JP4225772B2 - 揚げ物用油脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な揚げ物用油脂組成物に関する。さらに詳細には、フライ、唐揚げなどの食感、風味および外観に影響を及ぼすことなく、加熱調理時における油脂の劣化、特に着色および加熱臭発生を抑制し、高温域においてもその効果を長時間持続することができる揚げ物用油脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
揚げ物用油脂としては、通常、菜種油、大豆油、ごま油、コーン油、紅花油、ひまわり油、米油、パーム油等の植物油が単独で、あるいはこれらを調合したものが、さらに、これらの油脂を水素添加、エステル交換などを行った加工油脂が用いられている。これらの油脂は、ごま油、オリーブ油のように油脂の風味を利用する場合を除いて、素材の風味を生かすために高度に精製された油脂が使用されており、目的に応じて最適の油脂を使い分けている。
【0003】
揚げ物は、高温下における具剤の水分と揚げ物用油脂の交換により調理されることが特徴である。比較的新しい油脂で揚げ物を行った場合には、油脂と具材の風味の相乗効果により風味は良好である。一方、使い込んで劣化した油脂では、油のべとつき、胸焼けなどの食感、風味、栄養価の低下を引き起こす。また、天ぷらなどでは油の着色が進んでいる場合、衣に油の色が付いてしまい、外観の悪いものに仕上ってしまう。そのため、常に風味、食感および外観の良い揚げ物を提供するために、揚げ物用油脂の劣化を抑制することが求められている。
【0004】
食品加工業や外食産業などの業務用の分野では、低コストで品質が同じものを大量に生産する必要がある。油脂の劣化度の判定方法としては、例えば、厚生労働省の弁当、惣菜の衛生規範があり、発煙点が170℃未満、酸価2.5以上、カルボニル価が50を超えたものは、新しい油と交換することが定められている。しかし、実際には油脂の着色が進行するので、これらの各数値が基準以下であっても、商品価値の低下を避けるため油脂の交換を行っており、それに伴ってコストの上昇と廃油量の増加による環境問題も引き起こしている。
【0005】
これらの問題を解決する方法として、従来からフィルターによる濾過機での揚げカスの除去、または活性白土やシリカゲルなどの多孔質な物質を通過させる方法が提案されている(例えば、特許文献1および2を参照)。しかし、これらの方法では、油脂の重合物および分解物を除去できないため、十分な解決方法とはいえない。
油脂自体からのアプローチとして、シリコーン樹脂を数ppm添加することによる熱酸化、重合の抑制などの措置が講じられている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0006】
しかし、シリコーン樹脂は揚げ物時、油脂から具材を引上げる時に具材に吸着するため、揚げ物油中のシリコーン量が徐々に減少し熱酸化の防止効果が減少する、シリコーン量の減少を考慮して添加量を増量すると新油における揚げ物時に特有の泡立ちが起こる、等の問題があり、シリコーン樹脂単独では十分な改良効果が得られていない。
一方、油脂は加熱をすると加熱臭を発し、この加熱臭が雰囲気中に充満すると、目の痛みや油酔いなどを引き起こし、作業効率の低下を招く。加熱臭の低減化について、リパーゼを油脂と分散、接触させる方法が提案されている(例えば、特許文献3および4を参照)。
【0007】
しかし、これらの方法では、高価な反応装置が必要となる上に、リパーゼと油脂との反応に長時間を要するなど、現実の作業に適応するには難があるのが実情である。
さらには、食用油脂に乳化剤を配合して油脂組成物を調製することも種々試みられており、例えば、1)有機酸モノグリセリドおよびポリグリセリン脂肪酸エステルを添加してなる揚げ物調理用油脂組成物、2)液状油脂に4.0重量%以下の乳化剤を添加する揚げ物調製用油脂組成物、3)香辛料抽出物と脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、有機酸モノグリセリドを添加する揚げ物用油脂組成物などが提案されている(特許文献5、6および7を参照)。
【0008】
