ましい。具体的には、上述した架橋剤を上記溶剤に溶解させ、得られた溶液を吸水性樹脂粒子に混合した後、得られた混合物を加熱するのが好ましい。上記親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級脂肪族アルコール類、アセトン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メトキシ(ポリ)エチレングリコール等のエーテル類、ε−カプロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等を挙げることができる。
【0100】
ここに、上記溶剤の量は、吸水性樹脂粒子の種類や粒径、含水率等にもよるが、通常、吸水性樹脂粒子の固形分100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲であり、好ましくは、0.5〜10重量部の範囲である。
【0101】
本発明によれば、上述した本発明による架橋剤による吸水性樹脂の表面架橋を妨げない範囲において、従来より知られている表面架橋剤、例えば、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、多価アミン化合物、ポリイソシアネート化合物、多価オキサゾリン化合物、アルキレンカーボネート化合物、ハロエポキシ化合物、シランカップリング剤、多価金属化合物等を併用してもよい。
【0102】
より具体的には、多価アルコール化合物として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等を挙げることができる。
【0103】
エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等を挙げることができる。
【0104】
多価アミン化合物の具体例としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等を挙げることができる。これらの多価アミン化合物の無機塩や有機塩(例えば、アジチニウム塩等も架橋剤として用いることができる。
【0105】
更に、ポリイソシアネート化合物の具体例としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができ、多価オキサゾリン化合物の具体例として、例えば、1,2−エチレンビスオキサゾリン等を挙げることができる。
【0106】
また、アルキレンカーボネートの具体例としては、例えば、1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン等を挙げることができる。
【0107】
ハロエポキシ化合物としては、エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等やその多価アミン付加物(例えば、ハーキュレス社製カイメン(登録商標))等を具体例として挙げることができる。
【0108】
これらのほか、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γーアミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤や、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、ジルコニウム等の水酸化物や塩化物等の多価金属化合物等も架橋剤として用いることができる。
【0109】
吸水性樹脂粒子と架橋剤とを混合するには、例えば、架橋剤の水溶液を吸水性樹脂粒子に噴霧した後、円筒型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、双腕型混合機、粉砕型ニーダー等を用いて混合すればよい。必要に応じて、界面活性剤の存在下に吸水性樹脂粒子と架橋剤とを混合してもよい。しかし、吸水性樹脂粒子と架橋剤とを混合する方法及び手段は、上記に限定されるものではない。
【0110】
本発明によれば、このように、吸水性樹脂粒子と架橋剤とを混合した後、得られた混合物を、通常、40〜250℃の範囲の温度に加熱すれば、吸水性樹脂粒子の表面を架橋させることができる。この加熱温度が40℃よりも低いときは、吸水性樹脂粒子の表面が均一に架橋されず、従って、例えば、常圧下での吸水倍率と加圧下での吸水倍率のバランスにすぐれた吸水剤を得ることができない。しかし、加熱温度が250℃よりも高いときは、吸水性樹脂粒子の劣化が起こり、得られる吸水剤の吸水性能を低下させるおそれがある。
【0111】
しかし、本発明による架橋剤は、反応性が高いので、比較的低い温度にて吸水性樹脂粒子の表面架橋反応を速やかに、しかも、均一に行うことができる。即ち、本発明によれば、上記加熱温度は、60〜200℃の範囲が好ましく、特に、70〜200℃の範囲が好ましい。
