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JP4776341B2 - 共重合体ラテックスの製造方法、共重合体ラテックスおよび紙塗工用組成物 - Google Patents

共重合体ラテックスの製造方法、共重合体ラテックスおよび紙塗工用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、紙塗工における顔料バインダー、カーペットバッキング剤、接着剤、粘着剤、繊維結合剤および塗料などに用いられる共役ジエン系共重合体ラテックスに関する。更に詳しくは、紙塗工工程における操業性、その中でもバッキングロール汚れ適性に関わる塗工操業性、およびピック強度と湿潤ピック強度、および着肉性に優れた塗工紙を与える共重合体ラテックスに関する。
塗工紙は、紙の印刷適性の向上および光沢などの光学特性の向上を目的として、抄造された原紙表面に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、サチンホワイト、タルク、酸化チタンなどの顔料、それらのバインダーとしての共重合体ラテックスおよび粘度調整剤あるいは補助バインダーとしてのスターチ、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性高分子を主構成成分とする紙塗工用組成物が塗工されているものである。
ここで、バインダーとしての共重合体ラテックスとしては従来からスチレンとブタジエンを主要モノマー成分として乳化重合されたスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、いわゆるSB系ラテックスが汎用的に用いられている。
近年、カラー印刷された雑誌類やパンフレット、広告類の需要の拡大に伴って印刷速度の高速化が進められており、塗工紙および顔料バインダーに対する要求水準はますます高度化している。その中でも、特にインクピック抵抗性、いわゆるピック強度と、湿し水の存在下に印刷を行う時に重要となる、水を塗布した時のインクピック抵抗性である湿潤ピック強度、および湿潤時のインクの転写性である着肉性の向上が求められている。
また、塗工紙の製造そのものも高速化しており、塗工操業性の中でも特にバッキングロール汚れに対する抵抗性の向上が強く求められている。バッキングロール汚れに対する抵抗性は、ラテックスフィルムの湿潤時ベタツキ性と強く相関することが知られている。
共重合体ラテックスに対して、前記のごとく種々の性質の改良が求められている。例えば「特許文献1」(特開平6−211911号公報)では特定の単量体組成である単量体を用いて乳化重合をするに際し、特定の陰イオン性界面活性剤を用い、共重合体ラテックスの数平均粒子径を110nm以下とする事により良好なピック強度を得る方法が記載されている。しかし、より微粒径化すると重合安定性が低下し、凝集物を発生しやすくなり、収率が低下してしまう。
また、「特許文献2」(特開平10−7706号公報)では乳化剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩とアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸とを併用し、数平均粒子径100nm以下の共重合体ラテックスを得る事で高いピック強度を得る方法が提案されている。しかし、アルキルベンゼンスルホン酸塩の使用量が多いため、耐水性が低下し、良好な湿潤ピック強度が得られない。
さらに、「特許文献3」(特開平7−316212号公報)においては、特定の単量体組成の単量体をα−メチルスチレンダイマーの存在下乳化重合するに際し、一段目と二段目に用いる水の量をある一定範囲にすることにより数平均粒子径を60〜160nmの範囲にする事により、ピック強度と湿潤ピック強度を向上させる方法が提案されているが、この方法では塗工操業性に関する現状の要求水準を満足する事ができない。
また、共重合体ラテックスの溶解性パラメータの面からも検討がなされている。「特許文献4」(特開2001−49038号公報)では、多段重合により乳化重合を行うとき、第一工程で添加する単量体混合物の組成から得られる共重合体の溶解性パラメータと第二工程で添加する単量体混合物の組成から得られる共重合体の溶解性パラメータの差をある一定の範囲とする事によりピック強度と塗工操業性を向上させる方法が提案されている。しかしながら、近年における本技術分野においては、より高度な物性バランスの達成が要求されており、この方法では物性が不十分であると言える。
