JP4489871B2 - 画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば複数のレーザビーム光により単一の感光体ドラム上を同時に走査露光してこの感光体ドラム上に単一の静電潜像を形成するデジタル複写機やレーザプリンタなどの画像形成装置、およびこの装置で使用される画像形成方法に関する。
【0002】
とくに、上記画像形成装置あるいは画像形成方法において、感光体ドラムに対するレーザビーム光の通過位置制御あるいはレーザビーム光のパワー制御若しくはこの制御を行なう回路部分に生じるオフセットの検知/補正に利用される構成の改良に関する。
【0003】
より具体的には、マルチビームを利用した高速デジタル複写機において、レーザビームの位置あるいはパワーのデジタル制御を、通常のA/D変換器を用いずに、汎用デジタルデバイスを利用して行なう構成に関する。
【0004】
【従来の技術】
近年、たとえばレーザビーム光による走査露光と電子写真プロセスとにより画像形成を行なうデジタル複写機が種々開発されている。
【0005】
そして、最近では、さらに画像形成速度の高速化を図るために、マルチビーム方式、つまり、複数のレーザビーム光を発生させ、これら複数のレーザビーム光により複数ラインずつの同時走査が行なわれるようにしたデジタル複写機が開発されている。
【0006】
このようなマルチビーム方式のデジタル複写機においては、レーザビーム光を発生する複数の半導体レーザ発振器、これら複数のレーザ発振器から出力される各レーザビーム光を感光体ドラムへ向けて反射し、各レーザビーム光により感光体ドラム上を走査するポリゴンミラーなどの多面回転ミラー、およびコリメータレンズやf−θレンズなどを主体に構成される光学系ユニットを備えている。
【0007】
また、マルチビームのビーム検知部は、通常は次のように構成されている。すなわち、ビーム光に反応する2つのセンサ出力を増幅し、差動増幅器によりその出力差分をとったあとに積分器により積分し、その積分結果をアナログ・デジタル変換器(以下A/D変換器またはADCと略記する)によりデジタル化する。こうしてデジタル化した積分結果(ビーム検知結果に対応するデジタルデータ)が、その後のデジタル処理に利用されるようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記デジタル複写機では、感光体ドラムに対するレーザビーム光の通過位置制御あるいはレーザビーム光のパワー制御において、マルチレーザビームの位置およびパワーのアナログ量(上記積分結果に対応)が、デジタル処理のためにデジタル化される。このデジタル処理を行なうためにA/D変換器が用いられるが、一般的にいって、A/D変換器のデバイスコストは、汎用ロジックIC(コンパレータ、フリップフロップ、インバータなど)と比較して、どうしても高くなる。
【0009】
ところで、実際のデジタル複写機では、十分な階調処理のため画像処理に8〜12ビット程度を割り当てている。このため、上記デジタル複写機では、A/D変換器にも8〜12ビットの高分解能マルチビットタイプが用いられるが、このような高分解能マルチビットA/D変換器は特に高価である。16ビットタイプともなると更に高価になる。
【0010】
また、印字速度のより高速化の要求に答えるために光学系およびデジタル処理系(CPUまたはMPUによるソフトウエア処理を含む)の処理速度が上がってくると、そこで用いられるA/D変換器の動作速度(毎回のA/D変換動作の完了に要する時間)も、より高速化(短縮化)されなければならない。このような高速要求に合致する高分解能A/D変換器は、益々高価なものになって行く。実際問題として、画像形成装置の制御回路系の全体コストからみて、高分解能かつ高速タイプのA/D変換器は、非常に高価である。
【0011】
この発明の目的は、上述したような高価なA/D変換器を用いなくてもデジタル制御が可能な画像形成装置または画像形成方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、マルチビームのビーム通過位置の制御を行なうこの発明の画像形成装置は、複数のビーム光を発生する光源と;前記複数ビーム光が所定の対象上を通過するように走査させる走査手段と;前記走査手段により走査される各ビーム光の通過位置を検知する検知手段と;前記複数ビーム光の走査方向と直交する方向の走査位置を変化させるビーム光走査位置変更手段を具備する。ここで、前記検知手段は、前記複数ビーム光の通過位置に対応した複数センサパターンを持ち前記複数ビーム光の通過位置に対応した出力信号を出力するビーム光位置検知器と、ビーム光位置検知器出力処理回路と、主制御部を備える。また、前記ビーム光位置検知器出力処理回路は、前記複数センサパターンのうち隣接するセンサパターンに対応した前記ビーム光位置検知器の出力信号の差分を、複数の差分信号として演算する差分演算手段と、前記差分演算手段で演算された複数の差分信号のうちのいずれか1つの信号を選択する選択手段と、前記選択手段で選択された信号を積分する積分手段と、前記積分手段の出力と所定のしきい値の大小を比較しその比較結果をデジタルビット化し保持して出力する比較保持手段を備える。さらに、前記主制御部は、前記比較保持手段の出力に応じ前記所定のしきい値を変更して前記複数ビーム光の通過位置を判断し、この複数ビーム光の通過位置に基づいて、前記走査手段により走査される各ビーム光の通過位置が所望の位置となるように前記ビーム光走査位置変更手段を制御する。
【0013】
また、上記目的を達成するために、マルチビームのビームパワーの制御を行なうこの発明の画像形成装置は、複数のビーム光を発生する光源と;前記複数ビーム光が所定の対象上を通過するように走査させる走査手段と;前記走査手段により走査される各ビーム光の通過位置を検知する第1の検知手段と;前記走査手段により走査される各ビーム光の光量を検知する第2の検知手段と;前記走査手段により走査される各ビーム光の光量を定めるビーム光量変更手段と;前記複数ビーム光の走査方向と直交する方向の走査位置を変化させるビーム光走査位置変更手段を具備する。ここで、前記第1の検知手段は、前記複数ビーム光の通過位置に対応した複数センサパターンを持ち前記複数ビーム光の通過位置に対応した出力信号を出力するビーム光位置検知器と、ビーム光位置検知器出力処理回路と、主制御部を備える。また、前記第2の検知手段は前記複数ビーム光の光量を検知するセンサパターンを持ち検知した光量に対応する光量信号を出力するものであり、前記ビーム光位置検知器出力処理回路は、前記複数センサパターンのうち隣接するセンサパターンに対応した前記ビーム光位置検知器の出力信号の差分を、複数の差分信号として演算する差分演算手段と、前記差分演算手段で演算された複数の差分信号のうちのいずれか1つの信号を選択する選択手段と、前記選択手段で選択された信号を積分する積分手段と、前記積分手段の出力と第1のしきい値の大小を比較しその比較結果をデジタルビット化し保持して出力する比較保持手段を備える。さらに、前記選択手段は前記第2の検知手段からの前記光量信号を選択するように構成され、前記積分手段はこの選択された光量信号を積分するように構成され、前記比較保持手段はこの積分された光量信号と第2のしきい値の大小を比較しその比較結果をデジタルビット化し保持して出力するように構成される。そして、前記主制御部が、前記比較保持手段の出力に応じ前記第1のしきい値を変更して前記複数ビーム光の通過位置を判断し、この複数ビーム光の通過位置に基づいて前記走査手段により走査される各ビーム光の通過位置が所望の位置となるように前記ビーム光走査位置変更手段を制御するとともに、前記主制御部が、前記比較保持手段の前記光量信号に関する出力に応じ前記第2のしきい値を変更して前記複数ビーム光の光量を判断し、この複数ビーム光の光量が所望の大きさとなるように前記ビーム光量変更手段を制御する。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の一実施の形態を説明する。
【0028】
図1は、この発明の一実施の形態に係る画像形成装置としてのデジタル複写機の構成を示す。
【0029】
すなわち、このデジタル複写機は、たとえば、画像読取手段としてのスキャナ部1、および画像形成手段としてのプリンタ部2から構成されている。スキャナ部1は、移動可能な第1キャリジ3と第2キャリジ4、結像レンズ5、および光電変換素子6などから構成されている。
【0030】
図1において、原稿Oは透明ガラスからなる原稿台7上に下向きに置かれる。この原稿Oの載置基準としては、原稿台7の短手方向の正面右側が、センタ基準として採用されている。原稿Oは、開閉自在に設けられた原稿固定カバー8によって原稿台7上に押さえつけられる。
【0031】
原稿Oは光源9によって照明され、その反射光はミラー10、11、12、および結像レンズ5を介して光電変換素子6の受光面に集光されるように構成されている。ここで、上記光源9およびミラー10を搭載した第1キャリジ3と、ミラー11、12を搭載した第2キャリジ4は、光路長を一定にするように2:1の相対速度で移動するようになっている。第1キャリジ3および第2キャリジ4は、キャリジ駆動用モータ(図示せず)によって、読取タイミング信号に同期して図上右から左方向に移動する。
【0032】
以上のようにして、原稿台7上に載置された原稿Oの画像は、スキャナ部1によって1ラインごとに順次読取られ、その読取り出力は、図示しない画像処理部において画像の濃淡を示す8〜12ビットのデジタル画像信号に変換される(以下では、画像の濃淡を示す量子化ビット数を、8ビットで示すことにする)。
【0033】
プリンタ部2は、光学系ユニット13、および被画像形成媒体である用紙P上に画像形成が可能な電子写真方式を組合わせた、画像形成部14で構成されている。
【0034】
すなわち、原稿Oからスキャナ部1で読取られた画像信号は、図示しない画像処理部で処理が行なわれた後、半導体レーザ発振器からのレーザビーム光(以降、単にビーム光と称す)に変換される。ここで、この実施の形態では、半導体レーザ発振器を複数個(2個以上)使用するマルチビーム光学系を採用している。
【0035】
光学系ユニット13の構成については後で詳細を説明するが、光学系ユニット内に設けられた複数の半導体レーザ発振器は、図示しない画像処理部から出力されるレーザ変調信号にしたがって発光動作し、これらから出力される複数のビーム光は、ポリゴンミラーで反射されて走査光となり、光学系ユニット外部へ出力されるようになっている。
【0036】
光学系ユニット13から出力される複数のビーム光は、像担持体としての感光体ドラム15上の露光位置Xの地点に必要な解像度を持つスポットの走査光として結像され、走査露光される。これによって、感光体ドラム15上には、画像信号に応じた静電潜像が形成される。
【0037】
感光体ドラム15の周辺には、その表面を帯電する帯電チャージャ16、現像器17、転写チャージャ18、剥離チャージャ19、およびクリーナ20などが配設されている。
【0038】
感光体ドラム15は、駆動モータ(図示せず)により所定の外周速度で回転駆動され、その表面に対向して設けられている帯電チャージャ16によって帯電される。帯電された感光体ドラム15上の露光位置Xの地点に複数のビーム光(走査光)がスポット結像される。
【0039】
感光体ドラム15上に形成された静電潜像は、現像器17からのトナー(現像剤)により現像される。現像によりトナー像が形成された感光体ドラム15は、転写位置の地点で、給紙系によりタイミングをとって供給される用紙P上に、転写チャージャ18によって転写される。
【0040】
上記給紙系は、装置底部に設けられた給紙カセット21内の用紙Pを、給紙ローラ22と分離ローラ23とにより1枚ずつ分離して排出する。そして、分離・排出された各用紙Pは、レジストローラ24まで送られ、所定のタイミングで転写位置まで供給され、そこでトナー像が転写される。転写チャージャ18の下流側には、用紙搬送機構25、定着器26、画像形成済みの用紙Pを排出する排紙ローラ27が配設されている。これにより、トナー像が転写された用紙Pは、定着器26でトナー像が定着され、その後、排紙ローラ27を経て外部の排紙トレイ28に排紙される。
【0041】
また、用紙Pへの転写が終了した感光体ドラム15は、その表面の残留トナーがクリーナ20によって取り除かれて、初期状態に復帰し、次の画像形成の待機状態となる。
【0042】
以上のプロセス動作を繰り返すことにより、画像形成動作が連続的に行なわれる。
【0043】
以上説明したように、原稿台7上に置かれた原稿Oは、スキャナ部1で読取られ、その読取り情報は、プリンタ部2で一連の処理を施された後、用紙P上にトナー画像として記録される。
【0044】
次に、光学系ユニット13について説明する。
【0045】
図2は、光学系ユニット13の構成と感光体ドラム15の位置関係を示している。光学系ユニット13は、たとえば4つのビーム光発生手段としての半導体レーザ発振器31a、31b、31c、31dを内蔵している。そして、それぞれのレーザ発振器31a〜31dが同時に1走査ラインずつの画像形成を共同して行なうことにより、ポリゴンミラー35の回転数を極端に上げることなく、高速の画像形成を可能としている。
【0046】
すなわち、レーザ発振器31aはレーザドライバ32aで駆動され、出力されるレーザビーム光は、図示しないコリメータレンズを通過した後、光路変更手段としてのガルバノミラー33aに入射する。ガルバノミラー33aで反射されたビーム光は、ハーフミラー34aとハーフミラー34bを通過し、多面回転ミラーとしてのポリゴンミラー35に入射する。
【0047】
ポリゴンミラー35は、ポリゴンモータドライバ37で駆動されるポリゴンモータ36によって一定速度で回転されている。これにより、ポリゴンミラー35からの反射光は、ポリゴンモータ36の回転数で定まる角速度で、一定方向に走査することになる。
【0048】
ポリゴンミラー35によって走査されたレーザビーム光は、図示しないf−θレンズのf−θ特性により、これを通過することによって、一定速度で、ビーム光位置検知手段としてのビーム光位置検知器38の受光面、および感光体ドラム15上を走査することになる。
【0049】
レーザ発振器31bは、レーザドライバ32bで駆動され、出力されるレーザビーム光は、図示しないコリメータレンズを通過した後、ガルバノミラー33bで反射し、さらにハーフミラー34aで反射する。ハーフミラー34aからの反射光は、ハーフミラー34bを通過し、ポリゴンミラー35に入射する。ポリゴンミラー35以降のビーム経路は上述したレーザ発振器31aの場合と同じで、図示しないf−θレンズを通過し、一定速度でビーム光位置検知器38の受光面および感光体ドラム15上を走査する。
【0050】
レーザ発振器31cは、レーザドライバ32cで駆動され、出力されるレーザビーム光は、図示しないコリメータレンズを通過した後、ガルバノミラー33cで反射し、さらにハーフミラー34cを通過し、ハーフミラー34bで反射し、ポリゴンミラー35に入射する。ポリゴンミラー35以降のビーム経路は上述したレーザ発振器31a、31bの場合と同じで、図示しないf−θレンズを通過し、一定速度でビーム光位置検知器38の受光面および感光体ドラム15上を走査する。
【0051】
レーザ発振器31dは、レーザドライバ32dで駆動され、出力されるレーザビーム光は、図示しないコリメータレンズを通過した後、ガルバノミラー33dで反射し、さらにハーフミラー34cで反射し、ハーフミラー34bで反射し、ポリゴンミラー35に入射する。ポリゴンミラー35以降のビーム経路は上述したレーザ発振器31a、31b、31cの場合と同じで、図示しないf−θレンズを通過し、一定速度でビーム光位置検知器38の受光面および感光体ドラム15上を走査する。
【0052】
このようにして、別々のレーザ発振器31a、31b、31c、31dから出力された各レーザビーム光は、ハーフミラー34a、34b、34cで合成され、4つのレーザビーム光がポリゴンミラー35の方向に進むことになる。
【0053】
したがって、4つのレーザビーム光は同時に感光体ドラム15上を走査することができ、これまでのシングルビームの場合に比べ、ポリゴンミラー35の回転数が同じである場合、4倍の速度で画像を記録することが可能となる。
【0054】
ガルバノミラー33a、33b、33c、33dは、副走査方向(感光体ドラム15の長手軸方向)のビーム光相互間の位置関係を調整(制御)するためのものであり、それぞれを駆動するガルバノミラー駆動回路39a、39b、39c、39dが接続されている。
【0055】
ビーム光位置検知器38は、上記4つのレーザビーム光の通過位置と通過タイミングを検知するためのものであり、その受光面が感光体ドラム15の表面と同等になるよう、感光体ドラム15の端部近傍の位置BP1に配設されている。
【0056】
ポリゴンミラー35の回転速度、およびポリゴンミラー35と検知器38とドラム15との間の幾何学的な位置関係は事前に分かっているので、ポリゴンミラー35で反射されたレーザビームが検知器38で検知された瞬間からの時間経過を計量すれば、今レーザビームのスポットが走査線BSL上の何処にあるのか、あるいは感光体ドラム15の特定位置をレーザビームがどんなタイミングで通過するかを知ることができる。
【0057】
つまり、ビーム光位置検知器38が感光体ドラム15上のビーム走査面の位置に実際に配置されていなくても、別の位置に配置された検知器38の検知結果に基づいて、今レーザビームのスポットが走査線BSL上の何処にあるのかを知ることができる。このような「別の位置」が、上記「感光体ドラム15の表面と同等」の位置に相当する。
【0058】
すなわち、「感光体ドラム15の表面と同等」とは、感光体ドラム15上のビーム走査線BSLの線上、あるいはこのBSL線上とポリゴンミラー35のビーム反射面とを結ぶ線上の何処(たとえば図2では位置BP1またはBP2)かをいう。この何処かの位置として、図2では位置BP1が検知器38の配設位置として例示されている。
【0059】
このように設置されたビーム光位置検知器38からの検知信号を基に、それぞれのビーム光に対応するガルバノミラー33a、33b、33c、33dの制御(副走査方向の画像形成位置制御)、レーザ発振器31a、31b、31c、31dの発光パワー(強度)の制御、および発光タイミングの制御(主走査方向の画像形成位置制御)が行なわれる(詳細は後述する)。これらの制御を行なうための信号を生成するために、ビーム光位置検知器38には、ビーム光位置検知器出力処理回路40が接続されている。
【0060】
図2のマルチビーム光学系を備えた図1のデジタル複写機は、複数のレーザを有しており、ビーム相互を所定の関係に保持するためにビーム制御が必要となる。このマルチビーム光学系のビーム制御に適するよう、図2のビーム光位置検知器38は、特殊な構成のビーム検知センサ380を備えている。
【0061】
ビーム検知センサ380を構成する光センサ受光部SA〜SPの配置パターンは、たとえば図3に示すようになっている。これらの光センサ受光部SA〜SPそれぞれは、フォトダイオードなどの光検知素子により構成される。図2のポリゴンミラー35で反射されたレーザビームは、図3のセンサ380のパターンを、左(SA側)から右(SP側)へ横切って走査する。
【0062】
図3は、4ビーム構成で解像度600dpi(ドット・パー・インチ)の場合に利用でき、所定の形状および配置を持った16個の光センサ受光部(フォトダイオード)SA〜SPで構成されている。以下、これらの受光部SA〜SPの機能をを説明する。
【0063】
<01>受光部SAは、感光体ドラム15上における主走査ビームの通過タイミングを検知し、種々なタイミング信号を生成するのに利用される。
【0064】
具体的には、受光部SAと受光部SBとの組み合わせで、傾き検知受光部SC、SDの積分リセット信号を生成する;
受光部SAと受光部SEとの組み合わせで、副走査ビーム位置検知の積分リセット信号を生成する;
受光部SAと受光部SKとの組み合わせで、ビーム光量検知の積分リセット信号を生成する;
受光部SAと受光部SMとの組み合わせで、傾き検知受光部SN、SOの積分リセット信号を生成する;
受光部SAと受光部SBとの組み合わせで、同期信号(HSYNC信号)を生成する。
【0065】
<02>受光部SBも、主走査ビームの通過タイミングを検知するのに利用される。
【0066】
具体的には、受光部SBと受光部SAとの組み合わせで、傾き検知受光部SC、SDの積分リセット信号を生成する;
受光部SBと受光部SAとの組み合わせで、同期信号(HSYNC信号)を生成する。
【0067】
<03>受光部SCは、センサ380の受光面とこのセンサに入射するレーザビームとの相対的な傾きを検知するのに利用される。
【0068】
具体的には、受光部SCと受光部SDとの組み合わせで、上流側の傾き検知が行われる。
【0069】
<04>受光部SDも、センサ380の受光面とこのセンサに入射するレーザビームとの相対的な傾きを検知するのに利用される。
【0070】
具体的には、受光部SDと受光部SCとの組み合わせで、上流側の傾き検知が行われる。
【0071】
<05>受光部SEは、各種タイミング生成に利用される。
【0072】
具体的には、受光部SCと受光部SDとの組み合わせによる傾き検知結果(アナログ量)のA/D変換(あるいはより広範な意味でA/D処理)の開始信号を生成する;
受光部SEと受光部SAとの組み合わせで、副走査ビーム位置検知の積分リセット信号を生成する。
【0073】
<06>受光部SFは、受光部SGとの組み合わせで、(4本のレーザビームをa〜dで表したときに)ビームdのビーム位置(副走査ビーム位置)を検知するのに利用される。
【0074】
<07>受光部SGは、受光部SFとの組み合わせでビームdのビーム位置(副走査ビーム位置)を検知するのに利用され、受光部SHとの組み合わせでビームcのビーム位置(副走査ビーム位置)を検知するのに利用される。
【0075】
<08>受光部SHは、受光部SGとの組み合わせでビームcのビーム位置(副走査ビーム位置)を検知するのに利用され、受光部SIとの組み合わせでビームbのビーム位置(副走査ビーム位置)を検知するのに利用される。
【0076】
<09>受光部SIは、受光部SHとの組み合わせでビームbのビーム位置(副走査ビーム位置)を検知するのに利用され、受光部SJとの組み合わせでビームaのビーム位置(副走査ビーム位置)を検知するのに利用される。
【0077】
<10>受光部SJは、受光部SIとの組み合わせでビームaのビーム位置(副走査ビーム位置)を検知するのに利用される。
【0078】
<11>受光部SKは、各種タイミング生成に利用される。
【0079】
具体的には、副走査ビーム位置の検知結果(アナログ量)のA/D変換(A/D処理)開始信号を生成する;
受光部SKと受光部SAとの組み合わせで、ビーム光量(パワー)検知の積分リセット信号を生成する。
【0080】
<12>受光部SLは、ビーム光量(パワー)を検知するのに利用される。
【0081】
<13>受光部SMは、各種タイミング生成に利用される。
【0082】
具体的には、ビーム光量(パワー)の検知結果(アナログ量)のA/D変換(A/D処理)開始信号を生成する;
受光部SMと受光部SAとの組み合わせで、受光部SNと受光部SOとの組み合わせによる傾き検知の積分リセット信号を生成する。
【0083】
<14>受光部SNは、センサ380の受光面とこのセンサに入射するレーザビームとの相対的な傾きを検知するのに利用される。
【0084】
具体的には、受光部SNと受光部SOとの組み合わせで、下流側の傾き検知が行われる。
【0085】
<15>受光部SOも、センサ380の受光面とこのセンサに入射するレーザビームとの相対的な傾きを検知するのに利用される。
【0086】
具体的には、受光部SOと受光部SNとの組み合わせで、下流側の傾き検知が行われる。
【0087】
<16>受光部SPは、主走査ビームの通過タイミング検知等に利用される。
【0088】
具体的には、主走査ビームの通過タイミングを検知し、受光部SNおよび受光部SOからの傾き検知結果(アナログ量)のA/D変換(A/D処理)の開始信号を生成する。
【0089】
以上まとめると、図3のビーム検知センサ380は、(1)副走査ビーム位置検知機能と、(2)主走査ビーム通過タイミング検知機能と、(3)ビーム光量(パワー)検知機能と、(4)傾き検知機能とを持つことができるようになっている。
【0090】
なお、図3の構成では、光センサ受光部SEとSKとの間隔Lekが、光センサ受光部SKとSMとの間隔Lkmと等しくなるように構成されている。光センサ受光部SF〜SJにビーム光を照射しない状態で光センサ受光部SKおよびSMからのセンサ出力を積分することにより、オフセット検出ができる。
【0091】
次に、図1の装置の制御系について説明する。
【0092】
図4は、主にマルチビーム光学系の制御を主体にした制御系を示している。すなわち、51は全体的な制御を司る主制御部で、たとえば、マイクロコンピュータMPUまたはワンチップCPUをベースに構成される。この出力制御部51には、メモリ52、コントロールパネル53、外部通信インタフェイス(I/F)54、レーザドライバ32a、32b、32c、32d、ポリゴンミラーモータドライバ37、ガルバノミラー駆動回路39a、39b、39c、39d、信号処理手段としてのビーム光位置検知器出力処理回路40、同期回路55、および画像データインタフェイス(I/F)56が接続されている。
【0093】
同期回路55には画像データI/F56が接続されており、画像データI/F56には画像処理部57およびページメモリ58が接続されている。画像処理部57にはスキャナ部1が接続され、ページメモリ58には外部インタフェイス(I/F)59が接続されている。
【0094】
ここで、画像を形成する際の画像データの流れを簡単に説明すると、以下のような流れとなる。
【0095】
まず、複写動作の場合、図1を参照して先に説明したように、原稿台7上にセットされた原稿Oの画像は、スキャナ部1で読取られ、画像処理部57へ送られる。画像処理部57は、スキャナ部1からの画像信号に対し、たとえば、周知のシェーディング補正、各種フィルタリング処理、階調処理、ガンマ補正などを施こす。
【0096】
画像処理部57からの画像データは、画像データI/F56へと送られる。画像データI/F56は、4つのレーザドライバ32a、32b、32c、32dへ画像データを振り分ける役割を果たしている。
【0097】
同期回路55は、各レーザビーム光のビーム光位置検知器38上を通過するタイミングに同期したクロックを発生する。このクロックに同期して、画像データI/F56から各レーザドライバ32a、32b、32c、32dへ、画像データをレーザ変調信号として送出する。このように各レーザビーム光の走査と同期を取りながら画像データを転送することで、主走査方向に同期がとれた(正しい位置への)画像形成が行なわれる。
【0098】
また、同期回路55には、非画像領域で各レーザ発振器31a〜31dを強制的に発光動作させ各レーザビーム光のパワーを制御するためのサンプルタイマや、各レーザビーム光の画像形成タイミングを取るためにビーム光の順にしたがってビーム光位置検知器38上でそれぞれのレーザ発振器31a〜31dを発光動作させる論理回路などが含まれている。
【0099】
コントロールパネル53は、複写動作の起動や、枚数設定などを行なうマン・マシン・インタフェースである。
【0100】
このデジタル複写機は、複写動作のみでなく、ページメモリ58に接続された外部I/F59を介して外部から入力される画像データをも形成出力できる構成(つまりプリンタ)となっている。なお、外部I/F59から入力される画像データは、一旦ページメモリ58に格納された後、画像データI/F56を介して同期回路55へ送られる。
【0101】
また、このデジタル複写機が、たとえばネットワークなどを介して外部から制御される場合には、外部通信I/F54がコントロールパネル53の役割を果たす。
【0102】
ガルバノミラー駆動回路39a、39b、39c、39dは、主制御部51からの指示値にしたがって、ガルバノミラー33a、33b、33c、33dを駆動する回路である。したがって、主制御部51は、ガルバノミラー駆動回路39a〜39dを介してガルバノミラー33a〜33dそれぞれの角度を自由に制御することができる。
【0103】
ポリゴンモータドライバ37は、先に述べた4つのビーム光を走査するポリゴンミラー35を回転させるためのポリゴンモータ36を駆動するドライバである。主制御部51は、このポリゴンモータドライバ37に対し、回転開始/回転停止および回転数の切換え指示を行なうことができる。回転数の切換えは、ビーム光位置検知器38でビーム光の通過位置を確認する際に、必要に応じて、所定の回転速度よりも回転数を落すときに用いる。
【0104】
レーザドライバ32a〜32dは、先に説明した同期回路55からのビーム光の走査に同期したレーザ変調信号にしたがってレーザ光を発光させる以外に、主制御部51からの強制発光信号により、画像データとは無関係に強制的にレーザ発振器31a〜31dを発光動作させる機能を持っている。
【0105】
また、主制御部51は、それぞれのレーザ発振器31a〜31dが発光動作するパワーを、各レーザドライバ32a〜32dに対して設定する。発光パワーの設定は、画像形成プロセス条件の変化や、ビーム光の通過位置検知などに応じて変更される。
【0106】
