JP3775497B2 - 自動変速機の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動変速機の制御方法、特にパワーオンアップシフト時における係合要素の制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動変速機は車速やスロットル開度などの運転条件に応じて、変速マップから自動的に変速段を決定し、係合要素に油圧を供給または排出して変速を行なう。このような自動変速機において、例えばアクセルペダルを踏み込みながら2速で走行していると、その時の車速,スロットル開度で決定される動作点が変速マップのアップシフト線を横切ることにより3速へ変速される、いわゆるパワーオンアップシフトが行われる。
【0003】
パワーオンアップシフトの際、ある係合要素を解放し別の係合要素を係合することにより、所謂クラッチツークラッチが行なわれる。この場合、解放側の係合要素から係合側の係合要素へのトルク伝達の切替を滑らかに行なうため、解放側の係合要素の油圧を減圧して入力回転数が低速段における入力回転数より一定値だけ高くなるようにフィードバック制御し、このフィードバック制御を維持しながら、係合側の係合要素の油圧を増圧することで入力回転数を低下させ、滑らかな変速を行なうようにした自動変速機が提案されている(特公平7−51984号公報)。
【0004】
上記のような制御を行なえば、従来に比べて変速時間の短縮、変速ショックの軽減という効果を有するが、トルク相と呼ばれる車両加速度が低下する期間が比較的長くなるので、不快な減速感が残るという不具合がある。
そこで、本願出願人は、パワーオンアップシフトにおける制御方法として、トルク相の期間を短縮し、減速感を改善できる方法を提案した(特開2001−241543号公報)。この方法は、解放側係合要素の油圧を減圧してタービン回転数が低速段における回転数NL より一定値r1 だけ高い目標回転数となるようにフィードバック制御しながら、係合側の係合要素の油圧を増圧してタービン回転数を低下させ、タービン回転数が低速段における回転数NL より下がった時点でフィードバック目標値を高くし、解放側係合要素の減圧勾配をそれ以前の減圧勾配より大きくするものである。
【0005】
図1は上記の制御方法を用いたパワーオンアップシフト時の具体的な制御例であり、タービン回転数(入力回転数)、係合側係合要素の油圧制御用ソレノイドバルブの指示電流、解放側係合要素の油圧制御用ソレノイドバルブの指示電流、係合側係合要素の油圧のそれぞれの時間変化を示す。
なお、係合側のソレノイドバルブは指示電流がOFFの時に係合要素に最大油圧を供給する常開型であり、解放側のソレノイドバルブは指示電流がONの時に係合要素に最大油圧を供給する常閉型である。
また、図1には解放側係合要素の油圧が図示されていないが、解放側ソレノイドバルブの電流変化とほぼ同様な油圧変化を示す。
【0006】
まず高速段へのアップシフト指令が出されると、時刻t1 で係合側係合要素のがた詰めのため、一定期間だけソレノイド電流がOFFされる。このがた詰めは、係合側係合要素への供給油路に油圧を満たす操作である。がた詰めの後、時刻t2 でソレノイド電流を最大値(ON)よりやや低めの待機電流に制御し、係合側係合要素に待機油圧を供給する。この油圧は、係合側係合要素のピストンとクラッチ板との隙間(無効ストローク)を解消し、係合直前の状態にするための油圧であり、この油圧によりピストンは最初のクラッチ板と接触する状態付近まで移動する。時刻t3 で解放側ソレノイドの指示電流を少し下げ、解放側係合要素の油圧を減圧してタービン回転数が低速段における回転数NL より一定値r1 だけ高い目標値となるようにフィードバック制御を開始する。タービン回転数が所定量だけ吹き上がったことを検出すると、時刻t4 で係合側係合要素に初期油圧を供給するため、係合側ソレノイド電流を一定値まで下げる。初期油圧とは、タービン回転数が所定の勾配で低下するように、係合側係合要素に所定の伝達トルクを発生させる油圧である。初期油圧の供給により、時刻t5 でタービン回転数が低速段の回転数NL まで降下すると、トルク相の開始であると判断してトルク相におけるフィードバック目標値をそれ以前のフィードバック目標値より高くし、トルク相における解放側係合要素の減圧勾配をそれ以前の減圧勾配より大きくする。時刻t6 でタービン回転数が低速段の回転数NL より所定量r2 だけ降下すると、解放側係合要素の油圧のフィードバック制御を終了して解放するとともに、初期油圧の期間を終了し、タービン回転数が所定の勾配で低下するように係合側ソレノイド電流をフィードバック制御する。