JP4606536B2 - ジエン系共重合体ラテックス - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、ジエン系共重合体ラテックス、およびそれを用いる紙塗工用組成物に関する。さらに詳しく言えば、オフセット印刷、グラビア印刷に供される塗工紙あるいは塗工板紙その他に使用する紙塗工用のバインダーとして好適な、高性能のジエン系共重合体ラテックス、およびそれを用いる紙塗工用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成共重合体ラテックスは、例えば、紙塗工用バインダー、カーペットバックサイジング用バインダー、不織布や人工皮革などの繊維結合用バインダー、あるいは各種材料の粘接着剤などとして広く用いられている。そして、共重合体ラテックスがこのような用途に用いられる場合、共重合ラテックスは、接着強度が強く、耐水性、乾燥加熱による耐ブリスター性などに優れていることが要求される。
【0003】
塗工紙は、紙の印刷適性の向上および光沢などの光学的特性の向上を目的として抄造された原紙表面に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、サチンホワイト、タルク、酸化チタンなどの顔料、それらのバインダーとしての共重合体ラテックスおよび保水剤あるいは補助バインダーとしてのスターチ、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性高分子を主構成成分とする紙塗工用組成物が塗工されたものである。
【0004】
共重合体ラテックスとしては、スチレンとブタジエンを主要単量体成分とし、これらを乳化重合して得られたスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、いわゆるSB系ラテックスが汎用的に用いられている。
近年、カラー印刷された雑誌類やパンフレット、広告類の需要の拡大に伴って印刷速度の高速化が進められており、塗工紙および顔料バインダーに対する要求水準はますます高度化している。その中でも、特にインクピック抵抗性、いわゆるピック強度と、湿し水が塗布された後のインクピック抵抗性、いわゆる湿潤ピック強度の向上が強く求められている。これらのピック強度性能自体が負の相関関係にあるだけでなく、他の印刷物性、すなわち耐ブリスター性、網点再現性などとも負の相関関係にあるため、これらの諸物性を高水準にバランス化させる改良が一段と要求されている。塗工紙のこれらの性質は、顔料バインダーとして用いられているSB系ラテックスの性能に強く依存することから、これまでSB系ラテックスについても種々の検討がなされてきた。
【0005】
例えば、これらの諸物性の高バランス化を目指し、2段もしくは多段重合法において特定のモノマー組成で重合する方法を用いたラテックスの改良が提案されている。(特公昭62−58371号公報,特公昭62−31116号公報,特公昭64−2716号公報,特公昭60−19927号公報,特開平4−41502号公報,特開平7−18003号公報,特開平5−272094号公報,特開平7−247327号公報)しかし、いずれも塗工紙におけるピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性や紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性を向上させる方法として十分とは言い難かった。
【0006】
一方、塗工紙の生産能力を向上するために近年高速塗工化が進んでおり、塗工液においては塗工の高速化に伴う乾燥能力の低下への対応および生産効率を高める目的で塗工液の高固形分化が進められている。塗工液を高固形分化するには、重質炭酸カルシウムの配合率を高める等の顔料面からの流動性の改良とスターチ等の増粘性の大きい水溶性バインダーを減らしラテックスを増量することによるバインダー面からの改良が採られている。しかし、炭酸カルシウム比率を高める顔料面からの流動性の改良では、白紙光沢が低下し好ましくない。また、ラテックス量を増量するバインダー面からの流動性の改良では、塗工紙表面のベタツキ性を増大させるため、バッキングロール汚れやスーパーカレンダー汚れなどの問題を発生させ好ましくない。これらの問題を解決するために共重合体ラテックスを重合するにあたり、2段重合で第2段目にシアン化ビニル単量体、アミド基含有エチレン性不飽和単量体を重合することが提案されている(特開平4−240297号公報,特開平5−239113号公報)が、これらの方法では塗工紙の印刷適性と共重合体ラテックスの耐ベタツキ性は改善されるものの十分とは言い難く高速塗工のための高固形分条件下での塗工液の流動性は満足し得るものではなかった。さらに、共重合ラテックスを重合するにあたり、2段重合を行い第2段目にメタクリロニトリルをある添加速度で連続的に添加重合することにより、塗工紙の印刷適性と高速塗工のための高固形分の塗工液の流動性に優れることが提案されている(特開平10−182709)が、この方法でも塗工紙の印刷適性と紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性が満足し得るものではなかった。
