JP4811586B2 - 化学機械研磨用水系分散体およびその製造方法ならびに化学機械研磨方法 - Google Patents
化学機械研磨用水系分散体およびその製造方法ならびに化学機械研磨方法 Download PDFInfo
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Description
そのような微細化技術としては、例えば、微細化素子分離(Shallow Trench Isolation)、いわゆるSTI技術が知られている。このSTI技術においては、ウェハ基板上に成膜した余分の絶縁層を除去するために化学機械研磨が行われている。この化学機械研磨工程においては、被研磨面の平坦性が重要であり、そのため種々の研磨剤が検討されている。
近年、半導体素子の更なる多層化・高精細化が進むにつれ、半導体素子の歩留まりおよびスループットの更なる向上が要求されるようになってきている。それに伴い、化学機械研磨工程後の被研磨面につき、実質的に研磨傷が発生せず、しかも高速な研磨が望まれるようになりつつある。
被研磨面の研磨傷の減少については、キトサン酢酸塩、ドデシルアミン、ポリビニルピロリドンといった界面活性剤が有効である旨の報告がある(特許文献3ないし5参照。)。しかし、これらの技術によると、研磨傷の減少には効果が見られるものの研磨速度が低下してしまい、スループットの向上はいまだ達成されていない。
これに対して、化学機械研磨装置の研磨定盤を回転するモーターの電流値を追跡して研磨終点を検出する方法が提案されている(特許文献6参照。)。この方法は、研磨の進行により被研磨面の初期段差が解消されて平坦となることによる電流変化を捉えて終点とするものであるが、この方法によると真の終点、すなわち研磨により除去すべき材料が完全に除去された時点を検出することは原理的に不可能である。また、被研磨面の状態を直接観測できる光学的な方法を用いた光学式終点検出装置および方法に関して研究が進められている(特許文献7および8参照。)。しかし、光学的な終点検出方法をSTIの化学機械研磨工程における絶縁層の除去に適用すると、終点検出の信頼性に欠けることが問題となっている。
本発明の上記目的は第二に、上記の方法により製造された化学機械研磨用水系分散体によって達成され、第三に該化学機械研磨用水系分散体を用いて絶縁膜を研磨する化学機械研磨方法によって達成される。
以下、本発明の製造方法に使用する各成分について説明する。
(A)セリアを含む無機粒子を含有する水系分散体
本発明の化学機械研磨用水系分散体の製造方法に使用されるセリアを含む無機粒子(以下、単に「無機粒子」ということがある。)は、セリアのみからなることができ、セリアと他の無機粒子との混合物であってもよい。他の無機粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、二酸化マンガン、三酸化二マンガン、酸化鉄等を挙げることができ、これらのうち、シリカが好ましい。
上記セリアは、例えば4価のセリウム化合物を酸化雰囲気中、600〜800℃程度で加熱処理することによって得ることができる。セリアの原料たる4価のセリウム化合物としては、例えば水酸化セリウム、炭酸セリウム、シュウ酸セリウム等を挙げることができる。
セリアの比表面積は、好ましくは5〜100m2/g、より好ましくは10〜70m2/g、更に好ましく10〜30m2/gである。この範囲の比表面積を有するセリアを使用することにより、平坦性に優れた研磨材を得ることができる。
上記シリカとしては、例えばヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等を挙げることができる。上記ヒュームドシリカは、例えば塩化ケイ素を水素および酸素の存在下に反応させて得ることができる。コロイダルシリカは、例えばケイ酸塩化合物をイオン交換する方法、アルコキシケイ素化合物を加水分解し、縮合反応を経る方法等により得ることができる。
無機粒子としては、セリアのみからなる無機粒子であるか、あるいはセリアおよびシリカからなる無機粒子であることが好ましく、セリアのみからなる無機粒子であることがより好ましい。
無機粒子の平均粒子径は、好ましくは0.01〜1μm、より好ましくは0.02〜0.7μm、更に好ましくは0.04〜0.3μmである。この平均粒子径は、動的光散乱法、レーザー散乱回折法、透過型電子顕微鏡観察等により測定することができる。これらのうち、レーザー散乱回折法により測定することが簡便であるため好ましい。
無機粒子の細孔容積は、好ましくは0.08〜0.30mL/gであり、より好ましくは0.10〜0.25mL/gである。細孔容積は、ガス吸着法等により知ることができる。
上記範囲の平均粒子径、細孔容積を有する無機粒子を使用することにより、研磨速度と水系分散体中における分散安定性とのバランスに優れた化学機械研磨用水系分散体を得ることができる。
(A)水系分散体の液性としては、pH値で好ましくは3.0〜9.0であり、より好ましくは3.5〜8.0である。pH値の調整は、本発明の方法により製造される化学機械研磨用水系分散体が任意的に含有することのできる成分として後述する酸または塩基により行うことができる。
本発明の化学機械研磨用水系分散体の製造方法に使用される(B)ポリオルガノシロキサンとしては、例えば下記式(I)
で表される繰り返し単位を有するものを挙げることができる。
