JP3614062B2 - 重ねレーザ溶接方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、防錆鋼板(たとえば、亜鉛メッキ鋼板、メッキ鋼板のメッキ層の上にさらに樹脂をコーティングした複合鋼板等を含む)の重ねレーザ溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
防錆鋼板、たとえば亜鉛メッキ鋼板を重ねレーザ溶接する場合、図10に示すように、鋼板11、12間のメッキ部11a、12aがレーザ熱で高圧のガス14となり(母材であるFeの融点は約1500℃であるのに対し、たとえば、亜鉛メッキに使用されるZnの沸点は約906℃)、溶接ビード13を吹き飛ばして吹き出すことがあり、その場合は溶接不良、溶接強度低下を招く。
この溶接ビードを通しての高圧ガス吹き出しを抑制するには、鋼板間に微小隙間を設けて、メッキ金属がガス化して生じた高圧ガスを微小隙間を通して逃がすことが有効である。この微小隙間は、約0.4mm以上あると、溶接部がつながらず、また、約0.1mmより小だとガス逃がしが悪くなって溶接ビードを通しての高圧ガス吹き出しが生じやすくなるので、隙間を約0.1〜0.4mmの範囲に管理することが必要である(トヨタ技術公開集No.9018)。
重ねレーザ溶接される2枚の鋼板間に微小隙間を形成するには、従来、つぎのような、防錆鋼板の一方に隙間形成用の凸部を形成する方法、または2枚の板の形状を利用する方法などがある。
▲1▼ エンボス加工
一方の型に凸部を形成し他方の型に該凸部と位置を合わせて凹部を形成しておき、型間に鋼板を挟んでプレスし、鋼板に凸部を成形する。
▲2▼ レーザスポット
特開平11−47967号公報に開示されているように、鋼板にレーザ光を照射して溶融池を作りそこにガスを吹き付けて溶融金属を溶融池の周りに押し出し環状の凸部を形成する。溶融池の部分は凹部となる。
▲3▼ 板の打ち抜きばりあるいは断面R部の利用
鋼板の打ち抜きばりを凸部として利用する。あるいは湾曲断面の鋼板と直線断面の鋼板を重ねた場合に生じる板間隙間をガス逃げ用隙間として利用する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の隙間形成方法にはつぎの問題があった。
上記▲1▼のエンボス加工による凸部形成においては、上下型の凹凸を位置合わせするのが難しい。また、0.1〜0.4mm程度の高さの微小凸部を作りだすことが難しく、凸部の寸法管理が困難である。
上記▲2▼のレーザスポットによる凸部形成においては、レーザ照射により凹凸部を形成するため加工費が高い。また、1点ずつレーザ照射していくため時間もかかる。また、凸部形成のための工程が鋼板のプレス工程以外に必要となる。これらの結果、コストアップを招く。
上記▲3▼の板の打ち抜きばりを利用した隙間形成方法においては、ばりの高さの管理が難しく隙間の寸法管理が困難である。また、断面Rの形状を利用して隙を作る場合は、レーザ光の照射位置が少しでもずれると、板間隙間の寸法が大きくく変化し、隙間の寸法管理が難しい。
本発明の目的は、重ねレーザ溶接される防錆鋼板間にガス逃がし用の微小隙間を形成するための凸部を、重ねレーザ溶接される一方の鋼板に、容易に形成することができる重ねレーザ溶接方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 2枚の防錆鋼板の重ねレーザ溶接方法であって、
圧印加工が施される鋼板に対するポンチの位置を、レーザ溶接すべき部位の長手方向と直交方向に、圧印で鋼板に形成される盛り上り部の中心と前記レーザ溶接すべき部位の中心との間隔が約3mm以内となり、かつ前記レーザ溶接すべき部位の長手方向と平行方向に、前記盛り上り部の中心間隔が約10mm以内、前記レーザ溶接すべき部位の端部と前記盛り上り部の中心との間隔が約5mm以内となるように、決定し、
先端に凸形状部を有する前記ポンチの前記凸形状部により一方の鋼板の一面に圧印加工を施して、該一面の圧印部周囲に盛り上り部を形成し、
一方の鋼板と他方の鋼板を前記盛り上り部による隙間をもたせて重ね合せ、重ね合せ部にレーザ溶接を施す、
重ねレーザ溶接方法。
(2) 2枚の防錆鋼板の重ねレーザ溶接方法であって、
