JP3466734B2 - フッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜とその製造方法 - Google Patents
フッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜とその製造方法Info
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Description
密ろ過膜として使用される多孔質膜、あるいは電池用セ
パレ−タ−として使用される多孔質膜に関し、さらに詳
細には両面の平均孔径の異なる非対称構造を有し、破断
点応力、破断点伸度などの機械的強度に優れ、かつ孔径
分布幅の狭いフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜ならびに
その製造方法に関する。
分離、気液分離、固液分離などの分離膜として、あるい
は絶縁材、保温材、遮音材、断熱材などとして多方面に
利用されている。これらの内、特に分離膜として使用さ
れる場合には分離機能に影響を与える以下の特性が要求
される。まず、多孔質膜の分離効率を目的とする適度な
空孔率を有すること、分離精度の向上を目的とした均一
な孔径分布を有すること、加えて分離対象物に最適な孔
径を有することが求められる。また、膜構成素材の性質
としては、分離対象物の特性に対する耐薬品性、耐候
性、耐熱性、強度等が要求される。さらに、多孔質膜使
用時における機械的強度として充分な破断点伸度、破断
点応力などが要求される。現在、フッ化ビニリデン系樹
脂は耐候性、耐薬品性、耐熱性、強度等に優れているた
め、これら分離用多孔質膜への応用が検討されている。
しかしながら、フッ化ビニリデン系樹脂は、前記した優
れた特性を有する反面、非粘着性、低相溶性であるため
成形性は必ずしもよくない。また、多孔質膜の開発とし
ては分離性能向上を目的とした高い空孔率、狭い孔径分
布を追求する余り、機械的強度において満足すべきもの
は得られていなかった。このため強度を補充するため
に、ろ過膜として使用する場合には多孔質膜にサポ−ト
する膜を重ね合わせて機械的物性を高めて使用している
のが現状である。また、電池用セパレ−タ−に使用され
る場合などには、多孔質膜が芯材に巻き付けて使用され
ることから、電池製造時の巻き付け工程に耐えうる十分
な破断点伸度、破断点応力等の機械的物性を有すること
が望まれる。加えて電池用セパレーターに使用される際
には、電極に使用される活物質の微粉末を遮断できる分
布幅の狭い貫通孔径と多孔質膜を芯材に巻き付けた後に
行われる電解液の高効率な含浸性が望まれている。また
精密濾過膜として使用される際には、長期間に亘って高
い濾過性を保持することが望まれている。特開平3−2
15535号公報には、ポリフッ化ビニリデン樹脂にフ
タル酸ジエチル等の有機液状体と無機微粉体として疎水
性シリカを混合し、溶融成形後に有機液状体と疎水性シ
リカを抽出する方法が記載されており、この方法により
得られる多孔質膜は比較的大きい機械的強度を有する。
しかしこの多孔質膜は膜の両面の平均孔径が比較的均一
であり、本発明で提供される程度の非対称構造を有する
多孔質膜ではなく、従って前記のように電池セパレータ
ーに使用する際の電解液の高効率な含浸性、または精密
濾過膜として使用する際の長期間に亘る高い透過性につ
いては期待できない。さらに、疎水性シリカを抽出する
ためにアルカリ水溶液を用いることから、フッ化ビニリ
デン系樹脂が劣化しやすい。
する際の電解液の高効率な含浸性、精密濾過膜として使
用する際の長期間に亘る高い透過性を有し、さらに破断
点伸度や破断点応力等の機械的強度に優れた非対称構造
を有するフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜およびその製
造方法を提供することである。
に鑑み鋭意研究したところ、特定のインヘレント粘度を
有するフッ化ビニリデン系樹脂と特定の可塑剤などを用
