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JP3682853B2 - 直交周波数分割多重信号伝送方式、送信装置及び受信装置 - Google Patents

直交周波数分割多重信号伝送方式、送信装置及び受信装置 Download PDF

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JP3682853B2
JP3682853B2 JP2000290216A JP2000290216A JP3682853B2 JP 3682853 B2 JP3682853 B2 JP 3682853B2 JP 2000290216 A JP2000290216 A JP 2000290216A JP 2000290216 A JP2000290216 A JP 2000290216A JP 3682853 B2 JP3682853 B2 JP 3682853B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は直交周波数分割多重信号伝送方式、送信装置及び受信装置に係り、特に符号化されたディジタル映像信号などを限られた周波数帯域の直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplex)信号に変換して送受信する直交周波数分割多重信号伝送方式、送信装置及び受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
符号化されたディジタル映像信号などを限られた周波数帯域で伝送する方式の一つとして、256直交振幅変調(QAM:Quadrature Amplitude Modulation)などの多値変調されたディジタル情報を多数の搬送波を用いてOFDM信号として伝送するOFDM方式が、マルチパスに強い、妨害を受けにくい、周波数利用効率が比較的良いなど特長から従来より知られている。このOFDM方式は多数の搬送波を直交して配置し、各々の搬送波で独立したディジタル情報を伝送する方式である。なお、「搬送波が直交している」とは、隣接する搬送波のスペクトラムが当該搬送波の周波数位置で零になることを意味する。
【0003】
このOFDM波を送信する送信装置では、送信するデータを逆離散的フーリエ変換(IDFT)演算して得られたディジタルベースバンドの複数の同相信号(I信号)と直交信号(Q信号)を、D/A変換器、低域フィルタ(LPF)をそれぞれ通過させた後、直交変調器により中間周波数(IF)に変換合成し、更にその後、周波数変換器でRF信号帯に周波数変換し、帯域フィルタ(BPF)で不要周波数成分を除去し、送信部で電力増幅して、送信アンテナより電波発射する。
【0004】
一方、受信装置においては、周波数変換器で受信RF信号の中間周波数への周波数変換を行って増幅器で中間周波増幅を行い、BPFで不要周波数成分を除去した後、直交復調器によりI信号とQ信号に分離する。その後、分離したI信号とQ信号をLPF、A/D変換器及び離散的フーリエ変換(DFT)回路、QAM復号回路をそれぞれ通してQAM復号等を施し、データを復元する。
【0005】
これらのOFDM信号伝送過程において、送信装置、受信装置ともに、I信号とQ信号に分離されている時点で、互いの系の間に相対的な振幅特性差、位相特性差があると、あるいは、直交変調器、直交復調器に正確な90度位相差の変調波あるいは復調波が供給されないと、符号誤りを生じてしまう。すなわち、自身の周波数の振幅変化と位相変化、および、対称な反対側の周波数へのクロストーク(イメージ成分)の発生が起こる。
【0006】
そこで、従来より上記の符号誤りの発生を防止するために、I信号とQ信号に分離されている時点での振幅特性差、位相特性差、あるいは、直交変調器、直交復調器に正確な90度位相差の変復調波が供給されないという、I信号及びQ信号相互間の特性差(誤差)をなくすための方法が種々提案されている(例えば、特開平6−350658号、特開平3−76623号、特開平5−227239号、特開平5−110369号、特開平3−53735号、特開平6−188932号、特開平4−290337号)。
【0007】
また、I信号及びQ信号自体の周波数振幅特性や周波数位相特性を規定の特性とするための補正も従来より提案されており、例えば送信装置においてはI信号、Q信号の周波数振幅特性と周波数位相特性、直交変調波の位相、IF波帯信号処理の周波数振幅特性と周波数位相特性、RF波帯信号処理の周波数振幅特性と周波数位相特性、また、受信装置においてもI信号、Q信号の周波数振幅特性と周波数位相特性、直交復調波の位相、IF波帯信号処理の周波数振幅特性と周波数位相特性、RF波帯信号処理の周波数振幅特性と周波数位相特性、更に電波伝搬のマルチパス環境下における周波数振幅特性と周波数位相特性などの、各種特性のいずれか一つ又は二以上の特性を補正する提案もなされている(特開平6−311134号、特開平5−219021号各公報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの従来の補正方法は、いずれも回路構成の複雑さからコストアップとなり、精度にも限度がある。すべての誤差を補正するにはさらに複雑となる。また、OFDM信号用については適当でないものもある。更に送受信機で直交性のズレを補償している従来方法(特開平6−188932号公報)はI信号、Q信号の振幅のズレは補償していなかったり、送信機において、D/A変換器の前段にディジタル直交変調器を配置して、送信系の誤差を原理的になくすようにした従来方法(特開平4−290337号公報)では、D/A変換器の動作速度とビット幅の制約から使用できる装置が限定されるなどの問題がある。
【0009】
このように、従来はI信号、Q信号の振幅特性差、位相特性差、直交性誤差は、送受信信号の符号誤りの直接の原因となり、これら誤差の除去若しくは補償が行われているが、より一層の精度の向上を図るには一定の限界がある。更に、周波数特性の補償等、OFDM信号への対応まで考慮したものは従来なかった。
【0010】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、誤差を許容して誤差を補正することにより、回路構成を複雑にすることなく、符号誤りの発生を防止し得る直交周波数分割多重信号伝送方式、送信装置及び受信装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明の他の目的は誤差のほかに、周波数による特性を補正することによりOFDM信号伝送に適用して好適な直交周波数分割多重信号伝送方式、送信装置及び受信装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の直交周波数分割多重信号伝送方式は、送信側では、互いに周波数の異なる複数の搬送波のそれぞれを、各搬送波に割り当てられた伝送すべき情報信号からそれぞれ得た同相信号と直交信号で別々に変調し、かつ、周波数分割多重した直交周波数分割多重信号を生成してシンボル単位で送信し、受信側では周波数分割多重信号を受信してそれぞれの変調された搬送波をそれぞれ同相信号と直交信号に復号した後情報信号を復調する直交周波数分割多重信号伝送方式において、
送信側では、複数の搬送波のうち中心搬送波に対して対称な高域側の正の搬送波と低域側の負の搬送波の組で既知の参照信号を送信すると共に、既知の参照信号を送信する正負の搬送波の組の送信位置を特定の搬送波で伝送するシンボル番号により指定し、かつ、一定期間毎に順次巡回的に変更して送信し、受信側では、受信した周波数分割多重信号からシンボル番号に基づいて参照信号を復号し、この参照信号から正の搬送波の実数部と虚数部、負の搬送波の実数部と虚数部のそれぞれへの漏洩成分をもとに伝送路特性を検出し、検出した伝送路特性から補正式を算出して記憶し、補正式を用いて復号した同相信号と直交信号を補正するようにしたものである。
【0013】
また、本発明の周波数分割多重信号伝送方式では、参照信号を、所定のシンボル単位で交互に切り替えて正負の搬送波の組で伝送される1組目の参照信号と2組目の参照信号とし、正の搬送波で送信された参照信号の実数部と虚数部の値がそれぞれp及びqであり、負の搬送波で送信された参照信号の実数部と虚数部の値がそれぞれr及びuであるときに、受信した正の搬送波の参照信号の実数部と虚数部の値がそれぞれp’及びq’であり、受信した負の搬送波の参照信号の実数部と虚数部の値がそれぞれr’及びu’であるとき、受信側は伝送路特性として次式
【0014】
【数8】
で表される係数S0〜S7を、受信参照信号を既知の参照信号から算出し、補正式として次式
【0015】
【数9】
(ただし、H0=+S0(S6S6+S7S7)-S2(S4S6+S5S7)+S3(S4S7-S5S6)、H1=+S1(S6S6+S7S7)-S3(S4S6+S5S7)-S2(S4S7-S5S6)、H2=+S4(S2S2+S3S3)-S6(S0S2+S1S3)+S7(S0S3-S1S2)、H3=+S5(S2S2+S3S3)-S7(S0S2+S1S3)-S6(S0S3-S1S2)、H4=+S2(S4S4+S5S5)-S0(S4S6+S5S7)-S1(S4S7-S5S6)、H5=+S3(S4S4+S5S5)-S1(S4S6+S5S7)+S0(S4S7-S5S6)、H6=+S6(S0S0+S1S1)-S4(S0S2+S1S3)-S5(S0S3-S1S2)、H7=+S7(S0S0+S1S1)-S5(S0S2+S1S3)+S4(S0S3-S1S2)、det A = S0×H0+S1×H1+S4×H2+S5×H3)
で算出された値を記憶保持し、補正式を用いてそれぞれの正負キャリアの組で次式
【0016】
【数10】
(ただし、上式中、a及びbは前記正の搬送波周波数に割り当てられた補正後の受信データの実数部と虚数部、c及びdは前記負の搬送波周波数に割り当てられた補正後の受信データの実数部と虚数部、a’及びb’は前記正の搬送波周波数の受信データの実数部と虚数部、c’及びd’は前記負の搬送波周波数の受信データの実数部と虚数部)の演算をして補正後の受信データa、b、c及びdを得るようにしたものである。
【0017】
ここで、参照信号は、所定のシンボル単位で交互に切り替えて正負の搬送波の組で伝送される1組目の参照信号と2組目の参照信号とからなり、正負の搬送波の組のうち正の搬送波で伝送する実数部及び虚数部の各値と負の搬送波で伝送する実数部と虚数部のうち、1組目の参照信号は、正の搬送波で伝送する実数部又は虚数部の値のみを所定値とし、かつ、他の値をそれぞれゼロとし、2組目の参照信号は、負の搬送波で伝送する実数部又は虚数部の値のみを所定値とし、かつ、他の値をそれぞれゼロとすることが、伝送路特性の係数算出において計算が容易になり、望ましい。
【0018】
同様に、参照信号は、所定のシンボル単位で交互に切り替えて正負の搬送波の組で伝送される1組目の参照信号と2組目の参照信号とからなり、正負の搬送波の組のうち正の搬送波で伝送する実数部及び虚数部の各値と負の搬送波で伝送する実数部と虚数部のうち、1組目の参照信号は、正の搬送波で伝送する実数部及び虚数部の値をそれぞれ所定値とし、かつ、他の値をそれぞれゼロとし、2組目の参照信号は、負の搬送波で伝送する実数部及び虚数部の値をそれぞれ所定値とし、かつ、他の値をそれぞれゼロとするようにしても、伝送路特性の係数算出において計算が容易になる。
【0019】
また、前記目的達成のため、本発明の直交周波数分割多重信号送信装置は、複素数で表される伝送すべきディジタル情報信号が複数の実数部入力端子と虚数部入力端子にそれぞれ入力されて逆離散的フーリエ変換し、互いに周波数の異なる複数の搬送波でそれぞれ伝送される同相信号と直交信号をシンボル単位で発生する演算部と、伝送すべきディジタル情報信号のシンボル毎に値が変化するシンボル番号を発生して演算部の特定の入力端子に入力するシンボル番号計数回路と、複数の搬送波のうち中心搬送波に対して対称な高域側の正の搬送波で伝送されるディジタル情報信号が入力される演算部の実数部入力端子及び虚数部入力端子と、低域側の負の搬送波で伝送されるディジタル情報信号が入力される演算部の実数部入力端子及び虚数部入力端子の組に参照信号をそれぞれ入力すると共に、参照信号を入力する実数部入力端子及び虚数部入力端子の組を一定時間毎に切り替える参照信号挿入手段と、演算部の出力同相信号及び直交信号を一時記憶する出力バッファと、出力バッファの出力同相信号及び直交信号をそれぞれ直交周波数分割多重信号に変換する変換手段と、直交周波数分割多重信号を送信する送信手段とを有する構成としたものである。
【0020】
更に、前記目的達成のため、本発明の直交周波数分割多重信号受信装置は、互いに周波数の異なる複数の搬送波で伝送すべきディジタル情報信号を伝送すると共に、複数の搬送波のうち中心搬送波に対して対称な高域側の正の搬送波と低域側の負の搬送波の組に既知の参照信号が挿入され、参照信号を送信する正負の搬送波の組を、特定の搬送波で伝送するシンボル番号で指定し、かつ、一定期間毎に順次巡回的に変更してなる直交周波数分割多重信号を受信する受信手段と、受信手段からの受信直交周波数分割多重信号を直交復調して、それぞれ複素数で表される同相信号及び直交信号とシンボル番号及び参照信号を得る復調手段と、復調手段からの前記同相信号及び直交信号とシンボル番号及び参照信号をそれぞれ離散的フーリエ変換してディジタル情報信号を復号すると共に、シンボル番号及び参照信号を復号する復号手段と、復号手段よりの前記シンボル番号から参照信号を復号し、この参照信号から正の搬送波の実数部と虚数部、負の搬送波の実数部と虚数部のそれぞれへの漏洩成分をもとに伝送路特性を検出する検出手段と、検出手段により検出した伝送路特性から補正式を算出して記憶する補正式算出及び保持手段と、記憶された補正式を用いて復号手段からの同相信号及び直交信号の復号信号を補正する補正回路とから構成したものである。
【0021】
直交周波数分割多重信号伝送方式で発生する同相信号(I信号)及び直交信号(Q信号)誤差の発生は送受信装置において、I信号、Q信号間の振幅特性差、位相特性差、直交性誤差が原因となる。送信装置でI信号、Q信号が合成された後から、受信装置でI信号、Q信号が分離されるまでは、誤差は発生しない。また、従来の技術の項でも述べたように、I信号及びQ信号相互間の特性差(誤差)をなくすような補正やI信号Q信号それ自体の特性を規定値にするための補正では一定の制約があり、十分な補正ができない。
【0022】
本発明は上記の点に鑑み、「誤差を発生させない」ための補正を行う従来の周波数分割多重信号伝送方式、送信装置及び受信装置とは異なり、「誤差を許容」して誤差を補正するようにしたものである。すなわち、本発明では、送信側で既知の基準データとして参照信号を周波数分割多重信号中に挿入して送信し、受信側でこの参照信号に基づいて、I信号とQ信号の誤差を示す伝送路特性を検出し、補正式を求めて検出した伝送路特性を補正するようにしたものである。
【0023】
ここで、伝送路特性の係数を16個として4つの参照信号の送受信で伝送路特性を検出するようにしてもよいが、時々刻々と変化する伝送路特性に対する追従速度が遅くなるので、本発明では、複数の搬送波のうちの中心搬送波に対してクロストークの影響のある、互いに対称な、高域側の一の正の搬送波と、低域側の一の負の搬送波を組としてこれらの搬送波で参照信号を伝送する。更に、本発明では参照信号を挿入する正負の搬送波をシンボル番号で指定し、かつ、正負の搬送波の組を一定時間毎に切り替えることにより、すべての搬送波についての伝送路特性をも検出できるようにしたものである。
