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JP2010275597A - 蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金及び蒸気タービンのタービンロータ - Google Patents

蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金及び蒸気タービンのタービンロータ Download PDF

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JP2010275597A JP2009130036A JP2009130036A JP2010275597A JP 2010275597 A JP2010275597 A JP 2010275597A JP 2009130036 A JP2009130036 A JP 2009130036A JP 2009130036 A JP2009130036 A JP 2009130036A JP 2010275597 A JP2010275597 A JP 2010275597A
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潔 今井
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威夫 須賀
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Abstract

【課題】鍛造性等の加工性を維持しつつ、高い高温強度を有するとともに、高温環境下においても長期間に亘り健全性と組織安定性を維持することのできる蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金及び蒸気タービンのタービンロータを提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.01〜0.15、Cr:18〜28、Co:10〜15、Mo:4〜7、Al:0.3〜2.0、Ti:0.3〜3.0、B:0.001〜0.035を含み、残部がNiおよび不可避的不純物からなる蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金。
【選択図】なし

Description

本発明は、蒸気タービンのタービンロータ用のニッケル基合金及び蒸気タービンのタービンロータに関する。
今日における我が国の総発電量に占める火力発電の割合はおよそ60%であり、化石燃料への依存度は未だ高い。その中でも、石炭は世界中に広く豊富に分布しており、供給の安定性の観点で優位に立っている。そのため、我が国でも原子力と共にベース電源として石炭火力発電システムの開発が進められているが、石炭の単位電力あたりのCO排出量は他の化石燃料と比較して高いため、石炭火力システムの高効率化が重要な課題とされている。
蒸気タービンの発電効率の向上を図るためには、タービン蒸気温度を高温化することが有効である。このため、近年の蒸気タービン火力発電プラントでは、その蒸気温度を600℃以上まで上昇させている。将来的には、蒸気タービン火力発電プラントにおける蒸気温度は、650℃、さらに700℃以上の高温とすることが世界的な傾向となっている。
この高温の蒸気を受け回転する動翼を支持するタービンロータにおいては、タービンロータ周囲にも高温の蒸気が回流するため高温になるとともに、回転により高い応力が発生する。そのためタービンロータは、高温、高応力に耐える必要があり、タービンロータ用の材料としては、室温から高温領域において優れた強度、延性、靭性を有する材料が求められている。
蒸気温度が700℃を超えるようになると従来の鉄系材料では高温強度が不足する。高温強度の優れた材料として、従来からニッケル基合金が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)。このため、タービンロータ等にニッケル基合金を適用することが検討されている。
ニッケル基合金は、大きく分けて析出強化型と固溶強化型に分けられる。前者はニッケルにAl、Ti、Ta、Nbを添加することによってガンマプライム相(γ’相)(Ni(Al,Ti))、あるいはガンマダブルプライム相(NiNb)と呼ばれる析出相を析出させることによって高温での強度を向上させたものである。代表的な析出強化型ニッケル合金としてインコネル706合金(スペシャルメタル社製)が挙げられる。後者はニッケルにCo,Mo等を添加することによってニッケル母相そのものを強化するものであり、インコネル617合金(スペシャルメタル社製)がそれにあたる。
特開平7−150277号公報 特許第2862487号公報 米国特許出願公開第2005/0244296号明細書
上記のように、蒸気温度が700℃を超えるような蒸気タービンでは、鉄系材料では高温強度が不足するためニッケル基合金の適用が検討されている。このため、鍛造性等の加工性を維持しつつ、高温強度を満足し、かつ、高温に長期間曝露された際にも、長期間に亘り材料の健全性と組織安定性を維持することのできるニッケル基合金の開発が求められている。
