JP4321124B2 - 動力計測システムの電気慣性制御方式 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、動力計測システムの負荷側または駆動側で、動力計測対象の機械慣性分を電気的に補償した試験をするための電気慣性制御方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイナモメータは、車両の動力伝達系やエンジン単体での性能試験や耐久試験を屋内で可能とするもので、動力伝達系の試験には、例えば、図3に示すシステム構成にされる。
【0003】
エンジン1にクラッチ2および変速機3を一体にした組立て状態で、動力吸収手段としてのダイナモメータ4が結合される。エンジン1は、速度コントローラ5によって速度制御され、ダイナモメータ4はトルクコントローラ6によって走行抵抗制御が行われることで、変速機3に実車と等価な慣性を負荷し、実車走行を模擬した変速機試験が行われる。クラッチ2はコントローラ7によって変速時および発進時に断から徐々に自動操作され、変速機3もコントローラ8によって変速時の変速比切換操作がなされる。
【0004】
エンジン1の速度制御は、速度検出器9からの検出速度と設定速度NSとの比較により、スロットルコントローラ10にスロットル開度θを指令し、コントローラ10とアクチェータ11によるスロットル開度制御を行う。
【0005】
ここで、車両の走行抵抗は、タイヤ転がり抵抗と空気抵抗からなる平坦路定常走行抵抗に慣性抵抗を加えたもの、さらには登降坂抵抗を加えたものになり、この走行抵抗(制動抵抗)はダイナモメータでは各抵抗成分の係数変換によってトルクの単位で設定される。
【0006】
上記の走行抵抗のうち、慣性抵抗は、実車と等価な慣性分を設定するフライホイールが使用されていたが、フライホイールは設置スペースが大きくなることや高価になることから、ダイナモメータ4の吸収トルク分として制御する電気慣性制御方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
【0007】
特許文献1の電気慣性制御方法では、図4に示す等価ブロック構成にされる。図中、要素A〜Eはエンジンの速度制御系を示し、Aは速度コントローラ5がもつ比例積分要素、Bはスロットル速度制御系(10、11)がもつ開度制御遅れ要素、Cはスロットル開度θに対するエンジン1の出力トルク特性、Dはエンジンと変速機とダイナモメータ等がもつ慣性を合わせた試験装置の慣性要素であり、慣性Jは主にエンジン慣性JEとダイナモメータの機械慣性JDの和になる。Eは速度検出器9がもつ一次遅れ要素である。これら要素における各記号は次のとおりである。
【0008】
Ke:速度コントローラ5のゲイン、Te:速度コントローラ5の時定数、Ks:開度制御系のゲイン、Ts:開度制御系の時定数、J:試験装置の機械慣性、Kv:速度検出器のゲイン、Tv:速度検出器の時定数。
【0009】
次に、要素F〜Iはダイナモメータ4のトルク制御系を示し、Fはトルク制御系がもつ比例積分要素、Gはトルク制御系のマイナループになる電流制御系がもつ電流制御遅れ要素、Hはダイナモメータの電動機の電流−トルク変換要素、Iはダイナモメータのトルク検出器がもつ一次遅れ要素である。これら要素における各記号は次のとおりである。
【0010】
Kd:トルク制御系のゲイン、Td:トルク制御系の時定数、Kc:電流制御系のゲイン、Tc:電流制御系の遅れ時定数、Kt:電動機の電流−トルク変換係数、Kl:トルク検出器のゲイン、Tl:トルク検出器の遅れ時定数。
【0011】
次に、要素J,K,Lは電気慣性補償演算のためのオブザーバ(破線ブロック)の構成要素であり、Jは速度検出器9またはダイナモメータ4側に設ける速度検出器がもつ一次遅れ要素、Kは要素Jの検出速度を微分して加速度を得る加速度演算要素、Lは電気慣性設定分Jdから機械慣性分Jを減算して電気慣性補償分をトルクとして求める電気慣性分補償要素である。これら要素における各記号は次のとおりである。
【0012】
Kv:速度検出器のゲイン、Tv:速度検出器の遅れ時定数、K:微分係数。
【0013】