【0024】
これにより、本発明では、前述したI信号及びQ信号自体の周波数特性を従来と同様に補正できると共に、これに加えて、送信装置のそれぞれの周波数でI信号、Q信号間での相対振幅特性差、送信装置のそれぞれの周波数でI信号、Q信号間での相対位相特性差、送信装置の直交変調器の直交性誤差、受信装置のそれぞれの周波数でI信号、Q信号間での相対振幅特性差、受信装置のそれぞれの周波数でI信号、Q信号間での相対位相特性差、受信装置の直交復調器の直交性誤差などの特性誤差をも補正することができる。
【0025】
また、本発明は、送信側では、伝送すべき情報信号を実数部と虚数部からなる信号としてそれぞれ別々に変調して同相信号と直交信号とを生成し、これらの同相信号と直交信号で互いに周波数の異なる複数の搬送波のうち、中心搬送波に対し高域側の複数の正の搬送波と低域側の複数の負の搬送波を変調し、かつ、周波数分割多重した直交周波数分割多重信号を生成して送信し、受信側では直交周波数分割多重信号を受信してそれぞれの変調された搬送波をそれぞれ同相信号と直交信号に復調した後情報信号を復号する直交周波数分割多重信号伝送方式において、前記送信側では前記複数の搬送波のうち所定の搬送波で既知の参照信号を送信し、かつ、その所定の搬送波を一定期間毎に順次巡回的に変更して送信し、前記受信側では受信した直交周波数分割多重信号から参照信号を復号し、この参照信号から所定の搬送波の実数部と虚数部の変化成分をもとに伝送路特性を検出し、検出した伝送路特性から第1の補正式を算出し、復号した情報信号を第1の補正式を用いて補正し、この補正後の情報信号に対して所定の信号点配置との差を基に伝送路の高速変化成分を検出し、検出した伝送路の高速変化成分から第2の補正式を算出し、第2の補正式を用いて補正後の情報信号を更に補正し、その際に、前記第1の補正式及び第2の補正式の少なくとも一方の補正式あるいは両者を合成した補正式を構成する各係数に対して、前記それぞれの変調された搬送波を周波数順に整列し、周波数軸上で低域フィルタを挿入したフィルタ処理を行うようにした。
また、送信側では、伝送すべき情報信号を実数部と虚数部からなる信号としてそれぞれ別々に変調して同相信号と直交信号とを生成し、これらの同相信号と直交信号で互いに周波数の異なる複数の搬送波のうち、中心搬送波に対し高域側の複数の正の搬送波と低域側の複数の負の搬送波を変調し、かつ、周波数分割多重した直交周波数分割多重信号を生成して送信し、受信側では前記直交周波数分割多重信号を受信してそれぞれの変調された搬送波をそれぞれ同相信号と直交信号に復調した後情報信号を復号する直交周波数分割多重信号伝送方式において、前記送信側では前記複数の搬送波のうち所定の搬送波で既知の参照信号を送信し、かつ、その所定の搬送波を一定期間毎に順次巡回的に変更して送信し、その際に、前記複数の搬送波のうち中心搬送波に対して対称な高域側の正の搬送波と低域側の負の搬送波の組として、既知の参照信号が含まれるシンボルを連続的に送信し、前記受信側では受信した前記直交周波数分割多重信号から前記参照信号を復号し、この参照信号から前記所定の搬送波の実数部と虚数部の変化成分をもとに伝送路特性を検出し、検出した前記伝送路特性から第1の補正式を算出し、その際に、受信した前記複数の参照信号から前記正の搬送波の実数部と虚数部、前記負の搬送波の実数部と虚数部のそれぞれへの漏洩成分をそれぞれ平均化して、又は前記漏洩成分より検出した複数の伝送路特性に基づいて平均化した前記第1の補正式を算出し、復号した前記情報信号を前記第1の補正式を用いて補正し、この補正後の情報信号に対して所定の信号点配置との差を基に伝送路の高速変化成分を検出し、検出した前記伝送路の高速変化成分から第2の補正式を算出し、前記第2の補正式を用いて前記補正後の情報信号を更に補正するようにした。
さらに、送信側では、伝送すべき情報信号を実数部と虚数部からなる信号としてそれぞれ別々に変調して同相信号と直交信号とを生成し、これらの同相信号と直交信号で互いに周波数の異なる複数の搬送波のうち、中心搬送波に対し高域側の複数の正の搬送波と低域側の複数の負の搬送波を変調し、かつ、周波数分割多重した直交周波数分割多重信号を生成して送信し、受信側では前記直交周波数分割多重信号を受信してそれぞれの変調された搬送波をそれぞれ同相信号と直交信号に復調した後情報信号を復号する直交周波数分割多重信号伝送方式において、前記送信側では前記複数の搬送波のうち所定の搬送波で既知の参照信号を送信し、かつ、その所定の搬送波を一定期間毎に順次巡回的に変更して送信し、前記受信側では受信した前記直交周波数分割多重信号から前記参照信号を復号し、この参照信号から前記所定の搬送波の実数部と虚数部の変化成分をもとに伝送路特性を検出し、検出した前記伝送路特性から第1の補正式を算出し、復号した前記情報信号を前記第1の補正式を用いて補正し、この補正後の情報信号に対して所定の信号点配置との差を基に伝送路の高速変化成分を検出し、検出した前記伝送路の高速変化成分から第2の補正式を 算出し、前記第2の補正式を用いて前記補正後の情報信号を更に補正し、その際に、前記第1の補正式を用いて補正された前記正負の組の搬送波の情報信号を(a”+jb”)、(c”+jd”)とし、送信された前記正負の組の搬送波の情報信号を(a+jb)、(c+jd)としたとき、4行4列で表され、
第1行が K0 K1 0 0
第2行が −K1 K2 0 0
第3行が 0 0 K6 K7
第4行が 0 0 −K7 K6
(ただし、K0=(aa”+bb”)/(a” 2 +b” 2 )、K1=(ab”−a”b)/(a” 2 +b” 2 )、K6=(cc”+dd”)/(c” 2 +d” 2 )、K7=(cd”−c”d)/(c” 2 +d” 2 ))
で表される行列を前記第2の補正式として生成し、次のシンボルで使用するようにした。
そしてまた、送信側では、伝送すべき情報信号を実数部と虚数部からなる信号としてそれぞれ別々に変調して同相信号と直交信号とを生成し、これらの同相信号と直交信号で互いに周波数の異なる複数の搬送波のうち、中心搬送波に対し高域側の複数の正の搬送波と低域側の複数の負の搬送波を変調し、かつ、周波数分割多重した直交周波数分割多重信号を生成して送信し、受信側では前記直交周波数分割多重信号を受信してそれぞれの変調された搬送波をそれぞれ同相信号と直交信号に復調した後情報信号を復号する直交周波数分割多重信号伝送方式において、前記送信側では前記複数の搬送波のうち所定の搬送波で既知の参照信号を送信し、かつ、その所定の搬送波を一定期間毎に順次巡回的に変更して送信し、前記受信側では受信した前記直交周波数分割多重信号から前記参照信号を復号し、この参照信号から前記所定の搬送波の実数部と虚数部の変化成分をもとに伝送路特性を検出し、検出した前記伝送路特性から第1の補正式を算出し、復号した前記情報信号を前記第1の補正式を用いて補正し、この補正後の情報信号に対して所定の信号点配置との差を基に伝送路の高速変化成分を検出し、検出した前記伝送路の高速変化成分から第2の補正式を算出し、前記第2の補正式を用いて前記補正後の情報信号を更に補正し、その際に、前記第2の補正式を、前記第1の補正式を用いて補正された情報信号における誤差信号の絶対値が小さいほど重み付けを大にして生成するようにした。
【0026】
これにより、本発明では、第1の補正式により、受信装置のそれぞれの周波数で、I、Q信号間での相対振幅・位相特性差や受信装置の直交復調器の直交性誤差などの特性誤差と、送信装置のIF、RF波帯信号処理の周波数振幅・位相特性、受信装置のRF、IF波帯信号処理の周波数振幅・位相特性、受信装置のI、Q信号それぞれの周波数振幅・位相特性、緩やかに変化する電波伝搬下における周波数振幅・位相特性、送受信機の直交変復調波の位相などの周波数特性を補正できる。更に加えてこの発明では、第2の補正式を用いた補正により、高速に変化する電波伝搬下における周波数振幅・位相特性を補正できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の各実施の形態について図面を参照して説明する。
【0028】
図1は本発明伝送方式の送信装置である直交周波数分割多重信号送信装置の第1の実施の形態のブロック図を示す。同図において、入力端子1には伝送すべきディジタルデータが入力される。このディジタルデータとしては、例えばカラー動画像符号化方式であるMPEG方式などの符号化方式で圧縮されたディジタル映像信号や音声信号などである。この入力ディジタルデータは、入力回路2に供給されて必要に応じて誤り訂正符号の付与がクロック分周器3よりのクロックに基づいて行われる。クロック分周器3は中間周波数発振器10よりの10.7MHzの中間周波数を分周して、この中間周波数に同期したクロックを発生する。
【0029】
誤り訂正符号が付加されたディジタルデータは入力回路2から演算部4に供給される。この演算部4は本実施例の要部を構成する回路で、入力回路2よりのディジタルデータを逆離散フーリエ変換(IDFT)演算して同相信号(I信号)及び直交信号(Q信号)を生成すると共に、後述するようにシンボル番号計数回路5よりのシンボル番号及び参照信号挿入回路6よりの参照信号もそれぞれ所定の入力端子に供給されてIDFT演算する。
【0030】
演算部4は一例としてデータ系列Nが256本の搬送波で送信されるとき、2倍オーバーサンプリングのIDFT演算をして信号を発生させる。このときの演算部4への入力割り当ては、入力周波数整列型で順番に番号をふると、次のようになる。
【0031】
n=0〜128 搬送波を変調する情報信号が与えられる。
【0032】
n=129〜383 搬送波レベルを0とし、信号を発生させない。
【0033】
n=384〜511 搬送波を変調する情報信号が与えられる。
【0034】
すなわち、演算部4の入力端子数は実数部(R)信号用と虚数部(I)信号用とに、それぞれ0番目から511番目までの512ずつあり、そのうち1番目(n=1)から127番目(n=127)までの計127個ずつと、385番目(n=385)から511番目(n=511)の計127個ずつの入力端子に情報信号が入力され、また、0番目(n=0)の入力端子には直流電圧(一定)が入力され、128番目(n=M/4)と384番目(n=3M/4)の入力端子には例えばパイロット信号のための固定電圧が入力される。
【0035】
演算部4は、このように1番目から127番目の入力端子と385番目から511番目の入力端子に4ビットのR信号及び4ビットのI信号とがそれぞれ入力されると共に、0番目、128番目及び384番目の入力端子に一定電圧が入力され、それ以外の129番目から383番目の入力端子には0が入力されて、2倍オーバーサンプリングIDFT演算を行い、その結果同相信号(I信号)及び直交信号(Q信号)を得た後、I信号とQ信号にそれぞれマルチパス歪みを軽減させるためのガードインターバルを挿入してから、出力バッファ7へ出力する。
【0036】
ここで、1番目から128番目までの計128個の入力端子の入力情報は、0番目の入力端子の入力情報を伝送する中心搬送波周波数F0に対し、上側(高域側)の情報伝送用搬送波(これを本明細書では正のキャリア又は搬送波というものとする)で伝送され、384番目から511番目までの計128個の入力端子の入力情報は、中心搬送波周波数F0に対し下側(低域側)の情報伝送用搬送波(これを本明細書では負のキャリア又は搬送波というものとする)で伝送され、特に128番目と384番目の入力端子の入力パイロット信号はIDFT演算の結果、ナイキスト周波数の1/2倍の周波数と等価である両端の周波数の搬送波で伝送され、残りの129番目から383番目の入力端子には0が入力され(グランド電位とされ)、その部分の搬送波が発生しないようにされる(データ伝送には用いない)。
【0037】
出力バッファ7は、演算部4の出力演算結果が1回のIDFT演算において256個の入力情報が512点の時間軸信号(I信号及びQ信号)として、バースト的に発生されるのに対し、出力バッファ7以降の回路としては、出力バッファ7の内容の読み取り速度一定で連続的に動作するため、両者の時間的違いを調整するために設けられている。
【0038】
図1のクロック分周器3からのクロックに基づいて、出力バッファ7より連続的に読み出されたIDFT演算結果であるI信号とQ信号は、D/A変換器・低域フィルタ(LPF)8に供給され、ここでクロック分周器3からのクロックをサンプリングクロックとしてアナログ信号に変換された後、LPFにより必要な周波数帯域の成分のI信号とQ信号とが通過されて直交変調器9へそれぞれ供給される。
【0039】
直交変調器9は中間周波数発振器10よりの10.7MHzの中間周波数を第1の搬送波とし、かつ、この中間周波数の位相を90°シフタ11により90°シフトした10.7MHz中間周波数を第2の搬送波として、それぞれD/A変換器・LPF8より入力されたディジタルデータのI信号とQ信号で直交振幅変調(QAM)して257波(正負128組の搬送波と中心搬送波一つ)の情報搬送波からなるOFDM信号を生成する。直交変調器9より出力されたOFDM信号は周波数変換器12により所定の送信周波数帯のRF信号に周波数変換された後、送信部13で電力増幅等の送信処理を受けて図示しないアンテナより放射される。
【0040】
図2はこのOFDM信号の周波数スペクトラムの一例を示す。ここで、”−256”と”+256”は演算部4の256番目(n=M/2)の入力端子に入力された信号(ただし、この実施の形態では使用しない)が伝送される正負一組の搬送波周波数で、”−128”は{(3M/4)}番目の入力端子に入力された信号が伝送される負の搬送波周波数で、”+128”は{(M/4)}番目の入力端子に入力された信号が伝送される正の搬送波周波数で、これらは正負一組の搬送波を構成している。
【0041】
上記の送信されたOFDM信号は例えば図3に示す如き構成の周波数分割多重信号受信装置により受信される。この周波数分割多重信号受信装置は後述するように、FFT,QAM復号回路31の構成に特徴がある。図3において、空間伝送路を介して入力されたOFDM信号は、受信部21により受信アンテナを介して受信された後高周波増幅され、更に周波数変換器22により中間周波数に周波数変換され、中間周波増幅器23により増幅された後、後述の構成のキャリア抽出及び直交復調器44に供給される。
【0042】
キャリア抽出及び直交復調器24のキャリア抽出回路部分は、入力OFDM信号の中心搬送波(キャリア)を位相誤差少なくできるだけ正確に抽出する回路である。ここでは、情報を伝送する各搬送波は、シンボル周波数である387Hz毎に隣接配置されてOFDM信号を構成しているため、中心搬送波に隣接する情報伝送用搬送波も中心周波数に対して387Hz離れており、中心搬送波を抽出するためには、387Hzしか離れていない隣接する情報伝送用搬送波の影響を受けないように、選択度の高い回路が必要となる。
【0043】
そこで、キャリア抽出回路部にPLL回路を用いて中心搬送波F0の抽出を行う。ただし、この場合のPLL回路を構成するVCOとしては、可変範囲が隣接する搬送波周波数の約1/2である±200Hz程度で発振する水晶振動子を用いた電圧制御型水晶発振回路(VCXO)を用い、かつ、PLL回路を構成するLPFとして387Hzに対して充分にカットオフ周波数の低いLPFを用いる。
