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JP2016134610A - Iii族窒化物半導体素子とその製造方法 - Google Patents

Iii族窒化物半導体素子とその製造方法 Download PDF

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Masaru Hori
勝 堀
修 小田
Osamu Oda
小田  修
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Makoto Sekine
誠 関根
博基 近藤
Hiroki Kondo
博基 近藤
健治 石川
Kenji Ishikawa
健治 石川
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Abstract

【課題】 基板と半導体層との間の熱膨張係数差に起因するクラックの発生または反りの発生を抑制するIII 族窒化物半導体素子とその製造方法を提供することである。
【解決手段】 第1のIII 族窒化物層形成工程では、III 族元素を含有する第1のガスをプラズマ化しないで基板10に供給するとともに少なくとも窒素ガスを含有する第2のガスをプラズマ化して基板10に供給して、第1のIII 族窒化物層としてバッファ層20を形成する。第2のIII 族窒化物層形成工程では、III 族元素を含有する第1のガスをプラズマ化しないでバッファ層20に供給するとともに少なくとも窒素ガスを含有する第2のガスをプラズマ化してバッファ層20に供給して、第2のIII 族窒化物層としてAlN層30を形成する。
【選択図】図1

Description

本明細書の技術分野は、HEMT素子や半導体レーザー素子等の反りを抑制するIII 族窒化物半導体素子とその製造方法に関する。
GaNに代表されるIII 族窒化物半導体では、絶縁破壊電界の強度が高く、かつ融点が高い。そのため、III 族窒化物半導体は、GaAs系半導体に代わる、高出力、高周波、高温用の半導体デバイスの材料として期待されている。そのため、III 族窒化物半導体を用いるHEMT素子などが研究開発されている。
例えば、電子走行層としてGaNを用い、電子供給層としてn−AlGaNを用いるHEMT素子が開発されている(特許文献1の段落[0002]および図2等参照)。このHEMT素子は、チャネル層の表面において高いキャリア濃度を有する。また、HEMT素子における電子の移動度も大きい。そのため、高速高周波トランジスタとして鋭意研究開発がなされてきている。特に、III 族窒化物半導体は、シリコンよりもバンドギャップが大きい。そのため、III 族窒化物半導体では、耐圧性が優れており、高温条件での動作が可能である。したがって、III 族窒化物半導体は、シリコンに代わるパワーデバイスとして有望である。
また、非特許文献1では、III 族窒化物半導体を用いた発光素子について種々の成果が記載されている。
特開2003−179082号公報
T. Egawa and O. Oda, "III-Nitride Based Light Emitting Diodes and Applications" (Springer, 2013) Chapter 3.
ところで、MOCVD法等の従来の結晶成長方法では、一般に、基板温度が1000℃以上の条件下で半導体層を成長させる。この場合には、基板と半導体層との間で熱膨張係数差は大きい。そのため、基板と半導体層との間の境界付近に応力が発生しやすい。その結果、基板に反りが生じたり、半導体層にクラックが入ったりすることがある。
本明細書の技術は、前述した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。その課題とは、基板と半導体層との間の熱膨張係数差に起因するクラックの発生または反りの発生を抑制するIII 族窒化物半導体素子とその製造方法を提供することである。
第1の態様におけるIII 族窒化物半導体素子の製造方法は、基板を準備する基板準備工程と、基板に第1のIII 族窒化物層を形成する第1のIII 族窒化物層形成工程と、第1のIII 族窒化物層に第2のIII 族窒化物層を形成する第2のIII 族窒化物層形成工程と、を有する。第1のIII 族窒化物層形成工程では、III 族元素を含有する第1のガスをプラズマ化しないで基板に供給するとともに少なくとも窒素ガスを含有する第2のガスをプラズマ化して基板に供給して、第1のIII 族窒化物層としてバッファ層を形成する。第2のIII 族窒化物層形成工程では、III 族元素を含有する第1のガスをプラズマ化しないで第1のIII 族窒化物層に供給するとともに少なくとも窒素ガスを含有する第2のガスをプラズマ化して第1のIII 族窒化物層に供給して、第2のIII 族窒化物層を形成する。
この製造方法では、半導体層を従来に比べて低温で成長させることができる。そのため、基板と半導体層との間の熱膨張係数差に起因する反りは発生しにくい。また、この製造方法では、MOCVD法のようにアンモニアを使用する必要がない。そのため、この製造方法は、従来の製造方法に比べて原料コストが安い。また、この製造装置では、アンモニアを除去するための除害装置を設ける必要がない。また、この製造方法は、十分に速い成長速度で半導体層を成長させることができる。
第2の態様におけるIII 族窒化物半導体素子の製造方法においては、第1のIII 族窒化物層形成工程では、基板の温度を0℃以上500℃以下の範囲内とする。第2のIII 族窒化物層形成工程では、基板の温度を0℃以上900℃以下の範囲内とする。
第3の態様におけるIII 族窒化物半導体素子の製造方法においては、第2のIII 族窒化物層形成工程では、第2のIII 族窒化物層としてAlN層もしくはAlInN層もしくはAlGaN層を形成する。
第4の態様におけるIII 族窒化物半導体素子の製造方法においては、基板準備工程では、単結晶基板を用いる。第2のIII 族窒化物層形成工程では、単結晶から成る第2のIII 族窒化物層を形成する。
第5の態様におけるIII 族窒化物半導体素子の製造方法においては、基板準備工程では、多結晶基板を用いる。第2のIII 族窒化物層形成工程では、多結晶から成る第2のIII 族窒化物層を形成する。
