JP3792122B2 - 自動変速機の変速制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動変速機の変速制御方法、特にオンダウン中にスロットル開度をゆっくりと戻してゆく場合の摩擦係合要素の油圧制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動変速機は車速やスロットル開度などの運転条件に応じて、変速マップから自動的に変速段を決定し、係合要素に油圧を供給または排出して変速を行なう。このような自動変速機において、例えば3速で走行している時に、アクセルペダルを強く踏み込むと、その時の車速,スロットル開度で決定される動作点が変速マップのダウンシフト線を横切ることにより2速へ変速される、いわゆるキックダウンが行われる。この3速から2速へのキックダウンの途中にアクセルペダルをゆっくりと戻してゆくと、変速制御は3速→2速へのキックダウンから2速→3速へのオンアップ、さらに2速→3速へのオフアップへと順次切り換わる。ここで、オンアップとは、スロットル開度(アクセル開度)をある程度開いた状態でアップシフトを行うことであり、オフアップとはスロットル開度をほぼ全閉とした状態でアップシフトを行うことである。
【0003】
図10は、3速→2速へのキックダウンから2速→3速へのオンアップ、さらに2速→3速へのオフアップへと変化する時のスロットル開度、タービン回転数、係合要素を制御するソレノイドバルブへの指示電流、係合要素(C3)の油圧の時間変化を示す。なお、ここで用いるソレノイドバルブは常開型であり、指示電流がOFFの時に係合要素に最大油圧を供給するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図10に示されるように、3速→2速へのキックダウン制御が終了する前(タービン回転数が2速回転数に到達する前)にスロットル開度を戻し始めると、時刻taで2速→3速へのオンアップを開始し、係合要素に対して係合初期圧を供給するための指示電流Iaがソレノイドバルブに与えられる。係合初期圧とは係合要素が係合を開始する時の初期油圧であり、係合初期圧の供給によりタービン回転数は低下しはじめる。その後、時刻tbでスロットル開度がほぼ全閉となると、2速→3速へオフアップを開始する。
【0005】
しかしながら、係合要素の油圧はソレノイドバルブへの指示電流に対して応答の遅れが生じるので、時刻tbで指示電流がオフアップ時の電流Ibになっても、油圧はオンアップ時の油圧のままとなる。そのため、オフアップ開始当初は、係合要素の油圧が高過ぎてタービン回転を急激に引き込むことになる。特に、オフアップ時はスロットル開度を閉じているため、パワーオフ状態であり、タービン回転は低下傾向にあるので、タービン回転の引込みショックが発生するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、オンダウン(キックダウンを含む)制御中にスロットル開度を戻した時、オンアップからオフアップに移行する際に発生する変速ショックを軽減できる自動変速機の変速制御方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、摩擦係合要素へ係合油圧を給排することにより、変速段を切り換えるとともに、上記摩擦係合要素への油圧をソレノイドバルブで調圧するようにした車両用自動変速機において、走行中にスロットル開度が第1の開度以上開かれた時、上記摩擦係合要素への油圧を排出し、低速段へダウンシフトする工程と、上記ダウンシフト途中で、スロットルを戻してその開度が第1の開度より小さく第2の開度以上となった時、上記摩擦係合要素へ油圧を供給し、高速段へアップシフトする工程とを備え、上記ダウンシフト途中でアップシフトを開始する時の上記摩擦係合要素へ供給する係合初期圧を、上記ダウンシフト途中ではない状態からアップシフトを開始する時の係合初期圧より低くし、上記アップシフト開始から所定時間後もスロットル開度が第2の開度以上を維持している場合には、上記係合初期圧を、上記ダウンシフト途中ではない状態からアップシフトを開始する時の係合初期圧に戻すことを特徴とする車両用自動変速機の変速制御方法を提供する。
【0008】
走行中にスロットル開度を第1の開度以上に開くと、その時の車速,スロットル開度で決定される動作点が変速マップのダウンシフト線を横切ることにより低速段へダウンシフトされ、いわゆるキックダウンが行われる。このキックダウンの途中にアクセルペダルをゆっくり戻してゆくと、変速制御はダウンシフトを完了せずに、高速段へのオンアップ、さらにオフアップへと順次切り換わる。
