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JP2023043359A - 積層体 - Google Patents

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JP2023043359A JP2021150929A JP2021150929A JP2023043359A JP 2023043359 A JP2023043359 A JP 2023043359A JP 2021150929 A JP2021150929 A JP 2021150929A JP 2021150929 A JP2021150929 A JP 2021150929A JP 2023043359 A JP2023043359 A JP 2023043359A
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JP2021150929A
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幸大 徳永
Yukihiro Tokunaga
誠 佐藤
Makoto Sato
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

【課題】生産効率が高くかつシンプルな構成でも高度なガスバリア性を有する積層体を提供する。【解決手段】基材の少なくとも片側にA層を有し、A層は条件1及び2を満たす、積層体。条件1:A層はマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、及びアルミニウムからなる群より選ばれる1種以上の元素、並びに、ケイ素、スズ、及びゲルマニウムからなる群より選ばれる1種以上の元素、及び酸素を含む。条件2:A層に含まれるマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウムの少なくともいずれか1つの元素について、特定の関係式を満たす。XA界面/MA界面>XA全体/MA全体XA界面、MA界面:A層界面における元素X(または金属元素)の含有比率XA全体、MA全体:A層全体における元素X(または金属元素)の含有比率元素X:マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウムのいずれか。【選択図】なし

Description

本発明は、高いガスバリア性が必要とされる食品、医薬品の包装材料や、太陽電池、電子ペーパー、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどの電子部品の材料に使用される積層体に関する。
フィルム基材の表面に、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(PVD法)、または、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD法)等を利用して、無機物(無機酸化物を含む)の無機層を形成してなるガスバリア性フィルムは、水蒸気や酸素などの各種ガスの遮断を必要とする食品や医薬品などの包装材および電子ペーパー、太陽電池などの電子デバイス部材として用いられており、それらの部材において、水蒸気透過度で5.0×10-2g/m/day以下の高いガスバリア性が求められている。
高いガスバリア性を満たす方法の1つとして、有機層と無機層を交互に多層積層させることで、穴埋め効果により欠陥の発生を防止したガスバリア性フィルム(特許文献1)や、ZnOとSiOを主成分とするターゲットを用いてスパッタリングすることで、ZnO-SiO系のような複合酸化物膜をフィルム基材上に形成した簡便な膜構成のガスバリア性フィルム(特許文献2)が提案されている。
特開2005-324406号公報 特開2013-147710号公報
しかしながら、特許文献1のように有機層と無機層を交互に多層積層させることにより、高いバリア性を発現させることは可能であるが、積層させることから工程数が多くなり生産効率が悪く高コストとなる問題点があった。また、特許文献2のように複合酸化物をスパッタリングにより形成する積層体は、特許文献1に比べると低コストで製造出来るものの、製造方法の性質上、成膜速度の高速化に限界があること等から、生産効率が悪く低コスト化することが困難であった。
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、生産効率が高くかつシンプルな構成でも高度なガスバリア性を有する積層体を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用する。すなわち、以下である。
(1)基材の少なくとも片側に、A層を有し、前記A層は条件1及び条件2を満たす、積層体。
条件1:前記A層はマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、及びアルミニウムからなる群より選ばれる1種以上の元素、並びに、ケイ素、スズ、及びゲルマニウムからなる群より選ばれる1種以上の元素、及び酸素を含む。
条件2:前記A層に含まれるマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウムの少なくともいずれか1つの元素について、以下関係式を満たす。
A界面/MA界面>XA全体/MA全体
A界面:A層界面における元素Xの含有比率
A界面:A層界面における金属元素の含有比率
A全体:A層全体における元素Xの含有比率
A全体:A層全体における金属元素の含有比率
元素X:マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウムのいずれか1つ。
(2)水蒸気透過度が5.0×10-2g/m/day未満である、(1)に記載の積層体。
(3)前記A層は、膜厚が300nm以下である、(1)または(2)に記載の積層体。
(4)前記A層は、マグネシウム、並びにケイ素を含む、(1)~(3)のいずれかに記載の積層体。
(5)アンカーコート層を有し、前記アンカーコート層は、一方の面が前記基材と接し、他方の面が前記A層と接している、(1)~(4)のいずれかに記載の積層体。
(6)前記A層にマグネシウム、並びにケイ素を含み、1.05<(XA界面/MA界面)/(XA全体/MA全体)<2.20である、(4)または(5)に記載の積層体。
(7)0.60≦XA界面/MA界面≦1.00であり、0.45≦XA全体/MA全体≦0.80である、(1)~(6)のいずれかに記載の積層体。
(8)前記A層界面において、X線光電子分光により測定されるマグネシウム(Mg)原子濃度が20~60atm%、酸素(O)原子濃度が40~80atm%である、(1)~(7)のいずれかに記載の積層体。
(9)前記A層全体において、X線光電子分光により測定されるマグネシウム(Mg)原子濃度が5~50atm%、ケイ素(Si)原子濃度が2~30atm%、及び酸素(O)原子濃度が45~70atm%である、(1)~(8)のいずれかに記載の積層体。
(10)前記A層界面が真空蒸着法もしくはスパッタリング法により形成される層であり、前記A層界面以外のA層が真空蒸着法により形成される層である、(1)~(9)のいずれかに記載の積層体。
本発明によれば、生産効率が高くかつシンプルな構成でも高度なガスバリア性を有する積層体を提供することができる。