上記炭素数1〜30のアルキル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基等を;
上記炭素数1〜30のアルコキシル基の具体例としては、例えばメトキシル基、エトキシル基等を;
上記炭素数6〜30のアリール基の具体例としては、例えばフェニル基、ジフェニル基等を;
上記炭素数2〜30のポリオキシアルキレン鎖の具体例としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールから誘導されるポリオキシアルキレン鎖を、それぞれ挙げることができる。
ポリオルガノシロキサンの繰り返し単位数は、好ましくは100〜2,000であり、より好ましくは200〜1,500である。
(B)ポリオルガノシロキサンを含有する水系分散体は、更に乳化剤、シリカ、防腐剤等を含有することができる。
本発明の化学機械研磨用水系分散体の製造方法において、(B)ポリオルガノシロキサンは乳化剤を含有する乳濁液の状態で使用することが好ましい。ここで使用できる乳化剤としては、例えばアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等を挙げることができる。好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエーテル変性シリコーン等を挙げることができる。乳化剤の使用量としては、ポリオルガノシロキサン100重量部に対して好ましくは40重量部以下であり、より好ましくは2〜20重量部である。
シリカの使用量は、ポリオルガノシロキサン100重量部に対して好ましくは20重量部以下であり、より好ましくは1〜10重量部である。
上記防腐剤は、本発明の方法により製造される化学機械研磨用水系分散体が任意的に含有することのできる防腐剤として後述するところと同様であるが、(B)ポリオルガノシロキサンを含有する水系分散体における防腐剤の含有量としては、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは1.0重量%以下である。
好ましくは上記混合・分散装置に水系媒体、ポリオルガノシロキサン、シリカおよび上述した乳化剤ならびに必要に応じて上述したその他の添加剤を加えた後に混合処理を行うことにより、(B)ポリオルガノシロキサンおよびシリカを含有する乳濁液を簡単に得ることができる。
上記(C)カチオン性有機重合体粒子は、粒子中にカチオン性の残基を有する有機重合体粒子をいう。ここで、カチオン性の残基とは、例えば下記式(1)〜(4)で表される残基を挙げることができる。
上記(C)カチオン性有機重合体粒子は、上記のようなカチオン性の残基を有する限り特に制限はないが、例えば上記のようなカチオン性残基を有する重合体粒子、カチオン性残基を有する界面活性剤が付着した重合体粒子等であることができる。
(C)カチオン性有機重合体粒子がカチオン性残基を有する重合体粒子である場合、上記カチオン性残基は、重合体の側鎖中および末端のうちの少なくとも一方に位置することができる。
カチオン性残基を側鎖に有する重合体は、カチオン性モノマーの単独重合もしくは二種以上のカチオン性モノマーの共重合またはカチオン性モノマーとそれ以外のモノマーとの共重合によって得ることができる。
アミノアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等を;
アミノアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば2−(ジメチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(ジメチルアミノエトキシ)プロピル(メタ)アクリレート等を;
N−アミノアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばN−(2−ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド等を、それぞれ挙げることができる。
これらのうち、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(2−ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミドが好ましい。
なお、これらカチオン性モノマーは、塩化メチル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等が付加した塩のかたちであってもよい。カチオン性モノマーがこれらの塩である場合には、塩化メチルが付加した塩が好ましい。
上記芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン等を;
不飽和ニトリル化合物としては例えばアクリロニトリル等を;
(メタ)アクリル酸エステル(ただし、上記カチオン性モノマーに相当するものは除く。)としては例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等を;
共役ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン等を;
カルボン酸のビニルエステルとしては、例えば酢酸ビニル等を;
ハロゲン化ビニリデンとしては、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン等を、それぞれ挙げることができる。
