JP4699158B2 - 色変換層形成用塗工液 - Google Patents
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Description
また、色変換層形成用塗工液を塗布し焼成することにより色変換層を形成する場合には、超微粒子特有のサイズ効果により、焼結温度を低温化することができ、色変換層の耐熱温度以下での焼成が可能となる。これにより、熱による蛍光材料の劣化を防ぐことができる。
さらに、上記超微粒子が、インジウム、アルカリ金属、およびアルカリ土類金属からなる群から選択される少なくとも1種の超微粒子であることも好ましい。インジウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属は酸化性が高いため、比較的低い温度での焼成でも酸化が促進されるからである。
また、色変換層にバインダー樹脂を用いないので、バインダー樹脂が蛍光材料との相互作用により劣化するのを回避し、この劣化による色調変化を防ぐことができる。さらに、色変換層中では超微粒子により蛍光材料の分散状態が良く、発光特性を向上させることができる。
さらに、ダークスポットの発生を抑制することができるので、従来のような厚膜のバリア層を設ける必要がなく、低コスト化および歩留まり向上が図れる。
また、超微粒子および蛍光材料が溶剤に分散もしくは溶解された超微粒子分散液からなる色変換層形成用塗工液を塗布し焼成することにより色変換層を形成する場合には、超微粒子特有のサイズ効果により、焼結温度を低温化することができ、色変換層の耐熱温度以下での焼成が可能である。
また、上記超微粒子が、表面が酸化された状態である、インジウム、アルカリ金属、およびアルカリ土類金属からなる群から選択される少なくとも1種の超微粒子であることも好ましい。インジウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属は酸化性が高いため、比較的低い温度での焼成でも酸化が促進されるからである。
また、超微粒子特有のサイズ効果により、通常の焼結温度よりも低温で焼成することができ、色変換層の耐熱温度以下での焼成が可能となる。
まず、本発明の色変換層形成用塗工液について説明する。
本発明の色変換層形成用塗工液は、超微粒子および蛍光材料が溶剤に分散もしくは溶解された超微粒子分散液からなることを特徴とするものである。
また、色変換層形成用塗工液を塗布し焼成することにより色変換層を形成する場合には、超微粒子特有のサイズ効果により、焼結温度を低くすることができ、色変換層の耐熱温度以下での焼成が可能となる。これにより、熱による蛍光材料の劣化を防ぐことができる。
さらに、蛍光材料の分散状態が悪いと蛍光材料の凝集によって濃度消光が起こるおそれがあるが、超微粒子の分散性が良く、超微粒子により蛍光材料を凝集させることなく分散できるので、優れた発光特性を得ることができる。
以下、色変換層形成用塗工液の各構成成分について説明する。
本発明において、「超微粒子」とは、平均粒径が100nm以下の無機材料からなる微粒子であり、分散媒中で個々に独立して均一に分散する微粒子をいう。なお、このような超微粒子については、特開2000−121437公報や特開2005−81501公報等を参照することができる。
本発明に用いられる超微粒子は、絶縁性を有するものであることが好ましく、さらには透明性を有することが好ましい。一般に、色変換層は絶縁性を有するものであり、また透過性が求められるからである。このような超微粒子としては、例えば無機酸化物、無機窒化物、および無機酸化窒化物の超微粒子を挙げることができる。具体的に、無機酸化物としては、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化ゲルマニウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化ナトリム、酸化リチウム、酸化カリウム等が挙げられる。無機窒化物としては、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、炭化窒化ケイ素等が挙げられる。また、無機酸化窒化物としては、酸化窒化ケイ素等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、無機酸化物および無機窒化物の混合系であってもよい。
ここで、焼結とは、超微粒子の集合体を高温に加熱した場合に、焼き固まって緻密な多結晶体となる現象をいう。超微粒子は、熱力学的に非平衡な状態にあり、表面積を減少する方向に物質移動が起こり、その結果、粒子と粒子の間に結合が生じて緻密化する。つまり、焼結の駆動力は、系の表面エネルギーを最小にしようとする力である。また、焼結温度とは、超微粒子の溶融点以下の温度で超微粒子の集合体を加熱したときに、超微粒子同士が緻密化して焼き固まる温度をいう。
なお、上記焼結温度は、示差熱分析(DTA:differential thermal analysis)により測定することができる。DTAでは、試料と基準物質(一般的にはアルミナ)との温度差を測定して、転移温度を求めることができるものであり、試料および基準物質に熱を加えたときに生じる温度差(試料と基準物質との温度差で判断する)により、焼結温度を求めることができる。すなわち、試料および基準物質を同一雰囲気にて加熱した場合に、基準物質の温度が上昇しているのに対して、試料の温度が上昇していない場合には、超微粒子の焼結に熱が費やされており、吸熱現象が起きているということができる。したがって、吸熱現象が見られる温度、すなわちDTA曲線における吸熱開始温度を、本発明でいう焼結温度とする。上記焼結温度の測定には、リガク製のTG−DTA装置(TG 8120)を用いることとする。