第6の態様におけるIII 族窒化物半導体素子の製造方法は、第2のIII 族窒化物層に第3のIII 族窒化物層を形成する第3のIII 族窒化物層形成工程を有する。第3のIII 族窒化物層形成工程では、MOS型HEMT素子、MIS型HEMT素子、半導体レーザー素子、半導体発光素子、スマートカット用基板、熱放出材のうちのいずれかの素子構造を形成する。
第7の態様におけるIII 族窒化物半導体素子は、基板と、基板の上の第1のIII 族窒化物層と、第1のIII 族窒化物層の上の第2のIII 族窒化物層と、を有する。第1のIII 族窒化物層は、III 族元素を含有する第1のガスをプラズマ化しないで基板に供給するとともに少なくとも窒素ガスを含有する第2のガスをプラズマ化して基板に供給することにより形成されたバッファ層である。第2のIII 族窒化物層は、III 族元素を含有する第1のガスをプラズマ化しないで第1のIII 族窒化物層に供給するとともに少なくとも窒素ガスを含有する第2のガスをプラズマ化して第1のIII 族窒化物層に供給することにより形成された層である。
第8の態様におけるIII 族窒化物半導体素子は、第2のIII 族窒化物層は、AlN層もしくはAlInN層もしくはAlGaN層である。
第9の態様におけるIII 族窒化物半導体素子においては、基板は、単結晶基板である。第2のIII 族窒化物層は、III 族窒化物単結晶層を有する。
第10の態様におけるIII 族窒化物半導体素子においては、基板は、III 族窒化物から成る多結晶基板である。第2のIII 族窒化物層は、III 族窒化物多結晶層を有する。
本明細書では、基板と半導体層との間の熱膨張係数差に起因するクラックの発生または反りの発生を抑制するIII 族窒化物半導体素子とその製造方法が提供されている。
第1の実施形態における積層体の構造を示す概略構成図である。 実施形態における製造装置の概略構成を示す図である。 第2の実施形態における半導体レーザー素子の構造を示す概略構成図である。 第3の実施形態におけるHEMT素子の構造を示す概略構成図(その1)である。 第3の実施形態におけるHEMT素子の構造を示す概略構成図(その2)である。 第3の実施形態におけるHEMT素子の構造を示す概略構成図(その3)である。 第3の実施形態における熱放出材の構造を示す概略構成図である。 第3の実施形態におけるスマートカット用の基板を示す概略構成図である。 実施例1における基板温度とX線の回折強度を示すグラフである。 実施例2における基板および半導体層の断面を示す走査型顕微鏡写真である。 実施例2における多結晶基板および多結晶膜を斜め入射シンクロトロン光XRDで解析した結果を示すグラフである。
以下、具体的な実施形態について、III 族窒化物半導体素子とその製造方法を例に挙げて図を参照しつつ説明する。なお、図面中の各層の厚みの比率は、実際の比率を反映したものではない。
(第1の実施形態)
第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、半導体を積層するための積層体について説明する。
1.積層体
1−1.積層体の構造
本実施形態の積層体A1は、図1に示すように、基板10と、バッファ層20と、AlN層30と、を有している。AlN層30は、高品質な半導体単結晶である。そのため、後述するように、AlN層30の上には、その他の半導体素子の構造を形成することができる。
基板10は、III 族窒化物層を成長させるための成長基板である。基板10として、例えば、c面サファイア単結晶基板、Si単結晶基板が挙げられる。
バッファ層20は、第1のIII 族窒化物層である。バッファ層20は、その上にIII 族窒化物層を成長させるためのものである。バッファ層20は、基板10の上に形成されている。バッファ層20として、例えば、AlNやGaNが挙げられる。
AlN層30は、第2のIII 族窒化物層である。AlN層30は、その上にIII 族窒化物半導体層を成長させるためのものである。AlN層30は、バッファ層20の上に形成されている。
1−2.積層体の効果
積層体A1は、III 族窒化物半導体層を成長させるためのテンプレート基板である。積層体A1は、後述するように、従来より低い成長温度で成長させたIII 族窒化物層を有する。そのため、基板10とバッファ層20との間の熱膨張係数差による応力は、従来に比べて小さい。基板10とAlN層30との間の熱膨張係数差による応力は、従来に比べて小さい。したがって、積層体A1もしくは基板10は、反りにくい。
2.製造装置
2−1.製造装置の構成
図2は、本実施形態における製造装置1000の概略構成図である。製造装置1000は、積層体A1を製造することができる。また、低い基板温度で、後述する種々のIII 族窒化物半導体素子を製造することができる。製造装置1000は、窒素ガスと水素ガスとを含む混合ガスをプラズマ化して、そのプラズマ化したプラズマ生成物を成長基板に供給するとともに、III 族金属を含む有機金属ガスをプラズマ化しないで成長基板に供給する装置である。
製造装置1000は、炉本体1001と、シャワーヘッド電極1100と、サセプター1200と、加熱器1210と、第1のガス供給管1300と、ガス導入室1410と、第2のガス供給管1420と、金属メッシュ1500と、RF電源1600と、マッチングボックス1610と、第1のガス供給部1710と、第2のガス供給部1810と、ガス容器1910、1920、1930と、恒温槽1911、1921、1931と、マスフローコントローラー1720、1820、1830、1840と、を有している。また、製造装置1000は、排気口(図示せず)を有している。
シャワーヘッド電極1100は、周期的な電位を付与される第1の電極である。シャワーヘッド電極1100は、例えば、ステンレス製である。もちろん、これ以外の金属であってもよい。シャワーヘッド電極1100は、平板形状の電極である。そして、シャワーヘッド電極1100には、表面から裏面に貫通する複数の貫通孔(図示せず)が設けられている。そして、これらの複数の貫通孔は、ガス導入室1410および第2のガス供給管1420と連通している。このため、ガス導入室1410から炉本体1001の内部に供給される第2のガスは、好適にプラズマ化される。RF電源1600は、シャワーヘッド電極1100に高周波電位を付与する電位付与部である。