通常のオンアップ時、つまりダウンシフト途中ではない状態から高速段へアップシフトを行う時には、アップシフト開始時に摩擦係合要素へ供給する係合初期圧を比較的高くし、変速時間をできるだけ短くしてアップシフトを終了するようにしている。
ところが、ダウンシフト途中でオンアップを行う場合には、上記のような高い係合初期圧を供給すると、オンアップの後にオフアップへ移行した際に、油圧の応答遅れのためにタービン回転の引込みショックが発生する。そこで、ダウンシフト途中でオンアップを開始する時の摩擦係合要素へ供給する係合初期圧を、上記ダウンシフト途中ではない状態からオンアップを開始する時の係合初期圧より低くする。つまり、通常時の係合初期圧より低くしている。そのため、オンアップの後にオフアップへ移行した時、摩擦係合要素の油圧は低く保たれ、オフアップ開始当初のタービン回転の引込みショックを軽減できる。
【0009】
本発明では、高速段へのアップシフト開始から所定時間後もスロットル開度が第2の開度以上を維持している場合には、上記係合初期圧を、上記ダウンシフト途中ではない状態からアップシフトを開始する時の係合初期圧に戻すように制御している。
すなわち、オンアップから直ぐにオフアップへ移行する場合には、係合初期圧を通常時より低くするのがショック軽減のため効果的であるが、スロットル開度を第2の開度以上に維持した状態が所定時間以上経過した場合、つまりオンアップ状態が継続した場合には、係合初期圧を低くしたままで維持すると、変速時間が長くなるという欠点がある。そこで、オンアップ状態が所定時間以上経過した場合には、上記のような係合初期圧を低くする制御を中止し、通常時の係合初期圧まで油圧を上昇させる。これにより、ショックを軽減しつつ変速時間が長引くのを防止できる。
【0010】
係合初期圧は、摩擦係合要素が実際に係合を開始するための油圧であって、タービン回転を低下させるために供給される。オンアップ時には、このような係合初期圧を摩擦係合要素にかけ、変速時間を短縮するよう制御するが、オフアップ時には、このような高い係合初期圧をかけず、係合油圧を緩やかに立ち上げることで、係合ショックを軽減することに主眼をおいて制御を行う。
オンアップとオフアップの判別は、スロットル開度とエンジン回転数との関係によって行われる。一般に、エンジン回転数が高いほど、スロットル開度が開いた状態でもオフアップへ移行することができる。
ダウンシフト途中でオンアップを開始する時の係合初期圧を、通常時の係合初期圧より低くする方法として、例えば一定量だけ減圧してもよいし、減圧量を時間とともに徐々に少なくしてもよい。
【0011】
本発明では、摩擦係合要素への油圧をソレノイドバルブで調圧している。調圧方法としては、摩擦係合要素の油圧をコントロールバルブで制御し、このコントロールバルブをソレノイドバルブで調圧した油圧で制御する間接制御方式であってもよいし、摩擦係合要素の油圧をソレノイドバルブで直接制御する直接制御方式であってもよい。間接制御の方が直接制御より油圧の立ち上がりが遅れる傾向にあるので、本発明がより有効である。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明にかかる車両用自動変速機を搭載した車両のシステムを示す。
エンジン1の出力は自動変速機2のトルクコンバータ3を経て変速機構4に伝達され、さらに変速機構4は出力軸5を介して車輪(図示せず)に連結されている。自動変速機2はエンジン1によりトルクコンバータ3を介して駆動されるオイルポンプ6を備え、このオイルポンプ6の吐出圧は油圧制御装置7へ送られる。油圧制御装置7は変速制御用の第1〜第3ソレノイドバルブ21〜23を備えており、これらソレノイドバルブ21〜23をATコントローラ20で制御することにより、変速機構4に内蔵されている各種摩擦係合要素の油圧を走行状態に応じて制御している。ここでは、ATコントローラ20にエンジン回転数,スロットル開度,タービン回転数,車速,シフトポジションなどの信号が入力されているが、この他の信号(ATF油温など)を入力してもよい。
なお、油圧制御装置7に、変速制御用の3個のソレノイドバルブ21〜23の他に、ロックアップクラッチ制御用やライン圧制御用などのソレノイドバルブを設けてもよい。
【0013】
図2は変速機構4の一例を示す。
変速機構4は、トルクコンバータ3を介してエンジン動力が伝達される入力軸10、摩擦係合要素である3個のクラッチC1〜C3および2個のブレーキB1,B2、ワンウエイクラッチF、ラビニヨウ型遊星歯車機構11、差動装置14などを備えている。