このような等価ブロックにおいて、オブザーバは要素Dの出力になる速度nの検出値から要素Kによる微分でトルクに比例した値を求め、これを要素Lの演算結果になる電気慣性補償分に乗算することで、電気慣性補償分のトルクTcを求める。
【0014】
【数5】
Tc=K(Jd−J)(dn/dt)
このトルクTcに対するダイナモメータ4の要素F〜Iによる出力トルクτが、要素Cのエンジン出力トルクτeから等価的に減算されて電気慣性補償がなされる。
【0015】
【特許文献1】
特開平4−278434号公報
【0016】
【特許文献2】
特開平11−108802号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
動力計測システム、特にパワートレインテスタに代表されるシステムでは、動力計などがもつ機械慣性が比較的小さく、この機械慣性を除いて設定する電気慣性の割合が1対10〜1対20のように大きなものになる。このため、電気慣性制御の応答性が悪いと、車速に相当する動力計の回転が急上昇して、適切な試験データが収集できないという問題があった。
【0018】
この対策として、特許文献1や2で提案されるオブザーバによる電気慣性制御方法を適用することで、上記の問題は改善される。
【0019】
しかし、特許文献1、2では、電気慣性トルクTcを設定するために、動力計の回転速度nを微分することで検出する加速度を利用している。このため、動力計にトルク変動が発生すると、回転速度にも僅かながら速度変動が発生し、この速度を微分して求める加速度検出では回転速度の僅かな変動分が増幅されて大きく現れ、これを基にした電気慣性トルク設定が大きく変動してしまい、結果的には動力計のトルク出力に大きな変動が現れるという不安定現象を起こす。
【0020】
上記の変動分は、機械系によりそのレベルや周波数が異なるものであり、比較的小さなレベルで、高い周波数をもつ変動分は、電気慣性制御のための加速度検出要素Kに小型のフィルタを設けることにより除去できる。しかし、比較的大きなレベルで低い周波数をもつ変動分は、大型のフィルタでなければ除去できないし、このフィルタには大きな遅れ時間が発生して、電気慣性制御の応答性を低下させてしまう。
【0021】
なお、エンジンと同等の出力特性をもたせたモータを駆動側とするトランジェント・ダイナモメータに従来の電気慣性制御方法を適用した場合にも同様の問題がある。
【0022】
本発明の目的は、電気慣性制御のための加速度検出を不要にし、電気慣性制御の応答性を高めかつ安定化した動力計測ができる電気慣性制御方式を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の課題を解決するため、動力計の発生トルクを軸トルクメータで検出し、この軸トルクを基にダイナモメータ側または駆動源側の電気慣性トルクを制御する。以下、本発明を原理的に説明する。
【0024】
図5は、動力計測システムにおける動力伝達系の模式図を示す。駆動側モータ(またはエンジン)PMDYとダイナモメータDYの間が、変速機等の動力伝達装置(ドライブトレインシステム)DSを介して機械結合され、PMDYとDYがそれぞれ慣性J1,J2を有して、トルクτ1,τ2、角速度ω1,ω2で動力発生と吸収を行い、両者の結合軸には軸トルクτpが発生しているとすると、これらの間には以下の(1)式が成り立つ。
【0025】
【数6】
【0026】
ここで、図3と同様に、動力吸収側になるダイナモメータを電気慣性制御する場合で、そのときの制動トルク(τ2+τe)、角速度ωs、設定慣性Jsとし、このときの加速度(dω/dt)を(dωs/dt)とすると、(1)式の右辺の項は、下記(2)式になる。
【0027】
【数7】
【0028】
ここで、(1)式の電気慣性制御時のDY制動トルクτ2を(τ2+τe)と表し、dω2/dtをdωs/dtと置き換えると、(1)、(2)式の関係から、下記の(3)式の関係を得ることができる。
【0029】
【数8】
【0030】
この(3)式は、設定慣性Jsに加速トルク(τp−τ2)を加えたときの角加速度(dωs/dt)と、固定慣性J2に加速トルク(τp−τ2)を加えた場合に加速トルクから電気慣性補償トルクτeを差し引いた加速トルクを加えたときの角加速度(dωs/dt)が等しくなるよう、電気慣性補償トルクτeを設定すればよいことを示している。
