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JP3880622B2 - 生物細胞を維持及び培養に使用するポータブルカセット - Google Patents

生物細胞を維持及び培養に使用するポータブルカセット Download PDF

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Description

発明の背景
1.序説
本発明は、生体外で生物細胞を維持し培養するための装置に関し、より詳細には、外部環境に対して閉じた無菌システムを保守しながら、携帯用カセット内で細胞を維持し培養するこの種の装置に関する。
多くの医学的疾患が現在、移植された細胞、組織または臓器を使用することによって解消できる。移植は患者の体のある一部分から他の部分への組織の外科的移植から、個人間の臓器や組織の外科的移植、また個人間の血液および免疫システムの移植へと発展した。組織移植の医学上の利点が示されることが多くなるにつれて、こうした処置に適した臓器および組織の需要が入手可能量をはるかに超えるようになった。さらに、入手可能性がより低い、例えば、骨髄の場合、この処置は費用が極端に高く、提供者または患者にとって危険なことがある。
臨床面での必要性が進展するにつれて、「細胞療法」および「組織工学」と呼ばれる2つの関連分野が発達した。細胞療法は、一般に、臨床的な傷害または疾患を治療するために薬剤ではなく生体細胞を使用する。おそらく今日もっとも広く実施されている細胞療法は、造血に有害な化学療法または放射線を受けた患者の骨髄または造血幹細胞の移植である。この処置は骨髄で作られる発生初期段階の細胞の再注入を必要とし、これらの細胞は患者の血液および免疫システム、およびしばしば骨髄組織を回復できる。この細胞療法プロセスを通じて、癌治療による造血の障害が治療される。
組織工学は一般に、工学、生理学および細胞生物学の間の異なった学問分野の利用に関し、正常な組織機能が可能な生体組織を少なくとも部分的に成長させる。一度作られると、この組織は人間に移植され、正常な組織または臓器の機能を回復または改善する。非常に多くのバイオテクノロジー企業が移植のために人間の組織を工学的に処置するプロジェクトに取り組んでいる。
細胞療法および組織工学療法の処置について、治療的移植のために使用される細胞を生体外で処置および/または作ることができることがきわめて必要とされている。生物化学は現在大きく進歩し、多くの人間の組織について、その組織の基本的な細胞(key cells)を人体外で成長させる方法論が開発されている。その結果、臨床的に有益な量の組織が少量の元の材料から生成でき、それは有害な技術を最小にして得られる。このことが達成されたことで、組織移植の増大するより多様な機会が提供される。
この進歩と平行し、かつその成功に大きく依存しているのが、細胞および組織の生体外遺伝子操作を含む初期の臨床的実験に進みつつある非常に多数の遺伝子療法のアプローチである。遺伝子療法は、欠陥のある遺伝子の修正、疾病状態の調節または有益な分子の生体を達成するために、細胞ゲノムの変換を必要とする。遺伝子の的中率を向上させ、この組織管理を避けるために、拡大されたまたは提供者の組織への遺伝子ベクターの生体外管理から利益を得るこうした遺伝子療法の処置(今後10年間およびそれ以降のもっとも考えられる遺伝子療法を含むと考えられる)は、組織発生と生成の上記の進歩を十分利用することになる。
血液、皮膚、軟骨、骨、膵臓、神経系の細胞および組織、および細胞および臓器の治療専門家に関心のある他のさまざまな内皮および間充織組織の生成の特定の物理的および生物学的要件はさまざまである。しかし、細胞および組織を生体外で培養するには、1)機能する組織の形成のために必要に応じて複製および分化できる自己または提供者起源の細胞と、2)成長させる上記の細胞のための生理学的要件(例えば、表面の付着、培養基の交換および酸素の供給)を提供する生物学的適合性の材料からなる生体外システムとの2つの基本的要素が必要である。
細胞療法と組織工学とが合流する接点の優れた例は人間の骨髄の生体外生成である。このプロセスは、組織の生産を適切に実現する細胞/組織生産の方法論と医学的装置の要求との間の相互関係をも例示する。
他の組織または臓器の特徴である身体的外形を欠いているが、骨髄は、さまざまな基質繊維芽細胞、間充織細胞から幹細胞および造血システムの他の細胞に至る多くのさまざまな種類の細胞からなる組織である。生体外骨髄培養のために必要とされる生体外処置は、骨髄が自然に機能する環境の模造品であって、温度と培養基成分との正確な調節の元で幹細胞および基質細胞成分の栄養分の灌流と酸素供給を提供した。成功の鍵は人間の骨髄に見られる多くのさまざまな種類の細胞の各々に同時に適応する培養条件を提供することであった。
組織工学のこのアプローチを使って、初めて、骨髄中に見られる人間の幹細胞は培養基中で生存できただけでなく、複製してより多くの幹細胞とより多くの発達した原種細胞とを生成できた。この結果は造血幹細胞/原種細胞が培養処理の前に分離されていたとき(例えば、CD−34セレクション)と直接の対称をなす。この場合、おそらく異種組織の相互作用が除去されているため、幹細胞は成長せず、培養は短期間で死滅する。
これらの骨髄組織細胞は、その生産の成功によって、骨髄移植の代替物として使用可能である。この例は、損傷または破壊された組織、例えば骨髄が、生体外で処置された組織特有の細胞によっていかに修復または回復できるかという優れた証明である。
基本的な細胞/組織生産プロセスが確立された後、治療上の利用のための次の要件はプロセスを実現する臨床システムの必要性である。こうしたシステムは、生得の、または遺伝子的に変更された形態で移植細胞および組織から利益を得ようとする患者の要求を満たす先進諸国および発展途上諸国の数千の病院および診療所による日常的な使用に対応すべきである。
2.生体外細胞生産プロセスに対する臨界要件
現在までの細胞および臓器移植療法は、実験室の製品とプロセスの使用を通じて細胞または組織を取り扱い処理することができる臨床施設に依存し、ある程度標準的な操作手順と、さまざまなFDAなどの統制機関の関与とに左右された。しかし、現在までの処置では、標準的な培養液、短期間の保存と閉じ込め、また骨髄または幹細胞移植のための末梢血液幹細胞の場合には低温保存を提供する以上の細胞または組織の広範囲の操作は必要とされなかった。移植用細胞または組織の実際の培養と生産を必要とするステップが加わるにつれて、信頼性があり臨床的に安全なプロセスを生じるために取り組む必要がある多くの研究がある。この問題は、細胞生産が患者を治療する場所で行われる(幹細胞移植用の細胞生産の場合のように)か、ある離れた生産施設で行われる(生合成装置の生産の場合のように)かに関わらず同じである。
A.生体外細胞生産プロセスのプロセス信頼性
おそらく、取り組むべき問題の中で最も重要なものは、大部分の細胞培養プロセスに固有の技術的技巧である。細胞培養の場所毎の相違が微妙であることが多い。許容可能な臨床的細胞培養プロセスでは、プロセスが異なった物理的場所で使用されても細胞製品が同じであるように、技術的技巧または技術の洗練は排除されなければならない。
この問題は、自動化を伴う特性の優れた堅牢なプロセスを実現することによってもっともよく処理できる。変化する人間的要素は技術的プロセスから除去されるが、監視および制御プロセスの質のため人間による管理は維持されるべきである。また、細胞生産プロセスの実行に固有の変化性に取り組むために、高度に制御された訓練と標準手順が使用できるとともに、技術的ステップが自動化できない場合には必要でもある。
しかし、制御プロセスが同じ結果を繰り返し導きうる場合には、それは自動化できるし、そうするべきである。戦略的な視点から、医学的装置による自動化は、人間の誤りや人間のイニシアティブによる変化性を除去し、高度の熟練した労働の必要性とひいてはプロセスの費用を低減し、かつプロセスを広範な実行に適用可能なものにするため望ましい。究極的には、手動プロセスはすべて、効果のない自動化戦略に陥りやすい。自動化はまた、患者によりよい治療の質を提供したいという臨床医の一般的な希望に一致する。
B.処理の無菌−閉鎖システム
すべての細胞培養手順について、主要な関心は無菌性である。製品細胞が患者に移植されるとき、(幹細胞移植や臓器移植の場合のように、患者が免疫を有することが多いが、)微生物がいないことが要求される。大部分の実験室的細胞培養手順は、技術者がいわゆる減菌技術を実行する無菌条件下で行われる。開発されたバイオリアクタ・システムの多くは、培養が開始されると培養室と培養液通路が無菌の閉じた環境に維持されるので、手動プロセスに対して利点を提供する。しかし、こうしたシステムにおいても、培養基の注入やプロセス完了時の細胞の収集といった、初期設定と解体ステップは無菌的でない手動手順を必要とする。
従って、実験室の細胞培養システムは部分的にのみ閉鎖的である。すなわち、それは非常に多くの無菌接続を必要とし、大部分管理された環境フード内で操作され、開放遠心機チューブ等を必要とする処理前後のステップを有する。もっとも理想的な目標は、培養プロセスが、外部環境に対して機能的に閉じており、装置が製造されてからそれが配置されるまで維持される完全無菌状態を有するシステム中で行われることである。
C.細胞の回収
細胞療法の場合、細胞培養プロセスの製品は細胞である。従って、培養プロセス完了時の細胞の有効な収集は有効な細胞培養システムの重要な特徴である。多くの細胞生産プロセスからの細胞の回収は1つの挑戦である。細胞は、1)一時的な透析カートリッジの空間にパックされるか、2)数リットルの培養基中に浮遊させられるかのどちらかである。第1の場合は細胞を取り出すために過度の物理的力(信頼性がなく容易に自動化できない)を必要とし、第2の場合は多くの時間、忍耐およびある程度の幸運を必要とする(信頼性がなく閉鎖的でもない)。
細胞を製品として生産するよりよいアプローチは、回収する際の物理的障壁のない、一定の適当な空間で細胞を培養し、製品の単純な溶出によって、この目的のために設計された市販の閉鎖的システム細胞洗浄機での最終洗浄に対応できる管理可能な濃縮した量の細胞が得られるようにすることである。理想的なシステムは、粘着性および非粘着性の両方の細胞を含む生産されたすべての細胞の有効で完全な取り出しを可能にする。さらに、採集プロセスは、培養室の培養液通路の無菌バリアを破らずに完了されるべきである。
D.設計による基本的な培養パラメータの最適化
ある程度多量の細胞培養では、多数の基本的パラメータのほぼ一定の制御が必要である。培養は、正常な代謝機能と成長を可能にする培養基を供給されなければならず、通常この培養基は、ポンプ機能による(例えばバイオリアクタの場合)か、または規則的に手動で培養基を供給または交換する技術者によって供給される。この交換プロセスの追加的部分として、培養副産物も培養基から除去される。
成長する細胞または組織にはまた酸素供給源も必要である。細胞の種類が異なれば酸素必要量も異なり、細胞培養はすべて、培養の密度に応じて様々な酸素供給必要量を有する。従って、酸素を細胞に供給するための制御可能で柔軟な手段は培養システムの必要な構成要素である。
培養室内の細胞の数の分布と培養基の供給も重要なプロセス制御である。この制御は浮遊培養設計の使用によって達成されることが多いが、これは細胞と細胞の相互作用が細胞と培養基の相互作用ほど重要でない場合に有効である。浮遊培養システムの例にはさまざまなタンク・リアクタ設計と気体透過性プラスチック・バッグが含まれる。T細胞のような完全に発達した血液細胞を除いて、こうした設計は、組織の三次元構造の発達を阻害するため有害であることが多い。骨髄幹細胞の成長は単一の細胞浮遊に有利な環境では阻害されるが、それは幹細胞が複製するためにストロマなどの副細胞との接触を望むからである。
E.状態フィードバックと生産記録能力
「よい製造の実行」の本質は、1)望ましい製品を高い信頼性で提供できる機器と設備、2)有効期間を通じて望ましい仕様の範囲内の製品を製造する能力を示すプロセス制御、および3)試験の完全な検討と生産記録が処理され受理される以前の製品の取り違えや不適当な出荷を防止する最終的な製品とプロセスの文書管理である。
純粋に手動の製造環境では、これは十分に適任の作業員を選択し、彼らに詳細な訓練を課し、標準作業手順と、品質の保証を提供する詳細な文書を開発することによって達成される。自動化製造環境では、プロセス確認の原理が使用され、プロセスが安定で仕様に合致できることを示す。統計的プロセス制御の原理が実現され、プロセスを監視し仕様に常に適合することを保証する。
細胞培養が臨床的関心の中で顕著になっている今日の環境では、プロセス制御と記録の管理の多くは、詳細な記録を管理する訓練された作業員に依存している。将来は、この目的のために設計・製造された機器および資料と、プロセスの確認と制御を可能にする自動化との利用可能性にかかっている。こうした条件の下でのみ細胞療法は低費用で市場に提供できる。
3.細胞培養装置と手順
自然界では、組織の機能と生存能力は、管システムによって媒介される生命維持プロセスに依存している。栄養分、生理的食塩および酸素はすべて動脈を通じて組織にもたらされる。組織が作りだした余分の産物は、組織によって有毒であることも多いが、静脈によって運び出される。組織の維持と修復の他の主要な構成要素は、失われたり損傷を受けた細胞に置き換わることのできる原種または幹細胞のプールである細胞質である。
従って、生体外で発達する組織にとっても、これらの同じ要素が培養装置および手順によって管理されることが必要である。言い換えれば、組織の細胞成分を発達させるために必要な幹/原種細胞は、生物学的適合性で、栄養分および酸素の細胞への供給を制御し、成長する多数の細胞の排出物などの副産物を運び出す手段を提供する物理的・生物学的環境で維持されなければならない。
A.従来の細胞培養プロセス
過去10年にわたって、増大する数の医学研究者は、リンパ球、単核白血球、好中球先駆物質および、幹細胞および原種細胞を含む未発達の血液細胞を含む人間の血液細胞の培養に部分的に基づく治療法を開発しようとしてきた。こうした需要に応えるため適用されまたは開発された技術の進歩によって、治療用に人間の細胞を生産する臨床システムの優れた例が示された。
1.実験室環境
従来の細胞培養技術は細胞処理のための管理された環境に依存する。細胞培養実験室は、ガウンを着た作業員の実験室への接近を制御する層流フード、実験室の表面の汚染を除去する規則的な無菌化手順といった特徴を組み込んでいる。作業員は、無菌技術を実行し、無菌でない材料と接触することによる開いたコンテナと細胞輸送装置の汚染を避けるため、詳細な訓練を必要とする。こうした予防措置にも関わらず、従来の細胞培養実験室では、汚染、例えば菌の汚染がよく発生し、汚染源が決定され解消されるまで、数日もしくは数週間も作業が中止されるという影響を与えることが多かった。
従来の細胞培養技術はさらに、普通、大きな机上ユニットから大きな床置きユニットにおよぶ範囲の市販の恒温器の使用によって満足される、制御された気体混合物と制御された温度を提供する環境内の恒温培養に依存している。
多数の血液細胞(通常患者1人の治療に百億から千億個)の治療上の必要と、最大細胞培養密度の制限(通常培養液1リットル当たり10億個)とは、大規模な実験室用ハードウェア(例えば、フード、恒温器、冷蔵庫)と作業員の活動のための空間的必要性と共に、患者の治療のためにはかなりの実験室空間の必要性を生じる。培養基の準備とさまざまな分析の実行とを含む実験室支援作業によって、この空間の必要性と、ひいては関連する設備投資と人件費はさらに拡大する。従って従来の細胞培養技術を患者の治療のために使用することは患者1人の治療に対する比較的高価な費用に帰結する。
こうした実験室環境は、それが手動の高度に熟練した技術に依存している限り、患者治療のための多数の細胞を高い信頼性で日常的に生産するには向いていない。こうした環境で「よい製造の実行」を達成するのは不毛な挑戦であり、実験室での実行に固有の変化性を除去するには非常に多くの量の標的作業手順の開発と厳守が必要である。
2.組織培養フラスコと回転ボトル
もっとも初期の細胞培養はガラス製ペトリ皿で達成されたが、これは1960〜1970年代にあらかじめ減菌されたプラスチック製細胞培養フラスコに取って代えられた。1980年代半ばの人間の細胞を治療用に大規模培養する初期の試みは、一室をしめる機械化設備中の非常に多数のガラス製回転ボトルの使用を含んでいた。今日でさえ、大部分の細胞療法はプラスチック製細胞培養フラスコにその起源を有し、プロセスが大規模になるにつれて、層流フード中に手動で供給されるより大きないわゆるTフラスコの使用が必要とされている。
人間の治療で使用される組織培養基の製造は、徐々にガラス製ボトル容器からプラスチック製ボトルに移動しており、ごく最近、数十年来静脈注射(IV)溶液に使用されてきたものと同様の柔軟なプラスチック製容器システムが開発された。柔軟な容器の使用は、部分的には、汚染をもたらす可能性のある培養基の開放輸送ステップを除去しようとする何人かの顧客の希望によってもたらされたものである。
