JP3937027B2 - 気相からの高度に弗素化されたカルボン酸の回収 - Google Patents

Description

ドイツ特許第１９，５２７，２７６号明細書（１９９６年８月８日に特許出願公開された）は、高度に弗素化されたカルボン酸を気相から回収する方法において、排ガスを＞１．１５ｇ／ｃｍ³の密度のアルカリ洗浄溶液と接触させ、高度に弗素化されたカルボン酸の塩を別の相として析出させることを特徴とする、上記方法に関する。
この発明思想の更なる展開において、今や、アルカリ洗浄溶液として炭酸カリウム溶液を使用するのが有利であることがわかった。従って本発明は、排ガスを＞１．１５ｇ／ｃｍ³の密度のアルカリ洗浄溶液と接触させて、高度に弗素化されたカルボン酸の塩を別の相として分離する、排ガス流から高度に弗素化されたカルボン酸を回収する方法において、アルカリ洗浄溶液として炭酸カリウム溶液を使用することを特徴とする、上記方法に関する。
ドイツ特許第１９５２７２７６号明細書においてアルカリ洗浄溶液がアルカリ金属水酸化物溶液である場合には、精製すべき排ガス流が二酸化炭素を含有する場合に相応する炭酸塩が生じる。苛性ソーダ溶液を使用する場合には、炭酸ナトリウムがスクラバー塔でエンクラステーション(encrustation)することが判っている。更にこの炭酸塩の発生が水酸化ナトリウムを不都合にも消費してしまう。この欠点はアルカリ剤として炭酸カリウムを使用することで回避される。
炭酸カリウムの代わりに炭酸ナトリウムを使用する場合には、水酸化ナトリウムは確かに消費されないが、エンクラステーションがますます増加する。更に、炭酸ナトリウムは更に不所望の溶解挙動を示す。このことは、この方法に必要とされる密度を有する炭酸ナトリウムの溶液を冷却すると過飽和による析出物を生ずることで示される。これは炭酸カリウムの場合には該当しないので、導管および容器の加熱を省くことが可能である。
更に本発明者は、アルカリ剤として炭酸カリウムを使用した場合に高弗素化カルボン酸のカリウム塩が苛性カリ溶液を使用した場合よりも容易に濾過し得る状態で析出されることを見出した。上述の長所の他に、炭酸カリウムを使用する場合には吸収された二酸化炭素によってアルカリ剤が実質的に消費されないという長所がある。
アルカリ洗浄溶液の密度は好ましくは１．２〜１．４ｇ／ｃｍ³である。
別の詳細な事項については主特許のドイツ特許（Ｃ）第１９５２７２７６号明細書を引用し、その内容をここに記載したこととする。
本発明を以下の実施例によって更に詳細に説明する。
実施例：
２０００ｍｍの長さおよび２５０ｍｍの内径を有する市販のスクラバー中に、弗素化ポリマー粉末の乾燥工程からの１７１℃の温度の４００Ｎｍ³／時の排ガスを導入する。この排ガスは７５０ｍｇ／Ｎｍ³（３００ｇ／時に相当する）のペルフルオロオクタン酸を含有している。追加的に約２０ｋｇ／時の水がこの排ガスによって乾燥器から洗浄工程に搬送される。スクラバー塔中の圧力は約１ｂａｒ（絶対圧）である。
１．３０ｇ／ｃｍ³の密度および４５℃の温度を有する炭酸カリウム水溶液で実質的に構成される１０ｍ³／時のアルカリ洗浄液をノズルを通してスクラバーに導入する。０．８ｍｇ／Ｎｍ³（０．３２ｇ／時に相当する）のペルフルオロオクタン酸を含有する４００Ｎｍ³／時の洗浄済み排ガス流をスクラバーの下方部分から排出する。更に水蒸気（水の分圧に相当する）が、スクラバー中の約４５℃の支配温度で存在している。
スクラバーは並流状態で運転される。アルカリ洗浄媒体および生成するパーフルオロオクタン酸のカリウム塩は塔から０．４ｍ³の容積を持つ分離用容器に直接的に流れ込む。アルカリ洗浄溶液中に溶解していないペルフルオロオクタン酸のカリウム塩はどろどろ（pulpy）の層として上部に懸濁する。実質的にペルフルオロオクタン酸のカリウム塩をもはや含有していないアルカリ洗浄溶液は分離用容器の底部から引き出され、スクラバー塔にポンプによって戻される。洗浄媒体に溶解してペルフルオロオクタン酸カリウムの濃度は約１７０ｍｇ／Ｌである。洗浄液の密度は炭酸カリウムの添加によって約１．３０ｇ／ｃｍ³の所望の値に維持する。どろどろの層として分離するペルフルオロオクタン酸のカリウム塩は若干の洗浄媒体と一緒に分離用容器を溢流してタンク中に流れ込む。この排出工程は、上部層に直接的に浸漬された非常に遅い攪拌機によって補助する。洗浄溶液とスクラバー容器中に生ずるペルフルオロオクタン酸カリウムの泡状物との分離は非常に良好である。
タンクでは、数時間放置後に別の二つの相、即ち、実質的に過剰の洗浄液よりなる下側相とどろどろの上側相に分離する。下側相は分離除去され、洗浄工程に再循環される。
どろどろの上側相は３６重量％のペルフルオロオクタン酸カリウムを含有している。
こうして得られる濃厚物を後処理して、１００重量％の純度のペルフルオロオクタン酸を得る。
こうして得られる濃厚物は攪拌可能でポンプ搬送可能な混合物であるが、ペルフルオロオクタン酸のカリウム塩の安定な溶液ではないと云える。安定な溶液を得るためには、更に多い水を添加する必要がある。しかしながらこれは後処理のためには必ずしも必要ない。
分離された下側相を上述の洗浄工程に戻されるので、ペルフルオロオクタン酸は失われない。数週間運転した後に塔中にエンクラステーションによる洗浄工程への悪影響は認められない。

Claims (1)

1. 弗素化ポリマー粉末の乾燥工程からの排ガスを＞１．１５ｇ／ｃｍ³の密度のアルカリ洗浄溶液と接触させて、高度に弗素化されたカルボン酸の塩を別の相として分離する、排ガス流から高度に弗素化されたカルボン酸を回収する方法において、アルカリ洗浄溶液として炭酸カリウム溶液を使用することを特徴とする、上記方法。