【0007】
このように、従来の技術では印刷と塗工紙の製造の一層の高速化に対応することができず、生産性を高め高品質の塗工紙の製造を可能にするバインダーとしての共重合体ラテックスの出現が強く求められているのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の通り、従来の紙塗工用バインダーは、これを用いた塗工紙のピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性および操業性における要求を同時に満足させることはできなかった。本発明はこのような事情のもとで、塗工紙におけるピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性に優れ、かつ紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性に優れる高性能の共重合体ラテックスを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の高性能共重合体ラテックスを開発すべく鋭意研究を重ねた結果、単量体組成、乳化重合条件を特定することにより得られる特定のジエン系共重合体ラテックスが目的を達成することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1は、
(a)共役ジエン系単量体を20〜70重量部、(b)芳香族ビニル系単量体を0.5〜78重量部、(c)エチレン性不飽和カルボン酸単量体を0.5〜10重量部、少なくともその一部がアクリロニトリルである(d)シアン化ビニル系単量体を0.5〜50重量部、(e)アミド基含有エチレン系不飽和単量体を除くその他共重合可能なビニル系単量体を0.1〜50重量部(全単量体の合計を100重量部とする。)を多段重合法を用いて乳化重合するにあたり、該多段重合の最終段において、(b)芳香族ビニル系単量体及び(d)シアン化ビニル系単量体であるアクリロニトリルからなる単量体組成物1〜20重量部を添加して乳化重合し、かつ重合後に水酸化カリウム0.05〜2.0重量部を添加して得られるジエン系共重合体ラテックスであって、かつ多段重合の最終段の前段で添加する単量体組成物の組成から得られる共重合体の溶解パラメータ(A)と最終段で添加する単量体組成物の組成から得られる共重合体の溶解パラメータ(B)とが、下記式(1)を満たすジエン系共重合体ラテックス。
【0010】
1.0<(B)−(A)<4.5 (1)
発明の第2は、最終段で添加する単量体組成物の、(d)シアン化ビニル系単量体であるアクリロニトリルと(b)芳香族ビニル系単量体との重量比が、2/8〜8/2である発明の第1に記載のジエン系共重合体ラテックスである。
【0011】
発明の第3は、最終段で添加する(b)芳香族ビニル系単量体がスチレンである発明の第1又は第2に記載のジエン系共重合体ラテックスである。
【0012】
発明の第4は、顔料および、発明の第1〜3のいずれかに記載のジエン系共重合体ラテックスを含有する紙塗工用組成物である。
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明において、全単量体の合計は100重量部とする
本発明において用いられる(a)共役ジエン系単量体としては、例えばブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。これらの共役ジエン系単量体は、1種あるいは2種以上を組み合わせてもよく、また、その使用量は全単量体の重量に基づき、20〜70重量部、好ましくは凝集力の点から25〜60重量部の範囲で選ばれる。この使用量が20重量部未満では得られる重合体が脆すぎるし、70重量部を超えると重合体が柔らかすぎ、いずれの場合も高い凝集力が得られず本発明の目的が十分に達せられない。
【0014】
本発明において用いられる(b)芳香族ビニル系単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレンなどが挙げられる。芳香族ビニル系単量体の使用量は全単量体の重量に基づき0.5〜78重量部、好ましくは10〜70重量部の範囲で選ばれる。この使用量が78重量部を超えると塗工紙のピック強度が劣り好ましくない。
本発明において用いられる(c)エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などが挙げられる。これらのカルボン酸は1種あるいは2種以上組み合わせてもよく、その使用量は、全単量体の重量に基づき0.5〜10重量部、好ましくは1〜7重量部の範囲で選ばれる。この量が0.5重量部未満では、ラテックスの分散安定性が十分でなく、塗工液調整や塗工時において種々の問題が生じ、かつピック強度も低い。10重量部を超えるとラテックスや塗工液の粘度が高くなり過ぎると共に、耐水性が低下する傾向が見られ好ましくない。
【0015】
