JP4211028B2 - 高圧放電ランプ点灯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧放電ランプ(以下、「ランプ」という)を高周波で点灯する高圧放電ランプ点灯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の高圧放電ランプ点灯装置においては、放電アークの起点が電極の先端から基端に向けて前後方向(高圧放電ランプの長手方向)に移動した場合に、周期的に高圧パルスを印加して放電アークの起点位置を電極先端に戻している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特許第3279322号公報(第5−7頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、放電アークの起点が電極上を前後方向に移動する以外にも、電極上を左右方向(高圧放電ランプの長手方向に直交する方向)に移動し、電極中心部から外れて放電してしまう場合があった。この現象により、放電アークが不安定となり、ちらつきや立ち消えが引き起こされることがあった。このような現象に対しては、従来技術のように、周期的に高圧パルスを印加しても、放電アークの起点を電極中心部に戻すことができず、問題であった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決し、放電アークの起点が電極中心部から外れて左右方向に移動した場合であっても、放電アークの起点を容易に電極中心部に戻すことが可能な高圧放電ランプ点灯装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の高圧放電ランプ点灯装置は、直流電源回路と、直流電源回路の出力電流を1kHz以上の高周波に変換するインバータ回路と、負性抵抗特性を有しインバータ回路の出力電流を通電する高圧放電ランプと、インバータ回路の出力周波数を制御し、高圧放電ランプを高周波点灯した際に発生し得る音響共鳴現象を引き起こさない周波数帯域に維持させる制御回路と、変動手段とを備え、変動手段は、出力周波数を音響共鳴現象を引き起す周波数を含むより低い周波数に切り換えて高圧放電ランプを流れるランプ電流を増大させ、増大したランプ電流と負性抵抗とに基づいて減少するランプ電圧と、ランプ電流とに基づいてインピーダンスを減少させて、放電アークの起点が高圧放電ランプの長手方向とは垂直な方向に電極中心部から外れるのを防止し、音響共鳴現象を引き起こす周波数では、切り換え後の周波数のパルス幅を音響共鳴現象が起こる時間より短くすることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る高圧放電ランプ点灯装置の好適な実施の形態について添付図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る高圧放電ランプ点灯装置の構成を示す回路図である。同図に示すように、直流電源回路1の両端にMOSFET2a,2bからなるインバータ回路2が接続され、インバータ回路2はドライバ回路(制御回路)3によって駆動制御されている。インバータ回路2の出力点には、コンデンサ4、チョークコイル5、高圧放電灯6(以下、「ランプ」という)が直列接続されている。
【0008】
チョークコイル5の1次巻線と2次巻線とは磁気的に結合され、チョークコイル5の2次巻数には、電源投入後にランプ6に高圧パルスを印加し、放電を開始させる始動回路7が接続されている。また、ドライバ回路3には周波数切換回路(変動手段)8が接続され、周波数切換回路8にはタイマー回路9が接続されている。周波数切換回路8は、タイマー回路9によって決定される周期及び幅でドライバ回路3の出力周波数を切り換えて、ランプ電流を周期的及びパルス的に増大させるものである。
【0009】
次に、本実施の形態の動作について説明する。まず、直流電源回路1からの直流電圧出力は、交互にオン/オフされるMOSFET2a,2bからなるインバータ回路2によって高周波に変換される。ドライバ回路3によって、インバータ回路2は出力周波数f1で駆動され、コンデンサ4とチョークコイル5の直列回路によって出力調整された電力がランプ6に印加される。ドライバ回路3の出力周波数は、周波数切換回路8によってパルス的にf2(f1>f2)に切り換えられる。
【0010】