これらのうち、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよびトリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましい。
このようなモノマーとしては、例えばジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシプロピオキシフェニル〕プロパン、2,2’−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキジフェニル〕プロパン、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールブロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これらのうち、ジビニルベンゼンまたはエチレングリコールジメタクリレートが好ましい。
上記の如き重合体は、ラジカル重合開始剤を用いて公知の方法により製造することができる。ここで、ラジカル重合開始剤としては、例えば過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。ラジカル重合開始剤の使用量としては、モノマーの総量100重量部に対して好ましくは0.05〜3.0重量部であり、より好ましくは0.1〜2.0重量部である。
この場合の原料となる単量体としては、上記したカチオン性モノマーおよびそれ以外のモノマーのうちから選択される少なくとも1種のモノマーの単独重合または共重合によって製造することができる。ここで、原料モノマーの一部または全部にカチオン性モノマーを使用すると、重合体の側鎖および末端の双方にカチオン性の残基を有する重合体を得ることができる。
2,2’−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名「VA−546」として販売)、
2,2’−アゾビス[N−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名「VA−548」として販売)、
2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)−プロピオンアミジン]ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名「VA−552」として販売)、
2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名「VA−553」として販売)、
2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名「V−50」として販売)、
2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名「VA−558」として販売)、
2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬工業(株)から商品名「VA−057」として販売)、
2,2’−アゾビス[2−メチル−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名「VA−041」として販売)、
2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名「VA−044」として販売)、
2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名「VA−058」として販売)、
2,2’−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名「VA−059」として販売)、
2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名「VA−060」として販売)、
2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)(和光純薬工業(株)から商品名「VA−061」として販売)等を挙げることができる。
これらのうち、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(商品名「V−50」)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(商品名「VA−057」)および2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)ジヒドロクロライド(商品名「VA−044」)を使用することが好ましい。
かかるカチオン性重合開始剤の使用量としては、モノマーの総量100重量部に対して好ましくは0.1〜5.0重量部であり、より好ましくは0.5〜3.0重量部である。
アニオン性残基を有するモノマーとしては、例えば上記したカルボン酸のビニルエステル等を用いることができる。ここで、アニオン性残基を有するモノマーの使用量としては、全モノマーに対して1〜60重量%であることが好ましく、1〜30重量%であることが更に好ましい。
この場合のラジカル重合開始剤の使用量としては、モノマーの総量100重量部に対して好ましくは0.05〜3.0重量部であり、より好ましくは0.1〜2.0重量部である。