さらに、タービン回転数と高速段の回転数NH との差が一定値以下になったことを検出すると(同期検出)、係合側ソレノイドの電流を一定勾配で降下させ、時刻t7 で係合側係合要素を完全締結し、変速を終了する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の方法によれば、解放側の係合要素から係合側の係合要素へ滑らかなトルクの受渡しを行なうとともに、トルク相の期間を短縮し、減速感を改善できる。しかし、タービン回転数が低速段における回転数NL より所定値だけ吹き上がった時、係合側係合要素に初期油圧を供給するため、破線で示すように油圧が一時的に急上昇し、係合側係合要素が急係合することがある。このような急係合は、油圧ばらつき、温度、油圧回路の応答遅れなどによって影響される。しかし、解放側係合要素の油圧が低下する前に係合側係合要素が急係合すると、いわばダブルクラッチ状態となり、車両に減速感(変速ショック)が発生するという問題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、パワーオンアップシフト時において、解放側の係合要素から係合側の係合要素へのトルク伝達の切替を滑らかに行なうことができるとともに、初期油圧出力時における減速感を改善できる自動変速機の制御方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、第1の係合要素を解放すると共に、第2の係合要素を係合することにより、第1の変速段から第2の変速段へパワーオンアップシフトを行なう自動変速機の制御方法において、第1の係合要素の油圧を減圧して、入力回転数が第1の変速段における回転数NL より一定値だけ高い目標値となるように第1の係合要素の油圧をフィードバック制御する工程と、入力回転数が第1の変速段における回転数NL より所定値だけ高い値となった時、第2の係合要素にほぼ係合開始状態となるオフセット油圧を所定時間だけ供給する工程と、オフセット油圧の供給後、入力回転数が第1の変速段における回転数NL 以下に低下するように第2の係合要素にオフセット油圧より高い初期油圧を供給し、第2の係合要素に所定の伝達トルクを発生させる工程と、入力回転数が第1の変速段における回転数NL より所定値だけ低下した時に第1の係合要素のフィードバック制御を終了する工程と、を有し、上記オフセット油圧の供給期間中に入力回転数が第1の変速段における回転数N L 以下に低下したとき、上記第1の係合要素のフィードバック制御開始からN L 検出までの期間のフィードバックゲインに比べて、N L 検出後のフィードバックゲインを大きくし、上記初期油圧の供給期間中に入力回転数が第1の変速段における回転数N L 以下に低下したとき、上記第1の係合要素のフィードバック制御開始からN L 検出までの期間のフィードバック目標値に比べて、N L 検出後のフィードバック目標値を高くすることを特徴とする自動変速機の制御方法を提供する。
【0010】
図2に本発明にかかる制御方法の一例を示す。図2は図1における制御方法にオフセット油圧による制御を加えたものであり、オフセット油圧の供給以外は図1と同様である。
入力回転数(タービン回転数)が第1の変速段における回転数NL より所定値だけ高い値となった時(時刻t4 )、従来であれば初期油圧を出力するタイミングであるが、本発明では初期油圧より一段低い油圧(オフセット油圧)を供給し、係合側係合要素をほぼ係合開始状態とする。オフセット油圧を出力した時、油圧ばらつき、温度、油圧回路の応答遅れなどによって、係合側係合要素が係合開始直前の状態になる場合もあれば、僅かに係合した状態になる場合もある。しかし、初期油圧を一挙に出力した時のような油圧の急激な立ち上がりは解消され、減速感(変速ショック)は殆ど発生しない。
また、オフセット油圧を所定期間だけ出力した後、時刻t8 で初期油圧を出力すると、係合側係合要素には伝達トルクが発生するが、オフセット油圧と初期油圧の段差が比較的小さいので、ショックは小さい。したがって、滑らかな変速を実現できる。
本発明において、オフセット油圧とは係合要素をほぼ係合開始状態とする油圧のことであるが、ほぼ係合開始状態とは、ピストンの無効ストロークが解消され、ピストンがクラッチ板とほぼ接触となり、伝達トルクを発生する直前状態を言う。しかし、油圧ばらつきなどによって、伝達トルクを発生する場合もあれば、発生しない場合もある。