本発明は、上記従来の事情に対処してなされたもので、鍛造性等の加工性を維持しつつ、高い高温強度を有するとともに、高温環境下においても長期間に亘り健全性と組織安定性を維持することのできる蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金及び蒸気タービンのタービンロータを提供しようとするものである。
本発明の一態様の蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金は、質量%で、C:0.01〜0.15、Cr:18〜28、Co:10〜15、Mo:4〜7、Al:0.3〜2.0、Ti:0.3〜3.0、B:0.001〜0.035を含み、残部はNiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする。
本発明によれば、鍛造性等の加工性を維持しつつ、高い高温強度を有するとともに、高温環境下においても長期間に亘り健全性と組織安定性を維持することのできるニッケル基合金及び蒸気タービンのタービンロータを提供することができる。
インコネル617におけるMo濃度と各相のモル分率との関係を示すグラフ。 (a)および(b)は本発明の実施形態に係る蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金の組織とインコネル617合金の組織を示す電子顕微鏡写真。 グリーブル試験結果を示すグラフ。 従来のニッケル基合金の組織を示す電子顕微鏡写真。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態に係る蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金は、組成成分範囲を細かく調整することにより、従来のニッケル基合金の鍛造性等の加工性を維持しつつ、高温における機械的強度の向上と、長期間に渡る材料の健全性の維持を図れるようにしたものである。これによって、高温蒸気が導入される蒸気タービンのタービンロータ材として、高温環境下において数万時間に及ぶ長い期間においても高い信頼性を維持することができ、700℃以上の蒸気温度の蒸気タービンの実現を可能とする。
前述したように、インコネル706、インコネル617等のニッケル基合は、タービンロータ材として極めて有用な材料ではあるが、蒸気タービン発電設備のさらなる高効率化には、ニッケル基合金の鍛造性等の加工性、高温強度を満足しつつ、かつ長期間に及ぶ信頼性を確保できる組成改良が必要とされていた。
例えば、インコネル617はCo、Moを添加することにより、Ni基の母相を固溶強化して高温強度向上を図った合金であり、Al、Ti、Ta及びNbの添加によるγ’相析出によって高温強度をさらに高めることが可能である。しかしながら、添加成分の過剰な添加は、有害相と呼ばれる弱化を引き起こす相の析出によって、逆に強度の低下を引き起こす可能性がある。本実施形態に係る蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金は、固溶強化およびγ’相析出強化を利用しつつも、弱化を引き起こす有害相の析出の抑制を図ったものである。
以下、その詳細を説明する。従来のインコネル617にAl、Tiを複合添加すると、析出するγ’相の量は増加し、クリープ強度は向上するが、図4に示すように過剰な合金元素の添加によって板状あるいは針状のσ相の析出が促進される。なお、図4に示す合金は、C:0.1質量%、Cr:23質量%、Co:12質量%、Mo:10質量%、Al:3.0質量%、Ti:0.3質量%を含み、残部はNiおよび不可避的不純物からなる。
このような硬く、脆いσ相のTCP(Topological Closed Packed)相の析出は、衝撃値、クリープ特性、低サイクル疲労寿命などの機械的特性の低下を引き起こすと言われている。これは、き裂がこのような板状あるいは針状の析出物に沿って進展しやすく、また、このような析出物が生じることによって母相に含まれる強化元素が消費されることによると考えられている。
縦軸を各相のモル分率、横軸をMo濃度(質量%)とした図1に示すインコネル617の平衡計算結果によると、σ相の析出量はMo量に大きく依存し、σ相析出を抑制するためにはMo濃度を略7質量%以下にする必要がある。そこで、本実施形態では、Mo量を4〜7質量%とし、さらに必要に応じてTa,Nbを添加し、γ’相を安定的に析出させると共に,γ’相自身の安定性を向上させることで、結果的に、ニッケル基合金の高強度化を達成した。
本実施形態に係る蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金は、以下に示す組成範囲で構成される。なお、以下の説明において、合金組成成分を表す%は、特に明記しない限り質量%である。
(合金1)
C:0.01〜0.15質量%、Cr:18〜28質量%、Co:10〜15質量%、Mo:4〜7質量%、Al:0.3〜2.0質量%、Ti:0.3〜3.0質量%、B:0.001〜0.035質量%を含み、残部はNiおよび不可避的不純物からなる蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金。
(合金2)
C:0.01〜0.15質量%、Cr:18〜28質量%、Co:10〜15質量%、Mo:4〜7質量%、Al:0.3〜2.0質量%、Ti:0.3〜3.0質量%、B:0.001〜0.035質量%、Ta:0.1〜0.7質量%を含み、残部はNiおよび不可避的不純物からなる蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金。
