JP3725716B2 - 極細繊維発生可能繊維、これから発生した極細繊維及びこの極細繊維を用いた繊維シート - Google Patents
極細繊維発生可能繊維、これから発生した極細繊維及びこの極細繊維を用いた繊維シート Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は極細繊維発生可能繊維、これから発生した極細繊維及びこの極細繊維を用いた繊維シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
繊維径が5μm以下程度の極細繊維は繊維径が小さいため、濾過材を構成する繊維として使用すると、より微細な固体を分離することができる。このように、極細繊維の繊維径が小さければより分離性能が向上すると考えられるため、濾過材を構成する繊維として、繊維径のより小さい極細繊維を使用するのが好ましい。また、この極細繊維は耐薬品性やエレクトレット性などの点で優れるポリプロピレンを含んでいるのが好ましい。
【0003】
この好適であるポリプロピレン極細繊維を含む濾過材(不織布)は、例えば、ポリプロピレンを島成分とする海島繊維を紡糸し、所定長さに裁断した後に海成分を溶解除去し、次いで繊維ウエブを作成した後に、この繊維ウエブを結合することによって製造することができる。しかしながら、この方法によるとポリプロピレン極細繊維の繊維径が小さくなればなる程、海島繊維を裁断する際に島成分同士が圧着する傾向があるため、均一な地合いの繊維ウエブが得られず、その結果として均一な地合いの濾過材(不織布)が得られない、という問題があった。このような傾向は島成分の直径が2μm以下の場合に顕著であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、裁断しても圧着することのない極細繊維発生可能繊維、これから発生した極細繊維及びこの極細繊維を用いた繊維シートを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の極細繊維発生可能繊維は、融点が168℃以上の高融点ポリプロピレンを含む極細繊維発生可能繊維であり、繊維径が5μm以下の極細繊維を発生可能な繊維である。この融点が168℃以上の高融点ポリプロピレンは結晶性が高いためか剛性があり、この高融点ポリプロピレンを含む極細繊維発生可能繊維を裁断しても圧着しないことを見い出したのである。
【0006】
本発明の極細繊維は上記のような極細繊維発生可能繊維から発生した、高融点ポリプロピレンを含むものであるため、裁断しても極細繊維同士が圧着しないか、裁断された極細繊維同士が圧着していないものである。そのため、均一に分散可能である。
【0007】
本発明の繊維シートは上記極細繊維を含むものであるため、極細繊維が均一に分散した、地合いの優れるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の極細繊維発生可能繊維は融点が168℃以上の高融点ポリプロピレンを含むものである。一般的なポリプロピレンの融点は160℃程度であるため、本発明の極細繊維発生可能繊維を構成する高融点ポリプロピレンはより結晶性の高いものである。なお、高融点ポリプロピレン中には、エチレンなどのオレフィン成分が共重合成分として混在していても良い。
【0009】
本発明における融点は、示差走査熱量計を用い、昇温速度10℃/分で室温から昇温して得られる融解吸熱曲線の極大値を与える温度をいう。なお、極大値が2つ以上ある場合には、最も高温の極大値を融点とする。
【0010】
このような高融点ポリプロピレンは極細繊維発生可能繊維を裁断した際に圧着しないように、極細繊維発生可能繊維中、5mass%以上含まれているのが好ましく、10mass%以上含まれているのがより好ましい。なお、極細繊維を発生できるように、90mass%以下であるのが好ましい。
【0011】