前に説明したように、1つの好適な目的は、生体内組織の血清灌流を模倣する均一で制御された速度で培養基と酸素供給を提供できる培養プロセスを提供することである。こうした比較的低速な供給速度を達成するために、細胞に内部的に酸素供給する手段が必要とされることが多い。これはもっとも単純な細胞培養プロセスである培養皿と理想的に合致する一つの要求である。ここでは培養基の表面は常に酸素にさらされており、酸素は必要に応じて細胞に利用可能である。同様の状況は細胞床から短い距離の気体透過性/液体不透過性膜を有する平床型バイオリアクタでも生じうる。これによってシステムは流れない状態から高速まで変化する培養基の灌流速度を有するようになり、培養基の酸素供給は一定で均一に保たれる。
3.柔軟な組織培養容器
柔軟な組織培養容器、すなわち培養バッグは、多数の研究所および施設にわたって再生可能で信頼性の高い方法で人間の治療のための細胞培養を行いたいという臨床医の希望に対応して、1980年代半ばに開発された。層流フードの慣用無菌技術でなく、医療装置産業(例えば血液採集および輸血容器)で一般的に使用される無菌管系技術の使用によって、汚染の可能性は接続1000回毎に1回未満に減少した。無菌コネクタに取り付けられた柔軟な容器は血液銀行に適していたが、そこでは気体透過性で液体不透過性のプラスチック容器に入れた血小板濃縮液が恒温器の中で何日間も保存され、恒温器中の二酸化炭素ガスによって血小板の重炭酸塩ph緩衝を許している。
1980年代末に、汚染の機会が少ないこうした培養バッグを使用して、様々な形態のリンパ球療法の広範囲な試みが行われた。今日でも、こうした培養容器は、酸素消費の必要量が少なく、付着性のない細胞が懸濁液中で十分に成長する実験的な細胞療法で使用され続けている。しかし、こうした容器は多数の異種付着性ストロマ細胞との接触を必要とする人間の幹細胞の培養をサポートしない。培養バッグの利点には使用が比較的簡単であること、熟練レベルの必要が少ないことおよび層流フードなしで使用できることが含まれる。しかし、現在、培養バッグを利用するプロセスは労働および空間集約的で、臨床的応用は制限されている。
4.バイオリアクタ
通常バイオリアクタと呼ばれる、プラットフォーム操作培養システムは数年来市販されており、多様な種類の培養技術を利用している。ほ乳類の細胞を培養するために使用されるさまざまなバイオリアクタの中で、大部分は1種類の細胞の高密度培養を可能にするように設計されている。こうした高密度システムの通常の適用業務は、最終製品として、細胞によって生産された条件づけられた培養基を生産することである。例えば、モノクロナル抗体のハイブリドーマ生産や、ウイルス・ベクター生産のための細胞パッケージ・ラインの場合である。こうした適用業務は、治療用の最終製品が採集された細胞自体である適用業務とは異なっている。
こうしたシステムは使用可能な臨床システムへの重要な第一歩を踏み出した。一度設定し始動すれば、システムは自動的に調節された(必ずしも均一ではない)培養基の流れ、酸素供給および温度とphの制御を提供し、多数の細胞の生産を可能にする。従ってバイオリアクタはある程度労働を節約し中間プロセスで起りうる汚染を最小にするが、設定および採集手順はかなりの作業と層流フード操作を必要とする開放処理ステップを伴っている(バイオリアクタによっては、手動で組み立て、初期設定しなければならないさまざまな個別の部品を収容する大きな卓上遮蔽室として販売されるものもある)。さらに、こうしたバイオリアクタは、骨髄のような組織と共に存在する種類の細胞混合物でなく、均質の細胞混合物と共に使用するのが最適なように設計されている。
バイオリアクタの多くは動作するために高い培養基流れ速度を必要としている。この特徴の理由は、培養基が培養室に灌流される直前に酸素供給機構が培養室の外で培養基に酸素を供給しなければならないからである。高密度培養は培養基の酸素を急速に枯渇させるので、再び酸素を供給し培養室に再循環するために、培養基が室内にある時間は短くなければならない。さらに、培養基の入り口に近い細胞は、培養基の出口に近い細胞より高い酸素濃度を得られるので、このプロセスでは培養される組織の酸素供給の均一性が失われる。その結果バイオリアクタ内の場所が異なると細胞の成長が異なってくる。
もう1つの制限は、三次元マトリックスに基づく設計のような多くのバイオリアクタの設計(例えば、中空繊維カートリッジや多孔性セラミック)によって、特に培養が活発なとき発達する細胞および/または組織がうまく回復するのが妨げられることがあり、またプロセス監視のため細胞に処理の途中でアクセスするのが制限されることがあることである。
上記で説明したさまざまな欠点によってこうしたシステムの利用は制限されてきており、一般にこうしたバイオリアクタは、自動化の程度は低いが、より使いやすいことが多い培養バッグ・システムほどは使用されなかった。
従って、上記の欠点を有さず、選択された生物細胞を維持・培養できる細胞生産システムの必要性があることが認識されるべきである。無菌システムを外部環境にさらすことなく携帯用カセット内の無菌システム中に細胞を受け入れ、維持し培養できるシステムが特に必要である。本発明はこうした必要性を満たすものである。
発明の概要
本発明は、細胞を外部環境にさらすことなく、携帯用カセット内の生体外で生物細胞を受け入れ、維持し培養する装置およびその構成要素および関連する方法において実現される。携帯用カセットには内部で細胞が維持・培養される細胞培養室、多量の適当な培養基を収容するよう構成された培養基容器および細胞培養室から排出された培養基を収容するよう構成された廃液容器が含まれる。これらの要素は互いに接続され、外部環境に対して閉じた無菌システムを形成する。この閉じた無菌システムには細胞培養室から取り出された培養基と生物細胞とを収容するよう構成された採集容器が含まれることもある。
携帯用カセットに加えて、本装置にはさらに、各々が細胞培養プロセスのさまざまな段階で携帯用カセットを受け入れ調節するよう構成された複数の器具が含まれる。携帯用カセットは、細胞培養プロセスが進むにつれて各器具から次の器具に好都合にも輸送可能である。こうした器具の1つは、カセットの細胞培養室に培養基を注入し、生物細胞を培養基と混合しかつ細胞を細胞培養室全体に、例えば均一に分布させる際に使用するよう構成されたプロセッサである。第2のこうした器具は、生物細胞が維持・培養されている間、カセットの状態を調節するよう構成された恒温器である。プロセッサ器具はまた、恒温培養段階の後で生物細胞を採集する際使用するようにも構成されている。
より詳細には、プロセッサ装置には携帯用カセットを取り外し自在に受け入れるように構成され、さらに制御された態様で移動できるように構成されたプラットフォームのような支えが含まれる。流れ制御アクチュエータは、カセットが支えに受け入れられるとき携帯用カセットの培養基流れ通路に組み合わされ、制御装置が流れ制御アクチュエータを制御して、一定の量の培養基が携帯用カセットの培養基容器から細胞培養室に供給されるようにする。さらに、制御装置はその後支えを所定の態様で制御自在に動かして、生物細胞が細胞培養室全体に実質上均一に分布するようにする。携帯用カセットにはさらに、培養基流れ通路と組み合わされた流れ制御装置が含まれ、プロセッサ装置の流れ制御アクチュエータはこの流れ制御装置と組み合わされて細胞培養室への培養基の供給を制御する。制御装置には、細胞培養室への培養基の供給を感知し対応する検出信号を発生する培養基流れセンサが含まれ、制御装置はさらに流れ制御装置を制御するよう構成され、培養基の供給を調節(例えば終了させる)する。
携帯用カセットにはさらに、多量の生物細胞を細胞培養室に供給できる接種ポートが含まれることがある。さらに、プロセッサ制御装置が、細胞を細胞培養室に接種した後流れ制御装置を制御するよう構成され、室への培養基の供給が室内に気泡を残して終了するようにする。さらに、プロセッサ制御装置は支えを制御自在に動かして生物細胞を室内の培養基と実質上均一に混合するために、気泡が所定の態様で細胞培養室内で移動するようにする。混合が完了した後、制御装置は流れ制御アクチュエータを制御して、十分な追加培養基が細胞培養室内に供給され、気泡を実質上追い出すようにする。
本発明の別の特徴として、携帯用カセットには、細胞培養室を形成する第1ケーシングと培養基容器を形成する第2ケーシングとを含む2つの独立したケーシングが含まれる。恒温器装置には第1ケーシングを取り外し自在に受け入れるような寸法と構成の第1受けと、第2ケーシングを取り外し自在に受け入れるような寸法と構成の第2受けとが含まれる。さらに、第1および第2温度調節器が第1および第2受けの温度を所定の温度に調節し、第1および第2ケーシングがその対応する受けに受け入れられるとき携帯用カセットに結合するためのインターフェースが提供されるが、このインターフェースは培養基容器から細胞培養室への培養基の供給を制御し、気体供給装置から細胞培養室への気体の供給を制御するよう構成されている。これは生物細胞が細胞培養室内で維持・培養される適当な条件を提供する。
携帯用カセットには、例えば室と培養基容器との間、または室と廃液容器との間の液体の流通において、例えばプラスチックのチューブと関連コネクタである培養基流れ通路が含まれる。この培養基流れ通路を結合し、携帯用カセットの一部を形成しているのが流れ制御装置であるが、これは例えばプロセッサ装置または恒温装置といった個別の器具の流れ制御アクチュエータと組み合わされるよう構成され、それによって細胞培養室を通る培養基の流れを制御する。流れ制御装置には、培養基流れ通路を締め付けるようばねで偏倚されたプランジャと、プレートが押し下げられるとき、プランジャが流れ通路の締め付けを開放するようにプランジャと機能的に接続されたプレートとが含まれる。この締め付け装置は好都合にも、プレートが第1ケーシングの後部パネルと面一になるように、携帯用カセットに設置される。
恒温器装置のインターフェースには、携帯用カセットの第1ケーシングが第1受けに受け入れられるとき流れ制御装置と結合できるアクチュエータが含まれるが、このアクチュエータは所定の流れ速度で培養基容器から細胞培養室を通って廃液容器に培養基を供給するよう制御される。このインターフェースにはさらに、室を通って輸送される培養基の流れ速度を監視するセンサが含まれる。
本発明の別の特徴として、プロセッサ装置はさらに、携帯用カセットの条件を調節して、細胞培養室内で維持された生物細胞を採集するよう構成される。これは、まずカセットが受け入れられているプラットフォームを制御自在に傾ける一方、同時に1つかそれ以上のさまざまな流れ制御装置を制御して、室内の培養基と生物細胞が採集ポートを通じて採集容器内に排出されるようにすることによって達成される。その後、プロセッサ装置は制御自在に試薬を連続して細胞培養室に供給し、追加の細胞を細胞床から取り除き、取り除かれた細胞を再び採集ポートを通じて採集容器に供給する。
本発明の別の特徴として、携帯用カセットには、携帯用カセットに関する情報およびその事故の記録、カセット中に収容された生物細胞と培養基およびカセットが共に使用されるよう構成された装置に関するプロセスの指示が記録されたメモリ装置が含まれる。プロセッサ装置および恒温器装置の両方のインターフェースはまずこのメモリ装置から情報を検索し、その後検索された情報に従って制御自在にカセットを調節する。さらに、インターフェースは、カセットが対応する装置によって受け入れられている時間中に携帯用カセットの条件に対応する情報によってメモリ装置をアップデートするよう構成されている。メモリ装置は好都合にも携帯用カセットの第1ケーシングの後部パネルに設置される。
本発明のその他の特徴および利点は、例示によって本発明の原理を示す、添付図面と共に行われる好適実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
図1は、細胞培養室を有する携帯用カセットと、接種された生物細胞を細胞培養室内に分布させるために使用され、その後維持・培養された細胞を採集するために使用されるプロセッサ器具と、細胞が維持・培養されるように携帯用カセットを恒温培養するための恒温室器具と、システム管理装置とを含む、本発明による細胞生産システムの概略図である。
図2は、図1の携帯用カセットの分解斜視図である。
図3は、図2の携帯用カセットの細胞培養室、培養基容器、廃液バッグ、採集バッグおよび採集試薬容器の間の相互接続を示す概略図である。
図4は、図2の携帯用カセットの細胞培養室の分解斜視図である。
図5は、カセットの細胞培養室への培養基と採集試薬の供給を制御する液体バルブの配置を示し、さらに室を通る培養基の流れ速度を監視するために使用される滴下チューブを示し、さらにカセットのアップデート可能なメモリ装置を示す、図2の携帯用カセットの後部壁の斜視図である。
図6は、図2の携帯用カセットに含まれる多数の同一の液体制御バルブの1つの分解斜視図である。
図7は、細胞培養プロセスの細胞接種および分配の両段階および細胞採集段階の間携帯用カセットを制御するプロセッサ器具の斜視図である。
図8は、部分的に切断され、傾けることができるプラットフォームを支持する制御自在に回転可能な車輪と脚とを示す、プロセッサ器具の基部部分の斜視図である。
図9は、細胞培養プロセスの恒温培養段階の間携帯用カセットを制御する恒温器器具のインターフェースの、部分的に切断された斜視図である。
図10は、携帯用カセットの主ケーシングを受け入れるように構成された、図9の恒温器器具の加熱モジュール部分の断面図である。
図11は、携帯用カセットの補助ケーシングを受け入れるように構成された、図9の恒温器器具の冷却モジュール部分の断面図である。
好適実施形態の説明
ここで図面、詳細には図1および図2を参照すると、人間の幹細胞や造血原種細胞といった生物細胞を生体外で維持・培養するための、本発明を実施する細胞生産システムが示される。細胞は開始時の少量の細胞数から培養され、造血原種細胞の場合には、骨髄移植または、多量の化学療法または放射といった療法に起因する天底(nadir)の防止/救済を完了するために十分な量の細胞を培養し採集することができる。図1の細胞生産システムには、1)細胞の増大と培養が行われる細胞培養室102(図2)を有する使い捨て携帯用カセット(3つのカセット100A、100B、100Cが示される)と、2)まず携帯用カセットを注入し接種するために使用され、その後カセットから細胞を採集するために使用されるプロセッサ器具300と、3)細胞の増大と培養が行われている間、細胞カセットの生物学的・物理的環境を制御するために使用される恒温器器具(2つの恒温器器具400Aと400Bが示される)と、4)50もの独立した携帯用カセットで同時に発生する細胞の培養を監視するための、作業員とのインターフェースを提供するシステム管理装置500とが含まれる。
上述したごとく、3つの個別の携帯用カセット100が図1に示される。第1カセット100Aはそれ自体が図面の左側に示され、第2カセット100Bはプロセッサ器具300に受け入れられた状態で示され、第3カセット100Cは恒温器器具400に受け入れられた状態で示される。さらに上述したごとく、一方が他方の上に重ねられた、2つの個別の恒温器器具が示される。上の恒温器器具400Aは前部扉が閉じた状態で示され、下の恒温器器具400Bは前部扉を取り外し、本器具による携帯用カセットの受け入れを示す状態で示される。
図2に示されるように、携帯用カセット100には、細胞培養室102に加えて、培養基容器104と、廃液容器106と採集バッグ108とが含まれるが、これらすべては互いに接続されて外部環境に対して閉じたシステムを形成する。培養基容器には初め細胞培養のために必要とされる適当な培養基が充填されるが、培養基には特定の発育因子とグルタミンが含まれることがある。このシステムは、カセットの初期組立の間、照射によるなどして無菌化される。プロセッサ器具300(図1)および恒温器器具400の両方は、カセットの閉鎖的無菌システムを妨げることなく、細胞培養プロセスの個別の段階で携帯用カセットの条件を調節するよう構成されている。生物細胞は、高度に訓練された実験室作業員や、層流フードのような特殊な環境設備を必要とすることなく、最小の汚染リスクでシステムに受け入れ、維持および培養される。
より詳細には、また図2を参照すると、携帯用カセット100には、細胞培養室102と、廃液容器106と、採集バッグ108とを収容する主ケーシング110が含まれ、さらに培養基容器104(図3)を収容する補助ケーシング112が含まれる。図3に示されるように細胞培養室は、好適実施形態では、平らな円盤上のプラスチックの細胞床114と、近接した近い間隔の気体透過性/液体不透過性の膜116によって形成される浅い円筒である。使用の際、生物細胞は、細胞床の上に実質上均一に分布され、そこで室を通って選択された流れ速度で放射状に外向きに注入される培養基によって栄養を与えられる。phの安定性のために選択された酸素などの所定の気体が、細胞培養室の膜116の反対側に配置された浅い円筒形の気体室118から膜を通って細胞に提供される。