ここで、平均粒径とは、一般に粒子の粒度を示すために用いられるものであり、レーザー法とは、粒子を溶媒中に分散し、その分散溶媒にレーザー光線を当てて得られた散乱光を細くし、演算することにより、平均粒径、粒度分布等を測定する方法である。なお、上記平均粒径は、レーザー法による粒径測定機として、リーズ&ノースラップ(Leeds & Northrup)社製 粒度分析計 マイクロトラックUPA Model-9230を使用して測定した値である。
液相還元法などの化学還元法で得られた金属超微粒子を用いて超微粒子分散液を製造する場合においては、化学還元による金属超微粒子生成後に分散剤を添加してもよく、また原料に分散剤を添加してもよい。後者の場合には、より分散安定性の良い超微粒子分散液が得られる。
金属超微粒子を製造するための原料としては、金属含有有機化合物が用いられ、例えばビスヘキサフルオロアセチルアセトネート銅、ビスアセチルアセトネートニッケル、ビスアセチルアセトネートコバルトなどを挙げることできる。
なお、液相還元法による超微粒子の作製方法ついては、特開2005−81501公報および特開2002−121606公報を参照することができる。
本発明に用いられる蛍光材料は、光を吸収し、可視光領域蛍光を発光するものであり、入射光を赤色光、緑色光、または青色光とすることができるものであれば、特に限定されるものではない。蛍光材料としては、例えば蛍光色素、蛍光顔料、蛍光染料等を用いることができる。また蛍光材料は、有機蛍光材料であってもよく無機蛍光材料であってもよいが、蛍光の色が鮮明であることから有機蛍光材料を用いることが好ましい。
ここで、蛍光材料が有機物であっても、色変換層に含まれる蛍光材料の量は、超微粒子の含有量に比べて非常に少ないため、有機蛍光材料からの脱ガス成分は微量であり、ダークスポットの大きな原因にはならないと考えられる。また、本発明の色変換層形成用塗工液を用いて色変換層を形成した場合、色変換層内では有機蛍光材料が無機材料からなる超微粒子に包含されている状態となっており、有機蛍光材料から発生するガスを超微粒子がブロックするので、色変換層内からガスが放出されにくくなる。したがって、本発明の色変換層形成用塗工液を用いることにより、ダークスポットだけでなく、発光層の画素縮小や輝度の低下も抑制することができる。
例えば有機EL表示装置における発光層として青色発光層が用いられる場合には、青色または青緑色領域の光を吸収して赤色領域の蛍光を発する蛍光色素が用いられる。また、青色または青緑色領域の光を吸収して緑色領域の蛍光を発する蛍光色素も用いられる。
また例えば有機EL表示装置における発光層として白色発光層が用いられる場合には、通常、白色発光が青色領域および赤色領域の光で構成されることから、青色または青緑色領域の光を吸収して緑色領域の蛍光を発する蛍光色素が用いられる。
また、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
また、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
これらの蛍光色素や蛍光顔料は単独で用いてもよく、蛍光の色相を調整するために2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられる溶剤としては、使用する超微粒子によって適宜選択されるものであり、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、テルピネオール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル等のエステル類;メトキシエタノール、エトキシエタノール等のエーテルアルコール類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド等の酸アミド類;ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、トリメチルペンタン等の長鎖アルカン;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の環状アルカン;などを挙げることができる。さらに、水を用いることもできる。
これらは、単独で用いても、混合溶剤として用いてもよい。例えば、長鎖アルカンの混合物であるミネラルスピリットであってもよい。
このような溶剤としては、上記の中でも、テルピネオール、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ドデシルベンゼン、ミネラルスピリットなどが好ましく用いられる。
本発明においては、色変換層形成用塗工液が分散剤を含有していてもよい。分散剤が超微粒子の周囲を取り囲むように付着するため、超微粒子の分散性を向上させることができるからである。その結果、蛍光材料の分散性も向上する。
本発明に用いられる分散剤としては、特に限定されるものではなく、例えばアルキルアミン、カルボン酸アミド、アミノカルボン酸塩等が挙げられる。
このようなアルキルアミンとしては、例えばブチルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘクサドデシルアミン、オクタデシルアミン、ココアミン、タロウアミン、水素化タロウアミン、オレイルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン等の第1級アミン;ジココアミン、ジ水素化タロウアミン、ジステアリルアミン等の第2級アミン;ドデシルジメチルアミン、ジドデシルモノメチルアミン、テトラデシルジメチルアミン、オクタデシルジメチルアミン、ココジメチルアミン、ドデシルテトラデシルジメチルアミン、トリオクチルアミン等の第3級アミンなどが挙げられる。また、ナフタレンジアミン、ステアリルプロピレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナンジアミン等のジアミンも用いることができる。