いて溶融押出成形により製膜し、特定の後処理をした場
合に、電池セパレーターに使用する際の電解液の含浸の
効率性や精密濾過膜として使用する際の長期間に亘る透
過性に優れ、さらに破断点応力ならびに破断点伸度など
の機械的物性に優れた非対称型フッ化ビニリデン系樹脂
多孔質膜が製造されることを見い出し、本発明を完成す
るに至った。
しているフッ化ビニリデン系樹脂のインヘレント粘度が
1.3〜15.0(dl/g)であり、次式(A)を満
足し、P1が0.89μm以下であることを特徴とする
フッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜が提供される。
測定した平均孔径(μm)、P2は他方の片表面の電子
顕微鏡で測定した平均孔径(μm)である。}
定した孔径P3に対するバブルポイント法で測定した孔
径P4の比P4/P3が2.0以下である前記フッ化ビニ
リデン系樹脂多孔質膜が提供される。
孔率φを考慮して、多孔質膜の破断点応力Tb(MP
a)と破断点伸度Eb(%)の積を空孔率0%に換算し
た値が、次式(B)を満足することを特徴とする前記フ
ッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜が提供される。
a)、Ebは破断点伸度(%)である。}
1.4〜15.0(dl/g)であるフッ化ビニリデン
系樹脂100重量部に対し、可塑剤として脂肪族系ポリ
エステルを30〜250重量部を添加し、得られた組成
物を押し出した溶融状態のフィルムの片面を温度150
℃以下のチルロールで冷却し、他の片面を空冷して製膜
した後、フィルムから可塑剤を抽出することを特徴とす
る次式(A)を満足するフッ化ビニリデン系樹脂多孔質
膜の製造方法が提供される。
m)、P2は他方の片表面の平均孔径(μm)であ
る。}
1.4〜15.0(dl/g)であるフッ化ビニリデン
系樹脂100重量部に対し、可塑剤として脂肪系ポリエ
ステルを30〜250重量部およびフッ化ビニリデン系
樹脂の良溶媒を1〜50重量部を添加し、得られた組成
物を押し出した溶融状態のフィルムの片面を温度150
℃以下のチルロールで冷却し、他の片面を空冷して製膜
した後、可塑剤および良溶媒をフィルムから抽出するこ
とを特徴とする次式(A)を満足するフッ化ビニリデン
系樹脂多孔質膜の製造方法が提供される。
m)、P2は他方の片表面の平均孔径(μm)であ
る。}
乾燥を多孔質膜の収縮を防ぎながら行うことを特徴とす
る前記フッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜の製造方法が提
供される。
の乾燥を多孔質膜を固定しない状態で行い、次いで延伸
することを特徴とする前記フッ化ビニリデン系樹脂多孔
質膜の製造方法が提供される。以下、詳細に本発明を説
明する。
とは、フッ化ビニリデン単独重合体の他、フッ化ビニリ
デンを構成単位として70モル%以上含有する共重合
体、あるいはこれら重合体の混合物を使用することがで
きる。フッ化ビニリデンと共重合されるモノマ−として
は、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化
エチレン、三フッ化塩化エチレン、フッ化ビニル等が挙
げられ、これらの1種または2種以上を用いることがで
きる。また、原料となる前記フッ化ビニリデン系樹脂の
インヘレント粘度としては、1.4〜15.0(dl/
g)の範囲であり、好ましくは1.5〜10.0(dl
/g)、さらに好ましくは1.6〜8.0(dl/g)
である。原料のフッ化ビニリデン系樹脂のインヘレント
粘度がこの範囲にあれば、得られる多孔質膜の破断点伸
度、破断点応力等の充分な機械的強度を有する多孔質膜
が形成され、また、孔径も均一な多孔質膜が形成され
る。なお、本発明におけるインヘレント粘度は、溶媒と
してジメチルホルムアミドを用いて濃度0.4g/d
l、温度30℃の条件で測定した値である。また原料と
なるフッ化ビニリデン系樹脂のインヘレント粘度が前記