さらに、「特許文献5」(特開平10−17602号公報)においては、多段重合による乳化重合に際して、特定の量の不飽和カルボン酸を各段に仕込むことでピック強度、湿潤ピック強度および着肉性をバランス良く向上させる方法が提案されている。しかしこの方法では塗工操業性に対する要求を満足させる事ができないため、バッキングロール汚れに対する抵抗性および塗工紙におけるピック強度、湿潤ピック強度、着肉性バランスのすべてを向上させる方法として十分では無い。
このように、従来の技術では印刷と塗工紙製造の一層の高速化に対応することができず、生産性を高め高品質の塗工紙の製造を可能にするバインダーとしての共重合体ラテックスの出現が強く求められているのが現状である。
特開平6−211911号公報 特開平10−7706号公報 特開平7−316212号公報 特開2001−49038号公報 特開平10−17602号公報
上記の通り、従来の紙塗工用バインダーは、塗工操業性や塗工紙のピック強度、湿潤ピック強度、着肉性等の塗工紙物性を同時に満足させることはできなかった。そこで本発明は、塗工操業性に優れ、かつ塗工紙におけるピック強度、湿潤ピック強度、着肉性等の塗工紙物性に優れる高性能の共重合体ラテックスを提供することを目的とする。
本発明者等は前記課題を解決するために鋭意研究し、本発明をなすに至った。
すなわち本発明の第一は、(a)共役ジエン系単量体20〜80質量%、および(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜10質量%、および(c)(a)、(b)と共重合可能な他の単量体10〜79.5質量%(ただし、(a)+(b)+(c)=100質量%)からなる単量体100質量部を、乳化剤である(イ)アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩0.2〜2質量部および(ロ)アルキルベンゼンスルホン酸塩0.01〜0.29質量部を用いて乳化重合を行う際、
第一工程:(a)共役ジエン系単量体、(c)共重合可能な他の単量体から選ばれる少なくとも一種以上の単量体3〜30質量部を(ロ)アルキルベンゼンスルホン酸塩の50質量%以上を用いて重合を行う工程
第二工程:(a)および(c)から選ばれる少なくとも一種以上の単量体10〜67質量部を重合する工程
第三工程以降:残りの単量体を重合する工程
の少なくとも3工程以上に分割して乳化重合を行い、第二工程終了時までに重合系内に添加する(1)単量体/(2)水の質量比が0.2〜0.75であって、数平均粒子径100nm以下の共重合体ラテックスを得る事を特徴とする共重合体ラテックスの製造方法である。
本発明の第二は、第三工程以降で使用する単量体中の(a)共役ジエン系単量体の割合が、第二工程までに使用する単量体中の(a)共役ジエン系単量体の割合よりも小さい事を特徴とする請求項1記載の共重合体ラテックスの製造方法である。
本発明の第三は、請求項1もしくは2の製造方法によって得られる共重合体ラテックスである。
本発明の第四は、請求項2記載の共重合体ラテックスを含む紙塗工用組成物である。
本発明は、塗工操業性に優れ、かつ塗工紙におけるピック強度、湿潤ピック強度、着肉性等の塗工紙物性に優れる高性能の共重合体ラテックスを提供できる効果を有する。
本発明について、以下に具体的に説明する。
(a)共役ジエン系単量体は、共重合体ラテックスに柔軟性を与え、接着力、衝撃吸収性を与えるために必須の成分であり、該共重合体ラテックスを構成する全単量体中20〜80質量%、好ましくは25〜70質量%、より好ましくは28〜60質量%の割合で用いられる。20質量%以上の範囲で用いる事により、高い耐衝撃性を発現させられることから得られた共重合体ラテックスは高い接着強度を持ち、80質量%以下の範囲で用いる事により、得られる共重合体ラテックスが軟らかくなり過ぎず高い塗工操業性を維持する事ができる。使用される共役ジエン系単量体の好ましい例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエンなどがあげられ、これらは1種または2種以上が組み合わせて用いられる。
