以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係るトラック検索装置ならびにそれに搭載されるトラックジャンピング走査制御装置を説明する。
実施の形態1
図1に、本発明の実施の形態1に係るトラック検索装置の構成図を示す。このトラック検索装置は、構成要素を3つのブロックに分けることができる。すなわち、ディスクに光ビームを照射するため、およびディスクからの光を受けるためのディスク/ヘッドブロック100、トラッキング制御をディジタル制御で実現するための回路とアドレス読み取りのための回路とで構成されるトラッキング制御ブロック200、および1トラックのトラックジャンピング走査を行うためのトラックジャンピング走査ブロック300である。トラックジャンピング走査ブロック300はトラック検索装置内部においてその一部にトラックジャンピング走査制御装置を構成する。
以下、各ブロック100,200,300毎にその構成および動作を説明する。
ディスク/ヘッドブロック100
ディスク/ヘッドブロック100は、情報記録媒体であるディスク3、ディスク3を回転させるための例えばスピンドルモータからなるディスクモータ4、光ディスク3に光ビームを照射するための光ヘッド部9、及び光ヘッド部9を移動させるための移送手段の一例である移送モータ13で構成される。光ヘッド部9は光ビームを光ディスク半径方向に移動させる移動手段を構成することができるものでこの光ヘッド部9の位置から光ビームが位置するゾーンを求めることができる。
光ヘッド部9は、半導体レーザ等の光源5、光源5より発生した光ビームが順に入射されるカップリングレンズ6、偏光ビームスプリッター7、1/4波長板8、及び集束レンズ10、トラッキングアクチェータ11、ならびにディスク3からの光ビームが入射される2分割光検出器12を備える。光ヘッド部9は上記構成要素を必ずしも必須とするものではなく一例としてその構成を示している。
トラッキングアクチェータ11は、例えばトラッキング用のコイルを有する可動部と、永久磁石を有する固定部とにより構成される。トラッキングアクチェータ11の可動部に、集束レンズ10は取り付けられる。2分割光検出器12は、2つに分割された受光領域を有し、その分割線の方向は受光面上におけるトラック方向と対応する。
このような構成のディスク/ヘッドブロック100の動作を説明する。ディスク3は、ディスクモータ4によって所定の回転数(回転速度)で回転される。光源5より発生した光ビームは、カップリングレンズ6で平行光にされ、偏光ビームスプリッター7及び1/4波長板8をこの順に通過し、集束レンズ10によりディスク3上に集束して照射される。この集束レンズ10は光ディスク3に光ビームを集束させる集束手段の一例を構成する。
ディスク3に照射された光ビームの反射光は、集束レンズ10および1/4波長板8をこの順に通過し、偏光ビームスプリッター7で反射された後に2分割光検出器12上に照射される。2分割光検出器12の2つの受光領域はそれぞれ照射光を電気信号に変換して、トラッキング制御ブロック200に出力する。
ディスク3に対する光ビームの照射位置は、移送モータ13およびトラッキングアクチェータ11により調整することができる。移送モータ13は、光ヘッド部9全体をディスク3の半径方向に移動させる。トラッキングアクチェータ11は、可動部のコイルに流れる電流に応じて生じる電気磁気力を利用して、固定部の永久磁石に対する相対位置を変化させることにより、ディスク3の半径方向、つまりトラックを横切る方向に光ビームを移動させる。移送モータ13は、光ヘッド部9全体をディスク半径方向に移送する場合に用いられ、トラッキングアクチュエータ11は、トラック1本毎の光ビームの移動に用いられる。トラッキングアクチェータ11は、光ビームを集束させる集束手段の一例である集束レンズ10を移動させて光ビームを所定のトラックに移動させる移動手段を構成するが、この移動手段はトラッキングアクチェータ11に限定されない。
トラッキング制御ブロック200
トラッキング制御ブロック200は、トラッキング制御のための回路と、アドレス読み取りのための回路とで構成される。
トラッキング制御のための回路には、差動回路14、サンプル/ホールド(S/H)回路15、A/D変換器16、トラッキング極性反転回路17、位相補償回路18、パルス幅変調(PWM)回路19、低域通過フィルタ(LPF)20、およびトラッキング制御ON/OFF切換スイッチ21が含まれる。
2分割光検出器12の2つの受光領域に対応するそれぞれの出力信号は、差動回路14の反転端子、非反転端子に入力される。このようにして構成された差動回路14と、図2にその構造を示す光ディスク3を用いて、トラッキングエラー信号S1がプッシュプル法により検出される。2分割光検出器12および差動回路14は、光ディスク3からの反射光に基づいてトラッキングエラー信号S1を生成するトラッキングエラー検出手段の一例を構成する。上記したようにトラッキングアクチェータ11は、光ビーム集束手段である集束レンズ10を移動させて光ビームを所定のトラックに移動させる移動手段を構成する。この移動手段は、トラッキングエラー信号S1に応じて光ビームが所定のトラックに移動するよう制御手段により制御される。この制御手段は、トラッキング制御ブロック200全体ないしは一部により構成することができる。
光ディスク3は当該ディスク中心に対して同心円状ないしはスパイラル状に内周側から外周側を複数のゾーンに分割され、各ゾーンは多数のトラックで構成されている。トラックは図2に示すようにディスク半径方向において交互にグルーブトラックGTとランドトラックLTとで構成されている。トラックは円周方向複数のセクタに分割され、セクタは、その先頭のヘッダ領域とこれに続く記録領域(グルーブトラックやランドトラック)とで構成されている。ヘッダ領域には、予めセクタ単位で(物理セクタ)プリピットからなるCAPA(Complementary Allocated Pit Address:相補的に配置されたピットアドレス)と呼ばれるアドレス情報が形成されている。このCAPAは、光ヘッドがグルーブトラックにいてもランドトラックにいてもアドレス情報が抽出できるよう、ランドトラックとグルーブトラックの中間に形成されている。CAPAは、詳細は略するが、第1、第2ヘッダ部PID1、PID2と、第3、第4ヘッダ部PID3、PID4とを備える。図2ではビフォーラストセクタ、ラストセクタ、ファーストセクタとが代表的に示され、各セクタではN+2〜N−4トラックが示されている。図2では複数のセクタのうち、光ディスク1回転でトラッキング制御の極性がランドトラックLTとグルーブトラックGTとに反転して切換わる構成になっていることを示すためビフォーラストセクタ、ラストセクタ、ファーストセクタとを特に図示している。