図2に示すように、ドライバ回路3の出力周波数をf1からf2に切り換えることにより、ランプ6両端のインピーダンスZLは減少する。即ち、インピーダンスZLは、出力周波数fには直接は依存しないが、ランプ6は一般に負性抵抗特性を示すため、出力周波数fがf1からf2に減少してチョークコイル5のインピーダンスが減ると、ランプ電流が増大する。このランプ電流の増大によってランプ電圧が減少し、結果としてインピーダンスZLは減少することになる。
【0011】
次に、出力周波数f1,f2、出力周波数f2のパルス幅d及び切換周期Tの設定について説明する。
一般に高圧放電ランプを高周波で点灯する場合、ランプ内の音波の進行波と反射波の干渉作用により放電アークが曲げられ、立ち消えやランプ破壊などを引き起こすいわゆる音響共鳴現象が生じやすいことが知られている。従って、特に1kHz以上の高周波点灯時においては、音響共鳴現象が起こらない非共鳴周波数帯(以下、「窓」という)を選んで点灯すれば安定点灯が可能となる。
【0012】
図3は、定格電力35Wのセラミック製メタルハライドランプの共鳴周波数帯と窓との分布を示す図である。本実施の形態においては、出力周波数f1は、41〜45kHzの窓に含まれるいずれかの周波数に設定されている。
【0013】
また、点灯周波数が共鳴周波数帯に含まれても、音響共鳴現象が起こるまでは1m〜2msを要するため、パルス幅dが1ms以下であれば、出力周波数f2は出力周波数f1より小さい任意の周波数でよい。
さらに、切換周期Tは、出力周波数fの切換が視覚的に認識できない程度に短くする必要があり、20ms以下とするのが望ましい。
なお、本実施の形態においては、f1=41k〜44k(Hz)、f2=f1−10k(Hz)、d=1m(s)、T=11m(s)としている。
【0014】
次に、ランプ6内での放電アークの挙動について説明する。
図4はランプ6の模擬的な断面図である。バルブ10内に電極11a、11bが配置され、両電極間に放電アークが通じる。図4(b)に示すように、放電アークは通常電極の中心部A0を起点として安定するが、寿命が進むにつれ電極が劣化し、図4(c)に示すように電極先端がささくれる場合がある。これにより、点灯時のアークの起点がずれ、起点が中心部A0からA1、A2等の外側の点にずれてしまう。
なお、アーク起点がA0にある場合の放電アークのインピーダンスをZ0、A1の場合はZ1、A2の場合はZ2とする。
【0015】
ここで、Z0≒Z1≒Z2の状態で、放電アークの起点がA0からA1又はA2に移動した場合でも、Z0≒Z1≒Z2の状態が続けば、放電アークの起点はA0に自然に戻るが、起点がA1又はA2となった後に、Z1<Z0又はZ2<Z0となってしまった場合、放電アークの起点がA0に戻れなくなり、起点A2はさらに安定な点を追って電極上を移動することになる。
【0016】
最悪の場合、起点が電極中心部から更に離れた位置に移動し、起点が封入物101に接触してしまう。この時、封入物101の温度が急上昇して一気に蒸発してしてしまい、立ち消えることになる。従って、起点がずれかけてしまった場合に何らかのトリガを加え、放電アークの起点を電極中心部A0に戻すことが必要となる。
【0017】
本実施の形態では、ドライバ回路3の出力周波数を、周波数切換回路8によって周期的にf1からf2に切り換えているので、放電アークの起点がA0時のインピーダンスZ0が減少し、定常的にZ0<Zn(n=1、2)となる状態を作り出すことができる。その結果、放電アークの起点がAn(n=1、2)にずれた場合でも、周期的にZn>Z0となることにより、起点を常にAnからA0に戻すことができる。
【0018】
以上のように、周期的にドライバ回路3の出力周波数を下げ、ランプ6内のインピーダンスを減少させることによって、放電アークの起点が電極中心部から外れるのを効果的に防止することができる。
【0019】
図5は、放電開始からの放電状態の変化に伴うランプ電圧VLの変化を示す図である。同図によれば、放電開始からt1までの期間はアルゴン放電が続き、t1からt2までは水銀が蒸発し、t2から安定点灯に達するt3までは放電物質を構成する各種金属が蒸発する。なお、放電開始からt3までは約2分である。この際、各期間に応じて、出力周波数fの降下量(f1―f2)、パルス幅d又は動作周期Tを変化させてもよい。
また、本実施の形態においては、出力周波数fの降下量(f1―f2)を一定としたが、出力周波数f1の値にかかわらず、出力周波数f2を固定の値としてもよい。
また、出力周波数f2が出力周波数f1の属する窓内の場合(例えば、窓の下限周波数)、又は他の窓に属する場合は、パルス幅dは1ms以上であってもよい。
【0020】
実施の形態2.