圧印加工が施される鋼板に対するポンチの位置を、レーザ溶接すべき部位の長手方向と直交方向に、圧印で鋼板に形成される盛り上り部の中心と前記レーザ溶接すべき部位の中心との間隔が約3mm以内となり、かつ前記レーザ溶接すべき部位の長手方向と平行方向に、前記盛り上り部の中心間隔が約10mm以内、前記レーザ溶接すべき部位の端部と前記盛り上り部の中心との間隔が約5mm以内となるように、決定し、
先端に凸形状部を有する前記ポンチの前記凸形状部により一方の鋼板の一面に圧印加工を施して、該一面の圧印部周囲に環状の盛り上り部および/または他面に山状の盛り上り部を形成し、
一方の鋼板と他方の鋼板を前記盛り上り部による隙間をもたせて重ね合せ、重ね合せ部にレーザ溶接を施す、
重ねレーザ溶接方法。
(3) 前記圧印加工が施される鋼板をプレス成形するプレス装置の、前記鋼板のレーザ溶接が施される部分を挟む2つの型のうち一方の型に、前記ポンチを、ポンチ先端を型表面から突出させ型に該突出ポンチ先端の周囲に型表面から後退した凹部を形成して、組み込んでおき、前記2つの型のうち他方の型の、前記ポンチに対向する面を平坦面としておき、前記圧印加工が施される鋼板のプレス成形時に該プレス成形と同時に、前記圧印加工が施される鋼板の前記2つの型で挟まれる部分に前記盛り上り部を形成する請求項1または請求項2記載の重ねレーザ溶接方法。
【0005】
上記(1)または(2)の重ねレーザ溶接方法では、ポンチによる圧印加工によって盛り上り部を形成するので、従来法に比べて容易かつ安価に盛り上りを形成することができる。
また、圧印加工が施される鋼板に対するポンチの位置が上記(1)、(2)の条件を満足することにより、すべての盛り上り部がレーザ溶接中に発生した高圧ガスを逃がすのに有効に働き、高品質なレーザ溶接を実行することができる。
上記(3)の重ねレーザ溶接方法では、2つの型のうちポンチを組み込まない方の型の、ポンチに対向する面を平坦面としておくので、ポンチ対向面に凹部を形成しておく場合(エンボス加工により盛り上り部を形成する場合)に比べて、ポンチの凸形状部と凹部との位置合わせが不要となり、盛り上り部形成が容易で安価になる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明実施例の重ねレーザ溶接方法を、図1〜図9を参照して説明する。
図1、図2に示すように、本発明実施例の重ねレーザ溶接は、2枚の防錆鋼板11、12の重ねレーザ溶接方法である。防錆鋼板11、12は、亜鉛等のメッキ鋼板(図1ではメッキ部を図示略、図2では11a、12aが鋼板11、12のメッキ部を示す)、またはメッキ鋼板の上に樹脂などを塗装した複合メッキ鋼板からなる。鋼板11、12は、たとえば、自動車用薄鋼板等として利用される。
【0007】
本発明実施例の重ねレーザ溶接は、2枚の防錆鋼板11、12のうちの何れか一方の鋼板11に盛り上り部15を形成する工程と、2枚の防錆鋼板11、12を重ね合わせてレーザ溶接をする工程と、からなる。
盛り上り部15を形成する工程では、図1に示すように、先端に凸形状部16を有するポンチ17の凸形状部16により一方の鋼板11の一面に圧印加工を施して、該一面の圧印部周囲に環状の盛り上り部15および/または他面に山状の盛り上り部15を形成する。凸形状部16の先端は、鋭角にすると摩耗が激しいので、平坦または凸状湾曲とされている。
また、レーザ溶接工程では、図2に示すように、一方の鋼板11と他方の鋼板12を、盛り上り部15による隙間18をもたせて重ね合せ、重ね合せ部19にレーザ光20を照射してレーザ溶接を施す。
【0008】
盛り上り部15を形成する工程では、図1に示すように、圧印加工が施される鋼板11をプレス成形するプレス装置21の、鋼板11のレーザ溶接が施される部分を挟む2つの型22、23のうち一方の型22に、ポンチ17を、ポンチ先端の凸形状部16の先端部を所定量型表面22aから突出させ型22に該突出ポンチ先端の周囲に型表面22aから後退した凹部24を形成して、組み込んでおき、2つの型22、23のうち他方の型23の、ポンチ17に対向する面23aは平坦面としておき、圧印加工が施される鋼板11のプレス成形時に該プレス成形と同時に、圧印加工が施される鋼板11の2つの型22、23で挟まれる部分に盛り上り部15を形成する。プレス成形と同時に盛り上り部15を形成することにより、盛り上り部15形成のために特別に余分の工程を設ける必要がなく、工程増、コストアップを招かない。