図1に戻って、差動回路14が出力するトラッキングエラー信号S1は、サンプル/ホールド回路15を経てA/D変換器16でアナログ信号からディジタル信号に変換される。サンプル/ホールド回路15は、差動回路14から出力されたトラッキングエラー信号S1を離散的にサンプリングし、A/D変換器16がA/D変換に要する期間だけサンプリングした信号をホールドするための回路である。A/D変換器16でディジタル信号に変換されたトラッキングエラー信号S1は、トラッキング極性反転回路17によりトラッキング制御の極性を反転される。A/D変換器16からの出力信号はトラックジャンピング走査ブロック300にも出力される。反転回路17により極性を反転されたトラッキングエラー信号S1は、位相補償回路18に入力される。この位相補償回路18で、詳細を略するがトラッキング制御系の制御的安定性を確保する。位相補償回路18の出力信号は、PWM回路19に入力される。PWM回路19は、位相補償回路16のディジタル信号出力に応じてパルス幅を変調した信号を出力する。その出力周期は、A/D変換器16のA/D変換周期に等しい。PWM回路19の出力信号は、低域通過フィルタ20に入力される。低域通過フィルタ20は、PWM回路19のパルス幅変調信号をアナログ信号に変換するものであり、そのカットオフ周波数F1は、A/D変換器16の変換周期T1に対して、F1<1/T1を満たすように設定される。
低域通過フィルタ20の出力端子は、トラッキング制御ON/OFF切換スイッチ21に接続される。トラッキング制御ON/OFF切換スイッチ21は、トラッキング制御のON(動作)/OFF(不動作)を切り替える。トラッキング制御ON/OFF切換スイッチ21が閉じた状態(トラッキング制御ON状態)では、低域通過フィルタ20の出力信号は、加算回路22を経て、トラッキング用駆動信号としてトラッキングアクチュエータ11に加えられる。従って、トラッキング制御ON/OFF切換スイッチ21が閉じた状態では、光ビームは常にほぼトラックの半径方向幅(トラック幅)の中心に位置するように制御される。
一方、アドレス読み取りのための回路には、加算回路25およびアドレス読み取り回路26が含まれる。2分割光検出器12の2つの受光領域に対応するそれぞれの出力信号は、加算回路25にも入力される。加算回路25は、光ディスク3からの反射光量和を検出して出力する。アドレス読み取り回路26は加算回路25の出力信号より、光ディスク3の各トラックに設けられているアドレス情報を読みとり、そのアドレス信号をトラックジャンピング走査ブロック300の検索回路27に出力する。
トラックジャンピング走査ブロック300
トラックジャンピング走査ブロック300は、ヘッダ識別回路40、検索回路27、ジャンピング走査制御回路28、加速駆動パルス生成回路29、減速駆動パルス生成回路30、差分回路23、ハーフトラックジャンピング走査/フルトラックジャンピング走査切換スイッチ50、トリガー信号出力回路24、差動回路31、ジャンピング方向反転回路32を含む。トラックジャンピング走査ブロック300は、その全体ないしは一部により、光ディスク3を照射した光ビームの反射光に基づき光ビームを所定のトラックに移動させるためのトラッキング用駆動信号を生成して出力する駆動信号生成手段を構成することができる。
ヘッダ識別回路40は加算回路25の出力信号より、光ディスク3の各トラックに設けられているアドレス情報を読みとり、ヘッダ領域を識別し、そのヘッダ信号S30を検索回路27に出力する。
検索回路27は、後述するように特にヘッダ領域の周期(ヘッダ周期)に応じて光ビームをランドトラックからランドトラックまたはグルーブトラックからグルーブトラックへジャンピング走査させるフルトラックジャンピング走査と、ランドトラックからグルーブトラックまたはグルーブトラックからランドトラックへジャンピング走査させるハーフトラックジャンピング走査とのいずれで行うかをヘッダ領域の周期(ヘッダ周期)に応じて選択するトラック選択手段を構成する。すなわち、検索回路27は、検索の目標トラックのアドレスが図示しない外部の手段例えばマイコンから入力されると、アドレス読み取り回路26からの入力に従い、トラックジャンピング走査の選択を行う。トラックジャンピング走査の選択は、光ビームをランドトラックからランドトラックまたはグルーブトラックからグルーブトラックへ移動させるフルトラックジャンピング走査と、ランドトラックからグルーブトラックまたはグルーブトラックからランドトラックへ移動させるハーフトラックジャンピング走査とのいずれを行うかをヘッダ領域の周期(ヘッダ周期)に応じて選択することである。この選択は、光ビームが目標トラックに到達するまで1トラックをトラックジャンピング走査する毎に反復されて行われる。
検索回路27からは、ジャンピング走査制御回路28にジャンピング指令信号S4が出力され、ハーフトラックジャンピング走査/フルトラックジャンピング走査切換スイッチ50にハーフトラックジャンピング走査/フルトラックジャンピング走査切換信号S32が出力され、トラッキング制御ON/OFF切換スイッチ21にトラッキング制御ON/OFF信号S5が出力され、ジャンピング方向反転回路32にジャンピング方向信号S3が出力される。
トリガー信号出力回路24には、A/D変換器16の出力信号が直接または差分回路23を介してハーフトラックジャンピング走査/フルトラックジャンピング走査切換スイッチ50から入力される。トリガー信号出力回路24はその入力信号の零交差または極値を検出してトリガー信号S8を発生し、減速駆動パルス生成回路30に出力する。
ジャンピング走査制御回路28には、検索回路27からのジャンピング指令信号S4が入力される。ジャンピング走査制御回路28は、ジャンピング指令信号S4を受け取ると、必要な指令信号S11を出力して1トラック隣接するトラックへのトラックジャンピング走査を実行させ、その終了後ジャンピング終了信号S10を検索回路27へ出力する。
ジャンピング走査制御回路28からは、光ビームを加速させる光ビーム加速開始の指令信号S11が加速駆動パルス生成回路29へ、ランドトラック/グルーブトラック切換(トラッキング極性)信号S6がトラッキング制御ブロック200のトラッキング極性反転回路17へ出力される。
加速駆動パルス生成回路29は、光ビームを加速駆動する加速駆動パルスS7を差動回路31の非反転端子に出力し、減速駆動パルス生成回路30は、光ビームを減速駆動する減速駆動パルスS9を差動回路31の反転端子に出力する。差動回路31の出力は、ジャンピング方向反転回路32及び加算回路22を介して、トラッキング用駆動信号としてトラッキングアクチュエータ11に入力される。また、加速駆動パルス生成回路29は、加速終了信号S12を減速駆動パルス生成回路30に出力し、減速駆動パルス生成回路30は、減速終了信号S13をジャンピング走査制御回路28に出力する。