【0112】
このようにして、本発明に従って、吸水性樹脂粒子を表面架橋して得られた吸水剤は、吸水能力と吸水速度の両方にすぐれており、紙おむつや生理用ナプキン等の衛生用品の吸収剤として好適に用いることができる。
【0113】
上述したように、本発明による架橋剤は、吸水性樹脂粒子を出発物質とし、これを表面架橋して、吸水剤を得るために好適に用いることができるが、しかし、本発明によれば、上述した架橋剤を内部架橋剤として用いることによっても、吸水剤を得ることができる。
【0114】
即ち、本発明による架橋剤を内部架橋剤として用いて、吸水剤を得るには、好ましくは、架橋剤の存在下にアクリル酸及び/又はその塩(中和塩)を主成分とする親水性単量体を重合させて、上記親水性単量体からの吸水性樹脂を生成させると共に、この架橋剤によって、この吸水性樹脂を架橋させるのである。また、別の方法として、上記親水性単量体の重合後や、又は重合し、中和した後に、得られた吸水性樹脂に架橋剤を加えて、吸水性樹脂を架橋させることによっても、吸水剤を得ることができる。通常、後者の方法が好ましい。
【0115】
このように、本発明による架橋剤を内部架橋剤として用いる場合において、上記アクリル酸塩としては、アクリル酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等を例示することができる。通常、このようなアクリル酸塩は、アクリル酸10〜40モル%に対して、90〜60モル%の範囲で用いられる。
【0116】
アクリル酸やその塩(中和塩)以外の親水性単量体としては、特に、限定されるものではないが、具体的には、例えば、メタクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸等のアニオン性不飽和単量体とその塩、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン等のノニオン性の親水基含有不飽和単量体、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドや、これらの四級塩等のカチオン性不飽和単量体等を挙げることができる。
【0117】
このようなアクリル酸とその塩以外の単量体を用いる場合には、アクリル酸とその塩以外の単量体は、主成分として用いるアクリル酸とその塩との合計量に対して、通常、30モル%以下であり、好ましくは、10モル%以下の割合で用いられる。
【0118】
上記親水性単量体の重合は、バルク重合や沈殿重合でもよいが、性能面や重合の制御の容易さから、水溶液重合又は逆相懸濁重合によることが好ましい。
【0119】
上記親水性単量体の重合において、重合開始剤としては、通常、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、2,2'−アゾビス(2−アミノジプロパン)二塩酸塩等のラジカル重合開始剤が用いられる。更に、これら重合開始剤のラジカルへの分解を促進するために、架橋剤を併用して、レドックス系開始剤とすることもできる。この還元剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の(重)亜硫酸(塩)、L−アスコルビン酸(塩)、第一鉄塩等の還元性金属(塩)、アミン類等が用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0120】
また、上記親水性単量体の重合は、反応系に放射線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を照射して、重合反応を開始させてもよい。
【0121】
上記重合反応における反応温度は、特に、限定されるものではないが、通常、20〜90℃の範囲である。反応時間も特に限定されるものではなく、親水性単量体や重合開始剤の種類、反応温度等に応じて適宜設定すればよい。
【0122】
上述したような親水性単量体の重合によって吸水性樹脂を得、これを本発明による架橋剤を内部架橋剤として用いて架橋させて、吸水剤を得るに際して、従来より知られている内部架橋剤を併用してもよい。そのような従来より知られている内部架橋剤として、例えば、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチルロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0123】
本発明による架橋剤を内部架橋剤として用いる場合においても、その使用量は、前記親水性単量体(即ち、吸水性樹脂)100重量部に対して、通常、0.01〜20重量部、好ましくは、0.05〜10重量部、最も好ましくは、0.1〜5重量部の範囲である。
