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JP4779242B2 - エレクトレット繊維シート - Google Patents

エレクトレット繊維シート Download PDF

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JP4779242B2
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正明 武田
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエレクトレット繊維シートに関し、さらに詳しくは、特にエアフィルターとして高い塵埃捕集効率を発揮する高性能のエレクトレット繊維シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
エレクトレット化された繊維シートは、エアフィルターとして使用すると、低圧損で高い塵埃捕集性を示すため広く使用されている。このようなエレクトレット繊維シートを製造する従来の方法としては、合成繊維不織布等の繊維シートに高電圧を印加し、コロナ放電によりエレクトレット化するものが一般的であった(特開昭61−102476号公報等参照)。
【0003】
このようにコロナ放電法により製造されたエレクトレット繊維シートを、エアフィルターとして使用したときの塵埃捕集効率は99.5%程度になるため、かなりの高率である。しかしながら、このエレクトレット繊維シートについて、電荷が帯電している面積を測定してみると、繊維シート全面積の20〜30%程度である。まれに片面だけが片面全面積の50%以上になったものが出現するが、反対面は著しく低い帯電面積であるというアンバランス状態になっている。そのため、帯電パターンが全体に粗い状態になっており、塵埃捕集効率を上記レベル以上に向上させることには限界があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来のコロナ放電法のエレクトレット繊維シートでは達成不可能な高塵埃捕集特性を達成する高性能を有するエレクトレット繊維シートを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明のエレクトレット繊維シートは、繊維シートの表裏両面に正極性と負極性の両電荷が混在するように帯電し、該帯電部分の片面当たりの合計面積が表裏両面とも各面の全面積に対し50%以上であり、前記正極性と負極性の両電荷の少なくとも一方が島状の微小帯電パターンの分布からなり、該微小帯電パターン1個当たりの平均面積が0.01mm 2 以下で、かつ最大面積が0.05mm 2 以下であることを特徴とするものである。
【0006】
このように正極性と負極性の両電荷の帯電が混在し、その帯電部分の片面当たりの合計面積が表裏いずれの面とも各面の全面積の50%以上としたことにより、エアフィルターとしての塵埃捕集効率を、従来のコロナ放電法のエレクトレット繊維シートの99.5%程度のレベルから99.999%以上の高率にすることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のエレクトレット繊維シートは、非導電性を有する繊維材料からなるものであれば特に限定されない。例えば、合成繊維製の織物、編物、不織布などを挙げることができる。特に、エアフィルター用の場合には、合成繊維不織布が好ましく、中でもメルトブロー不織布が好ましい。
【0008】
非導電性シートの素材は、好ましくは、体積抵抗率が1012・Ω・cm以上、さらに好ましくは1014・Ω・cm以上の材料がよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイト、フッ素系樹脂、およびこれらの混合物などを挙げることができる。これらの中でも、ポリオレフィンまたはポリ乳酸を主体とするものはエレクトレット性能の点から好ましく、さらにポリプロピレンを主体とするものは一層好ましい。
【0009】