【0009】
ポンチ17の型22への組み込みは、望ましくは、ポンチ17を型22と別体に形成しておいて、型22に形成したポンチ受入れ凹部25に挿入することによって行う。ただし、型22に一体にポンチ17の凸形状部16およびそのまわりの凹部24を形成してもよい。ポンチ17を型22と別体に形成しておいて、型22に形成したポンチ受入れ凹部25に挿入する場合は、ポンチ17は円筒部17aと凸形状部16を有し、円筒部17aは凸形状部16の外径より大の外径を有し、円筒部17aの高さはポンチ受入れ凹部25の深さより小の高さを有し、これによって円筒部17aの上方で凸形状部16のまわりに凹部24が形成されるようにする。
【0010】
他方の型23のポンチ17対向部も、ポンチ受け部を型23と別体に形成しておき、型23に形成したポンチ受け部受入れ凹部に挿入するようにしてもよい。こうすることによって、他方の型23のポンチ17対向部の平坦面が、プレスによる盛り上り部15形成を重ねるうちに摩耗してきて凹状になった時に、容易にポンチ受け部だけを取り替えて平坦面を維持することができる。
【0011】
プレス装置21は、下型22、上型である曲刃23、パッド26からなり、ポンチ17は下型22に組み込まれ、曲刃23のポンチ対向面を平坦面とした場合が示されている。ただし、ポンチ17が曲刃23に組み込まれ、下型22のポンチ対向面を平坦面としてもよい。
【0012】
レーザ溶接工程では、図2に示すように、2枚の鋼板11、12を重ね合わせて強く押さえる。Fは押え力である。この場合、一方の鋼板11に盛り上り部15が予め形成されているので、2枚の鋼板11、12間には盛り上り部15の高さだけの隙間18が形成される。隙間18は、レーザ溶接時に2枚の鋼板11、12間に発生する高圧ガスを逃がす通路となる。この状態で、2枚の鋼板11、12の重ね合せ部19にレーザ光20を照射してレーザ溶接を施す。レーザ溶接は、盛り上り部15によって2枚の鋼板11、12間に隙間18が形成されている領域(盛り上り部15からの距離が大になり過ぎると型21、22によって押されている鋼板11、12が互いに接触し隙間が無くなるので、盛り上り部15からの距離が所定距離以内で鋼板11、12間に隙間が存在する領域)に施される。
この領域でレーザ溶接が施されると、鋼板11、12のメッキ11a、11bがレーザ溶接の熱でガス化して高圧ガスが発生しても、隙間18を通って外部に逃げるので、溶接ビードを吹き飛ばして表面側に吹き出すことがなく、正常なレーザ溶接ビード13が形成され、溶接強度が確保される。
【0013】
レーザ溶接20が、盛り上り部15によって2枚の鋼板11、12間に隙間18が形成されている領域に施されるために、圧印加工が施される鋼板11に対するポンチ17の位置は、図9に示すように、決定される。すなわち、レーザ溶接すべき部位27(溶接後、溶接ビード13となる部位)の長手方向と直交方向に、盛り上り部15の中心とレーザ溶接すべき部位27の中心との間隔が約3mm以内となり、かつレーザ溶接すべき部位27の長手方向と平行方向に、盛り上り部15の中心間隔が約10mm以内で、レーザ溶接すべき部位27の端部と盛り上り部15の中心との間隔が約5mm以内となるように、ポンチ17の位置が決定される。
【0014】
【実施例】
盛り上り部15の成形荷重を把握する試験を行った。
図3に試験装置を示す。盛り上り部15を形成すべき亜鉛メッキ鋼板11からなるワークを、下型22の上に配置したスペーサ28およびポンチ17と、上型23との間に挟み、ワーク11に盛り上り部15を形成した。ポンチ17は凸形状部16、円筒部17a、基礎部17bを有し、ポンチ17の円筒部17aまわりにスペーサ28を配置し、凸形状部16の上端部がスペーサ28の上端より0.8mm突出するセットした。ポンチ17は台29で支持し、台29をウレタンの筒体30で支持して図示略の下型22上に配置した。
【0015】
試験仕様はつぎの通りであった。
ポンチの凸形状部のテーパ角度:90°および60°の2種類のポンチを使用した。
ポンチの円筒部と凸形状部との高さ:10mm
スペーサ高さ:9.2mm。ポンチの円筒部と凸形状部との高さ−スペーサ高さ=0.8mmがスペーサからのポンチ先端部突出量となる。
