JP3978603B2 - 固体酸化物形燃料電池用セル板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は固体酸化物形燃料電池(SOFC)に係わり、特に機械的強度に優れた薄肉成膜基板上に薄膜状の電池要素を形成することができ、作動温度の低温化と、薄型・小型化が可能な電池構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電解質としてジルコニアなどの酸化物からなる固体電解質を用いる固体酸化物形燃料電池においては、その動作温度が800〜1100℃程度と高温であることから、他の型式の燃料電池と比較して多くの特徴を備えている。すなわち、メタン等の内部改質ができるため発電装置としての構成の簡素化が可能、排熱利用による高効率化が可能、電解質の散逸の問題がないので取扱が容易、また、水素と共に一酸化炭素も燃料として使用できるため石炭ガスとの組合せに適するなどの特長を持っている。さらに、これらの特長に加えて、ガスタービン等と組合わせた高効率複合発電も期待されるなど、次世代型の燃料電池として有望視されている。
【0003】
一方、自動車などの移動体用の小型電源としては、起動−停止の多い使用条件下におけるヒートサイクルに対する耐久性を確保する観点から、運転温度の低温化が種々検討されている。
【0004】
例えば、特開平4−92369号公報には、無機多孔質基体上に、燃料極、厚さ20μm以下のセリア系固体電解質及び多孔質酸素極を形成し、無機多孔質基体を集電体、その空隙部を燃料ガス通路、多孔質酸素極の空隙部を酸化剤ガス通路とした低温作動固体電解質型燃料電池が提案されている。すなわち、当該燃料電池においては、固体電解質として酸素イオン伝導度の大きいセリア系セラミックスを用いると共にその薄膜化を図り、無機多孔質基体の表面に燃料極材料を成膜して燃料極の表面積を大きくして燃料ガスとの接触面積を増し、さらに多孔質状の酸素極を用いて酸化剤ガスとの接触面積を増すことによって、固体電解質の抵抗及び各電極反応の抵抗を減らして反応速度の低下を防止するようにしている。
【0005】
また、Plasma Sprayed Thin-Film for Reduced Operating Temperature, Fuel Cells Bulletin, pp597-600, 2000 には、燃料極/電解質/空気極を多孔質金属基体上に溶射法により成膜することによって、薄膜化を図ることが記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平4−92369号公報に記載された低温作動固体電解質型燃料電池においては、燃料極材料成膜後の無機多孔質基体の表面状態では、電解質を成膜できるだけの緻密性がないため、燃料極が成膜された無機多孔質基体に有機材料を塗布して乾燥した後、有機膜の表面をエッチングや精密研削などによって燃料極の表面が露出した平滑面を形成し、この平滑面に固体電解質を成膜するようにしている。そして、この固体電解質の表面に酸素極材料と有機材料とを同時に蒸着してこれら材料の混在膜を形成した後、燃料極/有機膜/固体電解質/(酸素極材料+有機材料)が成膜された無機多孔質基体を600〜1000℃に加熱して上記有機材料を除去するようにしていることから、工程数が増加するだけでなく、有機溶剤を除去する際の加熱によって多孔質基体が酸化されるために電気伝導性が劣化し、集電体として機能が低下すると共に、残留有機成分が電池特性を低下させる恐れがある。
【0007】
また、上記Fuel Cells Bulletinに記載の燃料電池においては、多孔質金属基体として十分なガス透過性を確保するには、粗な組織を有する金属焼結体を使用する必要があり、溶射成膜に耐え得るだけの強度を確保するには、厚板とせざるを得ず、薄板化が阻害されることとなる。
【0008】
本発明は、ガス通路及び集電体として機能する多孔質基体によって電池要素を支持して成る従来の固体酸化物形燃料電池における上記課題に着目してなされたものであって、ガス透過性及び機械的強度に優れた多孔質基板の上に薄膜状の電池要素を形成することができ、低温作動が可能な固体酸化物形燃料電池用セル板、およびこのようなセル板の製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の固体酸化物形燃料電池用セル板は、複数の孔及び/又は空隙を備えた金属基体の前記孔及び/又は空隙内をガス透過性及び電気伝導性を有する多孔質材で充填して成る基板上に、燃料極及び空気極の一方又は両方と電解質が形成してある構成としたことを特徴としており、固体酸化物形燃料電池用セル板におけるこのような構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0010】