【0044】
キャリア抽出及び直交復調器24により抽出された中心搬送波F0は、中間周波数発振器25に供給され、ここで中心搬送波F0に位相同期した10.7MHzの中間周波数を発生させる。中間周波数発振器25の出力中間周波数は第1の復調用搬送波として直交復調器24に直接に供給される一方、90°シフタ26により位相が90°シフトされてから第2の復調用搬送波としてキャリア抽出及び直交復調器24に供給される。
【0045】
これにより、キャリア抽出及び直交復調器24の直交復調器部からは送信装置の直交変調器9に入力されたアナログ信号と同等のアナログ信号(周波数分割多重信号)が復調されて取り出され、同期信号発生回路27に供給される一方、低域フィルタ(LPF)28によりOFDM信号情報として伝送された必要な周波数帯域の信号が通過されてA/D変換器29に供給されてディジタル信号に変換される。
【0046】
ここで重要なのはA/D変換器29の入力信号に対するサンプリングのタイミングで、これは同期信号発生回路27によりパイロット信号より生成された、ナイキスト周波数の2倍の周波数のサンプル同期信号に基づいて発生される。すなわち、パイロット信号はサンプルクロック周波数に対して所定の整数比に設定されており、周波数比に応じた周波数逓倍を行ってサンプルクロックのタイミングを得る。
【0047】
同期信号発生回路27は、復調アナログ信号が入力され、ガードインターバル期間を含む各シンボル期間で連続信号として伝送されるパイロット信号に位相同期するPLL回路によりサンプル同期信号を発生するサンプル同期信号発生回路部と、サンプル同期信号発生回路部の一部より取り出した信号によりパイロット信号の位相状態を調べ、シンボル期間を検出してシンボル同期信号を発生するシンボル同期信号発生回路部と、これらサンプル同期信号及びシンボル同期信号よりガードインターバル期間除去のための区間信号などのシステムクロックを発生するシステムクロック発生回路部とよりなる。
【0048】
A/D変換器29より取り出されたディジタル信号は、ガードインターバル期間処理回路30に供給され、ここで同期信号発生回路27よりのシステムクロックに基づいて、マルチパス歪の影響が少ない方のシンボル期間信号を得てFFT,QAM復号回路31に供給される。
【0049】
FFT,QAM復号回路31のFFT(高速フーリエ変換)回路部は、同期信号発生回路27よりのシステムクロックにより複素フーリエ演算を行い、ガードインターバル期間処理回路30の出力信号の各周波数毎の実数部、虚数部の各信号レベルを算出する。
【0050】
これにより得られた各周波数毎の実数部、虚数部の各信号レベルは、QAM復号回路部により参照用搬送波の復調出力と比較されることにより、ディジタル情報伝送用搬送波で伝送される量子化されたディジタル信号のレベルが求められ、ディジタル情報が復号される。この復号ディジタル情報信号は、出力回路32により並直列変換などの出力処理が行われて出力端子33へ出力される。
【0051】
上記の図1に示した周波数分割多重信号送信装置と図3に示した周波数分割多重信号受信装置からなる周波数分割多重信号伝送方式は、I信号とQ信号に着目した場合、図4に示す如くに書き改めることができる。
【0052】
図4において、信号処理部41及び42はそれぞれ図1に示したD/A変換器・LPF8及び図1では図示を省略した増幅器等からなる回路部分であり、乗算器43、44及び加算器45は図1に示した直交変調器9を構成する回路部分であり、伝送系回路46は図1に示した周波数変換器12、送信部13、空間伝送路の特性、図3に示した受信部21、帯域フィルタ(図示せず)、周波数変換器22、中間周波増幅器23などからなる伝送路に相当する伝送系の構成部分であり、乗算器47及び48は図3に示したキャリア抽出及び直交復調器24の回路部分であり、信号処理部49及び50は図3に示したLPF28、A/D変換器29からなる回路部分にそれぞれ相当する。
【0053】
ここで、ある搬送波周波数+Wnに割り当てられた複素数(p+jq)と、中心周波数F0に対して搬送波周波数+Wnに対称な負の搬送波周波数−Wnに割り当てられた複素数(r+ju)は、前記演算部4によるIDFT演算によりそれぞれ次式に示す時間軸波形のI信号とQ信号として生成される。
【0054】
I信号=Acos(Wnt+a) (1)
Q信号=Asin(Wnt+a) (2)
I信号=Bcos(−Wnt+b) (3)
Q信号=Bsin(−Wnt+b) (4)
ただし、A=√(p2+q2)、a=tan-1(q/p)、B=√(r2+u2)、b=tan-1(u/r)。
【0055】
(1)式と(2)式はそれぞれ周波数+WnのI信号とQ信号で、(3)式と(4)式はそれぞれ周波数−WnのI信号とQ信号である。(1)式及び(3)式で表されるI信号がそれぞれ図4の信号処理部41に入力されると、振幅変化X1と位相変化c1を受けて、(5)式及び(7)式で表されるI信号とされて取り出される。一方、(2)式及び(4)式で表されるQ信号がそれぞれ図4の信号処理部42に入力されると、ここで振幅変化X2と位相変化c2を受けて(6)式及び(8)式で表されるQ信号とされて取り出される。
【0056】
I信号=X1Acos(+Wnt+a+c1) (5)
Q信号=X2Asin(+Wnt+a+c2) (6)
I信号=X1Bcos(−Wnt+b+c1) (7)
Q信号=X2Bsin(−Wnt+b+c2) (8)
これらのI信号、Q信号はそれぞれ直交変調器9を構成する乗算器43、44で乗算されて次式で表されるI信号、Q信号とされる。ここで、直交性の誤差をc4とし、変調波をI信号ではX3cos(W0t+c3+c4)、Q信号では−X4sin(W0t+c3)とする。これにより、乗算器43からは次式の+Wnから生成されるI信号、−Wnから生成されるI信号が出力される。
【0057】
となる。同様に、乗算器44からは次式で表される+Wnから生成されるQ信号、−Wnから生成されるQ信号が出力される。
【0058】
これらのI信号及びQ信号は加算器45により合成される。この合成された信号を、(W0+Wn)成分と(W0−Wn)成分に分けると、次式で表される。ただし、振幅変化、位相変化がある場合、振幅変化をI信号ではX1(又はX3)、Q信号ではX2(又はX4)に、位相変化をI信号ではc3+c4、Q信号ではc3に含める。
次に、伝送系回路46をI信号、Q信号が伝送されることにより、マルチパス環境下での影響をも含めて伝送系の影響を受ける。この間の周波数+Wn、−Wnに対応する周波数の特性変化を振幅変化をまとめて+Wn側ではY1、−Wn側ではY2とし、位相変化をまとめて+Wn側ではd1、−Wn側ではd2とすると、(W0+Wn)成分と、(W0−Wn)成分はそれぞれ次式で表される。
次に、I信号、Q信号は乗算器47及び48により直交復調される。このときの直交性の誤差をg4とし、復調用搬送波をI信号では2Z3cos(W0t+g3+g4)、Q信号では−2Z4sin(W0t+g3)とすると、(W0+Wn)成分から生成される+Wn成分は(13)式及び(14)式で示す如くになる(ただし、高調波成分は省略)。
【0059】
同様に、(W0−Wn)成分から生成される−Wn成分は(15)式及び(16)式で示す如くになる(ただし、高調波成分は省略)。
【0060】
最後に、直交復調器より出力されたI信号は信号処理部49により振幅変化Z1、位相変化g1を受けて復調信号I’として出力され、またQ信号は信号処理部50により振幅変化Z2、位相変化g2を受けて、復調信号Q’として出力される。これにより、正の搬送波周波数+Wnで伝送されて受信復調された信号I’及びQ’の場合は、(17)式及び(18)式に、また、負の搬送波周波数−Wnで伝送されて受信復調された信号I’及びQ’の場合は、(19)式及び(20)式に示される。
【0061】
これらのI’信号、Q’信号は次にDFT演算が行われ、搬送波周波数+Wnと−Wnの成分が複素数として求められる。この操作は、(17)式〜(20)式を指数関数で表示したとき、ej(+Wnt)とe-j(+Wnt)の回転ベクトルについての大きさと位相の合成を求めることを意味する。(17)式、(19)式を実数部、(18)式、(20)式を虚数部として指数関数で表現し整理すると、下の2式が求められる。ただし、X’=X1X3,X=X2X4,Z’=Z1Z3,Z=Z2Z4,Y’=Y1,Y=Y2とした。
【0062】
+Wn成分、−Wn成分ともに、16個のベクトルの合成で大きさと位相を表示する。上側の+Wn成分の式はA’ej(+Wnt+a')を示し、下側の−Wn成分の式はB’ej(-Wnt+b')を示しており、それぞれp’+jq’、r’+ju’を意味することは明らかである。
【0063】
これらの式を再度複素数で表現し、新たにS0〜S7の係数を導入して整理すると、DFT演算後の結果として、
の関係が求まる。すなわち、
【0064】
【数11】
である。
【0065】
これから、S0は、正キャリアの実数部が、正キャリアの実数部へ伝達する率を示しており、正キャリアの虚数部が、正キャリアの虚数部へ伝達する率を示している。S1は、正キャリアの実数部が、正キャリアの虚数部へ漏洩する率を示しており、正キャリアの虚数部が、正キャリアの実数部へ漏洩する率を示している。S2は、負キャリアの実数部が、正キャリアの実数部へ漏洩する率を示しており、負キャリアの虚数部が、正キャリアの虚数部へ漏洩する率を示している。
【0066】
S3は、負キャリアの実数部が、正キャリアの虚数部へ漏洩する率を示しており、負キャリアの虚数部が、正キャリアの実数部へ漏洩する率を示している。S4は、正キャリアの実数部が、負キャリアの実数部へ漏洩する率を示しており、正キャリアの虚数部が、負キャリアの虚数部へ漏洩する率を示している。
S5は、正キャリアの実数部が、負キャリアの虚数部へ漏洩する率を示しており、正キャリアの虚数部が、負キャリアの実数部へ漏洩する率を示している。S6は、負キャリアの実数部が、負キャリアの実数部へ伝達する率を示しており、負キャリアの虚数部が、負キャリアの虚数部へ伝達する率を示している。S7は、負キャリアの実数部が、負キャリアの虚数部へ漏洩する率を示しており、負キャリアの虚数部が、負キャリアの実数部へ漏洩する率を示している。ここで、率の−,+の説明は省略した。
【0067】
すなわち、上記の係数S0〜S7はI信号、Q信号の伝送路の特性を示しており、これらの係数S0〜S7を算出することにより、伝送路の特性を検出できることになる。また、(23)式の逆行列を求めることにより、受信データを補正し、送信データを推定することができる。
【0068】
そこで、本発明の実施の形態では、図1の送信装置において、シンボル番号計数回路5はシンボル毎に、0,1,2,3,...,254,255,0,1,2...というように順次巡回的に増加していくシンボル番号を発生し、このシンボル番号を参照信号挿入回路6に供給すると共に、演算部4に供給して特定キャリア(例えば第1キャリア)にシンボル番号を挿入する。
【0069】
また、参照信号挿入回路6は、ある搬送波周波数+Wnで伝送されるデータに既知の基準データとして参照信号を挿入すると共に、直交性の誤差によりイメージ成分あるいはクロストークとして漏洩する可能性のある、中心搬送波周波数F0に対して対称な負の搬送波周波数−Wnで伝送されるデータにも既知の参照信号(基準データ)を挿入する。この参照信号を挿入して伝送する搬送波周波数は、予めシンボル番号に対応付けて決められており、かつ、一定時間毎に切り替えられる。各周波数でそれぞれ伝送特性が異なる場合が多いからである。
【0070】
一例として、2種類の参照信号をシンボル番号によって指定された当該搬送波(キャリア)に挿入する。すなわち、偶数シンボルで(24a)式、奇数シンボルでは(24b)式で表される行列式の参照信号を挿入する。
【0071】
【数12】
また、上記の参照信号を挿入する搬送波周波数は中心搬送波周波数F0に対して対称な正負の搬送波周波数を組として、ここでは上記のように2シンボル毎に切り替えるようにしているため、図2と共に説明したように、256シンボルですべての正負128組の搬送波周波数で伝送される。つまり、任意の一搬送波周波数は256シンボル周期で参照信号を伝送する。
【0072】
一方、図3に示した周波数分割多重信号受信装置においては、FFT,QAM復号回路31を図5のブロック図に示す如き構成として、補正された伝送信号R’及びI’を得る。すなわち、図5において、図4の信号処理部49、50より取り出された受信I信号I’、受信Q信号Q’は、それぞれ図5のFFTシンボル番号復号回路311に供給され、ここでFFT演算されてまずシンボル番号が復号され、次にシンボル番号に対応した正負キャリアの受信値(受信参照信号)が求められる。
【0073】
受信参照信号の組は偶数シンボルではp1S'、q1S'、r1S'、u1S'で、奇数シンボルではp2S'、q2S'、r2S'、u2S'である。これらのシンボル番号及び受信参照信号は、伝送路特性検出回路312に供給される。また、FFTシンボル番号復号回路311は、送信装置においてIDFT演算して得られたI信号及びQ信号をFFT演算して、I信号及びQ信号の変調信号出力R′信号及びI′信号も得る。この受信参照信号及びシンボル番号以外の受信伝送情報R′信号及びI′信号は補正回路314へ供給される。
【0074】
伝送路特性検出回路312は入力された受信参照信号を既知の参照信号で次式で示すように除算して、前記係数S0〜S7を算出する。
【0075】
【数13】
上式は、(24a)式、(24b)式を(23)式に代入して整理した行列式である。未知数が8個であるので、2種類の参照信号の送受により、係数S0〜S7を求めることができる。当然、参照信号が送信装置及び受信装置において既知であるので、係数S0〜S7が求まるような値であれば、(24a)式、(24b)式の値に限定されるものではない。このようにして、伝送路の特性が上記の係数S0〜S7より検出することができる。
【0076】
また、(23)式の逆行列を求めることにより、受信データを補正し送信データを推定することができる。ここで、(23)式の逆行列は次式で表される。
【0077】
【数14】
ただし、上式中H0〜H7及びdet Aは次式で表される。
【0078】
H0 = +S0(S6S6+S7S7)-S2(S4S6+S5S7)+S3(S4S7-S5S6)
H1 = +S1(S6S6+S7S7)-S3(S4S6+S5S7)-S2(S4S7-S5S6)
H2 = +S4(S2S2+S3S3)-S6(S0S2+S1S3)+S7(S0S3-S1S2)
H3 = +S5(S2S2+S3S3)-S7(S0S2+S1S3)-S6(S0S3-S1S2)
H4 = +S2(S4S4+S5S5)-S0(S4S6+S5S7)-S1(S4S7-S5S6)
H5 = +S3(S4S4+S5S5)-S1(S4S6+S5S7)+S0(S4S7-S5S6)
H6 = +S6(S0S0+S1S1)-S4(S0S2+S1S3)-S5(S0S3-S1S2)
H7 = +S7(S0S0+S1S1)-S5(S0S2+S1S3)+S4(S0S3-S1S2)
det A = S0×H0+S1×H1+S4×H2+S5×H3