メモリ52は、制御に必要な情報を記憶するためのものである。たとえば、各ガルバノミラー33a〜33dの制御量やレーザビーム光の到来順序その他の情報を記憶しておくことで、電源立ち上げ後、即座に光学系ユニット13を画像形成が可能な状態にすることができる。
【0107】
次に、レーザビーム光の通過(走査)位置制御について説明する。
【0108】
図5は、図2の感光体ドラム15に対するレーザビーム光の通過位置制御、および後述するオフセット検出・補正処理を説明するための図であり、図4のブロック図のうちのビーム光制御に関連する部分を抜き出して詳細に示したものである。
【0109】
ビーム光位置検知器38を構成する図3のビーム検知センサ380のセンサパターン(フォトダイオードで構成されるセンサ受光部)SA、SE、SK、SMからは、そこをレーザビーム光が通過した(横切った)ときにパルス状の信号が出力される。
【0110】
また、複数のセンサパターン(センサ受光部)SF〜SJからは、レーザビーム光の通過位置に応じて、それぞれ独立した信号が出力される。たとえばレーザビームがSF上を通過すればセンサSFのフォトダイオードがパルス信号を出力する。レーザビームがSFとSGの境界上付近を通過すればセンサSFおよびSG双方のフォトダイオードからパルス信号が出力される。
【0111】
以下同様に、レーザビームがSIとSJの境界上付近を通過すればセンサSIおよびSJ双方のフォトダイオードからパルス信号が出力され、レーザビームがSJ上を通過すればセンサSJのフォトダイオードからパルス信号が出力される。
【0112】
さらに、センサパターン(センサ受光部)SLからは、そこを通過する4本のレーザビームの光量(パワー)に対応した信号(アナログ)が出力される。
【0113】
センサパターンSLのフォトダイオードから出力された信号は、増幅器62(増幅器L)により所定の増幅度で増幅され、選択回路(アナログスイッチ)41に供給される。この増幅器Lの増幅度は、出力制御部51からの指令に応じて変更できるようになっている。
【0114】
センサパターンSJのフォトダイオードから出力された信号は、差動増幅器63(差動増幅器J−I)の一方入力に供給される。
【0115】
センサパターンSIのフォトダイオードから出力された信号は、差動増幅器63(差動増幅器J−I)の他方入力に供給されるとともに、差動増幅器64(差動増幅器IーH)の一方入力に供給される。
【0116】
センサパターンSHのフォトダイオードから出力された信号は、差動増幅器64(差動増幅器IーH)の他方入力に供給されるとともに、差動増幅器65(差動増幅器HーG)の一方入力に供給される。
【0117】
センサパターンSGのフォトダイオードから出力された信号は、差動増幅器65(差動増幅器HーG)の他方入力に供給されるとともに、差動増幅器66(差動増幅器GーF)の一方入力に供給される。
【0118】
センサパターンSFのフォトダイオードから出力された信号は、差動増幅器66(差動増幅器GーF)の他方入力に供給される。
【0119】
すなわち、センサパターンSF〜SJのフォトダイオードからの出力信号は、センサパターンSF〜SJのうち隣り合うものからの出力信号の差を増幅する差動増幅器63〜66に、それぞれ入力される。
【0120】
差動増幅器63は、センサパターンSJおよびSIからの出力信号の差分を増幅して選択回路(アナログスイッチ)41に供給する。
【0121】
同様に、差動増幅器64はセンサパターンSIおよびSHからの出力信号の差分を増幅して選択回路41に供給し、差動増幅器65はセンサパターンSHおよびSGからの出力信号の差分を増幅して選択回路41に供給し、差動増幅器66はセンサパターンSGおよびSFからの出力信号の差分を増幅して選択回路41に供給する。
【0122】
選択回路41は、主制御部(CPU)51からのセンサ選択信号により入力された信号のいずれか1つを選択し、選択された信号を、積分器42へ供給する。積分器42は、選択回路41によって選択された信号を積分する。
【0123】
センサパターンSAのフォトダイオードから出力されたパルス信号、センサパターンSEのフォトダイオードから出力されたパルス信号、およびセンサパターンSKのフォトダイオードから出力されたパルス信号は、選択回路Aに入力される。選択回路Aは、主制御部51からの指令にしたがって、SA、SE、またはSKのいずれかからのパルス信号を選択し、積分器42に供給する。積分器42は、供給されたパルス信号によりリセットされて、選択回路41から入力された信号の積分を開始するように構成されている。
【0124】
つまり、積分器42は、図3のビーム検知センサ380のセンサパターン(フォトダイオードで構成されるセンサ受光部)SA、SE、SKの配置とそこを所定の速度で横切るレーザビームの通過タイミングに応じて、積分動作を開始する。
【0125】
なお、積分器42には、ノイズの除去作用と、ビーム光位置検知器38の取付け傾きの影響除去などの作用がある。
【0126】
また、センサパターンSKのフォトダイオードから出力されたパルス信号およびセンサパターンSMのフォトダイオードから出力されたパルス信号は、選択回路Bに入力される。選択回路Bは、主制御部51からの指令にしたがって、SKまたはSMのいずれかからのパルス信号を選択し、後述するフリップフロップ回路432に供給する。フリップフロップ回路432は、供給されたパルス信号によりクロックされて、所定の動作を行なうように構成されている。
【0127】
つまり、フリップフロップ回路432は、図3のビーム検知センサ380のセンサパターン(フォトダイオードで構成されるセンサ受光部)SK、SMの配置とそこを所定の速度で横切るレーザビームの通過タイミングに応じて、フリップフロップ動作を行なう(後に詳述するが、このフリップフロップ動作はこの発明のA/D処理動作に関係している)。
【0128】
このように、センサパターンSA、SE、またはSKからのパルス信号により、レーザビーム光がビーム検知センサ380を通過するときに積分器42をリセットして積分動作を開始させる。そして、レーザビーム光がビーム検知センサ380のセンサパターン上を通過している間は、積分器42はレーザビーム光の通過位置を示す信号を積分する。その間、積分器42で積分した結果はコンパレータ430、フリップフロップ回路432、主制御部51およびDAコンバータ434のループで構成される回路動作により、通常のA/D変換デバイスを用いることなく、実質的にA/D変換に対応したA/D処理がなされる(このA/D処理のための回路構成および動作は、別途図面を参照して後述する)。
【0129】
この積分動作を伴うA/D処理により、ノイズが少なく、ビーム光位置検知器38の取付け傾きの影響が除去された検知信号をデジタル信号に変換することができる。
【0130】
ここで、増幅器62〜66、選択回路41、積分器42、コンパレータ430、フリップフロップ回路432、およびDA変換器434は、ビーム光位置検知器出力処理回路40を構成している。
【0131】
このようにして、デジタル信号に変換されたビーム光位置検知器38からのビーム光位置検知信号は、ビーム光位置情報として主制御部51に入力され、レーザビーム光の通過位置やレーザ光量(パワー)などが判断される。
【0132】
さて、このようにして得られたビーム光位置検知信号に基づいて、主制御部51では、ガルバノミラー33a〜33dの制御量が演算される。その演算結果は、必要に応じてメモリ52に記憶される。主制御部51は、この演算結果をガルバノミラー駆動回路39a〜39dへ送出する。
【0133】
ガルバノミラー駆動回路39a〜39dには、図5に示したように、この演算結果のデータを保持するためのラッチ44a〜44dが設けられている。これらのラッチは、主制御部51からのデータが一旦データを書き込まれると、次にデータが更新されるまでは、その値を保持するようになっている。
【0134】
ラッチ44a〜44dに保持されているデータは、D/A変換器45a〜45dによりアナログ信号(電圧)に変換され、ガルバノミラー33a〜33dを駆動するためのドライバ46a〜46dに入力される。ドライバ46a〜46dは、D/A変換器45a〜45dから入力されたアナログ信号(電圧)にしたがってガルバノミラー33a〜33dを駆動制御する。
【0135】
なお、この実施の形態では、センサパターンSF〜SJからの出力信号は、選択回路41によりその1つのみが選択されて積分され、A/D処理されているため、センサパターンSF〜SJの出力信号を一度に主制御部51に入力することはできない。
【0136】
したがって、レーザビーム光がどこを通過しているか分からない状態においては、選択回路41を順次切換え、センサパターンSF〜SJ全てからの出力信号を主制御部51に順次入力して、ビーム光の通過位置を判定する必要がある。
【0137】
しかし、どのあたりをレーザビーム光が通過しているかが一旦認識できると、ガルバノミラー33a〜34dを極端に動かさない限り、これからレーザビーム光が通過するであろう位置はほぼ予想でき、常に全てのセンサパターンの出力信号を主制御部51に入力する必要はない
次に、ビーム光位置検知器出力処理回路40におけるオフセット値の検出およびその補正について説明する。
【0138】
図6は、ビーム光位置検知器出力処理回路40におけるセンサパターンSJ、SIに対する積分器42までの回路構成を例示している。
【0139】
図6において、センサパターン(フォトダイオード)SJ、SIを流れる電流は、電流・電圧変換回路としてのオペアンプA1、A2でそれぞれ増幅され、差動増幅器63に送られる。差動増幅器63は、抵抗R1〜R4、およびオペアンプA3によって構成されている。
【0140】
差動増幅器63の出力は、選択回路41を構成するアナログスイッチSW1を介して積分器42に送られる。積分器42は、オペアンプA4、積分抵抗R5、積分キャパシタC、積分器リセット用アナログスイッチSW7、および保護抵抗R6によって構成されている。
【0141】
積分器42の積分出力Voは、コンパレータ(他の実施の形態ではウインドウコンパレータ)430に送られる。このコンパレータ430は、主制御部51から与えられる比較基準値データ(デジタル)をDAC434でD/A変換したしきい値Vrと、積分出力Voとを比較し、比較結果をフリップフロップ回路432に送る。
【0142】
フリップフロップ回路432は、積分開始から所定の時間経過後にコンパレータ430からの比較結果に応じた内容にセットされ、その出力(デジタルビット)D432を出力制御部51に与える。
【0143】
出力制御部51はこの出力D432に基づき比較基準値データを適宜修正してDAC434に与える。すると、コンパレータ430のしきい値Vrは若干修正されて再度VoとVrとの比較が行われる。
【0144】
この比較〜しきい値Vrの修正のループを数回反復することにより、主制御部51からの比較基準値データ(デジタル)は積分出力Vo(アナログ)に対応する内容となる。
【0145】
こうして積分出力VoのA/D処理が終了すると、変換終了信号が主制御部51に与えられる。主制御部51は、変換終了信号を受けると、デジタル値に変換された積分出力Vo(たとえばビーム光位置情報)を記憶するようになっている。
【0146】
なお、センサパターンSH、SG、SFに対する積分器42までの構成例も、基本的には上記センサパターンSJ、SIに対する積分器42までの構成例と同様な構成になっているので、その説明は省略する。
【0147】
ここで、オペアンプのオフセット電圧(オフセット値)について、図7を用いて簡単に説明しておく。
【0148】
図7(a)において、理想的なオペアンプであれば、非反転入力(+)と反転入力(ー)との電圧差が0(ゼロ)であれば、出力は0(ゼロ)である。しかし、実際には、非反転入力と反転入力を接地電位(GND)に接続し、入力の電圧差を「0」としたにもかかわらず、出力端子にはゼロでない出力電圧Vout が発生する。このように差分入力がゼロにも拘わらずゼロでない出力が生じる主な原因は、オペアンプの初段に配設された差動入力トランジスタの特性のばらつきにある。
【0149】
このように差分入力ゼロに対してゼロでない出力を生じるオペアンプにおいて出力電圧Vout を0[V]とするには、図7(b)に示すように、差動入力端子間にある電圧Vosを加えれば良い。この電圧値を入力オフセット電圧Vosという。一般的なオペアンプの入力オフセット電圧は常温で数mVであるが、この入力オフセット電圧は温度によって変化する。
【0150】
次に、再び図6を用いてオペアンプのオフセット電圧がビーム光通過位置検知に与える影響および問題点について説明する。
【0151】
いま、マルチビーム(図5の実施の形態では4本のレーザビーム)のうちのあるレーザビーム(以下これをビーム光aとする)に着目してみる。このビーム光aの通過位置が図3または図5のセンサパターンSJとSIとの中間位置にある場合は、センサパターンSJの検知結果(電圧V1)とセンサパターンSIの検知結果(電圧V2)は等しい(V1=V2)。
【0152】
ここで、図6のビーム光通過位置検知器出力処理回路40を構成するオペアンプA1〜A4のオフセット電圧が以下の場合を考える。
【0153】
オペアンプA1のオフセット電圧:−Vos[V]
オペアンプA2のオフセット電圧:+Vos[V]
オペアンプA3のオフセット電圧:+Vos[V]
オペアンプA4のオフセット電圧:+Vos[V]
上記のオフセット電圧を考慮した場合、各オペアンプの出力は以下のようになる。
【0154】
ただし、V1=V2
R1=R2,R3=R4
R5:積分抵抗、C:積分キャパシタ
t:積分時間
センサパターンSJとSIとの出力が等しい(V1=V2)ため、理想的にはオペアンプA4(積分器)の出力は0[V]となる。しかし、各オペアンプのオフセット電圧の影響で、上記のようにオペアンプA4の出力は「0」とはならない。すなわち、ビーム光の通過位置が理想的な位置にあったとしても、ビーム光通過位置検知器出力処理回路40の出力は、ビーム光の位置がずれているという、誤った情報を出力することになる。
【0155】
たとえば、各定数が以下の場合、
Vos=5[mV]
R2/R1=R4/R5=3
R5=220[Ω]
C=150[pF]
t=406[ns]
積分出力は約0.615[V]となる。これを、ビーム光位置情報に換算すると、約1.23μmとなる。
【0156】
上述したような、オペアンプのオフセットに起因するビーム光通過位置検知出力の誤情報出力の検出および補正方法については、ウインドウコンパレータを利用した別の実施の形態の説明において、後述する。
【0157】
図8は、ビーム光位置検知器出力処理回路40におけるセンサパターンSLに対する積分器42までの回路構成を例示している。
【0158】
図8において、センサパターン(フォトダイオード)SLを流れる電流は、電流・電圧変換回路としてのオペアンプA3で増幅され、アナログスイッチSW1を介して積分器42に送られる。積分器42は、オペアンプA4、積分抵抗R5、積分キャパシタC、積分器リセット用アナログスイッチSW7、および保護抵抗R6によって構成されている。
【0159】
積分器42の積分出力Voは、コンパレータ430に送られる。このコンパレータ430は、主制御部51から与えられる比較基準値データ(デジタル)をDAC434でD/A変換したしきい値Vrと、積分出力Voとを比較し、比較結果をフリップフロップ回路432に送る。
【0160】
フリップフロップ回路432は積分開始から所定の時間経過後にコンパレータ430からの比較結果に応じた内容にセットされ、その出力(デジタルビット)D432を出力制御部51に与える。
【0161】
出力制御部51はこの出力D432に基づき比較基準値データを適宜修正してDAC434に与える。すると、コンパレータ430のしきい値Vrは若干修正されて再度VoとVrとの比較が行われる。
【0162】
この比較〜しきい値Vrの修正のループを数回反復することにより、主制御部51からの比較基準値データ(デジタル)は積分出力Vo(アナログ)に対応する内容となる。
【0163】
こうして積分出力VoのA/D処理が終了すると、変換終了信号が主制御部51に与えられる。主制御部51は、変換終了信号を受けると、デジタル値に変換された積分出力Vo(たとえばビーム光量情報)を記憶するようになっている。
【0164】
図9は、この発明の一実施の形態に係るアナログ・デジタル処理部(A/D処理部)の構成(図5、図6または図8の430、432、51、434)の要部を取り出して示す回路図である。このA/D処理部は、従来のA/D変換器に取って代わる機能を発揮する。
【0165】
また、図10は図9のコンパレータCMP0(図5のコンパレータ430に対応)の入出力関係を示し、図11(a)〜図11(f)は図9に示すA/D処理部の要所の信号波形を示している。
【0166】
この実施形態の回路構成では、センサの受光量(あるいは2つのセンサの受光量の差分)が大きくなるほど積分器42の積分出力Voの電位が+側に向かって高くなるようになっている(Voの電位がセンサ受光量に比例)。
【0167】
図9において、積分回路42に入力される信号が図5の差動増幅器63の出力の場合は、積分対象は図3または図5のセンサパターンSJおよびSIのフォトダイオードで検知されたアナログ電圧となる。
【0168】
同様に、積分回路42に入力される信号が差動増幅器64の出力の場合は積分対象はセンサパターンSIおよびSHのアナログ電圧となり、積分回路42に入力される信号が差動増幅器65の出力の場合は積分対象はセンサパターンSHおよびSGのアナログ電圧となり、積分回路42に入力される信号が差動増幅器66の出力の場合は積分対象はセンサパターンSGおよびSFのアナログ電圧となる。
【0169】
また、積分回路42のオペアンプA4に入力される信号が図5の増幅器62または図8のオペアンプA3からの出力(差分出力ではない)である場合は、積分回路42からの積分出力Voは、センサパターンSLで検知されたレーザ光量(パワー)を表すアナログ電圧となる。
【0170】
以上のことから、積分回路42から出力される積分出力Voは、センサパターンSF〜SJ、SLの検知結果のいずれか(1つまたは2つ)に対応したアナログ電圧となる。
【0171】
一方、図5、図6または図8の主制御部51の内部CPUは、図5のビーム光位置検知器38上における実際のビーム位置とそれに対応する積分出力Voとの相関を実験的に求めて決めた複数のしきい値データを、図5のメモリ52(または図示しないCPU内部のメモリ)に持っている。
【0172】
これらの複数のしきい値データは、たとえば後述する図12および図13を例にとれば、Vr0〜Vr7とそれらを表すデジタルデータ(たとえば8ビットのヘキサデシマル値)に対応する。そして、主制御部51のCPUは、A/D処理動作中、所定のタイミングで、これらのしきい値データを順次読み出せるようにプログラムされている。
【0173】
図5、図6または図8の積分器42に相当する図9の積分回路42は、図5の選択回路Aからの積分リセット信号で一旦リセットされたあと、図5の選択回路41または図6のアナログスイッチSW1を介して入力される信号(たとえば図5の差動増幅器63の差分出力)を、抵抗R5とキャパシタCとの積で決まる時定数で、積分する。この積分により、パルス性のノイズあるいは高周波ノイズが取り除かれたアナログ電圧値が得られる。こうして得られた積分結果Vo(A/D処理の対象となるアナログ電圧値)は、シングルコンパレータ(CMP0)430の一方入力(ー)に与えられる。
【0174】
一方、図5、図6または図8の主制御部51のCPUは、最初は所定の初期比較基準値(コンパレータCMP0の初期しきい値)Vrを暫定的に指定するデジタルデータ(BMDA)を、DAC回路434のD/A変換器DA0に与える。この暫定的な比較基準値(初期しきい値)Vrとしては、たとえば図12のVr0(最も低いしきい値)に対応する値を採用できる。
【0175】
主制御部51からのDAC選択信号DASCOにより上記D/A変換器DA0が選択され、このDA0に主制御部51からデータ書込パルスDAWRが与えられると、暫定的な比較基準値Vr(Vr0)に対応するデジタルデータ(BMDA;これを仮に演算結果と呼ぶことにする)がDA0によりD/A変換される。そして、アナログ電圧化した暫定的な比較基準値Vr(初期しきい値Vr0)がシングルコンパレータ(CMP0)430の他方入力(+)に与えられる。
【0176】
シングルコンパレータ(CMP0)430は、図10に示すように、Vo>Vrなららローレベル”0”のコンパレータ出力CMPOUTを発生し、Vo<Vrならハイレベル”1”のコンパレータ出力CMPOUTを発生するように構成されている。
【0177】
このコンパレータ出力CMPOUT(たとえばVo>Vrでローレベル”0”)は、フリップフロップ回路432を構成するD型フリップフロップFF0のD入力に与えられる(図11(b)のt20)。
【0178】
このD型フリップフロップFF0は、センサパターンSAの信号でクリアされたあと(図11(e)のt10)、センサパターンSKまたはSMの検知信号の信号エッジでラッチされて(図11(c)のt30)、そのときのD入力レベル(上記例ではVo>Vrで”0”レベル)を取り込み(図11(d)のt30)、取り込んだ論理レベルを次のクロックまで記憶する。
【0179】
ここで、積分回路42に入力されるのが、たとえばセンサパターンSJおよびSIの差分出力であれば、D型フリップフロップFF0は、センサパターンSKの信号エッジでラッチされ、そのときの比較結果(ビーム位置に関係したD入力レベル)を記憶する。
【0180】
また、積分回路42に入力されるのがセンサパターンSLの出力であれば、D型フリップフロップFF0は、センサパターンSMの信号エッジでラッチされ、そのときの比較結果(ビーム光量に関係したD入力レベル)を記憶する。
【0181】
D型フリップフロップFF0に記憶された論理レベル(上記例ではVo>Vrで”0”レベル)の出力Qは、インバータINV0によりレベル反転され、フリップフロップ回路432の出力(デジタルビット)D432(”1”レベル)となって、主制御部51に返される。
【0182】
ここで、主制御部51は、最下流のセンサSPの出力をトリガとして、フリップフロップ回路432の出力データ(D432)を取り込む。
【0183】
主制御部51のCPUは、返されてきた出力D432(”1”レベル)に応答して、適宜、比較基準値Vrを更新できる(たとえばVr0→Vr1)。そして、更新した比較基準値Vr(Vr1)に対応するデータBMDA(演算結果)を、DAC回路434のDA0に入力する。
【0184】
このBDMAをD/A変換して得た新たな比較基準値Vr(Vr1)は、最初の暫定的な比較基準値Vr(Vr0)と異なる。このとき、コンパレータCMP0に入力された積分出力VoよりVrが大きくなっておれば、コンパレータ出力CMPOUTはハイレベル”1”となり、それ以前とは異なるデータ”1”がフリップフロップ回路432のFF0に記憶される。
【0185】
記憶されたデータ”1”はインバータINV0によりレベル反転され、出力D432(”0”レベル)となって、主制御部51に返される(図11(a)のVrへのフィードバックあるいは帰還)。
【0186】
主制御部51のCPUは、返されてきた出力D432(”0”レベル)に応答して比較基準値Vrをさらに更新できる(たとえばVr1→Vr2)。そして、更新した比較基準値Vr(Vr2)に対応するデータBMDA(演算結果)を、DAC回路434のDA0に入力する。
【0187】
このBDMAをD/A変換して得た新たな比較基準値Vr(Vr2)は、それ以前の比較基準値Vr(Vr1)と異なる。このとき、コンパレータCMP0に入力された積分出力VoがVrよりも大きくなっておれば、コンパレータ出力CMPOUTはローレベル”0”となり、それ以前とは異なるデータ”0”がフリップフロップ回路432のFF0に記憶される。
【0188】
記憶されたデータ”0”はインバータINV0によりレベル反転され、出力D432(”1”レベル)となって、主制御部51に返される。
【0189】
以上のようにして、コンパレータCMP0におけるVoとVr(可変)との比較結果をフリップフロップ回路432のFF0に何度か繰り返しクロック入力する。そして、FF0に入力・記憶された論理レベルに基づいてA/D処理対象のアナログ値Voに対して比較基準値Vrを変化(増減)させながら、Vrの値をVoに接近させて行くことができる。
【0190】
上記繰り返し動作の結果得られた比較基準値Vrとそれ以前の比較基準値Vrとの違いが所定値以内に収まれば(あるいは上記繰り返し動作が所定回数反復実施されれば)、図9の構成におけるA/D処理動作は終了し(図11(f)のt40)、主制御部51のCPUに記憶されたデジタルデータBDMAは変更されず、次のA/D処理動作まで保持される。
【0191】
こうして保持された比較基準値(コンパレータCMP0のしきい値)Vrに対応するデジタル値BDMA(図13の例で言えば7FHまたは80H)は、コンパレータCMP0に入力されたアナログ積分出力Voに対応するデジタル値(A/D処理結果と解釈する)となる。
【0192】
上述した図9の回路動作の特徴を別の視点からみると、「アナログ入力Voが与えられると、Vo=Vr(またはVo≒Vr)となるように比較基準値(しきい値)Vrに対応するデータBDMAをコントロールするデジタル帰還ループ」であるともいえる。
【0193】
この帰還ループの収束目標は、積分出力Voのアナログ値であり、実質的にVo=Vrに収束したときのしきい値Vrに対応するデジタル値(BMDA相当)が、アナログ入力Voに対するA/D処理出力となる。
【0194】
なお、後述するレーザビーム光の位置制御あるいはビーム光量(パワー)制御においては、積分出力Voに対応する値に収束したデジタル値が得られる以前の比較結果CMPOUT(または出力D432)が制御に利用されており、このような制御動作状態においては図9の構成は通常の意味でのA/D変換器と機能上同一視はできない。
【0195】
なお、図2に示されるポリゴンミラー35の回転速度およびポリゴンミラー35とビーム光位置検知器38とドラム15との間の幾何学的な位置関係は事前に分かっているので、検知器38をレーザビームが通過してから(センサパターンSAの信号エッジ)次に再びレーザビームが検知器38を通過するまで(センサパターンSAの次の信号エッジ)の時間間隔も事前に分かる。
【0196】
したがって、検知器38をレーザビームが通過してから次にレーザビームが検知器38を通過するまでの間に1回のA/D処理動作を終了させるとすれば、この終了のためにどのタイミングで図6、図8または図11(f)の変換終了信号を発生させれば良いのかも分かる。このことから、主制御部51のCPUは、センサパターンSAの信号エッジと自身の内部クロックカウンタ(図示せず)とを利用して、上記変換終了信号を内部生成することも可能である。
【0197】
ところで、図9のコンパレータCMP0で最初に比較動作が行われるときは、暫定的に設定した比較基準値(しきい値)Vrと実際の積分出力Voとの食い違いが大きいことがままあり、その場合は最終的なA/D処理結果が求まるまでの上記Vrのフィードバックループの処理回数も相対的に多くなる。
【0198】
しかし、一旦積分出力Voに対応した比較基準値VrのデジタルデータBMDAが求まったあとは、そのデータは主制御部51のCPUが覚えている。最初のA/D処理後にわずかに変化した積分出力Voと既に覚えている比較基準Vr相当のデジタルデータBMDAとの食い違いは、2回目以降のA/D処理時では初めから小さいので、2回目以降のA/D処理結果が最終に求まるまでの上記帰還ループ回数は少なくなることが期待できる。このことは、反復されるA/D処理動作のうち2回目以降のA/D処理速度が実質的に高速化され得ることを意味する。
【0199】
ついでに付記しておくと、図3のビーム検知センサ380の横幅は10ミリ以下の小さなものである。このセンサ380上を毎分60枚以上で高精細な印字を行なうような高速レーザビームが通過する場合、ビームがセンサパターンSAを通過してからセンサパターンSKまたはSMを通過するまでの時間(図11ではt10〜t30)は数μsを切る(場合によっては数100ナノ秒オーダ)ようになる。
【0200】
所定のA/D処理に関する1回の回路動作はこの短期間(場合によっては数100ナノ秒オーダ)内に完了しなければならない。図9の回路構成ではこの回路動作はコンパレータCMP0とフリップフロップFF0とインバータINV0で行われるが、これらのデバイスはいずれも安価でありながら高速動作(遅くても数10ナノ秒オーダ)が可能なので、図9の回路のA/D処理動作は十分に高速印字について行ける。
【0201】
図12は、図5のセンサパターンSJおよびSIの間を通過するレーザビームの位置と、センサパターンSJおよびSIの差分に対応した積分出力Vo(アナログ)との関係を模式的に示す。図12下方のセンサパターンの図示部分において、左右方向がセンサ上下方向(副走査方向)であり、レーザビームは図中縦方向に通過する。
【0202】
また、図12において、横軸はビーム位置(μm単位)を示し、縦軸は積分出力(電圧)を示している。
【0203】
ビームがセンサパターンSJおよびSIの丁度中間を通過するときは、図12上方に例示するように、センサパターンSJおよびSIの差分に対応した積分出力VoはVrefとなる。この中間位置よりもビーム通過位置がセンサパターンSI側に相対的にずれれば積分出力Voは減少側に変化し、中間位置よりもビーム通過位置がセンサパターンSJ側に相対的にずれれば積分出力Voは増加側に変化する。