本発明のエレクトレット繊維シートは、上記のような非導電性繊維シートの表裏両面に正極性と負極性との両電荷を混在するように帯電し、かつその帯電部分の片面当たりの合計面積を表裏両面とも各面の全面積の50%以上、好ましくは70%以上になるようにしたものである。このように表裏両面とも帯電部分の合計面積を各面の50%以上にしたことにより、エアフィルターに使用する場合の塵埃捕集効率を99.999%以上の高レベルにすることができる。
【0010】
本発明において、正負両極性の電荷のうち、少なくとも一方は多数の島状の微小帯電パターンとして分布するように帯電するようにする。しかも、その微小帯電パターン1個当たりの面積は極力微細にし、平均面積が0.01mm2 以下、最大面積が0.05mm2 以下であるようにする。また、微小帯電パターンが繊維シート1mm2 当たりに存在する個数が20個以上であるようにすることが望ましい。
【0011】
島状の微小帯電パターンの形状としては特に限定されない。例えば、円、楕円、枝状、星形などを挙げることができる。このような微小帯電パターンを含む正負極性の両電荷が混在する形態としては、次の3通りのケースを挙げることができる。
【0012】
(1)正極性の電荷を海とし、その正電極電荷の海中に負極性の電荷の微小帯電パターンが多数緻密に分散するように混在するケース。
【0013】
(2)負極性の電荷を海とし、その負電極電荷の海中に正極性の電荷の微小帯電パターンが多数緻密に分散するように混在するケース。
【0014】
(3)正負両極性の電荷とも、それぞれ微小帯電パターンの形状になって緻密に混在するケース。
【0015】
上記3通りのケースのうち、特に負極性の電荷が微小帯電パターンを形成している(1)や(3)のケースが好ましい。正極性の微小帯電パターンを形成するよりも、負極性の微小帯電パターンの方が形成しやすく、エレクトレット繊維シートとして帯電維持性に優れているからである。一般に、帯電は電子の授受で行われ、繊維など電子を放出しにくい絶縁体の場合は、電子を受けること(微小放電などによる)によって発生する微小帯電、つまり負の微小帯電の方が起こりやすいためと考えられる。
【0016】
上記のように正負両極性の電荷を混在させた状態で少なくとも一方を微小帯電パターンにし、その微小帯電パターンの面積を極力微小にすると共に、単位面積当たりに多数存在させることにより、エレクトレット繊維シートにおける電荷の維持特性を向上し、寿命を延長することができる。つまり、正負両電荷が緻密に混在することにより、正負両電荷間で電界が閉じた状態になり、大気中や除電器からイオンが移動せずに帯電が中和されにくくなるため、繊維シート上での帯電状態を長時間保持できるようになるのである。
【0017】
本発明において、発明の特定に使用する帯電部分の面積、帯電パターンの個数等は、ダストフィギュア法により帯電部分を可視化することにより測定することができる。ダストフィギュア法とは静電気学会編「静電気ハンドブック」第一版、373頁に記載されるところであるが、帯電した着色微粒子(現像材)を帯電体に近接させ、静電気力で付着現像させることで可視化する方法である。
【0018】
本発明における帯電パターンの面積や個数の測定方法は、ダストフィギュア法により次のようにして行う。
【0019】
(1)現像材には、カラー複写機で使用されている一般の粉末トナーを使うものとし、繊維シートを現像する際、単糸間の隙間も十分現像させるため、現像材は繊維シート上に多量に振りかけた後、静電気力によらずに滞留している余分な現像材を振り払うようにする。上記現像材には、下記の赤色の正帯電性トナーと青色の負帯電性トナーを混合したものを使用する。可視化は湿度50%の環境下で行うものとする。
【0020】
正帯電性トナー(赤色):
粒径; 重量平均粒径 14.8μm(6μm以下;0.2重量%、25μm以上;1.8重量%)
比電荷; −1.2μC/g
負帯電性トナー(青色):
粒径; 重量平均粒径 12.5μm(6μm以下;0.8重量%、20μm以上;1.6重量%)
比電荷; −23.1μC/g