本発明の色変換層形成用塗工液の製造方法としては、特に限定されるものではなく、例えばガス中蒸発法により超微粒子を作製し、得られた超微粒子が溶剤に分散された分散液に、後から蛍光材料を添加してもよく、またガス中蒸発法により超微粒子を作製する際に、蛍光材料と溶剤とを含有する溶液を用いて、超微粒子および蛍光材料が溶剤に分散もしくは溶解された分散液を得てもよい。なお、後者の方法については、後述する「B.色変換層形成用塗工液の製造方法」の項に詳しく記載するので、ここでの説明は省略する。
また、超微粒子分散液の表面張力は、25〜80mN/mであることが好ましく、中でも30〜60mN/mであることが好ましい。表面張力が上記範囲であれば、本発明の色変換層形成用塗工液をインクジェット用インクとして用いるためのインク特性を十分に満足することができるからである。
次に、本発明の色変換層形成用塗工液の製造方法について説明する。
本発明の色変換層形成用塗工液の製造方法は、ガス雰囲気中で、かつ、蛍光材料および溶剤を含有する溶液の蒸気の存在下で超微粒子の構成成分を蒸発させ、上記超微粒子の構成成分の蒸気と上記溶液の蒸気とを接触させ、冷却捕集して、上記溶剤に超微粒子および蛍光材料が分散もしくは溶解した超微粒子分散液を得ることを特徴とするものである。
このように本発明はガス中蒸発法を用いて超微粒子を作製するものであり、粒度の揃った超微粒子を得ることができる。
また、超微粒子の分散安定性を増すために、分散剤を添加してもよい。これにより、超微粒子が個々に独立して均一に分散され、かつ、流動性のある状態が保持されるようになる。
なお、超微粒子、蛍光材料、溶剤、および分散剤については、上記「A.色変換層形成用塗工液」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、金属の超微粒子は、低真空ガス中蒸発法で製造され得るものであり、この方法によれば粒径100nm以下の粒度の揃った金属の超微粒子を製造することができる。このような金属の超微粒子を原料とし、色変換層形成用塗工液、特にインクジェット用インクとしての用途に適したようにするために、溶剤置換を行っているので、金属の超微粒子が個々に独立して均一に分散され、かつ、流動性のある状態を保持している、インクジェット用インクに適した色変換層形成用塗工液が得られる。すなわち、このようにして製造された超微粒子分散液は、インクジェット用インクとしての優れたインク特性を有する。
さらに、ガス中蒸発法の際に用いる金属の超微粒子生成用の溶剤と、色変換層形成用塗工液に用いる溶剤とで、異なる(例え同一であっても、純度が違うなど)溶剤を使用しなければならない場合があるが、本態様では第1溶剤と第3溶剤とを異なるものとすることができるので、有利である。
次に、第2工程において、第1工程で得られた分散液に低分子量の極性溶剤である第2溶剤を加えて分散液中に含まれた金属の超微粒子を沈降させ、その上澄み液を静置法やデカンテーションなどにより除去して第1工程で使用した第1溶剤を除去する。この第2工程を複数回繰り返して、第1溶剤を実質的に除去する。
そして、第3工程において、第2工程で得られた沈降物に新たな第3溶剤を加えて、溶剤置換を行い、超微粒子分散液を得る。これにより、粒径100nm以下の金属の超微粒子が独立状態で分散している超微粒子分散液が得られる。
次に、本発明の有機EL素子用基板について説明する。
本発明の有機EL素子用基板は、基板と、上記基板上に形成され、超微粒子中に蛍光材料を分散させた色変換層とを有することを特徴とするものである。
図1は、本発明の有機EL素子用基板の一例を示す概略断面図である。図1に示すように、有機EL素子用基板10は、基板1上に色変換層2が形成されたものである。
また本発明においては、色変換層にバインダー樹脂を用いないので、バインダー樹脂と蛍光材料との相互作用等による色調変化を回避することができる。さらに、バインダー樹脂を用いないので、バインダー樹脂の影響により、蛍光材料の蛍光性能が劣化するのを回避することができ、性能向上が期待できる。
さらに本発明においては、ダークスポットの発生を抑制することができるので、従来のような厚膜のバリア層を設ける必要がないため、低コスト化および歩留まり向上が図れる。
以下、有機EL素子用基板の各構成について説明する。
本発明に用いられる色変換層は、超微粒子中に蛍光材料を分散させたものである。
色変換層は、本発明の有機EL素子用基板を用いて有機EL表示装置とした際に、有機EL素子の発光層から発せられる光を吸収し、可視光領域蛍光を発する層であり、発光層からの光を赤色、緑色、または青色とすることができるものであれば、特に限定されるものではない。
色変換層が金属の超微粒子を含有する場合には、導電性を有することとなるので、後述するように色変換層上に絶縁性を有する平坦化層が形成されていることが好ましい。本発明の有機EL素子用基板を有機EL表示装置に用いる場合には、色変換層上に透明電極層等が形成されるためである。
なお、上記平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察写真(高倍率)により確認することができる。
なお、色変換層の形成方法については、後述する「D.有機EL素子用基板の製造方法」の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