本発明において用いられる(d)シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどを挙げることができる。これらのシアン化ビニル系単量体は2種以上を組み合わせてもよく、また、その使用量は全単量体の重量に基づき0.5〜50重量部の範囲で選ばれる。その使用量が0.5重量部未満では、紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の指標となる共重合体ラテックスの耐ベタツキ性改良効果、および塗工紙の湿潤ピック強度の改良効果が十分に出現されない。また、50重量部を越えるとラテックスの重合安定性に劣り好ましくない。
【0016】
本発明の第1では、(d)シアン化ビニル系単量体にはアクリロニトリルを含む。(d)シアン化ビニル系単量体全量に対するアクリロニトリルの量は、1重量%〜100重量%である。
本発明において用いられる(e)その他共重合可能なビニル単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジルなどのアクリル酸あるいはメタクリル酸のアルキルエステル類、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレートなどのアミノ基含有エチレン性単量体類、スチレンスルホン酸ナトリウムなどを挙げることができる。これらの共重合可能な単量体は1種あるいは2種以上を組み合わせてもよく、その使用量は全単量体の重量に基づき0.1〜50重量部の範囲で選ばれる。この使用量が50重量部を超えると本発明の効果を出現させる上で好ましくない。また、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミドなどのN−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタアクリルアミドなどのN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、グリシジルメタアクリルアミドなどのアミド基含有不飽和単量体類は、塗工液の流動性の点から好ましくない。
【0017】
本発明の第1のジエン系共重合体ラテックスは、2段階以上の、多段階重合法を用いて乳化重合するにあたり、多段重合の最終段の前段で添加する単量体組成物の組成から得られる共重合体の溶解パラメータ(A)と最終段で添加する単量体組成物の組成から得られる共重合体の溶解パラメータ(B)とが、下記式(1)を満たすことが必須である。
1.0<(B)−(A)<4.5 (1)
これを満たすことにより、本発明の効果であるピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性バランスに優れ、かつ紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性に優れる高性能の共重合体ラテックスを得ることができる。(B)−(A)が1.0以下では、特に湿潤ピック強度と紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性が十分でなく、また、(B)−(A)が4.5以上では、特にピック強度と耐ブリスター性が不十分で本発明の目的が達せられない。また、好ましい範囲は1.5<(B)−(A)<3.5である。
【0018】
本発明の第3のジエン系共重合体ラテックスでは、2段階以上の、多段階重合法を用いて乳化重合するにあたり、多段重合の最終段の前段で添加する単量体組成物の組成から得られる共重合体の溶解パラメータ(A)と最終段で添加する単量体組成物の組成から得られる共重合体の溶解パラメータ(B)とが、下記式(2)を満たすことが必須である。
2.0<(B)−(A)<4.5 (2)
これを満たすことにより、ピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性バランスに優れ、かつ紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性に優れる高性能の共重合体ラテックスを得ることができる。(B)−(A)が2.0を超えることで、特に湿潤ピック強度と紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性が良好となり、また、(B)−(A)が4.5未満では、特にピック強度と耐ブリスター性が良好である。また、好ましい範囲は2.0<(B)−(A)<3.5である。
【0019】
なお、共重合体の溶解パラメータ(A)および(B)は、Robert F.Fedorsが規定する方法により、各々の単量体化合物構造と単量体組成から算出することができる。(POLYMER ENGINNEERING ANDSCIENCE,1974,Vol.14,No.2,147−154ページ参照)
本発明のジエン系共重合体ラテックスには、重合後に水酸化カリウムの0.05〜2.0重量部添加が必要である。水酸化カリウムの量が0.05重量部以下では特に湿潤ピック強度の改良効果が十分でなく本発明の効果であるピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性バランスの向上が認められず、また、2.0重量部を越えると塗工液の流動性の面で満足し得るものとはならない。
【0020】
