JP3552934B2 - 安息香酸アミド類の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
医農薬中間体として有用な安息香酸アミド類の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
一般的には安息香酸アミド(ベンゾアミド)類は、安息香酸ハロゲン化物類または安息香酸類にアンモニアを作用させることで製造することができる。
【0003】
文献(J. Org. Chem., 39, 3318(1974))には、アリールハライド、一酸化炭素、第三アミン、アルコールと触媒量のトリフェニルホスフィン−パラジウム塩錯体から温和な条件で芳香族カルボン酸エステルの得られることが報告されている。
【0004】
また、同様の反応をアルコールに代えて第一または第二アミンについて行うと対応する第二または第三アミドの得られることが報告されている(J. Org. Chem., 39, 3331(1974))。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
安息香酸アミド類を製造するには、安息香酸ハロゲン化物から文献(J. Org. Chem., 39, 3318(1974))の方法に従い一旦エステルを得てそれを加水分解し安息香酸とした後にアンモニアでアミドに転換する方法が知られているが、反応経路が多段にわたるという問題があった。そこで、本発明者らは芳香族ハロゲン化物から一酸化炭素を使用して一段の反応で安息香酸アミド類を製造する方法を見いだし、既に出願した。その方法は他の一酸化炭素の反応で行われるように触媒として貴金属を使用することから、その使用量を減らすことは経済上極めて重要な関心事である。
【0006】
そこで、本発明は高価なパラジウムなどの貴金属触媒類の消費を低減できる安息香酸アミド類の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための具体的手段】
本発明者らは、一般式(1)
Ar−X (1)
(式(1)中、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、トリフルオロメタンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基、アリールスルホネート基を表す。Arは一般式(1a)
【化6】
で表される芳香族基を表し、Rはトリフルオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかを表す)、ニトロ基、アセチル基、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基から選ばれた基を表し、nは0〜3の整数を表す。)で表される芳香族化合物をパラジウムとホスフィン類の存在下一酸化炭素とアンモニアを反応させて一般式(2)、
【0008】
【化7】
(式中、Arは前記に同じ)で表される安息香酸アミド類を製造する工程において、反応液から回収されたパラジウム含有物質を同一の反応に適用できること見いだし本発明に到達した。
【0009】
従来から、貴金属触媒は高価であることからその回収については種々検討されている。しかしながら、触媒は通常は反応生成物と混在した状態であり、それから生成物を収率よく回収することを主眼として反応の後処理、生成物の精製操作が行われることから、活性を有する状態で触媒を回収する事は困難であり、触媒活性を失った状態で回収されることが一般的である。
【0010】
ところが、本発明の方法においては生成したベンゾアミド類を収率よく回収できることはもちろん、触媒は何ら活性化処理を施すことなく活性を有する状態で回収できるという、驚くべき知見に基づくものである すなわち、本発明は下記の4工程を含む安息香酸アミド類の製造方法である。
【0011】
[1] 一般式(1)
Ar−X (1)
(式(1)中、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、トリフルオロメタンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基、アリールスルホネート基を表す。Arは一般式(1a)
【化8】
で表される芳香族基を表し、Rはトリフルオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかを表す)、ニトロ基、アセチル基、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数0〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基から選ばれた基を表し、nは0〜3の整数を表す。)で表される芳香族化合物をパラジウムとホスフィン類からなる触媒の存在下一酸化炭素とアンモニアを反応させる工程。
【0012】
[2] [1]の工程の反応系中から少なくとも一般式(2)
【0013】
【化9】
(式中、Arは前記に同じ)で表される安息香酸アミド類を分離する工程。
【0014】
[3] [1]の工程の反応系中からパラジウム−ホスフィン錯化合物を回収する工程。
[4] [3]の工程で回収されたパラジウム−ホスフィン錯化合物を触媒として用いる[1]の工程。
【0015】
本発明に使用する一般式(1)で表される芳香族化合物は、式(1a)で表される芳香族基にハロゲン、トリフルオロメタンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基、アリールスルホネート基が結合した化合物である。原料の入手が容易なハロゲン化物の方が実用上は好ましい。ハロゲンはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、臭素またはヨウ素がより好ましい。
一般式(1)で表される芳香族化合物としては、例えば、1−ブロモ−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−ヨード−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−ブロモ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン]、1−ヨード−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ヨードベンゼン]、2−ブロモ−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−ヨード−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−ブロモ−1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−ヨード−1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、4−ブロモ−1,2−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、などが挙げられる。
【0016】