サセプター1200は、基板10を支持するための基板支持部である。サセプター1200の材質は、例えば、グラファイトである。また、これ以外の導電体であってもよい。ここで、基板10は、III 族窒化物半導体を成長させるための成長基板である。
第1のガス供給管1300は、サセプター1200に第1のガスを供給するためのものである。実際には、サセプター1200に支持された基板10に第1のガスを供給することとなる。ここで、第1のガスとは、III 族金属を含む有機金属ガスである。また、その他のキャリアガスを含んでいてもよい。第1のガス供給管1300は、リング状のリング部1310を有している。そして、第1のガス供給管1300のリング部1310には、12個の貫通孔(図示せず)がリング部1310の内側に設けられている。これらの貫通孔は、第1のガスが噴出する噴出口である。そのため、第1のガスは、リング部1310の内側に向けて、噴出することとなる。第1のガス供給管1300は、後述するように、プラズマ発生領域から離れた位置に位置している。
第2のガス供給管1420は、サセプター1200に第2のガスを供給するためのものである。実際には、第2のガスをガス導入室1410および炉本体1001の内部に導入するとともに、サセプター1200に支持された基板10に第2のガスを供給することとなる。そして、第2のガス供給管1420は、第2のガスを炉本体1001の内部に供給する。ここで、第2のガス供給管1420が供給する第2のガスは、少なくとも窒素ガスを含むガスである。第2のガス供給管1420は、窒素ガスと水素ガスとの混合ガスを第2のガスとして供給するとよい。ガス導入室1410は、窒素ガスと水素ガスとの混合ガスを一旦収容するとともに、シャワーヘッド電極1100の貫通孔にこの混合ガスを供給するためのものである。
金属メッシュ1500は、荷電粒子を捕獲するためのものである。また、光が基板10に向かうのを防止するためのものである。金属メッシュ1500は、例えば、ステンレス製である。もちろん、これ以外の金属であってもよい。金属メッシュ1500は、シャワーヘッド電極1100とサセプター1200との間の位置に配置されている。そのため、後述するようにプラズマ発生領域で発生した荷電粒子が、サセプター1200に支持されている基板10に向かうのを抑制することができる。また、金属メッシュ1500は、シャワーヘッド電極と第1のガス供給管1300のリング部1310との間の位置に配置されている。そのため、荷電粒子が、第1のガス供給管1300から噴出されるIII 族金属を含む有機金属分子に衝突するのを抑制することができる。また、金属メッシュ1500は、多数枚をずらして配置されている。つまり、第1のメッシュの開口部の位置に第2のメッシュの線状部を配置している。そのため、直線的に進行する光は、金属メッシュ1500を透過できない。つまり、金属メッシュ1500は、電子、イオン、光を通過させないが、中性のラジカルを通過させる。
炉本体1001は、少なくとも、シャワーヘッド電極1100と、サセプター1200と、第1のガス供給管1300のリング部1310と、金属メッシュ1500と、を内部に収容している。炉本体1001は、例えば、ステンレス製である。炉本体1001は、上記以外の導電体であってもよい。
炉本体1001と、金属メッシュ1500と、第1のガス供給管1300とは、導電性の部材であり、いずれも接地されている。そのため、シャワーヘッド電極1100に電位が付与されると、シャワーヘッド電極1100と、炉本体1001および金属メッシュ1500および第1のガス供給管1300と、の間に電圧が印加されることとなる。そして、炉本体1001および金属メッシュ1500および第1のガス供給管1300の少なくとも1つ以上と、シャワーヘッド電極1100と、の間に放電が生じると考えられる。シャワーヘッド電極1100の直下では、高周波かつ高強度の電界が形成される。そのため、シャワーヘッド電極1100の直下の位置は、プラズマ発生領域である。
ここで、第2のガス、すなわち、窒素ガスと水素ガスとの混合ガスは、このプラズマ発生領域においてプラズマ化されることとなる。そして、プラズマ発生領域でプラズマ生成物が発生する。この場合におけるプラズマ生成物とは、窒素ラジカルと、水素ラジカルと、窒化水素系の化合物と、電子と、その他のイオン等である。ここで、窒化水素系の化合物とは、NHと、NH2 と、NH3 と、これらの励起状態と、その他のものとを含む。
また、シャワーヘッド電極1100と、サセプター1200とは、十分に離れている。シャワーヘッド電極1100と、サセプター1200との間の距離は、40mm以上200mm以下である。より好ましくは、40mm以上150mm以下である。シャワーヘッド電極1100とサセプター1200との間の距離が短いと、プラズマ発生領域がサセプター1200の箇所にまで広がるおそれがある。シャワーヘッド電極1100とサセプター1200との間の距離が40mm以上であれば、プラズマ発生領域がサセプター1200の箇所にまで広がるおそれがほとんどない。そのため、荷電粒子が基板10に到達することを抑制できる。また、シャワーヘッド電極1100とサセプター1200との間の距離が大きいと、窒素ラジカルや、窒化水素系の化合物等が、サセプター1200の保持する基板10に到達しにくくなるからである。なお、これらの距離は、プラズマ発生領域の大きさと、その他のプラズマ条件にも依存する。
シャワーヘッド電極1100は、サセプター1200からみて第1のガス供給管1300のリング部1310の貫通孔よりも遠い位置に配置されている。シャワーヘッド電極1100と、第1のガス供給管1300のリング部1310の貫通孔との間の距離は、30mm以上190mm以下である。より好ましくは、30mm以上140mm以下である。荷電粒子が、第1のガスに混入することを抑制するとともに、窒素ラジカルや、窒化水素系の化合物等が、第1のガスに混入しやすくするためである。このため、プラズマ化された第2のガスと、プラズマ化されない第1のガスとにより、基板10に半導体層が積層されることとなる。なお、これらの距離は、プラズマ発生領域の大きさと、その他のプラズマ条件にも依存する。