また、本発明の第1のジエン系共重合体ラテックスは、該多段重合の最終段において、(d)シアン化ビニル系単量体のアクリロニトリルを少なくとも一部含む単量体組成物1〜20重量部を添加して乳化重合することが必要である。最終段で重合する単量体組成物が1重量部未満では、特に湿潤ピック強度と紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の向上が認められず、また、20重量部を超えると、重合安定性が低下し好ましくない。最終段で添加するアクリロニトリルは0.5〜20重量部の範囲で使用することが好ましい。
【0021】
発明の第3のジエン系共重合体ラテックスは、該多段重合の最終段において、少なくともその一部が(b)芳香族ビニル系単量体および(d)シアン化ビニル系単量体からなる単量体組成物1〜20重量部を添加して乳化重合することが必要である。最終段で重合する単量体が1重量部未満では、特に湿潤ピック強度と紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の向上が認められず、また、20重量部を超えると、重合安定性が低下し好ましくない。
【0022】
また、本発明の第1のジエン系共重合体ラテックスは、最終段で添加する単量体組成物に(b)芳香族ビニル系単量体の少なくとも一部を含み、かつ最終段で添加する少なくともその一部がアクリロニトリルである(d)シアン化ビニル系単量体と(b)芳香族ビニル系単量体との重量比が、2/8〜8/2であることが好ましい。(d)シアン化ビニル系単量体と(b)芳香族ビニル系単量体との重量比が2/8以上で、特に湿潤ピック強度と紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の向上が十分に認められ、また、重量比が8/2以下で、ピック強度と耐ブリスター性等の塗工紙物性バランスが良好で好ましい。
【0023】
発明の第3のジエン系共重合体ラテックスは、最終段で添加する(d)シアン化ビニル系単量体と(b)芳香族ビニル系単量体との重量比が、2/8〜8/2であることが好ましい。(d)シアン化ビニル系単量体と(b)芳香族ビニル系単量体との重量比が2/8以上で、特に湿潤ピック強度と紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の向上が十分に認められ、また、重量比が8/2以下で、ピック強度と耐ブリスター性等の塗工紙物性バランスが良好で好ましい。
【0024】
さらに、本発明のジエン系共重合体ラテックスは、最終段で(b)芳香族ビニル系単量体を添加する場合、(b)芳香族ビニル系単量体がスチレンであることが好ましい。これを満たすことにより、本発明の効果であるピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性バランスにさらに優れ、かつ紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性にさらに優れる高性能の共重合体ラテックスを得ることができる。
【0025】
少なくとも(a)共役ジエン系単量体の全量を含む全単量体の80〜99重量部を最終段の前段までに重合することは、紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の点から好ましい。
該最終段の重合を開始する時点での、最終段の前段までの重合転化率が60%以上90%未満であることは、本発明の効果を出現させる上で好ましく、さらに好ましくは60%以上85%未満、さらには60%以上80%未満であることが好ましい。重合転化率が60%未満では特に湿潤ピック強度と紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の向上が十分に認められず、90%以上ではピック強度の向上が十分に認められない。
【0026】
本発明で使用される単量体を乳化重合するに際しては、特に制限はなく、従来公知の方法で、水性媒体中で前記の単量体、連鎖移動剤と界面活性剤、ラジカル重合開始剤と必要に応じて用いられる他の添加剤成分を基本構成成分とする分散系において、単量体を重合させて共重合体粒子の水性分散液、すなわちジエン系共重合体ラテックスを製造する方法などが用いられる。
このジエン系共重合体ラテックス中の共重合体の濃度は40〜60重量%の範囲で選ばれ,また、その平均粒子径は0.04〜0.4μmの範囲にあることが望ましく,さらに0.05〜0.2μmの範囲にあるのが好ましい。平均粒子径はシードラテックスや界面活性剤の使用割合などによって調整することができ、一般にその使用割合を高くするほど生成共重合体ラテックスの平均粒子径は小さくなる傾向がある。シードラテックスの重合は、本発明のラテックスの重合に先だって同一反応容器で行っても、異なる反応容器で重合したシードラテックスを用いても良い。
【0027】
単量体組成物の添加方法としては、各段とも、単量体組成物の一括添加法、単量体組成物の一部を添加した後に重合の進行に従って断続的もしくは連続的に添加する法、また、単量体組成物を連続的に添加する方法等いずれでもよい。また、単量体組成物を連続的に添加する場合の添加速度にも、特に制限はない。
【0028】