本発明の極細繊維発生可能繊維は上述のような高融点ポリプロピレンを含むものであるが、その高融点ポリプロピレンの存在状態は特に限定されるものではない。例えば、図1に示すように、海島状の繊維断面形状を有する海島繊維の島成分1又は海成分2として存在する状態、図2に示すように、オレンジ状の繊維断面形状を有するオレンジ繊維の第1成分3又は第2成分4として存在する状態、図3に示すように、樹脂成分を積層した繊維断面形状を有する多重バイメタル繊維の第1成分3又は第2成分4として存在する状態、などがある。これらの中でも、繊維径のより小さい極細繊維を発生可能な海島状の繊維断面形状を有する海島繊維の島成分中に高融点ポリプロピレンが含まれているのが好ましい。
【0012】
なお、繊維径が5μm以下の極細繊維を発生できるように、海島繊維の場合には島成分の直径が、オレンジ繊維及び多重バイメタル繊維の場合には第1成分又は第2成分の直径が、5μm以下である。本発明においては、高融点ポリプロピレンを含んでいるため、前記直径(島成分、第1成分、第2成分)が2μm以下であっても、圧着することなく裁断することができる。なお、本発明において、極細繊維、島成分、第1成分或いは第2成分の断面形状が非円形である場合、これらの繊維径又は直径は断面積が同じ円の直径をいう。
【0013】
この高融点ポリプロピレンが海島繊維の島成分として存在する場合や、オレンジ繊維又は多重バイメタル繊維の第1成分又は第2成分として存在する場合、これら成分(島成分、第1成分或いは第2成分)は高融点ポリプロピレンのみから構成されていても良いし、高融点ポリプロピレン以外のポリマーを含んでいても良い。例えば、高融点ポリプロピレン以外に高融点ポリプロピレンよりも低融点のポリマーを含み、この低融点のポリマーがこれら成分(島成分、第1成分或いは第2成分)の表面の少なくとも一部を構成していると、極細繊維発生可能繊維から島成分、第1成分或いは第2成分からなる極細繊維を発生させた後に、低融点のポリマーを接着させることにより繊維シートに強度を付与したり、繊維を固定したりすることができる。また、高融点ポリプロピレン以外に高融点ポリプロピレンとは熱による収縮率の異なるポリマーを含み、この収縮率の異なるポリマーが偏在(例えば、貼り合わせ状、偏芯状)していると、極細繊維発生可能繊維から島成分、第1成分或いは第2成分からなる極細繊維を発生させた後に、熱処理により巻縮を発現させて、繊維シートに柔軟性や伸縮性を付与することができる。
【0014】
前述の低融点のポリマーの融点は、接着する際に高融点ポリプロピレンが溶融しないように、高融点ポリプロピレンの融点よりも10℃以上低い(つまり、156℃以下)のが好ましく、20℃以上低い(つまり、146℃以下)のがより好ましい。このような低融点のポリマーとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、共重合ポリエチレンなどのポリエチレン、共重合ポリプロピレン或いはポリブチレンサクシネートなどがある。
【0015】
この低融点のポリマーは接着できるように、島成分、第1成分或いは第2成分の表面の少なくとも一部を構成している。この低融点のポリマーは接着性に優れるように、島成分、第1成分或いは第2成分の表面の30%以上を占めているのが好ましく、60%以上占めているのがより好ましい。なお、高融点ポリプロピレンの比率が低くなると、裁断した際に圧着しやすい傾向があるため、高融点ポリプロピレンは島成分、第1成分或いは第2成分中、25mass%以上含まれているのが好ましい。
【0016】
本発明の極細繊維発生可能繊維を構成する高融点ポリプロピレンや高融点ポリプロピレンよりも低融点のポリマー以外のポリマー(例えば、海島繊維の海成分を構成するポリマー、オレンジ繊維又は多重バイメタル繊維の第1又は第2成分を構成するポリマー)としては、例えば、海島繊維の海成分を除去する場合のようにポリマーを除去する場合には、高融点ポリプロピレン(高融点ポリプロピレンよりも低融点のポリマーを含んでいる場合には低融点のポリマーも含む)は5mass%以下しか除去しない溶媒に対して、95mass%以上除去できるポリマーを使用することができ、オレンジ繊維や多重バイメタル繊維を外力によって分割するような場合には、高融点ポリプロピレン(高融点ポリプロピレンよりも低融点のポリマーを含んでいる場合には低融点のポリマーも含む)と貧相溶性のポリマーを使用することができる。