【0204】
すなわち、センサパターンSJおよびSIの積分出力Voは、ビーム位置の変化に応じて変化する。この変化は他のセンサパターンSF〜SIのペアについても同様である。したがって、積分出力Voの電圧変化を捉えれば、センサパターンSF〜SJに対するビーム通過位置の相対的な変化を捉えることができる。
【0205】
このビーム通過位置をたとえば8つのしきい値Vr0〜Vr7で代表させれば、しきい値Vr0〜Vr7のいずれかによりビーム通過位置を推定できる。
【0206】
たとえば図9の回路構成において、A/D処理動作終了時に得られた比較基準値(コンパレータCMP0のしきい値)Vrが図12のVr0に相当する値であれば、主制御部51は、レーザビームがセンサパターンSIのほぼ中央を通過したであろうことを知ることができる。また、A/D処理動作終了時に得られた比較基準値Vrが図12のVr1に相当する値であれば、主制御部51は、レーザビームがセンサパターンSJのほぼ中央を通過したであろうことを知ることができる。さらに、A/D処理動作終了時に得られた比較基準値Vrが図12のVr6またはVr7に相当する値であれば、主制御部51は、レーザビームがセンサパターンSIとセンサパターンSJの中間を通過したであろうことを知ることができる。
【0207】
A/D処理動作終了時に得られた比較基準値Vrが図12のたとえばVr5に相当する場合において、次にビーム光位置検知器38上をレーザビームaが通過する際にレーザビームaがセンサパターンSIとセンサパターンSJの間を通過するようにしたい場合は、図5の主制御部51のCPUは、図12のしきい値Vr6またはVr7からVr5までの差に相当するビーム通過路変化が生じるように、図5のガルバノミラー33aを制御することができる。
【0208】
同様に、他のビームc〜dに対しても、A/D処理動作終了時に得られた比較基準値Vrに基づいて、所望のビーム通過路変化が生じるように、図5のガルバノミラー33b〜33dを制御できる。
【0209】
この実施の形態では、ビーム通過路の変更制御(ビーム光通過位置制御)は、ビーム光位置検知器38の上方センサパターン位置(SJ)側から開始し、順次下方センサパターン位置(SF)に向かって制御を進めて行くように構成される。
【0210】
図13は、図9のDAC回路434から出力される比較基準値(シングルコンパレータCMP0のしきい値)Vrが積分出力Voに対応してどのように変化するかを例示している。(図13のしきい値Vr2〜Vr7は、図12のしきい値Vr2〜Vr7と対応させて図示してある。図13では、しきい値Vr0およびVr1の図示は省略している。)
図13の対応関係では、小さな付番のしきい値Vr(Vr2、Vr3)を積分出力Voの上下端(大電圧と小電圧)に割り振り、大きな付番のしきい値Vr(Vr6、Vr7)を積分出力Voの中間に割り振っている。
【0211】
次に、図14〜図17のフローチャートを参照して、図9のシングルコンパレータ430(図5のコンパレータ430に対応)の回路動作を利用したビーム光通過位置制御(副走査方向のビーム位置制御)の方法を説明する。
【0212】
なお、このコンパレータ利用の回路動作は、一般的なA/D変換の動作概念に捕らわれるべきでなく、より広範な意味でデジタル制御の一部をなすものと捉えた方がよい。
【0213】
これから説明するビーム光通過位置制御の目的は、所定のレーザビームaが、最終的に、たとえば図12のA4エリア(図3のセンサ380のセンサパターンSJとSIの中間)を通過するようにすることである。また、以下の説明では、このビーム光通過位置制御は、センサ上方(センサパターンSJ側)から開始されるものとする。
【0214】
図14において、まず、たとえば図5の主制御部51の内部CPU(以下単にCPUとする)は、レーザビームaがセンサ上方(センサパターンSJ側)を通過するように、図2または図5のガルバノミラー駆動回路39aに指示する(ステップST400)。
【0215】
次に図2または図5のポリゴンモータドライバ37に指示を出してポリゴンモータ36を起動し、ポリゴンミラー35を所定の回転数で回転させる。
【0216】
そしてレーザドライバ32aに所定の光量(パワー)でレーザ31aを強制発光させ(ステップST402)、レーザビームaをポリゴンミラー35側に放射させる。これにより、所定パワーのレーザビームaが、図2のビーム光位置検知器38上および感光体ドラム15上を、所定の速度で通過するようになる。
【0217】
続いて、図9のDAC回路434に所定のデータBMDA(たとえばヘキサデシマル表示でB3H)を与え、コンパレータCMP0の比較基準値(初めのしきい値)Vrを、たとえば図12のVr1に設定する(ステップST404)。
【0218】
次に、CPUは、センサ380上におけるビームaの通過位置がX0(μm)だけ下(センサパターンSF側)にシフトするように、ガルバノミラー33aを微動させる(ステップST406)。このX0は、ガルバノミラー33aの1ステップ移動量であり、図12のA1Uエリアを飛び越えない程度の微少量に設定される。具体的には、X0はA1Uの幅よりも小さい値、たとえば30μm程度に設定される。
【0219】
上記状態で、図9の積分器42から得られた積分出力Voと初期しきい値Vr=Vr1との比較が、図9のコンパレータCMP0によりなされる。CPUは、この比較結果CMPOUTに対応する出力D432を読み込む(ステップST408)。
【0220】
上記状態でVo<Vr1でありその比較結果CMPOUTが”1”であれば(ステップST410ノー)、この論理レベル”1”が図9のD型フリップフロップFF0に読み込まれ、そのQ出力が”1”レベルになる。この”1”レベルが図9のインバータINV0で反転されたD432=”0”を検知することにより、CPUは、ビームaのビーム位置がVr1に対応する位置より上(図12ではA1Uの範囲外左側)にあることを知る。
【0221】
続いて、コンパレータCMP0の比較結果を再チェックし、その比較結果CMPOUTがもし”0”であれば(ステップST412ノー)、この論理レベル”0”がFF0に読み込まれ、そのQ出力が”0”レベルになる。この”0”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”1”を検知することにより、CPUは、ビームaのビーム位置がVr1に対応する位置より下(A1Uの範囲内)にあると知らされる。
【0222】
しかし、この結果(ステップST412ノー)は先の結果(ステップST410ノー)と矛盾するので、エラーとなり、図14の処理は終了(または中断)する。
【0223】
上記比較結果の再チェックにおいてCMPOUTが”1”であれば(ステップST412イエス)、この論理レベル”1”がFF0に読み込まれ、そのQ出力が”1”レベルになる。この”1”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”0”を検知することにより、CPUは、ビームaのビーム位置がVr1に対応する位置より上(A1Uの範囲外)にあると知らされる。
【0224】
この結果(ステップST412イエス)は先の結果(ステップST410ノー)と矛盾しないので、ビームaをさらに下側に下げる処理に戻る(ステップST406)。このときはまだ、コンパレータCMP0の比較基準値(しきい値)はVr1のままとなっている。
【0225】
ここで、ビームaの位置がA1Uの範囲内にあるかA1Uの範囲外にあるかは、コンパレータCMP0の比較結果CMPOUTの論理レベルで判定できる。
【0226】
すなわち、ビームaの位置がA1Uの範囲外にある場合(CMPOUT=”1”)、CPUは、センサ380上におけるビームaの通過位置がX0(μm)だけ下(センサパターンSF側)にシフトするように、ガルバノミラー33aを微動させる(ステップST406)。
【0227】
以上の動作(ST406〜ST412)は、ビームaがA1Uの範囲内を通過するようになるまで、反復される。
【0228】
ステップST406でビームaの位置をさらにX0μm下げたあとの比較において、Vo>Vr1でありその比較結果CMPOUTが”0”となれば(ステップST410イエス)、この論理レベル”0”がD型フリップフロップFF0に読み込まれ、そのQ出力が”0”レベルになる。この”0”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”1”を検知することにより、CPUは、ビームaがVr1に対応する位置(A1Uの範囲内)を通過することを知る。
【0229】
こうしてビームaがVr1に対応する位置(A1Uの範囲内)を通過するようになれば、CPUは、センサ380上におけるビームaの通過位置がX1(μm)だけ下(センサパターンSF側)にシフトするように、ガルバノミラー33aを微動させ(ステップST414)、図15の処理に移る。
【0230】
図15において、CPUは、DAC回路434に新たなデータBMDA(たとえばヘキサデシマル表示でA6H)を与え、コンパレータCMP0の比較基準値(しきい値)Vrを、図12または図13のVr2に設定する(ステップST416)。
【0231】
上記状態で、積分器42から得られた積分出力Voと新たなしきい値Vr=Vr2との比較が、コンパレータCMP0によりなされる。CPUは、この比較結果CMPOUTに対応する出力D432を読み込む(ステップST418)。
【0232】
上記状態でVo>Vr2でありその比較結果CMPOUTが”0”であれば(ステップST420ノー)、この論理レベル”0”がD型フリップフロップFF0に読み込まれ、そのQ出力が”0”レベルになる。この”0”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”1”を検知することにより、CPUは、ビームaのビーム位置がVr2に対応する位置より上(図12のエリアA2の範囲外)にあることを知る。
【0233】
続いて、コンパレータCMP0の比較結果を再チェックし、その比較結果CMPOUTがもし”1”であれば(ステップST422ノー)、この論理レベル”1”がFF0に読み込まれ、そのQ出力が”1”レベルになる。この”1”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”0”を検知することにより、CPUは、ビームaのビーム位置がVr2に対応する位置より下(A2の範囲内)にあると知らされる。
【0234】
しかし、この結果(ステップST422ノー)は先の結果(ステップST420ノー)と矛盾するので、エラーとなり、図15の処理は終了(または中断)する。
【0235】
上記比較結果の再チェックにおいてCMPOUTが”0”であれば(ステップST422イエス)、この論理レベル”0”がFF0に読み込まれ、そのQ出力が”0”レベルになる。この”0”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”1”を検知することにより、CPUは、ビームaのビーム位置がVr2に対応する位置より上(A2の範囲外)にあると知らされる。
【0236】
この結果(ステップST422イエス)は先の結果(ステップST420ノー)と矛盾しないので、ビームaをさらに下側にX1μm下げる処理(ガルバノミラーの微動処理)に移る(ステップST424)。このときはまだ、コンパレータCMP0の比較基準値(しきい値)はVr2のままとなっている。
【0237】
以上の動作(ST418〜ST424)は、ビームaの通過位置がA2の範囲内に入ってくるまで反復される。
【0238】
ステップST424でビームaの位置をさらにX1μm下げたあとの比較において、Vo<Vr2でありその比較結果CMPOUTが”1”となれば(ステップST420イエス)、この論理レベル”1”がD型フリップフロップFF0に読み込まれ、そのQ出力が”1”レベルになる。この”1”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”0”を検知することにより、CPUは、ビームaがVr2に対応する位置(A2の範囲内の片側を見ている)を通過することを知る。
【0239】
こうしてビームaがVr2に対応する位置(A2の範囲内)を通過するようになれば、CPUは、DAC回路434に再び新たなデータBMDA(たとえばヘキサデシマル表示で59H)を与え、コンパレータCMP0の比較基準値(しきい値)Vrを、図12または図13のVr3に設定する(ステップST426)。
【0240】
上記状態で、積分器42から得られた積分出力Voと新たなしきい値Vr=Vr3との比較が、コンパレータCMP0によりなされる。CPUは、この比較結果CMPOUTに対応する出力D432を読み込む(ステップST428)。
【0241】
上記状態でVo>Vr2でありその比較結果CMPOUTが”0”であれば(ステップST430ノー)、この論理レベル”0”がD型フリップフロップFF0に読み込まれ、そのQ出力が”0”レベルになる。この”0”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”1”を検知することにより、CPUは、ビームaのビーム位置がVr3に対応する位置より下(A2の範囲外)にあることを知る。
【0242】
続いて、コンパレータCMP0の比較結果を再チェックし、その比較結果CMPOUTがもし”1”であれば(ステップST432ノー)、この論理レベル”1”がFF0に読み込まれ、そのQ出力が”1”レベルになる。この”1”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”0”を検知することにより、CPUは、ビームaのビーム位置がVr3に対応する位置より上(A2の範囲内)にあると知らされる。
【0243】
しかし、この結果(ステップST432ノー)は先の結果(ステップST430ノー)と矛盾するので、エラーとなり、図15の処理は終了(または中断)する。
【0244】
上記比較結果の再チェックにおいてCMPOUTが”0”であれば(ステップST432イエス)、この論理レベル”0”がFF0に読み込まれ、そのQ出力が”0”レベルになる。この”0”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”1”を検知することにより、CPUは、ビームaのビーム位置がVr3に対応する位置より下(A2の範囲外)にあると知らされる。
【0245】
この結果(ステップST432イエス)は先の結果(ステップST430ノー)と矛盾しないので、ビームaを上側にX1μm上げる処理(ガルバノミラーの微動処理)に移る(ステップST434)。このときはまだ、コンパレータCMP0の比較基準値(しきい値)はVr3のままとなっている。
【0246】
ここで、ステップST434での移動量X1μmはステップST424での移動量X1μmと実際上は異なっていてもよい。
【0247】
以上の動作(ST418〜ST434)において、ステップST418〜ST424で「A2範囲内の一方側のビーム通過」を制御し、ステップST428〜ST434で「A2範囲内の他方側のビーム通過」を制御する。
【0248】
以上の動作(ST418〜ST434)は、ビームaの通過位置(A2の範囲内の両側を見ている)がA2の範囲内に入ってくるまで反復される。
【0249】
こうしてビームaがVr2およびVr3に対応する範囲内(図12のエリアA2の範囲内)の何処かの位置を通過するようになれば(ステップST430イエス)、図16の処理に移る。
【0250】
続いて、図16において、CPUは、DAC回路434へさらに新たなデータBMDA(たとえばヘキサデシマル表示で90H)を与え、コンパレータCMP0の比較基準値(しきい値)Vrを、図12または図13のVr4に設定する(ステップST436)。
【0251】
上記状態で、積分器42から得られた積分出力Voと新たなしきい値Vr=Vr4との比較が、コンパレータCMP0によりなされる。CPUは、この比較結果CMPOUTに対応する出力D432を読み込む(ステップST438)。
【0252】
上記状態でVo>Vr4でありその比較結果CMPOUTが”0”であれば(ステップST440ノー)、この論理レベル”0”がD型フリップフロップFF0に読み込まれ、そのQ出力が”0”レベルになる。この”0”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”1”を検知することにより、CPUは、ビームaのビーム位置がVr4に対応する位置より上(A3の範囲外)にあることを知る。
【0253】
続いて、コンパレータCMP0の比較結果を再チェックし、その比較結果CMPOUTがもし”1”であれば(ステップST442ノー)、この論理レベル”1”がFF0に読み込まれ、そのQ出力が”1”レベルになる。この”1”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”0”を検知することにより、CPUは、ビームaのビーム位置がVr4に対応する位置より下(A3の範囲内)にあると知らされる。
【0254】
しかし、この結果(ステップST442ノー)は先の結果(ステップST440ノー)と矛盾するので、エラーとなり、図16の処理は終了(または中断)する。
【0255】
上記比較結果の再チェックにおいてCMPOUTが”0”であれば(ステップST442イエス)、この論理レベル”0”がFF0に読み込まれ、そのQ出力が”0”レベルになる。この”0”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”1”を検知することにより、CPUは、ビームaのビーム位置がVr4に対応する位置より上(A3の範囲外)にあると知らされる。
【0256】
この結果(ステップST442イエス)は先の結果(ステップST440ノー)と矛盾しないので、ビームaをさらに下側にX2μm下げる処理(ガルバノミラーの微動処理)に移る(ステップST444)。このときはまだ、コンパレータCMP0の比較基準値(しきい値)はVr4のままとなっている。
【0257】
以上の動作(ST438〜ST444)は、ビームaの通過位置がA3の範囲内に入ってくるまで反復される。
【0258】
ステップST444でビームaの位置をさらにX2μm下げたあとの比較において、Vo<Vr4でありその比較結果CMPOUTが”1”となれば(ステップST440イエス)、この論理レベル”1”がD型フリップフロップFF0に読み込まれ、そのQ出力が”1”レベルになる。この”1”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”0”を検知することにより、CPUは、ビームaがVr4に対応する位置(A3の範囲内の片側を見ている)を通過することを知る。
【0259】
こうしてビームaがVr4に対応する位置(A3の範囲内)を通過するようになれば、CPUは、DAC回路434に再び新たなデータBMDA(たとえばヘキサデシマル表示で6FH)を与え、コンパレータCMP0の比較基準値(しきい値)Vrを、図12または図13のVr5に設定する(ステップST446)。
【0260】
上記状態で、積分器42から得られた積分出力Voと新たなしきい値Vr=Vr5との比較が、コンパレータCMP0によりなされる。CPUは、この比較結果CMPOUTに対応する出力D432を読み込む(ステップST448)。
【0261】
上記状態でVo>Vr5でありその比較結果CMPOUTが”0”であれば(ステップST450ノー)、この論理レベル”0”がD型フリップフロップFF0に読み込まれ、そのQ出力が”0”レベルになる。この”0”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”1”を検知することにより、CPUは、ビームaのビーム位置がVr5に対応する位置より下(A3の範囲外)にあることを知る。
【0262】
続いて、コンパレータCMP0の比較結果を再チェックし、その比較結果CMPOUTがもし”1”であれば(ステップST452ノー)、この論理レベル”1”がFF0に読み込まれ、そのQ出力が”1”レベルになる。この”1”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”0”を検知することにより、CPUは、ビームaのビーム位置がVr5に対応する位置より上(A3の範囲内)にあると知らされる。
【0263】
しかし、この結果(ステップST452ノー)は先の結果(ステップST450ノー)と矛盾するので、エラーとなり、図16の処理は終了(または中断)する。
【0264】
上記比較結果の再チェックにおいてCMPOUTが”0”であれば(ステップST452イエス)、この論理レベル”0”がFF0に読み込まれ、そのQ出力が”0”レベルになる。この”0”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”1”を検知することにより、CPUは、ビームaのビーム位置がVr5に対応する位置より下(A3の範囲外)にあると知らされる。
【0265】
この結果(ステップST452イエス)は先の結果(ステップST450ノー)と矛盾しないので、ビームaを上側にX2μm上げる処理(ガルバノミラーの微動処理)に移る(ステップST454)。このときはまだ、コンパレータCMP0の比較基準値(しきい値)はVr5のままとなっている。
【0266】
ここで、ステップST454での移動量X2μmはステップST444での移動量X2μmと実際上は異なっていてもよい。
【0267】
以上の動作(ST438〜ST454)において、ステップST438〜ST444で「A3範囲内の一方側のビーム通過」を制御し、ステップST448〜ST454で「A3範囲内の他方側のビーム通過」を制御する。
【0268】
以上の動作(ST438〜ST454)は、ビームaの通過位置(A3の範囲内の両側を見ている)がA3の範囲内に入ってくるまで反復される。
【0269】
こうしてビームaがVr4およびvr5に対応する範囲内(A3の範囲内)の何処かの位置を通過するようになれば(ステップST450イエス)、図17の処理に移る。
【0270】
続いて、図17において、CPUは、DAC回路434へさらに新たなデータBMDA(たとえばヘキサデシマル表示で85H)を与え、コンパレータCMP0の比較基準値(しきい値)Vrを、図12または図13のVr6に設定する(ステップST456)。
【0271】
上記状態で、積分器42から得られた積分出力Voと新たなしきい値Vr=Vr6との比較が、コンパレータCMP0によりなされる。CPUは、この比較結果CMPOUTに対応する出力D432を読み込む(ステップST458)。
【0272】
上記状態でVo>Vr6でありその比較結果CMPOUTが”0”であれば(ステップST460ノー)、この論理レベル”0”がD型フリップフロップFF0に読み込まれ、そのQ出力が”0”レベルになる。この”0”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”1”を検知することにより、CPUは、ビームaのビーム位置がVr6に対応する位置より上(A4の範囲外)にあることを知る。
【0273】
続いて、コンパレータCMP0の比較結果を再チェックし、その比較結果CMPOUTがもし”1”であれば(ステップST462ノー)、この論理レベル”1”がFF0に読み込まれ、そのQ出力が”1”レベルになる。この”1”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”0”を検知することにより、CPUは、ビームaのビーム位置がVr6に対応する位置より下(A4の範囲内)にあると知らされる。
【0274】
しかし、この結果(ステップST462ノー)は先の結果(ステップST460ノー)と矛盾するので、エラーとなり、図17の処理は終了(または中断)する。
【0275】
上記比較結果の再チェックにおいてCMPOUTが”0”であれば(ステップST462イエス)、この論理レベル”0”がFF0に読み込まれ、そのQ出力が”0”レベルになる。この”0”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”1”を検知することにより、CPUは、ビームaのビーム位置がVr6に対応する位置より上(A4の範囲外)にあると知らされる。
【0276】
この結果(ステップST462イエス)は先の結果(ステップST460ノー)と矛盾しないので、ビームaをさらに下側にX3μm下げる処理(ガルバノミラーの微動処理)に移る(ステップST464)。このときはまだ、コンパレータCMP0の比較基準値(しきい値)はVr6のままとなっている。
【0277】
以上の動作(ST458〜ST464)は、ビームaの通過位置がA4の範囲内に入ってくるまで反復される。
【0278】
ステップST464でビームaの位置をさらにX3μm下げたあとの比較において、Vo<Vr6でありその比較結果CMPOUTが”1”となれば(ステップST460イエス)、この論理レベル”1”がD型フリップフロップFF0に読み込まれ、そのQ出力が”1”レベルになる。この”1”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”0”を検知することにより、CPUは、ビームaがVr6に対応する位置(A4の範囲内の片側を見ている)を通過することを知る。
【0279】
こうしてビームaがVr6に対応する位置(A4の範囲内)を通過するようになれば、CPUは、DAC回路434に再び新たなデータBMDA(たとえばヘキサデシマル表示で7AH)を与え、コンパレータCMP0の比較基準値(しきい値)Vrを、図12または図13のVr7に設定する(ステップST466)。
【0280】
上記状態で、積分器42から得られた積分出力Voと新たなしきい値Vr=Vr7との比較が、コンパレータCMP0によりなされる。CPUは、この比較結果CMPOUTに対応する出力D432を読み込む(ステップST468)。
【0281】
上記状態でVo>Vr7でありその比較結果CMPOUTが”0”であれば(ステップST470ノー)、この論理レベル”0”がD型フリップフロップFF0に読み込まれ、そのQ出力が”0”レベルになる。この”0”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”1”を検知することにより、CPUは、ビームaのビーム位置がVr7に対応する位置より下(A4の範囲外)にあることを知る。
【0282】
続いて、コンパレータCMP0の比較結果を再チェックし、その比較結果CMPOUTがもし”1”であれば(ステップST472ノー)、この論理レベル”1”がFF0に読み込まれ、そのQ出力が”1”レベルになる。この”1”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”0”を検知することにより、CPUは、ビームaのビーム位置がVr7に対応する位置より上(A4の範囲内)にあると知らされる。
【0283】
しかし、この結果(ステップST472ノー)は先の結果(ステップST470ノー)と矛盾するので、エラーとなり、図17の処理は終了(または中断)する。
【0284】
上記比較結果の再チェックにおいてCMPOUTが”0”であれば(ステップST472イエス)、この論理レベル”0”がFF0に読み込まれ、そのQ出力が”0”レベルになる。この”0”レベルがインバータINV0で反転されたD432=”1”を検知することにより、CPUは、ビームaのビーム位置がVr7に対応する位置より下(A4の範囲外)にあると知らされる。
【0285】
この結果(ステップST472イエス)は先の結果(ステップST470ノー)と矛盾しないので、ビームaを上側にX3μm上げる処理(ガルバノミラーの微動処理)に移る(ステップST474)。このときはまだ、コンパレータCMP0の比較基準値(しきい値)はVr7のままとなっている。
【0286】
ここで、ステップST474での移動量X3μmはステップST464での移動量X3μmと実際上は異なっていてもよい。
【0287】
以上の動作(ST458〜ST474)において、ステップST458〜ST464で「A4範囲内の一方側のビーム通過」を制御し、ステップST468〜ST474で「A4範囲内の他方側のビーム通過」を制御する。
【0288】
以上の動作(ST458〜ST474)は、ビームaの通過位置(A4の範囲内の両側を見ている)が極狭いA4の範囲内に入ってくるまで反復される。
【0289】
こうしてビームaがVr6およびvr7に対応する範囲内(A4の範囲内)の何処かの位置を通過するようになれば(ステップST470イエス)、図17の処理は終了し、他の処理へ移れる状態となる。
【0290】
すなわち、図14〜図17のフローチャートに対応するプログラムを実行するCPUは、コンパレータCMP0(図5のコンパレータ430に対応)のしきい値を変更しながら、ビームa(図5のレーザ31aからのレーザビームに対応)が通過するエリアを図12のA1U/A1L→A2→A3と順に狭めて行く制御動作を反復する。これにより、最終的にビームaが狭いエリアA4を通過するようにガルバノミラーが調整(デジタル制御)される。
【0291】
以上の説明はマルチビームのうちの1本(ビームa)についての説明であるが、残りのビーム(ビームb〜d)についても同様な制御が行われる。
【0292】
その結果、各ビーム(a〜d)は、たとえば図3のセンサパターンSF〜SJの物理的配置に対応した所定間隔(ピッチ)の並行マルチビームとなって、図2の感光体ドラム15上を正確に高速走査できるようになる。