式(1a)における置換基(R)としては、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基、ニトロ基、アセチル基、シアノ基、炭素数1〜4のアルキ ル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基が挙げられ、このRの数は0〜3の整数である。Rにおける炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基)、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基を挙げることができる。このRを有する芳香族化合物としては、1−ブロモ−2,3,4−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−ブロモ−2,4,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−ヨード−2,3,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−ヨード−2,4,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−ブロモ−1,3,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、5−ブロモ−1,2,3−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、5−ヨード−1,2,3−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−ヨード−1,3,4,5−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,2−ジブロモ−4,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジブロモ−2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,2−ジブロモ−3,4,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼンなど;1,3−ジクロロ−5−ヨード−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,2−ジブロモ−4,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジブロモ−2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−ブロモ−2−クロロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン[2−クロロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン]、1−ブロモ−2−メトキシ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−ヨード−2−メトキシ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−ブロモ−1−ヨード−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−ブロモ−1−ニトロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−ブロモ−3,4−ジクロロ−1,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、5−ブロモ−2−クロロ−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンなどが例示できるがこれらに限られない。
【0017】
上に例示した化合物のうち、一般式(7)で表されるハロゲノ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンは生成物の有用性の顕著なことから特に好ましい。
【化10】
(式(7)中、Yはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の何れか)を表す。)。 たとえば、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼンまたは3,5−ビス(トリフルオロメチル)ヨードベンゼンを出発原料として用いると、3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸アミドが得られる。
【0018】
さらにこれらのベンゼン核の水素がハロゲンで置換した2−クロロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼンなども特に好ましい。この場合、生成物として2−クロロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸アミドが得られる。
【0019】
一般式(1)で表される芳香族化合物に本発明の方法を適用すると、一般にXで表される基のみがカルバモイル基に変換し、Rで表される置換基は変化しない生成物が得られる。複数の異なるハロゲンを芳香環に有する化合物では、一般にヨウ素、臭素、塩素、フッ素の順に優先的に反応するが、置換基の環上での位置および種類により異なることもある。
【0020】
次に、一般式(2)で表される安息香酸アミド類の製造方法について詳細に説明する。
【0021】
[1]の工程は、一般式(1)
Ar−X (1)
(式中、Arは前記に同じ。)で表される芳香族化合物をパラジウムとホスフィンからなる触媒の存在下一酸化炭素とアンモニアを反応させる工程である。
【0022】
アンモニアの使用量は、一般式(1)で表される芳香族化合物1モルに対して通常1モル以上であればよく、1〜10モルが好ましく、2〜5モルがより好ましい。アンモニアの使用量が1モルに満たない場合には反応は完結せず、一方10モルを超えても反応収率の点からは問題はないが無駄となるので好ましくない。
【0023】
一酸化炭素は、純粋なガスであってもよいが、必らずしも高純度である必要はなく、窒素ガス、アルゴンガス、炭酸ガスのような不活性ガスで希釈して使用してもよい。一酸化炭素の使用量は、一般式(1)で表される芳香族化合物1モルに対して1モル以上あればよい。一酸化炭素の圧力は通常、常圧以上であり、150kg/cm2以下が適当であり、好ましくは50kg/cm2以下である。
【0024】
[1]の工程で使用するパラジウムは、[3]の工程で得られたパラジウム−ホスフィン錯化合物であるかまたは、次に記述するようなものである。すなわち、パラジウム金属単体でも使用できるが、グラファイト、シリカゲル、アルミナ、シリカアルミナ、モレキュラーシーブ等の担体に担持して用いることもできる。また、金属塩としても使用でき、酢酸塩、炭酸塩、硝酸塩、塩化物、臭化物等として使用する。金属塩としては、具体的には例えば、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム等が挙げられる。
【0025】
さらに、パラジウム錯化合物であってもよい。配位子としては、一般式(3)
P(R1)3 (3)
(式中、R1はそれぞれ独立に低級アルキル基、フェニル基、低級アルキル基置換フェニル基を表す)または一般式(7)
(R1)2P−Q−P(R1)2 (4)
(式中、R1はそれぞれ独立に低級アルキル基、フェニル基、低級アルキル基置換フェニル基を表し、Qは二価の基を表す)で表されるホスフィンが好ましい。ここでQは−(CH2)m−(mは2〜8の整数)で表されるアルキレン基などである。低級アルキル基としては炭素数1〜4程度のものが好適である。この様なホスフィンの具体例としては、例えばトリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、トリn−ブチルホスフィン、トリエチルホスフィンなどが挙げられる。また、他の配位子としてはアセトニトリル、ベンゾニトリル、一酸化炭素等が挙げられる。これらのうち、ホスフィン類が好ましく、フェニル基または低級アルキル置換フェニル基を有するホスフィン類がさらに好ましい。
