JP3888936B2 - ビスフェノールa製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビスフェノールA製造用固体触媒に関し、詳しくは、スルホン酸基とメルカプト基を共に有する固体触媒の存在下、アセトンとフェノールとの脱水縮合によりビスフェノールAを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ビスフェノールA[2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン]は通常、固体触媒にアセトンとモル比にして8〜15倍の過剰のフェノールを通液する、いわゆる固定床流通反応の形態で連続的に製造されている。
【0003】
従来、これらの固体触媒としては、陽イオン交換樹脂もしくはメルカプト基を有する含窒素化合物で部分的に中和し、メルカプト基を固定化したメルカプト変性陽イオン交換樹脂(特開昭57−035533号、特開平08−038910号、特開平08−071433号、特開平08−187436号、特開平10−211433号)を用いる技術が知られている。
【0004】
また、変性イオン交換樹脂触媒においては、特開平6−172241号公報に記載されているように原料中に微量の水を添加することで触媒寿命が大きく延長される事が知られている。
【0005】
しかしながら、陽イオン交換樹脂の場合、基本骨格がポリスチレンであるため、その有機的性質により、物理的、化学的特性に起因する一連の適用技術上の限界を有する。具体的には100〜130℃の比較的低い温度安定性、また強い膨潤性のため物理的な破壊を起しやすい等が挙げられる。
【0006】
これに対して、無機マトリックスの場合、かかる欠点の大部分を避けることが可能である。例えば、酸化アルミニウム、シリカゲル、酸化チタン等は強固な構造、非膨潤性、高い温度安定性を有している。特にスルホン酸基を有する有機高分子シロキサン(特開昭59−20325号、特開昭61−272237号、特開平6−207021号)は無機ポリマー骨格の利点を有しており、高い耐熱性、物理的強度の高さ、及び高表面積を有している。したがって、陽イオン交換樹脂の代わりにスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンをメルカプトアルキルアミンで部分的に中和した変性有機高分子シロキサン触媒はビスフェノールA製造用触媒として有望である。
【0007】
しかし、システアミン等一般的に知られているメルカプトアルキルアミンでは反応温度の増大と共に急激に触媒寿命が減少するため、有機高分子シロキサン触媒の高い耐熱性を生かすことが困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、スルホン酸基とメルカプト基を共に有する固体触媒の存在下、アセトンとフェノールの脱水縮合によりビスフェノールAを製造する方法を提供するものである。特に、メルカプトアルキル基を有するピリジン化合物が、スルホン酸基の3〜70%に付加したスルホン酸基を有する有機高分子シロキサン触媒の存在下、アセトンとフェノールの脱水縮合によりビスフェノールAを製造する方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこれらの課題を解決するため鋭意検討した結果、メルカプトアルキルアミン化合物がスルホン酸基含有有機高分子シロキサンのスルホン酸基とイオン結合したアンモニウムカチオン部を、ピリジン化合物を付加させたスルホン酸とすることで、触媒寿命が大幅に向上することが判明し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、メルカプトアルキル基を有するピリジン化合物でスルホン酸基の一部を付加したスルホン酸基を有する有機高分子シロキサン触媒の存在下、アセトンとフェノールとの脱水縮合によりビスフェノールAを製造する方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるスルホン酸基を有する有機高分子シロキサン触媒とは、特開昭59−20325号、特開昭61−272237号、特開平6−207021号に記載されている、シロキサン結合からなるシリカマトリックス中に部分的にスルホン酸基含有炭化水素基が直接シリカマトリックス中のケイ素原子と炭素−ケイ素結合により結合した構造を有する有機高分子シロキサンである。
