JP2016064650A - ガスバリア性フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
(1)高分子フィルム基材の少なくとも片面に、酸化亜鉛および二酸化ケイ素を含む第1層と以下の(A)〜(C)を含む第2層とを高分子フィルム基材からこの順に接して配されたことを特徴とするガスバリア性フィルム。
(A)不飽和カルボン酸エステル、スチレン、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素及びビニルエステルからなる群より選択される少なくとも1つの不飽和化合物(a1)と不飽和ニトリル(a2)と水酸基を有する不飽和化合物(a3)との少なくとも3成分を単量体とする共重合体であって、共重合体に占める(a1)〜(a3)の割合が以下である共重合体
(a1):(a2):(a3)=20〜40質量%:10〜30質量%:30〜70質量%
(B)イソシアネート基を有する化合物
(C)2つ以上のカルボン酸基または1つ以上の無水カルボン酸基を有する化合物
(2)前記高分子フィルム基材と第1層との間にアンダーコート層を有し、該アンダーコート層が芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を含むことを特徴とする(1)に記載のガスバリア性フィルム。
(3)前記第1層が、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)およびインジウム(In)からなる群より選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする(1)または(2)のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
(4)前記第1層がアルミニウム(Al)を含み、前記第1層は、X線光電子分光法により測定される亜鉛(Zn)原子濃度が10〜35atom%、ケイ素(Si)原子濃度が5〜25atom%、アルミニウム(Al)原子濃度が1〜7atom%、酸素(O)原子濃度が50〜70atom%であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
(5)前記第2層の厚みが0.1μm以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
本発明のガスバリア性フィルムは、高分子フィルム基材の少なくとも片面に、酸化亜鉛および二酸化ケイ素を含む第1層を有し、さらに以下の(A)〜(C)を含む第2層とを高分子フィルム基材からこの順に接して配されたガスバリア性フィルムである。
(A)不飽和カルボン酸エステル、スチレン、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素及びビニルエステルからなる群より選択される少なくとも1つの不飽和化合物(a1)と不飽和ニトリル(a2)と水酸基を有する不飽和化合物(a3)との少なくとも3成分を単量体とする共重合体であって、共重合体に占める(a1)〜(a3)の割合が以下である共重合体
(a1):(a2):(a3)=20〜40質量%:10〜30質量%:30〜70質量%
(B)イソシアネート基を有する化合物
(C)2つ以上のカルボン酸基または1つ以上の無水カルボン酸基を有する化合物。
本発明に用いられる高分子フィルム基材は、柔軟性を確保する観点からフィルム形態を有することが好ましい。フィルムの構成としては、単層フィルム、または2層以上の、例えば、共押し出し法で製膜したフィルムであってもよい。フィルムの種類としては、一軸方向あるいは二軸方向に延伸されたフィルム等を使用してもよい。
本発明のガスバリア性フィルムは、ガスバリア層が酸化亜鉛および二酸化ケイ素を含む第1層を有することによって高いガスバリア性を発現することができる。酸化亜鉛および二酸化ケイ素を含む第1層を適用することによりガスバリア性が良好となる理由は、酸化亜鉛に含まれる結晶質成分と二酸化ケイ素のガラス質成分とを共存させることによって、微結晶を生成しやすい酸化亜鉛の結晶成長が抑制され粒子径が小さくなるため層が緻密化し、水蒸気の透過が抑制されるためと推測している。また、結晶成長が抑制された酸化亜鉛および二酸化ケイ素を含む層は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の一つの金属元素からなる酸化物で形成された薄膜よりも膜の柔軟性が優れるため、熱や外部からの応力に対してクラックが生じにくく、ガスバリア性の低下を抑制できると考えられる。
(i)酸化亜鉛
(ii)二酸化ケイ素
(iii)酸化アルミニウム
なお、この共存相からなる層の詳細は後述する。
本発明において酸化亜鉛および二酸化ケイ素を含む第1層として好適に用いられる共存相について詳細を説明する。第1層は以下の(i)〜(iii)の共存相からなることが好ましい。
(i)酸化亜鉛
(ii)二酸化ケイ素
(iii)酸化アルミニウム