次に、実施の形態2に係る高圧放電ランプ点灯装置を説明する。実施の形態1においては、周期的にドライバ回路3の出力周波数を下げ、ランプ6内のインピーダンスを減少させる例を示したが、本実施の形態においては、周期的に直流電源回路1の出力電圧を上昇させ、ランプ内6のインピーダンスを下げる例を示す。
【0021】
図6は、実施の形態2に係る高圧放電ランプ点灯装置の構成を示す回路図である。この実施の形態2が図1に示す実施の形態1と異なるのは、周波数切換回路8の代わりに、タイマー回路9によって周期的に直流電源回路1の出力電圧を上昇させる電圧切換回路(変動手段)12を備えている点である。その他の構成については実施の形態1と同一又は同等である。なお、実施の形態1と同一又は同等な構成部分については同一符号を付し、その説明は省略する。
【0022】
図7に示すように、電圧切換回路12によって周期的に直流電源回路1の出力電圧を上昇させることにより、ランプ6両端のインピーダンスZLは減少する。即ち、実施の形態1と同様、インピーダンスZLは、出力電圧Vdcには直接は依存しないが、ランプ6は一般に負性抵抗特性を示すため、出力電圧Vdcが上昇してランプ電流が増大すると、ランプ電圧が減少し、結果としてインピーダンスZLは減少することになる。
以上のように、放電アークの起点がずれた場合でも、周期的に直流電源回路1の出力電圧を上昇させて、ランプ6内のインピーダンスを減少させることにより、放電アークの起点が電極中心部から外れるのを防止することができる。
【0023】
なお、図7中の出力電圧Vdcの上昇幅ΔVdc、パルス幅d、切換周期Tは、ランプ6の特性に応じて任意に設定できるが、周期Tは切換動作が視覚的に認識できない程度に短くする必要があり、20ms以下とするのが望ましい。また、周期Tにおける実効電力がランプ6の定格電力の範囲に収まるように出力電圧Vdc、上昇幅ΔVdc及びパルス幅dを設定する必要がある。
【0024】
実施の形態3.
次に、実施の形態3に係る高圧放電ランプ点灯装置を説明する。実施の形態1,2においては、周期的にランプ6のインピーダンスを減少させ、アークの起点ずれを予防する例を示したが、本実施の形態においては、起点がずれた場合にそれを検出し、補正手段を動作させる例を示す。
【0025】
図8は、実施の形態3に係る高圧放電ランプ点灯装置の構成を示す回路図である。この実施の形態3が図1に示す実施の形態1と異なるのは、タイマー回路9の代わりに、ランプ電圧の所定値以上の上昇率又は電圧値を検知した場合に周波数切換回路8に通知するランプ電圧検出回路(変動手段)13を備えている点である。その他の構成については実施の形態1と同一又は同等である。なお、実施の形態1と同一又は同等な構成部分については同一符号を付し、その説明は省略する。
【0026】
図9(a)(b)は、出力周波数fとランプ6の実効電圧VLとの関係を示す図である。図9(a)は出力周波数fを一定(f1)にした場合の図であり、図9(b)は出力周波数fをパルス的にf1からf2に下げた場合の図である。ここで、ランプ6の実効電圧はアーク長に比例するので、放電アークの起点が電極中心部から外れるに従いアーク長が伸び、ランプ電圧は上昇する。
【0027】
図9(a)の場合には、ランプ電圧が上昇しても出力周波数fは一定のままなので、放電アークの起点が一層電極中心部から外れ、最後にはランプ6が立ち消えてしまう。一方、図9(b)の場合には、ランプ電圧検出回路13でランプ電圧の上昇を検出し、その上昇率又は電圧値が所定値を超えた場合には、検出信号がランプ電圧検出回路13から周波数切換回路8に出力される。検出信号を入力した周波数切換回路8は出力周波数fをパルス的にf1からf2に切り換える。このため、ランプ6内のインピーダンスが減少し、アークの起点がずれても速やかに元の位置に戻り、ランプ電圧は降下する。
【0028】
以上のように、アークの起点が電極中心部から外れたのを検知して、パルス的にランプのインピーダンスを下げることにより、放電アークの起点が電極中心部から外れるのを効果的に防止することができる。
【0029】
なお、図10に示す回路を用いて、ランプ電圧検出回路13がランプ電圧の上昇を検知した後に、直流電源回路1の出力電圧をパルス的に上昇させ、ランプ6のインピーダンスZLを下げることにより、放電アークの起点を元の位置に戻すようにしてもよい。
【0030】
実施の形態4.