【0026】
パラジウム錯化合物の具体例としては、例えばPdCl2[P(o−Me−Ph)3]2、PdCl2[P(m−Me−Ph)3]2、PdCl2[P(p−Me−Ph)3]2、PdCl2(PMe3)2、PdCl2(PPh3)2、PdBr2(PPh3)2、Pd(PPh3)4、PdCl2〔P(Ph)2CH2CH2P(Ph)2〕、PdCl2〔P(Ph)2CH2CH2CH2CH2P(Ph)2〕、PdCl2(PhCN)2、Pd(CO)(PPh3)3、PhPdI(PPh3)2、PhPdBr(PPh3)2、PhPdBr(PMePh2)2、PdCl2(PMePh2)2、PdCl2(PEt2Ph)2、PdCl2(PMe2Ph)2、Pd2Br4(PPh3)2、PdCl2(PEt3)2、PdCl2(bpy)2等が挙げられる。ここで、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基を表す。
【0027】
一般に触媒が反応系中でどの様な中間状態、活性化状態にあるのかは明確ではないが、本発明の意図が目的物の製造であることに鑑み、これらの金属、配位子および反応に関与する試剤が本発明の反応条件で活性を示す状態となり得る組み合わせであれば最初に反応系へ仕込む金属化合物、配位子、金属錯体の形態は特に限定されないのは明らかである。
【0028】
配位子は反応系で金属と金属錯体を形成する量以上に使用してよい。例えば、通常はパラジウム1モルに対しトリフェニルホスフィン2モルとなるように調整して反応系に加えればよいが、2モル以上とするのが好ましい場合がある。金属と配位子は別々にまたは錯体として反応系に加えてもよい。パラジウムの使用量は、一般式(1)で表される芳香族化合物1モルに対して通常金属として0.00001〜0.5モル、好ましくは0.00005〜0.1モル、より好ましくは0.0001〜0.05モルである。0.00001モルよりも少ないと反応の進行が遅く実用でないので好ましくなく、また、0.5モルよりも多いことは反応の点では問題はないが経済的に不利であるので好ましくない。
【0029】
[1]の工程は水、有機溶媒等を使用しないで、または有機溶媒を使用して行うことができる。有機溶媒としては、基質である一般式(1)で表される芳香族化合物自体を溶媒として利用することもできるが、その他に例えばジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド等が挙げられ、このうち1種または2種以上を用いることができる。溶媒の量は反応の面からは特に限定されないが余り過剰に使用することは装置の大型化を招き好ましくない。
【0030】
本発明の方法は反応系に水を存在させることによりきわめて容易に行うことができる。アンモニアは蒸気圧が高く一般的に有機溶媒のみの系においてはその濃度を高めるためには高圧を必要とするが、水への溶解度が大きいため水を反応系に存在させることで、著しい反応系の圧力低下を達成することができる。また、反応の結果生成する塩が容易に水層へ移動するため、反応の促進に寄与し、さらに精製操作を容易にするという効果も奏する。水を溶媒とする場合にはアンモニアは水溶液として反応系に導入することができる。溶媒として水を用いる場合には併用溶媒として適度に生成するアミドを溶解する溶媒を使用するのが好ましく、上記の各溶媒が使用できる。また、4級アンモニウム塩やクラウンエーテルのような相間移動触媒を加えることによって反応が促進されることがある。水の使用量は、特に限定されないが、反応系が水を主とする層と有機液体を主とする層の二層を形成するだけの量を使用するのが好ましい。反応温度は、通常、10〜200℃、好ましくは10〜150℃である。反応時間は、通常0.1〜30時間、好ましくは0.5〜10時間がよい。
【0031】
[1]の工程は、ガラス、ステンレス、白金、フッ素樹脂などの耐蝕材料で造られた耐圧容器を用いるのがよい。耐圧容器に一般式(1)で表される芳香族化合物、触媒となるパラジウムとホスフィン、アンモニア、水、さらに必要に応じて溶媒の所定量をそれぞれ仕込む。この時、水を用いる際にはアンモニアはアンモニア水として仕込むことができ好ましいが、水とアンモニアガスまたは液として仕込んでもよい。反応器内部を一酸化炭素置換して所定の一酸化炭素の圧力に設定し加熱を始める。内温が所定の温度(たとえば、50℃以上通常は80℃程度)に達した時点で内圧を所定の圧力に調整し、その後、一酸化炭素の導入量を調節しながら内温と内圧を一定またはプログラムされた条件に調節する。
【0032】
[2]の工程は、一般式(2)
【化11】
(式中、Arは一般式(1)に同じ)で表される安息香酸アミド類を分離し取りだす工程である。
【0033】
反応液中の原料芳香族化合物の反応率が所期の値となった時に反応器の加熱と一酸化炭素の供給を止め反応器を冷却し、反応器内のガスをパージした後、反応液を取り出す。アンモニア水または溶媒として水を使用した場合は反応液は通常二層となり、目的生成物は有機層に含まれている。粗製の目的生成物は溶媒を留去することで得られる。この組成物は常法により精製することができる。
【0034】
[3]の工程は[1]の反応工程で得られる生成物、溶媒等の混合物からパラジウム−ホスフィン錯化合物を回収することからなっている。反応系中でのパラジウムはどのような形態をとっているかは明確ではないが、パラジウムとホスフィンを含む錯化合物となっていると推察される。反応系中に存在するこの錯化合物と、[3]の工程で得られるパラジウム−ホスフィン錯化合物は同じ物質である必要はないが、反応系と類似の環境下では容易に互いに変換し得ると考えられる。
【0035】
回収されるパラジウム−ホスフィン錯化合物としては、一般式(5)
【0036】
【化12】
(式中、Arは一般式(1)と同じであり、Lは一般式(3)
P(R1)3 (3)
(式中、R1はそれぞれ独立に低級アルキル基、フェニル基、低級アルキル基置換フェニル基を表す)または二つが結合して一般式(4)
(R1)2P−Q−P(R1)2 (4)
(式中、R1はそれぞれ独立に低級アルキル基、フェニル基、低級アルキル基置換フェニル基を表し、Qは二価の基を表す)で表されるホスフィンを表す。)または一般式(6)、
【0037】
【化13】
(式中、Ar、Xは一般式(1)と同じであり、Lは一般式(5)に同じ))で表されるパラジウム−ホスフィン錯化合物などが挙げられるが、必ずしもこの構造をとらなければならない訳ではなく、異なった形態で回収されたパラジウム−ホスフィン錯化合物であってもかまわない。これらのパラジウム−ホスフィン錯化合物は多くの有機溶剤に溶解し、また空気中で安定である。
【0038】
一般式(1)で表される芳香族化合物が、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼンである場合には、Arが3,5−ビス(トリフルオロメチル)基である[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアト]3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、またはブロモ[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)が容易に回収できる。
【0039】