カチオン性残基を有する界面活性剤の使用量は、重合体100重量部に対して、好ましくは1〜30重量部であり、更に好ましくは1〜10重量部である。
重合体にカチオン性残基を有する界面活性剤を付着させるには、適宜の方法が使用できるが、例えば重合体粒子を含有する分散体を調製し、これに界面活性剤の溶液を加えることにより行うことができる。
(C)カチオン性有機重合体粒子は、これを含有する水系分散体の状態で使用することが好ましい。かかる水系分散体中の(C)カチオン性有機重合体粒子の含有量は、好ましくは5〜25重量%であり、より好ましくは10〜20重量%である。ここで使用できる水系媒体としては、(A)水系分散体に使用できる水系媒体として上述したところと同様である。
上記(D)アニオン性水溶性化合物が有するアニオン性の官能基としては、例えばカルボキシル基、スルホン基等を挙げることができる。
(D)アニオン性水溶性化合物としては、好ましくはアニオン性水溶性高分子またはアニオン性界面活性剤である。
アニオン性官能基としてカルボキシル基を含有するアニオン性水溶性高分子としては、例えば不飽和カルボン酸の(共)重合体、ポリグルタミン酸、ポリマレイン酸等を挙げることができる。アニオン性基としてスルホン基を含有するアニオン性水溶性高分子としては、例えばスルホン基を有する不飽和単量体の(共)重合体等を挙げることができる。
上記不飽和カルボン酸(共)重合体は、不飽和カルボン酸の単独重合体または不飽和カルボン酸とその他の単量体との共重合体である。不飽和カルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸を挙げることができる。その他の単量体としては、例えば(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、イソプレン等を挙げることができる。(メタ)アクリル酸エステルとしては例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ベンジル等を挙げることができる。
これらのアニオン性水溶性高分子のうち、不飽和カルボン酸(共)重合体が好ましく使用でき、特にポリ(メタ)アクリル酸が好ましい。
なお、これらアニオン性基を有する水溶性有機重合体は、これに含まれるアニオン性基の全部または一部が塩であるものを使用してもよい。その場合のカウンターカチオンとしては、例えばアンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン、カリウムイオン等を挙げることができ、これらのうちアンモニウムイオンまたはアルキルアンモニウムイオンが好ましい。
これらのうち、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩またはアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸の塩が好ましく、これらのアンモニウム塩がより好ましい。
本発明に用いられる(D)アニオン性水溶性化合物としては、アニオン性水溶性高分子が好ましい。
ここで使用できる水系媒体としては、(A)水系分散体に使用できる水系媒体として上述したところと同様である。
本発明の化学機械研磨用水系分散体の製造方法は、上記の如き(A)セリアを含む無機粒子を含有する水系分散体に、上記(B)ないし(D)成分をこの順で添加する工程を含むものである。本発明の好ましい実施態様において、上記(A)ないし(D)成分を混合後の水系分散体は、(A)ないし(D)の各成分および任意的に添加されるその他の成分を、化学機械研磨に使用するに最適の値に対して大きな量で含有した濃縮液である。
以下、化学機械研磨用水系分散体の濃縮液の製造方法およびこれを希釈して得られる化学機械研磨用水系分散体について順次説明する。
化学機械研磨用水系分散体の濃縮液は、上記の如き(A)セリアを含む無機粒子を含有する水系分散体を準備し、好ましくは攪拌下においてこれに上記(B)ポリオルガノシロキサン、(C)カチオン性有機重合体粒子および(D)アニオン性水溶性化合物をこの順序で添加し、必要に応じてその他の任意添加剤を添加することにより製造される。
各成分の使用割合としては、(A)水系分散体に含まれる無機粒子100重量部に対して、(B)ポリオルガノシロキサンが0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部であり、(C)カチオン性有機重合体粒子が5〜100重量部、好ましくは10〜80重量部、より好ましくは15〜60重量部であり、(D)アニオン性水溶性化合物は5〜100重量部、好ましくは10〜80重量部、より好ましくは15〜60重量部である。
各成分の混合の際、(B)ポリオルガノシロキサンの添加から(D)アニオン性水溶性化合物の添加後に至るまで、できるだけ高速で攪拌することが好ましい。高速の攪拌を行うことにより、無機粒子ならびに(B)、(C)および(D)成分が均一となり、後述の如き研磨材が分散性よく得られることとなる。攪拌速度は無機粒子およびこれと各成分とが集合してなる研磨材が沈降しなければ特に限定されるものではないが、攪拌羽根の最外周の周速度が1m/sec以上であることが好ましい。
上記の如くして製造された濃縮液に含まれる研磨材は、電子顕微鏡観察によって(A)水系分散体に含まれていた無機粒子と(C)カチオン性有機重合体粒子とが、(D)アニオン性水溶性化合物を介して集合してなる特異な集合状態にあることが分かった。