続いて図2及び図3を参照すると、培養基は培養基容器104から、培養基供給チューブ120と室の細胞床114の中心に配置された供給ポート122を経由して細胞培養室102に供給される。廃液培養基は細胞培養室から廃液容器106に、1)細胞床114の外周に沿って均一に間隔のあいた複数のポート123(図4)、2)細胞床の反対側の細胞培養室の下に配置された浅い円筒形の廃液貯蔵器124、3)その廃液貯蔵器の中心近くに配置された廃液ポート126、および4)廃液チューブ128の順序を経由して供給される。さらに、細胞培養室102中で栄養を与えられ培養された生物細胞は、室外周近くの、細胞床に配置された採集ポート130と採集チューブ132を経由して採集バッグ108に輸送される。
培養基供給チューブ120と廃液チューブ128とは、主ケーシング110の後部パネル138に設置された、ばねによって偏倚されたバルブ134と136とをそれぞれ通過する。採集チューブ132は、主ケーシングの下部壁142に設置された同様のばねによって偏倚されたバルブ140を通過する。これらのバルブは、細胞培養プロセスの個々の段階でプロセッサ器具300と恒温器器具400とによって適当に制御される。
廃液チューブ128の一部は、チューブとひいては細胞培養室102を通る培養基の流れ速度を測定する際使用する滴下室144として構成される。滴下室には個々の水滴として培養基を供給する滴下ノズル146が含まれ、この室は主ケーシング110の後部パネル138の開口部148の近くに位置する。対応するプロセッサ器具300と恒温器器具400とに配置された滴下検出器302および402は、対応する器具が携帯用カセット100を受け入れ、その条件を調節しているとき、滴下室を通過する培養基の水滴を自動的に検出するよう位置し構成されている。
図6は、培養基容器104から細胞培養室102への、供給チューブ120を通る培養基の流れを制御するために使用される、ばねによって偏倚された培養基供給バルブ134の分解図である。このバルブは構造上廃液バルブ136および採集バルブ140と同一である。図示されるバルブには、主ケーシングの後部パネル138の内側に固定され、パネルに形成された円形の開口部(図では見えない)と一直線に並んだほぼ円筒形の基部150が含まれる。キャップ152が基部の内側端部に取り付けられ、プランジャ156と、プランジャを基部方向に押しつける圧迫ばね158とが配置される中心窪み154を形成する。
基部150とばねによって偏倚されたプランジャ156の向かい合う面はそれぞれ一般にピラミッド状のアンビル160および162として構成され、培養基供給チューブ120は2つのアンビルの間に位置し、それによって締め付けられる。プランジャには、基部の溝(図示せず)を通じて後部パネル138の開口部に伸びる一組の脚164aおよび164bが含まれる。ほぼ円形の作動プレート168が脚に固定され、バルブが組み立てられると、このプレートは後部パネルと実質上面一に位置する。作動プレートの下に空間が形成され、圧迫ばね158からかかる偏倚力に対してプレートの基部方向への移動を促進する。従って、作動プレートに適用される十分な圧力はばねの偏倚力にうち勝ってプランジャのアンビル162を基部のアンビル160から離れた方向に移動させるので、培養基供給チューブ120の締め付けが除去され培養基がそれを通じて流れるようになる。
再び図2、図3および図5を参照すると、酸素および他の所定の気体は主ケーシング110の後部パネル138に位置する気体導入接続点172を経由して携帯用カセット100に供給され、そこから気体導入ライン174および気体導入ポート176を経由して気体室118に供給される。廃棄される気体は気体室から気体排出ポート178と気体排出ライン180を経由して、同じ後部パネルに位置する気体排出接続点182に排出される。これらの気体導入および気体排出接続点は、細胞培養プロセスの恒温培養段階の間、恒温器器具400によってアクセスされる。気体導入接続点には、気体室に供給される気体が無菌であることを保証する無菌バリア・フィルタ183が含まれる。気体室は好適には同心円状の円形迷路の形態をとり、気体導入ポートが迷路の一端に位置し、気体排出ポートがもう一端に位置する。
細胞培養室102にはその中心部の上に伸びる拡大された中心キャビティ186が含まれるが、これは以下説明されるようにいくつかの重要な機能を果たす。その機能の1つは、スポイト190を使用し隔壁188を通じて生物細胞の接種を可能にする室内の空間を提供することである。穴すなわち中心キャビティ、チューブ192がこの中心キャビティからばねによって偏倚されたバルブ194を通って無菌通気口196に伸びる。このバルブは主ケーシング110の後部パネル138に設置され、上記で説明した培養基供給バルブ134と同じ構造を有する。
上記で言及したように、培養基容器104は補助ケーシング112の中に収容される。従って、培養基容器から細胞培養室102に伸びる培養基供給チューブ120は、補助ケーシングから主ケーシング110に伸びる。培養基容器は好適には剛体の本体を有し、そこに含まれる培養基は、補助ケーシングから主ケーシングに伸び、主ケーシングの後部パネル138に設置された空気供給ポート202に至る空気供給ライン200によって加圧される。無菌バリア・フィルタ203は、培養基に達する加圧空気が無菌であることを保証する。空気供給ポート202は、細胞培養プロセスの注入、接種および分配段階でプロセッサ器具300により、またプロセスの恒温培養段階では恒温培養基具400により自動的にアクセスされる。培養基の加圧によって、培養基供給バルブ134が開くとき、細胞培養室102を通じて培養基を輸送するために必要な圧力が提供される。
緊張軽減ラインまたはつなぎ204は携帯用カセットの補助ケーシング112と主ケーシング110とを相互接続する。このラインは露出した培養基供給チューブ120および空気供給ライン200よりわずかに短い長さを有し、2つの外皮を過度に引き離そうとする動きによってもたらされる引っ張り応力からこれらの構成要素を保護する。
特に図5に示されるように、携帯用カセット100にはさらに、カセットの後部パネル138の窪み208に収容された不揮発性アップデート可能メモリ装置、または識別キー206が含まれる。このメモリ装置は患者とカセットの細胞培養室102内で培養されている生物細胞に関する情報と共に器具のためのプロセス指示と時間毎のカセットの状態に関する情報を保存する。メモリ装置は、カセットが受け入れられると、プロセッサ器具300と恒温器装置400との両方によって自動的にアクセスされ、器具は保存された情報を検索し、その後検索された情報に従ってカセットの条件を調節する。従って、メモリ装置は、細胞培養プロセスの任意の特定の段階でカセットの状態を調節するための任意の望ましいプログラムに関連する詳細な命令が含まれる。培養基流れ速度、気体混合比と流れ速度および温度を指定したり、時間につれて変化させることもでき、任意の望ましいプログラムを有効にする。
さらに、プロセッサ器具300と恒温器器具400とは、それらがカセットを受け入れ、状態を調節している間、携帯用カセット100の状態に関するある情報によってメモリ装置206をアップデートするよう構成されている。記録されるこの種の情報の例には、器具の動作の何らかの中断が発生した際のカセットの状態とこの中断のタイミングがある。この機能によって、器具の故障の際には任意の特定の器具からカセットを選択的に取り外し、あたかも中断がなかったかのようにプロセスを継続するために、代わりの器具に設置することができる。
この目的のために適したメモリ装置206の1つが、テキサス州ダラスのDallas Semiconductor社から入手できる。これは硬貨の形状を有し、そのメモリ内容は、特殊な電気的コネクタや複雑な配置の部品を必要とせず、専用読み出し/書き込み装置で装置の任意の部分に物理的に接触するだけで検索およびアップデートできる。こうした読み出し/書き込み装置の一例は、システム管理装置500の一部として図示される手持ちの棒502である。
ここで図7を参照すると、細胞培養プロセスの注入および細胞接種・分配段階および後には細胞採集段階で携帯用カセット100を受け入れそれと連結するプロセッサ器具300の一部が示される。プロセッサ器具は、カセットの主ケーシング110を受け入れ支持する寸法と構成の可動の一般に矩形のプラットフォーム304を含み、さらに補助ケーシング112を受け入れ支持する寸法と構成の頭上棚306(図1)を含むことが示される。また、プラットフォームは主ケーシングのそばに補助ケーシングを収容するよう拡大されることもあるが、その場合2つのケーシングは分離可能である必要はない。
プロセッサ器具300にはさらに、カセットの主ケーシング110がプラットフォーム304に適切に受け入れられているとき、携帯用カセット100の対応するばねによって偏倚されたバルブ134、136、140および194と自動的に結合するような位置と構成であるバルブ・アクチュエータ308、310、312および314が含まれる。好適実施形態では、バルブ・アクチュエータは各々制御自在に外向きに偏倚されたプランジャを有する単純なソレノイドの形態を有し、関連するばねによって偏倚されたバルブの円形作動プレートと結合し、それを開放する。さらに、プロセッサ器具には、カセットの主ケーシングが受け入れられるときカセットの空気供給ポート202と自動的に結合するよう構成された空気供給コネクタ315と、このコネクタを通じて制御自在に空気を供給し、カセットの培養基容器104を加圧する内部バルブ(図示せず)とが含まれる。
プロセッサ器具300にはさらに、携帯用カセット100の一部分である2つの試薬バッグ214および216を支持するための、頭上棚306の設備が含まれる。図1、図2及び図7に示されるように、これらのバッグの中の試薬は、細胞培養プロセスの細胞採集段階で、カセットの細胞培養室102を洗浄し、細胞床114に付着した生物細胞を取り除くために使用される。試薬バッグ214および216はチューブ218および220によってそれぞれ接続され、共通チューブ222が細胞培養室の拡大された中心キャビティ186に至る。チューブ218および220はそれぞれ、カセットの主ケーシング110の後部パネル138近くに位置する第1および第2試薬バルブ224および226を通じて伸びる。これらのバルブは上記で図6に関して説明された培養基供給バルブ134と構造上同一である。プロセッサ器具にはさらに、以下説明されるように、細胞培養プロセスの細胞採集プロセスの間、2つの試薬バルブ224および226を制御自在に作動させるためのバルブ・アクチュエータ316および317が含まれる。
図8に示すように、プラットフォーム304は、一般にプラットフォームの中心に位置する主支持脚318と、プラットフォームの後部隅の近くに位置する2つの補助支持脚320aおよび320bとによって支持される。主脚の上端部は自在継ぎ手322によってプラットフォームの下側に固定され、補助脚320aおよび320bの上端部はそれぞれ玉継ぎ手324aおよび324bによってプラットフォームの下側に固定される。これらの継ぎ手はプラットフォームの制限された旋回運動を可能にする。主脚の下端部はプロセッサ器具300の基部部分326に固定され、補助脚320aおよび320bの下端部は基部に制御自在に回転するように設置された車輪328aおよび328bの外周に固定される。
車輪328aおよび328bの両方は、それぞれステップモータ330aおよび330bにより180度制御されて回転し、脚320aおよび320bの下端部を所定の下限と上限との間で移動させる。同期した形で車輪を独立して回転させることによって、プラットフォーム304と、ひいては携帯用カセット100の主ケーシング110を制御された形で傾けることができる。例えば、2つの補助脚の下端部が一番高い位置になるように車輪の位置を決めると、好適実施形態ではプラットフォームを最大量すなわち約45度前に傾けることができる。さらに、左側の補助脚320aが一番高い位置になり、右側の補助脚320bが一番低い位置になるように車輪の位置を決めると、プラットフォームを右側に最大量だけ傾けることができる。適切に同期された形で車輪の位置を制御することによってプラットフォームを制御された軌道運動で動かすことができるが、これは好適実施形態では接種された生物細胞をカセットの細胞培養室102の中で実質上均一に分布するために使用される。プラットフォームの原点位置は、プラットフォームが実質上水平で、脚の下端部がその垂直行程のほぼ中点にある位置として定義される。
細胞培養プロセスの細胞接種および分配段階の間、バルブ・アクチュエータ308、310、312および314は対応するバルブ134、136、140および194を制御自在に開放するよう調節され、可動プラットフォーム304は所定の動作シーケンスに従って制御自在に傾けられるように調節される。この動作シーケンスは、以下詳細に論じられるが、まず細胞培養室102に培養基容器104から供給された培養基を注入し、次に維持・培養される生物細胞の室への接種を促進し、次に室全体を通じて、またひいては平面の細胞床114を通じて実質上均一に細胞を分布させ、最後に室を培養基で完全に満たすように選択される。
表Iは、造血原種細胞に関する細胞培養プロセスの注入および細胞接種・分布段階の間の好適動作シーケンスを示す。シーケンスの各ステップについて、本表は各ステップの機能の簡単な説明と共に、携帯用カセット100のさまざまなバルブ134、136、140および194と、プロセッサ器具の基部336の前部パネル334の多数の表示器332a、332bおよび332cとの所定の状態を示す。本表はまた、シーケンスの各ステップについて、加圧空気をカセットの培養基容器104に供給する加圧バルブの所定の状態とプラットフォーム304の所定の位置とを示す。本表の一番右の欄はステップが完了したと判断するための基準と、各特定のステップが完了しない場合、警報を鳴らすしきい値時間とを示す。
動作シーケンスのステップ1では、プロセッサ器具300は、作業員が携帯用カセット100の主ケーシング110をプラットフォーム304に設置し、プラットフォームがプロセッサ器具の空気供給コネクタ316を自動的に結合し、バルブ134、136、140および194を対応するバルブ・アクチュエータ308、310、312および314の近くに配置する間、現行状態では使用されない。主ケーシングがプラットフォームに正しく配置されたことはプラットフォームに設置されたマイクロスイッチ338によって感知される。この最初のステップの間、作業員はカセットの補助ケーシング112を頭上棚306(図1)の上に配置し、2つのケーシング110および112を相互接続する培養基供給チューブ120を、頭上棚の近くに設置されたチューブ感知器340に配置する。
作業員がこれらの接続を完了すると、プロセッサ器具300は接種表示器322a、カセット設置表示器322bおよび休止表示器322cを点灯し、携帯用カセット100とプロセッサ器具のさまざまなバルブをすべて閉じたままにしておく。この時、作業員はポーズ表示器332cを押すことができ、動作シーケンスはステップ2に進む。作業員が300秒以内にこの表示器を押さない場合、器具は適当な警報を鳴らす。
携帯用カセット100がプロセッサ器具300によって適切に受け入れられたと判断されると、器具は、カセットの主ケーシング110の後部パネル138の窪み208に好都合にも位置するメモリ装置206に保存されたデータを検索する。このデータには維持・培養される特定の種類の生物細胞の確認が含まれており、プロセッサ器具はこの検索されたデータに基づいて適当な動作シーケンスを選択する。
この例で維持・培養される種類の造血原種細胞に関する動作シーケンスのステップ2では、プロセッサ器具300はプラットフォーム304を原点位置に移動させるが、そこではプラットフォームは実質上水平である。これは、車輪328aおよび328bを、2つの補助脚320aおよび320bのみの下端部がそのもっとも上の位置ともっとも下の位置のほぼ中間になる位置に移動させることによって達成される。この時、接種表示器332aとカセット設置表示器332bが点灯しており、携帯用カセット100とプロセッサ器具とのさまざまなバルブは閉じたままである。原点位置が50秒以内に達成されない場合、警報が鳴る。そうでなければ、動作シーケンスはステップ3に進む。
注入シーケンスの第1ステップであるステップ3では、プロセッサ器具300はプラットフォーム304を約9度の角度で前方に制御自在に傾ける。これは、補助脚320aおよび320bの下端部が適当な量だけ上昇するように車輪328aおよび328bを制御自在に回転させることによって達成される。この時、表示器332a、332bおよび332cとカセットのさまざまなバルブおよびプロセッサ器具の状態はステップ2のときの状態と変化しない。所定の前傾位置が10秒以内に達成されない場合、警報が鳴る。そうでなければ動作シーケンスはステップ4に進む。
ステップ4では、プロセッサ器具300は、培養基を培養基容器104から携帯用カセット100の細胞培養室102に導入するよう機能する。これは、培養基容器を加圧する空気供給バルブを開くよう調節し、同時に培養基が培養基容器から細胞培養室に培養基供給チューブ120と培養基供給ポート122とを経由して流れるようにする培養基供給バルブ134を制御自在に開くよう調節することによって達成される。この時、接種表示器322aおよびカセット設置表示器322bは点灯したままである。