反応液中に存在するパラジウムは、生成物である安息香酸アミド類と共に有機溶媒中に溶解しているため、生成物を分離する必要があるが、どの様な方法で行ってもよい。本発明の目的に鑑み、生成物と必然的に生成する副生成物を反応系から除けば十分である。また、必ずしも生成物または副生成物を完全に除く必要はないが可能な限り除去するのがスループットの観点から好ましい。操作方法としては、例えば、有機溶媒に対する安息香酸アミド類とパラジウム−ホスフィン錯体との溶解度差を利用して回収することができる。反応液から水への不溶解分として取りだした安息香酸アミド類とパラジウム−ホスフィン錯化合物を有機溶媒と接触させてパラジウム−ホスフィン錯化合物を有機溶媒へ抽出し、有機溶媒を除去、例えば留去することで行うことができる。有機溶媒としては、芳香族系溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレンなどが使用できる。これらは混合して用いることができ、また、一部に炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等、エステル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなど、その他の汎用溶媒を使用してもよい。
【0040】
回収操作は、0〜100℃程度で行うことができ、溶媒の種類によっては溶解度を調整するために冷却することもあるが、通常加熱・冷却をしないで常温で行えばよい。
【0041】
回収されたパラジウム−ホスフィン錯化合物は、さらに再結晶等の公知の手段で精製することができるが、本発明の方法では特に必要とはしない。
【0042】
[4]の工程は、[3]の工程で得られたパラジウム−ホスフィン錯化合物を反応に必要なパラジウムおよびホスフィンの全部または一部として使用し、[1]と同様の方法を適用して行うことができる。
【0043】
【実施例】
次に、本発明の製法について実施例を挙げて、詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。別途注のない限り実施例での圧力はゲージ圧を示す。
【0044】
[実施例1]
容量1000mlのステンレス製オートクレーブに、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン400g、テトラヒドロフラン227ml、酢酸パラジウム1.53g、トリフェニルホスフィン5.37g、25%アンモニア水371gを仕込んだ。撹拌を開始し窒素置換を行った後、一酸化炭素の初期圧を3kg/cm2に設定し加熱を始めた。1時間後内温が100℃に達した時点で、一酸化炭素を加圧導入し、内圧を10kg/cm2に調整した。反応中は内温100℃、内圧10kg/cm2を保った。
【0045】
11時間後反応容器を冷却し、内部ガスをパージした。反応液を分液ロートに取り出し、二層分離した反応液の有機層を分液採取した。別に用意した撹拌器付きの2000mlフラスコに水700mlを加え、油浴で80〜85℃に加温し、そこへ先の分離した有機層を滴下した。テトラヒドロフランの留出が終了した時点で加温を停止し、室温まで冷却し、生成した結晶を吸引濾過後、冷水900ml、次いでトルエン250mlで2回洗浄し、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアミド241.3gを得た。
融点(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアミド):160〜162℃
【0046】
[実施例2]
実施例1で得られたトルエン洗浄液約500mlを無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾液をエバポレーターで濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=7/3(v/v))で精製した。その結果、無色結晶が6.0g得られた。結晶は[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアト]3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)であった。
【0047】
[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアト]3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)
融点:168−170℃(decomp.)
IR(KBr:cm−1):3060,2926,1637,1437,1321,1277,1173,1127,748,697,518
1H−NMR(基準物質:TMS 溶媒:CDCl3):
δppm 6.97(s,1H),7.09(s,2H),7.20−7.32(m,18H),7.40−7.50(m,12H),7.53(s,2H)
,7.62(s,1H)
31P−NMR(基準物質:85%H3PO4 溶媒:CDCl3):δppm 25.73(s)
【0048】
[実施例3]
容量500mlのステンレス製オートクレーブに、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン200g、テトラヒドロフラン120ml、実施例2で回収したパラジウム錯体3.74g、さらに25%アンモニア水185gを仕込んだ。撹拌を開始し窒素置換を行った後、一酸化炭素初期圧を1kg/cm2に設定し加熱を始めた。1時間後内温が100℃に達した時点で、一酸化炭素を加圧導入し、内圧を10kg/cm2に調整した。反応中は内温100℃、内圧10kg/cm2を保った。
【0049】
8時間後反応容器を冷却し、内部ガスをパージした。反応液を分液ロートに取り出し、二層分離した反応液の有機層を分液採取した。別に用意した撹拌器付きの2000mlフラスコに水400mlを加え、油浴で80〜85℃に加温し、そこへ先の分離した有機層を滴下した。テトラヒドロフランの留出が終了した時点で加温を停止し、室温まで冷却、生成した結晶を吸引濾過後、冷水500ml、次いでトルエン300mlで洗浄し、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアミド124gを得た。
【0050】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、芳香族化合物と一酸化炭素とアンモニアから一段の反応で安息香酸アミド類を製造することができる上に、高価な触媒の使用量を大幅に減少させることができるという効果を奏する。
【発明の属する技術分野】
医農薬中間体として有用な安息香酸アミド類の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
一般的には安息香酸アミド(ベンゾアミド)類は、安息香酸ハロゲン化物類または安息香酸類にアンモニアを作用させることで製造することができる。
【0003】
文献(J. Org. Chem., 39, 3318(1974))には、アリールハライド、一酸化炭素、第三アミン、アルコールと触媒量のトリフェニルホスフィン−パラジウム塩錯体から温和な条件で芳香族カルボン酸エステルの得られることが報告されている。
【0004】
また、同様の反応をアルコールに代えて第一または第二アミンについて行うと対応する第二または第三アミドの得られることが報告されている(J. Org. Chem., 39, 3331(1974))。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