なお、ここで示したトナーの平均粒径は、 COULTER社製MULTISIZER II で、直径100μmのアパーチャーチューブを用いて測定した値である。また、比電荷については、ブローオフ法帯電量測定装置(東芝ケミカル製TB−500 型)により測定した値である。具体的には、被測定トナーと鉄粉キャリア(パウダーテック社のTSV-200R) をそれぞれ1:19の重量比で混ぜ合わせ、ボールミルにより5分攪拌した後の粉体サンプルを、前記帯電量測定装置の測定セル内に0.2gだけ入れ、ブロー圧0.5kg/cm2 、ブロー時間60秒とし、網目スクリーンに400メッシュのステンレスメッシュを使用して測定した値をトナーの重量(0.2g×1/20=0.01g)で割った値で求めている。
【0021】
(2)正/負帯電分布を可視化した繊維シートから、被写界深度0.1mm以上の光学顕微鏡を使用して拡大画像を得る。その拡大画像をデジタルデータ化したもの、或いはその拡大画像のハードコピー(A6版サイズ以上)をカラースキャナ(分解能300dpi以上,RGB各256階調)で読み取りデジタルデータ化したものを得る。
【0022】
(3)(2)のデジタルデータ化した画像から、フォトレタッチソフトにより正帯電部(青色)、負帯電部(赤色)および無帯電部(無色)の3領域に切り分ける。切り分ける色の中心値は、デジタル画像の中でトナーが付着している箇所および付着していない箇所の色情報をRGB或いはCMYKモードで抽出して、その値に決める。好ましくは、10点以上の平均値を採って決める方がよい。
【0023】
(4)(3)で切り分けた画像の負帯電部領域を無帯電部領域と同色化し、グレースケール変換および2値化変換を施すことにより正帯電部領域のみを黒色化(その他の部分は白色)した画像を作成する。負帯電部領域、無帯電部領域についても同様の処理により、その領域だけを黒色化した画像に作成する。
【0024】
(5)任意の黒画素(帯電部)を中心画素として、周囲8画素を調べ、黒画素があれば同じ塊に属するとみなす。この作業を全画素に対して行う。
【0025】
(6)1mm角の正方形画像について、(5)で検出した黒画素の塊がいくつあるかをカウントし、それぞれの塊の画素数を求める。但し、トナーが複数個連なって付着している部分を帯電部と見做す。従って、面積0.0002mm2 (12μm径円形粒子2個分の投影面積と同じ大きさ)以下の黒画素部はデータから削除する。
【0026】
(7)上記のように得たデータから1mm角の正方形画素中の正(および負)帯電領域のパターン数、平均面積および最大面積を算出する。
【0027】
(8)50cm以上の幅広のシートを製造する場合、帯電処理部において幅方向で5点以上をサンプリングし、各サンプルにおいて(1)〜(7)の作業により帯電領域のパターン数、平均面積および最大面積を求める。全サンプルのパターン数、平均面積および最大面積それぞれの平均値を求め、その平均値で評価する。
【0028】
上記のような高性能を有するエレクトレット繊維シートは、従来のコロナ放電法では得ることは難しい。特に好ましい方法としては、非導電性繊維シートを走行させながら、その片面にスリット状の吸引ノズルをシート幅方向を横切るように接触させて、その接触部の反対側のシート面を水面に接触又は浸漬させ、その状態で吸引ノズルから水がシート厚さ方向に貫通するように吸引して、水を非導電性繊維シート内に満遍なく浸透させ、これを乾燥処理することによってエレクトレット化する方法がよい。
【0029】
このように水を非導電性繊維シートの面方向及び厚さ方向の全てに満遍なく完全浸透させることにより、乾燥処理後の非導電性繊維シートを高性能なエレクトレットシートにすることができる。乾燥方法としては、従来公知の方法がいずれも適用可能である。例えば、熱風乾燥法、真空乾燥法、自然乾燥法等の方法が適用可能である。これらのうちでも熱風乾燥法は、連続処理が可能にであるため好ましい。
【0030】
また、本発明のエレクトレット繊維シートの製造に使用する非導電性シートには、ヒンダードアミン系添加剤及びトリアジン系添加剤の少なくとも1種を配合するとよい。このような添加剤を非導電性シートに含有させることにより、非導電性シートに対して特に高いエレクトレット性能を保持させることができる。
【0031】