【0031】
上記の(3)式を変形して、電気慣性補償トルクτeを求めると、下記の(4)式になる。
【0032】
【数9】
【0033】
または、設定慣性Jsから固定慣性J2を差し引いたものを電気慣性Jeとすると、下記の(5)式で表すことができる。
【0034】
【数10】
【0035】
上記のことから、本発明は、ダイナモメータを電気慣性制御する場合には、上記の(4)式を基に、設定慣性分Js、ダイナモメータの機械慣性分J2、軸トルクτp、ダイナモメータの発生トルクτ2から電気慣性トルクτeを設定する。これにより、従来の回転速度nを微分することで検出する加速度を利用した電気慣性制御による不都合を解消する。
【0036】
以上までの説明は、ダイナモメータで電気慣性制御を行う場合であり、これに代えて、駆動側モータを電気慣性制御する場合も同様になり、これを以下に説明する。
【0037】
図5の動力伝達系の模式図において、駆動側モータによる電気慣性制御時の駆動トルク(τ1+τe)、角速度ωs、設定慣性JSとすると、前記(2)式と同様に、下記式が成り立つ。
【0038】
【数11】
【0039】
この式と(1)式から、(3)式と同様に、下記式が成立する。
【0040】
【数12】
【0041】
この(7)式は、設定慣性Jsに加速トルク{−(τp−τ1)}を加えたときの角加速度(dωs/dt)と、固定慣性J1に加速トルク{−(τp−τ1)}を加えた場合に加速トルクから電気慣性補償トルクτeを差し引いた加速トルクを加えたときの角加速度(dωs/dt)が等しくなるよう、電気慣性補償トルクτeを設定すればよいことを示している。
【0042】
上記の(7)式を変形して、電気慣性補償トルクτeを求めると、下記の(8)式になる。
【0043】
【数13】
【0044】
または、設定慣性Jsから固定慣性J1を差し引いたものを電気慣性Jeとすると、下記の(9)式で表すことができる。
【0045】
【数14】
【0046】
上記のことから、本発明は、駆動側モータを電気慣性制御する場合には、上記の(8)式を基に、設定慣性分Js、モータの機械慣性分J1、軸トルクτp、モータの発生トルクτ1から電気慣性トルクτeを設定する。これにより、従来の回転速度nを微分することで検出する加速度を利用した電気慣性制御による不都合を解消する。
【0047】
以上までのことから、本発明は以下の構成を特徴とする。
【0048】
(1)動力計測対象となる車両の走行抵抗に相当する吸収トルクをダイナモメータで発生し、該ダイナモメータは車両がもつ機械慣性分を電気的に補償した吸収トルク制御をする電気慣性制御方式であって、
車両の動力伝達軸に発生する軸トルクτpを検出する軸トルクメータを設け、
前記ダイナモメータは、前記軸トルクτpの検出値と、前記機械慣性分を除いた走行抵抗分のダイナモメータ発生トルクτ 2 に相当するトルク設定値τ 2S と、ダイナモメータの機械慣性J2および設定慣性Jsから、次式、
【0049】
【数15】
【0050】
または、次式、
【0051】
【数16】
【0052】
から電気慣性トルク設定値τeを求め、この電気慣性トルク設定値τeと前記走行抵抗分のトルク設定値τ 2S との和で吸収トルクを制御する手段を備えたことを特徴とする。
【0053】
(2)動力計測対象となる車両の走行抵抗から機械慣性分を除いた吸収トルクをダイナモメータで発生し、車両の駆動源は車両がもつ機械慣性分を電気的に補償した駆動トルク制御をする電気慣性制御方式であって、
車両の動力伝達軸に発生する軸トルクτpを検出する軸トルクメータを設け、
前記車両の駆動源は、前記軸トルクτpの検出値と、前記機械慣性分を除いた駆動トルクτ 1 に相当する駆動トルク設定値τ 1S と、駆動源の機械慣性J1および設定慣性Jsから、次式、
【0054】
【数17】
【0055】
または、次式、
【0056】
【数18】
【0057】
から電気慣性トルク設定値τeを求め、この電気慣性トルク設定値τeと前記駆動トルク設定値τ 1S との和で駆動トルクを制御する手段を備えたことを特徴とする。
