JP4510319B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気ガスを浄化する触媒を有する内燃機関に供給する混合気の空燃比を制御する内燃機関の空燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の空燃比制御装置として、例えば特開平11−210536号公報に開示されたものが知られている。この空燃比制御装置はガソリンエンジンに適用されたものであり、エンジンの排気系には、排気ガスを浄化するための三元触媒が設けられている。この空燃比制御装置では、アイドル運転状態から加速運転が開始されたか否かを、例えばスロットル弁開度の変化量に基づいて判定し、加速運転が開始されたと判定したときに、燃料噴射量を増量補正することで、燃焼室に供給される混合気の空燃比をリッチ化し、発進性を確保するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の空燃比制御装置では、アイドル運転状態からの加速運転が実際に開始されたときに、空燃比がリッチ側に制御される。しかし、加速運転の開始後に直ちに燃料噴射量が増量補正されたとしても、燃料の供給遅れにより、混合気が実際にリッチ化されるまでに時間がかかるため、その間、リーンな混合気が供給され続けてしまう。その結果、三元触媒が一時的に酸化状態になり、排気ガス中のNOxが十分に還元されずに排出されるため、発進時にNOxの排出量が一時的に増大するおそれがある。
【0004】
この問題は特に、触媒として、貴金属系三元触媒よりも貴金属の使用量が少ない低貴金属三元触媒や、結晶構造を有する複合酸化物を主な触媒成分としたタイプの三元触媒(以下「結晶構造型三元触媒」という)を用いた場合、以下の理由から、顕著になる。図6および図7は、そのような結晶構造型三元触媒および貴金属系三元触媒のNOxの浄化特性の一例を示している。両図に示すように、結晶構造型三元触媒は、貴金属系三元触媒と比較し、活性温度が高く、触媒が低温状態のときや、排気ガスの空間速度が高いときに、NOx浄化率が低くなるという特性がある。一方、アイドル運転状態では、排気ガスの温度が低くかつ流量が少ないことで、触媒への供給熱量が少ないため、触媒床の温度が低下する傾向にあり、また、発進時には、エンジンの回転数および負荷がともに増大するため、排気ガスの空間速度が高くなる。このため、アイドル運転状態から発進状態への移行時には、NOx浄化率が低い低温状態の結晶構造型三元触媒に、大きな空間速度の排気ガスが供給されるという悪条件が重なる結果、NOxの排出量が増大し、排気特性が悪化してしまう。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、アイドル運転状態からの発進時におけるNOxの排出量を低減することにより、排気特性を向上させることができる内燃機関の空燃比制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
この目的を達成するため、請求項1に係る発明は、排気ガスを浄化する触媒12を有する内燃機関1に供給する混合気の空燃比を制御する内燃機関の空燃比制御装置であって、触媒12は結晶構造型三元触媒であり、内燃機関1がアイドル運転状態にあることを検出するアイドル運転状態検出手段(スロットル弁開度センサ4、エンジン回転数センサ15、ECU5(図4のステップ41))と、触媒12の温度(触媒温度TCAT)を取得する触媒温度取得手段(触媒温度センサ13)と、アイドル運転状態検出手段により内燃機関1がアイドル運転状態にあることが検出され、かつ取得された触媒の温度が所定の活性温度(所定温度TREF)まで低下したときに、空燃比を理論空燃比よりもリッチ側に制御するアイドル運転時リッチ化手段(ECU5(図4のステップ41、44、47))と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
この空燃比制御装置によれば、内燃機関がアイドル運転状態にあるときには、アイドル運転時リッチ化手段により、空燃比を理論空燃比よりもリッチ側に制御する。したがって、上述した請求項1の場合と同様、アイドル運転状態からの発進に先立ち、空燃比をリッチ化し、触媒をあらかじめ還元状態に保持できるので、発進時に排出されるNOxを触媒で十分に還元でき、NOxの排出量を低減することができる。
