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JP2000169419A - 安息香酸類およびそのエステルの製造方法 - Google Patents

安息香酸類およびそのエステルの製造方法

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Publication number
JP2000169419A
JP2000169419A JP10343402A JP34340298A JP2000169419A JP 2000169419 A JP2000169419 A JP 2000169419A JP 10343402 A JP10343402 A JP 10343402A JP 34340298 A JP34340298 A JP 34340298A JP 2000169419 A JP2000169419 A JP 2000169419A
Authority
JP
Japan
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group
bis
trifluoromethyl
general formula
benzoic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10343402A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Koide
誠 小出
Michio Ishida
道夫 石田
Yuzuru Morino
譲 森野
Seiji Hasegawa
政治 長谷川
Satoshi Narizuka
智 成塚
Koji Kume
孝司 久米
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Central Glass Co Ltd
Original Assignee
Central Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Central Glass Co Ltd filed Critical Central Glass Co Ltd
Priority to JP10343402A priority Critical patent/JP2000169419A/ja
Priority to US09/452,945 priority patent/US6268527B1/en
Publication of JP2000169419A publication Critical patent/JP2000169419A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C51/00Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides
    • C07C51/10Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides by reaction with carbon monoxide
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C63/00Compounds having carboxyl groups bound to a carbon atoms of six-membered aromatic rings
    • C07C63/68Compounds having carboxyl groups bound to a carbon atoms of six-membered aromatic rings containing halogen
    • C07C63/70Monocarboxylic acids

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビス(トリフルオロメチル)安息香酸類およ
びそのエステル類を容易に、かつ、効率よく製造する。 【解決手段】ビス(トリフルオロメチル)安息香酸ハロ
ゲン化物等を周期律表第VIII族金属の化合物と特定
のホスフィン類と塩基の存在下一酸化炭素とヒドロキシ
化合物を反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬品、農薬、各
種機能材料などの製造中間体として有用なベンゼン環上
に二個またはそれ以上のトリフルオロメチル基を有する
安息香酸類または安息香酸エステル類の製造法に関し、
またそれによって得られる新規化合物に関する。
【0002】
【従来技術】芳香族ハロゲン化物に一酸化炭素を挿入す
る反応により安息香酸誘導体が得られることは従来から
知られている。
【0003】特開昭64−47号公報には、環上に塩素
原子を有する有機塩化物をパラジウム化合物及びホスフ
ィン化合物を触媒とし、塩基の存在下、一酸化炭素と1
50℃〜300℃の反応温度で反応させてカルボン酸の
得られることが開示され、ホスフィン化合物としてビス
(ジフェニルホスフィノ)ブタンが例示されている。
【0004】ビス(トリフルオロメチル)安息香酸類を
製造する方法としては、3,5−ビス(トリフルオロメ
チル)ブロモベンゼンを出発原料とし、グリニャール反
応により、3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香
酸を製造する方法が知られている[Bull.Soc.
Chim.France.,(1962),587−9
3]。
【0005】また、特開平9−67297号公報には、
3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼンと
一酸化炭素と水またはメタノールとを、酢酸パラジウム
とトリフェニルホスフィンからなる触媒およびトリエチ
ルアミンの存在下、反応させて3,5−ビス(トリフル
オロメチル)安息香酸類およびそのエステル類の得られ
ることが記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特開平9−67297
号公報の方法によると選択率、収率共に比較的良好な結
果が得られるが一酸化炭素の供給を開始する際にパラジ
ウムがパラジウム黒として析出し実質的な触媒濃度が低
下するため比較的多量のパラジウム化合物を使用する必
要があった。また、ベンゼン環上にトリフルオロメチル
基を有する場合、同じくベンゼン環上にあるハロゲンは
水素原子に置換され易いという傾向があり、収率を低下
させ、またそれによる副生成物が生成物の精製を困難に