【0124】
吸水性樹脂粒子100重量部に対して、架橋剤の使用量が0.01重量部よりも少ないときは、吸水性樹脂粒子の架橋を有効に行なうことができず、他方、20重量部を越えるときは、架橋密度が高くなりすぎて、得られる吸水剤が吸水能力、吸水速度のいずれにおいても劣ることとなる。
【0125】
このようにして得られる吸水剤がゲル状であるときは、これを乾燥した後、必要に応じて、粉砕する。
【0126】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。以下において、部は重量部を示し、%は重量%を示すものとする。本発明による架橋剤による吸水性樹脂の架橋によって製造した吸水剤の常圧下又は加圧下の吸水性能は以下のようにして評価した。
【0127】
(吸水剤の常圧下の吸水倍率)
250メッシュのナイロン紗で作製したティーバッグに吸水性樹脂粒子1gを入れ、生理食塩水(濃度0.9%)中に5分間又は30分間浸漬した後、引き上げ、15分間水切りした後、ティーバッグの重量を測定して、その間の重量増加を求め、これをそれぞれ5分後及び30分後の常圧下の吸水倍率とした。
【0128】
(吸水剤の加圧下の吸水倍率)
プラスチック管(内径30mm、高さ60mm)を鉛直に立て、その底部に250メッシュのナイロン紗を貼り付けて容器とし、この中に吸水性樹脂粒子0.1gを均一に入れ、この樹脂の上に20g/cm2 荷重となるように外径30mmの分銅を載せた。次に、生理食塩水(濃度0.9%)60mLを入れたシャーレ(直径12cm)の中に上記吸水性樹脂粒子を入れたプラスチック管を底部を下側にして5分間又は30分間浸漬した後、引き上げて、重量増加を測定し、その10倍量をそれぞれ5分後及び30分後の加圧下の吸水倍率とした。
【0129】
(架橋剤の製造例)
【0130】
製造例1(架橋剤(A1a)の製造)
1L容量セパラブルフラスコにソルビトール182g(1.0モル)、トルエン500g、触媒として三フッ化ホウ素エーテル錯体1.8gを仕込み、加熱攪拌し、内温を70〜90℃に保ちながら、これにエピクロルヒドリン277.5g(3.0モル)を滴下した。滴下終了時、反応系は均一な溶液であった。滴下終了後、更に、2時間、上記と同じ温度で攪拌した後、滴定によるエポキシ基の定量に基づいてエピクロルヒドリンの消失を確認して、反応を終了させた。反応終了後、減圧下でトルエンを留去して、反応生成物として、前記一般式(III)において、R3 がソルビトール残基であり、Xが塩素原子であり、k=3、m=3である架橋剤(A1a)を得た。
【0131】
上記反応生成物中の塩素量(クロロヒドリン基の塩素量)を定量分析した結果、21.9%(理論量23.0%)であって、収率は95%であった。
【0132】
製造例2(架橋剤(A1b)の製造)
1L容量セパラブルフラスコにジエチレングリコール106g(1.0モル)、触媒として三フッ化ホウ素エーテル錯体0.1gを仕込み、加熱攪拌し、内温を50〜70℃に保ちながら、エピクロルヒドリン185g(2.0モル)を滴下した。滴下終了後、更に、2時間、上記と同じ温度で攪拌した後、滴定によるエポキシ基の定量に基づいてエピクロルヒドリンの消失を確認して、反応を終了させて、反応生成物として、前記一般式(IV)において、R4 が水素原子であり、n=2である架橋剤(A1b)を得た。
【0133】
上記反応生成物中の塩素量(クロロヒドリン基の塩素量)を定量分析した結果、23.2%(理論量24.4%)であって、収率は95%であった。
【0134】
製造例3(架橋剤(A1c)の製造)
1L容量セパラブルフラスコにジグリセリン166g(1.0モル)、触媒として三フッ化ホウ素エーテル錯体0.9gを仕込み、加熱攪拌し、内温を50〜70℃に保ちながら、エピクロルヒドリン277.5g(3.0モル)を滴下した。滴下終了後、更に、2時間、上記と同じ温度で攪拌した後、滴定によるエポキシ基の定量に基づいてエピクロルヒドリンの消失を確認して、反応を終了させて、反応生成物として、前記一般式(V)において、R5 のうち、1つは水素原子であり、残りの3つがハロヒドリン基Daであり、p=1である架橋剤(A1c)を得た。
【0135】
上記反応生成物中の塩素量(クロロヒドリン基の塩素量)を定量分析した結果、23.3%(理論量24.0%)であって、収率は97%であった。
【0136】
製造例4(架橋剤(A1d)の製造)