本発明の積層体の一例を示した断面図である。 本発明の積層体の一例を示した断面図である。 本発明の積層体を製造するための巻き取り式電子線蒸着装置を模式的に示す概略図である。 本発明の積層体を製造するための巻き取り式電子線蒸着装置を模式的に示す概略図である。 本発明の積層体を製造するための材料配置を上部から模式的に表す図である。 本発明の積層体のA層の膜構成を説明する図である。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。 A層深さ方向の原子濃度及びX/Mのグラフである。
以下に本発明の詳細を説明する。
[積層体]
本発明の積層体に係る好ましい一態様は、基材の少なくとも片側に、A層を有し、前記A層は条件1及び条件2を満たす、積層体、である。
条件1:前記A層はマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、及びアルミニウムからなる群より選ばれる1種以上の元素、並びに、ケイ素、スズ、及びゲルマニウムからなる群より選ばれる1種以上の元素、及び酸素を含む。
条件2:前記A層に含まれるマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウムの少なくともいずれか1つの元素について、以下関係式を満たす。
A界面/MA界面>XA全体/MA全体
A界面:A層界面における元素Xの含有比率
A界面:A層界面における金属元素の含有比率
A全体:A層全体における元素Xの含有比率
A全体:A層全体における金属元素の含有比率
元素X:マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウムのいずれか1つ。
A層はマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、及びアルミニウムからなる群より選ばれる1種以上の元素、並びに、ケイ素、スズ、及びゲルマニウムからなる群より選ばれる1種以上の元素を含むことが好ましく、ガスバリア性や複合酸化物を形成する観点より、少なくとも、マグネシウム及びケイ素、亜鉛及びケイ素、チタン及びケイ素、ジルコニウム及びケイ素、アルミニウム及びケイ素を含むことが好ましい。蒸着性や光学特性の観点より、A層はマグネシウム及びケイ素、ジルコニウム及びケイ素、アルミニウム及びケイ素を含むことがより好ましい。なかでも、A層が、酸化マグネシウムおよび酸化ケイ素を含むことがさらに好ましい。酸化マグネシウムと酸化ケイ素を含むことで特に緻密な複合酸化物膜を形成することができ、ガスバリア性が良好となる。
また、ガスバリア性の観点から、以下1~4の順により好ましくなっていき、4が最も好ましい。
1.前記A層に含まれるマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、及びアルミニウムの合計含有量を100atm%としたとき、前記A層はマグネシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、及びアルミニウムからなる群より選ばれる1種以上の元素を合計して50atm%以上含有し、それらのいずれかの元素を最も多く含有する。
2.前記A層に含まれるマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、及びアルミニウムの合計含有量を100atm%としたとき、前記A層はマグネシウム、ジルコニウム、及びアルミニウムからなる群より選ばれる1種以上の元素を合計して50atm%以上含有し、それらのいずれかの元素を最も多く含有する。
3.前記A層に含まれるマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、及びアルミニウムの合計含有量を100atm%としたとき、前記A層はマグネシウム、及びジルコニウム、からなる群より選ばれる1種以上の元素を合計して50atm%以上含有し、それらのいずれかの元素を最も多く含有する。
4.前記A層に含まれるマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、及びアルミニウムの合計含有量を100atm%としたとき、前記A層はマグネシウムを50atm%以上含有し、それらのいずれかの元素を最も多く含有する。
本発明のA層はX線光電子分光法(XPS)の深さ方向分析により得られた組成により規定する。SiO膜の換算厚みで、A層最表面から5nmずつアルゴンイオンエッチングにより層を除去していき、組成を分析する。A層最表面はA層が基材と最も近接する面と反対面のことを指す。その際に、検出される全元素100atm%中、A層中にマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウムの合計含有量が1atm%以上検出される測定点を基点として、アルゴンイオンエッチングと分析を繰り返し、A層中のマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウムの合計含有量が1atm%以下になった測定点を終点(以下、界面基準面ともいうことがある)としたときに、基点から終点までの間をA層と定義する。例えば、基点から終点までの間にマグネシウムを含む層とアルミニウムを含む別の層が積層されて存在した場合にも、マグネシウムを含む層とアルミニウムを含む層を合わせてA層とする。
A1層/基材/A2層/基材の構成(A1層、A2層はいずれもA層に該当する)など、上記したXPSによりA層に該当すると判別される層が複数ある場合は、A層に該当する各層において、上記条件1及び2を満たすかどうか判別するものとする。この場合、A層に該当する層の少なくともいずれかの層において、上記条件1及び2を満たす場合、当該積層体は基材の少なくとも片側に、A層を有し、前記A層は条件1及び条件2を満たす、積層体、である、とする。なお、より好ましい態様についても同様とする。
また、基材/A層/基材、の構成など、基点と終点のとり方が2通りとなる場合は、そのうちのいずれかにおいて上記条件1及び2を満たす場合、当該積層体は、基材の少なくとも片側に、A層を有し、前記A層は条件1及び条件2を満たす、積層体、である、とする。なお、より好ましい態様についても同様とする。
A層に含まれる元素の形態は、酸化物、窒化物、酸化窒化物、炭化物などが挙げられ、特に限定されないが、ガスバリア性、光学特性などの観点から、酸化物、酸化窒化物の形態として存在することが好ましい。
本発明の積層体のA層が、マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、及びアルミニウムからなる群より選ばれる1種以上の元素、並びに、ケイ素、スズ、及びゲルマニウムからなる群より選ばれる1種以上の元素、及び酸素を含んでいれば、その他の無機化合物が含まれていても構わない。
A層が酸素を含むとは、X線光電子分光法(XPS)で評価を行った場合に、上記基点から終点までの測定点における酸素原子の平均含有比率が10.0atm%以上であることを言う。透明性や緻密性などの観点より、酸素原子の含有比率は20.0atm%以上であることが好ましく、40.0atm%以上であることがより好ましい。
本発明の積層体の前記A層に含まれるマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウムの少なくともいずれか1つの元素について、以下関係式を満たすことが好ましい。
A界面/MA界面>XA全体/MA全体
A界面:A層界面における元素Xの含有比率
A界面:A層界面における金属元素の含有比率