加熱器1210は、サセプター1200を介して、サセプター1200に支持される基板10を加熱するためのものである。
マスフローコントローラー1720、1820、1830、1840は、各々のガスの流量を制御するためのものである。恒温槽1911、1921、1931には、不凍液1912、1922、1932が満たされている。また、ガス容器1910、1920、1930は、III 族金属を含む有機金属ガスを収容するための容器である。ガス容器1910、1920、1930には、それぞれ、トリメチルガリウムと、トリメチルインジウムと、トリメチルアルミニウムとが、収容されている。もちろん、トリエチルガリウム等、その他のIII 族金属を含む有機金属ガスであってもよい。
2−2.製造装置の製造条件
製造装置1000における製造条件を表1に示す。表1で挙げた数値範囲は、あくまで目安であり、必ずしもこの数値範囲である必要はない。RFパワーは、100W以上1000W以下の範囲内である。RF電源1600がシャワーヘッド電極1100に付与する周期的な電位の周波数は、30MHz以上300MHz以下の範囲内である。基板温度は、室温以上900℃以下の範囲内である。製造装置1000の内圧は、1Pa以上10000Pa以下の範囲内である。
[表1]
RFパワー 100W以上 1000W以下
周波数 30MHz以上 300MHz以下
基板温度 室温以上 900℃以下
内圧 1Pa以上 10000Pa以下
2−3.製造装置の効果
この製造装置1000は、In濃度の高いIII 族窒化物層を有する半導体素子を量産することができる。また、窒素ガスおよび水素ガスをプラズマ化するため、従来のMOCVD法に比べて、低い温度で半導体層を成長させることができる。例えば、基板温度を0℃以上200℃以下程度として成膜することができる。もちろん、それより高温で成膜することもできる。また、MOCVD炉のように大量のアンモニアを用いる必要がない。そのため、大規模な除害装置を設ける必要がない。したがって、この製造装置1000の製造コストおよびランニングコストは、従来の装置よりも低い。
3.積層体の製造方法
本実施形態の積層体A1の製造方法について説明する。本実施形態の積層体A1の製造方法は、REMOCVD(Radical Enhanced Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法である。REMOCVD法は、本発明者らが独自に開発した方法である。
この製造方法は、基板10を準備する基板準備工程と、基板10に第1のIII 族窒化物層としてバッファ層20を形成する第1のIII 族窒化物層形成工程と、第1のIII 族窒化物層に第2のIII 族窒化物層としてAlN層30を形成する第2のIII 族窒化物層形成工程と、を有する。
3−1.基板準備工程
まず、単結晶の基板10を準備する。基板10として、例えば、c面サファイア単結晶基板を用いることができる。また、その他の基板を用いてもよい。基板10を、製造装置1000の内部に配置し、水素ガスを供給しながら基板温度を900℃程度まで上昇させる。これにより、基板10の表面を還元するとともに、基板10の表面をクリーニングする。基板温度については、上記の温度より高い温度にしてもよい。
3−2.III 族窒化物層形成工程
3−2−1.第1のIII 族窒化物層形成工程(バッファ層形成工程)
RF電源1610をONにする。そして、第2のガス供給管1420から、窒素ガスと水素ガスとの混合ガスを供給する。そして、シャワーヘッド電極1100の貫通孔から炉本体1001の内部に供給された混合ガスは、シャワーヘッド電極1100の直下でプラズマ化する。そのため、シャワーヘッド電極1100の直下にプラズマ発生領域が生成される。この際に、窒素ラジカルと水素ラジカルとが生成される。そして、窒素ラジカルと水素ラジカルとが反応して、窒化水素系の化合物が生成されると考えられる。また、電子やその他の荷電粒子も生成される。
そして、これらの窒素ラジカルと水素ラジカルと窒化水素系の化合物と電子とその他の荷電粒子を含んだラジカル混合気体は、基板10に向けて送出される。このラジカル混合ガスの発生箇所は、シャワーヘッド電極1100の直下である。シャワーヘッド電極1100から基板10までの距離は十分に広いため、ラジカル混合気体のうち、電子やイオン等の荷電粒子は、基板10まで到達しにくい。また、荷電粒子は、金属メッシュ1500に捕獲されやすい。そして、光は、金属メッシュ1500に吸収されるか反射される。そのため、基板10に向けて供給されるのは、窒素ラジカルと水素ラジカルの他、窒化水素系の化合物であると考えられる。これらの窒素ラジカルや窒化水素系の化合物は、通常のアンモニアに比べて、反応性が高い。そのため、従来技術、例えばMOCVD法に比べて低い温度で半導体層をエピタキシャル成長させることができる。
一方、第1のガス供給管1300のリング部1310から、III 族金属の有機金属ガスを供給する。例えば、トリメチルガリウムと、トリメチルインジウムと、トリメチルアルミニウムとが、挙げられる。これらのガスは、基板10に向かうラジカル混合気体に巻き込まれて、基板10に供給されることとなる。III 族金属の有機金属ガスは、プラズマ化されないで、基板10に供給される。
このように、第1のIII 族窒化物層形成工程では、III 族元素を含有する第1のガスをプラズマ化しないで基板10に供給する。それとともに、少なくとも窒素ガスを含有する第2のガスをプラズマ化して基板10に供給して、第1のIII 族窒化物層としてバッファ層20を形成する。
ここで、バッファ層20は、例えばAlNである。そして、バッファ層20を形成する際の基板温度は、0℃以上500℃以下である。好ましくは、基板温度は、100℃以上400℃以下である。もちろん、これ以外の温度であってもよい。
3−2−2.第2のIII 族窒化物層形成工程
第2のIII 族窒化物層形成工程では、III 族元素を含有する第1のガスをプラズマ化しないで第1のIII 族窒化物層(バッファ層20)に供給する。それとともに、少なくとも窒素ガスを含有する第2のガスをプラズマ化して第1のIII 族窒化物層(バッファ層20)に供給して、バッファ層20の上に第2のIII 族窒化物層としてAlN層30を形成する。