していた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる問
題点に鑑み、ビス(トリフルオロメチル)安息香酸類を
工業的に容易に、かつ、大量に製造することができる方
法について、鋭意、検討を行った結果、ハロゲノ−ビス
(トリフルオロメチル)ベンゼンと、一酸化炭素および
水またはアルコール類とを塩基の存在下反応させること
によりビス(トリフルオロメチル)安息香酸類を製造す
る際に、触媒としてパラジウム化合物と特定のホスフィ
ン類を共存させると、収率と選択率が顕著に向上し、ま
た、触媒の金属成分をジクロロ[1,4−ブタンジイル
ビス(ジフェニルホスフィン)P,P’]パラジウム
(PdCl2(dppb))などの錯化合物の形態で使
用するとかかる反応において起こりやすい金属の析出を
著しく減らすことができるという知見を得、上記課題を
解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明は、一般式(1)
【0009】
【化4】 (式中、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ
素をいう)、トリフルオロメタンスルホネート基、炭素
数1〜4のアルキルスルホネート基、置換または非置換
アリールスルホネート基を表し、Rはトリフルオロメチ
ル基、トリフルオロメチルオキシ基、ハロゲン(前記に
同じ)、ニトロ基、アセチル基、シアノ基、炭素数1〜
4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数
2〜5のアルコキシカルボニル基を表し、nは0または
1〜3の整数を表す。)で表される芳香族化合物を周期
律表第VIII族金属の化合物と一般式(2) (R12P−Q−P(R12 (2) (式中、R1はそれぞれ独立にフェニル基、o−メチル
フェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニ
ル基を表し、Qは二価の基を表す)で表されるホスフィ
ン類と塩基の存在下一酸化炭素と一般式(3) R2OH (3) (式中、R2は水素または炭素数1〜10のアルキル基
を表す)で表されるヒドロキシ化合物を反応させること
からなる一般式(4)
【0010】
【化5】 (式中、R、R2、nは前記に同じ)で表される安息香
酸類または安息香酸エステル類を製造する方法である。
【0011】また、本発明は前記製造方法において、周
期律表第VIII族金属の化合物として一般式(6) (L1b(L2aM (6) (式中、L1は一般式(2) (R12P−Q−P(R12 (2) (式中、R1はそれぞれ独立にフェニル基、o−メチル
フェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニ
ル基を表し、Qは二価の基を表す)で表されるホスフィ
ンまたは一般式(7) P(L)3 (7) (式中、Lはそれぞれ独立に低級アルキル基、フェニル
基、低級アルキル基置換フェニル基を表す)で表される
ホスフィンであり、L2は塩素、臭素、ヨウ素、S、N
O、CO、CH3COO−、シクロペンタジエニル、シ
クロオクタジエン、ジフェニルアセチレンから選ばれた
配位子を表し、Mは周期律表第VIII族金属を表し、
a、bは1または2を表す)で表される錯化合物を使用
することを特徴とする安息香酸類または安息香酸エステ
ル類の製造方法である。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】一般式(1)
【0014】
【化6】 で表される芳香族化合物においては、Xはハロゲン(フ
ッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、トリフルオロメタン
スルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート
基、置換または非置換アリールスルホネート基である。
Rは一酸化炭素との反応である本発明の方法において不
活性な置換基であれば特に限定されないが、トリフルオ
ロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基、ハロゲン
(前記に同じ)、ニトロ基、アセチル基、シアノ基、炭
素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ
基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基などであれ
ばよい。nは0または1〜3の整数を表す。炭素数1〜
4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、i−プロピル基、炭素数1〜4の
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ
基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、炭素数2〜
5のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキ
シカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキ
シカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基を挙げる
ことができる。
【0015】Xとしては、臭素またはヨウ素が実用的に
はもっとも好ましい。Rとしてはフッ素化学における中
間体としての有用性から塩素、臭素、ヨウ素が好まし
い。
【0016】一般式(1)で表される芳香族化合物とし
て、一般式(5)
【0017】
【化7】 (式中、Yは臭素またはヨウ素を表す)で表されるハロ
ゲノ−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンは好まし
い。
【0018】このような二個のトリフルオロメチル基の
みを有する化合物としては、特に限定されないが、例え
ば、1−ブロモ−2,4−ビス(トリフルオロメチル)
ベンゼン、1−ヨード−2,4−ビス(トリフルオロメ
チル)ベンゼン、1−ブロモ−3,5−ビス(トリフル
オロメチル)ベンゼン[3,5−ビス(トリフルオロメ
チル)ブロモベンゼン]、1−ヨード−3,5−ビス
(トリフルオロメチル)ベンゼン[3,5−ビス(トリ
フルオロメチル)ヨードベンゼン]、2−ブロモ−1,
3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−ヨード