なお、「(i)〜(iii)の共存相」を「酸化亜鉛−二酸化ケイ素−酸化アルミニウムの共存相」または「ZnO−SiO2−Al2O3」と略記することもある。また、二酸化ケイ素(SiO2)は、生成時の条件によって、左記組成式のケイ素と酸素の組成比率から若干ずれたもの(SiO〜SiO2)が生成することがあるが、二酸化ケイ素あるいはSiO2と表記することとする。かかる組成比の化学式からのずれに関しては、酸化亜鉛、酸化アルミニウムについても同様の扱いとし、それぞれ、生成時の条件に依存する組成比のずれに関わらず、それぞれ酸化亜鉛またはZnO、酸化アルミニウムまたはAl2O3と表記することとする。
次に、(A)〜(C)を含む第2層について詳細を説明する。
(A)不飽和カルボン酸エステル、スチレン、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素及びビニルエステルからなる群より選択される少なくとも1つの不飽和化合物(a1)と不飽和ニトリル(a2)と水酸基を有する不飽和化合物(a3)との少なくとも3成分を単量体とする共重合体であって、共重合体に占める(a1)〜(a3)の割合が以下である共重合体
(a1):(a2):(a3)=20〜40質量%:10〜30質量%:30〜70質量%
(B)イソシアネート基を有する化合物
(C)2つ以上のカルボン酸基または1つ以上の無水カルボン酸基を有する化合物。
共重合体(A)に用いられる不飽和カルボン酸エステル、スチレン、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素及びビニルエステルからなる群から選択される少なくとも1つの不飽和化合物(a1)に関して、不飽和カルボン酸エステルとして、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられる。
共重合体(A)に用いられる不飽和ニトリル(a2)としては、アクリロニトリルが好ましい。アクリロニトリルはその分子構造中にニトリル基を有し、ニトリル基が大きく分極した官能基であることに由来して強い水素結合形成能を持つ。すなわち、アクリロニトリルを構成成分とする共重合体(A)により形成された塗膜は、アクリロニトリルのニトリル基の寄与により、ガスバリア性を有するものとなる。ガスバリア性はアクリロニトリルの含有量によって調整することができる。
前述の通り、ガスバリア性を高める観点からは共重合体(A)中の不飽和ニトリル(a2)の含有量を高めた方が好ましい。しかし、特に不飽和ニトリル(a2)であるポリアクリロニトリルはガラス転移温度が約300℃と高く、造膜させるには高温での処理が必要であるが、基材フィルムの融点などとの関係から造膜の温度を下げることが好ましい。また、ガスバリア性を決定する因子としては、凝集エネルギー、自由体積、結晶化度、配向性等が挙げられることは前記したが、極性の高い官能基を有するモノマー成分を共重合用モノマーとして用いる方法は、ガスバリア性を高める1つの手段である。このような観点から、水酸基も高い凝集力を示す官能基として機能し本発明では水酸基を有する不飽和化合物(a3)を用いることが好ましい。さらに水酸基を有する不飽和化合物(a3)を第2層に含有させる場合には、イソシアネート基を有する化合物(B)との間で架橋構造を形成するため、無機化合物で構成される第1層と強く密着し、塗膜強度や密着耐性を発現させることができる。
上述のように共重合体(A)における(a1),(a2),(a3)の比率には適した範囲が存在する。例えば、不飽和ニトリル(a2)の比率は、共重合体(A)の有機溶剤に対する溶解性、および重合時の分子量増加防止、さらには塗膜の造膜性、透明性、第2層のガスバリア性の観点から、共重合体(A)中に占める割合は好ましくは10〜30質量%であり、さらに好ましくは10〜25質量%である。
本発明においては、イソシアネート基を有する化合物(B)は、前記共重合体(A)を架橋させるために用いることができる。共重合体(A)はそれを単独で塗布した場合、ガスバリア性は発現するものの塗膜強度や密着耐性といった物性は得られない傾向がある。そこで、共重合体(A)が側鎖として有する水酸基と反応するイソシアネート基を有する化合物(B)を硬化剤として用いることが好ましい。イソシアネート基を有する化合物(B)を含むことにより、架橋構造が生成されるので、ガスバリア性、塗膜強度および密着耐性といった物性を兼ね備えた第2層が形成されるため好ましい。イソシアネート基を有する化合物としては、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
本発明においては、第2層を形成する材料として、2つ以上のカルボン酸基または1つ以上の無水カルボン酸基を有する化合物(C)を用いることができる。これにより、無機化合物で構成される第1層と第2層との間の密着力が向上するため好ましい。カルボキシル基または無水カルボン酸基は、第1層を形成するアルミナやシリカといった材料が有するアルミ−酸素結合や珪素−酸素結合などの無機物中の元素と酸素の結合に対して、配位し易い性質を有する。そのため、第2層を形成する樹脂組成物に配合して塗布することで、第1層表面に2つ以上のカルボン酸基または1つ以上の無水カルボン酸基を有する化合物(C)が配位して、表面が有機的になり、第2層を形成する樹脂との密着力を向上させることができる。さらに、第1層が無機酸化物である場合には、無機酸化物表面に2つ以上のカルボン酸基または1つ以上の無水カルボン酸基を有する化合物(C)が配位することで、大気中の水分が無機化合物で構成される第1層に浸透しにくくなるため、密着力の低下を生じにくくなるという効果も得られる。