【0293】
なお、図14でのビーム位置修正量X0は比較的多め(たとえば30μm程度)に選ばれ、図15でのビーム位置修正量X1はX0より少な目(たとえば20μm程度)に選ばれ、図16でのビーム位置修正量X2はX1よりさらに少な目(たとえば10μm程度)に選ばれ、最後の図17でのビーム位置修正量X3はX2よりずっと少な目(たとえば1μm程度)に選ばれる。このようにするのは、ビームaが制御目標位置から離れているときは荒いが大きく(素早く)位置移動ができるようにするとともに、ビームaが制御目標位置に近づいたときは細かく(精密に)位置制御ができるようにするためである。
【0294】
また、図14〜図17のフローチャートに対応するプログラムが実行されたあとに得られたしきい値データ(図9のDAC回路434に入力される演算結果BMDA)は、そのきのビームaの通過位置を示すアナログ積分出力Voのデジタル値(図13の例では7FHまたは80H)に対応している。
【0295】
つまり、図9の回路構成は、アナログ値Voに対応したデジタル値(この例では7FHまたは80H)を提供するA/D機能を有することになる。しかし、図9の回路構成は、デバイスレベルでみれば高価なA/D変換器を必要としていない(D/A変換器は同程度の速度・分解能のA/D変換器よりもずっと安価に入手できる)。
【0296】
図18は、レーザパワーの検知特性とコンパレータ(430またはCMP0)の比較基準値(しきい値)Vrとの対応関係を例示している。
【0297】
この例において、レーザパワーを検知する場合には、積分出力Voは、コンパレータのあるしきい値(たとえばVr=2.5V)を基準として上側にしか出力されないようにしている。この場合は、コンパレータのしきい値も基準電圧より上側で設定される。
【0298】
具体的には、図18に示すグラフのしきい値の電圧軸上で、Vboを+2.5V、Vt0を+5Vとした場合に、しきい値が2.5V〜5Vの間でレーザパワーP0〜P6が設定されるようにしている。すなわち、Vr0がレーザパワーP0μWに対応し、Vr1がレーザパワーP1μWに対応している。以下同様に、Vr2〜Vr6がレーザパワーP2〜P6にそれぞれ対応している。
【0299】
換言すれば、図18の関係から、しきい値Vr0〜Vr6の値(V)を特定することにより対応するレーザパワーP0〜P6の値(μW)も特定される。
【0300】
図3または図5のセンサパターンSLによるレーザ光量(レーザパワー)の検知結果に対する積分出力Voが図9の構成で利用される場合、レーザパワーP0〜P6とコンパレータCMP0の比較基準値(しきい値)Vr0〜Vr6との対応関係として、図18に示すような関係を利用できる。(ここで、レーザパワー検知に関する図18のVr0〜Vr6とレーザビーム位置検知に関する図12のVr0〜Vr7とでは、同じ記号でもその値の取り方は異なっていることを断っておく。)
図19は、図3のセンサパターンSLで検知されるレーザパワーと対応する積分出力との対応関係を例示している。この対応関係は、基本的には、図9のシングルコンパレータ使用時の場合と後述する図35のウインドウコンパレータ使用時の場合とで、違いはない。
【0301】
レーザパワーは、図3または図5のセンサパターンSLでの検知光量に対応する積分出力データを主制御部51に取り込むことにより、CPU処理によって検知できる。
【0302】
上記CPU処理を含むパワー検知部は、たとえば図19に示すような特性となるように調整される。すなわち、レーザパワー300μWのレーザビームを所定の速度でビーム光位置検知器38のセンサ380上を走査させたときに、積分出力が3.5V(=2.5V+1.0V;1.0Vは所定の増分)となるように、予め調整されている。
【0303】
図19の特性データ(積分出力電圧とレーザパワーとの対応関係のデータ)は、たとえば図5の装置の工場出荷時までに、主制御部51に接続されたメモリ52に格納される。
【0304】
次に、図9のシングルコンパレータ(CMPO)430を利用したレーザ光量制御(レーザパワー制御あるいはビーム光パワー制御)について説明する。
【0305】
レーザ光量制御には、あるレーザビームを所望の光量(パワー)に調整する制御(非相対値制御)と、基準となるレーザビームの光量(パワー)にその他のレーザビームの光量(パワー)を合わせる制御(相対値制御)との2種類がある。
【0306】
前者のレーザパワー制御(非相対値制御)は図14〜図17を参照して説明したようなビーム光通過位置制御の前に実行される。
【0307】
一方、後者のレーザパワー制御(相対値制御)は、マルチビームを利用した実際の画像形成の前に実行される。
【0308】
上記いずれのレーザパワー制御も、図5または図8の主制御部51の内部CPUにより実行できる。
【0309】
図20は、レーザパワーを所定のしきい値Vr6に対応する値に制御する場合の、シングルコンパレータのしきい値変化の一例を示す。
【0310】
図20において、Vb0が基準電圧(前記Vr=2.5V)に相当し、Vt0が積分出力の最大値である+5.0Vに相当するものと仮定する。
【0311】
いま、しきい値Vr6で示される所望のレーザパワーの上限をPH6(μW)とし、その下限をPL6(μW)とする。この場合、レーザパワーをPL6(μW)からPH6(μW)の間に制御する場合には、コンパレータのしきい値を、Vr0→Vr1→Vr2→Vr3→Vr4→Vr5→Vr6と順に設定して行き、積分器42の積分出力(レーザ光量またはレーザパワー)Voが、最終的に所望のしきい値の間(PL6μW相当のしきい値とPH6μW相当のしきい値との間)に入るように、レーザパワーを調整する。
【0312】
なお、図20に例示されたしきい値のヘキサデシマル値は図13に例示されたレーザ指示値とは独立別個に想定しているので、図20と図13との間でヘキサデシマル値としきい値との関係は異なる。このため、たとえば図20のVr6の33Hが図13の7FHあるいは80Hに対応すると考えてもよい。
【0313】
また、図20のしきい値と図18のしきい値は独立別個に想定しているので、図20に例示されたVr0〜Vr6は図18に例示されたVr0〜Vr6と同じではない。
【0314】
さらに、図20では、しきい値Vr0以下の領域L0内でしきい値制御が行われる場合が例示されているが、同様なしきい値制御をVr0以上の領域U0内で行なうこともできる。
【0315】
以下、図20および図21〜24を参照しながら、ビーム光制御用パワー制御について説明する。この制御では、最終的にレーザパワーが図3のセンサ380の面上でみて300μWになるように、レーザ光量が調整されることを想定している。
【0316】
通常、この発明が利用される画像形成装置では、各レーザは、工場出荷時に、所定の指示値(ヘキサデシマルで示した8ビットデータ)で、たとえば300μWのレーザ発光がなされるよう、予め調整される。予め調整されているのであるから、レーザ発光光量の制御は必要ないと思われそうであるが、次の理由で、この制御が必要となる。
【0317】
すなわち、ポリゴンミラーは装置内で周辺から遮蔽されない状態で高速回転している。このため、時間の経過とともに、光学ユニット13内の塵や埃などによっポリゴンミラー35の反射面(ミラー面)が汚れてくる。このミラー面が汚れると、そこで反射されるレーザビームの損失が増え、センサ380面上に照射されるレーザビーム光量が小さくなり、所望のセンサ出力が得られなくなる。
【0318】
あるいは、制御回路系の動作環境(温度等)の変化あるいは回路部品の経時特性変化その他に起因して、積分器42から同じ積分出力電圧が得られていても、画像形成に実際に使用されるレーザパワーが工場出荷時の調整値(300μW)より大きくなってしまう(あるいは小さくなってしまう)可能性もある。
【0319】
つまり、予め調整されたレーザ発振器の状態をそのまま基準にすると、ポリゴンミラー35の汚れや動作環境変化などにより、センサ380面上で所望のレーザビーム光量が得られなくなる可能性がある。そうすると、ビーム通過位置制御を正常に実行できなくなる恐れが生じる。
【0320】
以上のことから、たとえレーザ発光光量(レーザパワー)が工場出荷時に予め所定値(300μW)に調整されていたとしても、実使用時には、センサ面上で必要なレーザ光量が得られるように、レーザ発光光量の制御が、適宜必要になる。
【0321】
なお、図20の例では、レーザパワーの制御目標を、PL6(レーザパワーP6の許容下限)<300μW<PH6(レーザパワーP6の許容上限)と仮定している。すなわち、積分器42の出力Voが、コンパレータ(CMP0)430のしきい値Vr4(たとえばヘキサデシマル値34Hに対応するPH6)とVr6(たとえばヘキサデシマル値33Hに対応するPL6)とで囲まれたU6(PL6からPH6までを許容範囲として含むレーザパワーP6に対応)の領域に属するように、レーザ発振器への指示値を調整する。
【0322】
こうして、たとえばポリゴンミラー35のレーザ反射面に汚れが生じてもセンサ380面上で300μW相当のレーザ光量が得られるようにすることが、図21〜図24のビーム光制御用パワー制御の目標である。
【0323】
図21〜図24は、レーザパワーの制御(ビーム光制御用パワー制御)を、図5および図9の構成(シングルコンパレータ利用)を利用して行なう場合を説明するフローチャートである。
【0324】
図21において、まず、所望のレーザ(第1レーザ)を所定の値(指示値)で発光させる(ステップST500)。すなわち、第1レーザのレーザドライバ(たとえば図5の32a)に、所定の指示値を設定し、センサ380の面上で約300μWの光量となるようレーザ発光させる。
【0325】
ここで、レーザパワーの検知に図8の構成が利用されるとすれば、レーザパワーが大きくフォトダイオードSL(センサ380の一部)の電流が大きいと、オペアンプA3の出力電圧V3も大きくなる。そうすれば、検知されるレーザパワーに比例して電位が上昇する積分出力Voが得られる。
【0326】
次に、図9のコンパレータCMP0のしきい値VrをVr0(V)=40Hに設定し(ステップST502)、コンパレータCMP0の出力を読み込む(ステップST504)。そして、設定されたしきい値Vr=Vr0(40H)および検知されたレーザパワーに対応する積分出力Voに基づき、レーザパワーの大小について判定が行われる(ステップST506)。
【0327】
このときの領域とパワーとの関係は次のようになる:
領域U0(Vo>Vr=40H):374〜750μW(比較結果CMPOUT=”0”)
領域L0(Vo<Vr=40H): 0〜374μW(比較結果CMPOUT=”1”)
コンパレータCMP0の出力CMPOUTが”0”の場合(ステップST506ノー;ステップST508イエス)は、設定値40Hよりも実際のレーザパワーが大きいので、レーザドライバ32aへの指示値を下げてレーザパワーを小さくし(ステップST510)、再度判定を行なう(ステップST504、ST506)。
【0328】
この工程(ステップST502〜ST510)でのレーザパワー増減量は、たとえば180μW程度とする。
【0329】
なお、ステップST506でノー、ステップST508でノーなら、判定結果に矛盾があり、エラーと判定されて、制御は終了(あるいは中断)する。
【0330】
以下、積分出力Voが目標の領域(L0)に入るまで、上記の動作が繰り返えされる。
【0331】
コンパレータCMP0の出力CMPOUTが”1”の場合(ステップST506イエス)は、次のステップへ移る。
【0332】
次の工程(ステップST512〜ST522)でのレーザパワー増減量は、図20の領域U0、L0における増減量よりも小さい値、たとえば180μWのおよそ半分の90μW程度とする。
【0333】
すなわち、レーザパワー増減量がおよそ90μWとなるようにコンパレータCMP0での比較基準値を再度設定し(ステップST512)、コンパレータCMP0のしきい値Vrを、再設定された値(20H)に対応するしきい値Vr1に変更する(ステップST514)。そして、コンパレータCMP0の出力を読み込み(ステップST516)、再度判定を行なう(ステップST518)。
【0334】
このときの領域とパワーとの関係は次のようになる:
領域U1(Vo>Vr=20H):185〜374μW(比較結果CMPOUT=”0”)
領域L1(Vo<Vr=20H): 0〜185μW(比較結果CMPOUT=”1”)
すなわち、コンパレータCMP0の出力CMPOUTが”1”の場合(ステップST518ノー;ステップST520イエス)は、設定値20Hよりも実際のレーザパワーが小さいので、レーザドライバ32aへの指示値を上げてレーザパワーを大きくし(ステップST522)、再度判定を行なう(ステップST516、ST518)。
【0335】
なお、ステップST518でノー、ステップST520でノーなら、判定結果に矛盾があり、エラーと判定されて、制御は終了(あるいは中断)する。
【0336】
以下、積分出力Voが目標の領域(U1)に入るまで、上記の動作が繰り返えされる。
【0337】
コンパレータCMP0の出力CMPOUTが”0”の場合(ステップST518イエス)は、図22の処理へ移る。
【0338】
図21の工程終了後、図22の処理において、コンパレータCMP0のしきい値VrをVr2(V)=30Hに設定し(ステップST524)、コンパレータCMP0の出力を読み込む(ステップST526)。そして、設定されたしきい値Vr=Vr2(30H)および検知されたレーザパワーに対応する積分出力Voに基づき、レーザパワーの大小について判定が行われる(ステップST528)。
【0339】
このときの領域とパワーとの関係は次のようになる:
領域U2(Vo>Vr=30H):280〜374μW(比較結果CMPOUT=”0”)
領域L2(Vo<Vr=30H):185〜280μW(比較結果CMPOUT=”1”)
コンパレータCMP0の出力CMPOUTが”1”の場合(ステップST528ノー;ステップST530イエス)は、設定値30Hよりも実際のレーザパワーが小さいので、レーザドライバ32aへの指示値を上げてレーザパワーを大きくし(ステップST532)、再度判定を行なう(ステップST526、ST528)。
【0340】
この工程(ステップST524〜ST532)でのレーザパワー増減量は、たとえば40μW程度とする。
【0341】
なお、ステップST528でノー、ステップST530でノーなら、判定結果に矛盾があり、エラーと判定されて、制御は終了(あるいは中断)する。
【0342】
以下、積分出力Voが目標の領域(U2)に入るまで、上記の動作が繰り返えされる。
【0343】
コンパレータCMP0の出力CMPOUTが”0”の場合(ステップST528イエス)は、次のステップへ移る。
【0344】
次の工程(ステップST534〜ST542)でのレーザパワー増減量は、たとえば20μW程度とする。
【0345】
すなわち、レーザパワー増減量がおよそ20μWとなるようにコンパレータCMP0での比較基準値を再度設定し、コンパレータCMP0のしきい値Vrを、再設定された値(38H)に対応するしきい値Vr3に変更する(ステップST534)。そして、コンパレータCMP0の出力を読み込み(ステップST536)、再度判定を行なう(ステップST538)。
【0346】
このときの領域とパワーとの関係は次のようになる:
領域U3(Vo>Vr=38H):326〜374μW(比較結果CMPOUT=”0”)
領域L3(Vo<Vr=38H):280〜326μW(比較結果CMPOUT=”1”)
すなわち、コンパレータCMP0の出力CMPOUTが”0”の場合(ステップST538ノー;ステップST540イエス)は、設定値38Hよりも実際のレーザパワーが大きいので、レーザドライバ32aへの指示値を下げてレーザパワーを小さくし(ステップST542)、再度判定を行なう(ステップST536、ST538)。
【0347】
なお、ステップST538でノー、ステップST540でノーなら、判定結果に矛盾があり、エラーと判定されて、制御は終了(あるいは中断)する。
【0348】
以下、積分出力Voが目標の領域(L3)に入るまで、上記の動作が繰り返えされる。
【0349】
コンパレータCMP0の出力CMPOUTが”0”の場合(ステップST538イエス)は、図23の処理へ移る。
【0350】
図22の工程終了後、図23の処理において、コンパレータCMP0のしきい値VrをVr4(V)=34Hに設定し(ステップST544)、コンパレータCMP0の出力を読み込む(ステップST546)。そして、設定されたしきい値Vr=Vr4(34H)および検知されたレーザパワーに対応する積分出力Voに基づき、レーザパワーの大小について判定が行われる(ステップST548)。
【0351】
このときの領域とパワーとの関係は次のようになる:
領域U4(Vo>Vr=34H):303〜326μW(比較結果CMPOUT=”0”)
領域L4(Vo<Vr=34H):280〜303μW(比較結果CMPOUT=”1”)
コンパレータCMP0の出力CMPOUTが”0”の場合(ステップST548ノー;ステップST550イエス)は、設定値34Hよりも実際のレーザパワーが大きいので、レーザドライバ32aへの指示値を下げてレーザパワーを小さくし(ステップST552)、再度判定を行なう(ステップST546、ST548)。
【0352】
この工程(ステップST544〜ST552)でのレーザパワー増減量は、たとえば10μW程度とする。
【0353】
なお、ステップST548でノー、ステップST550でノーなら、判定結果に矛盾があり、エラーと判定されて、制御は終了(あるいは中断)する。
【0354】
以下、積分出力Voが目標の領域(L4)に入るまで、上記の動作が繰り返えされる。
【0355】
コンパレータCMP0の出力CMPOUTが”1”の場合(ステップST548イエス)は、次のステップへ移る。
【0356】
次の工程(ステップST554〜ST562)でのレーザパワー増減量は、たとえば5μW程度とする。
【0357】
すなわち、レーザパワー増減量がおよそ5μWとなるようにコンパレータCMP0での比較基準値を再度設定し、コンパレータCMP0のしきい値Vrを、再設定された値(32H)に対応するしきい値Vr5に変更する(ステップST554)。そして、コンパレータCMP0の出力を読み込み(ステップST556)、再度判定を行なう(ステップST558)。
【0358】
このときの領域とパワーとの関係は次のようになる:
領域U5(Vo>Vr=32H):291〜303μW(比較結果CMPOUT=”0”)
領域L5(Vo<Vr=32H):280〜291μW(比較結果CMPOUT=”1”)
すなわち、コンパレータCMP0の出力CMPOUTが”1”の場合(ステップST558ノー;ステップST560イエス)は、設定値32Hよりも実際のレーザパワーが小さいので、レーザドライバ32aへの指示値を上げてレーザパワーを大きくし(ステップST562)、再度判定を行なう(ステップST556、ST558)。
【0359】
なお、ステップST558でノー、ステップST560でノーなら、判定結果に矛盾があり、エラーと判定されて、制御は終了(あるいは中断)する。
【0360】
以下、積分出力Voが目標の領域(U5)に入るまで、上記の動作が繰り返えされる。
【0361】
コンパレータCMP0の出力CMPOUTが”0”の場合(ステップST558イエス)は、図24の処理へ移る。
【0362】
図23の工程終了後、図24の処理において、コンパレータCMP0のしきい値VrをVr6(V)=33Hに設定し(ステップST564)、コンパレータCMP0の出力を読み込む(ステップST566)。そして、設定されたしきい値Vr=Vr6(33H)および検知されたレーザパワーに対応する積分出力Voに基づき、レーザパワーの大小について判定が行われる(ステップST568)。
【0363】
このときの領域とパワーとの関係は次のようになる:
領域U6(Vo>Vr=33H):297〜303μW(比較結果CMPOUT=”0”)
領域L6(Vo<Vr=33H):291〜297μW(比較結果CMPOUT=”1”)
コンパレータCMP0の出力CMPOUTが”1”の場合(ステップST568ノー;ステップST570イエス)は、設定値33Hよりも実際のレーザパワーが小さいので、レーザドライバ32aへの指示値を上げてレーザパワーを大きくし(ステップST572)、再度判定を行なう(ステップST566、ST568)。
【0364】
この工程(ステップST564〜ST572)でのレーザパワー増減量は、たとえば2μW程度とする。(ここで、実際に使用するレーザ発振器の最小分解能がたとえば2.3μWであるなら、しきい値Vr6でのパワー増減量も2.3μWにするとよい。)
なお、ステップST548でノー、ステップST550でノーなら、判定結果に矛盾があり、エラーと判定されて、制御は終了(あるいは中断)する。
【0365】
以下、積分出力Voが目標の領域(U6)に入るまで、上記の動作が繰り返えされる。
【0366】
コンパレータCMP0の出力CMPOUTが”0”の場合(ステップST568イエス)は、次のステップへ移る。
【0367】
次の工程(ステップST576〜ST582)でのレーザパワー増減量も、2μW程度(前述した例なら2.3μW)とする。ここで、処理判定を行なうCPUの図示しない内部メモリ(あるいは図5のメモリ52)には、それ以前に用いたしきい値データが保存されている。以下の工程を実行するに際して、CPUは、保存されたしきい値データのうち、しきい値Vr4=34Hのデータを取り出す。
【0368】
次に、CPUはコンパレータCMP0の出力を読み込み(ステップST576)、Vr4=34Hに基づいて、レーザパワーの大小に関する判定を再度行なう(ステップST578)。
【0369】
このときの領域とパワーとの関係は次のようになる:
領域U6(しきい値33H〜34Hの間):297〜303μW(比較結果CMPOUT=”0”)
すなわち、コンパレータCMP0の出力CMPOUTが”0”の場合(ステップST578ノー;ステップST580イエス)は、設定値34Hよりも実際のレーザパワーがやや大きいので、レーザドライバ32aへの指示値を少し下げてレーザパワーをやや小さくし(ステップST582)、再度判定を行なう(ステップST556〜ST568、T576〜ST578)。
【0370】
なお、ステップST578でノー、ステップST580でノーなら、判定結果に矛盾があり、エラーと判定されて、制御は終了(あるいは中断)する。
【0371】
以下、積分出力Voが目標の領域(U6)に入るまで、上記の動作が繰り返えされる。
【0372】
コンパレータCMP0の出力CMPOUTが”1”の場合(ステップST578イエス)、これはセンサ面上でのレーザ光量が297〜303μW(しきい値では33H〜34H)の間に入っていることを示す(300μWに対する誤差は±1%以内)。
【0373】
こうしてセンサ面で見た実質的なレーザパワーが所望値(ほぼ300μW)となれば、図21〜図24のビーム光制御用パワー制御は終了し、図5の主制御部51のCPUは、その他の処理に戻る。
【0374】
なお、以上の説明では、しきい値33H〜34Hがレーザパワー297〜303μWに対応するものとして説明したが、図25に例示されるようにレーザパワー300μWがしきい値80Hに対応する場合の制御方法(手順)は、しきい値指示データの数値が変わることを別にすれば、考え方に違いはない。この発明の実施にあたっては、レーザパワーの数値(μW)としきい値(ヘキサデシマルデータ)との間にどのような数値関係を持たせてもよい。
【0375】
また、所望の制御目標(センサ面上で300μWのレーザパワーを得ること)が得られるまでのしきい値変化が、図20では領域L0内で変化する場合が例示されている。が、図20の領域U0内でしきい値が変化する制御動作も、使用される指示値(ヘキサデシマル値)の数値が変わることを除けば、同様に行われる(たとえばポリゴンミラーの汚れに起因するしきい値制御の場合は、領域U0内で、同様なしきい値制御が行われる)。
【0376】
図25は、この発明の実施の形態において使用可能な、レーザからのビーム光量の指示値(8ビットヘキサデシマル表示されるレーザ指示値;比較時にD/A変換され対応するアナログしきい値に変換される値)と対応するレーザパワー(μW)との対応関係の一例を示している。
【0377】
すなわち、たとえば図5の主制御部51のCPUから指示値00Hが出された場合はレーザパワーは0μW(つまりレーザ光量ゼロ)となり、FFHが出された場合はレーザパワーは600μWとなる。
【0378】
以下同様に、CPUからの指示値が2BH、55H、80H、ABH、およびD5Hなら、対応するレーザパワーは、それぞれ、100μW、200μW、300μW、400μW、および500μWとなる。
【0379】
図25のレーザ指示値対レーザパワーの関係はあくまで1例であるから、たとえば300μWのレーザパワーを指示する指示値データは、80Hに限定されることはなく、実施に形態に応じて任意に選ぶことができる。
【0380】
なお、使用されるレーザの最大出力が仮に750μWであるなら、FFH以外のCPU指示により、このレーザを750μWで発光させることができる。
【0381】
また、図9の積分器42を構成するオペアンプA4は、±5Vのアナログ積分電圧(Vo)をリニアに出力できるよう構成されている。この場合、図25のレーザパワー600μW(指示値FFH)は図19の積分出力Vo=4Vで検知でき、レーザパワー750μWは積分出力Vo=5Vで検知できる。
【0382】
次に、画像形成用レーザビームの光量制御ルーチンについて説明する。
【0383】
図26は、画像形成用のビーム光量(レーザパワー)制御の大きな流れを説明するフローチャートである。
【0384】
たとえば図5の主制御部51のCPUは、ポリゴンモータドライバ37に指示を与え、ポリゴンモータ36を所定の回転速度で回転させる(ステップST220)。
【0385】
続いて、CPUは、ガルバノミラー駆動回路39a〜39dに所定の指示値を与え、4本のマルチレーザビームの走査経路を指定する(ステップST222)。
【0386】
次に、CPUは、4本のマルチレーザビームのうち、第1のレーザ31aを所定の指示値(たとえば図25の例でいえば80Hで指示される300μW)で発光させ(ステップST224)、センサ380面上における第1レーザ31aの光量(レーザパワー)を測定する(ステップST226)。
【0387】
この第1レーザ31aのパワー測定(ステップST226)は、たとえば図9の回路構成を利用し、後述する図27の手順で、実現できる。
【0388】
こうして測定された第1レーザ31aのパワーを基準として、第2レーザ31bのレーザパワーが第1レーザ31aのパワーと(センサ面上でみて)一致するように、制御される(ステップST228)。
【0389】
この第2レーザ31bのパワー制御(ステップST228)は、後述する図29〜図32の手順によって実現できる。
【0390】
続いて、測定された第1レーザ31aのパワーを基準として、第3レーザ31cのレーザパワーが第1レーザ31aのパワーと(センサ面上でみて)一致するように、制御される(ステップST230)。
【0391】
この第3レーザ31cのパワー制御(ステップST230)も、後述する図29〜図32の手順によって実現できる。
【0392】
最後に、測定された第1レーザ31aのパワーを基準として、第4レーザ31dのレーザパワーが第1レーザ31aのパワーと(センサ面上でみて)一致するように、制御される(ステップST232)。
【0393】
この第4レーザ31dのパワー制御(ステップST232)も、後述する図29〜図32の手順によって実現できる。
【0394】
図26の処理を簡単にまとめると、次のようになる。すなわち、最初に、マルチビームのうちの特定の1本について、センサ面上におけるレーザパワーの絶対値制御を行う(ST226)。そして、絶対値制御された特定ビームのレーザパワーに合うように、残りのビームそれぞれのレーザパワーを、相対値制御する(ST228〜232)。
【0395】
なお、マルチビームのレーザビーム全てについて絶対値制御(ST226あるいは図21〜図24のパワー制御)を実行する実施の形態も可能であるのはもちろんである。この場合はマルチビームレーザパワーの相対値制御を省略できる。
【0396】
ただし、相対値制御を用いる場合、その制御目標となるレーザパワーとそれに対応するしきい値の指示値(あるいはその前後の概略値)が、絶対値制御のパワー測定の結果から予め分かっている。このため、各ビームの相対値制御が完了するまでに要する反復処理ループの実行回数が、絶対値制御だけの場合より少なくなることは期待できる。
【0397】
また、相対値制御を用いる場合、全体的にレーザパワーを変更する際は基準のレーザビームのみに対して新たな絶対値制御を行えば良く、基準レーザビームに対して新たに得られた指示値変化量を残りのレーザビームに反映させれば、残りビームに対する相対値制御を省略できる可能性がある(省略できるかどうかは、製品の仕様上、全ビーム間のレーザパワーのばらつきがどの程度許されるか、あるいは相対値制御を省略した結果、実際の製品においてどの程度のレーザパワーのばらつきが生じるか、による)。
【0398】
画像形成用レーザビーム光量制御は、まず、基準となるレーザビーム光(第1のレーザビームa)を所定の指示値(たとえば80H)で発光させ、そのビーム光量をビーム光量検知部38のセンサ380上で測定して、メモリ52に記録する。