より具体的には、前者の場合、アルカリ水溶液の溶媒に対して除去可能なポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート系共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート系共重合体、ポリグリコール酸、グリコール酸共重合体、ポリ乳酸、乳酸共重合体など)、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレン系共重合体)を組み合わせることができる。これらの中でも、比較的伸びやすく、延伸工程によりポリプロピレンの結晶性を高めることのできるポリ乳酸や固有粘度(フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの60:40(重量比)混合溶媒を用い30℃でオストワルド粘度計で測定)が0.6以下程度のポリエステルが好適である。また、後者の場合、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン系共重合体など)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート系共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート系共重合体、ポリグリコール酸、グリコール酸共重合体、ポリ乳酸、乳酸共重合体など)などを組み合わせることができる。
【0017】
本発明の極細繊維発生可能繊維から発生する極細繊維の直径がほぼ同じであると、この極細繊維を分散させた不織布は均一な孔径を有し、分離性能などの優れるものであるため、島成分、第1成分或いは第2成分の直径がほぼ同じであるのが好ましい。つまり、島成分、第1成分或いは第2成分の直径の標準偏差値を、島成分、第1成分或いは第2成分の直径の平均値で除した値が0.2以下(好ましくは0.18以下)であるのが好ましい。この島成分、第1成分或いは第2成分の直径の平均値は、極細繊維発生可能繊維又は発生させた極細繊維の電子顕微鏡写真を撮影し、この電子顕微鏡写真の100個以上(n個)の島成分、第1成分或いは第2成分の直径を計測した、その平均値をいい、標準偏差値は計測した直径(χ)を次の式から算出した値をいう。
標準偏差={(nΣχ2−(Σχ)2)/n(n−1)}1/2
n:測定した島成分、第1成分或いは第2成分の数
χ:それぞれの島成分、第1成分或いは第2成分の直径
【0018】
なお、本発明の極細繊維発生可能繊維の断面形状は円形である必要はなく、非円形(例えば、楕円状、長円状、T状、Y状、+状、中空状、多角形状など)であっても良いし、極細繊維発生可能繊維が海島繊維である場合には、その島成分の断面形状も円形である必要はなく、非円形(例えば、楕円状、長円状、T状、Y状、+状、中空状、多角形状など)であっても良い。また、極細繊維発生可能繊維を構成するポリマー(例えば、高融点ポリプロピレン)中に、吸湿剤、艶消し剤、顔料、難燃剤、安定剤、帯電防止剤、着色剤、染色剤、導電剤、親水化剤、脱臭剤、或いは抗菌剤などの機能性物質を混合し、各種機能を付加することもできる。
【0019】
また、極細繊維発生可能繊維の繊度は特に限定するものではないが、0.8〜10デニール程度が適当である。また、繊維長も特に限定するものではないが、湿式不織布を構成する極細繊維を発生させる場合には、0.5〜30mm程度が適当であり、乾式不織布を構成する極細繊維を発生させる場合には、25〜160mm程度が適当である。
【0020】