次に、実施の形態4に係る高圧放電ランプ点灯装置を説明する。実施の形態1〜3においては、周期的又は異常発生時にパルス的にランプのインピーダンスを減少させる例を示したが、本実施の形態においては、双方を使い分ける例を示す。
【0031】
図11は、実施の形態4に係る高圧放電ランプ点灯装置の構成を示す回路図である。この実施の形態4が図1に示す実施の形態1と異なるのは、ランプ電圧の所定値以上の上昇率又は電圧値を検知した場合に周波数切換回路8に通知するランプ電圧検出回路13を更に備えている点である。その他の構成については実施の形態1と同一又は同等である。なお、実施の形態1と同一又は同等な構成部分については同一符号を付し、その説明は省略する。
【0032】
図12において、放電開始からt3までの期間は、放電アークそのものが不安定であり、出力周波数を大きく変動させた場合、その変動範囲が適切でないと立ち消える場合がある。
また、ランプ電圧検出回路13による検出で周波数切換回路8を動作させる場合、その検出精度によっては、アークの起点が大きく外れないと検出できない場合があり、対応が遅れた場合にちらつき等が視認されてしまう場合もある。従って、光束の安定が求められるt3以降では、周期的に動作させ、アークの起点がずれるのを予防した方が望ましい。一方、t1〜t3の期間は光束そのものが上昇し、変動しているため、多少のちらつきは許容される。
【0033】
従って、本実施の形態では、t1〜t3の期間はランプ電圧検出回路13で異常なランプ電圧の上昇を検出した時のみ、周波数切換回路8を動作させ(第1のモード)、t3以降はタイマー回路9によって周期的に周波数切換回路8を動作させている(第2のモード)。
以上のように、放電開始から安定点灯に達するまでの期間とその後で、周波数切換回路8の動作を適正化することにより、適切にアークの起点ずれを防止することができる。
【0034】
なお、本実施の形態においては、周波数を切り換えるものを示したが、直流電源の出力電圧を変化させるタイプ、若しくは始動回路を動作させるタイプ、又はその組合せを適用してもよい。
また、t1〜t3の期間にランプ電圧検出回路13に異常なランプ電圧の上昇が検出されない場合は、実質的にt3から第2のモードのみが実行される。
さらに、t1〜t3の期間が比較的に安定的に点灯できるランプの場合は、第2のモードのみを有効とする設定としてもよい。
【0035】
実施の形態5.