−1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−
ブロモ−1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼ
ン、2−ヨード−1,4−ビス(トリフルオロメチル)
ベンゼン、4−ブロモ−1,2−ビス(トリフルオロメ
チル)ベンゼンなどが挙げられる。
【0019】またさらに前記した置換基を有する化合物
も本発明の方法に適する。したがって、一般式(1)で
表される芳香族化合物としては1−ブロモ−2,3,4
−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−ブロモ
−2,4,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼ
ン、1−ヨード−2,3,5−トリス(トリフルオロメ
チル)ベンゼン、1−ヨード−2,4,5−トリス(ト
リフルオロメチル)ベンゼン、2−ブロモ−1,3,5
−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、5−ブロモ
−1,2,3−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼ
ン、5−ヨード−1,2,3−トリス(トリフルオロメ
チル)ベンゼン、2−ヨード−1,3,4,5−テトラ
キス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,2−ジブロ
モ−3,4,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼ
ンなど;1,3−ジクロロ−5−ヨード−2,4−ビス
(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,2−ジブロモ−
4,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4
−ジブロモ−2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベン
ゼン、1−ブロモ−2−クロロ−3,5−ビス(トリフ
ルオロメチル)ベンゼン[2−クロロ−3,5−ビス
(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン]、1−ブロモ
−2−メトキシ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)
ベンゼン、1−ヨード−2−メトキシ−3,5−ビス
(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−ブロモ−1−ヨ
ード−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、
2−ブロモ−1−ニトロ−3,5−ビス(トリフルオロ
メチル)ベンゼン、2−ブロモ−3,4−ジクロロ−
1,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、5−ブ
ロモ−2−クロロ−1,3−ビス(トリフルオロメチ
ル)ベンゼンなどが例示できるがこれらに限られない。
【0020】一般式(1)で表される芳香族化合物とし
ては、生成物の有用性の顕著なことから3,5−ビス
(トリフルオロメチル)ブロモベンゼンまたは3,5−
ビス(トリフルオロメチル)ヨードベンゼン、さらにこ
れらのベンゼン核の水素がハロゲンで置換した2−クロ
ロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼ
ンなどが最も好ましい。この場合、前2者を出発原料と
して用いると3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息
香酸またはそのエステルが得られ、後者からは2−クロ
ロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸また
はそのエステルが得られる。
【0021】一般式(1)で表される芳香族化合物に本
発明の方法を適用すると、一般にXで表される芳香環に
結合したハロゲンのみがカルボン酸基またはアルコキシ
カルボニル基に変換され、Rで表される置換基は変化し
ないで一般式(4)で表される目的の生成物が得られ
る。複数の異なるハロゲンを芳香環に有する化合物で
は、一般にヨウ素、臭素、塩素、フッ素の順に優先的に
反応するが、置換基の環上での位置および種類により異
なることもある。
【0022】本発明においては、周期律表第VIII族
金属とホスフィン類を共存させることが必要である。周
期律表第VIII族金属として、鉄、コバルト、パラジ
ウム、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム及びオ
スミウム等の金属単体が挙げられ、それ自体単独でも使
用できるが、グラファイト、シリカゲル、アルミナ、シ
リカアルミナ、モレキュラーシーブ等の担体に担持して
用いることもできる。これらの金属のうちパラジウムは
特に好ましい。また、これらは金属塩としても使用で
き、酢酸塩、炭酸塩、硝酸塩、塩化物、臭化物、または
これらに溶媒分子が配位した化合物等として使用する。
金属塩としては、具体的には例えば、酢酸パラジウム、
塩化パラジウム、臭化パラジウム、酢酸コバルト、炭酸
コバルト、塩化コバルト、臭化ルテニウム、PdCl2(acet
onitrile)2、はPdCl2(benzonitrile)2等が挙げられる。
【0023】さらに、周期律表第VIII族金属は一般
式(6) (L1b(L2aM (6) で表されるMを中心金属とする錯化合物であってもよ
く、通常は好ましい。L1は一般式(2) (R12P−Q−P(R12 (2) (式中、R1はそれぞれ独立にフェニル基、o−メチル
フェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニ
ル基を表し、Qは二価の基を表す)で表されるホスフィ
ンまたは一般式(7) P(L)3 (7) (式中、Lはそれぞれ独立に低級アルキル基、フェニル
基、低級アルキル基置換フェニル基を表す)で表される
ホスフィンであり、L2は塩素、臭素、ヨウ素、S、N
O、CO、CH3COO−、シクロペンタジエニル、シ
クロオクタジエン、ジフェニルアセチレンから選ばれた
配位子である。ここでQは−(CH2m−(mは2〜8
の整数)で表されるアルキレン基などである。この様な
配位子であるホスフィンの具体例としては、例えば、