そこで、補正式導出保持回路313は、入力された係数S0〜S7から上式に基づいてdet AとH0〜H7を算出して、更にこれらの算出値から(26)式中の逆行列のうち次式の補正式の値を算出して記憶保持する。
【0079】
【数15】
このようにして、該当正負搬送波での補正式が用意される。該当正負搬送波はシンボル番号によって決定される。当然、各搬送波毎に補正式があり、この実施の形態のように257本のキャリアを使用する場合は、約128個の補正式が順次算出保持される。また、係数S0〜S7は時々刻々と変化しているので、補正式も時々刻々と更新される。
【0080】
補正回路314はFFTシンボル番号復号回路311よりの受信情報を、補正式導出保持回路313により導出されて保持されている、それぞれの補正式を用いてそれぞれの正負キャリアの組で次式を演算して補正し、これにより補正された伝送情報R’及びI’を出力する。
【0081】
【数16】
ただし、(27)式中、a〜dは(1)式〜(20)式のa〜dとは異なる別の値で、周波数+Wnに割り当てられた受信データ(補正後)の複素数を(a+jb)とし、周波数−Wnに割り当てられた受信データ(補正後)の複素数を(c+jd)としたときの値である。なお、(27)式中、a’〜d’は周波数+Wnに割り当てられた受信データ(補正前)の複素数を(a’+jb’)とし、周波数−Wnに割り当てられた受信データ(補正前)の複素数を(c’+jd’)としたときの値である。
【0082】
なお、FFT,QAM復号回路31におけるFFT演算をディジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)で行う場合は、上記の補正を図6で示すフローチャートで行うこともできる。すなわち、まず、シンボル番号をもとに当該周波数の参照信号を抜き取り(ステップ61)、当該周波数の係数S0〜S7を前記数3の式で算出する(ステップ62)。更に、当該周波数の係数S0〜S7を前記数4及び数5の式に基づいて補正式(逆行列)の算出又は更新を行い(ステップ63)、それぞれの周波数でそれぞれの補正式から受信情報信号R’、I’を数6の式に基づいて補正する(ステップ64)。
【0083】
また、実施の形態では参照信号(基準データ)は(24a)式及び(24b)式に示したように、偶数シンボルでは(1組目として)正の搬送波周波数+Wnで伝送される複素数の実数部のみ所定値pSを設定し、その他をゼロとし、奇数シンボルでは(2組目として)対称な負の搬送波周波数−Wnで伝送される複素数の実数部のみ所定値rSを設定し、その他をゼロとしたが、これに限定されるものではなく、下記の式で表される参照データとしてもよい。
【0084】
【数17】
この場合、伝送路特性検出回路312は入力された受信参照信号を既知の参照信号で次式で示すように除算して、前記係数S0〜S7を算出する。なお、次式でダッシュを付した値は受信値を示す。
【0085】
【数18】
また、1組目として正の搬送波周波数の実数部と虚数部のみ所定値を設定し、負の搬送波周波数の実数部と虚数部をそれぞれゼロとし、2組目として負の搬送波周波数の実数部と虚数部のみ所定値を設定し、正の搬送波周波数の実数部と虚数部を零とした下記の式で表されるデータを参照信号としてもよい。
【0086】
【数19】
この場合、伝送路特性検出回路312は入力された受信参照信号を既知の参照信号で次式で示すように除算して、前記係数S0〜S7を算出する。なお、次式でダッシュを付した値は受信値を示す。
【0087】
【数20】
また、その他の参照信号の例として(X,Y,X,Y)と(Y,X,Y,X)を送信し、次式
p1’=S0×X−S1×Y+S2×X+S3×Y
p2’=S0×Y−S1×X+S2×Y+S3×X
q1’=S1×X+S0×Y+S3×X−S2×Y
q2’=S1×Y+S0×X+S3×Y−S2×X
r1’=S4×X+S5×Y+S6×X−S7×Y
r2’=S4×Y+S5×X+S6×Y−S7×X
u1’=S5×X−S4×Y+S7×X+S6×Y
u2’=S5×Y−S4×X+S7×Y+S6×X
で表される参照信号に対し、次式の方法で補正係数S0〜S7を求めることもできる。
【0088】
S0=(p1’X−p2’Y−q1’Y+q2’X)/(2(X2−Y2))
S1=(p1’Y−p2’X+q1’X−q2’Y)/(2(X2−Y2))
S2=(p1’X−p2’Y+q1’Y−q2’X)/(2(X2−Y2))
S3=−(p1’Y−p2’X−q1’X+q2’Y)/(2(X2−Y2))
S4=(r1’X−r2’Y+u1’Y−u2’X)/(2(X2−Y2))
S5=−(r1’Y−r2’X−u1’X+u2’Y)/(2(X2−Y2))
S6=(r1’X−r2’Y−u1’Y+u2’X)/(2(X2−Y2))
S7=(r1’Y−r2’X+u1’X−u2’Y/(2(X2−Y2))
ところで、上記の第1の実施の形態では、参照信号を定期的に送信し、それによって受信系を補正するようにしたため、次の新たな参照信号を受信して新たな補正式を算出するまでの期間は、以前の参照信号を基準にした補正式で補正しているため、その間の特性(環境)変化分は緩やかな場合に適している。しかし、移動体通信、あるいは高速に変化するマルチパス環境に対しては十分な補正ができないこともあり得る。そこで、次に説明する第2の実施の形態は、このような高速に変化する特性(環境)変化にも対応できるようにしたものである。
【0089】
図7は本発明伝送方式の送信側の直交周波数分割多重信号送信装置の第2の実施の形態のブロック図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図7において、出力バッファ7より連続的に読み出されたIDFT演算結果であるI信号とQ信号は、ディジタル直交変調器15に供給され、中間周波数発振器16よりの42.8MHzの中間周波数を搬送波としてディジタル直交振幅変調(QAM)され、257波の情報搬送波からなるディジタルOFDM信号に変換される。
【0090】
このディジタルOFDM信号は、D/A変換器・帯域フィルタ(BPF)17によりアナログ信号に変換され、かつ、必要な帯域成分のみが濾波され、周波数変換器12及び送信部13をそれぞれ通して図示しないアンテナより放射される。この送信OFDM信号の周波数スペクトラムは、図2と同様となる。ただし、後述するようにシンボル番号計数回路14により演算部4に挿入されるシンボル番号は9ビットとされている。
【0091】
上記の送信OFDM信号は、図3と同様のブロック構成の周波数分割多重信号受信装置により受信され復調される。この周波数分割多重信号受信装置は、後述するように、FFT,QAM復号回路31の構成に特徴がある。これら図7の周波数分割多重信号送信装置と図3に示した周波数分割多重信号受信装置からなる周波数分割多重信号伝送方式は、I信号とQ信号に着目した場合、図8に示す如くに書き改めることができる。
【0092】
図8において、ディジタル直交変調器15は図7に示したディジタル直交変調器15であり、信号処理部72はD/A変換器・BPF17及び図7では図示を省略した増幅器等からなる回路部分であり、伝送系回路73は図7に示した周波数変換器12、送信部13、空間伝送路の特性、図3に示した受信部21、帯域フィルタ(図示せず)、周波数変換器22、中間周波増幅器23などからなる伝送路に相当する伝送系の構成部分であり、乗算器74及び75は図3に示したキャリア抽出及び直交復調器24の回路部分であり、信号処理部76及び77は図3に示したLPF28、A/D変換器29からなる回路部分にそれぞれ相当する。
【0093】
ここで、前記(1)式及び(3)式で表されるI信号と前記(2)式及び(4)式で表されるQ信号がそれぞれディジタル直交変調器15によりディジタル直交変調されてOFDM信号とされた後、図8の信号処理部72に入力されて、振幅変化Xと位相変化cを受け、更に伝送系回路73で振幅変化と位相変化を受ける。ここで、伝送系回路73におけるOFDM信号の搬送波周波数+Wn、−Wnの振幅変化をまとめて+Wn側ではY’、−Wn側ではYとし、位相変化をまとめて+Wn側ではd1、−Wn側ではd2とする。ここでは、ディジタル直交変調器14を用い送信系の誤差を無視している。
【0094】
伝送系回路73を経たOFDM信号は、乗算器74、75によりそれぞれ直交復調される。このときの直交性の誤差をg4とし、復調用搬送波をI信号では2cos(W0t+g3+g4)、Q信号では−2sin(W0t+g3)とする。直交復調器24で直交復調されたI信号は信号処理部76で振幅変化Z’、位相変化g1を受けて復調信号I’として出力される。また、直交復調器24で直交復調されたQ信号は信号処理部77で振幅変化Z、位相変化g2を受けて復調信号Q’として出力される。
【0095】
これらのI’信号、Q’信号は次にDFT演算が行われ、搬送波周波数+Wnと−Wnの成分が複素数として求められる。これにより、次式が得られる。
【0096】
ただし、(31)式及び(32)式中、A’=√(p’2+q’2)、a’=tan-1(q’/p’)、B’=√(r’2+u’2)、b’=tan-1(u’/r’)である。また、正の搬送波で送信された参照信号の実数部と虚数部の値がそれぞれp及びqであり、中心搬送波に対して正の搬送波と対称な負の搬送波で送信された参照信号の実数部と虚数部の値がそれぞれr及びuであるときに、受信した正の搬送波の参照信号の実数部と虚数部の値がそれぞれp’及びq’であり、受信した負の搬送波の参照信号の実数部と虚数部の値がそれぞれr’及びu’である。また、c3、g3は送受信機の変復調波の位相、g4は受信側の直交復調器24の誤差である。
【097】
(31)式、(32)式は新たに前記係数S0〜S7を導入して整理すると、DFT演算後の結果として、前記(21)式、(22)式の関係が求まり、(23)式で示した行列式が得られる。
【098】
ここで、この実施の形態では、移動によって高速に変化する特性(マルチパス環境特性)に対する応答速度を高速にする。その特性変化は、Y’、Y、d1、d2に現われる。それぞれの変化をMY’、NY、d1+d3、d2+d4とする。これにより、(31)式、(32)式はそれぞれ次式のようになる。
【099】
ここで、新たに、Mejd3=V1+jV2、Me-jd3=V1−jV2、Nejd4=V3+jV4、Ne-jd4=V3−jV4とおくと、前記(23)式で示した行列式は次のように表される。
【0100】
【数21】
よって、従来の参照信号による補正式はそのままで、これとは分離した、新たな補正式を取り出すことができる。また、(35)式は参照信号について説明しているが、これは伝送される通常の情報信号にも当てはまるため、(35)式は次式のように表すことができる。
【0101】
【数22】
ただし、(35)式中a及びbは前記正の搬送波周波数に割り当てられた送信データの実数部と虚数部、c及びdは前記負の搬送波周波数に割り当てられた送信データの実数部と虚数部、a’及びb’は前記正の搬送波周波数の受信データの実数部と虚数部、c’及びd’は前記負の搬送波周波数の受信データの実数部と虚数部)である。
【0102】
(35)式中の伝送路特性を示すS行列と、S行列の逆行列である(36)式中のH行列は、第1の実施の形態と同様にして求めることができる。一方、(35)式中の高速変化特性を示すV行列の逆行列である、(36)式中のK行列は次式により表現できる。
【0103】
【数23】
このK行列は(37)式よりわかるように、0の要素が多いから前記H行列を求める場合よりも非常に計算量が少なくても済む。このK行列はシンボル毎にすべての周波数でそれぞれ更新するため、あまり多くの計算量になっては実現できないが、(37)式によれば実現可能である。また、K行列は正負の周波数の組ではなく、各周波数毎に独立であることが分かる。
【0104】
処理手段としては、H行列は第1の実施の形態と同様にして参照信号の受信毎に更新する。H行列の更新時点では、K行列は単位行列とする。その後、H行列で補正した第1の補正情報について、希望する信号点配置との差、つまり振幅、位相の高速変化分をシンボル毎に検出し、それを基にK行列を周波数毎にシンボル毎に更新する。更新したK行列は、次のシンボルで使用する。
【0105】
次に、シンボル毎の流れで詳細に説明するに、あるシンボルnで所定の周波数に参照信号が到来したとする。この時点でH行列が更新される。K行列は単位行列にする。H行列は第1の実施の形態と同様の方法で求め、補正式は次式により得る。
【0106】
【数24】
次に受信入力されるシンボルn+1に対しては、次式により補正を行う。
【0107】
【数25】
この(39)式により補正された信号<a>、<b>、<c>及び<d>から復号データを生成する。ここで、高速な特性変化が無いときには(伝送路特性が同一)
【0108】
【数26】
となり、完全な送信信号a、b、c及びdが補正復号される。
【0109】
しかしながら、移動体通信などを考慮した場合は、特性変化が現れる。この特性変化は次式により表現できる。
【0110】
【数27】
と求めることができる。ここで、(41)式の左辺は、送信情報信号a、b、c、dに高速変化成分である誤差δp、δq、δr、δuをそれぞれ加算した信号に相当し、かつ、これは、第1の補正式により補正された情報信号a”、b”、c”、d”に相当することを意味している。なお、(43)式中、K0、K1、K6及びK7は次式で表される。
【0111】
K0=(aa”+bb”)/(a”2+b”2) (44a)
K1=(ab”−a”b)/(a”2+b”2) (44b)
K6=(cc”+dd”)/(c”2+d”2) (44c)
K7=(cd”−c”d)/(c”2+d”2) (44d)
(43)式のK行列は、次のシンボルn+2で使用する。シンボルn+2では、次式に基づいて補正を実施し、次式により求められる<a>、<b>、<c>及び<d>から復号データを生成する。
【0112】
【数28】
そして、(45)式のa”、b”、c”及びd”に基づいて新たなK行列を前記(42)式及び(43)式と同様の式により算出する。これにより得られた新たなK行列は、次のシンボルn+3で使用する。
【0113】
シンボルn+3では、(45)式と同様の式により補正を実施し、これにより得られた補正信号<a>、<b>、<c>及び<d>から復号データを生成する。なお、このシンボルn+3においては、(45)式中のK行列がシンボルn+2で求められたK行列である点が異なるだけで、他は(45)式と同様の式により補正信号<a>、<b>、<c>及び<d>を算出できる。
【0114】
これ以降の各シンボルも上記と同様にして、前のシンボルで求めたK行列を用いて(45)式と同様の式により、補正信号<a>、<b>、<c>及び<d>を算出し、これにより算出された補正信号<a>、<b>、<c>及び<d>から復号データを生成すると共に、次のシンボルのためにa”、b”、c”及びd”に基づいて新たなK行列を前記(42)式及び(43)式と同様の式により算出する。なお、上記の(35)式〜(45)式において、送信信号a、b、c及びdや、受信信号a’、b’、c’及びd’などは異なる数値であることは勿論である。
【0115】
上記の説明では次の参照信号が到来するまでは、H行列は変更しないで、シンボル毎に受信情報信号からK行列を更新する方法を説明したが、他の方法として、K行列とH行列を合成してこれを次式のように新たなH行列と次々と置き換えていってもよい。
【0116】
【数29】