このような本発明の極細繊維発生可能繊維は、常法の複合紡糸法及び/又は混合紡糸法を利用して紡糸することができる。例えば、島成分が高融点ポリプロピレンからなり、海成分がポリ乳酸からなる海島繊維は、溶融紡糸温度を210〜245℃とすることにより紡糸した後、延伸して極細繊維発生可能繊維を製造することができる。なお、本発明の極細繊維発生可能繊維を使用して不織布などを製造しやすいように、延伸後に裁断しても良い。本発明の極細繊維発生可能繊維は高融点ポリプロピレンを含んでいるため、裁断部において圧着していない極細繊維発生可能短繊維を得ることができる。この裁断方法としては、例えば、ギロチンカッター、ロータリーカッター、押切りカッターなど公知の方法により実施することができる。また、極細繊維発生可能繊維を乾式不織布の原料として、又は紡績糸として使用する場合には、機械的に又は熱的に5〜50個/インチ程度の巻縮を付与するのが好ましい。
【0021】
なお、本発明の極細繊維発生可能繊維を構成するポリプロピレンの融点が166℃以上という高融点のものとなるように、使用するポリプロピレン樹脂として、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が6以下(好ましくは5以下)のものを使用したり、延伸温度を90℃以上かつポリマーが溶融しないできるだけ高い温度としたり、ポリプロピレン樹脂以外のポリマーとして、延伸性の優れるものと組み合わせるのが好ましい。なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、溶媒に1,2,4−トリクロロベンゼンを用い、温度180℃でGPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、ポリスチレン換算分子量として測定することができる。
【0022】
なお、前述のような島成分、第1成分或いは第2成分の直径がほぼ同じ極細繊維発生可能繊維は公知の複合紡糸法によって得ることができる。例えば、島成分の直径がほぼ同じ海島繊維は、紡糸口金部で海成分中に口金規制して島成分を押出して複合する方法により製造することができる。
【0023】
本発明の極細繊維は、上述のような極細繊維発生可能繊維から発生した、高融点プロピレンを含むものであるため、裁断しても極細繊維同士が圧着しないか、裁断された極細繊維同士が圧着していないものである。そのため、均一に分散可能なものである。この極細繊維の発生方法は極細繊維発生可能繊維により異なり、例えば、極細繊維発生可能繊維がある溶媒に対して95mass%以上除去可能なポリマーと、その溶媒に対して5mass%以下しか除去されない高融点プロピレンからなる場合、その溶媒浴中に浸漬することにより、高融点ポリプロピレンからなる極細繊維を発生させることができ、極細繊維発生可能繊維が高融点ポリプロピレンと高融点プロピレンと貧相溶性ポリマーの組み合わせからなる場合には、例えば、流体流、カレンダーロール、フラットプレスなどの外力を作用させることにより、極細繊維を発生させることができる。
【0024】
本発明の繊維シートは、上述の極細繊維発生可能繊維から発生した極細繊維を含むものである。上述の極細繊維発生可能繊維から発生した極細繊維は均一に分散可能であるため、この極細繊維を含む繊維シート(特に不織布)は地合いの優れるものである。なお、極細繊維が接着した状態にあれば、引張り強さや剛性の優れる繊維シートであり、極細繊維が巻縮を発現した状態にあれば、柔軟性又は伸縮性に優れる繊維シートである。この繊維シートの態様としては、例えば、織物、編物、不織布、或いはこれらの複合体などがある。
【0025】
本発明の繊維シートにおいては、上述のような極細繊維は極細繊維が存在していることによる性能、例えば、分離性能、柔軟性、緻密性などに優れるように、10mass%以上含まれているのが好ましく、20mass%以上含まれているのがより好ましく、30mass%以上含まれているのが最も好ましい。
【0026】
この極細繊維以外の繊維としては通常の繊維を使用することができ、例えば、ガラス繊維や炭素繊維などの無機繊維、絹、羊毛、綿、麻などの天然繊維、レーヨン繊維などの再生繊維、アセテート繊維などの半合成繊維、ポリアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリメチルペンテン繊維、芳香族ポリアミド繊維、又は2種類以上の樹脂成分からなり、巻縮発現性、熱接着性、或いは分割性を有する複合繊維などの合成繊維を使用できる。