1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
(dppf)、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)
ブタン(dppb)、1,3−ビス(ジフェニルホスフ
ィノ)プロパン(dppp)、1,2−ビス(ジフェニ
ルホスフィノ)エタン(dppe)、トリフェニルホス
フィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリ
ルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリn−
ブチルホスフィン、トリエチルホスフィンなどが挙げら
れる。Mは周期律表第VIII族金属を表し、a、bは
1または2を表す。
【0024】一般式(6)で表される金属錯体の具体例
としては、例えばPdCl2〔P(Ph)2CH2CH2
(Ph)2〕、PdCl2〔P(Ph)2CH2CH2CH2
P(Ph)2〕、PdCl2〔P(Ph)2CH2CH2
2CH2P(Ph)2〕、PdCl2(dppf)、Pd
Cl2〔P(Ph)32などおよびこれらの塩素原子が
臭素原子に置換した錯化合物などが挙げられる。ここ
で、Phはフェニル基を表す。
【0025】これらの金属錯体はどの様な方法で調製し
たものであってもよいが、例えば、文献(V.D.Makhaev
et al.,J Coord.Chem.(Engl.Edit.) 22,563-567(1996))
に記載された方法で調製することができる。また、周期
律表第VIII族金属とホスフィン類と溶媒などを反応
器に仕込み、加熱・攪拌などの操作を施すことで金属錯
体の形成をカルボニル化反応の前に行うこともできる
が、予め調製しておくことが効率的であり好ましい。
【0026】周期律表第VIII族金属の化合物の使用
量は、一般式(1)で表される芳香族化合物1モルに対
して通常金属として0.00001〜0.5モル、好ま
しくは0.00005〜0.1モル、より好ましくは
0.0001〜0.1モルである。0.00001モル
よりも少ないと反応の進行が遅く実用的でないので好ま
しくなく、また、0.5モルよりも多いことは反応の点
では問題はないが経済的に不利であるので好ましくな
い。
【0027】本発明においてホスフィン類は、一般式
(2) (R12P−Q−P(R12 (2) (式中、R1はそれぞれ独立にフェニル基、o−メチル
フェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニ
ル基を表し、Qは二価の基を表す)で表されるホスフィ
ンである。ここでQは−(CH2m−(mは2〜8の整
数)で表されるアルキレン基などである。この様なホス
フィンの具体例としては、例えば、1,1’−ビス(ジ
フェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、1,4
−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(dppb)、
1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dp
pp)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン
(dppe)などが好ましい例として挙げられる。
【0028】また、反応系に、一般式(2)で表される
ホスフィンの他に、一般式(7) P(L)3 (7) (式中、Lはそれぞれ独立に低級アルキル基、フェニル
基または低級アルキル基置換フェニル基を表す)で表さ
れるホスフィンを加えることができる。低級アルキル基
としては炭素数1〜4程度のものが好適である。この様
なホスフィンの具体例としては、例えばトリフェニルホ
スフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−ト
リルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリ−
n−ブチルホスフィン、トリエチルホスフィンなどが挙
げられるがこれらに限られない。
【0029】周期律表第VIII族金属とホスフィン類
の特に好ましい組み合わせとしては、塩化パラジウム−
dppb、塩化パラジウム−dppp、酢酸パラジウム
−dppb、酢酸パラジウム−dppp、PdCl
2(dppe)−dppb、PdCl2(dppp)−d
ppb、PdCl2(dppb)−dppb、PdCl2
〔P(Ph)32−dppb、PdCl2(dppe)
−dppp、PdCl2(dppp)−dppp、Pd
Cl2(dppb)−dppp、PdCl2〔P(Ph)
32−dpppなどまたはこれらの組合せでの塩素が臭
素で置換した化合物および/または錯化合物を使用した
組合せが挙げられる。
【0030】一般式(2)で表されるホスフィン類は、
反応を進行させるためには反応系において周期律表第V
III族金属1モルに対し1モル以上必要である。ここ
で一般式(2)で表されるホスフィン類の量は、単独で
加えた一般式(2)で表されるホスフィン類と錯化合物
に含まれた一般式(2)で表されるホスフィン類の合計
量である。具体的には反応系中の周期律表第VIII族
金属1モルに対し1〜100モルであり、1〜50モル
が好ましく、1〜20モルがより好ましい。1モルより
も少ない場合、本発明の効果である選択率の向上がみら
れないので好ましくない。また、100モルより多く使
用しても、反応速度、収率などにほとんど変化はなく、
経済的に不利となるだけであり、好ましくない。この段
落での周期律表第VIII族金属の量は反応液中の量を
基準とし、しばしば本発明の反応と類似の反応で起こる
周期律表第VIII族金属の析出により反応液中の周期
律表第VIII族金属の量が減少した場合はその減少後
の量を基準とする。
【0031】本発明においては、一般式(6) L1(L2aM (6) で表されるMを中心金属とする錯化合物とホスフィン類
を反応系に共存させることは反応途中において周期律表
第VIII族金属が析出し触媒の実効濃度を下げるとい
う好ましくない作用を低減させるという工業生産におい
てきわめて重要な効果を奏する。
【0032】本発明の反応は、無溶媒で行っても溶媒中
で行ってもよい。溶媒を使用する場合、溶媒としては、
反応基質そのものを使用できる他、例えば、ペンタン、
ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素
類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水