この場合、あるシンボルでの補正を
【0117】
【数30】
からK行列を求め、再び新しいH行列を(46)式と同様にして生成する(この場合、古いH行列は(47)式のH行列である)。新しいH行列は次のシンボルで使用する。
【0118】
次に、上記の方法による、より具体的な処理例について説明する。図7の送信装置において、第1の実施の形態と同様に、特定の搬送波にシンボル番号を挿入すると共に、シンボル番号に対応した正負の他の搬送波に基地の参照信号(基準データ)を挿入する。具体的には、図7のシンボル番号計数回路14は、9ビットで表現され、0,1,2,3,...,511,0,1,2,..というように、シンボル周期毎に順次巡回的に変化するシンボル番号を計数出力する。
【0119】
ここで、シンボル番号の正確な復号は重要なので、専用の基準データ(参照信号)を用意すると共に、他の搬送波で使用する多値QAM(256QAM)より、多値数の少ない多値変調をする。具体的には、シンボル番号を表現する上記の9ビットのうち、9、8、3、2ビット目の4ビットを16QAMで送受する。受信側では、この4ビットからのシンボル番号を9ビットに直す。シンボル番号は順次1ずつ増加する数列なので、この復号は容易である。
【0120】
図7において、シンボル番号計数回路14から出力された9ビットのうち、9、8、3、2ビット目の4ビットが演算部4に入力され、ここで特定の搬送波、例えば第1キャリアで伝送されるようにIDFT演算される。また、参照信号挿入回路6はシンボル番号計数回路14から出力された9ビットのシンボル番号を受け、そのうちの上位7ビットに基づいて得た参照信号を演算部4に入力し、特定の搬送波、例えば第m1キャリアで伝送されるようにIDFT演算させる。シンボル番号の下位の2ビットは無視されるため、4シンボルの間は同じ値の参照信号が挿入される。
【0121】
また、9ビットのシンボル番号の最下位ビットに基づき、参照信号挿入回路6は奇数シンボルと偶数シンボルに分けて、次の2種類の参照信号を挿入する。
【0122】
【数31】
(49a)式で表される行列式の参照信号は偶数シンボルに、(49b)式で表される行列式の参照信号は奇数シンボルに挿入する。ここで、Xは既知の参照信号値である。また、上記の参照信号を挿入する搬送波周波数は中心搬送波周波数F0に対して対称な正負の搬送波周波数を組として伝送される。
【0123】
一方、周波数分割多重信号受信装置は、この実施の形態では図3とほぼ同様の構成であるが、図3に31で示したFFT,QAM復号回路を図9のブロック図に31’で示す構成として、補正された伝送信号R及びIを得る。図9中、図5と同一構成部分には同一符号を付してある。図9において、図8の信号処理部76、77より取り出された受信I信号I’、受信Q信号Q’はFFTシンボル番号復号回路311に供給されて、まずシンボル番号が復号された後、次にシンボル番号に対応した正負キャリアの組の受信参照信号値が求められる。
【0124】
なお、この実施の形態では、シンボル番号は前記所定の4ビットが16QAMされているため、これを他の伝送情報よりもエラーレート良好に復号できると共に、9ビットで表される0〜511までのシンボル番号を確実に復号でき、送信情報用参照信号の挿入搬送波の特定が各シンボル毎に確実にできる。
【0125】
この受信参照信号値は0回目のシンボル(偶数シンボル)では、p0s’、q0s
’、r0s’、u0s’で、1回目のシンボル(奇数シンボル)では、p1s’、q1s
’、r1s’、u1s’で、2回目のシンボル(偶数シンボル)では、p2s’、q2s
’、r2s’、u2s’で、3回目のシンボル(奇数シンボル)では、p3s’、q3s
’、r3s’、u3s’であるものとする。
【0126】
図9の伝送路特性検出回路312は前記(23)式と(49a)式及び(49b)式に基づいて0回目のシンボルと1回目のシンボルによって次式で表される伝送路特性を表す係数S0〜S7を算出する。
【0127】
2回目のシンボルと3回目のシンボルも同様にして係数S0〜S7が求まる。その後これらの係数S0〜S7をそれぞれ平均してホワイトノイズを除去する。この実施の形態では、4シンボル間の平均が得られる。
【0128】
係数はS0〜S7の8個であるので、2種類の参照信号の送受により求めることができる。当然、参照信号が受信装置において既知であるので、係数が求まるような値であればどのような参照信号でもよい。このようにして伝送路特性検出回路312は伝送路特性係数S0〜S7を検出し、これをシンボル番号とともに第1の補正式導出保持回路313に供給する。
【0129】
第1の補正式導出保持回路313は第1の実施の形態と同様の動作を行う。すなわち、係数S0〜S7から前記det AとH0〜H7を算出し、更にこれらの算出値から前記数14に示した行列で表される第1の補正式の値を算出してこれを記憶保持する。ここでは、257搬送波を用いているので、約128個の第1の補正式が順次生成され、時々刻々と更新される。第1の補正式は4シンボルで一つの該当正負キャリアについて平均化して求めているので、次に同一正負キャリアの平均補正式の更新がなされる間隔は、512シンボル後である(4シンボル×128組=512シンボル)。
【0130】
なお、上記のように伝送路特性を検出した後、逆行列の計算を行う代わりに、他の方法として前記(26)式から直接に数14に示した補正式を算出してもよい。
【0131】
第1の補正回路314は、FFTシンボル番号復号回路311よりの受信情報を、第1の補正式導出保持回路313により導出されて保持されている第1の補正式を用いて第1の実施の形態と同様に、(27)式に相当する次式の演算を行い、補正された信号を出力する。
【0132】
【数32】
ただし、(51)式中、a”及びb”は前記正の搬送波周波数に割り当てられた補正後の受信データの実数部と虚数部、c”及びd”は前記負の搬送波周波数に割り当てられた補正後の受信データの実数部と虚数部、a’及びb’は前記正の搬送波周波数の受信データの実数部と虚数部、c’及びd’は前記負の搬送波周波数の受信データの実数部と虚数部である。
【0133】
このようにして、第1の実施の形態と同様にして受信信号は補正され、第1の補正回路314から補正された伝送情報R”(a”、c”)、I”(b”、d”)として出力され、第2の補正回路316及び第2の補正式導出保持回路315にそれぞれ供給される。また、第1の補正式導出保持回路313からシンボル番号が第2の補正式導出保持回路315に供給される。
【0134】
第2の補正回路316は参照信号を受信した次のシンボルでは単位行列であるK行列を、その他のシンボルでは一つ前のシンボルで生成されたK行列を使用して、次式
【0135】
【数33】
に基づいて入力信号a”、b”、c”及びd”を更に補正(第2の補正)して<a>、<b>、<c>及び<d>とし、これに基づいて復号データa、b、c及びdを生成し図3の出力回路32へ出力する。
【0136】
第2の補正式導出保持回路315は、第1の補正回路314から入力される補正された信号a”、b”、c”及びd”と、第1の補正式導出保持回路313から入力されるシンボル番号と、第2の補正回路316から入力される復号されたデータa、b、c及びdとに基づいて、前記(43)式に基づいてK行列を生成し、これを第2の補正式として保持する。このK行列は受信搬送波周波数毎に生成し、かつ、次のシンボルで使用する。
【0137】
このようにして、第2の補正回路316からは、第1の補正式を用いた第一段階の補正により経時変化や温度変化等の比較的緩やかに変化する誤差と特性が補正され、また、既知の参照信号を使用することにより、正確な補正がされ、続いて第2の補正式を用いた第二段階の補正により移動体通信などで発生するマルチパス環境等の比較的高速に変化する特性を補正の対象とし、シンボル毎に最適化が図られた、復号データa、b、c及びd(実数部データR及び虚数部データI)が出力される。
【0138】
次に、具体的な数値例を用いて第2の補正式を用いた補正方法の動作を説明する。H行列については、簡略に表現して説明を省き、K行列の動作を詳細に説明する。また、H行列が正負キャリアの組で補正されるため、K行列も組で表現していたが、K行列は正負のキャリアで独立なので、一方のみの説明で十分なので、ここではある一方の周波数のみに着目して説明する。
【0139】
まず、あるシンボルnで、所定の参照信号値(実数部、虚数部)として(7.5、7.5)が送信され、受信装置ではこの参照信号を(6.25、6.25)なる値で受信したとする。ここでは、簡略してH行列は次式で表される。
【0140】
【数34】
すなわち、伝送系に誤差を含まず、位相特性の変化が無く、振幅特性は6.25/7.5倍された状態を示す。
【0141】
第1の補正式による第一段階の補正ではこのH行列を用いて補正し、以降新たな参照信号が到来するまで、変更しない。(53)式は第1の補正式導出保持回路313が保持する第1の補正式である。この時点でK行列は
【0142】
【数35】
とする。これは第2の補正式導出保持回路315が保持する第2の補正式である。
【0143】
次のシンボルn+1では、受信した伝送情報が次式であったものとする。
【0144】
【数36】
従って、第2の補正回路316は受信したデータは(7.5、6.5)で送信されたデータであるものと判定し、図3に示した出力回路32に実数部データ、虚数部の復号データの組(R,I)として(7、6)を受信データとして渡す。なお、0.5についてはQAMの復号を簡単にするために加えているバイアス値であり、従来より知られた方法である。
【0145】
最後に、第2の補正式導出保持回路315は前記(43)式、(44)式に基づき新たなK行列を計算して、これを次のシンボルn+2のための第2の補正式として導出して保持する。この新たに計算されたK行列は次式で表される。
【0146】
【数37】
このK行列はシンボルnの送信時からシンボルn+1の送信時までの間の伝送経路で発生した振幅特性と位相特性の変化分を表している。
【0147】
次のシンボルn+2では、受信した伝送情報が次式であったものとする。
【0148】
【数38】
従って、第2の補正回路316は受信したデータは(7.5、2.5)で送信されたデータであるものと判定し、図3に示した出力回路32に実数部データ、虚数部の復号データの組(R,I)として(7、2)を受信データとして渡す。ここで第1の補正式による第一段階の補正のみであったとすると、受信したデータは(6.5、2.5)で送信されたデータであるものと判定するため、出力回路32に復号データの組(R,I)として(6、2)を受信データとして渡すことになるが、これに比べて本実施の形態の方がより信頼性のある復号データを得ることができる。
【0149】
最後に、第2の補正式導出保持回路315は前記(43)式、(44)式に基づき新たなK行列を計算して、これを次のシンボルn+3のための第2の補正式として導出して保持する。この新たに計算されたK行列は次式で表される。
【0150】
【数39】
このK行列はシンボルnの送信時とシンボルn+2の送信時までの、相互間で発生した振幅特性と位相特性の変化分を表している。以下、上記と同様の動作が繰り返される。
【0151】
次に、この第2の実施の形態の各変形例について説明する。
【0152】
(変形例1)
参照信号を挿入する周波数は1組に限定しなくてもよく、数組に挿入してもよい。上記の第2の実施の形態の説明では、参照信号を複数シンボル間で同じ周波数に割当てて、求めた係数S0〜S7の平均化を行い、すなわち、ガウスノイズを除去した伝送路系を検出して、第一の補正式を利用した。
【0153】
第二の補正式も平均化し、ガウスノイズの除去を行うことができる。ここでは、K行列を5シンボルにわたって平均する方法について述べる。
【0154】
シンボルnにおいて、参照信号の送受が行われたとする。
初期値として、K01=1、K02=1、K03=1、K04=1、K05=1、K11=0、K12=0、K13=0、K14=0、K15=0とおく。そして、
K0=(K01+K02+K03+K04+K05)/5
K1=(K11+K12+K13+K14+K15)/5 (56)
とおく。シンボルn+1では、(56)式で第二の平均補正を行う。また、新たなK行列を求める方法は既述の通りである。ここで求めた係数をK00、K10とおく。次に、K0mをK0m+1に、K1mをK1m+1に置き換えて、(56)式により平均化した第2の補正式(平均したK行列)を生成してゆく(ただし、m=0、1、2、3、4の各値)。
【0155】
このような処理の繰り返しにより、最新の5シンボル間の係数を保持し、平均して使用する。この平均化処理は、第2の補正式導出保持回路315で実施する。
【0156】
(変形例2)
(43)、(44a)〜(44d)及び(52)式でK行列を求める際に、a”〜d”における誤差信号(つまり、信号a”の場合は信号aと信号a”との差、他の信号b”〜d”も同様)において、所定の上限値と下限値を設定し、それ以上あるいはそれ以下の場合は、K行列を所定値で代替えをする。具体的には、実数部、或いは虚数部のいずれかにおいて、誤差信号値が0.4以上または−0.4以下になった場合に、それぞれ0.4、あるいは−0.4を設定してK行列を代替えする。
【0157】
第2の補正(あるいは、第2の平均補正)で追従できる高速変化以上の変動が発生した場合、あるいはS/Nが極端に劣化した場合、誤差信号の折り返しが発生し、第2の補正式は逆補正になる場合がある。平均化を行っていればその影響は少ないが、連続的に発生する場合には、やはり誤りとなってしまう。その逆補正を回避するために上記の制限値を設ける。この制限処理は、第2の補正式導出保持回路315で実施する。
【0158】
(変形例3)
(43)、(44a)〜(44d)及び(52)式でK行列を求める際に、a”〜d”における誤差信号において、所定の重み付けを行う。これは、特に、S/Nが極端に劣化した場合に有効である。
【0159】
S/Nが極端に劣化した場合、誤差信号の折り返しが発生し、第2の補正式は逆補正になる場合がある。平均化を行っていればその影響は少ないが、連続的に発生する場合には、やはり誤りとなってしまう。しかしながら、誤差信号は、ガウスノイズの影響でばらつきをもっていると考えてよく。したがって、正規分布をしているとしてよい。そこで、中央値に近い部分の重み付けを多くし、より多く影響させ、周辺部の重み付けを軽くして、より少なく影響するようにしてK行列を生成する。
【0160】
簡単な例として、2回平均を行う場合で説明すると、誤差信号の絶対値が0.1以下の場合5、0.1より大きく0.2以下の場合4、0.2より大きく0.3以下の場合3、0.3より大きく0.4以下の場合2、0.4より大きく0.5以下の場合1、のような重み付けを行うテーブルを設け、その後、全体を重み付け数で割る。
【0161】
数値例で示すと、1回目の誤差信号が0.15で、2回目の誤差信号が0.45であったとすると、2回平均する場合の全体の誤差信号は、重み付けしない場合、3(=(0.15+0.45)/2)であるが、重み付けをした場合、0.21(=(0.15×4+0.45×1)/(4+1))となる。
このような重み付けは、第2の補正式導出保持回路315で実施する。
【0162】
(変形例4)