1L容量セパラブルフラスコにマルチトール(東亜化成工業(株)製還元麦芽糖「アマルティ」(シロップ)、固形物75重量%)165g(0.3モル)を仕込み、減圧下に水分を留去した後、触媒として三フッ化ホウ素エーテル錯体0.1gを仕込み、加熱攪拌し、内温を50〜70℃に保ちながら、これにエピクロルヒドリン185g(2.0モル)を滴下した。滴下終了後、更に、2時間、上記と同じ温度で攪拌した後、滴定によるエポキシ基の定量に基づいてエピクロルヒドリンの消失を確認して、反応を終了させた。反応生成物として、分子中に約6つのクロルヒドリン基を有するマルチトールからなる架橋剤(A1d)を得た。
【0137】
上記反応生成物中の塩素量(クロロヒドリン基の塩素量)を定量分析した結果、11.9%(理論量13.6%)であって、収率は88%であった。
【0138】
製造例5(架橋剤(A2−1)の製造)
1L容量セパラブルフラスコに N,N,N',N'−テトラメチル−1,2−ジアミノエタン116g(1.0モル)と水200gを仕込み、内温を30℃以下に冷却した後、濃塩酸203g(2.0モル)をゆっくり滴下し、水溶液のpHを5〜7に調整した。内温を35〜45℃に保ちながら、上記水溶液にエピクロルヒドリン185g(2.0モル)を約1時間で滴下し、滴下終了後、2時間、上記と同じ温度で攪拌し、滴定によるエポキシ基の定量に基づいてエピクロルヒドリンの消失を確認して、反応を終了させて、反応生成物として、前記一般式(VI)において、Aがエチレン基であり、Xが塩素原子であり、R2 がすべてメチル基であり、q=1である架橋剤(A2−1)を得た。
【0139】
上記反応生成物中の塩素量(クロロヒドリン基の塩素量)を定量分析した結果、19.5%(理論量20.1%)であって、収率は97%であった。
【0140】
製造例6(架橋剤(A2−2)の製造)
1L容量セパラブルフラスコに N,N,N',N'−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン172g(1.0モル)と水300gを仕込み、内温を30℃以下に冷却した後、濃塩酸203g(2.0モル)をゆっくり滴下し、水溶液のpHを5〜7に調整した。内温35〜45℃に保ちながら、上記水溶液にエピクロルヒドリン185g(2.0モル)を約1時間で滴下し、滴下終了後、2時間、上記と同じ温度で攪拌し、滴定によるエポキシ基の定量に基づいてエピクロルヒドリンの消失を確認して、反応を終了させて、反応生成物として、前記一般式(VI)において、Aがヘキサメチレン基であり、Xが塩素原子であり、R2 がすべてメチル基であり、q=1である架橋剤(A2−2)を得た。
【0141】
上記反応生成物中の塩素量(クロロヒドリン基の塩素量)を定量分析した結果、16.1%(理論量16.5%)であって、収率は98%であった。
【0142】
製造例7(架橋剤(A2−3)の製造)
1L容量セパラブルフラスコにジメチルアミン水溶液180g(ジメチルアミン2.0モルの水溶液)を仕込み、内温を50〜70℃に保ちながら、これにエピクロルヒドリン277.5g(3.0モル)を滴下し、滴下終了後、2時間、上記と同じ温度で攪拌し、滴定によるエポキシ基の定量に基づいてエピクロルヒドリンの消失を確認して、反応を終了させて、反応生成物として、前記一般式(XIII) において、Xが塩素原子であり、R2 がいずれもメチル基であり、s=1である架橋剤(A2−3)を得た。
【0143】
上記反応生成物中の塩素量(クロロヒドリン基の塩素量)を定量分析した結果、14.2%(理論量15.5%)であって、収率は92%であった。
【0144】
実施例1
(吸水性樹脂粒子の製造)
攪拌機、還流冷却器及び窒素ガス導入管を取付けた500mL容量セパラブルフラスコにアクリル酸40gを仕込んだ後、これに、攪拌、冷却下、水53gに純度95%の水酸化ナトリウム17.9gを溶解させた水溶液を滴下して中和した。得られた水溶液中に窒素ガスを30分間、吹き込んで、フラスコ内を窒素置換した。
【0145】
次いで、予め、窒素吹き込みを行なった1%過硫酸アンモニウム水溶液0.4gと0.5%N,N'−メチレンビスアクリルアミド水溶液0.2gを加え、十分に攪拌した。攪拌を止めた後、フラスコを60℃の温水浴に浸して、重合を開始させたところ、10分後に最高温度80℃に達し、この後、内温は60℃に低下した。この温度で更に1時間保持した後、室温まで冷却して、重合を終了した。
【0146】
セパラブルフラスコから内容物を取出し、小片に破砕し、105℃で2時間、乾燥させた後、粉砕機を用いて粉砕し、篩い分けして、60メッシュ通過物を以下に用いる吸水性樹脂粒子として分取した。
【0147】
(吸水性樹脂粒子の表面架橋による吸水剤の製造)
次に、前記架橋剤(A1a)0.03gと架橋剤(A2−1)0.03gを水10gで希釈して水溶液を調製した。
【0148】
上記吸水性樹脂粒子を双腕式ニーダー反応器に仕込み、攪拌下に、上記架橋剤水溶液を噴霧し、十分に混合した。このように処理した吸水性樹脂を150℃で30分間、加熱して、本発明による表面架橋した吸水剤を得た。この吸水剤の性能を表1に示す。