(合金3)
C:0.01〜0.15質量%、Cr:18〜28質量%、Co:10〜15質量%、Mo:4〜7質量%、Al:0.3〜2.0質量%、Ti:0.3〜3.0質量%、B:0.001〜0.035質量%、Nb:0.1〜0.4質量%を含み、残部はNiおよび不可避的不純物からなる蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金。
(合金4)
C:0.01〜0.15質量%、Cr:18〜28質量%、Co:10〜15質量%、Mo:4〜7質量%、Al:0.3〜2.0質量%、Ti:0.3〜3.0質量%、B:0.001〜0.035質量%、Ta:0.1〜0.7質量%、Nb:0.1〜0.4質量%を含み、残部はNiおよび不可避的不純物からなる蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金。
(合金5)
C:0.01〜0.15質量%、Cr:18〜28質量%、Co:10〜15質量%、Mo:4〜7質量%、Al:0.3〜2.0質量%、Ti:0.3〜3.0質量%、B:0.001〜0.035質量%、Ta+2Nb=0.1〜0.7質量%を含み、残部はNiおよび不可避的不純物からなる蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金。
ここで、上記(合金1)〜(合金5)の蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金における不可避的不純物において、その不可避的不純物のうち、少なくともSi含有率を0.1%以下、Mn含有率を0.1%以下に低減していることが望ましい。また、不可避的不純物には、Fe、Cuが含まれる。
これらの蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金によれば、上記した組成成分範囲で構成されることで、従来のニッケル基合金の鍛造性等の加工性を維持しつつ、高温における機械的強度および長時間におよぶ材料の健全性が向上する。また、高温蒸気が導入される蒸気タービンに貫設されるタービンロータの少なくとも所定部位を上記したいずれか1つの蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金で構成することができる。このタービンロータによれば、高温強度を向上させることができ、高温環境下においても高い信頼性を有する。
次に、上記した実施形態に係る蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金における各組成成分範囲の限定理由について説明する。
C(炭素)
Cは、強化相であるM23型炭化物の構成元素として有用であり、特に650℃以上の高温環境下では、タービンの運転中にM23型炭化物を析出させることが合金のクリープ強度を維持させる要因の一つである。また、鋳造時の溶湯の流動性を確保する効果も併せ持つ。Cの含有率が0.01%未満の場合、炭化物の十分な析出量を確保できないため強度が低下するとともに鋳造時の溶湯の流動性が著しく低下する。一方、Cの含有率が0.15%を超えると大型鋳塊製作時の成分偏析傾向が増加するとともに脆化相であるMC型炭化物の生成を促進し、強度は向上するが、鍛造性は低下する。このため、Cの含有率を0.01〜0.15%とした。
Cr(クロム)
Crは、ニッケル基合金の耐酸化性、耐食性、強度を高めるのに不可欠な元素である。さらにM23型炭化物の構成元素として不可欠であり、特に650℃以上の高温環境下では、タービンの運転中にM23型炭化物を析出させることで、合金のクリープ強度が維持される。また、Crは高温蒸気環境下における耐酸化性を高める。Crの含有率が18%未満の場合耐酸化性が低下し、Crの含有率が28%を超えるとM23型炭化物の析出を著しく促進することによって粗大化傾向を高める。このため、Crの含有率を18〜28%とした。
Co(コバルト)
Coは、ニッケル基合金において、母相内に固溶し、母相の強化作用を持つ。Coの含有率が10%未満では、強度が低下し、Coの含有率が15%を超えると有害な金属間化合物相を生成し、鍛造性が低下する。このため、Coの含有率を10〜15%とした。
Mo(モリブデン)
Moは、ニッケル母相中に固溶して母相の強度を高める効果を有し、また、M23型炭化物中に一部が置換することによって炭化物の安定性を高める。しかしながら、前述したとおり、Moの含有率が7%を超えると上記強化と共に有害相であるσ相の析出が促進され、結果として衝撃値、クリープ特性、低サイクル疲労寿命などの機械的特性の低下を引き起こす。Moの含有率が4%未満の場合、σ相の析出は抑制されるが、上記強化の効果が得られなくなる。このため、Moの含有率を4〜7%とした。
Al(アルミニウム)
Alは、ニッケルとともにγ’相(Ni(Al,Ti))を生成し、析出によりニッケル基合金を強化する。Alの含有率が0.3%未満の場合強度が低下する。Alの含有率が3.0を超えると、その他の添加成分濃度に関わらずσ相析出が引き起こされる。このため、Alの含有率を0.3〜3.0%とした。
Ti(チタン)
Tiは、アルミニウムと同様、ニッケルとともにγ’相(Ni(Al,Ti))を生成し、ニッケル基合金を強化する。Tiの含有率が0.3%未満の場合強度は従来材と同等となり、Tiの含有率が3%を超えると熱間加工性が低下し、鍛造性が低下したり、σ相析出が引き起こされたりする。このため、Tiの含有率を0.3〜3.0%とした。
