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JP4620341B2 - 燃料電池用電極触媒 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池用電極触媒、特に固体高分子型燃料電池カソード電極触媒に関する。
固体高分子型燃料電池は、水素を燃料とするクリーンな電源として、電気自動車の駆動電源、また、発電と熱供給を併用する定置電源として開発が進められている。また、固体高分子型燃料電池は、リチウムイオン電池等の二次電池に比較して、高いエネルギー密度が特長であり、携帯用コンピュータあるいは移動用通信機器の電源としても開発が進められている。
固体高分子型燃料電池の電極部分は、アノード(燃料極)とカソード(空気極)、及び、両電極間に配したプロトン交換性の固体高分子電解質膜で構成される。アノード及びカソードは、白金等の貴金属を担持した触媒、フッ素樹脂粉等の造孔剤、及び、固体高分子電解質の混合体薄膜である。
固体高分子型燃料電池の燃料には、水素の他、水素を分子構成元素の一つとする有機化合物が用いられる。該有機化合物がメタノールである固体高分子型燃料電池は、特に直接メタノール燃料電池と呼ばれている。
固体高分子型燃料電池では、単位電極面積当たりの出力が高いことが求められ、そのため、アノードとカソードを構成する電極触媒の電気化学反応活性が高いことが求められる。ここで、電気化学反応活性とは、水素を燃料としたアノードでは、水素をプロトンへ酸化する電気化学活性であり、カソードでは、空気中の酸素を水に還元する電気化学活性であり、いずれも電極触媒表面の反応活性である。かかる固体高分子型燃料電池のアノードとカソードの電極触媒には、白金等の貴金属が用いられる。高価な貴金属の電極単位面積当たりの使用量を低減し、かつ、高い電気化学活性が求められる。
また、固体高分子型燃料電池では、アノードとカソード触媒層内のガス拡散、プロトン移動等の物質移動が、電極触媒表面での電気化学反応速度、すなわち燃料電池の出力に大きく影響する。すなわち、水素を燃料とした場合、アノードでは水素ガスの電極内拡散、生成したプロトンがアノードから電解質膜を透過してカソード触媒粒子表面までの移動、さらに、カソードでは酸素の電極内拡散と、生成した水分子の放出が効率的に行われなければならない。
上記に示した固体高分子型燃料電池の電池特性の向上に求められる高い電気化学反応活性と物質移動の促進を目的とし、触媒貴金属を担持する触媒担体の種類、粒子の形状とその凝集構造(二次構造)、これらの担体の表面積、及び細孔径に関する多くの提案がなされている。
電極触媒の利用効率を向上して貴金属使用量を低減する方法として、特許文献1には、直径8nm以下の細孔が占める容積が0.5cm/g以下であるカーボンブラックを担体とし、貴金属を担持することにより、プロトンの移動経路である高分子電解質が分布できない担体細孔への触媒金属粒子の吸着を制御する方法が記載されている。また、特許文献2には、直径6nm以下の細孔が全細孔の20%以下であるカーボンブラックを担体とすることが記載されている。
電極触媒表面への反応ガスの拡散性を向上させる方法として、例えば、特許文献3には、BET法による比表面積が250〜400m/g、粒子径が10〜17nm、表面に開口している半径が10〜30nmである細孔の合計容積が0.40〜2.3cm/gであるカーボンブラックを触媒担体とすることが記載されている。
一方、特許文献4あるいは非特許文献1には、電極触媒に造孔剤を添加することで、反応ガスの触媒層内での拡散性が改善されることが記載されている。
燃料電池に用いられる電極触媒の電気化学活性は、一般にアノードの水素酸化反応で活性が高く、カソードの酸素還元反応の活性が低い。したがって、固体高分子燃料電池においても、カソードの触媒貴金属使用量はアノードの2〜3倍であり、貴金属使用量の低減にはカソードの電極触媒性能の向上が重要とされている。
特開平9−167622号公報 特開2000−100448号公報 特開2003−201417号公報 特開平6−203852号公報 J. Appl. Electrochem., Vol.28, p.277 (1998)