このようにして、バッファ層20の上にAlN層30を形成する。このAlN層30は、単結晶である。
ここで、AlN層30を形成する際の基板温度は、0℃以上900℃以下である。好ましくは、基板温度は、100℃以上400℃以下である。さらに好ましくは、基板温度は、700℃以上800℃以下である。詳細については、後述する。
3−3.その他の工程
また、上記の他に、熱処理工程と、保護膜形成工程と、その他の工程と、を実施してもよい。以上により、本実施形態の積層体A1が製造される。
4.積層体の製造方法の効果
第1の実施形態の積層体A1の製造方法は、REMOCVD法を用いる。そのため、バッファ層20を低温で成長させることができる。具体的には、基板温度は、900℃以下である。このようにバッファ層20を低温成長させることができるため、基板10とバッファ層20との間の熱膨張による応力の発生をある程度緩和することができる。つまり、基板10の反りを抑制することができる。また、この製造方法は、AlN層30を従来より低温で成長させることができる。よって、同様に、基板10の反りを抑制することができる。
また、第1の実施形態の積層体A1の製造方法は、MOCVD法のようにアンモニアガスを用いる必要はない。そのため、この製造装置1000は、アンモニアガスの除害装置を必要としない。そのため、アンモニアガスの除害装置のコストとそのランニングコストがかからない。また、本実施形態の積層体A1の製造方法は、通常のRF−MBE法よりもはるかに速い成長速度でIII 族窒化物層を成長させることができる。
5.変形例
5−1.AlInGaN層
第1の実施形態における第2のIII 族窒化物層は、AlN層30である。しかし、これ以外の層を用いてもよい。例えば、AlInN層もしくはAlGaN層を用いてもよい。これらであっても、上層にIII 族窒化物半導体層を好適に成長させることができる。
5−2.多結晶基板
第1の実施形態で用いる基板は、単結晶基板である。しかし、AlN多結晶基板のような多結晶基板を用いてもよい。多結晶基板は、例えば、AlN等のIII-V 族多結晶基板、非晶質ガラス多結晶基板、アルミナ多結晶基板、Si多結晶基板である。もちろん、その他の多結晶基板を用いてもよい。その場合には、上層の半導体層は、多結晶になりやすい。つまり、積層体A1は、多結晶から成る第2のIII 族窒化物層を有する。
5−3.測定機器
また、プラズマにより発生するラジカル種、準安定種、活性分子種等について、フーリエ変換赤外分光器(FT=IR)、深紫外吸光分光器(ラジカルモニタリング)、光学吸収分光器(OES)等を用いて測定してもよい。また、これらの測定値を、各種設定にフィードバックするようにしてもよい。
6.第1の実施形態のまとめ
第1の実施形態の積層体A1の製造方法は、REMOCVD法を用いる。そのため、バッファ層20およびAlN層30を低温で成長させることができる。具体的には、基板温度は、900℃以下である。このようにバッファ層20およびAlN層30を低温成長させることができるため、基板10とバッファ層20との間の熱膨張による応力の発生をある程度緩和することができる。また、基板10とAlN層30との間の熱膨張による応力の発生をある程度緩和することができる。つまり、基板10の反りを抑制することができる。
また、第1の実施形態の積層体A1の製造方法は、MOCVD法のようにアンモニアガスを用いる必要はない。そのため、この製造装置1000は、アンモニアガスの除害装置を必要としない。そのため、アンモニアガスの除害装置のコストとそのランニングコストがかからない。また、本実施形態の積層体A1の製造方法は、通常のRF−MBE法よりもはるかに速い成長速度でIII 族窒化物層を成長させることができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。第2の実施形態のIII 族窒化物半導体素子は、III 族窒化物層を有する半導体レーザー素子である。
1.半導体レーザー素子
1−1.半導体レーザー素子の構造
本実施形態の半導体レーザー素子100は、図3に示すように、基板10と、バッファ層20と、AlN層30と、下地層140と、n−GaN層150と、活性層160と、p−AlGaN層170と、p−GaN層180と、n電極N1と、p電極P1と、を有している。n−GaN層150は、n型半導体層である。p−AlGaN層170と、p−GaN層180とは、p型半導体層である。
基板10は、III 族窒化物層を成長させるための成長基板である。基板10として、例えば、c面サファイア単結晶基板、Si単結晶基板が挙げられる。
バッファ層20は、第1のIII 族窒化物層である。バッファ層20は、その上にIII 族窒化物層を成長させるためのものである。バッファ層20は、基板10の上に形成されている。バッファ層20として、例えば、AlNやGaNが挙げられる。
AlN層30は、第2のIII 族窒化物層である。AlN層30は、その上にIII 族窒化物半導体層を成長させるためのものである。AlN層30は、バッファ層20の上に形成されている。
下地層240は、AlN層もしくはGaN層であるとよい。
1−2.半導体レーザー素子の効果
第1の実施形態の半導体レーザー素子100は、後述する製造方法により製造される。つまり、MOCVD法よりも低温でバッファ層20を形成することができる。そのため、この半導体レーザー素子100では、基板10が反りにくい。したがって、より大口径基板を用いて、半導体レーザー素子100を製造することができる。
2.III 族窒化物半導体素子の製造方法
本実施形態のIII 族窒化物半導体素子の製造方法について説明する。本実施形態のIII 族窒化物半導体素子の製造方法は、REMOCVD(Radical Enhanced Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法である。REMOCVD法は、本発明者らが独自に開発した方法である。
2−1.基板準備工程
まず、基板10を準備する。そして、基板10をクリーニングする。その際に、通常のガスを用いてもよいし、プラズマガスを用いてもよい。
2−2.III 族窒化物層形成工程
2−2−1.第1のIII 族窒化物層形成工程