【0011】
本発明では、係合要素への油圧をソレノイドバルブで調圧している。調圧方法としては、係合要素の油圧をコントロールバルブで制御し、このコントロールバルブをソレノイドバルブで調圧した信号油圧で制御する間接制御方式であってもよいし、係合要素の油圧をソレノイドバルブで直接制御する直接制御方式であってもよい。間接制御の方が直接制御より油圧の応答が遅れる傾向にあるので、本発明がより有効である。
【0012】
オフセット油圧の供給後、時刻t8 で初期油圧を出力した時、油圧の一時的上昇(以後、油圧こぶと呼ぶ)が発生することがある。この油圧こぶは、初期油圧の供給によって、係合要素のクラッチプレートとピストンとの当接ポイント前後で油路に油圧変化が生じるために発生するものである。特に、油圧回路が、ソレノイドバルブから係合要素に油圧を供給するのではなく、ソレノイドバルブからコントロールバルブを介して係合要素に油圧を供給する方式のように、油圧回路の応答性が悪い場合に発生しやすい。また、油圧こぶは、オフセット油圧と初期油圧との段差が大きいほど大きくなる。このような油圧こぶが発生すると、解放側の係合要素が解放する前に係合側の係合要素が係合するため、多少とも車両の減速感(変速ショック)が発生することがある。
上記のような油圧こぶを低減するには、オフセット油圧を高くし、初期油圧との段差を小さくするのが有効である。
初期油圧およびオフセット油圧の高さは、油圧回路によって異なるが、例えば初期油圧を出力する直前の待機油圧を最大圧(ライン圧)の20%、初期油圧を60%とした場合、オフセット油圧としては40%以上とするのがよい。
【0013】
上述の特開2001−241543号公報に示される制御方法を本発明のような初期油圧の前にオフセット油圧を供給する方法に適用した場合、次のような問題が発生することがある。
すなわち、上記のような油圧こぶを低減するには、オフセット油圧を高くし、初期油圧との段差を小さくするのが有効であるが、オフセット油圧を高くすると、図2に破線で示すようにオフセット油圧の供給期間中にタービン回転数が低速段の回転数NL まで低下しまうことがある。これをトルク相の開始であると誤検出して、係合側係合要素が十分な伝達トルクを有していないにも拘わらず、解放側係合要素のフィードバック目標値を高くし、その減圧勾配を大きくしてしまい、エンジン回転の噴き上がりなどの不具合が生じる可能性がある。
そこで、本発明では、オフセット油圧の供給期間中に入力回転数が第1の変速段における回転数NL 以下に低下したとき、第1の係合要素(解放側係合要素)のフィードバック制御開始からNL 検出までの期間のフィードバックゲインに比べて、NL 検出後のフィードバックゲインを大きくし、一方、初期油圧の供給期間中に入力回転数が第1の変速段における回転数NL 以下に低下したとき、第1の係合要素のフィードバック制御開始からNL 検出までの期間のフィードバック目標値に比べて、NL 検出後のフィードバック目標値を高くしたものである。
このように、オフセット油圧の供給期間中にNL を検出しても、解放側の係合要素はフィードバック制御を継続することにより、エンジン回転の噴き上がりを防止するとともに、フィードバックゲインを大きくし、油圧追従性を上げることで、係合側の係合要素と解放側の係合要素とのダブルクラッチによる減速感を防止することができる。
また、初期油圧の供給期間中に入力回転数が第1の変速段における回転数NL 以下に低下したときには、特開2001−241543号公報と同様に、フィードバック目標値を高く設定することで、トルク相の期間を短くし、減速感を改善することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図3は本発明にかかる車両用自動変速機を搭載した車両のシステムを示す。
エンジン1の出力は自動変速機2のトルクコンバータ3を経て変速機構4に伝達され、さらに変速機構4は出力軸5を介して車輪(図示せず)に連結されている。自動変速機2はエンジン1によりトルクコンバータ3を介して駆動されるオイルポンプ6を備え、このオイルポンプ6の吐出圧は油圧制御装置7へ送られる。油圧制御装置7は変速制御用の第1〜第3ソレノイドバルブ21〜23を備えており、これらソレノイドバルブ21〜23をATコントローラ20で制御することにより、変速機構4に内蔵されている各種係合要素の油圧を走行状態に応じて制御している。ここでは、ATコントローラ20にエンジン回転数,スロットル開度,タービン回転数,車速,シフトポジションなどの信号が入力されているが、この他の信号(ATF油温など)を入力してもよい。