A全体:A層全体における元素Xの含有比率
A全体:A層全体における金属元素の含有比率
元素X:マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウムのいずれか1つ。
A層全体とは、X線光電子分光(XPS)により評価を行った場合の、終点から15nm分基点側の箇所から基点までのことを指す。A層界面は、終点から15nm分基点側の箇所からA層全体の膜厚の20%分の領域を言う。また、基点とA層界面の間の領域は、A層主要部と呼ぶ。
A層全体における元素Xの含有比率は、アルゴンイオンエッチングを基点から終点(界面基準面)から15nm分基点側の箇所までSiO換算厚みで5nmずつ行った場合の全ての測定点における元素Xの原子濃度の平均値のことを指す。また同様に、A層全体における金属元素の含有比率は、アルゴンイオンエッチングを基点から終点(界面基準面)から15nm分基点側の箇所までSiO換算厚みで5nmずつ行った場合の全ての測定点における金属元素の原子濃度の和の平均値のことを指す。ここでいう金属元素はマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウム、ケイ素、スズ及びゲルマニウムを始めとした一般的に金属及び半金属で知られている元素を指す。
A層界面における元素Xの含有比率は、同様にアルゴンエッチングを行った場合のA層界面の測定点における元素Xの原子濃度の平均値のことを指す。また同様に、A層界面における金属元素の含有比率は、同様にアルゴンエッチングを行った場合のA層界面の測定点における金属元素の原子濃度の和の平均値のことを指す。
一般的に界面付近には共有結合性の高いケイ素、スズ、ゲルマニウムなどが豊富に存在する方が、基材界面との密着性が向上し、A層が緻密になると考えられるが、今回、界面付近にイオン性の比較的高いマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウムの元素Xが豊富に存在した場合、つまりXA界面/MA界面>XA全体/MA全体であることにより、バリア性が飛躍的に向上することを見出した。イオン性の比較的高い元素Xが界面付近に豊富に存在することにより、結晶性が比較的高く秩序性のある緻密な膜が形成するものと考えている。
また、上記した観点から、前記A層に含まれるマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウムうち、A層全体において最も多く含まれる元素について、上記した関係式を満たすことがより好ましい。
前記A層に含まれるマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウムの少なくともいずれか1つの元素について、1.05<(XA界面/MA界面)/(XA全体/MA全体)<2.20であることが好ましい。(XA界面/MA界面)/(XA全体/MA全体)≦1.05である場合、A層全体の膜質向上効果が得られない可能性がある。また、2.20≦(XA界面/MA界面)/(XA全体/MA全体)である場合、A層界面の膜質とその上に形成されるA層主要部の膜質が不連続になりクラック等が形成されやすくなる可能性がある。バリア性や蒸着性の観点から、1.05<(XA界面/MA界面)/(XA全体/MA全体)<1.70がより好ましく、1.10<(XA界面/MA界面)/(XA全体/MA全体)<1.40が更に好ましい。
また、0.60≦XA界面/MA界面≦1.00であり、0.45≦XA全体/MA全体≦0.80であることが好ましい。XA界面/MA界面<0.60である場合、A層界面の膜質が向上せずA層全体の膜質向上効果が得られない可能性がある。XA全体/MA全体<0.45である場合、A層全体の膜質が低下しバリア性が発現しない可能性がある。また、0.80<XA全体/MA全体である場合、A層全体が緻密になりすぎることによりクラックが入りやすくなる可能性がある。A層界面の緻密性の観点から、0.76≦XA界面/MA界面≦1.00であることがより好ましい。また、バリア性の観点から、0.50≦XA全体/MA全体≦0.77であることがより好ましく、0.55≦XA全体/MA全体≦0.75であることが更に好ましい。
A層界面において、X線光電子分光により測定されるマグネシウム(Mg)原子濃度が20~60atm%、酸素(O)原子濃度が40~80atm%であることが好ましい。A層界面に緻密膜を形成する観点より、マグネシウム(Mg)原子濃度が20~50atm%、酸素(O)原子濃度が50~70atm%であることがより好ましく、マグネシウム(Mg)原子濃度が25~40atm%、酸素(O)原子濃度が55~65atm%であることが更に好ましい。
A層全体において、X線光電子分光により測定されるマグネシウム(Mg)原子濃度が5~50atm%、ケイ素(Si)原子濃度が2~30atm%、及び酸素(O)原子濃度が45~70atm%であることが好ましい。膜質やガスバリア性の観点より、マグネシウム(Mg)原子濃度が8~35atm%、ケイ素(Si)原子濃度が6~25atm%、及び酸素(O)原子濃度が50~65atm%であることがより好ましい。マグネシウム原子濃度が50atm%よりも多い、またはケイ素原子濃度が2atm%よりも少ないと、ケイ素原子の割合が少なくなることでA層は結晶層になりやすく、クラックが入りやすくなる場合がある。マグネシウム原子濃度が5atm%よりも少ない、またはケイ素原子濃度が30atm%よりも多いと、A層中のシリケート結合の割合が少なくなるため、緻密性が低下しガスバリア性が発現しない場合がある。酸素原子濃度が45atm%よりも少ないと、マグネシウム、ケイ素は酸化不足となり、光線透過率が低下する場合がある。また、酸素原子濃度が70atm%よりも多いと、酸素が過剰に取り込まれるため、空隙や欠陥が増加し、ガスバリア性が低下する場合がある。
本発明の積層体のA層は、非晶質膜であることが好ましい。非晶質とは、原子や分子が結晶のように長距離的に規則正しい秩序構造を取らず、不規則な構造であることを言う。結晶構造であると、結晶粒界が生じやすくなることから該箇所が水蒸気透過経路となりガスバリア性が悪くなったり、割れやすくなることから、非晶質であることが好ましい。非晶質であるか否かは断面TEMやX線回折(XRD)などの分析方法によって確認することができる。断面TEMの場合、非晶質膜ではコントラストは均一となり、結晶粒界は見られない一方で、結晶膜では微結晶状態や柱状構造など結晶構造に応じた結晶粒界が観察される。
本発明の積層体は、水蒸気透過度が5.0×10-2g/m/day未満であることが好ましい。比較的高いガスバリア性が要求される高級包装材料や電子デバイス用途に使用される観点から、本発明の積層体の水蒸気透過度は1.0×10-2g/m/day未満であることがより好ましい。また水蒸気透過度の下限は特に限定されないが、膜が必要以上に緻密になるとクラックが生じやすくなることから、本発明の積層体の水蒸気透過度は1.0×10-4g/m/day以上であることが好ましい。なお、dayは24時間を意味する。
本発明におけるA層の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)による評価で得ることができる。A層の厚みは5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。厚みが5nmよりも薄いと層として形成されない領域が発生し、十分なガスバリア性が確保できない場合がある。また、A層の厚みは500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましい。A層の厚みが500nmよりも厚いとクラックが入りやすくなったり耐屈曲性や延伸性が低下したりする場合がある。薄膜かつ良好なバリア性を得られる観点より、A層の厚みは50nm以上150nm未満が更に好ましい。