次に、実施の形態5に係る高圧放電ランプ点灯装置を説明する。実施の形態3においては、ランプ電圧の上昇率又は電圧値が所定値を超えた瞬間に出力周波数を下げる例を示したが、本実施の形態においては、同様の瞬間に始動回路を動作させる例を示す。
【0036】
図13は、実施の形態5に係る高圧放電ランプ点灯装置の構成を示す回路図である。この実施の形態5が図8に示す実施の形態3と異なるのは、周波数切換回路8の代わりに、ランプ電圧の所定値以上の上昇率又は電圧値を検知した場合に始動回路7を動作させるランプ電圧検出回路(変動手段)14を備えている点である。その他の構成については実施の形態3と同一又は同等である。なお、実施の形態3と同一又は同等な構成部分については同一符号を付し、その説明は省略する。
【0037】
始動回路7の本来の役割は、放電開始前にランプ6に4kV0−P程度の高圧パルスを印加して放電を開始させるものであり、点灯中は非動作状態となっている。点灯中はランプ両端のインピーダンスは数百Ωとなるので、始動回路を動作させても放電開始前ほどの高圧パルスは印加されないが、120V0−P程度のランプ電圧に対し、700〜800V0−Pのパルス電圧を重畳することができる。
【0038】
図14は、本実施の形態における高圧パルスの印加とランプ6の実効電圧VLとの関係を示す図である。同図に示すように、放電アークの起点が外れて実効電圧VLが上昇した瞬間に始動回路7を動作させれば、高圧パルスがランプ電圧に重畳され、この高圧パルスをトリガとして放電アークの起点が元の位置に戻り、実効電圧VLは降下する。
【0039】
以上のように、放電アークの起点が電極中心部から外れたのをランプ電圧検出回路14で検知して、始動回路7を動作させ、ランプ6に高圧パルスを印加するようにしたので、電極中心部から外れた放電アークの起点を迅速に元の位置に戻すことができる。
【0040】
実施の形態6.
次に、実施の形態6に係る高圧放電ランプ点灯装置を説明する。実施の形態1〜5においては、単一の手段を用いてアークの起点ずれを防止する例を示したが、本実施の形態においては、複数の手段を使い分ける例を示す。
【0041】
図15は、実施の形態6に係る高圧放電ランプ点灯装置の構成を示す回路図である。この実施の形態6が図1に示す実施の形態1と異なるのは、タイマー回路9の出力信号が始動回路7と周波数切換回路8の双方に与えられている点である。その他の構成については実施の形態1と同一又は同等である。なお、実施の形態1と同一又は同等な構成部分については同一符号を付し、その説明は省略する。
【0042】
図16は、点灯開始からの数分間における始動回路7による高圧パルス印加動作と、周波数切換回路8による周波数切換動作と、ランプの実効電圧VLとの関係を示す図である。放電開始からt3までの期間は、放電アークそのものが不安定であり、出力周波数を大きく変動させた場合、その変動範囲が適切でないとランプ6が立ち消える場合がある。
【0043】
そこで、放電開始からt3までの期間は、タイマー回路9からの出力信号が始動回路7にのみ与えられ、始動回路7からの高圧パルスがランプ6に印加されることにより、放電アークの起点のずれが元に戻る。また、放電アークが安定したt3以降は、タイマー回路9からの出力信号が周波数切換回路8にのみ与えられ、周波数切換回路8によってドライバ3の出力周波数fがf1からf2に切り換わることにより、放電アークの起点のずれが元に戻る。
【0044】
以上のように、放電開始から安定点灯に達するまでの期間とその後で、アークの起点ずれ防止の手段を適正化し、アークの起点ずれを適切に防止することができる。
なお、t3までの期間に周期的にランプ6に高圧パルスを印加するようにしたが、全体の点灯時間に対して点灯開始からの約2分間は十分短いことから、高圧パルス印加によるランプ寿命への影響は無視できる。
【0045】
なお、本実施の形態においては、高圧パルスを印加する方法と出力周波数を降下させる方法とを組み合わせたが、直流電源回路の出力を上昇させる方法と出力周波数を降下させる方法とを組み合わせてもよい。
【0046】
実施の形態7.