【0014】
遊星歯車機構11のフォワードサンギヤ11aと入力軸10とはC1クラッチを介して連結されており、リヤサンギヤ11bと入力軸10とはC2クラッチを介して連結されている。キャリヤ11cはセンターシャフト15と連結され、センターシャフト15はC3クラッチを介して入力軸10と連結されている。また、キャリヤ11cはB2ブレーキとキャリヤ11cの正転(エンジン回転方向)のみを許容するワンウェイクラッチFとを介して変速機ケース16に連結されている。キャリヤ11cは2種類のピニオンギヤ11d,11eを支持しており、フォワードサンギヤ11aは軸長の長いロングピニオン11dと噛み合い、リヤサンギヤ11bは軸長の短いショートピニオン11eを介してロングピニオン11dと噛み合っている。ロングピニオン11dのみと噛み合うリングギヤ11fは出力ギヤ12に結合されている。出力ギヤ12は中間軸13を介して差動装置14と接続されている。
【0015】
変速機構4は、クラッチC1,C2,C3、ブレーキB1,B2およびワンウェイクラッチFの作動によって図3のように前進4段、後退1段の変速段を実現している。図3において、●は油圧の作用状態を示している。なお、B2ブレーキは後退時とLレンジの第1速時に係合する。また、図3には第1〜第3ソレノイドバルブ(SOL1〜SOL3)21〜23の作動状態も示されている。○は通電状態、×は非通電状態を示す。なお、この作動表は定常状態の作動を示している。
【0016】
第1ソレノイドバルブ21はB1ブレーキ制御用であり、第2ソレノイドバルブ22はC2クラッチ制御用であり、第3ソレノイドバルブ23はC3クラッチ制御用とB2ブレーキ制御用とを兼ねている。第3ソレノイドバルブ23がC3クラッチ制御用とB2ブレーキ制御用とを兼ねる理由は、B2ブレーキはDレンジでは作動せず、Lレンジのエンジンブレーキ制御とRレンジの過渡制御でのみ使用されるので、Dレンジで作動されるC3クラッチと干渉しないからである。
第1〜第3ソレノイドバルブ21〜23は微妙な油圧制御を行なう必要があるため、デューティソレノイドバルブまたはリニアソレノイドバルブが用いられる。また、この実施例では、第1ソレノイドバルブ21は常閉型、第2,第3ソレノイドバルブ22,23は常開型が用いられている。
【0017】
図4は本発明にかかる摩擦係合要素であるC3クラッチの油圧制御装置の一例を示す。
C3圧制御バルブ30は、C3クラッチの油圧PC3を制御するためのバルブであり、スプリング32によって左方へ付勢されたスプール31を備えている。左端ポート33は第3ソレノイドバルブ23と接続されており、ソレノイド圧Ps3が入力される。Dレンジの1,2速時は、ソレノイドバルブ23がONであるため、ソレノイド圧Ps3がドレーンされ、スプール31は図4の上側位置にある。また、3,4速時にはソレノイドバルブ23がOFFするため、ソレノイド圧Ps3が発生し、スプール31は図4の下側位置となる。ポート34はドレーンポート、ポート35はC3クラッチと接続された出力ポート、ポート36はライン圧が入力される入力ポートである。スプリング32を配置した右端ポート37には出力圧PC3がスプール31の内部を通ってフィードバックされている。そのため、出力圧PC3はソレノイド圧Ps3によって比例的に制御される。
【0018】
図5はATコントローラ20のメモリに格納されたDレンジの変速マップの一例を示す。
図5において、実線はアップシフト線、破線はダウンシフト線を表す。
【0019】
図6は同じくATコントローラ20のメモリに格納されたアップシフト時のオンアップ領域とオフアップ領域とを示す図である。
図6から明らかなように、オフアップ領域はエンジン回転数が高くなるほど、スロットル開度の領域が広くなっている。つまり、高エンジン回転数の状態では、スロットル開度がある程度開いた状態でもオフアップになることがある。
【0020】
次に、2速から3速へアップシフトを行う場合のC3クラッチ(摩擦係合要素)の一般的な油圧制御を図7を参照して説明する。図7において、実線はオンアップ時、破線はオフアップ時である。