A層の形成方法は特に限定されず、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、原子層堆積(ALD)などの形成方法が用いられる。これらの方法の中でも、安価、簡便かつ所望の性質を得られる手法として、真空蒸着法が好ましい。真空蒸着法の中でも、融点が比較的高い化合物を蒸着し、蒸気圧の異なる材料の膜組成を制御する観点から電子線(EB)蒸着法が更に好ましい。その中でもA層界面は膜質の観点より、真空蒸着法もしくはスパッタリング法を用いることが好ましい。真空蒸着法もしくはスパッタリング法を用いることで安価かつ緻密な膜が形成可能である。また、反応性ガスとして酸素、窒素、水蒸気などを導入したり、イオンアシストなどを用いた反応性蒸着としてもよい。また、真空蒸着法は枚葉式、巻き取り式などの成膜様式いずれでもよい。図3には巻き取り式装置の一例を示す。
[A層の製造方法一例]
巻き取り式蒸着装置図3によるA層の形成方法の一例を示す。電子線蒸着法により、基材1の表面にA層として、材料BとCの化合物薄膜を設ける。まず、蒸着材料として、2~5mm程度の大きさの顆粒状の材料Bと材料Cをるつぼ11及び24に、図5のように面積は1:1で配置する。蒸着材料は顆粒に限らず、角形やタブレット型などの成形体などの形状のものを用いてもよい。また、蒸着材料が吸湿していると材料中の水分がA層中に取り込まれ、所望の膜組成や物性が得られなくなる可能性があることから、材料を使用前に加熱による脱水処理を行うことが好ましい。巻き取り室5の中で、巻き出しロール6に前記基材1のA層を設ける側の面がるつぼ11に対向するようにセットし、巻き出し、ガイドロール7,8,9を介して、メインドラム10に通し、さらに、ガイドロール21,22を介してメインドラム23に通す。次に、真空ポンプにより、蒸着装置4内を減圧し、5.0×10-3Pa以下を得る。到達真空度は5.0×10-3Pa以下が好ましい。到達真空度は5.0×10-3Paより大きいと残留ガスがA層中に取り込まれ、所望の膜組成や物性が得られなくなる可能性がある。メインドラム10,23の温度は一例として、-15℃に設定する。基材の熱負けを防ぐ観点から、20℃以下が好ましく、より好ましくは0℃以下である。次に、加熱源として一台の電子銃(以下、EB銃)13,26を用い、A層の膜組成がXA界面/MA界面>XA全体/MA全体を満たすように蒸着材料12,25それぞれの材料B,C表面を、滞在時間を変更しながら加熱し、蒸着を行う。EB銃は加速電圧6kV、印加電流50~200mA、蒸着レート1nm/secとなるようにし、EB蒸着により前記基材1の表面上にA層を形成する。また、形成するA層の厚みは、フィルム搬送速度により調整した。その後、ガイドロール15,16,17を介して巻き取りロール18に巻き取る。
A層の組成比率はX線光電子分光法(XPS法)により測定することができる。X線光電子分光法を用いる場合、アルゴンイオンエッチングを基点から終点まで厚み5nmずつ行い、全ての箇所において各元素の含有比率を測定する。アルゴンイオンエッチングのエッチング速度は、予め透過型電子顕微鏡(TEM)により膜厚を測定し、アルゴンイオンエッチングによりA層最表面から基材界面までエッチングを行うことでエッチング速度を算出する。
[基材]
本発明に用いられる基材は、柔軟性を確保する観点からフィルム形態を有することが好ましい。フィルムの構成としては、単層フィルム、または2層以上の、例えば、共押し出し法で製膜したフィルムであってもよい。フィルムの種類としては、無延伸、一軸延伸あるいは二軸延伸フィルム等を使用してもよい。
本発明に用いられる基材の素材は特に限定されないが、有機高分子を主たる構成成分とするものであることが好ましい。本発明に好適に用いることができる有機高分子としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の結晶性ポリオレフィン、環状構造を有する非晶性環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール等の各種ポリマーなどを挙げることができる。これらの中でも、透明性や汎用性、機械特性に優れたポリエチレンテレフタレートまたは非晶性環状ポリオレフィンを用いることが好ましい。また、前記有機高分子は、単独重合体、共重合体のいずれでもよいし、有機高分子として1種類のみを用いてもよいし、複数種類をブレンドして用いてもよい。
基材のA層を形成する側の表面には、密着性や平滑性を良くするためにコロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理、イオンボンバード処理、溶剤処理、有機物もしくは無機物またはそれらの混合物で構成されるアンカーコート層の形成処理、等の前処理が施されていてもよい。また、A層を形成する側の反対側には、基材の巻き取り時の滑り性の向上や基材の耐擦傷性を目的として、有機物や無機物あるいはこれらの混合物のコーティング層が積層されていてもよい。また、基材の巻き取り時の滑り性の向上やハンドリング向上を目的としてA層を形成する反対側にフィルムをラミネートした構成としてもよい。
本発明に使用する基材の厚みは特に限定されないが、柔軟性を確保する観点から500μm以下が好ましく、引張りや衝撃に対する強度を確保する観点から5μm以上が好ましい。さらに、フィルムの加工やハンドリングの容易性から基材の厚みは10μm以上、100μm以下がより好ましい。
[アンカーコート層]
本発明の積層体は、アンカーコート層を有し、前記アンカーコート層は、一方の面が前記基材と接し、他方の面が前記A層と接していることが好ましい。さらにアンカーコート層は、芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を架橋して得られる構造を含んでいることがより好ましい。基材上に突起や傷などの欠点が存在する場合、前記欠点を起点に基材上に積層するA層にもピンホールやクラックが発生してガスバリア性や耐屈曲性が損なわれる場合があるため、アンカーコート層を設けることが好ましい。また、基材とA層との熱寸法安定性差が大きい場合もガスバリア性や屈曲性が低下する場合があるため、アンカーコート層を設けることが好ましい。また、本発明に用いられるアンカーコート層は、熱寸法安定性、耐屈曲性の観点から芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を架橋して得られる構造を含有することが好ましく、さらに、エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤、有機ケイ素化合物および/または無機ケイ素化合物を含有することがより好ましい。
本発明の積層体のA層に用いられる芳香族環構造を有するポリウレタン化合物は、主鎖あるいは側鎖に芳香族環およびウレタン結合を有するものであり、例えば、分子内に水酸基と芳香族環とを有するエポキシ(メタ)アクリレート、ジオール化合物、ジイソシアネート化合物とを重合させて得ることができる。