しかし、1)においては、揚げ物調理における衣の花咲性を改良して食感を向上させ、また、調理中の油ハネを抑制することを目的としており、その点に関しては確かに効果は認められるものの、油脂組成物中に配合された有機酸モノグリセリドが独特の臭いを放つため、調理時に異臭が発生し、さらには揚げ物の風味を損なうなどの問題がある。
2)の場合も、揚げ物調理における衣の花咲性を改良して食感を向上させることを目的とし、ある程度の効果を発揮してはいる。しかし、その一方で、当該揚げ物用油脂組成物は、80℃における界面張力が3秒後に7mN/m以下になることを必須にしているため、乳化剤が界面付近に集まりすぎて油脂全体に均一に存在できず、油脂の劣化を抑制するには十分であるとは云い難い。
【0009】
3)においては、長時間使用しても揚げ物の風味を保持することを目的としており、香辛料のマスキング効果により硬化油でドーナツを調理した場合等の限られた範囲においては効果を発揮している。しかし、有機酸モノグリセリドは前述の通り独特の異臭を持つことに加え、香辛料は少量でも強い風味を与えるため汎用性が乏しく、特定の風味を持つ油脂として特定の揚げ菓子類に用いることはできても、一般的な天ぷらやフライなどの惣菜の場合は風味を損なう要因となって適さない。
【0010】
このような従来技術に係る問題点を解決するため、本発明者らは先に、乳化剤を食用油脂に添加してなる所定の性状値を有する油脂組成物を用いることにより、揚げ物製造時の着色、加熱臭を抑制する方法を提案した(特許文献8を参照)。
これにより揚げ物用油脂の性能を飛躍的に向上させることができ、少なくとも通常の加熱調理時の油脂の劣化抑制が可能となった。
しかし、当該方法によっても、高温域においては中々その効果を持続させることは難しく、畢竟、食品加工業、特に惣菜の製造現場など、勢い、温度管理等が不適切になりがちで、揚げ油が長時間高温に曝される可能性のある場合においては、外観と風味共に優れた揚げ物を安定して供給するにはなお道半ばというのが実情である。
【0011】
【特許文献1】
特開昭62−41279号公報
【特許文献2】
特開昭62−43478号公報
【特許文献3】
特開平11−127884号公報
【特許文献4】
特開2000−50893号公報
【特許文献5】
特開平9−74999号公報
【特許文献6】
特開平7−16052号公報
【特許文献7】
特開平6−113742号公報
【特許文献8】
特開2002−84970号公報
【非特許文献1】
藤田哲『食用油脂 その利用と油脂食品』 224頁他 幸書房
2000年 4月刊行
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、フライ、唐揚げなどの食感、風味および外観に影響を及ぼすことなく、調理時の油脂の劣化、特に着色、加熱臭を抑制し、高温域においてもその効果を長時間持続することができる揚げ物用油脂組成物を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、食用油に平均分子量345以上の乳化剤およびシリコーン樹脂を添加してなり、アニシジン価および吸光度を一定範囲に低下させ得る油脂組成物が、シリコーン樹脂単独では成し得なかった効果、すなわち、揚げ物用油脂の着色および加熱臭を抑制し、高温域においてもその効果を長時間持続する効果を得ることができるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、食用油100重量部に対し、下記(a)〜(e)で示される乳化剤の1種を規定重量部、およびシリコーン樹脂0.1〜10ppmを添加して得られる油脂組成物であって、該油脂組成物のアニシジン価(A)および吸光度(B)が下記式(1)および(2)を満たすことを特徴とする揚げ物用油脂組成物である。
(A0−A1)≧10 (1)
(B0−B1)≧0.03 (2)
〔但し、上記式中、A1は、食用油に乳化剤およびシリコーン樹脂を添加した油脂組成物300gを直径18cmの磁製皿にて180℃で5時間加熱した時のアニシジン価、A0は、食用油にシリコーン樹脂を添加したもの300gを同様の条件で加熱した時のアニシジン価、B1は、食用油に乳化剤およびシリコーン樹脂を添加した油脂組成物300gを直径18cmの磁製皿にて180℃で5時間加熱した時の400nmにおける吸光度、B0は、食用油にシリコーン樹脂を添加したもの300gを同様の条件で加熱した時の400nmにおける吸光度を表す。〕