オンアップ時には、まず時刻t1 で3速へのアップシフト指令が出されると、時刻t2 でC3クラッチのがた詰めのため、一定期間だけソレノイド電流がOFFされる。このがた詰めは、C3クラッチのピストンとクラッチ板との隙間(無効ストローク)を早期に解消するため、一定期間だけ高い油圧を供給し、ピストンをクラッチ板方向へ急速移動させるものであり、必要に応じて実施される。がた詰めの後、ソレノイド電流を最大値よりやや低めの電流Ioに制御し、C3クラッチに低い油圧Poを供給する。この油圧Poは、C3クラッチを係合直前の状態にするための油圧であり、この油圧によりピストンは最初のクラッチ板と接触する状態まで移動する。時刻t3 でタービン回転数が一定量だけ吹き上がると、C3クラッチに係合初期圧Piを供給するため、ソレノイド電流を一定値Iiとする。その後、時刻t4 でタービン回転数が2速時の回転数より所定量だけ降下すると、係合初期圧Piの期間を終了し、C3クラッチ圧を所定の勾配で上昇させるべくソレノイド電流をフィードバック制御する。時刻t5 でタービン回転数と3速時の回転数との差が一定値以下になったことを検出すると(同期検出)、ソレノイド電流を一定勾配で降下させ、時刻t6 でC3クラッチを完全締結し、変速を終了する。
【0021】
一方、オフアップ時には、時刻t3 で係合初期圧Piを供給せず、ソレノイド電流を高い値Ioに維持する。つまり、C3クラッチの油圧を低い油圧Poに維持する。オフアップはパワーオフ状態であるため、タービン回転数は自然に降下しはじめる。そして、時刻t4 でタービン回転数が2速時の回転数より所定量だけ降下すると、一定圧Po期間を終了し、C3クラッチ圧を徐々に上昇させる。時刻t5 でタービン回転数と3速時の回転数との差が一定値以下になったことを検出すると(同期検出)、ソレノイド電流をさらに急勾配で降下させ、時刻t6 でC3クラッチを完全締結し、変速を終了する。
【0022】
図7の実線および破線は、2速から3速へのアップシフト時のC3クラッチの通常の油圧制御を示している。つまり、アップシフト直前にキックダウンなどのオンダウンを行わない時の制御である。これに対し、3速から2速へのオンダウンを行っている途中でアクセルペダルを徐々に戻すことにより、再び3速へ戻る場合には、上記のようなオンアップを行うと、係合初期圧Piが高過ぎ、その後にオフアップへ移行した時にタービン回転の引込みショックを生じる。
本発明では、オンアップ時の係合初期圧を2種類持ち、オンダウン直後のオンアップ時には、図7に一点鎖線で示すように、係合初期圧Pi’を通常時の係合初期圧Piより低くしたものである。
そのため、オンアップの後にオフアップへ移行した時、C3クラッチの油圧が低く保たれ、タービン回転の引込みショックを軽減あるいは解消できる。
【0023】
なお、低い係合初期圧Pi’が供給されたオンアップ状態(t3 〜t4 )が一定時間以上継続した場合には、タービン回転数が低下せず、変速時間が長くなる。そこで、スロットル開度がオンアップ領域である時間が一定時間(例えば300msec)以上継続した場合には、係合初期圧Pi’を低くするのを中止し、通常の係合初期圧Piへ戻す制御を行う。戻し方はステップ的に上昇させてもよいし、一挙に上昇させてもよい。これにより、変速時間を長引かせずに、オフアップ移行時のショックを軽減できる。
【0024】
図8は本発明の変速制御の一例を示し、3速→2速へのキックダウンから2速→3速へのオンアップ、さらに2速→3速へのオフアップへと変化する時のスロットル開度、タービン回転数、係合要素を制御するソレノイドバルブへの指示電流、C3クラッチ油圧の時間変化を示す。
3速→2速へのキックダウン制御、および2速→3速へのオフアップ制御は図10に示す従来の方法と同様であるため、重複説明を省略する。なお、図8の実線は本発明の方法、破線は従来の方法における変化を示す。
本発明では、2速→3速へのオンアップ時に係合初期圧として出力する指示電流Icを、従来の指示電流Iaに比べて所定量ΔIだけ高くしている。そのため、C3クラッチ油圧は低くなり、オフアップへ移行した時の油圧が低く、タービン回転の引込みショックがない。
なお、図8では、図7で示したようながた詰めを省略してある。
【0025】
図9は本発明の変速制御の流れを示すフローチャート図である。
まず、制御がスタートすると、2速→3速へのオンアップ変速を開始するか否かを判定する(ステップS1)。ここでは、パワーオン状態で、2速→3速のアップシフト線を横切ったか否かで判断する。
オンアップ変速を開始すると判断された場合には、オンアップ前に3速→2速のオンダウン制御中であるか否かを判定する(ステップS2)。すなわち、3速→2速のオンダウン制御中で、かつタービン回転数が2速時の回転数に到達したか否かを判定する。
【0026】
もし、ステップS2でオンダウン制御中であると判定された場合、つまりオンダウン制御が終了する前にオンアップ変速が開始された場合には、オンアップ係合初期圧Piを一定量ΔPだけ減圧して出力する(ステップS3)。