また、触媒は結晶構造型三元触媒であり、取得された触媒の温度が所定の活性温度まで低下したときに、空燃比をリッチ化するので、触媒の温度低下を防止しながら、最小限の燃料の増量によって、触媒を還元状態に効果的に保持することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態による空燃比制御装置、およびこれを適用した内燃機関の概略構成を示している。
【0011】
この内燃機関(以下「エンジン」という)1は、例えば、図示しないオートマチック・トランスミッション車(以下「AT車」という)に搭載された4気筒タイプのガソリンエンジンである。エンジン1の吸気管2にはスロットル弁3が設けられており、このスロットル弁3の開度(スロットル弁開度)θTHは、スロットル弁開度センサ4(アイドル運転状態検出手段)で検出され、その検出信号は、後述するECU5に送られる。また、吸気管2のスロットル弁3よりも下流側には、吸気管内絶対圧センサ6が取り付けられており、吸気管2内の圧力を吸気管内絶対圧PBAとして検出し、その検出信号をECU5に送る。
【0012】
また、吸気管2のスロットル弁3よりも下流側には、燃料噴射弁(以下「インジェクタ」という)7が気筒ごとに設けられている(1つのみ図示)。インジェクタ7は、燃料ポンプ(図示せず)などに接続され、その開弁により燃料を各気筒の吸気ポート(図示せず)に向けて噴射する。インジェクタ7の燃料噴射時間(開弁時間)TOUT、すなわちエンジン1への供給燃料量は、ECU5からの駆動信号によって制御される。また、エンジン1の各気筒には、点火プラグ21が設けられており、その点火時期もまた、ECU5からの駆動信号によって制御される。
【0013】
一方、エンジン1の排気管10には、空燃比(LAF)センサ11が取り付けられている。この空燃比センサ11は、排気ガス中の酸素濃度(空燃比)をリニアに検出し、ECU5に出力するものであり、その検出値VLAFは、酸素濃度が低いほど、すなわち空燃比がリッチ側であるほど、低くなるように設定されている。また、排気管10の空燃比センサ11よりも下流側には、排気ガス中のNOx、HC、COを浄化するための触媒12が設けられている。この触媒12は、本実施形態では、前述した結晶構造型三元触媒で構成されている。触媒12には、その触媒床の温度(触媒温度)TCATを検出する触媒温度センサ13が取り付けられており、その検出信号もECU5に出力される。
【0014】
また、エンジン1のクランク軸(図示せず)の周囲には、エンジン回転数(NE)センサ15(アイドル運転状態検出手段)が設けられている。エンジン回転数センサ15は、エンジン1の各気筒の吸入行程開始時の上死点(TDC)よりも所定角度前のクランク角度位置で、TDC信号パルスを出力する。ECU5は、このTDC信号パルスから、エンジン回転数NEを算出する。
【0015】
さらに、エンジン1の本体には、エンジン水温センサ16が取り付けられている。エンジン水温センサ16は、エンジン1の本体内を循環する冷却水の温度であるエンジン水温TWを検出し、その検出信号をECU5に出力する。ECU5にはさらに、車速センサ17およびブレーキ(BR)スイッチ18(発進加速予測手段)が接続されている。車速センサ17は、エンジン1を搭載した車両の速度(車速)Vを検出する。ブレーキスイッチ18は、フットブレーキ(図示せず)の踏込み状態を検出するものであり、踏込み時にON信号を出力する。
【0016】
ECU5は、本実施形態において、アイドル運転状態検出手段、発進加速予測手段、発進時予リッチ化手段、およびアイドル運転時リッチ化手段を構成するものである。ECU5は、I/Oインターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示せず)などからなるマイクロコンピュータで構成されている。前述した吸気管内絶対圧センサ6などの各種センサや、ブレーキスイッチ18からの検出信号は、それぞれI/OインターフェースでA/D変換や整形がなされた後、CPUに入力される。
【0017】
CPUは、これらの検出信号に応じ、ROMに記憶された制御プログラムなどに従って、エンジン1のアイドル運転状態を含む運転状態を判別するとともに、判別した運転状態に応じ、インジェクタ7の燃料噴射時間TOUTを次式(1)で算出することによって、エンジン1に供給される混合気の空燃比を制御する。
TOUT=TIM×KCMD×KAF×KTOTAL ・・・(1)
【0018】