上記酸としては、有機酸、無機酸のいずれをも用いることができる。有機酸としては、例えばパラトルエンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、グルコン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸、マロン酸、ギ酸、シユウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸等が挙げられる。無機酸としては、例えば硝酸、塩酸及び硫酸等が挙げられる。
上記塩基としては特に限定されず、有機塩基、無機塩基のいずれをも用いることができる。有機塩基としては、例えばエチレンジアミン、エタノールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム等の含窒素有機化合物等が挙げられる。無機塩基としては、例えばアンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。
上記酸または塩基は、濃縮液のPHを4〜10、好ましくは5〜9に調整するのに必要な量を配合することが好ましい。濃縮液のPHを上記範囲に調整することにより、濃縮液の安定性が良好となるため好ましい。
濃縮液中の防腐剤の含有量は、好ましくは0.2重量%以下であり、より好ましくは0.15重量%以下である。
上記のようにして得られた濃縮液は、研磨材他の各成分を、化学機械研磨に使用するに最適の値に対して大きな量で含有している。したがって、化学機械研磨に際しては、混合後の水系分散体を希釈して使用することが好ましい。希釈に際して使用できる水系媒体としては、(A)水系分散体に使用できる水系媒体として上述したところと同様である。
希釈後の化学機械研磨用水系分散体に含有される各成分の量は、好ましくは以下のとおりである。なお下記は、いずれも使用時(希釈後)の化学機械研磨用水系分散体の全体に対する割合である。
研磨材:好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%、更に好ましくは0.2〜3重量%
ポリオルガノシロキサン:好ましくは1〜500ppm、より好ましくは3〜500ppm、更に好ましくは10〜200ppm
また、希釈後の化学機械研磨用水系分散体に任意的に含有されるその他の成分の量は、好ましくは以下のとおりである。下記は、いずれも希釈後の化学機械研磨用水系分散体の全体に対する割合である。
乳化剤:好ましくは250ppm以下、より好ましくは5〜100ppm
シリカ:好ましくは100ppm以下、より好ましくは2〜40ppm
酸:好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下
塩基:好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下
防腐剤:好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.01〜0.5重量%
このような範囲の表面張力を有する化学機械研磨用水系分散体とすることにより、高い研磨速度を保持したままでより効果的にスクラッチを低減することができる。
本発明の化学機械研磨方法は、上記の化学機械研磨用水系分散体を用いて被研磨体を研磨するものである。被研磨体の被研磨面を構成する好ましい材料としては絶縁膜が挙げられる。具体的には、微細素子分離工程(STI工程)において研磨される絶縁膜、多層化配線基板の層間絶縁膜等を挙げることができる。
STI工程における被研磨体としては、例えば図1に断面概略図として示したような被研磨体を挙げることができる。図1の被研磨体10は、素子分離領域となるべき溝2を有するシリコン基板1のうち溝部以外の表面に酸化シリコン層3、その上に更に窒化シリコン層4が形成され、更に溝2および窒化シリコン層4上に絶縁膜5が堆積された被研磨体である。図1の被研磨体では、STI工程において理想的には窒化シリコン層4が露出するまで研磨が行われる。
上記STI工程における研磨の対象となる絶縁膜および多層化配線基板の絶縁膜を構成する材料としては、例えば熱酸化膜、PETEOS膜(Plasma Enhanced−TEOS膜)、HDP膜(High Density Plasma Enhanced−TEOS膜)、熱CVD法により得られる酸化シリコン膜、ホウ素リンシリケート膜(BPSG膜)、FSGと呼ばれる絶縁膜等が挙げられる。
上記熱酸化膜は、高温にしたシリコンを酸化性雰囲気に晒し、シリコンと酸素あるいはシリコンと水分を化学反応させることにより形成されたものである。
上記PETEOS膜は、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)を原料として、促進条件としてプラズマを利用して化学気相成長で形成されたものである。
上記HDP膜はテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を原料として、促進条件として高密度プラズマを利用して化学気相成長で形成されたものである。
上記熱CVD法により得られる酸化シリコン膜は、常圧CVD法(AP−CVD法)又は減圧CVD法(LP−CVD法)により形成されたものである。
上記ホウ素リンシリケート膜(BPSG膜)は、常圧CVD法(AP−CVD法)又は減圧CVD法(LP−CVD法)により形成されたものである。