第2の補正(あるいは、第2の平均補正)で追従できる高速変化以上の変動が発生した場合、あるいはS/Nが極端に劣化した場合、誤差信号の折り返しが発生し、第2の補正式は逆補正になる場合がある。平均化を行っていればその影響は少ないが、連続的に発生する場合には、やはり誤りとなってしまう。
【0163】
そこで、この変形例では、既述しないエラー訂正回路から発生する信号をもとに誤りを検出し、誤り検出時には第2の補正式を更新しないようにする。誤りが発生した場合には、第2の補正式であるK行列を生成しても逆補正となってしまうからである。この場合は、K行列の生成を行わず、単位行列で代替えし平均化の効果で補完する。
【0164】
(変形例5)
(43)、(44a)〜(44d)、(52)式でK行列を求める際に、<p>〜<u>における信号点配置において(整数部)、所定の上限値と下限値を設定し、それ以上あるいはそれ以下の信号点配置の場合は、K行列を単位行列で代替えする。
【0165】
簡単な具体例では、実数部、虚数部、かつ実数部+虚数部のいずれかの値において、所定値以上または以下になった場合に、K行列を単位行列で代替えする。数値例で説明すると、256QAMにおいて、実数部あるいは虚数部の絶対値が8以上、または実数部+虚数部の絶対値が6以上の信号点配置においては、その誤差信号を利用せず単位行列で代替えする。その例を図10に示す。同図中、黒丸が使用する信号点、白丸が使用しない信号点を示す。
【0166】
特に、第2の補正(あるいは、第2の平均補正)で追従出来る高速変化以上の変動が発生した場合、誤差信号の折り返しが発生し、第2の補正式は逆補正になる場合がある。平均化を行っていればその影響は少ないが、連続的に発生する場合には、やはり誤りとなってしまう。高速変化は、より外周側の信号点配置に影響するため、誤りも外周側で発生する確率が高い。よって、この変形例では、図10に黒丸で示す、より信頼性の高い内周側の信号点配置の誤差信号のみを使用する。
【0167】
(変形例6)
H行列、K行列、あるいは(46)式〜(48)式で説明したH行列とK行列を合成した行列について、上記の実施の形態では時間軸上での平均化処理を説明した。この変形例は、周波数軸上での平均化処理を行うものである。
【0168】
OFDM信号の各搬送波は、互いに隣接して設定されており、相互間では類似した特性を示す。すなわち、各行列の係数を周波数順に並べると、数次の曲線となる。更にその曲線の変化は連動しており、所定値以上の高周波成分を持たない。この曲線に大きな変化点がある場合は、これは、S/Nの劣化あるいは時間軸上の平均化が十分におこなわれず、不適切な補正係数を算出していると考えてよい。
【0169】
したがって、この変形例ではH行列とK行列を合成した行列について各係数を算出した後に、周波数軸順の系列に所定量の低域フィルタを挿入し高域成分の除去を行う。このようなフィルタ処理は、第1の補正式導出保持回路313又は第2の補正式導出保持回路315においてデジタルフィルタリングで容易に実施できる。このフィルタリングは、周波数軸上の一次元のみの演算でなく、既述の時間軸上での係数の並びも利用して二次元フィルタで構成してもよい。
【0170】
この周波数軸及び時間軸上での二次元フィルタについて、簡単に説明する。既述のH行列は参照信号を複数シンボルの間送受することにより平均化される。また、K行列においても複数シンボル間で平均化する。このことにより、時間軸上での平均化がなされる。そして、新たに、次式
【0171】
【数40】
で表されるE行列を生成し、このE行列の係数において、自分の搬送波の係数と近傍(例えば±10搬送波)の係数を平均する。勿論、すべての搬送波において同様の平均化をする。これにより、周波数軸上での平均がされる。そして、次式により補正計算を行う。
【0172】
【数41】
今まではH行列とK行列をそれぞれ用いて2段階の計算をしていたが、この場合はH行列とK行列を求める処理は同様で、補正式を合成した(57)式のE行列で(58)式により補正する。
【0173】
その他の例として、隣接する3つの搬送波毎に組を作り、その中央の搬送波のみに参照信号を挿入して補正式の導出処理を行い、その両隣の搬送波は、その中央の搬送波の補正式で補正することも可能である。これによって、計算量の削減や、参照信号の到来期間の短縮をもたらし、装置の低価格化や高速追従性を達成できる。
【0174】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。以上説明した第1及び第2の実施の形態とその変形例はいずれもOFDM信号の中心搬送波に対して対称な正負一組の搬送波で既知の値の参照信号を挿入している。これに対し、この第3の実施の形態は参照信号を正負の組に限定せず送受信し、第2の実施の形態の第2の補正方式を利用することにより、従来のOFDM信号に対しても移動体通信あるいは高速に変化するマルチパス環境に対応できるOFDM信号補正を行うものである。また、この第3の実施の形態及び前記の第1及び第2の実施の形態において、受信側でシンボル番号を識別できれば、送信の信号形態を問うものではなく、例えば同期用シンボルやトランスミッションパラメータなどで伝送するようにしたものにも適用できる。
【0175】
この第3の実施の形態では、周波数分割多重信号送信装置は図1に示した構成の送信装置と同様の構成でOFDM信号が送信される。ただし、参照信号はOFDM信号中の一の搬送波で送信される。また、送信側は、既知の参照信号で変調された特定の搬送波を、所定の搬送波で伝送するシンボル番号若しくは特定のパラメータ情報又は同期シンボル情報に基づいて指定し、かつ、一定期間毎に順次巡回的に変更して送信する。
【0176】
ここで、ある搬送周波数+Wnに割り当てられた複素数(p+jq)で表される情報は、演算部4で前記(1)式と(2)式で表されるI信号とQ信号として生成され、これがOFDM信号に変換されてその中の周波数+Wnで伝送される。
【0177】
上記の(1)式と(2)式で表されるI信号とQ信号は、図11に模式的に示す伝送系回路80を伝送されることにより、振幅変化Y、位相変化dの変化を受けてI’信号とQ’信号として図3に示した周波数分割多重信号受信装置で受信される。ただし、後述するように、この実施の形態では、図3に示した周波数分割多重信号受信装置中のFFT,QAM復号回路31は図12に31”で示す構成である点に特徴がある。なお、上記の伝送系回路80は図1に示した周波数変換器12、送信部13、空間伝送路の特性に相当する。また、ここでは、周波数分割多重信号送信装置と周波数分割多重信号受信装置で受ける誤差は無視している。
【0178】
上記のI’信号とQ’信号は周波数分割多重信号受信装置でDFT演算されて次式で表される複素数として求められる。
【0179】
A'ej(+Wnt+a')=Aej(+Wnt+a) ×(Yejd) (59)
ただし、上式中、A’=√(p’2 +q’2 )、a’=tan-1(q’/p’)p’、q’は受信信号である。(59)式は伝送路特性を示す新たな係数S0、S1を導入することにより、次の行列式に書き改めることができる。
【0180】
【数42】
そして、後述するように、この第3の実施の形態では、移動によって高速に変化する特性(マルチパス環境特性)に対する応答速度を高速にするため、上記の伝送系回路80の振幅変化Y、位相変化dをそれぞれ高速特性変化であるMY、d+d1とする。これにより、前記(59)式は次式で表される。
【0181】
A'ej(+Wnt+a')=Aej(+Wnt+a) ×(Yejd)×(Mejd1) (61)
ここで、新たに
Mejd1=V1+jV2
とおくと、
p’+jq’=(p+jq)(S0+jS1)(V1+jV2)
となり、これは次式の行列式で表される。
【0182】
【数43】
よって、参照信号による補正式はそのままで、これとは分離した新たな補正式を取り出すことができる。また、(62)式は参照信号について説明しているが、これは伝送される通常の情報信号にも当てはまるため、(62)式は次式のように表すことができる。
【0183】
【数44】
S行列もS行列の逆行列であるH行列も従来通りの方法で求めることができる。ここで、V行列の逆行列であるK行列は次式で表現できる。
【0184】
【数45】
(64)式のK行列はシンボル毎にすべての周波数でそれぞれ更新するため、あまり多くの計算量になっては実現できないが、(64)式は2行2列の行列式であるので十分に実現できる。
【0185】
処理手段としては、H行列は従来通り参照信号の到来毎に更新する。H行列の更新時点では、K行列は単位行列とする。その後、H行列で補正した第1の補正情報について、希望する信号点配置との差、つまり振幅、位相の高速変化分をシンボル毎に検出し、それを基にK行列を周波数毎に、かつ、シンボル毎に更新する。更新したK行列は次のシンボルで使用する。
【0186】
このように、この実施の形態では第2の実施の形態で説明した第2の補正式を用いた補正と同様な方法により高速に変化する特性(マルチパス環境特性)を補正するので、シンボル毎の流れの説明は省略する。ただし、この実施の形態におけるH行列やK行列は2行2列である点が第2の実施の形態と異なる。また、K行列は(44a)式、(44b)式のK0とK1からなる。
【0187】
この第3の実施の形態では図1の構成の送信装置により、第1キャリアにシンボル番号を挿入し、第m1キャリアに第1キャリア、つまりシンボル番号を補正するためのみに使用する基準データを参照信号として挿入する。シンボル番号はシンボル期間毎に順次増加し巡回する。シンボル番号計数回路5は9ビットで表現され、0,1,2,3,...,511,0,1,2...と巡回するシンボル番号を計数出力する。このうちシンボル番号を表現する9ビットのうち、9、8、3、2ビット目の4ビットを16QAMで変調して所定の搬送波で送受信する。
【0188】
図1の参照信号挿入回路6はこの実施の形態の場合はシンボル番号を表現する9ビットのうちの上位8ビットに基づいて、参照信号の挿入を行う。最下位の1ビットを無視するため、すなわち、2シンボルの間は同じキャリアに参照信号が挿入される。参照信号は次式で表される。
【0189】
【数46】
ただし、(65)式のX、Yは既知の参照信号値である。
【0190】
一方、周波数分割多重信号受信装置は、この実施の形態では図3とほぼ同様の構成であるが、図3に31で示したFFT,QAM復号回路を図12のブロック図に31”で示す構成として、補正された伝送信号R及びIを得る。図12中、図5と同一構成部分には同一符号を付してある。図12において、図11の信号処理部80より取り出された受信I信号、受信Q信号はFFTシンボル番号復号回路311に供給されて、まずシンボル番号が復号された後、次にシンボル番号に対応した正負キャリアの組の受信参照信号値が求められる。
【0191】
なお、この実施の形態では、シンボル番号は前記所定の4ビットが16QAMされているため、これを他の伝送情報よりもエラーレート良好に復号できると共に、9ビットで表される0〜511までのシンボル番号を確実に復号でき、送信情報用参照信号の挿入搬送波の特定が各シンボル毎に確実にできる。この受信参照信号値は0回目のシンボル(偶数シンボル)では、p0s’、q0s’で、1回目のシンボル(奇数シンボル)では、p1s’、q1s’であるものとする。
【0192】
図12の補正処理回路317は、まず(60)式に基づいて0回目のシンボルと1回目のシンボルによって、次式で表される伝送路特性を表す係数S0とS1を算出する。
【0193】
S0=(Xp0s’+Yq0s’)/(X2+Y2)、
S1=(Xq0s’+Yq0s’)/(X2+Y2) (66)
あるいは、
S0=(Xp1s’+Yq1s’)/(X2+Y2)、
S1=(Xq1s’−Yp1s’)/(X2+Y2) (67)
その後これらの係数S0とS1をそれぞれ平均してホワイトノイズを除去する。この実施の形態では、2シンボル間の平均が得られる。
【0194】
係数はS0とS1の2個であるので、1種類の参照信号の送受により求めることができる。当然、参照信号が受信装置において既知であるので、係数が求まるような値であればどのような参照信号でもよい。このようにして補正処理回路317は伝送路特性係数S0とS1をまず検出し、続いてこの伝送路特性係数S0とS1とシンボル番号に基づいて該当キャリアの平均補正式(第1の補正式)を次式に基づいて導出して記憶保持する。
【0195】
【数47】
ただし、(68)式中、H0=S0、H1=S1、det A=S02+S12である。
【0196】
この第1の補正式は、各搬送波(キャリア)毎にあり、ここでは257搬送波を用いているので、約256個の第1の補正式が順次生成され、時々刻々と更新される。第1の補正式は2シンボルで一つの該当キャリアについて平均化して求めているので、次に同一キャリアの平均補正式の更新がなされる間隔は、512シンボル後である(2シンボル×256=512シンボル)。
【0197】
なお、上記のように伝送路特性を検出した後、逆行列の計算を行う代わりに、他の方法として次式から直接に補正式を算出してもよい。
【0198】
【数48】
第1の補正回路318は、FFTシンボル番号復号回路311よりの受信情報を、補正処理回路317により導出されて保持されている第1の補正式を用いて次式の演算を行い、補正された信号を出力する。
【0199】
【数49】
当然のことながら、計数S0とS1は時々刻々と512シンボル毎に変化するので、上記の第1の補正式も時々刻々と512シンボル毎に変化する。この第1の補正式による補正自体は従来より知られており、これにより経時変化や温度変化等の比較的緩やかに変化する伝送路上の特性を補正することができる。
【0200】
第2の補正回路316は、第2の実施の形態と同様に参照信号が送受された次のシンボルでは、単位行列であるK行列を、その他のシンボルでは一つ前のシンボルで生成されたK行列を使用して次式で補正データ<a>、<b>を生成し、これから復号された実数部データR、虚数部データIを生成し出力回路32へ出力する。
【0201】
【数50】
第2の補正式算出保持回路315は、第1の補正回路318により(70)式に基づいて補正演算されて出力された補正信号a”、b”と、補正処理回路317から出力されるシンボル番号と、第2の補正回路316から得られる復号データa、bとに基づいて、次式で表されるK行列を生成し、これを記憶保持する。
【0202】
【数51】
ただし、(72)式中のK0は前記(44a)式で、また、K1は(44b)式で表される値で、これは復号されたデータp,qと所望の信号点配置との誤差に基づく伝送路の高速変化成分の伝送路特性に対応した第2の補正式である。
【0203】
このようにして、この第3の実施の形態も第1の補正式に基づいて補正された信号に対して、第2の実施の形態と同様の高速変化特性に対応した第2の補正式により補正動作するようにしているため、移動体通信で発生するマルチパス環境等の比較的高速に変化する特性を補正し、シンボル毎に最適な復号データを得ることができる。
【0204】
次に、具体的な数値例を用いて第2の補正式を用いた補正方法の動作を説明する。H行列については、簡略に表現して説明を省き、K行列の動作を詳細に説明する。
【0205】
まず、あるシンボルnで、所定の参照信号値(実数部、虚数部)として前記第2実施の形態のときと同じ(7.5、7.5)が送信され、受信装置ではこの参照信号を(6.25、6.25)なる値で受信したとする。このとき、H行列は、伝送系に誤差を含まず、位相特性の変化が無く、振幅特性は6.25/7.5倍された状態を示す前記(53)式で表される。