しかしながら、固体高分子型燃料電池を普及するために求められている電極触媒における貴金属使用量が、電極成形体表面積に対して0.1mg/cm以下、望ましくは0.03mg/cm以下を達成するためには、担体に吸着する触媒貴金属粒子径を極限までに小さくする必要があり、従来のガス拡散性を重視した担体粒子の細孔制御では不十分である。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、固体高分子型燃料電池における貴金属、特に白金使用量、を低減した燃料電池用電極触媒を提供することにある。粒子表面に触媒貴金属粒子より小さい微細孔を導入することによる触媒貴金属の微粒子化による単位質量当たりの電気化学反応活性を向上せしめ、担体表面積の増大による高密度分散を満たす高担持率触媒を得ることにより、電極触媒層の厚さの低減に伴う物質移動を促進せしめるものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために、電極触媒担体として多種類の炭素粉末を鋭意検討し、触媒貴金属、特に白金微粒子を高密度分散した本発明の燃料電池用電極触媒を得るに至った。
すなわち、本発明は、触媒を担持してなる担体がアモルファス炭素粉末であり、担持される触媒は少なくとも白金である燃料電池用電極触媒であって、前記アモルファス炭素粉末が、15〜80nmの平均粒子径、2000/g以上のBET法による比表面積を有すると共に、直径2nm未満の細孔の細孔容積の総計が0.8cm/g以上、かつ、直径2nm未満の細孔が占める細孔容積の総計が全細孔容積の60%以上、担持される触媒量が触媒全体の5〜70質量%であることを特徴とする燃料電池用電極触媒である。
また、前記比表面積が2500m/g以上であることを特徴とする。
また、前記2nm未満の細孔が占める細孔容積の総計が全細孔容積の85%以上であり、さらに、前記白金の担持量が触媒全体の20〜70質量%であることを特徴とする。
さらに、前記電極触媒が、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、銅又はバナジウムから選ばれる1種以上の金属をさらに含有することを特徴とする。
そして、上記何れかの燃料電池用電極触媒が、固体高分子型燃料電池用カソード電極触媒であることを特徴とする。
本発明によれば、電極触媒担体炭素粒子表面に触媒貴金属粒子より小さい微細孔を導入することによる触媒貴金属の微粒子化による単位質量当たりの電気化学反応活性を向上せしめ、担体表面積の増大による高密度分散を満たす高担持率触媒を得ることにより、電極触媒層の厚さの低減に伴う物質移動を促進せしめることが可能となり、固体高分子型燃料電池における貴金属、特に白金使用量、を低減した燃料電池用電極触媒が得られる。
以下に、本発明について詳細に記述する。
本発明の電極触媒の担体として用いられるアモルファス炭素粉末とは、X線回折のd002回折線によるd間隔が0.38nm以上、好ましくは0.40nm以上である炭素を主たる構成元素とする粉末であり、粒子径、比表面積及び表面の細孔径分布と細孔容積に特徴を持つ。かかるアモルファス炭素粉末は、粒子径、比表面積、及び細孔径分布と細孔容積が所定の特性を満たすならば、炭素原料の種類と製造方法を問うものではなく、例示するならば、石油系あるいは石炭系のピッチを熱処理して得られるピッチコークスがこの種の炭素に属する。
本発明の電極触媒の担体として用いられるアモルファス炭素粉末では、平均粒子径は15〜80nm、好ましくは20〜50nmである。平均粒子径が80nmより大きいアモルファス炭素粉末を担体とすると、触媒貴金属の微粒子を50質量%以上の高密度に担持することが困難となる。一方、15nm未満では、触媒粒子が凝集して形成される電極の細孔径がガス拡散には小さくなりすぎる。なお、かかる平均粒子径は、例えば、透過電子顕微鏡による画像の解析から容易に得ることができる。
上記の平均粒子径の範囲のアモルファス炭素粉末は、電極触媒に混合される固体高分子電解質の粒子径より小さいため、溶媒と共に両者を混合した電極触媒調製液の安定性に優れ、均質性の高い電極触媒の調製が可能となる。また、担体炭素粒子が相互に接触した粒子凝集構造は、電極触媒の電子伝導経路として好ましく作用する。
本発明の電極触媒の担体として用いられるアモルファス炭素粉末では、BET法による比表面積が2000m/g以上、より好ましくは2500m/g以上である。担体の大表面積化は、触媒貴金属の微粒子を高密度に担持することを容易とする。
本発明の電極触媒の担体として用いられるアモルファス炭素粉末では、細孔径分布と細孔容積に特徴を有する。ここで、細孔の評価には、窒素ガスの吸脱着法のt−プロット解析を適用する。即ち、t−プロット解析により、全比表面積とミクロ細孔比表面積とを分離し、さらに、ミクロ細孔の構造をスリット状細孔と仮定して、2×(細孔容積/比表面積)の計算式により、ミクロ細孔の容積を算出するものである。ここで、ミクロ細孔とは、直径2nm未満の細孔を指すものである。