B(ホウ素)
Bは、粒界に偏析して高温特性を向上させる。この効果は、Bの含有率が0.001%以上で発現する。したがって、Bの含有率は0.001%以上とする必要がある。しかしながら、Bの含有率が過剰となり、Bの含有率が0.035%を超えると粒界脆化を招く恐れがある。このため、Bの含有率を0.001〜0.035%とした。
Ta(タンタル)
Taはγ’相に固溶し、析出強化相を安定化させる効果を有するので、必要に応じて含有させる。Taの含有率が0.1%未満の場合は上記した効果が発揮されず、Taの含有率が0.7%を超えると強度は向上するが鍛造性が低下する。このため、Taの含有率は0.1〜0.7%とした。
Nb(ニオブ)
Nbは、Taと同様にγ’相に固溶し強度を高め、析出強化相を安定化させる効果を有する。Nbの含有率が0.1%未満では上記した効果が発揮されず、Nbの含有率が0.4%を超えると強度は向上するが鍛造性が低下する。このため、Nb含有率は、0.1〜0.4%とした。
Mn(マンガン)
普通鋼の場合、脆性に起因するS(イオウ)を、Mnを添加することでMnSとして、脆性を防止する。しかし、ニッケル基合金のS含有量は極めて少なく、Mnを添加する必要はない。このため、Mnを極力除去することが好ましく、Mnの含有率を0.1%以下とした。
Si(ケイ素)
普通鋼の場合、耐食性を補うためSiを添加するが、ニッケル基合金の場合、Cr含有率が多く十分に耐食性を確保できる。このため、Siを極力除去することが好ましく、Siの含有率を0.1%以下とした。
図2(a)に従来のインコネル617の電子顕微鏡組織写真、図2(b)に本実施形態に係る蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金の電子顕微鏡組織写真を示す。図2(b)に示されるとおり、本実施形態に係る蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金では、上記合金組成範囲とすることにより、σ相の析出を抑制しつつγ母相中に微細なγ’相を安定的に析出させることが可能となり、インコネル617と比べた場合においても、より良好な組織の状態とすることができた。
次に、本実施形態に係る蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金の好ましい製造方法について説明する。まず、上記のように成分調整された合金を、常法により溶製し鋳造する。その後、当該鋼塊に、安定化処理、通常の熱間鍛造、溶体化処理を施す。熱間鍛造後の溶体化処理では、γ’相の溶解温度以上でかつ局部溶融開始温度以下とすることが望ましい。
上記安定化処理および溶体化処理は、合金組成と処理物のサイズによって条件が異なるが、安定化処理の場合、例えば1000℃〜1250℃、3〜72時間の加熱により行うことができ、溶体化処理の場合、例えば1000℃〜1200℃、3〜24時間の加熱とその後の急冷により行うことができる。これらの処理は、多段に行うものであってもよい。さらに必要に応じ、700℃〜800℃、3〜24時間の時効処理を行うことにより、γ’相の早期析出を達成することもできる。これらの処理は、多段に行うものであってもよい。
本発明の実施例の蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金及び比較例のニッケル基合金の合金組成、高温強度特性および加工性を調査した結果を説明する。これらの実施例の蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金及び比較例のニッケル基合金の合金組成を表1に示す。
表1に示す化学成分を有するニッケル基合金20kgを真空誘導溶解炉にて溶解し、38種類の鋳塊から鍛造材を得た。18種類の比較例1〜18は、実施例における各元素の含有率の範囲を評価するため、含有率を範囲外に調整したものである。比較例1は、従来材であるインコネル617相当の化学成分を有する。比較例2,3は、Cの含有率が本発明の範囲外となっている。比較例4,5は、Crの含有率が本発明の範囲外となっている。比較例6,7は、Coの含有率が本発明の範囲外となっている。比較例8,9は、Moの含有率が本発明の範囲外となっている。比較例10,11は、Alの含有率が本発明の範囲外となっている。比較例12,13は、Tiの含有率が本発明の範囲外となっている。比較例14は、Bの含有率が本発明の範囲外となっている。比較例15,16は、Taの含有率が本発明の範囲外となっている。比較例17,18は、Nbの含有率が本発明の範囲外となっている。
残りの20種類の実施例1〜20のうち、実施例1〜4は、前記した合金1に相当するものであり、実施例5〜8は、前記した合金2に相当するものであり、実施例9〜12は、前記した合金3に相当するものであり、実施例13〜16は、前記した合金4に相当するものであり、実施例17〜20は、前記した合金5に相当するものである。なお、表1中、Fe,Cuは不可避的に混入したものである。