また、上記FSGと呼ばれる絶縁膜は、促進条件として高密度プラズマを利用して化学気相成長で形成されたものである。
本発明の化学機械研磨方法において、図1の如き被研磨体を研磨対象とする場合、化学機械研磨装置の定盤を回転するモーターの電流値を追跡することにより、化学機械研磨の終点を容易に知ることができる。
すなわち、本発明の化学機械研磨方法では、研磨開始初期の不安定時期(例えば研磨開始後2〜5秒程度)を除いて、上記電流値が先ず徐々に増加する傾向が見られる。この増加傾向は被研磨物の研磨が進行するに連れて被研磨面の初期段差が解消され、研磨パッドと被研磨面との接触面積が増大し、これにより摩擦が増加することによるものと思われる。その後更に研磨が進むと、電流値は減少傾向に転じる。そして該電流値の経時変化を示すグラフにおいて電流値が増加傾向から減少傾向に転じた後に変曲点を示した時点が、化学機械研磨工程の終点、すなわち窒化シリコン層4が露出した時点と一致することがわかった。この時点は、電流値が増加傾向から減少傾向に転じた後に下記数式(1)
d2A/dt2=0 (1)
(上式中、Aは化学機械研磨装置の定盤を回転するモーターの電流値であり、tは時間である。)
で表される二回微分方程式をはじめに充たした時点である。
一方、従来知られているセリア砥粒を用いた化学機械研磨用水系分散体では、定盤を回転するモーターの電流値と研磨終点との間に明確な相関は見られない。
炭酸セリウムを空気中、700℃で4時間加熱し、セリアを得た。このセリアをイオン交換水と混合してジルコニアビーズを使用したビーズミルで粉砕した。これを24時間静置し、上部の90重量%相当分を分取することにより分級し、35.8重量%のセリアを含有するセリアの水分散体を得た。
この水分散体中のセリアにつき、レーザー回折法によって測定した平均粒子径は170nmであった。また、上記セリアの水分散体を乾燥して得たセリアにつき、ヘリウムを用いたガス吸着法によって測定した細孔容積は0.18mL/gであり、窒素を用いてBET法により測定した比表面積は34m2/gであった。
合成例1(有機重合体粒子(a)の調製)
モノマーとしてメチルメタクリレート60重量部およびスチレン40重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(商品名「V−50」、和光純薬工業(株)製)0.5重量部、界面活性剤として非イオン系界面活性剤「アデカソープ ER−10」((株)ADEKA製)1重量部およびイオン交換水400重量部を混合し、窒素ガス雰囲気下、攪拌しながら70℃に昇温し、同温度で5時間重合させることにより、有機重合体粒子(a)を19.7重量%含有する水分散体を得た。重合反応転化率は98.3%であった。
得られた有機重合体粒子(a)につきレーザー光回折法により測定した平均粒子径は128nmであり、また有機重合体粒子(a)のゼータ電位は+20mVであった。
合成例2〜3、比較合成例1(有機重合体粒子(b)〜(d)の調製)
使用したモノマー、重合開始剤および界面活性剤の種類および量を表1に記載のとおりとしたほかは、合成例1と同様にして実施し、有機重合体粒子(b)〜(d)をそれぞれ含有する水分散体を得た。各合成例における重合反応転化率、各水分散体の粒子含有率ならびに各有機重合体粒子の平均粒子径およびゼータ電位を表1に示した。
重合開始剤;
V−50:商品名、和光純薬工業(株)製。2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンジアミン)ジヒドロクロライド
界面活性剤;
ER−10:商品名「アデカリアソープ ER−10」、(株)アデカ製。非イオン反応性界面活性剤。
ER−30:商品名「アデカリアソープ ER−30」、(株)アデカ製。非イオン反応性界面活性剤。
DBSA:ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム。
表1中の各成分に対応する数字は。それぞれ重合反応に際して当該成分を添加した量(重量部)である。「−」は、当該欄に対応する成分を添加しなかったことを示す。
調製例1(濃縮液(1)の調製)
予め容器に入れたイオン交換水中に、(A)無機粒子として上記で調製したセリアの水分散体を加え、セリアを6.7重量%含有する水分散体を調製した。ここに、(B)ポリオルガノシロキサンとして(B−1):SN−DEFOAMER 381(商品名、サンノプコ(株)製、ポリオルガノシロキサンおよびシリカを含有する乳濁液である。10ppm希釈時の表面張力=31mN/m)を、ポリオルガノシロキサン量がセリア100重量部に対して0.6重量部に相当する量だけ加え、10分攪拌を継続した。次いで(C)カチオン性有機重合体粒子として有機重合体粒子(a)を含有する水分散体を、有機重合体粒子(a)量がセリア100重量部に対して10重量部に相当する量だけ加え、30分攪拌を継続した。更に(D)アニオン性水溶性高分子としてMwが10,000のポリアクリル酸アンモニウムを10重量%含有する水溶液を、ポリアクリル酸アンモニウム量がセリア100重量部に対して40重量部に相当する量だけ加え、更に30分間攪拌することにより、研磨材を7.5重量%含有する水分散体である濃縮液(1)を得た。
