JP4201561B2 - 自動変速機の変速制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動変速機の変速制御方法、特にパワーオンダウンシフト開始後にパワーオフダウンシフトに切り換わった場合の変速制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平9−133205号公報
【特許文献2】
特開平8−200489号公報
【特許文献3】
特開平6−129528号公報
一般に、自動変速機は車速やスロットル開度などの運転条件に応じて、変速マップから自動的に変速段を決定し、係合要素に油圧を供給または排出して変速を行なう。このような自動変速機において、例えば3速で走行している時にアクセルペダルを踏み込むと、その時の車速,スロットル開度で決定される動作点が変速マップの3−2ダウンシフト線を横切ることにより2速へ変速される、いわゆるパワーオンダウンシフトが行われる。また、アクセルペダルを踏み込みながら3速で走行している時にアクセルペダルを戻すと同時に車速が低下した時、動作点が変速マップの3−2ダウンシフト線を横切ることにより2速へ変速される、いわゆるパワーオフダウンシフトが行なわれる。ここで、パワーオンダウンシフトとは、スロットル開度(アクセル開度)をある程度開いた状態でダウンシフトを行うことであり、パワーオフダウンシフトとはスロットル開度をほぼ全閉とした状態でダウンシフトを行うことである。
上記のようなダウンシフトは、ある係合要素を係合させ、別の係合要素を解放することで実現される。
【0003】
図5は3速から2速へのパワーオンダウンシフトにおけるタービン回転数、係合側の係合要素B1の指示電流および油圧、解放側の係合要素C3の指示電流および油圧の時間変化を示し、図6は3速から2速へのパワーオフダウンシフトにおけるタービン回転数、係合側の係合要素B1の指示電流および油圧、解放側の係合要素C3の指示電流および油圧の時間変化を示す。
パワーオンダウンシフトの場合には、図5に示すように、時刻t1で変速指令が出てから時刻t2までガタ詰めを実施した後、時刻t2で係合側の係合要素B1には待機圧を出力する。ここで、待機圧とは、他方の係合要素C3のフィードバック制御に影響を与えないよう待機している油圧のことである。一方、解放側の係合要素C3には時刻t2で初期圧までドレーンさせ、時刻t3でタービン回転数が3速時の回転数より一定値だけ上昇したことを検出(同期外れ検出)した後、タービン回転数が目標変化率となるように解放側の係合要素C3の油圧をフィードバック制御する。そして、時刻t5で2速時のタービン回転数より所定値だけ低い値まで上昇したことを検出(同期予測)した後、係合側の係合要素B1の油圧を初期値から所定勾配で上昇させる係合制御を実施し、タービン回転数が2速の回転数になった時点で、係合要素C3のフィードバック制御を終了すると同時に、係合要素B1の終了処理を実施して2速状態となる。
一方、パワーオフダウンシフトの場合には、図6に示すように、時刻t2で解放側の係合要素C3を待機圧まで即座に低下させるとともに、係合側の係合要素B1に初期圧を供給する。初期圧とは、油圧を指示電流に追従させるための油圧のことである。この時、パワーオフ状態であるから、エンジントルクが低く、タービン回転数も一時的に低下する。やがて、係合側の係合要素B1の初期圧によってタービン回転数が上昇を開始し、時刻t4でタービン回転数が3速時の回転数より一定値だけ上昇したことを検出(同期外れ検出)した後、タービン回転数が目標変化率となるように係合側の係合要素B1の油圧をフィードバック制御する。つまり、初期圧によって係合要素B1の油圧を指示電流に追従させた後でフィードバック制御へ移行している。そして、時刻t6で2速時のタービン回転数の近傍まで上昇したことを検出(同期検出)した後、係合要素B1の2速状態への終了処理を実施する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようなパワーオンダウンシフトを開始した直後に、スロットル開度を全閉状態とし、かつ車速が低下した場合には、パワーオフダウンシフトへ切り換わることがある。図7はDレンジにおける変速線図の一例であり、A点で走行している時にアクセルペダルを踏み込んでB点へ移行した後、アクセルペダルを放すと同時に車速が低下し、C点へ移行した場合である。