なお、上記油圧制御装置7では、3個の変速制御用ソレノイドバルブ21〜23を用いた例を示したが、2個以下または4個以上のソレノイドバルブを用いてもよいし、変速制御用の他にロックアップクラッチ制御用やライン圧制御用などのソレノイドバルブを設けてもよい。
【0015】
図4は変速機構4の一例を示す。
変速機構4は、トルクコンバータ3を介してエンジン動力が伝達される入力軸10、係合要素である3個のクラッチC1〜C3および2個のブレーキB1,B2、ワンウエイクラッチF、ラビニヨウ型遊星歯車機構11、差動装置14などを備えている。
【0016】
遊星歯車機構11のフォワードサンギヤ11aと入力軸10とはC1クラッチを介して連結されており、リヤサンギヤ11bと入力軸10とはC2クラッチを介して連結されている。キャリヤ11cはセンターシャフト15と連結され、センターシャフト15はC3クラッチを介して入力軸10と連結されている。また、キャリヤ11cはB2ブレーキとキャリヤ11cの正転(エンジン回転方向)のみを許容するワンウェイクラッチFとを介して変速機ケース16に連結されている。キャリヤ11cは2種類のピニオンギヤ11d,11eを支持しており、フォワードサンギヤ11aは軸長の長いロングピニオン11dと噛み合い、リヤサンギヤ11bは軸長の短いショートピニオン11eを介してロングピニオン11dと噛み合っている。ロングピニオン11dのみと噛み合うリングギヤ11fは出力ギヤ12に結合されている。出力ギヤ12は中間軸13を介して差動装置14と接続されている。
【0017】
変速機構4は、クラッチC1,C2,C3、ブレーキB1,B2およびワンウェイクラッチFの作動によって図5のように前進4段、後退1段の変速段を実現している。図5において、●は油圧の作用状態を示している。なお、B2ブレーキは後退時とLレンジの第1速時に係合する。また、図5には第1〜第3ソレノイドバルブ(SOL1〜SOL3)21〜23の作動状態も示されている。○は通電状態、×は非通電状態を示す。なお、この作動表は定常状態の作動を示している。
【0018】
第1ソレノイドバルブ21はB1ブレーキ制御用であり、第2ソレノイドバルブ22はC2クラッチ制御用であり、第3ソレノイドバルブ23はC3クラッチ制御用とB2ブレーキ制御用とを兼ねている。第3ソレノイドバルブ23がC3クラッチ制御用とB2ブレーキ制御用とを兼ねる理由は、B2ブレーキはDレンジでは作動せず、Lレンジのエンジンブレーキ制御とRレンジの過渡制御でのみ使用されるので、Dレンジで作動されるC3クラッチと干渉しないからである。
第1〜第3ソレノイドバルブ21〜23は微妙な油圧制御を行なう必要があるため、デューティソレノイドバルブまたはリニアソレノイドバルブが用いられる。
また、この実施例では、第1ソレノイドバルブ21は常閉型、第2,第3ソレノイドバルブ22,23は常開型が用いられている。
【0019】
図6は本発明にかかる係合側の係合要素であるC3クラッチの油圧制御装置の一例を示す。
C3圧制御バルブ30は、C3クラッチの油圧PC3を制御するためのバルブであり、スプリング32によって左方へ付勢されたスプール31を備えている。信号ポート33は第3ソレノイドバルブ23と接続されており、ソレノイド圧Ps3が入力される。Dレンジの1,2速時は、ソレノイドバルブ23がONであるため、ソレノイド圧Ps3がドレーンされ、スプール31は図6の上側位置にある。また、3,4速時にはソレノイドバルブ23がOFFするため、ソレノイド圧Ps3が発生し、スプール31は図6の下側位置となる。ポート34はドレーンポート、ポート35はC3クラッチと接続された出力ポート、ポート36はライン圧が入力される入力ポートである。スプリング32を配置した右端ポート37には出力圧PC3がスプール31の内部を通ってフィードバックされている。そのため、出力圧PC3はソレノイド圧Ps3によって比例的に制御される。
【0020】
図7は本発明にかかる解放側の係合要素であるB1ブレーキの油圧制御装置の一例を示す。
B1圧制御バルブ30は、B1ブレーキの油圧PB1を制御するためのバルブであり、スプリング41によって左方へ付勢されたスプール42を備えている。信号ポート43は第1ソレノイドバルブ21と接続されており、ソレノイド圧PS1が入力される。Dレンジの1,3速時は、ソレノイドバルブ21がOFFであるため、ソレノイド圧PS1がドレーンされ、スプール42は図7の上側位置にある。