本発明における(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体は、共重合体ラテックスに必要な分散安定性を与え、接着力を高めるための必須成分であり、該共重合体ラテックスを構成する全単量体中0.5〜10質量%、好ましくは0.8〜8質量%、より好ましくは1〜5質量%の割合で用いられる。0.5質量%以上のエチレン系不飽和カルボン酸を用いる事により、顔料混和時および塗工工程において必要な分散安定性を維持する事ができる。また、この単量体の範囲を10質量%以下にする事により、共重合体ラテックスの粘度を抑え、かつ耐水性も維持する事ができる。エチレン系不飽和カルボン酸単量体の好ましい例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などがあげられ、これらは1種または2種以上が組み合わせて用いられる。
本発明においては(c)(a)、(b)と共重合可能な他の単量体が必要である。この共重合可能な他の単量体を適宜選択することにより、共重合体ラテックスにさまざまな特性を付与できる。
共重合可能な他の単量体の好ましい例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸アルキルエステル類、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのヒドロキシアルキルエステル類、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチルなどのアミノアルキルエステル類、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどのピリジン類、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのグリシジルエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、グリシジルメタクリルアミド、N,N−ブトキシメチルアクリルアミドなどのアミド類、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル類などがあげられ、これらは1種または2種以上が組み合わせて用いられる。
この(c)(a)、(b)と共重合可能な他の単量体は、該共重合体ラテックスを構成する全単量体を100質量部とした場合、全単量体に対し10〜79.5質量%の割合で用いられる。
本発明における第二工程終了時までに系内に添加する単量体/水の質量比は0.2〜0.75であることが必須である。0.75以下の範囲に抑える事により、重合途中の分散安定性を良好に保つ事ができるため粒径を100nm以下に抑える事ができる。また、0.2以上にする事により、共重合体ラテックス製造時の生産性を高める事ができる。好ましくは0.30〜0.65の範囲であり、更に好ましくは0.35〜0.6の範囲である。
本発明の共重合体ラテックスのガラス転移温度(Tg)は、塗工紙用途における接着強度とラテックスの耐湿潤時ベタツキ性を両立させる観点から、−60℃〜+50℃の範囲にある事が一般的である。好ましくは−40℃〜+45℃、より好ましくは−30〜+40℃の範囲であるTgは1種類の共重合体ラテックスおいて1点だけでなく、複数のTgを有していても良い。
本発明の製造方法においては共重合体ラテックスの数平均粒子径は100nm以下であることが必須である。数平均粒子径を100nm以下とする事により、必要なピック強度・湿潤ピック強度を得る事ができる。また、ラテックスの粘度が必要以上に上昇する事を抑える為には50nm以上である事が好ましく、60〜90nmの範囲である事が更に好ましい。
本発明では単量体100質量部に対し乳化剤として(イ)アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩0.1〜2質量部および(ロ)アルキルベンゼンスルホン酸塩0.01〜0.29質量部が必須である。(イ)アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩の好ましい使用量は0.2〜1.5質量部であり、使用量を0.1質量部以上とする事により乳化重合における分散安定性を保持しラテックスの数平均粒子径を100nm以下にする事ができ、2.0質量部以下とする事により耐水性の低下を防止し湿潤ピック強度を高める事ができる。(ロ)アルキルベンゼンスルホン酸塩の好ましい使用量は0.05〜0.25質量部であり、使用量を0.01質量部以上とする事により乳化重合における発生粒子数を数平均分子量が100nm以下とするのに十分とする事ができ、0.25質量部以下とする事により耐水性の低下を防止し湿潤ピック強度を高める事ができる。