図8の実線は、上記のようにパワーオンダウンシフトの開始直後にパワーオフダウンシフトへ切り換わった時、タービン回転数、係合側の係合要素B1の指示電流および油圧、解放側の係合要素C3の指示電流および油圧の時間変化を示す。図8に実線で示すように、タービン回転数はパワーオンダウンシフトの開始直後から上昇し始める。しかし、その直後にパワーオフダウンシフトへ切り換わると、タービン回転数が上昇しているので、同期外れであると検出してしまい、直ちに係合側の係合要素B1はフィードバック制御を開始してしまう。つまり、初期圧の保持時間がないか、あるいは非常に短い。ところが、パワーオフ状態のため、タービン回転数は一旦低下し、タービン回転数を上昇させようとして係合側の係合要素B1の指示電流はますます高くなり、係合要素B1の油圧が電流に追従できない。そして、油圧が電流に追いついた時には、係合要素B1の油圧が本来の油圧より高くなってしまい、タービン回転数を目標変化率に近づけるという本来のフィードバック制御ができず、ショックが発生するという問題があった。
【0005】
上記の現象は、通常の自動変速モード(Dレンジ)だけでなく、運転者がスイッチやシフトレバーなどの切替手段を操作することにより、手動で変速段を選択する手動変速モードを用いた自動変速機でも同様に生じる。すなわち、手動変速モードにおいて、アクセルペダルを踏み込み、切替手段によってダウンシフトを行なっている最中(パワーオンダウンシフト)に、アクセルペダルを急に戻した場合(パワーオフダウンシフト)、車速に関係なくダウンシフトが実施されるので、同様な問題が発生する。
手動変速モードには、OD(オーバードライブ)を許可するODスイッチを用いたものや、アップスイッチおよびダウンスイッチで任意の変速段を選択するマニュアルモードと呼ばれるものなどがある。
【0006】
特許文献1では、フィードバック制御を行なうことなく、滑らかなパワーオンダウンシフトを実現する変速制御装置が開示されている。すなわち、ダウンシフトの変速指令が出されると、その指令から所定時間内では高速段側の係合要素の伝達トルクを出力軸トルクが負にならない値まで低下させ、出力軸トルクが正から負に反転するのを防ぎながら入力軸回転数を素早く上昇させる。その後、高速段側の係合要素の伝達トルクを一旦上昇させると同時に、低速段側の係合要素の伝達トルクを上昇させることにより、入力回転数の吹き上がりを抑えながら低速段側の係合要素の係合ショックを防ぐ。さらに、その後、低速段側の係合要素の伝達トルクを所定値まで上昇させた後、高速段側の係合要素の伝達トルクを零まで低下させることにより、変速を終了するものである。
【0007】
特許文献2では、パワーオフダウンシフト時に低速段側の係合要素の係合開始判断を適正化した制御装置が提案されている。すなわち、スロットル開度が全閉状態で、かつダウンシフトの変速指令が出された時、入力回転数をモニターし、入力回転数が下降した後に上昇する時点を、低速段側の係合要素の係合が開始された時点と判断するものである。
【0008】
特許文献3では、パワーオンダウンシフトの開始後にパワーオフとした場合に、それに伴う入力トルクの曖昧な状態を回転部材の回転速度の変化によって検出し、解放側の係合要素の油圧を直ちに低下させて解放状態とし、係合側の係合要素に対して油圧を供給してトルク容量を増大させることにより、変速遅れ感を解消する変速制御装置が提案されている。
【0009】
しかしながら、従来の変速制御方法では、上述のようなパワーオンダウンシフトからパワーオフダウンシフトへの切り換わりに伴う係合側の係合要素B1の油圧の追従遅れを解消できず、ショックを回避できない。