荷重=600kg
鋼板板厚=1.0mm
ポンチの個数n=1
【0016】
試験結果を図4に示す。図4において、縦軸は試験後の板厚(元板厚1mm+ポンチ接触側の盛り上り部の高さa+それと反対側の盛り上り部の高さb)で横軸はかけた荷重600kgまでを100kg間隔で示す。図4には、ポンチ角が60°の場合と90°の場合の試験結果をプロットしてそれを折れ線の実線で結んだものを示してあり、破線は各折れ線の平均を線型の直線で示したものである。
図5、図6はポンチ角が90°で、荷重Fが600kgの場合のワークの表裏面の形状測定を0.2mmピッチで行った結果を示している。図6はポンチ接触側と反対側の面を示したもので0.1mm以上の山状の盛り上り部が形成されていることがわかる。また、図5はポンチ接触側の面を示したもので、ポンチで押された部分が約0.8mm凹みその周囲が盛り上がったクレータ状の凹凸となっていることがわかる。そしてクレータ状の凹凸の盛り上り部の高さはポンチ接触側と反対側の面の盛り上り部の高さよりは低かった。
【0017】
図4、図5、図6より、板厚増加量(ワーク表裏面の盛り上り部の高さの和)は0.06〜0.15mmであり、0.1mm程度のワークの表裏面の盛り上り部の高さの和を形成することは圧印加工で可能であり、その場合盛り上り部1個につき約300kg程度以上の荷重が必要であることがわかった。鋼板成形のためのプレス装置の荷重容量はそれより数十倍以上あるから、従来のプレス装置にポンチを組み込んでプレス成形と同時に圧印加工を施すことが可能であることもわかった。
【0018】
また、ワークの表裏面の盛り上り部の高さの和が0.1mm程度ある場合、ワーク表裏で盛り上り部の高さに差があるので、片側面で約0.07mm以上の盛り上り部の高さが得られる。そして、片側面に0.07mmの盛り上り部を形成した1mm厚亜鉛メッキ鋼板を平坦な亜鉛メッキ鋼板と重ねあわせてレーザ溶接を施したところ、溶接ビードの吹き飛ばしの無い良好な溶接ビードが得られた。このことから、メッキ高圧ガス逃がし用に2枚の防錆鋼板間の隙間として従来必要と考えられていた「0.1mm以上」の条件は「0.07mm以上」であればよいことがわかった。
【0019】
つぎに、良好な(高圧ガスによるビード吹き飛ばしのない)溶接ビード13が得られるための、盛り上り部15とレーザ溶接すべき部位27との位置関係についての試験を行った。盛り上り部15を形成した亜鉛メッキ鋼板11の試験片を無作為に10個選び、盛り上り部高さ(ワーク表裏面の盛り上り部高さの和)を測定したところ0.10mm〜0.13mmの範囲にあり、単純平均で0.12mmであった。
【0020】
図7に、溶接ビード13の中心から1mm、2mm、3mm、4mmの距離でビード中央に位置するように盛り上り部15を形成した場合の重ね合わせレーザ溶接の結果を示し、図8に溶接ビード13から2mmの距離で、中央から7.5mmおよび12.5mmの位置に盛り上り部15を形成した場合の重ね合わせレーザ溶接の結果を示す。斜線の部分は目視で溶接ビードに荒れが見られた部分である。
図7および図8より、溶接ビード13の荒れ防止に有効な盛り上り部15形成領域は、溶接ビード13(溶接すべき部位27)の中心から、約3mm以内であり、溶接ビード長手方向に盛り上り部15の効果は盛り上り部15から約5mmまでであることがわかった。図9に有効領域の範囲を示した。ただし、上記3mm、5mmは、平板の限定された板厚についてのデータであり、あくまで目安の数字であり、実験は効果があることを実証したに過ぎない。
【0021】
【発明の効果】
請求項1または請求項2の重ねレーザ溶接方法によれば、ポンチによる圧印加工によって盛り上り部を形成するので、従来法に比べて容易かつ安価に盛り上りを形成することができる。
また、レーザ溶接すべき部位の長手方向と直交方向に、盛り上り部の中心とレーザ溶接すべき部位の中心との間隔が約3mm以内となり、かつレーザ溶接すべき部位の長手方向と平行方向に、盛り上り部の中心間隔が約10mm以内、レーザ溶接すべき部位の端部と盛り上り部の中心との間隔が約5mm以内となるように、圧印加工が施される鋼板に対するポンチの位置を決定するので、すべての盛り上り部がレーザ溶接中に発生した高圧ガスを逃がすのに有効に働き、高品質なレーザ溶接を実行することができる。