安息香酸アミド類を製造するには、安息香酸ハロゲン化物から文献(J. Org. Chem., 39, 3318(1974))の方法に従い一旦エステルを得てそれを加水分解し安息香酸とした後にアンモニアでアミドに転換する方法が知られているが、反応経路が多段にわたるという問題があった。そこで、本発明者らは芳香族ハロゲン化物から一酸化炭素を使用して一段の反応で安息香酸アミド類を製造する方法を見いだし、既に出願した。その方法は他の一酸化炭素の反応で行われるように触媒として貴金属を使用することから、その使用量を減らすことは経済上極めて重要な関心事である。
【0006】
そこで、本発明は高価なパラジウムなどの貴金属触媒類の消費を低減できる安息香酸アミド類の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための具体的手段】
本発明者らは、一般式(1)
Ar−X (1)
(式(1)中、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、トリフルオロメタンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基、アリールスルホネート基を表す。Arは一般式(1a)
【化6】
で表される芳香族基を表し、Rはトリフルオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかを表す)、ニトロ基、アセチル基、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基から選ばれた基を表し、nは0〜3の整数を表す。)で表される芳香族化合物をパラジウムとホスフィン類の存在下一酸化炭素とアンモニアを反応させて一般式(2)、
【0008】
【化7】
(式中、Arは前記に同じ)で表される安息香酸アミド類を製造する工程において、反応液から回収されたパラジウム含有物質を同一の反応に適用できること見いだし本発明に到達した。
【0009】
従来から、貴金属触媒は高価であることからその回収については種々検討されている。しかしながら、触媒は通常は反応生成物と混在した状態であり、それから生成物を収率よく回収することを主眼として反応の後処理、生成物の精製操作が行われることから、活性を有する状態で触媒を回収する事は困難であり、触媒活性を失った状態で回収されることが一般的である。
【0010】
ところが、本発明の方法においては生成したベンゾアミド類を収率よく回収できることはもちろん、触媒は何ら活性化処理を施すことなく活性を有する状態で回収できるという、驚くべき知見に基づくものである すなわち、本発明は下記の4工程を含む安息香酸アミド類の製造方法である。
【0011】
[1] 一般式(1)
Ar−X (1)
(式(1)中、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、トリフルオロメタンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基、アリールスルホネート基を表す。Arは一般式(1a)
【化8】
で表される芳香族基を表し、Rはトリフルオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかを表す)、ニトロ基、アセチル基、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数0〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基から選ばれた基を表し、nは0〜3の整数を表す。)で表される芳香族化合物をパラジウムとホスフィン類からなる触媒の存在下一酸化炭素とアンモニアを反応させる工程。
【0012】
[2] [1]の工程の反応系中から少なくとも一般式(2)
【0013】
【化9】
(式中、Arは前記に同じ)で表される安息香酸アミド類を分離する工程。
【0014】
[3] [1]の工程の反応系中からパラジウム−ホスフィン錯化合物を回収する工程。
[4] [3]の工程で回収されたパラジウム−ホスフィン錯化合物を触媒として用いる[1]の工程。
【0015】
本発明に使用する一般式(1)で表される芳香族化合物は、式(1a)で表される芳香族基にハロゲン、トリフルオロメタンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基、アリールスルホネート基が結合した化合物である。原料の入手が容易なハロゲン化物の方が実用上は好ましい。ハロゲンはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、臭素またはヨウ素がより好ましい。
一般式(1)で表される芳香族化合物としては、例えば、1−ブロモ−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−ヨード−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−ブロモ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン]、1−ヨード−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ヨードベンゼン]、2−ブロモ−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−ヨード−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−ブロモ−1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−ヨード−1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、4−ブロモ−1,2−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、などが挙げられる。
【0016】
式(1a)における置換基(R)としては、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基、ニトロ基、アセチル基、シアノ基、炭素数1〜4のアルキ ル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基が挙げられ、このRの数は0〜3の整数である。Rにおける炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基)、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基を挙げることができる。