【0149】
実施例2
実施例1において、架橋剤(A1b)0.03gと架橋剤(A2−1)0.03gとを用いた以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得た。その性能を表1に示す。
【0150】
実施例3
実施例1において、架橋剤(A1c)0.03gと架橋剤(A2−1)0.03gとを用いた以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得た。その性能を表1に示す。
【0151】
実施例4
実施例1において、架橋剤(A1a)0.03gと架橋剤(A2−2)0.03gとを用いた以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得た。その性能を表1に示す。
【0152】
実施例5
実施例1において、架橋剤(A1b)0.03gと架橋剤(A2−2)0.03gとを用いた以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得た。その性能を表1に示す。
【0153】
実施例6
実施例1において、架橋剤(A1c)0.03gと架橋剤(A2−2)0.03gとを用いた以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得た。その性能を表1に示す。
【0154】
実施例7
実施例1において、架橋剤(A1a)0.06gを用いた以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得た。その性能を表1に示す。
【0155】
実施例8
実施例1において、架橋剤(A2−1)0.06gを用いた以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得た。その性能を表1に示す。
【0156】
実施例9
実施例1において、架橋剤(A1d)0.06gを用いた以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得た。その性能を表2に示す。
【0157】
実施例10
実施例1において、架橋剤(A2−3)0.06gを用いた以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得た。その性能を表2に示す。
【0158】
実施例11
実施例1において、架橋剤(A1c)0.06gを用いた以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得た。その性能を表2に示す。
【0159】
実施例12
実施例1において、架橋剤(A1d)0.03gと架橋剤(A2−2)0.03gとを用いた以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得た。その性能を表2に示す。
【0160】
実施例13
実施例1において、架橋剤(A2−2)0.06gを用いた以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得た。その性能を表2に示す。
【0161】
実施例14
実施例1において、架橋剤(A1d)0.03gと架橋剤(A2−3)0.03gとを用いた以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得た。その性能を表2に示す。
【0162】
実施例15
(吸水性樹脂粒子の製造)
攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び窒素ガス導入管を取付けた1L容量四つ口フラスコにシクロヘキサン400mLと分散剤エチルセルロース0.625gとを仕込み、この混合物中に窒素ガスを吹き込んで、溶存酸素を除いた後、75℃まで昇温した。
【0163】
別のフラスコにアクリル酸102.0gを仕込み、これをイオン交換水25.5gで希釈した後、外部から冷却しながら、上記アクリル酸水溶液に30%水酸化ナトリウム水溶液140gを加えて中和した。次に、過硫酸カリウム0.204gを水7.5gに溶解させて調製した水溶液を上記中和したアクリル酸水溶液に加えた後、窒素ガスを吹き込んで、水溶液中に残存する酸素を除去した。
【0164】
このようにして用意したフラスコ内容物を前記四つ口フラスコ中のシクロヘキサンとエチルセルロースの混合物に1時間かけて滴下し、アクリル酸を重合させた。
【0165】
重合反応の終了後、反応系中の水の約60%をシクロヘキサンとの共沸物として留去した。反応系を冷却した後、得られた反応混合物を325メッシュの金網で濾過して、重合物を濾取し、80℃で真空乾燥して、以下に用いる吸水性樹脂粒子を得た。