素類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフ
ラン(THF)、エチレングリコールジメチルエーテル
などのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトンなどのケトン類、アセトニトリル
などのニトリル類、ピリジンなどの第三アミン類、N,
N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチ
ルアセトアミド(DMAc)などの酸アミド類、ジメチ
ルスルホキシド(DMSO)、スルホランなどの含硫黄
化合物など、通常一酸化炭素を使用する反応に用いられ
るものを使うことができる。しかしながら、溶媒を使用
した場合、反応系全体の容量が増大し、より大規模な反
応装置が必要となったり、1バッチ当たりの生産量が減
少したりする。本発明においては反応試剤として水また
はアルコール類を使用しており、これらが溶媒としても
機能できることから、通常は特に他の溶媒を使用する必
要はない。
【0033】一般式(3) R2OH (3) (式中、R2は水素または炭素数1〜10のアルキル基
を表す)で表されるヒドロキシ化合物は、炭素数1〜1
0の直鎖または分岐鎖を有するアルキル基を示し、具体
的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチ
ル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペ
ンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オク
チル基、n−ノニル基、n−デシル基などを挙げること
ができる。したがって、本発明における一般式(3)で
表されるヒドロキシ化合物を具体的に示すと、例えば、
水、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコー
ル、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコー
ル、iso−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコ
ール、tert−ブチルアルコール、n−ペンチルアル
コール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコ
ール、n−オクチルアルコール、n−ノニルアルコー
ル、n−デシルアルコールなどを挙げることができる。
【0034】本発明における水またはアルコール類の使
用量は、一般式(1)で示される芳香族化合物1モルに
対して1モル以上であればよいが、一般式(1)で示さ
れる芳香族化合物をより転化率よく反応させるため、お
よび、溶媒として機能させるために、やや過剰に添加す
るのが好ましい。
【0035】本発明における塩基としては、トリエチル
アミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリ
アリルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジ
エチルアニリン、ピリジン、N−メチルモルホリンなど
の第三アミン類、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどの
酢酸塩、あるいは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基など
を挙げることができる。
【0036】また、本発明における塩基の使用量は、通
常、一般式(1)で示される芳香族化合物1モルに対し
て1.0〜10.0モル、好ましくは1.0〜5.0モ
ル、さらに好ましくは1.0〜3.0モル使用するのが
よい。1.0モルより少ない場合には、反応が充分に進
行せず、収率低下の原因となり、経済的に不利となり、
また、未反応の一般式(1)で示される芳香族化合物の
除去あるいは回収のために後処理工程に負荷がかかるた
め、好ましくない。また、10.0モルより多く使用し
ても、目的とする安息香酸エステル類の収量にほとんど
変化はなく、過剰に添加した塩基が、未反応のまま、多
量に残るだけであり、経済的に不利となり、また、未反
応の塩基の除去のために後処理工程に負荷がかかるた
め、好ましくない。
【0037】本発明の製造方法の実施方法を説明する。
上述の一般式(1)で示される芳香族化合物、水または
アルコール類、周期律表第VIII族金属の錯化合物お
よび塩基、さらに必要であれば溶媒を反応器に仕込んだ
後、反応器を密閉する。反応は攪拌または無攪拌下で加
熱して行う。系内は一酸化炭素で置換し、常圧下あるい
は加圧下で反応を行う。一酸化炭素圧は、通常、1〜1
00kg/cm2、好ましくは1〜50kg/cm2、さら
に好ましくは2〜10kg/cm2とするのがよい。こ
の範囲より低い場合には、反応が充分に進行せず、収率
低下の原因となり、経済的に不利となる、あるいは、反
応速度が低下して反応終了までに長時間を要するなどの
問題を生ずる場合があり、好ましくない。また、100
kg/cm2より高くしても、反応速度や目的とする一
般式(4)で示される安息香酸類またはエステル類の収
量にほとんど変化はなく、また、反応装置に強度が要求
されるなどの問題が生じるため、好ましくない。
【0038】また、本発明における反応温度は、通常、
30℃〜200℃、好ましくは50℃〜180℃、さら
に好ましくは60℃〜150℃とするのがよい。この範
囲より低い温度の場合には、反応が充分に進行せず、収
率低下の原因となり、経済的に不利となる、あるいは、
反応速度が低下して反応終了までに長時間を要するなど
の問題を生ずる場合があり、好ましくない。また、この
範囲より高い温度の場合には、反応中に分解などが起こ
る場合があり、収率低下の原因となり、経済的に不利と
なり、また、分解生成物などの除去のために後処理工程
に負荷がかかるため、好ましくない。
【0039】
【実施例】次に、本発明が製法について実施例を挙げて
詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。ガスクロマトグラフでの分析は検出器FIDで
行い、特に断りのない限りジアゾメタン処理によりカル
ボン酸基をメチルエステル化した試料について測定を行
った。組成は溶剤のピークを除いた各成分の面積%で表
した。別途注のない限り、圧力はゲージ圧を示す。
【0040】[錯化合物の調製]PdCl2(dpp
b)の調製は公知の方法[J. Coord. Chem.(Engl. Edi