さらに、この透過パターンは、超微粒子が溶剤に分散された超微粒子分散液を塗布し焼成することによって形成されたものであることが好ましい。すなわち、透過パターンは、超微粒子で形成された塗膜であることが好ましい。超微粒子特有のサイズ効果によって焼結温度を色変換層の耐熱温度以下まで低くすることができるからである。
本発明においては、図2に例示するように基板1と色変換層2との間に着色層3が形成されていてもよい。着色層は、本発明の有機EL素子用基板を用いて有機EL表示装置とした際に、色変換層を透過した光の色調をさらに調整する層である。図2に例示するように、一般に、着色層3は赤色着色パターン3R、緑色着色パターン3Gおよび青色着色パターン3Bから構成され、色変換層の各色変換パターンと対応した位置に、それぞれ各着色パターンが形成される。このような着色層が形成されることにより、本発明の有機EL素子用基板を有機EL表示装置に用いた場合、高純度な発色とすることができ、色再現性の高いものとすることができる。
着色層に用いられる着色剤としては、顔料を用いることができ、有機顔料であっても無機顔料であってもよい。
赤色着色パターンに用いられる顔料としては、例えばペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料等を挙げることができる。これらの顔料は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
緑色着色パターンに用いられる顔料としては、例えばハロゲン多置換フタロシアニン系顔料、ハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等を挙げることができる。これらの顔料は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
青色着色パターンに用いられる顔料としては、例えば銅フタロシアニン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等を挙げることができる。これらの顔料は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記顔料は、通常は各着色パターン中にそれぞれ通常5〜50重量%の範囲内で含有される。
着色層に用いられる超微粒子としては、上記色変換層に用いられる超微粒子と同様のものを使用することができる。
また、この場合に用いられる着色剤としては、顔料を用いることができ、有機顔料であっても無機顔料であってもよい。ここで、有機顔料を用いた場合でも、着色層に含まれる着色剤の量は超微粒子の含有量に比べて少なく、本発明においては色変換層が超微粒子中に蛍光材料を分散させたものであり、ある程度のバリア性を有している。したがって、着色層が有機顔料を含んでいたとしても、ダークスポットの大きな原因にはならないと考えられる。また、着色層内では有機顔料が無機材料からなる超微粒子に包含されている状態となっており、有機顔料から発生するガスを超微粒子がブロックするので、着色層内からガスが放出されにくくなる。
着色剤としては、上述したものを用いることができる。この場合、顔料は、有機顔料であるか無機顔料であるかによって異なるが、通常は各着色パターン中にそれぞれ通常5〜50重量%の範囲内で含有される。
本発明においては、例えば図3に示すように各色変換パターン2R,2G,2B間に遮光部5が形成されていてもよい。ブラックマトリクス等の遮光部を設けることにより、本発明の有機EL素子用基板を用いて有機EL表示装置とした際に、コントラストを向上させることが可能となるからである。また、遮光部の厚みを色変換層の厚みと同一または同程度とすることにより、色変換パターンによる凹凸を平坦化することができる。これにより、本発明の有機EL素子用基板を有機EL表示装置に用いた場合には、電極間の短絡を防ぐことが可能となる。
中でも、クロム等の薄膜からなる遮光部、または、超微粒子中に上記黒色着色剤を分散させた遮光部は、低脱ガス性に優れるという利点を有する。
一方、黒色着色剤を含有する樹脂組成物は、遮光性を有するものであればよく、十分な熱処理を行うことができるので、遮光部形成時に脱ガス成分を除去することができる。
遮光部に用いられる超微粒子としては、上記色変換層に用いられる超微粒子と同様のものを使用することができる。
クロム等を用いた場合には例えばスパッタリング法や真空蒸着法等により薄膜を形成し、フォトリソグラフィー法を利用してパターン状に形成することができる。また、無電界メッキ法や印刷法等を用いて形成することもできる。
さらに、超微粒子中に黒色着色剤を分散させた遮光部を形成する場合には、上記色変換層の場合と同様に、超微粒子および黒色着色剤が溶剤に分散された超微粒子分散液からなる着色層形成用塗工液を塗布し焼成することによって遮光部を形成することができる。
本発明においては、各色変換パターンによる凹凸を埋めるように平坦化層が形成されていてもよい。また、着色層が形成されている場合には、図4に例示するように各色変換パターン2R,2G,2Bおよび各着色パターン3R,3G,3Bによる凹凸を埋めるように平坦化層6が形成されていてもよい。さらに、遮光部が形成されている場合には、図5に例示するように遮光部5上に平坦化層6が形成されることとなる。平坦化層は、着色層や色変換層の表面の凹凸を平坦にする目的や、着色層や色変換層を保護する目的等で設けられる。さらに、着色層や色変換層が導電性を有する場合には、絶縁性を有する平坦化層を形成して、透明電極層等と絶縁するという目的もある。
平坦化層に用いられる超微粒子としては、上記色変換層に用いられる超微粒子と同様のものを使用できる。
本発明に用いられる基板は、本発明の有機EL素子用基板を用いて有機EL表示装置とした際に基板側から光を取り出すため、透明であることが好ましい。また、基板は、耐溶媒性、耐熱性を有し、寸法安定性に優れているものであることが好ましい。これにより、基板上に色変換層等を形成する際にも安定なものとすることができるからである。