本発明においては、第2層を形成する材料として、1分子中に有機官能基と加水分解性官能基を有するシラン化合物(D)を用いることも好ましい。有機官能基が第2層中の有機基と結合を形成し、また加水分解性官能基が無機化合物で構成される第1層とオキシシラン結合を形成することで、第1層と第2層との密着力を向上させる効果がある。
本発明にかかる第2層には、その特性を損なわない限りにおいて、熱安定剤、酸化防止剤、強化剤、顔料、劣化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、滑剤などを添加してもよい。
本発明では、前記共重合体(A)に、イソシアネート基を有する化合物(B)2つ以上のカルボン酸基または1つ以上の無水カルボン酸基を有する化合物(C)、シラン化合物(D)を配合し、公知の技術を用いて架橋させて第2層を形成することが好ましい。共重合体(A)は、例えば酢酸プロピル−プロピレングリコールモノメチルエーテル−n−プロピルアルコール混合溶液などに溶解させて、上述したイソシアネート基を有する化合物(B)と混合することができる。次に、上記共重合体(A)溶液と、イソシアネート基を有する化合物(B)とを、所定量配合して溶剤中に溶解して、第2層用のコーティング液(塗剤)を得ることができる。使用できる溶剤としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール、水等が挙げられる。
本発明のガスバリア性フィルムには、ガスバリア性向上、耐屈曲性向上のため、前記高分子フィルム基材と前記第1層との間に芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を含むアンダーコート層を設けることが好ましい。高分子フィルム基材上に突起や傷などの欠点が存在する場合、前記欠点を起点に高分子フィルム基材上に積層する第1層にもピンホールやクラックが発生してガスバリア性や耐屈曲性が損なわれる場合があるため、本発明のアンダーコート層を設けることが好ましい。また、高分子フィルム基材と第1層との熱寸法安定性差が大きい場合もガスバリア性や耐屈曲性が低下する場合があるため、アンダーコート層を設けることが好ましい。また、本発明に用いられるアンダーコート層は、熱寸法安定性、耐屈曲性の観点から芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を含有することが好ましく、さらに、エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤、有機ケイ素化合物および/または無機ケイ素化合物を含有することがより好ましい。
本発明のガスバリア性フィルムの最表面の上には、ガスバリア性が低下しない範囲で耐擦傷性の向上を目的としたハードコート層を形成してもよいし、有機高分子化合物からなるフィルムをラミネートした積層構成としてもよい。なお、ここでいう最表面とは、高分子フィルム基材上に第1層および第2層が接するようにこの順に積層された後の、第1層と接していない側の第2層の表面をいう。
本発明のガスバリア性フィルムは高いガスバリア性を有するため、様々な電子デバイスに用いることができる。例えば、太陽電池のバックシートやフレキシブル回路基板のような電子デバイスに好適に用いることができる。また、高いガスバリア性を活かして、電子デバイス以外にも、食品や電子部品の包装用フィルム等として好適に用いることができる。
まず、各実施例および比較例における評価方法を説明する。評価n数は、特に断らない限り、n=5とし平均値を求めた。
断面観察用サンプルをマイクロサンプリングシステム((株)日立製作所製 FB−2000A)を使用してFIB法により(具体的には「高分子表面加工学」(岩森暁著)p.118〜119に記載の方法に基づいて)作製した。透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製 H−9000UHRII)により、加速電圧300kVとして、観察用サンプルの断面を観察し、第1層、第2層、アンダーコート層の厚みを測定した。
温度40℃、湿度90%RH、測定面積50cm2の条件で、英国、テクノロックス(Technolox)社製の水蒸気透過度測定装置(機種名:DELTAPERM(登録商標))を使用して測定した。評価n数は各水準2とし、測定回数は各検体について10回とし、その平均値を水蒸気透過度(g/(m2・24hr・atm))とした。また、本装置の水蒸気透過度の測定限界下限値である2.0×10−4(g/(m2・24hr・atm))以下の値は、2.0×10−4以下と記載した。
第1層の組成分析は、X線光電子分光法(XPS法)により行った。
アルゴンイオンを用いたスパッタエッチングにより、最表層を5nm程度エッチングして除去した後、各元素の含有比率を測定した。第1層中における組成傾斜はないものとし、この測定点における組成比率を、第1層の組成比率とした。