【0012】
スルホン酸基を有する炭化水素基は、少なくとも1個のスルホン酸基(−SO3H)を有する炭化水素基であればいかなる炭化水素基であっても本発明に使用することが可能である。
【0013】
スルホン酸基を有する炭化水素基としては、好ましくはスルホン酸基を少なくとも1個有する炭素数1〜20の炭化水素基が挙げられる。より好ましくは炭素数6〜20、更に好ましくは炭素数6〜15の少なくとも1個のスルホン酸基を有する置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基(芳香族基に直接スルホン酸基が置換された基でも、芳香族基に置換された炭化水素基にスルホン酸基が置換された基でもよい)、または、少なくとも1個のスルホン酸基を有する炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜10の置換もしくは無置換の脂肪族および脂環式炭化水素基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の炭化水素基が挙げられる。
【0014】
このようなスルホン酸基を有する炭化水素基の例としては、少なくとも1個のスルホン酸基により核置換されたフェニル基、トリル基、ナフチル基、メチルナフチル基等の芳香族炭化水素基、ベンジル基、ナフチルメチル基等の芳香族置換アルキル基等、少なくとも1個のスルホン酸基で置換された、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、直鎖または分枝のペンチル基、直鎖または分枝のヘキシル基、直鎖または分枝のヘプチル基、直鎖または分枝のオクチル基等の飽和脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基等の脂環式炭化水素基が挙げられる。さらにこれらの芳香族または飽和の脂肪族ないしは脂環式炭化水素基は、スルホン酸基の他にハロゲン原子、アルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基等の置換基を有する炭化水素基であってもよい。
【0015】
このような有機高分子シロキサン触媒の調製方法としては例えば以下の方法で調製することが可能である。しかしながら、本発明で用いる有機高分子シロキサン触媒はこれら調製法のみに限定されることはない。実施しやすい調製方法としては、例えば、(1)スルホン酸基含有炭化水素基を有するアルコキシシランとテトラアルコキシシランとを任意の割合で混合し、加水分解し、共縮合する調製法、(2)水溶性のスルホン酸基含有炭化水素基を有するアルコキシシランの加水分解物とテトラアルコキシシランとを任意の割合で混合し、加水分解させて共縮合する調製法といった、いわゆるアルコキシシランのゾル−ゲル法による調製法(1)や(2)の他に、(3)スルホン酸基含有炭化水素基を有するアルコキシシランを有機高分子シロキサンに存在するシラノール基にシリル化し、スルホン酸基を固定化する、いわゆるシリル化による調製法が知られている。これら有機高分子シロキサン触媒は高い触媒活性を有する多孔性物質である。
【0016】
本発明で使用するメルカプトアルキル基を有するピリジン化合物とはピリジン環にメルカプトアルキル基が結合した含窒素化合物である。このような含窒素化合物としては、具体的には例えば、4−ピリジルメタンチオール、3−ピリジルメタンチオール、2−ピリジルメタンチオール、2−(4−ピリジル)エタンチオール、2−(3−ピリジル)エタンチオール、2−(2−ピリジル)エタンチオール、3−(4−ピリジル)プロパンチオール、3−(3−ピリジル)プロパンチオール、3−(2−ピリジル)プロパンチオール等が挙げられる。
【0017】