ここで、TIMは、基本燃料噴射時間であり、エンジン回転数NEおよび吸気管内絶対圧PBAに応じて設定されたTIマップ(図示せず)を検索することによって、算出される。KCMDは、エンジン回転数NEおよび吸気管内絶対圧PBAなどに応じて設定される目標空燃比係数である。具体的には、目標空燃比係数KCMDは、目標空燃比が理論空燃比のときには値1.0に設定され、目標空燃比が理論空燃比よりもリッチ側のときには1.0よりも大きな値に、リーン側のときには1.0よりも小さな値にそれぞれ設定される。
【0019】
また、式(1)中のKAFは、空燃比のフィードバック制御運転領域において、目標空燃比係数KCMDと空燃比センサ11の出力値VLAFの変換値KACTとの偏差に応じて、PIDフィードバック制御により算出されるフィードバック補正係数である。なお、フィードバック補正係数KAFは、空燃比のフィードフォアード制御運転領域では、値1.0に設定される。
【0020】
KTOTALは、エンジン水温TWに応じて設定される水温補正係数KTWや、排気還流制御装置(図示せず)による排気還流(EGR)の実行中にEGR量に応じて設定されるEGR補正係数KEGRなど、フィードフォアード系補正係数をのすべてを乗算したものである。
【0021】
以下、図2〜図5を参照しながら、ECU5で実行される空燃比制御処理について説明する。この制御処理は、TDC信号の発生に同期して実行される。図2は、本発明の第1実施形態による空燃比制御処理のフローチャートを示している。
【0022】
本処理ではまず、ステップ21(「S21」と図示。以下同じ)において、エンジン1がアイドル運転状態にあるか否かを判別する。この判別は、例えばスロットル弁開度θTHとエンジン回転数NEに基づいて行われ、θTH値がほぼ0で、かつNE値が所定値(例えば1000rpm)以下のときに、アイドル運転状態と判別される。このステップ21の答がNOで、エンジン1がアイドル運転状態にないときには、エンジン回転数NEや吸気管内絶対圧PBAなどの運転状態に応じて、目標空燃比係数KCMDを設定する(ステップ22)。次いで、フィードバック補正係数KAFを、設定した目標空燃比係数KCMDなどに基づき、前述したようにして算出し(ステップ23)、本プログラムを終了する。
【0023】
一方、前記ステップ21の答がYESで、エンジン1がアイドル運転状態にあるときには、エンジン1がアイドル運転状態から発進加速へ移行しようする状態にあるか否かを予測する(ステップ24)。この発進加速の予測は、例えばブレーキスイッチ18の検出信号に基づいて行われ、それがON状態からOFF状態から切り換わったときに、発進加速へ移行しようする状態と予測する。これは、このエンジン1を搭載したAT車の場合、停止時には、クリープによる発進を防ぐためにフットブレーキが踏まれていて、発進の際に、フットブレーキから足を離してアクセルペダルを踏むという操作が通常、行われるためである。したがって、上記の手法によって、発進加速の予測を適切に行うことができる。
【0024】
このステップ24の答がNOで、エンジン1の発進加速が予測されないときには、目標空燃比係数KCMDを値1.0に設定する(ステップ25)。次いで、フィードバック補正係数KAFをフィードバック制御によって算出し(ステップ26)、本プログラムを終了する。具体的には、設定した目標空燃比係数KCMD(=1.0)と空燃比センサ11の出力値VLAFの変換値KACTとの偏差に応じ、PID制御によってフィードバック補正係数KAFを算出する(ステップ26)。これにより、アイドル運転状態において、空燃比が理論空燃比に制御される。
【0025】
一方、前記ステップ24の答がYES、すなわちエンジン1の発進加速が予測されたときには、目標空燃比係数KCMDを、値1.0よりも大きな発進予リッチ化用の所定値KRICHACC(例えば1.02)に設定する(ステップ27)。また、フィードバック補正係数KAFを値1.0に設定し(ステップ28)、本プログラムを終了する。以上の設定により、アイドル運転状態においてエンジン1の発進加速が予測されたときには、空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に直ちに制御される。
【0026】
図3は、上述した図2の空燃比制御処理によって得られる動作の一例を示している。なお、同図(c)(d)の1点鎖線は、従来の例、すなわち発進加速が開始された後に燃料を増量補正した場合の動作例を、比較のために示したものである。同図(a)に示すように、車両が時刻t1で停止した後、アイドル運転が行われ、時刻t3で発進されるものとすると、車両の停止とほぼ同時にフットブレーキが踏まれることにより、時刻t1以降、ブレーキスイッチ18の検出信号はON状態に維持される。そしてこの間、図2のステップ24の答がNOになり、目標空燃比係数KCMDが値1.0に設定される(ステップ25)ことで、空燃比は理論空燃比に制御される。