範囲にあれば、得られる本発明の多孔質膜を構成するフ
ッ化ビニリデン系樹脂のインヘレント粘度も原料のそれ
と殆ど変わらず、1.3〜15(dl/g)の範囲とな
る。なお、フッ化ビニリデン系樹脂には、酸化防止剤、
帯電防止剤、滑剤、界面活性剤などを必要に応じて適宜
配合することができる。
ビニリデン系樹脂を可塑化するものであり、例えばアジ
ピン酸−プロピレングリコ−ル系、アジピン酸−1,3
−ブチレングリコ−ル系等のアジピン酸系ポリエステ
ル、セバシン酸−プロピレングリコール系、セバシン酸
−1,3−ブチレングリコール系等のセバシン酸系ポリ
エステル、アゼライン酸−プロピレングリコール系、ア
ゼライン酸−1,3−ブチレングリコール系等のアゼラ
イン酸系ポリエステル等の脂肪族の二塩基酸とグリコー
ルからなる脂肪族系ポリエステル可塑剤が例示される
が、フッ化ビニリデン系樹脂との相溶性の点から特にア
ジピン酸系ポリエステルが好ましい。また、可塑剤の配
合量は、フッ化ビニリデン系樹脂100重量部に対し3
0〜250重量部であり、好ましくは40〜170重量
部、より好ましくは50〜120重量部である。
デン系樹脂の良溶媒を併用することが好ましい。これに
より、比P4/P3で表される孔径分布幅のより狭い多孔
質膜を得ることができる。フッ化ビニリデン系樹脂の良
溶媒としては、温度20〜250℃の範囲内のいずれか
の温度領域でフッ化ビニリデン系樹脂を溶解できるもの
であり、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシ
ド、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、酢酸エチル、プロピレンカーボネー
ト、シクロヘキサン、メチルイソブチルケトン、ジメチ
ルフタレート等が挙げられるが、高温での安定性からN
−メチルピロリドンが好ましい。また、良溶媒の配合割
合はフッ化ビニリデン系樹脂100重量部に対して1〜
50重量部用いることが好ましく、より好ましくは10
〜35重量部の範囲である。
の製造方法としては、フッ化ビニリデン系樹脂に可塑
剤、あるいは更に良溶媒を添加した組成物を製膜したの
ち、可塑剤あるいはさらに良溶媒を抽出する。前記製膜
法としては、一般的なフッ化ビニリデン系樹脂の溶融押
出成形法を採用することができる。成形時の樹脂組成物
の溶融温度としては170〜250℃が好ましく、より
好ましくは180〜240℃である。押出は好ましくは
Tダイを用い、厚さ10〜300μm、より好ましくは
20〜100μmの範囲に製膜する。その際、押し出し
た溶融状態のフィルムの片面を、150℃以下、好まし
くは30〜100℃のチルロールで冷却し、他の片面を
空冷することが好ましい。その際の空冷に関しては、エ
アーナイフ等を用いて行ってもよい。このように片面を
他の片面に比べ急冷することにより、後記抽出を経て非
対称型のフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜が得られる。
は更に良溶媒を抽出するための溶媒としては、フッ化ビ
ニリデン系樹脂を溶解せず、可塑剤や良溶媒を溶解でき
るものであれば特に限定されない。例えば、アルコ−ル
類ではメタノ−ル、イソプロピルアルコ−ルなど、塩素
化炭化水素類では塩化メチレン、1,1,1−トリクロ
ロエタンなどの溶媒を例示できる。
50℃、好ましくは15〜100℃、さらに好ましくは
20〜50℃の抽出溶媒中に放置する。また、適宜振動
を加え抽出を加速することができる。可塑剤あるいは良
溶媒抽出後は、多孔質膜の乾燥のため温度50〜150
℃で、0.5〜360分間熱処理をする。その乾燥の
際、多孔質膜の周囲を型枠等で保持し、乾燥時の収縮を
防ぐか、または、抽出と乾燥時の多孔質膜を固定しない
状態で行った後、乾燥時の収縮によるしわがとれる程度
まで一軸または二軸に延伸することが好ましい。
多孔質膜が得られるが、機械的強度を向上させるために
これを更に一軸または二軸延伸してもよい。延伸は1.