また、本発明の固体酸化物形燃料電池用セル板の製造方法においては、金属基体の孔及び/又は空隙内に充填される多孔質材を湿式めっき法によって形成することができる。
【0011】
さらに、本発明の固体酸化物形燃料電池スタックは、本発明による上記固体酸化物形燃料電池用セル板をインターコネクタを介して積層してなる構成とし、本発明の固体酸化物形燃料電池は、上記本発明の固体酸化物形燃料電池スタックを備えた構成としたことを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
多孔質基板上に電池要素を形成したタイプの固体酸化物形燃料電池において、多孔質基板は、薄膜電池要素の支持部材としての十分な強度と、この電池要素により発電出力される電力を損失なく取り出すのに十分な電気伝導度と、さらに電池要素に燃料ガスおよび酸化ガスを供給するのに十分なガス透過性を備えていることが必要である。
本発明の固体酸化物形燃料電池用セル板においては、燃料極層、電解質層及び空気極層から成る電池要素を支持するための多孔質基板として、複数の孔や空隙を備えた金属基体、例えば発泡金属、パンチングメタル、金属メッシュ(金網)、エキスパンデッドメタル、金属不織布などから形成され、その孔(不織布については、金属繊維間の空隙)内にガス透過性と電気伝導性を備えた多孔質材を充填したものを使用している。すなわち、金属基体が芯となって強度を確保すると共に、金属基体の孔や空隙部が多孔質材によって封止されて表面の平滑度が向上することから、電池要素の薄膜形成が容易なものとなるばかりでなく、支持基板としての強度が向上して薄板化が可能となると共に、集電体としての電気抵抗が減少し、熱伝導が向上するため、小型で低温作動及び高速起動が可能なセル板が得られることになる。
【0013】
本発明の固体酸化物形燃料電池用セル板において、上記金属基体としては、板厚が500μm以下であって、100μm以下の孔や空隙を備えたものを使用することが望ましい。すなわち、孔の径や空隙の幅寸法が100μmを超えると多孔質材による封止処理(充填)が困難となる傾向があると共に、板厚が500μmを超えると薄板化によるセル/セル板の小型化が難しくなることによる。
【0014】
また、上記金属基体の孔や空隙を充填するための多孔質材としては、例えばニッケルやニッケルサーメット、ランタンコバルト系酸化物、ランタンマンガン系酸化物などの多孔質材を使用することができ、当該多孔質材の微小孔や空隙の大きさとしては、1μmを超えるとその上に電池要素薄膜を成膜することが難しくなることから、1μm以下とすることが望ましい。
このような多孔質材は、スプレー法やスクリーン印刷法、スリップキャスト法等のスラリー塗布法によっても形成することができるが、低温での封孔処理(充填)が可能となり、金属基体の酸化に基づく電気や熱の伝導性劣化による性能低下が回避されることから、湿式めっき法、例えば無電解めっき法や、無電解めっき液中に機能性粉体を分散させることによって金属と粉体を同時に析出させる共析めっき法などを適用することが望ましい。
【0015】
本発明の固体酸化物形燃料電池用セル板における電解質の材料としては、酸素イオン伝導性などを有する公知の電解質材料、例えば酸化ネオウジム(Nd2O3)、酸化サマリウム(Sm2O3)、イットリア(Y2O3)、酸化スカンジウム(Sc2O3)、酸化ガドリニウム(Gd2O3)などを固溶した安定化ジルコニアや、セリア(CeO2)系固溶体、酸化ビスマス固溶体、LaGa固溶体ぺロブスカイトなどを好適に使用することができる。
そして、当該電解質層の膜厚としては、後述するPVD成膜が工業的に可能になり、しかも電池の内部抵抗が減少することから、20μm以下とすることが好ましい。
【0016】
燃料極材料としては、ニッケルやニッケルサーメット(Ni−SDCなど)、白金などを使用することができる。また、空気極材料としては、ランタンコバルト系酸化物(LSCなど)、ランタンマンガン系酸化物(LSM、LCMなど)、サマリウムコバルト酸化物(SSCなど)等を使用することができる。