培養基が細胞培養室102に流れ込むにつれて、押し出される空気は(採集バルブ140の上流の位置で)採集バルブ132を無菌通気口196と接続する通気口チューブ210を通って排気される。この採集チューブの中に位置するポレックス・バルブ212のために排気された空気は妨げられず通過できる。しかし、十分な培養基が室に導入されてバルブに達するやいなや、バルブは自動的に閉じてそれ以上材料が通過するのを防止する。ポレックス・バルブはPorex Technology,Inc.と呼ばれる会社から入手可能である。ポレックス・バルブが自動的に閉鎖するとプロセッサ器具300に配置された空気供給ポンプに適用される背圧が上昇し、この背圧の上昇が感知されると動作シーケンスはステップ5に進む。この背圧上昇の発生が200秒以内に感知されない場合、警報が鳴る。
ステップ2と同一であるステップ5では、プラットフォーム304は原点位置に復帰する。この動作が50秒以内に完了しない場合、警報が鳴る。そうでなければプログラムはステップ6に進むが、ここでは携帯用カセット100の細胞培養室102の中の余分の圧力が、バルブ・アクチュエータ314を調節して通気口バルブ194を開くことによって軽減される。これによって余分の圧力が細胞培養室から無菌通気口196と廃液容器106に廃液貯蔵器124、廃液ポート126および廃液チューブ128を経由して排出されるようになる。滴下検出器302が約5秒間滴下室144を通る培養基の滴下を検出しないとき、このステップが完了したと判断される。そのとき動作シーケンスはステップ7に進む。一方、20秒以内に滴下がなくならないときは、警報が鳴る。
ステップ7では、携帯用カセット100をプロセッサ器具300に最初に設置して以来初めて、作業員の関与が必要になる。このステップでは、プラットフォーム304は原点位置にあり、3つの表示器332a、332bおよび332cはすべて点灯しているが、接種表示器332aは点滅する。さらに、さまざまなバルブ・アクチュエータはすべて、対応するバルブを閉じておくように調節される。この時、作業員は多量の生物細胞を室の拡大された中心キャビティ186に配置された隔壁188を経由して細胞培養室102に注入するよう促される。細胞の接種を完了すると、作業員はポーズ表示器332cを押すよう促される。それに反応して、プロセッサ器具はステップ8に進む。作業員が300秒以内にポーズ表示器332cを押すことができない場合、警報が鳴る。
ステップ8からステップ15はすべて携帯用カセット100の細胞培養室102に維持・培養される生物細胞を接種し、こうした接種された細胞を室全体に実質上均一に分布させることに関する。これらすべてのステップでは、接種表示器332aおよびカセット設置表示器332bのみが点灯し、カセットとプロセッサ器具300のさまざまなバルブ・アクチュエータはすべて関連するバルブを閉じた状態に維持するよう調節される。
ステップ8では、プロセッサ器具300はプラットフォーム304、したがって携帯用カセット100の主ケーシング110を後方に45度の角度で傾ける。この傾き角度が達成されると、シーケンスはステップ9に進むが、ここでは細胞培養室102の拡大された中心キャビティ186に前もってたまった空気が傾いて上昇した室の部分に上向きに移動できるようになる。それによって室のこの部分に気泡が形成される。このステップ9は30秒という一定の長さを有し、その後シーケンスは自動的にステップ10に進む。
ステップ10は上記で論じたステップ2およびステップ5と同一である。すなわち、プラットフォーム304は原点位置に復帰するよう調節される。原点位置では、細胞培養室102は実質上水平である。しかし、室内の培養基の表面張力によって気泡が拡大された中心キャビティ186に戻ることが防止される。たとえそうだとしても、原点位置が達成されると、動作シーケンスはすぐにステップ11に進む。原点位置が30秒以内に達成されないと、警報が鳴る。
ステップ11では、プラットフォーム304は約25〜30度の角度で傾けられ、その後制御された段階的な軌道運動で揺らす。この運動は、ステップ9で形成された気泡を細胞培養室102の外周に沿って均一に移動させるので、気泡は接種された細胞を室全体に分布させる。この運動は好適には約6秒の周期を有し、約120秒継続する。
ステップ8〜ステップ11は実質上ステップ12〜ステップ15で反復されるが、揺らす周期は短くなり、傾き角度も小さくなる。ステップ12ではプラットフォーム304が約45度傾けられ、ステップ13では清潔な気泡が再び細胞培養室の外周端部に形成されるような方向に約30秒保持される。揺らしステップ11の間、もとの泡からはじけた小さな泡がこのステップ13の間に集まって1つになる。ステップ14ではプラットフォームが原点位置に復帰し、ステップ15ではプラットフォームを5〜10度の角度だけ傾け、制御された段階的な軌道運動で揺らす。これによって気泡は、最終的に拡大された中心キャビティ186に達し、それに捕捉されるまで細胞培養室102の周囲を回る。このステップ15は約45秒の長さを有する。
その後、ステップ16で、細胞培養室102の拡大された中心キャビティ186に捕捉された気泡が除去される。これは追加培養基を培養基容器104から室に導入することによって達成される。詳細には、プロセッサ装置300の空気供給バルブが開くよう調節され、培養基容器104を加圧する。同時に、バルブ・アクチュエータ308が培養基供給バルブ134を制御自在に開くように調節されるが、これによって培養基は培養基容器から細胞培養室へ培養基供給チューブ120と培養基供給ポート122とを経由して流れ込む。中心キャビティ186を、廃液容器106に続く滴下室144と接続するチューブ192の通気口バルブ194を開くことによって圧力抜きが提供される。滴下検出器302が滴下の発生を検出するやいなや、細胞培養室の空気が完全に除去されたと判断される。このステップでは、接種表示器332aとカセット設置表示器332bのみが点灯している。
その後、ステップ17では、細胞培養室102内の余分の圧力が、通気口バルブ194を開いたままにし、加圧バルブと培養基供給バルブ134とを閉じることによって逃がされる。表示器332a、332bおよび332cの状態は変化しない。滴下が5秒間検出されないときこのステップは完了する。このステップが完了すると、プロセスの注入、接種および細胞分布段階が完了したと判断される。
最後に、ステップ18で、作業員は携帯用カセット100をプロセッサ器具300から取り外すように促される。詳細には、カセット設置表示器322bが点滅し、他の2つの表示器332aおよび332cは点灯しておらず、さまざまなバルブはすべて閉じている。マイクロスイッチ338がカセットの主ケーシング部分110が取り外されたことを検出し、表示器ランプ332bの点滅が終了する。主ケーシングが300秒以内に取り外されない場合、警報が鳴る。
携帯用カセット100がプロセッサ器具300によって受け入れられている間、何らかの重大な事態の発生はデータとして、カセットの後部パネル138に設置されたメモリ装置206に入力される。これは読み出し/書き込み装置341を使用して達成される。入力されるデータの例には、18ステップの動作シーケンスの間のプロセスの時間と何らかの警報の発生と時間とが含まれる。
18ステップの動作シーケンスが、いずれかのステップで、例えば作業員がポーズ表示器332cを押すことによって中断される場合、プロセッサ器具300は所定の回復プログラムを進めることによってシーケンスの実行を再開する。詳細には、プラットフォーム304が原点位置に復帰すべきステップ(すなわち、ステップ2、5、10および14)で中断が発生した場合、器具は単純に原点位置に達するまでプラットフォームを移動させることによって回復する。プラットフォームが何らかの他の運動を行っているステップで中断が発生した場合、器具は最初プラットフォームを原点位置に復帰させ、その後ステップを反復することによって回復する。一方、プラットフォームが動かないステップで中断が発生した場合、器具は単純に中断が発生したステップを再開することによって回復する。
18ステップの注入、接種および分布の動作シーケンスの過程で、メモリ装置206の内容はプロセッサ器具300の読み出し/書き込み装置341によってアップデートされ、1)接種開始および終了時間、2)最終ステップ完了時のステップ数および3)細胞接種および分布が完了したという表示といった情報を反映する。このアップデートによって、必要が生じた場合、携帯用カセット100をシーケンスの任意の段階で代わりのプロセッサ器具に移動させてプロセスを完了できることが保証される。
注入、細胞接種および細胞分布手順が、培養基容器104、細胞培養カセット102および廃液容器106の無菌障壁を破ることなく達成されることが認識される。さらに、この手順は作業員の関与を最小にし、その最小の関与が複雑な作業員の訓練を必要としないやり方で達成されることが認識される。
注入、細胞接種および細胞分布手順が完了し、携帯用カセット100がプロセッサ器具300から取り外された後、カセットは恒温器器具400で細胞が恒温培養される状態にある。造血原種細胞の場合、恒温培養手順は約2週間を要する。この手順では、細胞培養室102は、培養のための最適な生物活動を提供する約37℃の温度に維持され、培養基容器104は、熱によって変化しやすい物質の分解を最小にする約4℃の温度に維持される。同時に、培養基は培養基容器から廃液容器106へ所定の流量で輸送され、酸素と他の気体は気体室118を通じて所定の流量で輸送される。これらの温度と流量のパラメータは、カセットの後部パネル138に配置されたメモリ装置206に保存された情報によって指定される。一般にパラメータは、生物細胞に最適な培養条件を提供するように選択されるが、上記で言及したように、任意の望ましいプログラムに従って時間と共に変化させることができる。
より詳細には、また図9〜図11を参照すると、恒温器器具400には、2つの並立する受け、すなわち携帯用カセット100の主ケーシング110を受け入れる寸法と構成である第1受け404と、カセットの補助ケーシング112を受け入れる寸法と構成の第2受け406とが含まれる。第1受け404は主ケーシング110と、したがって細胞培養室102を、所定の37℃の温度に維持するよう構成されており、そこにはカセットの培養基供給バルブ134を制御する適当なインターフェースが含まれ、培養基を所定の流量で供給し、酸素および他の気体をカセットの気体室118に提供する。第2受け406は補助ケーシング112と、したがって培養基容器104を所定の4℃の温度に維持するよう構成されている。
恒温器器具400の第1受け404は携帯用カセット100の主ケーシング110をスライドできるように受け入れる寸法と構成である。同様に、器具の第2受け406は、カセットの補助ケーシング112をスライドできるように受け入れる寸法と構成である。2つの受けは並立関係に配置され、2つの受けをつなぐ密閉型前面扉408が、2つのケーシングが対応する受けに挿入された後、蝶番状に閉じ、受けを周囲環境から密閉する。マイクロスイッチ409が、主ケーシングが第1受けに正しく挿入されたことを検出する。
第1受け404には、慣用の方法で配置された、第1受けの内部空間を所定の温度に維持するための慣用電気加熱装置410と関連するファン412、サーモスタット(図示せず)およびフィードバック制御回路(同様に図示せず)が含まれる。同様に、第2受け406には、第2受けの内部空間を所定の温度に維持するための、慣用熱電冷却モジュール414と関連するファン416、サーモスタット(図示せず)およびフィードバック制御回路(図示せず)が含まれる。
第1受け404の後部のパネル418には携帯用カセットの培養基供給バルブ134と結合されるように構成されたバルブ・アクチュエータ420が備えられ、またさらにカセットの滴下室144と結合するように構成された滴下検出器402が備えられている。制御システムは、制御によりバルブ・アクチュエータ420を作動させることによってカセットの細胞培養室102を通る培養基の流量を調節する。滴下検出器の出力は絶えず監視され、ある流量の限度を超えないことが保証される。培養基には細胞培養のための酸素供給源としての働きはないので、流量は、多くの細胞培養適用業務にとってより理想的と考えられるきわめて低いレベルに制御できる。
空気供給コネクタ422はカセットの空気供給ポート202と自動的に結合するように構成されており、加圧空気は適当なポンプから空気供給バルブ(図示せず)を経由してこのコネクタに選択的に供給される。これによってカセットの培養基容器104は恒温培養プロセスの間、選択的に加圧される。さらに、気体供給コネクタ424と気体排出コネクタ426とは、カセットの気体導入および気体排出接続点172および182とそれぞれ自動的に結合する位置と構成である。これによって恒温培養プロセスの間、望ましい気体混合物がカセットの気体室118に供給される。
第1受け404の後部のパネル418にはまた、携帯用カセットの主ケーシング110の後部パネル138に配置されたメモリ装置から情報を検索し、そこに情報を記録できる読み出し/書き込み装置428が備えられている。カセットの主ケーシングが正しく第1受けに挿入されると、読み出し/書き込み装置はメモリ装置に記録された情報を検索し、培養されるべき特定の種類の細胞を恒温培養するための所定の温度と時間のパラメータを判断する。恒温器器具400はその後、上記で説明したようにその加熱・冷却システムの条件をしかるべく調節して所定の温度を維持し、かつ可視的で可聴的な警報が、恒温培養手順の完了時などの適当なときに行われるようにタイマーを始動させる。
恒温器器具400の読み出し/書き込み装置428はまた、メモリ装置206に情報を記録するように機能する。この情報には好適には1)恒温培養の開始・終了時間、2)警報または電源の故障といった恒温培養手順の何らかの中断の時間、3)使用された培養基の量の記録、4)使用される恒温器器具の記録および5)恒温培養完了の確認が含まれる。このアップデートによって、必要が生じた場合、携帯用カセット100をシーケンスの任意の段階で代わりの恒温器器具に移動させてプロセスを完了できることが保証される。
細胞培養プロセスの恒温培養段階が完了した後、携帯用カセット100はプロセッサ器具300に戻され、カセットの細胞培養室102から細胞が採集される。上記で言及したように、プロセッサ器具は、バルブ・アクチュエータ312、314、316および317を調節することで、対応する採集バルブ140、中心キャビティ・バルブ194、第1試薬バルブ224および第2試薬バルブ226を制御自在に開放することと、所定の動作シーケンスに従って可動プラットフォーム304を制御自在に傾けることとによってプロセスの細胞採集段階を実現するよう構成されている。この動作シーケンスは、以下詳細に論じられるが、最初細胞培養室の内容を採集バッグ108に排出し、次いで多量の試薬を連続して試薬バッグ214および216から室に導入して、培養された実質上すべての生物細胞が細胞床114から取り除かれることを保証し、そのたびに試薬と取り除かれた細胞が採集バッグに排出されるように選択される。。
表IIは、造血原種細胞に関する細胞培養プロセスの細胞採集段階の間のプロセッサ器具の好適動作シーケンスを示す。シーケンスの各ステップについて、本表はステップの機能の簡単な説明と共に、携帯用カセット100のさまざまなバルブ140、194、224および226と、プロセッサ器具の基部326の前部パネル334の多数の表示器332b、332cおよび332dとの所定の状態を示す。表IIはまた、シーケンスの各ステップについて、プラットフォーム304の所定の位置を示す。表IIの一番右の欄は、ステップが完了したことを判断する基準と各ステップが完了しない場合警報を鳴らすしきい値時間とを示す。
細胞採集動作シーケンスのステップ1では、作業員が携帯用カセット100の主ケーシング110をプラットフォーム304に設置し、それによって対応するバルブ・アクチュエータ312、314、316および317に近接するバルブ140、194、214および216の位置が自動的に決定される間、プロセッサ器具300は現行状態で動作しない状態である。主ケーシングがプラットフォームに正しく設置されたことが、プラットフォームに配置されたマイクロスイッチ338によって感知される。この最初のステップの間、作業員はまた、2つの採集試薬バッグ214および216を器具の頭上棚306に近接して配置された頭上サポート342に取り付ける。前に言及したように、第1バッグ214にはハンクの緩衝塩溶液が収容され、第2バッグ216にはトリプシンが収容されている。作業員はまた、第1および第2試薬チューブ218および220を頭上サポートに配置されたチューブ感知器344および346にそれぞれ設置する。プロセッサ器具300はそれによって採集動作シーケンスが開始できることを感知する。