本発明のジエン系共重合体ラテックスは、一般の乳化重合に使用されている公知の連鎖移動剤を使用することができる。例えば、核置換α−メチルスチレンの2量体の一つであるα−メチルスチレンダイマー、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン,n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド類、四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化誘導体、2−エチルヘキシルチオグリコレートなどを挙げられ、これらの1種または2種以上が使用される。連鎖移動剤としては特にα−メチルスチレンダイマ−が好ましく、単量体100重量部あたり0.2〜10重量部の範囲内で使用することがさらに好ましい。この範囲を外れるとピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性のバランスが低下し本発明の効果を出現させることが難しくなる。α−メチルスチレンダイマーには、異性体として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテンおよび1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンがあるが、本発明で使用されるα−メチルスチレンダイマーとしては、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの比率が60重量%以上であることが好ましく、特に好ましくは、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの比率が80重量%以上である。また、他の連鎖移動剤は、2重量部以下で使用することが好ましい。これらの連鎖移動剤の使用方法には特に制限はないが、最終段の前段までに使用されることが好ましい。
【0029】
界面活性剤としては、例えば脂肪族セッケン、ロジン酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、ジアルキルアリールスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーなどのノニオン性界面活性剤が挙げられる。この界面活性剤は通常、アニオン性界面活性剤単独またはアニオン性/ノニオン性の混合系で用いられ、その使用量は全単量体の重量に基づき、通常0.05〜2重量%の範囲で選ばれる。
【0030】
前記ラジカル重合開始剤は、熱または還元性物質の存在下ラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものであり、無機系開始剤および有機系開始剤のいずれも使用できる。このようなものとしては、例えば水溶性又は油溶性のペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等、具体的にはペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロパーオキサイドなどがあり、また他に、POLYMER HANDBOOK(3rd edition)、J.BrandrupおよびE.H.Immergut著、John Willy & Sons刊(1989)に記載されている化合物が挙げられる。また、酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤に組み合わせて用いる、いわゆるレドックス重合法を採用することもできる。これらの中で特にペルオキソ二硫酸塩が重合開始剤として好適である。この重合開始剤の使用量は、全単量体の重量に基づき、通常0.1〜5.0重量%の範囲から、好ましくは0.2〜3.0重量%の範囲から選ばれる。
【0031】
この乳化重合における重合温度は、通常60〜100℃の範囲で選ばれるが、前記レドックス重合法等により、より低い温度で重合を行っても良い。また、各段での重合温度は同じでも異なっていても良い。
本発明においては、必要に応じ各種重合調整剤を添加することができる。例えば、水酸化カリウム以外のpH調整剤として、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどのpH調整剤も添加することができる。また、エチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどの各種キレート剤なども重合調整剤として添加することもできる。また、必要に応じ本発明の共重合体ラテックスにアルカリ感応ラテックスを添加してもさしつかえない。
【0032】
本発明のジエン系共重合体ラテックスを紙塗工用塗料のバインダーとして用いる場合には、通常行われている実施態様で行うことができる。すなわち、分散剤を溶解させた水中に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、タルク等の無機顔料、プラスチックピグメントやバインダーピグメントとして知られる有機顔料、澱粉、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子、増粘剤、染料、消泡剤、防腐剤、耐水化剤、滑剤、印刷適性向上剤、保水剤等の各種添加剤とともにジエン系共重合体ラテックスを添加して混合し、均一な分散液とする態様である。そして、この紙塗工液は、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーターなどを用いる通常の方法によって原紙に塗工することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、各特性は次のようにして求めた。