スルホン酸基を有する有機高分子シロキサンのメルカプトアルキル基含有ピリジン化合物による修飾は、その樹脂を水中又は有機溶媒中でメルカプトアルキル基含有ピリジン化合物と混合することによって行うことができる。有機溶媒としては、ピリジン化合物を溶解させるものであれば特に限定されない。反応温度としては、常温又は加温が採用され、反応時間は、特に長時間を必要とせず数分で充分であるが、均一に反応させるため反応混合物は撹拌されていることが好ましい。この反応においては、未修飾樹脂中に含まれるスルホン酸基の一部、通常、3〜70%、好ましくは10〜60%がメルカプト基に変換されるように行うのがよい。
【0018】
メルカプト基で修飾したスルホン酸基含有有機高分子シロキサン触媒を充填した固定床流通反応装置を用いてビスフェノールAを製造する場合、原料であるアセトンとフェノールとはモル比で1:3〜15の範囲、また反応温度は70℃〜130℃の範囲での一般的な条件の下に実施される。固体触媒の酸量は、過剰の塩化ナトリウム水溶液で処理し、遊離した塩酸を定量することで求められる。またメルカプト量はよう素による酸化還元滴定、または硝酸銀水溶液を用いて銀メルカプチドを生成させることにより求めることが可能である。
【0019】
【実施例】
次に、実施例及び、比較例により、本発明を具体的に説明する。しかしながら本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0020】
比較例1
(1)スルホン酸基含有シロキサン原料の合成
滴下漏斗を取り付けた2口の500mlの丸底フラスコに塩化メチレンを100ml入れ、これにフェニルトリクロロシラン130.0g(0.62mol)を加え、氷冷した。これに無水硫酸50.0g(0.62mol)の塩化メチレン溶液20mlを2時間かけて滴下した。滴下後、氷浴を取り外し、室温でさらに1時間攪拌した。次いで100℃の油浴で加熱し、塩化メチレンを留去した。
【0021】
さらに冷却管を取り付けた後、エタノール111.0gを窒素気流下、塩化水素を取り除きながら、2.5時間かけて滴下し、さらに2時間還流してエトキシ化反応を行った。得られたフェニルスルホン酸基含有トリエトキシシランのエタノール溶液214.0gを以下のスルホン酸基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサン触媒のゾル−ゲル調製におけるスルホン酸成分の原料として用いた。
【0022】
(2)有機高分子シロキサン触媒の調製
攪拌棒を取り付けた3口の500mlの丸底フラスコに上記で得たフェニルスルホン酸基含有トリエトキシシランのエタノール溶液42.0g、テトラエトキシシラン150.0g(0.72mol)、エタノール150mlを入れて混合した。これに水30.0gを5分間で滴下し、60℃で3時間攪拌した。
【0023】
放冷した後、水140.0gを5分間で滴下し、さらに28%アンモニア水15mlを滴下すると反応液は急速に固形化した。これを室温で4時間放置した後、60℃で3日間熟成させた。熟成後10mmHgの減圧下、100℃で溶媒を留去し、乾燥固体を得た。
【0024】
この乾燥固体を500mlのビーカーへ移し、2Nの塩酸200mlを加えて室温で30分間攪拌した後濾別する作業を2回繰り返し、スルホン酸基をH+型にした。酸処理後、イオン交換水500mlで洗浄し、これを10mmHgの減圧下、100℃で5時間乾燥させ、スルホン酸基を有する有機高分子シロキサン触媒62.0gを得た。この固体酸量を上記した方法により測定すると0.87mmol/gであった。
【0025】
(3)システアミンによる有機高分子シロキサン触媒の修飾
上記で得た有機高分子シロキサン触媒17.7g、水200mlを入れ、攪拌棒付き攪拌機で攪拌し懸濁させる。これにシステアミン3.8mmolを100mlの水に溶解させた水溶液を滴下ロートを用いて30分かけて滴下した。室温で30分間攪拌した後、濾別し、水100mlで洗浄した。さらに10mmHgの減圧下、100℃で4時間乾燥し、アンモニウム修飾型有機高分子シロキサン触媒17.8gを得た。
【0026】
この固体酸量、固体メルカプト量を上記した方法により測定すると固体酸量は0.65mmol/g、固体メルカプト量は0.20mmol/gであった。すなはちスルホン酸基の24%がイオン交換された計算となる。