作業員がこれらの接続を完了すると、プロセッサ器具300はカセット設置表示器332b、ポーズ表示器332cおよび採集表示器332dを点灯し、携帯用カセット100のさまざまなバルブをすべて閉じた状態に維持する。この時、作業員はポーズ表示器332cを押すことができ、動作シーケンスはステップ2に進む。この時ポーズ表示器332cは消えるが、カセット設置表示器332bと採集表示器332dは採集段階の残りの期間点灯したままである。作業員がこの表示器を300秒以内に押せない場合、器具は適当な警報を鳴らす。
携帯用カセット100がプロセッサ器具300によって正しく受け入れられたと判断されたとき、器具は、好都合にもカセットの主ケーシング110の後部パネル138に配置された窪み208に位置するメモリ装置206に保存されたデータを検索する。これは読み出し/書き込み装置341を使用して達成される。検索されたデータには、培養された特定の種類の生物細胞とその細胞を培養するための適当な手順との記録が含まれるので、プロセッサ器具はこの検索されたデータに基づいて適当な動作シーケンスを選択する。表IIに示された動作シーケンスは造血原種細胞の採集に適している。
この例で培養される種類の造血原種細胞の採集のための動作シーケンスのステップ2では、プロセッサ器具300はプラットフォーム304を原点位置に移動させるが、ここではプラットフォームは実質上水平である。この時、携帯用カセット100のさまざまなバルブはすべて閉じたままである。カセット設置表示器332bと採集表示器332dとは、点灯したままであるが、これは採集段階の全動作シーケンスにわたってそうである。原点位置が50秒以内に達成されない場合、警報が鳴る。そうでなければ、動作シーケンスはステップ3に進む。
ステップ3〜ステップ8は、細胞培養室102から採集バッグ108への最初の液体の排出に関する。最初に排出される液体には培養基と培養された生物細胞の主要部分とが含まれる。細胞の残りの部分は細胞床114に付着したままである。
ステップ3では、プロセッサ器具300はプラットフォーム304、したがって携帯用カセット100とを約45度の角度で後方に傾けると共に、中心ポート・バルブ194を開き、細胞培養室102を通気口チューブ192と無菌通気口196とを通じて大気に通気する。これがなされた後、プロセスはステップ4で進み、採集バルブ140が開かれる。これによって上記の液体の大部分は細胞培養室から採集ポート130と採集チューブ132とを経由して採集バッグ108に排出される。このステップは105秒の長さを有する。
その後、ステップ5では、プラットフォーム304は原点位置に復帰し、ステップ6でプラットフォームは再び約45度の角度で後方に傾けられる。ステップ7ではプラットフォームがこの傾いた位置に60秒間保持され、追加の量の液体が採集バッグ108に排出される。これらのステップ5〜ステップ7の間採集バルブ140と中心ポート・バルブ194とは開いたままである。ステップ8では、採集バルブが閉じ、プラットフォームは原点位置に復帰する。
ステップ9〜ステップ16はすべて細胞培養室102を第1試薬バッグ214に収容された試薬、すなわちハンクの緩衝塩溶液で洗浄し、その結果生じた洗浄液を採集バッグ108に排出することに関する。ステップ9では、第1試薬のバルブ224が開き、約70mlの試薬が細胞培養室に輸送される。これは最初にバッグ214に収容されていたこの試薬の総量の約2分の1である。その後、ステップ10で、第1試薬バルブ224が閉じ、中心ポート・バルブ194が開いて、室を通気し、プラットフォーム304は前後方向に振動する。この振動は約+45度から約−45度の範囲を有し、試薬を繰り返し細胞床114越しに動かして、付着した細胞の一部を取り除く。この運動は60秒間継続する。
その後プラットフォーム304は、ステップ11で原点位置に復帰し、ステップ12で左右に振動する。この運動はやはり約+45度から約−45度の範囲と60秒の長さとを有し、さらに付着した細胞を取り除く。その後、ステップ13でプラットフォームは原点位置に復帰し、その後ステップ14で約45度の角度で後方に傾く。その後ステップ15で採集バルブ140が開き、試薬と取り除かれた細胞は採集バッグ108に排出される。このステップは75秒の長さを有する。最後に、ステップ16で、採集バルブが閉じ、プラットフォームは原点位置に復帰する。
ステップ17〜ステップ24はすべて、細胞培養室102を第2試薬バッグ216に収容された試薬、すなわちトリプシンで洗浄し、結果として生じた洗浄液を採集バッグ108に排出することに関する。トリプシンは、細胞床114に付着した残りの細胞のほとんどすべてを取り除くのに有効な蛋白質である。ステップ17〜ステップ24は、ステップ9で第1試薬のバルブ216が開いたのと対照的にステップ17で第2試薬のバルブが開くこと以外は、ステップ9〜ステップ16と同一である。最終ステップ、すなわちステップ24の後、プラットフォーム304は原点位置に復帰する。
ステップ25〜ステップ32はすべて、細胞培養室102を第1試薬バッグ214に収容された試薬(ハンクの緩衝塩溶液)で二度目に洗浄することに関する。これらのステップは上記で論じたステップ9〜ステップ16と同一であり、室内に残った細胞の大部分を採集バッグ108に輸送する働きをする。ステップ32の後、プラットフォーム304は原点位置に復帰する。
最後に、ステップ33で、携帯用カセット100とプロセッサ器具300とのすべてのバルブが閉じ、カセット設置表示器322bが点滅する。さらに、音による指示が提供され、作業員にカセットを器具から取り外し、採集バッグ108を抜き取るように促す。この時、採集バッグには、採集プロセスが開始されたとき細胞培養室内に存在した実質上すべての生物細胞と共に、室内に存在する培養基すなわち約140mlのハンクの緩衝塩溶液と約70mlのトリプシンとが収容されているはずである。
33ステップの動作シーケンスが、何らかのステップで、例えば作業員がポーズ表示器332cを押すなどして中断される場合、プロセッサ器具300は、所定の回復プログラムを進めることによってシーケンスの実行を再開する。詳細には、プラットフォーム304が原点位置に移動するステップ(すなわち、ステップ2、5、8、11、13、16、19、21、24、27、29および32)で中断が発生した場合、器具は単純に、原点位置を達成するまでプラットフォームを移動させることによって回復する。プラットフォームが他の運動をするステップで中断が発生した場合、器具はまずプラットフォームを原点位置に復帰させ、その後ステップを反復することによって回復する。他方、プラットフォームが移動しないステップで中断が発生した場合、器具は単純に中断が発生したときのステップを再開することによって回復する。
携帯用カセット100がプロセッサ器具300によって受け入れられている間、何らかの重大な事態の発生は、データとして読み出し/書き込み装置341により、カセットの後部パネル138に配置されたメモリ装置206に保存される。こうしたデータの例には、1)採集開始・終了時間、2)完了した最終動作ステップの記録、3)33ステップの動作シーケンス中の何らかの警報の発生とその時間および4)細胞採集が完了したことの表示が含まれる。このアップデートによって、必要が生じた場合、携帯用カセットをシーケンスの任意の段階で代わりのプロセッサ器具に移動してプロセスを完了できることが保証される。
従って、細胞採集手順が、細胞培養カセット102と最終バッグ108との無菌障壁を破らずに達成されることが認識される。さらに、この手順が最小の作業員の関与で達成され、その最小の関与は複雑な作業員の訓練を必要としないことが認識される。
上記で言及したように、システム管理装置500(図1)は作業員とのインターフェースを提供し、50もの個別の携帯用カセット100で同時に発生する細胞培養を監視する。本システム管理装置は複数のプロセッサ器具300および複数の恒温器器具400とネットワークで結ばれ、これらの器具と、これらの器具が任意のときに処理する任意の携帯用カセットとの状態を監視する。システム管理装置によるこれらの器具の直接制御は発生しない。そうではなく、この面でのシステム管理装置の唯一の機能は器具を監視し、細胞培養の過程で各カセットの状態に直接関係のある情報を蓄積することである。
システム管理装置500が任意の特定のプロセッサ器具300から受信できる情報の種類の例には、1)器具の状態と器具が現在実行している特定のステップ番号、2)処理されている携帯用カセット100のバルブの設定、3)器具のさまざまなセンサの記録、4)関連する携帯用カセットのメモリ装置206に保存された情報、5)警報の状態および6)実行されている特定の動作シーケンスの種類が含まれる。システム管理装置が任意の特定の恒温器器具400から受信できる情報の種類の例には、1)器具の状態とその制御設定、2)器具のさまざまなセンサの記録、3)関連する携帯用カセットのメモリ装置206に保存された情報、4)警報の状態および5)実行されている特定の動作シーケンスの種類が含まれる。プリンタ503はこの情報を細胞培養プロセスの終了時または命令に応じて印刷し、目的を達成するためプロセスの文書による記録を提供することができる。
システム管理装置500のもう1つの機能は、細胞培養プロセスが開始される前に、関連情報を、各携帯用カセット100に関連するメモリ装置206に最初にロードすることである。こうした情報には、1)細胞の培養目的である特定の患者の身元確認、2)培養されている細胞の種類の確認、3)使用されている特定の携帯用カセットと使用されている培養基の特定のロットおよび使用されている採集試薬の確認、4)実時間と日付のスタンプおよび5)細胞培養プロセスに関する任意の特定の処理パラメータ(例えば恒温培養の温度と時間)の確認が含まれる。最後に、システム管理装置には手動データ入力のためのキーボード504と、試薬バッグ等のバーコード・ラベルを走査するためのバーコード読取り器506とが含まれる。システム管理装置にはまた、情報をメモリ装置にロードするための読み出し/書き込み装置502が含まれる。
システム管理装置500はまた、恒温培養の後、細胞採集の前にメモリ装置206をチェックするために使用される。このチェックによって、携帯用カセット100が、実際に細胞採集手順に入る用意ができていることが保証できる。
上記の説明から、本発明が、細胞を外部環境にさらすことなく、携帯用カセット内の生体外で生物細胞を受け入れ、維持および培養する装置と関連する方法とを提供することが認識される。携帯用カセットは、カセットに培養すべき種類の細胞を接種し、それらの細胞を細胞培養室全体に所定のパターンで(例えば、均一に)分布させるプロセッサ器具と共に、また後には細胞が理想的に増殖するように、細胞培養室を恒温培養する恒温器器具と共に使用される。その後同じプロセッサ器具が、増殖した細胞を携帯用カセットから採集するために使用される。どちらの器具も、カセットの無菌システムを妨げることなく、細胞培養プロセスの各段階を通じて携帯用カセットの状態を調節するよう構成されている。さらに、カセットに関連するアップデート可能なメモリ装置が細胞培養プロセスの各ステップを通じてカセットとその状態に関する重大な情報を記録する。こうした情報は、順次目的を達成することと、何らかの器具の故障または重大な警報状態の場合細胞培養プロセスの再開を促進するために有益である。
本発明は現在好適な実施形態のみを参照して説明されたが、当業技術分野に熟練した者は、本発明から離れることなくさまざまな修正がなし得ることを認識するだろう。従って、本発明は以下の請求項のみによって定義される。

Claims (115)

  1. 生体外で生物細胞を維持及び培養するための装置であって、
    多量の生物細胞と培養基とを収容するよう構成された細胞培養室を形成するケーシングと、培養基を収容するように構成された培養基容器と、前記細胞培養室から排出された培養基を収容するよう構成された廃液容器とを含み、前記細胞培養室と、前記培養基容器と、前記廃液容器とが外部環境に対して閉じた無菌システムを形成するよう一緒に接続されている、携帯用細胞培養カセットと、
    前記携帯用カセットを取り外し自在に受け入れ、前記カセットを受け入れた時に前記カセットが係合するメカニカル・インターフェースを含む第1器具であって、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、生物細胞の生体外維持及び培養の第1段階の間、前記カセットを制御自在に調節する第1器具と、
    前記携帯用カセットを取り外し自在に受け入れ、前記カセットを受け入れた時に前記カセットが係合するメカニカル・インターフェースを含む第2器具であって、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、生物細胞の生体外維持及び培養の第2段階の間、前記カセットを制御自在に調節する第2器具とを有する、維持及び培養装置。
  2. 請求項1に記載の維持及び培養装置において、
    前記第1器具が、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、培養基と接種された生物細胞とが細胞培養室内に分布されるように、前記携帯用カセットを制御自在に調節するよう構成されており、
    前記第2器具が、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、前記生物細胞が前記細胞培養室内で維持及び培養されるように、前記携帯用カセットを制御自在に恒温培養するよう構成されている、維持及び培養装置。
  3. 請求項2に記載の維持及び培養装置において、前記第1器具がさらに、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、前記細胞培養室内で維持及び培養される生物細胞が採集されるように、携帯用カセットを制御自在に調節するよう構成されている、維持及び培養装置。
  4. 請求項2に記載の維持及び培養装置において、前記第2器具がさらに、前記培養基容器から前記細胞培養室を通って前記廃液容器に至る培養基の流れを制御することと、前記細胞培養室への酸素を含む気体の流れと、前記細胞培養室からの排出気体の流れとを供給することとによって、前記携帯用カセットを調節するよう構成されている、維持及び培養装置。
  5. 請求項1に記載の維持及び培養装置において、
    前記携帯用カセットがさらに前記細胞培養室と前記細胞培養室の時間毎の所望の状態とに関する情報を保存するメモリ装置を含み、
    前記第1および第2器具の両方が、前記携帯用カセットのメモリ装置から情報を検索し、かつ前記検索された情報に基づいて前記カセットを調節するよう構成されている、維持及び培養装置。
  6. 請求項1に記載の維持及び培養装置において、
    前記携帯用カセットがさらに、アップデート可能なメモリ装置を含み、
    前記第1および第2器具の両方が、器具が前記カセットを受け入れている時間中の前記カセットの状態に基づいて前記携帯用カセットの前記メモリ装置に情報を保存するよう構成されている、維持及び培養装置。
  7. 生物細胞を生体外で維持及び培養するための方法であって、
    多量の生物細胞と培養基とを収容するよう構成された細胞培養室を形成するケーシングと、前記細胞培養室に接続され、培養基を収容するように構成された培養基容器と、前記細胞培養室に接続され、前記細胞培養室から排出された培養基を収容するよう構成された廃液容器とを含み、前記細胞培養室と、前記培養基容器と、前記廃液容器とが外部環境に対して閉じた無菌システムを形成している、携帯用細胞培養カセットを提供するステップと、
    第1器具のプラットフォームに前記携帯用細胞培養カセットを配置するステップであって、前記配置が、前記第1器具の一部であるメカニカル・インターフェースに前記カセットを係合することを含むステップと、
    前記携帯用カセットが前記第1器具のプラットフォームに配置されている間に、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、前記細胞培養室内で生物細胞を生体外で維持及び培養するためのプロセスの所定の段階を実行するように、前記携帯用カセットを調節するステップとを有する、維持及び培養方法。
  8. 請求項7に記載の維持及び培養方法において、さらに、
    第2器具のプラットフォームに前記携帯用細胞培養カセットを配置するステップであって、前記配置が、前記第2器具の一部であるメカニカル・インターフェースに前記カセットを係合することを含むステップと、
    前記携帯用カセットが前記第2器具のプラットフォームに配置されている間に、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、生体外で生物細胞を維持及び培養するためのプロセスの第2の所定の段階を実行するように、前記携帯用カセットを調節するステップとを含む、維持及び培養方法。
  9. 請求項8に記載の維持及び培養方法において、
    前記携帯用カセットが前記第1器具のプラットフォームに配置されている間に、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、前記細胞培養室内に培養基と接種された生物細胞とを分布させる前記携帯用カセットを調節するステップと、