以上のような構成を有するトラック検索装置における光ビームのトラックジャンピング走査について、図3ないし図12を用いて詳細に説明する。なお、実施の形態1では光ビームを光ディスク3の内周側から外周側にトラックジャンピング走査させる場合を例に挙げて説明するが、その逆方向も本発明に含むことは勿論である。このことは他の実施の形態でも同様である。
トラックジャンピング走査においては、ヘッダ周期が基準周期未満のときはランドトラックからグルーブトラックまたはグルーブトラックからランドトラックへハーフトラックジャンピング走査する走査モードと、ヘッダ周期が基準周期以上のときはグルーブトラックからグルーブトラックまたはランドトラックからランドトラックへフルトラックジャンピング走査する走査モードとする。
このモードの選択は検索回路27において行われる。ここでヘッダ周期は、ヘッダ領域の周期、すなわち、光ディスクの回転に伴い同一位置に1つのセクタのヘッダ領域が到達してきたタイミング時刻から次のセクタのヘッダ領域がその同一位置に到達してくるタイミング時刻との差である。したがってヘッダ周期は光ディスクの回転数やヘッダ領域が位置するゾーンとにより変化する。また、基準周期は上記したハーフトラックジャンピング走査モードとフルトラックジャンピング走査モードとのいずれを選択するかを行うための基準とするヘッダ周期である。
検索回路27は、基準周期を生成する一方、ゾーン毎にヘッダ周期をテーブル(ヘッダ周期表)化して記憶しており、基準周期とゾーンに対応してテーブル化されているヘッダ周期とを比較し、比較した結果、ヘッダ周期が基準周期未満のときは光ビームをハーフトラックジャンピング走査させるモードを選択し、ヘッダ周期が基準周期以上のときは光ビームをフルトラックジャンピング走査させるモードを選択または、ハーフトラックジャンピング走査とフルトラックジャンピング走査とが混在するモードを選択する。図3に実施の形態におけるトラックジャンピング走査のモードを示している。
図3を参照して上記したヘッダ周期を説明する。図3(a)に光ディスク3の各ゾーンにおける回転数(r.p.m.)、図3(b)に光ディスク3の各ゾーンにおける線速度、図3(c)に各ゾーンにおけるヘッダ周期(μs)を示す。光ディスク3は、内周側のゾーン0から外周側の例えばゾーン10までの第1ゾーン領域は回転数一定の回転制御(CAV制御)をされ、ゾーン10以降の第2ゾーン領域は内周から外周にかけて回転数漸減の回転制御(CLV制御)をされる。この回転制御は、部分的にCAV制御であるためにPCAV(Partial Constant Angular Velocity)方式と称することができる。この回転制御により、線速度は第1ゾーン領域において内周から外周へ増速していき、第2ゾーン領域は一定となる。ヘッダ周期は、第1ゾーン領域において内周側から外周側へと短くなり、第2ゾーン領域においてどのゾーンも一定となる。
検索回路27においては例えば図3のゾーン5のヘッダ周期200μsが基準周期であると設定されている場合、このヘッダ周期200μsを基準周期とし、ヘッダ周期が基準周期以上のゾーン領域をハーフトラックジャンピング走査モードとフルトラックジャンピング走査モードとが混在するゾーン領域とし、ヘッダ周期が基準周期未満であるゾーン領域をハーフトラックジャンピング走査モードのみとするゾーン領域として、トラックジャンピング走査モードを選択するようになっている。
ヘッダ周期は、光ビームが位置するトラックにおいて、そのトラックにおけるヘッダ領域の個数と光ディスクの回転数とに基づいて算出することができる。また、ゾーン1周に形成されたヘッダ領域の個数が一定であるときに光ディスクに対して光ビームが位置するゾーンに基づいて光ディスク1周に形成されたヘッダ領域の個数を求めてもヘッダ周期を算出することができる。
ヘッダ周期はテーブル化して記憶する以外に、図4のフローチャートで示すようにヘッダ信号(ゾーン位置、光ディスクの回転数、ヘッダ領域の個数の情報を含む信号。)からヘッダ周期Taを測定するようにしてもよい。ヘッダ識別回路40が出力するヘッダ信号S30のヘッダ領域に対応するパルスの周期を測定することにより行うことができる。
あるいは、図5のフローチャートで示すように光ディスクの回転数Pnを検出し、ゾーン番号Znを検出し、1回転のセクタ数Snを算出して、ヘッダ周期Taを算出するようにしてもよい。1回転のセクタ数Snは、ゾーン番号Znに対するセクタ数Snを示すセクタ数表に基づいてゾーン番号Znに対応するセクタ数Snを算出することにより行う。ヘッダ周期Taは回転数Pn、セクタ数Snに基づいて算出する。
光ディスクの回転数は、図6で示すように、FG信号(ディスクモータの回転に同期した信号)の周期FGnを算出し、この算出した周期FGnに基づいて光ディスクの回転数Pnを算出するようにしてもよい。
ゾーン番号Znは図7で示すように移送モータ13に取り付けられた図示略のエンコーダの出力信号Enを読み取り、出力信号Enから光ヘッド部9の光ディスク3に対するその半径方向位置Lnを算出し、その半径方向位置Lnに基づいて光ビームが照射されている光ディスク3のゾーン番号Znを算出することができる。
さらに、図8で示すように光ディスク3の回転数は、ゾーンAとゾーンBそれぞれでの光ビームの光ディスク3に対する半径方向位置と、光ビームの光ディスク3に対する移動時間とを得るとともに、それに対応して、ディスクモータ4(回転制御系)のゾーンAとゾーンBそれぞれでの目標回転数とを得ることにより、光ディスク3の回転数が半径方向で異なり半径方向に光ビームが移動されたときは、当該回転数を制御するディスクモータ4制御系の応答性に基づいて算出することができる。
さらに、図9を用いて説明する。光ビームがゾーンとゾーンとを跨ぐときの光ディスク3の回転数の検出は、現在のゾーンAでの光ディスク3の回転数P0を検出(FG信号の周期FGnに基づいて光ディスク3の回転数Pnを算出)し、次いで、目的のゾーンBでの光ディスクの整定状態での回転数P1を得る。次いで、ディスクモータの回転数をP0からP1に変更したときの回転数の時間応答特性を算出し、現在のゾーンAから目的のゾーンBに移動するのに要する時間Tmを算出し、目的のゾーンBに到達した直後の光ディスク3の回転数P2を算出し(回転数をP0からP1に変えた場合の回転数の時間応答性より時間Tm経過後の回転数P2を算出)、ゾーン跨ぎ直後の光ディスク3の回転数を検出処理することにより行うことができる。
以上によりトラックジャンピング走査のモードの選択は、基準周期とヘッダ周期とを比較しその比較により第1モードまたは第2モードのいずれを選択するかを行い、それに対応してトラッキング駆動する。