さらに、透明な基板としては、上述した有機材料と、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエーテルスルフォン系樹脂等と2種以上併せて用いることができる。
本発明においては、上記色変換層上にバリア層が形成されていてもよい。上記平坦化層が形成されている場合には、平坦化層上にバリア層が形成される。バリア層を設けることにより、有機EL素子用基板のバリア性を高めることができる。特に、上記着色層にバインダー樹脂を用いた場合や、上記平坦化層に樹脂を用いた場合には、バリア層を形成することが好ましい。
これらの中でも、酸化ケイ素、窒化ケイ素、および酸化窒化ケイ素からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく用いられる。これらの材料は、製造の安定性が高く、コスト的にも有利であるからである。
次に、本発明の有機EL素子用基板の製造方法について説明する。
本発明の有機EL素子用基板の製造方法は、基板上に、上述した色変換層形成用塗工液を塗布し、焼成して、色変換層を形成する色変換層形成工程を有することを特徴とするものである。
また本発明においては、超微粒子特有のサイズ効果により、超微粒子が一般的な焼結温度よりもはるかに低温で緻密に焼結するため、色変換層の耐熱温度以下での焼成が可能である。これにより、熱による蛍光材料の劣化を防ぐことができる。
以下、有機EL素子用基板の製造方法の各工程について説明する。
本発明における色変換層形成工程は、基板上に、超微粒子および蛍光材料が溶剤に分散もしくは溶解された超微粒子分散液からなる色変換層形成用塗工液を塗布し、焼成して、色変換層を形成する工程である。
なお、色変換層形成用塗工液については、上記「A.色変換層形成用塗工液」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
また、焼成時間についても、使用する超微粒子の種類等によって適宜選択されるものであるが、通常は10分〜1時間程度であり、好ましくは15分〜30分である。
不活性ガス雰囲気としては、例えば希ガス、二酸化炭素、窒素等の不雰囲気が挙げられる。
還元性雰囲気としては、例えば水素、一酸化炭素、低級アルコール等の雰囲気が挙げられる。低級アルコールとしては、炭素数が1〜6の低級アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等が挙げられる。
また、真空雰囲気が、例えば希ガス、二酸化炭素、窒素等の不活性ガス;酸素、水蒸気等の酸化性ガス;水素、一酸化炭素、低級アルコール等の還元性ガス;または上記不活性ガスと酸化性ガスもしくは還元性ガスとの混合ガス;を含んでいてもよい。真空雰囲気の場合に酸化性ガスを導入すると、超微粒子は酸化せずに、超微粒子に付着している有機化合物(溶剤や分散剤)だけを燃焼させる効果がある。真空状態は、単にポンプで引いただけでもよく、また一旦ポンプ引きした後、不活性ガス、還元性ガス、酸化性ガスを導入してもよい。真空雰囲気中での焼成は、通常、10−5〜103Pa程度で行うことができる。
さらに、酸化性雰囲気中での焼成後、還元性雰囲気中で焼成してもよい。
また、焼成時に紫外線照射を行ってもよい。時間短縮・低温化の面でさらに効果がある。焼成では、大気圧プラズマ等を用いた、いわゆるプラズマ焼結を用いることもできる。
またこの場合、各色変換パターンごとに塗布、乾燥、焼成、およびレジスト法によるパターニングを繰り返し行ってもよく、また各色変換パターンごとに塗布、乾燥、およびレジスト法によるパターニングを繰り返し行った後、色変換層全体を焼成してもよい。
またこの場合、各色変換パターンごとに塗布、乾燥、焼成を繰り返し行ってもよく、また各色変換パターンごとに塗布、乾燥を繰り返し行った後、色変換層全体を焼成してもよいが、工程上の簡便さから、各色変換パターンごとに塗布、乾燥を繰り返し行った後、色変換層全体を焼成することが好ましい。
上記の吐出法や印刷法では、超微粒子は、上記「A.色変換層形成用塗工液」の項に記載したものであれば、いずれも使用できる。
また、上述した中でも、製造工程が簡便であることから、インクジェット法が好ましく用いられる。
本発明においては、上記色変換層形成工程前に、基板上に遮光部を形成する遮光部形成工程を行ってもよい。遮光部形成工程は、超微粒子および黒色着色剤が溶剤に分散された超微粒子分散液からなる遮光部形成用塗工液を塗布し、焼成して、遮光部を形成する工程であることが好ましい。上記色変換層形成工程の場合と同様に、低脱ガス性に優れる遮光部を形成することができるからである。
なお、超微粒子、および溶剤等については、上記「A.色変換層形成用塗工液」の項に記載したものと同様であり、黒色着色剤については、上記「C.有機EL素子用基板」の遮光部の項に記載したものと同様であり、また遮光部形成用塗工液の塗布方法、および焼成方法等については上記色変換層形成工程の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本発明においては、上記色変換層形成工程前に、基板上に着色層を形成する着色層形成工程を行ってもよい。着色層形成工程は、超微粒子および着色剤が溶剤に分散された超微粒子分散液からなる着色層形成用塗工液を塗布し、焼成して、着色層を形成する工程であることが好ましい。上記色変換層形成工程の場合と同様に、低脱ガス性に優れる着色層を形成することができるからである。