上述の細孔径と細孔容積の解析法に基づく本発明の電極触媒の担体として用いられるアモルファス炭素粉末は、直径2nm未満の細孔の細孔容積の総計が0.8cm/g以上、かつ、直径2nm未満の細孔が占める細孔容積の総計が全細孔容積の60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは85%以上である。
一般に、直径2nm未満のミクロ細孔は微細な触媒貴金属粒子の吸着に有効であり、ミクロ細孔の容積がより大きい担体を用いることにより、微細な貴金属触媒粒子を高密度・高分散状態で担持することができる。
本発明は、触媒を担持してなる担体が上記の特徴を有するアモルファス炭素粉末であり、担持される触媒は少なくとも白金であり、電極触媒全体に対する白金量が5〜70質量%、好ましくは20〜70質量%である燃料電池用電極触媒である。ここで、担体に担持される触媒白金量は、炭素担体と触媒金属により構成される電極触媒全体の質量に対する白金質量の比率である。
本発明の燃料電池用電極触媒は、造孔剤と固体高分子電解質と混合した薄膜状の形態で、燃料電池のアノード及びカソードに供される。燃料電池の燃料である水素ガスは、アノード薄膜を拡散しながら、アノード電極触媒表面で酸化され、酸化剤である酸素ガスは、カソード薄膜を拡散しながら、カソード電極触媒表面で還元される。かかるガス拡散を十分とするためには、アノードとカソードの電極薄膜ともに薄いことが好ましく、いずれも100μm以下、好ましくは30μm以下であり、少ない電極触媒量で所定の燃料電池出力を得るために、電極触媒全体に対する白金量が5質量%以上、好ましくは20質量%以上である。
一方、担体に担持する白金量の増大は、白金粒子の凝集をもたらし、単位白金質量当たりの発電効率が低下し、白金量が70%超では粒子の凝集が顕著となる。そのため、本発明の燃料電池用電極触媒で使用される触媒白金量は70質量%以下である。
同一の触媒白金量であっても、担持される白金粒子の微細化により、触媒白金表面積を大きくすることができる。しかしながら、白金粒子の粒子径が小さくなりすぎると、バルクな金属としての白金の触媒活性を損なってしまうことが実験的に知られており、燃料電池用電極触媒としての白金粒子径の最適範囲は2〜4nm程度とされている。本発明の燃料電池用電極触媒の担体として用いられるアモルファス炭素粉末は、細孔直径が2nm未満のミクロ細孔容積が大きく、かつ、極めて大きい比表面積を有する特徴を有し、上述の好ましい白金粒子を高密度に且つ安定に担持できるサイトとなり得るものである。
本発明の燃料電池用電極触媒には、触媒金属として白金と共に他の金属が含有されてもよい。本発明において白金と共に含有してもよい金属は、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、銅及びバナジウムから選ばれる1種以上である。ここで、白金と他の金属とを含有した触媒とは、白金と他の金属との合金、固溶体、それらの混合したものであってもよい。
本発明の燃料電池用電極触媒は、固体高分子型燃料電池のカソード電極触媒として好ましく用いられる。一般に、アノードでの電気化学反応、即ち水素の酸化反応(プロトンと電子への解離反応)の反応速度は充分に速く、燃料電池の実用電流密度範囲(〜1A/cm)では、アノードの分極(過電圧)が問題になることはなく、従って、触媒の改善の効果が認められることはない。他方、カソードの酸素還元反応は、4個の電子の移動を伴う多段階の素反応の連鎖であり、その反応速度は遅い。したがって、酸素還元反応に関与し得る触媒金属の表面積の大小(触媒粒子サイズの大小)は、電極反応の分極、即ち、電極の過電圧の大小に直接的に関与することになる。本発明の電極触媒の特徴は、担体の表面細孔構造の最適化による白金を主たる構成成分とする触媒金属の微粒子化が本質であるから、正に、カソードに好適に用いることができる。
本発明の燃料電池用電極触媒の製造方法は、特に限定されないが、例えば、該電極触媒の担体として用いられるアモルファス炭素粉末を所定量のヘキサクロロ白金(IV)酸を含有する水溶液に分散させたスラリーを、所定量のアルカリにより中和した後、固形物を洗浄、乾燥、及び、水素ガスによる還元処理をすることにより得られる。また、担体とヘキサクロロ白金(IV)酸のスラリーを、蟻酸ナトリウム水溶液による還元後に、ロ過、洗浄、乾燥してもよい。さらに、ヘキサクロロ白金(IV)酸溶液を還元処理した白金スラリーに、所定量の担体炭素粉末を加えてもよい。
白金と他の金属、例えば、鉄を担持する場合には、ヘキサクロロ白金(IV)酸と塩化鉄(III)混合水溶液にアモルファス炭素粉末を分散させたスラリーを、所定量のアルカリにより中和した後、固形物を洗浄、乾燥、及び、水素ガスによる加熱還元処理をすることにより、白金と鉄が合金化した電極触媒が得られる。