このトラックジャンピング走査の選択を図10のフローチャートを参照して説明する。検索回路27は図外のマイコンからの検索指令により、トラックジャンピング走査本数Nを算出(現アドレスと目標アドレスとの差に基づいて算出)する。次いで、ヘッダ周期Taを算出する。次いで、ヘッダ周期Taと基準周期Tkとを大小比較する。ヘッダ周期Ta<基準周期Tkの場合、フルトラックジャンピング走査回数NfをNf=0に設定し、ハーフトラックジャンピング走査回数NhをNh=Nに設定する。ヘッダ周期Ta>基準周期Tkで、かつ、トラックジャンピング走査本数Nが偶数であると、フルトラックジャンピング走査回数NfをNf=N/2に設定し、ハーフトラックジャンピング走査回数NhをNh=0に設定する。ヘッダ周期Ta>基準周期Tkで、かつ、トラックジャンピング走査本数Nが奇数であると、フルトラックジャンピング走査回数NfをNf=(N−1)/2に設定し、ハーフトラックジャンピング走査回数NhをNh=1に設定する。上記設定ののち、検索回路27は、トラックジャンピング走査本数N分のトラックジャンピング走査を繰り返して、トラックジャンピング走査を終了処理する。
図11を参照してトラックをフルトラックジャンピング走査する例を説明する。図11(a)は、光ディスク3上のセクタの一部を示す平面図である。図11(a)には、記録領域に2本のグルーブトラックGTと、グルーブトラックGTに挟まれたランドトラックLTとが示され、ヘッダ領域にCAPAが示されている。図中垂直方向がディスク半径方向であり、図面中、上向きが外周向きである。ここでは、トラックジャンピング走査最中に、実線円で示した光ビーム1がグルーブトラックGTより1トラック外周側のグルーブトラックGTに、フルトラックジャンピング走査する場合を例に挙げる。この場合の光ビーム1の軌跡を、図11(a)中に点線で示す。
図11中(b)〜(k)は、図11(a)に示す光ビーム1の軌跡の各位置に対応する各部信号のタイミングチャートである。図(b)はトラッキングエラー信号S1、(c)はヘッダ信号S30、(d)はハーフトラックジャンピング走査/フルトラックジャンピング走査切換信号S32、(e)はトラックジャンピング走査方向信号S3、(f)はトラックジャンピング走査指令信号S4、(g)はトラッキング制御ON/OFF切換信号S5、(h)はランドトラック/グルーブトラック切換信号S6、(i)は加速駆動パルス生成回路29が出力する加速駆動パルスS7、(j)はトリガー信号出力回路24が出力するトリガー信号S8、(k)は減速駆動パルス生成回路30が出力する減速駆動パルスS9である。
トラックジャンピング走査が開始される前には、検索回路27からのトラッキング制御ON/OFF切換信号S5(図11(g)参照)がローレベルであるときはトラッキング制御切換ON/OFFスイッチ21は閉じてトラッキング制御ONとなっている。具体的にはタイミング時刻TS12以前とタイミング時刻TS15以降の期間はトラッキング制御ON期間であり、タイミング時刻TS12−TS15の期間はトラッキングOFF制御期間である。トラッキング制御ON期間内のタイミング時刻TS10においては、光ビーム1は第1セクタST1の記録領域の内周側グルーブトラックGTと次の第2セクタST2のヘッダ領域との境界に位置し、タイミング時刻TS10以降で光ビーム1は第2セクタST2のヘッダ領域へ移動するに伴い、第2セクタST2のヘッダ領域内のCAPAによりトラッキング制御ブロック200の差動回路14からのトラッキングエラー信号S1は波形変化する(図11(b)参照)。同時にヘッダ識別回路40からのヘッダ信号S30が光ビーム1が第2セクタST2のヘッダ領域内のCAPAを通過開始のタイミング時刻TS10で立ち上がり、通過終了で立ち下る(図11(c)参照)。トラッキングエラー信号S1は第2セクタST2のヘッダ領域内のCAPAにより零交差するのでトリガー信号S8がショートパルスの形態で発生する(図11(j)参照)。
光ビーム1が第2セクタST2のヘッダ領域を通過する期間であるタイミング時刻TS10−TS11の期間は、トラックジャンピング走査は行われず、光ビーム1はトラッキング制御されて移動し、光ビーム1がタイミング時刻TS11で第2セクタST2のグルーブトラックGTに移動が終了すると、検索回路27からのハーフトラックジャンピング走査/フルトラックジャンピング走査切換信号S32が立ち下り(図11(d)参照)、この立下りに応答してハーフトラックジャンピング走査/フルトラックジャンピング走査切換スイッチ50が接点b側に切換り、トラックジャンピング走査のモードとしてフルトラックジャンピング走査のモードが選択される。一方、検索回路27からのトラックジャンピング走査方向切換信号S3が立ち下り、ジャンピング方向反転回路32によりジャンピング方向はディスク外周側に設定される。同時に、検索回路27からジャンピング走査制御回路28にジャンピング指令信号S4が入力される。こうしてすべてのトラックジャンピング走査の準備が完了するタイミング時刻TS12において、検索回路27からトラッキング制御ON/OFF切換スイッチ21が開放されてトラッキング制御OFFとなる。同時にジャンピング走査制御回路28からの制御信号S11により加速駆動パルス生成回路29から加速駆動パルスS7が出力される(図11(i)参照)。この加速駆動パルスS7は差動回路31、ジャンピング方向反転回路32、トラッキング制御ブロック200の加算回路22を経てディスク/ヘッドブロック100にトラッキング用駆動信号として与えられる。この加速期間はタイミング時刻TS12−TS13である。この加速により光ビーム1は第2セクタST2の内周側グルーブトラックGTから外周側のグルーブトラックGTに向けてトラックジャンピング走査するように移動する。加速駆動パルスS7が立ち下った後は、光ビーム1は加速慣性により、ディスク外周側の第2セクタST2の外周側グルーブトラックGTに移動する。トラッキングエラー信号S1は光ビーム1の移動に応じて波形変化する(図11(b)参照)。トラッキングエラー信号S1の波形変化は、光ビーム1が第2セクタST2の内周側グルーブトラックGTの中点位置から外周側に移動するに伴い大きくなり、第2セクタST2のランドトラックLTとの境界で最大となるとともに、その後は小さくなっていき、タイミング時刻TS14でランドトラックLTの中点位置で零交差し、トリガー信号出力回路24からのトリガー信号S8が立ち上がる(図11(j)参照)。このトリガー信号S8は減速駆動パルス生成回路30に入力され、減速駆動パルスS9は差動回路31、ジャンピング方向反転回路32、トラッキング制御ブロック200の加算回路22を経てディスク/ヘッドブロック100にトラッキング用駆動信号として与えられる(図11(k)参照)。これにより光ビーム1は減速される。この減速駆動パルスS9の立ち下り後のタイミング時刻TS15でトラッキング制御ON/OFF切換信号S5が立ち下って(図11(g)参照)トラッキング制御がONとなり、光ビーム1はトラッキング制御により第2セクタST2の外周側グルーブトラックGTに引き込まれていく。そしてタイミング時刻TS16で光ビーム1が第2セクタST2の外周側グルーブトラックGTの中点にトラッキング制御されると、次の第3セクタST3のヘッダ領域に到達するタイミング時刻TS17までトラッキング制御される。このタイミング時刻TS17以降は上述の繰り返しとなる。