【0027】
一方、車両を発進させるために、時刻t3の前の時刻t2でフットブレーキから足が離されると、ブレーキスイッチ18の検出信号がOFF状態に切り換わる。これに伴い、ステップ24の答がYESになり、エンジン1の発進加速が予測されたとして、目標空燃比係数KCMDは所定値KRICHACCに設定される(ステップ27)。これにより、空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に直ちに制御され、その状態が実際の発進時(t3)まで継続される。
【0028】
以上のように、本実施形態によれば、エンジン1の発進加速に先立ち、空燃比をあらかじめリッチ化するので、燃料の供給遅れを補償しながら、触媒12をあらかじめ還元状態に確実に保持できる。したがって、その後の発進時に排出されるNOxを触媒12で十分に還元でき、その結果、同図(d)に実線で示すように、従来の場合(1点鎖線)よりもNOxの排出量を低減することができる。また、エンジン1の発進加速が予測されたときのみ空燃比をリッチ化するので、上記の効果を、最小限の燃料の増量によって効果的に得ることができる。
【0029】
図4は、本発明の第2実施形態による空燃比制御処理のフローチャートを示している。本処理ではまず、図2の制御処理の場合と同様、エンジン1がアイドル運転状態にあるか否かを判別し(ステップ41)、アイドル運転状態にないときには、目標空燃比係数KCMDを設定する(ステップ42)とともに、フィードバック補正係数KAFを算出する(ステップ43)。
【0030】
前記ステップ41の答がYESで、エンジン1がアイドル運転状態にあるときには、触媒温度TCATが所定温度TREF(例えば350℃)よりも高いか否かを判別する(ステップ44)。この答がYESで、TCAT>TREFのときには、触媒12の活性状態が保たれているとして、図2のステップ25および26と同様、目標空燃比係数KCMDを値1.0に設定する(ステップ45)とともに、この目標空燃比係数KCMDに基づくフィードバック補正係数KAFのフィードバック制御を行う(ステップ46)ことで、空燃比を理論空燃比に制御する。
【0031】
一方、前記ステップ44の答がNOで、TCAT≦TREFのときには、アイドル運転の継続により触媒温度TCATが活性温度付近まで低下していて、触媒12の浄化性能が低下するおそれがあるとして、目標空燃比係数KCMDを、値1.0よりも大きなリッチ化用の所定値KRICHIDLE(例えば1.02)に設定する(ステップ47)。次いで、前記ステップ46に進み、設定した目標空燃比係数KCMDに基づき、フィードバック補正係数KAFをフィードバック制御するとともに、ステップ48において、点火時期をリタードさせる。以上の制御により、空燃比が理論空燃比よりもリッチ化されることによって、触媒12が還元雰囲気に保たれるとともに、点火時期のリタードによって、排気ガス温度が上昇し、触媒12のそれ以上の温度低下が防止される。
【0032】
図5は、上述した図4の空燃比制御処理によって得られる動作の一例を示している。この例においても、図3と同様、車両が時刻t1で停止し、時刻t3で発進されるとすると、車両の停止直後は触媒温度TCATが高いことで、図4のステップ44の答がYESになり、目標空燃比係数KCMDを値1.0とするフィードバック補正係数KAFのフィードバック制御が行われる(ステップ45、46)ことで、空燃比は理論空燃比に制御される。
【0033】
一方、アイドル運転の継続により触媒12の温度が低下し、触媒温度TCATが所定温度TREF以下になると(時刻t2)、ステップ44の答がNOになり、目標空燃比係数KCMDをリッチ化用の所定値KRICHIDLEとするフィードバック補正係数KAFのフィードバック制御が行われる(ステップ47、46)ことで、空燃比は理論空燃比よりもリッチ側に制御される。
【0034】
以上のように、本実施形態によれば、エンジン1の発進加速に先立ち、アイドル運転状態において空燃比をリッチ化するので、第1実施形態と同様、燃料の供給遅れを補償しながら、触媒12をあらかじめ還元状態に確実に保持できる。したがって、発進時に排出されるNOxを触媒12で十分に還元でき、その結果、同図(d)に実線で示すように、アイドル運転状態で空燃比を理論空燃比に制御した場合(1点鎖線)よりも、NOxの排出量を低減することができる。また、触媒温度TCATが所定温度TREF以下に低下したときに、空燃比をリッチ化するとともに、点火時期をリタードさせるので、触媒12の温度低下を防止しながら、上記の効果を、最小限の燃料の増量によって効果的に得ることができる。