以上のように、本発明は、大きな比表面積であり、かつ、ミクロ細孔の大きな細孔容積を特徴とするアモルファス炭素粉末を燃料電極触媒用担体とし、該担体に白金あるいは白金合金の微細な粒子を高密度、かつ高均質に分散した低白金使用量の燃料電池用電極触媒、特に固体高分子型燃料電池カソード電極触媒を得ることができるものである。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
石油系ピッチを原料とし、窒素ガス中400℃〜700℃で炭化処理した後、炭酸ガスを一定流速で流した加熱炉中で、900℃〜1100℃で1〜3時間処理(賦活処理)することにより炭素表面に細孔を導入した。表1に上述の方法で作製したアモルファス炭素の各種物性をまとめて示す。表中の各種物性は以下の方法で測定した。平均粒子径dprimは透過電子顕微鏡写真をもとにして、約100個の粒子サイズの統計的平均値を採用した。アモルファス炭素の比表面積SBET、全細孔容積V、ミクロ細孔容積Vmicroは、窒素ガスの吸着測定により評価した。ガス吸着測定は日本ベル社製のBELSOROP36を用い、付属する解析ソフトにより各種物性値を算出した。即ち、比表面積SBETはBET解析により表面積を算出し、ミクロ細孔容積Vmicroは、いわゆるt−プロット解析法を適用して算出した。全細孔容積Vは、BJH法による解析の細孔容積(ミクロ孔の容積を含まない容積が算出される)とVmicroとの和として算出した。ここで、ミクロ孔は2nm未満のサイズ(円柱状の細孔であれば直径、スリット形状の細孔であればスリット幅に相当)の細孔を表すものである。
Figure 0004620341
アモルファス炭素1〜3の粉末を担体として、それぞれヘキサクロロ白金(IV)酸を含有する水溶液に分散させたスラリーを、メタノールによる還元後にロ過、洗浄、乾燥する方法で、白金量が30質量%である電極触媒を調製した。得られた電極触媒を透過電子顕微鏡で観察したところ、何れのアモルファス炭素においても、担持された白金粒子の直径は2〜4nmの範囲であり、高い均一性で白金粒子が分散していることを確認できた。
(比較例1)
市販品のカーボンブラックであるVulcan XC−72(昭和キャボット社製)を担体に用いた。平均粒子径は30nm、BET法による比表面積は215m/g、直径2nm未満のミクロ細孔容積は0.0cm/gであった。
実施例1と同様の方法で、カーボンブラックに約30質量%の白金を担持させた。得られた電極触媒を透過電子顕微鏡で観察したところ、担持された白金粒子の直径は2〜4nmであるが、複数の白金粒子が担体表面で凝集し、均一分散性に乏しいことが確認できた。
(実施例2)
実施例1で作製したアモルファス炭素1に白金を30質量%担持した電極触媒と造孔剤(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製PTFE分散液30−J)及び高分子固体電解質(アルドリッチ製試薬5%ナフィオン溶液)を用いて調製したスラリーをポリテトラフルオロエチレンシート上に塗布、乾燥し、触媒層を形成した。得られた触媒層を2.5cm角に切り取り、ホットプレス(130℃、100kg/cm)で固体高分子電解質膜(デュポン社製Nafion112)に圧着し、ポリテトラフルオロエチレンシートを剥がして、電極薄膜の有効面積6.25cmである膜・電極集合体を作製した。このときの、電極有効面積あたりのアノード白金使用量が0.03mg/cm、カソード白金使用量が0.059mg/cmであった。この膜・電極集合体を市販の試験用セルに装着し、80℃、1気圧、水蒸気飽和の純水素200ml/min.と純酸素200ml/min.を導入したときの燃料電池出力電圧と電流の関係を測定し、その結果を図1にプロットした。電極触媒の全白金使用量が電極有効面積当たり0.1mg/cm以下ながら、出力電流密度0.1A/cmにおける出力電圧が0.814Vの高い値であり、かつ大きい出力電流密度、例えば1A/cmにおける出力電圧が0.575Vであり、その低下が小さい。
(実施例3)
実施例2において、電極有効面積当たりのカソード白金使用量を0.018mg/cmとした他は、実施例2と同様の燃料電池試験セルを作製し、実施例2と同様の条件で燃料電池出力電圧と電流の関係を測定し、その結果を図1にプロットした。電極触媒の全白金使用量が電極有効面積当たり0.05mg/cm以下と、実施例2よりさらなる削減し、カソード白金量を0.018mg/cmの顕著に少ない使用量ながら、出力電流密度0.1A/cmにおける出力電圧が0.762Vの高い値であり、かつ比較的に大きい出力電流密度、例えば0.6A/cmにおいても燃料電池として機能していることが確認された。