(1)共重合体ラテックスの性状
(い)粒径
光散乱法粒度分析計(シーエヌウッド社製モデル6000)により共重合体ラテックス粒子の平均直径を測定した。
(ろ)重合安定性
乳化重合後の共重合体ラテックス250gをあらかじめ精秤した200メッシュの金網で濾過し、発生した残渣凝固物量を秤量した。共重合体ラテックスに対し、重量%で0.2%以上を×、0.05%以上〜0.2%未満を△、0.05未満を○と判定した。
【0034】
(は)耐ベタツキ性
マイラーフィルムに共重合体ラテックスをNo13ワイヤーバーにて塗布した後、130℃で60秒乾燥する。黒ラシャ紙と重ね合わせ、温度70℃、線圧19600N/mのスーパーカレンダーを通す。黒ラシャ紙をマイラーフィルムより剥離し、ラシャ紙繊維のラテックスフィルム上への転移を肉眼で観察した。評価は10点評価法で行い、転移の少ないものほど高得点とした。
【0035】
(2)紙塗工性能評価
(い)ピック強度
RI印刷試験機(明製作所)を用いて、中央部に塗工紙(1.5cm×20cm)をならべて貼った台紙(30cm×25.5cm)に、印刷インク(東華色素社製、商品名:SDスーパーデラックス50紅B(タック18のもの)0.4mlを25cm×21cmの印刷面積で台紙ごと印刷し塗工紙に重ね刷りした。
ゴムロールに現れたピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その状態を観察した。評価は10点評価法で行い、ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。
【0036】
(ろ)湿潤ピック強度
RI印刷試験機(明製作所)を用いて、中央部に塗工紙(1.5cm×20cm)ならべて貼った台紙(30cm×25.5cm)にモルトンロールで塗工紙表面に給水を行い、その直後に印刷インク(東華色素社製、商品名:SDスーパーデラックス50紅B(タック15のもの)0.4mlを25cm×21cmの印刷面積で1回刷りを行い、ゴムロールに現れたピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その状態を観察した。評価は10点評価法で行い、ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。
【0037】
(は)耐ブリスター性
RI印刷試験機(明製作所)を用いて、台紙(30cm×25.5cm)の中央部に塗工紙(20cm×20cm)を貼り、印刷インク(大日本インキ社製、商品名:Webb Zett 黄)0.3mlを25cm×21cmの印刷面積で台紙ごとべた刷りした。この条件で両面印刷された塗工紙を適当な大きさに裁断し、その試験片を所定の温度に調整したシリコンオイル恒温槽に浸してブリスターが発生するか否かを観察した。恒温槽の温度を変化させてこの試験を行った。ブリスター発生温度が高いものほど耐ブリスター性に優れる。
【0038】
【実施例1】
平均直径0.035μmのポリスチレン製シード粒子の水性分散体(シード固形分濃度重量35%)3.0重量部を撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に入れ、さらに水70重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1重量部および表1に示す第1段重合用単量体の内のイタコン酸とフマール酸の全量を仕込み、内温を80℃に昇温し、次いで表1に示す第1段重合用単量体の内のイタコン酸とフマール酸を除く単量体と連鎖移動剤の混合物と、水15重量部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム1重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1重量部、水酸化ナトリウム0.2重量部からなる開始剤系水溶液を、それぞれ5時間および6時間かけて一定の流速で添加した。第1段目重合用単量体混合物の添加が終了した後、表1に示す第2段重合用単量体組成物を2時間かけて連続的に添加した。そして80℃の温度をそのまま4時間保ったのち冷却した。次いで生成したジエン系共重合体ラテックスに表1に示した量の水酸化カリウムと水酸化ナトリウムを添加することでpHを8とした。次に、スチームストリッピング法により未反応単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過した。このジエン系共重合体ラテックスは最終的には固形分濃度50重量%になるように調整した。このようにして得られたジエン系共重合体ラテックスを共重合体ラテックス(イ)とする。
【0039】
【実施例2〜4】