(a)テトラグリセリンペンタオレエート;0.2重量部
(b)デカグリセリンデカオレエート;0.2重量部
(c)ヘキサグリセリンペンタオレエート:0.1重量部
(d)テトラグリセリンペンタオレエート;0.1重量部
(e)テトラグリセリンペンタオレエート;0.05重量部
【0015】
本発明で用いるシリコーン樹脂は、食用油脂に添加可能なものであれば特に限定されるものではなく、食品用シリコーン樹脂としては、オイル型、エマルジョン型、コンパウンド型があるが、このいずれでもよい。添加量は食品衛生法より鑑みて油脂に対して50ppm以下であることが必須であるが、10ppmを超えると、フライ用として使用した場合に特有な気泡の発生がみられるため好ましくない。望ましくは油脂に対して0.1〜10ppmであり、さらに望ましくは1〜5ppmである。
【0016】
揚げ物用油脂の耐熱性向上を狙って添加されるシリコーン樹脂は、油脂の界面に集まり、酸化される不飽和脂肪酸の界面濃度を低下させて熱酸化を抑制することが知られている。乳化剤の介在により、乳化剤とシリコーンの相乗効果でシリコーン膜が油脂表面に均一にでき、乳化剤が界面付近に集まると、酸化される不飽和脂肪酸の界面における濃度が低下する。そのため、シリコーンのみよりも不飽和脂肪酸、特にα−リノレン酸、リノール酸の熱酸化による分解速度が低下し、着色、加熱臭の原因となるカルボニル化合物の生成が抑制される。その効果は、乳化剤の構成脂肪酸が耐熱性のあるステアリン酸、またはオレイン酸の時に著しく発揮される。さらに、油脂に溶解した乳化剤が油脂のトリグリセライド分子間に存在することにより、加熱による分子間重合を阻害し、それに伴う劣化を抑制している。
【0017】
アニシジン価の低下が無添加と比較して10に満たない場合、および吸光度の低下が無添加と比較して0.03に満たない場合には、上記のような乳化剤による熱酸化の抑制が起きておらず、着色の抑制はみられない。乳化剤の平均分子量が345以上の場合は、加熱分解による減少が少ないため少量で効果を発揮するが、平均分子量が345に満たない場合には、熱分解の影響を受けやすいため、特に不充分な温度管理などの原因で揚げ物調理中に適温より高くなってしまうような状況下では、徐々に減少して劣化抑制効果が小さくなってしまう。さらに、アニシジン価および吸光度を上記のように低下させる当該揚げ物用油脂組成物においても、乳化剤の添加量が5重量部を超える場合は、油への溶解性が悪く、濁りや沈殿を生じてしまうと共に、乳化剤の風味が強く感じられて好ましくない。また、平均分子量345以上の乳化剤を使用した揚げ物用油脂組成物においても、0.005重量部に満たない場合は、酸化抑制効果が十分でない。乳化剤の油脂への添加量は、0.01〜1.0重量部が好ましく、さらに好ましくは、0.01〜0.1重量部である。
【0018】
本発明で用いる食用乳化剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、モノグリセリド等があるが、ポリグリセリン脂肪酸エステルは風味が好ましく、かつ劣化抑制効果が大きいため特に好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、平均グリセリン重合度2〜6であり、かつ平均エステル化率(エステル化されたポリグリセリンの水酸基の割合)が15%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/または平均グリセリン重合度10であり、かつ平均エステル化率が40%以上であることが好ましく、さらには、平均グリセリン重合度4〜6であり、かつ平均エステル化率が50%以上であることが好ましい。重合度や平均エステル化率が前記好ましい範囲に入らないポリグリセリン脂肪酸エステルを使用しても本発明の効果は得られるが、単位重量あたりの効果が相対的に少なく、十分に効果を発揮させるためには多く配合しなければならないので、結果として風味を損ねる場合もある。
【0019】