本発明では他の従来公知のアニオン、カチオン、両性および非イオン性の界面活性剤および反応性乳化剤を併用することも可能である。好ましい界面活性剤の例としては、脂肪族セッケン、ロジン酸セッケン、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーなどのノニオン性界面活性剤があげられ、必要に応じてこれらの中から1種、または2種以上を組み合わせて用いる事ができる。
ラジカル開始剤は、熱または還元剤の存在下でラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものであり、無機系開始剤、有機系開始剤のいずれも使用することが可能である。好ましい例としてはペルオキソニ硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物などがあり、具体的にはペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソニ硫酸ナトリウム、ペルオキソニ硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロパーオキサイドなどがあげられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。また亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤と組み合わせて用いる、いわゆるレドックス系開始剤を用いることもできる。
本発明の製造方法では、ラジカル重合において通常用いられる公知の連鎖移動剤を用いることが可能である。連鎖移動剤の好ましい例としては、核置換α−メチルスチレンの二量体のひとつであるα−メチルスチレンダイマー、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラメチルチウラジウムジスルフィド、テトラエチルチウラジウムジスルフィドなどのジスルフィド類、四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化誘導体、2−エチルヘキシルチオグリコレートなどがあげられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。連鎖移動剤の添加方法は、一括添加、回分添加、連続添加など公知の添加方法が用いられる。
本発明の共重合体ラテックス製造時の重合温度は、通常0〜100℃の範囲で行う事が一般的であるが、生産効率と、得られる共重合体ラテックスの接着強度等の品質の観点からは、40〜95℃の範囲が好ましい。
本発明の共重合体ラテックスを製造する場合、乳化重合の系内に単量体混合物を添加する手段については、(a)共役ジエン系単量体、(c)共重合可能な他の単量体から選ばれる少なくとも一種以上の単量体3〜30質量部を(ロ)アルキルベンゼンスルホン酸塩の50質量%以上を用いて重合を行う第一工程、(a)および(c)から選ばれる少なくとも一種以上の単量体10〜67質量部を重合する第二工程、残りの単量体を重合する第三工程以降の少なくとも3工程以上に分割して乳化重合を行う多段重合法を使用する。このような多段重合法を行うことによって、必要なピック強度を維持しつつ、ラテックスフィルムの湿潤時のベタツキ性を向上させることができる。
また、(A)第三工程以降で使用する共役ジエン系単量体の割合/(B)第二工程までに使用する共役ジエン系単量体の割合の比を、1.00未満にする事が好ましい。より好ましくは0.2〜0.95とし、最も好ましくは0.3〜0.9の範囲とすることである。この範囲にする事で、ラテックスフィルムの湿潤時のベタツキ性を向上させることができる。
本発明の共重合体ラテックスには、必要に応じて公知の各種重合調整剤を用いることができる。これらはたとえばpH調整剤、キレート剤などであり、pH調整剤の好ましい例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどがあげられ、キレート剤の好ましい例としてはエチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどがあげられる。