上記38種類の鍛造材は、いずれも直径約125mm長さ約210mmの中実円筒状の鋳塊に対し、表面の黒皮組織を切削除去して得た。黒皮除去後の鍛造材は直径約120mm、長さ約200mmとなった。これらの鍛造材を1180℃で6時間の安定化処理を施した後、直ちに熱間鍛造を実施した。鍛造比が3となるまで、熱間鍛造を実施したが、その際鍛造材の温度を計測し、鍛造材温度が1000℃まで低下すると一旦鍛造作業を中断し、1180℃での再加熱を実施した。鍛造比が3となった時点、すなわち、鍛造品の全長が600mmとなった時点で、鍛造を終了し放冷した。この時点で鍛造品の直径は約63mmとなっていた。冷却後、鍛造品の表面を観察し、鍛造割れの有無を調査した。
次に、鍛造品それぞれを1170℃で4時間加熱した後強制空冷する溶体化処理を実施した。溶体化処理後の鍛造品に対し、750℃、10時間の時効処理を実施した。時効処理後の鍛造品より、適宜試験片を採取して各種試験に供した。
溶体化処理および時効処理後の比較例1〜18および実施例1〜20について、クリープ試験結果から得た700℃・10万時間クリープ破断強度(MPa)、および鍛造状況を表2に示す。なお、クリープ試験はJIS Z 2271に従って実施した。
表2に示されるように、従来材であるインコネル617相当の化学成分を有する比較例1の700℃・10万時間クリープ破断強度が112(MPa)であったのに対して、本実施例1〜20の700℃・10万時間クリープ破断強度は190〜214(MPa)であり、析出/固溶強化により高温強度が向上していることが分かった。また、実施例1〜20では、リヒート回数10(鍛造比=3)で鍛造割れも無く、比較例1(従来材:インコネル617相当)と同等の鍛造性を有していることが分かった。なお、比較例3,7,16,18では、700℃・10万時間クリープ破断強度は各実施例と同等程度となったが、リヒート回数の増加、鍛造割れの発生等が生じ、鍛造性の低下が見られた。
表3に比較例1(従来材:インコネル617相当)と実施例1,5,9,13,17の5種について熱間加工性を評価したグリーブル試験の結果を示す。グリーブル試験は、900℃、1000℃、1100℃、1200℃および1300℃にて引張速度10%歪/秒で行った。図3は、上記のグリーブル試験結果をグラフに示すものであり、縦軸は断面減少率(絞り値)(%)、横軸は試験温度(℃)を示している。
表3及び図3に示されるように、グリーブル試験の結果、実施例1,5,9,13,17は、鍛造温度範囲である900〜1200℃において絞り値50%以上を確保しており、比較例1(従来材:インコネル617相当)と同等の熱間加工性を有していることが分かった。したがって、製造上の問題はない。
以上のように、上記実施形態に係る蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金は、鍛造性等の加工性を維持しつつ、高い高温強度を有するとともに、高温環境下においても長期間に亘り健全性と組織安定性を維持することができる。したがって、蒸気が導入される蒸気タービンに貫設されるタービンロータの全部または少なくとも所定部位を、上記実施形態に係るニッケル基合金のいずれか1つによって構成することにより、タービンロータの高温強度を高めることができるとともに、高温環境下においても長期間に亘り健全性と組織安定性を維持することが可能となり、700℃以上の蒸気温度の蒸気タービンを実現することができる。

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.01〜0.15、Cr:18〜28、Co:10〜15、Mo:4〜7、Al:0.3〜2.0、Ti:0.3〜3.0、B:0.001〜0.035を含み、残部がNiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金。
  2. 質量%で、C:0.01〜0.15、Cr:18〜28、Co:10〜15、Mo:4〜7、Al:0.3〜2.0、Ti:0.3〜3.0、B:0.001〜0.035、Ta:0.1〜0.7を含み、残部がNiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金。
  3. 質量%で、C:0.01〜0.15、Cr:18〜28、Co:10〜15、Mo:4〜7、Al:0.3〜2.0、Ti:0.3〜3.0、B:0.001〜0.035、Nb:0.1〜0.4を含み、残部がNiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金。
  4. 質量%で、C:0.01〜0.15、Cr:18〜28、Co:10〜15、Mo:4〜7、Al:0.3〜2.0、Ti:0.3〜3.0、B:0.001〜0.035、Ta:0.1〜0.7、Nb:0.1〜0.4含み、残部がNiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金。
  5. 質量%で、C:0.01〜0.15、Cr:18〜28、Co:10〜15、Mo:4〜7、Al:0.3〜2.0、Ti:0.3〜3.0、B:0.001〜0.035、Ta+2Nb=0.1〜0.7含み、残部がNiおよび不可避的不純物からなることを特徴とする蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金。
  6. 蒸気が導入される蒸気タービンに貫設されるタービンロータであって、少なくとも所定部位が、請求項1〜5いずれか1項記載の蒸気タービンのタービンロータ用ニッケル基合金からなることを特徴とする蒸気タービンのタービンロータ。
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