このRを有する芳香族化合物としては、1−ブロモ−2,3,4−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−ブロモ−2,4,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−ヨード−2,3,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−ヨード−2,4,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−ブロモ−1,3,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、5−ブロモ−1,2,3−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、5−ヨード−1,2,3−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−ヨード−1,3,4,5−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,2−ジブロモ−4,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジブロモ−2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,2−ジブロモ−3,4,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼンなど;1,3−ジクロロ−5−ヨード−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,2−ジブロモ−4,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジブロモ−2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−ブロモ−2−クロロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン[2−クロロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン]、1−ブロモ−2−メトキシ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−ヨード−2−メトキシ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−ブロモ−1−ヨード−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−ブロモ−1−ニトロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−ブロモ−3,4−ジクロロ−1,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、5−ブロモ−2−クロロ−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンなどが例示できるがこれらに限られない。
【0017】
上に例示した化合物のうち、一般式(7)で表されるハロゲノ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンは生成物の有用性の顕著なことから特に好ましい。
【化10】
(式(7)中、Yはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の何れか)を表す。)。 たとえば、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼンまたは3,5−ビス(トリフルオロメチル)ヨードベンゼンを出発原料として用いると、3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸アミドが得られる。
【0018】
さらにこれらのベンゼン核の水素がハロゲンで置換した2−クロロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼンなども特に好ましい。この場合、生成物として2−クロロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸アミドが得られる。
【0019】
一般式(1)で表される芳香族化合物に本発明の方法を適用すると、一般にXで表される基のみがカルバモイル基に変換し、Rで表される置換基は変化しない生成物が得られる。複数の異なるハロゲンを芳香環に有する化合物では、一般にヨウ素、臭素、塩素、フッ素の順に優先的に反応するが、置換基の環上での位置および種類により異なることもある。
【0020】
次に、一般式(2)で表される安息香酸アミド類の製造方法について詳細に説明する。
【0021】
[1]の工程は、一般式(1)
Ar−X (1)
(式中、Arは前記に同じ。)で表される芳香族化合物をパラジウムとホスフィンからなる触媒の存在下一酸化炭素とアンモニアを反応させる工程である。
【0022】
アンモニアの使用量は、一般式(1)で表される芳香族化合物1モルに対して通常1モル以上であればよく、1〜10モルが好ましく、2〜5モルがより好ましい。アンモニアの使用量が1モルに満たない場合には反応は完結せず、一方10モルを超えても反応収率の点からは問題はないが無駄となるので好ましくない。
【0023】
一酸化炭素は、純粋なガスであってもよいが、必らずしも高純度である必要はなく、窒素ガス、アルゴンガス、炭酸ガスのような不活性ガスで希釈して使用してもよい。一酸化炭素の使用量は、一般式(1)で表される芳香族化合物1モルに対して1モル以上あればよい。一酸化炭素の圧力は通常、常圧以上であり、150kg/cm2以下が適当であり、好ましくは50kg/cm2以下である。
【0024】
[1]の工程で使用するパラジウムは、[3]の工程で得られたパラジウム−ホスフィン錯化合物であるかまたは、次に記述するようなものである。すなわち、パラジウム金属単体でも使用できるが、グラファイト、シリカゲル、アルミナ、シリカアルミナ、モレキュラーシーブ等の担体に担持して用いることもできる。また、金属塩としても使用でき、酢酸塩、炭酸塩、硝酸塩、塩化物、臭化物等として使用する。金属塩としては、具体的には例えば、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム等が挙げられる。
【0025】
さらに、パラジウム錯化合物であってもよい。配位子としては、一般式(3)
P(R1)3 (3)
(式中、R1はそれぞれ独立に低級アルキル基、フェニル基、低級アルキル基置換フェニル基を表す)または一般式(7)
(R1)2P−Q−P(R1)2 (4)
(式中、R1はそれぞれ独立に低級アルキル基、フェニル基、低級アルキル基置換フェニル基を表し、Qは二価の基を表す)で表されるホスフィンが好ましい。ここでQは−(CH2)m−(mは2〜8の整数)で表されるアルキレン基などである。低級アルキル基としては炭素数1〜4程度のものが好適である。この様なホスフィンの具体例としては、例えばトリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、トリn−ブチルホスフィン、トリエチルホスフィンなどが挙げられる。また、他の配位子としてはアセトニトリル、ベンゾニトリル、一酸化炭素等が挙げられる。これらのうち、ホスフィン類が好ましく、フェニル基または低級アルキル置換フェニル基を有するホスフィン類がさらに好ましい。
【0026】
パラジウム錯化合物の具体例としては、例えばPdCl2[P(o−Me−Ph)3]2、PdCl2[P(m−Me−Ph)3]2、PdCl2[P(p−Me−Ph)3]2、PdCl2(PMe3)2、PdCl2(PPh3)2、PdBr2(PPh3)2、Pd(PPh3)4、PdCl2〔P(Ph)2CH2CH2P(Ph)2〕、PdCl2〔P(Ph)2CH2CH2CH2CH2P(Ph)2〕、PdCl2(PhCN)2、Pd(CO)(PPh3)3、PhPdI(PPh3)2、PhPdBr(PPh3)2、PhPdBr(PMePh2)2、PdCl2(PMePh2)2、PdCl2(PEt2Ph)2、PdCl2(PMe2Ph)2、Pd2Br4(PPh3)2、PdCl2(PEt3)2、PdCl2(bpy)2等が挙げられる。ここで、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基を表す。