図12を参照して光ビーム1がトラックをハーフトラックジャンピング走査する例を説明する。図12(a)は、光ディスク3上のセクタの一部を示す平面図である。図12(a)には、記録領域に2本のグルーブトラックGTと、グルーブトラックGTに挟まれたランドトラックLTとが示され、ヘッダ領域にCAPAが示されている。図中垂直方向がディスク半径方向であり、図面中、上向きが外周向きである。ここでは、トラックジャンピング走査最中に、実線円で示した光ビーム1がグルーブトラックGTより1トラック外周側のグルーブトラックGTに、トラックジャンピング走査する場合を例に挙げる。この場合の光ビーム1の軌跡を、図12(a)中に点線で示す。
図12中(b)〜(k)は、図12(a)に示す光ビーム1の軌跡の各位置に対応する各部信号のタイミングチャートである。図(b)はトラッキングエラー信号S1、(c)はヘッダ信号S30、(d)はハーフトラックジャンピング走査/フルトラックジャンピング走査切換信号S32、(e)はトラックジャンピング走査方向信号S3、(f)はトラックジャンピング走査指令信号S4、(g)はトラッキング制御ON/OFF切換信号S5、(h)はランドトラック/グルーブトラック切換信号S6、(i)は加速駆動パルス生成回路29が出力する加速駆動パルスS7、(j)はトリガー信号出力回路24が出力するトリガー信号S8、(k)は減速駆動パルス生成回路30が出力する減速駆動パルスS9である。
トラックジャンピング走査が開始される前には、検索回路27からのトラッキング制御ON/OFF切換信号S5(図12(g)参照)がローレベルであるときはトラッキング制御ON/OFF切換スイッチ21は閉じてトラッキング制御ONとなっている。具体的にはタイミング時刻TS2以前とタイミング時刻TS5以降の期間はトラッキング制御ON期間であり、タイミング時刻TS2−TS5の期間はトラッキングOFF制御期間である。トラッキング制御ON期間内のタイミング時刻TS0においては、光ビーム1は第1セクタST1の記録領域のグルーブトラックGTと次の第2セクタST2のヘッダ領域との境界に位置し、タイミング時刻TS0以降で光ビーム1はヘッダ領域へ移動するに伴い、第2セクタST2のヘッダ領域内のCAPAによりトラッキング制御ブロック200の差動回路14からのトラッキングエラー信号S1は波形変化する(図12(b)参照)。同時にヘッダ識別回路40からのヘッダ信号S30が光ビーム1が第2セクタST2のヘッダ領域内のCAPAを通過開始のタイミング時刻TS0で立ち上がり、通過終了で立ち下る(図12(c)参照)。トラッキングエラー信号S1はCAPAにより零交差するのでトリガー信号S8がショートパルスの形態で発生する(図12(j)参照)。
光ビーム1が第2セクタST2のヘッダ領域を通過する期間であるタイミング時刻TS0−TS1の期間は、トラックジャンピング走査は行われないで、光ビーム1がタイミング時刻TS1で第2セクタST2のグルーブトラックGTに移動が終了すると、検索回路27からのハーフトラックジャンピング走査/フルトラックジャンピング走査切換信号S32が立ち上がり、ハーフトラックジャンピング走査/フルトラックジャンピング走査切換スイッチ50が接点a側に切換り、ハーフトラックジャンピング走査が選択される。一方、検索回路27からのジャンピング走査方向切換信号S3が立ち下り、ジャンピング方向反転回路32によりジャンピング方向はディスク外周側に設定される。同時に、検索回路27からジャンピング走査制御回路28にジャンピング指令信号S4が入力される。こうしてすべてのトラックジャンピング走査の準備が完了するタイミング時刻TS2において、検索回路27からトラッキング制御ON/OFF切換スイッチ21が開放されてトラッキング制御OFFとなる。同時にジャンピング走査制御回路28からの制御信号S11により加速駆動パルス生成回路29から加速駆動パルスS7が出力される(図12(i)参照)。この加速駆動パルスS7は差動回路31、ジャンピング方向反転回路32、トラッキング制御ブロック200の加算回路22を経てディスク/ヘッドブロック100に与えられる。この加速期間はタイミング時刻TS2−TS3である。この加速により光ビーム1は移動する。この加速駆動パルスS7が立ち下ると、その後は、光ビーム1は加速慣性により、第2セクタST2のグルーブトラックGTへと移動していく。トラッキングエラー信号S1は光ビーム1の移動に応じて波形変化する(図12(b)参照)。トラッキングエラー信号S1の波形変化は、光ビーム1が第2セクタST2の内周側グルーブトラックGTの中点位置から外周側に移動するに伴い大きくなり、ランドトラックLTとの境界で最大となるとともに、その後は小さくなっていき、タイミング時刻TS6で第2セクタST2のランドトラックLTの中点位置で零交差するが、トリガー信号出力回路24からのトリガー信号S8はトラッキングエラー信号S1の波形が極値となるタイミング時刻TS4で立ち上がる(図12(j)参照)。これは、ハーフトラックジャンピング走査/フルトラックジャンピング走査切換スイッチ50がハーフジャンピング走査接点a側に切換わっていて差分回路23出力がトリガー信号出力回路24に入力されるからである。このトリガー信号S8は減速駆動パルス生成回路30に入力され、減速駆動パルスS9は差動回路31、ジャンピング方向反転回路32、トラッキング制御ブロック200の加算回路22を経てディスク/ヘッドブロック100にトラッキング用駆動信号として与えられる。これにより光ビーム1は減速される。この減速駆動パルスS9の立ち上がり後のタイミング時刻TS5でトラッキング制御ON/OFF切換信号S5が立ち下ってトラッキング制御がONとなり、光ビーム1はトラッキング制御により第2セクタST2のランドトラックLTに引き込まれていく。そしてタイミング時刻TS6で光ビーム1が第2セクタST2のランドトラックLTの中点にトラッキング制御されると、次の第3セクタST3のヘッダ領域に到達するタイミング時刻TS7までトラッキング制御される。このタイミング時刻TS7以降は上述の繰り返しとなる。
参考例2