【0166】
(吸水剤の製造)
前記架橋剤(A1a)0.03gと架橋剤(A2−1)0.03gを水10gで希釈して架橋剤水溶液を調製した。
【0167】
上記吸水性樹脂を双腕式ニーダー反応器に仕込み、攪拌下に、上記架橋剤水溶液を噴霧し、十分に混合した。このように処理した吸水性樹脂を150℃で30分間、加熱して、本発明による吸水剤を得た。この吸水剤の性能を表2に示す。
【0168】
比較例1
実施例1において、架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業(株)製EX−810)0.06gを用いた以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得た。その性能を表2に示す。
【0169】
比較例2
実施例1において、架橋剤としてジエチレングリコール0.06gを用いた以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得た。その性能を表2に示す。
【0170】
【表1】
【0171】
【表2】
【0172】
【発明の効果】
以上のように、本発明による架橋剤は、第1のハロヒドリン化合物(A1)と第2のハロヒドリン化合物(A2)から選ばれる少なくとも1種からなり、分子中にエポキシ基をもたず、皮膚刺激性がなく、安全性にすぐれており、しかも、従来のアルコールからなる架橋剤に比べて、より低温にて吸水性樹脂粒子を有効に表面架橋して、吸水速度と吸水能力にすぐれる吸水剤を与える。また、本発明による架橋剤は、これを内部架橋剤として用いることによっても、吸水剤を得ることができる。
Claims (6)
- カルボン酸基及び/又はカルボン酸塩基を有する吸水性樹脂100重量部に吸水性樹脂架橋剤0.01〜20重量部を加え、加熱し、架橋してなる吸水剤において、上記吸水性樹脂架橋剤が
(A1)一般式(Ia)
(A2)上記ハロヒドリン基Daを分子中に少なくとも2つ有すると共に、一般式(II)
とから選ばれる少なくとも1種のハロヒドリン化合物(A)からなり、
上記第1のハロヒドリン化合物(A1)が
(A1a)一般式(III)
(A1b)一般式(IV)
(A1c)一般式(V)
及び
(A1d)少糖類からの糖アルコールにエピハロヒドリンを反応させることによって得られる、前記ハロヒドリン基Daを分子中に少なくとも2つ有する化合物(A1d)から選ばれる少なくとも1種のハロヒドリン化合物(A1)であり、
上記第2のハロヒドリン化合物(A2)が一般式(VI)
で表される分子内に前記第4級アンモニウム基と前記ハロヒドリン基Daを2つ以上有するハロヒドリン化合物(A2)
であることを特徴とする吸水剤。 - 吸水性樹脂架橋剤が第1のハロヒドリン化合物(A1)10〜90重量%と第2のハロヒドリン化合物(A2)90〜10重量%とからなる請求項1に記載の吸水剤。
- 吸水性樹脂架橋剤が第1のハロヒドリン化合物(A1)40〜60重量%と第2のハロヒドリン化合物(A2)60〜40重量%とからなる請求項1に記載の吸水剤。
- カルボン酸基及び/又はカルボン酸塩基を有する吸水性樹脂100重量部に吸水性樹脂架橋剤0.01〜20重量部を加え、加熱し、架橋する吸水剤の製造方法において、上記吸水性樹脂架橋剤が
(A1)一般式(Ia)
(A2)上記ハロヒドリン基Daを分子中に少なくとも2つ有すると共に、一般式(II)
とから選ばれる少なくとも1種のハロヒドリン化合物(A)からなり、
上記第1のハロヒドリン化合物(A1)が
(A1a)一般式(III)
(A1b)一般式(IV)
(A1c)一般式(V)
及び
(A1d)少糖類からの糖アルコールにエピハロヒドリンを反応させることによって得られる、前記ハロヒドリン基Daを分子中に少なくとも2つ有する化合物(A1d)から選ばれる少なくとも1種のハロヒドリン化合物(A1)であり、
上記第2のハロヒドリン化合物(A2)が一般式(VI)
で表される分子内に前記第4級アンモニウム基と前記ハロヒドリン基Daを2つ以上有するハロヒドリン化合物(A2)
とから選ばれる少なくとも1種のハロヒドリン化合物であることを特徴とする吸水剤の製造方法。 - 吸水性樹脂架橋剤が第1のハロヒドリン化合物(A1)10〜90重量%と第2のハロヒドリン化合物(A2)90〜10重量%とからなる請求項4に記載の吸水剤の製造方法。
- 吸水性樹脂架橋剤が第1のハロヒドリン化合物(A1)40〜60重量%と第2のハロヒドリン化合物(A2)60〜40重量%とからなる請求項4に記載の吸水剤の製造方法。
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