5〜3倍が好ましい。この様に延伸された多孔質膜も前
記式(A)を満足し、本発明のフッ化ビニリデン系樹脂
多孔質膜である。
常、空孔率が20〜80%であり、好ましくは25〜6
0%であり、膜厚10〜300μm、好ましくは10〜
100μmの範囲であり、ハーフドライ法で測定した孔
径P3が0.01〜10μmであり、バブルポイント法
で測定した孔径P4の比P4/P3は2.0以下、より好
ましくは1.8以下である。このように比P4/P3が小
さいため、すなわち孔径分布幅が狭いため、分離膜とし
て高精度の分離機能を発揮する。P4が10.0μm以
下の膜は精密ろ過膜に適し、P3が0.01〜2.0μ
mの膜は電池用セパレ−タ−などに使用できる。また前
記のようにして得られる本発明の多孔質膜は、次式
(A)を満足するものであり、特に好ましくは次式
(B)をも満足するものである。その際、さらに好まし
くは式(B)の左辺の値は5000〜50000の範囲
である。
m)、P2は他方の片表面の平均孔径(μm)であ
る。} (B) [Tb×Eb/(100−φ)]×100≧1
000 {φは空孔率(体積%)、Tbは破断点応力(MP
a)、Ebは破断点伸度(%)である。}
れる際の電極への巻き付け操作に対しても耐えうる十分
な機械的強度を有し、活物質の微粉末を遮断し得る分布
幅の狭い貫通孔径を有し、さらに片面の平均孔径が他表
面の平均孔径より大きい非対称構造であるため、巻き付
けた後の電解液が含浸しやすいという特徴を有する。ま
た精密濾過膜として使用された場合には、十分な分離機
能を有すると共に、長期間に亘って高い透過性を発揮す
る。
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、実施例、比較例における測定は下記方法に依った。
(テンシロンRTM−100型、(株)オリエンテック
社製)を用いてフッ化ビニリデン系樹脂多孔質平膜を幅
10mm×長さ100mmに切り取り試験片とした。こ
の試験片をチャック間距離50mm、引張速度25mm
/分の条件下で破断強度および破断までの伸び量を測定
し、次の式から破断点応力および破断点伸度を求めた。
f)/試験片の引張前の断面積(cm2)]×0.09
81, 破断点伸度(%)=[破断までの伸び量(変位量)(m
m)/50(mm)]×100
orous Materials社製)により水銀を用
いた空孔容積を測定し、次の式から空孔率を求めた。な
お、測定時の最大圧力は20,000PSI(1,40
6kg/cm2)とした。
0mmφの試験片を用いASTM F−316−86に
準拠したエタノ−ルによるハ−フドライ法によって求め
た。
0mmφの試験片を用いASTM F−316−86に
準拠したエタノ−ルによるバブルポイント法によって求
めた。
を走査型電子顕微鏡写真で観察し、開孔部100個の長
径と短径の平均を加重平均することにより求めた。
(dl/g)のポリフッ化ビニリデン樹脂「PVDF」
(呉羽化学工業株式会社製、KF#1600)100重
量部に対して、アジピン酸系ポリエステル可塑剤(旭電
化工業株式会社製,PN−640)50重量部をヘンシ
ルミキサ−で混合した後、温度240℃で溶融押し出し
しペレット化した。得られたペレットを幅350mm、
リップクリアランス1.4mmのTダイを設置した溶融
押出機で、温度240℃で厚さ50μmのフィルム状に
溶融押し出しし、一表面を温度60℃のチルロールで反
対表面をエアーナイフで冷却しながら連続したフィルム
を成形した。成形されたフィルムを200mm四方に切
り出し、塩化メチレン中に振動を与えながら室温で10
分間浸漬して可塑剤を抽出し、収縮を防ぐため型枠で四
辺を保持した状態で100℃で乾燥熱処理を30分間行
い、フッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜を得た。得られた
フッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜を構成しているポリフ
ッ化ビニリデン樹脂のインヘレント粘度、多孔質膜の空
孔率、平均孔径P1〜P2、孔径P3〜P4、および破断点
応力、破断点伸度を測定した。結果を表−1に示す。こ
こでP1はチルロールで冷却した面の平均孔径であり、