図13を参照して本発明の参考例2を説明する。参考例2では、光ビームのトラックジャンピング走査を行うに際しての減速駆動パルスS9の開始タイミングとヘッダ領域とが重ならないように加速駆動パルスS7の開始タイミングを遅らせて、減速駆動パルスS9の駆動タイミングを正確にしたものである。また、減速駆動パルスS9の出力後に、再度、トラッキング制御を動作させた時点から次のセクタのヘッダ領域に至るまでの時間を長くすることにより、その間でのトラッキング制御を整定することができるようにしたものである。
簡単には光ビーム1がヘッダ領域を通過後に加速駆動パルスS7を出力することにより減速駆動パルスS9のタイミングが次のセクタのヘッダ領域の通過後となるように構成したもので、そのために、トラッキング制御ブロック200の差動回路14とトラックジャンピング走査ブロック300のヘッダ識別回路40との間にトラッキングエラー信号S1からウォブル信号S43を抽出するウォブル信号抽出回路42を設けている。図13において他の構成は図1と同様である。
この参考例2では、光ビームを所定のトラックに移動させる移動手段である光ヘッド部9(トラッキングアクチュエータ11)を加速駆動する加速駆動パルスと減速駆動する減速駆動パルスとからなる駆動信号を加えて該移動手段の移動を制御する制御手段をトラッキング制御ブロック200とトラックジャンピング走査ブロック300それぞれの一部(加算回路22、反転回路32、差動回路31等)に備え、また、この駆動信号を生成して制御手段に出力する駆動信号生成手段をトラックジャンピング走査ブロック300の一部(加速駆動パルス生成回路29、減速駆動パルス生成回路30等)を備える。そして、光ビームが任意のセクタのトラックを通過中に加速駆動パルスを生成し、光ビームがその次のセクタのヘッダ領域を通過後に減速駆動パルスを生成し、これら加速駆動パルスと減速駆動パルスとからなる駆動信号により光ビームのジャンピング走査を制御するようにしている。
図14を参照して光ビーム1がトラックをハーフトラックジャンピング走査する例を説明する。図14(a)は、光ディスク3上のセクタの一部を示す平面図である。図14(a)には、記録領域に2本のグルーブトラックGTと、グルーブトラックGTに挟まれたランドトラックLTとが示され、ヘッダ領域にCAPAが示されている。図中垂直方向がディスク半径方向であり、図面中、上向きが外周向きである。ここでは、トラックジャンピング走査最中に、実線円で示した光ビーム1がグルーブトラックGTより1トラック外周側のランドトラックLTに、ハーフトラックジャンピング走査する場合を例に挙げる。この場合の光ビーム1の軌跡を、図14(a)中に点線で示す。
図14中(b)〜(k)は、図14(a)に示す光ビーム1の軌跡の各位置に対応する各部信号のタイミングチャートである。(b)はトラッキングエラー信号S1、(c)はヘッダ信号S30、(d)はハーフトラックジャンピング走査/フルトラックジャンピング走査切換信号S32、(e)はトラックジャンピング走査方向信号S3、(f)はトラックジャンピング走査指令信号S4、(g)はトラッキング制御ON/OFF切換信号S5、(h)はランドトラック/グルーブトラック切換信号S6、(i)は加速駆動パルス生成回路29が出力する加速駆動パルスS7、(j)はトリガー信号出力回路24が出力するトリガー信号S8、(k)は減速駆動パルス生成回路30が出力する減速駆動パルスS9である。
トラックジャンピング走査が開始される前には、検索回路27からのトラッキング制御ON/OFF切換信号S5(図14(g)参照)がローレベルであるときはトラッキング制御ON/OFF切換スイッチ21は閉じてトラッキング制御ONとなっている。具体的にはタイミング時刻TS21以前とタイミング時刻TS24以降の期間はトラッキング制御ON期間であり、タイミング時刻TS21−TS24の期間はトラッキングOFF制御期間である。トラッキング制御ON期間内のタイミング時刻TS20においては、光ビーム1は第1セクタST1の記録領域のグルーブトラックGTと次の第2セクタST2のヘッダ領域との境界に位置し、タイミング時刻TS20以降で光ビーム1は第2セクタST2の先頭のヘッダ領域へ移動するに伴い、第2セクタST2のヘッダ領域内のCAPAによりトラッキング制御ブロック200の差動回路14からのトラッキングエラー信号S1の波形が変化する(図14(b)参照)。
トラッキングエラー信号S1の極値(参考例では極大値)および零交差によりトリガー信号S8が発生する(図14(j)参照)。一方、ウォブル信号抽出回路42は、トラッキングエラー信号S1からウォブル信号S43を抽出する。このウォブルはランドトラックとグルーブトラックとをウォブル(蛇行)させ、このウォブルにクロック情報を埋め込むことができる。ヘッダ識別回路40は入力されたウォブル信号S43を用いて、タイミング時刻TS210でヘッダ信号S30を検索回路27に出力する(図14(c)参照)。検索回路27はこのヘッダ信号S30の入力に応答してハーフトラックジャンピング走査/フルトラックジャンピング走査切換信号S32をハーフトラックジャンピング走査/フルトラックジャンピング走査切換スイッチ50に出力して接点a側のハーフトラックジャンピング走査モードに切換えるとともに(図14(d)参照)、ジャンピング方向反転信号S3をローレベルにしてジャンピング方向を外周側に反転させる(図14(e)参照)。検索回路27はこれらが終了後のタイミング時刻TS21でランドトラック/グルーブトラック切換パルスS6を反転回路17に出力し(図14(h)参照)、かつ、トラックジャンピング走査指令信号S4をジャンピング走査制御回路28に出力し(図14(f)参照)、かつ、トラッキング制御ON/OFF切換信号S5を立ち上がらせてトラッキング制御OFFにする(図14(g)参照)。これによりジャンピング走査制御回路28の出力により加速駆動パルス生成回路29から加速駆動パルスS7が出力される(図14(i)参照)。上記においては、タイミング時刻TS22で加速駆動パルスS7が立ち下り、光ビーム1がグルーブトラックGTとランドトラックLTとの境界に移動するとトラッキングエラー信号S1の波形が極大となるタイミング時刻TS23でトリガー信号S8が発生し(図14(j)参照)。減速駆動パルス生成回路30から減速駆動パルスS9が出力される(図14(k)参照)。減速駆動パルスS9は第2セクタST2のヘッダ領域通過後であるタイミング時刻TS24で生成出力される。そして、この減速駆動パルスS9の生成終了後のタイミング時刻TS24でトラッキング制御ON/OFF切換信号S5が立ち下ってトラッキング制御がONとなり、光ビーム1はトラッキング制御により第2セクタST2のランドトラックLTに引き込まれていく(図14(g)参照)。そしてタイミング時刻TS25で光ビーム1が第2セクタST2のランドトラックLTの中点にトラッキング制御されると、次の第3セクタST3のヘッダ領域に到達するタイミング時刻TS26までトラッキング制御される。タイミング時刻TS27以降は上述の繰り替えしとなる。
参考例3