【0399】
次にこのビーム光量検知部38での測定結果を基準として、その他のレーザビーム(レーザビームb、c、d)のビーム光量が、基準となるレーザビーム(レーザビームa)の測定結果と一致するようにレーザドライバ(32b、32c、32d)の指示値を調整する(図26で説明した場合と同様)。
【0400】
すなわち、主制御部51のCPUは、まず、ポリゴンミラーモータ36を所定の速度で回転させ、各レーザビーム光がレーザビーム光量検知センサ380のほぼ中央を通過するように、ガルバノミラー(33a〜33d)に指示値を与える。
【0401】
ここで、レーザビーム光量検知センサ380は副走査方向に十分余裕のある形状となっている。図3の構造でいえば、センサパターンSLの縦方向のサイズ(数mm以上)が、並行に走るマルチビームの並び幅サイズ(0.数mm以下)より十分(桁違いに)大きくしてある。このため、ガルバノミラーを用いた上記制御の際のビーム通過位置には、ビーム通過位置制御(各ビーム各々のビーム間ピッチを規定する副走査ビーム位置制御)ほどの精度は必要としない。
【0402】
次に基準レーザを所定の値で発光させる。この例では、第1レーザ31aを基準のレーザとする。ここでは、基準レーザは工場出荷時に図25の入出力特性を持つように調整されているものと仮定する(80Hで300μWと仮定)。図25の入出力特性を採用する場合、画像形成時のレーザパワーを200μWにしたいなら、主制御部51のCPUは、レーザドライバ32aに指示値55Hを与えればよい。
【0403】
以上の事前処理を行ってから、図27のレーザパワー測定ルーチンにしたがって、第1レーザビーム31aのビーム光量を測定する。
【0404】
図27は、図26のステップST226におけるレーザパワー測定手順(絶対値制御)を説明するフローチャートである。また、図28は、図26のレーザパワー測定およびレーザパワー相対値制御における、シングルコンパレータのしきい値変化の様子を例示している。(なお、図28に例示されたしきい値のヘキサデシマル値は図25に例示されたレーザ指示値とは独立別個に想定しているので、図28と図25との間でヘキサデシマル値は異なる。このため、たとえば図28のVr6の23Hが図25の200μWの55Hに対応すると考えてもよい。)
図27の処理において、図5の主制御部51のCPUは、所定の指示データ(図28の例では40H)により、コンパレータ430(図9ではCMP0)のしきい値VrをVr0に設定する(ステップST640)。
【0405】
続いて、CPUは、しきい値Vr0とそのときの積分出力Voとの比較結果であるコンパレータ出力(図9ではCMPOUT)を読み込む(ステップST642)。
【0406】
上記しきい値Vr0(40H)は、ビーム光量検知部38の検知特性をほぼ2等分(図28では領域を2分割したU0とL0)するように設定されている。つまり、CPUは、コンパレータ出力の内容(”0”か”1”か)によって、第1レーザビーム(31a)のビーム光量(レーザパワー)が2分割された領域(図28のU0とL0)のどちらに属するかを判定する(ステップST644)。
【0407】
このときのしきい値と領域とレーザパワーとコンパレータ出力(比較結果)との対応関係は、以下のようになる:
Vr→Vr0(V)=40H
領域U0:374〜750μW(比較結果CMPOUT=”0”)
領域L0: 0〜374μW(比較結果CMPOUT=”1”)
ステップST644において、Vr0に基づき、レーザパワーが属する領域の判定(U0かL0か)が終了したら、コンパレータのしきい値が変更される(ステップST646)。
【0408】
たとえば、領域L0に属すると判定された場合は、CPUは、しきい値Vrを、Vb0〜Vr0をほぼ2等分(領域L0を2分割したU1とL1)するようなしきい値Vr1(図28の例では20H)に変更する(ステップST646)。そしてしきい値が制御目標域に対応するかどうかの判定がなされる(ステップST648)。
【0409】
ステップST648にけるしきい値判定の結果、レーザパワーが制御目標域に到達していなければ(領域U1/L1は範囲が広く、まだ制御目標域ではない;ステップST648ノー)、コンパレータの出力が再度読み込まれ(ステップST642)、レーザパワーが2分割された領域(図28のU1とL1)のどちらに属するかを判定する(ステップST644)。このときのしきい値と領域とレーザパワーとコンパレータ出力(比較結果)との対応関係は、以下のようになる:
Vr→Vr1(V)=20H
領域U1:185〜374μW(比較結果CMPOUT=”0”)
領域L1: 0〜185μW(比較結果CMPOUT=”1”)
ステップST644において、Vr1に基づき、レーザパワーが属する領域の判定(U1かL1か)が終了したら、コンパレータのしきい値が変更される(ステップST646)。
【0410】
たとえば、領域U1に属すると判定された場合は、CPUは、しきい値Vrを、Vr1〜Vr0をほぼ2等分(領域U1を2分割したU2とL2)するようなしきい値Vr2(図28の例では30H)に変更する(ステップST646)。そしてしきい値が制御目標域に対応するかどうかの判定がなされる(ステップST648)。
【0411】
ステップST648にけるしきい値判定の結果、レーザパワーが制御目標域に到達していなければ(領域U2/L2は範囲が広く、まだ制御目標域ではない;ステップST648ノー)、コンパレータの出力が再度読み込まれ(ステップST642)、レーザパワーが2分割された領域(図28のU2とL2)のどちらに属するかを判定する(ステップST644)。このときのしきい値と領域とレーザパワーとコンパレータ出力(比較結果)との対応関係は、以下のようになる:
Vr→Vr2(V)=30H
領域U2:280〜374μW(比較結果CMPOUT=”0”)
領域L2:185〜280μW(比較結果CMPOUT=”1”)
その後、ステップST642〜ST648のループを反復して、以下のようにしきい値VrをVr3(28H)→Vr4(24H)→Vr5(22H)→Vr6(23H)と変えながら徐々に判定領域を狭めて行く(L2→L3→L4→U5→L6)。
【0412】
Vr→Vr3(V)=28H
領域U3:232〜374μW(比較結果CMPOUT=”0”)
領域L3:185〜232μW(比較結果CMPOUT=”1”)
Vr→Vr4(V)=24H
領域U4:209〜232μW(比較結果CMPOUT=”0”)
領域L4:185〜209μW(比較結果CMPOUT=”1”)
Vr→Vr5(V)=22H
領域U5:197〜209μW(比較結果CMPOUT=”0”)
領域L5:185〜197μW(比較結果CMPOUT=”1”)
Vr→Vr6(V)=23H
領域U6:203〜209μW(比較結果CMPOUT=”0”)
領域L6:197〜203μW(比較結果CMPOUT=”1”)
ここで、Vr6を用いたコンパレータ出力(たとえばCMPOUT=”1”)により領域L6に属すると判定されたとする(ステップST644)。
【0413】
図27の処理では、領域U6/L6が最小分解能レベルの幅であると想定している。このためしきい値はVr6に設定されたままそれ以上変更されず(ステップST646)、しきい値の判定が行われる(ステップST648)。
【0414】
しきい値Vr6(=23H)による判定の結果、レーザパワーが制御目標域に到達したと判定される(ステップST648イエス)。(このとき判定対象となっている領域U6/L6はこのパワー測定ルーチンの処理上想定した最小幅なので、そのことで制御目標域であると判定できる。)
そうなれば、図5の主制御部51のCPUは、そのときのコンパレータしきい値(Vr6=23H)およびコンパレータ出力(領域L6を示すCMPOUT=”1”)を、第1レーザビーム(31a)のセンサ面上におけるレーザパワー絶対値(たとえば200μW)に対応するデータとして、図5のメモリ52に記録する(ステップST650)。
【0415】
こうして、図26のステップST226のパワー測定ルーチン(絶対値制御)に相当する図27の処理は終了する。
【0416】
前述した図27の処理によって第1レーザ(31a)パワーの絶対値測定の結果が記録できたら、そのしきい値(23H)とコンパレータ出力(領域L6ならCMPOUT=”1”)を基準データとして、その他のレーザがこの基準データと等しくなるようにそのレーザパワーを相対的に調整できる。
【0417】
すなわち、上述した例では、しきい値がVr5=22HとVr6=23Hの間の領域L6のデータが、図26のステップST228〜ST232のレーザパワー相対値制御の基準データとなる。
【0418】
図29〜図32は、図26のステップST228、ST230またはST232におけるレーザパワーの相対値制御を説明するフローチャートである。この相対値制御も、図5および図9の構成(シングルコンパレータ利用)を利用して行なうことができる。
【0419】
このレーザパワー相対値制御の実行手順は、図21〜図24のレーザパワー絶対値制御の実行手順とアルゴリズムは同じでよい。ただし、制御目標データ(Vr6=23Hおよび領域L6を示すCMPOUT=”1”)が既にメモリ52に記憶されているので、この記憶されたデータに基づくなら、制御の前半(図29〜図30)におけるレーザパワー指示値の増減量(ST710、ST722、ST732、ST742、ST752、ST762)を荒くして、あるいは一部のレーザパワー指示値の増減処理をスキップして、制御完了までの処理時間を短縮できる。
【0420】
たとえば、図21〜図24の絶対値制御ではしきい値をVr0→Vr1→Vr2→Vr3→Vr4→Vr5→Vr6のように1ステップづつ変えながら最終制御目標に近づいて行く処理が実行されているが、図29〜図32の相対値制御ではしきい値をVr0→Vr2→Vr4→Vr6のように2ステップづつ変えながら最終制御目標に近づいて行く処理に簡略化してもよい。
【0421】
あるいは、図29〜図32の相対値制御ではしきい値をVr0→Vr3→Vr6のように3ステップづつ変えながら最終制御目標に近づいて行く処理に簡略化してもよい。
【0422】
場合によっては、図29〜図31の処理をスキップし、図29のステップST700からいきなり図32のステップST764にジャンプして、図32の処理だけで、各レーザのビームパワー相対値制御を完了できることもある。
【0423】
つまり、図21〜図24の絶対値制御のフローチャートと図29〜図32の相対値制御のフローチャートとは各ステップの処理の流れは同様であるが、各ステップでの実際の処理内容(しきい値データ、レーザパワー増減量等)は、かならずしも同じではない。
【0424】
レーザパワーの相対値制御の処理内容を絶対値制御の場合より荒くしたときは、その分処理時間も短縮されることが期待できる。
【0425】
図33は、図4のブロック図のうちマルチビーム光制御に関連する部分(ウインドウコンパレータ利用)を抜き出して詳細に示す。
【0426】
図33の構成も、図5の構成と同様に、レーザビーム光の通過位置制御などに利用できる。以下、図5の構成と重複する部分の説明は簡略化し、図33の構成に特徴的な部分を主に説明する。
【0427】
ビーム光位置検知器38を構成するビーム検知センサ380のセンサパターンSA、SE、SK、SMからは、そこをレーザビーム光が通過した(横切った)ときにパルス状の信号が出力される。また、複数のセンサパターンSF〜SJからは、レーザビーム光の通過位置に応じて、それぞれ独立した信号が出力される。さらに、センサパターンSLからは、そこを通過する(4本の)レーザビームの光量(パワー)に対応した信号(アナログ)が出力される。
【0428】
選択回路41は、主制御部(CPU)51からのセンサ選択信号により入力された信号のいずれか1つを選択し、選択された信号を、積分器42へ供給する。積分器42は、選択回路41によって選択された信号を積分する。
【0429】
センサパターンSAのフォトダイオードから出力されたパルス信号、センサパターンSEのフォトダイオードから出力されたパルス信号、およびセンサパターンSKのフォトダイオードから出力されたパルス信号は、選択回路Aに入力される。選択回路Aは、主制御部51からの指令にしたがって、SA、SE、またはSKのいずれかからのパルス信号を選択し、積分器42に供給する。積分器42は、供給されたパルス信号によりリセットされて、選択回路41から入力された信号の積分を開始するように構成されている。
【0430】
つまり、積分器42は、図3のビーム検知センサ380のセンサパターン(フォトダイオードで構成されるセンサ受光部)SA、SE、SKの配置とそこを所定の速度で横切るレーザビームの通過タイミングに応じて、積分動作を開始する。
【0431】
また、センサパターンSKのフォトダイオードから出力されたパルス信号およびセンサパターンSMのフォトダイオードから出力されたパルス信号は、選択回路Bに入力される。選択回路Bは、主制御部51からの指令にしたがって、SKまたはSMのいずれかからのパルス信号を選択し、後述するフリップフロップ回路432*に供給する。フリップフロップ回路432*は、供給されたパルス信号によりラッチされて、所定の動作を行なうように構成されている。
【0432】
つまり、フリップフロップ回路432*は、図3のビーム検知センサ380のセンサパターン(フォトダイオードで構成されるセンサ受光部)SK、SMの配置とそこを所定の速度で横切るレーザビームの通過タイミングに応じて、フリップフロップ動作を行なう(後に詳述するが、このフリップフロップ動作はこの発明のA/D処理動作に関係している)。
【0433】
このように、センサパターンSA、SE、またはSKからのパルス信号により、レーザビーム光がビーム検知センサ380を通過するときに積分器42をリセットして積分動作を開始させる。そして、レーザビーム光がビーム検知センサ380のセンサパターン上を通過している間は、積分器42はレーザビーム光の通過位置を示す信号を積分する。
【0434】
積分器42で積分した結果は、コンパレータ430*、フリップフロップ回路432*、主制御部51およびDAコンバータ434*のループで構成される回路動作により、通常のA/D変換デバイスを用いることなく、実質的にA/D変換に対応したA/D処理がなされる(このA/D処理のための回路構成および動作は、別途図面を参照して後述する)。
【0435】
この積分動作を伴うA/D処理により、ノイズが少なく、ビーム光位置検知器38の取付け傾きの影響が除去された検知信号をデジタル信号に変換することができる。
【0436】
ここで、増幅器62〜66、選択回路41、積分器42、コンパレータ430*、フリップフロップ回路432*、およびDA変換器434*は、ビーム光位置検知器出力処理回路40を構成している。
【0437】
このようにして、デジタル信号に変換されたビーム光位置検知器38からのビーム光位置検知信号は、ビーム光位置情報として主制御部51に入力され、レーザビーム光の通過位置やレーザ光量(パワー)などが判断される。
【0438】
その後に主制御部51がガルバノミラー33a〜33d、レーザドライバ32a〜32d、ポリゴンモータドライバ37等を制御する構成は、図5と同じであるので、その説明は省略する。
【0439】
図54は、図33のビーム光位置検知器出力処理回路において、ビーム検知センサのうちビーム位置検知用のセンサパターンから積分器までの回路構成を説明する図である。
【0440】
この構成は以下の点を除き、図6の構成と同様である。すなわち、図6では単一のしきい値(比較基準値)Vrを用いるシングルコンパレータ430(CMPO)が採用されているのに対して、図54では2つのしきい値(1対の比較基準値)WINTHH/WINTHLを用いるウインドウコンパレータ430*が採用されている。
【0441】
図34は、図33のビーム光位置検知器出力処理回路において、ビーム検知センサのうちビーパワー検知用のセンサパターンから積分器までの回路構成を説明する図である。
【0442】
この構成は以下の点を除き、図8の構成と同様である。すなわち、図8では単一のしきい値(比較基準値)Vrを用いるシングルコンパレータ430(CMPO)が採用されているのに対して、図34では2つのしきい値(1対の比較基準値)WINTHH/WINTHLを用いるウインドウコンパレータ430*が採用されている。
【0443】
図35は、この発明の他の実施の形態に係る、ウインドウコンパレータを利用したアナログ・デジタル処理部を説明する回路図である。
【0444】
この実施形態の回路構成では、ビームがセンサSJ側を走査すれば積分出力はVrefに対して+側に大きくなり、ビームがセンサSI側を走査すれば積分出力はVrefに対して−側に大きくなるようになっている。
【0445】
図35において、積分回路42に入力される信号が図33の差動増幅器63の出力の場合は、積分対象は図3または図33のセンサパターンSJおよびSIのフォトダイオードで検知されたアナログ電圧となる。
【0446】
同様に、積分回路42に入力される信号が差動増幅器64の出力の場合は積分対象はセンサパターンSIおよびSHのアナログ電圧となり、積分回路42に入力される信号が差動増幅器65の出力の場合は積分対象はセンサパターンSHおよびSGのアナログ電圧となり、積分回路42に入力される信号が差動増幅器66の出力の場合は積分対象はセンサパターンSGおよびSFのアナログ電圧となる。
【0447】
また、積分回路42のオペアンプA4に入力される信号が図33の増幅器62または図34のオペアンプA3からの出力(差分出力ではない)である場合は、積分回路42からの積分出力Voは、センサパターンSLで検知されたレーザ光量(パワー)を表すアナログ電圧となる。
【0448】
以上のことから、積分回路42から出力される積分出力Voは、センサパターンSF〜SJ、SLの検知結果のいずれか(1つまたは2つ)に対応したアナログ電圧となる。
【0449】
一方、図33、図54または図34の主制御部51の内部CPUは、図33のビーム光位置検知器38上における実際のビーム位置とそれに対応する積分出力Voとの相関を実験的に求めて決めた複数のしきい値データを、図33のメモリ52(または図示しないCPU内部のメモリ)に持っている。(これらの複数しきい値データは、図9のシングルコンパレータの場合に求めたものとは別のデータである。)
これらの複数のしきい値データは、たとえば後述する図39を例にとれば、VH1〜VH4、VL1〜VL4とそれらを表すデジタルデータ(たとえば8ビットのヘキサデシマル値)に対応する。そして、主制御部51のCPUは、A/D処理動作中、所定のタイミングで、これらのしきい値データを順次読み出せるようにプログラムされている。
【0450】
図33、図54または図34の積分器42に相当する図35の積分回路42は、図33の選択回路Aからの積分リセット信号の信号エッジで一旦リセットされたあと、図33の選択回路41または図54のアナログスイッチSW1を介して入力される信号(たとえば図33の増幅器62の出力)を、抵抗R5とキャパシタCとの積で決まる時定数で、積分する。この積分により、パルス性のノイズあるいは高周波ノイズが取り除かれたアナログ電圧値が得られる。
【0451】
こうして得られた積分結果Vo(A/D処理の対象となるアナログ電圧値)が、図35のウインドウコンパレータ(CMP1/CMP2)430*に与えられる。
【0452】
すなわち、ウインドウコンパレータL430*は2個1対のコンパレータCMP1およびCMP2により構成されており、積分器42からの積分結果(Vo)が、コンパレータCMP1の一方入力(ー)およびコンパレータCMP2の他方入力(+)に与えられる。
【0453】
一方、コンパレータCMP1の他方入力(+)にはウインドウコンパレータ430*の上側しきい値を決定する比較基準電圧WINTHHが与えられ、コンパレータCMP2の一方入力(ー)にはウインドウコンパレータ430*の下側しきい値を決定する比較基準電圧WINTHLが与えられる。
【0454】
ウインドウコンパレータ(CMP1/CMP2)430*の上下しきい値(すなわちウインドウコンパレータの窓の範囲)を決定する比較基準電圧(WINTHH/WINTHL)は、8ビットD/A変換器DA1およびDA2によって独立に設定できるようになっている。
【0455】
ウインドウコンパレータ430*は、比較基準電圧(WINTHH/WINTHL)が与えられると、積分出力Voがウインドウコンパレータの窓の範囲に入っているか、範囲の下か、範囲の上かによって、異なる比較結果(WULとWLLのペア)を出力する。
【0456】
すなわち、図36に示すように、積分出力Voがウインドウコンパレータの窓(WINTHH〜WINTHLの間)より上側にあり、Vo>WINTHHなら、コンパレータCMP1の出力レベルWULは”0”でコンパレータCMP2の出力レベルWLLは”1”となる。
【0457】
積分出力がウインドウコンパレータの窓の範囲内にあり、WINTHH>Vo>WINTHLなら、コンパレータCMP1の出力レベルWULは”1”でコンパレータCMP2の出力レベルWLLも”1”となる。
【0458】
また、積分出力がウインドウコンパレータの窓より下側にあり、Vo<WINTHLなら、コンパレータCMP1の出力レベルWULは”1”でコンパレータCMP2の出力レベルWLLは”0”となる。
【0459】
ウインドウコンパレータ430*の比較基準電圧WINTHHおよびWINTHLを出力するD/A変換器DA1およびDA2の動作は、主制御部51のCPUからのDA選択信号DASC1ー0AおよびDASC1ー1Aの組み合わせにより、任意に設定できる。
【0460】
すなわち、図37に示すように、DASC0ー0A=”1”およびDASC1ー1A=”0”が図35のセレクタ436に入力されると、セレクタ436からDAC1選択信号だけが出力され、DAC1選択信号によりD/A変換器DA1だけがアクティブとなる。すると、DA1は、データ書込パルスDAWRー0Aの信号エッジで主制御部51からのデータBMDA(主制御部51の内部CPUによる演算結果)を取り込み、D/A変換して、対応するアナログレベルのWINTHHをコンパレータCMP1に与える。
【0461】
この場合、DA2は、たとえば”0”レベル(最小レベル)相当のWINTHLをコンパレータCMP2に与える。この状態では、ウインドウレベルの一方(WINTHL)が最小レベルにシフトするので、ウインドウコンパレータ430*は、実質的にはコンパレータCMP1だけのシングルコンパレータとして機能するようになる。
【0462】
DASC0ー0A=”0”およびDASC1ー1A=”1”がセレクタ436に入力されると、セレクタ436からDAC2選択信号だけが出力され、DAC2選択信号によりD/A変換器DA2だけがアクティブとなる。すると、DA2は、データ書込パルスDAWRー0Aの信号エッジで主制御部51からのデータBMDA(主制御部51の内部CPUによる演算結果)を取り込み、D/A変換して、対応するアナログレベルのWINTHLをコンパレータCMP2に与える。
【0463】
この場合、DA1は、たとえば”1”レベル(最大レベル)相当のWINTHHをコンパレータCMP1に与える。この状態では、ウインドウレベルの他方(WINTHH)が最大レベルにシフトするので、ウインドウコンパレータ430*は、実質的にはコンパレータCMP2だけのシングルコンパレータとして機能するようになる。
【0464】
DASC0ー0A=”0”およびDASC1ー1A=”0”がセレクタ436に入力されると、セレクタ436からDAC1選択信号およびDAC2選択信号が出力され、D/A変換器DA1およびDA2の双方がアクティブとなる。すると、DA1がDAWRー0Aの信号エッジでデータBMDA(主制御部51での演算結果)を取り込みD/A変換して対応するWINTHHをコンパレータCMP1に与え、DA2がDAWRー0Aの信号エッジで別のデータBMDA(主制御部51での別の演算結果)を取り込みD/A変換して対応するWINTHLをコンパレータCMP2に与える。
【0465】
この場合、ウインドウコンパレータ430*は、文字どおり2つのしきい値(図38のWINTHH/WINTHL)で決まる範囲の窓を持ったウインドウコンパレータとして機能することができる。
【0466】
この窓の広さ(WINTHH〜WINTHLの範囲)は、D/A変換器DA1に取り込まれる第1のデータBMDAの値およびD/A変換器DA2に取り込まれる第2のデータBMDAの値により、任意に変更できる。
【0467】
たとえば図45の例示を利用すると、第1のデータBMDA=5AHにより窓の上側VH0を指定し、第2のデータBMDA=3FHにより窓の下側VL0を指定したとすれば、ウインドウコンパレータ430*はVH0〜VL0という広い範囲の大きな窓を持つことになる。
【0468】
一方、第1のデータBMDA=4DHにより窓の上側VH3を指定し、第2のデータBMDA=4CHにより窓の下側VL3を指定したとすれば、ウインドウコンパレータ430*はVH3〜VL3という最小範囲の小さな窓を持つことになる。
【0469】
上記ウインドウコンパレータの窓の範囲を、たとえば図20のしきい値Vr0〜Vr6の属する範囲U0/L0〜U6/L6に対応させれば、図9のシングルコンパレータ430と同様に、図35のウインドウコンパレータ430*により、レーザパワー検知を行なうことが可能になる。
【0470】
このレーザパワー検知用のウインドウコンパレータ窓範囲の選択が、上記DASC0ー0A=”0”およびDASC1ー1A=”0”によりなされる。
【0471】
図33、図54または図34の主制御部51のCPUは、最初は、所定の初期比較基準値(コンパレータCMP1の初期の上側しきい値WINTHHとコンパレータCMP2の初期の下側しきい値WINTHL)を暫定的に指定するデジタルデータ(BMDA)を、DAC回路434*のD/A変換器DA1およびDA2に与える。
【0472】
この暫定的な比較基準値(初期のウインドウ上下しきい値)WINTHHおよびWINTHLとしては、たとえば図39のVH1(高いしきい値)およびVL1(低いしきい値)に対応する値を、採用できる(ウインドウコンパレータ430*の窓が広い状態)。これらWINTHHおよびWINTHLに対応する値のデジタルデータBMDAは、主制御部51のCPUにより与えられる。
【0473】
ウインドウコンパレータ430*のコンパレータCMP1は、WINTHH=VH1と積分出力Voとを比較し、Vo>WINTHHなら”0”レベルの比較結果WULをフリップフロップ回路432*のD型フリップフロップFF1のD入力端に与える。
【0474】
この場合、VH1>VL1でありVo>WINTHLであるから、ウインドウコンパレータ430*のコンパレータCMP2は、”1”レベルの比較結果WLLをフリップフロップ回路432*のD型フリップフロップFF2のD入力端に与える。
【0475】
FF1およびFF2は図33のセンサSAからの信号エッジで最初にクリアされ、そのすぐ後に現れるセンサSKまたはSMからの信号エッジでラッチされ、WUL=”0”およびWLL=”1”を記憶する(この記憶内容は、レーザビームが検知部38のセンサパターン上を通過したあと、次にレーザビームがセンサパターン入ってくるまで保持される)。
【0476】
FF1およびFF2に記憶されたWUL=”0”およびWLL=”1”は、それぞれ、インバータINV1およびINV2によりレベル反転され、出力(デジタルビット)D432H=”1”およびD432L=”0”となって、主制御部51のCPUに返される。この時点では、ウインドウコンパレータ430*の窓の広さ(上下しきい値)は変更されず、そのときのしきい値で、時々刻々とレベル変化する積分出力Voとの比較が反復実行される。
【0477】
一方、Vo<WINTHLなら、コンパレータCMP2は、”0”レベルの比較結果WLLをFF2のD入力端に与える。この場合、VH1>VL1でありVo<WINTHHであるから、コンパレータCMP1は、”1”レベルの比較結果WULをFF1のD入力端に与える。
【0478】
FF1およびFF2はセンサSAからの信号エッジで最初にクリアされ、そのすぐ後に現れるセンサSKまたはSMからの信号エッジでラッチされ、WUL=”1”およびWLL=”0”を記憶する(この記憶内容は、レーザビームがセンサパターン上をレーザビームが通過あと、次にレーザビームがセンサパターン入ってくるまで保持される)。
【0479】
FF1およびFF2に記憶されたWUL=”1”およびWLL=”0”は、それぞれ、インバータINV1およびINV2によりレベル反転され、出力D432H=”0”およびD432L=”1”となって、主制御部51のCPUに返される。この時点では、ウインドウコンパレータ430*の窓の広さ(上下しきい値)は変更されず、そのときのしきい値で、時々刻々とレベル変化する積分出力Voとの比較が反復実行される。
【0480】
上記比較の反復実行の結果、WINTHH>Vo>WINTHLとなれば、コンパレータCMP1は”1”レベルの比較結果WULをFF1のD入力端に与え、同時に、コンパレータCMP2は”1”レベルの比較結果WLLをFF2のD入力端に与える。
【0481】
FF1およびFF2はセンサSAからの信号エッジで最初にクリアされ、そのすぐ後に現れるセンサSKまたはSMからの信号エッジでラッチされ、WUL=”1”およびWLL=”1”を記憶する(この記憶内容は、レーザビームがセンサパターン上をレーザビームが通過あと、次にレーザビームがセンサパターン入ってくるまで保持される)。
【0482】