ここでは、製造装置1000によりIII 族窒化物層を形成する。基板10の上に第1のIII 族窒化物層としてバッファ層20を形成する。
2−2−2.第2のIII 族窒化物層形成工程
次に、バッファ層20の上に第2のIII 族窒化物層としてAlN層30を形成する。
2−2−3.第3のIII 族窒化物層形成工程
そして、AlN層30の上に下地層140を形成する。そして、下地層140の上に、n−GaN層150と、活性層160と、p−AlGaN層170と、p−GaN層180と、をこの順序で形成する。
2−3.電極形成工程
次に、p−GaN層180からn−GaN層150までに達する凹部を形成する。そして、その凹部に露出しているn−GaN層150にn電極N1を形成する。また、p−GaN層180の上にp電極P1を形成する。
2−4.素子分離工程
次に、ウエハ状の基板10を分割して、複数の半導体レーザー素子100に切り出す。もしくは、基板10から余剰な部分を除去する。そのためには、レーザー装置や、ブレーキング装置等を用いればよい。
3.変形例
3−1.半導体発光素子
本実施形態のIII 族窒化物半導体素子は、半導体レーザー素子100である。ここで、III 族窒化物半導体素子は、半導体発光素子であってもよい。
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。第2の実施形態のIII 族窒化物半導体素子は、III 族窒化物層を有するHEMT素子である。
1.HEMT素子
1−1.HEMT素子の構造
図4は本実施形態のHEMT素子200を示す概略構成図である。HEMT200は、高電子移動度トランジスタである。HEMT素子200は、基板10と、バッファ層20と、AlN層30と、下地層240と、UID−GaN層250と、AlGaN層260と、ソース電極S1と、ゲート電極G1と、ドレイン電極D1と、を有している。UID−GaN層250は、チャネル層である。AlGaN層260は、バリア層である。
ソース電極S1およびドレイン電極D1は、AlGaN層260の上に形成されている。UID−GaN層250は、基板10とAlGaN層260との間の位置に配置されている。AlGaN層260からみてUID−GaN層250の反対側の位置に、ゲート電極G1と、ソース電極S1と、ドレイン電極D1と、が配置されている。
ここで、UID−GaN層250は、単一層であっても複数層であってもよい。AlGaN層260は、単一層であっても複数層であってもよい。AlGaN層260のバンドギャップは、UID−GaN層250のバンドギャップに比べて大きい。
1−2.HEMT素子の効果
第2の実施形態のHEMT素子200は、前述したREMOCVD法により製造される。つまり、MOCVD法よりも低温でバッファ層20を形成することができる。そのため、このHEMT素子200では、基板10が反りにくい。したがって、より大口径基板を用いて、HEMT素子200を製造することができる。
2.III 族窒化物半導体素子の製造方法
2−1.基板準備工程
まず、基板10を準備する。そして、基板10をクリーニングする。その際に、通常のガスを用いてもよいし、プラズマガスを用いてもよい。
2−2.III 族窒化物層形成工程
2−2−1.第1のIII 族窒化物層形成工程
ここでは、製造装置1000によりIII 族窒化物層を形成する。基板10の上に第1のIII 族窒化物層としてバッファ層20を形成する。
2−2−2.第2のIII 族窒化物層形成工程
次に、バッファ層20の上に第2のIII 族窒化物層としてAlN層30を形成する。
2−2−3.第3のIII 族窒化物層形成工程
そして、AlN層30の上に下地層240を形成する。下地層240の上にUID−GaN層250を形成する。UID−GaN層250の上にAlGaN層260を形成する。
2−3.電極形成工程
AlGaN層260の上に、ソース電極S1、ドレイン電極D1、ゲート電極G1を形成する。
2−4.その他の工程
また、上記の他に、素子分離工程、熱処理工程と、保護膜形成工程と、その他の工程と、を実施してもよい。以上により、本実施形態のHEMT素子200が製造される。
3.III 族窒化物半導体素子の製造方法の効果
第3の実施形態のIII 族窒化物半導体素子の製造方法は、REMOCVD法を用いる。そのため、バッファ層20を低温で成長させることができる。具体的には、基板温度は、900℃以下である。このようにバッファ層20を低温成長させることができるため、基板10とバッファ層20との間の熱膨張による応力の発生をある程度緩和することができる。つまり、基板10の反りを抑制することができる。
また、第3の実施形態のIII 族窒化物半導体素子の製造方法は、MOCVD法のようにアンモニアガスを用いる必要はない。そのため、この製造装置1000は、アンモニアガスの除害装置を必要としない。そのため、アンモニアガスの除害装置のコストとそのランニングコストがかからない。また、本実施形態のIII 族窒化物半導体素子の製造方法は、通常のRF−MBE法よりもはるかに速い成長速度でIII 族窒化物層を成長させることができる。
4.変形例
4−1.MOS型HEMT(MIS型HEMT)
図5に示すように、MOS型HEMT300についても第1の実施形態の技術を適用することができる。MOS型HEMT300は、基板10と、バッファ層20と、AlN層30と、下地層240と、UID−GaN層250と、AlGaN層260と、絶縁膜370と、ソース電極S1と、ゲート電極G1と、ドレイン電極D1と、を有している。絶縁膜370は、AlGaN層260とゲート電極G1とを絶縁している。絶縁膜370は、酸化物である。もしくは、絶縁膜370は、それ以外の絶縁体であってもよい。このように、HEMT素子300は、MOS型HEMT素子であってもよい。また、HEMT素子300は、MIS型HEMT素子であってもよい。
4−2.MOS型HEMT(MIS型HEMT)
図6に示すように、HEMT400は、基板10と、バッファ層20と、AlN層30と、下地層240と、UID−GaN層250と、AlN層480と、AlGaN層260と、絶縁膜370と、ソース電極S1と、ゲート電極G1と、ドレイン電極D1と、を有している。AlN層480は、合金散乱防止層である。
4−3.受動部品