分子内に水酸基と芳香族環とを有するエポキシ(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、水添ビスフェノールF型、レゾルシン、ヒドロキノン等の芳香族グリコールのジエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸誘導体とを反応させて得ることができる。
ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、2,4-ジメチル-2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、4,4’-チオジフェノール、ビスフェノールA、4,4’-メチレンジフェノール、4,4’-(2-ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’-ジヒドロキシビフェノール、o-,m-,及びp-ジヒドロキシベンゼン、4,4’-イソプロピリデンフェノール、4,4’-イソプロピリデンビンジオール、シクロペンタン-1,2-ジオール、シクロヘキサン-1,2-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、ビスフェノールAなどを用いることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
ジイソシアネート化合物としては、例えば、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネート化合物、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4-ジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート等の脂環族系イソシアネート化合物、キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族系イソシアネート化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
前記分子内に水酸基と芳香族環とを有するエポキシ(メタ)アクリレート、ジオール化合物、ジイソシアネート化合物の成分比率は所望の重量平均分子量になる範囲であれば特に限定されない。本発明における芳香族環構造を有するポリウレタン化合物の重量平均分子量(Mw)は、5,000~100,000であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が5,000~100,000であれば、得られる硬化皮膜の熱寸法安定性、耐屈曲性が優れるため好ましい。なお、本発明における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用いて測定され標準ポリスチレンで換算された値である。
エチレン性不飽和化合物としては、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールS型エポキシジ(メタ)アクリレート等のエポキシアクリレート等を挙げられる。これらの中でも、熱寸法安定性、表面保護性能に優れた多官能(メタ)アクリレートが好ましい。また、これらは単一の組成で用いてもよいし、二成分以上を混合して使用してもよい。
エチレン性不飽和化合物の含有量は特に限定されないが、熱寸法安定性、表面保護性能の観点から、芳香族環構造を有するポリウレタン化合物との合計量100質量%中、5~90質量%の範囲であることが好ましく、10~80質量%の範囲であることがより好ましい。
光重合開始剤としては、本発明の積層体のガスバリア性および耐屈曲性を保持することができれば素材は特に限定されない。本発明に好適に用いることができる光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルーケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアルキルフェノン系光重合開始剤、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム等のチタノセン系光重合開始剤、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]等オキシムエステル構造を持つ光重合開始剤等が挙げられる。
これらの中でも、硬化性、表面保護性能の観点から、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルーケトン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシドから選ばれる光重合開始剤が好ましい。また、これらは単一の組成で用いてもよいし、二成分以上を混合して使用してもよい。
光重合開始剤の含有量は特に限定されないが、硬化性、表面保護性能の観点から、重合性成分の合計量中、0.01~10質量%の範囲であることが好ましく、0.1~5質量%の範囲であることがより好ましい。
有機ケイ素化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらの中でも、硬化性、活性エネルギー線照射による重合活性の観点から、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランおよびビニルトリエトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1つの有機ケイ素化合物が好ましい。また、これらは単一の組成で用いてもよいし、二成分以上を混合して使用してもよい。
有機ケイ素化合物の含有量は特に限定されないが、硬化性、表面保護性能の観点から、重合性成分の合計量中、0.01~10質量%の範囲であることが好ましく、0.1~5質量%の範囲であることがより好ましい。
無機ケイ素化合物としては、表面保護性能、透明性の観点からシリカ粒子が好ましく、さらにシリカ粒子の一次粒子径が1~300nmの範囲であることが好ましく、5~80nmの範囲であることがより好ましい。なお、ここでいう一次粒子径とは、ガス吸着法により求めた比表面積sを下記の式(1)に適用することで求められる粒子直径dを指す。
d=6/ρs ・・・ (1)
ρ:密度。
アンカーコート層の厚みは、200nm以上、4,000nm以下が好ましく、300nm以上、2,000nm以下がより好ましく、500nm以上、1,000nm以下がさらに好ましい。アンカーコート層の厚みが200nmより薄くなると、基材上に存在する突起や傷などの欠点の悪影響を抑制できない場合がある。アンカーコート層の厚みが4,000nmより厚くなると、アンカーコート層の平滑性が低下して前記アンカーコート層上に積層するA層表面の凹凸形状も大きくなり、積層される蒸着膜が緻密になりにくく、ガスバリア性の向上効果が得られにくくなる場合がある。ここでアンカーコート層の厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察画像から測定することが可能である。
アンカーコート層の算術平均粗さRaは、10nm以下であることが好ましい。Raを10nm以下にすると、アンカーコート層上に均質なA層を形成しやすくなり、ガスバリア性の繰り返し再現性が向上するため好ましい。アンカーコート層の表面のRaが10nmより大きくなると、アンカーコート層上のA層表面の凹凸形状も大きくなり、蒸着膜が緻密になりにくく、ガスバリア性の向上効果が得られにくくなる場合があり、また、凹凸が多い部分で応力集中によるクラックが発生し易いため、ガスバリア性の繰り返し再現性が低下する原因となる場合がある。従って、本発明においては、アンカーコート層のRaを10nm以下にすることが好ましく、より好ましくは5nm以下である。本発明におけるアンカーコート層のRaは、原子間力顕微鏡(AFM)などを用いて測定することができる。