【0010】
そこで、本発明の目的は、パワーオンダウンシフト開始後にパワーオフダウンシフトに切り換わった場合に、係合側の係合要素B1の油圧の追従遅れを解消して、ショックのない変速を実現できる自動変速機の変速制御方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ダウンシフト時に第1の係合要素を解放すると共に、第2の係合要素を締結する自動変速機であって、パワーオフダウンシフトの指令時に、第2の係合要素に初期圧を供給するとともに、入力回転数が高速段における入力回転数より所定値上昇した時点で、入力回転数が目標変化率で上昇するように第2の係合要素の油圧をフィードバック制御する変速制御方法において、パワーオンダウンシフトが指令されたことを検出する工程と、上記パワーオンダウンシフトの指令直後に第2の係合要素のがた詰めを実施する工程と、上記パワーオンダウンシフトの開始後にパワーオフダウンシフトが指令されたことを検出する工程と、上記パワーオフダウンシフトの指令が検出された時から所定時間だけ、入力回転数の変化に関係なく、第2の係合要素に上記初期圧近傍の一定圧を保持する工程と、上記所定時間の終了後、入力回転数が目標変化率で上昇するように第2の係合要素の油圧をフィードバック制御する工程と、を有することを特徴とする自動変速機の変速制御方法を提供する。
【0012】
パワーオンダウンシフトが開始されると、エンジントルクの増大により入力回転数は上昇し始めるが、その最中にパワーオフダウンシフトに切り換わると、タービン回転数が上昇しているので、同期外れであると検出してしまい、直ちに第2の係合要素B1のフィードバック制御を開始してしまう恐れが生じる。しかし、本発明では、パワーオフダウンシフトへ切り換わった際に同期外れを検出しても、切換から所定時間はフィードバック制御を開始せず、係合要素B1に初期圧近傍の一定圧を保持するよう指令し、油圧を指示電流に追従させるための時間を確保する。上記所定時間の終了後、通常通り、タービン回転数が目標変化率となるように係合要素B1の油圧のフィードバック制御を開始する。その結果、タービン回転数の目標変化率に近づけるという本来のフィードバック制御が可能となり、ショックを改善できる。
係合要素B1に供給する初期圧近傍の一定圧とは、通常のパワーオフダウンシフトにおける第2の係合要素の初期圧と全く同じ圧である必要はなく、初期圧より若干高い圧あるいは低い圧としてもよい。
なお、上記制御を実施するのは、パワーオンダウンシフトの開始後、同期予測検出がなされるまでの間にパワーオフとなった場合に限られる。なぜなら、同期予測検出がなされた後にパワーオフとなっても、低速段への変速がほぼ終了しているため、ショックが発生しないからである。
【0013】
請求項2のように、第2の係合要素B1に初期圧近傍の一定圧を保持する所定時間は、通常のパワーオフダウンシフトにおける初期圧の最大保持時間とするのがよい。
通常のパワーオフダウンシフトにおける初期圧の最大保持時間は、油圧が指示電流に追従できる十分な時間であるから、初期圧を上記保持時間だけ維持することで、如何なる状況でパワーオフダウンシフトに切り換わっても、円滑なダウンシフトを実施することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明にかかる自動変速機を搭載した車両のシステムを示す。
エンジン1の出力は自動変速機2のトルクコンバータ3を経て変速機構4に伝達され、さらに変速機構4は出力軸5を介して車輪(図示せず)に連結されている。自動変速機2はエンジン1によりトルクコンバータ3を介して駆動されるオイルポンプ6を備え、このオイルポンプ6の吐出圧は油圧制御装置7へ送られる。油圧制御装置7は変速制御用の第1〜第3ソレノイドバルブ21〜23を備えており、これらソレノイドバルブ21〜23をATコントローラ20で制御することにより、変速機構4に内蔵されている各種係合要素の油圧を走行状態に応じて制御している。上記ソレノイドバルブ21〜23としては、リニアソレノイドバルブまたはデューティソレノイドバルブを使用することができる。