(比較例2、3)
比較例1で作製した電極触媒を用い、アノード白金使用量が0.03mg/cm、カソード白金使用量が0.063mg/cm(比較例2)と0.038mg/cm(比較例3)である燃料電池試験セルを、実施例2と同様の方法で作製し、実施例2と同様の条件で燃料電池出力電圧と電流の関係を測定し、その結果を図1にプロットした。
出力電流密度0.1A/cmにおける出力電圧はそれぞれ0.777V(比較例2)と0.726V(比較例3)となり、大きい出力電流密度での電圧低下が著しい。すなわち、比較例2、3の電極触媒では、実施例2、3に比較して、白金(粒子表面が電極として)が有効に利用されていないことが示唆される。
(実施例4)
実施例1で作製したアモルファス炭素1〜3を電極触媒の担体に使用して、実施例1と同様の触媒担持方法で白金を担持し、白金質量%が5%、20%、40%、60%、及び70%である電極触媒を得た。かかる電極触媒を用い、実施例2と同様の膜・電極集合体方法で、電極有効面積当たり、アノード白金使用量が約0.03mg/cm、カソード白金使用量が約0.06mg/cmである膜・電極集合体を作製し、これを燃料電池試験セルに組み込み、実施例2と同様の条件で燃料電池出力電圧と電流の関係を測定した。表2、3に、出力電流密度が0.1A/cmと1A/cmにおける電池電圧を示す。
(比較例4)
比較例1と同様にして、白金質量%が5%、20%、40%、60%、及び70%である電極触媒を得た。かかる電極触媒を用い、実施例2と同様の膜・電極集合体方法で、電極有効面積当たり、アノード白金使用量が約0.03mg/cm、カソード白金使用量が約0.06mg/cmである膜・電極集合体を作製し、これを燃料電池試験セルに組み込み、実施例2と同様の条件で燃料電池出力電圧と電流の関係を測定した。表2に、出力電流密度が0.1A/cmにおける電池電圧を示す。
Figure 0004620341
Figure 0004620341
表2から明らかなように、本発明の規定するアモルファス炭素は、何れの白金担持率においても、カーボンブラックに比較して良好な電池出力を発揮することが判る。即ち、低電流密度域(0.1A/cm)での出力電圧において、アモルファス炭素の方がカーボンブラックに比較して高い出力電圧を発揮することから、触媒の有効利用において優れることが推察される。
また、表3に示すように、本発明の規定するアモルファス炭素は、高電流密度域(1A/cm)での出力電圧においても、高い出力電圧を発揮するのに対し、カーボンブラックでは出力電圧が得られなかったことから、ガス拡散等の物質移動に伴う過電圧特性においても、本発明の電極触媒は優れた特性を有することが認められた。
実施例2、3及び比較例2、3で作製した膜・電極集合体を市販の試験用セルに装着し、80℃、1気圧、水蒸気飽和の純水素200ml/min.と純酸素200ml/min.を導入したときの燃料電池出力電圧と電流の関係を測定し、その結果をプロットした図面である。

Claims (6)

  1. 触媒を担持してなる担体がアモルファス炭素粉末であり、担持される触媒は少なくとも白金である燃料電池用電極触媒であって、
    前記アモルファス炭素粉末が、15〜80nmの平均粒子径、2000/g以上のBET法による比表面積を有すると共に、直径2nm未満の細孔の細孔容積の総計が0.8cm/g以上、かつ、直径2nm未満の細孔が占める細孔容積の総計が全細孔容積の60%以上、担持される触媒量が触媒全体の5〜70質量%であることを特徴とする燃料電池用電極触媒。
  2. 前記比表面積が2500m/g以上である請求項1記載の燃料電池用電極触媒。
  3. 前記2nm未満の細孔が占める細孔容積の総計が全細孔容積の85%以上である請求項1記載の燃料電池用電極触媒。
  4. 前記白金の担持量が触媒全体の20〜70質量%である請求項1記載の燃料電池用電極触媒。
  5. 前記電極触媒が、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、銅及びバナジウムから選ばれる1種以上の金属をさらに含有する請求項4記載の燃料電池用電極触媒。
  6. 前記電極触媒が、固体高分子型燃料電池用カソード電極触媒である請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒。
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