FF1およびFF2に記憶されたWUL=”1”およびWLL=”1”は、それぞれ、インバータINV1およびINV2によりレベル反転され、出力D432H=”0”およびD432L=”0”となって、主制御部51のCPUに返される。CPUは、このD432H=”0”およびD432L=”0”により、ウインドウコンパレータ430*のその時点での窓の範囲(図39のVH1〜VL1)内に積分出力Voが入ったと判定する。
【0483】
主制御部51のCPUは、上記D432H=”0”およびD432L=”0”(ウインドウコンパレータ430*での比較結果を表すデータ;積分出力Voがウインドウコンパレータ430*の窓の範囲に入ったことを示すデータ)に基づき、新たなしきい値データBMDAを作成する。
【0484】
たとえば、CPUは図39のしきい値VH2およびVL2に対応するデータBMDAを作成し、それをDAC回路434*のD/A変換器DA1およびDA2に与える。
【0485】
D/A変換器DA1はDAC1選択信号がCPUから与えられるとVH2に対応するデータBMDAをD/A変換して、新たな比較基準値(ウインドウコンパレータの窓の上側しきい値)WINTHHを、コンパレータCMP1にフィードバックする。
【0486】
同様に、D/A変換器DA2はDAC2選択信号がCPUから与えられるとVL2に対応するデータBMDAをD/A変換して、新たな比較基準値(ウインドウコンパレータの窓の下側しきい値)WINTHLを、コンパレータCMP2にフィードバックする。
【0487】
こうしてウインドウコンパレータ430*の窓が以前(VH1〜VL1)より狭くなる(VH2〜VL2)。主制御部51のCPUは、この狭くなった窓を用いて、D432H=”0”およびD432L=”0”となるような積分出力Voが得られるまで待つ。
【0488】
狭くなった窓を用いて、D432H=”0”およびD432L=”0”が得られれば、再び新たなしきい値(図39のVH2/VL2)を設定して対応する比較基準値WINTHH/WINTHLをウインドウコンパレータ430*にフィードバックする。
【0489】
以上の動作を、最終しきい値(図39のVH4/VL4)においてD432H=”0”およびD432L=”0”が得られるまで反復する。
【0490】
最終しきい値(図39のVH4/VL4)においてD432H=”0”およびD432L=”0”が得られれば、そのときの積分出力Voが図39の目標エリアA4に入った(つまりレーザビームがセンサパターンSJとSIの間の位置を通過している)と判定でき、そのレーザビームについてのビーム位置制御を完了できる。別のレーザビームについてのビーム位置制御も、同様に、図35のウインドウコンパレータを利用して行なうことができる。
【0491】
以上のようにして得られたウインドウコンパレータの比較基準値(コンパレータCMP1/CMP2のしきい値)WINTHH/WINTHLに対応するデジタル値BDMA(図45を例にとれば4DHと4CH)は、ウインドウコンパレータ430*に入力されたアナログ積分出力Voに対応するデジタル値(A/D処理結果と解釈する)となる。
【0492】
上述した図35の回路動作の特徴を別の視点からみると、「アナログ入力Voが与えられると、WINTHH>Vo>WINTHL(またはWINTHH≒Vo≒WINTHL)となるように比較基準値(しきい値)WINTHH/WINTHLに対応するデータBDMAをコントロールするデジタル帰還ループ」であるともいえる。
【0493】
この帰還ループの収束目標は、積分出力Voのアナログ値であり、WINTHH≒Vo≒WINTHLに収束したときのしきい値WINTHH/WINTHLに対応するデジタル値(BMDA相当)が、アナログ入力Voに対するA/D処理出力となる。
【0494】
なお、後述するレーザビーム光の位置制御あるいはビーム光量(パワー)制御においては、積分出力Voに対応する値に収束したデジタル値が得られる以前の比較結果WUL/WLL(またはD432H/D432L)が制御に利用されており、このような制御動作状態においては図35の構成は通常の意味でのA/D変換器と機能上同一視はできない。
【0495】
ところで、図35ウインドウコンパレータ430*で最初に比較動作を行うときは、実際の積分出力Voが直ぐにウインドウコンパレータの窓の範囲に入ってくるよう、ウインドウコンパレータの窓が広くなるデータBMDAが選ばれている。しかし、この場合は、最終的なA/D処理結果が求まるまでの上記WINTHH/WINTHLのフィードバックループの処理回数も相対的に多くなる。
【0496】
しかし、一旦積分出力Voに対応した比較基準値WINTHH/WINTHLのデジタルデータBMDAが求まったあとは、そのデータは主制御部51のCPUが覚えている。最初のA/D処理後にわずかに変化した積分出力Voと既に覚えている比較基WINTHH/WINTHL相当のデジタルデータBMDAとの食い違いは、2回目以降のA/D処理時では初めから小さいので、2回目以降のA/D処理結果が最終に求まるまでの上記帰還ループ回数は少なくなることが期待できる。このことは、反復されるA/D処理動作のうち2回目以降のA/D処理速度が実質的に高速化され得ることを意味する。
【0497】
ついでに付記しておくと、図35の回路構成では、A/D処理の回路動作はコンパレータCMP1/CMP2とフリップフロップFF1/FF2とインバータINV1/INV2で行われるが、これらのデバイスはいずれも安価でありながら高速動作(遅くても数10ナノ秒オーダ)が可能である。そのため、図35の回路のA/D処理動作は、十分に高速印字について行ける。
【0498】
図39は、図33の検知器38または図33のセンサ380を通過するレーザビーム位置と、これに対応する積分出力、および図35のウインドウコンパレータのしきい値との関係を説明する図である。
【0499】
図39において、左右方向がセンサ上下方向(副走査方向)であり、レーザビームは図中縦方向に通過する。
【0500】
ビームがセンサパターンSJおよびSIの丁度中間(ウインドウコンパレータ430*の一番狭い窓の範囲内)を通過するときは、図39に例示するように、センサパターンSJおよびSIの差分に対応した積分出力Voはゼロとなる。この中間位置よりもビーム通過位置がセンサパターンSI側に相対的にずれれば積分出力Voは減少側に変化し、中間位置よりもビーム通過位置がセンサパターンSJ側に相対的にずれれば積分出力Voは増加側に変化する。
【0501】
すなわち、センサパターンSJおよびSIの積分出力Voは、ビーム位置の変化に応じて変化する。この変化は他のセンサパターンSF〜SIのペアについても同様である。したがって、積分出力Voの電圧変化を捉えれば、センサパターンSF〜SJに対するビーム通過位置の相対的な変化を捉えることができる。
【0502】
いま、範囲が変化するウインドウコンパレータ430*の窓を4ペアのウインドウしきい値VH1/VL1〜VH4/VL4で代表させてみる。この場合、しきい値ペアVH1/VL1〜VH4/VL4の順に範囲が徐々に狭まる4つの窓のうち、Voが入り込んでいる一番狭い窓がどれかを検知することにより、ビーム通過位置を推定できる。
【0503】
たとえば図35の回路構成において、A/D処理動作終了時に得られた比較基準値(ウインドウコンパレータ430*のしきい値ペアWINTHH/WINTHL)のデータBMDAが図39のVH4/VL4に相当する値であれば、主制御部51のCPUは、レーザビームがセンサパターンSIとセンサパターンSJの中間(図39のエリアA4)を通過したであろうことを知ることができる。
【0504】
以下、図40〜図43を用いて、図35のウインドウコンパレータ430*を利用したビーム光通過位置制御(副走査方向のビーム位置制御)について説明する。
【0505】
図40において、まず、特定のレーザビーム光a(第1のレーザ31aからのレーザビーム)が、図33の検知器38(図3のセンサ380)の面上で上方向(図39のセンサパターンSJ側の、エリアA1U付近)を通過するように、ガルバノミラー33aに指示値を与える(ステップST100)。
【0506】
次に図33のポリゴンモータドライバ37に指示を出してポリゴンモータ36を起動し、ポリゴンミラー35を所定の回転数で回転させる。
【0507】
ポリゴンミラー35のが所定の回転数で高速回転するようになったら、ビーム光a(第1のレーザ31a)用のレーザ発振器を所定のパワーで強制発光させる(ステップST102;この部分は図14のステップST402と同様)。そして、ビーム光aをポリゴンミラー35側に放射させる。これにより、所定パワーのレーザビームaが、図2のビーム光位置検知器38(図3のセンサ380)上および感光体ドラム15上を、所定の速度で通過するようになる。
【0508】
続いて、図41の処理において、図35のDAC回路434*に所定のデータBMDA(たとえばヘキサデシマル表示でB3H)を与え、ウインドウコンパレータ430*の比較基準値WINTHH/WINTHL(窓の範囲を規定するウインドウコンパレータのしきい値ペア)を、たとえば以下のように設定する(ステップST104)。
【0509】
WINTHH→VH1(V)=B2H
WINTHL→VL1(V)=4CH
上記VH1/VL1を図39に対応させれば、このときのウインドウコンパレータ430*の窓の広さは、積分出力Voの変化のピーク〜ピーク間(エリアA1UからエリアA1Lまで)をカバーする広いものとなっている。
【0510】
しかし、ステップST100での最初の指示値は、レーザビームaがウインドウコンパレータ430*の窓範囲の端部付近(図39のエリアA1U付近)を通過するような指示値になっている。
【0511】
このときに図35のウインドウコンパレータ430*から得られる比較結果(WUL/WLL)は、たとえば、図36のVo>WINTHHに対応する内容となる。
【0512】
図33の主制御部51のCPUは、上記Vo>WINTHHのときに得られる比較結果(WUL/WLL)に対応したフリップフロップ回路432*の出力(デジタルビットD432H/D432L)から、レーザビームaがウインドウコンパレータ430*の窓範囲の端部付近(センサSJ上)を通過することを知ることができる。
【0513】
図41の処理において、レーザビームaがウインドウコンパレータ430*の窓範囲の端部付近(センサSJ上)を通過することを知ったCPUは、センサ380上におけるビームaの通過位置がX0(μm)だけ下(センサパターンSI側)にシフトするように、ガルバノミラー33aを微動させる(ステップST106)。
【0514】
このX0は、ガルバノミラー33aの1ステップ移動量であり、図39のA1Uエリアを飛び越えない程度の微少量に設定される。具体的には、X0はA1Uの幅よりも小さい値、たとえば30μm程度に設定される。
【0515】
次に、CPUは、ウインドウコンパレータ430*からの出力(WUL/WLLに対応するD432H/D432L)を読み込む(ステップST108)。
【0516】
なお、主制御部51のCPUは直接的にはフリップフロップ回路432*からの出力D432H/D432Lを取り込むのだが、この出力はウインドウコンパレータ430*の比較結果WUL/WLLと1:1に対応(論理レベルは逆)しているので、以下ではウインドウコンパレータ430*の比較結果WUL/WLLを用いて説明を続ける。
【0517】
ウインドウコンパレータ430*の比較結果が、レーザビームaがエリアA1U内でない(設定された窓の範囲の上側)ことを示すWUL=”1”/WLL=”1”またはWUL=”1”/WLL=”0”であれば(ステップST110ノー)、レーザビームaが設定された窓の範囲内を通過したことを示すWUL=”1”/WLL=”1”であるかどうかチェックされる(ステップST112)。
【0518】
レーザビームaが設定された窓の範囲内を通過したことを示すWUL=”1”/WLL=”1”であれば(ステップST112イエス)、ステップST106に戻って、レーザビームaの通過位置がさらにX0≒30μm下がるようにガルバノミラー33aが制御される。
【0519】
ここで、ステップST112でレーザビームaが窓の範囲内を通過していない(WUL=”1”/WLL=”1”でない)と判定され(ステップST112ノー)、さらに設定された窓の範囲の下側でもない(WUL=”1”/WLL=”0”でない)と判定されたときは(ステップST114ノー)、その前のステップST110での判定(WUL=”0”/WLL=”1”でない)と矛盾するので、エラーとなり、図41の処理は終了または中断する。
【0520】
ステップST114において、もし、レーザビームaが設定された窓の範囲の下側を通過した(WUL=”1”/WLL=”0”)と判定されたときは(ステップST114イエス)、CPUは、レーザビームaの通過位置が現状からX1≒10μm上がるようにガルバノミラー33aを制御する(ステップST116)。
【0521】
一方、ステップST110において、レーザビームaが設定された窓の範囲の上側を通過した(WUL=”0”/WLL=”1”)と判定されたときは(ステップST110イエス)、CPUは、レーザビームaの通過位置が現状からX1≒10μm下がるようにガルバノミラー33aを制御する(ステップST118)。
【0522】
ウインドウコンパレータ430*の窓の範囲WINTHH/WINTHLを前述のように設定して図41の処理(ステップST106〜ST118)を反復実行することで、レーザビームaが図39のA1Uエリア内(またはA1Lエリア内)を通過するようになる。
【0523】
次に、CPUは、ウインドウコンパレータ430*からの出力(WUL/WLLに対応するデータ)を読み込む(ステップST120)。
【0524】
このときのウインドウコンパレータ430*のしきい値はまだ変更されておらず、
WINTHH→VH1(V)=B2H
WINTHL→VL1(V)=4CH
となっている。ウインドウコンパレータ430*は上記しきい値VH1/VL1を用いて、レーザビームaの通過位置に対応した積分出力Voとの比較動作を実行する。
【0525】
ウインドウコンパレータ430*の比較結果が、レーザビームaがエリアAI内でない(設定された窓の範囲外)ことを示すWUL=”0”/WLL=”1”、WUL=”1”/WLL=”0”またはWUL=”0”/WLL=”0”であれば(ステップST122ノー)、レーザビームaが設定された窓の範囲外の何処を通過したかチェックされる(ステップST124、ST128)。
【0526】
すなわち、レーザビームaが設定された窓の上側を通過したことを示すWUL=”0”/WLL=”1”であれば(ステップST124イエス)、レーザビームaの通過位置がさらにX1≒10μm下がるようにガルバノミラー33aが制御される(ステップST126)。
【0527】
ステップST124でレーザビームaが窓の上側を通過していない(WUL=”0”/WLL=”1”でない)と判定され(ステップST124ノー)、さらに設定された窓の下側を通過してもいない(WUL=”1”/WLL=”0”でない)と判定されたときは(ステップST128ノー)、その前のステップST122での判定(WUL=”1”/WLL=”1”でない)と矛盾するので、エラーとなり、図41の処理は終了または中断する。
【0528】
ステップST128において、レーザビームaが設定された窓の範囲の下側を通過した(WUL=”1”/WLL=”0”)と判定されたときは(ステップST128イエス)、CPUは、レーザビームaの通過位置が現状からX1≒10μm上がるようにガルバノミラー33aを制御する(ステップST130)。
【0529】
ウインドウコンパレータ430*の窓の範囲WINTHH/WINTHLを上述のように設定して図41の処理(ステップST120〜ST130)を反復実行することで、レーザビームaが図39のA1エリア内を通過するようになる。
【0530】
ここで、レーザビーム通過エリアとウインドウコンパレータ出力との関係は、以下のようになっている:
A1U内 :[WUL、WLL]=[0、1]
A1L内 :[WUL、WLL]=[1、0]
A1内 :[WUL、WLL]=[1、1]
A1、A1U、A1L外:[WUL、WLL]=[1、1]
以上の動作をまとめると、次のようになる。
【0531】
すなわち、図41のステップST106〜ST114の処理において、ビーム通過位置がエリアA1U内と判定された場合には(ST110イエス)、ガルバノミラー33aに指示値を与えビームaをX1(μm)下方向に移動させて(ST118)、次のステップST120に移行する。
【0532】
また、ビーム通過位置がエリアA1L内の場合には(ST114イエス)、ガルバノミラー22aに指示値を与え、ビームaをX1(μm)上方向に移動させて(ST116)、次のステップST120に移行する。
【0533】
ここで、単位移動量X1は、図39のA1エリアより小さい値に選ばれる。この例ではX1≒10μmとしている。
【0534】
一方、ビーム通過位置が上記以外(A1内、またはA1、A1U、A1L外)の場合には(ステップST110ノー;ステップST112ノー)、ガルバノミラー33aに指示値を与え、ビームaの通過位置が現状からさらにX0(μm)下方向になるようビームを移動させ、A1UまたはA1L内をビームが通過するようになるまで、以上の動作を繰り返す。
【0535】
ちなみに、上記以外の場合、すなわち、A1U内でなく、A1L内でなく、A1内でなく、A1、A1U、A1L外でもない場合(つまりあり得ないビーム通過状態の場合)、CPUは、このことを、ウインドウコンパレータ430*出力[WUL=”0”、WLL=”0”]あるいはフリップフロップ回路432*出力[D432H=”1”、D432L=”1”]により検知できる。この場合は、CPUはエラーフラグを立て、制御を中断または停止する。
【0536】
図41のステップST122において、レーザビームaが設定された窓の範囲内(図39のA1エリア内)を通過した(WUL=”1”/WLL=”1”)と判定されたときは(ステップST122イエス)、図42の処理に移る。
【0537】
レーザビームaがエリアA1内を通過したことが検知された場合には、図33の制御部51のCPUは、図42の処理において、ウインドウコンパレータ430*のしきい値の指示データBMDAを変更して(ステップST132)、ウインドウコンパレータの「窓」を、図39のVH1〜VL1(エリアA1)からVH2〜VL2(エリアA2)に狭くする。
【0538】
すなわち、図39のA2エリア内を目標とするビーム位置制御の場合では、図35のウインドウコンパレータ430*のしきい値および位置修正移動量は、たとえば以下のように設定される:
WINTHH→VH2(V)=99H
WINTHL→VL2(V)=66H
移動量 →X2(μm)≒3μm(エリアA2より小さな値)
制御部51のCPUは、ウインドウコンパレータ430*の窓の広さを規定するしきい値WINTHH/WINTHLを上記VH2/VL2に変更してから(ステップST132)、ウインドウコンパレータ430*における積分出力Voとしきい値WINTHH/WINTHLとの比較結果(WUL/WLL)を読み込む(ステップST134)。
【0539】
ウインドウコンパレータ430*の比較結果が、レーザビームaがエリアA2内でない(設定された窓の範囲外)ことを示すWUL=”0”/WLL=”1”、WUL=”1”/WLL=”0”またはWUL=”0”/WLL=”0”であれば(ステップST136ノー)、レーザビームaが設定された窓の範囲外の何処を通過したかチェックされる(ステップST138、ST142)。
【0540】
すなわち、レーザビームaが設定された窓の上側を通過したことを示すWUL=”0”/WLL=”1”であれば(ステップST138イエス)、レーザビームaの通過位置がさらにX2≒3μm下がるようにガルバノミラー33aが制御される(ステップST140)。
【0541】
ステップST138でレーザビームaが窓の上側を通過していない(WUL=”0”/WLL=”1”でない)と判定され(ステップST138ノー)、さらに設定された窓の下側を通過してもいない(WUL=”1”/WLL=”0”でない)と判定されたときは(ステップST142ノー)、その前のステップST136での判定(WUL=”1”/WLL=”1”でない)と矛盾するので、エラーとなり、図42の処理は終了または中断する。
【0542】
ステップST142において、レーザビームaが設定された窓の範囲の下側を通過した(WUL=”1”/WLL=”0”)と判定されたときは(ステップST142イエス)、CPUは、レーザビームaの通過位置が現状からX2≒3μm上がるようにガルバノミラー33aを制御する(ステップST144)。
【0543】
ウインドウコンパレータ430*の窓の範囲WINTHH/WINTHLを上述のように設定して図42の処理(ステップST134〜ST144)を反復実行することで、レーザビームaが図39のA2エリア内を通過するようになる。
【0544】
図42の処理において、レーザビームaがエリアA2内を通過したことが検知された場合には(ステップST136イエス)、ウインドウコンパレータ430*のしきい値の指示データBMDAが変更され(ステップST146)、ウインドウコンパレータの「窓」が、図39のVH2〜VL2(エリアA2)からVH3〜VL3(エリアA3)に狭くなる。
【0545】
図39のA3エリア内を目標とするビーム位置制御の場合では、図35のウインドウコンパレータ430*のしきい値および位置修正移動量は、たとえば以下のように変更される:
WINTHH→VH3(V)=8FH
WINTHL→VL3(V)=70H
移動量 →X3(μm)≒1μm(エリアA3より小さな値)
制御部51のCPUは、ウインドウコンパレータ430*の窓の広さを規定するしきい値WINTHH/WINTHLを上記VH3/VL3に変更してから(ステップST146)、ウインドウコンパレータ430*における積分出力Voとしきい値WINTHH/WINTHLとの比較結果(WUL/WLL)を読み込む(ステップST148)。
【0546】
ウインドウコンパレータ430*の比較結果が、レーザビームaがエリアA3内でない(設定された窓の範囲外)ことを示すWUL=”0”/WLL=”1”、WUL=”1”/WLL=”0”またはWUL=”0”/WLL=”0”であれば(ステップST150ノー)、レーザビームaが設定された窓の範囲外の何処を通過したかチェックされる(ステップST152、ST156)。
【0547】
すなわち、レーザビームaが設定された窓の上側を通過したことを示すWUL=”0”/WLL=”1”であれば(ステップST152イエス)、レーザビームaの通過位置がさらにX3≒1μm下がるようにガルバノミラー33aが制御される(ステップST154)。
【0548】
ステップST152でレーザビームaが窓の上側を通過していない(WUL=”0”/WLL=”1”でない)と判定され(ステップST152ノー)、さらに設定された窓の下側を通過してもいない(WUL=”1”/WLL=”0”でない)と判定されたときは(ステップST156ノー)、その前のステップST150での判定(WUL=”1”/WLL=”1”でない)と矛盾するので、エラーとなり、図42の処理は終了または中断する。
【0549】
ステップST156において、レーザビームaが設定された窓の範囲の下側を通過した(WUL=”1”/WLL=”0”)と判定されたときは(ステップST156イエス)、CPUは、レーザビームaの通過位置が現状からX3≒1μm上がるようにガルバノミラー33aを制御する(ステップST158)。
【0550】
ウインドウコンパレータ430*の窓の範囲WINTHH/WINTHLを上述のように設定して図42の処理(ステップST148〜ST158)を反復実行することで、レーザビームaが図39のA3エリア内を通過するようになる。
【0551】
図42のステップST150において、レーザビームaが設定された窓の範囲内(図39のA3エリア内)を通過した(WUL=”1”/WLL=”1”)と判定されたときは(ステップST150イエス)、図43の処理に移る。
【0552】
レーザビームaがエリアA3内を通過したことが検知された場合には、図33の制御部51のCPUは、図43の処理において、ウインドウコンパレータ430*のしきい値の指示データBMDAを変更して(ステップST160)、ウインドウコンパレータの「窓」を、図39のVH3〜VL3(エリアA3)からVH4〜VL4(エリアA4)に狭くする。
【0553】
すなわち、図39のA4エリア内を目標とするビーム位置制御の場合では、図35のウインドウコンパレータ430*のしきい値および位置修正移動量は、たとえば以下のように変更される:
WINTHH→VH4(V)=85H
WINTHL→VL4(V)=7AH
移動量 →X4(μm)≒0.1μm(エリアA4より小さな値)制御部51のCPUは、ウインドウコンパレータ430*の窓の広さを規定するしきい値WINTHH/WINTHLを上記VH4/VL4に変更してから(ステップST160)、ウインドウコンパレータ430*における積分出力Voとしきい値WINTHH/WINTHLとの比較結果(WUL/WLL)を読み込む(ステップST162)。
【0554】
ウインドウコンパレータ430*の比較結果が、レーザビームaがエリアA4内でない(設定された窓の範囲外)ことを示すWUL=”0”/WLL=”1”、WUL=”1”/WLL=”0”またはWUL=”0”/WLL=”0”であれば(ステップST164ノー)、レーザビームaが設定された窓の範囲外の何処を通過したかチェックされる(ステップST166、ST170)。
【0555】
すなわち、レーザビームaが設定された窓の上側を通過したことを示すWUL=”0”/WLL=”1”であれば(ステップST166イエス)、レーザビームaの通過位置がさらにX4≒0.1μm下がるようにガルバノミラー33aが制御される(ステップST168)。
【0556】
ステップST166でレーザビームaが窓の上側を通過していない(WUL=”0”/WLL=”1”でない)と判定され(ステップST166ノー)、さらに設定された窓の下側を通過してもいない(WUL=”1”/WLL=”0”でない)と判定されたときは(ステップST170ノー)、その前のステップST164での判定(WUL=”1”/WLL=”1”でない)と矛盾するので、エラーとなり、図43の処理は終了または中断する。
【0557】
ステップST170において、レーザビームaが設定された窓の範囲の下側を通過した(WUL=”1”/WLL=”0”)と判定されたときは(ステップST170イエス)、CPUは、レーザビームaの通過位置が現状からX4≒0.1μm上がるようにガルバノミラー33aを制御する(ステップST172)。
【0558】
ウインドウコンパレータ430*の窓の範囲WINTHH/WINTHLを上述のように設定して図43の処理(ステップST162〜ST172)を反復実行することで、レーザビームaが、最終目標である、図39のA4エリア内を通過するようになる。
【0559】
以上の制御動作によりレーザビームaが所定の位置(図39のA4エリア内)を通過するようになれば、ウインドウコンパレータ430*に設定するしきい値WINTHH/WINTHLを適宜変更して、残りのレーザビームに対するビーム通過位置制御が、同様に行なわれる。
【0560】
これにより、図33の装置で画像形成に用いられる4本のレーザビームa〜dそれぞれのビーム間隔が、図3のセンサ380のパターンSF〜SJのパターン間隔に対応した所望のピッチに制御される。
【0561】
以上述べた図40〜図43の動作を簡単にまとめると、次のようになる。すなわち、初めに、十分大きな窓が開くように、ウインドウコンパレータ430*のしきい値を設定する。そして、レーザビームがウインドウコンパレータの窓内を通過することを検知する毎に、窓が段々狭くなるようにウインドウコンパレータのしきい値を変更しながら、ビームが通過するセンサ面上のエリアを、A2、A3、…と順に狭めて行く。このような動作を反復することによって、最終目標エリアであるA4エリア内をビームが通過するように、ビーム位置が自動的に調整される。
【0562】
以上説明したこの発明の実施の形態によれば、マルチビーム光学系を使用した画像形成装置において、ビーム通過位置検知部およびビーム通過位置制御にウインドウコンパレータを利用することによって、ビームピッチ誤差の少ない高画質な画像を得ることができる。
【0563】
図44は、レーザパワーの検知特性(PH/PL)とウインドウコンパレータの比較基準値(上下のしきい値VH/VL)との対応関係を例示する図である。
【0564】
ここでは、レーザパワー検知を行なう場合、対応する積分出力Voは、所定の基準電圧(たとえばVref=2.5V)を基準として上側にしか出力されないようになっている。そこで、図35のウインドウコンパレータ430*を利用してレーザパワー検知を行なう場合には、ウインドウコンパレータ430*のしきい値も基準電圧より上側で設定することになる。
【0565】
すなわち、パワー検知部にウインドウコンパレータ430*が利用される場合、パワー検知部は、図44に例示するような特性となるように調整される。ここで具体的な数値を例示すれば、パワー検知部は、たとえば300μWのレーザビームを所定の速度で走査させたときに、積分出力Voが3.5Vとなるように、予め調整される。
【0566】
図44の例では、しきい値VB0が基準電圧(Vref=2.5V)に相当し、しきい値VT0が+5Vに相当する。ここではレーザパワーを最終的にPL3(μW)からPH3(μW)の間に制御する際の、しきい値の設定変化の様子が示されている。
【0567】