XPS法の測定条件は下記の通りとした。
・装置 :ESCA 5800(アルバックファイ社製)
・励起X線 :monochromatic AlKα
・X線出力 :300W
・X線径 :800μm
・光電子脱出角度 :45°
・Arイオンエッチング :2.0kV、10mPa。
JIS K7361:1997に基づき、濁度計NDH2000(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。測定は、縦50mm、横50mmのサイズに切り出したフィルム3枚について行い、測定回数は各サンプルにつき5回とし、合計15回測定の平均値を全光線透過率とした。
JIS K7136:2000に基づき、濁度計NDH2000(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。測定は、縦50mm、横50mmのサイズに切り出したフィルム3枚について行い、測定回数は各サンプルにつき5回とし、合計15回測定の平均値をヘイズ値とした。
下記条件の高温高湿保存した後、JIS K5600−5−6:1999に準拠して、碁盤目テープ剥離試験を行った。まず、第2層を形成した側の表面に10mm×10mm中に1マスが1mm×1mmの切れ込みを計100マス形成し試験面とした。次いで、試験面の表面にセロハンテープ(「CT24」、ニチバン(株)製)を用いて貼り付け、指の腹で密着させた後に90°方向に引っ張って剥離した。判定は100マスの内、剥離しないマス目の数が90マス以上の場合を「○」とし密着性があると判断した。90マス未満の場合を「×」とし密着性なしと判断した。
<高温高湿保存条件>
・使用装置:エスペック(株)製環境試験器(型式:PR−2KTH)
・温度: 85℃
・湿度: 85%RH
・保存時間:500時間。
2.5mol/L(5規定)の濃度で生成した硫酸水溶液を、第1層または第2層を形成した側の表面に直径Φ10mmの範囲で滴下し、気温25℃、湿度50%RHの環境下で10分間放置した。放置後、硫酸水溶液を滴下した部分の外観を目視にて観察した。目視にて、外観に変化が見られなかった場合を「○」とし、溶解や着色、膨潤などの変化が見られた場合は「×」として判定した。
共重合体(A)における(a1)〜(a3)の割合は、まずヘキサフルオロイソパノール(HFIP)で基材であるポリエチレンテレフタレートを溶解し、第1層および第2層を分取する。次に、分取した第2層を固体NMR分析することにより、(a1)〜(a3)の割合を定量する。なお、表2に固体NMRにて測定した(a1)〜(a3)の割合を示す。
下記条件の平面摩耗試験を行った後、評価方法(2)に記載の方法で水蒸気透過度を測定した。まず、平面摩耗試験機の摩擦子表面に摩擦布として綿帆布を取り付け、試験サンプルの第1層または第2層形成面を荷重1,000gで往復100回摩耗した。次いで、摩耗させた位置を評価方法(2)に記載の方法で水蒸気透過度を測定した。評価n数は各水準2とし、測定回数は各検体について10回とし、その平均値を水蒸気透過度(g/(m2・24hr・atm))とした。
<平面摩耗試験条件>
・使用装置: (株)太栄科学精器製作所製平面摩耗試験機(型式:PA−300A)
・摩擦子材質: アルミニウム
・摩擦子表面形状:20mm×20mm
・摩擦布: 綿帆布
・ステージ材質: ステンレス
・摩擦ストローク:30mm
・摩擦子往復速度:60回/分
・試験荷重: 1,000g
・摩擦往復回数: 100回。
以下の実施例、比較例に用いる共重合体は、メチルメタクリレート(MMA)、アクリロニトリル(AN)及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)の各モノマーを表1に示す割合(質量比)で配合し、公知の技術により共重合して得た。得られた共重合体を酢酸プロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びn−プロピルアルコールの混合溶剤に溶解させて固形分濃度が30質量%の共重合体a〜kを得た。なお、各共重合体のモノマーの混合比と得られた塗料の外観を表1に示す。
(第1層の形成)
高分子フィルム基材1として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製“ルミラー”(登録商標)U48)を用いた。
信越化学工業株式会社製シラン化合物KBE−903(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)3.8質量部、純水 0.9質量部、アセトン 20.3質量部を配合し、スターラーを用いて30℃120分間攪拌して加水分解させた固形分濃度15質量%のシラン化合物の加水分解物を得た。
上記第1層上に、ワイヤーバーを用いてコーティング液1を塗布し、100℃で30秒間乾燥し、乾燥後の厚みが1,000nmとなるように第2層を設けた。
(芳香族環構造を有するポリウレタン化合物の合成)