【0027】
(4)ビスフェノールA合成反応
上記で得たアンモニウム修飾有機高分子シロキサン触媒、8.2g(11cc)を円筒形反応器(直径1.50cm、長さ15cm)に充填した。この反応器の下側からモル比が5:1のフェノール/アセトンの混合物を10.50g/hrの速度で触媒中を通過させた。反応温度は100℃とし、5時間後に得られた反応生成物を液体クロマトグラフィーで分析した結果、アセトンの転化率は55%で、ビスフェノールAの選択率は91%であった。
【0028】
反応を継続し、300時間後に得られた反応生成物を同様に分析した結果、アセトンの転化率は44%、ビスフェノールAの選択率は91%と300時間使用時における転化率の低下が11%と大きく低下した。
【0029】
実施例1
(1)メルカプトアルキル基含有ピリジン化合物による有機高分子シロキサン触媒の修飾
500mlビーカー中に上記で得た有機高分子シロキサン触媒17.7g、水200mlを入れ、攪拌棒付き攪拌機で攪拌し懸濁させた。2−(4−ピリジル)エタンチオール3.8mmolを100mlの水に溶解させた水溶液を滴下ロートを用いて30分かけて滴下した。室温で30分間攪拌した後、濾別し、水100mlで洗浄した。さらに10mmHgの減圧下、100℃で4時間乾燥し、アンモニウム修飾型有機高分子シロキサン触媒18.0gを得た。
【0030】
この固体酸量、固体メルカプト量を上記した方法により測定すると固体酸量は0.60mmol/g、固体メルカプト量は0.23mmol/gであった。すなはちスルホン酸基の27%がイオン交換された計算となる。
【0031】
(2)ビスフェノールA合成反応
上記で得たピリジン化合物修飾有機高分子シロキサン触媒8.2g(11cc)を円筒形反応器(直径1.50cm、長さ15cm)に充填した。この反応器の下側からモル比が5:1のフェノール/アセトンの混合物を10.50g/hrの速度で触媒中を通過させた。反応温度は100℃とし、5時間後に得られた反応生成物を液体クロマトグラフィーで分析した結果、アセトンの転化率は67%、ビスフェノールAの選択率は92%であった。
【0032】
反応を継続し、300時間後に得られた反応生成物を同様に分析した結果、アセトンの転化率は65%、ビスフェノールAの選択率は92%であり、300時間後のアセトン転化率の低下は2%であった。
【0033】
比較例1の300時間使用時におけるアセトン転化率の低下11%と比較して、実施例1のアセトン転化率の低下は2%であり、活性低下が大きく抑制されていることがわかる。
【0034】
実施例2
(1)スルホン酸基含有シロキサン原料の合成
滴下漏斗を取り付けた2口の500mlの丸底フラスコに塩化メチレンを100ml入れ、これにフェニルトリクロロシラン42.0g(0.20mol)を加え、氷冷した。これに無水硫酸39.3g(0.49mol)の塩化メチレン溶液20mlを1時間かけて滴下した。滴下後、氷浴を取り外し、10時間還流した。還流下、エタノール51.0g(1.11mol)を1時間かけて滴下し、た後、塩化メチレンを留去した。
【0035】
さらに、エタノール51.0gを加えた後、2時間還流し、エトキシ化反応を行った。得られたフェニルスルホン酸基含有トリエトキシシランのエタノール溶液150.0gを以下のスルホン酸基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサン触媒のゾル−ゲル調製におけるスルホン酸成分の原料として用いた。
【0036】
(2)有機高分子シロキサン触媒の調製
攪拌棒を取り付けた3口の500mlの丸底フラスコに上記で得たフェニルスルホン酸基含有トリエトキシシランのエタノール溶液135.0g、テトラエトキシシラン119.0g(0.57mol)、エタノール100mlを入れて混合した。これに水24.0gを15分間で滴下し、60℃で3時間攪拌した。放冷した後、水120.0gを5分間で滴下し、さらに28%アンモニア水35mlを滴下すると反応液は急速に固形化した。
【0037】