なお、油圧制御装置7に、変速制御用の3個のソレノイドバルブ21〜23の他に、ロックアップクラッチ制御用やライン圧制御用などの別のソレノイドバルブを設けてもよい。
【0015】
運転席の側部にはフロアシフトタイプのモード選択手段24が設けられている。このモード選択手段24は、「P」,「R」,「N」,「D」などの自動変速モードの他に、「D」レンジの次に手動変速モード(以後、マニュアルモードと呼ぶ)「M」が設けられており、これら各レンジをシフトレバー25を前後に操作することによって選択的に切り替えることができる。モード選択手段24にはシフトレバー25の位置を検出するシフトポジションセンサ26が設けられ、その検出信号はATコントローラ20に入力されている。なお、モード選択手段24としては、フロアシフトタイプに限らず、コラムシフトタイプでもよい。
【0016】
シフトレバー25によってマニュアルモード「M」が選択された場合に、手動操作によってアップシフトを行なうためのアップスイッチ27およびダウンシフトを行なうためのダウンスイッチ28が、ステアリングホイール29のスポーク部29aに設けられている。なお、アップスイッチ27およびダウンスイッチ28を設ける位置はステアリングホイール29に限らず、シフトレバー25を自動変速モードと干渉しない位置で操作することにより、シフトレバー25そのものでアップスイッチ27およびダウンスイッチ28を兼用してもよい。アップスイッチ27のアップシフト信号およびダウンスイッチ28のダウンシフト信号はATコントローラ20に入力される。ATコントローラ20は上記入力信号に応じて上記ソレノイドバルブ21〜23を制御している。すなわち、Dレンジが選択された場合には、車両の走行状態(スロットル開度,車速など)と変速マップとに応じて変速段を自動的に制御し、マニュアルモード「M」が選択された場合には、アップスイッチ27およびダウンスイッチ28の操作に応じた変速段にホールドする働きを有する。
【0017】
マニュアルモード「M」には1速段〜4速段の各変速段が設けられ、アップスイッチ27またはダウンスイッチ28を操作することにより、変速段を段階的に切り替えることができる。つまり、アップスイッチ27を操作する度に1段ずつ高速段へアップシフトでき、ダウンスイッチ28を操作する度に1段ずつ低速段へダウンシフトできる。なお、この実施例ではマニュアルモード「M」の変速段は「D」レンジの変速段と同じく4段階であるが、自動変速機2の変速機構4の段数に応じて3段以下または5段以上とすることもできる。
ここでは、ATコントローラ20にエンジン回転数,スロットル開度,タービン回転数(入力回転数),車速,シフトポジションなどの信号が入力されているが、この他の信号を入力してもよい。
【0018】
図2は変速機構4の一例を示す。
変速機構4は、トルクコンバータ3を介してエンジン動力が伝達される入力軸10、摩擦係合要素である3個のクラッチC1〜C3および2個のブレーキB1,B2、ワンウエイクラッチF、ラビニヨウ型遊星歯車機構11、差動装置14などを備えている。
この実施例では、係合側の係合要素とはB1ブレーキを指し、解放側の係合要素とはC3クラッチを指す。
【0019】
遊星歯車機構11のフォワードサンギヤ11aと入力軸10とはC1クラッチを介して連結されており、リヤサンギヤ11bと入力軸10とはC2クラッチを介して連結されている。キャリヤ11cはセンターシャフト15と連結され、センターシャフト15はC3クラッチを介して入力軸10と連結されている。また、キャリヤ11cはB2ブレーキとキャリヤ11cの正転(エンジン回転方向)のみを許容するワンウェイクラッチFとを介して変速機ケース16に連結されている。キャリヤ11cは2種類のピニオンギヤ11d,11eを支持しており、フォワードサンギヤ11aは軸長の長いロングピニオン11dと噛み合い、リヤサンギヤ11bは軸長の短いショートピニオン11eを介してロングピニオン11dと噛み合っている。ロングピニオン11dのみと噛み合うリングギヤ11fは出力ギヤ12に結合されている。出力ギヤ12は中間軸13を介して差動装置14と接続されている。