また、2,4速時にはソレノイドバルブ21がONするため、ソレノイド圧Ps1が発生し、スプール42は図7の下側位置となる。ポート44はドレーンポート、ポート45はB1 ブレーキと接続された出力ポート、ポート46はライン圧が入力される入力ポートである。スプリング41を配置した右端ポート47には出力圧PB1がスプール42の内部を通ってフィードバックされている。そのため、出力圧PB1はソレノイド圧Ps1によって比例的に制御される。
【0021】
図8はATコントローラ20のメモリに格納されたDレンジの変速マップの一例を示す。
図8において、実線はアップシフト線、破線はダウンシフト線を表す。
【0022】
次に、2速→3速へのパワーオンアップシフトを行なう際の変速制御の流れを図9にしたがって説明する。
まず制御がスタートすると、2速→3速へのオンアップ変速を開始するか否かを判定する(ステップS1)。ここでは、パワーオン状態で、2速→3速のアップシフト線を横切ったか否かで判断する。
【0023】
オンアップ変速を開始すると判断された場合には、まず係合側係合要素C3のがた詰め(ステップS2)と待機油圧の出力(ステップS3)を行う。同時に、解放側係合要素B1の指示電流もすべりを発生する直前の値まで下げる。さらに解放側ソレノイドの指示電流をさらに少し下げ(ステップS4)、解放側係合要素B1の油圧を減圧する。これによりタービン回転数が吹き上がるので、所定量吹き上がったか否かを判定する(ステップS5)。タービン回転が所定量吹き上がると、係合側係合要素C3に所定期間だけオフセット油圧を出力するとともに(ステップS6)、解放側係合要素B1のフィードバック制御を開始する(ステップS7)。オフセット油圧は、その後で初期油圧を出力した時、油圧こぶ(図2参照)が発生しない油圧とするのがよい。
【0024】
次に、タービン回転数が2速時の回転数NL 以下になったかどうかを判定し(ステップS8)、NL 以下になった場合には、フィードバックゲインを高くする(ステップS9)。このように、オフセット油圧の供給期間中にNL を検出しても、解放側係合要素B1はフィードバック制御を継続することにより、エンジン回転の噴き上がりを防止するとともに、NL 検出前に比べてNL 検出後のフィードバックゲインを大きくし、油圧追従性を上げることで、解放側係合要素B1の減圧勾配をそれ以前の減圧勾配より大きくし、係合側係合要素C3と解放側係合要素B1とのダブルクラッチによる減速感を防止している。
【0025】
一方、オフセット油圧の供給期間中にタービン回転数がNL 以下にならなかった場合には、係合側係合要素C3に初期油圧を出力する(ステップS10)。そして、タービン回転数が回転数NL 以下になったかどうかを判定し(ステップS11)、NL 以下になった場合にはフィードバック目標値を高くする(ステップS12)。つまり、トルク相の開始であると判断してトルク相におけるフィードバック目標値をトルク相以前のフィードバック目標値より高くし、トルク相における解放側係合要素B1の減圧勾配をそれ以前の減圧勾配より大きくする。このようにして、トルク相の期間を短縮し、減速感を改善できる。
【0026】
次に、タービン回転数が2速時の回転数NL より所定値r2 だけ低くなった場合には(ステップS13)、解放側係合要素B1のフィードバック制御を終了するとともに、係合側係合要素C3の初期油圧の期間を終了し、タービン回転数が所定の勾配で低下するようにフィードバック制御を開始する(ステップS14)。そして、タービン回転数と3速の回転数NH との差が一定値以下になったことを検出すると(同期判定:ステップS15)、係合側係合要素C3を締結するとともに、解放側係合要素B1を解放し(ステップS16)、制御を終了する。
【0027】
上記実施例では、オフセット油圧の出力前に、無効ストロークを解消するためにがた詰め油圧および待機油圧を出力したが、これに限るものではない。例えば、がた詰め油圧の後にオフセット油圧を出力してもよいし、がた詰め油圧を省略して待機油圧を出力した後にオフセット油圧を出力してもよい。さらに、無効ストロークを解消するために、がた詰め油圧や待機油圧とは別の油圧を供給してもよい。
また、上記実施例では、2速から3速へのオンアップ変速、つまりC3クラッチを係合させ、B1ブレーキを解放する場合の制御について説明したが、その他のオンアップ変速における係合要素の制御にも同様に適用できる。例えば3速から4速へのオンアップ時には、C2クラッチが解放側係合要素であり、B1ブレーキが係合側係合要素となる。