【0206】
第1の補正式による第一段階の補正ではこのH行列を用いて補正し、以降新たな参照信号が到来するまで、変更しない。(53)式は第1の補正式導出保持回路313が保持する第1の補正式である。この時点でK行列は前記数35で示したと同じ単位行列とする。
【0207】
次のシンボルn+1で、受信した伝送情報がa’=6.10、b’=5.30であるときには、前記したように補正信号<a>=7.32、<b>=6.36が得られ、第2の補正回路316は受信したデータは(7.5、6.5)で送信されたデータであるものと判定し、図3に示した出力回路32に実数部データ、虚数部の復号データの組(R,I)として(7、6)を受信データとして渡す。なお、0.5についてはQAMの復号を簡単にするために加えているバイアス値であり、従来より知られた方法である。
【0208】
最後に、第2の補正式導出保持回路315は前記(43)式、(44)式に基づき(54)式で表される新たなK行列を計算して、これを次のシンボルn+2のための第2の補正式として導出して保持する。この新たに計算されたK行列は次式で表される。このK行列はシンボルnの送信時からシンボルn+1の送信時までの間の伝送経路で発生した振幅特性と位相特性の変化分を表している。以下、上記と同様の動作が繰り返され、第2の実施の形態と同様の結果が得られる。
【0209】
次に、この第3の実施の形態の各変形例について説明する。この第3の実施の形態でも第2の実施の形態で説明したと同様の以下の変形例が考えられる。
【0210】
(変形例1)
参照信号を挿入する周波数は1組に限定しなくてもよく、数組に挿入してもよい。上記の第3の実施の形態の説明では、参照信号を複数シンボル間で同じ周波数に割当てて、求めた係数S0、S1の平均化を行い、すなわち、ガウスノイズを除去した伝送路系を検出して、第一の補正式を利用した。
【0211】
第二の補正式も平均化し、ガウスノイズの除去を行うことができる。ここでは、K行列を5シンボルにわたって平均する方法について述べる。
【0212】
シンボルnにおいて、参照信号の送受が行われたとする。
初期値として、K01=1、K02=1、K03=1、K04=1、K05=1、K11=0、K12=0、K13=0、K14=0、K15=0とおく。そして、
K0=(K01+K02+K03+K04+K05)/5
K1=(K11+K12+K13+K14+K15)/5 (73)
とおく。シンボルn+1では、(73)式で第二の平均補正を行う。また、新たなK行列を求める方法は既述の通りである。ここで求めた係数をK00、K10とおく。次に、K0mをK0m+1に、K1mをK1m+1に置き換えて、(73)式により平均化した第2の補正式(平均したK行列)を生成してゆく(ただし、m=0、1、2、3、4の各値)。
【0213】
このような処理の繰り返しにより、最新の5シンボル間の係数を保持し、平均して使用する。この平均化処理は、第2の補正式導出保持回路315で実施する。
【0214】
(変形例2)
(71)式、(72)式、(44a)式、(44b)式でK行列を求める際に、a”、b”における誤差信号(つまり、信号a”の場合は信号aと信号a”との差、信号b”の場合は信号bと信号b”との差)において、所定の上限値と下限値を設定し、それ以上あるいはそれ以下の場合は、K行列を所定値で代替えをする。具体的には、実数部、或いは虚数部のいずれかにおいて、誤差信号値が0.4以上または−0.4以下になった場合に、それぞれ0.4、あるいは−0.4を設定してK行列を代替えする。
【0215】
第2の補正(あるいは、第2の平均補正)で追従できる高速変化以上の変動が発生した場合、あるいはS/Nが極端に劣化した場合、誤差信号の折り返しが発生し、第2の補正式は逆補正になる場合がある。平均化を行っていればその影響は少ないが、連続的に発生する場合には、やはり誤りとなってしまう。その逆補正を回避するために上記の制限値を設ける。この制限処理は、第2の補正式導出保持回路315で実施する。
【0216】
(変形例3)
(71)式、(72)式、(44a)式、(44b)式でK行列を求める際に、a”、b”における誤差信号において、所定の重み付けを行う。これは、特に、S/Nが極端に劣化した場合に有効である。
【0217】
S/Nが極端に劣化した場合、誤差信号の折り返しが発生し、第2の補正式は逆補正になる場合がある。平均化を行っていればその影響は少ないが、連続的に発生する場合には、やはり誤りとなってしまう。しかしながら、誤差信号は、ガウスノイズの影響でばらつきをもっていると考えてよく。したがって、正規分布をしているとしてよい。そこで、中央値に近い部分の重み付けを多くし、より多く影響させ、周辺部の重み付けを軽くして、より少なく影響するようにしてK行列を生成する。このような重み付けは、第2の補正式導出保持回路315で実施する。
【0218】
(変形例4)
第2の補正(あるいは、第2の平均補正)で追従できる高速変化以上の変動が発生した場合、あるいはS/Nが極端に劣化した場合、誤差信号の折り返しが発生し、第2の補正式は逆補正になる場合がある。平均化を行っていればその影響は少ないが、連続的に発生する場合には、やはり誤りとなってしまう。
【0219】
そこで、この変形例では、既述しないエラー訂正回路の誤り検出時には第2の補正式であるK行列を生成しても逆補正となってしまうため、K行列の生成を行わず、単位行列で代替し平均化の効果で補完する。
【0220】
(変形例5)
(71)式、(72)式、(44a)式、(44b)式でK行列を求める際に、<a>、<b>における信号点配置において(整数部)、所定の上限値と下限値を設定し、それ以上あるいはそれ以下の信号点配置の場合は、K行列を単位行列で代替えする。例えば、図10に示すように、256QAMにおいて、実数部あるいは虚数部の絶対値が8以上、または実数部+虚数部の絶対値が6以上の信号点配置においては、その誤差信号を利用せず単位行列で代替えする。高速変化は、より外周側の信号点配置に影響するため、誤りも外周側で発生する確率が高い。よって、この変形例では、図10に黒丸で示す、より信頼性の高い内周側の信号点配置の誤差信号のみを使用する。
【0221】
(変形例6)
この変形例は、周波数軸上での平均化処理を行うものである。この変形例では各係数を算出した後に、周波数軸順の系列に所定量の低域フィルタを挿入し高域成分の除去を行う。このようなフィルタ処理は、補正処理回路317又は第2の補正式導出保持回路315においてデジタルフィルタリングで容易に実施できる。このフィルタリングは、周波数軸上の一次元のみの演算でなく、既述の時間軸上での係数の並びも利用して二次元フィルタで構成してもよい。
【0222】
この周波数軸及び時間軸上での二次元フィルタについて、簡単に説明する。既述のH行列は参照信号を複数シンボルの間送受することにより平均化される。また、K行列においても複数シンボル間で平均化する。このことにより、時間軸上での平均化がなされる。そして、新たに、前記(57)式と同様のE行列を生成し、このE行列の係数において、自分の搬送波の係数と近傍(例えば±10搬送波)の係数を平均する。勿論、すべての搬送波において同様の平均化をする。これにより、周波数軸上での平均がされる。そして、次式により補正計算を行う。
【0223】
【数52】
今まではH行列とK行列をそれぞれ用いて2段階の計算をしていたが、この場合はH行列とK行列を求める処理は同様で、補正式を合成したE行列で(74)式により補正する。
【0224】
その他の例として、隣接する3つの搬送波毎に組を作り、その中央の搬送波のみに参照信号を挿入して補正式の導出処理を行い、その両隣の搬送波は、その中央の搬送波の補正式で補正することも可能である。これによって、計算量の削減や、参照信号の到来期間の短縮をもたらし、装置の低価格化や高速追従性を達成できる。
【0225】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。以上説明した第1及び第2の実施の形態とその変形例はいずれもOFDM信号の中心搬送波に対して対称その他の例として、隣接する3つの搬送波毎に組を作り、その中央の搬送波のみに参照信号を挿入して補正式の導出処理を行い、その両隣の搬送波は、その中央の搬送波の補正式で補正することも可能である。これによって、計算量の削減や、参照信号の到来期間の短縮をもたらし、装置の低価格化や高速追従性を達成できる。
【0226】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数の搬送波のうちの中心搬送波に対してクロストークの影響のある、互いに対称な、高域側の一の正の搬送波と、低域側の一の負の搬送波を組としてこれらの搬送波で参照信号を伝送するようにしたため、迅速に伝送路特性を検出できると共に、参照信号を挿入する正負の搬送波の組を一定時間毎に切り替えることにより、すべての搬送波についての伝送路特性をも検出できる。
【0227】
これにより、本発明によれば、前述したI信号及びQ信号自体の周波数特性を従来と同様に補正できると共に、これに加えて、送信装置のそれぞれの周波数でI信号、Q信号間での相対振幅特性差、送信装置のそれぞれの周波数でI信号、Q信号間での相対位相特性差、送信装置の直交変調器の直交性誤差、受信装置のそれぞれの周波数でI信号、Q信号間での相対振幅特性差、受信装置のそれぞれの周波数でI信号、Q信号間での相対位相特性差、受信装置の直交復調器の直交性誤差などの特性誤差をも補正することができるため、これら送信装置のそれぞれの周波数でI信号、Q信号間での相対振幅特性差、送信装置のそれぞれの周波数でI信号、Q信号間での相対位相特性差、送信装置の直交変調器の直交性誤差、受信装置のそれぞれの周波数でI信号、Q信号間での相対振幅特性差、受信装置のそれぞれの周波数でI信号、Q信号間での相対位相特性差、受信装置の直交復調器の直交性誤差などの特性誤差を精度良くしなくてもよく、また、これらの温度変化、経時変化を考慮しなくてよく、以上より従来に比べて高品質な直交周波数分割多重信号の伝送ができる。
【0228】
また、本発明によれば、既知の参照信号を使用することにより、正確に得られた補正係数からなる第一の補正式を用いて、復号されたデータに対して経時変化や温度変化等の比較的緩やかに変化する誤差と特性を補正し、続いてこの補正されたデータに対して、ある参照信号を受信してから次の参照信号を受信して新たな補正式を算出するまでの期間の変化に対応した伝送路特性を検出して得た第2の補正式に基づいて補正するようにしたため、移動体通信で発生するマルチパス環境等の比較的高速に変化する特性をも補正することができ、シンボル毎の最適化が図れる。
【0229】
更に、本発明によれば、第1の補正式を複数の搬送波のうちの中心搬送波に対して互いに対称な正の搬送波と負の搬送波を組として伝送される既知の値の参照信号を用いて生成し、この第1の補正式による補正と前記第2の補正式による補正とを順次行うことにより、より一層伝送路特性の変化に対応した高精度な補正を行うことができ、より一層正確な復号ができる。
【0230】
更に、本発明によれば、第1及び第2の補正式の一方若しくは両者において平均化を行うことにより、ガウスノイズを除去でき、より信頼性の高い補正係数の導出ができ、これにより補正の確度を向上できる。
【0231】
更に、本発明によれば、第2の補正式に所定の上限値と下限値を設けたり、所定の重み付けを誤差信号に応じて行ったり、エラー訂正回路による誤り検出時に第2の補正式の更新を停止して第2の補正式を単位行列で代替したり、あるいは、第2の補正式を算出するために用いる補正信号に上限値及び下限値を設けたりする処理により、第2の(平均)補正式算出時に高速変化に追従できずに、あるいは極端なS/N低下により発生する可能性のある、逆補正を回避できる。
【0232】
更に、本発明によれば、時間軸上の平均回数を少なくし、周波数軸上での平均化を行い、より高速で信頼性の高い装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明送信装置の第1の実施の形態のブロック図である。
【図2】本発明で伝送されるOFDM信号の一例の周波数スペクトラムを示す図である。
【図3】本発明受信装置の一実施の形態のブロック図である。
【図4】本発明方式の第1の実施の形態において伝送されるI信号とQ信号について着目して書き改めたブロック図である。
【図5】図3の要部の第1の実施の形態のブロック図である。
【図6】図3のFFT演算をソフトウェアで行うときの一実施の形態のフロチャートである。
【図7】本発明方式の第2の実施の形態の受信装置のブロック図である。
【図8】本発明方式の第2の実施の形態において伝送されるI信号とQ信号について着目して書き改めたブロック図である。
【図9】図7の要部の第2の実施の形態のブロック図である。
【図10】K行列生成に使用する一例の信号点配置図である。
【図11】本発明方式の第3の実施の形態において伝送されるI信号とQ信号について着目して書き改めたブロック図である。
【図12】本発明方式の要部の第3の実施の形態のブロック図である。
【符号の説明】
2 入力回路
3 クロック分周回路
4 演算部
5、14 シンボル番号計数回路
6 参照信号挿入回路
7 出力バッファ
8 D/A変換器・低域フィルタ(LPF)
9 直交変調器
10、16、25 中間周波数発振器
11、26 90°シフタ
12、22 周波数変換器
15 ディジタル直交変調器
17 D/A変換器・帯域フィルタ(BPF)
24 キャリア抽出及び直交復調器
27 同期信号発生回路
31、31’、31” FFT,QAM復号回路
41、42、72 送信装置の信号処理部
43、44、47、48、74、75 乗算器
46、73、80 伝送系回路
49、50、76、77 受信装置の信号処理部
311 FFTシンボル番号復号回路
312 伝送路特性検出回路
313 第1の補正式導出保持回路
314 第1の補正回路
315 第2の補正式導出保持回路
316 第2の補正回路
317 補正処理回路
318 第1の補正回路

Claims (11)

  1. 送信側では、互いに周波数の異なる複数の搬送波のそれぞれを、各搬送波に割り当てられた伝送すべき情報信号からそれぞれ得た同相信号と直交信号で別々に変調し、かつ、周波数分割多重した直交周波数分割多重信号を生成してシンボル単位で送信し、受信側では前記直交周波数分割多重信号を受信してそれぞれの変調された搬送波をそれぞれ同相信号と直交信号に復調した後情報信号を復号する直交周波数分割多重信号伝送方式において、
    前記送信側では、前記複数の搬送波のうち中心搬送波に対して対称な高域側の正の搬送波と低域側の負の搬送波の組で既知の参照信号を送信すると共に、前記既知の参照信号を送信する正負の搬送波の組の送信位置を特定の搬送波で伝送するシンボル番号により指定し、かつ、一定期間毎に順次巡回的に変更して送信し、受信側では、受信した前記周波数分割多重信号から前記シンボル番号に基づいて前記参照信号を復号し、この参照信号から前記正の搬送波の実数部と虚数部、前記負の搬送波の実数部と虚数部のそれぞれへの漏洩成分をもとに伝送路特性を検出し、検出した前記伝送路特性から補正式を算出して記憶し、前記補正式を用いて復号した前記同相信号と直交信号を補正することを特徴とする直交周波数分割多重信号伝送方式。