    前記携帯用カセットが前記第2器具のプラットフォームに配置されている間に、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、前記細胞培養室内で前記生物細胞が維持及び培養されるように前記携帯用カセットを恒温培養する前記携帯用カセットを調節するステップとを含む、維持及び培養方法。
  10. 請求項9に記載の維持及び培養方法において、さらに、
    前記携帯用カセットを前記第1器具の前記プラットフォームに再び配置するステップであって、再び配置することが、前記第1器具のメカニカル・インターフェースに前記カセットを係合することを含むステップと、
    前記携帯用カセットが再び前記第1器具のプラットフォームに配置されている間に、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、前記細胞培養室内で維持及び培養された生物細胞が採集されるように、前記携帯用カセットを調節するステップとを含む、維持及び培養方法。
  11. 請求項9に記載の維持及び培養方法において、前記携帯用カセットが前記第2器具のプラットフォームに配置されている間に前記携帯用カセットを調節するステップが、
    前記培養基容器から前記細胞培養室を通って前記廃液容器に至る培養基の流れを調節するステップと、
    前記細胞培養室への酸素を含む気体の流れと、前記細胞培養室からの排出気体の流れとを供給するステップとを含む、維持及び培養方法。
  12. 請求項7に記載の維持及び培養方法において、
    前記携帯用カセットがさらに、前記細胞培養室の時間毎の所望の状態調節に関する情報を保存するメモリ装置を含み、
    前記携帯用カセットが前記第1器具のプラットフォームに配置されている間に前記携帯用カセットを調節するステップが、前記携帯用カセットの前記メモリ装置から情報を検索し、前記検索された情報に基づいて前記カセットを調節するステップを含む、維持及び培養方法。
  13. 請求項7に記載の維持及び培養方法において、
    前記携帯用カセットがさらに、アップデート可能なメモリ装置を含み、
    前記携帯用カセットが前記第1器具のプラットフォームに配置されている間に前記携帯用カセットを調節するステップが、前記カセットがそのように配置されている間の前記カセットの状態に関する情報を前記携帯用カセットのメモリ装置に保存するステップを含む、維持及び培養方法。
  14. 生体外で生物細胞を維持及び培養するための装置であって、
    多量の生物細胞と培養基とを収容するよう構成された細胞培養室を形成するケーシングを含み、前記細胞培養室が、外部環境に対して閉じた無菌システムの一部である携帯用細胞培養カセットと、
    前記携帯用カセットを取り外し自在に受け入れ、前記カセットを受け入れたときに前記カセットが係合するメカニカル・インターフェースを含む第1器具であって、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、生物細胞の生体外維持及び培養の第1段階の間、前記カセットを制御自在に調節する第1器具とを含む、維持及び培養装置。
  15. 請求項14に記載の維持及び培養装置において、
    前記携帯用カセットを取り外し自在に受け入れ、前記カセットを受け入れた時に前記カセットが係合するメカニカル・インターフェースを含む第2器具であって、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、生物細胞の生体外維持及び培養の第2段階の間、前記カセットを制御自在に調節する第2器具をさらに含む、維持及び培養装置。
  16. 請求項15に記載の維持及び培養装置において、
    前記第1器具が、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、培養基と接種された生物細胞とが細胞培養室内に分布されるように、前記携帯用カセットを制御自在に調節するよう構成されており、
    前記第2器具が、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、前記生物細胞が前記細胞培養室内で維持及び培養されるように、前記携帯用カセットを制御自在に恒温培養するよう構成されている、維持及び培養装置。
  17. 請求項16に記載の維持及び培養装置において、前記第1器具がさらに、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、前記細胞培養室内で維持及び培養される生物細胞が採集されるように、携帯用カセットを制御自在に調節するよう構成されている、維持及び培養装置。
  18. 請求項16に記載の維持及び培養装置において、前記携帯用細胞培養カセットがさらに、
    培養基を収容するよう構成された培養基容器と、
    前記培養室から排出された培養基を収容するよう構成された廃液容器とを含み、
    前記細胞培養室と、前記培養基容器と、前記廃液容器とが、外部環境に対して閉じた無菌システムを構成する無菌流体経路を形成するよう一緒に接続され、
    前記第2器具がさらに、前記無菌流体経路を外部環境にさらすことなく、前記培養基容器から前記細胞培養室を通って前記廃液容器に至る培養基の流れを制御し、前記細胞培養室への酸素を含む気体の流れと前記細胞培養室からの排出気体の流れを供給することによって、前記携帯用カセットを調節するよう構成されている、維持及び培養装置。
  19. 請求項14に記載の維持及び培養装置において、
    前記携帯用カセットがさらに、前記細胞培養室と前記細胞培養室の時間毎の所望の状態調節に関する情報を保存するメモリ装置を含み、
    前記第1器具が、前記携帯用カセットのメモリ装置から情報を検索し、かつ前記検索された情報に基づいて前記カセットを調節するよう構成されている、維持及び培養装置。
  20. 請求項14に記載の維持及び培養装置において、
    前記携帯用カセットがさらに、アップデート可能なメモリ装置を含み、
    前記第1器具が、器具が前記カセットを受け入れている時間中の前記カセットの状態に基づいて前記携帯用カセットの前記メモリ装置に情報を保存するよう構成されている、維持及び培養装置。
  21. 生物細胞を生体外で維持及び培養するための方法であって、
    多量の生物細胞と培養基とを収容するよう構成された細胞培養室を形成するケーシングを含み、前記細胞培養室が、前記外部環境に対して閉じた無菌システムの一部である携帯用細胞培養カセットを提供するステップと、
    第1器具のプラットフォームに前記携帯用細胞培養カセットを配置するステップであって、前記配置が、前記第1器具の一部であるメカニカル・インターフェースに前記カセットを係合することを含むステップと、
    前記携帯用カセットが前記第1器具のプラットフォームに配置されている間に、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、前記細胞培養室内で生物細胞を生体外で維持及び培養するためのプロセスの所定の段階を実行するように、前記携帯用カセットを調節するステップとを含む、維持及び培養方法。
  22. 請求項21に記載の維持及び培養方法において、さらに、
    第2器具のプラットフォームに前記携帯用細胞培養カセットを配置するステップであって、前記配置が、前記第2器具の一部であるメカニカル・インターフェースに前記カセットを係合することを含むステップと、
    前記携帯用カセットが前記第2器具のプラットフォームに配置されている間に、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、生体外で生物細胞を維持及び培養するためのプロセスの第2の所定の段階を実行するように、前記携帯用カセットを調節するステップとを含む、維持及び培養方法。
  23. 請求項22に記載の維持及び培養方法において、
    前記携帯用カセットが前記第1器具のプラットフォームに配置されている間に、前記閉じた、無菌システムを外部環境にさらすことなく、前記細胞培養室内に培養基と接種された生物細胞とを分布させる前記携帯用カセットを調節するステップと、
    前記携帯用カセットが前記第2器具のプラットフォームに配置されている間に、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、前記細胞培養室内で前記生物細胞が維持及び培養されるように前記携帯用カセットを恒温培養する前記携帯用カセットを調節するステップとを含む、維持及び培養方法。
  24. 請求項23に記載の維持及び培養方法において、さらに、
    前記携帯用カセットを前記第1器具の前記プラットフォームに再び配置するステップであって、前記再び配置することが、第1器具のメカニカル・インターフェースに前記カセットを係合することを含むステップと、
    前記携帯用カセットが再び前記第1器具のプラットフォームに配置されている間に、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、前記細胞培養室内で維持及び培養された生物細胞が採集されるように、前記携帯用カセットを調節するステップとを含む、維持及び培養方法。
  25. 請求項23に記載の維持及び培養方法において、
    提供する要素に設けられた前記携帯用細胞培養カセットが、
    培養基を収容するように構成された培養基容器と、
    前記培養室から排出された培養基を収容するよう構成された廃液容器とをさらに含み、
    前記携帯用カセットが前記第2器具のプラットフォームに配置されている間に前記携帯用カセットを調節するステップが、
    前記培養基容器から前記細胞培養室を通って前記廃液容器に至る培養基の流れを制御すること、および
    前記細胞培養室への酸素を含む気体の流れと前記細胞培養室からの排出気体の流れを供給することをさらに含む、維持及び培養方法。
  26. 請求項21に記載の維持及び培養方法において、
    提供する要素に設けられた前記携帯用細胞培養カセットが、前記細胞培養室の時間毎の所望の状態調節に関する情報を保存するメモリ装置をさらに含み、
    前記携帯用カセットが前記第1器具のプラットフォームに配置されている間に前記携帯用カセットを調節するステップが、前記携帯用カセットのメモリ装置から情報を検索すること、および前記検索された情報に基づいて前記カセットを調節することを含む、維持及び培養方法。
  27. 請求項21に記載の維持及び培養方法において、
    提供する要素に設けられた前記携帯用細胞培養カセットが、アップデート可能なメモリ装置をさらに含み、
    前記携帯用カセットが前記第1器具のプラットフォームに配置されている間に前記携帯用カセットを調節するステップが、前記カセットがそのように配置されている間の前記カセットの状態に関する情報を前記携帯用カセットのメモリ装置に保存することを含む、維持及び培養方法。
  28. 連続するプロセスの段階で生物細胞を維持及び培養するよう動作する携帯用細胞培養装置であって、
    多量の生物細胞と培養基とを収容するよう構成された細胞培養室を形成する第1ケーシングと、
    前記細胞培養室に接続され、前記培養室に供給するための培養基を収容するよう構成された培養基容器と、
    前記細胞培養室に接続され、前記培養室から排出された培養基を収容するよう構成された廃液容器とを含み、
    前記細胞培養室と、前記培養基容器と、前記廃液容器とが接続されて、外部環境に対して閉じた無菌システムを形成し、
    一連の器具と個別に結合し、前記器具が、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、細胞維持及び培養プロセスの所定の段階を実現するよう各器具によって制御されるよう構成されたインターフェースとを含む、携帯用細胞培養装置。
  29. 請求項28に記載の携帯用細胞培養装置において、前記インターフェースがさらに、前記細胞培養室とそこに収容される前記生物細胞および培養基とに関する情報を保存し、さらに前記細胞培養室の時間毎の状態に関する情報を保存するアップデート可能なメモリ装置を含む、携帯用細胞培養装置。
  30. 請求項28に記載の携帯用細胞培養装置において、
    前記装置がさらに前記細胞培養室の一部を形成する気体透過性/液体不透過性の膜と前記細胞培養室の前記膜の反対側に配置された気体室とを含み、
    前記インターフェースが、前記膜を通じて前記細胞培養室に浸透させるために気体を前記気体室に供給する気体供給フィッティングと、前記気体供給フィッティングを前記気体室に接続するガス供給ラインとを含む、携帯用細胞培養装置。
  31. 請求項28に記載の携帯用細胞培養装置において、さらに前記第1ケーシングから取り外し可能な、前記培養基容器を形成する第2ケーシングを含む、携帯用細胞培養装置。
  32. 請求項31に記載の携帯用細胞培養装置において、前記第2ケーシングが、前記細胞培養室と、前記培養基容器と、前記廃液容器とによって形成される前記閉じた無菌システムを妨げることなく、前記培養基容器内に収容された前記培養基を加圧するための気体を受け入れるポートを含む、携帯用細胞培養装置。
  33. 請求項28に記載の携帯用細胞培養装置において、
    前記携帯用細胞培養装置がさらに、前記細胞培養室に通じる培養基流れ通路を含み、
    前記インターフェースが前記培養基流れ通路の少なくとも一部分と結合可能であり、前記細胞培養室を通る培養基の流れを制御する、携帯用細胞培養装置。
  34. 請求項28に記載の携帯用細胞培養装置において、さらに前記細胞培養室に接続され、前記細胞培養室から採集された培養基と生物細胞とを収容するよう構成された採集容器を含み、前記採集容器が、前記細胞培養室、前記培養基容器および前記廃液容器と同じ閉じた無菌システムの一部分である、携帯用細胞培養装置。
  35. 請求項34に記載の携帯用細胞培養装置において、流体を前記細胞培養室から前記廃液容器にまたは前記採集容器に選択的に向けるための手段をさらに含む、携帯用細胞培養装置。
  36. 請求項28に記載の携帯用細胞培養装置において、
    前記第1ケーシングがさらに外部パネルを含み、
    前記携帯用細胞培養装置がさらに、前記細胞培養室に通じる培養基流れ通路を含み、
    前記培養基流れ通路の少なくとも一部分が前記第1ケーシングの前記外部パネルに近接して位置する、携帯用細胞培養装置。
  37. 請求項36に記載の携帯用細胞培養装置において、
    前記培養基流れ通路が、前記培養基容器を前記細胞培養室と相互接続する第1弾力性チューブと、前記細胞培養室を前記廃液容器と相互接続する第2弾力性チューブとを含み、
    前記装置がさらに、前記第1および第2弾力性チューブの少なくとも1つと取り外し自在に結合し、前記培養室を通る培養基の流れを制御する流れ制御装置を含む、携帯用細胞培養装置。
  38. 請求項37に記載の携帯用細胞培養装置において、前記流れ制御装置が、ばねによって偏倚され、前記チューブを締め付けるプランジャと、前記第1ケーシングの前記外部パネルと隣接して設置され、プレートが押されるとき前記プランジャが前記チューブの締め付けを開放するように前記プランジャに作動接続された前記プレートとを含む、携帯用細胞培養装置。
  39. 請求項28に記載の携帯用細胞培養装置において、
    前記細胞培養室と、前記培養基容器と、前記廃液容器とによって形成された前記閉じたシステムが、連続培養基流れ通路を形成し、
    前記連続培養基流れ通路が、前記細胞培養室と前記廃液容器との間に位置する圧力破壊によって中断される、携帯用細胞培養装置。
  40. 請求項39に記載の携帯用細胞培養装置において、前記細胞培養室と前記廃液容器との間に位置する前記圧力破壊がドリップ室である、携帯用細胞培養装置。
  41. 請求項28に記載の携帯用細胞培養装置において、
    前記インターフェースが、前記培養基容器内に入っている前記培養基を加圧するための流体を受け入れるポートを含み、
    前記培養基容器内に入っている前記培養基の加圧によって、前記細胞培養室を通して前記培養基を前記廃液容器に輸送し、
    前記培養基容器にもたらされた加圧のみによって、前記細胞培養室を通して前記培養基容器から前記廃液容器まで培養基が輸送されるよう構成された、携帯用細胞培養装置。
  42. 請求項28に記載の携帯用細胞培養装置において、
    前記細胞培養室と、前記培養基容器と、前記廃液容器とによって形成された前記閉じたシステムが、連続培養基流れ通路を形成し、
    前記連続培養基流れ通路が、外部装置によって前記培養基容器から前記廃液容器への培養基の流れをモニタすることが可能になるよう構成された、携帯用細胞培養装置
  43. 請求項42に記載の携帯用細胞培養装置において、前記連続培養基流れ通路が、外部装置によって前記培養基容器から前記廃液容器への培養基の流れをモニタすることが可能になるよう構成されたドリップ室を含む、携帯用細胞培養装置。
  44. 生物細胞を維持及び培養するための携帯用細胞培養装置であって、