なお、超微粒子、および溶剤等については、上記「A.色変換層形成用塗工液」の項に記載したものと同様であり、着色剤については、上記「C.有機EL素子用基板」の着色層の項に記載したものと同様であり、また着色層形成用塗工液の塗布方法、および焼成方法等については上記色変換層形成工程の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本発明においては、上記色変換層形成工程後に、色変換層上に平坦化層を形成する平坦化層形成工程を行ってもよい。平坦化層形成工程は、超微粒子が溶剤に分散された超微粒子分散液からなる平坦化層形成用塗工液を塗布し、焼成して、平坦化層を形成する工程であることが好ましい。上記色変換層形成工程の場合と同様に、低脱ガス性に優れる平坦化層を形成することができるからである。
なお、超微粒子、および溶剤等については、上記「A.色変換層形成用塗工液」の項に記載したものと同様であり、また平坦化層形成用塗工液の塗布方法、および焼成方法等については上記色変換層形成工程の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
次に、本発明の有機EL表示装置について説明する。
本発明の有機EL表示装置は、上述した有機EL素子用基板と、上記有機EL素子用基板上に形成された透明電極層と、上記透明電極層上に形成され、少なくとも発光層を含む有機EL層と、上記有機EL層上に形成された背面電極層とを有することを特徴とするものである。
以下、このような有機EL表示装置の各構成について説明する。
本発明に用いられる有機EL層は、少なくとも発光層を含む1層もしくは複数層の有機層から構成されるものである。すなわち、有機EL層とは、少なくとも発光層を含む層であり、その層構成が有機層1層以上の層をいう。通常、塗布による湿式法で有機EL層を形成する場合は、溶媒との関係で多数の層を積層することが困難であることから、1層もしくは2層の有機層で形成される場合が多いが、溶媒への溶解性が異なるように有機材料を工夫したり、真空蒸着法を組み合わせたりすることにより、さらに多数層とすることも可能である。
以下、このような有機EL層の各構成について説明する。
本発明に用いられる発光層は、電子と正孔との再結合の場を提供して発光する機能を有するものである。上記発光層を形成する材料としては、通常、色素系発光材料、金属錯体系発光材料、または高分子系発光材料を挙げることができる。
本発明においては、透明電極層または背面電極層と発光層との間に電荷注入輸送層が形成されていてもよい。ここでいう電荷注入輸送層とは、上記発光層に透明電極層または背面電極層からの電荷を安定に輸送する機能を有するものであり、このような電荷注入輸送層を、透明電極層または背面電極層と発光層との間に設けることにより、発光層への電荷の注入が安定化し、発光効率を高めることができる。
本発明に用いられる正孔注入輸送層としては、発光層に正孔を注入する正孔注入層、および正孔を輸送する正孔輸送層のいずれか一方であってもよく、正孔注入層および正孔輸送層が積層されたものであってもよく、または、正孔注入機能および正孔輸送機能の両機能を有する単一の層であってもよい。
本発明に用いられる電子注入輸送層としては、発光層に電子を注入する電子注入層、および電子を輸送する電子輸送層のいずれか一方であってもよく、電子注入層および電子輸送層が積層されたものであってもよく、または、電子注入機能および電子輸送機能の両機能を有する単一の層であってもよい。
本発明に用いられる透明電極層および背面電極層は、互いに反対の電荷をもつ電極である。
透明電極層は、一般に透明性および導電性を有する金属酸化物の薄膜で構成される。このような金属酸化物としては、例えば酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化錫等が挙げられる。
また、背面電極層としては、一般に金属が用いられる。具体的には、マグネシウム合金(MgAgなど)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMgなど)、アルミニウム、アルカリ土類金属(Caなど)、アルカリ金属(K、Liなど)等が挙げられる。
本発明においては、透明電極層と背面電極層とを絶縁するために絶縁層が形成されていてもよい。この絶縁層は、非表示領域としてパターン状に形成されるものである。
絶縁層の形成材料としては、例えば紫外線硬化性樹脂などの光硬化性樹脂や、熱硬化性樹脂等が挙げられる。このような絶縁層は、上記の樹脂を含む樹脂組成物を用いて形成することができる。また、パターニングの方法としては、フォトリソグラフィー法、印刷法等の一般的な方法を用いることができる。
[実施例]
(ブラックマトリックスの形成)
透明基材として、150mm×150mm、厚み0.7mmのソーダガラス(セントラル硝子(株)製 Sn面研磨品)を準備した。この透明基材を定法にしたがって洗浄した後、透明基材の片側全面にスパッタリング法により酸化窒化複合クロムの薄膜(厚み0.2μm)を形成し、この複合クロム薄膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、複合クロム薄膜のエッチングを行って、84μm×284μmの長方形状の開口部を100μmピッチでマトリックス状に備えたブラックマトリックスを形成した。
赤色、緑色、青色の3種の着色層用感光性塗料を調製した。すなわち、赤色着色層用感光性塗料は、縮合アゾ系顔料(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、クロモフタルレッドBRN)をバインダー樹脂に分散させたものとした。緑色着色層用感光性塗料は、フタロシアニン系緑色顔料(東洋インキ製造社製、リオノールグリーン2Y−301)をバインダー樹脂に分散させたものとした。青色着色層用感光性塗料は、アンスラキノン系顔料(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、クロモフタルブルーA3R)をバインダー樹脂に分散させたものとした。バインダー樹脂としては、アクリル系UV硬化性樹脂組成物(アクリル系UV硬化性樹脂20%・アクリル系UV硬化性樹脂モノマー20%・添加剤5%・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)55%)を用いた。アクリル系UV硬化性樹脂組成物10部に対し、各着色剤を1部(部数はいずれも質量基準。)の割合で配合して、十分に混合分散させた。