なお、ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸としては、特に限定されるものではないが、炭素数14〜24のものでは、例えば、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘニン酸、エルカ酸等が挙げられ、リノール酸、リノレン酸と比較すると酸化されにくいステアリン酸、オレイン酸が特に好ましい。また、ポリグリセリン脂肪酸エステル中の遊離グリセリンおよび遊離ポリグリセリンの合計含量は、1重量%未満であることが望ましい。
さらに、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、1種類または2種類以上を混合して使用することができ、他の乳化剤、例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなどと併用してもよい結果が得られる。また、他の酸化防止剤、例えば、トコフェロール、アスコルビン酸パルミテート、ローズマリー抽出物などとの併用でも好ましい結果が得られる。
【0020】
本発明で用いる食用油脂は、食用に適するものであれば特に限定されるものではない。例えば、常温で液状の食用油脂として、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、米油、サフラワー油、ひまわり油、オリーブ油など、また、常温で固形状の食用油脂として、パーム油、牛脂、豚脂などが挙げられる。また、前述の油脂を2種類以上混合した調合油、油脂を水素添加して得られる硬化油、固形油脂を分別して得られる分別油、油脂をエステル交換して得られる油などでもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を示すが、本発明は、これらの実施例に制限されるものではない。
【実施例1、2、4、参考実施例3、比較例1〜5】
鶏の唐揚げによる着色性評価を以下の通り実施した。
表1に示す配合で調製した油脂組成物300gを、直径18cmの磁製皿にて180℃で5時間加熱した時のアニシジン価、および400nmにおける吸光度を測定した。アニシジン価は基準油脂分析試験法(1996年)に準じて行った。吸光度は、U−2000形ダブルビーム分光光度計(日立製)で測定した。
直径23cmのステンレス製ボールに表1に示す組成の揚げ物用油脂組成物を700g入れ、鶏もも肉100gに唐揚げ粉(お肉を柔らかくする唐揚げ粉:昭和産業(株)製)10gをつけ、180℃で4分30秒揚げた。この操作を20分に1回、300分行うことで着色を進行させた。100分ごとに油脂約100g採取し、No.2のろ紙でろ過した後、ロビボンド法により色度を測定した。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
色度:ロビボンド法(133.4mmセル、10×赤+黄+20×青)数
値が大きいほど色が濃いことを示す。
A0−A1:無添加とのアニシジン価の差
B0−B1:無添加との吸光度の差
上記の結果から、本発明の規定した条件を満たす油脂組成物は、唐揚げフライによる着色が抑制されていることがわかる。
【0023】
【実施例5〜6、比較例6〜7】
鶏の唐揚げによる着色性評価を以下の通り実施した。
シリコーン3ppm添加菜種油をベース油として、テトラグリセリンペンタオレエート(PO-3S :阪本薬品工業株式会社製)、およびプロピレングリコールモノオレエートを表2に示す配合で調製した油脂組成物のアニシジン価、吸光度を同様に測定した。
直径23cmのステンレス製ボールに表2に示す組成の揚げ物用油脂組成物を700g入れ、一口大にカットした鶏もも肉100gに唐揚げ粉(お肉を柔らかくする唐揚げ粉:昭和産業(株)製)10gをつけ、180℃で4分30秒揚げた。この操作を1時間に3回行った後、210℃で1時間空加熱を行う揚げ作業を1工程として、4工程繰り返して着色を進行させた。フライ後の油脂の状態を目視にて観察した。結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
ベース油:シリコーン3ppm添加菜種油
A0−A1:無添加とのアニシジン価の差
B0−B1:無添加との吸光度の差