P2はエアーナイフで冷却した面の平均孔径である。
(dl/g)のポリフッ化ビニリデン樹脂「PVDF」
(呉羽化学工業株式会社製、KF#1600)100重
量部に対して、アジピン酸系ポリエステル可塑剤(旭電
化工業株式会社製,PN−640)50重量部およびN
−メチルピロリドン17重量部をヘンシルミキサ−で混
合したのち、温度240℃で溶融押し出しし、ペレット
化した。得られたペレットを幅350mm、リップクリ
アランス1.4mmのTダイを設置した溶融押出機で、
温度240℃で厚さ50μmのフィルム状に溶融押し出
しし、一表面を温度60℃のチルロールで冷却し、反対
表面を室温で空冷しながら連続フィルムを成形した。成
形された連続フィルムを塩化メチレン中で、超音波を当
てながら室温で10分間浸漬して可塑剤および良溶媒を
連続抽出し、50℃の温風を当てながら得られる多孔質
膜を固定しない状態で乾燥させ巻き取った後、30℃の
金属ロール間で1m/分のライン速度で1.5倍の一軸
延伸を行い、100℃の金属ロール上で2分間熱処理を
行い、連続したフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜を得
た。得られたフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜を構成し
ているポリフッ化ビニリデン樹脂インヘレント粘度、多
孔質膜の空孔率、平均孔径P1〜P2、孔径P3〜P4、お
よび破断点応力、破断点伸度を測定した。結果を表−1
に示す。ここでP1はチルロールで冷却した面の平均孔
径であり、P2は空冷した面の平均孔径である。
(dl/g)のポリフッ化ビニリデン樹脂「PVDF」
(呉羽化学工業株式会社製、KF#1600)100重
量部に対して、アジピン酸系ポリエステル可塑剤(旭電
化工業株式会社製,PN−150)117重量部および
N−メチルピロリドン17重量部をヘンシルミキサ−で
混合した後、温度200℃で溶融押し出しし、ペレット
化した。得られたペレットを幅350mm、リップクリ
アランス1.4mmのTダイを設置した溶融押出機で、
温度180℃で厚さ50μmのフィルム状に溶融押し出
しし、一表面を温度60℃のチルロールで反対面をエア
ナイフで冷却しながら連続したフィルムを成形した。可
塑剤および良溶媒の抽出、さらに乾燥熱処理は実施例1
と同様の方法で行い、フッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜
を得た。得られたフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜に対
し実施例1と同様の測定方法により膜性状および機械的
物性を測定した。結果を表−1に示す。ここでP1はチ
ルロールで冷却した面の平均孔径であり、P2はエアー
ナイフで冷却した面の平均孔径である。
脂多孔質膜 ミリポア製 デュラポアGVHP0001
0を用いて、実施例1〜3と同様の性状項目について測
定した。結果を表−1に示す。
樹脂多孔質膜の製造方法によれば、充分な破断点応力、
破断点伸度を有する非対称型の多孔質膜が得られた。本
発明による溶融押出成形以外の方法で得られた従来品
(比較例1)と比較しても、孔径分布幅は使用上、従来
品と遜色なかった。
膜の製造方法によれば、破断点応力、破断点伸度等の機
械的強度に優れた多孔質膜を得ることができる。しか
も、得られた多孔質膜は孔径分布幅が狭いため、より精
度の高い分離が可能となる。また、本発明によるフッ化
ビニリデン系樹脂多孔質膜は、高い機械的強度を有する
ため、補強材等による支持が不要であり、製造上ならび
に使用上極めて有用性が高い。更に両面の平均孔径の異
なる非対称型の多孔質膜であるので、高い透過性を長期
間保持することができ、電池セパレーターとして使用す
る際の電解液の含浸効率がよい。
Claims (7)
- 【請求項1】 多孔質膜を構成しているフッ化ビニリデ
ン系樹脂のインヘレント粘度が1.3〜15.0(dl
/g)であり、次式(A)を満足し、P1が0.89μ
m以下であることを特徴とするフッ化ビニリデン系樹脂
多孔質膜。 【数1】 (A) 4.0<P1/P2≦10.0 {P1は大きい平均孔径を有する片表面の電子顕微鏡で