なお、多孔質材として、ニッケルやニッケルサーメットなどの燃料極材料を用いて上記金属基体の孔や空隙を充填した場合には、当該多孔質材を燃料極として機能させることができ、新たに燃料極を成膜する必要がなくなる。また、同様にランタンコバルト系酸化物、ランタンマンガン系酸化物などの空気極材料を多孔質材として用いた場合には、これを空気極として機能させることができ、空気極の成膜を省略することができる。
【0017】
上記電池要素、すなわち、電解質、燃料極、空気極は、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマ溶射法、AD法(エアロゾルデポジション法)、ガスデポジション法、レーザアブレーション法などのPVD法(物理的気相成長法)によって成膜することが望ましく、これによって、薄膜電池要素を低温で形成することができ、金属基体の酸化に基づく電池性能の低下が回避されるようになる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
【0019】
(実施例1)
図1(a)に示すように、Ni粉末から成る焼結体であって、平均径50μmの孔3aを有する板厚0.5mmの金属板を金属基体3として使用し、まず、当該金属基体3を希塩酸で酸洗浄した後、脱脂処理を施すことによって表面の酸化皮膜を除去した。
一方、硫酸ニッケル25g、次亜リン酸ナトリウム20g、酢酸ナトリウム10gを1kgの水に溶解し、pH5に調整しためっき液を準備し、これを80℃に恒温保持した。
そして、被膜除去処理を施した金属基体3を80℃に保持した上記めっき液中に所定時間浸漬して無電解めっきすることによって、金属基体3の孔3a内にニッケルから成る多孔質材4を充填すると共に、金属基体3の表面に厚さ100μmの多孔質材4からなる層を形成し、図1(b)に示すような基板2を得た。この多孔質材4の微細孔の平均径は、0.1μmであった。
【0020】
次に、無電解めっき後の上記基板2を水洗・乾燥したのち、スパッタガスとしてガス圧1Paのアルゴンを用い、300Wのスパッタパワーのもとで、NiOからなるターゲットと、SDC(Sm0.15Ce0.85O)から成るターゲットを用いて、NiO:SDCが質量比で6:4となるようにで共スパッタリングを行い、図1(c)に示すように、上記基板2の表面に、ニッケル及びSDCから成る燃料極5を5μmの厚さに成膜した。
【0021】
次いで、スパッタガスとしてガス圧0.2Paのアルゴンのもとで、YSZ(8モル%Y2O3−ZrO2)のターゲットを用い、300Wのパワーのスパッタ法により700℃で加熱成膜を行い、図1(d)に示すように上記燃料極5の表面に、YSZからなる電解質6を4μmの厚さに形成した。
【0022】
そして、スパッタガスとしてガス圧1Paのアルゴンを用い、300Wのスパッタパワーのもとで、SSC(Sm0.8Sr0.2O)から成るターゲットを用いたスパッタ法によって、図1(e)に示すように上記電解質6の表面に、SSCから成る空気極7を10μmの厚さに成膜することによって、合計厚さ約0.62mmの燃料電池用セル板1を得た。
【0023】
(実施例2)
金属基体3として、フォトエッチングによって形成された平均径100μmの孔3aを有する板厚0.3mmのステンレス鋼を使用し、上記実施例と同様の被膜除去処理及び無電解めっきを施すことによって、金属基体3の孔3a内にニッケルから成る多孔質材4を充填すると共に、金属基体3の表面に厚さ200μmの多孔質材4からなる層を形成して、合計厚さ0.5mmの基板2を得た。この多孔質材4の微細孔の平均径は、同じく0.1μmであった。
【0024】
そして、上記実施例と同様の要領によって、当該基板2の上に、ニッケル及びSDCから成る厚さ10μmの燃料極5、YSZから成る厚さ4μmの電解質6及びSSCから成る厚さ10μmの空気極7をこの順序に成膜することによって、図1(e)に示したものと基本的に同様の構造を有する合計厚さ約0.52mmの燃料電池用セル板1を得た。
【0025】
(実施例3)
金属基体3として、フォトエッチングを施すことによって形成された平均径が100μmの孔3aを有する板厚0.3mmのニッケル板材を使用し、上記実施例と同様の被膜除去処理を施した後、上記めっき液中に粒径0.8〜1.2μmのSDC粉末を混合して分散させた処理液中に所定時間浸漬し、処理液をよく攪拌しながら無電解共析めっきすることによって、金属基体3の孔3a内にニッケルとSDCから成る多孔質材4を充填して基板2とした。この時の多孔質材4の微細孔の平均径は、0.2μmであった。