次に、実施の形態7に係る高圧放電ランプ点灯装置を説明する。実施の形態1〜6においては、放電アークの起点がずれるのを防止する例を示してきたが、本実施の形態においては、アークの起点ずれ防止とランプ電力を一定に保つための定電力制御を兼ねた構成の例を示す。
【0047】
図17は、実施の形態7に係る高圧放電ランプ点灯装置の構成を示す回路図である。この実施の形態7が図1に示す実施の形態1と異なるのは、直流電源回路1の負側とインバータ回路2との間に設けられ一端が接地した抵抗15と、タイマー回路9の出力信号に基づいて抵抗15に発生する電圧を検出する負荷電流検出回路16とを備えている点である。その他の構成については実施の形態1と同一又は同等である。なお、実施の形態1と同一又は同等な構成部分については同一符号を付し、その説明は省略する。
【0048】
負荷電流検出回路14は、抵抗15に発生する電圧を検出し、インバータ回路2の負荷電流を検出するものである。タイマー回路9において、負荷電流検出回路14の出力が一定になるように周波数切換周期Tをフィードバックする。即ち、負荷電流が目標値よりも小さい場合には、切換周期Tの値を小さくし、周波数f1の期間を短くすることによって(平均周波数を下げ)、負荷電流を増加させる。また、負荷電流が目標値よりも大きい場合には、切換周期Tの値を大きくし、出力周波数f1の期間を長くすることによって(平均周波数を上げ)、負荷電流を減少させる。
【0049】
本実施の形態においては、出力周波数f2の期間dは1msの固定値とし、切換周期Tを1.5ms〜20msの範囲で変化させる設定としている。図18は、この際の切換周期Tと負荷電流に比例したランプ電力との関係を示す図である。
上述したように、出力周波数f2のパルス幅dを1ms以内としているので、出力周波数f2が窓に属していなくても音響共鳴現象を引き起こすことがなく、放電アークの起点がずれるのを防止するとともに、ランプ電力を一定に保つことができる。
【0050】
なお、本実施の形態においては、パルス幅dを固定値としたが、切換周期Tと連動させて、パルス幅dが変動するようにしてもよい。例えば、切換周期Tの増加に対して、パルス幅dが単調減少するようにすれば、よりランプ電力変動範囲を広げることができる。
【0051】
実施の形態8.
次に、実施の形態8に係る高圧放電ランプ点灯装置を説明する。実施の形態1〜7においては、電気的なトリガにより放電アークの起点ずれを防止する例を示したが、本実施の形態においては、機械的に放電アークの起点ずれを防止する例を示す。
【0052】
通常、高圧放電ランプを鉛直方向に設置した場合、下側の電極において、アークの起点ずれが発生する。原因として、図19に示すようなバルブ10内部の対流により、アークの下側が大きな圧力を受けることが考えられる。
従って、バルブの向きが上下反転するような機構を設け、定期的に上下反転して点灯するようにして、アークの起点ずれを防止してもよい。
【0053】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内において、例えば以下のように変更することも可能である。
(1)上記実施の形態1〜8において、定格電力35Wのセラミック製メタルハライドランプを用いて実施の形態を説明したが、他の定格や他の材質の高圧放電ランプについて、同様の方法で点灯してもよい。
【0054】
(2)インバータ回路2はハーフブリッジ型のものを示したが、高周波電力を出力できればプッシュプル型、一石電圧共振型等のものであってもよい。
【0055】
(3)点灯開始後、所定のタイミングで、出力周波数の降下量、パルス幅若しくは動作周期、又は直流電源の電圧上昇量を変化させてもよい。
【0056】
【発明の効果】
本発明に係る高圧放電ランプ点灯装置は、変動手段によって高圧放電ランプ内のインピーダンスをパルス的に減少させているので、放電アークの起点が電極中心部から外れるの効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る高圧放電ランプ点灯装置の構成を示す回路図である。
【図2】ドライバの出力周波数とランプ両端のインピーダンスとの関係を示す図である。
【図3】定格電力35Wのセラミック製メタルハライドランプの共鳴周波数帯と窓との分布を示す図である。
【図4】ランプの模擬的な断面図である。
【図5】放電開始からの放電状態の変化に伴うランプ電圧の変化を示す図である。
【図6】実施の形態2に係る高圧放電ランプ点灯装置の構成を示す回路図である。