表1に示した単量体成分、連鎖移動剤、水酸化カリウムを用い、実施例1と同様の方法で共重合体ラテックス(ロ)〜(ニ)を得た。
【0040】
【比較例1、2】
表1に示した単量体成分、連鎖移動剤、水酸化カリウムを用い、実施例1と同様の方法で共重合体ラテックス(ホ)、(ヘ)を得た。
【0041】
【比較例3】
表1に示した単量体成分、連鎖移動剤、水酸化カリウムを用い、第2段目の重合を行わない以外は実施例1と同様の方法で共重合体ラテックス(ト)を得た。
【0042】
【比較例4】
表1に示した単量体成分、連鎖移動剤、水酸化カリウムを用い、実施例1と同様の方法で共重合体ラテックス(チ)を得た。
【0043】
【表1】
【0044】
【実施例5〜8】
共重合体ラテックス(イ)〜(ニ)を用いて下記の配合で紙塗工用組成物を調整した。
(配合処方)
カオリンクレー 70 重量部
炭酸カルシウム 30 重量部
ポリアクリル酸ソーダ 0.2 重量部
水酸化ナトリウム 0.1 重量部
リン酸エステル化デンプン 2.5 重量部
共重合体ラテックス 12 重量部
水(全固形分が64%になるように添加)
なお、カオリンクレーとしてはウルトラホワイト90(ENGELHARD社製)を、炭酸カルシウムとしてはカービタル90(ECC社製)を、ポリアクリル酸ソーダとしてはアロンT−40(東亜合成社製)を、リン酸エステル化デンプンとしてはMS−4600(日本食品化工社製)をそれぞれ使用した。
【0045】
得られた紙塗工用組成物を坪量75g/m2 の塗工原紙に塗工量が片面14g/m2 になるように両面ブレード塗工した後、恒温恒湿室(23℃、湿度65%)に一晩放置した。これをカレンダーロールで、ロール温度50℃、線圧147000N/mでの条件で1塗工面につき2回通紙することにより塗工紙を得た。
この塗工紙を用いて行った評価結果を表2に示す。
【0046】
【比較例5〜8】
共重合体ラテックスとして、(ホ)〜(チ)を用いた以外は実施例5〜8と同様にして塗工紙を得た。この塗工紙を用いて行った評価結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】
表2から明らかなように、本発明の共重合体ラテックス(イ)〜(ニ)をバインダーとして用いた塗工紙(実施例5〜8)は、いずれも塗工紙におけるピック強度、湿潤ピック強度等の塗工紙物性に優れ、かつ紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の指標となる耐ベタツキ性に優れていることが分かる。
これら実施例に対して、最終段である2段目において、アクリロニトリルを含まず、かつ1段目で添加する単量体組成物の組成から得られる共重合体の溶解パラメータ(A)と2段目で添加する単量体組成物の組成から得られる共重合体の溶解パラメータ(B)とが、本発明の請求範囲である1.0<(B)−(A)<4.5の範囲外である共重合体ラテックス(ホ)では、特に湿潤ピック強度と耐ベタツキ性に劣る。(比較例5)
【0049】
また、これら実施例に対して、最終段である2段目において、(d)シアン化ビニル系単量体を含まず、かつ1段目で添加する単量体組成物の組成から得られる共重合体の溶解パラメータ(A)と2段目で添加する単量体組成物の組成から得られる共重合体の溶解パラメータ(B)とが、本発明の請求範囲である2.0<(B)−(A)<4.5の範囲外である共重合体ラテックス(ホ)では、特に湿潤ピック強度と耐ベタツキ性に劣る。(比較例5)
重合後の水酸化カリウムの添加量が、本発明の請求範囲外である共重合体ラテックス(へ)では、特に湿潤ピック強度に劣る。(比較例6)
2段目の重合を行わず、(B)−(A)が算出不能で本発明の請求範囲外となる共重合体ラテックス(ト)では、特に湿潤ピック強度と耐ベタツキ性に劣る。
(比較例7)
【0050】
最終段である2段目において、アクリロニトリルを含んでいても、(B)−(A)が本発明の請求範囲外となる共重合体ラテックス(チ)では、湿潤ピック強度と耐ベタツキ性には満足できるものの、特にピック強度が劣る。(比較例8)最終段である2段目において、(b)芳香族ビニル系単量体を含まず、かつ(B)−(A)が本発明の請求範囲外となる共重合体ラテックス(チ)では、湿潤ピック強度と耐ベタツキ性には満足できるものの、特にピック強度が劣ることが分かる。(比較例8)
【0051】
【実施例9〜12】
表3に示した単量体成分、連鎖移動剤、水酸化カリウムを用い、内温を75℃に昇温、その温度にて重合を行った以外は実施例1と同様の方法で共重合体ラテックス(リ)〜(ヲ)を得た。
【0052】
【比較例9】
表3に示した単量体成分、連鎖移動剤、水酸化カリウムを用い、内温を75℃に昇温、その温度にて重合を行った以外は実施例1と同様の方法で共重合体ラテックス(ワ)を得た。
【0053】
【比較例10】
表3に示した単量体成分、連鎖移動剤、水酸化カリウムを用い、第2段目の重合を行わず、内温を75℃に昇温、その温度にて重合を行った以外は実施例1と同様の方法で共重合体ラテックス(カ)を得た。
【0054】
【比較例11、12】
表3に示した単量体成分、連鎖移動剤、水酸化カリウムを用い、内温を75℃に昇温、その温度にて重合を行った以外は実施例1と同様の方法で共重合体ラテックス(ヨ)、(タ)を得た。
【0055】
【表3】