本発明で得られた共重合体ラテックスの、最終製品としての固形分についても特に制限はなく、通常固形分は30〜60質量%の範囲に希釈もしくは濃縮して調製される。
本発明で得られた共重合体ラテックスには、必要に応じて各種添加剤を添加すること、あるいは他のラテックスを混合して用いることが可能であり、例えば分散剤、消泡剤、老化防止剤、耐水化剤、殺菌剤、印刷適性向上剤などを添加すること、アルカリ感応型ラテックス、プラスチック顔料などを混合して用いることもできる。
本発明で得られる共重合体ラテックスを紙塗工用塗料のバインダーとして用いる場合には、通常行われている実施態様で行うことができる。すなわち、分散剤を溶解させた水中に、カオリンクレー、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、タルク等の無機顔料、プラスチックピグメントやバインダーピグメントとして知られる有機顔料、澱粉、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子、増粘剤、染料、消泡剤、防腐剤、耐水化剤、滑剤、印刷適性向上剤、保水剤等の各種添加剤とともに共重合体ラテックスを添加して混合し、均一な分散液とする態様である。ここで、本発明で得られた共重合体ラテックスは、紙塗工用塗料を構成する顔料については、その平均数平均粒子径が小さいものを主として用いた場合に、特に顕著なピック強度、湿潤ピック強度を発現する。即ち、カオリンクレーについては、2μm以下の粒子が84質量部以上であるもの、炭酸カルシウムについては2μm以下の粒子が90質量部以上である顔料を用いる場合に好ましい。
顔料と本発明で得られた共重合体ラテックスの使用割合は、組成物の使用目的によって適宜決定することが出来るが、好ましくは顔料100質量部に対してラテックス3〜30質量部である。そして、この紙塗工液は、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーターなどを用いる通常の方法によって原紙に塗工することができる。塗工形態も原紙に対し片面、又は表裏の両面に塗工されうるものであり、また片面当たりの塗工回数についても1回であるシングル塗工の他、2回の塗工工程を行ういわゆるダブル塗工に供する事もできる。この場合、本発明の共重合体ラテックスはその下塗り用顔料組成物、及び上塗り用顔料組成物のいずれにも用いる事ができる。
本発明で得られた共重合体ラテックスを使用した紙塗工用組成物は、オフセット枚葉式印刷用紙、オフセット輪転式印刷用紙、グラビア式印刷用紙、凸版式印刷用紙等の各種印刷用紙及び板紙、ダンボール用紙、包装紙等に好的に用いられるが、特にオフセット枚葉式印刷用紙及びオフセット輪転印刷用紙に用いられる事が望ましい。
更に本発明で得られた共重合体ラテックスは、紙のコーティング剤、カーペットバッキング剤、その他接着剤、各種塗料にも用いる事ができる。
本発明を実施例に基づいて説明する。
各物性は、以下の方法で評価した。
(1)ピック強度:RI印刷試験機(明製作所製)を用いて、印刷インク(ティーアンドケイ東華社製SDスーパーデラックス50紅B;タック18)0.4ccを重ね刷りし、ゴムロールに現れたピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その状態を観察した。評価は10点評価法とし、ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。
(2)湿潤ピック強度:RI印刷試験機(明製作所製)を用いてスリーブロールで塗工紙表面に給水し、その直後に印刷インク(ティーアンドケイ東華社製SDスーパーデラックス50紅B;タック15)0.4cc1回刷りし、ゴムロールに現れたピッキング状態を別の台紙に裏取りし、その状態を観察した。評価は10点評価法とし、ピッキング現象の少ないものほど高得点とした。
(3)着肉性:RI印刷試験機(明製作所製)を用いてロールで塗工紙表面に薄く水を塗布し、その直後に印刷インク(東洋インキ製造社製ハイエコー藍M)0.4cc1回刷りし、塗工紙へのインクの転移量を観察した。
(4)共重合体ラテックスの数平均粒子径:MICROTRAC社製粒度分析計(型式9230UPA)を用いて測定した。