本発明の積層体にアンカーコート層を適用する場合、アンカーコート層を形成する樹脂を含む塗液の塗布手段としては、まず基材上に芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を含む塗料を乾燥後の厚みが所望の厚みになるよう固形分濃度を調整し、例えばリバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、スピンコート法などにより塗布することが好ましい。また、本発明においては、塗工適性の観点から有機溶剤を用いて芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を含む塗料を希釈することが好ましい。
具体的には、キシレン、トルエン、メチルシクロヘキサン、ペンタン、ヘキサンなどの炭化水素系溶剤、ジブチルエーテル、エチルブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤などを用いて、固形分濃度が10質量%以下に希釈して使用することが好ましい。これらの溶剤は、単独あるいは2種以上を混合して用いてもよい。また、アンカーコート層を形成する塗料には、各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、触媒、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤、界面活性剤、レベリング剤、帯電防止剤などを用いることができる。
次いで、塗布後の塗膜を乾燥させて希釈溶剤を除去することが好ましい。ここで、乾燥に用いられる熱源としては特に制限は無く、スチームヒーター、電気ヒーター、赤外線ヒーターなど任意の熱源を用いることができる。なお、ガスバリア性向上のため、加熱温度は50~150℃で行うことが好ましい。また、加熱処理時間は数秒~1時間行うことが好ましい。さらに、加熱処理中は温度が一定であってもよく、徐々に温度を変化させてもよい。また、乾燥処理中は湿度を相対湿度で20~90%RHの範囲で調整しながら加熱処理してもよい。前記加熱処理は、大気中もしくは不活性ガスを封入しながら行ってもよい。
次に、乾燥後の芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を含む塗膜に活性エネルギー線照射処理を施して前記塗膜を架橋させて、アンカーコート層を形成することが好ましい。
かかる場合に適用する活性エネルギー線としては、アンカーコート層を硬化させることができれば特に制限はないが、汎用性、効率の観点から紫外線処理を用いることが好ましい。紫外線発生源としては、高圧水銀ランプメタルハライドランプ、マイクロ波方式無電極ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ等、既知のものを用いることができる。また、活性エネルギー線は、硬化効率の観点から窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で用いることが好ましい。紫外線処理としては、大気圧下または減圧下のどちらでも構わないが、汎用性、生産効率の観点から本発明では大気圧下にて紫外線処理を行うことが好ましい。前記紫外線処理を行う際の酸素濃度は、アンカーコート層の架橋度制御の観点から酸素ガス分圧は1.0%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。相対湿度は任意でよい。
紫外線発生源としては、高圧水銀ランプメタルハライドランプ、マイクロ波方式無電極ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ等、既知のものを用いることができる。
紫外線照射の積算光量は0.1~1.0J/cmであることが好ましく、0.2~0.6J/cmがより好ましい。前記積算光量が0.1J/cm以上であれば所望のアンカーコート層の架橋度が得られるため好ましい。また、前記積算光量が1.0J/cm以下であれば基材へのダメージを少なくすることができるため好ましい。
[その他の層]
本発明の積層体の最表面の上、つまりA層の上には、ガスバリア性が低下しない範囲で耐擦傷性や耐薬品性、印刷性等の向上を目的としたオーバーコート層を形成してもよいし、素子等に貼合するための有機高分子化合物からなる粘着層やフィルムをラミネートした積層構成としてもよい。また、光学特性を向上させるための低屈折率層を形成してもよい。なお、ここでいう最表面とは、基材上にA層が積層された後の、A層の表面をいう。
[積層体の用途]
本発明の積層体は高いガスバリア性を有するため、ガスバリア性フィルムとして好適に用いることができる。また、本発明の積層体は、様々な電子デバイスに用いることができる。例えば、太陽電池やフレキシブル回路基材、有機EL照明、フレキシブル有機ELディスプレイ、電子ペーパー、薄膜センサのような電子デバイスに好適に用いることができる。また、高いバリア性を活かして、リチウムイオン電池の外装材や医薬品の包装材等としても好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[評価方法]
(1)各層の厚み
断面観察用サンプルをマイクロサンプリングシステム((株)日立製作所製 FB-2000A)を使用してFIB法により(具体的には「高分子表面加工学」(岩森暁著)p.118~119に記載の方法に基づいて)作製した。透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製 H-9000UHRII)により、加速電圧300kVとして、観察用サンプルの断面を観察し、積層体のA層の厚みを測定した。
(2)A層の組成、厚み
積層体のA層の組成分析は、X線光電子分光法(XPS)により行った。A層最表面から深さ10nmまでは、アルゴンイオンエッチングによりSiO換算厚みで5nmずつエッチングおよび組成分析を繰り返し、それ以降は金属元素Xの原子濃度が1.0atm%以下になるまでSiO換算厚みで5nmずつエッチングおよび組成分析を繰り返した。
分析で使用するピークは、マグネシウムは2s、カルシウムは2p3/2、チタンは2p3/2、ジルコニウムは3d5/2、亜鉛は2p3/2、ケイ素は2p、スズは3d5/2、酸素は1sとした。
XPSの測定条件は下記の通りとした。
・装置 :PHI5000VersaProbeII(アルバックファイ社製)
・励起X線 :monochromatic AlKα
・分析範囲 :φ100μm
・光電子脱出角度 :45°
・Arイオンエッチング :2.0kV、ラスターサイズ 2×2。
(3)水蒸気透過度(g/m/day)
積層体の水蒸気透過度は、温度40℃、湿度90%RH、測定面積50cmの条件で、英国、テクノロックス(Technolox)社製の水蒸気透過率測定装置(機種名:“DELTAPERM”(登録商標))を使用して測定した。サンプル数は水準当たり2サンプル行った。2サンプルの測定を行い得たデータを平均し、小数点第2位を四捨五入し、当該水準における平均値を求め、その値を水蒸気透過度(g/m/day)とした。
(実施例1)
基材として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製“ルミラー”(登録商標)U48)を用いた。