【0027】
本発明の繊維シートは常法により製造することができる。例えば、上述のような極細繊維発生可能繊維から発生した極細繊維を含む湿式不織布は、次のようにして製造することができる。まず、上述のような極細繊維を用意する。この極細繊維が短繊維でない場合には、例えば、ギロチンカッター、ロータリーカッター、押切りカッターなど公知の方法により、所望長さに裁断する。
【0028】
次いで、この極細繊維(必要により他の繊維も)を常法の湿式法(例えば、水平長網方式、傾斜ワイヤー型長網方式、円網方式、又は長網・円網コンビネーション方式など)により繊維ウエブを形成する。次いで、この繊維ウエブを結合して湿式不織布を製造することができる。この結合方法としては、例えば、(1)水流などの流体流によって絡合する方法、(2)極細繊維、場合により混合した熱接着性繊維によって接着する方法、(3)バインダーを塗布又は散布して接着する方法、などがある。なお、これら結合方法は併用することができる。
【0029】
本発明の繊維シートは極細繊維が均一に分散した地合いの優れるものであるため、各種用途、例えば、衣料用芯地、衣料用中入綿、内装材、気体又は液体の濾過材、各種クリーニングシート、土木用シート、電池用セパレータ、貼付材用基布、壁紙用基材、合成皮革用基布、人工皮革用基布、透湿防水布などに使用することができる。なお、本発明の繊維シートを染色処理、顔料による着色処理、起毛処理、ラミネート処理、成形加工、エンボス処理、或いは化学的又は物理的表面処理を実施することによって各種機能を付加して、各種用途に適合させることができる。
【0030】
以下に、本発明の実施例を記載するが、以下の実施例に限定されるものではない。なお、ポリプロピレンのメルトインデックスはJIS K6758に準じて測定した値であり、ポリエチレンのメルトインデックスはASTM D1238に準じて測定した値である。
【0031】
【実施例】
(実施例1)
海島繊維を紡糸できる常法の複合紡糸装置(25島の海島繊維を紡糸可能)を使用し、海成分としてポリ−L−乳酸を、島成分としてポリプロピレン(メルトインデックス:65、分子量分布:5.1)を、ギアポンプ比75:25、温度240℃の条件下で押し出し、繊度4.2デニールの未延伸糸を紡糸した。次いで、この未延伸糸を温度90℃で3.4倍延伸を行った後、ギロチンカッターで裁断して、繊度1.2デニール、繊維長3mmの極細繊維発生可能短繊維(断面:円形、島成分の直径:1.7μm以下、島成分の直径の標準偏差値を島成分の直径の平均値で除した値:0.085(計測数:100)、島成分の断面形状:円形)を製造した。この極細繊維発生可能短繊維の断面を電子顕微鏡写真により観察したところ、圧着することなく裁断された表面を有していた。
【0032】
次いで、この極細繊維発生可能短繊維を温度80℃、1M−水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して、海成分であるポリ−L−乳酸を分解除去して、平均繊維径1.2μm、極細繊維の繊維径の標準偏差値を極細繊維の繊維径の平均値で除した値が0.085(計測数:100)のポリプロピレン極細短繊維(断面:円形)を製造した。このポリプロピレン極細短繊維の融点を示差走査熱量計を用いて測定したところ、170.3℃であった。次いで、このポリプロピレン極細短繊維を、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合体(増粘剤)とポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(界面活性剤)とを含む水中に分散させたところ、繊維の塊がなく、均一に分散させることができた。
【0033】
(実施例2)