【0056】
【実施例13〜16】
共重合体ラテックス(リ)〜(ヲ)を用いて下記の配合で(実施例5〜8と同様に)、紙塗工用組成物を調整した。
(配合処方)
カオリンクレー 70 重量部
炭酸カルシウム 30 重量部
ポリアクリル酸ソーダ 0.2 重量部
水酸化ナトリウム 0.1 重量部
リン酸エステル化デンプン 2.5 重量部
共重合体共重合体ラテックス 12 重量部
水(全固形分が64%になるように添加)
【0057】
得られた紙塗工用組成物を坪量75g/m2 の塗工原紙に塗工量が片面14g/m2 になるように両面ブレード塗工した後、恒温恒湿室(23℃、湿度65%)に一晩放置した。これをカレンダーロールで、ロール温度50℃、線圧147000N/mでの条件で1塗工面につき2回通紙することにより塗工紙を得た。
この塗工紙を用いて行った評価結果を表4に示す。
【0058】
【比較例13〜16】
共重合体ラテックスとして、(ワ)〜(タ)を用いた以外は実施例13〜16と同様にして塗工紙を得た。この塗工紙を用いて行った評価結果を表4に示す。
【0059】
【表4】
【0060】
表4から明らかなように、本発明の共重合体ラテックス(リ)〜(ヲ)をバインダーとして用いた塗工紙(実施例13〜16)は、いずれも塗工紙におけるピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性に優れ、かつ紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性の指標となる耐ベタツキ性に優れていることが分かる。
これに対して、最終段である2段目において、(d)シアン化ビニル系単量体を含まず、かつ重合後の水酸化カリウムの添加量と(B)−(A)が本発明の請求範囲外である共重合体ラテックス(ワ)では、特に湿潤ピック強度と耐ベタツキ性に劣る。(比較例13)
2段目の重合を行わず、(B)−(A)が算出不能で本発明の請求範囲外となる共重合体ラテックス(カ)では、特に湿潤ピック強度と耐ベタツキ性に劣る。
(比較例14)
【0061】
最終段である2段目において、アクリロニトリルを含んでいても、(B)−(A)が本発明の請求範囲外となる共重合体ラテックス(ヨ)では、耐ベタツキ性には満足できるものの、塗工紙におけるピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性に劣る。(比較例15)
最終段である2段目において、(b)芳香族ビニル系単量体を含まず、かつ重合後の水酸化カリウムの添加量と(B)−(A)が本発明の請求範囲外となる共重合体ラテックス(ヨ)では、耐ベタツキ性には満足できるものの、塗工紙におけるピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性に劣る。(比較例15)
最終段の2段目に重合する単量体組成物の重量部が本発明の請求範囲外であり、かつ重合後の水酸化カリウムの添加量と(B)−(A)が本発明の請求範囲外である共重合体ラテックス(タ)では、重合安定性が優れず(比較例12)、かつ耐ベタツキ性には満足できるものの、塗工紙におけるピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性に劣る。(比較例16)
【0062】
【発明の効果】
塗工紙におけるピック強度、湿潤ピック強度、耐ブリスター性等の塗工紙物性をバランス良く向上することができる。また、紙塗工における耐バッキングロール汚れ特性を向上することができる。
Claims (4)
- (a)共役ジエン系単量体を20〜70重量部、(b)芳香族ビニル系単量体を0.5〜78重量部、(c)エチレン性不飽和カルボン酸単量体を0.5〜10重量部、少なくともその一部がアクリロニトリルである(d)シアン化ビニル系単量体を0.5〜50重量部、(e)アミド基含有エチレン系不飽和単量体を除くその他共重合可能なビニル系単量体を0.1〜50重量部(全単量体の合計を100重量部とする。)を多段重合法を用いて乳化重合するにあたり、該多段重合の最終段において、(b)芳香族ビニル系単量体及び(d)シアン化ビニル系単量体であるアクリロニトリルからなる単量体組成物1〜20重量部を添加して乳化重合し、
かつ重合後に水酸化カリウム0.05〜2.0重量部を添加して得られるジエン系共重合体ラテックスであって、かつ多段重合の最終段の前段で添加する単量体組成物の組成から得られる共重合体の溶解パラメータ(A)と最終段で添加する単量体組成物の組成から得られる共重合体の溶解パラメータ(B)とが、下記式(1)を満たすジエン系共重合体ラテックス。
1.0<(B)−(A)<4.5 (1) - 最終段で添加する単量体組成物の、(d)シアン化ビニル系単量体であるアクリロニトリルと(b)芳香族ビニル系単量体との重量比が、2/8〜8/2である請求項1に記載のジエン系共重合体ラテックス。
- 最終段で添加する(b)芳香族ビニル系単量体がスチレンである請求項1又は2に記載のジエン系共重合体ラテックス。
- 顔料および、請求項1〜3のいずれかに記載のジエン系共重合体ラテックスを含有する紙塗工用組成物。
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