(A層の形成)
図3に示す巻き取り式蒸着装置を使用し、電子線(EB)蒸着法により、基材表面に、A層としてMgO+SiO層を厚み200nm狙いで設けた。
具体的な操作は以下の通りである。まず、蒸着材料として、2~5mm程度の大きさの顆粒状の酸化マグネシウムMgO(純度99.9%)と二酸化ケイ素SiO(純度99.99%)を事前にそれぞれ100℃、8時間加熱を行った。続いて、それぞれの材料(蒸着材料B:MgO、蒸着材料C:SiO)を図5のようにカーボン製るつぼ11,24にセットした。MgOとSiOの材料面積比率はMgO:SiO=1:1となるようにした。巻き取り室5の中で、巻き出しロール6に前記基材1のA層を設ける側の面がるつぼ11,24に対向するようにセットし、巻き出し、ガイドロール7,8,9を介してメインドラム10、更にガイドロール21,22を介してメインドラム23に通した。このとき、メインドラムは温度-15℃に制御した。次に、真空ポンプにより、蒸着装置4内を減圧し、5.0×10-3Pa以下を得た。次に、加熱源として一台の電子銃(以下、EB銃)13を用い、A層中のMgOとSiOの比率が図7のA部組成となるようにMgOとSiOの滞在時間を変更して加熱・蒸着した。その後のA層においては、EB銃26を用い、A層中のMgOとSiOの比率が図7のB部組成となるようにMgOとSiOの滞在時間を変更して加熱・蒸着した。EB条件は加速電圧10kVなるようにし、前記基材表面上にA層を形成した。また、形成するA層の厚みは、印加電流、フィルム搬送速度により調整した。その後、ガイドロール15,16,17を介して巻き取りロール18に巻き取った。
続いて、得られた積層体から試験片を切り出し、各種評価を実施した。結果を表に示す。
(実施例2)
(芳香族環構造を有するポリウレタン化合物の合成)
5リットルの4つ口フラスコに、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物(共栄社化学社製、商品名:エポキシエステル3000A)を300質量部、酢酸エチル710質量部を入れ、内温60℃になるよう加温した。合成触媒としてジラウリン酸ジ-n-ブチル錫0.2質量部を添加し、攪拌しながらジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(東京化成工業社製)200質量部を1時間かけて滴下した。滴下終了後2時間反応を続行し、続いてジエチレングリコール(和光純薬工業社製)25質量部を1時間かけて滴下した。滴下後5時間反応を続行し、重量平均分子量20,000の芳香族環構造を有するポリウレタン化合物を得た。
(アンカーコート層の形成)
基材として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製“ルミラー”(登録商標)U48)を用いた。
アンカーコート層形成用の塗液として、前記ポリウレタン化合物を150質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学社製、商品名:ライトアクリレートDPE-6A)を20質量部、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルーケトン(BASFジャパン社製、商品名:“IRGACURE”(登録商標) 184)を5質量部、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン(信越シリコーン社製、商品名:KBM-503)を3質量部、酢酸エチルを170質量部、トルエンを350質量部、シクロヘキサノンを170質量部配合して塗液を調整した。次いで、塗液を基材上にマイクログラビアコーター(グラビア線番150UR、グラビア回転比100%)で塗布、100℃で1分間乾燥し、乾燥後、下記条件にて紫外線処理を施して厚み1μmのアンカーコート層を設けた。
紫外線処理装置:LH10-10Q-G(フュージョンUVシステムズ・ジャパン社製)
導入ガス:N(窒素イナートBOX)
紫外線発生源:マイクロ波方式無電極ランプ
積算光量:400mJ/cm
試料温調:室温。
(A層の形成)
A層であるMgO+SiO層の形成において、実施例1と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(実施例3)
A層であるMgO+SiO層の形成において、A部の組成が図9となるように、EB銃13のMgOとSiOの滞在時間を変更して加熱・蒸着した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(実施例4)
A層であるMgO+SiO層の形成において、A部の組成が図10となるように、EB銃13のMgOとSiOの滞在時間を変更して加熱・蒸着した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(実施例5)
A層であるMgO+SiO層の形成において、B部の組成が図11となるように、EB銃26のMgOとSiOの滞在時間を変更して加熱・蒸着した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(実施例6)
A層であるMgO+SiO層の形成において、B部の組成が図12となるように、EB銃26のMgOとSiOの滞在時間を変更して加熱・蒸着した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(実施例7)
A層であるMgO+SiO層の形成において、A部の組成及び膜厚が図13となるように、EB銃13のMgOとSiOの滞在時間及び印加電流を変更して加熱・蒸着した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(実施例8)
A層であるMgO+SiO層の形成において、A部の組成及び膜厚が図14となるように、EB銃13のMgOとSiOの滞在時間及び印加電流を変更して加熱・蒸着した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(実施例9)
A層であるMgO+SiO層の形成において、A層全体の膜厚が100nmとなるように搬送速度を調整した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(実施例10)
A層であるMgO+SiO層の形成において、A層全体の膜厚が50nmとなるように搬送速度を調整した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(実施例11)
A層であるMgO+SiO層の形成において、図4に示す巻き取り式蒸着装置を使用し、上記同様に蒸着材料(蒸着材料B:MgO、蒸着材料C:SiO)をカーボン製るつぼ24には2~5mm程度の大きさの顆粒状の酸化マグネシウムMgO(純度99.9%)を、カーボン製るつぼ28には二酸化ケイ素SiO(純度99.99%)をセットし、A層であるMgO+SiO層の形成において、A層の組成が図17となるように、図4のカーボン製るつぼ24,28の間隔を調整し、EB銃26を用いてMgOを、EB銃30を用いてSiOを加熱・蒸着した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(実施例12)
図4に示す巻き取り式蒸着装置を使用し、A層であるMgO+SiO層の形成において、A層の組成が図18となるように、図4のカーボン製るつぼ24,28の間隔を調整した以外は、実施例11と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(実施例13)