【0027】
一般に触媒が反応系中でどの様な中間状態、活性化状態にあるのかは明確ではないが、本発明の意図が目的物の製造であることに鑑み、これらの金属、配位子および反応に関与する試剤が本発明の反応条件で活性を示す状態となり得る組み合わせであれば最初に反応系へ仕込む金属化合物、配位子、金属錯体の形態は特に限定されないのは明らかである。
【0028】
配位子は反応系で金属と金属錯体を形成する量以上に使用してよい。例えば、通常はパラジウム1モルに対しトリフェニルホスフィン2モルとなるように調整して反応系に加えればよいが、2モル以上とするのが好ましい場合がある。金属と配位子は別々にまたは錯体として反応系に加えてもよい。パラジウムの使用量は、一般式(1)で表される芳香族化合物1モルに対して通常金属として0.00001〜0.5モル、好ましくは0.00005〜0.1モル、より好ましくは0.0001〜0.05モルである。0.00001モルよりも少ないと反応の進行が遅く実用でないので好ましくなく、また、0.5モルよりも多いことは反応の点では問題はないが経済的に不利であるので好ましくない。
【0029】
[1]の工程は水、有機溶媒等を使用しないで、または有機溶媒を使用して行うことができる。有機溶媒としては、基質である一般式(1)で表される芳香族化合物自体を溶媒として利用することもできるが、その他に例えばジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド等が挙げられ、このうち1種または2種以上を用いることができる。溶媒の量は反応の面からは特に限定されないが余り過剰に使用することは装置の大型化を招き好ましくない。
【0030】
本発明の方法は反応系に水を存在させることによりきわめて容易に行うことができる。アンモニアは蒸気圧が高く一般的に有機溶媒のみの系においてはその濃度を高めるためには高圧を必要とするが、水への溶解度が大きいため水を反応系に存在させることで、著しい反応系の圧力低下を達成することができる。また、反応の結果生成する塩が容易に水層へ移動するため、反応の促進に寄与し、さらに精製操作を容易にするという効果も奏する。水を溶媒とする場合にはアンモニアは水溶液として反応系に導入することができる。溶媒として水を用いる場合には併用溶媒として適度に生成するアミドを溶解する溶媒を使用するのが好ましく、上記の各溶媒が使用できる。また、4級アンモニウム塩やクラウンエーテルのような相間移動触媒を加えることによって反応が促進されることがある。水の使用量は、特に限定されないが、反応系が水を主とする層と有機液体を主とする層の二層を形成するだけの量を使用するのが好ましい。反応温度は、通常、10〜200℃、好ましくは10〜150℃である。反応時間は、通常0.1〜30時間、好ましくは0.5〜10時間がよい。
【0031】
[1]の工程は、ガラス、ステンレス、白金、フッ素樹脂などの耐蝕材料で造られた耐圧容器を用いるのがよい。耐圧容器に一般式(1)で表される芳香族化合物、触媒となるパラジウムとホスフィン、アンモニア、水、さらに必要に応じて溶媒の所定量をそれぞれ仕込む。この時、水を用いる際にはアンモニアはアンモニア水として仕込むことができ好ましいが、水とアンモニアガスまたは液として仕込んでもよい。反応器内部を一酸化炭素置換して所定の一酸化炭素の圧力に設定し加熱を始める。内温が所定の温度(たとえば、50℃以上通常は80℃程度)に達した時点で内圧を所定の圧力に調整し、その後、一酸化炭素の導入量を調節しながら内温と内圧を一定またはプログラムされた条件に調節する。
【0032】
[2]の工程は、一般式(2)
【化11】
(式中、Arは一般式(1)に同じ)で表される安息香酸アミド類を分離し取りだす工程である。
【0033】
反応液中の原料芳香族化合物の反応率が所期の値となった時に反応器の加熱と一酸化炭素の供給を止め反応器を冷却し、反応器内のガスをパージした後、反応液を取り出す。アンモニア水または溶媒として水を使用した場合は反応液は通常二層となり、目的生成物は有機層に含まれている。粗製の目的生成物は溶媒を留去することで得られる。この組成物は常法により精製することができる。
【0034】
[3]の工程は[1]の反応工程で得られる生成物、溶媒等の混合物からパラジウム−ホスフィン錯化合物を回収することからなっている。反応系中でのパラジウムはどのような形態をとっているかは明確ではないが、パラジウムとホスフィンを含む錯化合物となっていると推察される。反応系中に存在するこの錯化合物と、[3]の工程で得られるパラジウム−ホスフィン錯化合物は同じ物質である必要はないが、反応系と類似の環境下では容易に互いに変換し得ると考えられる。
【0035】
回収されるパラジウム−ホスフィン錯化合物としては、一般式(5)
【0036】
【化12】
(式中、Arは一般式(1)と同じであり、Lは一般式(3)
P(R1)3 (3)
(式中、R1はそれぞれ独立に低級アルキル基、フェニル基、低級アルキル基置換フェニル基を表す)または二つが結合して一般式(4)
(R1)2P−Q−P(R1)2 (4)
(式中、R1はそれぞれ独立に低級アルキル基、フェニル基、低級アルキル基置換フェニル基を表し、Qは二価の基を表す)で表されるホスフィンを表す。)または一般式(6)、
【0037】
【化13】
(式中、Ar、Xは一般式(1)と同じであり、Lは一般式(5)に同じ))で表されるパラジウム−ホスフィン錯化合物などが挙げられるが、必ずしもこの構造をとらなければならない訳ではなく、異なった形態で回収されたパラジウム−ホスフィン錯化合物であってもかまわない。これらのパラジウム−ホスフィン錯化合物は多くの有機溶剤に溶解し、また空気中で安定である。
【0038】
一般式(1)で表される芳香族化合物が、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼンである場合には、Arが3,5−ビス(トリフルオロメチル)基である[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアト]3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、またはブロモ[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)が容易に回収できる。
【0039】
反応液中に存在するパラジウムは、生成物である安息香酸アミド類と共に有機溶媒中に溶解しているため、生成物を分離する必要があるが、どの様な方法で行ってもよい。本発明の目的に鑑み、生成物と必然的に生成する副生成物を反応系から除けば十分である。また、必ずしも生成物または副生成物を完全に除く必要はないが可能な限り除去するのがスループットの観点から好ましい。操作方法としては、例えば、有機溶媒に対する安息香酸アミド類とパラジウム−ホスフィン錯体との溶解度差を利用して回収することができる。反応液から水への不溶解分として取りだした安息香酸アミド類とパラジウム−ホスフィン錯化合物を有機溶媒と接触させてパラジウム−ホスフィン錯化合物を有機溶媒へ抽出し、有機溶媒を除去、例えば留去することで行うことができる。有機溶媒としては、芳香族系溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレンなどが使用できる。これらは混合して用いることができ、また、一部に炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等、エステル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなど、その他の汎用溶媒を使用してもよい。