なお、本発明の自動変速機は、図4に示すような3個のクラッチC1〜C3と2個のブレーキB1,B2を有する自動変速機に限るものではない。
【0028】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、パワーオンアップシフト時において、入力回転数が第1の変速段における回転数NL より所定値だけ高い値となった時、初期油圧より一段低いオフセット油圧を供給し、係合側係合要素をほぼ係合開始状態としたので、初期油圧を一挙に出力した時のような油圧の急激な立ち上がりは解消され、減速感(変速ショック)を防止できる。
また、オフセット油圧を所定期間出力した後、初期油圧を出力すると、係合側係合要素には伝達トルクが発生するが、オフセット油圧と初期油圧の段差が比較的小さいので、ショックは殆ど発生しない。したがって、滑らかな変速を実現できる。
さらに、オフセット油圧の供給期間中に入力回転数が第1の変速段における回転数N L 以下に低下したとき、第1の係合要素のフィードバック制御開始からN L 検出までの期間のフィードバックゲインに比べて、N L 検出後のフィードバックゲインを大きくし、初期油圧の供給期間中に入力回転数が第1の変速段における回転数N L 以下に低下したとき、第1の係合要素のフィードバック制御開始からN L 検出までの期間のフィードバック目標値に比べて、N L 検出後のフィードバック目標値を高くするので、オフセット油圧の供給期間中にN L を検出しても、解放側の係合要素はフィードバック制御を継続することにより、エンジン回転の噴き上がりを防止するとともに、フィードバックゲインを大きくし、油圧追従性を上げることで、係合側の係合要素と解放側の係合要素とのダブルクラッチによる減速感を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のパワーオンアップ時の変速制御の例を示す図である。
【図2】本発明にかかる制御方法の一例のタービン回転数、係合側ソレノイドの指示電流、解放側ソレノイドの指示電流、および係合要素油圧の時間変化図である。
【図3】本発明における車両用自動変速機を搭載したシステム図である。
【図4】図3の自動変速機の変速機構のスケルトン図である。
【図5】図4に示す変速機構の各係合要素およびソレノイドバルブの作動表である。
【図6】C3クラッチの油圧回路図である。
【図7】B1ブレーキの油圧回路図である。
【図8】図4の自動変速機の変速線図の一例である。
【図9】本発明にかかる制御方法の一例のフローチャート図である。
【符号の説明】
C3 係合側係合要素
B1 解放側係合要素
20 ATコントローラ
21(SOL1) B1 ブレーキ制御用ソレノイドバルブ
23(SOL3) C3クラッチ制御用ソレノイドバルブ
30 C3圧制御バルブ
40 B1圧制御バルブ
Claims (1)
- 第1の係合要素を解放すると共に、第2の係合要素を係合することにより、第1の変速段から第2の変速段へパワーオンアップシフトを行なう自動変速機の制御方法において、
第1の係合要素の油圧を減圧して、入力回転数が第1の変速段における回転数NL より一定値だけ高い目標値となるように第1の係合要素の油圧をフィードバック制御する工程と、
入力回転数が第1の変速段における回転数NL より所定値だけ高い値となった時、第2の係合要素にほぼ係合開始状態となるオフセット油圧を所定時間だけ供給する工程と、
オフセット油圧の供給後、入力回転数が第1の変速段における回転数NL 以下に低下するように第2の係合要素にオフセット油圧より高い初期油圧を供給し、第2の係合要素に所定の伝達トルクを発生させる工程と、
入力回転数が第1の変速段における回転数NL より所定値だけ低下した時に第1の係合要素のフィードバック制御を終了する工程と、を有し、
上記オフセット油圧の供給期間中に入力回転数が第1の変速段における回転数N L 以下に低下したとき、上記第1の係合要素のフィードバック制御開始からN L 検出までの期間のフィードバックゲインに比べて、N L 検出後のフィードバックゲインを大きくし、
上記初期油圧の供給期間中に入力回転数が第1の変速段における回転数N L 以下に低下したとき、上記第1の係合要素のフィードバック制御開始からN L 検出までの期間のフィードバック目標値に比べて、N L 検出後のフィードバック目標値を高くすることを特徴とする自動変速機の制御方法。
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