図4に示す巻き取り式蒸着装置を使用し、A層であるMgO+SiO層の形成において、A層の組成が図19となるように、図4のカーボン製るつぼ24,28の間隔を調整した以外は、実施例11と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(実施例14)
A層の形成において、蒸着材料BをCaOに変更し、A層の組成が図20となるように蒸着した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(実施例15)
A層の形成において、蒸着材料BをTiOに変更し、A層の組成が図21となるように蒸着した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(実施例16)
A層の形成において、蒸着材料BをZrOに変更し、A層の組成が図22となるように蒸着した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(実施例17)
A層の形成において、蒸着材料CをSnOに変更し、A層の組成が図23となるように蒸着した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(実施例18)
A層の形成において、蒸着材料BをZnOに変更し、A層の組成が図24となるように蒸着した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(比較例1)
A層の形成において、A層の組成が図25となるように、EB銃13は用いずにEB銃26のみを用いてMgOとSiOを加熱・蒸着した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(比較例2)
A層の形成において、A層の組成が図26となるように、EB銃13は用いずにEB銃26のみを用いてMgOとSiOを加熱・蒸着し、A層全体の膜厚が100nmとなるように搬送速度を調整した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(比較例3)
A層の形成において、A層全体の膜厚が50nmとなるように搬送速度を調整した以外は、比較例2と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(比較例4)
A層の形成において、A部の組成が図28となるように、EB銃13のMgOとSiOの滞在時間を変更して加熱・蒸着した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(比較例5)
A層の形成において、るつぼ24にSiOのみをセットしてEB銃13は用いずにEB銃26のみを用いて蒸着した以外は、比較例4と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(比較例6)
A層の形成において、A層の組成が図29となるように、EB銃13は用いずにEB銃26のみを用いてMgOとSiOを加熱・蒸着し、蒸着材料BをTiOに変更した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(比較例7)
A層の形成において、蒸着材料BをZrOに変更した以外は、比較例6と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
(比較例8)
A層の形成において、蒸着材料CをSnOに変更した以外は、比較例6と同様にして積層体を得た。結果を表に示す。
Figure 2023043359000001
Figure 2023043359000002
本発明の積層体は、酸素ガス、水蒸気等に対するガスバリア性に優れているため、例えば、食品、医薬品などの包装材および有機ELテレビ、太陽電池などの電子デバイス用部材として有用に用いることができるが、用途がこれらに限定されるものではない。
1 基材
2 A層
3 アンカーコート層
4 巻き取り式電子線(EB)蒸着装置
5 巻き取り室
6 巻き出しロール
7,8,9 巻き出し側ガイドロール
10,23 メインドラム
11,24,28 るつぼ
12,25,29 蒸着材料
13,26,30 電子銃
14,27,31 電子線
15,16,17 巻き取り側ガイドロール
18 巻き取りロール
19 蒸着材料B
20 蒸着材料C
21,22 ガイドロール

Claims (10)

  1. 基材の少なくとも片側に、A層を有し、前記A層は条件1及び条件2を満たす、積層体。
    条件1:前記A層はマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、及びアルミニウムからなる群より選ばれる1種以上の元素、並びに、ケイ素、スズ、及びゲルマニウムからなる群より選ばれる1種以上の元素、及び酸素を含む。
    条件2:前記A層に含まれるマグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウムの少なくともいずれか1つの元素について、以下関係式を満たす。
    A界面/MA界面>XA全体/MA全体
    A界面:A層界面における元素Xの含有比率
    A界面:A層界面における金属元素の含有比率
    A全体:A層全体における元素Xの含有比率
    A全体:A層全体における金属元素の含有比率
    元素X:マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、アルミニウムのいずれか1つ。
  2. 水蒸気透過度が5.0×10-2g/m/day未満である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記A層は、膜厚が300nm以下である、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記A層は、マグネシウム、並びにケイ素を含む、請求項1~3のいずれかに記載の積層体。
  5. アンカーコート層を有し、前記アンカーコート層は、一方の面が前記基材と接し、他方の面が前記A層と接している、請求項1~4のいずれかに記載の積層体。
  6. 前記A層にマグネシウム、並びにケイ素を含み、1.05<(XA界面/MA界面)/(XA全体/MA全体)<2.20である、請求項4または5に記載の積層体。
  7. 0.60≦XA界面/MA界面≦1.00であり、0.45≦XA全体/MA全体≦0.80である、請求項1~6のいずれかに記載の積層体。
  8. 前記A層界面において、X線光電子分光により測定されるマグネシウム(Mg)原子濃度が20~60atm%、酸素(O)原子濃度が40~80atm%である、請求項1~7のいずれかに記載の積層体。
  9. 前記A層全体において、X線光電子分光により測定されるマグネシウム(Mg)原子濃度が5~50atm%、ケイ素(Si)原子濃度が2~30atm%、及び酸素(O)原子濃度が45~70atm%である、請求項1~8のいずれかに記載の積層体。
  10. 前記A層界面が真空蒸着法もしくはスパッタリング法により形成される層であり、前記A層界面以外のA層が真空蒸着法により形成される層である、請求項1~9のいずれかに記載の積層体。
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