【0020】
変速機構4は、クラッチC1,C2,C3、ブレーキB1,B2およびワンウェイクラッチFの作動によって図3のように前進4段、後退1段の変速段を実現している。図3において、●は油圧の作用状態を示している。なお、B2ブレーキは後退時とLレンジの第1速時に係合する。また、図3には第1〜第3ソレノイドバルブ(SOL1〜SOL3)21〜23の作動状態も示されている。○は通電状態、×は非通電状態を示す。なお、この作動表は定常状態の作動を示している。
【0021】
第1ソレノイドバルブ21はB1ブレーキ制御用であり、第2ソレノイドバルブ22はC2クラッチ制御用であり、第3ソレノイドバルブ23はC3クラッチ制御用とB2ブレーキ制御用とを兼ねている。第3ソレノイドバルブ23がC3クラッチ制御用とB2ブレーキ制御用とを兼ねる理由は、B2ブレーキはDレンジでは作動せず、Lレンジのエンジンブレーキ制御とRレンジの過渡制御でのみ使用されるので、Dレンジで作動されるC3クラッチと干渉しないからである。
第1〜第3ソレノイドバルブ21〜23は微妙な油圧制御を行なう必要があるため、デューティソレノイドバルブまたはリニアソレノイドバルブが用いられる。また、この実施例では、第1ソレノイドバルブ21は常閉型、第2,第3ソレノイドバルブ22,23は常開型が用いられている。
【0022】
ATコントローラ20のメモリには、図7と同様な変速マップのほかに、図4に示すようなダウンシフト時のパワーオンとパワーオフの判定値マップが格納されている。図4から明らかなように、エンジン回転数が同一の場合、スロットル開度が大きい時にはパワーオン状態、スロットル開度が小さい時にはパワーオフ状態と判定する。オフダウン領域は、高エンジン回転域において拡大するように設定されている。
【0023】
上記構成の自動変速機2において、一般的なパワーオンダウンシフトおよびパワーオフダウンシフトの変速制御方法は、図5および図6と同様である。
一方、シフトレバー25をマニュアルモードMとし、アクセルペダルを踏み込んで3速で走行している時にダウンスイッチ28を操作し、2速へダウンシフトを開始した直後にアクセルペダルを戻した場合の制御を図8に示す。すなわち、3速から2速へパワーオンダウンシフトが開始した後、パワーオフダウンシフトの指令が出された場合である。
図8において、時刻t1でパワーオンダウンシフトが指令されると、時刻t2までの間、がた詰めが実施され、時刻t2以後、係合要素C3は初期圧までドレーンされ、係合要素B1には待機圧が供給される。その間、タービン回転数は上昇しはじめる。ところが、時刻t7でパワーオフダウンシフトへ切り換わると、タービン回転数が上昇しているので、同期外れを検出してしまい、図8に実線で示すように直ちに係合要素B1のフィードバック制御を開始してしまう恐れがある。
しかしながら、本発明では、図8に破線で示すように、パワーオフダウンシフトへ切り換わった際に同期外れを検出しても、通常のパワーオフダウンシフトとは異なり、切換点t7から所定時間Δtはタービン回転数に関係なくフィードバック制御を開始せず、係合要素B1に初期圧を供給するよう指令する。つまり、油圧を指示電流に追従させるための待ち時間を確保する。この時間Δtは、例えば通常のパワーオフダウンシフトにおける初期圧の最大保持時間と等しくすればよく、具体的には300ms程度である。上記所定時間Δtの終了後、時刻t8でタービン回転数が目標変化率となるように係合要素B1の油圧のフィードバック制御を開始する。その後の制御は、図6のパワーオフダウンシフトと同様である。