濃縮液(1)の少量を採り、コロジオン膜に塗布して乾燥した後、四酸化オスミウムで染色し、透過型電子顕微鏡(TEM)写真を撮影した。この写真を図2に示す。図2(a)はTEM画像であり、図2(b)はTEM画像観察のための参考図である。図2を見ると、この研磨材は、セリアと有機重合体粒子とがポリアクリル酸アンモニウムを介して集合してなることが理解される。図2(a)において、セリアは最も黒く見え(図2(b)において黒く塗りつぶした部分に相当。)、有機重合体粒子は半透明の球形に見え(図2(b)における白抜きの縁の部分に相当。)、セリアと有機重合体粒子を取り巻くアメーバ状に見える半透明の部分がポリアクリル酸アンモニウムである(図2(b)における斜線で示した部分に相当。)。また、ポリアクリル酸アンモニウムの中に少量の微細なセリアが存在している。
調製例1において、当初の水分散体中のセリア含有量ならびにポリオルガノシロキサン、カチオン性有機重合体粒子およびアニオン性水溶性化合物の種類および量を表2に記載のとおりとしたほかは調製例1と同様にして実施し、濃縮液(2)〜(4)を調製した。
(B−1):SN−DEFOAMER 381(商品名、サンノプコ(株)製、ポリオルガノシロキサンおよびシリカを含有するエマルジョンの水系分散体である。10ppm希釈時の表面張力=31mN/m)
(B−2):SN−500E(商品名、サンノプコ(株)製、ポリオルガノシロキサンおよびシリカを含有するエマルジョンの水系分散体である。10ppm希釈時の表面張力=37mN/m)
(B−3):TSA730(商品名、GE東芝シリコーン(株)製、ポリオルガノシロキサンおよびシリカを含有するエマルジョンの水系分散体である。10ppm希釈時の表面張力=34mN/m)
上記における10ppm希釈時の表面張力とは、各ポリオルガノシロキサンをそれぞれ脱イオン水で希釈してポリオルガノシロキサン濃度を10ppmとした希釈液につき、(株)離合社製デジタルテンショメーターを用いて白金リング法により25℃で測定した表面張力である。
また、(D)成分欄の略称は、それぞれ以下を表わす。
(D)アニオン性水溶性化合物;
PAAA:ポリアクリル酸アンモニウム、Mw=6,000。
DBSA:ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム。
なお、(B)ないし(D)成分の添加量は、いずれもセリア100重量部に対する重量部である。
容器にイオン交換水を入れ、これに第一稀元素化学工業(株)製のセリアゾルCESL−40N(平均粒子径:40nm、セリア含有量:20重量%)を加え、セリアを6.3重量%含有する水分散体を調製した。ここに、Mw10,000のポリアクリル酸アンモニウムを10重量%含有する水溶液を、ポリアクリル酸アンモニウムの量がセリア100重量部に対して40重量部に相当する量だけ加えて10分間攪拌した。これを孔径5μmのポリプロピレン製デプスフィルターで濾過し、セリアを5重量%含有する化学機械研磨用水系分散体の研磨材濃縮液を得た。
比較調製例2(比較濃縮液(2)の調製)
炭酸セリウムを空気中、800℃で4時間加熱し、セリアを得た。このセリアをイオン交換水と混合してジルコニアビーズを使用したビーズミルで粉砕した。これを24時間静置した後、セリアのうち上部の90重量%相当分を分取することにより分級し、31.6重量%のセリアを含む水分散体を得た。
このセリア水分散体をCESL−40Nの代わりに用いた以外は比較例1と同様にして、セリアを5重量%含有する化学機械研磨用水系分散体の研磨材濃縮液を得た。
比較調製例3〜6(比較濃縮液(3)〜(6)の調製)
調製例1において、(B)ポリオルガノシロキサンを添加しなかった以外は、調製例1と同様にして実施し、セリアを含む水分散体を得た。
上記で調製した水分散体に、それぞれ下記のとおりのポリオルガノシロキサンを添加することにより、比較濃縮液(3)〜(6)を調製した。
比較濃縮液(3):SN−DEFOAMER 381、ポリオルガノシロキサン量として、セリア100重量部に対して0.002重量部に相当する量。
比較濃縮液(4):SN−DEFOAMER 381、ポリオルガノシロキサン量として、セリア100重量部に対して20重量部に相当する量。
比較濃縮液(5):SN−500E、ポリオルガノシロキサン量として、セリア100重量部に対して0.002重量部に相当する量。
比較濃縮液(6):SN−500E、ポリオルガノシロキサン量として、セリア100重量部に対して20重量部に相当する量。
(1)化学機械研磨用水系分散体の調製
上記で調製した化学機械研磨用水系分散体の研磨材濃縮液(1)を、研磨材の含有量が0.5重量%となるようにイオン交換水で希釈して化学機械研磨用水系分散体を調製した。
(2)表面張力の測定
上記希釈後の化学機械研磨用水系分散体につき、(株)離合社製デジタルテンショメーター、型式「RTM01DC」を用いて、白金リング法による表面張力を25℃において測定したところ、32mN/mであった。
(3)化学機械研磨試験
上記の調製した化学機械研磨用水系分散体(希釈後のもの)を使用して、以下の条件下、直径8インチの熱酸化膜つきウェハを被研磨体として化学機械研磨を行った。
研磨装置:(株)荏原製作所製、型式「EPO−112」
研磨パッド:ロデール・ニッタ(株)製、「IC1000/SUBA400」
水系分散体供給速度:200mL/分
定盤回転数:100rpm
研磨ヘッド回転数:107rpm
研磨ヘッド押し付け圧:350hPa