測定した平均孔径(μm)、P2は他方の片表面の電子
顕微鏡で測定した平均孔径(μm)である。} - 【請求項2】 ハーフドライ法で測定した孔径P3に対
するバブルポイント法で測定した孔径P4の比P4/P
3が2.0以下である請求項1記載のフッ化ビニリデン
系樹脂多孔質膜。 - 【請求項3】 多孔質膜に関して空孔率φを考慮して、
多孔質膜の破断点応力Tb(MPa)と破断点伸度Eb
(%)の積を空孔率0%に換算した値が、次式(B)を
満足することを特徴とする請求項1または2記載のフッ
化ビニリデン系樹脂多孔質膜。 【数2】 (B) [Tb×Eb/(100−φ)]×100≧1000 {φは空孔率(体積%)、Tbは破断点応力(MP
a)、Ebは破断点伸度(%)である。} - 【請求項4】 インヘレント粘度が1.4〜15.0
(dl/g)であるフッ化ビニリデン系樹脂100重量
部に対し、可塑剤として脂肪族系ポリエステルを30〜
250重量部を添加し、得られた組成物を押し出した溶
融状態のフィルムの片面を温度150℃以下のチルロー
ルで冷却し、他の片面を空冷して製膜した後、フィルム
から可塑剤を抽出することを特徴とする次式(A)を満
足するフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜の製造方法。 【数3】 (A) 4.0<P1/P2≦10.0 {P1は大きい平均孔径を有する片表面の電子顕微鏡で
測定した平均孔径(μm)、P2は他方の片表面の電子
顕微鏡で測定した平均孔径(μm)である。} - 【請求項5】 インヘレント粘度が1.4〜15.0
(dl/g)であるフッ化ビニリデン系樹脂100重量
部に対し、可塑剤として脂肪系ポリエステルを30〜2
50重量部およびフッ化ビニリデン系樹脂の良溶媒を1
〜50重量部を添加し、得られた組成物を押し出した溶
融状態のフィルムの片面を温度150℃以下のチルロー
ルで冷却し、他の片面を空冷して製膜した後、可塑剤お
よび良溶媒をフィルムから抽出することを特徴とする次
式(A)を満足するフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜の
製造方法。 【数4】 (A) 4.0<P1/P2≦10.0 {P1は大きい平均孔径を有する片表面の電子顕微鏡で
測定した平均孔径(μm)、P2は他方の片表面の電子
顕微鏡で測定した平均孔径(μm)である。} - 【請求項6】 抽出後の多孔質膜の乾燥を多孔質膜の収
縮を防ぎながら行うことを特徴とする請求項4または5
記載のフッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜の製造方法。 - 【請求項7】 抽出後の多孔質膜の乾燥を多孔質膜を固
定しない状態で行い、次いで延伸することを特徴とする
請求項4または5記載のフッ化ビニリデン系樹脂多孔質
膜の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26142594A JP3466734B2 (ja) | 1993-10-05 | 1994-09-30 | フッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5-273045 | 1993-10-05 | ||
JP27304593 | 1993-10-05 | ||
JP26142594A JP3466734B2 (ja) | 1993-10-05 | 1994-09-30 | フッ化ビニリデン系樹脂多孔質膜とその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07173323A JPH07173323A (ja) | 1995-07-11 |
JP3466734B2 true JP3466734B2 (ja) | 2003-11-17 |
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ID=26545063
Family Applications (1)
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