    多量の生物細胞と培養基とを収容するよう構成された細胞培養室を形成する第1ケーシングと、
    前記細胞培養室に接続され、培養基を収容するよう構成された培養基容器と、
    前記細胞培養室に接続され、前記培養室から排出された培養基を収容するよう構成された廃液容器とを含み、
    前記細胞培養室と、前記培養基容器と、前記廃液容器とが一緒に接続されて、ユニットとして無菌化されるよう構成された閉じたシステムを形成し、
    前記細胞培養室が、無菌化後に前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく前記培養基容器から培養基が注入されるよう構成され、
    前記細胞培養室が、培養基注入後に生物細胞を接種され、その後、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく培養基を前記培養基容器から前記室を通して前記廃液容器に輸送する間、接種された培養基を維持及び培養するよう構成された、携帯用細胞培養装置。
  45. 請求項44に記載の携帯用細胞培養装置において、さらに前記細胞培養室とそこに収容される前記生物細胞および培養基とに関する情報を示し、さらに前記細胞培養室の時間毎の状態に関する情報を示すデータを保存するアップデート可能なメモリ装置を含む、携帯用細胞培養装置。
  46. 請求項45に記載の携帯用細胞培養装置において、
    前記第1ケーシングが外部後部パネルを含み、
    前記アップデート可能なメモリ装置が前記第1ケーシングの前記後部パネルに配置される、携帯用細胞培養装置。
  47. 請求項44に記載の携帯用細胞培養装置において、
    前記第1ケーシングが、外部パネルと、前記細胞培養室の一部を形成する気体透過性/液体不透過性膜と、前記細胞培養室の前記膜の反対側に配置された気体室とを含み、
    前記携帯用細胞培養装置がさらに、前記第1ケーシングの前記外部パネルに設置された気体供給フィッティングと、前記気体供給フィッティングと前記気体室とを接続する気体供給ラインと、前記気体供給ラインに関連付けられた無菌フィルタとを含み、前記膜を通じて前記細胞培養室に浸透させるため無菌の気体を前記気体室に供給する、携帯用細胞培養装置。
  48. 請求項44に記載の携帯用細胞培養装置において、さらに前記第1ケーシングから分離可能な、前記培養基容器を収容する第2ケーシングを含む、携帯用細胞培養装置。
  49. 請求項48に記載の携帯用細胞培養装置において、前記第2ケーシングが、前記細胞培養室と、前記培養基容器と、前記廃液容器とによって形成される前記閉じた無菌システムを妨げることなく、前記培養基容器内に収容された前記培養基を加圧するための気体を受け入れるポートを含む、携帯用細胞培養装置。
  50. 請求項44に記載の携帯用細胞培養装置において、
    前記第1ケーシングがさらに外部パネルを含み、
    前記携帯用細胞培養装置がさらに、前記細胞培養室に通じる培養基流れ通路を含み、
    前記培養基流れ通路の少なくとも一部分が前記第1ケーシングの前記外部パネルに近接して位置する、携帯用細胞培養装置。
  51. 請求項50に記載の携帯用細胞培養装置において、
    前記培養基流れ通路が、前記培養基容器を前記細胞培養室と相互接続する第1弾力性チューブと、前記細胞培養室を前記廃液容器と相互接続する第2弾力性チューブとを含み、
    前記装置がさらに、前記第1および第2弾力性チューブの少なくとも1つと取り外し自在に結合し、前記培養室を通る培養基の流れを制御する流れ制御装置を含む、携帯用細胞培養装置。
  52. 請求項51に記載の携帯用細胞培養装置において、前記流れ制御装置が、ばねによって偏倚され、前記チューブを締め付けるプランジャと、前記第1ケーシングの前記外部パネルと隣接して設置され、プレートが押されるとき前記プランジャが前記チューブの締め付けを開放するように前記プランジャに作動接続された前記プレートとを含む、携帯用細胞培養装置。
  53. 請求項44に記載の携帯用細胞培養装置において、前記細胞培養室に接続され、前記細胞培養室から採集された培養基と生物細胞とを収容するよう構成された採集容器をさらに含み、前記採集容器が、前記細胞培養室および前記培養基容器と同じ閉じた無菌システムの一部分である、携帯用細胞培養装置。
  54. 請求項53に記載の携帯用細胞培養装置において、流体を前記細胞培養室から前記廃液容器にまたは前記採集容器に選択的に向けるための手段をさらに含む、携帯用細胞培養装置。
  55. 請求項44に記載の携帯用細胞培養装置において、閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、一連の器具に個々に係合可能になるようにかつ各器具によって制御されるように構成されて、前記装置が細胞の維持及び培養プロセスの所定の段階を実行するようになされたインターフェースをさらに含む、携帯用細胞培養装置。
  56. 請求項44に記載の携帯用細胞培養装置において、
    前記細胞培養室と、前記培養基容器と、前記廃液容器とによって形成された前記閉じたシステムが、連続培養基流れ通路を形成し、
    前記連続培養基流れ通路が、前記細胞培養室と前記廃液容器との間に位置する圧力破壊によって中断される、携帯用細胞培養装置。
  57. 請求項56に記載の携帯用細胞培養装置において、前記細胞培養室と前記廃液容器との間に位置する前記圧力破壊がドリップ室である、携帯用細胞培養装置。
  58. 請求項44に記載の携帯用細胞培養装置において、
    前記培養基容器内に入っている前記培養基を加圧するための流体を受け入れるポートをさらに含み、
    前記培養基容器内に入っている前記培養基の加圧によって、前記細胞培養室を通して前記培養基を前記廃液容器に輸送し、
    前記培養基容器にもたらされた加圧のみによって、前記細胞培養室を通して前記培養基容器から前記廃液容器まで培養基が輸送されるよう構成された、携帯用細胞培養装置。
  59. 請求項44に記載の携帯用細胞培養装置において、
    前記細胞培養室と、前記培養基容器と、前記廃液容器とによって形成された前記閉じたシステムが、連続培養基流れ通路を形成し、
    前記連続培養基流れ通路が、外部装置によって前記培養基容器から前記廃液容器への培養基の流れをモニタすることが可能になるよう構成された、携帯用細胞培養装置。
  60. 請求項59に記載の携帯用細胞培養装置において、前記連続培養基流れ通路が、外部装置によって前記培養基容器から前記廃液容器への培養基の流れをモニタすることが可能になるよう構成されたドリップ室を含む、携帯用細胞培養装置。
  61. 生物細胞を維持及び培養するための携帯用細胞培養装置であって
    多量の生物細胞と培養基とを収容するよう構成された細胞培養室を形成するための手段にして、前記細胞培養室の一部を形成する気体透過性/液体不透過性膜を含む手段と、
    前記細胞培養室の前記膜の反対側に配置された気体室を形成し、かつ所定の気体を前記気体室に供給するための手段と、
    第1培養基流れ通路によって前記細胞培養室に接続され、かつ培養基を収容するよう構成された培養基容器と、
    第2培養基流れ通路によって前記細胞培養室に接続され、かつ前記培養室から排出された培養基を収容するよう構成された廃液容器と、
    第3培養基流れ通路によって前記細胞培養室に接続され、かつ前記細胞培養室から採集された培養基および生物細胞を収容するよう構成された採集容器と、
    記閉じた無菌システムに支障をきたすことなく、前記培養基容器内に入っている培養基に圧力を加えるための手段と、
    前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、一連の器具に個々に係合可能になるようにかつ各器具によって制御されるように構成されて、前記装置が細胞の維持及び培養プロセスの所定の段階を実行するようになされたインターフェースとを有し
    前記細胞培養室と、前記培養基容器と、前記廃液容器と、前記採集容器と、前記第1、第2、および第3培養基流れ通路とが一緒に接続されて、ユニットとして無菌化されるよう構成された閉じたシステムを形成し、さらに、
    第1段階では、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく前記培養基容器から前記細胞培養室に培養基が注入されるように、前記携帯用細胞培養装置が調節され、
    第2段階では、前記細胞培養室に生物細胞を接種できるように、前記携帯用細胞培養装置が調節され、
    第3段階では、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、培養基を前記培養基容器から前記細胞培養室を通して前記廃液容器に輸送する間、前記細胞培養室内で接種細胞が維持及び培養されるように、前記携帯用細胞培養装置が調節され、
    第4段階では、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、生物細胞が前記細胞培養室から前記採集容器に輸送されるように前記携帯用細胞培養装置が調節される、携帯用細胞培養装置。
  62. 生物細胞を生体外で維持及び培養するための装置であって、
    多量の生物細胞と培養基とを含むよう構成された細胞培養室を形成するケーシングと、前記細胞培養室に接続され、培養基を収容するよう構成された培養基容器と、前記培養室に接続され、前記細胞培養室から排出される培養基を収容するよう構成された廃液容器と、前記細胞培養室とそれが収容する前記生物細胞および培養基とに関する情報と前記細胞培養室の時間毎の所望の状態調節とに関する情報とを保存するメモリ装置とを有し、前記細胞培養室と、前記培養基容器と、前記廃液容器とが一緒に接続されて、外部環境に対して閉じた無菌化可能な流体経路を形成する、携帯用細胞培養カセットと、
    生物細胞の生体外維持及び培養の第1段階の間、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、前記携帯用カセットを取り外し自在に受け入れ、前記メモリ装置に保存された情報を検索し、その検索された情報に反応して、前記カセットを制御自在に調節する第1器具とを有する、維持及び培養装置。
  63. 請求項62に記載の維持及び培養装置において、さらに、生物細胞の生体外維持及び培養の第2段階の間、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、前記携帯用カセットを取り外し自在に受け入れ、前記アップデート可能なメモリ装置に保存された情報を検索し、その検索された情報に反応して、前記カセットを制御自在に調節する第2器具とを含む、維持及び培養装置。
  64. 請求項62に記載の維持及び培養装置において、前記第1器具がさらに、前記カセットによる生物細胞の維持及び培養の第1段階の間、前記携帯用カセットの前記メモリ装置が、前記カセットの状態に関する情報によってアップデートされるよう構成された、維持及び培養装置。
  65. 請求項62に記載の維持及び培養装置において、前記携帯用カセットのケーシングが、前記携帯用カセットを取り外し自在に受け入れたときに前記第1器具で直接アクセス可能な所定位置に前記メモリ装置を支持するよう構成された、維持及び培養装置。
  66. 請求項65に記載の維持及び培養装置において、前記携帯用カセットのケーシングが、前記メモリ装置を支持するよう構成されたリセス部を有する外部パネルを含む、維持及び培養装置。
  67. 請求項62に記載の維持及び培養装置において、前記メモリ装置が不揮発性である、維持及び培養装置。
  68. 請求項62に記載の維持及び培養装置において、前記携帯用カセットがいかなる電源も含まない、維持及び培養装置。
  69. 請求項62に記載の維持及び培養装置において、
    前記メモリ装置が導電性の面を含み、
    前記導電性の面と読出し/書込み装置とを接触させることによって、前記メモリ装置の内容を検索しアップデートすることができる、維持及び培養装置。
  70. 生物細胞を生体外で維持及び培養するための装置であって、
    多量の生物細胞と培養基とを収容するよう構成され、培養基導入ポートと培養基排出ポートとを含む細胞培養室を形成するケーシングと、前記細胞培養室の前記培養基導入ポートに接続され、培養基を収容するよう構成された培養基容器と、前記細胞培養室の前記培養基排出ポートに接続され、前記細胞培養室から排出された培養基を収容するよう構成された廃液容器と、前記細胞培養室とそこに収容された前記生物細胞および培養基とに関する情報を保存するアップデート可能なメモリ装置とを有し、前記細胞培養室と、前記培養基容器と、前記廃液容器とが、外部環境に対して閉じた無菌化可能なシステムを形成する、携帯用細胞培養カセットと、
    物細胞の生体外維持及び培養の第1段階の間、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、前記携帯用カセットを取り外し自在に受け入れ、前記カセットを制御自在に調節し、さらにその第1段階の間、前記細胞培養室の状態に関する情報によって前記アップデート可能なメモリ装置をアップデートする第1器具とを有する、維持及び培養装置。
  71. 請求項70に記載の維持及び培養装置において、第1器具がさらに前記アップデート可能なメモリ装置に保存された情報を検索するよう構成され、その検索された情報に反応して、生物細胞の維持及び培養の第1段階の間、前記携帯用カセットを調節する、維持及び培養装置。
  72. 請求項70に記載の維持及び培養装置において、前記携帯用カセットのケーシングが、前記携帯用カセットを取り外し自在に受け入れたときに前記第1器具で直接アクセス可能な所定位置に前記アップデート可能なメモリ装置を支持するよう構成された、維持及び培養装置。
  73. 請求項70に記載の維持及び培養装置において、さらに生物細胞の維持及び培養の第2段階の間、前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、前記携帯用カセットを取り外し自在に受け入れ、前記カセットを制御自在に調節し、かつさらに前記アップデート可能なメモリ装置を第2段階の間、前記細胞培養室の状態に関する情報でアップデートする、維持及び培養装置。
  74. 請求項67に記載の維持及び培養装置において、前記携帯用カセットのケーシングが、前記アップデート可能なメモリ装置を支持するよう構成されたリセス部を有する外部パネルを含む、維持及び培養装置。
  75. 請求項70に記載の維持及び培養装置において、前記アップデート可能なメモリ装置が不揮発性である、維持及び培養装置。
  76. 請求項70に記載の維持及び培養装置において、前記携帯用カセットがいかなる電源も含まない、維持及び培養装置。
  77. 請求項70に記載の維持及び培養装置において、
    前記アップデート可能なメモリ装置が導電性の面を含み、
    前記導電性の面と読出し/書込み装置とを接触させることによって、前記メモリ装置の内容を検索しアップデートすることができる、維持及び培養装置。
  78. 生物細胞を生体外で維持及び培養するための携帯用細胞培養カセットであって、
    多量の生物細胞と培養基とを収容するよう構成された細胞培養室を形成するケーシングと、
    前記細胞培養室に接続され、培養基を収容するよう構成された培養基容器と、
    前記細胞培養室に接続され、前記培養室から排出される培養基を収容するよう構成された廃液容器とを含み、
    前記細胞培養室と、前記培養基容器と、前記廃液容器とが一緒に接続されて、外部環境に対して閉じた無菌化可能な流体経路を形成し、さらに、
    前記細胞培養室とそれが収容する前記生物細胞および培養基と、前記細胞培養室の時間毎の所望の状態調節とに関する情報を保存するメモリ装置を含み、
    前記携帯用カセットが、生物細胞の、前記カセットの生体外維持及び培養の所定段階の間、前記閉じた無菌化可能な流体経路を外部環境にさらすことなく、前記メモリ装置に保存された情報を検索し、その検索された情報に反応して、前記カセットを制御自在に調節する器具によって、取り外し自在に受け入れられるよう構成された、携帯用細胞培養カセット。
  79. 請求項78に記載の携帯用細胞培養カセットにおいて、前記メモリ装置が、前記カセットの時間毎の状態に関する情報により前記携帯用カセットを取り外し自在に受け入れる前記器具によってアップデート可能になるよう構成された、携帯用細胞培養カセット。
  80. 請求項78に記載の携帯用細胞培養カセットにおいて、前記携帯用カセットのケーシングが、前記携帯用カセットを取り外し自在に受け入れたときに前記第1器具で直接アクセス可能な所定位置に前記メモリ装置を支持するよう構成された、携帯用細胞培養カセット。
  81. 請求項80に記載の携帯用細胞培養カセットにおいて、前記携帯用カセットのケーシングが、前記メモリ装置を支持するよう構成されたリセス部を有する外部パネルを含む、携帯用細胞培養カセット。