5リットルの4つ口フラスコに、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物(共栄社化学社製、商品名:エポキシエステル3000A)を300質量部、酢酸エチル710質量部を入れ、内温60℃になるよう加温した。合成触媒としてジラウリン酸ジ−n−ブチル錫0.2質量部を添加し、攪拌しながらジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート(東京化成工業社製)200質量部を1時間かけて滴下した。滴下終了後2時間反応を続行し、続いてジエチレングリコール(和光純薬工業社製)25質量部を1時間かけて滴下した。滴下後5時間反応を続行し、重量平均分子量20,000の芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を得た。
高分子フィルム基材1として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製“ルミラー”(登録商標)U48)を用いた。
アンダーコート層形成用の塗液として、前記ポリウレタン化合物を150質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学社製、商品名:ライトアクリレートDPE−6A)を20質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルーケトン(BASFジャパン社製、商品名:IRGACURE 184)を5質量部、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン(信越シリコーン社製、商品名:KBM−503)を3質量部、酢酸エチルを170質量部、トルエンを350質量部、シクロヘキサノンを170質量部配合して塗液を調整した。次いで、塗液を高分子フィルム基材上にマイクログラビアコーター(グラビア線番150UR、グラビア回転比100%)で塗布、100℃で1分間乾燥し、乾燥後、下記条件にて紫外線処理を施して厚み1,000nmのアンダーコート層を設けた。
導入ガス:N2(窒素イナートBOX)
紫外線発生源:マイクロ波方式無電極ランプ
積算光量:400mJ/cm2
試料温調:室温。
共重合体aのかわりに共重合体bを用いる以外は、実施例2と同様にして、ガスバリア性フィルムを得た。
共重合体aのかわりに共重合体cを用いる以外は、実施例2と同様にして、ガスバリア性フィルムを得た。
共重合体aのかわりに共重合体dを用いる以外は、実施例2と同様にして、ガスバリア性フィルムを得た。
共重合体aのかわりに共重合体eを用いる以外は、実施例2と同様にして、ガスバリア性フィルムを得た。
(アンダーコート層の形成)
高分子フィルム基材1として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製“ルミラー”(登録商標)U48)を用いた。高分子フィルム基材1の上に実施例2と同様の方法で厚み1,000nmのアンダーコート層を設けた。
図3に示す枚葉式のスパッタリング装置(以降スパッタ装置と略す)4を使用し、酸化亜鉛と二酸化ケイ素で形成された混合焼結材であるスパッタターゲットをスパッタ電極5に設置し、アルゴンガスおよび酸素ガスによるスパッタリングを実施し、前記アンダーコート層の表面に、第1層としてZnO−SiO2層を膜厚50nm狙いで設けた。
第1層の膜厚を100nmとする以外は、実施例3と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
第1層の膜厚を200nmとする以外は、実施例3と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
第1層の膜厚を300nmとする以外は、実施例3と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
第2層の厚みを300nmとする以外は、実施例3と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
第2層の厚みを200nmとする以外は、実施例3と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
第2層を形成しない以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
第2層を形成しない以外は、実施例2と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
共重合体aのかわりに共重合体fを用いる以外は、実施例2と同様にして、ガスバリア性フィルムを得た。
共重合体aのかわりに共重合体gを用いる以外は、実施例2と同様にして、ガスバリア性フィルムを得た。
共重合体aのかわりに共重合体hを用いる以外は、実施例2と同様にして、ガスバリア性フィルムを得た。
共重合体aのかわりに共重合体iを用いる以外は、実施例2と同様にして、ガスバリア性フィルムを得た。
共重合体aのかわりに共重合体jを用いる以外は、実施例2と同様にして、ガスバリア性フィルムを得た。
共重合体aのかわりに共重合体kを用いる以外は、実施例2と同様にして、ガスバリア性フィルムを得た。
第2層のコーティング液に5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物のメチルエチルケトン希釈液を使用しないこと以外は実施例3と同様にして、ガスバリア性フィルムを得た。