【0026】
そして、上記実施例1と同様の要領によって、当該基板2の上に、ニッケル及びSDCから成る厚さ5μmの燃料極5、YSZから成る厚さ4μmの電解質6及びSSCから成る厚さ10μmの空気極7をこの順序に成膜することによって、図2に示すように、合計厚さ約0.32mmの燃料電池用セル板1を得た。
【0027】
(実施例4)
金属基体3として、Fe−Cr−Al合金繊維から成る焼結体であって、平均50μmの空隙を有する板厚0.25mmの金属板を使用し、上記実施例3と同様の被膜除去処理及び無電解共析めっきを施すことによって、金属基体3の空隙内にニッケルとSDCから成る多孔質材4を充填して基板2とした。この多孔質材4の微細孔の平均径は、同じく0.2μmであった。
【0028】
そして、上記各実施例と同様の要領によって、当該基板2の上に、ニッケル及びSDCから成る厚さ10μmの燃料極5、YSZから成る厚さ4μmの電解質6及びSSCから成る厚さ10μmの空気極7をこの順序に成膜することによって、図2と基本的に同様の構造をなす合計厚さ約0.27mmの燃料電池用セル板1を得た。
【0029】
(実施例5)
上記実施例2で得られたものと同様の基板2を用い、当該基板2の上に、実施例2と同じ構成の電池要素を電子ビーム蒸着法によって成膜し、図1(e)と同様の構造の燃料電池用セル板1を得た。なお、この時の真空度は5×10−1Pa、電子ビームの出力パワーは300Wとした。
【0030】
(実施例6)
金属基体3として、フォトエッチングを施すことによって形成された平均径が100μmの孔3aを有する板厚0.3mmのステンレス鋼を使用し、当該金属基体3に上記実施例と同様の被膜除去処理を施した。
【0031】
そして、塩化スズ塩酸水溶液で前処理後、0.1mol/L硝酸銀80mL、2mol/L水酸化ナトリウム16mL、2mol/Lアンモニア水中に、粒径0.8〜1.2μmのSSC粉末を分散させためっき液中に上記金属基体3を所定時間浸漬し、よく攪拌しながら無電解共析めっきすることによって、金属基体3の孔3a内に銀とSSCから成る多孔質材4を充填して基板2とした。当該多孔質材4の微細孔の平均径は、0.2μmであった。
【0032】
次に、共析めっき後の上記基板2を水洗・乾燥したのち、スパッタガスとしてガス圧1Paのアルゴンを用い、300Wのスパッタパワーのもとで、SSC(Sm0.8Sr0.2O)のターゲットを用いたスパッタ法によって、上記基板2の表面に、SSCから成る空気極7を5μmの厚さに成膜した。
【0033】
次いで、スパッタガスとしてガス圧0.2Paのアルゴンのもとで、YSZ(8モル%Y2O3−ZrO2)から成るターゲットを用い、300Wのパワーのスパッタ法により700℃で加熱成膜を行い、上記空気極7の表面に、YSZからなる電解質6を4μmの厚さに形成した。
【0034】
そして、スパッタガスとしてガス圧1Paのアルゴンを用い、300Wのスパッタパワーのもとで、NiOから成るターゲットとSDC(Sm0.15Ce0.85O)から成るターゲットを用いて、NiO:SDCが質量比で6:4となるようにで共スパッタリングを行い、上記電解質6の表面上に、ニッケル及びSDCから成る燃料極5を10μmの厚さに成膜することによって、図3に示すように、合計厚さ約0.32mmの燃料電池用セル板1を得た。
【0035】
以上の実施例によって得られた各燃料電池用セル板1の仕様を表にまとめて示す。いずれの実施例においても、薄板の成膜基板2の上に電池要素5,6,7を薄膜状に安定に形成することができ、肉厚の薄い燃料電池用セル板1が得られることが確認された。このような構造を備えた固体酸化物形燃料電池用セル板1は、インターコネクタを介して積層し、スタックとして燃料電池に組み込むことができ、小型で高性能であって、特に低温作動及び高速起動が可能な固体酸化物形燃料電池が得られることになる。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係わる固体酸化物形燃料電池用セル板は、電池要素を支持するための多孔質基板として、発泡金属やメッシュのような金属基体の孔や空隙内にガス透過性及び電気伝導性を備えた多孔質材を充填したものを使用しているいるので、金属基体が芯となって支持基板としての強度が確保されると共に、成膜基板としての表面平滑度が確保されることから、電池要素の薄膜形成が容易となると共に、支持基板の薄板化が可能となり、集電体としての電気伝導性、熱伝導性が向上するため、燃料電池用セル板の薄肉化、性能向上と共に、作動温度の低温化、起動時間の短縮が可能になるという極めて優れた効果をもたらすものである。