【0058】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態を示す電気慣性制御の等価ブロック図であり、ダイナモメータ側を電気慣性制御する場合である。
【0059】
図中、PMDYは駆動側のブロック構成であり、モータ(PM)を駆動手段とした速度制御系と電流制御系によりモータの速度制御を行う。DYは吸収側のブロック構成であり、ダイナモメータによるトルク制御系と電流制御系により電気慣性制御したトルク制御を行う。DSはPMDYとDYとの間を機械結合する変速機などの動力伝達系のブロック構成である。
【0060】
PMDYにおいて、A1は駆動モータの速度指令N 1S と検出速度N1との差分を比例積分演算した速度制御をする速度制御要素、B1は速度制御要素の出力になる電流指令IOに応じた電流制御を行う電流制御要素、C1は駆動モータの電流入力IOに応じた出力トルクTOを得る駆動モータの特性要素である。D1とE1は駆動モータの機械慣性J1によってモータ速度(入力軸角速度ω1)として現れる慣性要素であり、駆動モータのトルク出力τ1のうち動力伝達系DSへ伝達する軸トルクτP分を差し引いたトルクで、駆動モータがもつ機械慣性J1によって加速度が変化し、この加速度の積分でモータ速度が変化する。F1は角速度ω1を検出して速度N1に変換する速度検出要素である。
【0061】
DYにおいて、G1はダイナモメータの出力軸検出速度N2を基に走行抵抗(慣性分を除く)を求め、この走行抵抗分のトルク指令τ 2S として発生する走行抵抗設定要素である。
【0062】
H1は、前記の(4)式に従って、トルク指令τ 2S と軸トルクτpとの差分に係数(1−J2/JS)を乗じて電気慣性トルク設定値τesを求める電気慣性トルク演算要素である。
【0063】
I1は走行抵抗分のトルク指令τ 2S と電気慣性トルクτesを加算したものをトルク指令とし、ダイナモメータの出力トルク(τ2+τe)との差分を比例積分演算したトルク制御をするトルク制御要素、J1はトルク制御要素の出力になる電流指令に応じた電流制御を行う電流制御要素である。なお、電流制御指令として、要素I1からの電流指令に電気慣性トルク設定値τesを加算したものとし、応答性を高めるためのフィードフォワード制御を組み込む。
【0064】
K1はダイナモメータの電流入力IOに応じた出力トルクTOを得るダイナモメータの特性要素である。L1とM1はダイナモメータの機械慣性J2によってダイナモメータ速度(出力軸角速度ω2)として現れる慣性要素であり、伝達軸DSから加えられる軸トルクτPからダイナモメータのトルク出力τ2を差し引いたトルクで、ダイナモメータがもつ機械慣性J2によって加速度が変化し、この加速度の積分でダイナモメータ速度が変化する。N1は角速度ω2を検出して速度N2に変換する速度検出要素である。
【0065】
DSにおいて、O1は機械結合軸に加えられる入力角速度ω1と出力角速度ω2との差分にバネ定数kを乗じて積分する積分要素、P1は該差分に結合軸がもつダンピング(減衰)係数Dmを乗じる係数要素であり、これらの出力を加算したものが伝達軸両端に発生する軸トルクτpとなる。
【0066】
以上のように、本実施形態では、軸トルクメータで軸トルクτpを検出し、これを基に要素H1で電気慣性トルク設定値τesを求め、これを走行抵抗設定要素G1で設定する走行抵抗分のトルク設定値τ 2S を加算することで、電気慣性制御が可能となる。
【0067】
そして、従来のオブザーバにおける加速度検出による電気慣性制御に比べて、加速度検出の変動分を除去するための大型のローパスフィルタを不要にし、しかもその遅れがないために高速の電気慣性制御が可能となる。
【0068】
また、軸トルクを直接検出して電気慣性制御するため、理論的にも遅れの最も小さい最速の制御が実現できる。例えば、駆動側の速度を変化させたとき、入力軸角速度ω1が僅かに変化を始めて、ダイナモメータの出力軸角速度ω2(これはまだ変化していない)との偏差で、軸トルクτpが発生する。この軸トルクτpを検出して電気慣性制御が開始され、これはダイナモメータの出力軸角速度ω2が変化する前に行われる。これに対して、従来の電流慣性制御方法では、ダイナモメータの出力角速度ω2(回転数n)に変化が発生した時点からオブザーバで加速度検出するため、遅れを伴う。