実施例7において、第1層として純度99.99質量%の酸化亜鉛からなるスパッタターゲットを使用して、ZnO層を厚み50nmとなるよう設けた以外は、実施例7と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。この第1層の組成は、Zn原子濃度が45.2atom%、O原子濃度が54.8atom%であった。
実施例7において、第1層として純度99.99質量%の酸化アルミニウムからなるスパッタターゲットを使用して、Al2O3層を厚み50nmとなるよう設けた以外は、実施例7と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。この第1層の組成は、Al原子濃度が37.5atom%、O原子濃度が62.5atom%であった。
実施例7において、第1層として純度99.99質量%の二酸化ケイ素からなるスパッタターゲットを使用して、SiO2層を厚み50nmとなるよう設けた以外は、実施例7と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。この第1層の組成は、Si原子濃度が35.3atom%、O原子濃度が64.7atom%であった。
実施例7において、第1層として純度99.99質量%の二酸化チタンからなるスパッタターゲットを使用して、TiO2層を厚み50nmとなるよう設けた以外は、実施例7と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。この第1層の組成は、Ti原子濃度が31.4atom%、O原子濃度が68.6atom%であった。
実施例7において、第1層として酸化アルミニウム/二酸化ケイ素の組成質量比が50/50で焼結されたスパッタターゲットを使用して、Al2O3−SiO2層を厚み50nmとなるよう設けた以外は、実施例7と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。この第1層の組成は、Al原子濃度が22.3atom%、Si原子濃度が16.0atom%、O原子濃度が61.7atom%であった。
第1層の膜厚を100nmとする以外は、比較例2と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
第1層の膜厚を200nmとする以外は、比較例2と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
第1層の膜厚を300nmとする以外は、比較例2と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
2 ガスバリア層
2a 酸化亜鉛および二酸化ケイ素を含む第1層
2b (A)〜(C)を含む第2層
3 アンダーコート層
4 枚葉式スパッタリング装置
5 スパッタ電極
6 基板ホルダ
7 成膜室
Claims (5)
- 高分子フィルム基材の少なくとも片面に、酸化亜鉛および二酸化ケイ素を含む第1層と以下の(A)〜(C)を含む第2層とを高分子フィルム基材からこの順に接して配されたことを特徴とするガスバリア性フィルム。
(A)不飽和カルボン酸エステル、スチレン、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素及びビニルエステルからなる群より選択される少なくとも1つの不飽和化合物(a1)と不飽和ニトリル(a2)と水酸基を有する不飽和化合物(a3)との少なくとも3成分を単量体とする共重合体であって、共重合体に占める(a1)〜(a3)の割合が以下である共重合体
(a1):(a2):(a3)=20〜40質量%:10〜30質量%:30〜70質量%
(B)イソシアネート基を有する化合物
(C)2つ以上のカルボン酸基または1つ以上の無水カルボン酸基を有する化合物 - 前記高分子フィルム基材と第1層との間にアンダーコート層を有し、該アンダーコート層が芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
- 前記第1層が、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)およびインジウム(In)からなる群より選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
- 前記第1層がアルミニウム(Al)を含み、前記第1層は、X線光電子分光法により測定される亜鉛(Zn)原子濃度が10〜35atom%、ケイ素(Si)原子濃度が5〜25atom%、アルミニウム(Al)原子濃度が1〜7atom%、酸素(O)原子濃度が50〜70atom%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
- 前記第2層の厚みが0.1μm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
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