【0035】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、上記の第2実施形態では、アイドル運転状態における空燃比のリッチ化を、触媒温度TCATが所定温度TREF以下のときにのみ行っているが、これを触媒温度TCATにかかわらず行ってもよく、それにより、触媒12をあらかじめ還元状態に保持することで、発進時のNOxの排出量を低減できる。この場合には、目標空燃比係数KCMDは、アイドル運転の継続に伴い、触媒12が過度の還元状態になることでHCおよびCOの浄化率が低下しないように、触媒12の浄化特性などに応じて設定することが好ましい。また、第2実施形態では、アイドル運転時における空燃比のリッチ化を、目標空燃比係数KCMDをリッチ側に変更することにより行っているが、これに代えて、フィードバック補正係数KAFのPID制御の積分項(I項)を、リーン側よりもリッチ側で大きな値に設定することにより行ってもよい。さらに、触媒温度TCATを触媒温度センサ13によって検出しているが、エンジン回転数NEや吸気管内絶対圧PBAなどから推定によって求めてもよい。
【0036】
さらに、第1実施形態では、AT車の例であることから、エンジン1の発進加速予測手段として、ブレーキスイッチ18の検出信号を用いているが、これに代えて、シフトレバー位置を検出し、NまたはPポジションからDポジションにシフトされたことをもって、発進加速を予測してもよい。また、MT車の場合には、クラッチを踏み、変速機をつないでから発進するのが通常であるので、クラッチの操作状態を検出するクラッチスイッチを、発進加速予測手段として採用することが可能である。あるいは、前車との車間距離を計測し、保ちながら自動的に追従する追従走行装置を備えた車両の場合には、車間距離が離れたことをもって、発進加速を予測してもよい。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の内燃機関の空燃比制御装置は、内燃機関のアイドル運転状態からの発進加速に先立ち、空燃比をリッチ化することで、燃料の供給遅れを補償しながら、触媒をあらかじめ還元状態に確実に保持でき、したがって、アイドル運転状態からの発進時におけるNOxの排出量を低減することにより、排気特性を向上させることができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による空燃比制御装置、およびこれを適用した内燃機関の概略構成を示す図である。
【図2】第1実施形態による空燃比制御処理を示すフローチャートである。
【図3】図2の空燃比制御処理によって得られる動作の一例を、比較例とともに示すタイミングチャートである。
【図4】第2実施形態による空燃比制御処理を示すフローチャートである。
【図5】図4の空燃比制御処理によって得られる動作の一例を、比較例とともに示すタイミングチャートである。
【図6】結晶構造型三元触媒および貴金属系三元触媒のNOxの浄化特性を示す図である。
【図7】図6と同様の図である。
【符号の説明】
1 内燃機関
4 スロットル弁開度センサ(アイドル運転状態検出手段)
5 ECU(アイドル運転状態検出手段、発進加速予測手段、発進時予リッチ化手段、およびアイドル運転時リッチ化手段)
12 触媒
15 エンジン回転数センサ(アイドル運転状態検出手段)
18 ブレーキスイッチ(発進加速予測手段)
Claims (1)
- 排気ガスを浄化する触媒を有する内燃機関に供給する混合気の空燃比を制御する内燃機関の空燃比制御装置であって、
前記触媒は結晶構造型三元触媒であり、
前記内燃機関がアイドル運転状態にあることを検出するアイドル運転状態検出手段と、
前記触媒の温度を取得する触媒温度取得手段と、
前記アイドル運転状態検出手段により前記内燃機関がアイドル運転状態にあることが検出され、かつ前記取得された触媒の温度が所定の活性温度まで低下したときに、前記空燃比を理論空燃比よりもリッチ側に制御するアイドル運転時リッチ化手段と、
を備えていることを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
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