【0069】
なお、本実施形態は、前記の(5)式に従って電気慣性トルク設定値τeを設定した制御ができる。
【0070】
(実施形態2)
図2は、本発明の実施形態を示す電気慣性制御の等価ブロック図であり、駆動側モータを電気慣性制御する場合であり、図1と同等の要素は同一符号で示す。
【0071】
図2において、ダイナモメータ側は、走行抵抗設定要素G1で設定する走行抵抗分トルクをそのままトルク制御要素I1のトルク指令とし、ダイナモメータの吸収トルクτ2を発生する。
【0072】
駆動モータ側では、エンジンの出力トルクを模擬したエンジン特性要素Q1によってトルク設定値τ1sを発生する。電気慣性トルク設定要素H1は、前記の(8)式に従って、軸トルクメータで検出する軸トルクτpとエンジン出力トルク設定値τ1sとの差分に係数(1−J1/JS)を乗じて電気慣性トルク設定値τesを求め、これをトルク設定値τ1sに加算し、電流制御要素B1の電流指令とする。
【0073】
以上のように、本実施形態では、軸トルクメータで軸トルクτpを検出し、これとエンジン特性要素Q1で設定するエンジン出力トルク設定値τ1sとの差分を基に電気慣性トルク設定値τesを求め、これにエンジン出力トルク設定値τ1sを加算することで、モータの出力トルクには電流指令に電気慣性分を含めたトルク出力(τ1+τe)を得ることが可能となる。このときには、実施形態1と同様に、トルク制御(PI演算)ループを構成してもよい。
【0074】
本実施形態においても、実施形態1と同様に、従来のオブザーバにおける加速度検出による電気慣性制御に比べて、加速度検出の変動分を除去するための大型のローパスフィルタを不要にし、しかもその遅れがないために高速の電気慣性制御が可能となる。また、軸トルクを直接検出して電気慣性制御するため、理論的にも遅れの最も小さい最速の制御が実現できる。
【0075】
なお、本実施形態は、前記の(9)式に従って電気慣性トルク設定値τeを設定した制御ができる。
【0076】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、動力計の発生トルクを軸トルクメータで検出し、この軸トルクを基にダイナモメータ側または駆動源側の電気慣性トルクを制御するようにしたため、電気慣性制御のための加速度検出を不要にし、電気慣性制御の応答性を高めかつ安定化した動力計測ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1を示す動力計測システムの等価ブロック図。
【図2】本発明の実施形態2を示す動力計測システムの等価ブロック図。
【図3】ダイナモメータシステムの構成図。
【図4】従来の電気慣性ブロック図。
【図5】動力計測システムの模式図。
【符号の説明】
1…エンジン
4…ダイナモメータ
5〜7…コントローラ
Claims (2)
- 動力計測対象となる車両の走行抵抗に相当する吸収トルクをダイナモメータで発生し、該ダイナモメータは車両がもつ機械慣性分を電気的に補償した吸収トルク制御をする電気慣性制御方式であって、
車両の動力伝達軸に発生する軸トルクτpを検出する軸トルクメータを設け、
前記ダイナモメータは、前記軸トルクτpの検出値と、前記機械慣性分を除いた走行抵抗分のダイナモメータ発生トルクτ 2 に相当するトルク設定値τ 2S と、ダイナモメータの機械慣性J2および設定慣性Jsから、次式、
- 動力計測対象となる車両の走行抵抗から機械慣性分を除いた吸収トルクをダイナモメータで発生し、車両の駆動源は車両がもつ機械慣性分を電気的に補償した駆動トルク制御をする電気慣性制御方式であって、
車両の動力伝達軸に発生する軸トルクτpを検出する軸トルクメータを設け、
前記車両の駆動源は、前記軸トルクτpの検出値と、前記機械慣性分を除いた駆動トルクτ 1 に相当する駆動トルク設定値τ 1S と、駆動源の機械慣性J1および設定慣性Jsから、次式、
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