t), 22(1996),563-567]によった。すなわち、攪拌子を
入れた300ml三角フラスコにアセトニトリル100
mlを入れ、そこへ塩化パラジウム0.574gを投入
し、オイルバスで70℃に加温しながら攪拌した。塩化
パラジウムが溶解してから1,4−ビス(ジフェニルホ
スフィノ)ブタン1.382gを投入すると淡黄色の結
晶が沈殿した。約3時間攪拌を続けた後、結晶を濾過し
てアセトニトリルで洗浄しPdCl2(dppb)を得
た。
【0041】また、同様の方法で塩化パラジウムと1,
3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dpp
p)からPdCl2(dppp)を調製した。
【0042】[実施例1]3,5−ビス(トリフルオロ
メチル)ブロモベンゼン:11.24g、トリエチルア
ミン:8.15g、水:5.62g、PdCl2(dp
pb):0.116g、1,4−ビス(ジフェニルホス
フィノ)ブタン:0.082gを100ccの耐圧ガラ
ス製オートクレーブに入れ、一酸化炭素で系内を3回置
換した後、一酸化炭素圧:7.5kg/cm2、105
℃で2.7時間反応させた。
【0043】反応終了後、室温まで冷却し、一酸化炭素
をパージし窒素ガスにより系内を置換した後、反応器を
開けた。反応液にはパラジウム黒の析出は見られなかっ
た。反応液を0.1ml採取し、そこへ5N塩酸をPH<
1になるまで添加した。この混合物に0.5mlのジエ
チルエーテルを添加し、有機成分をエーテル相に抽出し
た。このエーテル相にジアゾメタン処理を施しガスクロ
マトグラフで分析した。その結果3,5−ビス(トリフ
ルオロメチル)安息香酸99.0%、1,3−ビス(ト
リフルオロメチル)ベンゼン0.4%であり、3,5−
ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼンは検出され
なかった。
【0044】[実施例2]3,5−ビス(トリフルオロ
メチル)ブロモベンゼン:11.24g、トリエチルア
ミン:8.15g、水:5.62g、PdCl2(dp
pb):11.6mg、1,4−ビス(ジフェニルホス
フィノ)ブタン:16.4mgを100ccの耐圧ガラ
ス製オートクレーブに入れ、一酸化炭素で系内を3回置
換した後、一酸化炭素圧:7.5kg/cm2、105
℃で6時間反応させた。
【0045】反応終了後、室温まで冷却し、一酸化炭素
をパージし窒素ガスにより系内を置換した後、反応器を
開けた。反応液にはパラジウム黒の析出は見られなかっ
た。反応液を0.1ml採取し、そこへ5N塩酸をPH
<1になるまで添加した。この混合物に0.5mlのジ
エチルエーテルを添加し、有機成分をエーテル相に抽出
した。このエーテル相にジアゾメタン処理を施し、ガス
クロマトグラフで分析したところ、3,5−ビス(トリ
フルオロメチル)安息香酸97.5%、3,5−ビス
(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン2.5%であ
り、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンは検
出されなかった。
【0046】[実施例3]3,5−ビス(トリフルオロ
メチル)ブロモベンゼン:10.0g、トリエチルアミ
ン:3.80g、メタノール:15g、PdCl2(d
ppb):10.3mg、1,4−ジフェニルホスフィ
ノブタン:14.6mgを100ccの耐圧ガラス製オ
ートクレーブに入れ、一酸化炭素で系内を2回置換した
後、一酸化炭素圧:7.5kg/cm2、105℃で6
時間反応させた。
【0047】反応終了後の状態は実施例1の場合と同様
であった。生成物が既にメチルエステル体であるためジ
アゾメタン処理は行わず、それ以外は実施例1と同一の
方法で処理を行いガスクロマトグラフで分析したとこ
ろ、3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸メチ
ル99.5%、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベ
ンゼン0.1%であり、3,5−ビス(トリフルオロメ
チル)ブロモベンゼンは検出されなかった。
【0048】[実施例4]3,5−ビス(トリフルオロ
メチル)ブロモベンゼン:11.24g、トリエチルア
ミン:8.15g、水:5.62g、PdCl2(dp
pp):11.3mg、1,3−ビス(ジフェニルホス
フィノ)プロパン:15.8mgを100ccの耐圧ガ
ラス製オートクレーブに入れ、一酸化炭素で系内を3回
置換した後、一酸化炭素圧:7.5kg/cm2、10
5℃で6時間反応させた。
【0049】反応終了後の状態は実施例1の場合と同様
であった。そこで実施例1と同一の方法で処理を行い、
エーテル相にジアゾメタン処理を施し、ガスクロマトグ
ラフで分析したところ、3,5−ビス(トリフルオロメ
チル)安息香酸98.5%、3,5−ビス(トリフルオ
ロメチル)ブロモベンゼン1.5%であり、1,3−ビ
ス(トリフルオロメチル)ベンゼンは検出されなかっ
た。
【0050】[実施例5]2−クロロ−3,5−ビス
(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン:12.57
g、トリエチルアミン:8.15g、水:5.62g、
PdCl2(dppb):11.6mg、1,4−ビス
(ジフェニルホスフィノ)ブタン:0.0164gを1
00ccの耐圧ガラス製オートクレーブに入れ、一酸化
炭素で系内を3回置換した後、一酸化炭素圧:7.5k
g/cm2、105℃で6時間反応させた。
【0051】反応終了後、室温まで冷却し、一酸化炭素
をパージ、窒素ガスにより系内を置換した後、反応器を
開けた。反応液にはパラジウム黒の析出は見られなかっ
た。反応液を0.1ml採取し5N塩酸を加えpH1以
下に調整した。この混合物にジエチルエーテルを加えて
有機物を抽出した。このエーテル相にジアゾメタン処理
を施し、ガスクロマトグラフで分析したところ、2−ク
ロロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸2
3.2%と未反応原料その他が含まれていた。また、同
じエーテル相をジアゾメタン処理を行わずにGC−マス
スペクトル測定に用いた。 マススペクトル(2−クロロ−3,5−ビス(トリフル
オロメチル)安息香酸):M/Z:292;294(強度比1
0:3:親ピーク)、275;277(強度比10:3)、247;249
(強度比10:3) 228;230(強度比10:3) [実施例6]3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモ
ベンゼン:416g(純度97.4%)、トリエチルア
ミン:302g、水:208g、PdCl2(dpp
b):0.429g、1,4−ビス(ジフェニルホスフ
ィノ)ブタン:0.605gを1リットルのステンレス
製オートクレーブに入れ、一酸化炭素で系内を3回置換
した後、一酸化炭素圧:7.5kg/cm2、105℃
で6時間反応させた。
【0052】反応終了後の状態は実施例1の場合と同様
であった。反応混合物0.1mlを実施例1と同一の方
法で採取、処理し、エーテル相にジアゾメタン処理を施
し、抽出エーテル相をガスクロマトグラフで分析した。
その結果、3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香
酸97.4%、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブ
ロモベンゼン0.2%であり、1,3−ビス(トリフル
オロメチル)ベンゼンは検出されなかった。また反応混
合物全量に塩酸をpH<1になるまで添加し、析出した
固体を集めて水洗後、乾燥した。その結果3,5−ビス
(トリフルオロメチル)安息香酸(純度>99%)33
3.5gを得た(実収率=93.4%)。
【0053】[実施例7]3,5−ビス(トリフルオロメ
チル)クロロベンゼン:11.24g、トリエチルアミ
ン:9.60g、水:6.61g、PdCl2(dpp
b):13.65mg、1,4−ビス(ジフェニルホス
フィノ)ブタン:48.22mgを100ccの耐圧ガ
ラス製オートクレーブに入れ、一酸化炭素で系内を3回
置換した後、一酸化炭素圧10kg/cm2、130℃
で10時間反応させた。
【0054】反応終了後の状態は実施例1の場合と同様
であった。そこで実施例1と同一の方法で処理し、ガス
クロマトグラフで分析したところ、3,5−ビス(トリ
フルオロメチル)安息香酸66.1%、1,3−ビスト
リフルオロメチルベンゼン0.4%であり、未反応の
3,5−ビス(トリフルオロメチル)クロロベンゼンは
33.5%検出された。
【0055】[実施例8]3,5−ビス(トリフルオロ
メチル)ブロモベンゼン:13.00g、トリエチルア
ミン:9.42g、水:6.49g、塩化パラジウム:
3.94mg、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)
ブタン:37.86mgを100ccの耐圧ガラス製オ
ートクレーブに入れ、窒素で系内を2回置換した。その
後、攪拌しながらオートクレーブの温度を65℃に2時
間保った。一酸化炭素圧:7.5kg/cm2、105
℃で6.0時間反応させた。
【0056】反応終了後、室温まで冷却すると反応液中
に黒色のパラジウムが見られた。そこへ冷2N−NaO
Hを加え、pH11以上に調整し、不溶物を濾別した。
濾液を少量とって3N塩酸でpH1以下に調整した。こ
の混合物にジエチルエーテルを添加し、有機成分をエー
テル相に抽出した。このエーテル相にジアゾメタン処理
を施し、ガスクロマトグラフで分析したところ、3,5
−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸50.3%、
1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン0.10
%であり、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモ
ベンゼン49.1%であった。
【0057】[比較例1]3,5−ビス(トリフルオロ
メチル)ブロモベンゼン:11.24g、トリエチルア
ミン:8.14g、水:5.62g、酢酸パラジウム:
43.08mg、トリフェニルホスフィン:150.9
mgを100ccの耐圧ガラス製オートクレーブに入
れ、窒素で系内を3回置換した。一酸化炭素圧:7.5
kg/cm2、105℃で6時間反応させた。
【0058】反応終了後、室温まで冷却すると反応液中
に黒色のパラジウムが見られた。そこで実施例1と同一
の方法で処理を行い、エーテル相にジアゾメタン処理を
施し、ガスクロマトグラフで分析したところ、3,5−
ビス(トリフルオロメチル)安息香酸82%、水素置換
体である1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン
16%であり、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブ
ロモベンゼンは検出されなかった。
【0059】[比較例2]3,5−ビス(トリフルオロ
メチル)ブロモベンゼン:11.24g、トリエチルア
ミン:8.14g、水:5.62g、塩化パラジウム:
34.02mg、トリフェニルホスフィン:150.9
mgを100ccの耐圧ガラス製オートクレーブに入
れ、窒素で系内を3回置換した。一酸化炭素圧:7.5
kg/cm2、105℃で6時間反応させた。
【0060】反応終了後、室温まで冷却すると反応液中
に黒色のパラジウムが見られた。そこで実施例1と同一
の方法で処理を行い、エーテル相にジアゾメタン処理を
施し、ガスクロマトグラフで分析したところ、3,5−
ビス(トリフルオロメチル)安息香酸24%、水素置換
体である1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン
3%、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベン
ゼン71%であった。
【0061】
【発明の効果】医薬品、農薬、各種機能材料などの製造
中間体として有用な化合物であるビス(トリフルオロメ
チル)安息香酸類およびそのエステル類を容易に、か
つ、効率よく製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森野 譲 埼玉県川越市今福中台2805番地 セントラ ル硝子株式会社化学研究所内 (72)発明者 長谷川 政治 埼玉県川越市今福中台2805番地 セントラ ル硝子株式会社化学研究所内 (72)発明者 成塚 智 埼玉県川越市今福中台2805番地 セントラ ル硝子株式会社化学研究所内 (72)発明者 久米 孝司 埼玉県川越市今福中台2805番地 セントラ ル硝子株式会社化学研究所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AB84 AC48 BA19 BA20 BA22 BA23 BA25 BA26 BA32 BA34 BA37 BA49 BA53 BA69 BB11 BB14 BB15 BB16 BB20 BB22 BB24 BB25 BE40 BJ50 BM30 BM71 BP30 BT32 BU26 FE74