図7に示すように、受動部品500を用いてもよい。受動部品500は、基板10と、バッファ層20と、AlN層30と、下地層240と、AlN層550と、を有する。AlN層550は、熱放出材である。
4−4.スマートカット
図8に示すように、スマートカット用の積層体600として用いてもよい。積層体600は、基板10と、バッファ層20と、AlN層30と、下地層240と、AlN層650と、SiO2 層660と、GaN層670と、を有している。
5.第3の実施形態のまとめ
第3の実施形態のIII 族窒化物半導体素子の製造方法は、REMOCVD法を用いる。そのため、バッファ層20を低温で成長させることができる。具体的には、基板温度は、900℃以下である。このようにバッファ層20を低温成長させることができるため、基板10とバッファ層20との間の熱膨張による応力の発生をある程度緩和することができる。つまり、基板10の反りを抑制することができる。
また、第2の実施形態のIII 族窒化物半導体素子の製造方法は、MOCVD法のようにアンモニアガスを用いる必要はない。そのため、この製造装置1000は、アンモニアガスの除害装置を必要としない。そのため、アンモニアガスの除害装置のコストとそのランニングコストがかからない。また、本実施形態のIII 族窒化物半導体素子の製造方法は、通常のRF−MBE法よりもはるかに速い成長速度でIII 族窒化物層を成長させることができる。
1.実施例1(単結晶基板の上の単結晶膜)
1−1.基板
実施例1では、(111)面のSi単結晶基板を用いた。Si単結晶基板は、8mm角であった。Si単結晶基板の厚みは625μmであった。
1−2.クリーニング
成膜に際して、第1の実施形態の製造装置1000を用いた。まず、サーマルクリーニングを行った。キャリアガスは、H2 であった。その供給量は、750sccmであった。そして、RFパワーを400Wとして、H2 をプラズマ化してSi単結晶基板に供給した。製造装置1000の内部の圧力は100Paであった。基板温度は950℃であった。保持時間は10分であった。
1−3.TMAの吸着
その後、シャワーヘッド電極1100からN2 を750sccmの供給量で供給するとともにH2 を250sccmの供給量で供給した。このN2 とH2 との混合ガスについてはプラズマ化しなかった。一方、第1のガス供給管1300のリング部1310の貫通孔から、TMA(トリメチルアルミニウム)を0.05sccmの供給量で供給した。TMAの供給時間は、10分であった。基板温度は300℃であった。
2 とH2 との混合ガスをプラズマ化していないので、この基板温度ではAlNは成膜されない。ただし、AlN多結晶基板の表面にTMAが吸着されたはずである。そこで、一旦、TMAの供給を停止した。
1−4.AlN層
その後、シャワーヘッド電極1100からN2 を750sccmの供給量で供給するとともにH2 を250sccmの供給量で供給した。そして、N2 とH2 との混合ガスをRFパワー400Wでプラズマ化した。一方、第1のガス供給管1300のリング部1310の貫通孔から、TMA(トリメチルアルミニウム)を0.05sccmの供給量で供給した。これにより、Si単結晶基板の上にAlNを積層した。成膜時間は、30分であった。なお、基板温度は、室温から800℃までのいずれかの温度を用いた。つまり、室温、200℃、400℃、600℃、800℃であった。ただし、後述するグラフ上では、室温を0℃としてある。
1−5.評価
そして、成長させたAlN層をX線回折で評価した。図9は、基板温度とX線の回折強度を示すグラフである。図9に示すように、上記の基板温度では、いずれもAlNの単結晶膜が得られることが分かった。また、基板温度が800℃の近傍の場合に、c面のX線回折の最大ピークが得られた。
このように、AlN層を形成する際の基板温度は、0℃以上900℃以下である。好ましくは、基板温度は、100℃以上400℃以下である。さらに好ましくは、基板温度は、700℃以上800℃以下である。
2.実施例2(多結晶基板の上の多結晶膜)
2−1.基板
実施例2では、AlN多結晶基板を用いた。AlN多結晶基板は、10cm角であった。AlN多結晶基板の厚みは400μmであった。
2−2.クリーニング
成膜に際して、第1の実施形態の製造装置1000を用いた。まず、サーマルクリーニングを行った。キャリアガスは、H2 であった。その供給量は、750sccmであった。そして、RFパワーを400Wとして、H2 をプラズマ化してSi単結晶基板に供給した。製造装置1000の内部の圧力は100Paであった。基板温度は950℃であった。保持時間は10分であった。
2−3.TMAの吸着
その後、シャワーヘッド電極1100からN2 を750sccmの供給量で供給するとともにH2 を250sccmの供給量で供給した。このN2 とH2 との混合ガスについてはプラズマ化しなかった。一方、第1のガス供給管1300のリング部1310の貫通孔から、TMA(トリメチルアルミニウム)を0.05sccmの供給量で供給した。TMAの供給時間は、10分であった。基板温度は300℃であった。
2 とH2 との混合ガスをプラズマ化していないので、この基板温度ではAlNは成膜されない。ただし、AlN多結晶基板の表面にTMAが吸着されたはずである。そこで、一旦、TMAの供給を停止した。
2−4.AlN層
その後、シャワーヘッド電極1100からN2 を750sccmの供給量で供給するとともにH2 を250sccmの供給量で供給した。そして、N2 とH2 との混合ガスをRFパワー400Wでプラズマ化した。一方、第1のガス供給管1300のリング部1310の貫通孔から、TMA(トリメチルアルミニウム)を0.05sccmの供給量で供給した。これにより、AlN多結晶基板の上にAlNを積層した。成膜時間は、5時間であった。なお、基板温度は、800℃であった。
2−5.評価
そして、成長させたAlN層をSEM(走査型電子顕微鏡)で断面観察した。図10は、その断面写真である。図10に示すように、AlN多結晶基板の上に約90nmの膜厚のAlN多結晶を成長させたことが確認された。
また、図11のように成膜した薄膜を斜め入射シンクロトロン光XRDで評価した。その結果、成長した多結晶薄膜は、多結晶基板よりもC軸配向した良質な多結晶膜であることが分かった。
A1…積層体
10…基板