  2. 前記参照信号は、所定のシンボル単位で交互に切り替えて正負の搬送波の組で伝送される1組目の参照信号と2組目の参照信号とからなり、前記正の搬送波で送信された参照信号の実数部と虚数部の値がそれぞれp及びqであり、前記負の搬送波で送信された参照信号の実数部と虚数部の値がそれぞれr及びuであるときに、受信した正の搬送波の参照信号の実数部と虚数部の値がそれぞれp’及びq’であり、受信した負の搬送波の参照信号の実数部と虚数部の値がそれぞれr’及びu’であるとき、受信側は前記伝送路特性として次式
    で表される係数S0〜S7を、受信参照信号を既知の参照信号から算出し、前記補正式として次式
    (ただし、H0=+S0(S6S6+S7S7)-S2(S4S6+S5S7)+S3(S4S7-S5S6)、H1=+S1(S6S6+S7S7)-S3(S4S6+S5S7)-S2(S4S7-S5S6)、H2=+S4(S2S2+S3S3)-S6(S0S2+S1S3)+S7(S0S3-S1S2)、H3=+S5(S2S2+S3S3)-S7(S0S2+S1S3)-S6(S0S3-S1S2)、H4=+S2(S4S4+S5S5)-S0(S4S6+S5S7)-S1(S4S7-S5S6)、H5=+S3(S4S4+S5S5)-S1(S4S6+S5S7)+S0(S4S7-S5S6)、H6=+S6(S0S0+S1S1)-S4(S0S2+S1S3)-S5(S0S3-S1S2)、H7=+S7(S0S0+S1S1)-S5(S0S2+S1S3)+S4(S0S3-S1S2)、det A = S0×H0+S1×H1+S4×H2+S5×H3)
    で算出された値を記憶保持し、前記補正式を用いてそれぞれの正負キャリアの組で次式
    (ただし、上式中、a及びbは前記正の搬送波周波数に割り当てられた補正後の受信データの実数部と虚数部、c及びdは前記負の搬送波周波数に割り当てられた補正後の受信データの実数部と虚数部、a’及びb’は前記正の搬送波周波数の受信データの実数部と虚数部、c’及びd’は前記負の搬送波周波数の受信データの実数部と虚数部)
    の演算をして補正後の受信データa、b、c及びdを得ることを特徴とする請求項1記載の直交周波数分割多重信号伝送方式。
  3. 前記参照信号は、所定のシンボル単位で交互に切り替えて正負の搬送波の組で伝送される1組目の参照信号と2組目の参照信号とからなり、前記正負の搬送波の組のうち正の搬送波で伝送する実数部及び虚数部の各値と前記負の搬送波で伝送する実数部と虚数部のうち、前記1組目の参照信号は、前記正の搬送波で伝送する実数部又は虚数部の値のみを所定値とし、かつ、他の値をそれぞれゼロとし、前記2組目の参照信号は、前記負の搬送波で伝送する実数部又は虚数部の値のみを所定値とし、かつ、他の値をそれぞれゼロとすることを特徴とする請求項1記載の直交周波数分割多重信号伝送方式。
  4. 前記参照信号は、所定のシンボル単位で交互に切り替えて正負の搬送波の組で伝送される1組目の参照信号と2組目の参照信号とからなり、前記正負の搬送波の組のうち正の搬送波で伝送する実数部及び虚数部の各値と前記負の搬送波で伝送する実数部と虚数部のうち、前記1組目の参照信号は、前記正の搬送波で伝送する実数部及び虚数部の値をそれぞれ所定値とし、かつ、他の値をそれぞれゼロとし、前記2組目の参照信号は、前記負の搬送波で伝送する実数部及び虚数部の値をそれぞれ所定値とし、かつ、他の値をそれぞれゼロとすることを特徴とする請求項1記載の直交周波数分割多重信号伝送方式。
  5. 複素数で表される伝送すべきディジタル情報信号が複数の実数部入力端子と虚数部入力端子にそれぞれ入力されて逆離散的フーリエ変換し、互いに周波数の異なる複数の搬送波でそれぞれ伝送される同相信号と直交信号をシンボル単位で発生する演算部と、
    前記伝送すべきディジタル情報信号のシンボル毎に値が変化するシンボル番号を発生して前記演算部の特定の入力端子に入力するシンボル番号計数回路と、
    前記複数の搬送波のうち中心搬送波に対して対称な高域側の正の搬送波で伝送されるディジタル情報信号が入力される前記演算部の実数部入力端子及び虚数部入力端子と、低域側の負の搬送波で伝送されるディジタル情報信号が入力される前記演算部の実数部入力端子及び虚数部入力端子の組に参照信号をそれぞれ入力すると共に、前記参照信号を入力する前記実数部入力端子及び虚数部入力端子の組を一定時間毎に切り替える参照信号挿入手段と、
    前記演算部の出力同相信号及び直交信号を一時記憶する出力バッファと、
    前記出力バッファの出力同相信号及び直交信号をそれぞれ直交周波数分割多重信号に変換する変換手段と、
    前記直交周波数分割多重信号を送信する送信手段と
    を有することを特徴とする直交周波数分割多重信号送信装置。
  6. 互いに周波数の異なる複数の搬送波で伝送すべきディジタル情報信号を伝送すると共に、前記複数の搬送波のうち中心搬送波に対して対称な高域側の正の搬送波と低域側の負の搬送波の組に既知の参照信号が挿入され、前記参照信号を送信する正負の搬送波の組を、特定の搬送波で伝送するシンボル番号で指定し、かつ、一定期間毎に順次巡回的に変更してなる直交周波数分割多重信号を受信する受信手段と、
    前記受信手段からの受信直交周波数分割多重信号を直交復調して、それぞれ複素数で表される同相信号及び直交信号と前記シンボル番号及び参照信号を得る復調手段と、
    前記復調手段からの前記同相信号及び直交信号と前記シンボル番号及び参照信号をそれぞれ離散的フーリエ変換してディジタル情報信号を復号すると共に、前記シンボル番号及び参照信号を復号する復号手段と、
    前記復号手段よりの前記シンボル番号から前記参照信号を復号し、この参照信号から前記正の搬送波の実数部と虚数部、前記負の搬送波の実数部と虚数部のそれぞれへの漏洩成分をもとに伝送路特性を検出する検出手段と、
    前記検出手段により検出した前記伝送路特性から補正式を算出して記憶する補正式算出及び保持手段と、
    前記記憶された補正式を用いて前記復号手段からの前記同相信号及び直交信号の復号信号を補正する補正回路と
    を有することを特徴とする直交周波数分割多重受信装置。
  7. 前記参照信号は、所定のシンボル単位で交互に切り替えて正負の搬送波の組で伝送される1組目の参照信号と2組目の参照信号とからなり、前記検出手段は、前記正の搬送波で送信された参照信号の実数部と虚数部の値がそれぞれp及びqであり、前記負の搬送波で送信された参照信号の実数部と虚数部の値がそれぞれr及びuであるときに、受信した正の搬送波の参照信号の実数部と虚数部の値がそれぞれp’及びq’であり、受信した負の搬送波の参照信号の実数部と虚数部の値がそれぞれr’及びu’であるとき、前記伝送路特性として次式
    で表される係数S0〜S7を、受信参照信号を既知の参照信号で除算して算出する手段であり、
    前記補正式算出及び保持手段は、前記補正式として次式
    (ただし、H0=+S0(S6S6+S7S7)-S2(S4S6+S5S7)+S3(S4S7-S5S6)、H1=+S1(S6S6+S7S7)-S3(S4S6+S5S7)-S2(S4S7-S5S6)、H2=+S4(S2S2+S3S3)-S6(S0S2+S1S3)+S7(S0S3-S1S2)、H3=+S5(S2S2+S3S3)-S7(S0S2+S1S3)-S6(S0S3-S1S2)、H4=+S2(S4S4+S5S5)-S0(S4S6+S5S7)-S1(S4S7-S5S6)、H5=+S3(S4S4+S5S5)-S1(S4S6+S5S7)+S0(S4S7-S5S6)、H6=+S6(S0S0+S1S1)-S4(S0S2+S1S3)-S5(S0S3-S1S2)、H7=+S7(S0S0+S1S1)-S5(S0S2+S1S3)+S4(S0S3-S1S2)、det A = S0×H0+S1×H1+S4×H2+S5×H3)
    で算出された値を記憶保持する手段であり、
    前記補正回路は、前記補正式を用いてそれぞれの正負キャリアの組で次式
    (ただし、上式中、a及びbは前記正の搬送波周波数に割り当てられた補正後の受信データの実数部と虚数部、c及びdは前記負の搬送波周波数に割り当てられた補正後の受信データの実数部と虚数部、a’及びb’は前記正の搬送波周波数の受信データの実数部と虚数部、c’及びd’は前記負の搬送波周波数の受信データの実数部と虚数部)
    の演算をして補正後の受信データa、b、c及びdを得る手段であることを特徴とする請求項6記載の直交周波数分割多重信号受信装置。
  8. 送信側では、伝送すべき情報信号を実数部と虚数部からなる信号としてそれぞれ別々に変調して同相信号と直交信号とを生成し、これらの同相信号と直交信号で互いに周波数の異なる複数の搬送波のうち、中心搬送波に対し高域側の複数の正の搬送波と低域側の複数の負の搬送波を変調し、かつ、周波数分割多重した直交周波数分割多重信号を生成して送信し、受信側では前記直交周波数分割多重信号を受信してそれぞれの変調された搬送波をそれぞれ同相信号と直交信号に復調した後情報信号を復号する直交周波数分割多重信号伝送方式において、
    前記送信側では前記複数の搬送波のうち所定の搬送波で既知の参照信号を送信し、かつ、その所定の搬送波を一定期間毎に順次巡回的に変更して送信し、
    前記受信側では受信した前記直交周波数分割多重信号から前記参照信号を復号し、この参照信号から前記所定の搬送波の実数部と虚数部の変化成分をもとに伝送路特性を検出し、検出した前記伝送路特性から第1の補正式を算出し、復号した前記情報信号を前記第1の補正式を用いて補正し、この補正後の情報信号に対して所定の信号点配置との差を基に伝送路の高速変化成分を検出し、検出した前記伝送路の高速変化成分から第2の補正式を算出し、前記第2の補正式を用いて前記補正後の情報信号を更に補正し、その際に、前記第1の補正式及び第2の補正式の少なくとも一方の補正式あるいは両者を合成した補正式を構成する各係数に対して、前記それぞれの変調された搬送波を周波数順に整列し、周波数軸上で低域フィルタを挿入したフィルタ処理を行うことを特徴とする直交周波数分割多重信号伝送方式。
  9. 送信側では、伝送すべき情報信号を実数部と虚数部からなる信号としてそれぞれ別々に変調して同相信号と直交信号とを生成し、これらの同相信号と直交信号で互いに周波数の異なる複数の搬送波のうち、中心搬送波に対し高域側の複数の正の搬送波と低域側の複数の負の搬送波を変調し、かつ、周波数分割多重した直交周波数分割多重信号を生成して送信し、受信側では前記直交周波数分割多重信号を受信してそれぞれの変調された搬送波をそれぞれ同相信号と直交信号に復調した後情報信号を復号する直交周波数分割多重信号伝送方式において、
    前記送信側では前記複数の搬送波のうち所定の搬送波で既知の参照信号を送信し、かつ、その所定の搬送波を一定期間毎に順次巡回的に変更して送信し、その際に、前記複数の搬送波のうち中心搬送波に対して対称な高域側の正の搬送波と低域側の負の搬送波の組として、既知の参照信号が含まれるシンボル連続的に送信し、
    前記受信側では受信した前記直交周波数分割多重信号から前記参照信号を復号し、この参照信号から前記所定の搬送波の実数部と虚数部の変化成分をもとに伝送路特性を検出し、検出した前記伝送路特性から第1の補正式を算出し、その際に、受信した前記複数の参照信号から前記正の搬送波の実数部と虚数部、前記負の搬送波の実数部と虚数部のそれぞれへの漏洩成分をそれぞれ平均化して、又は前記漏洩成分より検出した複数の伝送路特性に基づいて平均化した前記第1の補正式を算出し、復号した前記情報信号を前記第1の補正式を用いて補正し、この補正後の情報信号に対して所定の信号点配置との差を基に伝送路の高速変化成分を検出し、検出した前記伝送路の高速変化成分から第2の補正式を算出し、前記第2の補正式を用いて前記補正後の情報信号を更に補正することを特徴とする直交周波数分割多重信号伝送方式。
  10. 送信側では、伝送すべき情報信号を実数部と虚数部からなる信号としてそれぞれ別々に変調して同相信号と直交信号とを生成し、これらの同相信号と直交信号で互いに周波数の異なる複数の搬送波のうち、中心搬送波に対し高域側の複数の正の搬送波と低域側の複数の負の搬送波を変調し、かつ、周波数分割多重した直交周波数分割多重信号を生成して送信し、受信側では前記直交周波数分割多重信号を受信してそれぞれの変調された搬送波をそれぞれ同相信号と直交信号に復調した後情報信号を復号する直交周波数分割多重信号伝送方式において、
    前記送信側では前記複数の搬送波のうち所定の搬送波で既知の参照信号を送信し、かつ、その所定の搬送波を一定期間毎に順次巡回的に変更して送信し、
    前記受信側では受信した前記直交周波数分割多重信号から前記参照信号を復号し、この参照信号から前記所定の搬送波の実数部と虚数部の変化成分をもとに伝送路特性を検出し、検出した前記伝送路特性から第1の補正式を算出し、復号した前記情報信号を前記第1の補正式を用いて補正し、この補正後の情報信号に対して所定の信号点配置との差を基に伝送路の高速変化成分を検出し、検出した前記伝送路の高速変化成分から第2の補正式を算出し、前記第2の補正式を用いて前記補正後の情報信号を更に補正し、その際に、前記第1の補正式を用いて補正された前記正負の組の搬送波の情報信号を(a”+jb”)、(c”+jd”)とし、送信された前記正負の組の搬送波の情報信号を(a+jb)、(c+jd)としたとき、次式
    (ただし、K0=(aa”+bb”)/(a”2+b”2)、K1=(ab”−a”b)/(a”2+b”2)、K6=(cc”+dd”)/(c”2+d”2)、K7=(cd”−c”d)/(c”2+d”2))
    で表される行列を前記第2の補正式として生成し、次のシンボルで使用することを特徴とする直交周波数分割多重信号伝送方式。
  11. 送信側では、伝送すべき情報信号を実数部と虚数部からなる信号としてそれぞれ別々に変調して同相信号と直交信号とを生成し、これらの同相信号と直交信号で互いに周波数の異なる複数の搬送波のうち、中心搬送波に対し高域側の複数の正の搬送波と低域側の複数の負の搬送波を変調し、かつ、周波数分割多重した直交周波数分割多重信号を生成して送信し、受信側では前記直交周波数分割多重信号を受信してそれぞれの変調された搬送波をそれぞれ同相信号と直交信号に復調した後情報信号を復号する直交周波数分割多重信号伝送方式において、
    前記送信側では前記複数の搬送波のうち所定の搬送波で既知の参照信号を送信し、かつ、その所定の搬送波を一定期間毎に順次巡回的に変更して送信し、
    前記受信側では受信した前記直交周波数分割多重信号から前記参照信号を復号し、この参照信号から前記所定の搬送波の実数部と虚数部の変化成分をもとに伝送路特性を検出し、検出した前記伝送路特性から第1の補正式を算出し、復号した前記情報信号を前記第1の補正式を用いて補正し、この補正後の情報信号に対して所定の信号点配置との差を基に伝送路の高速変化成分を検出し、検出した前記伝送路の高速変化成分から第2の補正式を算出し、前記第2の補正式を用いて前記補正後の情報信号を更に補正し、その際に、前記第2の補正式を、前記第1の補正式を用いて補正された情報信号における誤差信号の絶対値が小さいほど重み付けを大にして生成することを特徴とする直交周波数分割多重信号伝送方式。
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