請求項3の重ねレーザ溶接方法によれば、2つの型のうちポンチを組み込まない方の型の、ポンチに対向する面を平坦面としておくので、ポンチ対向面に凹部を形成しておく場合(エンボス加工により盛り上り部を形成する場合)に比べて、ポンチの凸形状部と凹部との位置合わせが不要となり、盛り上り部形成が容易で安価になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の重ねレーザ溶接方法の、盛り上り部形成工程の、断面図である。
【図2】本発明実施例の重ねレーザ溶接方法のレーザ溶接工程の、断面図である。
【図3】圧印加工試験に用いた装置の断面図である。
【図4】圧印加工の、板厚対荷重の関係を示すグラフである。
【図5】圧印加工後ワーク表面を粗さ計で測定した時の、ワークのポンチ接触側の表面の凹凸図である。
【図6】圧印加工後ワーク表面を粗さ計で測定した時の、ワークのポンチ接触側と反対側の表面の凹凸図である。
【図7】盛り上り部とレーザ溶接すべき部位(溶接ビードとなる部位)の位置関係を変化させた場合のと溶接ビードの荒れ発生状態を示す図である。
【図8】盛り上り部とレーザ溶接すべき部位(溶接ビードとなる部位)の位置関係を変化させた場合のと溶接ビードの荒れ発生状態を示す図である。
【図9】良好な溶接ビードが得られるための、盛り上り部とレーザ溶接すべき部位との位置関係の条件を示す図である。
【図10】従来の重ねレーザ溶接方法の、溶接ビード近傍の、断面図である。
【符号の説明】
11 防錆鋼板
11a メッキ部
12 防錆鋼板
12a メッキ部
13 溶接ビード
14 高圧ガス
15 盛り上り部
16 凸形状部
17 ポンチ
17a 円筒部
17b 基礎部
18 隙間
19 重ね合わせ部
20 レーザ光
21 プレス装置
22 下型
23 上型
24 凹部
25 ポンチ受入れ凹部
26 パッド
27 レーザ溶接すべき部位
28 スペーサ
29 台
30 ウレタン筒体
Claims (3)
- 2枚の防錆鋼板の重ねレーザ溶接方法であって、
圧印加工が施される鋼板に対するポンチの位置を、レーザ溶接すべき部位の長手方向と直交方向に、圧印で鋼板に形成される盛り上り部の中心と前記レーザ溶接すべき部位の中心との間隔が約3mm以内となり、かつ前記レーザ溶接すべき部位の長手方向と平行方向に、前記盛り上り部の中心間隔が約10mm以内、前記レーザ溶接すべき部位の端部と前記盛り上り部の中心との間隔が約5mm以内となるように、決定し、
先端に凸形状部を有する前記ポンチの前記凸形状部により一方の鋼板の一面に圧印加工を施して、該一面の圧印部周囲に盛り上り部を形成し、
一方の鋼板と他方の鋼板を前記盛り上り部による隙間をもたせて重ね合せ、重ね合せ部にレーザ溶接を施す、
重ねレーザ溶接方法。 - 2枚の防錆鋼板の重ねレーザ溶接方法であって、
圧印加工が施される鋼板に対するポンチの位置を、レーザ溶接すべき部位の長手方向と直交方向に、圧印で鋼板に形成される盛り上り部の中心と前記レーザ溶接すべき部位の中心との間隔が約3mm以内となり、かつ前記レーザ溶接すべき部位の長手方向と平行方向に、前記盛り上り部の中心間隔が約10mm以内、前記レーザ溶接すべき部位の端部と前記盛り上り部の中心との間隔が約5mm以内となるように、決定し、
先端に凸形状部を有する前記ポンチの前記凸形状部により一方の鋼板の一面に圧印加工を施して、該一面の圧印部周囲に環状の盛り上り部および/または他面に山状の盛り上り部を形成し、
一方の鋼板と他方の鋼板を前記盛り上り部による隙間をもたせて重ね合せ、重ね合せ部にレーザ溶接を施す、
重ねレーザ溶接方法。 - 前記圧印加工が施される鋼板をプレス成形するプレス装置の、前記鋼板のレーザ溶接が施される部分を挟む2つの型のうち一方の型に、前記ポンチを、ポンチ先端を型表面から突出させ型に該突出ポンチ先端の周囲に型表面から後退した凹部を形成して、組み込んでおき、前記2つの型のうち他方の型の、前記ポンチに対向する面を平坦面としておき、前記圧印加工が施される鋼板のプレス成形時に該プレス成形と同時に、前記圧印加工が施される鋼板の前記2つの型で挟まれる部分に前記盛り上り部を形成する請求項1または請求項2記載の重ねレーザ溶接方法。
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