【0040】
回収操作は、0〜100℃程度で行うことができ、溶媒の種類によっては溶解度を調整するために冷却することもあるが、通常加熱・冷却をしないで常温で行えばよい。
【0041】
回収されたパラジウム−ホスフィン錯化合物は、さらに再結晶等の公知の手段で精製することができるが、本発明の方法では特に必要とはしない。
【0042】
[4]の工程は、[3]の工程で得られたパラジウム−ホスフィン錯化合物を反応に必要なパラジウムおよびホスフィンの全部または一部として使用し、[1]と同様の方法を適用して行うことができる。
【0043】
【実施例】
次に、本発明の製法について実施例を挙げて、詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。別途注のない限り実施例での圧力はゲージ圧を示す。
【0044】
[実施例1]
容量1000mlのステンレス製オートクレーブに、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン400g、テトラヒドロフラン227ml、酢酸パラジウム1.53g、トリフェニルホスフィン5.37g、25%アンモニア水371gを仕込んだ。撹拌を開始し窒素置換を行った後、一酸化炭素の初期圧を3kg/cm2に設定し加熱を始めた。1時間後内温が100℃に達した時点で、一酸化炭素を加圧導入し、内圧を10kg/cm2に調整した。反応中は内温100℃、内圧10kg/cm2を保った。
【0045】
11時間後反応容器を冷却し、内部ガスをパージした。反応液を分液ロートに取り出し、二層分離した反応液の有機層を分液採取した。別に用意した撹拌器付きの2000mlフラスコに水700mlを加え、油浴で80〜85℃に加温し、そこへ先の分離した有機層を滴下した。テトラヒドロフランの留出が終了した時点で加温を停止し、室温まで冷却し、生成した結晶を吸引濾過後、冷水900ml、次いでトルエン250mlで2回洗浄し、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアミド241.3gを得た。
融点(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアミド):160〜162℃
【0046】
[実施例2]
実施例1で得られたトルエン洗浄液約500mlを無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾液をエバポレーターで濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=7/3(v/v))で精製した。その結果、無色結晶が6.0g得られた。結晶は[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアト]3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)であった。
【0047】
[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアト]3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)
融点:168−170℃(decomp.)
IR(KBr:cm−1):3060,2926,1637,1437,1321,1277,1173,1127,748,697,518
1H−NMR(基準物質:TMS 溶媒:CDCl3):
δppm 6.97(s,1H),7.09(s,2H),7.20−7.32(m,18H),7.40−7.50(m,12H),7.53(s,2H)
,7.62(s,1H)
31P−NMR(基準物質:85%H3PO4 溶媒:CDCl3):δppm 25.73(s)
【0048】
[実施例3]
容量500mlのステンレス製オートクレーブに、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン200g、テトラヒドロフラン120ml、実施例2で回収したパラジウム錯体3.74g、さらに25%アンモニア水185gを仕込んだ。撹拌を開始し窒素置換を行った後、一酸化炭素初期圧を1kg/cm2に設定し加熱を始めた。1時間後内温が100℃に達した時点で、一酸化炭素を加圧導入し、内圧を10kg/cm2に調整した。反応中は内温100℃、内圧10kg/cm2を保った。
【0049】
8時間後反応容器を冷却し、内部ガスをパージした。反応液を分液ロートに取り出し、二層分離した反応液の有機層を分液採取した。別に用意した撹拌器付きの2000mlフラスコに水400mlを加え、油浴で80〜85℃に加温し、そこへ先の分離した有機層を滴下した。テトラヒドロフランの留出が終了した時点で加温を停止し、室温まで冷却、生成した結晶を吸引濾過後、冷水500ml、次いでトルエン300mlで洗浄し、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアミド124gを得た。
【0050】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、芳香族化合物と一酸化炭素とアンモニアから一段の反応で安息香酸アミド類を製造することができる上に、高価な触媒の使用量を大幅に減少させることができるという効果を奏する。
Claims (5)
- 下記の4工程を含む安息香酸アミド類の製造方法。
[1] 一般式(1)
Ar−X (1)
(式(1)中、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、トリフルオロメタンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基、アリールスルホネート基を表す。Arは一般式(1a)
(ただしホスフィン類(L)は、一般式(3)
P(R1)3 (3)
(式中、R 1 はそれぞれ独立に低級アルキル基、フェニル基、低級アルキル基置換フェニル基を表す)、または二つが結合して一般式(4)
(R1)2P−Q−P(R1)2 (4)
(式中、R 1 はそれぞれ独立に低級アルキル基、フェニル基、低級アルキル基置換フェニル基を表し、Qは二価の基を表す)で表されるホスフィンを表す。)
[2] [1]の工程の反応系中から少なくとも一般式(2)
[3] [1]の工程の反応系中から、一般式(5)
[4] [3]の工程で回収されたパラジウム−ホスフィン錯化合物を触媒として用いる[1]の工程。 - ホスフィンがトリフェニルホスフィン、1,3−ジフェニルホスフィノプロパンまたは1,4−ジフェニルホスフィノブタンである請求項1に記載の安息香酸アミド類の製造方法。
- パラジウムとホスフィンとの組み合わせが、パラジウム塩、ホスフィン類、パラジウム錯体または[3]の工程で回収されたパラジウム−ホスフィン錯化合物から選ばれる任意の組み合わせからなる請求項1または2の何れかに記載の安息香酸アミド類の製造方法。
- [3]の工程が、[1]の工程で得た安息香酸アミドをベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレンから選ばれた溶媒と接触させて、パラジウム−ホスフィン錯化合物を有機溶媒に溶解させ、次いで該溶媒を除去することにより行われることを特徴とする、請求項1乃至3の何れかに記載の安息香酸アミド類の製造方法。
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