レーザパワーをPL3(μW)からPH3(μW)の間に制御する場合には、ウインドウコンパレータ430*のしきい値を、ウインドウコンパレータの窓が徐々に狭くなるように、[VH0/VL0]→[VH1/VL1]→[VH2/VL2]→[VH3/VL3]と順に設定して行く。そして、レーザパワー(レーザ光量)に対応する積分出力Voが、徐々の狭まるウインドウコンパレータ430*の窓のしきい値間(図35のWINTHH〜WINTHLの間)に入るよう、レーザパワーを調整する。
【0568】
図45は、レーザパワーを図44のしきい値VH3/VL3に対応する値(PL3μW〜PH3μWの範囲内)に制御する場合の、ウインドウコンパレータ430*のしきい値変化の様子を示す図である。
【0569】
ここでは、図45に例示されたしきい値指示データのヘキサデシマル値(VH3=4DH/VL3=4CH;図25の例示とは異なる数値)が、レーザパワー300μWに相当するものと仮定している。
【0570】
なお、図45ではレーザパワー300μWに対応する指示データとしてヘキサデシマル値4DH/4CHが例示されているが、図25の例ではヘキサデシマル値80Hがレーザパワー300μWに対応している。図25と図45は別の例示なので、これは矛盾ではない。
【0571】
図25は要するにレーザパワーの大きさ(μW)をCPU等からの指示データで任意に指定できることを示唆しているのであり、図45はウインドウコンパレータの窓の範囲をCPU等からの指示データで自由に変更できることを示唆している。そして、図45は、ウインドウコンパレータの窓が所定の範囲まで狭まったときのしきい値指示データに対応する値に、レーザパワーを制御できることを、説明するために用意されている。
【0572】
図46は、レーザパワーの制御を、図33および図35の構成(ウインドウコンパレータ430*利用)を利用して行なう場合を説明するフローチャートである。
【0573】
以下、図44〜図46を参照しながら、制御用パワー制御について説明する。この制御では、レーザパワーがセンサ面上で300μWとなるようにレーザ光量を調整することを想定している。すなわち、ウインドウコンパレータ430*のしきい値をVH3およびVL3に設定したときのウインドウコンパレータの出力が、[WUL、WLL]=[1、1]となるようにレーザの指示値を変更して、レーザパワーを所望値(300μW)に調整する。図44ではPL3<300μW<PH3となっている。
【0574】
図46において、まず、所望のレーザを所定の値(指示値)で発光させる(ステップST200)。たとえば、第1レーザ31aのレーザドライバ32aに所定の指示値を設定し、センサ面上で約300μWとなるよう発光させる。
【0575】
図33の装置のレーザは、工場出荷時に、所定の指示値で300μWの発光を行うよう予め調整されている。しかし、時間の経過に従って光学ユニット13内の塵や埃などによりポリゴンミラー35のレーザ反射面が汚れると、検知器38のセンサ面上に照射されるレーザパワーが弱くなり、所望のセンサ出力が得られなくなる。このため、たとえ工場出荷時にレーザパワーが300μWの発光を行うよう予め調整されていたとしても、このパワー制御が必要になる。
【0576】
次に、ウインドウコンパレータ430*のしきい値を以下のように設定(ステップST202)する。そして、設定されたしきい値とそのときの積分出力Voとを比較し、比較結果として、ウインドウコンパレータ430*の出力を読み込む(ステップST204)。
【0577】
WINTHH→VH0(V)=5AH
WINTHL→VL0(V)=3FH
このとき、図45の領域とパワーとウインドウコンパレータ430*での比較結果の関係は、次のいずれかになる:
領域U0:379〜750μW:[WUL、WLL]=[0、1]
領域W0:221〜379μW:[WUL、WLL]=[1、1]
領域L0: 0〜221μW:[WUL、WLL]=[1、0]
ウインドウコンパレータ430*の出力が[1、1]でない場合は、そのときの積分出力Voがウインドウ(=ウインドウコンパレータ430*の検知窓)の範囲外にあることになる(ステップST206ノー)。
【0578】
ウインドウコンパレータの出力が[0、1]の場合(ステップST208イエス;ウインドウよりも上)には、レーザパワーが大きすぎるということなので、レーザドライバの指示値を下げてレーザパワーを小さくし(ステップST210)、再度判定を行なう(ステップST204、ST206)。
【0579】
ウインドウコンパレータの出力が[1、0]の場合(ステップST208ノー、ステップST212イエス;所望のウインドウよりも下)には、レーザパワーが小さすぎるということなので、レーザドライバの指示値を上げてレーザパワーを大きくし(ステップST214)、再度判定を行なう(ステップST204、ST206)。
【0580】
なお、積分出力Voがウインドウ外であり(ステップST206のー)、ウインドウの上でなく(ステップST208ノー)、ウインドウの下でもない(ステップST212ノー)ときは、積分出力Voの属する領域が存在しないことになるので、エラーとなり、図46の制御ルーチンは中断あるいは終了する。
【0581】
以上の工程(ステップST210、ST214)でのレーザパワーの増減量は、図45の領域U0、W0、L0の中で最小の領域よりも小さな値とする。上記例では領域W0(221μWから379μWまでの158μW)が最小なので、レーザパワーの増減量は、その半分程度の80μWとする。
【0582】
以上の処理(ST204〜ST214)は、ウインドウコンパレータ430*の出力が[1、1]となるまで、つまり積分出力Voがウインドウコンパレータ430*のそのときの窓の範囲(図45のW0)内に入ってくるまで、反復される。
【0583】
ウインドウコンパレータ430*の出力が[1、1]となったら(ステップST206イエス;つまり積分出力Voがウインドウ内に入ったら)、新たに以下のしきい値を設定する(ステップST216)。
【0584】
WINTHH→VH1(V)=51H
WINTHL→VL1(V)=48H
このときの領域とパワーとの関係は、次のようになる:
領域U1:326〜379μW:[WUL、WLL]=[0、1]
領域W1:274〜326μW:[WUL、WLL]=[1、1]
領域L1:221〜274μW:[WUL、WLL]=[1、0]
続いて、現在ウインドウコンパレータ430*で比較に使用されているしきい値(VH1/VL1)が最も狭い窓(ウインドウ)に該当する値になっているかどうかチェックされる(ステップST218)。
【0585】
現在のしきい値(VH1/VL1)が最も狭い窓に該当しないときは(ステップST218ノー;しきい値が図45のVH3/VL3でない)、ステップST204に戻り、現在のしきい値(VH1/VL1)に基づいて、積分出力Voが所望のウインドウ(図45のW1)内に入ってくるまで(ステップST206イエス)、前述した工程(ST204〜ST214)が反復されて、レーザパワーが調整される。
【0586】
この反復工程中(ST210、ST214)でのレーザパワー増減量は、図45の領域U1、W1、L1のうち最小のもの(領域W1の52μW)のおよそ半分である25μW程度とする。
【0587】
以下、現在ウインドウコンパレータ430*で比較に使用されているしきい値が最も狭い窓(ウインドウ)に該当する値になっているかどうかチェックしながら(ステップST218)、積分出力Voが目標のしきい値内に入るまで、以下のようにしきい値を変更しながら、上述した動作(ST204〜ST218)を繰り返す。
【0588】
WINTHH→VH2(V)=4EH
WINTHL→VL2(V)=4BH
このときの領域とパワーとの関係は、次の通り:
領域U2:309〜326μW:[WUL、WLL]=[0、1]
領域W2:291〜309μW:[WUL、WLL]=[1、1]
領域L2:274〜291μW:[WUL、WLL]=[1、0]
ここでは、図45の領域W2に入るまでレーザパワーを調整する。ここでのレーザパワー増減量は9μW程度とする。
【0589】
WINTHH→VH3(V)=4DH
WINTHL→VL3(V)=4CH
このときの領域とパワーとの関係は、次の通り:
領域U3:303〜309μW:[WUL、WLL]=[0、1]
領域W3:297〜303μW:[WUL、WLL]=[1、1]
領域L3:291〜297μW:[WUL、WLL]=[1、0]
ここでは、図45の領域W3に入るまでレーザパワーを調整する。ここでのレーザパワー増減量は2μW程度とする。
【0590】
そのときのしきい値(VH2/VL2)が最も狭い窓に該当しない間は(ステップST218ノー)、積分出力Voが所望のウインドウ(図45のW3)内に入ってくるまで(ステップST206イエス)、前述した工程(ST204〜ST214)が反復されて、レーザパワーが調整される。
【0591】
積分出力Voが所望のウインドウ(図45のW3)内に入ったと判定され(ステップST206イエス)、そのときのしきい値(VH3/VL3)が最も狭い窓に該当する場合は(ステップST218イエス)、所望のレーザパワーが得られたことになり、図46の処理は終了する。
【0592】
次に、ウインドウコンパレータを利用した画像形成用パワー制御ルーチンについて説明する。このパワー制御の大筋の流れは次のようになる。
【0593】
すなわち、画像形成用パワー制御では、まず、基準となるレーザ(ここでは第1レーザ31a)を所定の指示値で発光させ、そのレーザパワーをセンサ380で測定し、メモリ52に記録する。
【0594】
次に、メモリ52に記録されたセンサ380での測定結果を基準として、その他のレーザ(31b〜31d)のレーザパワーが、基準となるレーザ(31a)の測定結果と一致するように、レーザドライバ(32b〜32d)への指示値を調整する。
【0595】
図47は、ウインドウコンパレータ430*を利用して基準となるレーザビーム(31a)の光量(レーザパワー)を測定し、その測定結果をメモリ52に記録するまでの手順を説明するフローチャートである。
【0596】
また、図48は、レーザビーム31aに対する画像形成用レーザパワーを、所望のしきい値VH3/VL3に対応する値(図44の例でいえば、PL3μW〜PH3μWの範囲内)に制御する場合の、ウインドウコンパレータ430*のしきい値変化の様子を例示している。(なお、図48に例示されるしきい値データのヘキサデシマル値は図45に例示されるしきい値データのヘキサデシマル値と異なっている。ここで重要なのは、しきい値データのヘキサデシマル値自体ではなく、制御の進行に伴いしきい値データのヘキサデシマル値が変化することで、ウインドウコンパレータ430*の窓が徐々に狭まって行く様子を把握することである。)
以下、図48を参照しながら、図47の手順を説明する。
【0597】
まず、図33の出力制御部51のCPUは、ポリゴンモータ36を回転させ、レーザビーム31aがビーム光位置検知器38のパワー検知センサパターンSLのほぼ中央を通過するように、ガルバノミラー33aに指示値を与える。パワー検知センサパターンSLは副走査方向に十分余裕のある形状としてある。このため、パワー制御の際のビーム通過位置には、ビーム通過位置制御(副走査ビーム位置制御)ほどの精度は必要としない。
【0598】
図47の処理において、図33の主制御部51のCPUは、所定の指示データ(図48の例では65Hと4AH)により、図35のウインドウコンパレータ430*(CMP1とCMP2)のしきい値WINTHH/WINTHLをVH0/VL0に設定する(ステップST240)。
【0599】
続いて、CPUは、しきい値VH0/VL0とそのときの積分出力Voとの比較結果であるコンパレータ出力(WUL/WLL)を読み込む(ステップST242)。
【0600】
上記しきい値VH0/VL0(65H/4AH)は、ビーム光量検知部38の検知特性をほぼ3等分(図48では領域を3分割したU0とW0とL0)するように設定されている。つまり、CPUは、コンパレータ出力の内容(WUL/WLLの論理レベルの組み合わせ)によって、第1レーザビーム(31a)のビーム光量(レーザパワー)が3分割された領域(図48のU0とW0とL0)のどこに属するかを判定する(ステップST244)。
【0601】
このときのしきい値と領域とレーザパワーとコンパレータ出力(比較結果)との対応関係は、以下のようになる:
WINTHH→VH0(V)=65H
WINTHL→VL0(V)=4AH
領域U0:315〜750μW:[WUL、WLL]=[0、1]
領域W0:156〜315μW:[WUL、WLL]=[1、1]
領域L0: 0〜156μW:[WUL、WLL]=[1、0]
ステップST244において、VH0/VL0に基づき、レーザパワーが属する領域の判定(U0かW0かL0か)が終了したら、ウインドウコンパレータ430*のしきい値が変更される(ステップST246)。
【0602】
ここで、ウインドウコンパレータ430*のしきい値は、ウインドウコンパレータの窓が徐々に狭くなるように順に変更される。
【0603】
たとえば、現在積分出力Voが属する領域がW0の場合には、VL0〜VH0をほぼ3等分するようなしきい値に変更される(ステップST246)。その後、再度コンパレータの出力を読み込む(ステップST242)。
【0604】
このときのしきい値と領域とレーザパワーとコンパレータ出力(比較結果)との対応関係は、以下のようになる:
WINTHH→VH1(V)=5CH
WINTHL→VL1(V)=53H
領域U1:262〜315μW:[WUL、WLL]=[0、1]
領域W1:209〜262μW:[WUL、WLL]=[1、1]
領域L1:156〜209μW:[WUL、WLL]=[1、0
このときステップST246で設定されたしきい値はウインドウコンパレータ430*の最も狭い窓でない(VH3/VL3でない)ので(ステップST248ノー)、ステップST242〜ST248の処理が反復される。
【0605】
すなわち、新たなしきい値を用いた比較結果であるウインドウコンパレータ430*の出力を読み込み(ステップST242)、領域の判定を行い(ステップST244)、ウインドウコンパレータ430*のしきい値を変更する(ステップST246)。ここで判定された領域がL1の場合は、VL0〜VL1を3等分するようなしきい値に変更する。
【0606】
このときのしきい値と領域とレーザパワーとコンパレータ出力(比較結果)との対応関係は、以下のようになる:
WINTHH→VH2(V)=50H
WINTHL→VL2(V)=4DH
領域U2:191〜209μW:[WUL、WLL]=[0、1]
領域W2:174〜191μW:[WUL、WLL]=[1、1]
領域L2:156〜174μW:[WUL、WLL]=[1、0]
このときステップST246で設定されたしきい値はウインドウコンパレータ430*の最も狭い窓でない(VH3/VL3でない)ので(ステップST248ノー)、ステップST242〜ST248の処理が再び繰り返される。
【0607】
すなわち、新たなしきい値を用いた比較結果であるウインドウコンパレータ430*の出力を読み込み(ステップST242)、領域の判定を行い(ステップST244)、ウインドウコンパレータのしきい値を変更する(ステップST246)。ここで判定された領域がU2の場合は、VL2〜VL1を3等分するようなしきい値に変更する。
【0608】
このときのしきい値と領域とレーザパワーとコンパレータ出力(比較結果)との対応関係は、以下のようになる:
WINTHH→VH3(V)=52H
WINTHL→VL3(V)=51H
領域U3:203〜209μW:[WUL、WLL]=[0、1]
領域W3:197〜203μW:[WUL、WLL]=[1、1]
領域L3:191〜197μW:[WUL、WLL]=[1、0]
続いて、ウインドウコンパレータ430*において、最も狭い窓(VH3/VL3)により積分出力Voの比較が実行される。この比較の結果、たとえばウインドウコンパレータ出力が[WUL、WLL]=[1、1]であれば、積分出力Voは図45の領域W3(ウインドウコンパレータ430*の最も狭い窓)内に入っていると判定される(ステップST244)。
【0609】
このときのしきい値はウインドウコンパレータ430*の最も狭い窓(VH3/VL3)なので(ステップST248イエス)、そのときのしきい値(52H/51H)が、第1レーザ31aのビームパワーを表すデータとして、メモリ52に記録される(ステップST250)。
【0610】
こうして第1レーザ31aのパワー測定が終了すると、記録されたしきい値とウインドウコンパレータ430*の出力を基準として、その他のレーザ(31b〜31d)がこの基準値と等しくなるように、レーザパワーが調整される。
【0611】
この例では、しきい値がVH3=52H、VL3=51Hの時の領域W3が、他のレーザに対するレーザパワー調整の基準となる。
【0612】
図49および図50は、レーザパワーの相対値制御を、図33および図35の構成(ウインドウコンパレータ430*利用)を利用して行なう場合を説明するフローチャートである。
【0613】
この制御では、レーザ31b〜31d各々のレーザパワーが、センサ面上で、基準レーザ31aのレーザパワー(たとえば300μW)と同じになるようにレーザ光量を調整することを目標としている。
【0614】
すなわち、ウインドウコンパレータ430*のしきい値をVH3およびVL3に設定したときのウインドウコンパレータの出力が、[WUL、WLL]=[1、1]となるようにレーザの指示値を変更し、レーザパワーを調整する。
【0615】
ここで、メモリ52に記録されたデータでレーザ31aの光量がセンサ面上で300μWに調整されたとしても、この記録データをそのまま残りのレーザ(31b〜31d)に適用すればそれで目標達成というわけではない、ということに注意すべきである。
【0616】
メモリ52の記録データを利用すれば残りのレーザ(31b〜31d)のセンサ面上でのパワーを300μWに近い値に設定できる可能性は高いが、工場出荷後の長期運転に伴う各レーザの経時変化のばらつきその他を考慮すれば、メモリ52の記録データをそのまま用いたのではマルチビーム間にレーザパワーのばらつきが生じる可能性がある。このため、高画質を望むなら、基準レーザのデータを記録した後さらに、残りのレーザ(31b〜31d)各々について、基準レーザに合わせる個別のレーザパワー制御(基準レーザに対する残りレーザの相対値制御)が必要となる。
【0617】
以下、図48〜図50を参照しながら、図33のメモリ52に記録された基準レーザ(31a)の測定データを利用したレーザパワー制御(相対値制御)について説明する。
【0618】
まず、所望のレーザを所定の値(指示値)で発光させる(ステップST260)。たとえば、第2レーザ31bのレーザドライバ32bに所定の指示値を設定し、
センサ面上で約300μWとなるよう発光させる。
【0619】
次に、ウインドウコンパレータ430*のしきい値を以下のように設定(ステップST262)する。そして、設定されたしきい値とそのときの積分出力Voとを比較し、比較結果として、ウインドウコンパレータ430*の出力を読み込む(ステップST264)。
【0620】
WINTHH→VH0(V)=65H
WINTHL→VL0(V)=4AH
このとき、図48の領域とパワーとウインドウコンパレータ430*での比較結果の関係は、次のいずれかになる:
領域U0:315〜750μW:[WUL、WLL]=[0、1]
領域W0:156〜315μW:[WUL、WLL]=[1、1]
領域L0: 0〜156μW:[WUL、WLL]=[1、0]
ウインドウコンパレータ430*の出力が[1、1]でない場合は、そのときの積分出力Voがウインドウの範囲外にあることになる(ステップST266ノー)。
【0621】
ウインドウコンパレータの出力が[0、1]の場合(ステップST268イエス;ウインドウよりも上)には、レーザパワーが大きすぎるということなので、レーザドライバの指示値を下げてレーザパワーを小さくし(ステップST270)、再度判定を行なう(ステップST264、ST266)。
【0622】
ウインドウコンパレータの出力が[1、0]の場合(ステップST268ノー、ステップST272イエス;所望のウインドウよりも下)には、レーザパワーが小さすぎるということなので、レーザドライバの指示値を上げてレーザパワーを大きくし(ステップST274)、再度判定を行なう(ステップST264、ST266)。
【0623】
なお、積分出力Voがウインドウ外であり(ステップST266ノー)、ウインドウの上でなく(ステップST268ノー)、ウインドウの下でもない(ステップST272ノー)ときは、積分出力Voの属する領域が存在しないことになるので、エラーとなり、図49の制御ルーチンは中断あるいは終了する。
【0624】
以上の工程(ステップST270、ST274)でのレーザパワーの増減量は、たとえば80μW程度とする。
【0625】
以上の処理(ST264〜ST274)は、ウインドウコンパレータ430*の出力が[1、1]となるまで、つまり積分出力Voがウインドウコンパレータ430*のそのときの窓の範囲(図48のW0)内に入ってくるまで、反復される。
【0626】
ウインドウコンパレータ430*の出力が[1、1]となったら(ステップST266イエス;つまり積分出力Voがウインドウ内に入ったら)、図50の処理に移り、新たに以下のしきい値を設定する(ステップST278)。
【0627】
そして、新たに設定されたしきい値とそのときの積分出力Voとを比較し、比較結果として、ウインドウコンパレータ430*の出力を読み込む(ステップST280)。
【0628】
WINTHH→VH1(V)=5CH
WINTHL→VL1(V)=53H
このときの領域とパワーとの関係は、次のようになる:
領域U1:262〜315μW:[WUL、WLL]=[0、1]
領域W1:209〜262μW:[WUL、WLL]=[1、1]
領域L1:156〜209μW:[WUL、WLL]=[1、0
ウインドウコンパレータ430*の出力が[1、1]でない場合は、そのときの積分出力Voがウインドウの範囲外にあることになる(ステップST282ノー)。
【0629】
ウインドウコンパレータの出力が[0、1]の場合(ステップST284イエス;ウインドウよりも上)には、レーザパワーが大きすぎるということなので、レーザドライバの指示値を下げてレーザパワーを小さくし(ステップST286)、再度判定を行なう(ステップST280、ST282)。
【0630】
ウインドウコンパレータの出力が[1、0]の場合(ステップST284ノー、ステップST288イエス;所望のウインドウよりも下)には、レーザパワーが小さすぎるということなので、レーザドライバの指示値を上げてレーザパワーを大きくし(ステップST290)、再度判定を行なう(ステップST280、ST282)。
【0631】
なお、積分出力Voがウインドウ外であり(ステップST282ノー)、ウインドウの上でなく(ステップST284ノー)、ウインドウの下でもない(ステップST288ノー)ときは、積分出力Voの属する領域が存在しないことになるので、エラーとなり、図50の制御ルーチンは中断あるいは終了する。
【0632】
以上の工程(ステップST286、ST290)でのレーザパワーの増減量は、たとえば25μW程度とする。
【0633】
以上の処理(ST280〜ST290)は、ウインドウコンパレータ430*の出力が[1、1]となるまで、つまり積分出力Voがウインドウコンパレータ430*のそのときの窓の範囲(図48のW0)内に入ってくるまで、反復される。
【0634】
積分出力Voがウインドウコンパレータ430*の窓内であれば(ステップST282イエス)、新たに以下のしきい値を設定する(ステップST292)。
【0635】
WINTHH→VH2(V)=50H
WINTHL→VL2(V)=4DH
このときの領域とパワーとの関係は、次の通り:
領域U2:191〜209μW:[WUL、WLL]=[0、1]
領域W2:174〜191μW:[WUL、WLL]=[1、1]
領域L2:156〜174μW:[WUL、WLL]=[1、0]
続いて、現在ウインドウコンパレータ430*で比較に使用されているしきい値が最も狭い窓(ウインドウ)に該当する値になっているかどうかチェックされる(ステップST294)。
【0636】
しきい値が最も狭い窓に該当しないときは(ステップST294ノー;しきい値が図48のVH3/VL3でない)、積分出力Voが所望のウインドウ(図48のW1)内に入ってくるまで(ステップST282イエス)、前述した工程(ST280〜ST290)が反復されて、レーザパワーが調整される。この工程(ST286、ST290)でのレーザパワー増減量は、たとえば9μW程度とする。
【0637】
以下、現在ウインドウコンパレータ430*で比較に使用されているしきい値が最も狭い窓(ウインドウ)に該当する値になっているかどうかチェックしながら(ステップST294)、積分出力Voが目標のしきい値(一番狭い窓)内に入るまで、しきい値を変更しながら、以上の動作(ST280〜ST294)を繰り返す。
【0638】
すなわち、積分出力Voが現在(しきい値VH2/VL2)のウインドウコンパレータ430*の窓内であれば(ステップST282イエス)、新たに以下のしきい値を設定する(ステップST292)。
【0639】
WINTHH→VH3(V)=52H
WINTHL→VL3(V)=51H
このときの領域とパワーとの関係は、次の通り:
領域U3:203〜209μW:[WUL、WLL]=[0、1]
領域W3:197〜203μW:[WUL、WLL]=[1、1]
領域L3:191〜197μW:[WUL、WLL]=[1、0]
ここでのレーザパワー増減量は、たとえば2μW程度とする。
【0640】
上記しきい値VH3/VL3を用いたレーザパワー制御により積分出力Voがその時のウインドウコンパレータ430*の窓に入れば(ステップST282イエス)、しきい値再設定の処理に入る(ステップST292)。しかし、現在のしきい値はVH3/VL3であり、これ以上狭い窓を設定するしきい値はないので、しきい値はVH3/VL3に設定されたままとなる(ステップST292)。
【0641】
この状態で、現在ウインドウコンパレータ430*で比較に使用されているしきい値が最も狭い窓(ウインドウ)に該当する値になっているかどうかチェックされる(ステップST294)。
【0642】
この場合、現在のしきい値(VH3/VL3)が最も狭い窓(図48の領域W3)に該当するので(ステップST294イエス)、図50の処理は終了する。
【0643】
なお、図33のメモリ52に基準レーザのパワー測定データがあるので、図50のステップST278設定するウインドウコンパレータ430*のしきい値として、VH1/VL1は省略し、いきなりVH2/VL2から設定を開始してもよい。
【0644】
もし、マルチビームの各レーザ間のばらつきが極小なら、図50のステップST278設定するウインドウコンパレータ430*のしきい値として、VH1/VL1およびVH2/VL2は省略し、いきなりVH3/VL3から設定開始できる場合もある。
【0645】
以上述べたようなレーザパワー制御を各レーザビーム各々に対して実行すれば、マルチビーム光学系を用いた画像形成装置において、濃度ムラの少ない高画質な画像を得ることができる。
【0646】
次に、ビーム位置検知部のオフセット検知(オフセット電圧の測定)について説明する。
【0647】
オフセット電圧がビーム検知に与える影響については、図7(a)、(b)を参照して説明済みであるが、簡単に言い直すと、次のようになる。
【0648】
すなわち、図3のセンサ面上をビーム光が実際に通過する位置が理想的な位置にあったとしても、そのビーム通過位置を検知する回路(アナログオペアンプを用いた増幅回路)中にオフセット電圧が生じていると、ビーム光通過位置検知器出力処理回路40から「ビーム光の位置がずれている」という誤った情報が出力されることになる。これが、オフセット電圧がビーム検知に与える影響である。
【0649】
マルチビームを採用した実際の画像形成装置では、ある程度(僅かだが無視し得ない量)以上の大きさのオフセットがビーム位置検知回路中に生じると、各ビームのピッチを正確に所望値に揃える制御ができなくなる。このため、実用上無視できないオフセットが発生し得る装置では、オフセットの検知およびその検知結果に基づくオフセット補正は、必要不可欠となる。
【0650】
まず、オフセットの検出および補正について、その概要を簡単に説明する。
【0651】
ビーム光通過位置検知制御では、ビーム光がビーム光位置検知器38上を通過する際のセンサパターン出力の差分をとり、その結果を積分し、ウインドウコンパレータ430*によりデジタル信号に変換して、ビーム光通過位置の検知を行うようになっている。
【0652】
図35の積分器42の積分の開始/終了のタイミングは、図33の検知器38(または図3のセンサ380)のセンサパターンSE/SKから信号が出力されるタイミングである。すなわち、ビーム光がポリゴンミラー35によって走査され、センサパターンSE上を通過する際に積分器42のリセットが行なわれ、リセット終了と同時に積分が開始される。さらに、ビーム光がセンサパターンSK上を通過する際に積分が終了し、同時にウインドウコンパレータ430*の出力(WUL/WLL)がフリップフロップ回路432*により保持される。
【0653】