【図7】直流電源回路の出力電圧とランプのインピーダンスとの関係を示す図である。
【図8】実施の形態3に係る高圧放電ランプ点灯装置の構成を示す回路図である。
【図9】出力周波数とランプの実効電圧との関係を示す図である。
【図10】実施の形態3の変形例に係る高圧放電ランプ点灯装置の構成を示す回路図である。
【図11】実施の形態4に係る高圧放電ランプ点灯装置の構成を示す回路図である。
【図12】ランプ電圧検出回路及びタイマー回路の動作とランプの実効電圧との関係を示す図である。
【図13】実施の形態5に係る高圧放電ランプ点灯装置の構成を示す回路図である。
【図14】高圧パルスの印加とランプの実効電圧との関係を示す図である。
【図15】実施の形態6に係る高圧放電ランプ点灯装置の構成を示す回路図である。
【図16】始動回路による高圧パルス印加動作と周波数切換回路による周波数切換動作とランプの実効電圧との関係を示す図である。
【図17】実施の形態7に係る高圧放電ランプ点灯装置の構成を示す回路図である。
【図18】切換周期と負荷電流に比例したランプ電力との関係を示す図である。
【図19】バルブ内の対流を示す図である。
【符号の説明】
1…直流電源回路、2…インバータ回路、2a,2b…MOSFET、3…ドライバ回路(制御回路)、4…コンデンサ、5…チョークコイル、6…高圧放電灯、7…始動回路、8…周波数切換回路(変動手段)、9…タイマー回路、10…バルブ、11a,11b…電極、12…電圧切換回路(変動手段)、13,14…ランプ電圧検出回路(変動手段)、15…抵抗、16…負荷電流検出回路。
Claims (5)
- 直流電源回路と、
前記直流電源回路の出力電流を1kHz以上の高周波に変換するインバータ回路と、
負性抵抗特性を有し前記インバータ回路の出力電流を通電する高圧放電ランプと、
前記インバータ回路の出力周波数を制御し、前記高圧放電ランプを高周波点灯した際に発生し得る音響共鳴現象を引き起こさない周波数帯域に維持させる制御回路と、
変動手段とを備え、
前記変動手段は、出力周波数を音響共鳴現象を引き起す周波数を含むより低い周波数に切り換えて前記高圧放電ランプを流れるランプ電流を増大させ、この増大したランプ電流と前記負性抵抗とに基づいて減少するランプ電圧と、前記ランプ電流とに基づいてインピーダンスを減少させて、放電アークの起点が前記高圧放電ランプの長手方向とは垂直な方向に電極中心部から外れるのを防止し、音響共鳴現象を引き起こす周波数では、切り換え後の周波数のパルス幅を音響共鳴現象が起こる時間より短くすることを特徴とする高圧放電ランプ点灯装置。 - 直流電源回路と、
前記直流電源回路の出力電流を1kHz以上の高周波に変換するインバータ回路と、
負性抵抗特性を有し前記インバータ回路の出力電流を通電する高圧放電ランプと、
前記インバータ回路の出力周波数を制御し、前記高圧放電ランプを高周波点灯した際に発生し得る音響共鳴現象を引き起こさない周波数帯域に維持させる制御回路と、
変動手段とを備え、
前記変動手段は、前記直流電源回路の電圧を上昇させて前記高圧放電ランプを流れるランプ電流を増大させ、この増大したランプ電流と前記負性抵抗とに基づいて減少するランプ電圧と、前記ランプ電流とに基づいてインピーダンスを減少させて、放電アークの起点が前記高圧放電ランプの長手方向とは垂直な方向に電極中心部から外れるのを防止することを特徴とする高圧放電ランプ点灯装置。 - 前記変動手段は、周期的に動作することを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ点灯装置。
- 前記高圧放電ランプの両端電圧を検出する電圧検出回路を備え、
前記変動手段は、前記電圧検出回路によって検出された電圧の上昇率又は上昇値が所定値以上の場合に動作することを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ点灯装置。 - 前記高圧放電ランプの両端電圧を検出する電圧検出回路を備え、
前記変動手段は、前記電圧検出回路によって検出された電圧の上昇率又は上昇値が所定値以上の場合に動作する第1のモードと、周期的に動作する第2のモードとを有し、点灯開始後、所定のタイミングで、前記第1のモードと前記第2のモードとを切り替えることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ点灯装置。
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