これを室温で4時間放置した後、60℃で3日間熟成させた。熟成後10mmHgの減圧下、100℃で溶媒を留去し、乾燥固体を得た。この乾燥固体を500mlのビーカーへ移し、2Nの塩酸300mlを加えて室温で30分間攪拌した後濾別する作業を2回繰り返し、スルホン酸基をH+型にした。酸処理後、イオン交換水500mlで洗浄し、さらに10mmHgの減圧下、100℃で16時間乾燥し、スルホン酸基を有する有機高分子シロキサン触媒57.0gを得た。この固体酸量を上記した方法により測定すると1.46mmol/gであった。
【0038】
(3)含窒素メルカプト化合物による有機高分子シロキサン触媒の修飾
500mlビーカー中に上記で得た有機高分子シロキサン触媒17.7g、水200mlを入れ、攪拌棒付き攪拌機で攪拌し懸濁させた。これに2−(4−ピリジル)エタンチオール塩酸塩11.6mmolを100mlの水に溶解させた水溶液を滴下ロートを用いて30分かけて滴下した。室温で30分間攪拌した後、濾別し、水100mlで洗浄した。
【0039】
さらに10mmHgの減圧下、100℃で4時間乾燥し、変性有機高分子シロキサン触媒18.0gを得た。この固体酸量、固体メルカプト量を上記した方法により測定すると固体酸量は0.80mmol/g、固体メルカプト量は0.65mmol/gであった。すなわちスルホン酸基の45%がイオン交換された計算となる。
【0040】
(4)ビスフェノールA合成反応
上記で得た変性有機高分子シロキサン触媒8.2g(11cc)を円筒形反応器(直径1.50cm、長さ15cm)に充填した。この反応器の下側からモル比が5/1/0.4のフェノール/アセトン/水の混合物を10.50g/hrの速度で触媒中を通過させた。反応温度は100℃とし、5時間後に得られた反応生成物を液体クロマトグラフィーで分析した結果、アセトンの転化率は63.1%、ビスフェノールAの選択率は92%であった。
【0041】
反応を継続し、300時間後に得られた反応生成物を同様に分析した結果、アセトンの転化率は62.9%、ビスフェノールAの選択率は92%であり、300時間後も触媒活性は低下していなかった。
【0042】
比較例2
(1)含窒素メルカプト化合物による有機高分子シロキサン触媒の修飾
1000mlビーカー中でイオン交換水150mlに懸濁させたアンバーリスト31(ローム&ハース社製、交換容量1.80meq/wet−g)50gに、2−(4−ピリジル)エタンチオール塩酸塩19mmolを100mlのイオン交換水に溶解させた水溶液を滴下ロートを用い、30分かけて滴下した。室温で30分間攪拌した後、濾別し、イオン交換水500mlで洗浄し、変性イオン交換樹脂52gを得た。
この固体酸量を上記した方法により測定すると、固体酸量は1.40meq/wet−gであった。
【0043】
(2)ビスフェノールA合成反応
この変性イオン交換樹脂18.0g(22cc)を円筒形反応器(直径1.50cm、長さ15cm)に充填した。この反応器の下側から70℃でフェノールをLHSV=5hr-1で24時間通液した。別途、ガラスカラムを用い、上記の水膨潤した変性イオン交換樹脂触媒22ccがフェノール流通処理により乾燥し、11ccに収縮することを確認した。
【0044】
次にフェノール/アセトン/水モル比5/1/0.4の混合液を10.50g/hrの速度で触媒中を通過させた。反応温度を100℃とし、5時間後に得られた反応生成物を液体クロマトグラフィーで分析した結果、アセトンの転化率は54.0%で、ビスフェノールAの選択率は90%であった。
【0045】
【発明の効果】
本発明の方法においては、スルホン酸基含有有機高分子シロキサン触媒のスルホン酸基の一部がメルカプトアルキル基を有するピリジン化合物で付加されているので、触媒活性が高く、触媒寿命も向上している。安全かつ経済的なビスフェノールA製造用触媒として、工業上重要であるビスフェノールA製造をプロセス上および経済上著しく優位に行うことができる。
Claims (1)
- メルカプトアルキル基を有するピリジン化合物により、スルホン酸基の3〜70%が付加されたスルホン酸基を有する有機高分子シロキサンの存在下、アセトンとフェノールとの脱水縮合によりビスフェノールAを製造する方法。
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