上記の3種の着色層用感光性塗料を用いて各色の着色層を形成した。すなわち、ブラックマトリックスが形成された上記の透明基材全面に、緑色着色層用感光性塗料をスピンコート法により塗布し、プリベーク(80℃、30分間)を行った。その後、所定の着色層用フォトマスクを用いて露光した。次いで、現像液(0.05%KOH水溶液)にて現像を行い、次いで、ポストベーク(100℃、30分間)を行って、ブラックマトリックスパターンに対して所定の位置に帯状(幅90μm)の緑色着色層(厚み1.5μm)を形成した。同様に、赤色着色層用感光性塗料を用いて、ブラックマトリックスパターンに対して所定の位置に帯状(幅90μm)の赤色着色層(厚み1.5μm)を形成した。さらに、青色着色層用感光性塗料を用いて、ブラックマトリックスパターンに対して所定の位置に帯状(幅90μm)の青色着色層(厚み1.5μm)を形成した。
ヘリウムガス圧力0.5Torrの条件下で高周波誘導加熱を用いるガス中蒸発法によりIn微粒子を生成する際に、生成過程のIn微粒子にα−テルピネオールとドデシルアミンとの20:1(容量比)の蒸気を接触させ、冷却捕集してIn微粒子を回収し、α−テルピネオール溶媒中に独立した状態で分散している平均粒径10nmのIn微粒子を20重量%含有する分散液を調製した。この分散液(コロイド液)1容量に対してアセトンを5容量加え、攪拌した。極性のアセトンの作用により分散液中の微粒子は沈降した。2時間静置後、上澄みを除去し、再び最初と同じ量のアセトンを加えて攪拌し、2時間静置後、上澄みを除去した。この沈降物から、残留溶媒を完全に除去し、平均粒径10nmのIn微粒子を作製し、X線回折により、酸化されていない微粒子であることを確認した。この微粒子を60wt%の濃度にてテトラデカン中に分散させ、超微粒子分散液を得た。
この緑色変換層用塗工液をスピンコート法により着色層上に塗布し、その後、塗膜を1×10−3Paの減圧下において230℃、10minの条件で焼成した。次いで、酸化性雰囲気(大気)中で、230℃、60minの条件で焼成を行った。このときの緑色変換層の膜厚は3μmであった。
次に、緑色変換層上にスピンコート法により感光性レジストを塗布し、乾燥、マスク露光、現像、緑色変換層のエッチングを行って、緑色変換層をパターニングした。この緑色変換層は、着色層上に位置する幅90μmの帯状パターンであった。
次に、赤色変換層上にスピンコート法により感光性レジストを塗布し、乾燥、マスク露光、現像、赤色変換層のエッチングを行って、赤色変換層をパターニングした。この赤色変換層は、着色層上に位置する幅90μmの帯状パターンであった。
平均分子量が約100,000であるノルボルネン系樹脂(JSR(株)製 ARTON)をトルエンで希釈した平坦化層用塗工液を使用し、スピンコート法により色変換層上に塗布した後、ベーク(100℃、30分間)を行った。これにより、上記色変換層を覆うように平坦化層(厚み7μm)を形成した。この平坦化層は、透明かつ均一な膜であった。
(酸化珪素膜の成膜条件)
・RFスパッタ電力:50W/cm2、周波数13.56MHz
・成膜レート:10nm/分
・成膜圧力:0.5Pa
・SiO2ターゲット:4N(密度2.25g/cm3)
次いで、上記バリア層上にイオンプレーティング法により膜厚150nmの酸化インジウムスズ(ITO)膜を形成し、このITO膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、ITO膜のエッチングを行って、透明電極層を形成した。この透明電極層は、透明基材上から色変換層上に乗り上げるようにバリア層上に形成された幅80μmの帯状パターンであり、各着色層上に位置するものであった。
次に、上記透明電極層を覆うようにバリア層全面にスパッタリング法によりクロム薄膜(厚み0.2μm)を形成し、このクロム薄膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、クロム薄膜のエッチングを行って、補助電極を形成した。この補助電極は、透明基材上から色変換層上に乗り上げるように透明電極層上に形成された帯状のパターンであり、色変換層上では幅14μmでブラックマトリックス上に位置し、透明基材周縁部の端子部では幅が60μmのものとした。
平均分子量が約100,000であるノルボルネン系樹脂(JSR(株)製 ARTON)をトルエンで希釈した絶縁層用塗工液を使用し、スピンコート法により透明電極層を覆うようにバリア層上に塗布した後、ベーク(100℃、30分間)を行って絶縁膜(厚み1μm)を形成した。次に、この絶縁膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、絶縁膜のエッチングを行って絶縁層を形成した。この絶縁層は、透明電極層と直角に交差する帯状(幅20μm)のパターンであり、ブラックマトリックス上に位置するものとした。
次に、隔壁用塗料(日本ゼオン(株)製フォトレジスト ZPN1100)をスピンコート法により絶縁層を覆うように全面に塗布し、プリベーク(70℃、30分間)を行った。その後、所定の隔壁用フォトマスクを用いて露光し、現像液(日本ゼオン(株)製 ZTMA−100)にて現像を行い、次いで、ポストベーク(100℃、30分間)を行った。これにより、絶縁層上に隔壁を形成した。この隔壁は、高さ10μm、下部(絶縁層側)の幅15μm、上部の幅26μmである形状を有するものであった。