以上のように、パワーオンダウンシフトの開始後にパワーオフダウンシフトに切り換わった場合、切換点t7から所定時間Δtだけ係合側係合要素B1の初期圧を保持し、油圧が電流に追従できるようにしている。その結果、タービン回転数の目標変化率に近づけるという本来のフィードバック制御が可能となり、ショックを改善できる。
なお、上記制御を実施するのは、パワーオンダウンシフトの開始後、同期予測の検出がなされる時刻t5までの間にパワーオフとなった場合に限られる。
また、パワーオフダウンシフトの開始後、パワーオンになった場合には、通常のパワーオンダウンシフトと同様の制御が実施される。
【0024】
図9はダウンシフト制御の全体の流れを示す。
図9において、制御がスタートすると、エンジン回転数,車速,スロットル開度などの各種運転信号から、ダウンシフト可能かどうかを判定する(ステップS1)。具体的には、その時の運転状態が図7におけるダウンシフト線を横切ったかどうかを判定する。ダウンシフト可能であると判定された場合には、続いてパワーオン状態か、それともパワーオフ状態かを判定する(ステップS2)。この判定は、検出されたエンジン回転数およびスロットル開度が図4に示されたパワーオンオフ判定値より高い領域にあるか、それとも低い領域にあるかによって判定する。もしパワーオンダウン領域にあると判定された場合には、図5に示すパワーオンダウン制御を実施し(ステップS3)、パワーオフダウン領域にあると判定された場合には、図6に示すパワーオフダウン制御を実施する(ステップS4)。
【0025】
図10はパワーオンダウン制御における詳しい流れを示す。
パワーオンダウン制御が開始されると、図5に示された係合側係合要素B1の係合制御と解放側係合要素C3の解放制御とが開始される。この制御の途中で、再度パワーオン状態か否かを判定する(ステップS5)。この判定でもパワーオンダウン領域にあると判定された場合には、続いて低速段のタービン回転数より所定値だけ低い値まで上昇したことを検出(同期予測)したか否かを判定する(ステップS6)。ステップS6で同期予測が終了した場合には、係合要素B1の係合制御(ステップS7)と終了制御(ステップS8)とを実施する。また、タービン回転数が低速段の回転数になった時点で係合要素C3のフィードバック制御を終了する。これら制御は、図5に示された通常のパワーオンダウン制御と同様である。
一方、ステップS5でパワーオフダウン領域にあると判定された場合には、パワーオンダウンの開始後にパワーオフダウンに切り換わったことを意味するので、通常のパワーオフダウン制御とは異なり、まず係合側の係合要素B1に初期圧を供給するよう指令する(ステップS9)。そして、パワーオフダウンへの切換点からの経過時間が所定時間Δtを経過したかどうかを判定し(ステップS10)、所定時間Δt未満であれば、初期圧の保持を継続する。所定時間Δtを経過すれば、タービン回転数が目標変化率となるように係合要素B1の油圧のフィードバック制御を開始する(ステップS11)。その後、低速段のタービン回転数の近傍値まで上昇したことを検出(同期検出)すれば(ステップS12)、低速段状態への終了制御を実施する(ステップS13)。これらフィードバック制御および終了制御は図6に示された通りである。
なお、ステップS5でパワーオフダウンに切り換わったと判定された場合には、係合側係合要素B1の制御と並行して、解放側係合要素C3に待機圧を保持させる制御(ステップS14)も実施される。この制御も、図6に示すパワーオフダウンシフトと同様であるから、詳しい説明は省略する。
【0026】
図5,図6,図8では、3速から2速へのダウンシフト時における変速制御を例に説明したが、それ以外のダウンシフトにも同様に適用されることは勿論である。
また、本発明の変速制御は、マニュアルモードMにおいて、手動操作によってアップシフトおよびダウンシフトを行なった場合に限らず、通常のDレンジにおいてパワーオンダウンシフトの開始後にパワーオフダウンシフトに切り換わった場合や、ODレンジで走行している時にODスイッチをOFFとし、さらにその後、アクセルペダルを戻した場合にも適用される。