ビーム光通過位置検知器出力処理回路40のオフセット値は、この回路40の電源が入っている限り、定常的に発生している。このオフセット値がビーム光通過位置検知制御におけるビーム光位置情報の誤差要因となるのは、積分器42の積分動作の開始から終了までの、積分時間の間である。したがって、積分時間内におけるオフセット値を測定することができれば、オフセット値を考慮した(つまりオフセットを補正した)ビーム光通過位置制御が可能になる。
【0654】
そこで、以下に述べるオフセットの検出および補正においては、積分器42の積分の開始/終了のタイミングをビーム通過位置制御と同等とするために、センサパターンSE、SKの出力信号を使用する。しかし、ビーム光がセンサパターンSJ、SI、SH、SG、SFによって検知されては、オフセット検知にとって余計なビーム光情報が積分出力Voに重畳され、正確なオフセット値の検出ができない。したがって、オフセット値の検出には、センサパターンSJ〜SFにビーム光を照射しない状態で得られた積分出力Voを用いることにする。
【0655】
たとえば、図3のセンサ380において、オフセット検知用のレーザビーム(31a)がセンサパターンSJより更に上を通過するようにガルバノミラー(33a)に指示値を与えて、センサパターンSJがレーザビームを全く検知しないようにする。この状態で、センサ面上を通過するレーザビームに対応する積分出力Voを検知する。
【0656】
この場合、オフセットが生じていなければ積分出力Voはゼロ(あるいは所定の一定値)となるはずであるが、オフセットが発生しておれば積分出力Voゼロ(あるいは所定の一定値)+αとなる(この+αは正負いずれも取り得る比較的小さなアナログ電圧)。
【0657】
この積分出力Vo=+αをウインドウコンパレータ430*の最小窓に該当するしきい値(WINTHH/WINTHL)で検知すれば、アナログオフセット値+αに対応するデジタルデータ(ヘキサデシマルデータ)が得られる。
【0658】
ここで、オフセットがビーム光通過位置検知の誤差要因となるのは、積分動作の開始から終了までの積分時間の間(SEが出力されてからSKが出力されるまでの期間)なので、この積分時間におけるオフセット値を測定し、オフセット補正を行なう。
【0659】
その際、図3のセンサ380におけるセンサSKとセンサSMの間隔Lkmを、センサSEとセンサSKとの間隔Lekと等しくし、センサSF〜SJにビーム光を照射しない状態で、SKとSMの出力によって積分を行い、オフセットを検知するようにしている。
【0660】
このようにすれば、オフセット検知期間(間隔Lekに対応)と同じ期間(間隔Lkmに対応)で積分された積分出力Voを、オフセット補正されたレーザビーム制御に用いることができる。つまり、オフセット検知と時間的に同条件で積分された積分出力Voをオフセット補正時に利用できるようになる。
【0661】
図51は、ビーム光通過位置の検知において使用されるオペアンプ回路のオフセットを、図33および図35の構成を利用して検知(測定)する場合の、ウインドウコンパレータ430*のしきい値変化の様子を例示している。
【0662】
また、図52は、マルチビームのうち第1のビームa(図33のレーザ31a)の検知に使用されるオペアンプ回路のオフセットを測定する手順を説明するフローチャートである。
【0663】
以下、図51〜図52を参照して、ビーム光a(第1のレーザ31a)のオフセット検知について説明する。
【0664】
まず、図33の主制御部51のCPUは、選択回路41にセンサ選択指令を与え、ビーム光aの通過位置検知(差動増幅器63の出力)を選択する(ステップST300)。
【0665】
次に、CPUは、図33の選択回路Aおよび選択回路Bに指令を出して、オフセット検知モードを選択する(ステップST302)。
【0666】
このモード選択によって、積分器42のリセット用センサとしてSAとSKが選択され、A/D処理用センサとしてSMが選択される(つまりSK〜SM間で積分が行われる)。
【0667】
次に、ビーム光a(第1のレーザ31a)用のレーザ発振器(32a)を所定のパワーで強制発光動作させる(ステップST304)。
【0668】
そして、ウインドウコンパレータ430*のしきい値を所定値に設定する(ステップST306)。すなわち、オフセット電圧(Vos)は基準電圧(Vref)を中心に±方向に生じるため、しきい値も基準電圧がウインドウ内に含まれるよう、以下のように設定する。
【0669】
WINTHH→Vh0(V)=A8H
WINTHL→Vl0(V)=57H
その後、CPUは、図3のセンサSMから信号が出力されるタイミングでウインドウコンパレータ430*の出力(積分出力Voとウインドウコンパレータのしきい値との比較結果)を読み込み(ステップST308)、そのときの積分器42の出力Voが図51のどの領域に属するか判定する(ステップST310)。
【0670】
ここで、ウインドウコンパレータ430*での比較結果が[WUL、WLL]=[1、1]であれば、積分出力Voが図51の領域W0に属すると判定される。
【0671】
この場合、領域W0をほぼ均等に3分割するような新たなしきい値が、以下のように設定される(ステップST312)。
【0672】
WINTHH→Vh1(V)=8DH
WINTHL→Vl1(V)=72H
次に、ステップST310で判定された領域に対応するしきい値が、ウインドウコンパレータ430*の一番狭い窓に対応するかどうか、チェックされる(ステップST314)。
【0673】
判定された領域W0は一番狭い窓ではないので(ステップST314ノー)、ステップST312で設定された新たなしきい値により、そのときの積分出力Voの属する領域判定が、再度実行される(ステップST308、ST310)。
【0674】
以下、ウインドウコンパレータ430*のしきい値を以下のように順次変更してウインドウコンパレータの窓を狭めて行く。
【0675】
WINTHH→Vh2(V)=84H
WINTHL→Vl2(V)=7BH
(Vh2/Vl2は図51の領域W1を3分割するような値)
WINTHH→Vh3(V)=78H
WINTHL→Vl3(V)=75H
(Vh3/Vl3は図51の領域L2を3分割するような値)
WINTHH→Vh4(V)=7AH
WINTHL→Vl4(V)=79H
(Vh4/Vl4は図51の領域L2を3分割するような値)
以上の処理の反復実行の結果、ステップST310で判定された領域がウインドウコンパレータ430*の一番狭い窓に対応するようになれば(ステップST314イエス)、そのときのしきい値(Vh4/Vl4)が検知されたオフセット値として、そのときの検知領域(W4)とともに、図33のメモリ52に記録される(ステップST316)。
【0676】
図51の例では、最終的なしきい値(Vh4/Vl4)がVref=80Hを含むならオフセットが実質的にないと判定されるが、ここでは最終的なしきい値(Vh4/Vl4)が79H〜7AHとなったので、06H〜07H分のオフセットが(Vrefからマイナス方向に)発生していると判定される。
【0677】
なお、WINTHHとWINTHLとの差(ウインドウコンパレータの窓の幅)が実施例構成で設定可能なしきい値の分解能(たとえば8ビット分解能のD/A変換器を使用し最大レベルが5Vであれば、分解能すなわち最小単位レベルは5/255ボルト(≒20ミリボルト)となる。
【0678】
オフセット検知時の積分出力Voがこの最小単位レベルの幅の窓内に収束するまで、図52のステップST308〜ST314のループにおいて、しきい値変更と判定が繰り返えされる。
【0679】
そして、最終的に得られた領域W4のWINTHHおよびWINTHL(WINTHH=7AHとWINTHL=79H)が、ビームa(第1レーザ31a)の検知回路のオフセット値として、メモリ52に記録される。
【0680】
以下、その他のビーム(31b〜31d)の検知回路についても、上記と同様の動作を実行し、各検知回路のオフセット値が測定され、メモリ52に記録される。
【0681】
次に、図52の処理でメモリ52に記録したオフセットデータを利用した、オフセット検知・補正制御について説明する。
【0682】
図53は、オフセット補正された各ビームの通過位置を制御する手順を説明するフローチャートである。
【0683】
まず、図33の主制御部51のCPUは、ポリゴンモータドライバ37に指示を与え、ポリゴンモータ36を所定の回転速度で回転させる(ステップST320)。
【0684】
続いて、CPUは、ガルバノミラー駆動回路39a〜39dに所定の指示値を与え、4本のマルチレーザビームの走査経路を指定する(ステップST322)。
【0685】
次に、図52を参照して説明したオフセット検知手順にしたがい、ビーム光a(第1レーザ31a)のオフセット検知を行なう(ステップST324)。検知結果は図33のメモリ52に記録される。
【0686】
以下同様に、ビーム光b(第2レーザ31b)のオフセット検知を行なって(ステップST326)その検知結果をメモリ52に記録し、
ビーム光c(第3レーザ31c)のオフセット検知を行なって(ステップST328)その検知結果をメモリ52に記録し、ビーム光d(第4レーザ31d)のオフセット検知を行なって(ステップST330)その検知結果をメモリ52に記録する。
【0687】
次に、メモリ52に記録されたデータに基づいて、各ビーム光a〜dの検知部(オペアンプで構成される回路)に対するオフセット補正を行なう(ステップST332)。
【0688】
ここでは、通常のビーム位置制御時の制御目標(ウインドウコンパレータ430*のしきい値)を、WINTHH=VH4、WINTHL=VL4とする。オフセット補正は、この制御目標にオフセット値(メモリ52に記録したオフセットデータ)を加えることで行なう。
【0689】
オフセット補正後の(オフセットを考慮した)ビーム通過位置制御では、オフセット値が、ビーム通過位置制御目標のほぼ中央となるようにする。オフセット補正後のビーム通過位置制御のしきい値の例を以下に示す(ここで、Vrefは、図51の例でいえば80H)。
【0690】
WINTHH→VH0+(Vh4−Vref)
WINTHL→VL0+(Vl4−Vref)
(ウインドウコンパレータ430*の窓が一番広い状態)
WINTHH→VH1+(Vh4−Vref)
WINTHL→VL1+(Vl4−Vref)
(ウインドウコンパレータ430*の窓が2番目に広い状態)
WINTHH→VH2+(Vh4−Vref)
WINTHL→VL2+(Vl4−Vref)
(ウインドウコンパレータ430*の窓が3番目に広い状態)
WINTHH→VH3+(Vh4−Vref)
WINTHL→VL3+(Vl4−Vref)
(ウインドウコンパレータ430*の窓が4番目に広い状態)
WINTHH→VH4+(Vh4−Vref)
WINTHL→VL4+(Vl4−Vref)
(ウインドウコンパレータ430*の窓が一番狭い状態)
以上のように、徐々に窓が狭くなるようなしきい値(WINTHH/WINTHL)をウインドウコンパレータ430*に適用しながら、ビーム光a(第1レーザ31a)に対する通過位置制御を行なう(ステップST334)。
【0691】
この制御の目標は、前述したオフセットが発生していたとしても、たとえば図3のセンサ面上でセンサパターンSJとSIとの間をビーム光aが正確に通過するように、ガルバノミラー33aを制御することである。
【0692】
以下同様に、ビーム光b(第2レーザ31b)に対する通過位置制御を行ない(ステップST336)、センサパターンSIとSHとの間をビーム光bが正確に通過するように、ガルバノミラー33bを制御する。
【0693】
続いて、ビーム光c(第3レーザ31c)に対する通過位置制御を行ない(ステップST338)、センサパターンSHとSGとの間をビーム光cが正確に通過するように、ガルバノミラー33cを制御する。
【0694】
最後に、ビーム光d(第4レーザ31d)に対する通過位置制御を行ない(ステップST340)、センサパターンSGとSFとの間をビーム光dが正確に通過するように、ガルバノミラー33dを制御する。
【0695】
以上説明したように、この実施の形態によれば、ビーム光通過位置検知部のオフセット値を検出し、検出されたオフセット値に応じた補正処理を行なうので、制御誤差の極めて少ないビーム通過位置制御を実現できる。
【0696】
このオフセット補正を施したビーム通過位置制御により、図2の感光体ドラム15上におけるビーム光の位置を常に適正位置に精度良く制御できるので、出力(プリントアウト)画像を高画質に維持できる。
【0697】
この発明の一実施の形態に係る画像形成装置のビーム検知部(マルチビームの位置検知あるいはビームパワー検知)では、通常のA/D変換器を用いず、その代わりにシングルコンパレータまたはウインドウコンパレータを利用してアナログデータ(積分出力)をデジタルデータに変換する構成を採用している。
【0698】
この構成によれば、コンパレータと汎用ロジックIC(フリップフロップ、インバータなど)を適宜組み合わせることによって、高速タイプのマルチビットA/D変換器相当の性能を安価に得ることができる。
【0699】
また、コンパレータと汎用ロジックICは動作速度も速い。
【0700】
【発明の効果】
この発明によれば、マルチビームのビーム検知部に高速・高分解能タイプのA/D変換器を用いなくても同等の機能(積分出力のデジタルデータ化)が可能となる。この「高速高分解能」というA/D変換機能は、安価で動作速度も速いコンパレータ(シングルコンパレータおよび/またはウインドウコンパレータ)と汎用ロジックIC(フリップフロップ、インバータ等)を組み合わせで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態に係る画像形成装置としてのデジタル複写機の構成を説明するブロック図。
【図2】光学系ユニットの構成およびレーザビーム走査と感光体ドラムとの位置関係を説明する図。
【図3】図2のビーム光位置検知器を構成するビーム検知センサのセンサパターンを例示する図。
【図4】マルチビーム光学系を制御する主制御部とその周辺構成を説明するブロック図。
【図5】図4のブロック図のうちマルチビーム光制御に関連する部分(シングルコンパレータ利用)を抜き出して詳細に示す図。
【図6】図5のビーム光位置検知器出力処理回路において、ビーム検知センサのうちビーム位置検知用のセンサパターンから積分器までの回路構成を説明する図。
【図7】オペアンプのオフセットについて説明する図。
【図8】図5のビーム光位置検知器出力処理回路において、ビーム検知センサのうちビーム光量(パワー)検知用のセンサパターンから積分器までの回路構成を説明する図。
【図9】この発明の一実施の形態に係る、シングルコンパレータを利用したアナログ・デジタル処理部を説明する回路図。
【図10】図9のシングルコンパレータの入出力関係を説明する図。
【図11】図9の回路動作を説明する図。
【図12】図3のセンサパターンを通過するレーザビーム位置と、これに対応する積分出力および図9のシングルコンパレータのしきい値との関係を説明する図。
【図13】図9のシングルコンパレータに与えられる種々なしきい値の変化を説明する図。
【図14】マルチビームのうちの1本(ビームa)の通過位置制御を、図5および図9の構成(シングルコンパレータ利用)を利用して行なう場合を説明するフローチャート図の前半部。
【図15】図14のビーム通過位置制御の続きを説明するフローチャート図の中半部。
【図16】図15のビーム通過位置制御の続きを説明するフローチャート図の中半部。
【図17】図16のビーム通過位置制御の続きを説明するフローチャート図の後半部。
【図18】レーザパワーの検知特性とシングルコンパレータの比較基準値(しきい値)との対応関係を例示する図。
【図19】図3のセンサパターンSLで検知されるレーザパワーと対応する積分出力との対応関係を例示する図。
【図20】レーザパワーを図18のしきい値Vr6に対応する値(PL6μW〜PH6μWの範囲内)に制御する場合の、シングルコンパレータのしきい値変化の様子を示す図。
【図21】ビーム光量(パワー)の制御を、図5および図9の構成(シングルコンパレータ利用)を利用して行なう場合を説明するフローチャート図の前半部。
【図22】図21のビームパワー制御の続きを説明するフローチャート図の中半部。
【図23】図22のビームパワー制御の続きを説明するフローチャート図の中半部。
【図24】図23のビームパワー制御の続きを説明するフローチャート図の後半部。
【図25】ビーム光量(パワー)の指示値と対応するレーザパワーとの対応関係を例示する図。
【図26】画像形成用のビーム光量(パワー)制御を説明するフローチャート図。
【図27】ビーム光量(パワー)を測定する手順を説明するフローチャート図。
【図28】図26のレーザパワー測定およびレーザパワー相対値制御における、シングルコンパレータのしきい値変化の様子を示す図。
【図29】レーザパワーの相対値制御を、図5および図9の構成(シングルコンパレータ利用)を利用して行なう場合を説明するフローチャート図の前半部。
【図30】図29のレーザパワー相対値制御の続きを説明するフローチャート図の中半部。
【図31】図30のレーザパワー相対値制御の続きを説明するフローチャート図の中半部。
【図32】図31のレーザパワー相対値制御の続きを説明するフローチャート図の後半部。
【図33】図4のブロック図のうちマルチビーム光制御に関連する部分(ウインドウコンパレータ利用)を抜き出して詳細に示す図。
【図34】図33のビーム光位置検知器出力処理回路において、ビーム検知センサのうちビーパワー検知用のセンサパターンから積分器までの回路構成を説明する図。
【図35】この発明の他の実施の形態に係る、ウインドウコンパレータを利用したアナログ・デジタル処理部を説明する回路図。
【図36】図35のウインドウコンパレータの入出力関係を説明する図。
【図37】図35のセレクタの動作を説明する図。
【図38】図35のウインドウコンパレータの比較基準値(しきい値)を説明する図。
【図39】図3のセンサパターンを通過するレーザビーム位置と、これに対応する積分出力および図35のウインドウコンパレータのしきい値との関係を説明する図。
【図40】マルチビームのうちの1本(ビームa)の通過位置制御を、図33および図35の構成(ウインドウコンパレータ利用)を利用して行なう場合を説明するフローチャート図の前半部。
【図41】図40のビーム通過位置制御の続きを説明するフローチャート図の中半部。
【図42】図41のビーム通過位置制御の続きを説明するフローチャート図の中半部。
【図43】図42のビーム通過位置制御の続きを説明するフローチャート図の後半部。
【図44】レーザパワーの検知特性(PH/PL)とウインドウコンパレータの比較基準値(上下のしきい値VH/VL)との対応関係を例示する図。
【図45】レーザパワーを図44のしきい値VH3/VL3に対応する値(PL3μW〜PH3μWの範囲内)に制御する場合の、ウインドウコンパレータのしきい値変化の様子を示す図。
【図46】レーザパワーの制御を、図33および図35の構成(ウインドウコンパレータ利用)を利用して行なう場合を説明するフローチャート図。
【図47】ビーム光量(レーザパワー)を測定する手順を説明するフローチャート図。
【図48】ビームaに対する画像形成用レーザパワーを図44のしきい値VH3/VL3に対応する値(PL3μW〜PH3μWの範囲内)に制御する場合の、ウインドウコンパレータのしきい値変化の様子を示す図。
【図49】レーザパワーの相対値制御を、図33および図35の構成(ウインドウコンパレータ利用)を利用して行なう場合を説明するフローチャート図の前半部。
【図50】図49のレーザパワー相対値制御の続きを説明するフローチャート図の後半部。
【図51】ビーム光通過位置の検知において使用されるオペアンプ回路のオフセットを、図33および図35の構成(ウインドウコンパレータ利用)を利用して検知(測定)する場合の、ウインドウコンパレータのしきい値変化の様子を示す図。
【図52】マルチビームのうちビームaの検知に使用されるオペアンプ回路のオフセットを測定する手順を説明するフローチャート図。
【図53】オフセット補正された各ビームの通過位置を制御する手順を説明するフローチャート図。
【図54】図33のビーム光位置検知器出力処理回路において、ビーム検知センサのうちビーム位置検知用のセンサパターンから積分器までの回路構成を説明する図。
【符号の説明】
1…スキャナ部;
2…プリンタ部;
3…第1キャリジ;
4…第2キャリジ;
5…結像レンズ;
6…光電変換素子;
7…原稿台;
8…原稿固定カバー;
9…光源;
10〜12…ミラー;
13…光学系ユニット;
14…画像形成部;
15…感光体ドラム;
16…帯電チャージャ;
17…現像器;
18…転写チャージャ;
19…剥離チャージャ;
20…クリーナ;
21…給紙カセット;
22…給紙ローラ;
23…分離ローラ;
24…レジストローラ;
25…用紙搬送機構;
26…定着器;
27…排紙ローラ;
28…排紙トレイ;
O…原稿;
P…用紙;
31a〜31d…レーザ発振器;
32a〜32d…レーザドライバ;
33a〜33d…ガルバノミラー;
34a〜34d…ハーフミラー;
35…ポリゴンミラー;
36…ポリゴンモータ;
37…ポリゴンモータドライバ;
38…ビーム光位置検知器;
39a〜39d…ガルバノミラー駆動回路;
40…ビーム光位置検知器出力処理回路;
BSL…ビーム走査線;
BP1,BP2…ビーム位置に対応する位置(感光体ドラム表面上のビーム走査位置と同等の位置);
380…ビーム検知センサ;
SA〜SP…センサパターン(フォトダイオードで構成された光センサ受光部);
Lek…光センサ受光部SEとSKとの間隔;
Lkm…光センサ受光部SKとSMとの間隔;
41…選択回路(アナログスイッチ);
42…積分器;
430…シングルコンパレータ(CMP0);
432…フリップフロップ回路(FF0,INV0);
434…D/A変換回路(DA0);
430*…ウインドウコンパレータ(CMP1,CMP2);
432*…フリップフロップ回路(FF1,FF2,INV1,INV2);
434*…D/A変換回路(DA1,DA2);
436…セレクタ;
44a〜44d…ラッチ;
45a〜45d…D/A変換器;
46a〜46d…ガルバノミラードライバ;
51…主制御部(CPUまたはMPUを用いたデジタル処理機能を持つ);
52…メモリ;
53…コントロールパネル;
54…外部通信I/F;
55…同期回路;
56…画像データI/F;
57…画像処理部;
58…ページメモリ;
59…外部I/F;
62…増幅器(レーザパワー検知用);
63〜66…差動増幅器(マルチビームの位置検知用);
SW1,SW7…アナログスイッチ;
A1〜A4…オペアンプ。
Claims (4)
- 複数のビーム光を発生する光源と;
前記複数ビーム光が所定の対象上を通過するように走査させる走査手段と;
前記走査手段により走査される各ビーム光の通過位置を検知する検知手段と;
前記複数ビーム光の走査方向と直交する方向の走査位置を変化させるビーム光走査位置変更手段を具備した画像形成装置であって、
前記検知手段は、前記複数ビーム光の通過位置に対応した複数センサパターンを持ち前記複数ビーム光の通過位置に対応した出力信号を出力するビーム光位置検知器と、ビーム光位置検知器出力処理回路と、主制御部を備え、
前記ビーム光位置検知器出力処理回路が、前記複数センサパターンのうち隣接するセンサパターンに対応した前記ビーム光位置検知器の出力信号の差分を、複数の差分信号として演算する差分演算手段と、前記差分演算手段で演算された複数の差分信号のうちのいずれか1つの信号を選択する選択手段と、前記選択手段で選択された信号を積分する積分手段と、前記積分手段の出力と所定のしきい値の大小を比較しその比較結果をデジタルビット化し保持して出力する比較保持手段を備え、
前記主制御部が、前記比較保持手段の出力に応じ前記所定のしきい値を変更して前記複数ビーム光の通過位置を判断し、この複数ビーム光の通過位置に基づいて、前記走査手段により走査される各ビーム光の通過位置が所望の位置となるように前記ビーム光走査位置変更手段を制御することを特徴とする画像形成装置。 - 複数のビーム光を発生する光源と;
前記複数ビーム光が所定の対象上を通過するように走査させる走査手段と;
前記走査手段により走査される各ビーム光の通過位置を検知する第1の検知手段と;
前記走査手段により走査される各ビーム光の光量を検知する第2の検知手段と;
前記走査手段により走査される各ビーム光の光量を定めるビーム光量変更手段と;
前記複数ビーム光の走査方向と直交する方向の走査位置を変化させるビーム光走査位置変更手段を具備した画像形成装置であって、
前記第1の検知手段は、前記複数ビーム光の通過位置に対応した複数センサパターンを持ち前記複数ビーム光の通過位置に対応した出力信号を出力するビーム光位置検知器と、ビーム光位置検知器出力処理回路と、主制御部を備え、
前記第2の検知手段は、前記複数ビーム光の光量を検知するセンサパターンを持ち検知した光量に対応する光量信号を出力するものであり、
前記ビーム光位置検知器出力処理回路が、前記複数センサパターンのうち隣接するセンサパターンに対応した前記ビーム光位置検知器の出力信号の差分を、複数の差分信号として演算する差分演算手段と、前記差分演算手段で演算された複数の差分信号のうちのいずれか1つの信号を選択する選択手段と、前記選択手段で選択された信号を積分する積分手段と、前記積分手段の出力と第1のしきい値の大小を比較しその比較結果をデジタルビット化し保持して出力する比較保持手段を備え、
前記選択手段は前記第2の検知手段からの前記光量信号を選択するように構成され、前記積分手段はこの選択された光量信号を積分するように構成され、前記比較保持手段はこの積分された光量信号と第2のしきい値の大小を比較しその比較結果をデジタルビット化し保持して出力するように構成され、
前記主制御部が、前記比較保持手段の出力に応じ前記第1のしきい値を変更して前記複数ビーム光の通過位置を判断し、この複数ビーム光の通過位置に基づいて、前記走査手段により走査される各ビーム光の通過位置が所望の位置となるように前記ビーム光走査位置変更手段を制御するとともに、
前記主制御部が、前記比較保持手段の前記光量信号に関する出力に応じ前記第2のしきい値を変更して前記複数ビーム光の光量を判断し、この複数ビーム光の光量が所望の大きさとなるように前記ビーム光量変更手段を制御することを特徴とする画像形成装置。 - 複数のビーム光を発生する光源と、前記複数ビーム光が所定の対象上を通過するように走査させる走査手段と、前記走査手段により走査される各ビーム光の通過位置を検知する検知手段と、前記複数ビーム光の走査方向と直交する方向の走査位置を変化させるビーム光走査位置変更手段を具備し、前記検知手段が前記複数ビーム光の通過位置に対応した複数センサパターンを持ち前記複数ビーム光の通過位置に対応した出力信号を出力するビーム光位置検知器を備えた画像形成装置で用いられる方法であって、
前記複数センサパターンのうち隣接するセンサパターンに対応した前記ビーム光位置検知器の出力信号の差分を複数の差分信号として演算し、演算された複数の差分信号のうちのいずれか1つの信号を選択し、選択された信号を積分し、この積分信号の出力と所定のしきい値の大小を比較しその比較結果をデジタルビット化し保持して出力し、
前記デジタルビット化し保持した出力に応じ前記所定のしきい値を変更して前記複数ビーム光の通過位置を判断し、この複数ビーム光の通過位置に基づいて、前記走査手段により走査される各ビーム光の通過位置が所望の位置となるように前記ビーム光走査位置変更手段を制御することを特徴とする画像形成方法。 - 複数のビーム光を発生する光源と、前記複数ビーム光が所定の対象上を通過するように走査させる走査手段と、前記走査手段により走査される各ビーム光の通過位置を検知する第1の検知手段と、前記走査手段により走査される各ビーム光の光量を検知する第2の検知手段と、前記走査手段により走査される各ビーム光の光量を定めるビーム光量変更手段と、前記複数ビーム光の走査方向と直交する方向の走査位置を変化させるビーム光走査位置変更手段を具備し、前記第1の検知手段が前記複数ビーム光の通過位置に対応した複数センサパターンを持ち前記複数ビーム光の通過位置に対応した出力信号を出力するビーム光位置検知器を備え、前記第2の検知手段が前記複数ビーム光の光量を検知するセンサパターンを持ち検知した光量に対応する光量信号を出力するように構成された画像形成装置で用いられる方法であって、
前記複数センサパターンのうち隣接するセンサパターンに対応した前記ビーム光位置検知器の出力信号の差分を複数の差分信号として演算し、演算された複数の差分信号のうちのいずれか1つの信号を選択し、選択された信号を積分し、この積分信号の出力と第1のしきい値の大小を比較しその比較結果をデジタルビット化し保持して出力し、
前記第2の検知手段からの前記光量信号を選択し、この選択された光量信号を積分し、この積分された光量信号と第2のしきい値の大小を比較しその比較結果をデジタルビット化し保持して出力し、
前記デジタルビット化し保持した出力に応じ前記第1のしきい値を変更して前記複数ビーム光の通過位置を判断し、この複数ビーム光の通過位置に基づいて、前記走査手段により走査される各ビーム光の通過位置が所望の位置となるように前記ビーム光走査位置変更手段を制御し、
前記デジタルビット化し保持した前記光量信号に関する出力に応じ前記第2のしきい値を変更して前記複数ビーム光の光量を判断し、この複数ビーム光の光量が所望の大きさとなるように前記ビーム光量変更手段を制御することを特徴とする画像形成方法。
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