次いで、上記隔壁をマスクとして、真空蒸着法により正孔注入層、青色発光層、電子注入層からなる有機EL層を形成した。すなわち、まず、4,4´,4´´−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンを、画像表示領域に相当する開口部を備えたフォトマスクを介して200nm厚まで蒸着して成膜し、その後、4,4´−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルを20nm厚まで蒸着して成膜することによって、隔壁がマスクパターンとなり、各隔壁間のみを正孔注入材料が通過して透明電極層上に正孔注入層を形成した。同様にして、4,4´−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニルを50nmまで蒸着して成膜することにより青色発光層とした。その後、トリス(8−キノリノール)アルミニウムを20nm厚まで蒸着して成膜することにより電子注入層とした。このようにして形成された有機EL層は、幅280μmの帯状パターンとして各隔壁間に存在するものであり、隔壁の上部表面にも同様の層構成でダミーの有機素子層を形成した。
次に、画像表示領域よりも広い所定の開口部を備えたフォトマスクを介して上記隔壁が形成されている領域に真空蒸着法によりマグネシウムと銀とを同時に蒸着(マグネシウムの蒸着速度=1.3〜1.4nm/秒、銀の蒸着速度=0.1nm/秒)して成膜した。これにより、隔壁がマスクとなって、マグネシウム/銀混合物からなる背面電極層(厚み200nm)が有機EL層上に形成された。この背面電極層は、幅280μmの帯状パターンとして有機EL層上に存在するものであり、隔壁の上部表面にもダミーの背面電極層を形成した。
以上により、有機EL表示装置を得た。
色変換層を下記のようにして形成した以外は、実施例と同様にして有機EL表示装置を作製した。
緑色変換蛍光体(アルドリッチ(株)製 クマリン6)を固形分換算で1wt%分散させたアルカリ可溶性ネガ型レジストを緑色変換層用塗工液とし、これをスピンコート法により着色層上に塗布し、プリベーク(80℃、30分間)を行った。次いで、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、ポストベーク(100℃、30分間)を行った。これにより、緑色着色層上に帯状(幅90μm)の緑色変換層(厚み10μm)を形成した。
さらに、赤色変換蛍光体(アルドリッチ(株)製 ローダミン6G)を固形分換算で1wt%分散させたアルカリ可溶性ネガ型レジストを赤色変換層用塗工液とし、これをスピンコート法により着色層上に塗布し、プリベーク(80℃、30分間)を行った。次いで、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、ポストベーク(100℃、30分間)を行った。これにより、赤色着色層上に帯状(幅90μm)の赤色変換層(厚み10μm)を形成した。
実施例および比較例の有機EL表示装置の透明電極層と背面電極層に直流8.5Vの電圧を10mA/cm2の一定電流密度で印加して連続駆動させることにより、透明電極層と背面電極層とが交差する所望の部位の青色発光層を発光させた。そして、色変換層で色変換し、着色層で色補正された後、透明基材の反対面側で観測される各色の発光について、CIE色度座標(JIS Z 8701)を測定した。
実施例の有機EL表示装置では、CIE色度座標でx=0.64、y=0.35の赤色発光、CIE色度座標でx=0.25、y=0.65の緑色発光、CIE色度座標でx=0.14、y=0.18の青色発光が確認され、高輝度(82cd/m2)で色純度の高い三原色の画像表示が可能であった。
一方、比較例の有機EL表示装置では、CIE色度座標でx=0.62、y=0.37の赤色発光、CIE色度座標でx=0.27、y=0.63の緑色発光、CIE色度座標でx=0.14、y=0.18の青色発光が確認され、三原色の画像表示は可能であるものの、色純度がやや不十分で、輝度が80cd/m2と低かった。
2 … 色変換層
3 … 着色層
5 … 遮光部
6 … 平坦化層
10 … 有機EL素子用基板
12 … 色変換層形成用塗工液
20 … 有機EL表示装置
21 … 透明電極層
22 … 有機EL層
23 … 背面電極層
Claims (5)
- 超微粒子および蛍光材料が溶剤に分散もしくは溶解された超微粒子分散液からなり、
前記超微粒子が、インジウム、アルカリ金属、およびアルカリ土類金属からなる群から選択される少なくとも1種の超微粒子であることを特徴とする色変換層形成用塗工液。 - 前記超微粒子の焼結温度が350℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の色変換層形成用塗工液。
- 前記超微粒子の平均粒径が0.5nm〜100nmの範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の色変換層形成用塗工液。
- 前記溶剤の沸点が120℃以上であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の色変換層形成用塗工液。
- 分散剤を含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の色変換層形成用塗工液。
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