上記実施例では、オンダウン時には解放側の係合要素C3の油圧を制御し、オフダウン時には係合側の係合要素B1の油圧を制御したが、オンダウン時も係合側の係合要素B1の油圧を制御することで、過渡制御を行なってもよい。ただし、オンダウン時には解放側の係合要素C3の油圧を制御した方がよりショックの少ないダウンシフトが可能となる。一方、オフダウン時において、解放側の係合要素C3を油圧制御すると、タービン回転数の低下が大きくなるので、解放側の係合要素C3を即座に低下させ、係合側の係合要素B1の油圧を制御することで、過渡制御を行なうのがよい。
【0027】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、パワーオンダウンシフト開始後にパワーオフ状態に切り換わった場合に、同期外れを検出しても、切換から所定時間は係合側の係合要素B1のフィードバック制御を開始せず、係合要素B1に初期圧近傍の一定圧を保持するよう指令し、上記所定時間の終了後、タービン回転数が目標変化率となるように係合要素B1の油圧のフィードバック制御を開始するようにしたので、係合要素B1の油圧の追従遅れを解消でき、ショックのない変速を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における車両用自動変速機を搭載したシステム図である。
【図2】
図1の自動変速機の変速機構のスケルトン図である。
【図3】図2に示す変速機構の各摩擦係合要素およびソレノイドバルブの作動表である。
【図4】ダウンシフト用のパワーオンオフ判定値を示す図である。
【図5】パワーオンダウン時のタービン回転数、係合側の係合要素B1の指示電流および油圧、解放側の係合要素C3の指示電流および油圧の時間変化図である。
【図6】パワーオフダウン時のタービン回転数、係合側の係合要素B1の指示電流および油圧、解放側の係合要素C3の指示電流および油圧の時間変化図である。
【図7】自動変速機の変速線図の一例である。
【図8】パワーオンダウンシフトの開始直後にパワーオフダウンシフトに切り換わた時の、タービン回転数、係合側の係合要素B1の指示電流および油圧、解放側の係合要素C3の指示電流および油圧の時間変化図である。
【図9】ダウンシフト制御の全体の流れを示すフローチャート図である。
【図10】本発明にかかるパワーオンダウン制御の流れを示すフローチャート図である。
【符号の説明】
B1 係合側の係合要素
C3 解放側の係合要素
20 ATコントローラ
21 B1ブレーキ制御用ソレノイドバルブ
23 C3クラッチ制御用ソレノイドバルブ
Claims (2)
- ダウンシフト時に第1の係合要素を解放すると共に、第2の係合要素を締結する自動変速機であって、
パワーオフダウンシフトの指令時に、第2の係合要素に初期圧を供給するとともに、入力回転数が高速段における入力回転数より所定値上昇した時点で、入力回転数が目標変化率で上昇するように第2の係合要素の油圧をフィードバック制御する変速制御方法において、
パワーオンダウンシフトが指令されたことを検出する工程と、
上記パワーオンダウンシフトの指令直後に第2の係合要素のがた詰めを実施する工程と、
上記パワーオンダウンシフトの開始後にパワーオフダウンシフトが指令されたことを検出する工程と、
上記パワーオフダウンシフトの指令が検出された時から所定時間だけ、入力回転数の変化に関係なく、第2の係合要素に上記初期圧近傍の一定圧を保持する工程と、
上記所定時間の終了後、入力回転数が目標変化率で上昇するように第2の係合要素の油圧をフィードバック制御する工程と、を有することを特徴とする自動変速機の変速制御方法。 - 上記第2の係合要素に初期圧近傍の一定圧を保持する所定時間は、通常のパワーオフダウンシフトにおける初期圧の最大保持時間であることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御方法。
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