図15を参照して本発明の参考例3を説明する。この参考例3は、トラックジャンピング走査終了直後、すなわち、減速駆動パルスS9が終了して再度、トラッキング制御をOFFからONに動作させた直後に光ビーム1がヘッダ領域を通過すると、トラッキングアクチュエータ11に出力されるトラッキング用駆動信号が乱れてトラッキング制御が不安定となって、目的とするトラックへ光ビーム1を引き込むことができない。そこで、光ビーム1がヘッダ領域を通過中は駆動信号をサンプルホールド回路52でホールドする。そして、このホールドに際しては、サンプルホールドする駆動信号として、トラッキング制御の帯域以上の周波数で、かつ、ヘッダ領域によるトラッキングエラー信号S1の外乱の周波数以下のカットオフ周波数とした低域通過フィルタ51を介したトラッキング用駆動信号を用いるものである。このトラッキング用駆動信号を用いることにより、減速駆動パルスS9が終了して再度、トラッキング制御を動作させた直後におけるトラッキング用駆動信号の変動にサンプルホールドの出力値が追従することができるので、目的のトラックに光ビーム1を引き込むことができる。
以下、説明する。
この参考例においては、トラッキング制御ブロック200の位相補償回路18とPWM回路19との間に、低域通過フィルタ51、サンプルホールド回路52およびスイッチ53を挿入し、かつ、ヘッダ識別回路40からヘッダ信号S30をサンプルホールド回路52に出力するようにしたものである。低域通過フィルタ51は、トラッキング制御の帯域以上の周波数で、かつ、ヘッダ領域によるトラッキングエラー信号S1の外乱の周波数以下をカットオフ周波数として、位相補償回路18の出力信号の高周波成分を除去する。したがって、トラッキング用駆動信号S51の高周波成分が除去される。サンプルホールド回路52は、低域通過フィルタ51の出力駆動信号をサンプリングして光ビーム1がヘッダ領域を通過中はホールドするようになっている。なお、低域通過フィルタ51、サンプルホールド回路52はディジタル回路で構成されている。
図16を参照してトラックをフルトラックジャンピング走査する例を説明する。図16(a)は、光ディスク3上のセクタの一部を示す平面図である。図16(a)には、記録領域に2本のグルーブトラックGTと、グルーブトラックGTに挟まれたランドトラックLTとが示され、ヘッダ領域にCAPAが示されている。図中垂直方向がディスク半径方向であり、図面中、上向きが外周向きである。ここでは、トラックジャンピング走査最中に、実線円で示した光ビーム1がグルーブトラックGTより1トラック外周側のグルーブトラックGTに、トラックジャンピング走査する場合を例に挙げる。この場合の光ビーム1の軌跡を、図16(a)中に点線で示す。
図16中(b)〜(k)は、図16(a)に示す光ビーム1の軌跡の各位置に対応する各部信号のタイミングチャートである。(b)はトラッキングエラー信号S1、(c)はヘッダ信号S30、(d)はハーフトラックジャンピング走査/フルトラックジャンピング走査切換信号S32、(e)はトラックジャンピング走査指令信号S4、(f)はトラッキング制御ON/OFF切換信号S5、(g)は加速駆動パルス生成回路29の出力する加速駆動パルスS7、(h)はトリガー信号出力回路24の出力するトリガー信号S8、(i)は減速駆動パルス生成回路30の出力する減速駆動パルスS9、(j)はサンプルホールド回路52が出力するサープルホールド信号S50、(k)は駆動信号S51である。
タイミング時刻TS30前は、検索回路27からのトラッキング制御ON/OFF切換信号S5(図16(f)参照)がローレベルであり、トラッキング制御ON/OFF切換スイッチ21は閉じてトラッキング制御ONとなっている。具体的にはタイミング時刻TS32以前とタイミング時刻TS35以降の期間はトラッキング制御ON期間であり、タイミング時刻TS32−TS35の期間はトラッキングOFF制御期間である。トラッキング制御ON期間内のタイミング時刻TS30において、光ビーム1は第1セクタST1の記録領域の内周側グルーブトラックGTと次の第2セクタST2の先頭のヘッダ領域との境界に位置し、タイミング時刻TS30以降で光ビーム1は第2セクタST2のヘッダ領域へ移動するに伴い、CAPAによりトラッキング制御ブロック200の差動回路14からのトラッキングエラー信号S1は波形変化する(図16(b)参照)。同時にヘッダ識別回路40からのヘッダ信号S30が光ビーム1がCAPAを通過開始のタイミング時刻TS30で立ち上がり、通過終了で立ち下る(図16(c)参照)。トラッキングエラー信号S1はCAPAにより零交差するのでトリガー信号S8が発生する(図16(h)参照)。
光ビーム1が第2セクタST2のヘッダ領域を通過するタイミング時刻TS31で、検索回路27からのハーフトラックジャンピング走査/フルトラックジャンピング走査切換信号S32が立ち下り(図14(d)参照)、ハーフトラックジャンピング走査/フルトラックジャンピング走査切換スイッチ50が接点b側に切換り、フルトラックジャンピング走査が選択される。同時に、検索回路27からジャンピング走査制御回路28にジャンピング指令信号S4が入力される(図16(c)参照)。タイミング時刻TS32において、検索回路27からのトラッキング制御ON/OFF切換信号S5によりトラッキング制御ON/OFF切換スイッチ21が開放されてトラッキング制御OFFとなる(図16(f)参照)。同時に加速駆動パルス生成回路29から加速駆動パルスS7が出力され(図16(g)参照)、駆動信号S51が出力される(図16(k)参照)。この駆動により光ビーム1は第2セクタST2の内周側グルーブトラックGTから第2セクタST2の外周側グルーブトラックGTに移動を開始する。
タイミング時刻TS34で減速駆動パルスS9を出力し(図16(i)参照)、その出力の終了直後のタイミング時刻TS35から所定期間、低域通過フィルタ51のカットオフ周波数をトラッキング制御の帯域以上の周波数で、かつ、ヘッダ領域によるトラッキングエラー信号S1の外乱の周波数以下の周波数とする。そのため、タイミング時刻TS35以降において、位相補償回路18の出力信号の波形変化にサンプルホールド信号S50が追従することができる。すなわち、タイミング時刻TS35からタイミング時刻TS36の期間での位相補償回路18の出力信号とサンプルホールド信号S50の出力信号は、ほぼ同様な波形となる。よって、光ビーム1がヘッダ領域を通過するタイミング時刻TS36からタイミング時刻TS37の期間の駆動信号S51のレベルが、タイミング時刻TS35での位相補償回路18の出力信号に応じたレベルになり、CAPAによって駆動信号S51が乱れることが無い。このため、減速駆動パルスS9が終了して再度、トラッキング制御を動作させたときに、光ビーム1を目的とするトラックである第2セクタST2の外周側グルーブトラックGTに引き込むことができる。すなわち、上記においてトラッキングエラー信号S1がタイミング時刻TS36でヘッダ領域で波形変化し、駆動信号S51が変動しても、低域通過フィルタ51によりこの変動成分は除去され、サンプルホールド信号S50には駆動信号S51の変動は現れず、ヘッダ領域を通過しながら、第3セクタST3の外周側グルーブトラックGTに光ビーム1を引き込むことができる。