被研磨体である直径8インチの熱酸化膜つきウェハにつき、その研磨前の膜厚を光干渉式膜厚計「NanoSpec 6100」(ナノメトリクス・ジャパン(株)製)によって予め測定した後、上記の化学機械研磨試験条件にて1分間研磨を行った。研磨後の被研磨体の膜厚を、研磨前と同じ光干渉式膜厚計を用いて測定し、研磨前の膜厚との差、すなわち化学機械研磨により減少した膜厚を求めた。ここで減少した膜厚および研磨時間から研磨速度を算出した。評価結果を表3に示した。なお、研磨速度が400nm/分を超えると研磨速度は極めて良好であり、200〜400nm/分のとき研磨速度は良好であり、200nm/分未満のとき研磨速度は不良と判定できる。
<スクラッチ評価方法>
研磨後の被研磨面につき、ケーエルエー・テンコール(株)製のウェハ欠陥検査装置「KLC351」により欠陥検査した。先ず、ピクセルサイズ0.39μm、敷居値(threshold)20の条件でウェハ被研磨面の全範囲について、「KLC351」が「欠陥」としてカウントした数を計測した。次いで、これら「欠陥」を順次に装置のディスプレイ上に表示し、それぞれの「欠陥」がスクラッチであるか否かを分類することにより、ウェハ全面のスクラッチ数を計測したところ、スクラッチ数は6個/ウェハであった。なお、ウェハ欠陥検査装置が欠陥としてカウントしたもののうち、スクラッチでないものとは、例えば付着したゴミ、ウェハ製造時に発生したシミ等を挙げることができる。
実施例1の「(1)化学機械研磨用水系分散体の調製」において、それぞれ表3に記載の濃縮液を用い、研磨材の含有量がそれぞれ表3に記載の値となるようにイオン交換水で希釈して化学機械研磨用水系分散体を調製し、実施例1と同様にして化学機械研磨試験に供した。結果を表3に示した。
なお、比較例1においては、研磨速度が低すぎて実用に適さないことが明らかだったので、スクラッチの評価は行わなかった。
比較例7
上記比較調製例2で調製した31.6重量%のセリアを含む水分散体および上記合成例1で調製した有機重合体粒子(a)を含む水分散体を混合し、イオン交換水によって希釈して、セリア0.5重量%および有機重合体粒子(a)0.1重量%を含む化学機械研磨用水系分散体を調製した。
この化学機械研磨用水系分散体を用いて実施例1と同様にして化学機械研磨試験を行った結果を表3に示した。
比較例8
化学機械研磨用水系分散体中の有機重合体粒子(a)の含有量を0.2重量%になるようにした他は比較例7と同様にして化学機械研磨用水系分散体を調製し、化学機械研磨試験を行った。結果を表3に示した。
実施例1で調製した化学機械研磨用水系分散体(希釈後のもの)を用い、被研磨体として864CMP(アドバンスマテリアルズテクノロジー社製のテスト用ウェハ。図1に示した模式図に相当する断面構造を有する。)を用いたほかは実施例1と同様の条件で3分間化学機械研磨試験を行った。研磨試験中の定盤を回転するためのモーターの電流(Motor current)の時間変化を図3に示した。
図3の電流値の経時変化を見ると、研磨初期の不安定状態を脱した後増加傾向を示し、研磨開始後90秒ほどで最大値に達して減少傾向に転じた後、研磨開始約110秒に変曲点が見られる。
この時点が研磨終点であることを確認するために、上記と同種の被研磨体を用い、化学機械研磨装置の定盤を回転するモーターの電流値を追跡しつつ同一の研磨条件で研磨を行い、該電流値が上昇傾向から減少傾向へと転じ、変曲点が検出された時点で研磨を終了した。研磨後の被研磨面を光干渉式膜厚計「NanoSpec 6100」(ナノメトリクス・ジャパン(株)製)にて分析した結果、パターン密度30〜90%の100umピッチの各パターンにおける窒化シリコン層上の酸化シリコン層の厚さがほぼ0オングストロームであったことから、上記変曲点が現れた時点は研磨終点と一致することが分かった。
実施例10において、化学機械研磨用水系分散体として比較例2で調製した化学機械研磨用水系分散体(希釈後のもの)を用いたほかは実施例10と同様にして化学機械研磨試験を行った。研磨試験中のトルク電流を図3に示した。
比較例2で評価した研磨速度からは、実施例10の場合よりも短時間で終点に達するものと推定されるが、比較例9の電流値は想定される終点付近でも何らの傾向も示さずに、電流値の追跡によっては終点が検出できないことが分かった。
Claims (6)
- (A)セリアを含む無機粒子100重量部を含有する水系分散体に、(B)ポリオルガノシロキサン0.05〜5重量部、(C)カチオン性有機重合体粒子5〜100重量部および(D)アニオン性水溶性化合物5〜100重量部を順次に添加する工程を含むことを特徴とする、化学機械研磨用水系分散体の製造方法。
- (B)ポリオルガノシロキサンを、これを含有する乳濁液の状態で添加することを特徴とする、請求項1に記載の化学機械研磨用水系分散体の製造方法。
- (B)ポリオルガノシロキサンを含有する乳濁液が、さらにシリカを含有するものである、請求項2に記載の化学機械研磨用水系分散体の製造方法。
- 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法により製造された、化学機械研磨用水系分散体。
- 25℃において白金リング法により測定した表面張力が15〜55mN/mである、請求項4に記載の化学機械研磨用水系分散体。
- 請求項4に記載の化学機械研磨用水系分散体を用いて絶縁膜を研磨することを特徴とする、化学機械研磨方法。
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