上記2種類の添加剤のうちヒンダードアミン系添加剤としては、ポリ〔((6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)〕(チバガイギー製、キマソープ944LD)、ハコク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物(チバガイギー製、チヌピン622LD)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)(チバガイギー製、チヌピン144)などが挙げられる。
【0032】
また、トリアジン系添加剤としては、前述のポリ〔((6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)〕(チバガイギー製、キマソープ944LD)、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−((ヘキシル)オキシ)−フェノール(チバガイギー製、チヌピン1577FF)などを挙げることができる。これらのなかでも特にヒンダードアミン系添加剤が好ましい。
【0033】
非導電性シートに対するヒンダードアミン系添加剤又はトリアジン系添加剤の添加量は、特に限定されないが、好ましくは0.5〜5重量%の範囲にするのがよく、更に好ましくは0.7〜3重量%の範囲がよい。添加量が0.5重量%未満では、目的とする高レベルのエレクトレット性能を得ることは難しくなる。また、5重量%を超えるほど多く配合すると製糸性や製膜性を悪くし、かつコスト的にも不利になるので好ましくない。
【0034】
また、非導電性シートには、上記添加剤の他に、熱安定剤、耐候剤、重合禁止剤等の一般にエレクトレット加工品の非導電性シートに使用されている公知の添加剤を添加してもよい。
【0035】
本発明のエレクトレット繊維シートの製造において、非導電性シートに浸透させる水は、液体フィルター等により汚れを除去し、出来るだけ清浄にした水を使用するとよい。特に、イオン交換水、蒸留水、逆浸透膜濾過水などの純水が好ましい。純水の純度としては、導電率で103 μS/m以下であるものが好ましく、さらに好ましくは102 μS/m以下にしたものがよい。
【0036】
また、上記水には水溶性有機溶剤を添加したものを使用するとよい。水溶性有機溶剤を添加することにより、非導電性シートに対する水の浸透性を一層向上させることができる。水溶性有機溶剤としては、沸点が水の沸点より低いものが好ましい。すなわち、水溶性有機溶剤は、非導電性シートに対する水の浸透性を向上するために添加するので、一度シートに水を浸透させたら、なるべく早く気化させて乾燥することが好ましいからである。より好ましくは、水との沸点差が10℃以上ある水溶性有機溶剤がよい。
【0037】
水溶性有機溶剤の種類は、非導電性シートに対する水の浸透性を向上するものであれば特に限定されない。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン類のケトン類、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、その他アルデヒド類、カルボン酸類等を挙げることができる。特に、アルコール類またはケトン類は好ましく、特にアセトン、イソプロピルアルコール、エタノールのうちの少なくとも1種を用いるのが好ましい。さらに好ましくは、イソプロピルアルコールを主成分とするものが好ましい。
【0038】
水に対する水溶性有機溶剤の濃度は、浸透性を向上する効果を奏すれば特に限定はされないが、好ましくは3〜15重量%にするのがよい。特に、イソプロピルアルコールの場合は、3〜10重量%の範囲が好ましい。
【0039】
図1(A),(B)は、前述した本発明のエレクトレット繊維シートの製造方法を実施する装置を例示したものである。
【0040】
図1(A),(B)において、製布装置1では、メルトブロー紡糸機18から溶融ポリマーを圧縮加熱空気の噴射流と共に極細の短繊維として紡出し、それを下方のネットコンベア19上に捕集してシート状の非導電性繊維シートSを形成し、下流の浸透装置2に移送する。水槽21の水面に接するように走行するとき、その表面に当接させたスリット状の吸引ノズル22から水を吸引することにより、その吸引途中の水がシート内に浸透される。
【0041】