実施の形態4
図17を参照して本発明の実施の形態4を説明する。
実施の形態4では、ランドトラック・グルーブトラック(LG)識別回路60と、ジャンピング走査禁止回路61と、ORゲート62と、とを備える。LG識別回路62は、図18のフローチャートに従いランドトラック/グルーブトラック識別処理(ランドトラックLTとグルーブトラックとの識別処理)を行う回路である。
実施の形態4を説明する。
光ディスク3は、図2に示すように、1回転毎にランドトラックLTとグルーブトラックGTとが切換わる構成になっている。図2には、その切換りにおけるビフォーラストセクタとラストセクタとファーストセクタとが示されている。この切換り構成により、トラッキング制御ONの状態では光ビームは、光ディスク3の1回転毎にランドトラックLTとグルーブトラックGTとを追従するように制御される必要がある。そこで、光ビームが、例えば、ランドトラックLTからグルーブトラックGTへと切換わると、トラッキング極性反転回路17でトラッキングエラー信号S1の極性を切り替える。トラッキングエラー信号S1の極性を切り替えない場合には、光ビームは、近傍のトラックへと流れてしまう。
LG識別回路60は、加算回路25の出力からセクタアドレス(ラストセクタに相当する。)を読み取り、その読み取ったセクタアドレスの次のセクタがファーストセクタであると判断した場合、ファーストセクタのヘッダ領域(CAPA)に光ビームが到達するタイミングでランドトラックLTとグルーブトラックGTとを切換える第1のランドトラック・グルーブトラック(LG)切換信号S60をジャンピング走査禁止回路61とORゲート62とに出力する。すなわち、第1のLG切換信号S60は、セクタアドレスを読んで次のセクタがファーストセクタである場合に、次のセクタのヘッダ領域で出力されるパルス信号である。そのため、ハーフトラックジャンピング走査を行っても出力されず、次のセクタ(ファーストセクタのヘッダ領域)に至る前にトラックジャンピング走査が行われるとリセットされる。一方、ジャンピング走査制御回路28からは第2のLG切換信号S6がハーフトラックジャンピング走査を行った場合のみ出力され、ファーストセクタのヘッダ領域では出力されない。
ジャンピング走査禁止回路61は、ヘッダ信号S30から所定のヘッダ領域に相当するパルスを除去した信号であるジャンピング走査禁止信号S61を生成出力する。ここで、ジャンピング走査禁止回路61は、(a)現ゾーン番号、(b)ゾーン1周のセクタ数、(c)ディスクの回転数がそのゾーンでの所定の回転数に制御されていること、(d)ファーストセクタ直前の所定時間の情報を保有している。そして、ジャンピング走査禁止回路61は、第1のLG切換信号S60と上記(a)−(d)の情報とでジャンピング走査禁止信号S61を生成する。
ORゲート62には第1のLG切換信号S60と第2のL/G切換信号S6とが入力される。光ビームがランドトラックLTを追従するようにトラッキング制御する場合と、グルーブトラックGTを追従するようにトラッキング制御する場合とを切換えるのは、トラッキング極性反転回路17によってトラッキングエラー信号S1の極性を切換えることで行っている。この切換えはトラックジャンピング走査をしないでトラックを光ビームが追従していく際に、1回転毎のファーストセクタのヘッダ領域を通過した場合と、ハーフトラックジャンピング走査を行った場合とがある。
以下、LG識別回路60の動作を図18のフローチャートを参照して説明すると、LG識別回路60は加算回路25からセクタアドレスを取り込む。LG識別回路60は、その取り込んだセクタアドレスの次のセクタがファーストセクタであれば、内蔵カウンタのカウント値CNTをCNT=0にリセットする。LG識別回路60は、検索回路27からジャンピング指令信号S4が出力されていない場合、内蔵カウンタのカウント値CNTを+1する。ついで、LG識別回路60は、次のセクタがファーストセクタである、つまり、取り込んだセクタがラストセクタであるとわかった時点からファーストセクタのヘッダ領域直前までの時間に相当する値をNsとして、カウント値CNTと値Nsとの大小を比較し、カウント値CNTが大きいときに第1のLG切換信号S60をジャンピング走査禁止回路61とORゲート62とに出力する。この第1のLG切換信号S60は、ファーストセクタのヘッダ領域(CAPA)に光ビームが到達するタイミングでランドトラックLTとグルーブトラックGTとを切換えるパルスである。
ところで、減速駆動パルスS9の出力直後はトラックジャンピング走査直後であるから、減速駆動パルスS9出力直後から開始されるトラッキング制御ON時では光ビームのオフトラックが大きい場合があり、ヘッダ領域のアドレス読みを失敗することがある。例えば、ラスストセクタの一つ前のセクタ(ビフォーラストセクタ)でトラックジャンピング走査を行い、ラストセクタのヘッダ領域でオフトラックが大きい場合(ヘッダ領域の直前にトラックジャンピング走査は完了し、トラキング制御ONとする。)には、アドレスが読めず、次のファーストセクタで第1のLG切換信号S60が出ないことになる。この場合には、光ビームは、近傍のランドトラックへ流れてしまう。
そこで、実施の形態では、LG識別回路60の出力段にジャンピング走査禁止回路61を設け、検索回路27にジャンピング走査禁止信号S61を出力することにより、ファーストセクタ直前の所定時間においてはトラックジャンピング走査を禁止するようにしている。
図19は、ヘッダ信号S30、第1のLG切換信号S60、ジャンピング走査禁止期間、ジャンピング走査禁止信号S61とを示し、そのうち、(a)−(d)は、ヘッダ周期Taが長い場合で、例えば、PCAV回転制御方式での内周に相当する。(a´)−(d´)は、ヘッダ周期Taが短い場合で、例えば、PCAV回転制御方式での外周に相当する。いずれの場合も、ヘッダ周期Taに関わらずトラッキング制御が整定するまでの時間が同じであるので、トラックジャンピング走査禁止期間は同一である。このトラックジャンピング走査禁止期間とはファーストセクタ直前の所定時間に相当する。なお、図19において、Sn−1、Sn,S0はそれぞれビフォーラストセクタ、ラストセクタ、ファーストセクタそれぞれを示す。トラックジャンピング走査禁止期間は同一であるがヘッダ周期がゾーンによって異なるためジャンピング走査禁止期間のセクタ数をヘッダ周期に応じて変えている。