【0038】
また、本発明に係わる固体酸化物形燃料電池用セル板の製造方法においては、金属基体の孔や空隙内に多孔質材を形成するに際して湿式めっき法を採用したり、電池要素をスパッタ法や蒸着法などのPVD法によって成膜したりするようにしているので、比較的低温域で処理することができ、金属基体の酸化による種々の性能劣化を回避することができる。
【0039】
さらに、本発明に係わる固体酸化物形燃料電池スタックは、本発明よる上記固体酸化物形燃料電池用セル板をインターコネクタを介して積層してなる構成とし、本発明に係わる固体酸化物形燃料電池は、上記固体酸化物形燃料電池スタックを備えたものであるから、小型で高容量、しかも低温作動、高速起動が可能な燃料電池とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)は本発明の第1、第2および第5の実施例に係わる固体酸化物形燃料電池用セル板の製造工程を示す概略断面図である。
【図2】第3の実施例に係わる固体酸化物形燃料電池用セル板の構造を示す概略断面図である。
【図3】第6の実施例に係わる固体酸化物形燃料電池用セル板の構造を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 固体酸化物形燃料電池用セル板
2 基板
3 金属基体
3a 孔
4 多孔質材
5 燃料極
6 電解質
7 空気極
Claims (12)
- 複数の孔及び/又は空隙を備えた金属基体の前記孔及び/又は空隙内をガス透過性及び電気伝導性を有する多孔質材で充填して成る基板上に、燃料極及び空気極の少なくとも一方と電解質が形成してあることを特徴とする固体酸化物形燃料電池用セル板。
- 金属基体が100μm以下の孔及び/又は空隙を有する板厚500μm以下のものであることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池用セル板。
- 多孔質材が1μm以下の微小孔及び/又は空隙を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池用セル板。
- 電解質が20μm以下の膜厚に形成してあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の固体酸化物形燃料電池用セル板。
- 前記基板上に、燃料極及び空気極が電解質を挟んだ状態に形成してあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の固体酸化物形燃料電池用セル板。
- 多孔質材が燃料極材料からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の固体酸化物形燃料電池用セル板。
- 多孔質材が空気極材料からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の固体酸化物形燃料電池用セル板。
- 多孔質材が銀とSm0.8Sr0.2Oから成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の固体酸化物形燃料電池用セル板。
- 金属基体の孔及び/又は空隙内に充填される多孔質材を湿式めっき法によって形成することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の固体酸化物形燃料電池用セル板の製造方法。
- 前記基板上の電極及び電解質をPVD法によって形成することを特徴とする請求項9に記載の固体酸化物形燃料電池用セル板の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の固体酸化物形燃料電池用セル板をインターコネクタを介して積層してなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池スタック。
- 請求項11に記載の固体酸化物形燃料電池スタックを備えたことを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
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