浸透装置2では、水槽21に供給管23から水が供給され、一時的に貯留されたのち上縁から溢流槽24に溢流し、排水管25から排水される。非導電性繊維シートSは、ガイドローラ26,26により片面(下面)を水槽21の水面に接触させながら走行し、その水面と接触する非導電性繊維シートSの上面側にスリット状の吸引ノズル22が幅方向に横切るように当接する。
【0042】
吸引ノズル22は吸引作用により非導電性繊維シートSの下面側に接する水を吸い上げ、水を非導電性繊維シートSの厚さ方向に貫通するように移動させて厚さ方向全体に水を満遍なく浸漬させる。スリット状の吸引ノズル22はシート幅方向に横切っているので、このシート厚さ方向の浸透作用がシート面全域に隅々まで実施される。
【0043】
水を浸透状態にした非導電性繊維シートSは、予め吸引ノズル3のサクション作用により余剰の水を絞り出された後、乾燥装置4に移送される。乾燥装置4には複数のガイドローラ41がジグザグ状に内設され、供給口42から加熱空気が供給され、排気口43から排出されることにより内部が加熱状態になっている。非導電性繊維シートSは、ガイドローラ41をジグザグ状に移動する間に乾燥され、エレクトレット化されたシートになって搬出され、ロール状に巻かれたエレクトレット化シート5になる。
【0044】
このようにして得られたエレクトレット化シートは、表裏両面に正極性と負極性の両電荷が混在するように帯電し、その帯電部分の片面当たりの合計面積は表裏両面とも各面の全面積に対し50%以上の高性能のエレクトレット化シートになっている。
【0045】
【実施例】
以下に説明する実施例において使用する帯電部の測定方法および特性値の測定法は、次のように行った。
【0046】
〔帯電部の測定方法〕
(1)前述の帯電特性を持つトナーで繊維シートの帯電分布を可視化。
【0047】
(2)光学顕微鏡で拡大観察。使用した光学顕微鏡はハイロックス社製マイクロハイスコープシステムで、ズームレンズは250倍ものを使用した。ビデオプリンターによりカラーの拡大画像のハードコピーを得た。得られた拡大画像をカラースキャナーで読み取りデジタルデータ化した。分解能は300dpi、RGB 各256 階調で、使用したスキャナーは独Linotype Hell 社 (Heidelberg Prepress ) のサファイアであった。
【0048】
(3)この画像データをフォトレタッチソフト(Photoshop ver.5.5J) で正帯電部(青)、負帯電部(赤)および無帯電部(無色)の3領域に切り分けた。切りわけはインデックスカラーモード変換コマンドを用いた。この時、置き換える色の中心色は青/赤トナー付着部分および未付着部分の色情報から、以下のように設定した。
【0049】
正帯電部:RGB=50,90,140
負帯電部:RGB=140,60,70
無帯電部:RGB=140,160,180
(4)この切り分けた画像の負帯電部領域を色域指定のコマンドにより選択し、選択部分を消去することで無帯電部領域と同色化する。グレースケールモード変換および2階調化を施すことにより正帯電部領域のみを黒色化(その他の部分は白色)したモノクロ2階調画像が得られる。負帯電領域、無帯電領域についても同様の処理でその領域だけ黒色化した画像を作成する。
【0050】
(5)これ以降の作業は独MVTec 社製の画像処理ソフトHALXON ver. 5 を使用した。ある任意の黒画素( 帯電部) を中心画素として、周囲8画素を調べ、黒画素があれば同じ塊に属するとみなす。この作業を全画面に対して行う。なお、画像縁部に接する帯電パターンを含めて測定した。
【0051】
〔捕集性能〕
図2に示す捕集性能測定装置で測定した。この捕集性能測定装置は、測定サンプルMをセットするサンプルホルダー11の上流側にダスト収納箱12を連結し、下流側に流量計13、流量調整バルブ14、ブロワ15を連結している。また、サンプルホルダー11にパーテクルカウンター16が設けられ、このパーテクルカウンター16を使用し、切替コック17を介して、測定サンプルMの上流側のダスト個数と下流側のダスト個数をそれぞれ測定することができる。
【0052】