20…バッファ層
30…AlN層
100…半導体レーザー素子
200、300、400…HEMT素子
500…受動部品
600…積層体
G1…ゲート電極
S1…ソース電極
D1…ドレイン電極
1000…製造装置
1001…炉本体
1100…シャワーヘッド電極
1200…サセプター
1300…第1のガス供給管
1420…第2のガス供給管
1600…RF電源

Claims (10)

  1. 基板を準備する基板準備工程と、
    前記基板に第1のIII 族窒化物層を形成する第1のIII 族窒化物層形成工程と、
    前記第1のIII 族窒化物層に第2のIII 族窒化物層を形成する第2のIII 族窒化物層形成工程と、
    を有し、
    前記第1のIII 族窒化物層形成工程では、
    III 族元素を含有する第1のガスをプラズマ化しないで前記基板に供給するとともに少なくとも窒素ガスを含有する第2のガスをプラズマ化して前記基板に供給して、前記第1のIII 族窒化物層としてバッファ層を形成し、
    前記第2のIII 族窒化物層形成工程では、
    III 族元素を含有する第1のガスをプラズマ化しないで前記第1のIII 族窒化物層に供給するとともに少なくとも窒素ガスを含有する第2のガスをプラズマ化して前記第1のIII 族窒化物層に供給して、前記第2のIII 族窒化物層を形成すること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体素子の製造方法。
  2. 請求項1に記載のIII 族窒化物半導体素子において、
    前記第1のIII 族窒化物層形成工程では、
    前記基板の温度を0℃以上500℃以下の範囲内とし、
    前記第2のIII 族窒化物層形成工程では、
    前記基板の温度を0℃以上900℃以下の範囲内とすること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体素子の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のIII 族窒化物半導体素子において、
    前記第2のIII 族窒化物層形成工程では、
    前記第2のIII 族窒化物層としてAlN層もしくはAlInN層もしくはAlGaN層を形成すること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体素子の製造方法。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体素子において、
    前記基板準備工程では、
    単結晶基板を用い、
    前記第2のIII 族窒化物層形成工程では、
    単結晶から成る前記第2のIII 族窒化物層を形成すること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体素子の製造方法。
  5. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体素子において、
    前記基板準備工程では、
    多結晶基板を用い、
    前記第2のIII 族窒化物層形成工程では、
    多結晶から成る前記第2のIII 族窒化物層を形成すること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体素子の製造方法。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体素子において、
    前記第2のIII 族窒化物層に第3のIII 族窒化物層を形成する第3のIII 族窒化物層形成工程を有し、
    前記第3のIII 族窒化物層形成工程では、
    MOS型HEMT素子、MIS型HEMT素子、半導体レーザー素子、半導体発光素子、スマートカット用基板、熱放出材のうちのいずれかの素子構造を形成すること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体素子の製造方法。
  7. 基板と、
    前記基板の上の第1のIII 族窒化物層と、
    前記第1のIII 族窒化物層の上の第2のIII 族窒化物層と、
    を有するIII 族窒化物半導体素子において、
    前記第1のIII 族窒化物層は、
    III 族元素を含有する第1のガスをプラズマ化しないで前記基板に供給するとともに少なくとも窒素ガスを含有する第2のガスをプラズマ化して前記基板に供給することにより形成されたバッファ層であり、
    前記第2のIII 族窒化物層は、
    III 族元素を含有する第1のガスをプラズマ化しないで前記第1のIII 族窒化物層に供給するとともに少なくとも窒素ガスを含有する第2のガスをプラズマ化して前記第1のIII 族窒化物層に供給することにより形成された層であること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体素子。
  8. 請求項7に記載のIII 族窒化物半導体素子において、
    前記第2のIII 族窒化物層は、
    AlN層もしくはAlInN層もしくはAlGaN層であること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体素子。
  9. 請求項7または請求項8に記載のIII 族窒化物半導体素子において、
    前記基板は、
    単結晶基板であり、
    前記第2のIII 族窒化物層は、
    III 族窒化物単結晶層を有すること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体素子。
  10. 請求項7または請求項8に記載のIII 族窒化物半導体素子において、
    前記基板は、
    III 族窒化物から成る多結晶基板であり、
    前記第2のIII 族窒化物層は、
    III 族窒化物多結晶層を有すること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体素子。
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