海島繊維を紡糸できる常法の複合紡糸装置(25島の海島繊維を紡糸可能)を使用し、海成分としてポリ−L−乳酸を、島成分としてポリプロピレン(メルトインデックス:65、分子量分布:5.1)を、ギアポンプ比50:50、温度240℃の条件下で押し出し、繊度4.1デニールの未延伸糸を紡糸した。次いで、この未延伸糸を温度90℃で3.3倍延伸を行った後、ギロチンカッターで裁断して、繊度3.4デニール、繊維長3mmの極細繊維発生可能短繊維(断面:円形、島成分の直径:3.5μm以下、島成分の直径の標準偏差値を島成分の直径の平均値で除した値:0.053(計測数:100)、島成分の断面形状:円形)を製造した。この極細繊維発生可能短繊維の断面を電子顕微鏡写真により観察したところ、圧着することなく裁断された表面を有していた。
【0034】
次いで、この極細繊維発生可能短繊維を温度80℃、1M−水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して、海成分であるポリ−L−乳酸を分解除去して、平均繊維径3μm、極細繊維の繊維径の標準偏差値を極細繊維の繊維径の平均値で除した値が0.053(計測数:100)のポリプロピレン極細短繊維(断面:円形)を製造した。このポリプロピレン極細短繊維の融点を示差走査熱量計を用いて測定したところ、168.0℃であった。次いで、このポリプロピレン極細短繊維を実施例1と同様に分散させたところ、繊維の塊がなく、均一に分散させることができた。
【0035】
(比較例)
海島繊維を紡糸できる常法の複合紡糸装置(25島の海島繊維を紡糸可能)を使用し、海成分として5−スルホイソフタル酸を共重合成分とするポリエチレンテレフタレート(固有粘度:0.54)を、島成分としてポリプロピレン(メルトインデックス:21、分子量分布6.3)を、ギアポンプ比91:39、温度295℃の条件下で押し出し、繊度3デニールの未延伸糸を紡糸した。次いで、この未延伸糸を温度90℃で1.9倍延伸を行った後、ギロチンカッターで裁断して、繊度1.7デニール、繊維長3mmの極細繊維発生可能短繊維(断面:円形、島成分の直径:1.8μm以下、島成分の直径の標準偏差値を島成分の直径の平均値で除した値:0.14(計測数:100)、島成分の断面形状:円形)を製造した。この極細繊維発生可能短繊維の断面を電子顕微鏡写真により観察したところ、島成分同士が圧着した表面を有していた。
【0036】
次いで、この極細繊維発生可能短繊維を温度80℃、1M−水酸化ナトリウム水溶液中に45分間浸漬して、海成分であるポリエチレンテレフタレートを分解除去して、平均繊維径1.1μm、極細繊維の繊維径の標準偏差値を極細繊維の繊維径の平均値で除した値が0.14(計測数:100)のポリプロピレン極細短繊維(断面:円形)を製造した。このポリプロピレン極細短繊維の融点を示差走査熱量計を用いて測定したところ、164.4℃であった。次いで、このポリプロピレン極細短繊維を実施例1と同様に分散させたところ、繊維が分散されずに繊維束状に残ったり、絡んで塊となった分散性の悪いものであった。
【0037】
(実施例3)
海島繊維を紡糸できる常法の複合紡糸装置(25島の海島繊維を紡糸可能)を使用し、海成分としてポリ−L−乳酸を、島成分としてポリプロピレン(メルトインデックス:65、分子量分布:5.1)40mass%と高密度ポリエチレン(メルトインデックス:20)60mass%とを、ギアポンプ比50:50、温度240℃の条件下で押し出し、繊度8デニールの未延伸糸を紡糸した。次いで、この未延伸糸を温度90℃で2.4倍延伸を行った後、ギロチンカッターで裁断して、繊度3.5デニール、繊維長3mmの極細繊維発生可能短繊維(断面:円形、島成分の直径:1.7μm以下、島成分の直径の標準偏差値を島成分の直径の平均値で除した値:0.11(計測数:100)、島成分の断面形状:円形)を製造した。この極細繊維発生可能短繊維の断面を電子顕微鏡写真により観察したところ、圧着することなく裁断された表面を有していた。
【0038】