捕集性能の測定に当たっては、径0.3μmのポリスチレン標準ラテックスパウダーをダスト収納箱12に充填し、サンプルMをホルダー11にセットし、風量をフィルター通過速度が6.5m/分になるように流量調整バルブ14で調整し、ダスト濃度を1万〜4万個/2.83×10-43 (0.01ft3 )の範囲で安定させ、サンプルMの上流のダスト個数Dおよび下流のダスト個数dをパーティクルカウンター16(リオン社製、KC−01B)で10回測定し、JIS K−0901に基づいて下記計算式にて捕集性能(%)を求めた。
【0053】
捕集性能(%)=〔1−(d/D)〕×100
ただし、d:下流のダスト個数
D:上流のダスト個数
〔平均繊維径〕
SEM写真により拡大した繊維100本について繊維径を測定し、その平均値を求めた。
【0054】
実施例1
原料として、メルトインデックスMIが700で、トリアジン系添加剤(チバガイギー製、キマソーブ944)を1%添加したポリプロピレンを使用し、また製造装置として図1の装置を使用し、まずメルトブロー法により、目付40g/m2 、平均繊維径2.0μmのメルトブロー不織布を製造し、引き続き逆浸透膜濾過水が供給される水槽の水面に沿って走行させながら、その表面にスリット状の吸引ノズルを当接させて水を吸引することにより浸透処理し、次いで水切り後に80℃で20分間熱風乾燥することにより、エレクトレット化されたメルトブロー不織布を得た。
【0055】
上記ようにして得られたエレクトレット化メルトブロー不織布は、表裏両面に正負両極性の電荷が下記の表1のように帯電していた。これをエアフィルターとして捕集性能を測定したところ、99.9997%であった。
【0056】
【表1】
Figure 0004779242
【0057】
比較例1
実施例1と同じメルトブロー不織布を原料として、高電圧印加装置により高電圧(+25kV)で印加処理した。
【0058】
得られたメルトブロー不織布は下記の表2のように帯電していた。これをエアフィルターとして捕集性能を測定したところ、99.5%であり、実施例1に比べて低いレベルであった。
【0059】
【表2】
Figure 0004779242
【0060】
【発明の効果】
上述したように本発明のエレクトレット繊維シートによれば、繊維シートの表裏両面に正極性と負極性の両電荷が混在するように帯電し、該帯電部分の片面当たりの合計面積が表裏両面とも各面の全面積に対し50%以上であるようにしたことにより、エアフィルターとしての塵埃捕集効率を、従来のコロナ放電法のエレクトレット繊維シートの99.5%程度のレベルから99.999%以上の高率にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエレクトレット繊維シートの製造方法を実施する装置の一例を示す概略図である。
【図2】捕集性能の測定装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 製布装置
2 浸透装置
21 水槽
22 吸引ノズル
4 乾燥装置
S 非導電性繊維シート

Claims (6)

  1. 繊維シートの表裏両面に正極性と負極性の両電荷が混在するように帯電し、該帯電部分の片面当たりの合計面積が表裏両面とも各面の全面積に対し50%以上であり、前記正極性と負極性の両電荷の少なくとも一方が島状の微小帯電パターンの分布からなり、該微小帯電パターン1個当たりの平均面積が0.01mm 2 以下で、かつ最大面積が0.05mm 2 以下であることを特徴とするエレクトレット繊維シート。
  2. 前記微小帯電パターンの繊維シート1mm2 当たりの個数が20個以上である請求項1に記載のエレクトレット繊維シート。
  3. 前記負極性の電荷が微小帯電パターンを形成している請求項1または2に記載のエレクトレット繊維シート。
  4. 前記繊維シートが合成繊維不織布からなる請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトレット繊維シート。
  5. 前記合成繊維不織布がポリプロピレンが主体の繊維からなる請求項4に記載のエレクトレット繊維シート。
  6. 前記繊維シートがヒンダードアミン系添加剤及びトリアジン系添加剤の少なくとも1種を0.5〜5重量%含有する請求項1〜5のいずれかに記載のエレクトレット繊維シート。
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