(5)ラテックスフィルムの湿潤時ベタツキ性:PETフィルムに得られた共重合体ラテックスをNo.18のワイヤーバーで塗布して130℃で30秒乾燥した。このフィルムを、30℃の水中に5秒間浸漬させた黒ラシャ紙と重ね合わせ、温度80℃、線圧19600N/mのスーパーカレンダーを通過させた後、黒ラシャ紙を剥離する。この黒ラシャ紙繊維のラテックスフィルムのベタツキによる転移状態を目視評価した。評価は10点評価法で行い、転移の少ないものほど高得点とした。
(6)共重合体ラテックスのゲル分率:得られた共重合体ラテックスを130℃で30分間乾燥しラテックスフィルムを得る。このラテックスフィルムを約0.5gとり秤量する。これをトルエン30mlと混合して3時間振とうしたのち、目開き32μmの金属網にてろ過した場合の残留物の乾燥質量を秤量する。もとのラテックスフィルム質量に対する残留物の乾燥質量の割合をゲル分率(質量%)とする。
(7)塗工カラーの調製:始めに、共重合体ラテックスを除く以下の構成材料でマスターカラーを調製した。
微粒カオリンクレー 50質量部
粗粒カオリンクレー 20質量部
重質炭酸カルシウム(微粒) 20質量部
重質炭酸カルシウム(粗粒) 10質量部
ポリアクリル酸ナトリウム 0.2質量部
水酸化ナトリウム 0.1質量部
リン酸エステル化でんぷん 2.5質量部
水(塗工液の全固形分が68質量%となるように添加)
なお、微粒カオリンクレーとしては、ハイドラグロス90(米国、J.M.HUBER社製;粒子径2μm以下の割合=96質量%以上)、粗粒カオリンクレーとしては、ハイドラスパース(米国、J.M.HUBER社製;粒子径2μm以下の割合=80〜82質量%)、微粒重質炭酸カルシウムとしてはカービタル97(イメリスミネラルズ・ジャパン社製;粒子径2μm以下の割合=97質量%以上)、粗粒重質炭酸カルシウムとしてはカービタル75(イメリスミネラルズ・ジャパン社製;粒子径2μm以下の割合=75質量%)、ポリアクリル酸ナトリウムとしてはアロンT−40(東亞合成社製)およびリン酸エステル化でんぷんとしてはMS−4600(日本食品加工社製)をそれぞれ使用した。このマスターカラーを目開き50μmの金属網に通過させて濾過した後、小分けし、各々のマスターカラーに、顔料100質量部当たり12質量部の割合で共重合体ラテックスを、及び最終固形分が64質量%になるよう、水をそれぞれ添加し、混合した。
(8)塗工紙の調製:各々の塗工カラーを、塗工量が片面13g/mになるように坪量74g/mの塗工原紙にブレードコーターで塗工し、乾燥した後、ロール温度50℃、線圧147000N/mでスーパーカレンダー処理を行い塗工紙を得た。得られた塗工紙を印刷試験に用いた。
「実施例1」
「表1」に示した重合初期原料、および第一工程の単量体および連鎖移動剤を撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に入れ、内温を75℃に調節後、ペルオキソ二硫酸ナトリウム0.8質量部を添加して重合を開始した。その15分後、第二工程として、表1に示した単量体および連鎖移動剤を3時間かけて反応器に添加した。第二工程開始30分後から、「表1」記載の水溶液を一定速度で第二工程終了まで添加した。第三工程開始から2時間の間、一定速度で表1記載の単量体および連鎖移動剤を添加した。第三工程開始後10分後から1時間30分かけて表1に示したエチレン系不飽和カルボン酸を用いた15質量%水溶液を連続的に添加した。単量体添加が終わって一時間後から一時間かけて95℃まで温度を上昇させ、その後40分間95℃で維持し、共重合体ラテックスを得た。得られたラテックスは、200メッシュ金網で濾過し、共重合体ラテックスに対して水酸化ナトウム水溶液を添加する事でpHを7.5に調整した。スチームストリッピング法により未反応単量体を除去し、さらに濃縮後、水酸化ナトリウム水溶液を加え、この共重合体ラテックスを最終的に固形分濃度50%、pH8に調整した。得られた共重合体ラテックスをラテックスAとした。
「実施例2、3、5、6」
「表1」記載の事項以外は実施例1と同様の方法で重合を行い、ラテックスB、C、E、Fを得た。
「実施例4」