続いて、オンアップ制御が一定時間(例えば300msec)以上継続しているか否かを判別する(ステップS4)。すなわち、オンアップからオフアップへ即座に移行したか否かを判定する。もし、オンアップ制御が一定時間以上継続した場合には、タービン回転の引込みショックは発生しないので、減圧中のオンアップ係合初期圧Piを通常時の係合初期圧に戻し、出力する。(ステップS5)。そして、オンアップ制御を継続する(ステップS6)。
【0027】
一方、ステップS4の判定において、一定時間内にスロットル開度がほぼ全閉となり、オフアップ条件を満足した場合には、オフアップ制御へ移行する(ステップS7)。このとき、オンアップ時に予め係合初期圧Piを低めに制御しているので、オフアップへ移行した時、変速ショックは発生しない。
もし、ステップS2の判定でオンダウン制御途中でない場合、つまりオンダウン制御を行わずにオンアップ変速を開始する場合や、オンダウン制御が終了した後でオンアップ変速を開始する場合には、通常のオンアップ係合初期圧Piを出力し(ステップS8)、オンアップ制御を継続すればよい(ステップS6)。
上記オンアップ制御(ステップ6)およびオフアップ制御(ステップ7)の方法は、図7で説明した通りである。
【0028】
上記実施例では、2速から3速へのオンアップ変速、つまりC3クラッチの油圧制御について説明したが、その他のオンアップ変速(例えば1速から2速、3速から4速)における摩擦係合要素の油圧制御にも同様に適用できる。
なお、本発明の自動変速機は、図2に示すような3個のクラッチC1〜C3と2個のブレーキB1,B2を有する自動変速機に限るものではない。
【0029】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、オンダウン制御中にスロットル開度を戻してオンアップを開始する時、摩擦係合要素へ供給する係合初期圧を、オンダウン途中ではない状態からオンアップを開始する時の係合初期圧より低くしたので、オンアップからオフアップに移行する際に発生するタービン回転の引込み現象を和らげることができ、変速ショックを軽減することができる。
また、オンアップ状態が所定時間以上経過した場合には、上記のような係合初期圧を低くする制御を中止し、通常時の係合初期圧まで油圧を上昇させるようにしたので、ショックを軽減しつつ変速時間が長引くのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における車両用自動変速機を搭載したシステム図である。
【図2】図1の自動変速機の変速機構のスケルトン図である。
【図3】図2に示す変速機構の各摩擦係合要素およびソレノイドバルブの作動表である。
【図4】C3クラッチの油圧制御装置の回路図である。
【図5】図1の自動変速機の変速線図の一例である。
【図6】アップシフト時のオンアップ領域およびオフアップ領域を示す図である。
【図7】2速から3速へアップシフトを行う場合のC3クラッチの油圧制御方法を示す図である。
【図8】本発明にかかる変速制御方法の一例のスロットル開度、タービン回転数、ソレノイド電流、およびC3クラッチ油圧の時間変化図である。
【図9】本発明にかかる変速制御方法の一例のフローチャート図である。
【図10】従来のキックダウン〜オンアップ〜オフアップ時におけるスロットル開度,タービン回転数、ソレノイド電流および係合油圧の時間変化図である。
【符号の説明】
C3 摩擦係合要素
20 ATコントローラ
23(SOL3) C3クラッチ制御用ソレノイドバルブ
30 C3圧制御バルブ
Claims (1)
- 摩擦係合要素へ係合油圧を給排することにより、変速段を切り換えるとともに、上記摩擦係合要素への油圧をソレノイドバルブで調圧するようにした車両用自動変速機において、
走行中にスロットル開度が第1の開度以上開かれた時、上記摩擦係合要素への油圧を排出し、低速段へダウンシフトする工程と、
上記ダウンシフト途中で、スロットルを戻してその開度が第1の開度より小さく第2の開度以上となった時、上記摩擦係合要素へ油圧を供給し、高速段へアップシフトする工程とを備え、
上記ダウンシフト途中でアップシフトを開始する時の上記摩擦係合要素へ供給する係合初期圧を、上記ダウンシフト途中ではない状態からアップシフトを開始する時の係合初期圧より低くし、
上記アップシフト開始から所定時間後もスロットル開度が第2の開度以上を維持している場合には、上記係合初期圧を、上記ダウンシフト途中ではない状態からアップシフトを開始する時の係合初期圧に戻すことを特徴とする車両用自動変速機の変速制御方法。
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