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) 【化1】 (式中、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ
    素をいう)、トリフルオロメタンスルホネート基、炭素
    数1〜4のアルキルスルホネート基、置換または非置換
    アリールスルホネート基を表し、Rはトリフルオロメチ
    ル基、トリフルオロメチルオキシ基、ハロゲン(前記に
    同じ)、ニトロ基、アセチル基、シアノ基、炭素数1〜
    4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数
    2〜5のアルコキシカルボニル基を表し、nは0または
    1〜3の整数を表す。)で表される芳香族化合物を周期
    律表第VIII族金属の化合物と一般式(2) (R12P−Q−P(R12 (2) (式中、R1はそれぞれ独立にフェニル基、o−メチル
    フェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニ
    ル基を表し、Qは二価の基を表す)で表されるホスフィ
    ン類と塩基の存在下一酸化炭素と一般式(3) R2OH (3) (式中、R2は水素または炭素数1〜10のアルキル基
    を表す)で表されるヒドロキシ化合物を反応させること
    からなる一般式(4) 【化2】 (式中、R、R2、nは前記に同じ)で表される安息香
    酸類または安息香酸エステル類の製造方法。
  2. 【請求項2】Xがハロゲン(フッ素、塩素、臭素または
    ヨウ素)である請求項1記載の安息香酸類または安息香
    酸エステル類の製造方法。
  3. 【請求項3】Xが臭素またはヨウ素であって、Rがフッ
    素、塩素、臭素またはヨウ素である請求項1記載の安息
    香酸類または安息香酸エステル類の製造方法。
  4. 【請求項4】一般式(1)で表される芳香族化合物が、
    一般式(5) 【化3】 (式中、Yは臭素またはヨウ素を表す)で表されるハロ
    ゲノ−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンである請求
    項1記載の安息香酸類または安息香酸エステル類の製造
    方法。
  5. 【請求項5】一般式(1)で表される芳香族化合物が、
    3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン、
    3,5−ビス(トリフルオロメチル)ヨードベンゼンま
    たは2−クロロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)
    ブロモベンゼンである請求項1記載の安息香酸類または
    安息香酸エステル類の製造方法。
  6. 【請求項6】一般式(3)で表されるヒドロキシ化合物
    が、水、メタノールまたはエタノールである請求項1乃
    至5記載の安息香酸類または安息香酸エステル類の製造
    方法。
  7. 【請求項7】周期律表第VIII族金属が鉄、コバル
    ト、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジ
    ウムおよびオスミウムから選ばれた金属である請求項1
    乃至6の何れかに記載の安息香酸類または安息香酸エス
    テル類の製造方法。
  8. 【請求項8】周期律表第VIII族金属がパラジウムで
    ある請求項7記載の安息香酸類または安息香酸エステル
    類の製造方法。
  9. 【請求項9】周期律表第VIII族金属の化合物が塩化
    パラジウムまたは酢酸パラジウムである請求項1乃至6
    の何れかに記載の安息香酸類または安息香酸エステル類
    の製造方法。
  10. 【請求項10】周期律表第VIII族金属の化合物が一
    般式(6) (L1b(L2aM (6) (式中、L1は一般式(2) (R12P−Q−P(R12 (2) (式中、R1はそれぞれ独立にフェニル基、o−メチル
    フェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニ
    ル基を表し、Qは二価の基を表す)で表されるホスフィ
    ンまたは一般式(7) P(L)3 (7) (式中、Lはそれぞれ独立に低級アルキル基、フェニル
    基、低級アルキル基置換フェニル基を表す)で表される
    ホスフィンであり、L2は塩素、臭素、ヨウ素、S、N
    O、CO、CH3COO−、シクロペンタジエニル、シ
    クロオクタジエン、ジフェニルアセチレンから選ばれた
    配位子を表し、Mは周期律表第VIII族金属を表し、
    a、bは1または2を表す)で表される錯化合物である
    請求項1乃至8の何れかに記載の安息香酸類または安息
    香酸エステル類の製造方法。
  11. 【請求項11】一般式(6)で表される錯化合物が、ジ
    クロロ[1,4−ブタンジイルビス(ジフェニルホスフ
    ィン)P,P’]パラジウム(PdCl2(dpp
    b))、ジクロロ[1,3−プロパンジイルビス(ジフ
    ェニルホスフィン)P,P’]パラジウム(PdCl2
    (dppp))またはジクロロビス(トリフェニルホス
    フィノ)パラジウム(PdCl2〔P(Ph)32)で
    ある請求項1乃至8の何れかに記載の安息香酸類または
    安息香酸エステル類の製造方法。
  12. 【請求項12】ホスフィン類が1,3−ビス(ジフェニ
    ルホスフィノ)プロパンまたは1,4−ビス(ジフェニ
    ルホスフィノ)ブタンである請求項11に記載の安息香
    酸類または安息香酸エステル類の製造方法。
  13. 【請求項13】反応系中に、周期律表第VIII族金属
    1モルに対し、単独で加えた一般式(2)で表されるホ
    スフィン類と周期律表第VIII族金属の化合物に含ま
    れた一般式(2)で表されるホスフィン類の合計量1〜
    100モルを存在させる請求項1乃至12の何れかに記
    載の安息香酸類または安息香酸エステル類の製造方法。
  14. 【請求項14】2−クロロ−3,5−ビス(トリフルオ
    ロメチル)安息香酸。
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