  82. 請求項78に記載の携帯用細胞培養カセットにおいて、前記メモリ装置が不揮発性である、携帯用細胞培養カセット。
  83. 請求項78に記載の携帯用細胞培養カセットにおいて、前記携帯用カセットがいかなる電源も含まない、携帯用細胞培養カセット。
  84. 請求項78に記載の携帯用細胞培養カセットにおいて、
    前記メモリ装置が導電性の面を含み、
    前記導電性の面と読出し/書込み装置とを接触させることによって、前記メモリ装置の内容を検索しアップデートすることができる、携帯用細胞培養カセット。
  85. 生物細胞を生体外で維持及び培養するための携帯用細胞培養カセットであって、
    多量の生物細胞と培養基とを収容するよう構成された細胞培養室を形成するケーシングと、
    前記細胞培養室に接続され、培養基を収容するよう構成された培養基容器と、
    前記細胞培養室に接続され、前記培養室から排出される培養基を収容するよう構成された廃液容器とを含み、
    前記細胞培養室と、前記培養基容器と、前記廃液容器とが一緒に接続されて、外部環境に対して閉じた無菌化可能な流体経路を形成し、さらに、
    前記細胞培養室とそれが収容する前記生物細胞および培養基と、前記細胞培養室の時間毎の状態調節とに関する情報を保存するアップデート可能なメモリ装置を含み、
    前記携帯用カセットが、前記カセットの状態に関する情報により前記メモリ装置をアップデートする器具によって前記カセットを受け入れる間、前記器具によって取り外し自在に受け入れられるよう構成された、携帯用細胞培養カセット。
  86. 請求項85に記載の携帯用細胞培養カセットにおいて、
    前記アップデート可能なメモリ装置が、前記細胞培養室の時間毎の所望の状態調節に関する情報をさらに保存し、
    生物細胞の、前記カセットの生体外維持及び培養の所定段階の間、前記閉じた無菌化可能な流体経路を外部環境にさらすことなく、前記カセットを取り外し自在に受け入れる前記器具が、前記アップデート可能なメモリ装置に保存された情報を検索し、その検索された情報に反応して、前記カセットを制御自在に調節することができるように構成されている、携帯用細胞培養カセット。
  87. 請求項85に記載の携帯用細胞培養カセットにおいて、前記携帯用カセットのケーシングが、前記カセットを取り外し自在に受け入れる器具で直接アクセス可能な所定位置に前記アップデート可能なメモリ装置を支持するよう構成された、携帯用細胞培養カセット。
  88. 請求項87に記載の携帯用細胞培養カセットにおいて、前記携帯用カセットのケーシングが、前記アップデート可能なメモリ装置を支持するよう構成されたリセス部を有する外部パネルを含む、携帯用細胞培養カセット。
  89. 請求項85に記載の携帯用細胞培養カセットにおいて、前記アップデート可能なメモリ装置が不揮発性である、携帯用細胞培養カセット。
  90. 請求項85に記載の携帯用細胞培養カセットにおいて、前記携帯用カセットがいかなる電源も含まない、携帯用細胞培養カセット。
  91. 請求項85に記載の携帯用細胞培養カセットにおいて、
    前記アップデート可能なメモリ装置が導電性の面を含み、
    前記導電性の面と読出し/書込み装置とを接触させることによって、前記アップデート可能なメモリ装置の内容を検索しアップデートすることができる、携帯用細胞培養カセット。
  92. 生物細胞を生体外で受け入れ、維持および培養する種類の携帯用細胞培養カセットと組み合わせて使用するためのプロセッサ装置であって、前記携帯用カセットが、多量の生物細胞と培養基とを収容するよう構成された細胞培養室を含み、さらに細胞培養室に通じる培養基流れ通路を含み、前記細胞培養室および前記培養基流れ通路が、外部環境に対して閉じた無菌化システムの一部であり、前記プロセッサ装置が前記細胞培養室に培養基を注入し、前記細胞培養室内に前記生物細胞を分布させるよう機能し、前記プロセッサ装置が、
    前記携帯用カセットを取り外し自在に受け入れるよう構成され、さらに制御された態様で移動できるように構成された支えと、
    前記カセットが前記支えによって受け入れられるとき、前記携帯用カセットの前記培養基流れ通路と結合可能な流れ制御アクチュエータと、
    オペレータが介入することなく、かつ前記閉じた無菌化システムを外部環境にさらすことなく、多量の培養基が前記携帯用カセットの前記細胞培養室に供給されるように前記流れ制御アクチュエータを制御し、前記生物細胞が前記細胞培養室全体に分布されるような態様で前記支えを制御自在に移動させる制御装置とを含む、プロセッサ装置。
  93. 請求項92に記載のプロセッサ装置において、
    前記携帯用カセットがさらに前記培養基流れ通路と結合可能な流れ制御装置を含み、
    前記流れ制御アクチュエータが、前記カセットが前記支えによって受け入れられるとき、培養基の前記細胞培養室への供給を制御するよう前記携帯用カセットの前記流れ制御装置と結合可能である、プロセッサ装置。
  94. 請求項93に記載のプロセッサ装置において、
    前記制御装置が、所定の量の培養基の前記携帯用カセットの前記細胞培養室への供給を感知し、対応する検出信号を発生する培養基流れセンサを含み、
    前記制御装置が、検出信号が前記培養基流れセンサによって発生したとき培養基の前記細胞培養室への供給が終了するように、前記流れ制御アクチュエータを制御するよう構成された制御装置とを含む、プロセッサ装置。
  95. 請求項93に記載のプロセッサ装置において、前記制御装置が、所定の時間が経過した時、培養基の前記細胞培養室への供給が終了するように前記流れ制御装置を制御するよう構成された、プロセッサ装置。
  96. 請求項92に記載のプロセッサ装置において、
    前記制御装置が、所定の量の培養基の前記携帯用カセットの前記細胞培養室への供給を感知し、対応する検出信号を発生する培養基流れセンサを含み、
    前記制御装置が、検出信号が前記培養基流れセンサによって発生したとき培養基の前記細胞培養室値の供給を終了するように前記流れ制御アクチュエータを制御するよう構成されている、プロセッサ装置。
  97. 請求項92に記載のプロセッサ装置において、
    前記制御装置が、所定の量の培養基が前記携帯用カセットの前記細胞培養室に供給され、気泡が前記細胞培養室内にあるように前記流れ制御アクチュエータを制御するよう構成され、
    前記携帯用カセットが、前記カセットの前記細胞培養室内で維持及び培養されるべき多量の生物細胞が供給できる接種ポートをさらに含み、
    前記制御装置が、前記気泡が所定の方法で前記携帯用カセットの前記細胞培養室内を移動し、前記生物細胞を前記培養室内の前記培養基と実質上均一に混合するように前記支えを制御自在に動かすよう構成されている、プロセッサ装置。
  98. 請求項97に記載のプロセッサ装置において、前記制御装置がさらに前記支えの移動によって前記生物細胞が培養基と混合された後、十分な追加培養基が前記細胞培養室に供給され、前記気泡を実質上追い出すように、前記流れ制御アクチュエータを制御するよう構成されている、プロセッサ装置。
  99. 請求項92に記載のプロセッサ装置において、
    前記携帯用カセットの前記細胞培養室がさらに、採集ポートを含み、
    オペレータが介入することなく、かつ前記閉じた無菌化システムを外部環境にさらすことなく、前記制御装置が、生物細胞と培養基とを前記携帯用カセットの前記細胞培養室から前記採集ポートを経由して採集容器に排出するよう構成されている、プロセッサ装置。
  100. 請求項92に記載のプロセッサ装置において、
    前記携帯用カセットの前記細胞培養室が培養基導入ポートと、培養基排出ポートと、細胞接種ポートと採集ポートとを含み、
    前記携帯用カセットがさらに、
    前記細胞培養室に前記培養基導入ポートを経由して供給するために、所定の量の培養基を収容する培養基容器と、
    前記培養室から前記培養基排出ポートを経由して排出された培養基を収容するための廃液容器と、
    前記培養室から前記採集ポートを経由して排出された生物細胞と培養基とを収容するための採集容器とを含み、
    前記携帯用カセットの前記細胞培養室と、前記培養基容器と、前記廃液容器と、前記採集容器とが、外部環境にさらすことなく前記生物細胞と培養基とを維持するよう構成された、閉じた無菌化可能なシステムを形成し、
    前記プロセッサ装置が、オペレータが介入することなく、かつ前記携帯用カセットの閉じた無菌化されたシステムを外部環境にさらすことなく、前記細胞培養室に培養基を注入し、生物細胞を前記細胞培養室から採集するよう構成されている、プロセッサ装置。
  101. 請求項92に記載のプロセッサ装置において、
    前記携帯用カセットがさらに前記細胞培養室と前記培養基流れ通路の少なくとも一部分を収容するケーシングを含み、
    前記携帯用カセットがさらに、前記細胞培養室とそこに収容される前記生物細胞と培養基とに関する情報と、前記細胞培養室の時間毎の状態に関する情報とを保存するメモリ装置を含み、
    前記プロセッサ装置がさらに、前記ケーシングが前記支えによって受け入れられたとき、前記携帯用カセットの前記メモリ装置から情報を検索するよう動作する装置を含む、プロセッサ装置。
  102. 請求項92に記載のプロセッサ装置において、
    前記携帯用カセットがさらに、前記細胞培養室と前記培養基流れ通路の少なくとも一部とを収容するケーシングを含み、
    前記携帯用カセットがさらに、前記細胞培養室とそこに収容される前記生物細胞と培養基とに関する情報を保存し、処理パラメータの命令を含むメモリ装置を含み、
    前記プロセッサ装置がさらに、前記ケーシングが前記支えによって受け入れられるとき、前記携帯用カセットの前記メモリ装置からプロセッサのパラメータの命令を検索するよう動作し、その後、前記検索された命令に従って動作する、プロセッサ装置。
  103. 請求項92に記載のプロセッサ装置において、
    前記携帯用カセットが、前記細胞培養室と前記培養基流れ通路の少なくとも一部とを収容するケーシングをさらに含み、
    前記携帯用カセットが、前記細胞培養室の時間毎の状態に関する情報とを保存するアップデート可能なメモリ装置をさらに含み、
    前記プロセッサ装置が、前記ケーシングが前記支えによって受け入れられる時、前記細胞培養室への培養基の注入、前記室への生物細胞の接種または細胞の前記室内への分布に関連する情報を含む情報を前記携帯用カセットの前記メモリ装置に記録するよう動作する装置をさらに含む、プロセッサ装置。
  104. 請求項92に記載のプロセッサ装置において、
    前記携帯用カセットの前記細胞培養室が少なくとも1つの概ね平面の細胞床を含み、
    前記支えが、前記細胞培養室内の液体がほぼ均一に分布するように、2つの水平軸について制御自在に傾けられるよう構成されている、プロセッサ装置。
  105. 生体外で生物細胞を維持及び培養する種類の携帯用内蔵型細胞培養カセットと組み合わせて使用するための恒温器装置であって、前記携帯用カセットが、多数の生物細胞と培養基とを収容するよう構成された細胞培養室を形成する第1ケーシングを含み、さらに培養基容器を形成する第2ケーシングを含み、前記培養基容器および前記細胞培養室が、閉じた無菌システムの一部であり、前記恒温器装置が前記細胞培養カセットの前記第1および第2ケーシングの温度を調節し、前記培養基容器から前記細胞培養室への培養基の供給を制御し、かつ前記細胞培養室への気体の供給を制御するよう機能し、前記恒温器装置が、
    前記携帯用カセットの前記第1ケーシングを取り外し自在に受け入れる寸法と構成の第1受けと、
    前記携帯用カセットの前記第2ケーシングを取り外し自在に受け入れる寸法と構成の第2受けと、
    前記第1受けの温度を第1所定温度に調節する第1温度調節器と、
    前記第2受けの温度を第2所定温度に調節する第2温度調節器と、
    気体供給装置と、
    前記携帯用カセットの第1および第2ケーシングが対応する前記第1および第2受けに受け入れられる時、前記携帯用カセットの第1および第2ケーシングと結合可能なメカニカル・インターフェースであって、オペレータが介入することなく、かつ前記閉じた無菌システムを外部環境にさらすことなく、前記培養基容器から前記細胞培養室への培養基の供給を制御し、前記気体供給装置から前記細胞培養室への気体の供給を制御するよう構成されたメカニカル・インターフェースとを含む、恒温器装置。
  106. 請求項105に記載の恒温器装置において、
    前記細胞培養カセットの前記第1ケーシングが、外部パネルと、前記外部パネルに設置される気体供給フィッティングと、前記気体供給フィッティングを前記気体室に接続する気体供給ホースとをさらに含み、
    前記第1ケーシングが前記第1受けに受け入れられる時、前記メカニカル・インターフェースが前記第1ケーシングの前記気体供給フィッティングに自動的に接続するよう位置決めされ構成されて、前記気体供給装置から前記細胞培養室に所定の気体を供給するようになされた、恒温器装置。
  107. 請求項105に記載の恒温器装置において、
    前記携帯用カセットが、前記細胞培養室と液体を流通させる培養基流れ通路と、前記培養基流れ通路と結合できる流れ制御装置とをさらに含み、
    前記メカニカル・インターフェースが、前記携帯用カセットの前記第1ケーシングが前記第1受けに受け入れられる時、前記流れ制御装置と結合可能な、前記培養基容器から前記細胞培養室への培養基の供給を制御するアクチュエータを含む、恒温器装置。
  108. 請求項107に記載の恒温器装置において、前記メカニカル・インターフェースが、前記細胞培養室に供給される培養基の流れを感知し、対応する流れ信号を発生するための流れセンサを含む、恒温器装置。
  109. 請求項107に記載の恒温器装置において、
    前記携帯用カセットの前記流れ制御装置が、ばねによって偏倚され前記培養基流れ通路を締め付けるプランジャと、プレートが押されるとき、前記プランジャが前記培養基流れ通路の締め付けを開放するように前記プランジャに機能的に接続された前記プレートとを含み、
    前記アクチュエータが、前記カセットの第1ケーシングが前記第1受けに受け入れられる時、前記携帯用カセットの前記流れ制御装置の前記プレートに結合するよう構成されている、恒温器装置。
  110. 請求項105に記載の恒温器装置において、
    前記携帯用カセットが、前記細胞培養室と前記細胞培養室の時間毎の状態とに関する情報を保存するアップデート可能なメモリ装置をさらに含み、
    前記メカニカル・インターフェースが、前記第1ケーシングが前記第1受けに受け入れられる時、前記メモリ装置から情報を検索するよう動作する装置をさらに含む、恒温器装置。
  111. 請求項105に記載の恒温器装置において、
    前記携帯用カセットが、培養基を前記細胞培養室から受け入れる廃液容器をさらに含み、
    前記携帯用カセットの前記細胞培養室と、前記培養基容器と、前記廃液容器とが、外部環境に対して閉じた無菌細胞培養システムを形成する無菌接続を介して一緒に接続されるか、または一緒に接続可能であり、
    前記恒温器装置が、前記第2ケーシングが前記第2受けに受け入れられる時、前記細胞培養室と、前記培養基容器と、前記廃液容器とによって形成される前記閉じた無菌システムを妨げることなく、前記第2ケーシングによって形成される前記培養基容器を加圧する加圧された液体の供給源をさらに含む、恒温器装置。
  112. 請求項105に記載の恒温器装置において、
    前記携帯用カセットが、前記細胞培養室の時間毎の所望の状態調節に関する情報を保存するメモリ装置をさらに含み、
    前記メカニカル・インターフェースが、前記第1ケーシングが前記第1受けに受け入れられるとき、前記メモリ装置から情報を検索するよう動作する読取り装置をさらに含む、恒温器装置。
  113. 請求項112に記載の恒温器装置において、該恒温器装置が、前記メモリ装置から検索された情報に従って前記携帯用カセットを調節するための手段をさらに含む、恒温器装置。
  114. 請求項112に記載の恒温器装置において、
    前記携帯用カセットの前記メモリ装置がアップデート可能であり、
    前記読取り装置が、前記カセットの前記第1および第2ケーシングが前記第1および第2受けにそれぞれ受け入れられる間、前記カセットの状態に関する情報により前記メモリ装置がアップデートされるようさらに構成された、恒温器装置。
  115. 請求項105に記載の恒温器装置において、
    前記携帯用カセットが、前記細胞培養室の時間毎の状態に関する情報を保存するアップデート可能なメモリ装置をさらに含み、
    前記第1ケーシングが前記第1受けに受け入れられる時、前記メカニカル・インターフェースが、前記第1ケーシングがそのように受け入れられる間、前記カセットの状態に関する情報により前記メモリ装置をアップデートするよう動作する装置をさらに含む、恒温器装置。
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