第三工程開始時までは、「表1」記載の事項以外は実施例1と同様の方法で重合を行い、第三工程開始後1時間の間一定速度で「表1」記載の単量体および連鎖移動剤を添加した。第三工程開始後30分後から1時間かけて表1に示したエチレン系不飽和カルボン酸を用いた15質量%水溶液を連続的に添加した。その後、第四工程として表1記載の単量体および連鎖移動剤を30分かけて添加した。第四工程の単量体添加終了後一時間から一時間かけて95℃まで温度を上昇させ、40分間95℃で維持し、共重合体ラテックスを得た。得られた共重合体ラテックスに実施例1と同様の処理を行うことによってラテックスDを得た。
「表1」および「表3」の記載内容から明らかな様に、本発明の構成要件に該当する共重合体ラテックスについては、粒径が100nm未満となっており、得られた共重合体ラテックスの耐湿潤時ベタツキ性が優れている。更に本発明の共重合体ラテックスを使用した場合、塗工紙のピック強度、湿潤ピック強度、着肉はいずれも高いレベルにあった。
「比較例1〜5」
「表2」記載の事項以外は実施例1と同様の方法で重合を行い、G、H、I、J、K、Lを得た。「表2」は、いずれも本発明の共重合体ラテックスの範囲を外れたものの結果を記したものであり、これと「表3」の記載内容から明らかな様に、比較例1は第二工程開始時の単量体/水の比が本発明の範囲外であり、粒径が大きくなってしまっており、塗工紙のピック強度・湿潤ピック強度が低い。比較例2は乳化剤量が本発明の範囲外で、乳化剤量が多すぎて着肉性が低下した。また、乳化剤量が過剰なために粒子が肥大し、粗大粒子が生成してしまったために数平均分子量が大きくなってしまい、ピック強度・湿潤ピック強度が低下してしまった。比較例5、6も乳化剤量が本発明の範囲外であり、粒径が肥大化してしまい塗工紙のピック強度・湿潤ピック強度が低くなった。比較例3は共役ジエン系単量体量が範囲外であり、塗工紙のピック強度・湿潤ピック強度が低くなった。比較例4はエチレン系不飽和カルボン酸量が本発明の範囲外であり、共重合体ラテックスの操業性および塗工紙のピック強度が低くなった。
Figure 0004776341
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本発明によって得られる共重合体ラテックスは紙塗工における顔料バインダー、カーペットバッキング剤、接着剤、繊維結合剤および塗料などに用いられる。更に詳しくは、本発明で得られる共重合体ラテックスは、紙塗工工程における操業性の中でも特にバッキングロール汚れ適性に関わる操業性に優れ、かつ高いピック強度、湿潤ピック強度、および着肉性を持つ塗工紙を与えるため、印刷用塗工紙分野で好適に用いられる。

Claims (4)

  1. (a)共役ジエン系単量体20〜80質量%、および(b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜10質量%、および(c)(a)、(b)と共重合可能な他の単量体10〜79.5質量%(ただし、(a)+(b)+(c)=100質量%)からなる単量体100質量部を、乳化剤である(イ)アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩0.1〜2質量部および(ロ)アルキルベンゼンスルホン酸塩0.01〜0.29質量部を用いて乳化重合を行う際、
    第一工程:(a)共役ジエン系単量体、(c)共重合可能な他の単量体から選ばれる少なくとも一種以上の単量体3〜30質量部を(ロ)アルキルベンゼンスルホン酸塩の50質量%以上を用いて重合を行う工程
    第二工程:(a)および(c)から選ばれる少なくとも一種以上の単量体10〜67質量部を重合する工程
    第三工程以降:残りの単量体を重合する工程
    の少なくとも3工程以上に分割して乳化重合を行い、第二工程終了時までに重合系内に添加する(1)単量体/(2)水の質量比が0.2〜0.75であって、数平均粒子径100nm以下の共重合体ラテックスを得る事を特徴とする共重合体ラテックスの製造方法。
  2. 第三工程以降で使用する単量体中の(a)共役ジエン系単量体の割合が、第二工程までに使用する単量体中の(a)共役ジエン系単量体の割合よりも小さい事を特徴とする請求項1記載の共重合体ラテックスの製造方法。
  3. 請求項1もしくは2の製造方法によって得られる共重合体ラテックス。
  4. 請求項3記載の共重合体ラテックスを含む紙塗工用組成物。
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