上記の結果から、本発明の規定する条件を満たす油脂組成物、特に乳化剤の平均分子量が条件を満たす場合は、高温においても着色抑制効果を発揮することがわかる。
【0025】
【実施例7、比較例8】
鶏の唐揚げによる着色性、および風味の評価を以下の通り実施した。
シリコーン3ppm添加菜種油をベース油として、テトラグリセリンペンタオレエート(PO-3S :阪本薬品工業株式会社製)を表3に示す配合で調製した油脂組成物のアニシジン価、吸光度を同様に測定した。
4Lフライヤーに表3に示す組成の揚げ物用油脂組成物を3kg入れ、鶏もも肉100gに唐揚げ粉(お肉を柔らかくする唐揚げ粉:昭和産業(株)製)10gをつけ、180℃で5分間揚げた。この操作を1時間に10回行った後、1.5時間空加熱を行い、これを1日3回、2日間繰り返して計15時間の揚げ操作を行った。No.2のろ紙でろ過した後、ロビボンド法により色度を測定した。また、加熱0.5時間後、および2日後に揚げた唐揚げの風味を官能評価した。結果を表3に示す。
【0026】
【表3】
色度:ロビボンド法(25.4mmセル、10×赤+黄+20×青)数値が大きいほど色が濃いことを示す。
A0−A1:無添加とのアニシジン価の差
B0−B1:無添加との吸光度の差
上記の結果から、本発明の規定した条件を満たす油脂組成物は、唐揚げフライによる着色が抑制され、唐揚げの風味も良好であることがわかる。
【0027】
【実施例8〜9、比較例9〜10】
表4に示す配合で調製した油脂組成物300gのアニシジン価、吸光度を同様に測定した。
なお、各4例ともテトラグリセリンペンタオレエート(PO-3S :阪本薬品工業株式会社製)を0.05%配合してある。
表4に示す配合で調製した油脂組成物300gを、直径18cmの磁製皿にて180℃で各々5時間、10時間、15時間加熱した。GC/MSにより油臭さ成分といわれるヘプタジエナールの発生量の比較、および15時間後の加熱臭を官能評価した。ヘプタジエナール発生量は、ヘッドスペースサンプラーHS40(PERKIN ELMER製)により150℃に維持した油から発生する臭気成分を捕集し、ガスクロマトグラフで分離した後、マススペクトロメーターQP-5000 (島津製作所製)にて測定した。結果を表4、および図1に示した。
【0028】
【表4】
上記の結果から、本発明の規定した条件を満たす油脂組成物は、加熱臭の発生が抑制されていることがわかる。
【0029】
【発明の効果】
以上に示す結果から判るように、本発明に係る揚げ物用油脂組成物は、フライ、唐揚げなどの食感、風味および外観に影響を及ぼすことなく、調理時の油脂の劣化、特に着色、加熱臭を抑制し、高温域においてもその効果を長時間持続することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例8および9と比較例9および10におけるヘプタジエナール発生量を示すグラフである。
Claims (1)
- 食用油100重量部に対し、下記(a)〜(e)で示される乳化剤の1種を規定重量部、およびシリコーン樹脂0.1〜10ppmを添加して得られる油脂組成物であって、該油脂組成物のアニシジン価(A)および吸光度(B)が下記式(1)および(2)を満たすことを特徴とする揚げ物用油脂組成物。
(A0−A1)≧10 (1)
(B0−B1)≧0.03 (2)
〔但し、上記式中、A1は、食用油に乳化剤およびシリコーン樹脂を添加した油脂組成物300gを直径18cmの磁製皿にて180℃で5時間加熱した時のアニシジン価、A0は、食用油にシリコーン樹脂を添加したもの300gを同様の条件で加熱した時のアニシジン価、B1は、食用油に乳化剤およびシリコーン樹脂を添加した油脂組成物300gを直径18cmの磁製皿にて180℃で5時間加熱した時の400nmにおける吸光度、B0は、食用油にシリコーン樹脂を添加したもの300gを同様の条件で加熱した時の400nmにおける吸光度を表す。〕
(a)テトラグリセリンペンタオレエート;0.2重量部
(b)デカグリセリンデカオレエート;0.2重量部
(c)ヘキサグリセリンペンタオレエート:0.1重量部
(d)テトラグリセリンペンタオレエート;0.1重量部
(e)テトラグリセリンペンタオレエート;0.05重量部
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