次いで、この極細繊維発生可能短繊維を温度80℃、1M−水酸化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して、海成分であるポリ−L−乳酸を分解除去して、平均繊維径1.2μm、極細繊維の繊維径の標準偏差値を極細繊維の繊維径の平均値で除した値が0.11(計測数:100)のポリプロピレン−高密度ポリエチレン混合極細短繊維(断面:円形、表面の60%以上を高密度ポリエチレンが占めている)を製造した。このポリプロピレン−高密度ポリエチレン混合極細短繊維のポリプロピレン成分及び高密度ポリエチレン成分の融点を示差走査熱量計を用いて測定したところ、ポリプロピレン成分が168.7℃であり、高密度ポリエチレン成分が129.8℃であった。このポリプロピレン−高密度ポリエチレン混合極細短繊維を実施例1と同様に分散させたところ、繊維の塊がなく、均一に分散させることができた。
【0039】
(実施例4)
実施例3のポリプロピレン−高密度ポリエチレン混合極細短繊維と、芯成分がポリプロピレン(融点:158℃)からなり、鞘成分(接着成分)が高密度ポリエチレン(融点:131℃)からなる芯鞘型複合接着短繊維(繊維径11.8μm、繊維長10mm)とを用意した。
【0040】
次いで、前記ポリプロピレン−高密度ポリエチレン混合極細短繊維と芯鞘型複合接着短繊維とを、質量比1:1でアクリルアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体(増粘剤)とポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(界面活性剤)とを含む水からなる分散浴に分散させ、角型手抄き抄紙機により抄造した後、温度140℃で乾燥すると同時に芯鞘型複合接着短繊維の接着成分及びポリプロピレン−高密度ポリエチレン混合極細短繊維の高密度ポリエチレン成分を接着して不織布を製造した。この不織布は均一な地合いを有し、孔径の均一なものであったため、気体又は液体の濾過材或いは電池用セパレータとして好適なものであった。
【0041】
【発明の効果】
本発明の極細繊維発生可能繊維は裁断しても圧着しないものである。また、本発明の極細繊維発生可能繊維から発生した、高融点ポリプロピレンを含む極細繊維は裁断しても極細繊維同士が圧着しないか、裁断された極細繊維同士が圧着していないものである。そのため、均一に分散可能である。更に、本発明の繊維シートはこの極細繊維を含むものであるため、極細繊維が均一に分散した、地合いの優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の極細繊維発生可能繊維の模式的断面図
【図2】(a) 本発明の別の極細繊維発生可能繊維の模式的断面図
(b) 本発明の別の極細繊維発生可能繊維の模式的断面図
【図3】 本発明の別の極細繊維発生可能繊維の模式的断面図
【符号の説明】
1 島成分
2 海成分
3 第1成分
4 第2成分
Claims (9)
- 融点が168℃以上の高融点ポリプロピレンを含む極細繊維発生可能繊維であり、繊維径が5μm以下の極細繊維を発生可能であることを特徴とする極細繊維発生可能繊維。
- 極細繊維発生可能繊維が海島状の繊維断面形状を有し、その島成分中に高融点ポリプロピレンが含まれていることを特徴とする、請求項1記載の極細繊維発生可能繊維。
- 島成分が高融点ポリプロピレンのみからなることを特徴とする、請求項2記載の極細繊維発生可能繊維。
- 島成分が高融点ポリプロピレンと、この高融点ポリプロピレンよりも低融点のポリマーとを含み、この低融点のポリマーが島成分の表面の少なくとも一部を構成していることを特徴とする、請求項2記載の極細繊維発生可能繊維。
- 島成分の直径が2μm以下であることを特徴とする、請求項2〜請求項4のいずれかに記載の極細繊維発生可能繊維。
- 島成分の直径の標準偏差値を、島成分の直径の平均値で除した値が0.2以下であることを特徴とする、請求項2〜請求項5のいずれかに記載の極細繊維発生可能繊維。
- 海成分がポリ乳酸又は固有粘度が0.6以下のポリエステルからなることを特徴とする、請求項2〜請求項6のいずれかに記載の極細繊維発生可能繊維。
- 請求項1〜請求項7のいずれかに記載の極細繊維発生可能繊維から発生した、高融点ポリプロピレンを含む極細繊維。
- 請求項8に記載の極細繊維を含むことを特徴とする繊維シート。
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